JP2007004139A - 電子写真感光体及び該電子写真感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体及び該電子写真感光体を用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】接触帯電装置を用いて帯電させても、繰り返し使用において感光層の物理的劣化が少なく、また塗布性能や電気特性に優れた電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】電子写真感光体表面に接触する接触帯電部材により帯電される電子写真感光体であって、該感光体の最表面層が、式(1)で表される繰り返し単位を、最表面層が含有するバインダー樹脂全体に対して30質量%以上含むことを特徴とする電子写真感光体。
Figure 2007004139

[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、m及びnは互いに同一でも異なっていてもよい1〜4の整数を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機やプリンター等に用いられる電子写真感光体に関するものであり、更に詳細には、接触帯電による繰り返し使用によっても、耐久性に優れた感光層を有する電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られること等から、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。
そこで使用される電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として用いられる接触帯電部材の接触が感光層に与える物理的劣化、コロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的劣化、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光による化学的、電気的劣化がある。
従来、電子写真感光体への帯電は、非接触のコロナ放電装置を使うのが一般的でこれまで広く使われてきていた。しかし、コロナ放電装置には以下の問題点があった。
(1)放電を生じさせるために高圧電源が必要で、およそ4KV以上が要求される。従って電源コストが高くなり、配線等にも高圧ケーブルが必要、かつ電気的な高圧絶縁材も使用しなければならないので、更にコストを押し上げる要因になっていた。
(2)気中放電であるため、オゾンやNOxの発生が避けられないが、近年、環境問題のため人体に好ましくないオゾンやNOxの発生は極力避けることが要求されるようになった。
(3)帯電が不均一になりがちであった。すなわち放電現象を生じさせるために、一般的にはワイアとその回りにシールドケースを配置し、これらの間に高電圧を印加することになるが、長時間使用すると放電による生成物がワイア及びケースに沈着し放電が不安定になる場合があった。従って、電子写真感光体の帯電が不均一になり、画像上にムラが生じ、特に負コロナ放電時にはこの生成物がワイアの汚れとなり著しく放電を不安定にする場合があった。従って定期的なワイア清掃が不可欠になり、メンテナンスに手間がかかる場合があった。
これらの非接触のコロナ放電装置の欠点を改良するために、接触帯電装置が近年多くのマシンに使われるようになってきている。接触帯電装置を用いた場合、高圧電源が不要であること、小型化、低コスト化が可能であること、オゾンの発生量が非常に少ない等の利点がある(例えば、特許文献1参照)。
一方、電子写真技術の中核をなす感光体については、現在一部にアモルファスシリコン、砒素―セレン系等の無機光導電材料が使われてはいるが、近年ではその光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発され、主流は有機系感光体となっている。そして、有機系の光導電材料を使用した感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体と電荷発生層に電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。
しかしながら、有機物は無機物に比べ一般に物理的な強度に劣るため、接触帯電装置における帯電部材が感光層へ直接接触すること等によって、有機系の光導電材料を使用した感光体では、その感光層が物理的劣化を受ける場合があった。従って、上記したように優れた特長を有する接触帯電装置ではあるが、それを有機系感光体に用いることは、耐久性の点で問題がある場合があった。具体的には例えば、接触帯電部材が感光層に与える物理的劣化、すなわち繰り返し使用による感光層の膜減りが問題になる場合があった。
物理的な劣化を受けるのは、通常最表面層である。保護層等を有する場合を除けば、順積層型感光体の場合には電荷輸送層が、分散型感光層では感光層そのものが最表面層となる。これらの層は通常バインダー樹脂と光導電性物質を含有しており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂である。そして感光層を形成するためのバインダー樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられているが、これらの数あるバインダー樹脂のなかで、種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、光導電性物質のドープ量が相当多いためもあって、接触帯電部材が感光層に与える物理的負荷に十分耐え得るような強度をもつ最表面層を有する有機系感光体は得られていなかった。
特開昭63―149669号公報 特開昭63−148263号公報
本発明はかかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、接触帯電装置を用いて帯電させても、繰り返し使用において感光層の物理的劣化が少なく、また塗布性能や電気特性に優れた電子写真感光体を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、電子写真感光体の最表面層のバインダー樹脂として、特定の繰り返し単位を特定量以上含有しているものを使用することによって、帯電性、感度、残留電位等の電気特性、塗布性能等を損なうことなく、上記課題を解決する電子写真感光体を得ることができることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、電子写真感光体表面に接触する接触帯電部材により帯電される電子写真感光体であって、該感光体の最表面層が、式(1)で表される繰り返し単位を、最表面層が含有するバインダー樹脂全体に対して30質量%以上含むことを特徴とする電子写真感光体を提供するものである。
Figure 2007004139
[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、m及びnは互いに同一でも異なっていてもよい1〜4の整数を表す。]
また本発明は、かかる電子写真感光体を有する画像形成装置を提供するものである。
本発明によれば、接触帯電装置を用いて帯電させても、繰り返し使用において、膜減り等の感光層の物理的劣化が少なく、また電気特性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
