JP6558322B2 - 単層型電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、単層型電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の単層型電子写真感光体が備える感光層は、チタニルフタロシアニンと、シリコンフタロシアニンとを含む。
特開2002−196520号公報
しかし、特許文献1に記載の単層型電子写真感光体では、耐フィルミング性が不十分であり、かつ転写メモリーの発生を十分に抑制することができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐フィルミング性に優れ、かつ転写メモリーの発生を抑制する単層型電子写真感光体を提供することである。また、本発明の別の目的は、画像不良の発生を抑制する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
本発明の単層型電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、単層型感光層である。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料と、フィラー粒子とを含む。前記電荷発生剤は、フタロシアニン顔料を含む。前記n型顔料の含有量は、前記フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下である。前記フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記像担持体は、上述の電子写真感光体である。前記帯電部は、前記像担持体の表面を帯電する。前記帯電部の帯電極性は、正極性である。前記露光部は、帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、現像剤を用いて前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記記録媒体とが接触しながら、前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の単層型電子写真感光体によれば、耐フィルミング性に優れ、かつ転写メモリーの発生を抑制することができる。また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジによれば、画像不良の発生を抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の第一実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。 画像ゴーストが発生した画像を示す図である。 評価用画像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基、炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基、炭素原子数3以上14以下の複素環基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基、及びアミノ基は、何ら規定していなければ、それぞれ次の意味である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、又はネオペンチル基が挙げられる。炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられる。炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、又はヘキセニル基が挙げられる。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基と酸素原子とが結合した基である。炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基と、炭素原子数1以上6以下のアルキル基とが結合した基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、又は4−フェニルブチル基が挙げられる。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、フェニル基と、炭素原子数1以上4以下のアルキル基とが結合した基である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基における炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、又は3−フェニルプロピル基が挙げられる。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基と酸素原子とが結合した基である。酸素原子は、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基中の炭素原子数1以上6以下のアルキル基と結合している。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基、又は4−フェニルブチルオキシ基が挙げられる。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、非置換である。炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基と酸素原子とが結合した基である。酸素原子は、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基中の炭素原子数1以上3以下のアルキル基と結合している。炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、又は3−フェニルプロピルオキシ基が挙げられる。炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数3以上14以下の複素環基は、非置換である。炭素原子数3以上14以下の複素環基としては、例えば、1個以上(好ましくは1個以上3個以下)のヘテロ原子を含み、芳香性を有する5員又は6員の単環の複素環基;このような単環同士が縮合した複素環基;又は、このような単環と、5員又は6員の炭化水素環とが縮合した複素環基が挙げられる。ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群から選択される1種以上である。炭素原子数3以上14以下の複素環基としては、例えば、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、イソインドリル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、プテリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、4H−キノリジニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、1,3−ベンゾジオキソリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又はベンズイミダゾリル基が挙げられる。炭素原子数3以上14以下の複素環基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、又はシクロへプチリデン基が挙げられる。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
アミノ基は、非置換である。アミノ基は置換基を有してもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が挙げられる。
<第一実施形態:電子写真感光体>
[1.感光体]
本発明の第一実施形態は、単層型電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1を参照して、感光体の構造について説明する。図1は、第一実施形態に係る感光体1の一例を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光体1は、感光層3として単層型感光層3aを備える。単層型感光層3aは、一層の感光層3である。図1(a)のように、感光層3は導電性基体2上に直接的に配置されてもよい。
図1(b)に示すように、感光体1は、導電性基体2と、単層型感光層3aと、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3aとの間に設けられる。図1(b)に示すように、感光層3は、中間層4を介して導電性基体2上に間接的に配置されてもよい。また、図1(c)に示すように、単層型感光層3a上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3aの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3aの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料と、フィラー粒子とを含む。感光層は、添加剤を更に含有してもよい。電荷発生剤は、フタロシアニン顔料を含む。n型顔料の含有量は、フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下である。
第一実施形態に係る感光体は、転写メモリーの発生を抑制する。その理由は以下のように推測される。第一実施形態に係る感光体では、感光層は、電荷発生剤と、n型顔料とを含む。電荷発生剤は、フタロシアニン顔料を含む。n型顔料の含有量は、フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下である。このため、感光層は、キャリアとしての電子を効率的に生成し易く、電子輸送剤へ電子を効率的に授与し易い。よって、感光層は電子輸送能に優れ、キャリアが感光層中に残留しにくい傾向にある。以上から、第一実施形態に係る感光体は、転写メモリーの発生を抑制すると考えられる。なお、転写メモリーの評価方法は、実施例にて詳細に後述する。
また、第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れる。その理由は以下のように推測される。便宜上、まず、画像形成プロセスにおけるフィルミングに起因する画像不良を説明する。電子写真方式の画像形成装置は、例えば、像担持体(感光体)と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部と、クリーニング部とを備える。画像形成プロセスが直接転写方式を採用する場合、転写部は、トナー像を感光体から記録媒体へ転写する。転写後、クリーニング部は、感光層3の表面を清掃する。
トナー像の転写において、記録媒体は感光体の表面で摺擦され、記録媒体が帯電(いわゆる摩擦帯電)することがある。かかる場合、記録媒体が感光体の帯電極性に対して同極性に帯電し帯電性が低下する傾向、又は逆極性に帯電(いわゆる逆帯電)する傾向がある。記録媒体がこのような帯電性を有すると、記録媒体が有する微小な成分(例えば、紙粉)が感光体の表面に移動し付着することがある。そして、クリーニング部が感光体の表面の画像領域に付着した微小な成分を除去しきれない場合、記録媒体上に形成された画像に欠陥が生じることがある。このような画像欠陥をフィルミングという。なお、耐フィルミング性の評価方法は、実施例にて詳細に後述する。
第一実施形態に係る感光体では、感光層はフィラー粒子を含む。このため、感光層はその表面に凹凸形状を形成し易く、感光層の表面と微小な成分との接触面積が小さくなる傾向にある。接触面積が小さいと、クリーニング部は微小な成分を感光層から除去し易い。以上から、第一実施形態に係る感光体は耐フィルミング性に優れると考えられる。
以下、感光体の要素として導電性基体、電子輸送剤、正孔輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂、n型顔料、フィラー粒子、添加剤、及び中間層を説明する。また、感光体の製造方法も説明する。
[2.導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。また、導電性基体は、その表面にこれら導電性を有する材料の酸化皮膜を有してもよい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
[3.電子輸送剤]
