JP2018031952A - 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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裕子 岩下
Hiroko Iwashita
裕子 岩下
窪嶋 大輔
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大輔 窪嶋
和昭 江連
Kazuaki Ezure
和昭 江連
貴文 松本
Takafumi Matsumoto
貴文 松本
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Abstract

【課題】耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる電子写真感光体を提供する。
【解決手段】電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。感光層は、単層型感光層である。感光層は、電荷発生剤と、トリフェニルアミン誘導体と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。トリフェニルアミン誘導体は、一般式(1)で表される。フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である。一般式(1)中のR1〜R5、n1、及びn2は、それぞれ明細書中のR1〜R5、n1、及びn2と同義である。
【化1】
Figure 2018031952

【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体が備える感光層は、例えば、下記化学式(HTM−D)で表される化合物を含有する。
Figure 2018031952
特開平9−244278号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、残留電位を十分に低減することができず、帯電安定性が不十分であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる電子写真感光体を提供することである。また、本発明の別の目的は、画像不良の発生を抑制する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、単層型感光層である。前記感光層は、電荷発生剤と、トリフェニルアミン誘導体と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。前記トリフェニルアミン誘導体は、一般式(1)で表される。前記フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である。
Figure 2018031952
前記一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、1又は複数の置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。n1及びn2は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記像担持体は、上述の電子写真感光体である。前記帯電部は、前記像担持体の表面を帯電する。前記帯電部の帯電極性は、正極性である。前記露光部は、帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、現像剤を用いて前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記記録媒体とが接触しながら、前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の電子写真感光体によれば、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる。また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジによれば、画像不良の発生を抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の第一実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基、炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、炭素原子数3以上14以下の複素環基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基、及びアミノ基は、何ら規定していなければ、それぞれ次の意味である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、又はネオペンチル基が挙げられる。炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられる。炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、又はヘキセニル基が挙げられる。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、又はイソプロポキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基と、炭素原子数1以上6以下のアルキル基とが結合した基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、又は4−フェニルブチル基が挙げられる。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、フェニル基と、炭素原子数1以上4以下のアルキル基とが結合した基である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基における炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、又は3−フェニルプロピル基が挙げられる。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基と酸素原子とが結合した基である。酸素原子は、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基中の炭素原子数1以上6以下のアルキル基と結合している。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基、又は4−フェニルブチルオキシ基が挙げられる。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、非置換である。炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基と酸素原子とが結合した基である。酸素原子は、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基中の炭素原子数1以上3以下のアルキル基と結合している。炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、又は3−フェニルプロピルオキシ基が挙げられる。炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基に酸素原子が結合した基である。炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、又はフェナントリルオキシ基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数3以上14以下の複素環基は、非置換である。炭素原子数3以上14以下の複素環基としては、例えば、1個以上(好ましくは1個以上3個以下)のヘテロ原子を含み、芳香性を有する5員又は6員の単環の複素環基;このような単環同士が縮合した複素環基;又は、このような単環と、5員又は6員の炭化水素環とが縮合した複素環基が挙げられる。ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群から選択される1種以上である。炭素原子数3以上14以下の複素環基としては、例えば、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、イソインドリル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、プテリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、4H−キノリジニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、1,3−ベンゾジオキソリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又はベンズイミダゾリル基が挙げられる。炭素原子数3以上14以下の複素環基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、又はシクロデシル基が挙げられる。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、又はシクロへプチリデン基が挙げられる。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、1又は複数の置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又はシアノ基が挙げられる。