本発明においては、接触帯電部材を用いて電子写真感光体を帯電させることが必須である。図1に、電子写真感光体を用いた画像形成装置の概略の一例を示す。図1において、接触帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では、接触帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、本発明はこれに限るものではなく、接触帯電を行うものであればどのような形態のものでも構わない。以下帯電手段について詳細に説明する。
電子写真感光体を帯電させる接触帯電装置の形状は、ブラシ状、ブレード状、フィルム状又はローラ状等、感光体表面に接触すれば特に限定はなく、何れも好適に用いられる。
例えば、接触帯電装置がローラ状の場合、帯電ローラ2は、通常少なくとも、芯材とその周囲を覆う接触帯電部材から構成される。接触帯電部材としては、感光体に密着させて接触させる必要性から、比較的表面硬度が低く弾性率が小さい導電性又は半導電性の弾性体が好ましく、例えばゴム材にカーボン等の導電性粒子又はその他の半導電性粒子を含有させた導電性ゴム等が好適に使用される。また、接触帯電部材を支持部材と表面部材に分けて、支持部材に適当に硬度を持たせ、感光体への密着性を保ちながら、表面部材で適度な電気抵抗を保持させた機能分離型帯電部材も特に好適に使用できる。ローラ状の帯電部材を用いた態様を図2で更に詳細に説明する
図2中、1は電子写真感光体であり、形状はドラム状、シート状、ベルト状等何れでもよい。21は接触帯電部材を支える芯材である。この芯材21の両端は、電子写真感光体1に接触帯電部材を接触させるために、適当な圧力印加装置、例えば金属バネ等で支えられた軸受けに保持される。そして、この芯材21の軸受けに直接又は他の電気的接触手段を使って、バイアス電位が印加される。芯材21の材質としては導電性を持つものならば特に限定はないが、通常は金属が使われる。かかる金属の例としては、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。その他、導電性の有機材料、例えばカーボンを練り込んだ樹脂成型品等を用いることもできる。
図2中、22はローラ状の支持部材であり、電子写真感光体に密着して接触し回転する。回転の駆動力は外部から加えてもよく、又は電子写真感光体1との接触摩擦力で自由に回転させても良い。支持部材22の材質としては、導電性又は半導電性を持つものなら特に限定はないが、例えば、電子写真感光体1と密着させて接触させる必要から、比較的表面硬度が低いゴム材、例えば、NBR、EPDM、シリコーン、ネオプレン若しくは天然のゴム材、又はこれらのゴム材にカーボン等の導電性粒子若しくは半導電性粒子を練り込んだ導電性ゴム材等が使用される。もちろん、支持部材22の材質としては、良好な密着性が保たれるようによく精密加工された表面を持つものであれば、ゴムのように低弾性率を有する材質以外の材質を用いても良い。
上記したローラ状接触帯電装置2aを用いた場合、帯電の均一性が問題となり、接触帯電部材の体積抵抗率が大きすぎると電子写真感光体に帯電ムラが生じて、正規現像時は黒部分の画像ムラ、反転現像時は白部分のカブリが発生しやすくなる。逆に、体積抵抗率が小さすぎると、帯電不良が生じて、電子写真感光体1が十分に帯電されない場合がある。従って、支持部材22の体積抵抗率としては、IEC60093に準拠した方法により測定した体積抵抗率が、10〜1015Ωcmであることが好ましく、10〜1012Ωcmであることが特に好ましい。
図2中、23は表面部材で、機能分離型帯電部材を使用する場合に設けられる。表面部材23の材質としては特に限定はないが、例えば、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、その他種々のポリエステル樹脂等が主成分として使用される。表面部材23の体積抵抗率としては、IEC60093に準拠した方法により測定した体積抵抗率が、10〜1014Ωcmであることが好ましく、10〜1012Ωcmであることが特に好ましい。表面部材23の膜厚は、帯電部材としての摩耗による耐久性を考慮すると厚い方が良いが、厚くしすぎると電子写真感光体1への帯電能が悪くなるので、通常0.01μm〜1000μm、好ましくは0.1μm〜500μmの範囲で使用される。表面部材23は、支持部材22の上に、デイップ法、スプレー法、真空蒸着法、プラズマコーティング法等で形成されることが好ましい。
電子写真感光体1を帯電させるために、帯電部材すなわち芯材21に印加する電圧としては直流電圧のみでもよいし、直流に交流を重畳しても良い。交流としては周期的に変化する電圧であれば、電圧波形は特に限定はされない。電圧の範囲としては、直流電圧の場合、好ましくは、正又は負の100V〜4000V、特に好ましくは、300V〜3000Vである。重畳する交流電圧としては、ピーク間電圧が好ましくは、100V〜4000V、特に好ましくは、300V〜3000Vである。
図3に、ローラ状以外の接触帯電装置として、ブラシ状接触帯電装置2bの一例を示す。ブラシ状接触帯電装置2bとしては、図3(a)と(b)に示すような、平板上に接触帯電部材として導電ブラシ24を固定して使う固定型と、図3(c)のように、通常回転しながら使う回転型とに分けられ、何れの方式も好適に用いることができる。
固定型の場合でも、回転型の場合でも、接触帯電部材としての導電ブラシ24から電子写真感光体1に十分な帯電を付与できるように、ブラシ支持体25に力を加えて、導電ブラシ24を電子写真感光体1に接触させる。また何れの場合でも、導電ブラシ24のブラシ毛の特性としては、直径約10μm、IEC60093に準拠した方法により測定した体積抵抗率が10〜10Ωcmのものが好適に用いられる。ブラシ毛の材質は、適度な導電性材料であればよく、例えば、タングステン、ステンレス、金、白金、鉄、銅、アルミニウム等の金属線を挙げることができる。また、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化エチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維中にカーボンブラック、炭素繊維、金属粉、金属ウィスカー、金属酸化物、半導体材料等の抵抗調整剤を分散させた導電性繊維を用いることができる。なお、抵抗調整剤を繊維の内部に分散させるのではなく、繊維表面に被覆してもよい。回転の駆動力は外部から加えてもよく、又は電子写真感光体1との接触摩擦力で自由に回転させても良い。
図4は、フィルム状の帯電部材を用いたフィルム状接触帯電装置の例である。フィルム状の帯電部材としては、図4に示すように、導電性フィルム26の一辺が導電性の支持体27の一辺に支持された態様で構成され、導電性フィルム26の他の一辺が電子写真感光体1に接触するように構成される。導電性フィルム26の材質としては、金、白金、鉄、銅、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、スズ、チタン等の金属、又はこれらの合金を挙げることができる。また、合成樹脂材料に導電性材料を分散させたり、樹脂材料の表面を導電化処理したりして、適宜、導電性化又は低抵抗化した材料を用いてもよい。特に、樹脂中に、金属粉、金属ウィスカー、カーボンブラック、カーボンファイバー等を含有させて低抵抗の材料を得ることもできる。また、導電性フィルム26の機械的強度を調整するために、フィルムの縦横の機械的高度に異方性をもたせたり、フィルム材料の結晶化度を適宜変更したり、液晶ポリマーのような異方性材料を用いたりしてもよい。こうした導電性フィルム26は、IEC60093に準拠した方法により測定した体積抵抗率が10〜10Ωcm程度のものが好適に用いられる。
