JP6146188B2 - 電子写真感光体、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、複写機やプリンター等に用いられる電子写真感光体、画像形成装置、及び電子写真カートリッジに関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。
電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で、成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が、開発されている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層及び、電荷移動層からなる積層型の感光体は、主流となっている。現在これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置の分野に広く用いられている。
一般に電子写真法により画像形成を行うには、感光体表面に帯電、像露光及び現像を施してトナー像を形成し、該トナー像を転写材に転写、定着して画像を得ると共に、転写後の感光体は、残留トナーのクリーニングが行われて長期に亘り繰り返し使用される。クリーニングがうまく行われないと、残留トナーが感光体に固着していき画像欠陥を引き起こすようになる(フィルミング)。近年は、画像形成装置の省エネ化目的で低温定着トナーがまた、画質向上の面から、球形度が大きく且つ小粒径のトナーが使用されるようになり、よりフィルミングを起こしやすい状況になっており、各環境下での繰り返しの電気特性も良好で、フィルミング画像を抑制することが大きな課題となっている。
前記フィルミング対策として、表面保護層又は、複数の電荷輸送層を設けることが行われている。例えば、表面保護層としては、表面保護層に潤滑オイルを内包したマイクロカプセルを含有する技術(特許文献1)、表面保護層に、トリメチロールプロパンアクリレート架橋体とオルガノシリカ硬化膜と、熱又は光架橋型の架橋体を含有する技術(特許文献2)がある。
また、表面保護層において微粒子を含有させる技術としては、表面保護層に酸化チタンや酸化スズ等の微粒子を含有し、かつ表面保護層の膜厚1μ当たりの吸光度を特定値に設定する技術(特許文献3)、表面保護層にラジカル重合性モノマー、架橋性樹脂及びフィラーを含有する技術(特許文献4)、表面保護層にシリカ粒子を含有する手法(特許文献5〜8)がある。一方、保護層を設けず最表面層が電荷輸送層となる場合には、微粒子を添加した系において、表面層形成用の塗布液の分散安定性を良好に保ったまま、常温常湿・高温高湿の繰り返し特性まで含めた電気特性を維持するためには、小粒径化する必要があり、フィルミングを抑制しながら上記電気特性・分散安定性を満たすことは非常に困難であった。
他方、電子写真装置の小型化・高速化の流れによって、感光体が小径化され、一層の電気的な応答性向上が求められている。それら特性を満たす電子写真感光体を提供するために、高移動度かつ露光時に十分低い残留電位を示す高機能な電荷輸送物質の開発が必要となっている。それら課題を解決するためにエナミン骨格等のπ電子系を拡張させた電荷輸送物質の検討がなされている(特許文献9)。
特開2006−99035号公報 特開2008−26689号公報 特開2003−140373号公報 特開2012−98639号公報 特許第3844258号公報 特許第3859086号公報 特許第4056097号公報 特開2013−103619号公報 特開2013−101379号公報
上記の技術のうち、シリカ粒子を表面層に含有する手法が簡便であり、フィルミングを低減することができるが、一方で微粒子を分散しているためドットの再現性が悪くなるという弊害があった。特に、電荷輸送層が、単層かつ最表面層の場合には、シリカの粒径が小さいほど、フィルミングが増加し、シリカの粒径が大きいほど、ドットの再現性が悪くなるトレードオフの関係があり、両方同時に満足することは達成されていなかった。本発明の目的は、フィルミング効果を得るためにシリカを添加した場合にも、ドットの再現がよい電子写真感光体を得ることにある。
本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることによって達成される。
(1)導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷輸送層が、単層かつ最表面層であり、少なくとも電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び平均一次粒子径が0.2μm以上1μm以下のシリカ粒子を含有し、該電荷輸送物質が下記式(1)で表されることを特徴とする電子写真感光体。
Figure 0006146188
(式(1)中、Ar〜Arは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表し、XはX1又はX2を表し、nは2以上の整数を表し、Zは一価の有機残基を表し、mは0〜4の整数を表す。)
(2)前記シリカ粒子の平均一次粒径が0.3μm以上0.9μm以下であることを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。
(3)前記シリカ粒子の含有量が該電荷輸送層全体の3wt%以上30wt%以下であることを
特徴とする(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(4)該シリカ粒子が反応性有機珪素化合物で表面処理されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
(5)(1)〜(4)のいずれか1つに記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。(6)(1)〜(4)のいずれか1つに記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
本発明によれば、生産性が良く、電荷輸送層形成用の塗布液の安定性もよく、常温常湿、高温高湿の繰り返しを含めた電気特性に優れ、ドット再現性が高く、且つフィルミング抑制可能な電子写真感光体が得られる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で用いたフタロシアニンのX線回折図である。 実施例で用いたフタロシアニンのX線回折図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明では導電性支持体上に、直接又は、導電層又は下引き層等を形成した上に電荷発生層、電荷発生層上に単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層となる。
<電子写真感光体>
導電性支持体の上に直接又は、導電層、下引き層等を形成した上に電荷発生層が形成される。電荷発生層を形成した上に、単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層になる。感光層は、単層型又は、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した順二層型のどちらかである。順二層型の場合、電荷輸送層は単層である。本発明では、感光層が最表面層になる。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、粗面化処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