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの電子輸送剤のうち、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、一般式(ETM3)、一般式(ETM4)、一般式(ETM5)で表される化合物(以下、それぞれ電子輸送剤(ETM1)〜(ETM5)と記載することがある)を含むことが好ましい。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
Figure 0006558322
Figure 0006558322
Figure 0006558322
一般式(ETM1)中、R61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。R61、R62、R63、及びR64は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(ETM1)中、R61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又は2−メチル−2−ブチル基を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM1)としては、例えば、化学式(ETM1−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM1−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
一般式(ETM2)中、R33、R34、R35、及びR36は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。一般式(ETM2)中、R33、R34、R35、及びR36は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はt−ブチル基を表すことが更に好ましい。電子輸送剤(ETM2)としては、例えば、化学式(ETM2−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM2−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
一般式(ETM3)中、R65は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R66は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表す。R67は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。sは、0以上4以下の整数を表す。R65、R66、及びR67は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(ETM3)中、R65は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。R66は、炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基を表すことがより好ましく、フェニルメチルオキシ基を表すことが更に好ましい。sは0を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM3)としては、例えば、化学式(ETM3−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM3−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
一般式(ETM4)中、R39及びR40は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、1又は複数の置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよいアミノ基を表す。R39及びR40は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(ETM4)中、R39及びR40は、1又は複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基を表すことが好ましく、エチルメチルフェニル基を表すことがより好ましい。電子輸送剤(ETM4)としては、例えば、化学式(ETM4−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM4−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
一般式(ETM5)中、R41、R42、及びR43は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。R41、R42、及びR43は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(ETM5)中、R41、R42、及びR43は、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、ハロゲン原子を有するフェニル基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、クロロフェニル基又はt−ブチル基を表すことが更に好ましい。電子輸送剤(ETM5)としては、例えば、化学式(ETM5−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM5−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
これらの電子輸送剤のうち、転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、電子輸送剤(ETM1)〜(ETM5)が好ましく、電子輸送剤(ETM1)及び(ETM4)〜(ETM5)がより好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、電子輸送剤(ETM1)〜(ETM5)が好ましく、電子輸送剤(ETM1)がより好ましい。これらの電子輸送剤のうち、感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、かつ転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、電子輸送剤(ETM1)〜(ETM5)が好ましく、電子輸送剤(ETM1)及び(ETM4)〜(ETM5)がより好ましい。
[4.正孔輸送剤]
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの正孔輸送剤のうち、一般式(HTM1)、一般式(HTM2)、一般式(HTM3)、一般式(HTM4)、一般式(HTM5)、一般式(HTM6)、又は一般式(HTM7)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM7)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006558322
一般式(HTM1)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q9、及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。bは、0以上5以下の整数を表し、bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよい。cは、0以上4以下の整数を表し、cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよい。kは、0又は1を表す。
一般式(HTM1)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基を表すことがより好ましい。b及びcは0を表すことが好ましい。kは0を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM1)としては、例えば、化学式(HTM1−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM1−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
一般式(HTM2)中、Q1は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいもよいフェニル基を表す。Q2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよい。aは、0以上5以下の整数を表す。aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。t及びuは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
一般式(HTM2)中、Q1は水素原子を表すことが好ましい。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又はn−ブチル基を表すことがより好ましい。t及びuは1を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM2)としては、例えば、化学式(HTM2−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM2−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
一般式(HTM3)中、Q16、Q17、Q18、及びQ19は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、メチル基又はn−ブチル基を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM3)としては、例えば、化学式(HTM3−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM3−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
一般式(HTM4)中、Q20、Q21、Q22、及びQ23は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM4)としては、例えば、化学式(HTM4−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM4−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
一般式(HTM5)中、Rd、Re、及びRfは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。o、p、及びrは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。oが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のReは、互いに同一であっても異なってもよい。pが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRfは、互いに同一であっても異なってもよい。rが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRdは、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(HTM5)中、Reは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。oは2を表すことが好ましい。p及びrは、0を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM5)としては、例えば、化学式(HTM5−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM5−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
