JP4513686B2 - 電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法 Download PDF

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本発明は、電子写真カートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。
電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。
有機系の光導電材料を使用した感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。また、積層型感光体では電荷発生層及び電荷輸送層を導電性基体上にこの順で積層した順積層型感光体と、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した逆積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから感光体の主流として鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用される。感光体は繰り返し使用されるため、様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては例えば、帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。また、感光体を帯電させるために感光体に接触している帯電ローラーや帯電ブラシ、余分なトナーを除去するためのクリーニングブレード、画像を転写するための転写ローラーなどによる機械的劣化が挙げられる。
そして、繰り返し使用による劣化によって、画像上には、カブリ、メモリー、白スジ、黒スジ、白抜け、黒抜け、白ぽち、黒ぽち等の画像欠陥が発生し、感光体の寿命を縮めることがある。カブリの原因は、基体、感光層それぞれの劣化が挙げられる。
電気的、化学的または機械的負荷を受けるのは通常最外層である。保護層などを有する場合を除けば、分散型感光層では感光層そのものが、順積層型感光体の場合には電荷輸送層が最外層となる。分散型感光層の感光層、および順積層型感光体の電荷輸送層は、通常バインダー樹脂と光導電性物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っておらず、より耐久性の高い有機感光体が望まれている。さらに、装置の小型化や省電力化を図るため、感光体表面の滑り性をより良くしてブレードなどの周辺部材との摩擦抵抗を小さくし、感光体の所要回転トルクを小さくすることや、摩耗および異音の発生を防止することが望まれている。そして、感光層を形成するためのバインダー樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられているが、これらの数あるバインダー樹脂のなかでは。ポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(例えば、特許文献1 参照)。
しかしながら、近年開発されている高速画像形成にも用いることのできる高性能な電子写真感光体は、帯電器、クリーニングブレード、転写ローラーの接触等の、機械的負荷によるダメージを受けやすいという問題点があり、より高耐久性の電子写真感光体が強く望まれていた。
特開平63−148263号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性に優れ、画像欠陥が少なく、繰り返し使用においても良好な画像を形成することができ、しかも、高感度、低暗減衰、低残留電位などの優れた電気特性を有し、高速画像形成に用いることのできる高性能な電子写真感光体、該感光体を用いたカートリッジ、該感光体を用いた画像形成装置、および画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは、他の電子写真特性にほとんど影響がなく、しかも機械的負荷に対して強い耐久性を有する電子写真感光体について鋭意検討を行なった結果、特定構造を有するポリカーボネート樹脂と特定構造のヒドラゾン化合物を電子写真感光体に用いることにより、感光体の諸特性に影響を与えることなく、感光体の機械的耐久性を向上し、特に感光体に接触するクリーニングブレードや転写ローラーなどの部材が含有する、オイルや可塑剤等に対する耐久性を向上することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、実質上下記式()で表される繰り返し単位のみからなるポリカーボネート樹脂と、下記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光体に存する。
Figure 0004513686
(式中、Ar1〜Ar4は置換基を有していてもよいアリール基、Ar5は置換基を有して
いてもよいアリーレン基を表す。)
本発明によれば、使用開始時はもちろんのこと、繰り返し使用して機械的負荷を受けたり、局所的に長期間に亘ってクリーニングブレードや転写ローラーなどに接触した場合でも、クラックなどの物理的損傷を受けることなく、画像のカブリやメモリー等の画像欠陥が発生することなく、繰り返し使用しても画像の変化が小さく、耐久性に優れ、感光層形成用塗布液の塗布性能が良好で、しかも電気特性に優れた電子写真感光体、および画像形成装置を得ることができる。本発明による感光体は安定性が極めて良好であり、耐久性に優れているため、高速の複写機やカラープリンタ等に好適に用いることができる。
そして、本発明による感光体を用いた画像形成装置、およびドラムカートリッジは、特別な遮光のための工夫をする必要がなく、容易に取り扱うことができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明において、感光層は、下記式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、または(3)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として含有する。式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂は、特開昭63−148263号公報に記載の製造方法にて合成することができるが、この製造方法に限定されるものではない。式(3)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂も同様の手法で合成することができるが、製造方法の如何は問わない。
Figure 0004513686
式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、および式(3)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、低すぎると機械的強度が不足するため、通常10,000以上、好ましくは20,000以上であり、特には30,000以上である。また、粘度平均分子量が高すぎると、感光層形成のための塗布液の粘度が高くなり生産性が低下する場合があるため、通常150,000以下、好ましくは100,000以下であり、特には50,000以下で用いられる。
本発明の感光層は、式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、または式(3)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有するものであるが、式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、および式(3)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂は、実質上式(1)または式(3)で表される繰り返し単位からなるものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、他の繰り返し構造を有していても構わない。