アミノ基は、非置換である。アミノ基は置換基を有してもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が挙げられる。
<第一実施形態:電子写真感光体>
[1.感光体]
以下、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)の構造について説明する。図1は、第一実施形態に係る感光体1の一例を示す概略断面図である。図1(a)に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光体は、感光層3として単層型感光層3aを備える。単層型感光層3aは、一層の感光層3である。図1(a)のように、感光層3は導電性基体2上に直接的に配置されてもよい。
図1(b)に示すように、感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3aと、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3aとの間に設けられる。図1(b)に示すように、感光層3は、中間層4を介して導電性基体2上に間接的に配置されてもよい。また、図1(c)に示すように、単層型感光層3a上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3aの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3aの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
第一実施形態に係る感光体は、感光層を備える。感光層は、電荷発生剤と、トリフェニルアミン誘導体と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。感光層は、添加剤を更に含有してもよい。
第一実施形態に係る感光体は、帯電安定性に優れる。その理由は以下のように推測される。第一実施形態に係る感光体では、感光層はトリフェニルアミン誘導体を含む。トリフェニルアミン誘導体は一般式(1)で表される(以下、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体をトリフェニルアミン誘導体(1)と記載することがある)。トリフェニルアミン誘導体(1)は、平面性を有し、比較的大きなπ共役系を有する。このため、感光層は、正孔輸送能に優れ、キャリアとしての電荷が感光層中に残留しにくい傾向にある。よって、第一実施形態に係る感光体は、帯電電位が低下しにくく、帯電安定性に優れると考えられる。なお、帯電安定性の評価方法は、実施例にて詳細に後述する。
また、第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れる。その理由は以下のように推測される。便宜上、まず、画像形成プロセスにおけるフィルミングに起因する画像不良を説明する。電子写真方式の画像形成装置は、例えば、像担持体(感光体)と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部と、クリーニング部とを備える。画像形成プロセスが直接転写方式を採用する場合、転写部は、トナー像を感光体から記録媒体へ転写する。転写後、クリーニング部は、感光層の表面を清掃する。
トナー像の転写において、記録媒体は感光体の表面で摺擦され、記録媒体が帯電(いわゆる摩擦帯電)することがある。かかる場合、記録媒体が感光体の帯電極性に対して同極性に帯電し帯電性が低下する傾向、又は逆極性に帯電(いわゆる逆帯電)する傾向がある。記録媒体がこのような帯電性を有すると、記録媒体が有する微小な成分(例えば、紙粉)が感光体の表面に移動し付着することがある。そして、クリーニング部が感光体の表面の画像領域に付着した微小な成分を除去しきれない場合、記録媒体上に形成された画像に欠陥が生じることがある。このような画像欠陥をフィルミングという。なお、耐フィルミング性の評価方法は、実施例にて詳細に後述する。
第一実施形態に係る感光体では、感光層はフィラー粒子を含む。このため、感光層はその表面に凹凸形状を形成し易く、感光層の表面と微小な成分との接触面積が小さくなる傾向にある。接触面積が小さいと、クリーニング部は微小な成分を感光層から除去し易い。以上から、第一実施形態に係る感光体は耐フィルミング性に優れると考えられる。
以下、感光体の要素として導電性基体、電子輸送剤、正孔輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂、フィラー粒子、添加剤、及び中間層を説明する。また、感光体の製造方法も説明する。
[2.導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。また、導電性基体は、その表面にこれら導電性を有する材料の酸化皮膜を有してもよい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
[3.電子輸送剤]
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの電子輸送剤のうち、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、一般式(ETM3)、一般式(ETM4)、一般式(ETM5)で表される化合物(以下、それぞれ電子輸送剤(ETM1)〜(ETM5)と記載することがある)を含むことが好ましい。
Figure 2018031952
Figure 2018031952
Figure 2018031952
Figure 2018031952
Figure 2018031952
一般式(ETM1)中、R61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。R61、R62、R63、及びR64は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(ETM1)中、R61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことがより好ましく、水素原子又は2−メチル−2−ブチル基を表すことが更に好ましい。電子輸送剤(ETM1)としては、例えば、化学式(ETM1−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM1−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
一般式(ETM2)中、R33、R34、R35、及びR36は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。一般式(ETM2)中、R33、R34、R35、及びR36は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はt−ブチル基を表すことが更に好ましい。電子輸送剤(ETM2)としては、例えば、化学式(ETM2−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM2−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
