JP6307850B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、複写機やプリンター等に用いられる電子写真感光体及び画像形成装置、カートリッジに関するものである。より詳しくは、 感光層に特定の結晶型を有するオキシチ
タニウムフタロシアニン、及び芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩を含有することにより、感光層の接着性改良及び残留電位を低減し、機械特性、電気特性に優れた性能を発揮する電子写真感光体、カートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
電子写真技術は、即時性に優れ、且つ、高品質の画像が得られること等から、複写機、各種プリンター、印刷機等の分野で広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した電子写真感光体(以下に、単に「感光体」ともいう。)が使用されている。
有機系の光導電材料を使用した電子写真感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させた、いわゆる分散型の単層型感光体や、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した、積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれの効率の高い電荷発生材料及び広く安全性の高い感光体が得られること、また、感光体を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なこと、等の理由から鋭意開発され実用化されている。一方、単層型感光体は塗布工程が少ない、半導体レーザー光に対する干渉縞が生じ難い、等の利点がある。
有機光導電性物質を用いた電子写真感光体は、上述の利点を有するが、電子写真感光体として必要とされる特性のすべてを満足するわけではなく、特に、複写機やプリンターでの繰り返し使用においては、感光層が次第に劣化するという問題があるため、繰り返し使用によるダメージが少なく、高感度かつ低残留電位であり、電気特性が安定していることが望まれる。これらの特性は電荷発生物質や電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂に大きく依存する。電荷発生物質としては、光入力用光源に対する感度を持つ必要があるため、主にフタロシアニン顔料やアゾ顔料が使われる。電荷輸送物質としては、多種のものが知られているが、アミン系化合物は、非常に低い残留電位を示すことから広く利用されている。一方、電荷輸送層に、従来トナーの帯電制御剤として用いられていた(特許文献1〜3)芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩を含有することにより、電子写真感光体の残留電位を抑制できることが知られている(特許文献4、5)。しかし、ここでは電荷発生物質及び電荷輸送物質の規定は無く、接着性と電気特性を共に満足する組合せは検討されていなかった。
また、近年、省スペース化の観点から、さらなる画像形成装置の小型化が求められている。この場合、画像形成装置の小型化の実現のため、感光体は24mmφ、30mmφ等の小径型が用いられる。感光体の小径化にともない感光層中の内部応力が増大し、その結果、支持体と感光層との接着性が悪くなり剥離やクラック等の欠陥が発生しやすくなる。加えて、感光体長寿命化のため感光層を厚膜化すると、より内部応力が増し接着性が悪化する。したがって、今日の電子写真感光体には、耐磨耗性だけではなく、十分な接着性が求められている。
特開昭53−127726号公報 特開昭57−104940号公報 特開昭59−79256号公報 特開平3−78753号公報 特許第5096931号公報
感光体の耐久性向上には耐摩耗性、基体との接着などの機械特性向上と、残留電位、感度、帯電性などの電気特性安定化の双方を達成する必要がある。フタロシアニン顔料は電荷発生材料として一般に使用されるが、 感光層のバインダー樹脂比率を増やすことによ
り感光層と基体との接着性を向上させることができる一方、残留電位上昇や画像メモリーの問題が発生し、これらを両立することは困難であった。
また、導電性支持体上に下引き層、又は金属材料の場合は陽極酸化皮膜のような、ブロッキング層を有する場合は、基体からのリークによる画像黒点やカブリを防ぐためには有用であるが、その反面、残留電位の上昇、及び 感光層と基体との接着性悪化という課題
があった。
本発明者らは電子写真感光体において、 感光層に特定の結晶型を有するオキシチタニ
ウムフタロシアニン、及び特定の芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩、及び特定構造の電荷輸送物質を含有することにより、残留電位と接着性の双方を改善でき、良好な電気特性と画像特性を両立できることを見出した。即ち本発明の要旨は以下の6点に存する。
(1)導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層がCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン、下記一般式(II)又は(III)で示される芳香族カルボン酸とアルミニウム又は亜鉛の錯体又は塩、及び下記
一般式で表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
Figure 0006307850
(式(II)、(III)中、置換基R11〜R13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はアリール基を表し、環Aは炭素数5〜10の芳香環を表す。aは0〜2の整数、b、cは0〜4の
整数を表す。但し、R11〜R13は互いに結合して環を形成していても良い。)
Figure 0006307850
(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はフェニル基を表し
、nは0又は1を表す。)
)前記導電性支持体と前記感光層との間にブロッキング層を有することを特徴とする
、(1)に記載の電子写真感光体。
)前記ブロッキング層が、樹脂に金属酸化物粒子を分散した下引き層であることを特
徴とする、()に記載の電子写真感光体。
)(1)〜()のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯
電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、該電
