JP4661616B2 - 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、特定材料を組み合わせて使用する電子写真感光体、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。特に、レーザープリンター、複写機、ファクス等に使用される電子写真感光体で、LED光や半導体レーザー光に対して非常に有効で、耐久性にも優れた電子写真感光体、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。
電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。
有機系の光導電材料を使用した感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。また、積層型感光体では電荷発生層及び電荷輸送層を導電性基体上にこの順で積層した順積層型感光体と、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した逆積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから感光体の主流として鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用される。感光体は繰り返し使用されるため、様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては例えば、帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。また、感光体を帯電させるために感光体に接触している帯電ローラーや帯電ブラシ、余分なトナーを除去するためのクリーニングブレード、画像を転写するための転写ローラーなどによる機械的劣化が挙げられる。
ところで、近年、複写機、プリンターは共にモノクロからフルカラー化に向かっている。このフルカラー画像形成方法には主としてタンデム方式、4サイクル方式があり、また印刷媒体への転写方式としては、直接転写方式、転写ドラム方式、中間転写方式、多重現像一括転写方式などがある。これらの中でタンデム方式すなわち各色画像を各別の画像形成ユニットで形成し、逐次転写していくカラー画像形成装置は使用可能な記録材の種類が豊富であり、フルカラーの品質も高く、高速度でフルカラー画像を得ることが出来ることから、優れた画像形成方法である。中でも高速でフルカラー画像が出来る特質は他の方式にはみられない利点である。
ところが、タンデム方式の場合は、高速である反面、各色画像を複数の画像形成ユニットで形成し、逐次転写していくため、画像形成ユニットが後になるほど非転写媒体(中間転写媒体または記録材)に転写されたトナー像の厚みが厚くなり、電子写真感光体上に形成されたトナー層を転写するためにはより大きな転写電圧を印可する必要性が生じてきた。この結果、上記逆極性を負荷された場合の感光層への電荷の注入がより顕著となり、部位によって画像上の濃淡がより明瞭に生じる場合が出てきた。
近年の電子写真プロセスの高速化に伴い、電子写真感光体の特性として高感度化が必須となっており、そのためには電荷発生材料の最適化が必要であり、また、感光層全体としては、前述のような転写の影響を受けづらい感光体を構築することが必要となってきた。
高感度のためには電荷発生能力の高い電荷発生材料が必要である。そのなかでも現在主流となっているLD露光に高感度を示すオキシチタニウムフタロシアニンに関して盛んに研究が行われている。前記オキシチタニウムフタロシアニンは結晶多型を有することが知られていが、その中でも、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有する結晶型が高い量子効率を示し、高感度を示すことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
この結晶型は主として、アモルファス、又は低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンから結晶変換することによって製造される。これら結晶型は準安定型の結晶型であり、製造方法の違いにより様々な結晶型、粒子形状を示し、電荷発生能力、帯電性、暗減衰などの電子写真感光体としての特性の面も製造方法に依存して異なることが知られている。また感光体を作製して、画像形成装置へ感光体を搭載した場合に得られる画質も異なり、様々な性能を製造方法から予測することは困難である。
また、転写の影響を受けづらい感光層とするためには、感光層を形成するすべての材料のマッチングを検証する必要があり、さらに、実際の複写機、レーザープリンターを構成するプロセスから受ける影響が異なる場合が多く、いかなる材料の組み合わせが良好であるか明らかでなかった。
電子写真学会誌 1990年 第29巻 第3号 p.250〜258
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い感度を持ち、かつ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受けづらい感光体を提供することである。また、該感光体を用いた画像形成装置、および画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは、高い感度を持ち、かつ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受けづらい電子写真感光体について鋭意検討を行なった結果、特定の電荷発生材料の製造方法または電荷発生材料の塩素含有率と、特定構造を有するポリカーボネート樹脂とを組み合わせて電子写真感光体に用いることにより、感光体のその他諸特性に悪影響を与えることなく、高い感度を示し、かつ電子写真プロセスに於ける転写の影響を受けづらい電子写真感光体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第一の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する感光体であって、該感光層中に、フタロシアニン結晶前駆体を化学的処理後有機溶媒に接触して得られ、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が9.6°、24.1°、27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンと、下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
Figure 0004661616
(式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、R,Rはアルキル基を表し、m,nは1〜4の整数を表す。)
また、本発明の第二の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する感光体であって、該感光層中に、フタロシアニン結晶前駆体を化学的処理後有機溶媒に接触して得られ、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が9.5°、9.7°、24.2°、27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンと、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