一般式(ETM3)中、R65は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R66は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表す。R67は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。sは、0以上4以下の整数を表す。R65、R66、及びR67は、互いに同一であっても異なっていてもよい。一般式(ETM3)中、R65は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。R66は、炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基を表すことがより好ましく、フェニルメチルオキシ基を表すことが更に好ましい。sは0を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM3)としては、例えば、化学式(ETM3−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM3−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
一般式(ETM4)中、R39及びR40は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、1又は複数の置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよいアミノ基を表す。R39及びR40は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(ETM4)中、R39及びR40は、1又は複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基を表すことがより好ましく、エチルメチルフェニル基を表すことが更に好ましい。電子輸送剤(ETM4)としては、例えば、化学式(ETM4−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM4−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
一般式(ETM5)中、R41、R42、及びR43は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。R41、R42、及びR43は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(ETM5)中、R41、R42、及びR43は、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、ハロゲン原子を有するフェニル基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、クロロフェニル基又はt−ブチル基を表すことが更に好ましい。電子輸送剤(ETM5)としては、例えば、化学式(ETM5−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM5−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
これらの電子輸送剤のうち、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、電子輸送剤(ETM1)〜(ETM4)がより好ましく、電子輸送剤(ETM1)が更に好ましい。これらの電子輸送剤のうち、感光体の耐フィルミング性及び帯電安定性を更に向上させる観点から、電子輸送剤(ETM1)〜(ETM4)がより好ましい。
[4.正孔輸送剤]
感光層は正孔輸送剤としてトリフェニルアミン誘導体(1)を含む。トリフェニルアミン誘導体(1)は一般式(1)で表される。
Figure 2018031952
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。n1及びn2は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(1)中、R1〜R5の表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、又はn−ブチル基がより好ましい。R1〜R5の表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1〜R5の表す炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。R1〜R5の表す炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1〜R5の表す炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1〜R5の表す炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1〜R5の表す炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、又は水素原子を表し、n1及びn2は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
トリフェニルアミン誘導体(1)としては、例えば、表1で表されるトリフェニルアミン誘導体(1)(具体的には、トリフェニルアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−17))が挙げられる。なお、表1中、HTMは正孔輸送剤を示す。欄「HTM」のHTM−1〜HTM−17はそれぞれトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−17)を示す。欄「R1〜R5」中の略号は次の置換基を示す。
H− :水素原子
p−Me :ベンゼン環のp位に置換したメチル基
p−Et :ベンゼン環のp位に置換したエチル基
p−n−Bu:ベンゼン環のp位に置換したn−ブチル基
p−MeO :ベンゼン環のp位に置換したメトキシ基
Figure 2018031952
トリフェニルアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−17)のうち、感光体の帯電安定性を更に向上させる観点から、トリフェニルアミン誘導体(HTM−3)〜(HTM−10)、(HTM−12)〜(HTM−15)、又は(HTM−17)が好ましい。トリフェニルアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−17)のうち、感光体の帯電安定性及び耐フィルミング性を更に向上させる観点から、トリフェニルアミン誘導体(HTM−3)〜(HTM−10)、(HTM−12)〜(HTM−15)、又は(HTM−17)が好ましい。
感光層は、トリフェニルアミン誘導体(1)以外に別の正孔輸送剤を含んでもよい。別の正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
[5.電荷発生剤]
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−B)で表される無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、X型、α型、β型、Y型、V型、又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 2018031952
Figure 2018031952
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、又はY型結晶(以下、それぞれα型チタニルフタロシアニン結晶、β型チタニルフタロシアニン結晶、及びY型チタニルフタロシアニン結晶と記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。感光層がトリフェニルアミン誘導体(1)を含む場合に感光体の耐フィルミング性を更に向上させるためには、電荷発生剤としては、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はY型チタニルフタロシアニン結晶が更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニン結晶が特に好ましい。感光層がトリフェニルアミン誘導体(1)を含む場合に感光体の帯電安定性を更に向上させるためには、電荷発生剤としては、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はY型チタニルフタロシアニン結晶が更に好ましく、X型無金属フタロシアニンが特に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
