JP4462123B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体 Download PDF

Info

Publication number
JP4462123B2
JP4462123B2 JP2005173207A JP2005173207A JP4462123B2 JP 4462123 B2 JP4462123 B2 JP 4462123B2 JP 2005173207 A JP2005173207 A JP 2005173207A JP 2005173207 A JP2005173207 A JP 2005173207A JP 4462123 B2 JP4462123 B2 JP 4462123B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive member
layer
electrophotographic photosensitive
resin
charging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005173207A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006030976A (ja
Inventor
由香 長尾
護 臨
和孝 井田
政行 廣井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005173207A priority Critical patent/JP4462123B2/ja
Publication of JP2006030976A publication Critical patent/JP2006030976A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4462123B2 publication Critical patent/JP4462123B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、電子写真感光体に関するものである。詳しくは、高速応答性、耐光性および耐ガス性に優れた高性能な電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、従来用いられてきた複写機だけにとどまらず、各種プリンタ、ファクシミリなどに幅広く用いられている。
電子写真技術の中核をなす感光体については、現在一部にアモルファスシリコン、砒素―セレン系などの無機光導電材料が使われているが、主流は有機系感光体である。有機系感光体による電子写真感光体の感光層としては、光導電性物質をバインダー樹脂中に分散させた一層からなる単層型と、電荷発生物質をバインダー樹脂中に分散させた電荷発生層と電荷輸送物質をバインダー樹脂中に分散させた電荷輸送層との二層からなる積層型とがあり、後者積層型は、材料の選択範囲が広いこと、電荷発生物質と電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度の感光体が得られること、又、生産性も高いこと等の利点を生かし、精力的に研究・開発されており、急速に実用化が進んでいる。
感光体に対する要求特性としては、光感度が高いこと、十分な帯電特性を有すること、光照射後の暗減衰が小さいこと、残留電位が小さいこと、応答特性が良いこと、これらの特性の繰り返し使用における安定性が高いこと等の基本的な特性の他に、実用的な観点からも様々な特性が要求されている。それらの特性の中でも耐ガス性、耐光性等が挙げられる。
通常感光体は、複写機やプリンター内部で発生するオゾンやNOx等の酸化性ガスに曝される。これらの酸化性ガスによって感光体はダメージを受け、帯電特性の低下や残留電位の上昇などに加え、画質の低下や感光体の短寿命化をひきおこすことになる。近年のマシンの小型化や環境対策により、マシン中に酸化性ガスがこもる場合が多く、感光体の負担は増大している。マシン内部で発生する酸化性ガスによるダメージを克服するために、これまで酸化防止剤等を添加することが行われてきた(例えば、特許文献1 参照)。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、リン系、ヒンダードアミン系添加剤等が知られている。しかしながら、これらの酸化防止剤を添加することによる電気特性面の低下、特に残留電位の上昇が引き起こされることが知られている。近年、感光層を結着するバインダー樹脂として、感光体に要求される機械的強度、特に耐摩耗性が優れているポリアリレート樹脂が利用されている(例えば、特許文献2 参照)。しかしながら、ポリアリレート樹脂を使用した場合は、前記の酸化防止剤の添加による残留電位上昇等の電気特性上の問題は、従来、感光層を結着するためのバインダー樹脂として用いられていたポリカーボネート樹脂よりさらに大きく、添加量が制限され、十分な効果が得られない。
また、感光体は通常、複写機やレーザプリンタ内部において遮光された状態で使用されるが、マシン組立時や、例えば紙詰まりが起こりマシン内から取り出す際には、感光体は必然的に外部光に曝されることになる。この外部光の光強度は、マシン内での画像形成のための露光強度に比較すると断然強いため、感光体に対しては大きなダメージを与えることになる。これは感光体が光に曝されることにより、感光体内部に大量の電荷トラップが生成し、多くの場合残留電位の大幅な上昇につながるためである。
電荷トラップが生じるメカニズムについてはよく判っていないところであるが、例えば電荷輸送材料自身が露光された光を吸収することにより励起され、その励起状態から緩和する際に、元の基底状態には戻らず、途中のエネルギー状態を持つ別の構造に変化してしまい、それが電荷トラップの要因となる場合や、電荷輸送層中の成分(電荷輸送物質単独の場合あるいは電子吸引性物質を含む場合は電荷輸送物質との間で形成される弱い電荷移動錯体など)が直接励起され電荷キャリアペアを生成し、それらが原因となると考えられている。
外光によるダメージを抑えるためには、例えばマシン組立時には照明をより影響の少ない黄色灯を用いたり、マシン内部を開ける際には感光体への光暴露をできるだけ少なくするため、遮光板を設けるなどして対処されている。一方で、感光体自身も例えば、光暴露時の残留電位の増加を抑制するため、電荷輸送層に電子吸引性物質を添加したり、酸化防止剤を添加するなどの検討がなされているが、これらによっても残留電位上昇の防止効果は十分でなく、またその他の特性に対する副作用が大きくなるなどの問題があった。
また、耐光性の良い電荷輸送材料としてアゾ化合物を利用する技術が開示されているが(例えば、特許文献3 参照)、このアゾ化合物では感度、残留電位、応答速度、繰り返し特性等の面で性能が劣り、近年使用される高速機種には十分対応できない。
特許第2998306号公報 特開平10−288846号公報 特許第2814586号公報