このように、本発明においては、ローラ状、ブラシ状、フィルム状、ブレード状等の種々の接触帯電装置が用いられるが、何れの場合も、電子写真感光体1に物理的な負荷がかかり、有機物からなる電子写真感光体に物理的な劣化を生じさせる。このうち、帯電性能がよく、また、本発明の効果を十分に奏するので、ローラ状、ブラシ状等が好ましく、ローラ状が特に好ましい。すなわち帯電部材としては、ローラ状接触帯電部材、ブラシ状接触帯電部材等が好ましく、ローラ状接触帯電部材が特に好ましい。
本発明の電子写真感光体は、その最表面層が、式(1)で表される繰り返し単位を、最表面層が含有するバインダー樹脂全体に対して30質量%以上含むことが必須である。このようにすることによって、接触帯電装置を用いて繰り返し使用しても、耐久性に優れ、電気特性にも優れた電子写真感光体を提供できる。
電子写真感光体の最表面層とは、順積層型感光体では電荷輸送層をいい、分散型感光体では感光層そのものをいう。また、保護層を有する場合には、その保護層又は前記2種の層をいう。
本発明の電子写真感光体の最表面層に含有される式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」と略記する)を有する重合体(以下、「本重合体」と略記する)としては、特に限定はないが、ポリカーボネート又はポリエステルが好ましい。
Figure 2007004139
[式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、m及びnは互いに同一でも異なっていてもよい1〜4の整数を表す。]
式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を表すが、好ましくは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基であり、更に好ましくはRが水素原子の場合である。Rはアルキル基を表し、mが2〜4の場合は、該2以上のRは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表す。Rはアルキル基を表し、nが2〜4の場合は、該2以上のRは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表す。R及びRはアルキル基を表すが、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。更に好ましくはR及びRが共にメチル基の場合である。
m及びnは1〜4の整数を表すが、互いに同一でも異なっていてもよい。好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。更に好ましくはm及びnが共に1の場合である。
式(1)において、R、R、R、m、nが、それぞれ上記した範囲のものであると、接触帯電装置を用いて繰り返し使用しても、より耐久性に優れ、より電気特性にも優れた電子写真感光体を提供できる。
繰り返し単位(1)を有するポリカーボネートとしては、特に限定はなく、実質的に繰り返し単位(1)のみからなるものであっても、繰り返し単位(1)と他の繰り返し単位との共重縮合によるものであってもよい。また、これらのポリカーボネートは、1種であっても2種以上の混合であってもよく、繰り返し単位(1)を有する他の本重合体、例えばポリエステルとの混合であってもよい。
繰り返し単位(1)以外の、共重縮合され得る繰り返し単位としては特に限定はないが、例えば具体的には、下記の式(2)ないし式(5)で表されるものが好適なものとして挙げられる。これらは、1種又は2種以上が、繰り返し単位(1)と共重縮合され得る。
Figure 2007004139
Figure 2007004139
Figure 2007004139
Figure 2007004139
繰り返し単位(1)を有するポリカーボネートの合成方法は特に限定はなく常法に従って合成できるが、例えば、R、R及びRがすべてメチル基で、m=n=1の下記式(1−1)で表される樹脂は、特許文献2に記載の製造方法で合成することができる。
Figure 2007004139
繰り返し単位(1)を有するポリエステルとしては特に限定はなく、繰り返し単位(1)と他の任意の繰り返し単位を含有するものが挙げられる。好ましくは、電子写真感光体の機械的な耐久性及び電気特性の点でポリアリレートである。「ポリアリレート」とは、繰り返し単位(1)と共重縮合される繰り返し単位が芳香族環を有するポリエステルをいう。これらのポリエステルは、1種であっても2種以上の混合であってもよく、繰り返し単位(1)を有するポリカーボネートとの混合であってもよい。
繰り返し単位(1)以外の、共重縮合され得る繰り返し単位としては特に限定はないが、例えば具体的には、上記の式(2)ないし式(5)で表されるものが好適なものとして挙げられる。これらは、1種又は2種以上が繰り返し単位(1)と共重縮合され得る。また、任意のジカルボン酸残基も繰り返し単位として本重合体中に含まれ得る。かかるジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、コハク酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。本重合体中に含まれるジカルボン酸由来の繰り返し単位としては、好ましくは、芳香族ジカルボン酸の残基であり、特に好ましくはフタル酸残基、テレフタル酸残基、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル残基である。
本重合体中の繰り返し単位(1)の含有量は、電子写真感光体の最表面層を構成するバインダー樹脂全体に対して、繰り返し単位(1)を、最終的に30質量%以上含むようにできさえすれば特に限定はないが、好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。更に好ましくは、本重合体がポリカーボネートの場合は、実質的に繰り返し単位(1)のみからなるものであり、本重合体がポリエステルの場合は、ジオール成分が実質的に繰り返し単位(1)のみからなるものである。
本重合体中の繰り返し単位(1)の含有量が少なすぎると、最表面層を構成するバインダー樹脂全体に対して、繰り返し単位(1)を30質量%以上含むようにできにくくなり、結果として本発明の効果である感光層の耐久性が得られない場合がある。
本重合体の粘度平均分子量は、低すぎると機械的強度が不足するため、通常10000以上、好ましくは20000以上であり、特に好ましくは30000以上である。また、粘度平均分子量が高すぎると、感光層形成のための塗布液の粘度が高くなりすぎ、生産性が低下する場合があるため、通常150000以下、好ましくは100000以下であり、特に好ましくは50000以下である。
本発明においては、粘度平均分子量は、以下の方法で測定し、算出したものとして定義される。
重合体をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0(秒)が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で、試料溶液の流下時間t(秒)を測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ここで、ηsp=(t/t0)−1 である。
b=100×ηsp/C ここで、C=6.00(g/L) である。
η=b/a
Mv=3207×η1.205
