JP2006030976A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有することを特徴とする電子写真感光体。
(式(1)中、R1およびR2は炭化水素基を表し、Ar1およびAr4は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar2およびAr3は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。但し、Ar2とAr3は互いに結合して環を形成してもよい。)
【選択図】 なし。
Description
電子写真技術の中核をなす感光体については、現在一部にアモルファスシリコン、砒素―セレン系などの無機光導電材料が使われているが、主流は有機系感光体である。有機系感光体による電子写真感光体の感光層としては、光導電性物質をバインダー樹脂中に分散させた一層からなる単層型と、電荷発生物質をバインダー樹脂中に分散させた電荷発生層と電荷輸送物質をバインダー樹脂中に分散させた電荷輸送層との二層からなる積層型とがあり、後者積層型は、材料の選択範囲が広いこと、電荷発生物質と電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度の感光体が得られること、又、生産性も高いこと等の利点を生かし、精力的に研究・開発されており、急速に実用化が進んでいる。
本発明の電子写真感光体は、光曝露後でも、酸化性ガス曝露後でも帯電電位や感度等の電気特性の変動が少なく、安定性が極めて良好であるため耐久性に優れており、しかも高感度、低残留電位で電気特性に優れるため、高速且つ長寿命が要求される複写機やカラープリンタ等に好適に用いることができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質、電荷輸送物質、およびバインダー樹脂を含有する感光層を有するものであって、該支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、本発明に特定のアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有することを特徴とする。
R1およびR2の炭化水素基が有していても構わない置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アリル基、アルコキシ基、アリール基があげられ、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、炭素数6以下のアルコキシ基、置換を有していてもよいアリール基等があげられる、これらの中でも置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、特に好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基を用いる。
Ar1〜Ar4の有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリル基、アリール基があげられるが、これらの置換基は更に異なる置換基を有していても構わない。式(1)の化合物を含有する層に対して良好な溶解性を有し、且つ該化合物の安定性を高めるため、これらの中でも特に、置換基の全炭素数が1〜8であるものが好ましい。
下記表1に、本発明の式(1)で表されるアゾ化合物の具体例を示すが、本発明のアゾ化合物は、本発明の要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
本発明におけるアゾ化合物は、公知の方法を用いて製造することができる。以下に本発明におけるアゾ化合物の製造方法の具体例をあげる。例えば、アゾベンゼン骨格を有する化合物に、N,N−ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとを作用させてホルミル化し、ついで、ヒドラジン化合物と縮合反応を行うことより目的化合物であるアゾ化合物を得ることができる。
また、アミノ基を有する芳香族アルデヒド化合物のジアゾニウム塩を製造し、該塩ととアミノ基を有する芳香族化合物とをジアゾカップリング反応させ、ついでヒドラジン化合物と縮合反応を行うことよっても目的化合物であるアゾ化合物を得ることができる。
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体とがあげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体で使用される式(1)のアゾ化合物は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されていても構わないが、外部からの光や酸化性ガス等の曝露に対して耐久性能を奏することを勘案すれば、より外側の層が含有することが好ましい。感光層の上に更にオーバーコート層を有する感光体である場合、オーバーコート層中に含有することによっても、下層に特定波長の光や酸化性ガス等の影響が達するのを防ぎ、耐光、耐酸化性ガス暴露性に高い効果が得られると考えれられることから、感光層上に形成されるオーバーコート層が本発明のアゾ化合物を含有していても構わない。さらに、本発明のアゾ化合物は、光暴露時の光の特定波長を吸収しバインダー樹脂と電荷輸送材料との励起状態で相互に作用するのを抑制する効果により、光暴露時の残留電位の上昇を抑制していることが推測されることから、バインダー樹脂と電荷輸送材料を含有する層、すなわち単層型感光体の感光層、または積層型感光体の電荷輸送層のいずれかの層に含有されるのがより好ましい。特に、光暴露時の残留電位の大きな変動の防止に高い効果が得られることから、順積層型感光層の電荷輸送層中に含有されるのが好ましい。