一般式(HTM6)中、Ra、Rb、及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。qは、0以上4以下の整数を表し、qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよい。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM6)中、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。m及びnは、各々独立に、1又は2を表すことが好ましい。qは0を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM6)としては、例えば、化学式(HTM6−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM6−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
前記一般式(HTM7)中、Q31、Q33、及びQ35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。d、e、及びfは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。Q32、Q34、及びQ36は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。g、h、及びiは、各々独立に、0又は1を表す。
一般式(HTM7)中、Q31、Q33、及びQ35は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。d、e、及びfは1を表すことが好ましい。Q32、Q34、及びQ36は、水素原子を表すことが好ましい。g、h、及びiは、0を表すことが好ましい。正孔輸送剤(HTM7)としては、例えば、化学式(HTM7−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM7−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
これらの正孔輸送剤のうち、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM7)が好ましく、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM4)がより好ましく、正孔輸送剤(HTM1)が更に好ましい。また、転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM7)が好ましく、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM3)及び(HTM5)〜(HTM7)がより好ましく、正孔輸送剤(HTM7)が更に好ましい。また、これらの正孔輸送剤のうち、感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、かつ転写メモリーの発生を抑制する観点から、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM7)が好ましく、正孔輸送剤(HTM1)〜(HTM3)がより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下であることが好ましく、10質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上100質量部以下であることが特に好ましい。
[5.電荷発生剤]
電荷発生剤は、フタロシアニン顔料である。フタロシアニン顔料としては、例えば、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニン(以下、チタニルフタロシアニン(CGM−A)と記載することがある)又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−B)で表される無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン顔料の結晶形状(例えば、X型、α型、β型、Y型、V型、又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン顔料が使用される。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、又はY型結晶(以下、それぞれα型チタニルフタロシアニン結晶、β型チタニルフタロシアニン結晶、及びY型チタニルフタロシアニン結晶と記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合に感光体の耐フィルミング性を更に向上させるためには、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はY型チタニルフタロシアニン結晶が好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニン結晶がより好ましい。感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合に感光体の耐フィルミング性を更に向上させるためには、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はY型チタニルフタロシアニン結晶が好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニン結晶がより好ましく、Y型チタニルフタロシアニン結晶が更に好ましい。感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合に転写メモリーの発生を更に抑制するためには、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はY型チタニルフタロシアニン結晶が好ましく、Y型チタニルフタロシアニン結晶がより好ましい。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°の27.2°に主ピークを有することが好ましい。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
α型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角2θ±0.2°の28.6°に主ピークを有する。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法を説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、下記の特性(a)又は特性(b)を有することが好ましい。
特性(a):示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴うピーク以外は、50℃以上400℃以下の範囲内にピークを有さないこと。
特性(b):示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴うピーク以外は、50℃以上270℃未満の範囲内にピークを有さず、かつ、270℃以上400℃以下の範囲内に1つのピークを有すること。
(示差熱量分析スペクトルの測定方法)
示差熱量分析スペクトルの測定方法を説明する。サンプルパンに結晶粉末の評価用試料を載せて、示差走査熱量計(株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて示差走査熱量分析スペクトルを測定する。測定範囲は、40℃以上400℃以下であり、昇温速度は、20℃/分である。
(Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法)
Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法は、例えば、合成工程と、顔料化前処理工程と、顔料化工程とを含む。
(合成工程)
合成工程では、チタニルフタロシアニンを合成する。チタニルフタロシアニンの合成方法としては、例えば、反応式(R−1)で表される反応又は反応式(R−2)で表される反応(以下、反応(R−1)及び(R−2)と記載することがある)が挙げられる。反応(R−1)では、フタロニトリル(21a)と、チタンアルコキシド(21b)とを反応させ、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を合成する。
Figure 0006558322
1,3−ジイミノイソインドリン(21c)と、チタンアルコキシド(21b)とを反応させ、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を合成する。
Figure 0006558322
(顔料化前処理工程)
顔料化前処理工程では、攪拌処理及び静置処理を実行してチタニルフタロシアニン(CGM−A)を安定化させる。攪拌処理では、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を水溶性有機溶媒中に加え、溶液を調製する。溶液を加熱した状態で一定時間、溶液を攪拌する。加熱温度は、70℃以上200℃以下であることが好ましい。攪拌時間は、1時間以上3時間以下であることが好ましい。静置処理では、低温で一定時間、溶液を静置して安定化させる。低温とは、攪拌処理での温度よりも低い温度を示す。低温は、10℃以上50℃以下であることが好ましく、室温(例えば、23℃)がより好ましい。静置時間は、5時間以上10時間以下であることが好ましい。水溶性有機溶媒を除去することで、チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を得る。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、又はエチレングリコールが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(顔料化工程)
顔料化工程では、チタニルフタロシアニンを顔料化する。顔料化工程の一例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を溶媒に溶解させ、チタニルフタロシアニン溶液を調製する。この溶液を貧溶媒中に滴下して再結晶させる。次いで、ろ過、水洗、ミリング処理、ろ過、乾燥等の処理を経て顔料化する。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
粗結晶を溶解する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、臭化エチル、臭化ブチル、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、又は硫酸が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
再結晶のための貧溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、又はジオキサンが挙げられる。これらの貧溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせで使用することができる。
ミリング処理は、水洗後の固体を乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に分散して攪拌する処理である。ミリング処理のための非水系溶媒としては、例えば、ハロゲン系溶媒(より具体的には、クロロベンゼン又はジクロロメタン等)が挙げられる。
顔料化工程の別の例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を、アシッドペースト法によって処理する。具体的には、粗結晶を酸に溶解して酸溶液を調製する。酸溶液を氷冷下の水中に滴下させ、一定時間攪拌する。次いで、室温(例えば、23℃)で静置して再結晶させる。その結果、低結晶性チタニルフタロシアニンが得られる。アシッドペースト法に使用する酸としては、例えば、濃硫酸又はスルホン酸が挙げられる。
低結晶性チタニルフタロシアニンをろ過し水洗する。次いで、乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に低結晶性チタニルフタロシアニンを分散させミリング処理を実行する。ミリング処理後にろ別しろ過物(固体)を得る。ろ過物を乾燥させると、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