子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部、該電子写真感光体上をクリーニ
ングするクリーニング部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする電子写真感
光体カートリッジ。
)(1)〜()のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯
電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、及び
該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えることを特徴とする
画像形成装置。
本発明によれば、感光層に特定の結晶型を有するオキシチタニウムフタロシアニン、及び上記一般式(II)又は(III)で示される芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩、及
び特定構造の電荷輸送物質を含有することにより、感光体の基体への接着性が改良される上に、電子写真感光体の残留電位を低減する事ができる。この効果は、特に導電性支持体上にブロッキング層を有する電子写真感光体において顕著である。
これは芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩を添加することにより感光層の物性を変化させ、 感光層と基体との親和性が向上するためと考えられる。それと同時に、芳香族
カルボン酸の金属錯体又は金属塩が、電荷発生層/電荷輸送層界面、あるいは感光層/基体界面、下引き層等のブロッキング層を有する場合にはブロッキング層/ 感光層界面で
の電荷受け渡しに、有用に作用していると考えられる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルを示す。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
[電子写真感光体]
以下、本発明の電子写真感光体について詳述する。
<芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩>
本発明における感光層は、下記一般式(I)で示される芳香族カルボン酸の金属錯体も
しくは金属塩を電荷輸送層に含有する。
ArCOOH (I)
式(I)中、Arは、置換基を有してもよい炭素数30以下のアリール基を表す。アリ
ール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基等が挙げられ、合成の観点からフェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基が最も好ましい。
Arが有してもよい置換基の総炭素数としては、30以下、溶解性と合成の観点から、好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。具体的には、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、スルホニル基、ホスホニル基、ヒドロキシ基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、等が挙げられる。このうち残留電位を低減する効果は芳香族カルボン酸の酸性が強い方が良好なことから、ハロゲン原子、スルホニル基、o−ヒドロキシ基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基が好ましく、物質安全性の面からo−ヒドロキシ基が特に好ましい。また、溶解性の面から、アルキル基を有することが好ましい。
一般式(I)は好ましくは、下記一般式(II)又は(III)で示される構造を有する芳香族カルボン酸である。
Figure 0006307850
式(II)、(III)中の置換基R11〜R13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、スルホ
ニル基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はアリール基を表し、環Aは炭素数5〜10の芳香環を表す。但し、R11〜R13は互いに結合して環を形成していても良い。R11〜R13としては、アルキル基又はアルコキシ基が好ましく、溶解性の観点から、アルキル基が好ましい。アルキル基又はアルコキシ基の炭素数としては、6以下であり、4以下が好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖のアルキル基、イソプロピル基、tertブチル基、イソブチル基等の分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状アルキル基が挙げられるが、この中でも溶解性の観点から、分岐のアルキル基が好ましく、その中でもtertブチル基が好ましい。aは2〜0の整数、b、cは、4〜0、好ましく
は3〜0、更に好ましくは2〜0の整数を表す。置換位置としては、合成の容易さからヒドロキシ基に対してパラ位、又はオルト位が好ましい。
環Aとしては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、又はベンゾフランが挙げられ、原料入手の容易さ、合成の容易さから、ベン
ゼン、又はナフタレンが好ましい。
以下に一般式(I)で示される芳香族カルボン酸の主な具体例を示すが、これらに限定
されるものではない。
Figure 0006307850
また用いられる金属としては、前記芳香族カルボン酸と金属塩、金属錯体を形成するいずれの金属でもよいが、Al、Zn、Cr、Co、Ni、Feが好ましい。
このうち、バインダー樹脂としてポリカーボネート、又はポリアリレートを用いた場合、分子鎖の切断により塗布液の粘度低下が起こらないことが好ましく、その意味では、特にAlが好ましい。
本発明の金属錯体もしくは金属塩は公知の方法、例えば、J. L. Clark, H.Kao, J. Amer. Chem. Soc.70.2151、(1948)、特開昭53−127726号公報、特開昭57−104940号公報、又は特開昭59−79256号公報等に記載の方法により合成することができる。
金属塩としては、例えば、J. L. Clark, H.Kao, J. Amer. Chem. Soc.70.2151、(1948)によると、2モルのサリチル酸ナトリウムの溶液と1モルの塩化亜鉛の溶液とを、室温で混合し、撹拌することにより白色粉状の亜鉛塩として得ることができる。他の芳香族カルボン酸、亜鉛以外の金属の場合にも、この方法に準じて製造できる。生成するサリチル酸亜鉛塩は下記構造式(A)で表されるものと推定されている。
