JP4379227B2 - フタロシアニン化合物の製造方法、並びに電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
一般にフタロシアニン化合物は、製造ルート、製造条件、処理方法によって様々な結晶型を示すことが知られている。また、フタロシアニン化合物を光電変換材料として用いた場合、結晶型の違いにより、その光電変換特性が大きく異なることも知られている(例えば非特許文献1参照)。
さらに、従来の製造方法により得られるフタロシアニン化合物は、電子写真感光体に用いた場合の感光体特性が十分満足のいくものではなかった。
さらに、本発明の更に別の要旨は、上記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部、及び、現像剤を感光体から除去するクリーニング部のうち、少なくとも一つとを備えたことを特徴とする、電子写真感光体カートリッジに存する(請求項3)。
[I.フタロシアニン化合物の製造方法]
本発明のフタロシアニン化合物の製造方法(以下適宜、「本発明の製造方法」という)は、フタロシアニン環を形成しうる化合物(以下適宜、「フタロシアニン環形成化合物」という)と、3価の金属塩とを、フェノキシ基を有する化合物(以下適宜、「フェノキシ基含有化合物」という)中で反応させ、フタロシアニン化合物を得るものである。
本発明の製造方法により製造できるフタロシアニン化合物(以下適宜、「本発明のフタロシアニン化合物」という)については、中心金属の価数が3価であるフタロシアニン化合物であれば任意のフタロシアニン化合物の製造が可能である。
中心金属が3価であるフタロシアニン化合物の例としては、長周期型周期表における13属元素をフタロシアニン環の中心に有するフタロシアニン化合物が挙げられる。その具体例としては、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ブロモアルミニウムフタロシアニン、ブロモガリウムフタロシアニン、ブロモインジウムフタロシアニン等の中心金属にハロゲン原子が結合したフタロシアニン化合物;メトキシアルミニウムフタロシアニン、メトキシガリウムフタロシアニン、エトキシガリウムフタロシアニン、メトキシインジウムフタロシアニン等の中心金属にアルコキシ基が結合したフタロシアニンなどが挙げられる。中でも、電子写真感光体に用いた場合に優れた感光体特性を発揮しうる、クロロガリウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、メトキシガリウムフタロシアニンが好ましい。また、製造時には1種のフタロシアニン化合物を単独で製造してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で製造しても良い。
本発明の製造方法において用いられるフェノキシ基含有化合物は、フタロシアニン環形成化合物と3価の金属塩との反応の反応媒質として機能するものである。フェノキシ基を含有する化合物であれば他に制限は無く、任意の化合物を用いることができる。その具体例を挙げると、アニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、o−ニトロアニソール、m−ニトロアニソール、p−ニトロアニソール、o−クロロアニソール、m−クロロアニソール、p−クロロアニソール、o−メチルアニソール、m−メチルアニソール、p−メチルアニソール、ベンジルフェニルエーテル、2−メトキシビフェニル、4−メトキシビフェニルなどのフェニルアルキルエーテル類、ジフェニルエーテル、4−クロロジフェニルエーテル等のジアリールエーテル類などが挙げられる。
本発明の製造方法において使用されるフタロシアニン環形成化合物は、反応によりフタロシアニン環を形成しうる化合物であれば他に制限は無く、任意の化合物を用いることができる。
本発明の製造方法において用いられる3価の金属塩に制限は無く、金属の価数が3価であれば任意の金属塩を用いることができる。その具体例としては、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム等の金属塩化物;臭化アルミニウム、三臭化ガリウム、三臭化インジウム等の金属臭化物;三ヨウ化アルミニウム、三ヨウ化ガリウム、三ヨウ化インジウム等の金属ヨウ化物;アルミニウムトリメトキシド、ガリウムトリメトキシド、インジウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、ガリウムトリエトキシド、インジウムトリエトキシド等の金属アルコキシド化合物;ガリウムトリアセチルアセトネート、インジウムトリアセチルアセトネート等の金属アセチルアセトネート化合物などが挙げられる。中でも、試薬の汎用性から、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化アルミニウム、三臭化ガリウム、三臭化インジウム、アルミニウムトリメトキシド、ガリウムトリメトキシド、インジウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、ガリウムトリエトキシド、インジウムトリエトキシドなどが好ましく、得られるフタロシアニン化合物を電子写真感光体に用いた場合の感光体特性を考慮すると、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウムなどがより好ましい。
なお、金属塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明の製造方法では、フタロシアニン環形成化合物と、3価の金属塩とを、フェノキシ基含有化合物中で反応させることができれば具体的な反応条件に制限は無い。
よって、フタロシアニン環形成化合物と3価の金属塩との反応時の仕込み比は任意であるが、得られるフタロシアニン化合物の反応中の分散性等を考慮すると、フタロシアニン環形成化合物が3価の金属塩に対して、モル数で、通常2.0倍以上であり、金属塩が多すぎるとフタロシアニン化合物の純度が低下する事から、3.0倍以上が好ましい。また、得られるフタロシアニン化合物の収率を考慮すると、通常6.0倍以下であり、製造コストを考慮すると5.0倍以下が好ましい。
上記のように、フタロシアニン環形成化合物と、3価の金属塩とを、フェノキシ基含有化合物中で反応させることにより、本発明のフタロシアニン化合物を得ることができる。なお、得られるフタロシアニン化合物は通常、結晶の状態で得られる。
フェノキシ基含有化合物からフタロシアニン化合物を取り出す場合には、通常、反応終了後室温まで降温して濾過するか、または、200℃以下の温度で熱時濾過することにより、目的物質であるフタロシアニン化合物を反応系から分取することができる。
なお、上記の有機溶媒、水溶液、水等の洗浄に用いる液体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