電荷発生剤は、フタロシアニン顔料以外の別の電荷発生剤を含んでもよい。別の電荷発生剤としては、例えば、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン顔料、スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料、又はキナクリドン顔料が挙げられる。別の電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上6質量部以下であることが特に好ましい。
[6.バインダー樹脂]
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性、及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。更にエナミン誘導体(1)との相溶性が良好であり、エナミン誘導体(1)の感光層中での分散性が向上する観点から、一般式(3)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(3)と記載することがある)又は一般式(4)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(4)と記載することがある)がより好ましい。
Figure 0006558322
一般式(3)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R11とR12とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよい。R11とR12とは、互いに同一であっても異なってもよい。R13及びR14は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R13とR14とは、互いに同一であっても異なってもよい。
Figure 0006558322
一般式(4)中、R15及びR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R15とR16とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよい。R15とR16とは、互いに同一であっても異なってもよい。R17及びR18は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R17及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。2つのカルボニル基の置換位置は、2つのカルボニル基を有しているベンゼン環上で、互いにオルト位(o位)、メタ(m位)、又はパラ位(p位)の関係である。
一般式(3)中、R11及びR12の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R11とR12とが互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基は、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(3)中、R11及びR12は、水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すこと、又は互いに結合して形成される炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましい。R11及びR12は、水素原子若しくはメチル基を表すこと、又は互いに結合して形成されるシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
一般式(3)中、R13及びR14の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、ハロゲン原子を有してもよいメチル基が好ましく、メチル基又はフッ化メチル基がより好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基が更に好ましい。一般式(3)中、R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表すことが好ましく、水素原子又はフッ化メチル基を表すことがより好ましく、水素原子又はトリフルオロメチル基を表すことが更に好ましい。R13及びR14は互いに同一であることが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、一般式(3)中、R11、R12、R13、及びR14のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(3)としては、例えば、化学式(PC−1)、化学式(PC−2)、化学式(PC−3)、化学式(PC−4)、又は化学式(PC−5)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)と記載することがある)が挙げられる。
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一般式(4)中、R15及びR16の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R17及びR18の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(4)中、R15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R15とR16とは、互いに異なることが好ましい。R17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R17とR18とは互いに同一であることが好ましい。R19及びR20は水素原子を表すことが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、一般式(4)中、R15、R16、R17、及びR18のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリアリレート樹脂(4)としては、例えば、化学式(PAR−1)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PAR−1)と記載することがある)が挙げられる。
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感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合、バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−4)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)が好ましい。感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合、転写メモリーを更に抑制する観点から、バインダー樹脂はポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)が好ましい。また、感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、バインダー樹脂はポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)が好ましい。また、感光層がn型顔料及びフィラー粒子を含む場合、感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、かつ転写メモリーを更に抑制する観点から、バインダー樹脂はポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)が好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、20000以上であることが好ましく、30000以上70000以下であることがより好ましく、48500以上50000以下であるとが更に好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が3000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が70000以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
[7.n型顔料]
n型顔料は、電荷発生補助剤として機能し、キャリアとしての電子を効率的に生成させると考えられる。また、n型顔料は、電荷発生剤から電子を授受し、電子輸送剤に電子を授与することもある。
n型顔料としては、例えば、ペリレン顔料、アゾ顔料、多環キノン系顔料、スクアリリウム系顔料、ピランスロン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクドリン系顔料、ピラゾロン系顔料、又はベンズイミダゾロン系顔料が挙げられる。これらのn型顔料のうち、感光層がフィラー粒子を含む場合、転写メモリーの発生を更に向上させ、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、ペリレン顔料又はアゾ顔料が好ましい。
ペリレン顔料を説明する。ペリレン顔料としては、例えば、一般式(P−I)で表される化合物が挙げられる。
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一般式(P−I)中、R21及びR22は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
一般式(P−I)中、R21及びR22が表す1価の有機基としては、例えば、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(P−I)中、R21及びR22が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(P−I)中、R21及びR22が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基は、フェニル基が好ましい。
一般式(P−I)中、R21及びR22が表す炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基(好ましくは、メチル基)、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子)、ヒドロキシル基、シアノ基、又はニトロ基が挙げられる。置換基を有するフェニル基としては、例えば、2,4−ジメチルフェニル基又は4−クロロフェニル基が挙げられる。
ペリレン顔料の好適な具体例としては、化学式(N6)〜(N9)で表される化合物(以下、n型顔料(N6)〜(N9)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006558322
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次に、アゾ顔料について説明する。アゾ顔料は、その構造中にアゾ基(−N=N−)を含む化合物である限り、特に限定されない。
アゾ顔料としては、例えば、モノアゾ顔料又はポリアゾ顔料(より具体的には、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、又はテトラキスアゾ顔料等)が挙げられる。また、アゾ顔料は、アゾ基を有する化合物の互変異性体であってもよい。また、アゾ基を有する化合物は塩素原子で置換されていてもよい。
アゾ顔料としては、例えば、公知のアゾ顔料が挙げられる。アゾ顔料として好ましくは、ピグメントイエロー(より具体的には、14、17、49、65、73、83、93、94、95、128、166、又は77等)、ピグメントオレンジ(より具体的には、1、2、13、34、又は36等)、又はピグメントレッド(より具体的には、30、32、61、又は144等)が挙げられる。
アゾ顔料の好適な具体例としては、化学式(N1)で表される化合物(ピグメントイエロー128)、化学式(N2)で表される化合物(ピグメントイエロー93)、化学式(N3)で表される化合物(ピグメントオレンジ13)、又は化学式(N4)で表される化合物(ピグメントイエロー83)が挙げられる。以下、化学式(N1)〜(N4)で表される化合物をそれぞれn型顔料(N1)〜(N4)と記載することがある。
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ペリレン顔料及びアゾ顔料以外の顔料の具体例として、化学式(N5)で表される化合物(以下、n型顔料(N5)と記載することがある)が挙げられる。