α型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の28.6°に主ピークを有する。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
[6.バインダー樹脂]
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的強度、光学的特性、及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。更にトリフェニルアミン誘導体(1)との相溶性が良好であり、トリフェニルアミン誘導体(1)の感光層中での分散性が向上する観点から、バインダー樹脂は、一般式(3)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(3)と記載することがある)又は一般式(4)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(4)と記載することがある)がより好ましい。
Figure 2018031952
一般式(3)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R11とR12とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよい。R11とR12とは、互いに同一であっても異なってもよい。R13及びR14は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R13とR14とは、互いに同一であっても異なってもよい。
Figure 2018031952
一般式(4)中、R15及びR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R15とR16とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよい。R15とR16とは、互いに同一であっても異なってもよい。R17、及びR18は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R17、及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(3)中、R11及びR12の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R11とR12とが互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基は、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(3)中、R11及びR12は、水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すこと、又は互いに結合して形成される炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましい。R11及びR12は、水素原子若しくはメチル基を表すこと、又は互いに結合して形成されるシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
一般式(3)中、R13及びR14の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、ハロゲン原子を有してもよいメチル基が好ましく、メチル基又はフッ化メチル基がより好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基が更に好ましい。一般式(3)中、R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基、又はフッ化メチル基を表すことがより好ましく、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を表すことが更に好ましい。R13及びR14は互いに同一であることが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、一般式(3)中、R11、R12、R13、及びR14のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(3)としては、例えば、化学式(PC−1)、化学式(PC−2)、化学式(PC−3)、化学式(PC−4)、又は化学式(PC−5)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
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Figure 2018031952
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一般式(4)中、R15及びR16の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R17及びR18の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(4)中、R15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R15とR16とは、互いに異なることが好ましい。R17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R17とR18とは互いに同一であることが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、一般式(4)中、R15、R16、R17、R18、のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。一般式(4)中、2つのカルボニル基の置換位置は、2つのカルボニル基を有しているベンゼン環上で、互いにオルト位(o位)、メタ位(m位)、パラ位(p位)の関係を有する。これら2つのカルボニル基の置換位置は、パラ位であることが好ましい。
ポリアリレート樹脂(4)としては、例えば、化学式(PAR−1)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PAR−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018031952
感光体が正孔輸送剤としてトリフェニルアミン誘導体(1)を含む場合、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)、(PC−4)、及び(PC−5)が好ましい。感光体が正孔輸送剤としてトリフェニルアミン誘導体(1)を含む場合、感光体の帯電安定性を更に向上させる観点から、バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−4)及び(PC−5)が好ましい。感光体が正孔輸送剤としてトリフェニルアミン誘導体(1)を含む場合、感光体の耐フィルミング性及び帯電安定性を更に向上させる観点から、バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−4)及び(PC−5)が好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、30,000以上70,000以下であることがより好ましく、48,500以上50,000以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が30,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が70,000以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
[7.フィラー粒子]
フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である。樹脂粒子の樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PFS樹脂と記載することがある)、又はポリテトラフロオロエチレン樹脂(以下、PTFE樹脂と記載することがある)が挙げられる。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、フィラー粒子は、樹脂粒子が好ましく、シリコーン樹脂又はPTFE樹脂を含むことがより好ましく、PTFE樹脂を含むことが更に好ましい。感光体の耐フィルミング性及び帯電安定性を更に向上させる観点から、フィラー粒子は、樹脂粒子が好ましく、シリコーン樹脂又はPTFE樹脂を含むことがより好ましい。樹脂粒子は、ハロゲン原子(より具体的には、フッ素原子等)を含むことが好ましい。フィラー粒子は導電性を有しないことが好ましい。フィラー粒子が導電性を有すると、感光層の表面を均質に帯電しにくくなるからである。
フィラー粒子の体積中位径D50は、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、5nm以上10μm以下であることが好ましく、0.40μm以上10μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上10μm以下であることが更に好ましい。フィラー粒子の体積中位径D50は、感光体の耐フィルミング性及び帯電安定性を更に向上させる観点から、5nm以上10μm以下であることが好ましく、0.40μm以上10μm以下であることがより好ましい。フィラー粒子の体積中位径D50は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチタイザー3」)を用いて測定される。なお、体積中位径D50はコールターカウンター法を用いて体積基準で算出されたメディアン径を意味する。
フィラー粒子の含有量は、感光層中のバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、フィラー粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上10質量部以下であることが更に好ましい。感光体の耐フィルミング性及び帯電安定性を更に向上させる観点から、フィラー粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
[8.添加剤]
感光層は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。
[9.中間層]
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
[10.感光体の製造方法]
次に、感光体の製造方法を説明する。感光体は、例えば、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(1)と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子と、必要に応じて添加される添加剤とを、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以上、第一実施形態に係る感光体について説明した。第一実施形態の感光体によれば、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる。
<第二実施形態:画像形成装置>
以下、図2を参照して第二実施形態に係る画像形成装置の一態様について説明する。図2は、第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、第一実施形態に係る感光体である。帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光して、像担持体30の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、現像剤を用いて静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、像担持体30の表面と記録媒体Pとが接触しながら、トナー像を像担持体30から記録媒体へ転写する。以上、第二実施形態に係る画像形成装置の概要を記載した。
第二実施形態に係る画像形成装置100は、フィルミング及び帯電電位の低下に起因する画像不良を抑制することができる。その理由は、以下のように推測される。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、フィルミング及び帯電電位の低下に起因する画像不良を抑制することができる。
以下、図2を参照して画像形成装置100の各部について詳細に説明する。画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は、例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えば、タンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用する。通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体30が転写バイアスの影響を受けやすいため、通常、帯電電位が低下し易い。また、通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体30が記録媒体に接触することがあるため、像担持体30の表面に微小な成分が付着し易く、フィルミングに起因する画像不良が発生し易い。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる。よって、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備えると、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、フィルミング及び帯電電位の低下に起因する画像不良の発生を抑制できると考えられる。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40は、更にクリーニング部52を備えることができる。クリーニング部52はクリーニングブレードである。画像形成ユニット40の中央位置に、像担持体30が設けられる。像担持体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。像担持体30の周囲には、帯電部42を基準として像担持体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48、及びクリーニング部52が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、除電部(不図示)が更に備えられてもよい。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
帯電部42は、帯電ローラーである。帯電ローラーは、像担持体30の表面と接触しながら像担持体30の表面を帯電する。通常、帯電ローラーを備える画像形成装置では、フィルミング及び帯電電位の低下に起因する画像不良が生じ易い。しかし、第一実施形態に係る感光体は、像担持体30として画像形成装置100に備えられる。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる。よって、帯電部42として帯電ローラーは画像形成装置100に備えられる場合であっても、フィルミング及び帯電電位の低下に起因する画像不良の発生が抑制される。他の接触帯電方式の帯電部としては、例えば、帯電ブラシが挙げられる。帯電部42は、非接触方式であってもよい。非接触方式の帯電部としては、例えば、コロトロン帯電部、又はスクロトロン帯電部が挙げられる。
帯電部42が印加する電圧は、特に限定されない。帯電部42が印加する電圧としては、直流電圧、交流電圧、又は重畳電圧(直流電圧に交流電圧が重畳した電圧)が挙げられ、より好ましくは直流電圧が挙げられる。直流電圧は交流電圧又は重畳電圧に比べ、以下に示す優位性がある。帯電部42が直流電圧のみを印加すると、像担持体30に印加される電圧値が一定であるため、像担持体30の表面を一様に一定電位まで帯電させ易い。また、帯電部42が直流電圧のみを印加すると、感光層の磨耗量が減少する傾向がある。その結果、好適な画像を形成することができる。