本発明では、下引き層は必須ではないが、下引き層を設ける場合は、どのような下引き層も設けることが出来る。下引き層としては、バインダー単独でも、用いられるが、金属酸化物粒子のような無機フィラー含有することが電気特性等の面で好ましい。
金属酸化物粒子としては、塗布液の分散安定性が高いものが好ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化インジウムのようなものがあげられ、これらの中でも、n型半導体特性を示す金属酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズがより好ましく、酸化チタンが最も好ましい。
酸化チタンは結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでも良いが、吸水性、表面処理の効率等の理由からアナターゼ型又はルチル型が一般的に用いられる。特に好ましくは、ルチル型のものを用いることである。
金属化合物粒子の粒径は、塗布液への分散安定性の理由から、通常その平均粒径が100nm以下のものが好ましく、特に10〜60nmが好ましい。塗布液に用いる粒子の粒径は、均一であってもまた、異なる粒径の複合系でも良い。異なる粒径の複合系の場合、粒径の最大ピークが150nm付近にあり最小粒径が約30nmから約500nmの粒径分布をもつようなものが好ましく、例えば平均粒径が0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いても良い。
金属酸化物粒子は、有機金属化合物等の表面処理されていることが好ましい。表面処理は乾式法及び湿式法の製造法で製造することができる。すなわち、乾式法では、表面処理剤を、金属酸化物粒子と混合することによって金属酸化物粒子に被覆させ、必要に応じて加熱処理を行う方法で製造できる。湿式法では、金属酸化物粒子と、適当な溶媒に本発明の表面処理剤を混合したものを、均一に付着されるまでよく攪拌するか、メディアによって混合し、その後乾燥し、必要に応じて加熱処理を行う方法で製造することができる。
表面処理剤は、反応性有機金属化合物が好ましい。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、下記構造を有するシラン処理剤、その中でも、メチルジメトキシシランが特に好ましい。また、アクリル基を有するシランカップリング剤も好ましく、3−アクリロキシプロピルメトキシシランが特に好ましい。
Figure 0006146188
(Mは、SiR3等。Rは水素原子又はアルキル基、R1、R2はアルキル基、R3はアルキル基又はアルコキシ基)
表面処理剤の量については、処理量が少なすぎる場合、表面処理の効果が得られず、処理量が多過ぎる場合には、粒子表面に修飾されない処理剤が存在し、塗布工程等の際に塗布膜のはじき等の原因になる。従って、表面処理剤の量は金属酸化物粒子の種類によって調整することが好ましく、用いられる金属酸化物粒子に対して、下限は、通常、0.3質量部以上であり、好ましくは1質量部であり、一方、上限は、通常、20質量部以下であり、好ましくは10質量部以下である。
下引き層が含有するバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることができる。なかでも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。そして、ポリアミド樹
脂の中でも、シクロアルカン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドが好ましく、更にはシクロヘキサン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドがより好ましく、その中でも特に、下記一般式(2)で示されるジアミン成分を構成材料として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
Figure 0006146188
式(2)中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂の比率は、任意に選ぶことができるが、液の安定性、塗布性、及び電気特性面からバインダー樹脂1質量部に対して0.5質量部から8質量部
の範囲が好ましく、更には2質量部から5質量部の範囲がより好ましい。
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明は下引き層の膜厚は0.1〜20μmで、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは、3〜6μmで使用されることが好ましい。
下引き層の体積抵抗値は、通常1×1011Ω・cm以上、好ましくは1×1012Ω・cm以上であって、通常1×1014Ω・cm以下、好ましくは1×1013Ω・cm以下である。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有する下引き塗布液を得るには、遊星ミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの粉砕又は分散処理装置で処理された金属酸化物粒子のスラリーに、バインダー樹脂又は、バインダー樹脂を適当な溶媒に溶かした溶解液を混合し、溶解及び攪拌処理を行えばよい。逆に、バインダー樹脂溶解液に金属酸化物粒子を添加し、上記のような分散装置で、粉砕又は分散処理を行う事によってもよい。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に例えば、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、ビーズミル分散等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
電荷発生層上に単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層となる。電荷輸送層は、バインダー樹脂と電荷輸送物質とを含有するとともに、平均一次粒子径が0.2μm以上1μm以下のシリカ粒子を含有する。必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とシリカ粒子とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、電荷発生層上に塗布、乾燥して得ることができる。
該シリカ粒子の平均一次粒子径は、耐フィルミング性の観点から、平均一次粒子径は0.2μm以上であり、0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上が特に好ましい。塗布液
安定性の観点から、1μm以下であり、0.9μm以下がより好ましく、0.8μm以下が
更に好ましい。シリカ粒子の平均一次粒子径が0.2μmより小さい場合は、フィルミン
グ抑制効果が小さい。1μmより大きい場合は、塗布液の安定性が悪くなる。
シリカ粒子の含有量は、下限は、通常、電荷輸送層全体の3wt%以上であり、フィルミ
ング抑制の観点から、5wt%以上であることが好ましい。上限は、通常、電荷輸送層全体