また、本発明の感光層は本発明に係る式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、または式(3)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有するものであるが、他のバインダー樹脂を含有していても構わない。併用される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、または式(3)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有する層が、該樹脂以外のバインダー樹脂を含有する場合、本発明の電子写真感光体の機械的特性を維持するため、該層に含有される全バインダー樹脂に対して、式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、または式(3)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂が、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上であるが、特に好ましくはバインダー樹脂として式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、または式(3)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂のみを用い、該樹脂以外のバインダー樹脂を含有しない。
バインダー樹脂と光導電性物質の割合は、バインダー樹脂の割合が大きくなりすぎると電気特性が悪くなり、光導電性物質物質の割合が大きくなりすぎると感光層の機械的強度が低下してしまうため、バインダー樹脂100重量部に対して光導電性物質は、通常30重量部以上、好ましくは40重量部以上であり、通常250重量部以下、好ましくは200重量部以下の範囲で使用される。特に光導電性物質の中でも主要な成分である電荷輸送物質は、通常バインダー樹脂と相溶性があり、感光層の機械的特性への影響度が高いため、バインダー樹脂100重量部に対して200重量部以下であることが好ましく、特には150重量部以下である。
感光層には成膜性、可撓性、層の機械的強度、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の可塑剤、分散補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤などの添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
<ヒドラゾン化合物>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有するものであって、該感光層は、下記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物を含有する。
Figure 0004513686
上記一般式(2)中、Ar1〜Ar4は置換基を有していてもよいアリール基、Ar5
置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Ar1〜Ar4は置換基を有していてもよいアリール基であるが、これらは互いに同一でも異なっていても構わない。該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アンスリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等があげられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基等の2個以下の芳香環を有するアリール基である。
該アリール基の有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ベンジル基等の置換基を有するアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ターシャリーブトキシ基等のアルコキシ基等があげられ、これらの置換基が更に前記置換基を有していても構わない。なかでも、製造の容易さや原料の汎用性を考慮すると、アリール基としては、フェニル基が好ましく、電子写真感光体の電気特性を考慮すると、有していてもよい置換基としては、アルキル基またはアルコキシ基が好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であって、特に好ましくはメチル基である。該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、更に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であって、特に好ましくはメトキシ基である。
Ar5は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。アリーレン基としてはフェ
ニレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、アントラセニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等があげられ、好ましくは2個以下の芳香環を有するアリーレン基である。該アリーレン基の有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ベンジル基等の置換基を有していてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ターシャリーブトキシ基等のアルコキシ基等があげられ、これらの置換基が更に前記置換基を有していても構わない。
製造の容易さ、原料の汎用性を考慮すると、アリーレン基としては芳香環が3個以下のものが好ましく、より好ましくはフェニレン基またはナフチレン基が用いられ、特に好ましくはフェニレン基である。有する置換基としては、同様に製造の容易さ、原料の汎用性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
また、本発明のヒドラゾン化合物は、トリアリールアミン類縁構造の部分に、ジアリールヒドラゾン類縁基が結合した形態を有しているが、結合位置としては、電気特性等を勘案すれば、トリアリールアミン類縁構造の部分と、ジアリールヒドラゾン類縁基の、距離がより遠くなるような位置であることが好ましく、より具体的には、例えば、Ar5で表
される置換基を有していてもよいアリーレン基がフェニレン基である場合には、Ar5
結合する窒素原子は、ジアリールヒドラゾン基に対して4位の位置に結合することが好ましく、Ar5で表される置換基を有していてもよいアリーレン基がナフチレン基である場合には、Ar5に結合する窒素原子は、ジアリールヒドラゾン基がナフタレン環の1位に
結合する場合に、4位の位置に結合することが好ましい。
以下に、本発明のヒドラゾン化合物の構造の具体例を例示するが、これらの例示は本発明のヒドラゾン化合物の代表例を例示するものであって、本発明のヒドラゾン化合物は、本発明の趣旨に反しない限り以下の構造に限定されるものではない。
Figure 0004513686
<電子写真感光体>
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体があげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明の電子写真感光体で使用される、式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、もしくは式(3)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂、および一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されていても構わないが、通常、単層型感光層または積層型感光層の電荷輸送層に含有される。特に、電気特性に高い効果が得られることから、積層型感光層の電荷輸送層中に含有されるのが好ましい。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも電気特性および下引き層形成要の塗布液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダ樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダ樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダ樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダ樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<電荷発生物質>