、本発明の式(1)で表されるアゾ化合物が、導電性支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上含有される。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO等の導電性材料をその表面に蒸着または塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでも良い。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダ樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダ樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダ樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えばセレン及びその合金、アモルファスシリコンその他無機系光導電性材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、スクワリウム顔料などの有機顔料など各種光導電性材料が使用できるが、特に有機顔料、中でもフタロシアニン顔料、アゾ顔料を使用することが望ましい。フタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類が使用される。 特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、特開昭62−67094号公報、特開平5−098174号公報等に記載のA型(別称β型)チタニルフタロシアニン、特開昭61−217050号公報、特開平1−207755号公報、特開平4−323270号公報、特開平6−287189号公報等に記載のB型(別称α型)チタニルフタロシアニン、特開昭64−17066号公報、特開平1−120564号公報、特開平2−008256号公報、特開平2−28265号公報、特開平2−289658号公報、特開平3−128973号公報、特開平3−269064号公報、特開平8−209023号公報、特開2003−313457号公報等に記載されているD型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に記載のII型等のクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−263007号公報、特開平6−279698号公報、特開平10−67946号公報、特開平2002−235014号公報等に記載のV型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平10−88023号公報、特開2000−219817号公報等に記載のG型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。これらフタロシアニンのうち、A型(別称β型)、B型(別称α型)、および粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
これらフタロシアニン化合物、アゾ顔料は単独で使用しても良く、また複数のフタロシアニン化合物の混合物、混晶、複数のアゾ顔料の混合物、またはフタロシアニン化合物とアゾ顔料の混合物として用いてもよい。
本発明では、前記一般式(1)で表される化合物と、該化合物とは異なる公知の電荷輸送物質を併用する。公知の電荷輸送物質は、式(1)で表される化合物が含まれる層と同じ層に用いられても異なる層に用いられてもかまわないが、通常は感光層中に含有される。
感光層中の電荷輸送物質としては、公知のどのようなものでも使用可能であるが、通常、芳香族環を3以上10以下有する化合物であって、好ましくは含窒素化合物である。より具体的には、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体およびこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されてなるものが好ましい。更に具体的には、特開平2−230255号公報、特開昭63−225660号公報、特開昭58−198043号公報、特公昭58−32372号公報、特公平7−21646号公報記載の化合物が好ましく使用される。これらの電荷移動物質は単独でも、いくつかを混合して用いても良い。
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、前記の電荷発生物質や電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成される。バインダー樹脂には、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も使用可能であるが、積層型感光体の電荷発生層では例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル共重合体等の各種バインダー樹脂が用いられる。この場合のバインダー樹脂と電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷発生物質30〜500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.1μmから2μm、好ましくは0.15μmから1μmが好適である。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
感光体の各層は、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、例えば浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、リング塗布方法等の公知の方法を用いて順次塗布、形成される。
電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
以下、浸漬塗布法について説明する。
このようにして得られる電子写真用感光体は高感度で、残留電位が低く帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、マシン内で発生するガスやメンテナンス時の外光による画質低下が少ない、高性能高耐久感光体として用いることができる。又、750〜850nmあるいは580〜700nmの領域の感度が高いことから、特に該領域の半導体レーザーダイオードによる露光手段を持った半導体レーザープリンター用感光体に適している。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。などの公知の方法のいずれでも用いることが可能であり、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
実施例1
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
実施例1において、電荷輸送層中に、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この感光体を感光体1Bとする。実施例2
実施例1において電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに下記構造の芳香族アミン誘導体(B)を使用する以外はすべて実施例1と同様に行い、感光体2Aを作製した。
実施例2において用いた、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例2と同様にして感光体2Bを作製した。
実施例3