本発明の電子写真感光体は、その最表面層のバインダー樹脂として、本重合体以外の重合体を併用することができる。すなわち、繰り返し単位(1)を含まない重合体を併用することができる。かかる併用される重合体としては、本重合体以外のポリカーボネート類;本重合体以外のポリエステル類;メチル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニル等のビニル化合物の重合体又はその共重合体;ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、本重合体以外のポリカーボネート類やポリエステル類等が好ましい。
本重合体以外のポリカーボネート類とは、繰り返し単位(1)を有さないポリカーボネートであり、特に限定はないが、具体的には例えば、上記式(2)ないし式(5)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート;2価のフェノールとして、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル)−1−フェニルエタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(o−ヒドロキシフェニル)メタン、p−ヒドロキシフェニル−o−ヒドロキシフェニルメタン等に由来する繰り返し単位を有するポリカーボネート等が挙げられる。
また、本重合体以外のポリエステル類とは、繰り返し単位(1)を有さないポリエステルであり、特に限定はないが、具体的には例えば、下記式(6)で表される繰り返し単位を有するポリエステル類が挙げられる。
Figure 2007004139
式(6)中、Xは任意の2価のフェノール残基を表す。Xとしては例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]残基、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン[ビスフェノールZ]残基、1,1−ビス(4−ヒドロキシ)−1−フェニルエタン[ビスフェノールP]残基、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル)−1−フェニルエタン残基、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール残基、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン残基、ビス(o−ヒドロキシフェニル)メタン残基、p−ヒドロキシフェニル−o−ヒドロキシフェニルメタン残基等が挙げられる。ここで「残基」とは、2価のフェノール化合物の2個の水酸基から2個の水素がとれた基をいう。
式(6)中、Yは任意の2価の有機基を表す。Yとしては例えば、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;ジフェニルスルフィド残基等の含芳香族環スルフィド残基;ジフェニルエーテル残基等の含芳香族環エーテル残基等が挙げられる。ここで「残基」とは、2個の芳香族環から1個ずつ計2個の水素がとれた基をいう。Yとして好ましくは、アリーレン基、含芳香族環エーテル残基等が挙げられ、特に好ましくは、フェニレン基、ジフェニルエーテル残基等が挙げられる。
併用される本重合体以外の重合体の粘度平均分子量は、低すぎると機械的強度が不足するため、通常10000以上、好ましくは20000以上であり、特に好ましくは30000以上である。また、粘度平均分子量が高すぎると、感光層形成のための塗布液の粘度が高くなりすぎるため、通常150000以下、好ましくは100000以下であり、特に好ましくは50000以下である。
本発明の電子写真感光体は、その最表面層が、繰り返し単位(1)を、最表面層のバインダー樹脂全体に対して、30質量%以上含むことが必須である。好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。繰り返し単位(1)の含有量が少なすぎると、感光層の膜減りが大きくなる場合があり、耐久性に劣る場合がある。
繰り返し単位(1)は、感光体の最表面層を構成するバインダー樹脂中において、1種の重合体中にのみ含まれていてもよく(本重合体が1種であってもよく)、また2種以上の重合体中に分かれて含まれていてもよい(本重合体が2種以上であってもよい)。
以下、本発明の電子写真感光体の態様や製造方法等を、構成部分ごとに説明する。
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体は、通常、導電性支持体上に感光層を形成して構成される。かかる導電性支持体としては、周知の電子写真感光体に採用されているものが何れも使用できる。具体的には例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、金、銀等の金属材料からなるドラム、シート、これらの金属箔のラミネート物若しくは蒸着物又は表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(インジウム−スズ酸化物)、導電性高分子等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。また、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理、例えば、表面の酸化処理や薬品処理を行うことができる。導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施してから用いてもよい。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。導電性支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでもよい。導電性支持体の形状は、ドラム、シート、ベルト、シームレスベルト等の任意の形状を取ることができる。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性、ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子は、1種類の粒子のみを用いてもよいし複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。
これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン、酸化アルミニウム等が好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物による処理や、ステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理が施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファス等の何れも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。また、これらの金属酸化物粒子を用いる際、塗布液への分散性、環境特性の向上のために表面処理を施してもよい。金属酸化物粒子の表面処理剤としては、処理後の粒子が電子写真感光体特性に悪影響を及ぼさない限りは特に制限を設けないが、反応性有機ケイ素化合物を使用することが好ましい。
金属酸化物粒子の粒子径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒子径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましくは、10nm以上50nm以下である。