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えばセレンおよびその合金、アモルファスシリコンその他無機系光導電性材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、スクワリウム顔料などの有機顔料など各種光導電性材料が使用できるが、特に有機顔料、中でもフタロシアニン顔料、アゾ顔料を使用することが望ましい。フタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類が使用される。
特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、特開昭62−67094号公報、特開平5−098174号公報等に記載のA型(別称β型)チタニルフタロシアニン、特開昭61−217050号公報、特開平1−207755号公報、特開平4−323270号公報、特開平6−287189号公報等に記載のB型(別称α型)チタニルフタロシアニン、特開昭64−17066号公報、特開平1−120564号公報、特開平2−008256号公報、特開平2−28265号公報、特開平2−289658号公報、特開平3−128973号公報、特開平3−269064号公報、特開平8−209023号公報、特開2003−313457号公報等に記載されているD型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に記載のII型等のクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−263007号公報、特開平6−279698号公報、特開平10−67946号公報、特開平2002−235014号公報等に記載のV型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平10−88023号公報、特開2000−219817号公報等に記載のG型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
これらフタロシアニンのうち、A型(別称β型)、B型(別称α型)、および粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものみを用いてもよく、いくつかの混合あるいは混晶状態でもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないし結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程におていて混合状態を生じせしめたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号報記載のように、2種類の結晶を混合後に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法があげられる。用いるフタロシアニン組成物としては、特開平1−221461号公報、特開平2−84661号公報、特開平3−9962号公報、特開平4−97159号公報、特開平4−351673号公報、特開平4−372663号公報、特開平5―2278号公報、特開平5−45914号公報、特開平5−186702号公報、特開平6−145550号公報、特開平6−175382号公報、特開平6−234937号公報、特開平6−271786号公報、特開平8−41373号公報、特開平8−110649号公報、特開平8−176458号公報、特開平8−295817号公報、特開平9−295817号公報、特開平10−48859号公報、特開2000−313819号公報、特開2000−336283号公報、特開2001−188370号公報、特開2002−129058号公報、特開2002−196519号公報、特開2002−244320号公報、特開2003−43715号公報、特開2004−4684号公報に記載のフタロシアニン組成物が好ましい。
アゾ顔料として好ましい例としては、特開昭63−259572、特開平5−32905号公報記載のアゾ顔料などがあげられる。
これらフタロシアニン化合物、アゾ顔料は単独で使用しても良く、また複数のフタロシアニン化合物の混合物、混晶、複数のアゾ顔料の混合物、またはフタロシアニン化合物とアゾ顔料の混合物として用いてもよい。
<電荷輸送物質>
本発明に係る前記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物は、電荷輸送能を有するため、電荷輸送物質として使用することが可能であって、該ヒドラゾン化合物のみを電荷輸送物質として使用しても構わないが、他の電荷輸送物質を併用しても構わない。併用する電荷輸送物質は、1種類であっても2種以上を併用して用いても構わない。併用する電荷輸送物質の、全電荷輸送物質に対する割合に特に制限はないが、本発明の効果を十分に得るためには、本発明に係る前記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物の割合が、全電荷輸送物質に対して30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上であって、特に好ましくは本発明のヒドラゾン化合物のみを用いる。
併用する電荷輸送物質としては、公知の物質であればとくに限定されるものではなく、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖、もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等があげられる。これらの中で、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0004513686
Figure 0004513686
Figure 0004513686
<バインダー樹脂>
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、前記の電荷発生物質や電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成され、本発明のポリカーボネートはバインダー樹脂として用いられる。複数の層が積層された感光層の場合、本発明のポリカーボネート樹脂はその何れの層に用いられても構わないが、通常、積層型感光層の電荷輸送層、または単層型感光体の感光層に用いられる。バインダー樹脂は、本発明のポリカーボネートの他に、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も併用可能である。また、最外層でない層においては、本発明のポリカーボネート樹脂を含まなくても構わない。
積層型感光体の電荷発生層では例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル共重合体等の各種バインダー樹脂が用いられる。この場合のバインダー樹脂と電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷発生物質30〜500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.1μmから2μm、好ましくは0.15μmから1μmが好適である。