近年開発されている高速画像形成にも用いることのできる高性能な電子写真感光体は、オゾン、NOx等の酸化性ガスによるダメージを受けやすく、外光に対する耐光性が弱いという問題点がある。本発明では、高感度且つ低残留電位で電気特性に優れ高速画像形成に用いることのできる高性能な電子写真感光体であって、しかも、酸化性ガスに曝露された場合でも、強い光に晒された場合でもその性能を維持することができる高耐久性能を有する電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは、この耐酸化性ガス性および耐光性に関し、他の感光体特性に悪影響を及ぼすことなく改善する方法について鋭意検討を行い、感光層中に公知の電荷輸送物質とともに特定のアゾ化合物を併用することで、劇的に耐酸化性ガス性および耐光性が改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、導電性支持体上に、電荷発生物質、電荷輸送物質、およびバインダー樹脂を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
(式(1)中、R1およびR2は炭化水素基を表し、Ar1およびAr4は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar2およびAr3は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。但し、Ar2とAr3は互いに結合して環を形成してもよい。)
本発明による電子写真感光体は、極めて良好な耐光性、および耐オゾン性を示すため、取り扱い易く優れた感光体である。特に、ポリアリレート樹脂を電荷輸送層のバインダーとして使用した系に対しては極めて高い効果を示す。
本発明の電子写真感光体は、光曝露後でも、酸化性ガス曝露後でも帯電電位や感度等の電気特性の変動が少なく、安定性が極めて良好であるため耐久性に優れており、しかも高感度、低残留電位で電気特性に優れるため、高速且つ長寿命が要求される複写機やカラープリンタ等に好適に用いることができる。
そして、本発明による感光体を用いた画像形成装置、およびドラムカートリッジは、特別な遮光のための工夫をする必要がなく、容易に取り扱うことができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質、電荷輸送物質、およびバインダー樹脂を含有する感光層を有するものであって、該支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、本発明に特定のアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有する。
<一般式(1)のアゾ化合物>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有することを特徴とする。
式(1)において、R1およびR2は置換基を有していてもよい炭化水素基を表すが、R1およびR2は互いに同じであっても異なっていてもよく、式(1)の化合物を含有する層に対して良好な溶解性を有し、且つ該化合物の安定性を高めるため、好ましくは全炭素数が1〜10の炭化水素基であって、より好ましくは全炭素数が1〜7の炭化水素基である。
1およびR2の炭化水素基が有していても構わない置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アリル基、アルコキシ基、アリール基があげられ、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、炭素数6以下のアルコキシ基、置換を有していてもよいアリール基等があげられる、これらの中でも置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、特に好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基を用いる。
1およびR2としてより具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、γ−メトキシプロピル基、ベンジル基、p−メチルベンジル基等の、置換基を有していてもよいアルキル基;アリル基、γ−クロルアリル基等の、置換基を有していてもよいアリル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、p−メトキシフェニル基等の、置換基を有していてもよいアリール基等があげられる、これらの中でも置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、特に好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基を用いる。
Ar1およびAr4は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等に代表されるアリーレン基を表し、互いに同じであっても異なっていてもよく、該アリーレン基は置換基を有していてもよい。Ar2およびAr3は、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基等に代表されるアリール基を表し、互いに同じであっても異なっていてもよく、該アリール基は置換基を有していてもよい。
Ar1〜Ar4の有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリル基、アリール基があげられるが、これらの置換基は更に異なる置換基を有していても構わない。式(1)の化合物を含有する層に対して良好な溶解性を有し、且つ該化合物の安定性を高めるため、これらの中でも特に、置換基の全炭素数が1〜8であるものが好ましい。
Ar1〜Ar4の有していてもよい置換基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、γ−メトキシプロピル基、ベンジル基、p−メチルベンジル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数6以下のアルコキシ基;アリル基、γ−クロルアリル基等のアリル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、p−メトキシフェニル基等のアリール基があげられる。これらの中でもアルキル基、またはアリール基が好ましく、特に好ましくはアルキル基を用いる。また、Ar2およびAr3は、互いに結合して環を形成しても構わず、該環は直接結合によりなっても、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の結合原子を介して形成されていても構わない。
本発明の式(1)で表されるアゾ化合物全体の分子量を大きくし過ぎると、該化合物を含有する層中において固体が析出する等の問題を起こすことがあるため、該化合物全体の分子量としては、通常、分子量520以下であって、好ましくは分子量510以下であり、より好ましくは500以下である。
下記表1に、本発明の式(1)で表されるアゾ化合物の具体例を示すが、本発明のアゾ化合物は、本発明の要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
<本発明のアゾ化合物の製造方法>
本発明におけるアゾ化合物は、公知の方法を用いて製造することができる。以下に本発明におけるアゾ化合物の製造方法の具体例をあげる。例えば、アゾベンゼン骨格を有する化合物に、N,N−ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとを作用させてホルミル化し、ついで、ヒドラジン化合物と縮合反応を行うことより目的化合物であるアゾ化合物を得ることができる。