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n型顔料の含有量は、フタロシアニン顔料1質量部に対して、0.03質量部以上3質量部以下である。
感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、かつ転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、n型顔料は、ペリレン顔料(より具体的には、ペリレン顔料(N6)〜(N9)等)又はアゾ顔料(より具体的には、アゾ顔料(N1)〜(N4)等)であることが好ましく、ペリレン顔料及びアゾ顔料からなる群より選択される2種以上が含まれることがより好ましい。
感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、かつ転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、ペリレン顔料(N1)〜(N4)、化学式(N5)で表される化合物、又はアゾ顔料(N6)〜(N9)が好ましく、ペリレン顔料(N1)〜(N4)、アゾ顔料(N6)、又はアゾ顔料(N8)がより好ましい。
転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、ペリレン顔料(N1)〜(N4)、化学式(N5)で表される化合物、又はアゾ顔料(N6)〜(N9)が好ましく、ペリレン顔料(N1)〜(N4)、アゾ顔料(N6)、又はアゾ顔料(N8)がより好ましい。
なお、効果を阻害しない範囲内で、n型顔料以外に、更に別の顔料が感光層に含有されていてもよい。別の顔料としては、例えば、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料の粉末(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。
[8.フィラー粒子]
フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である。樹脂粒子の樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PFS樹脂と記載することがある)、又はポリテトラフロオロエチレン樹脂(以下、PTFE樹脂と記載することがある)が挙げられる。転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、シリコーン樹脂又はPTFE樹脂が好ましい。樹脂粒子は、ハロゲン原子(より具体的には、フッ素原子等)を含むことが好ましい。フィラー粒子は導電性を有しないことが好ましい。フィラー粒子が導電性を有すると、感光層の表面を均質に帯電しにくくなるからである。
フィラー粒子の体積中位径D50は、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、5nm以上10μm以下であることが好ましく、0.4μm以上10μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上10μm以下であることが更に好ましい。フィラー粒子の体積中位径D50は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチタイザー3」)を用いて測定される。なお、体積中位径D50はコールターカウンター法を用いて体積基準で算出されたメディアン径を意味する。
フィラー粒子の含有量は、フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下であることを満たした上で、以下の範囲であることが好ましい。フィラー粒子の含有量は、転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、感光層中のバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。また、フィラー粒子の含有量は、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、感光層中のバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上10質量部以下であることが更に好ましい。また、フィラー粒子の含有量は、感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、かつ転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、感光層中のバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
[9.添加剤]
感光層は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。
[10.中間層]
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
[11.感光体の製造方法]
次に、感光体は、例えば、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料と、フィラー粒子と、必要に応じて添加される添加剤とを、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール類(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル類(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン類(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル類(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以上、第一実施形態に係る感光体について説明した。第一実施形態の感光体によれば、耐フィルミング性に優れ、転写メモリーの発生を抑制することができる。
<第二実施形態:画像形成装置>
第二実施形態は画像形成装置に関する。以下、図2を参照して第二実施形態に係る画像形成装置の一態様について説明する。図2は、第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、第一実施形態に係る感光体である。帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光して、像担持体30の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、現像剤を用いて静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、像担持体30の表面と記録媒体Pとが接触しながら、トナー像を像担持体30から記録媒体へ転写する。以上、第二実施形態に係る画像形成装置の概要を記載した。
第二実施形態に係る画像形成装置100は、フィルミング及び転写メモリーの発生に起因する画像不良を抑制することができる。その理由は、以下のように推測される。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れ、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、フィルミング及び転写メモリーの発生に起因する画像不良を抑制することができる。以下、転写メモリーの発生の抑制について詳細に説明する。
まず、便宜上、転写メモリーに起因する画像不良について説明する。上述のように画像形成プロセスで転写メモリーが発生すると、画像形成における感光体の周を基準としたときに(以下、基準周と記載することがある)、像担持体30の表面において次の周の帯電工程で所望の電位が得られない領域は、次の周の帯電工程で所望の電位が得られる領域に比べ、電位が低下する傾向にある。具体的には、像担持体30の表面における前周回の非露光領域は、前周回の露光領域に比べ、次周回の帯電時に電位が低下する傾向にある。このため、前周回の非露光領域は、前周回の露光領域に比べ、帯電時の電位が低下し易いため、現像時に正帯電トナーを引き付け易くなる。その結果、基準周の非画像部(非露光領域)を反映した画像が形成され易い。このような基準周の画像部を反映した画像が形成される画像不良が、転写メモリーに起因して発生する画像不良(以下、画像ゴーストと記載することがある)である。
図3を参照して、画像不良が発生した画像を説明する。図3は、画像ゴーストが発生した画像60を示す図である。画像60は、領域62及び領域64を含む。領域62は像担持体1周分に相当する領域であり、領域64も像担持体1周分に相当する領域である。領域62は画像66を含む。画像66は、ドーナツ型のソリッド画像から構成される。領域64は画像68及び画像69を含む。画像68は、ドーナツ型のハーフトーン画像である。画像69は、領域64におけるドーナツ型の白抜きのハーフトーン画像である。画像69は、画像68に比べ画像濃度が濃い。画像69は、領域62の非露光領域を反映し、設計画像濃度より濃くなった画像不良(画像ゴースト)である。なお、領域64の画像は、設計画像上全面ハーフトーン画像から構成される。
第一実施形態に係る感光体は、上述のように転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制する傾向にある。したがって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備えるため、転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制することができると考えられる。
以下、各部について詳細に説明する。図2を参照して第二実施形態に係る画像形成装置100を説明する。画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は、例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えば、タンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用する。通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体30が転写バイアスの影響を受けやすいため、通常、転写メモリーが発生し易い。また、通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体30が記録媒体に接触することがあるため、像担持体30の表面に微小な成分が付着し易く、フィルミングに起因する画像不良が発生し易い。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れ、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備えると、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、フィルミング及び転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制できると考えられる。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
画像形成ユニット40は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40は、更にクリーニング部52を備えることができる。クリーニング部52はクリーニングブレードである。画像形成ユニット40の中央位置に、像担持体30が設けられる。像担持体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。像担持体30の周囲には、帯電部42を基準として像担持体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48、及びクリーニング部52が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、除電部(不図示)が更に備えられてもよい。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