また、本発明の第三の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する感光体であって、該感光層中に、塩素含有率が0.4重量%以下のオキシチタニウムフタロシアニンから結晶変換して得られ、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンと、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
また、本発明の第四の要旨は、本発明に係る電子写真感光体に対して、帯電、露光、反転現像、転写の各プロセスを行なう画像形成方法において、画像形成する記録紙の種類により、感光体上の像を転写する際の転写電圧が異なることを特徴とする、画像形成方法に存し、第五の要旨は、本発明に係る電子写真感光体を電子写真感光体を、複数使用するカラー画像形成方法であって、帯電、露光、反転現像、転写の各プロセスを、それぞれの電子写真感光体に対して独立に行なう画像形成方法において、転写プロセスでの印加電圧が異なることを特徴とする、画像形成方法に存する。
さらに、本発明の第六の要旨は、本発明の画像形成方法を用いることを特徴とした、画像形成装置に存する。
本発明によれば、使用開始時はもちろんのこと、繰り返し使用して転写プロセスの影響を長く受けた場合でも画像濃淡差等の画像欠陥が発生することなく、しかも電気特性に優れた電子写真感光体、および画像形成装置を得ることができる。本発明による感光体は安定性が極めて良好であり、耐久性に優れているため、高速の複写機やカラープリンター等に好適に用いることができ、特に転写電圧の大きい画像形成装置に於いても好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明は、フタロシアニン結晶前駆体を、化学的処理後有機溶媒に接触して得られる特定のオキシチタニウムフタロシアニンと、特定のポリカーボネート樹脂を併用することに
より、高性能の電子写真感光体を得る。
<化学的処理後有機溶媒に接触して得られるオキシチタニウムフタロシアニン>
本発明に係る電子写真感光体の感光層は、特定のオキシチタニウムフタロシアニンを含有するが、当該オキシチタニウムフタロシアニンは、フタロシアニン結晶前駆体を、化学的処理後に有機溶媒に接触して得られる。
本発明において化学的処理とは、アモルファスオキシチタニウムフタロシアニン、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを調整する段階で用いられる処理である。
化学的処理とは、単に物理的な力(例えば、機械的磨砕等)を用いてアモルファスオキシチタニウムフタロシアニン、又は低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを得る方法ではなく、溶解、反応等の化学的現象を用いてアモルファス、もしくは低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを得る処理方法のことである。
化学的処理の具体的な例としては、フタロシアニン結晶前駆体を強酸中に溶解して行なうアシッドペースティング法、または強酸中で分散状態を経るアシッドスラリー法、ジクロロチタニルフタロシアニンにフェノール、アルコールを付加させた後に脱離させてオキシチタニウムフタロシアニンを得る方法等の化学的処理方法があげられ、より安定的なアモルファス、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを得るにはアシッドペースト法がより好ましい。
アシッドペースト法、アシッドスラリー法とは、顔料を強酸に溶解もしくは、懸濁、分散させた溶液を調整し、その調整した溶液を、強酸と均一に混じり、顔料がほとんど溶解しない媒体中(例えば、オキシチタニウムフタロシアニンの場合は水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類など)に放出し、再顔料化させることにより顔料を改質する方法である。
アシッドスラリー法、アシッドペースト法には濃硫酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸、トリハロゲン化酢酸等の強酸が使用される。これら強酸は、強酸単独、もしくは強酸同士の混合使用、または強酸と有機溶媒の組み合わせ等で用いることが可能である。強酸の種類はフタロシアニン結晶前駆体の溶解性を考慮すると、トリフルオロ酢酸などのトリハロゲン化酢酸や、濃硫酸が好ましく、生産コストを考慮すると、濃硫酸がより好ましい。
濃硫酸の含有量は、フタロシアニン結晶前駆体の溶解性を考慮すると、90%以上の濃硫酸が好ましく、さらに濃硫酸の含有量が低いと生産効率が低下することから、より好ましくは95%以上の濃硫酸である。
強酸にフタロシアニン結晶前駆体を溶解させる温度は、公知文献に掲載されている温度条件で溶解させることが可能であるが、温度が高すぎると前駆体のフタロシアニン環が開環し、分解してしまうことから、5℃以下が好ましく、得られる電子写真感光体に及ぼす影響を考慮すると0℃以下がより好ましい。
用いる強酸の量は、任意の量で用いることが可能であるが、少なすぎるとフタロシアニン結晶前駆体の溶解性が悪くなることから、フタロシアニン結晶前駆体1重量部に対して5重量部以上、溶液中の固形分濃度が高すぎると撹拌効率が低下することから15重量部以上が好ましく、より好ましくは20重量部以上である。また、強酸使用量が多すぎると、廃棄酸量が増えることから、100重量部以下が好ましく、また生産効率を考慮すると50重量部以下がより好ましい。
得られたフタロシアニン結晶前駆体の酸溶液を放出する媒体の種類としては、水、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等の鎖状エーテルなどが挙げられ、公知の方法同様に、放出媒体は単一種で用いても、2種類以上を混合して使用してもよい。用いる媒体種により再顔料化された際の粒子形状、結晶状態等が変化し、この履歴が後に得られる最終結晶の電子写真感光体特性に影響を与えることから、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が好ましく、生産性、コストの面から水がより好ましい。
フタロシアニン結晶前駆体の濃硫酸溶液を放出媒体に放出し、再顔料化されたオキシチタニウムフタロシアニンは濾別によりウエットケーキとして濾別されるが、このウエットケーキは放出媒体中に存在した、濃硫酸の硫酸イオン等の不純物を多く含むことから、再顔料化された後に、洗浄媒体で洗浄を行なう。洗浄を行なう媒体は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等のアルカリ性水溶液、希塩酸、希硝酸、希酢酸等の酸性水溶液、イオン交換水等の水などが挙げられるが、顔料中に残存したイオン性物質は電子写真感光体特性に悪影響を与える場合が多いことから、イオン交換水等のイオン性の物質を取り除いた水が好ましい。
通常、アシッドペースト法、アシッドスラリー法より得られるオキシチタニウムフタロシアニンは明確な回折ピークを有さないアモルファスか、ピークは有するが、その強度が非常に弱く、半価幅の非常に大きいピークを有する低結晶性のものである。
通常、アシッドペースト法、アシッドスラリー法により得られたアモルファスオキシチタニウムフタロシアニン、又は低結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを有機溶媒に接触させることにより、本発明の電子写真感光体に用いることが出来るCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°、24.1°、27.2°または、9.5°、9.7°、24.1°、27.2に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得ることが出来る。