また、上記した無機金属酸化物と併用又は、単独で電子輸送性有機顔料を含有してもよい、電子輸送能を有する有機顔料であれば特に制限はないが、具体的には、多環キノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が、単独又は硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。バインダー樹脂に対する無機粒子の混合比は任意に選べるが、10質量%から500質量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性から0.1μmから20μmの範囲が好ましい。また下引き層は、公知の酸化防止剤等を含有していてもよい。
<感光層の構成>
本発明の電子写真感光体の感光層は、いわゆる積層型の感光層又は分散型の感光層の何れの形態をも用いることができるが、電子写真感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性等を総合的に勘案して、順積層型の感光層が好ましい。
<<積層型感光層>>
*電荷発生層
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生物質としては、例えばセレニウム若しくはその合金;硫化カドミウム等の無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等が好ましく、フタロシアニン顔料、アゾ顔料等の有機顔料等が特に好ましい。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン;銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物等が配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。このうち特に感度の高いX型、T型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα特性X線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のみを用いてもよいし、いくつかの混合状態でもよい。ここでのフタロシアニン化合物又は結晶状態における混合状態を形成する方法としては、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理、磨砕処理、溶剤処理等が用いられる。
電荷発生物質は単独で、又はバインダー樹脂と共に用いられて、電荷発生層を形成する。バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル;スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体若しくは共重合体;ポリアミド、ケイ素樹脂等が挙げられる。
電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常5〜500重量部であり、好ましくは20〜300重量部である。電荷発生層の膜厚は、通常0.01μm〜5μm、好ましくは0.05μm〜2μm、より好ましくは0.15μm〜0.8μmである。
また電荷発生層は、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤、酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
電荷発生層を形成する場合、電荷発生物質をボールミル、超音波分散器、ペイントシェイカー、アトライター、サンドグラインダ等により適当な分散媒に分散又は溶解し、必要に応じてバインダー樹脂を添加して電荷発生層形成用塗布液を調整し、この塗布液を塗布形成する。電荷発生物質が単独で用いられる場合には、上記分散液にバインダーを添加せずに塗布液を調整し、塗布してもよいし、蒸着やスパッタリング等の方法で形成してもよい。
*電荷輸送層
本発明の電子写真感光体が機能分離型の感光層を有する場合、電荷輸送層は、少なくとも、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有して形成される。そして、バインダー樹脂には少なくとも本重合体が含まれる。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、ジフェノキノン誘導体、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、又はこれらの化合物からなる基を主鎖若しくは側鎖に有する重合体等が挙げられる。なお、上記電荷輸送物質は、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明における、電荷輸送物質とバインダー樹脂の含有割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷輸送物質10重量部以上が好ましく、30重量部以上が特に好ましい。また、200重量部以下が好ましく、150重量部以下が特に好ましい。バインダー樹脂の含有割合が大きくなりすぎると、電気特性が悪くなる場合がある。また、電荷輸送物質は、通常バインダー樹脂と相溶性があり、感光層の機械的特性への影響度が高く、そのため電荷輸送物質の含有割合が大きくなりすぎると感光層の機械的強度が低下してしまい、本発明の効果が得られない場合がある。
更に本発明においては、電荷輸送層に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるため又は感光層の機械的強度を更に向上させるために、周知の可塑剤、滑剤、分散補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、増感剤、レベリング剤、安定剤、流動性付与剤、架橋剤等の添加物を含有させることも好ましい。酸化防止剤の例としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚については、通常、10μm〜50μm、好ましくは、13μm〜35μmで使用される。
<<分散型感光層>>
本発明の電子写真感光体が分散型の感光層を有する場合は、電荷発生物質は電荷輸送物質と共に、本重合体を含有するバインダー樹脂中に分散又は溶解して用いられる。
この際、電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下で使用される。分散型感光層内に分散又は溶解される電荷発生物質の量は、感光層全体に対して、例えば、0.5〜50質量%の範囲である。少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害がある。特に好ましくは、1〜20質量%の範囲で使用される。電荷輸送物質とバインダー樹脂の含有割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷輸送物質が30重量部以上が好ましく、40重量部以上が特に好ましい。また、80重量部以下が好ましく、60重量部以下が特に好ましい。
積層型感光層における電荷輸送層の場合と同じく、バインダー樹脂の含有割合が大きくなりすぎると電気特性が悪くなる場合がある。また、電荷輸送物質は、通常バインダー樹脂と相溶性があるため、電荷輸送物質の含有割合が大きくなりすぎると、感光層の機械的強度が低下してしまい、本発明の効果が得られない場合がある。更に、分散型感光層には、積層型感光層における電荷輸送層に配合できるものと同様の添加剤が使用できる。
