JP4466406B2 - 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成したものが基本構成である。支持体からの電荷注入や支持体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上、帯電性の改善のために、感光層と支持体の間に下引き層を設けることが行われている。従来より、下引き層としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等の樹脂材料を用いることが知られている。これらの樹脂材料の中でも特に溶剤可溶性ポリアミド樹脂が好ましいとされている。更にポリアミド樹脂に酸化チタン、アルミナなど、無機材料が分散された下引き層が提案されている。
従来から行われてきた導電性支持体の粗面化法として、サンドペーパーや砥石あるいは超硬鋼バイト、ダイヤモンドバイト等を使って導電性支持体の表面を切削または研削する方法、導電性支持体表面に研磨剤または研磨剤を液体に分散させたものを噴射して粗面を形成させるサンドブラスト処理やホーニングを用いた方法、導電性支持体表面にドライアイス粒子、高圧水、あるいはレーザービーム等を照射することにより粗面を形成する方法、導電性支持体表面にエッチング加工を施す方法などが知られている。しかしこれらの方法では、導電性支持体を構成する金属中の不純物や切削、研削時の削りかす、バイトかす等の介在物によって、金属素管表面に凸状や凹状のスジやバリ等が発生しやすい、導電性支持体表面に付着した研磨剤を十分に除去できない、粗面の均一性や作業の類雑さ、コスト高となることなどが問題となっていた。
これら残留電位の蓄積を抑制するため、支持体上にカーボンブラック、グラファイトな
どの導電粉分散層を形成させ、導電粉分散層表面を粗面化する試みもおこなわれている(例えば特許文献6)。しかしながら、これらを用いた下引き層は、下引き層の抵抗値が分散度合いにより著しく変化するため抵抗コントロールが難しく実用的ではなかった。
<下引き層>
本発明の電子写真感光体の有する下引き層は、平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、780nmにおける、透過率および拡散反射率が、ともに15%以下のものである。
サーフコム570A等を用いて測定することができる。
本発明の感光体が有する下引き層の透過率と拡散反射率は、780nmにおいて、ともに15%以下のものである。透過率は、分光光度計により測定することができる。一例としては、(株)島津製作所製の分光高度計である、製品名:UV−3100PCにより測定することができる。また、拡散反射率は、同様の分光光度計を用いて積分球により測定することが可能で、一例としては、上記UV−3100PCに、(株)島津製作所製の積分球付属装置、製品名:ISR−3100を組み込むことにより測定することができる。
本発明の電子写真感光体が有する下引き層は、金属化合物粉末およびバインダー樹脂を含有する下引き層が好ましい。該金属化合物粒子としてはn型性(電子輸送性)の酸化物粒子が好ましく、そのような金属酸化物としては、具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の等のチタン酸塩;酸化チタンに酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物を固溶
させたもの;酸化チタンにニオブ,アンチモン,タングステン,インジウム,ニッケル,鉄,珪素等の金属元素をドープしたもの等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができ、部分還元により着色したものでも構わない。特に、下引き層の透過率、および拡散反射率を制御するのに、着色した酸化チタン粒子は好ましく、黒色酸化チタンは特に好ましい。酸化チタン粒子には複数の結晶状態のものが含まれていても良い。一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。
下引き層を形成するバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等の樹脂材料を用いることが出来る。
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明の下引き層の膜厚は、通常0.1μm以上、20μm以下で使用されされ、好ましくは1μm以上、10μm以下で使用される。
下引き層は、常法により形成すればよい。すなわち、層の含有する材料を溶剤に溶解または分散し、得られた塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥することにより形成される。塗布液中には、下引き層の特性および塗布液の分散安定性を悪化させない範囲で、必要に応じて、金属酸化物以外の粒子、電荷輸送分子、酸化防止剤、分散剤、レベリング剤、その他の添加剤等を加えても良い。
<支持体>
本発明で用いる導電性支持体としては、導電性支持体としては、周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。そして、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
成形される。成形したものをそのまま用いても良いし、更に切削、研削、研磨などの加工を加えたものでも良い。導電性支持体上には下引き層を設けるが、支持体表面には、画質に影響のない範囲で、例えば酸化処理や薬品処理等の各種の処理を施すことができる。
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダ樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダ樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダ樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
<積層型感光層>
・電荷発生層
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダ樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダ樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
・電荷輸送層
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダ樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダ樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで用いても良い。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダ樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダ樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダ樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いるバインダ樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
気抵抗が前記範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
どで露光を行なえばよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去されるが、残留しているトナーが無いか、非常に少ない場合にはクリーニング装置が無くてもかまわない。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
<分散液S1の作製方法>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、58%/18%/3%/18%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液S1とした。
一次粒子径0.2〜0.4μmの黒色酸化チタン(赤穂化成(株)製、製品名:Tilack D(微粒タイプ))をメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、黒色酸化チタンの分散スラリーを得た。更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、分散液S1で用いたのと同じナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、黒色酸化チタン/ナイロン=3/1の分散液を調整し、これを分散液S2とした。