露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光する。これにより、像担持体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、現像剤を用いて静電潜像をトナー像として現像する。現像剤は一成分現像剤であっても二成分現像剤であってもよい。現像剤は、重合トナーを含んでもよい。通常、現像剤が重合トナーを含むと、画像形成後の感光体の表面に残留した重合トナーはクリーニング部(例えば、クリーニングブレード)によって除去されにくい。かかる場合、感光体の表面に微小な成分が付着し、フィルミングが生じ易い。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、耐フィルミング性に優れる。このため、第二実施形態に係る画像形成装置100は、現像剤が重合トナーを含む場合であっても、フィルミングに起因する画像不良を抑制することができる。
転写ベルト50は、像担持体と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、像担持体の表面から記録媒体Pへ転写する。像担持体から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、像担持体は記録媒体Pと接触している。転写部48としては、例えば、転写ローラーが挙げられる。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、第二実施形態に係る画像形成装置を説明した。第二実施形態に係る画像形成装置は、像担持体として第一実施形態に係る感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制することができる。
<第三実施形態:プロセスカートリッジ>
第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、第一実施形態に係る感光体を備える。引き続き、図2を参照して、第三実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
プロセスカートリッジは、ユニット化された部分を含む。ユニット化された部分は、像担持体を含む。ユニット化された部分は、像担持体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48、及びクリーニング部52からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。プロセスカートリッジは、例えば、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジには、除電器(不図示)が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、像担持体30の感度特性等が劣化した場合に、像担持体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
以上、第三実施形態に係るプロセスカートリッジを説明した。第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、像担持体として第一実施形態に係る感光体を備えることで、フィルミング及び帯電電位の低下に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の電子輸送剤、正孔輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂、及びフィラー粒子を準備した。
[1−1.電子輸送剤]
第一実施形態で説明した電子輸送剤(ETM1−1)〜(ETM5−1)を準備した。
[1−2.正孔輸送剤]
第一実施形態で説明した正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−17)を準備した。また、化学式(HTM−A)、(HTM−B)、及び(HTM−C)で表される正孔輸送剤(以下、それぞれ正孔輸送剤(HTM−A)、(HTM−B)、及び(HTM−C)と記載することがある)。
Figure 2018031952
Figure 2018031952
Figure 2018031952
[1−3.電荷発生剤]
[1−3−1.Y型チタニルフタロシアニン結晶]
第一実施形態で説明した電荷発生剤(CGM−1)、(CGM−2)、及び(CGM−3)を準備した。電荷発生剤(CGM−1)は、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニンであり、結晶構造は公知のY型であった。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2°、14.5°、18.1°、24.1°、27.2°にピークを有しており、主ピークは27.2°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、第一実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
[1−3−2.X型無金属フタロシアニン]
電荷発生剤(CGM−2)は、化学式(CGM−B)で表される無金属フタロシアニンであり、結晶構造は公知のX型であった。
[1−3−3.α型チタニルフタロシアニン結晶]
電荷発生剤(CGM−3)は、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニンであり、結晶構造は公知のα型であった。
α型チタニルフタロシアニン結晶のCuKα特性X線回折スペクトルの測定をY型チタニルフタロシアニン結晶と同様の方法で行った。α型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいてブラッグ角2θ±0.2°=7.5°、10.2°、12.6°、13.2°、15.1°、16.3°、17.3°、18.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°にピークを有しており、主ピークは28.6°であった。
[1−4.バインダー樹脂]
バインダー樹脂として第一実施形態で説明したポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)(粘度平均分子量はそれぞれ50,000、48,500、49,800、50,000、及び50,000であった。)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)(粘度平均分子量50,000)を準備した。
[1−5.フィラー粒子]
表2に実施例及び比較例で使用したフィラー粒子を示す。表2はフィラー粒子の種類、材質、体積中位径、商品名、及び製造元を示す。フィラー粒子F7、F9、及びF10の樹脂は、フッ素原子を含有していた。なお、表2の欄「商品名」における「AEROSIL」及び「トレパール」は登録商標である。表2中、フィラー粒子の体積中位径D50は、第一実施形態で説明した精密粒度分布測定装置を用いて測定した。
Figure 2018031952
<2.感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)を製造した。
[2−1.感光体(A−1)の製造]
電荷発生剤(CGM−1)3質量部、正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)60質量部、電子輸送剤としての化合物(ETM1−1)35質量部、フィラー粒子F7:5質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)100質量部、及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に投入した。棒状音波発振子を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合させ、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、容器内の材料と溶媒とを50時間混合して、材料を溶剤に分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。感光体(A−1)において、導電性基体は酸化被覆を有しており、感光層は導電性基体上に酸化被覆を介して間接的に配置されていた。