の30wt%以下、塗布液の分散安定性の観点から、15wt%以下であることが好ましく、荷輸送層膜中での凝集の抑制によるフィルミング抑制の観点から10wt%以下が特に好まし
い。
シリカ粒子の種類としては、シリカの内部に中空を有するシリカもあるが、ドット抑制の観点から、中空を有さないシリカが好ましい。
前記シリカ粒子は、反応性有機珪素化合物で表面処理されていることが好ましい。表面処理は、乾式法及び湿式法で製造することができる。乾式法では、表面処理剤を、金属酸化物粒子と混合することによって金属酸化物粒子に被覆させ、必要に応じて加熱処理を行うことで製造できる。湿式法では、金属酸化物粒子と、適当な溶媒に本発明の表面処理剤を混合したものを、均一に付着されるまでよく攪拌するか、メディアによって混合し、その後乾燥し、必要に応じて加熱処理を行うことで製造することができる。
反応性有機ケイ素化合物としては、シランカップリング剤、シラン処理剤、シロキサン化合物等があるが、シラン処理剤が好ましい。シラン処理剤の中でも、炭素数が1〜3のアルキル基を有するシラン処理剤が好ましい。そのようなシラン処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
電荷輸送物質としては、下記式(1)で表される化合物が用いられる。
Figure 0006146188
(式(1)中、Ar〜Arは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表し、XはX1又はX2を表し、nは2以上の整数を表し、Zは一価の有機残基を表し、mは0〜4の整数を表す。)
Figure 0006146188
一般式(1)中、Ar〜Arとしては、6〜20の炭素原子を有するアリール基が好ましい。例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル等が挙げられる。製造コストの面で、フェニル、ナフチルのような6〜10の炭素原子を有するアリール基が特に好ましい。更に、置換基を有する場合、該置換基としては、1〜10の炭素原子を有し、かつHammett則における置換基定数σpが0.20以下である置換基が好ましい。Zは一価の有機残基を示し、かつHammett則における置換基定数σpが0.20以下である置換基が好ましい。
ここで、Hammett則は、芳香族化合物における置換基が芳香環の電子状態に与える効果を説明するために用いられる経験則であって、置換ベンゼンの置換基定数σpは、置換基の電子供与/吸引の程度を定量化した値といえる。σp値が正であれば置換安息香酸の方が無置換のものより酸性が強い、つまり電子吸引性置換基となる。逆にσp値が負であると電子供与性置換基となる。表1は、代表的な置換基のσp値である(日本化学会編、「化学便覧 基礎編II 改訂4版」、丸善株式会社、平成5年9月30日発行、364頁〜365頁)。
Figure 0006146188
前記置換基あるいは一価の有機残基Zとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、
炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルアミノ基、炭素数6〜10のアリール基などが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、フェニル、4−トリル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。中でも、電気特性の面から、炭素数1〜4の炭化水素基が特に好ましい。
前記一般式(1)中、nとしては、2以上の整数が好ましい。相溶性や製造コストなどの観点から総合的に考えると、n=2の場合が特に好ましい。また、ドット再現性の観点からも、n=2の場合が好ましい。mとしては、0〜1の整数が好ましいが、製造コストの観点から考え、m=0の場合は特に好ましい。
一般式(1)で表されるエナミン系化合物の代表例として、以下の例示化合物CT−1〜CT−20が挙げられる。ただし、本発明に関わるエナミン系化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0006146188
Figure 0006146188
バインダー樹脂と上記一般式(1)で表されるエナミン系化合物との割合は、電荷移動度の観点から、バインダー樹脂100質量部に対して通常10質量部以上の比率で使用す
る。電荷輸送物質を繰り返し使用した際の安定性の観点から30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性、耐摩耗性の観点から、通常150質量部以下の比率で使用する。相溶性の観点から80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
本発明のエナミン系化合物とシリカの含有量は、エナミン系化合物100質量部に対して、シリカの下限は、通常1質量部以上であり、フィルミング抑制の観点から、5質量部以上であることが好ましい。上限は、通常60質量部以下、塗布液の分散安定性の観点から、50質量部以下であることが好ましく、膜中での凝集の抑制の観点から40質量部以下が特に好ましい。
上述の通り、本発明においては、電荷輸送材料としてエナミン化合物が用いられるが、エナミン化合物は単独で用いても他の電荷輸送性材料と併用で使用しても良い。併用する電荷輸送性材料としては、公知の材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性材料、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖、もしくは、側鎖に有する重合体等の電子供与性材料等が挙げられる。これらの中で、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
これらの電荷輸送材料が、バインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は単独でも、複数を混合して用いてもよい。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 0006146188
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、電荷輸送物質を繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から、バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上の比率で使用することが好ましく、40質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性、耐摩耗性の観点から、電荷輸送物質を通常は150質量部以下の比率で使用することが好ましい。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から120質量部以下がより好ましく、60質量部以下が特に好ましい。