分散液S1の作製と同様にして疎水化処理酸化チタンをメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーを得た。また、分散液S2の作成と同様にして、黒色酸化チタンの分散スラリーを作製した。
得られた2つの分散スラリーを混合し、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、分散液S1で用いたのと同じナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、疎水化処理酸化チタン/黒色酸化チタン/ナイロン=2.625/0.375/1の分散液を調整し、これを分散液S3とした。
分散液S2に0.017重量部のシリコーンオイル(信越シリコーン(株)製、製品名:KF96)を混合し、その後、超音波分散処理を行うことにより分散液S4を調整した。
<分散液S5の作製方法>
分散液S3に0.017重量部のシリコーンオイル(信越シリコーン(株)製、製品名:KF96)を混合し、その後、超音波分散処理を行うことにより分散液S5を調整した。
分散液S1の作製と同様にして疎水化処理酸化チタンをメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーを得た。また、同様にして、平均粒径0.28±0.03μmのシリカ球状粒子(株式会社日本触媒製、製品名:シーホスターKE−P30)の分散スラリーを作製した。 得られた2つの分散スラリーを混合し、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、ナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、疎水化処理酸化チタン/KE−P30/ナイロン=3/1/1の分散液を調整し、これを分散液S6とした。
分散液S2に、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ357mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が、2μmとなるように下引き層を設けた。
次に、CuKα線により粉末X線スペクトルパターンにおいてブラック各2θ (±0.2゜)、27.3゜に特徴的なピークを示すオキシチタニウムフタロシニアン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名:#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液に先に下引き層を設けたアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.3g/m2 (約0.3μm)となるように電荷発生層を設けた。
<実施例2>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液S2に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をA2とする。
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液S2に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が6μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をA3とする。
<実施例4>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液S3に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をA4とする。
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S1)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が2μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB1とする。
<比較例2>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S4)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB2とする。
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S5)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB3とする。
<比較例4>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S6)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB4とする。
・下引き層表面の平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(RSm)
感光体A1〜A4およびB1〜B4の、感光層を形成する前の下引き層表面の平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(RSm)を、表面粗さ測定装置((株)東京精密製、製品名:サーフコム570A)を用いて測定した結果を、下記表1に示す。
ポリエステルフィルム上に、感光体A1〜A4およびB1〜B4の下引き層で用いたのと同じ塗布液(S1〜S6)を用いて、同じ乾燥膜厚となるよう、下記表2のようにワイヤーバーを用いて塗布形成した下引き層を、分光光度計(島津製作所 製品名 UV−3100PC)をもちいて、透過率を測定した。また、積分球付属装置(島津製作所 製品名 ISR−3100)を用いて、標準白板(BaSO4粉末)に対する拡散反射率を測
定した。780nmにおける結果を下記表2に示す。
・電気特性
次にこれらの電子写真感光体を感光体特性測定機に装着して、気温25℃、相対湿度50%の環境下で(以下、NN環境ということがある)、表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を照射した時の表面電位が1/2になるのに要する露光エネルギー量(μJ/cm2、以下、感度ということがある)、−700Vに帯電した後
、暗所で5秒放置後の電位保持率(%、以下DDRということがある)、660nmのLED光を照射した後の電位(−V、以下Vrまたは残留電位といことがある)を測定した。結果を下記表3に示す。
・画像評価
次に感光体A1〜A4およびB1〜B4を、市販のモノクロレーザープリンター(ヒューレッドパッカード社製 LASER JET 5000 PCL6)に装着して、NN環境下で、ProRes 1200−最高品質モード(1200dpiモード)で5種類の濃度のハーフトーン(HT1〜5)画像を形成し、干渉縞模様の有無を目視で評価した。干渉縞が確認できないものを○、干渉縞が認められるものを×とした。結果を表4に示す。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (5)
- 導電性基体上に、黒色酸化チタンを含む金属化合物粒子、およびバインダー樹脂を含有する下引き層と、感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層表面の平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、下引き層全体の780nmにおける、透過率および拡散反射率が、ともに15%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
- バインダー樹脂が、構造中に下記一般式(1)で表される繰り返しユニットを含むポリアミド樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 黒色酸化チタンとバインダー樹脂との比率が、バインダー樹脂1重量部に対して、黒色酸
化チタンが2重量部から4重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真感光体。 - 黒色酸化チタンの電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が、1nm以上、1μm以下であ
ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、画像形成装置。
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