Figure 0006307850
他の芳香族カルボン酸と、コバルト、ニッケル、鉄などの他の金属との組み合わせの場合にも、上記の方法に準じて金属塩又は金属錯体を製造する事が出来る。
また、この中でも下記一般式(IV)で示される構造を有する金属錯体又は金属塩が好ましい。
Figure 0006307850
式(IV)中、R14及びR15はそれぞれ前記R13と、d、eは前記cと同義である。Mは金
属原子を表し、その中でもAl、Zn、Cr、Co、Ni、Feが好ましく、特に前述の理由からAlが好ましい。
式(IV)で示される化合物の製造例としては、特開昭53−127726号公報によると、3,5−ジターシャリブチルサリチル酸のメタノール溶液とCr2(SO4)3の水溶液を混
合し、水酸化ナトリウム水溶液によりpHを4〜5に調整後、還流することにより、淡緑色沈殿としてクロム錯体が得られる。生成する3、5−ジターシャリブチルサリチル酸クロム錯体は下記構造式(B)で表されるものと推定されている。
Figure 0006307850
前記金属錯体、又は金属塩を感光層の電荷輸送層に添加する割合は、通常、バインダー樹脂との比率として、十分な残留電位低減効果、接着性改良効果を得るためにバインダー樹脂100質量部に対して通常0.001質量部以上、好ましくは、0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上である。一方、暗減衰増大の弊害を防ぐ観点からは通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。塩又は錯体は、無
水物であることが好ましい。塗布液を調整する有機溶剤への溶解度の低下が起こり、バインダー樹脂や電荷輸送物質との絡み合いなどの構造的・電気的相互作用に、水の存在が悪
影響を与えるためである。
<フタロシアニン化合物>
電子写真感光体に電荷発生物質として、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる明瞭な回折ピークを有するD型(Y型)のものが使用される。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.7°に、明瞭な回折ピークを有することが好ましく、電子写真感光体特性に面から、9.6°、24.1°、27.2°、又は9.5°、9.7°、24.1°、27.2°に主たる回折ピークを有することが好ましく、分散時の安定性の面からは26.2°付近にはピークを有さないことが好ましい。上述したオキシチタニウムフタロシアニンのなかでも、7.3°、9.6°、11.6°、14.2°、18.0°、24.1°及び27.2°、又は7.3°、9.5°、9.7°、11.6°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に主たる回折ピークを有することがより好ましい。
これらの結晶型は主として、アモルファス、又は低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンから結晶変換することによって製造される。これらの結晶型は準安定型の結晶型であり、製造方法の違いにより様々な結晶型、粒子形状を示し、電荷発生能力、帯電性、暗減衰などの電子写真感光体としての特性も製造方法に依存していることが知られている。
前述のCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる明瞭な回折ピークを有するD型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニンの製造法としては、フタロシアニン結晶前駆体を、化学的処理後に有機溶媒に接触して得られることが好ましい。
本発明において化学的処理とは、単に物理的な力(例えば、機械的磨砕等)を用いてアモルファスオキシチタニウムフタロシアニン、又は低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを得る方法ではなく、溶解、反応等の化学的現象を用いてアモルファス、もしくは低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを調整する処理方法のことである。
化学的処理の具体的な例としては、フタロシアニン結晶前駆体を強酸中に溶解して行なうアシッドペースト法、又は強酸中で分散状態を経るアシッドスラリー法、ジクロロチタニルフタロシアニンにフェノール、アルコールを付加させた後に脱離させてオキシチタニウムフタロシアニンを得る方法等の化学的処理方法があげられ、より安定的なアモルファス、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを得るにはアシッドペースト法がより好ましい。
アシッドペースト法、アシッドスラリー法とは、顔料を強酸に溶解もしくは、懸濁、分散させた溶液を調整し、その調整した溶液を、強酸と均一に混じり、顔料がほとんど溶解しない媒体中(例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類など)に放出し、再顔料化させることにより顔料を改質する方法である。
アシッドスラリー法、アシッドペースト法には濃硫酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸、トリハロゲン化酢酸等の強酸が使用される。これら強酸は、強酸単独、もしくは強酸同士の混合使用、又は強酸と有機溶媒の組み合わせ等で用いることが可能である。強酸の種類はフタロシアニン結晶前駆体の溶解性を考慮すると、トリフルオロ酢酸などのトリハロゲン化酢酸や、濃硫酸が好ましく、生産コストを考慮すると、濃硫酸がより好ましい。
強酸にフタロシアニン結晶前駆体を溶解させる温度は、公知文献に掲載されている温度
条件で溶解させることが可能であるが、温度が高すぎると前駆体のフタロシアニン環が開環し、分解してしまうことから、5℃以下が好ましく、得られる電子写真感光体に及ぼす影響を考慮すると0℃以下がより好ましい。
用いる強酸の量は、任意の量で用いることが可能であるが、少なすぎるとフタロシアニン結晶前駆体の溶解性が悪くなることから、フタロシアニン結晶前駆体1質量部に対して5質量部以上、溶液中の固形分濃度が高すぎると撹拌効率が低下することから15質量部以上が好ましく、より好ましくは20質量部以上である。また、強酸使用量が多すぎると、廃棄酸量が増えることから、100質量部以下が好ましく、また生産効率を考慮すると50質量部以下がより好ましい。