粘度平均分子量(Mv)は、下限は、通常10,000以上、好ましくは20,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、上限は、通常300,000以下、好ましくは200,000以下、更に好ましくは、80,000以下である。粘度平均分子量(Mv)が過度に小さい場合、感光体を形成する等の膜として得たときの機械的強度が低下する傾向がある。また、粘度平均分子量(Mv)が過度に大きい場合は、塗布液としての粘度が上昇し、適当な膜厚に塗布することが困難になる傾向があり、シリカ粒子の分散性が悪くなる可能性がある。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、電気特性、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上、35μm以下、更に好ましくは、15μm以上、25μm以下である。
電荷輸送層に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるため又は感光層の機械的強度を更に向上させるために、周知の可塑剤、滑剤、分散補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、増感剤、レベリング剤、安定剤、流動性付与剤、架橋剤等の添加物を含有させることも好ましい。酸化防止剤の例としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、レベリング剤としては、シリコーンオイルやフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
電子吸引性化合物としては、テトラシアノキノジメタン、ジシアノキノメタン、ジシアノキノビニル基を有する芳香族エステル類等のシアノ化合物、2,4,6−トリニトロフルオレノン等のニトロ化合物、ペリレン等の縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、キノン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、酸無水物、フタリド類、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアン化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が用いられる
<各層の形成方法>
感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
感光層の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常
20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
<画像形成装置>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。
帯電方法(帯電機)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロン帯電の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段としては、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを用いてもよく、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。このうち、コロナ放電を使用した帯電方法では暗部電位を一定に保つため、スコロトロン帯電が好ましい。導電性ローラー等を用いた接触帯電装置の場合の帯電方式としては、直流帯電又は交流重畳直流帯電を用いることができる。
露光光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光、及び380〜500nm領域の短波長単色光を用いることができる。
トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁重合、乳化重合凝集法等の重合トナーを用いることができる。特に、重合トナーの場合には、平均径4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写工程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。また、これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、感光体カートリッジということがある)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌す
るとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができるが、本発明では、ブレードクリーナーの場合に効果が発揮しやすい。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5
によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
<下引き層形成用塗布液の製造>
塗布液A1
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
前記酸化チタン分散液と、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行い、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比が3/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が7/1/2であって、含有する固形分の濃度が18.0質量%の下引き層形成用塗布液A1を得た。
Figure 0006146188
<電荷発生層形成用塗布液の製造>
合成例1
特開平2−289658号公報中に記載の実施例2に基づき、オキシチタニウムフタロシアニンを調製した。この得られたオキシチタニウムフタロシアニン15部とφ1.0〜1.4mmガラスビーズ170部と共にポリビン中に充填し、染料分散試験機(ペイントシェーカー)で20時間処理した(機械的摩砕処理)。摩砕処理後のオキシチタニウムフタロシアニンをガラスビーズから剥離し、剥離後水250部中に添加し、室温で30分撹拌した。その後、o−ジクロロベンゼン31部を添加し、更に室温で1h撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール250部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール250部を用いて1時間撹拌洗浄後、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、図2に示すようなCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.5°、11.6°、14.2°、18.0°、24.3°及び27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(CG1)を14.3部得た。
合成例2
特開平10−7925号報中に記載の「粗TiOPcの製造例」、「実施例1」の順に従ってβ型オキシチタニウムフタロシアニンを調製した。