積層型感光体の電荷輸送層、および単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等があげられる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリエステルポリカーボネート樹脂が好ましく、特に好ましくはポリアリレート樹脂またはポリエステルポリカーボネート樹脂を用いる。なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。また、バインダー樹脂は2種類以上をブレンドして用いることもできる。
積層型感光体の電荷輸送層、および単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20重量部以上であって、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下、さらに電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120重量部以下、さらに耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
単層型感光体の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、さらに前記の電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下の弊害があり、例えば、好ましくは0.1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で使用され、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50μmの範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の観点からは、好ましくは10〜45μm、高解像度の観点からは10〜30μmがより好ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることが出来る。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等のを電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることも出来る。上記保護層は電気抵抗が109〜1014Ω・cmとなる
ように構成することが好ましく。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまい、一方109Ω・cmより低くなると画像のボケ、
解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
<層形成方法>
感光体を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
層形成用の塗布液は、単層型感光体および積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を、通常5〜40重量%の範囲で用いられるが、10〜35重量%の範囲で使用するのが好ましい。また、該塗布液の粘度は、通常10〜500mPa・sの範囲で用いられるが、50〜400mPa・sの範囲とするのが好ましい。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、通常0.1〜15重量%の範囲で使用されるが、1〜10重量%の範囲で使用することがより好ましい。塗布液の粘度は、通常0.01〜20mPa・sの範囲で使用されるが、0.1〜10mPa・sの範囲で使用されることがより好ましい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等があげられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時間の間、無風、または送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行ってもよい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)がよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電ローラーに樹脂シートの等を巻き付け感光体と帯電ローラーを帯電性の安定する距離で非接触に保った状態で帯電を行うNCローラ帯電方式をとることも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。本発明の感光体は、物理的損傷に対する耐久性に優れるため、特に帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させるような帯電装置を適用する場合に効果がある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。デジタル式電子写真方式としては、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。現像方式は、接触方式、非接触方式のいずれの方式で行ってもよい。用いるトナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状、ラグビーボール状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。本発明の感光体は、物理的損傷に対する耐久性に優れるため、特にクリーニング装置を用いる場合に適している。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。などの公知の方法のいずれでも用いることが可能であり、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、実施例によって本発明を説明する。実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明の要旨に反しない限り、実施例に限定されるものではない。なお、以下において、特に指定しない限り「部」とあるのは「重量部」を意味する。
<実施例1>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 0004513686
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、上記の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。
また、電荷発生物質として、図2に示されるCuKα線による粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部に、4−メチル−4−メトキシ−ペンタノン−2を150重量部加え、サンドグラインドミルで1時間粉砕し、微粒化処理を行なった後、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デンカブチラール #6000C」)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製「PKHH」)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部を加えて、電荷発生層用塗布形成用塗布液を調整した。この塗布液を、前記導電性支持体上の下引き層上にバーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質として、以下に示す構造を有するヒドラゾン化合物Aを50部、バインダー樹脂として本発明の式(1)に示す繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30,000)を100重量部、レベリング剤としてシリコーンオイルを0.05重量部、およびテトラヒドロフラン/トルエンの混合溶媒(重量比8/2)を640重量部混合して得られた電荷輸送層塗布形成用塗布液を、前記電荷発生層上にフィルムアプリケーターにより、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を有する電子写真感光体Aを作製した。