得られたフタロシアニン結晶前駆体の酸溶液を放出する媒体の種類としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等の鎖状エーテルなどが挙げられ、公知の方法同様に、放出媒体は単一種で用いても、2種類以上を混合して使用してもよい。用いる媒体種により再顔料化された際の粒子形状、結晶状態等が変化し、この履歴が後に得られる最終結晶の電子写真感光体特性に影響を与えることから、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が好ましく、生産性、コストの面から水がより好ましい。
フタロシアニン結晶前駆体の濃硫酸溶液を放出媒体に放出し、再顔料化されたオキシチタニウムフタロシアニンは濾別によりウエットケーキとして濾別されるが、このウエットケーキは放出媒体中に存在した、濃硫酸の硫酸イオン等の不純物を多く含むことから、再顔料化された後に、洗浄媒体で洗浄を行なう。洗浄を行なう媒体は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等のアルカリ性水溶液、希塩酸、希硝酸、希酢酸等の酸性水溶液、イオン交換水等の水などが挙げられるが、顔料中に残存したイオン性物質は電子写真感光体特性に悪影響を与える場合が多いことから、イオン交換水等のイオン性の物質を取り除いた水が好ましい。
通常、アシッドペースト法、アシッドスラリー法より得られるオキシチタニウムフタロシアニンは明確な回折ピークを有さないアモルファスか、ピークは有するが、その強度が非常に弱く、半価幅の非常に大きいピークを有する低結晶性のものである。
通常、アシッドペースト法、アシッドスラリー法により得られたアモルファスオキシチタニウムフタロシアニン、又は低結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを有機溶媒に接触させることにより、本発明の電子写真感光体に用いることが出来るCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得ることが出来る。
通常有機溶媒との接触は水の存在下で行われる。水はアシッドペースト法、アシッドスラリー法により得られた含水ケーキ中に含まれたものを用いても、アシッドペースト法、アシッドスラリー法後に得られた含水ケーキをいったん乾燥させ、結晶変換時に新たに水を追加して用いてもよいが、乾燥させてしまうと顔料と水との親和性が低下することから、乾燥させずにアシッドペースト法、アシッドスラリー法により得られた含水ケーキ中に含まれたものを用いて行なうのが好ましい。
結晶変換に用いることが出来る溶媒としては、水と相溶性のある溶媒、水と非相溶の溶媒のいずれでも可能である。水と相溶性のある溶媒の好適な例としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテルが挙げられる。また、
水と非相溶の溶媒の好適な例としては、トルエン、ナフタレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロトルエン、o−ジクロロトルエン、ジクロロフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ニトロベンゼン、1,2−メチレンジオキシベンゼン、アセトフェノン等の置換芳香族系溶媒が挙げられ、中でも環状エーテル、クロロトルエン、ハロゲン化炭化水素溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が得られた結晶の電子写真特性が良好でありこの好ましく、テトラヒドロフラン、o−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロトルエン、ジクロロフルオロベンゼン、トルエン、ナフタレンが、得られた結晶の分散時の安定性という点でより好ましい。
結晶変換後得られた結晶は、乾燥工程を行なうことになるが、乾燥方法は送風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の方法で乾燥することが可能である。
フタロシアニン結晶前駆体を化学的処理後に有機溶媒に接触して得られた前記D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニンは感度などの電気特性に優れているが、暗減衰が大きく、カブリの無い良好な画像を得るためには、導電性支持体上に陽極酸化被膜、又は下引き層の様なブロッキング層を設ける必要がある。その一方で、これらブロッキング層を設けることにより残留電位が増大してしまうという課題があった。そこで、この系に本発明の芳香族カルボン酸金属塩、又はその金属錯体を添加することにより、残留電位を低減することができ、良好な感度、残留電位、画像特性を合わせもつ良好な感光体を得ることができる。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、基体からのリークによる画像黒点やカブリを防ぐために、ブロッキング層として陽極酸化被膜を施して用いることが好ましい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、ブロッキング層として下引き層を設けることが好ましい。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。これらは単独として用いてもよいし、又はいくつかの樹脂、金属酸化物等の粒子を同時に用いてもよい。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などが挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の
無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂などの公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.25μm以上、更に好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.75μm以上である。また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。また、下引き層は、画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<感光層>
感光層は導電性支持体上、上述の下引き層等のブロッキング層を有する場合は、その上に形成される。感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)が挙げられる。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明において積層型感光層の場合、フタロシアニン化合物は電荷発生層に含有される。また、式(I)で示される芳香族カルボン酸の金属錯体又は金属塩は、電荷発生層、電