通常有機溶媒との接触は水の存在下で行われる。水はアシッドペースト法、アシッドスラリー法により得られた含水ケーキ中に含まれたものを用いても、アシッドペースト法、アシッドスラリー法後に得られた含水ケーキをいったん乾燥させ、結晶変換時に新たに水を追加して用いてもよいが、乾燥させてしまうと顔料と水との親和性が低下することから、乾燥させずにアシッドペースト法、アシッドスラリー法により得られた含水ケーキ中に含まれたものを用いて行なうのが好ましい。
結晶変換に用いることが出来る溶媒としては、水と相溶性のある溶媒、水と非相溶の溶媒のいずれでも可能である。水と相溶性のある溶媒の好適な例としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテルが挙げられる。また、水と非相溶の溶媒の好適な例としては、トルエン、ナフタレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロトルエン、o−ジクロロトルエン、ジクロロフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ニトロベンゼン、1,2−メチレンジオキシベンゼン、アセトフェノン等の置換芳香族系溶媒が挙げられ、中でも環状エーテル、クロロトルエン、ハロゲン化炭化水素溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が得られた結晶の電子写真特性が良好でありこの好ましく、テトラヒドロフラン、o−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロトルエン、ジクロロフルオロベンゼン、トルエン、ナフタレンが、得られた結晶の分散時の安定性という点でより好ましい。
結晶変換後得られた結晶は、乾燥工程を行なうことになるが、乾燥方法は送風乾燥、加
熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の方法で乾燥することが可能である。
前記製造法により得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°、24.1°、27.2°または、9.5°、9.7°、24.1°、27.2°に主たる回折ピークを有する結晶である。他の回折ピークとしては26.2°付近にピークを有する結晶は分散時の結晶安定性に劣ることから、26.2°付近にはピークを有さないことが好ましい。なかでも、7.3°、9.6°、11.6°、14.2°、18.0°、24.1°及び27.2°、又は7.3°、9.5°、9.7°、11.6°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に主たる回折ピークを有する結晶が電子写真感光体として用いた場合の暗減衰、残留電位の観点からより好ましい。
これらオキシチタニウムフタロシアニンの粒子径は製法、結晶変換方法によって大きく異なるが、分散性を考慮すると、1次粒子径として、500nm以下が好ましく、塗布成膜性の面からは250nm以下であることが好ましい。
本発明に係わるオキシチタニウムフタロシアニン結晶の塩素含有量においては、いかなる公知の方法でも測定可能であるが、本明細書中での塩素含有量は以下の条件で測定した。また、塩素化オキシチタニウムフタロシアニンと無置換オキシチタニウムフタロシアニンのマススペクトルの強度比については以下のような条件によって測定することにより求めた。
<塩素含有量の測定>
オキシチタニウムフタロシアニン約100mgを精秤し、石英ボードにとり、三菱化学社製昇温型電気炉QF−02にて完全燃焼し、燃焼ガスを水15mlにて定量吸収させた。その吸収液を50mlに希釈し、イオンクロマトグラフィー(Dionex社製「DX−120」)でCl分析を行なった。下記にイオンクロマトグラフィーの条件を示す
カラム:Dionex IonPak AG12A+AS12A
溶離液:2.7mM NaCO/0.3mM NaHCO
流量:1.3ml/min
注入量:50μl
<マススペクトル測定条件>
1・試料の調整
オキシチタニウムフタロシアニン0.50gをガラスビーズ(φ1.0〜1.4mm)30g、シクロヘキサノン10gと共に50mlのガラス容器に入れ、染料分散試験機(ペイントシェーカー)で3時間分散処理をし、オキシチタニウムフタロシアニン分散液とした。この分散液を20mlサンプル瓶に1μl採取し、クロロホルム5mlを加えた。次に1時間超音波により分散させ、10ppm分散液を調整した。
2・測定装置・条件
測定装置:JEOL製 JMS−700/MStaion
イオン化モード:DCI(−)
反応ガス:イソブタン(イオン化室圧力1×10 −5 Torr)
フィラメントレート:0 → 0.90A(1A/min)
質量分析能:2000
スキャン法:MF−Linear
スキャン質量範囲:500 to 600
全質量範囲スキャン時間:0.8s
繰り返し時間:0.5s
3・塩素化オキシチタニウムフタロシアニンと無置換オキシチタニウムフタロシアニンのマススペクトル強度比算出方法
測定用分散液1μlをDCIプローブのフィラメントに塗布し、マススペクトルを上記条件で実施した。得られたマススペクトルにおいて、塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの分子イオンに相当するm/z=610及び無置換オキシチタニウムフタロシアニンの分子イオンに相当するm/z=576のイオンクロマトから得られるピーク面積の比(「610」ピーク面積/「576」ピーク面積)をマススペクトル強度比として算出する。
オキシチタニウムフタロシアニン中に含有される塩素分の種類としては、反応に用いた溶媒の残存物、原料として用いる四塩化チタンから由来したイオン種として含有されるものや、四塩化チタンを中心金属源として用いた場合に反応系中でフタロシアニン環に塩素化が起こり、塩素化フタロシアニンとして結晶中に含有されるものなどがある。これら不純物のうち、反応溶媒や、イオン種のものについては、ほとんどのものが反応後の洗浄操作で洗い出されるのに対して、塩素化フタロシアニンについては、反応系中でフタロシアニン結晶を形成する際に、その結晶中に取り込まれてしまうことから、容易に除去出来ず、これが最終段階まで残り、塩素分として残存することになる。これら残存した塩素化フタロシアニンが画像のメモリ現象にどの様なメカニズムで影響を与えているかは明確ではないが、塩素化フタロシアニンを含有することにより、結晶格子に歪みが生じたり、また結晶粒子の表面電荷状態に影響が現れ、この影響が電荷輸送材料と電荷発生材料が接している界面近傍での電荷のトラップに関与しているのではないかと推測される。
先述した元素分析手法に基づいて測定される塩素含有率について0.4重量%以下であることが好ましい。この理由は明確ではないが、不純物として、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶は、準安定型の結晶型であり、物理的力等の外的な衝撃に弱く、安定結晶型への結晶型の転位が起こってしまう。塩素原子を有する化合物等の大きな分子団が結晶中に存在すると、結晶中の分子配列の歪みが大きくなり、物理的な力による影響を受けやすくなり、結晶安定性が低下するため、塩素含有量0.3重量%であることが好ましい。また、塩素原子を有する化合物等が存在すると結晶中の分子間距離が離れ、分子面間のπ電子系の相互作用が低下し、電荷発生能力に対して悪影響を与えることから、塩素含有率は0.2重量%以下であることがより好ましい。