帯電部42は、帯電ローラーである。帯電ローラーは、像担持体30の表面と接触しながら像担持体30の表面を帯電する。通常、帯電ローラーを備える画像形成装置では、フィルミング及び転写メモリーに起因する画像不良が生じ易い。しかし、第一実施形態に係る感光体は、像担持体30として画像形成装置100に備えられる。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れ、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、帯電部42として帯電ローラーは画像形成装置100に備えられる場合であっても、フィルミング及び転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生が抑制される。他の接触帯電方式の帯電部としては、例えば、帯電ブラシが挙げられる。帯電部42は、非接触方式であってもよい。非接触方式の帯電部としては、例えば、コロトロン帯電部、又はスクロトロン帯電部が挙げられる。
帯電部42が印加する電圧は、特に限定されない。帯電部42が印加する電圧としては、直流電圧、交流電圧、又は重畳電圧(直流電圧に交流電圧が重畳した電圧)が挙げられ、より好ましくは直流電圧が挙げられる。直流電圧は交流電圧又は重畳電圧に比べ、以下に示す優位性がある。帯電部42が直流電圧のみを印加すると、像担持体30に印加される電圧値が一定であるため、像担持体30の表面を一様に一定電位まで帯電させ易い。また、帯電部42が直流電圧のみを印加すると、感光層の磨耗量が減少する傾向がある。その結果、好適な画像を形成することができる。
露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光する。これにより、像担持体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、現像剤を用いて静電潜像をトナー像として現像する。現像剤は一成分現像剤であっても二成分現像剤であってもよい。現像剤は、重合トナーを含んでもよい。通常、現像剤が重合トナーを含むと、画像形成後の感光体の表面に残留した重合トナーはクリーニング部(例えば、クリーニングブレード)によって除去されにくい。かかる場合、感光体の表面に微小な成分が付着し、フィルミングが生じ易い。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れる。このため、第二実施形態に係る画像形成装置100は、現像剤が重合トナーを含む場合であっても、フィルミングに起因する画像不良を抑制することができる。
転写ベルト50は、像担持体と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、像担持体の表面から記録媒体Pへ転写する。像担持体から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、像担持体は記録媒体Pと接触している。転写部48としては、例えば、転写ローラーが挙げられる。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、第二実施形態に係る画像形成装置を説明した。第二実施形態に係る画像形成装置は、像担持体として第一実施形態に係る感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制することができる。
<第三実施形態:プロセスカートリッジ>
第三実施形態はプロセスカートリッジに関する。第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、第一実施形態に係る感光体を備える。引き続き、図2を参照して、第三実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
プロセスカートリッジは、ユニット化された像担持体を備える。プロセスカートリッジは、像担持体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48、及びクリーニング部52からなる群より選択される少なくとも1つをユニット化した構成が採用される。プロセスカートリッジは、例えば、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジには、除電器(不図示)が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、像担持体30の感度特性等が劣化した場合に、像担持体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
以上、第三実施形態に係るプロセスカートリッジを説明した。第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、像担持体として第一実施形態に係る感光体を備えることで、フィルミング及び転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
単層型感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の電子輸送剤、正孔輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂、n型顔料、及びフィラー粒子を準備した。
[1−1.電子輸送剤]
第一実施形態で説明した電子輸送剤(ETM1−1)〜(ETM5−1)を準備した。
[1−2.正孔輸送剤]
第一実施形態で説明した正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−6)を準備した。
[1−3.電荷発生剤]
[1−3−1.Y型チタニルフタロシアニン結晶]
第一実施形態で説明した電荷発生剤(CGM−1)〜(CGM−3)を準備した。電荷発生剤(CGM−1)は、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン結晶)であった。また、電荷発生剤(CGM−1)の結晶構造はY型であった。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2°、14.5°、18.1°、24.1°、27.2°にピークを有しており、主ピークは27.2°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、第一実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲に1つのピークを有していた。なお、示差走査熱量分析スペクトルは、第一実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、以下のように調製した。
(合成工程)
フラスコを反応容器とした。反応容器内をアルゴン置換した。反応容器内に1,3−ジイミノイソインドリン25gと、チタンテトラブトキシド22gと、ジフェニルメタン300gとを投入した。これらの反応容器内の混合物を攪拌しながら、反応容器内の温度を150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら、反応容器内の温度を215℃まで昇温した。反応容器内の温度を215℃で維持しつつ、更に4時間、攪拌して反応させた。
反応終了後、反応容器内の温度を150℃まで冷却した時点で反応容器内の内容物を反応容器から取り出した。ガラスフィルターによって内容物をろ別し、固体を得た。固体をN,N−ジメチルホルムアミド及びメタノールで順次洗浄した。次いで、真空乾燥して、紫色の固体24gを得た。
(顔料化前処理工程)
紫色の固体10gとN,N−ジメチルホルムアミド100mLとを反応容器内に投入し、溶液を調製した。溶液を攪拌しながら反応容器内の温度を130℃に昇温した。更に2時間、溶液を攪拌した。次いで、2時間経過した時点で溶液の加熱を停止した。反応容器内の温度を室温(23±1℃)まで冷却した後、攪拌も停止した。この状態で12時間、反応容器内の内容物を静置して安定化処理を実行した。そして、安定化処理後の反応容器内の内容物をガラスフィルターによってろ別し、固体を得た。固体をメタノールで洗浄し、真空乾燥した。その結果、チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶9.85gを得た。
(顔料化工程)
ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸との混合溶媒(体積比ジクロロメタン:トリフルオロ酢酸=4:1)100mLを調製した。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶5gを、混合溶媒(体積比4:1)100mLへ溶解させ、混合溶液Aを調製した。
メタノールと水との混合貧溶媒(体積比メタノール:水=1:1)を調製した。混合貧溶媒中に混合溶液Aを滴下し、混合溶液Bを調製した。次いで、室温で混合溶液Bを15分間攪拌した後、30分間静置させた。その結果、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を再結晶させた。
混合溶液Bをガラスフィルターによってろ別し、固体を得た。洗浄液が中性になるまで固体を水洗した。次いで、乾燥させずに水が存在した状態で、固体をクロロベンゼン200mL中に分散させて1時間、攪拌した。次いで、ガラスフィルターによってろ別して固体を得た。固体を50℃で5時間、真空乾燥させた。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.2gを得た。
[1−3−2.X型無金属フタロシアニン]
電荷発生剤(CGM−2)は、化学式(CGM−B)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、電荷発生剤(CGM−2)の結晶構造はX型であった。
[1−3−3.α型チタニルフタロシアニン結晶]
電荷発生剤(CGM−3)は、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニン(α型チタニルフタロシアニン結晶)であった。また、電荷発生剤(CGM−3)の結晶構造はα型であった。
α型チタニルフタロシアニン結晶は、以下のように調製した。α型チタニルフタロシアニン結晶のCuKα特性X線回折スペクトルの測定をY型チタニルフタロシアニン結晶と同様の方法で行った。α型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいてブラッグ角2θ±0.2°=7.5°、10.2°、12.6°、13.2°、15.1°、16.3°、17.3°、18.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°にピークを有しており、主ピークは28.6°であった。
o−フタロニトリル50g(0.39mol)と、キノリン750mLとを2L容フラスコに入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら、四塩化チタン42.5g(0.22mol)を加えた。その後、フラスコ内の温度を200℃に昇温し、200℃で5時間加熱攪拌して、内容物を反応させた。反応終了後、加熱しながらろ過を行い、500mLの熱DMFで振り掛け洗浄して、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを300mLのDMF中に加え、130℃で2時間攪拌した。次いで、130℃で熱時ろ過を実施した後、500mLのDMFで洗浄した。この操作を4回繰り返した後、750mLのメタノールでウェットケーキを洗浄した。
メタノール洗浄を行ったウェットケーキを40℃で減圧乾燥し、粗合成チタニルフタロシアニンを得た(収量:43g)。続いて、濃硫酸400gをメタノール浴で5℃以下に冷却し、温度を5℃以下に保ちながら、粗合成チタニルフタロシアニン30g(0.052mol)を濃硫酸に投入した。これを1時間攪拌した後、得られた反応混合物を、10Lの水(5℃)に滴下し、これを室温で3時間攪拌した後、静置し、次いでろ過を行い、ウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキを500mLの水中に加え、室温で1時間攪拌後、ろ過した。この操作を2回繰り返した。更に、水洗浄後のウェットケーキを、5Lの水中に投入し、室温で1時間攪拌した後、静置し、次いでろ過を行った。この操作を2回繰り返した。その後、2Lのイオン交換水で洗浄し、pHが6.2以上、電導度が20μS以下になったところでウェットケーキを回収した。このウェットケーキを乾燥し、低結晶性フタロシアニンを得た(青色粉体、収量:25g)。この低結晶性フタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ±0.2°=7.0°、15.6°、23.5°、28.4°にピークを有していた。