荷輸送層の少なくとも一方に含有される。
<積層型感光層>
<電荷発生層>
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このよう
な電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の微粒子及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
本発明で電荷発生物質は前述のオキシチタニウムフタロシアニンが用いられるが、他の化合物を併用しても良い。
電荷発生物質として用いられる他の化合物としては、有機系光導電材料が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、前述以外のフタロシアニン化合物として、A型(β型)、B型(α型)のオキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、x型無金属フタロシアニン等が挙げられる。それ以外にはアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いた場合は、比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
従って、アゾ顔料とフタロシアニン化合物とを組み合わせて用いることで、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有することが可能となり好ましい。
機能分離型感光体における電荷発生層に用いられる結着樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
機能分離型感光体における電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
バインダー樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミ
ド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられ、前述の下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、又は2種以上を併用しても用いることが可能である。
機能分離型感光体の電荷発生層において、前記結着樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して10から1000質量部、好ましくは30から500質量部の範囲であり、その膜厚は通常0.1μmから10μm、好ましくは0.15μmから0.6μmである。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下する虞がある。一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招く虞がある。
前記電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散方法を用いることが出来る。この際粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
〔バインダー樹脂〕
電荷輸送層には、膜強度確保のためバインダー樹脂が使用される。電荷輸送層は電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることが出来る。バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等があげられる。これら樹脂は珪素試薬などで修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、又はポリアリレート樹脂が特に好ましい。
なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。また、バインダー樹脂は2種類以上ブレンドして用いることもできる。ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されないが、通常、10,000以上、好ましくは15,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、但し、通常、300,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量が過度に小さいと、感光層の機械的強度が低下し実用的ではない。また、粘度平均分子量が過度に大きいと、感光層を適当な膜厚に塗布形成する事が困難である。
〔電荷輸送物質〕
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサ
ゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
電荷輸送物質の好適な具体例を以下に示す。下記の化合物において、Rは同一でも、それぞれ異なっていてもよい置換基を表す。具体的には、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アリールアルキル等が好ましい。特に好ましくは、メチル基、エチル基又はベンジル基である。また、nは0以上2以下の整数である。
なお、以下の例示化合物は使用し得る電荷輸送物質の具体例であり、それらに限定されるものではない。
Figure 0006307850
Figure 0006307850
Figure 0006307850
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バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100質量部に対して10質量部以上、残留電位低減の観点から30質量部以上が好ましく、更に繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、35質量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150質量部以下、更に電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120質量部以下、更に耐刷性の観点からは100質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80質量部以下がとりわけ好ましい。
積層型感光体の場合、電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の
