JP4466406B2 - 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特に露光手段として半導体レーザー光などの可干渉光を用いて像形成を行う電子写真装置に搭載され、少なくとも下引き層と感光層を有する電子写真感光体において、電気特性および画像特性が良好な電子写真感光体に関するものである。
従来、電子写真感光体には、セレン、セレン−テルル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム等の無機系光導電物質が広く用いられてきたが、近年では低公害であり、製造が容易な有機系の光導電物質を感光層に用いた電子写真感光体が主流となっている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層および電荷移動層からなる積層型の感光体が主流となっている。
電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成したものが基本構成である。支持体からの電荷注入や支持体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上、帯電性の改善のために、感光層と支持体の間に下引き層を設けることが行われている。従来より、下引き層としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等の樹脂材料を用いることが知られている。これらの樹脂材料の中でも特に溶剤可溶性ポリアミド樹脂が好ましいとされている。更にポリアミド樹脂に酸化チタン、アルミナなど、無機材料が分散された下引き層が提案されている。
最近は、デジタル化の流れの中で、電子写真装置も、デジタル方式の装置が主流になってきた。デジタル方式の電子写真装置は、半導体レーザーなど可干渉光を用いて像形成を行うため、干渉縞模様の画像欠陥も抑制する必要が生じてくる。この原因は電荷発生層を透過した光が支持体表面あるいは下引き層表面で反射し、この反射光と電荷輸送層表面での反射光との干渉を生じたものによると考えられる。
これら、干渉縞模様の画像欠陥を抑制する方法として、引き抜き成形されたアルミニウム、スチール等の導電性支持体の外周面を微細な粗面に加工し、その上層に下引き層をもうけることで、支持体表面での反射光を拡散反射光として位相を変化させるとともに、下引き層表面での反射光も拡散反射光とする方法がとられてきた。
従来から行われてきた導電性支持体の粗面化法として、サンドペーパーや砥石あるいは超硬鋼バイト、ダイヤモンドバイト等を使って導電性支持体の表面を切削または研削する方法、導電性支持体表面に研磨剤または研磨剤を液体に分散させたものを噴射して粗面を形成させるサンドブラスト処理やホーニングを用いた方法、導電性支持体表面にドライアイス粒子、高圧水、あるいはレーザービーム等を照射することにより粗面を形成する方法、導電性支持体表面にエッチング加工を施す方法などが知られている。しかしこれらの方法では、導電性支持体を構成する金属中の不純物や切削、研削時の削りかす、バイトかす等の介在物によって、金属素管表面に凸状や凹状のスジやバリ等が発生しやすい、導電性支持体表面に付着した研磨剤を十分に除去できない、粗面の均一性や作業の類雑さ、コスト高となることなどが問題となっていた。
同様の目的から、下引き層に粉体を分散し、下引き層表面での反射光を拡散反射光とする方法(例えば特許文献1、2)、導電粉と粗大な非導電粉体を分散した下引き層を用い、下引き層の表面を粗面化する方法(例えば特許文献3、4、5)が知られているが、いずれにしても、非導電性粉体を用いるために残留電位が蓄積するという問題があった。
これら残留電位の蓄積を抑制するため、支持体上にカーボンブラック、グラファイトな
どの導電粉分散層を形成させ、導電粉分散層表面を粗面化する試みもおこなわれている(例えば特許文献6)。しかしながら、これらを用いた下引き層は、下引き層の抵抗値が分散度合いにより著しく変化するため抵抗コントロールが難しく実用的ではなかった。
また、これらの下引き層では支持体表面からの反射光については考慮されておらず、場合によっては支持体表面の粗面化加工が必要な場合もあった。
特開昭62−299875号公報 特開平1−158456号公報 特開昭61−36755号公報 特開昭63−163468号公報 特開2001−209200号公報 特開2000−181113号公報
半導体レーザー光等の可干渉光を用いて像形成を行う電子写真装置に用いた場合でも、粗面化等の処理をすることなく干渉縞模様の画像欠陥の発生を防止し、良好な画像を形成することが可能で、且つ、残留電位の上昇のような電気特性上の不具合が起こらない高性能な電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置を提供する。
本発明者は、少なくとも金属化合物粒子およびバインダー樹脂を含有する下引き層と感光層を有するものであって、該下引き層表面の平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(RSm)、並びに、該下引き層全体の780nmにおける透過率、および拡散反射率が特定の場合に、電気特性および干渉縞模様の画像欠陥を解消することができることを見いだし、本発明に到達した。即ち本発明は、導電性基体上に、金属化合物粒子およびバインダー樹脂を含有する下引き層と、感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層の平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、780nmにおける、透過率および拡散反射率が、ともに15%以下であることを特徴とする電子写真感光体に存する。
本発明の下引き層を用いた電子写真感光体は、可干渉光を光源として用いる電子写真装置に用いた場合、干渉縞の発生しない良好な画像を形成することが可能で、しかも電気特性も良好であり優れている。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<下引き層>
本発明の電子写真感光体の有する下引き層は、平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、780nmにおける、透過率および拡散反射率が、ともに15%以下のものである。
ここで平均粗さ(Ra)、および平均間隔(RSm)は、それぞれJIS B 0601:2001で規定される、算術平均粗さ、および粗さ曲線要素の平均長さのことであり、それぞれの値は、JIS B 0601:2001の規定を満たす評価をすることのできる測定装置、および測定方法によるものであれば、どのような測定装置および方法を用いても構わない。一例としては、(株)東京精密製の表面粗さ測定装置である、製品名:
サーフコム570A等を用いて測定することができる。
本発明の効果を得るためには、平均粗さ(Ra)が0.05μm以上であって、しかも凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であることが重要で、平均粗さ(Ra)が0.05μm以上であっても、凹凸の平均間隔(RSm)が150μmより大きいと十分な干渉縞防止効果が得られない場合があり、同様に凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であったとしても、平均粗さ(Ra)が0.05μm未満であれば、十分な干渉縞防止効果が得られない場合がある。
平均粗さ(Ra)は、通常0.05μm以上であるが、好ましくは0.07μm以上であって、より好ましくは0.10μm以上、特に好ましくは0.15μm以上である。また、凹凸の平均間隔(RSm)は、通常150μm以下であるが、好ましくは130μm以下であって、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
本発明の感光体が有する下引き層の透過率と拡散反射率は、780nmにおいて、ともに15%以下のものである。透過率は、分光光度計により測定することができる。一例としては、(株)島津製作所製の分光高度計である、製品名:UV−3100PCにより測定することができる。また、拡散反射率は、同様の分光光度計を用いて積分球により測定することが可能で、一例としては、上記UV−3100PCに、(株)島津製作所製の積分球付属装置、製品名:ISR−3100を組み込むことにより測定することができる。
本発明の効果を得るためには、780nmにおいて、透過率と拡散反射率が、ともに15%以下である必要があり、どちらか一方が15%を超える場合は、十分な干渉縞防止効果が得られない場合がある。また、透過率と拡散反射率がともに15%以下であっても、上記の平均粗さ(Ra)と凹凸の平均間隔(RSm)が本発明の規定する範囲にない場合は、十分な干渉縞防止効果が得られない場合がある。
本発明の規定する平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(RSm)、透過率、および拡散反射率を有する下引き層は、下引き層の含有する金属化合物粒子の種類、下引き層の含有する金属化合物粒子の粒径、該粒子の表面活性基の種類、バインダー樹脂の選択、レベリング剤の有無等を調整することにより達成され、一例としては、下引き層に含有させる金属化合物粒子として有機珪素化合物化合物により表面処理された酸化チタンを用いること、下引き層に含有させる金属化合物粒子として黒色の酸化チタン粒子を用いること、バインダー樹脂として特定構造のナイロン樹脂を用いること、下引き層に含有させる金属化合物粒子の分散のため通常用いられるレベリング剤を使用しないこと等があげられ、これらの要因を組み合わせることにより達成することもできる。これらの要素の中で、平均粗さ(Ra)、および/または凹凸の平均間隔(RSm)を達成するには、下引き層の含有する金属化合物粒子の粒径、該粒子の表面活性基の種類、バインダー樹脂の選択、レベリング剤の有無等を調節することが効果的であり、透過率、および/または拡散反射率を達成するには、下引き層の含有する金属化合物粒子の種類、バインダー樹脂の選択等を調節することが効果的である。下引き層に含有させる金属化合物粒子として、四三酸化鉄等の各種金属性黒色顔料が好適に用いられ、中でも黒色酸化チタンを用いると、透過率、および/または拡散反射率を特に好適なものとすることができる。
・金属化合物粒子
本発明の電子写真感光体が有する下引き層は、金属化合物粉末およびバインダー樹脂を含有する下引き層が好ましい。該金属化合物粒子としてはn型性(電子輸送性)の酸化物粒子が好ましく、そのような金属酸化物としては、具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の等のチタン酸塩;酸化チタンに酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物を固溶
させたもの;酸化チタンにニオブ,アンチモン,タングステン,インジウム,ニッケル,鉄,珪素等の金属元素をドープしたもの等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができ、部分還元により着色したものでも構わない。特に、下引き層の透過率、および拡散反射率を制御するのに、着色した酸化チタン粒子は好ましく、黒色酸化チタンは特に好ましい。酸化チタン粒子には複数の結晶状態のものが含まれていても良い。一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。
有色の酸化チタンを得る方法としては、二酸化チタン粉末と金属チタン粉末との混合物を真空または還元雰囲気下で550〜1100℃で加熱する方法、二酸化チタン粉末を無水ヒドラジンガスのような特殊雰囲気中で加熱還元する方法、二酸化チタン粉末と水素化ホウ素ナトリウムを不活性雰囲気下で300〜950℃で加熱する方法等があげられるが、加熱温度が高いと焼結して粗大化する、還元性ガスは腐食性がつよく取り扱いの点が困難であることから、二酸化チタン粉末と水素化ホウ素ナトリウムを不活性雰囲気下で加熱する方法を用いることが好ましい。また、下引き層の透過率、および拡散反射率を制御するのに、有色の酸化チタンの黒色度はカラーアナライザー(粉末セル法Lab表示系)によるL値が20以下が好ましく、酸化チタンなど他の金属酸化物と混合して用いた時の着色力も強い。
金属化合物粒子の粒径は、下引き層形成のための分散液の安定性の面から、電子顕微鏡観察による平均一次粒子径として1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下であり、特に好ましくは0.1μm以下であり、通常1nm以上、好ましくは10nm以上の粒子を用いることである。分散液を安定化するために、有機珪素化合物等によって疎水化処理されている粒子を用いるのが好ましい。
金属化合物粒子の電気抵抗は特に制限されないが、小さすぎると添加量に対する下引き層の体積抵抗率の変化が大きくなり、感光体の製造が困難になるため、1t・cm-2圧粉体で、電気抵抗が10-1Ωcm以上のものが好ましく用いられる。また、圧粉体での抵抗値が大きくなりすぎると、下引き層の体積抵抗率を所望の値にするのに、多量の粒子を添加する必要があり、製造コストが嵩むことになるので、1t・cm-2圧粉体で、電気抵抗が104Ωcm以下のものが好適に用いられる。
<下引き層のバインダー樹脂>