また、アミノ基を有する芳香族アルデヒド化合物のジアゾニウム塩を製造し、該塩ととアミノ基を有する芳香族化合物とをジアゾカップリング反応させ、ついでヒドラジン化合物と縮合反応を行うことよっても目的化合物であるアゾ化合物を得ることができる。
<電子写真感光体>
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体とがあげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明の電子写真感光体で使用される式(1)のアゾ化合物は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されていても構わないが、外部からの光や酸化性ガス等の曝露に対して耐久性能を奏することを勘案すれば、より外側の層が含有することが好ましい。感光層の上に更にオーバーコート層を有する感光体である場合、オーバーコート層中に含有することによっても、下層に特定波長の光や酸化性ガス等の影響が達するのを防ぎ、耐光、耐酸化性ガス暴露性に高い効果が得られると考えれられることから、感光層上に形成されるオーバーコート層が本発明のアゾ化合物を含有していても構わない。さらに、本発明のアゾ化合物は、光暴露時の光の特定波長を吸収しバインダー樹脂と電荷輸送材料との励起状態で相互に作用するのを抑制する効果により、光暴露時の残留電位の上昇を抑制していることが推測されることから、バインダー樹脂と電荷輸送材料を含有する層、すなわち単層型感光体の感光層、または積層型感光体の電荷輸送層のいずれかの層に含有されるのがより好ましい。特に、光暴露時の残留電位の大きな変動の防止に高い効果が得られることから、順積層型感光層の電荷輸送層中に含有されるのが好ましい。
本発明の電子写真感光体で公知の電荷輸送物質とともに併用される式(1)のアゾ化合物の含有量は、本発明の効果を十分に得るために、導電性支持体上に形成される層全体に含まれる後述のバインダー樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.3重量部以上であり、特に好ましくは0.5重量部以上である。また、一定量以上過剰に含有しても該アゾ化合物を含有する層の機械的強度が低下することから、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、特に好ましくは25重量%以下で使用される。
また、本発明の式(1)で表される化合物は弱い電荷輸送能力を有する電荷輸送物質であり、該化合物のみを電荷輸送物質として利用することによっても、光導電性能を有する感光体を形成することが可能であるが、該化合物のみを電荷輸送物質として使用した場合には、本発明に特定の、極めて良好な耐光性、および耐酸化性ガス性を有し、しかも高感度且つ低残留電位で電気特性に優れた高性能の感光体を得ることはできない。本発明の式(1)で表されるアゾ化合物と、公知の電荷輸送物質を併用することにより初めて、極めて良好な耐光性、および耐オゾン性を有し、しかも高感度且つ低残留電位で電気特性に優れた高性能の感光体を得ることができる。したがって本発明の式(1)で表されるアゾ化合物は、本発明の効果を十分に得るため、導電性支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有され、より好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下で用いられる。また、本発明の効果を十分に得るためには
、本発明の式(1)で表されるアゾ化合物が、導電性支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上含有される。
<導電性支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO等の導電性材料をその表面に蒸着または塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、通常の方法でよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することもある。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダ樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダ樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダ樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダ樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<電荷発生物質>
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えばセレン及びその合金、アモルファスシリコンその他無機系光導電性材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、スクワリウム顔料などの有機顔料など各種光導電性材料が使用できるが、特に有機顔料、中でもフタロシアニン顔料、アゾ顔料を使用することが望ましい。フタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類が使用される。 特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、特開昭62−67094号公報、特開平5−098174号公報等に記載のA型(別称β型)チタニルフタロシアニン、特開昭61−217050号公報、特開平1−207755号公報、特開平4−323270号公報、特開平6−287189号公報等に記載のB型(別称α型)チタニルフタロシアニン、特開昭64−17066号公報、特開平1−120564号公報、特開平2−008256号公報、特開平2−28265号公報、特開平2−289658号公報、特開平3−128973号公報、特開平3−269064号公報、特開平8−209023号公報、特開2003−313457号公報等に記載されているD型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に記載のII型等のクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−263007号公報、特開平6−279698号公報、特開平10−67946号公報、特開平2002−235014号公報等に記載のV型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平10−88023号公報、特開2000−219817号公報等に記載のG型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。これらフタロシアニンのうち、A型(別称β型)、B型(別称α型)、および粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良く、いくつかの混合あるいは混晶状態でもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないし結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程におていて混合状態を生じせしめたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号報記載のように、2種類の結晶を混合後に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法があげられる。