観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更に好ましくは40μm以下の範囲とする。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、機能分離型感光体の電荷輸送層と同様に、バインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作成し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることが出来る。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、前述した特定の結晶型を有するオキシチタニウムフタロシアニンが使用され、積層型感光体の電荷発生層において説明したものと同様のものも使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると十分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があることから、単層型感光層全体に対して、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
なお、積層型、及び単層型感光層を構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などを含有させてもよい。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。またレベリング剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
<その他の機能層>
積層型、あるいは単層型感光体では、その最表層に、感光層の損耗を防止し、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることが出来る。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることも出来る。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。
これらの感光体を構成する各層は、前記方法により得られた塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。中でも浸漬コーティング法が特に好ましい。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
[カートリッジ、画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図1に基づいて説明する。
図1において、1はドラム状感光体であり、軸を中心に矢印方向に所定の周速度で回転
駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段2により、その表面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部3において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。形成された静電潜像は、次に現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像が転写手段5により給紙部から給送された転写体(紙など)7に順次転写されていく。像転写された転写体はついで定着手段7に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段6により転写残りのトナーが除去され、除電手段により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
本発明の電子写真感光体を使用するのにあたって、帯電器としては、コロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段の例としては、帯電ローラー、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。直接帯電手段として、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光を用いることができる。
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μ程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
転写行程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラー定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着などが用いられ、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用さ
れ、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。
これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明においては、上記ドラム状感光体1、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6等の構成要素の内の複数のものをドラムカートリッジとして一体に結合して構成し、このドラムカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<感光体シート作成方法>
[実施例1]
平均一次粒子径13nmの酸化アルミニウム粒子(日本アエロジル社製 Aluminum Oxide C)を、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中で超音波により分散させることにより、酸化アルミニウムの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール(質量比7/3)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを、加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、酸化アルミニウム/共重合ポリアミドを質量比1/1で含有する固形分濃度8.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 0006307850
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイアバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、特開2007-148387号公報の比較合成例1と同様の方法で機械的処理によりアモル