下引き層を形成するバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等の樹脂材料を用いることが出来る。
なかでも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。その中でも特に下記一般式(1)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。シクロヘキサン環およびメチレン基の有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基が好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等があげられる。これらの中でも炭素数5以下の置換基を有するか、または無置換であることが好ましく、特に好ましくは、置換基としてメチル基を有する、置換基としてエチル基を有する、または置換基を有さないものである。
粒子とバインダー樹脂の比率は任意に選ぶことが出来るが、粒子の比率が低すぎると残留電位の上昇、高すぎると微小黒点など画像欠陥の原因となるため、バインダー樹脂1重量部に対して、0.5重量部から6重量部の範囲が好ましく、2重量部から4重量部の範囲が特に好ましい。
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明の下引き層の膜厚は、通常0.1μm以上、20μm以下で使用されされ、好ましくは1μm以上、10μm以下で使用される。
<下引き層の形成>
下引き層は、常法により形成すればよい。すなわち、層の含有する材料を溶剤に溶解または分散し、得られた塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥することにより形成される。塗布液中には、下引き層の特性および塗布液の分散安定性を悪化させない範囲で、必要に応じて、金属酸化物以外の粒子、電荷輸送分子、酸化防止剤、分散剤、レベリング剤、その他の添加剤等を加えても良い。
下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いても良いが、一般的には、浸漬塗布やスプレー塗布、ノズル塗布方法等で塗布される。
<支持体>
本発明で用いる導電性支持体としては、導電性支持体としては、周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。そして、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
なかでもアルミニウム等の金属のエンドレスパイプが好ましい支持体である。アルミニウムまたはその合金のエンドレスパイプは、押し出し、引き抜き、しごき等の加工により
成形される。成形したものをそのまま用いても良いし、更に切削、研削、研磨などの加工を加えたものでも良い。導電性支持体上には下引き層を設けるが、支持体表面には、画質に影響のない範囲で、例えば酸化処理や薬品処理等の各種の処理を施すことができる。
<感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダ樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダ樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダ樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<積層型感光層>
・電荷発生層
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダ樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダ樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダ樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、本発明のハロゲン置換インジウムフタロシアニン及び場合によって用いられるその他の電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダ樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダ樹脂と電荷発生物質との配合比(重量)は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常10重量部以上、好ましくは30重量部以上、また、通常1000重量部以下、好ましくは500重量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
・電荷輸送層
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダ樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、電荷輸送物質として公知の任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
バインダ樹脂は膜強度確保のために使用される。電荷輸送層のバインダ樹脂としては、
例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダ樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで用いても良い。
バインダ樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷輸送物質を20重量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40重量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は150重量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダ樹脂との相溶性の観点から110重量部以下が好ましく、耐刷性の観点から80重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から70重量部以下が最も好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダ樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダ樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダ樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダ樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダ樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダ樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