得られる塗布液を、導電性支持体上に塗布、乾燥し、感光層を形成するが、通常2μm〜70μm、好ましくは10μm〜45μm、特に好ましくは20μm〜35μmで用いられる。
<感光層形成用塗布液>
上記各層を塗布する際に使用される溶媒、分散媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2ージクロルエタン、1,2ージクロルプロパン、1,1,2−トリクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類単独で使用してもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
<感光層形成方法>
感光層の塗布形成方法としては、電子写真感光体の感光層を塗布形成するのに通常用いられる、スプレー塗布法、バーコーター法、ブレード法、ロールコーター法、ワイヤーバー塗布法、ナイフコーター塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等、何れの塗布方法も用いることができる。塗布液を塗布後、乾燥することにより感光層を得る。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送する方法を用いることにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機又はカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等が用いられる。
浸漬塗布法としては、一例としては以下のような電荷輸送層の塗布形成手順が挙げられる。電荷輸送物質、バインダー樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が好ましくは15質量%以上、特に好ましくは40質量%以下であって、粘度が好ましくは50mPa・s以上、特に好ましくは100mPa・s以上、好ましくは700mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下の電荷輸送層形成用の塗布液を調製する。
ここで実質的に塗布液の粘度はバインダー樹脂の分子量により決まるが、前記した通り、分子量が低すぎる場合には感光層の機械的強度が低下するため、これを損なわない程度の分子量を持つバインダー樹脂を使用することが好ましい。このようにして調製された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層等の感光層が形成される。本重合体を含有するバインダー樹脂は、塗布性能に特に優れている。
その後、塗膜を乾燥するが、必要かつ充分な乾燥が行われる様に、乾燥温度、乾燥時間を調整する。乾燥温度は、通常100〜250℃、好ましくは110〜170℃、更に好ましくは115〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機、遠赤外線乾燥機等を用いた方法を挙げることができる。
<トナー>
本発明の電子写真感光体に形成された静電潜像は、トナーによって現像される。本発明で用いられるトナーとしては、粉砕トナー、重合トナー等何れも好適に用いられるが、本発明の効果を十分に発揮させるためには重合トナーを用いることが好ましい。
かかる重合トナーとしては、乳化重合凝集法によって得られるもの、懸濁重合法で得られるもの、カプセル化トナー等が挙げられ、特に限定はないが、好ましくは、粒径分布がシャープである等のため、乳化重合凝集法によって得られるものが挙げられる。
本発明に用いられるトナーの体積平均粒径(以下、「Dv」と略記する)は3μm〜15μmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは4μm〜10μmの範囲である。Dvが大きすぎると高解像度の画像が形成されない場合があり、小さすぎると粉体としての取り扱いが困難となる場合がある。また更に、本発明の、膜減り量を減らして画質を良好に維持するという効果は、解像性がよく画像欠陥が目立ちやすい場合に、より発揮されるため、4μm〜8μmの範囲であることが更に好ましく、更に特に好ましくは、4μm〜7μmである。
本発明に用いられるトナーの粒度分布は特に限定はないが、Dvを個数平均粒径(以下、「Dn」と略記する)で割った値Dv/Dnが、1.3以下であることが好ましく、1.25以下であることが特に好ましく、1.2以下であることが更に好ましい。また、Dv/Dnの下限値は1であるが、これば全ての粒径が等しいことを意味し製造上困難であるかコストがかかりすぎるので、1.03以上が好ましく、1.05以上が更に好ましい。
本発明におけるトナーの体積平均粒径Dv及び個数平均粒径Dnは、ベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター マルチサイザーIII型を用いて測定されたもので定義される。具体的には、個数分布・体積分布を出力するインターフェイス及び一般的なパーソナルコンピューターを接続して使用する。また、電解液はアイソトンIIを用いる。測定法としては、前記電解液100〜150mL中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5mL加え、更に測定試料(トナー)を2〜20mg加える。そして、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記コールターカウンター マルチサイザーIII型により、100μmアパーチャーを用いて測定する。このようにしてトナーの個数及び体積を測定して、それぞれ個数分布、体積分布を算出し、それぞれ、体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dnを求める。本発明では、Dv及びDnは以上のようにして求めた値として定義される。
本発明の電子写真感光体上の静電潜像を現像するトナーとしては、黒色トナー、カラートナー、フルカラートナーの何れも用いることができるが、カラートナー又はフルカラートナーとして用いると本発明の効果をより顕著に発現することができる。また、本発明に用いられるトナーとしては、非磁性一成分現像用トナー、磁性一成分現像用トナー、二成分現像用トナーの何れもが用いられるが、非磁性一成分現像用トナーであることが、本発明の効果を顕著に発揮させることができるため好ましい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。ただし、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、接触帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、接触帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
接触帯電装置2については上記で詳述した通り、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させるもので、本発明においては、図1及び図2に示されるようなローラ状の帯電装置(帯電ローラ)の他に、図3で示されるようなブラシ状等の接触帯電装置、図4示されるようなフィルム状等の接触帯電装置等も用いられる。このうち、電子写真感光体1の摩耗が少ない点でローラ状の帯電装置が好ましい。