フタロシアニン環が塩素化されたオキシチタニウムフタロシアニン(塩素化オキシチタニウムフタロシアニン)の量については、先述したマススペクトルのサンプル調整方法、測定方法、スペクトル強度比算出方法にもとづいて求めることが可能である。前記同様に、塩素化オキシチタニウムフタロシアニンが結晶中に含有されると、その塩素基が置換されている分だけ単分子の体積が大きくなり、結晶中の分子配列に影響を与え、結晶の安定性が低下することから、前記マススペクトル測定によるピーク強度比が、0.050以下が好ましく、塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの含有量が多くなると、感度が悪化する傾向にあることから、0.030以下がより好ましい。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明において、感光層は、下記式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として含有する。
Figure 0004661616
式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素
数1〜5のアルキル基、より好ましくは水素原子または炭素数3以下のアルキル基であり、特には水素原子またはメチル基であることが好ましい。RおよびRはアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、特にはメチル基が好ましい。mおよびnは1〜4の整数を表し、好ましくは2以下、特に好ましくは1である。mおよびnが、2以上である場合、複数存在するRおよびRは、互いに異なっていてもよい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂の具体例として、下記繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂があげられるが、本発明に係るポリカーボネート樹脂はこれらのポリカーボネート樹脂に限るものではない。
Figure 0004661616
例えば、式(1)に於いてR、R,Rがそれぞれメチル基である、繰り返し構造単位からなる樹脂は、特開昭63−148263号公報に記載の製造方法にて合成することができるが、この製造方法に限定されるものではない。
式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
は、低すぎると機械的強度が不足するため、通常10,000以上、好ましくは20,000以上であり、特には30,000以上である。また、粘度平均分子量が高すぎると、感光層形成のための塗布液の粘度が高くなり生産性が低下する場合があるため、通常150,000以下、好ましくは100,000以下であり、特には50,000以下で用いられる。この場合の粘度平均分子量は、以下のようにして測定することができる。即ち、当該ポリカーボネート樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
本発明の感光層は、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有するものであるが、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂は、実質上式(1)で表される繰り返し単位からなるものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、他の繰り返し構造を有していても構わない。
また、本発明の感光層は本発明に係る式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有するものであるが、他のバインダー樹脂を含有していても構わない。併用される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有する層が、該樹脂以外のバインダー樹脂を含有する場合、本発明の電子写真感光体の機械的特性を維持するため、該層に含有される全バインダー樹脂に対して、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂が、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上であるが、特に好ましくはバインダー樹脂として式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂のみを用い、該樹脂以外のバインダー樹脂を含有しない。
<電子写真感光体>
以下、本発明の電子写真感光体について説明する。
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体があげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明の電子写真感光体で使用されるオキシチタニウムフタロシアニンおよび式(1)で表されるポリカーボネート樹脂は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されて
いても構わないが、オキシチタニウムフタロシアニンは通常、単層型感光層または積層型感光層の電荷発生層に、式(1)で表されるポリカーボネート樹脂は通常、単層型感光層または積層型感光層の電荷輸送層に含有される。特に、電気特性に高い効果が得られることから、積層型感光層の各層中に含有されるのが好ましい。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために。適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行なうことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも電気特性および下引き層形成要の塗布液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダー樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<電荷発生物質>
導電性支持体上に形成された感光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のものであっても、もしくは電荷発生物質がバインダー中に分散された電荷発生層と電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層とに機能分離された積層構造のもののいずれであってもよい。感光層が積層構造を有する場合において、電荷発生層は前記オキシチタニウムフタロシアニンを電荷発生物質の少なくとも1種として含有する電荷発生物質と結着樹脂からなる。
機能分離型感光体においての電荷発生層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に前記オキシチタニウムフタロシアニンを少なくとも1種含有する電荷発生物質とを分散させることにより塗布液を調整し、これを導電性支持体上に塗布し、電荷発生物質の微粒子と各種バインダー樹脂とを結着することにより形成される。
電荷発生物質はオキシチタニウムフタロシアニンを単独として用いてもよいし、またはいくつかの染顔料との混合状態で用いてもよい。
オキシチタニウムフタロシアニンと混合状態としてもちいる染顔料としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム顔料)、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。
混合状態として用いる染顔料としては、光感度の面から、フタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましく使用される。