通常、前記の反応により得られるフタロシアニン化合物は、粒子形状で得られる。このフタロシアニン化合物の粒子径は、電子写真感光体用途として用いるには大きすぎる場合がある。そのような場合には、所望の粒子径を有するフタロシアニン化合物を得るために、微細化を行なう。
フタロシアニン化合物の粒子径はその用途に応じて任意であるが、例えば積層型の感光層の形成に用いる場合、通常1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下とすることが望ましい。また、単層型の感光層に用いる場合、通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下とすることが望ましい。
さらに、微細化を行なった後、得られたフタロシアニン化合物の粒子に、後述するような溶媒処理を施すことにより、フタロシアニン化合物を特定の結晶型へ変換する事が可能である。
まず、乾式磨砕法について説明すると、使用する装置としては、例えば、自動乳鉢、遊星ミル、振動ボールミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等の装置を用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。また、磨砕により微細化を行なう場合に用いる磨砕メディアに制限は無く任意のものを用いることができるが、例えば、ガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、炭化珪素ビーズ、窒化珪素ビーズ、窒化ホウ素ビーズ等の任意の磨砕メディアを用いることができる。さらに、磨砕時に磨砕メディア以外に磨砕後容易に除去することの出来る食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を併用して実施することも可能である。
なお、磨砕メディアや磨砕助剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、結晶型変換のための溶媒処理に用いる溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶媒処理時の使用溶媒の量は任意であるが、フタロシアニン化合物1重量部に対して、通常0.1重量部以上、生産性を考慮すると好ましくは1重量部以上、また、通常500重量部以下、生産性を考慮すると好ましくは250重量部以下の範囲で行なうことが望ましい。
なお、溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶剤の使用量は任意であるが、フタロシアニン化合物1重量部に対して、通常0.01重量部以上、生産性を考慮すると好ましくは0.1重量部以上、また、通常200重量部以下、生産性を考慮すると好ましくは100重量部以下で行なうことが望ましい。
また、磨砕後、又は、溶媒処理後、湿ケーキとして得られるフタロシアニン化合物は、適宜、常温乾燥、減圧乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥等の公知の方法を用いて乾燥させることにより、所望の結晶構造を有するフタロシアニン化合物として得ることができる。
以上、本発明の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、フタロシアニン環形成化合物と、3価の金属塩とを、フェノキシ基含有化合物中で反応させる工程を有するならば他に制限はなく、上述した洗浄、微細化、溶媒処理以外の工程を行なってもよい。
さて、本発明の製造方法で製造されたフタロシアニン化合物の用途は任意であるが、電子写真感光体の光導電性材料として用いて好適である。
以下、本発明のフタロシアニン化合物を光導電性材料に用いて作製される電子写真感光体(以下適宜、「本発明の電子写真感光体」という)について説明する。
本発明の電子写真感光体は、本発明の製造方法により製造されたフタロシアニン化合物を含有する感光層を備えている。即ち、本発明のフタロシアニン化合物は、感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層中に含有されている。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。さらに、その形状としては、例えばドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。また、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
陽極酸化処理は、任意の方法により行なうことができるが、通常は、導電性支持体を電極として酸性浴中で通電することにより行なう。酸性浴について特に制限はないが、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴が挙げられる。この中でも、硫酸中での陽極酸化を行なうことが最も良好な結果を与える。
このように陽極酸化処理を行なうことによって、導電性支持体の表面には、陽極酸化被膜が形成される。
低温封孔処理では、封孔剤としては、通常、フッ化ニッケルを主成分として用いる。
この際、低温封孔処理の場合に使用される封孔剤水溶液中の封孔剤の濃度は任意であるが、通常は、3g/l〜6g/lの範囲で行なうことが最も効果的である。
また、処理温度も任意であるが、封孔処理をスムーズに進めるために、通常25℃以上、好ましくは30℃以上、また、通常40℃以下、好ましくは35℃以下である。
また、処理時間も任意であるが、被膜の膜厚1μm当り通常1分〜3分の範囲内で処理するのが好ましい。
浸漬を行なった後、水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
高温封孔処理では、封孔剤としては酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩を用いることができるが、通常は、酢酸ニッケルを主成分として用いる。
また、処理温度も任意であるが、封孔処理をスムーズに進めるために、通常80℃以上、好ましくは85℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは98℃以下である。
また、処理時間も任意であるが、被膜の膜厚1μm当たり通常1分以上3分以下であって、通常10分以上、好ましくは20分以上処理を行なうことが望ましい。
浸漬を行なった後、水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂や、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、またはステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。なお、酸化チタン粒子に施される処理は1種類であってもよく、2種以上の処理を任意の組み合わせ及び程度で施されていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも下引き層の原料であるバインダー樹脂等の特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