用いるフタロシアニン組成物としては、特開平1−221461号公報、特開平2−84661号公報、特開平3−9962号公報、特開平4−97159号公報、特開平4−351673号公報、特開平4−372663号公報、特開平5―2278号公報、特開平5−45914号公報、特開平5−186702号公報、特開平6−145550号公報、特開平6−175382号公報、特開平6−234937号公報、特開平6−271786号公報、特開平8−41373号公報、特開平8−110649号公報、特開平8−176458号公報、特開平8−295817号公報、特開平9−295817号公報、特開平10−48859号公報、特開2000−313819号公報、特開2000−336283号公報、特開2001−188370号公報、特開2002−129058号公報、特開2002−196519号公報、特開2002−244320号公報、特開2003−43715号公報、特開2004−4684号公報に記載のフタロシアニン組成物が好ましい。
アゾ顔料として好ましいものの例としては、特開昭63−259572、特開平57−195567、特開平5−32905号公報記載のアゾ顔料等などがあげられる。
これらフタロシアニン化合物、アゾ顔料は単独で使用しても良く、また複数のフタロシアニン化合物の混合物、混晶、複数のアゾ顔料の混合物、またはフタロシアニン化合物とアゾ顔料の混合物として用いてもよい。
<電荷輸送物質>
本発明では、前記一般式(1)で表される化合物と、該化合物とは異なる公知の電荷輸送物質を併用する。公知の電荷輸送物質は、式(1)で表される化合物が含まれる層と同じ層に用いられても異なる層に用いられてもかまわないが、通常は感光層中に含有される。
感光層中の電荷輸送物質としては、公知のどのようなものでも使用可能であるが、通常、芳香族環を3以上10以下有する化合物であって、好ましくは含窒素化合物である。より具体的には、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体およびこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されてなるものが好ましい。更に具体的には、特開平2−230255号公報、特開昭63−225660号公報、特開昭58−198043号公報、特公昭58−32372号公報、特公平7−21646号公報記載の化合物が好ましく使用される。これらの電荷移動物質は単独でも、いくつかを混合して用いても良い。
前記電荷輸送物質の好適な構造的具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限り、いかなる公知の電荷輸送物質を用いても構わない。
<バインダー樹脂>
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、前記の電荷発生物質や電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成される。バインダー樹脂には、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も使用可能であるが、積層型感光体の電荷発生層では例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル共重合体等の各種バインダー樹脂が用いられる。この場合のバインダー樹脂と電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷発生物質30〜500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.1μmから2μm、好ましくは0.15μmから1μmが好適である。
積層型感光体の電荷輸送層、および単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等があげられる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリエステルポリカーボネート樹脂が好ましく、特に好ましくはポリアリレート樹脂またはポリエステルポリカーボネート樹脂を用いる。なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。また、バインダー樹脂は2種類以上をブレンドして用いることもできる。
積層型感光体の電荷輸送層、および単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20重量部以上であって、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下、さらに電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120重量部以下、さらに耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
単層型感光体の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、さらに前記の電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下の弊害があり、例えば、好ましくは0.1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で使用され、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50μmの範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の観点からは、好ましくは10〜45μm、高解像度の観点からは10〜30μmがより好ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることが出来る。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等のを電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることも出来る。上記保護層は電気抵抗が109〜1014Ω・cmとなるように構成することが好ましく。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまい、一方109Ω・cmより低くなると画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
<層形成方法>
感光体の各層は、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、例えば浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、リング塗布方法等の公知の方法を用いて順次塗布、形成される。
電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。
塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアリールアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