機能分離型感光体における電荷発生層に用いられる結着樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
結着樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられ、後述する下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、または2種以上を併用しても用いることが可能である。
機能分離型感光体の電荷発生層において、前記結着樹脂と電荷発生物質との配合比(重量)は、バインダー樹脂100重量部に対して10から1000重量部、好ましくは30から500重量部の範囲であり、その膜厚は通常0.1μmから4μm、好ましくは0.15μmから0.6μmである。電荷発生物質の比率が高すぎる場合は電荷発生物質の凝集等の問題により塗布液の安定性が低下し、一方低すぎる場合は感光体としての感度の低下をまねくことから、前記範囲で使用する事が好ましい。前記電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散方法を用いることが出来る。この際粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送物質>
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0004661616
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Figure 0004661616
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<バインダー樹脂>
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、前記の電荷発生物質や電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成され、本発明に係るポリカーボネート樹脂は、バインダー樹脂として用いられる。複数の層が積層された感光層の場合、本発明に係るポリカーボネート樹脂はその何れの層に用いられても構わないが、通常、積層型感光の電荷輸送層、または単層型感光体の感光層に用いられる。バインダー樹脂は、本発明に係るポリカーボネートの他に、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も併用可能である。本発明の効果を発現するためには、必ずしも発明のポリカーボネート樹脂を最外層に含む必要はなく、いずれの層に含んでも構わない。
積層型感光体の電荷輸送層、および単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20重量部以上であって、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下、さらに電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120重量部以下、さらに耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
単層型感光体の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、さらに前記の電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下の弊害があり、例えば、好ましくは0.1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で使用され、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50μmの範囲で用いら
れるが、長寿命、画像安定性の観点からは、好ましくは10〜45μm、高解像度の観点からは10〜30μmがより好ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコーンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることが出来る。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のような、トリフェニルアミン骨格の電荷輸送能を有する骨格と、上記樹脂の共重合体を用いることも出来る。上記保護層は電気抵抗が109〜1014Ω・cmとなる
ように構成することが好ましく。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまい、一方109Ω・cmより低くなると画像のボケ、
解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
<層形成方法>
感光体を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
層形成用の塗布液は、単層型感光体および積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を、通常5〜40重量%の範囲で用いられるが、10〜35重量%の範囲で使用するのが好ましい。また、該塗布液の粘度は、通常10〜500mPa・sの範囲で用いられるが、50〜400mPa・sの範囲とするのが好ましい。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、通常0.1〜15重量%の範囲で使用されるが、1〜10%の範囲で使用することがより好ましい。塗布液の粘度は、通常0.01〜20mPa・sの範囲で使用されるが、0.1〜10mPa・sの範囲で使用されることがより好ましい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティン
グ法等があげられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時間の間、無風、または送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラー、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラー型の帯電装置(帯電ローラー)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電ローラーに樹脂シートの等を巻き付け感光体と帯電ローラーを帯電性の安定する距離で非接触に保った状態で帯電を行なうNCローラー帯電方式をとることも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。デジタル式電子写真方式としては、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラー43、現像ローラー44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。現像方式は、接触方式、非接触方式のいずれの方式で行なってもよい。用いるトナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状、ラグビーボール状の球形から外れたものも使用する
ことができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