24gの低結晶性チタニルフタロシアニンと、400mLのDMFと、適量のガラスビーズ(1mmφ)とを900mL容のマヨネーズ瓶に仕込み、24時間、ビーズミルで分散した。次いで、ガラスビーズを分離した後、ろ過した。ろ過後のケーキを、400mLのDMFと、400mLのメタノールとの混合溶液で洗浄した。洗浄後のケーキを減圧下、50℃で48時間乾燥し、固体を得た。得られた固体を粉砕し、α型チタニルフタロシアニン結晶を得た(収量21g)。
[1−4.バインダー樹脂]
バインダー樹脂として第一実施形態で説明したポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)(粘度平均分子量:それぞれ50000、48500、49800、50000、及び50000)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)(粘度平均分子量50000)を準備した。
[1−5.フィラー粒子]
表1に実施例及び比較例で使用したフィラー粒子を示す。表1はフィラー粒子の種類、材質、体積中位径、商品名、及び製造元を示す。フィラー粒子F7、F9、及びF10の樹脂は、フッ素原子を含有していた。なお、表1の欄「商品名」における「AEROSIL」及び「トレパール」は登録商標である。表1中、フィラー粒子の体積中位径D50は、第一実施形態で説明した精密粒度分布測定装置を用いて測定した。
Figure 0006558322
[1−6.n型顔料]
第一実施形態で説明したn型顔料(N1)〜(N9)を準備した。
<2.感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)を製造した。
[2−1.感光体(A−1)の製造]
電荷発生剤(CGM−1)3質量部、正孔輸送剤(HTM−1)60質量部、電子輸送剤(ETM1−1)35質量部、フィラー粒子(F7)5質量部、n型顔料(N1)2質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)100質量部、及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に投入した。棒状音波発振子を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合させ、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、容器内の材料と溶媒とを50時間混合して、材料を溶剤に分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。感光体(A−1)において、導電性基体は酸化被覆を有しており、感光層は導電性基体上に酸化被覆を介して間接的に配置されていた。
[2−2.感光体(A−2)〜(A−38)及び感光体(B−1)〜(B−6)の製造]
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−38)及び感光体(B−1)〜(B−6)をそれぞれ製造した。感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤(CGM−1)を、表2〜4に示す種類の電荷発生剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤(ETM1−1)を、表2〜4に示す種類の電子輸送剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた正孔輸送剤(HTM−1)を、表2〜4に示す種類の正孔輸送剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いたフィラー粒子F7及びその含有量5質量部を、それぞれ表2〜4に示すフィラー粒子の種類及び含有量に変更した。感光体(A−1)の製造に用いたn型顔料(N1)及びその含有量2質量部を、それぞれ表2〜4に示すn型顔料の種類及び含有量に変更した。感光体(A−1)の製造に用いたバインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)を、表2〜4に示す種類のバインダー樹脂に変更した。
表2〜4に感光体(A−1)〜(A−38)及び感光体(B−1)〜(B−6)の構成を示す。表2〜4中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表2〜4中、CGM欄のCGM−1、CGM−2、及びCGM−3は、それぞれY型チタニルフタロシアニン結晶(電荷発生剤(CGM−1))、X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤(CGM−2))、及びα型チタニルフタロシアニン結晶(電荷発生剤(CGM−3))を示す。HTM欄のHTM−1〜HTM−6は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−7)を示す。ETM欄のETM1−1、ETM2−1、ETM3−1、ETM4−1、及びETM5−1は、それぞれ電子輸送剤(ETM1−1)、(ETM2−1)、(ETM3−1)、(ETM4−1)、及び(ETM5−1)を示す。表2〜4中、フィラー粒子の種類欄のF1、F3〜F4、F6〜F7、及びF9〜F12は、それぞれフィラー粒子F1、F3〜F4、F6〜F7、及びF9〜F12を示す。表2〜4中、n型顔料の種類欄のN1〜N9はそれぞれn型顔料(N1)〜(N9)を示す。表2〜4中、バインダーの種類欄のPC−1〜PC−5及びPAR−1は、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)を示す。
<3.感光体の評価>
[3−1.画像不良(画像ゴースト)の評価]
感光体(A−1)〜(A−38)及び感光体(B−1)〜(B−6)のそれぞれに対して、画像不良(画像ゴースト)を評価した。画像不良の評価は、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で行った。
感光体を評価機に装着した。評価機は、画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」改造機)を用いた。この評価機は、接触帯電方式及び直接転写方式を採用していた。この評価機は、接触帯電方式の帯電部として帯電ローラーを備えていた。この評価機は、クリーニング部としてクリーニングブレードを備えていなかった。記録媒体として京セラドキュメントソリューションズ株式会社販売「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4」(A4サイズ)を使用した。重合トナー(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「試作品」 一成分現像剤)を評価機の現像部に充填した。
まず、記録媒体に(A4サイズ紙)15秒間隔で印字パターン(画像濃度4%)を1000枚印刷し、印字試験を行った。その後、下記操作により評価用画像を作成した。
図4を参照して、評価用画像を説明する。図4は、評価用画像70を示す図である。評価用画像70は、領域72及び領域74を含む。領域72は、像担持体1周分に相当する領域である。領域72は、画像76を含む。画像76は、ドーナツ型のソリッド画像(画像濃度100%)から構成される。このソリッド画像は、2つの同心円1組から構成される。領域74は、像担持体1周分に相当する領域である。領域74は画像78を含む。画像78は、全面ハーフトーン画像(画像濃度40%)から構成される。はじめに領域72の画像76を形成し、その後、領域74の画像78を形成した。画像76は感光体1周分に相当する画像であり、画像78は画像76を形成する周を基準として次周回1周分に相当する画像である。
次いで、印字試験後に得られた画像を評価用画像とした。評価用画像を目視で観察し、領域74における画像76に対応した画像の有無を確認した。ここで、目視による観察とは、肉眼での観察(肉眼観察)又はルーペ(倍率10倍、TRUSCO社製、TL−SL10K)を介した観察(ルーペ観察)である。転写メモリーに起因する画像不良(画像ゴースト)の発生の有無を確認した。画像ゴーストの発生の有無は、下記の基準に基づいて評価した。評価結果を表5〜6に示す。なお、評価A〜Cを合格とした。
(画像ゴーストの評価基準)
評価A:画像76に対応する画像ゴーストが観察されなかった。
評価B:画像76に対応する画像ゴーストがわずかに観察された。
評価C:画像76に対応する画像ゴーストが観察されたが、実用上問題のない水準であった。
評価D:画像76に対応する画像ゴーストが明確に観察され、実用上問題のある水準であった。画像評価用サンプルにおいて観測された画像ゴーストと、画像ゴーストが観測されなかった非画像部とのコントラストが低かった。
[3−2.単層型感光体の耐フィルミング性の評価]
感光体(A−1)〜(A−38)及び感光体(B−1)〜(B−6)のそれぞれに対して、耐フィルミング性を評価した。耐フィルミング性の評価は、温度10℃及び相対湿度15%RHの環境下で行った。評価機は、画像不良の評価で用いた画像形成装置と同じものを用いた。
まず、印字試験を行った。詳しくは、記録媒体(A4サイズ紙)に15秒間隔で印字パターン(画像濃度1%)を5000枚印刷した。印字試験後、評価用画像を作成した。詳しくは、ハーフトーン画像(画像濃度50%)を1枚印刷し、評価用画像とした。評価用画像を目視で観察し、フィルミングに起因する画像不良(筋、ダッシュマーク)の有無を確認した。筋とは、印刷方向に平行な線である。ダッシュマークとは、印刷方向に平行な線状の筋である。画像不良の有無は、下記の基準に基づいて評価した。評価結果を表4〜5に示す。なお、評価A〜Cを合格とした。
(耐フィルミング性の評価基準)
評価A:筋、ダッシュマークは観察されなかった。
評価B:筋、ダッシュマークはわずかに観察された。
評価C:筋、ダッシュマークが部分的に観察されたが、実用上問題のない水準であった。
評価D:筋、ダッシュマークが全体的に明確に観察され、実用上問題のある水準であった。
[総合評価]
転写メモリーの評価結果及び耐フィルミング性の評価結果から、下記の基準に基づいて感光体の総合評価を行った。
評価A:転写メモリーの評価結果及び耐フィルミング性の評価結果が何れも評価Aであった。
評価B:転写メモリーの評価結果及び耐フィルミング性の評価結果が評価C又はDでなく、これらの評価結果のうち少なくとも一方の評価結果が評価Bであった。
評価C:転写メモリーの評価結果及び耐フィルミング性の評価結果のうち少なくとも一方の評価結果が評価Dであった。
Figure 0006558322
Figure 0006558322
Figure 0006558322
Figure 0006558322
Figure 0006558322
表2及び表3に示すように、感光体(A−1)〜(A−38)では、感光層は電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、n型顔料と、フィラー粒子と、バインダー樹脂とを含んでいた。詳しくは、フィラー粒子は、F1、F3〜F4、F6〜F7、及びF9〜F10のうちの何れか1種であった。これらのフィラー粒子はシリカ粒子又は樹脂粒子であった。n型顔料の含有量は、フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下であった。
表5に示すように、感光体(A−1)〜(A−38)では、転写メモリー及び耐フィルミング性の総合評価結果がA、B、及びCの何れかであった。
表4に示すように、感光体(B−1)では、感光層は、n型顔料を含んでいなかった。感光体(B−2)では、感光層はフィラー粒子を含んでいなかった。感光体(B−3)〜(B−4)では、感光層において、n型顔料の含有量は、フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部未満又は3質量部より多かった。感光体(B−5)〜(B−6)では、感光層は、フィラー粒子F11又はF12を含んでいた。フィラー粒子F11及びF12は、シリカ粒子及び樹脂粒子の何れでもなかった。
表6に示すように、感光体(B−1)〜(B−6)では、転写メモリー及び耐フィルミング性の総合評価結果が全てDであった。
感光体(A−1)〜(A−38)は、感光体(B−1)〜(B−6)に比べ、転写メモリーの発生を抑制し、耐フィルミング性に優れる。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
1 電子写真感光体
3 感光層
3a 単層型感光層

Claims (18)

  1. 導電性基体と、感光層とを備える単層型電子写真感光体であって、
    前記感光層は、単層型感光層であり、