また、下引き層には、画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子などを含有させてもよい。
続いて、導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)形成される感光層について説明する。
感光層は、本発明のフタロシアニン化合物を電荷発生物質として含有する層である。その型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下適宜、「単層型」という)であってもよく、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層と、電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層とに積層された積層構造のもの(以下適宜、「積層型」という)であってもよい。また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能である。
積層型感光層において、電荷発生層は、本発明のフタロシアニン化合物を電荷発生物質の少なくとも1種として含有する電荷発生物質とバインダー樹脂とからなる。即ち、電荷発生層は、少なくとも本発明のフタロシアニン化合物とバインダー樹脂とからなり、本発明のフタロシアニン化合物以外の任意の電荷発生物質を含有していても良く、また、適宜その他の成分を含有していても良い。
さらに、電荷発生物質を分散媒中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散方法を任意に用いることが出来る。なお、分散時には、電荷発生物質の粒子を通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
単層型感光層は、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散された構成となっている。即ち、単層型感光層は、電荷発生物質及び電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、塗布液を導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
また、単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
また、積層型感光層と同様、感光層にその他の成分を含有させても良い。
積層型感光体、単層型感光体ともに、上記の感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層に用いる導電性材料に制限は無い。例えば、TPD(N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
上述した感光体を構成する各層(感光層、下引き層などを含む)の形成方法は任意であるが、通常は、含有させる物質を溶媒または分散媒に溶解又は分散させて得られた塗布液を、公知の塗布方法を用い、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
この際用いる溶媒又は分散媒の種類や使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整することが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び積層型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(以下適宜、「本発明の画像形成装置」という)の一実施形態について説明するが、本発明の画像形成装置は上述した本発明の電子写真感光体を備えていれば他に制限は無く、以下の実施形態に限定されず適宜変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置(帯電部)2,露光装置(露光部)3及び現像装置(現像部)4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置(クリーニング部)6及び定着装置7が設けられる。
また、直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。さらに、帯電時に印加する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
画像転写された記録紙Pは機外へプリントアウトされる。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
下記構造に示す1,3−ジイミノ−5−フルオロイソインドリン25.2部及び三塩化ガリウム7.5部を、フェノキシ基含有化合物である1,3−ジメトキシベンゼン160部中に入れ、165℃において5時間反応させた。反応後、生成物を濾別し、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、純水、及びメタノールを用いて洗浄後、乾燥することにより、フタロシアニン化合物としてテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶を11.6部得た(収率43%)。
粉体X線回折装置 : PANalytical PW1700
X線管球 : Cu
走査軸 : θ/2θ
測定範囲 : 3.0°〜40.0°
走査速度 : 3.0°/分
実施例1中の1,3−ジメトキシベンゼンをジフェニルエーテルに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、フタロシアニン化合物としてテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶を10.6部得た(収率40%)。得られたテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図3に示す。
4−フルオロフタロニトリル22.6部及び三塩化ガリウム7.5部を、フェノキシ基含有化合物である1,3−ジメトキシベンゼン100部中に入れ、200℃において6時間反応させた。反応後、実施例1と同様にして濾別、洗浄、乾燥をすることにより、フタロシアニン化合物としてテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶を10.4部得た(収率39%)。得られたテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図4に示す。
実施例3中の1,3−ジメトキシベンゼンをジフェニルエーテルに代えた以外は、実施例3と同様の操作を行なうことにより、フタロシアニン化合物としてテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶を9.5部得た(収率36%)。得られたテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図5に示す。