ファス化した後に溶媒に接触させ得られたCuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し(D型)、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。こうして得られた160質量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0質量%の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
この電荷発生層形成用塗布液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として下記構造式で示されるCTM(1)を40質量部、芳香族カルボン酸の金属塩として3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩(オリエント化学工業製、商品名:ボントロンE−108)を0.5質量部、酸化防止剤として下記式で示される酸化防止剤(1)を4質量部、バインダー樹脂として下記繰り返し構造からなるポリアリレート樹脂(PAR-A、粘度平均分子量41,000)100質量部、及びレベリ
ング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、
電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006307850
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、サンプルを作製した。
〔実施例2〕
3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩の代わりに3,5―ジターシャリブチルサリチル酸亜鉛塩(オリエント化学工業製 商品名:ボントロンE―84)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
〔参考例1〕
3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩を添加しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
〔比較例1〕
電荷輸送物質としてCTM(1)の代わりに以下の構造のCTM(2)を40質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
〔比較例2〕
3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩の代わりに3,5―ジターシャリブチルサリチル酸亜鉛塩(オリエント化学工業製 商品名:ボントロンE―84)を0.5質量部添加した以外は、比較例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
〔比較例3〕
電荷輸送物質としてCTM(1)の代わりに以下の構造のCTM(3)を80質量部用い、3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩の添加量を0.1質量部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
〔比較例4〕
電荷輸送物質としてCTM(3)の代わりに以下の構造のCTM(4)を用いたこと以外は、比較例3と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
〔比較例5〕
電荷輸送物質としてCTM(3)の代わりに以下の構造のCTM(5)を用いたこと以外は、比較例3と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
〔比較例6〕
電荷輸送物質としてCTM(3)の代わりに以下の構造のCTM(6)を用いたこと以外は、比較
例3と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
〔比較例7〕
電荷輸送物質としてCTM(3)の代わりに以下の構造のCTM(7)を用いたこと以外は、比較
例3と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
〔比較例8〕
電荷輸送物質としてCTM(3)の代わりに以下の構造のCTM(8)を用いたこと以外は、比較例3と同様の操作を行い、サンプルを得た
Figure 0006307850
〔比較例9〕
電荷発生物質として実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニンの代わりに、B型オキシチタニウムフタロシアニンを用い、3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩(オリエント化学工業製 商品名:ボントロンE―108)の添加量を0.1質量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
〔比較例10〕
電荷発生物質として、特開2007-148387 合成例4と同様の方法で化学的処理によりア
モルファス化した後に溶媒に接触させて得られ、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質としてCTM(1)の代わりに以下の構造のCTM(9)を用い、3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩(オリエント化学工業製 商品名:ボントロンE―108)の添加量を0.1質量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプルを得た。
Figure 0006307850
<感光体の電気特性の評価>
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用いた。780nmの光を1.0μJ/cm照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光−電位測定に要する時間を100msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下で行った。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示す。電気特性の結果を表−1に示す。
Figure 0006307850