Figure 0004513686
実施例2
電荷輸送物質として、以下に示す構造を有するヒドラゾン化合物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体Bを作製した。
Figure 0004513686
実施例3
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂の代わりに、本発明の式(3)に示す繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30,000)を100重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体Cを作製した。
比較例1
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂の代わりに、下記構造のポリカーボネート樹脂(A)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体Dを作製した。
Figure 0004513686
比較例2
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂の代わりに、下記構造のポリカーボネート樹脂(B)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体Eを作製した。
Figure 0004513686
比較例3
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂の代わりに、下記構造のポリアリレート樹脂(C)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体Fを作製した。
Figure 0004513686
比較例4
電荷輸送物質として、以下に示す構造を有するヒドラゾン化合物Cを80部用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体Gを作製した。
Figure 0004513686
比較例5
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂の代わりに、前出のポリカーボネート樹脂(A)を用い、電荷輸送物質として、ヒドラゾン化合物Cを80部用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体Hを作製した。
(電気特性の評価)
実施例1〜3、比較例1〜5において作製した電子写真感光体A〜Hを、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度(E1/2)として測定した(μJ/cm2)。また、該露光光を1.2μJ/cm2の強度で照射したときの100ミリ秒後の露光後表面電位(VL)を測定した。更に、初期表面電位を−700Vにした後、暗所で5秒間放置した後の表面電位を測定し、その差を暗減衰(DD)とした。結果を表1に示す。
(表面耐久性)
実施例1〜3、比較例1〜5において作製した電子写真感光体A〜Hを、市販のレーザープリンター(沖データ(株)社製 ML9300)に搭載される転写ローラーを接触させた状態で、気温35℃、相対湿度80%の環境下で、10ヶ月保持し、1ヶ月後、3ヶ月後、および10ヶ月後の感光体表面を目視にて検査し、クラックの有無を評価した結果を表1に示す。
Figure 0004513686
表1の結果から、実施例1乃至3の電子写真感光体A〜Cは、良好な電気特性を有しており、しかも、帯電ロールなどの画像形成装置内部の感光体に接触する部材が長期間接触していたとしても、感光体表面にクラックなどの欠陥が生じにくいことが分かった。一方、バインダー樹脂を他のポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に変えた比較例1乃至3の感光体D〜F、あるいは、電荷輸送物質を他のヒドラゾン化合物に変えた比較例4の感光体Gは、いずれも部材接触が長期に亘った結果、表面にクラックを生じており、本発明の組み合わせの場合のみ、良好な表面状態を保てることがわかる。
また、比較例4の感光体Gと比較例5の感光体Hを比べると、本発明に含有される樹脂(1)は、電荷輸送物質がヒドラゾン化合物Cである場合、比較例の樹脂(A)に比べて非常にVLが高く、良好な電気特性を発現しない。一方、電荷輸送物質が、本発明に含有される一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物Aである場合は、本発明の樹脂(1)の方が良好な電気特性を発現でき、感光体表面の耐クラック性を改良しつつ、本来の電子写真特性を損なっていないことがわかる。
実施例4
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ351mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーを、実施例1で用いた電荷発生層塗布形成用分散液に浸漬塗布して、その乾燥後の膜厚が約0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。電荷発生層塗布形成用分散液は、均一性が高く、ムラなどのない良好な電荷発生層を形成することができた。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、実施例1におけるのと同様にして調製した電荷輸送層塗布形成用塗布液に浸漬して、乾燥後の膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送層塗布形成用塗布液は、粘度の安定性が高く、ムラ、ヨリ、膜厚振れなどのない良好な電荷輸送層を形成することができた。このようにして得られた感光体を感光体ドラム1とする。
比較例6
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂の代わりに、ポリカーボネート樹脂(A)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する感光体ドラム2を作製した。
Figure 0004513686
感光体ドラム1、および感光体ドラム2に、市販のレーザープリンター(沖データ(株)社製 ML9300)に搭載される転写ローラーを接触させた状態で、気温35℃、相対湿度80%の環境下で、10ヶ月保持した後、それぞれの感光体ドラムを前記レーザープリンターのカートリッジに組み込み、該カートリッジを前記レーザープリンターに装着して、気温25℃、相対湿度50%の環境下において画像形成を行なったところ、感光体ドラム1では良好な画像が得られたが、感光体ドラム2では画像欠陥が観察された。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 本発明の実施例1で用いたフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、実質上下記式(3)で表される繰り返し単位のみからなるポリカーボネート樹脂と、記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 0004513686
    (式中、Ar 1 〜Ar 4 は置換基を有していてもよいアリール基、Ar 5 は置換基を有して
    いてもよいアリーレン基を表す。)
  2. 感光体に接触配置される部材を有する画像形成装置に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、電子写真用カートリッジ。
  4. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、画像形成装置。
  5. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体、または請求項に記載の電子写真用カートリッジを用いることを特徴とする、画像形成方法。
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