以下、浸漬塗布法について説明する。
有機導電性化合物、バインダー、溶剤等を用いて好適な全固形分濃度が1%以上であってより好ましくは40%以下の、かつ粘度が通常1センチポアーズ〜700センチポアーズ以下、好ましくは1センチポアーズ〜500センチポアーズ以下の感光層塗布液を調整する。ここで、実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類およびその分子量により決まるが、あまり分子量が低い場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するためこれを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法により感光層が形成される。
その後塗膜を乾燥させ、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度時間を調整すると良い。乾燥温度は通常100〜250℃好ましくは、110〜170℃さらに好ましくは、115〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
このようにして得られる電子写真用感光体は高感度で、残留電位が低く帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、マシン内で発生するガスやメンテナンス時の外光による画質低下が少ない、高性能高耐久感光体として用いることができる。又、750〜850nmあるいは580〜700nmの領域の感度が高いことから、特に該領域の半導体レーザーダイオードによる露光手段を持った半導体レーザープリンター用感光体に適している。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電ローラーに樹脂シートの等を巻き付け感光体と帯電ローラーを帯電性の安定する距離で非接触に保った状態で帯電を行うNCローラ帯電方式をとることも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。デジタル式電子写真方式としては、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。現像方式は、接触方式、非接触方式のいずれの方式で行ってもよい。用いるトナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状、ラグビーボール状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。などの公知の方法のいずれでも用いることが可能であり、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明は、ここに示した実施例に限定されるものではない。
実施例1
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
電荷発生物質として、図2に示すCuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルパターンを有するチタニウムオキシフタロシアニン20重量部と、1,2−ジメトキシエタン280重量部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行った。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)の2.5% 1,2−ジメトキシエタン溶液400重量部と、170重量部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液を調製した。この分散液を前記下引き層上にバーコーターを用いて塗布して、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
次にこのフィルム上に、電荷輸送物質として、下記に示す構造を主体とする、特開2002−080432号公報に記載の芳香族アミン誘導体組成物(A) 50重量部、および下記構造のバインダー樹脂(A) 100重量部と、表1に示したアゾ化合物4を2重量部およびレベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒640重量部に溶解させた液を塗布し、125℃で20分間乾燥し、乾燥後の膜厚が25μmとなるように電荷輸送層を設け、電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、3.8重量%の本発明のアゾ化合物を含有する。この感光体を感光体1Aとする。
比較例1
実施例1において、電荷輸送層中に、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この感光体を感光体1Bとする。実施例2
実施例1において電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに下記構造の芳香族アミン誘導体(B)を使用する以外はすべて実施例1と同様に行い、感光体2Aを作製した。
比較例2
実施例2において用いた、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例2と同様にして感光体2Bを作製した。
実施例3
実施例1において電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに、下記構造の芳香族アミン誘導体(C)を使用する以外は、すべて実施例1と同様にして感光体3Aを作製した。
比較例3
実施例3において用いた、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例3と同様にして感光体3Bを作製した。
実施例4
実施例1において、電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに、以下に示す構造を主体とする、特開2002−275135号公報に記載の芳香族アミン誘導体組成物(D)を、バインダー樹脂(A)の代わりにバインダー樹脂(B)を使用し、表1に示したアゾ化合物4の代わりに、表1に示したアゾ化合物1を5重量部用いた以外は実施例1と同様に行い、感光体4Aを作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、9.1重量%の本発明のアゾ化合物を含有する。
比較例4
実施例4において用いた表1に示したアゾ化合物1を用いない以外は、すべて実施例4と同様にして感光体4Bを作製した。
実施例5
実施例4において用いた、表1に示したアゾ化合物1の代わりに、表1に示したアゾ化合物2を使用した以外は、すべて実施例4と同様にして感光体5Aを作製した。
実施例6
実施例4において用いた表1に示したアゾ化合物1の代わりに、表1に示したアゾ化合物3を用いた以外はすべて実施例4と同様に行い、感光体6Aを作製した。
実施例7
実施例1において電荷輸送物質として用いた、芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに芳香族アミン誘導体(E)を、バインダー樹脂(A)の代わりにバインダー樹脂(B)50重量部とバインダー樹脂(C)50重量部の組成物を使用し、表1に示したアゾ化合物4の使用量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体7Aを作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、9.1重量%の本発明のアゾ化合物を含有する。