なお、電子写真感光体1及び接触帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、「感光体カートリッジ」という場合がある)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば、電子写真感光体1や接触帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。
また、トナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、接触帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザー、He−Neレーザー等のレーザー;LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44及び規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール又はこうした金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂若しくはフッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂ブレード;ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転するようになっており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されている。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6は、電子写真感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。クリーニング装置6については特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等の任意のクリーニング装置を用いることができる。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられている例を示す。上部及び下部の各定着部材71、72としては、ステンレス、アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、フッ素樹脂で被覆した定着ロールや定着シート等の公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は、離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
<画像の記録>
以上のように構成された電子写真感光体を用いた画像形成装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず電子写真感光体1の表面(感光面)が、接触帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を現像装置4で行なう。現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは電子写真感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては像露光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
繰り返し単位(1)を、感光体の最表面層が含有するバインダー樹脂全体に対して、30質量%以上含むことによって、感光層の膜減りが減少し耐久性が向上する作用・原理は、明らかではないが、本重合体のポリマー鎖のスタッキング構造が、物理的強度上昇に起因していることが考えられる。また、相溶されている多量の電荷輸送物質による強度低下に及ぼす影響が、本重合体を用いた場合は少ないためであることも考えられる。
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は特に断りがない限り「重量部」を示し、「%」は、特に断りがない限り「質量%」を示す。
<感光体ドラムの作成>
CuKα特性X線(波長1.541Å)によるX線回折において、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部と、1,2−ジメトキシエタン150部を混合し、更にサンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作成した。また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5部と、1,2−ジメトキシエタン95部を混合し、固形分濃度5%のバインダー樹脂溶液を作成した。
先に作成した顔料分散液160部、バインダー樹脂溶液100部、適量の1,2−ジメトキシエタン、及び適量の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを混合して、固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1(質量比)の電荷発生層塗布形成用分散液を作成した。
一方、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ351mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後、酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
次いで、このシリンダーを、先に作成した電荷発生層塗布形成用分散液に浸漬塗布して、その乾燥後の膜厚が約0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、下記式(a)に示す電荷輸送物質50部、バインダー樹脂として表1に示した組成のもの100部、及び、テトラヒドロフラン:トルエン=80:20(質量比)の混合溶媒を混合して作成した電荷輸送層形成用塗布液中に浸漬塗布して、乾燥後の膜厚18μmの電荷輸送層を形成して、感光体ドラム1ないし7を得た。
Figure 2007004139
Figure 2007004139
表1中、重合体AないしGは、以下に示すものである。
重合体A:式(7)で示されるポリエステル(ポリアリレート)。
粘度平均分子量、約50,000。
重合体B:式(1−1)で示される繰り返し単位のみからなるポリカーボネート。
粘度平均分子量、約50,000。
重合体C:式(1−1)で示される繰り返し単位/式(2)で示される繰り返し単位
=3/7(モル比)で重縮合されたポリカーボネート。
粘度平均分子量 、約50,000。
重合体D:式(1−1)で示される繰り返し単位/式(2)で示される繰り返し単位
=6/4(モル比)で重縮合されたポリカーボネート。
粘度平均分子量、約50,000。
重合体E:式(1−2)で示される繰り返し単位のみからなるポリカーボネート。
粘度平均分子量、約50,000。
重合体F:式(8)で示される繰り返し単位のみからなるポリエステル(ポリアリレート )。
粘度平均分子量、約50,000。
重合体G:式(9)で示される繰り返し単位のみからなるポリエステル(ポリアリレート )。
粘度平均分子量、約50,000。
Figure 2007004139
Figure 2007004139
Figure 2007004139
Figure 2007004139
Figure 2007004139
[式(9)中、右端の不特定の結合部位は、m位とp位が50%ずつである。]