供給ローラー43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラー44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラー44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラー44は、電子写真感光体1と供給ローラー43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラー43に各々当接している。供給ローラー43及び現像ローラー44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラー43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラー44に供給する。現像ローラー44は、供給ローラー43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラー44に当接し、ばね等によって現像ローラー44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラー43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTにより形成された像は、転写装置5により記録紙Pに転写され、記録紙上に画像が形成される。ここで記録紙Pには通常紙が用いられるが、PETフィルム等のOHP用の透明樹脂フィルムなどを用いることもある。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。本発明においては、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラー,転写ベルト等から構成されるものに適用した場合高い効果を発揮する。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙Pに転写するものである。本発明に係る電子写真感光体は、この印加する転写電圧が大きい場合であっても小さい場合であっても良好な画像を形成できるという効果を発現するため、特に記録紙Pの種類により転写電圧が変化する場合にも安定した画像を形成することが可能であって、記録紙Pが紙であっても、樹脂フィルムであっても良好な画像形成が可能となる。従って、記録紙Pの種類により転写電圧が変化するような画像形成方法を用いる装置に適用することが好ましい。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラー)71及び下部定着部材(定着ローラー)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。な
お、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラー定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。などの公知の方法のいずれでも用いることが可能であり、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラー43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラー44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラー44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
特に、本発明に係る感光体は、転写電圧の変動が大きい場合であっても良好な画像を形成できるという効果を発現するため、フルカラータンデム方式の構成として複数ある電子写真感光体に印加される転写電圧が変動しても良好な画像を形成することが可能であり、特に意図的に複数の電子写真感光体に印加される転写電圧が異なる画像形成方法を用いる装置に適用することが好ましい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、合成例および実施例によって本発明を説明する。実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明の要旨に反しない限り、実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において、部は「重量部」を意味する。
合成例1
特開平10−7925号報中に記載の「粗TiOPcの製造例」、「実施例1」の順に従ってβ型オキシチタニウムフタロシアニンを調整した。
得られたオキシチタニウムフタロシアニンの粉末XRDスペクトルを図2に示す。TiOPc結晶中に含有される塩素含有量を前記元素分析手法を用いて分析した結果、塩素含有量は検出下限以下の0.20重量%以下であった。また前記<マススペクトル測定条件>に従ってオキシチタニウムフタロシアニンと塩素化オキシチタニウムフタロシアニンピーク強度比を測定すると、0.002であった。
合成例2
特開昭62−67094号公報中に記載の製造例1の方法に基づきオキシチタニウムフタロシアニンを調整した。TiOPc結晶中に含有される塩素含有量を前記元素分析手法を用いて分析した結果、塩素含有量は0.51重量%であった。また、前記<マススペクトル測定条件>に従ってオキシチタニウムフタロシアニンと塩素化オキシチタニウムフタロシアニンピーク強度比を測定すると、0.055であった。
合成例3
合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン18部を−10℃以下に冷却した95%濃硫酸720部中に添加した。このとき硫酸溶液の内温が−5℃を超えないようにゆっくりと添加した。添加終了後、濃硫酸溶液を−5℃以下で2時間撹拌した。撹拌後、濃硫酸溶液をガラスフィルターで濾過し、不溶分を濾別後、濃硫酸溶液を氷水10800部中に放出することにより、オキシチタニウムフタロシアニンを析出させ、放出後1時間撹拌した。撹拌後、溶液を濾別し、得られたウエットケーキを再度水900部中で1時間
洗浄し、濾過を行った。この洗浄操作を濾液のイオン伝導度が0.5mS/mになるまで繰り返すことにより、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエトケーキを185部得た。(オキシチタニウムフタロシアニン含有率9.5%)
得られた低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキ93部を水190部中に添加し、室温で30分撹拌した。その後、o−ジクロロベンゼン39部を添加し、さらに室温で1h撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール134部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール134部を用いて1時間撹拌洗浄後、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、図3に示すようなCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.5°、11.6°、14.2°、18.0°、24.3°及び27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(CG1)を7.8量部得た。
合成例4
