JP2008176315A - 電子写真感光体、並びに該感光体を備えた電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有し、粘度平均分子量が35,000以上であるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体(請求項1)、実質的に、式(1)で表される繰り返し単位のみからなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする該電子写真感光体(請求項2)、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナーで現像する現像手段、および該トナーを被転写体に転写する転写手段、から選ばれる少なくとも一つの手段と、本発明の電子写真感光体とを備えることを特徴とする電子写真感光体カートリッジ(請求項3)、および本発明の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーで現像する現像手段と、該トナーを被転写体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする、画像形成装置(請求項4)に存する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有するものであって、該感光層が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有し、しかも粘度平均分子量が35,000以上であるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。式(1)中、R1,R2,R3は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
本発明の電子写真感光体が有する感光層の含有するポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で示される繰り返し構造単位を有するが、前記式(1)中、R1,R2,R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの、炭素数1〜3のアルキル基を表す。R1,R2,R3としては、炭素数1〜3のアルキル基であれば、直鎖の基であっても分岐を有する基であっても構わないが、直鎖の基が好ましい。アルキル基の炭素数は、より好ましくは炭素数1または2であり、更に好ましくは炭素数1、すなわちメチル基が好ましい。中でも、R1,R2,R3が全てメチル基であることが、特に好ましい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂が共重合体である場合、式(1)で表される繰り返し単位の割合に特に制限は無いが、式(1)で表される繰り返し単位の割合が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上であり、実質的に式(1)のみからなる重合体が特に好ましい。ここで、実質的にとは、効果に影響を及ぼさない程度の微量であれば、他の繰り返し単位との共重合体であっても構わないことを示す。
以下、本発明の電子写真感光体について説明する。
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、例えば下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体があげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、例えば帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体で使用される式(1)で表される繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されていても構わないが、通常、単層型感光層または積層型感光体の電荷輸送層に含有される。特に、電気特性に高い効果が得られることから、積層型感光体の電荷輸送層中に含有されるのが好ましい。
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、通常25℃以上、好ましくは30℃以上である。また通常40℃以下であり、好ましくは35℃以下である。また、フッ化ニッケル水溶液pHは、通常4.5以上、好ましくは5.5以上であり、また通常6.5以下、好ましくは6.0以下で処理するのがよい。pH調節剤としては、例えばシュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するために例えばフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に混合しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、例えば酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来、これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができるが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、また通常100℃以下、好ましくは98℃である。また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としては、例えばアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。なお、この場合も被膜物性を改良するために例えば酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に混合してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を行う。従って生産性が低下する傾向があると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる傾向がある。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を任意の比率及び組み合わせで混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダー樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
電荷発生物質としては、例えばセレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。
フタロシアニン顔料の例として、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが挙げられる。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
積層型感光体における電荷発生層に用いられる結着樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を任意の比率及び組み合わせで混合して用いてもよい。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば本発明の電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、電荷発生物質や本発明の電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成され、本発明に係るポリカーボネート樹脂はバインダー樹脂として用いられる。複数の層が積層された感光層の場合、本発明のポリカーボネート樹脂はその何れの層に用いられても構わないが、通常、積層型感光層の電荷輸送層、または単層型感光体の感光層に用いられる。バインダー樹脂は、本発明のポリカーボネートの他に、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も併用可能である。本発明の効果を発現するためには、本発明のポリカーボネート樹脂を最外層に含むことが望ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために例えば周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤、増感剤などの各種添加物を含有させてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層に例えばフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
感光体を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
層形成用の塗布液は、単層型感光体および積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上である。また通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲である。また、該塗布液の粘度は、通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上である。また通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下である。
塗布液の塗布方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等があげられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
<下引き層用分散液の作製>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
・電荷発生層用分散液β1
CuKα線によるX線回折において、ブラッグ角(2θ±0.2)27.3°に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない、顔料分散液を作製した。
CuKα線によるX線回折において、ブラッグ角(2θ±0.2)9.3°、10.6°、13.2°、15.1°、15.7°、16.1°、20.8°、23.3°、26.3°、27.1°に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない、顔料分散液を作製した。
電荷発生層用分散液β1と電荷発生層用分散液β2とを質量比8:2の割合で混合し、電荷発生層用分散液β3を調製した。
実施例1
表面が粗切削された外径30mm、長さ254mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚1.3umの下引き層を形成した。このシリンダーを先に調製した電荷発生層用分散液β3に浸漬塗布し、乾燥後の固形分付着量が0.3g/m2となるように電荷発生層を形成した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
実施例1の電荷輸送層に用いたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を42,700とした以外は、実施例1と同様にして感光体A2を得た。
実施例3
実施例1の電荷輸送層に用いたポリカーボネート樹脂を、下記の繰り返し単位(B)からなり、粘度平均分子量が40,300であるポリカーボネート樹脂にかえた以外は、実施例1と同様にして感光体A3を得た。
実施例1の電荷輸送層に用いた繰り返し単位(A)のみからなるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を29,000とした以外は、実施例1と同様にして感光体A4を得た。
比較例2
実施例1の電荷輸送層に用いたポリカーボネート樹脂を、下記の繰り返し単位(C)からなり、粘度平均分子量が30,000であるポリカーボネート樹脂にかえた以外は、実施例1と同様にして、感光体A5を得た。
比較例2の電荷輸送層に用いたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を40,000とした以外は、実施例1と同様にして感光体A6を得た。
比較例4
実施例1の電荷輸送層に用いたポリカーボネート樹脂を、下記の繰り返し単位(D)からなり、粘度平均分子量が30,000であるポリカーボネート樹脂にかえた以外は、実施例1と同様にして、感光体A7を得た。
比較例2の電荷輸送層に用いたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を50,000とした以外は、実施例1と同様にして感光体A8を得た。
製造した感光体A1〜A8について、以下の電気特性試験と耐刷試験を行ない、これらの結果を表1に示す。更に、ポリカーボネート樹脂の繰り返し構造ごとの、粘度平均分子量に対する磨耗量の関係を表すグラフを図2に示す。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光したときの100ms後の表面電位(−V)を測定した。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
市販のモノクロレーザープリンター(レックスマーク社製、Optra S2450)に感光体ドラムを装着して常温常湿下において30,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量(μm)を計算した。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (4)
- 実質的に、式(1)で表される繰り返し単位のみからなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナーで現像する現像手段、および該トナーを被転写体に転写する転写手段、から選ばれる少なくとも一つの手段と、請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体とを備えることを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。
- 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーで現像する現像手段と、該トナーを被転写体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする、画像形成装置。
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