感光体ドラム3ないし10用の電荷輸送層塗布形成用分散液は、粘度の安定性が高く、ムラ、ヨリ、膜厚振れ等のない良好な電荷輸送層を形成することができた。
<トナーの作成>
乳化重合凝集法により製造した、スチレンとn−ブチルアクリレートの共重合モル比77/23の共重合体(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量3.0万)を主成分としたシアン色のベーストナー1000部、外添微粒子として下記のシリカ1を20部及び下記のシリカ2を5部、三井鉱山(株)製ヘンシェルミキサーにて混合して本評価用のトナーを作成した。
シリカ1: ヘキサメチルジシラザン処理、1次粒径約30nm
シリカ2: ジメチルポリシロキサン処理、1次粒径約 7nm
上記トナーのDvは、7.3μmであり、Dnは6.4μmであった。また、ガラス転移温度は62.5℃であった。
<耐刷試験による膜減り量の測定>
次に、これらの感光体ドラムを市販のカラーLEDプリンター(沖データ(株)社製 ML9300)に装着して、25℃、相対湿度50%の環境下において、30000枚のプリントを行った。この際、プリントする前の感光層の膜厚、10000枚プリント毎の膜厚をマイクロメーターにより測定し、その差から膜減り量を計算した。結果を表2に示す。表中、「K」は「1000」を表す。
Figure 2007004139
表2中の「評価」は以下の通り、
◎:膜減り量が極めて小さく耐久性が良好
○:膜減り量が小さく耐久性が良好
×:膜減り量が大きく耐久性が不良
式(1)で表される繰り返し単位(繰り返し単位(1))を含有しない(0%)感光体ドラム1及び繰り返し単位(1)の電荷輸送層の全バインダー樹脂に対する含有量25%の感光体ドラム2では、10000枚、20000枚のプリント後の膜減り量が大きく、耐久性に劣っていた。繰り返し単位(1)をポリカーボネート中の成分として含む場合、該含有量30%の感光体ドラム6では、膜減りはするものの、20000枚まで十分使用可能であった。更に、該含有量60%の感光体ドラム7では、20000枚での膜減りが1μm台になり、75%の感光体ドラム4及び100%の感光体ドラム5及び感光体ドラム8では1μm未満となり、極めて耐久性に優れていることがわかった。
表1と表2からわかるように、電子写真感光体の膜減り量は、繰り返し単位(1)をポリカーボネート中の成分として含む場合、全バインダー樹脂中の繰り返し単位(1)の含有割合に極めてよい相関があった。そして、繰り返し単位(1)の重合体中での共重合比を上げていっても、繰り返し単位(1)を有する重合体の含有割合を上げていっても、同様に膜減り量は減少することがわかった。結果として、繰り返し単位(1)の含有割合が、全バインダー樹脂に対して30質量%以上のとき、十分小さい膜減り量を示し、耐久性に優れていることがわかった。
また、更に、感光体ドラム9及び感光体ドラム10の試験結果から、繰り返し単位(1)をポリエステル(特にポリアリレート)中の成分として含む場合には、その含有量が低くても、全バインダー樹脂に対して30質量%以上含有されていれば、特段に高い効果を発現することがわかった。また、式(1)中のRが水素原子である感光体ドラム8及び感光体ドラム9が特に高い効果を発現していることもわかった。
これらの結果は、過去に主流であった非接触帯電方式の画像形成装置に於いては観測されなかった傾向であり、この相関性を初めて明らかにすることができた。
<感光体の圧接テスト>
次に、上述の感光体1、5、7、8の4点について、市販のカラーLEDプリンター(沖データ(株)社製 ML9300)より取り出した帯電ローラーとの密着試験を実施した。
(評価方法)
感光体ドラムと帯電ローラーを接触させた状態で、上述のプリンターのカートリッジに装着し、該カートリッジを55℃、相対湿度40%の環境下に1週間放置し、その後、カートリッジから感光体ドラムを取り外し、帯電ローラーが接触していた感光体の表面部分を観察した。
(結果)
感光体ドラム5及び感光体ドラム8では、まったくクラックの発生は見られず、感光体ドラム7では、かすかにクラックの発生が見られ、感光体ドラム1では多数のクラックが発生した。このことから、繰り返し単位(1)を含むバインダー樹脂は、接触帯電部材に対し、より好適に用いることができることがわかった。
本発明の電子写真感光体は、帯電における種々の長所を有するが感光層に対する物理的負荷が大きい接触帯電装置を用いて帯電を行っても、繰り返し使用において、膜減り等の感光層の物理的劣化が少なく、また感光層の塗布性能や電気特性に優れているので、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ、製版機等の電子写真プロセスを用いた装置に広く好適に用いることができる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一例を示す概念図である。 ローラ状接触帯電装置の一例を示す概念図である。 ブラシ状接触帯電装置の一例を示す概念図である。 (1)固定型の導電ブラシを示す図である。 (2)固定型のブラシ状接触帯電装置の使用形態を示す図である。 (3)回転型のブラシ状接触帯電装置の使用形態を示す図である。 フィルム状接触帯電装置の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 接触帯電装置
2a ローラ状接触帯電装置
2b ブラシ状接触帯電装置
2c フィルム状接触帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
21 帯電ローラの芯材
22 帯電ローラの支持部材
23 帯電ローラの表面部材
24 導電ブラシ
25 ブラシ支持体
26 導電性フィルム
27 導電性支持体
28 電源
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (8)

  1. 電子写真感光体表面に接触する接触帯電部材により帯電される電子写真感光体であって、該感光体の最表面層が、式(1)で表される繰り返し単位を、最表面層が含有するバインダー樹脂全体に対して30質量%以上含むことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2007004139
    [式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基を表し、m及びnは互いに同一でも異なっていてもよい1〜4の整数を表す。]
  2. 接触帯電部材が、ローラ状接触帯電部材である請求項1記載の電子写真感光体。
  3. が水素原子である請求項1又は請求項2記載の電子写真感光体。
  4. 電子写真感光体の最表面層が含有するバインダー樹脂が、ポリカーボネートである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の電子写真感光体。
  5. 電子写真感光体の最表面層が含有するバインダー樹脂が、ポリエステルである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の電子写真感光体。
  6. 電子写真感光体の最表面層が含有するバインダー樹脂が、ポリアリレートである請求項5記載の電子写真感光体。
  7. 電子写真感光体の最表面層が、実質的に式(1)で表される繰り返し単位のみからなる重合体を含有する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の電子写真感光体を有する画像形成装置。
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