保護層の電気抵抗は、通常109Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電
気抵抗が前記範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独でも地位手も良く、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の
性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光な
どで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去されるが、残留しているトナーが無いか、非常に少ない場合にはクリーニング装置が無くてもかまわない。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は断りがない限り、「重量部」を示す。
<分散液S1の作製方法>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、58%/18%/3%/18%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液S1とした。
<分散液S2の作製方法>
一次粒子径0.2〜0.4μmの黒色酸化チタン(赤穂化成(株)製、製品名:Tilack D(微粒タイプ))をメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、黒色酸化チタンの分散スラリーを得た。更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、分散液S1で用いたのと同じナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、黒色酸化チタン/ナイロン=3/1の分散液を調整し、これを分散液S2とした。
<分散液S3の作製方法>
分散液S1の作製と同様にして疎水化処理酸化チタンをメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーを得た。また、分散液S2の作成と同様にして、黒色酸化チタンの分散スラリーを作製した。
得られた2つの分散スラリーを混合し、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、分散液S1で用いたのと同じナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、疎水化処理酸化チタン/黒色酸化チタン/ナイロン=2.625/0.375/1の分散液を調整し、これを分散液S3とした。
<分散液S4の作製方法>
分散液S2に0.017重量部のシリコーンオイル(信越シリコーン(株)製、製品名:KF96)を混合し、その後、超音波分散処理を行うことにより分散液S4を調整した。
<分散液S5の作製方法>
分散液S3に0.017重量部のシリコーンオイル(信越シリコーン(株)製、製品名:KF96)を混合し、その後、超音波分散処理を行うことにより分散液S5を調整した。
<分散液S6の作製方法>
分散液S1の作製と同様にして疎水化処理酸化チタンをメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーを得た。また、同様にして、平均粒径0.28±0.03μmのシリカ球状粒子(株式会社日本触媒製、製品名:シーホスターKE−P30)の分散スラリーを作製した。 得られた2つの分散スラリーを混合し、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、ナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、疎水化処理酸化チタン/KE−P30/ナイロン=3/1/1の分散液を調整し、これを分散液S6とした。
<実施例1>
分散液S2に、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ357mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が、2μmとなるように下引き層を設けた。
次に、CuKα線により粉末X線スペクトルパターンにおいてブラック各2θ (±0.2゜)、27.3゜に特徴的なピークを示すオキシチタニウムフタロシニアン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名:#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液に先に下引き層を設けたアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.3g/m2 (約0.3μm)となるように電荷発生層を設けた。
次に下記構造式で表される共重合ポリカーボネート100部
下記構造式で表されるアリールアミン系化合物50部
下記構造式で表されるヒンダードフェノール系化合物8部
をテトラヒドロフラン、トルエンの混合溶媒に溶解させた液を浸隻塗布することにより、乾燥後の膜厚が25μmになるように電荷移動層をもうけた。このようにして得られた感光体をA1とする。
<実施例2>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液S2に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をA2とする。
<実施例3>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液S2に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が6μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をA3とする。
<実施例4>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液S3に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をA4とする。