上記表−1から、電荷輸送物質の種類によらず、カルボン酸金属塩を含有することによりVLの絶対値が小さくなることがわかる。また、電荷発生物質としてD型のオキシチタニウムフタロシアニンとカルボン酸金属塩とを組合せた場合は、他の電荷発生物質との組合せと比べて、残留電位抑制の効果が大きいことがわかる。更に、前述したようにD型オキシチタニウムフタロシアニンでも化学的処理されたものは、ブロッキング層を設けたことにより表面電位が増大してしまうという課題があったことに対し、カルボン酸金属塩を含有することで、残留電位の増大を抑制できることがわかる。
<感光体ドラムの作成方法>
〔実施例3〕
切削加工した外径30mm、長さ246mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダーを、脱脂剤NG−#30(キザイ(株)製)の30g/L水溶液中で60℃、5分間脱脂洗浄を行った。続いて水洗を行った後、7%硝酸に25℃で1分間浸漬した。
更に水洗後、180g/Lの硫酸電解液中(溶存アルミニウム濃度7g/L)で1.2A/dmの電流密度で陽極酸化を行い、平均膜厚6μmの陽極酸化被膜を形成した。次いで、水洗後酢酸ニッケルを主成分とする高温封孔剤トップシールDX−500(奥野製薬工業(株)製)の10g/L水溶液に95℃で30分間浸漬し封孔処理を行った。続いて水洗を行った後、ポリエステル製スポンジを用いて被膜面を8回、往復させてこすり洗浄を行った。最後に水洗し乾燥し、表面粗さRa=0.14μmの基体を得た。
実施例1で用いた電荷発生層形成用塗布液に、前記陽極酸化処理及び封孔処理を施したアルミニウムシリンダーを浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.4μm(0.4g/m)となるように電荷発生層を作製した
続いて、3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩の添加量を0.1質量部としたこと以外は実施例3と同様にして作成した電荷輸送層形成用塗布液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるように浸漬塗布し、135℃で20分乾燥して積層型感光層を有する感光体ドラムを得た
〔参考例2〕
3,5―ジターシャリブチルサリチル酸アルミニウム塩を添加しないこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、感光体ドラムサンプルを得た。
〔比較例11〕
電荷輸送物質としてCTM(1)の代わりに以下の構造のCTM(9)を用いた以外は、実施例3と同様にしてサンプルを得た。
<接着性試験>
これら接着性試験用感光体上に、NTカッターを用いて、5mm間隔で縦に3本、横に4本切り込みを入れ、2×3の6マスを作製した。その上からセロテープ(登録商標)(ニチバン製)を貼り付け、接着面に対し90゜に引き上げることで、感光層の接着性を試験した。剥がれた感光層のマス数として評価した。剥がれた感光層のマス数が少ないほど接着性は良好である。金属塩を電荷輸送層に添加した結果を表−2に示す。
<感光体ドラムの電気特性評価>
前述の感光体シートと同様の装置を用いてこれら感光体ドラムの電気特性を評価した。初期表面電位をー700Vとし、露光エネルギー:0.7μJ/cm2を照射し、露光後0.06
秒後の電位をVLとした。環境は25℃、50%RHで測定した。
この結果を表―2に示す。
Figure 0006307850
上記表−2から、カルボン酸金属塩を含有することによりVLの絶対値が小さくなり、
更に基体との接着性が改善されていることがわかる。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラー
44 現像ローラー
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラー)
72 下部定着部材(定着ローラー)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層がCuKα特性X
    線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に
    主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン、下記一般式(II)又は(II
    I)で示される芳香族カルボン酸とアルミニウム又は亜鉛の錯体又は塩、及び下記一般式
    で表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 0006307850
    (式(II)、(III)中、置換基R11〜R13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はアリール
    基を表し、環Aは炭素数5〜10の芳香環を表す。aは0〜2の整数、b、cは0〜4の
    整数を表す。但し、R11〜R13は互いに結合して環を形成していても良い。)
    Figure 0006307850
    (Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はフェニル基を表し
    、nは0又は1を表す。)
  2. 前記導電性支持体と前記感光層との間にブロッキング層を有することを特徴とする、請
    求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ブロッキング層が、樹脂に金属酸化物粒子を分散した下引き層であることを特徴と
    する、請求項に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させ
    る帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、該電子写真
    感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部、該電子写真感光体上をクリーニングす
    るクリーニング部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする電子写真感光体カ
    ートリッジ。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させ
    る帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、及び該電子
    写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えることを特徴とする画像形
    成装置。
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