実施例1中の1,3−ジメトキシベンゼンを非プロトン性極性溶媒であるスルホランに代えた以外は、実施例1と同様に操作を行なうことにより、テトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶を10.2部得た(収率38%)。得られたテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図6に示す。
4−フルオロフタロニトリル26.7部及び三塩化ガリウム7.5部を、1−クロロナフタレン100部中に入れ、200℃において4時間反応させた。反応後、実施例1と同様にして濾別、洗浄、乾燥をすることによりテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶を18.4部得た(69%)。得られたテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図7に示す。
フタロニトリル30部及び4塩化チタン12.5部を、ジフェニルエーテル200部中に入れ、200℃において4時間反応させた。反応後、実施例1と同様にして濾別、洗浄、乾燥をすることにより、ジクロロチタニルフタロシアニン結晶を10.1部得た。得られたジクロロチタニルフタロシアニンの粉末X線回折図を図8に示す。
[応用例1]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着膜(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の電荷発生層用塗布液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させ電荷発生層を形成した。
実施例1で得られたフタロシアニン化合物であるテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニン4部に、4−メチル−4−メトキシ−ペンタノン−2を30部、及び、1,2−ジメトキシエタンを270部加え、サンドグラインドミルで2時間粉砕し、微粒子化処理を行なった。その後、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デンカブチラール #6000C」)1部及び、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製「PKHH」)の1部を加えて、さらにサンドグラインドミルで1時間粉砕することにより、電荷発生層用塗布液を調製した。
まず、暗所でスコロトロン帯電器により、電子写真感光体の表面電位が約−700Vになるよう放電を行ない、一定速度(125mm/sec)で電子写真感光体を通過して帯電させ、その帯電圧を測定し、初期帯電圧V0(−V)を求めた。その後、2.5秒間放置したときの電位低下DD(−V)を測定した。次に、強度1.0μW/cm2の780nm単色光を照射し、感光体表面電位が、−550Vから−275Vになるまでに要した半減露光エネルギーE1/2(μJ/cm2)と、照射10秒後の残留電位Vr(−V)とを求めた。また、感光体の表面電位を約−700Vに帯電させるためにスコロトロン帯電器に印加した電圧をVg(V)とした。その結果を表1に示す。
応用例1と同様に、応用例2〜4及び比較応用例1,2として、実施例2〜4及び比較例1,2で得られたフタロシアニン化合物を、それぞれテトラフルオロクロロガリウムフタロシアニンの代わりに用いることにより、上述した方法と同様にして電子写真感光体を作製し、上記の方法と同様にして各電子写真感光体の感光体特性を測定した。その結果を表1に示す。
また、応用例1〜4の電子写真感光体は、比較応用例1,2の電子写真感光体よりも電位低下DDが小さく、従来よりも暗減衰が小さいことが確認された。
さらに、応用例1〜4の電子写真感光体は、比較応用例1の電子写真感光体よりも半減露光エネルギーE1/2が小さく、光減衰特性(感度)が良好であることが確認された。なお、比較応用例2の電子写真感光体の露光エネルギーE1/2は非常に小さいが、測定機械でスコロトロン帯電器に印加可能な最大の電圧(−900V)を印加したにもかかわらず約−700Vに帯電することが出来なかったことから考えて、電子写真感光体としての総合的な性能は実用に耐えるものではないと考えられる。
[応用例5]
応用例1で得られた電荷発生層用塗布液を、表面を陽極酸化し、封孔処理を施した直径3cm、長さ250cm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー(導電性支持体)に浸漬塗布し、その乾燥後の膜厚が0.3g/m2(約0.3μm)となるようにして電荷発生層を設けた。そして、応用例1中で得られた電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が18μmになるように電荷輸送層を設けることにより、感光体ドラムを得た。
電荷発生層用塗布液を比較応用例1で得られた電荷発生層用塗布液に変更した以外は応用例5と同様の操作を行なうことにより、テスト画像をプリントアウトした。プリントアウトされた画像は全体の画像の濃度が薄い画像であった。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (4)
- フタロシアニン環を形成しうる化合物と、3価のガリウム塩とを、フェノキシ基を有する化合物(ただし、2−クロルアニソールを除く)中で反応させるとともに、
該フタロシアニン環を形成しうる化合物が、置換基を有していてもよいフタロニトリル類及び1,3−ジイミノイソインドリン類の少なくともいずれかである
ことを特徴とする、フタロシアニン化合物の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法により製造されたフタロシアニン化合物を含有する感光層を備える
ことを特徴とする、電子写真感光体。 - 請求項2記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部、及び、現像剤を感光体から除去するクリーニング部のうち、少なくとも一つとを備えた
ことを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。 - 請求項2記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電部と、
帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部と、
該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えた
ことを特徴とする、画像形成装置。
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