得られたβ型オキシチタニウムフタロシアニン18部を−10℃以下に冷却した95%濃硫酸720部中に添加した。このとき硫酸溶液の内温が−5℃を超えないようにゆっくりと添加した。添加終了後、濃硫酸溶液を−5℃以下で2時間撹拌した。撹拌後、濃硫酸溶液をガラスフィルターで濾過し、不溶分を濾別後、濃硫酸溶液を氷水10800部中に放出することにより、オキシチタニウムフタロシアニンを析出させ、放出後1時間撹拌した。撹拌後、溶液を濾別し、得られたウエットケーキを再度水900部中で1時間洗浄し、濾過を行った。この洗浄操作を濾液のイオン伝導度が0.5mS/mになるまで繰り返すことにより、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキを185部得た。(オキシチタニウムフタロシアニン含有率9.5%)
得られた低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキ93部を水190部中に添加し、室温で30分撹拌した。その後、o−ジクロロベンゼン39部を添加し、更に室温で1h撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール134部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール134部を用いて1時間撹拌洗浄後、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、図3に示すようなCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.5°、11.6°、14.2°、18.0°、24.3°及び27.2°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(CG2)を7.8量部得た。
塗布液B1
電荷発生物質として、合成例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニン(CG1)20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)を1,2−ジメトキシエタン253部を、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液B1を得た。
塗布液B2
電荷発生物質として、CG1の代わりにCG2を用いる以外は、塗布液B1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液B2を調製した。
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
塗布液C1
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.8μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S100を表面処理)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。上記酸化珪素スラリ−を酸化珪素が10部となるように加え、下記の繰り返し構造で表されるポリカーボネート樹脂100部(樹脂X、粘度平均分子量40,000)、電荷輸送物質としてCT10を50部、下記式で表される化合物AD1を4部、AD2を0.5部、AD3を0.1部、ジメチルポリシロキサンをテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/AD1/AD2/AD3の質量比が100/50/10/4/0.5/0.1であり、固形分の濃度が20質量%の電荷輸送層形成用塗布液C1を得た。
Figure 0006146188
塗布液C2
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C2を調製した。
塗布液C3
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT20を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C3を調製した。
塗布液C4
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT22を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C4を調製した。
Figure 0006146188
塗布液C5
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を60部とした以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C5を調製した。
塗布液C6
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を40部とした以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C6を調製した。
塗布液C7
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用い、酸化珪素を20部とした以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C7を調製した。
塗布液C8
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用い、酸化珪素を5部とした以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C8を調製した。
塗布液C9
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたポリカーボネート樹脂Xの代わりに、下記の繰り返し構造で表されるポリカーボネート樹脂100部(樹脂Y、粘度平均分子量50,000)を用い、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C9を調製した。
Figure 0006146188
塗布液C10
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたポリカーボネート樹脂Xの代わりに、下記の繰り返し構造で表されるポリカーボネート樹脂100部(樹脂Z、粘度平均分子量50,00
0)を用い、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C10を調製した。
Figure 0006146188
塗布液C11
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたポリカーボネート樹脂Xの代わりに、下記の繰り返し構造で表されるポリアリレート樹脂100部(樹脂V、粘度平均分子量40,000)を用い、電荷輸送物質CT1の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C11を調製した。
Figure 0006146188
塗布液C12
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた酸化珪素の代わりに、平均一次粒子経0.4μの酸化珪素を用い、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C12を調製した。
塗布液C13
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた酸化珪素の代わりに、平均一次粒子経16nmの酸化珪素(日本アエロジル株式会社製、製品名 R972)を用い、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C13を調製した。