比較例5
実施例7において用いた表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、すべて実施例7と同様にして感光体7Bを作製した。
比較例6
比較例1において電荷輸送物質として用いた芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに、表1に示したアゾ化合物3を電荷輸送物質として50重量部用いた以外は、すべて比較例1と同様にして、感光体8Bを作製した。この電子写真感光体は、支持体上に形成される層に含まれる電荷輸送物質の全量が、本発明のアゾ化合物であり、その含有量は100重量%である。
<感光体の電気特性評価>
得られた感光体1A〜8Bを電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を、25℃、湿度50%の条件下で感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを露光光として照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm2)を感度と、また、除電光として660nmのLED光を照射した後の残留電位Vrを測定することにより行い、その結果を表2に示した。
<耐光特性の評価>
得られた感光体1A〜8Bを電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行った。25℃、湿度50%の条件下で感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、任意の露光量で表面電位を測定した。この時、露光から電位測定までの時間を100ミリ秒とし、0.2μJ/cm2照射した後の表面電位をVL1とした。続いてこれらの感光体に白色蛍光灯(三菱オスラム社製ネオルミスーパーFL20SS・W/18)の光を、感光体表面での光強度が2000ルックスになるように調整して10分間照射し、その後暗所で10分間放置した後同様の測定を行った。
表2に初期表面電位V0およびVL1の、白色蛍光灯照射前後の電位変化分ΔV0、ΔVL1を示した。なお、下記表2中、負の数値は光照射後の各電位の絶対値が光照射前の電位の絶対値に対して小さくなったことを、また正の数値は逆に大きくなったことを表す。 変化分の絶対値小さいほど、強度の強い光を照射しても各電位が変化しないことを示し、光曝露に対して耐久性にすぐれた感光体である。
本発明の一般式(1)で表されるアゾ化合物を、全電荷輸送物質に対して50重量%以下含有する電子写真感光体は、該化合物を含有しない感光体とほぼ同等の電気特性を示したが、式(1)で表されるアゾ化合物を、50重量%より多く含有する電子写真感光体は(比較例8の感光体8B)、感度が低く、残留電位が高いため電子写真感光体としての電気特性に劣る。
<耐オゾン特性の評価>
オゾン暴露試験の方法を以下に記す。電気特性測定装置としては、川口電気社製EPA8200を使用し、実施例および比較例で製造した感光体1A、1B、4A、および4Bを、コロトロン帯電器に25μAの電流を印可して帯電させてその帯電電位値をV1とした。その後、これらの感光体に150〜200ppm濃度のオゾンを1日3〜5時間、2日間暴露し、積算オゾン曝露量が1120ppm・時となるように感光体をオゾンに暴露した後に同様に帯電電位を測定し、この値をV2とした。表3にオゾン暴露前後の帯電保持率(V2/V1×100)(%)を示した。
実施例8
外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製管の表面に、実施例1におけると同様にして調製した下引き層用分散液を浸漬塗布し、その乾燥膜厚が6μmとなるように下引き層を設けた。該管を実施例1におけると同様にして調整した電荷発生層用塗布液に浸漬して、乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
次に実施例1において電荷輸送物質として用いた、芳香族アミン誘導体組成物(A)の代わりに芳香族アミン誘導体(F)を、バインダー樹脂(A)の代わりにバインダー樹脂(A)50重量部とバインダー樹脂(D)50重量部の組成物を用い、更に下記ヒンダードフェノール化合物8重量部と、シリコーンオイル(信越シリコーン KF96)0.05重量部を含有する電荷輸送層用塗布液を、実施例1と同様にして調製した。該塗布液中に、前記の電荷発生層を形成したアルミニウム製管を浸漬して、乾燥後の膜厚が26μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を有する電子写真感光体ドラムを作成した。
得られた電子写真感光体ドラム上に、白色蛍光灯の光で暴露される部分と暴露されない部分をつくるために、縦20mm、横40mmの穴をあけた黒紙で感光体の全面を覆い、その上から、白色蛍光灯(三菱オスラム社製「ネオルミスーパーFL20SS・W/18」)の光を、感光体表面での光強度が1000ルックスとなるように調整して、黒紙に穴を開けた部分を中心に10分間照射した後、黒紙をとりはずし、そのドラムをカラーレーザープリンター(エプソン社製「LP2000C」)のドラムカートリッジに搭載し、モノクロ高精細画像用評価パターンの、黒色ハーフトーンべた画像をプリントした。得られた画像を目視により評価したところ、白色蛍光灯による暴露の影響による画像濃度の変化などの画像欠陥は認められず、ノイズの少ない良好な画像が得られた。
比較例7
電荷輸送層に、表1に示したアゾ化合物4を用いない以外は、実施例8と同様にして積層型感光層を有する電子写真感光体ドラムを作成し、実施例8と同様に評価行ったところ、形成した画像に、白色蛍光灯による暴露の影響による黒帯がはっきりと確認でき、光暴露部分の画像濃度上昇が見られ、良好な画像は得られなかった。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 本発明の実施例1で用いたフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に、電荷発生物質、電荷輸送物質、およびバインダー樹脂を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該支持体上に形成される少なくともいずれかの層が、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を、該支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、50重量%以下含有することを特徴とする電子写真感光体。
    (式(1)中、R1およびR2は炭化水素基を表し、Ar1およびAr4は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar2およびAr3は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。但し、Ar2とAr3は互いに結合して環を形成してもよい。)