実施例1において電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに、下記構造の芳香族アミン誘導体(C)を使用する以外は、すべて実施例1と同様にして感光体3Aを作製した。
実施例3において用いた、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例3と同様にして感光体3Bを作製した。
実施例4
実施例1において、電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに、以下に示す構造を主体とする、特開2002−275135号公報に記載の芳香族アミン誘導体組成物(D)を、バインダー樹脂(A)の代わりにバインダー樹脂(B)を使用し、表1に示したアゾ化合物4の代わりに、表1に示したアゾ化合物1を5重量部用いた以外は実施例1と同様に行い、感光体4Aを作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、9.1重量%の本発明のアゾ化合物を含有する。
実施例4において用いた表1に示したアゾ化合物1を用いない以外は、すべて実施例4と同様にして感光体4Bを作製した。
実施例5
実施例4において用いた、表1に示したアゾ化合物1の代わりに、表1に示したアゾ化合物2を使用した以外は、すべて実施例4と同様にして感光体5Aを作製した。
実施例6
実施例4において用いた表1に示したアゾ化合物1の代わりに、表1に示したアゾ化合物3を用いた以外はすべて実施例4と同様に行い、感光体6Aを作製した。
実施例7
実施例1において電荷輸送物質として用いた、芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに芳香族アミン誘導体(E)を、バインダー樹脂(A)の代わりにバインダー樹脂(B)50重量部とバインダー樹脂(C)50重量部の組成物を使用し、表1に示したアゾ化合物4の使用量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体7Aを作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、9.1重量%の本発明のアゾ化合物を含有する。
実施例7において用いた表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例7と同様にして感光体7Bを作製した。
比較例6
比較例1において電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに、表1に示したアゾ化合物3を電荷輸送物質として50重量部用いた以外は、すべて比較例1と同様にして、感光体8Bを作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる電荷輸送物質の全量が、本発明のアゾ化合物であり、その含有量は100重量%である。
得られた感光体1A〜8Bを電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を、25℃、湿度50%の条件下で感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを露光光として照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm2)を感度と、また、除電光として660nmのLED光を照射した後の残留電位Vrを測定することにより行い、その結果を表2に示した。
得られた感光体1A〜8Bを電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行った。25℃、湿度50%の条件下で感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、任意の露光量で表面電位を測定した。この時、露光から電位測定までの時間を100ミリ秒とし、0.2μJ/cm2照射した後の表面電位をVL1とした。続いてこれらの感光体に白色蛍光灯(三菱オスラム社製ネオルミスーパーFL20SS・W/18)の光を、感光体表面での光強度が2000ルックスになるように調整して10分間照射し、その後暗所で10分間放置した後同様の測定を行った。
オゾン暴露試験の方法を以下に記す。電気特性測定装置としては、川口電気社製EPA8200を使用し、実施例および比較例で製造した感光体1A、1B、4A、および4Bを、コロトロン帯電器に25μAの電流を印可して帯電させてその帯電電位値をV1とした。その後、これらの感光体に150〜200ppm濃度のオゾンを1日3〜5時間、2日間暴露し、積算オゾン曝露量が1120ppm・時となるように感光体をオゾンに暴露した後に同様に帯電電位を測定し、この値をV2とした。表3にオゾン暴露前後の帯電保持率(V2/V1×100)(%)を示した。
外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製管の表面に、実施例1におけると同様にして調製した下引き層用分散液を浸漬塗布し、その乾燥膜厚が6μmとなるように下引き層を設けた。該管を実施例1におけると同様にして調整した電荷発生層用塗布液に浸漬して、乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
電荷輸送層に、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、実施例8と同様にして積層型感光層を有する電子写真感光体ドラムを作成し、実施例8と同様に評価行ったところ、形成した画像に、白色蛍光灯による暴露の影響による黒帯がはっきりと確認でき、光暴露部分の画像濃度上昇が見られ、良好な画像は得られなかった。
Claims (5)
- 式(1)で表されるアゾ化合物および電荷輸送物質を含有する層を有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 少なくとも、導電性支持体上に形成される層の最外層が、式(1)で表されるアゾ化合物を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、および、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。
- 請求項1に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部と、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部と、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えることを特徴とする、画像形成装置。
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