塗布液C14
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた酸化珪素の代わりに、平均一次粒子経1.4μmの酸化珪素を用い、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C14を調製した。
塗布液C15
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた酸化珪素を用いず、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT11を用い、溶媒をテトラヒドロフラン/トルエン(8/2(質量比))混合溶媒とした以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C15を調製した。
塗布液C16
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた電荷輸送物質CT10の代わりに、特開2002−80432号公報の「実施例1」に基づいて合成された、下記構造式CT21で示される構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる混合物を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C16を調製した。
Figure 0006146188
塗布液C17
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いた酸化珪素を用いず、電荷輸送物質CT10の代わりに、CT21を用い、溶媒をテトラヒドロフラン/トルエン(8/2(質量比))混合溶媒とした以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C17を調製した。
<感光体ドラムの製造>
下引き層の場合
表面が切削加工された外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーに塗布液の製造例で作製した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.5μm、0.5μm、18μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行なった。
陽極酸化の場合
表面が切削加工された外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行なうことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。次に、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、0.5μm、18μmとなるように、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行なった。
<画像試験>
得られた感光体を、沖データ社製タンデムフルカラープリンタ C711dn(DCローラー帯電、LED露光、接触非磁性一成分現像)のシアン色の感光体カートリッジに搭載して、気温10℃、相対湿度15%下において、印字率1%で、12500枚の一枚間欠印字を行った。12500枚印刷後に、ハーフトーン画像を印刷し、以下の通り、フィルミング(トナー成分の付着)及び、ドット再現性の判定を行った。また、印字前後の膜厚を測定し、10,000枚換算の膜減り量を計算した。結果を表1に示した。
フィルミング
◎ :ドラム上にトナー付着はなく、画像にも問題は見られない
○ :ドラム上に少量のトナー付着が存在するが、画像には問題は見られない
△ :ドラム上に多量のトナー付着が存在するが、画像には問題は見られない
× :ドラム上に多量のトナー付着が存在し、画像にも対応する欠陥が見られる
ドット再現性
◎ :ドットの抜けは全く存在せず、遠目にも良好な画像である
○ :ドットの抜けが微量に存在するが、遠目には良好な画像である
△ :ドットの抜けが少量存在するが、遠目には良好な画像である
× :ドットの抜けが存在し、遠目にも画像にむらが見られる
[実施例1〜13、比較例1〜6]
表−2に示す下引き層形成用塗布液又は陽極酸化処理、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を用いて感光体ドラムを作製し、評価を行った。結果を表−2に示す。
Figure 0006146188
表-2からわるように、最表面層が、平均一次粒子径が、0.2〜1μmのシリカ粒子を含有し、且つ電荷輸送物質として式(1)で表される化合物を用いた場合、フィルミング、ドット再現性ともに良好な結果が得られた。
比較例4〜6からわかる通り、式(1)以外の電荷輸送物質を用いた電荷輸送層にシリカ粒子を添加した場合、フィルミングはよくなるものの、ドット再現性が低下した。一方、本願で用いた式(1)で表される電荷輸送物質を用いた場合、実施例2と比較例3との比較からも分かるように、シリカを添加した場合においても、ドットの再現性は非常に良好な結果となった。
比較例1、2からわかる通り、シリカの粒径が0.2μmより小さいとフィルミングに十分な効果が得られず、1μmより大きいとドットの再現性が本願の電荷輸物質を用いた場合でも悪くなった。
実施例2、実施例9〜11の結果から、電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂は各種のものが用いることが可能であることが分かるが、中でもビスフェノールZ構造を持つバインダー樹脂を用いた場合に、フィルミング、ドット再現性ともに最良の結果が得られた。

Claims (6)

  1. 導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷輸送層が、単層かつ最表面層であり、少なくとも電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び平均一次粒子径が0.2μm以上1μm以下のシリカ粒子を含有し、該電荷輸送物質が下記式(1)で表されることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006146188
    (式(1)中、Ar〜Arは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表し、XはX1又はX2を表し、nは2以上の整数を表し、Zは一価の有機残基を表し、mは0〜4の整数を表す。)
    Figure 0006146188
  2. 前記シリカ粒子の平均一次粒径が0.3μm以上0.9μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記シリカ粒子の含有量が該電荷輸送層全体の3wt%以上30wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 該シリカ粒子が反応性有機珪素化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
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