[2−2.感光体(A−2)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)の製造]
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)をそれぞれ製造した。感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤(CGM−1)を、表3〜4に示す種類の電荷発生剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としての化合物(ETM1−1)を、表3〜4に示す種類の電子輸送剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)を、表3〜4に示す種類の正孔輸送剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いたフィラー粒子F7及びその含有量5質量部を、それぞれ表3〜4に示すフィラー粒子の種類及び含有量に変更した。感光体(A−1)の製造に用いたバインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)を、表3〜4に示す種類のバインダー樹脂に変更した。
表3〜4に感光体(A−1)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)の構成を示す。表3〜4中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表3〜4中、CGM欄のCGM−1、CGM−2、及びCGM−3は、それぞれY型チタニルフタロシアニン結晶(電荷発生剤(CGM−1))、X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤(CGM−2))、及びα型チタニルフタロシアニン結晶(電荷発生剤(CGM−3))を示す。表3〜4中、HTM欄のHTM−1〜HTM−17は、それぞれトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−17)を示す。表3〜4中、ETM欄のETM1−1、ETM2−1、ETM3−1、ETM4−1、及びETM5−1は、それぞれ電子輸送剤(ETM1−1)、(ETM2−1)、(ETM3−1)、(ETM4−1)、及び(ETM5−1)を示す。表3〜4中、フィラー粒子の種類欄のF1、F3、F4、F6、F7、及びF9〜F11は、それぞれフィラー粒子F1、F3、F4、F6、F7、及びF9〜F11を示す。表3〜4中、バインダー樹脂の種類欄のPC−1〜PC−5及びPAR−1は、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)を示す。
<3.感光体の評価>
[3−1.感光体の帯電安定性の評価]
感光体(A−1)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)のそれぞれに対して、帯電安定性を評価した。帯電安定性の評価は、温度10℃及び相対湿度15%RHの環境下で行った。
感光体を評価機に装着した。評価機は、画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」改造機)を用いた。この評価機は、直接転写方式を採用していた。この評価機は、接触帯電方式の帯電部として帯電ローラーを備えていた。この評価機は、クリーニング部としてクリーニングブレードを備えていなかった。記録媒体として京セラドキュメントソリューションズ株式会社販売「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4」(A4サイズ)を使用した。重合トナー(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「試作品」 一成分現像剤)を評価機の現像部に充填した。表面電位(後述の平均表面電位V01)が+600Vとなるように、帯電ローラーへの印加電流を設定した。
まず、白紙画像(画像濃度0%)を10枚印刷し、1枚ごとに感光体の表面電位を測定した(測定回数n=10)。帯電工程後露光工程前における感光体の表面電位を測定した。得られた10個の表面電位の平均をとり、平均表面電位を算出した。得られた平均表面電位を印字試験前の平均表面電位V01とした。
次いで、印字試験を行った。詳しくは、記録媒体(A4サイズ紙)に印字パターン(画像濃度4%)を15秒間隔で3000枚印刷した。次いで、白紙画像(画像濃度0%)を10枚印刷し、1枚ごとに感光体の表面電位を測定した(測定回数n=10)。帯電工程後露光工程前における感光体の表面電位を測定した。得られた10個の表面電位の平均をとり、平均表面電位を算出した。得られた平均表面電位を印字試験後の平均表面電位V02とした。
得られた平均表面電位及び平均表面電位から数式(A)を用いて、電位低下量Vを算出した。
電位低下量V=平均表面電位V01−平均表面電位V02・・・(A)
得られた電位低下量Vから下記評価基準に基づいて、感光体の帯電安定性を評価した。評価結果を表5〜6に示す。なお、評価AT〜CTを合格とした。
(帯電安定性の評価基準)
評価AT:電位低下量Vが40V以下であった。
評価BT:電位低下量Vが40Vより大きく60V以下であった。
評価CT:電位低下量Vが60Vより大きく80V以下であった。
評価DT:電位低下量Vが80Vより大きかった。
[3−2.感光体の耐フィルミング性の評価]
感光体(A−1)〜(A−37)及び感光体(B−1)〜(B−4)のそれぞれに対して、耐フィルミング性を評価した。耐フィルミング性の評価は、温度10℃及び相対湿度15%RHの環境下で行った。評価機は、画像不良の評価で用いた画像形成装置と同じものを用いた。記録媒体として京セラドキュメントソリューションズ株式会社販売「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4」(A4サイズ)を使用した。重合トナー(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「試作品」 一成分現像剤)を評価機の現像部に充填した。
まず、印字試験を行った。詳しくは、記録媒体(A4サイズ紙)に15秒間隔で印字パターン(画像濃度1%)を5000枚印刷した。印字試験後、評価用画像を作成した。詳しくは、ハーフトーン画像(画像濃度50%)を1枚印刷し、評価用画像とした。評価用画像を目視で観察し、フィルミングに起因する画像不良(筋、ダッシュマーク)の有無を確認した。筋とは、印刷方向に平行な線である。ダッシュマークとは、印刷方向に平行な線状の筋である。画像不良の有無は、下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表5〜6に示す。なお、評価AF〜CFを合格とした。
(耐フィルミング性の評価基準)
評価AF:筋、ダッシュマークは観察されなかった。
評価BF:筋、ダッシュマークはわずかに観察された。
評価CF:筋、ダッシュマークが部分的に観察されたが、実用上問題のない水準であった。
評価DF:筋、ダッシュマークが全体的に明確に観察され、実用上問題のある水準であった。
[総合評価]
耐フィルミング性及び帯電安定性の評価結果から、下記の基準に基づいて感光体の総合評価を行った。
評価A:耐フィルミング性の評価結果が評価AFであり、かつ帯電安定性の評価結果が評価ATであった。
評価B:帯電安定性の評価結果が評価ATであり耐フィルミング性の評価結果がBFであるか、帯電安定性の評価結果が評価BTであり耐フィルミング性の評価結果が評価AFであるか、又は帯電安定性の評価結果が評価BTであり耐フィルミング性の評価結果が評価BFであった。
評価C:帯電安定性の評価結果が評価DTでなくかつ耐フィルミング性の評価結果が評価DFではなかった。かつ帯電安定性の評価結果が評価CTであるか、耐フィルミング性の評価結果が評価CFであるか、又は帯電安定性の評価結果が評価CTであり耐フィルミング性の評価結果が評価CFであった。
評価D:帯電安定性の評価結果が評価DTであるか、耐フィルミング性の評価結果が評価DFであるか、又は帯電安定性の評価結果が評価DTであり耐フィルミング性の評価結果が評価DFであった。
Figure 2018031952
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Figure 2018031952