  2. 一般式(1)で表されるアゾ化合物を、前記支持体上に形成される層に含まれる全電荷輸送物質に対して、0.1重量%以上50重量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 式(1)で表されるアゾ化合物および電荷輸送物質を含有する層を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 少なくとも、導電性支持体上に形成される層の最外層が、式(1)で表されるアゾ化合物を含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、および、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。
  6. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部と、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部と、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えることを特徴とする、画像形成装置。
JP2005173207A 2004-06-14 2005-06-14 電子写真感光体 Active JP4462123B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005173207A JP4462123B2 (ja) 2004-06-14 2005-06-14 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004176109 2004-06-14
JP2005173207A JP4462123B2 (ja) 2004-06-14 2005-06-14 電子写真感光体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006030976A JP2006030976A (ja) 2006-02-02
JP4462123B2 true JP4462123B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=35897333

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005173207A Active JP4462123B2 (ja) 2004-06-14 2005-06-14 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4462123B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014148579A1 (ja) 2013-03-22 2014-09-25 三菱化学株式会社 電子写真感光体及び画像形成装置
JP7338402B2 (ja) * 2019-10-30 2023-09-05 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006030976A (ja) 2006-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007320925A (ja) トリアリールアミン系化合物並びにそれを用いた電子写真感光体及び画像形成装置
JP2009169023A (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP5353078B2 (ja) エナミン骨格を有する化合物を用いた電子写真感光体及び画像形成装置
JP4640154B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ
JP4887716B2 (ja) オキシチタニウムフタロシアニン組成物、電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置
JP4462123B2 (ja) 電子写真感光体
JP4779850B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP5659455B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置
JP4462122B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、画像形成装置および画像形成方法
JP4513686B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法
JP4661617B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法および画像形成装置
JP4983066B2 (ja) アミン化合物、電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP5655490B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および電子写真カートリッジ
JP2006257071A (ja) トリアリールアミン骨格を有するビスヒドラゾン化合物、並びにそれを用いた電子写真感光体及び画像形成装置
JP5553125B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP5239130B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びアミン化合物
JP5803744B2 (ja) 電荷輸送物質、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および画像形成装置
JP2012198520A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP4720527B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP5509732B2 (ja) 新規スチルベン系化合物を含有する電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置、及び新規スチルベン系化合物
JP2006285119A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
WO2012121176A1 (ja) 電荷輸送物質、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および画像形成装置
JP6387649B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP6354255B2 (ja) 電子写真感光体、及び画像形成装置
JP6102639B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071226

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091027

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4462123

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350