低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキを得るまでは合成例3と同様の操作を行なった。低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキの46部をテトラヒドロフラン400部中に添加し、室温で5時間撹拌した。撹拌後、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、図4に示すようなCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.5°、9.7°、11.6°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(CG2)を3.9部得た。
合成例5
合成例2で得られたオキシチタニウムフタロシアニンを用いる以外は、合成例3の低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキを得るまでの工程と同様の操作を行なうことにより、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキを142部得た。(オキシチタニウムフタロシアニン含有率12.8%)。
得られた低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキ24.8部を水100部中に添加し、室温で30分撹拌した。その後、o−ジクロロベンゼン6.2部を添加し、さらに室温で1h撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール79部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール79部を用いて1時間撹拌洗浄、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、図5に示すようなCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.5°、11.6°、14.2°、18.0°、24.0°及び27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(CG3)を2.5部得た。
比較合成例1
特開平2−308863号公報中に記載の実施例1に基づき、オキシチタニウムフタロシアニンを調整した。得られた結晶変換前のオキシチタニウムフタロシアニンの粉末XRDスペクトルを図6に示す。結晶変換前のオキシチタニウムフタロシアニン結晶中に含有される塩素含有量を前記分析手法を用いて測定した結果、塩素含有量は0.55重量%であった。また、前記<マススペクトル測定条件>に従ってオキシチタニウムフタロシアニンとクロロオキシチタニウムフタロシアニンピーク強度比を測定すると、0.058であった。
この得られたオキシチタニウムフタロシアニン15部とφ1.0〜1.4mmのガラスビーズ170部とを共にポリビン中に充填し、染料分散試験機(ペイントシェーカー)で20時間処理した(機械的摩砕処理)。摩砕処理後のオキシチタニウムフタロシアニンをガラスビーズから剥離し、剥離後水250部中に添加し、室温で30分撹拌した。その後、o−ジクロロベンゼン31部を添加し、さらに室温で1h撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール250部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール250部を用いて1時間撹拌洗浄後、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、図7に示すようなCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.5°、11.6°、14.2°、18.0°、24.3°及び27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(CG4)を14.3部得た。
実施例1
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ351mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行なうことにより、約6μmの陽極酸化被膜によるブロッキング層(以下、このブロッキング層をAmということがある)を形成した。
また、電荷発生物質として、合成例3で得られたオキシチタニウムフタロシアニン(CG1)20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)を1,2−ジメトキシエタン253部を、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液を調製した。
この分散液に、陽極酸化処理したアルミニウムシリンダーを浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように電荷発生層を作製した。
次に、電荷輸送物質として下記構造を有する電荷輸送物質60部と、
Figure 0004661616
バインダー樹脂として下記繰り返し構造からなるポリカーボネート樹脂(PC1;粘度平均分子量約30,000)100部、
Figure 0004661616
下記構造を有する酸化防止剤8部、
Figure 0004661616
およびレベリング剤としてシリコーンオイル(商品名 KF96 信越化学工業(株))0.05部を、テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒640部に溶解させた液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるように浸漬塗布し、積層型感光層を有する感光体ドラムAを得た。
実施例2
バインダー樹脂として、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(PC2;粘度平均分子量約30,000)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光
体Bを得た。
Figure 0004661616
実施例3
電荷発生物質として、合成例4で得られたオキシチタニウムフタロシアニン(CG2)20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Cを得た。
実施例4
電荷発生物質として、合成例5で得られたオキシチタニウムフタロシアニン(CG3)20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Dを得た。
実施例5
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 0004661616
この分散液を、陽極酸化処理されていないアルミニウムシリンダー(外径30mm、長さ351mm、厚さ1.0mm)に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるようにブロッキング層(以下、このブロッキング層をUCLということがある)を設けた。
この上に、実施例1と同様にして、電荷発生層および電荷輸送層を設け、感光体Eを得た。
比較例1
バインダー樹脂として、実施例1で用いたポリカーボネート樹脂(PC1)の代わりに下記繰り返し構造からなるポリカーボネート樹脂(PC3;粘度平均分子量約30,000)100部を用いて、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒の代わりに1,4−ジオキサンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Fを得た。
Figure 0004661616
比較例2