    前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料と、フィラー粒子とを含み、
    前記電荷発生剤は、フタロシアニン顔料を含み、
    前記n型顔料は、化学式(N1)で表される化合物と、化学式(N3)又は化学式(N9)で表される化合物とを含み、
    前記n型顔料の含有量は、前記フタロシアニン顔料1質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下であり、
    前記フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である、単層型電子写真感光体。
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
  2. 前記フィラー粒子の体積中位径は5nm以上10μm以下である、請求項1に記載の単層型電子写真感光体。
  3. 前記フィラー粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下である、請求項1又は2に記載の単層型電子写真感光体。
  4. 前記樹脂粒子がフッ素原子を含む、請求項1〜の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
  5. 前記バインダー樹脂は、一般式(3)又は一般式(4)で表される繰返し単位を有する、請求項1〜の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    前記一般式(3)中、
    11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    11とR12とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよく、
    11とR12とは、互いに同一であっても異なってもよく、
    13及びR14は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    13とR14とは、互いに同一であっても異なってもよく、
    前記一般式(4)中、
    15及びR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    15とR16とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよく、
    15とR16とは、互いに同一であっても異なってもよく、
    17及びR18は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    17及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。
  6. 前記バインダー樹脂が化学式(PC−1)、化学式(PC−2)、化学式(PC−3)、化学式(PC−4)、又は化学式(PAR−1)で表される繰返し単位を有する、請求項に記載の単層型電子写真感光体。
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
  7. 前記フタロシアニン顔料は、Y型チタニルフタロシアニン結晶であり、
    前記Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有する、請求項1〜の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
  8. 前記フタロシアニン顔料は、Y型チタニルフタロシアニン結晶であり、
    前記Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有し、かつ示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外は、50℃以上270℃未満の範囲内にピークを有さず、かつ、270℃以上400℃以下の範囲内に1つのピークを有する、請求項1〜の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
  9. 前記電子輸送剤は、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、一般式(ETM3)、一般式(ETM4)、又は一般式(ETM5)で表される化合物を含む、請求項1〜の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    Figure 0006558322
    前記一般式(ETM1)中、
    61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表し、R61、R62、R63、及びR64は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
    前記一般式(ETM2)中、
    33、R34、R35、及びR36は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表し、
    前記一般式(ETM3)中、
    65は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    66は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表し、
    66は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    sは、0以上4以下の整数を表し、
    65、R66、及びR67は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
    前記一般式(ETM4)中、
    39及びR40は、各々独立に、1又は複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記一般式(ETM5)中、
    41、R42、及びR43は、各々独立に、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
  10. 前記電子輸送剤は、前記一般式(ETM1)、前記一般式(ETM4)、又は前記一般式(ETM5)で表される前記化合物を含む、請求項に記載の単層型電子写真感光体。
  11. 前記正孔輸送剤は、一般式(HTM1)、一般式(HTM2)、一般式(HTM3)、一般式(HTM4)、一般式(HTM5)、一般式(HTM6)、又は一般式(HTM7)で表される化合物を含む、請求項1〜10の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM1)中、
    8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    9、及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    bは、0以上5以下の整数を表し、bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよく、
    cは、0以上4以下の整数を表し、cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよく、
    kは、0又は1を表す。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM2)中、
    1は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、
    2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよく、
    2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよく、
    aは、0以上5以下の整数を表し、aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。t及びuは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM3)中、
    16、Q17、Q18、及びQ19は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM4)中、
    20、Q21、Q22、及びQ23は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM5)中、
    d、Re、及びRfは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    o、p、及びrは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    oが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のReは、互いに同一であっても異なってもよく、
    pが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRfは、互いに同一であっても異なってもよく、
    rが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRdは、互いに同一であっても異なってもよい。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM6)中、
    a、Rb、及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    qは、0以上4以下の整数を表し、qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
    Figure 0006558322
    前記一般式(HTM7)中、
    31、Q33、及びQ35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    d、e、及びfは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    32、Q34、及びQ36は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表し、
    g、h、及びiは、各々独立に、0又は1を表す。
  12. 前記正孔輸送剤は、前記一般式(HTM1)、前記一般式(HTM2)、又は前記一般式(HTM3)で表される前記化合物を含む、請求項11に記載の単層型電子写真感光体。
  13. 前記感光層は、前記導電性基体上に直接的に配置される、又は下引き層若しくは酸化皮膜を介して間接的に配置される、請求項1〜12の何れか一項に記載の単層型電子写真感光体。
  14. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
    帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
    現像剤を用いて前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する転写部と
    を備える画像形成装置であって、
    前記像担持体は、請求項1〜13の何れか一項に記載の電子写真感光体であり、
    前記帯電部の帯電極性は、正極性であり、
    前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記記録媒体とが接触しながら前記トナー像を前記像担持体から前記記録媒体へ転写する、画像形成装置。
  15. 前記帯電部は、前記像担持体の前記表面と接触しながら、前記像担持体の前記表面を帯電する、請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 前記現像剤は、重合トナーを含む、請求項14又は15に記載の画像形成装置。
  17. クリーニング部を更に備え、
    前記クリーニング部は、クリーニングブレードである、請求項1416の何れか一項に記載の画像形成装置。
  18. 請求項1〜13の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
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