<比較例1>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S1)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が2μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB1とする。
<比較例2>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S4)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB2とする。
<比較例3>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S5)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB3とする。
<比較例4>
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(S6)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が4μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体をB4とする。
<評価>
・下引き層表面の平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(RSm)
感光体A1〜A4およびB1〜B4の、感光層を形成する前の下引き層表面の平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(RSm)を、表面粗さ測定装置((株)東京精密製、製品名:サーフコム570A)を用いて測定した結果を、下記表1に示す。
・透過率および拡散反射率
ポリエステルフィルム上に、感光体A1〜A4およびB1〜B4の下引き層で用いたのと同じ塗布液(S1〜S6)を用いて、同じ乾燥膜厚となるよう、下記表2のようにワイヤーバーを用いて塗布形成した下引き層を、分光光度計(島津製作所 製品名 UV−3100PC)をもちいて、透過率を測定した。また、積分球付属装置(島津製作所 製品名 ISR−3100)を用いて、標準白板(BaSO4粉末)に対する拡散反射率を測
定した。780nmにおける結果を下記表2に示す。
感光体A1〜A4のみが、平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、780nmにおける、透過率および拡散反射率が、ともに15%以下である。
・電気特性
次にこれらの電子写真感光体を感光体特性測定機に装着して、気温25℃、相対湿度50%の環境下で(以下、NN環境ということがある)、表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を照射した時の表面電位が1/2になるのに要する露光エネルギー量(μJ/cm2、以下、感度ということがある)、−700Vに帯電した後
、暗所で5秒放置後の電位保持率(%、以下DDRということがある)、660nmのLED光を照射した後の電位(−V、以下Vrまたは残留電位といことがある)を測定した。結果を下記表3に示す。
すべての感光体において、良好な電気特性を示した。
・画像評価
次に感光体A1〜A4およびB1〜B4を、市販のモノクロレーザープリンター(ヒューレッドパッカード社製 LASER JET 5000 PCL6)に装着して、NN環境下で、ProRes 1200−最高品質モード(1200dpiモード)で5種類の濃度のハーフトーン(HT1〜5)画像を形成し、干渉縞模様の有無を目視で評価した。干渉縞が確認できないものを○、干渉縞が認められるものを×とした。結果を表4に示す。
実施例の感光体A1〜A4では、いずれの濃度のハーフトーン画像でも干渉縞模様は観察されなかったが、比較例の感光体B1〜B3では、いずれの濃度のハーフトーン画像でも明確に干渉縞模様が観察された。また、比較例の感光体B4では、薄い濃度のハーフトーン画像では干渉縞は確認されないものの、濃いハーフトーン画像では干渉縞模様が観察された。
画像評価結果と表面粗さによる測定結果から、下引き層の平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、かつ、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、780nmにおける、透過率および拡散反射率がともに15%以下である感光体を用いた場合にのみ、干渉縞模様が発生しない良好な画像が得られた。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一実施例を示す概念図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (5)

  1. 導電性基体上に、黒色酸化チタンを含む金属化合物粒子およびバインダー樹脂を含有する下引き層と、感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層表面の平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、凹凸の平均間隔(RSm)が150μm以下であって、且つ、下引き層全体の780nmにおける、透過率および拡散反射率が、ともに15%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. バインダー樹脂が、構造中に下記一般式(1)で表される繰り返しユニットを含むポリアミド樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
    (式(1)中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)
  3. 黒色酸化チタンとバインダー樹脂との比率が、バインダー樹脂1重量部に対して、黒色酸
    化チタンが2重量部から4重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 黒色酸化チタンの電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が、1nm以上、1μm以下であ
    ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、画像形成装置。
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