バインダー樹脂として、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(PC4;粘度平均分子量約30,000)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Gを得た。
Figure 0004661616
比較例3
電荷発生物質として、比較合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン(CG4)20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Hを得た。
比較例4
電荷発生物質として、比較合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン20部(CG4)を用いた以外は、実施例2と同様にして感光体Iを得た。
比較例5
電荷発生物質として、比較合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン20部(CG4)を用いた以外は、比較例2と同様にして感光体Jを得た。
<電気特性の評価>
実施例1〜5および比較例1〜5において作製した電子写真感光体A〜Jを、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度(E1/2)として測定した(μJ/cm2)。また、該露光光を1.0μJ/cm2の強度で照射したときの100ms後の露光
後表面電位(VL1)を測定した(−V)。
さらに、上記プロセスの電位測定と除電の間に、転写をシミュレートする目的で、プラス極性のコロトロン帯電器を装着した。1サイクル/秒のスピードでドラムを回転させ、除電光はオフとし、マイナス、プラスの帯電のサイクルを4000回繰り返した。その後、ふたたび除電光をオンし、VL1と同様にして露光後表面電位(VL2)を測定した(−V)。ここで、マイナス帯電はスコロトロンで初期表面電位を−700Vに帯電させる条件とし、プラス帯電は出力一定7kVでコロトロン帯電とした。
ΔVL=VL2−VL1を計測することで、プラス帯電の繰り返しが電子写真感光体特性に与える影響の大きさを評価し、下記表1に示す。
Figure 0004661616
表1の結果から、実施例および比較例のすべての感光体に於いて、初期的には良好な電気特性を示しているが、プラス帯電を繰り返した後では、実施例の電子写真感光体に限って、プラス帯電の繰り返しの影響を受けづらく、安定した特性を得られることがわかる。
また、本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンを用いる効果は、比較例2および比較例5で用いたPC4(Z−PCR)では見られないが、本発明のPC1およびPC2に於いてのみ効果が確認されることがわかる。
<画像評価>
実施例および比較例で得られた電子写真感光体A,F,Hをそれぞれ、A3印刷対応である市販のタンデム型カラープリンター(沖データ社製 Microline3050c)のシアンドラムカートリッジに装着し、上記プリンターに装着した。まず、温度35℃、湿度80%の条件下、印刷のメディアタイプ(記録紙)をOHPに設定し、縦送りで、三菱化学メディア社製A4版OHPフィルムMC502にシアン色の画像を100枚印刷した。次に、A3紙にシアンのベタ画像を印刷し、画像評価を行なった。
A3紙に印刷されたベタ画像のOHPの通紙エリア(感光体がOHPシートを通して転写によるダメージを受けた部分)とOHPの非通紙エリア(感光体が直接転写によるダメージを受けた部分)の濃度差を確認したところ、実施例の感光体Aでは目視で濃度差が確認されなかったが、比較例の感光体FではOHP非通紙エリアで大きな濃度低下が見られた。また、比較例の感光体HでもOHP非通紙エリアで目視確認できるレベルの濃度低下が見られた。
これより、比較例の感光体では、転写プロセスによるプラス帯電の影響で感光体がダメージを受けて、濃度差を生じさせたことがわかる。一方、本発明の感光体に限り、良好な画像を得ることができる。
次に、同様の実験をマゼンタのカートリッジで行なったところ、その程度の差が小さく見られた。
さらに、OHPではなく通常のA4上質紙で転写による疲労を実施させたところ、その程度の差はさらに小さく見られた。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。 合成例3で得られたオキシチタニウムフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。 合成例4で得られたオキシチタニウムフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。 合成例5で得られたオキシチタニウムフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。 比較合成例で得られた結晶変換前のオキシチタニウムフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。 比較合成例で得られた結晶変換後のオキシチタニウムフタロシアニン化合物の粉末X線回折図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラー)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラー
44 現像ローラー
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラー)
72 下部定着部材(定着ローラー)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に、フタロシアニン結晶前駆体を化学的処理後、有機溶媒に接触して得られる、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°、24.1°、および27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンと、下記式(1
    で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004661616
    (式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、R,Rはアルキル基を表し、m,nは1〜4の整数を表す。)
  2. 導電性支持体上に感光層を有する感光体において、該感光層中に、フタロシアニン結晶前駆体を化学的処理後有機溶媒に接触して得られ、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が9.5°、9.7°、24.2°、27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンと、上記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  3. 素含有率が0.4重量%以下のオキシチタニウムフタロシアニンから結晶変換して得られるオキシチタニウムフタロシアニンを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体に対して、帯電、露光、反転現象、転写の各プロセスを行なうことにより画像を形成することを特徴とする、画像形成装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電装置、露光装置、現象装
    置、転写装置、クリーニング装置、及び定着装置のうち、少なくとも一つを有することを特徴とする、電子写真カートリッジ。
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