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表3及び表4に示すように、感光体(A−1)〜(A−37)では、感光層は電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、フィラー粒子と、バインダー樹脂とを含有していた。詳しくは、正孔輸送剤は、トリフェニルアミン誘導体(1)であった。トリフェニルアミン誘導体(1)は一般式(1)で表される。フィラー粒子は、F1、F3〜F4、F6〜F7、及びF9〜F10のうちの何れか1種であった。これらのフィラー粒子は、樹脂粒子又はシリカ粒子であった。
表5に示すように、感光体(A−1)〜(A−37)では、帯電安定性及び耐フィルミング性の総合評価結果がA、B、及びCの何れかであった。
表4に示すように、感光体(B−1)では、感光層は、フィラー粒子を含有していなかった。感光体(B−2)〜(B−4)では、感光層は、正孔輸送剤(HTM―A)、(HTM―B)、及び(HTM―C)の何れかを含んでいた。正孔輸送剤(HTM―A)、(HTM―B)、及び(HTM―C)は、トリフェニルアミン誘導体(1)ではなかった。感光体(B−5)では、感光層は、フィラー粒子F11を含有していた。フィラー粒子F11は、シリカ粒子又は樹脂粒子ではなかった。
表6に示すように、感光体(B−1)〜(B−5)では、帯電安定性及び耐フィルミング性の総合評価結果が全てDであった。
感光体(A−1)〜(A−37)は、感光体(B−1)〜(B−5)に比べ、耐フィルミング性及び帯電安定性に優れる。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
1 電子写真感光体
3 感光層
3a 単層型感光層

Claims (17)

  1. 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、単層型感光層であり、
    前記感光層は、電荷発生剤と、トリフェニルアミン誘導体と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含み、
    前記トリフェニルアミン誘導体は、一般式(1)で表され、
    前記フィラー粒子は、シリカ粒子又は樹脂粒子である、電子写真感光体。
    Figure 2018031952
    前記一般式(1)中、
    1、R2、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、
    n1及びn2は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
  2. 前記一般式(1)中、
    1、R2、R3、R4、及びR5は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、又は水素原子を表し、
    n1及びn2は、各々独立に、0又は1を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フィラー粒子の体積中位径は5nm以上10μm以下である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記フィラー粒子の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記樹脂粒子がフッ素原子を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記バインダー樹脂は、一般式(3)又は一般式(4)で表される繰返し単位を有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    前記一般式(3)中、
    11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    11とR12とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよく、
    11とR12とは、互いに同一であっても異なってもよく、
    13及びR14は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    13とR14とは、互いに同一であっても異なってもよく、
    前記一般式(4)中、
    15及びR16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    15とR16とは、互いに結合して形成されるシクロアルキリデン基を表してもよく、
    15とR16とは、互いに同一であっても異なってもよく、
    17及びR18は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    17とR18とは、互いに同一であっても異なってもよい。
  7. 前記一般式(3)中、
    11及びR12は、水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すか、又は互いに結合して形成される炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表し、
    13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表し、
    13とR14とは、互いに同一であり、
    前記一般式(4)中、
    15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    15とR16とは、互いに異なり、
    17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    17とR18とは、互いに同一である、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記バインダー樹脂が化学式(PC−1)、化学式(PC−2)、化学式(PC−3)、化学式(PC−4)、又は化学式(PC−5)で表される繰返し単位を有する、請求項6又は7に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
  9. 前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はY型チタニルフタロシアニン結晶を含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記電子輸送剤は、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、一般式(ETM3)、一般式(ETM4)、又は一般式(ETM5)で表される化合物を含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    Figure 2018031952
    前記一般式(ETM1)中、
    61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表し、
    61、R62、R63、及びR64は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    前記一般式(ETM2)中、
    33、R34、R35、及びR36は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表し、
    前記一般式(ETM3)中、
    65は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    66は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表し、
    67は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    sは、0以上4以下の整数を表し、
    65、R66、及びR67は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    前記一般式(ETM4)中、
    39及びR40は、各々独立に、1又は複数の置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよいアミノ基を表し、
    39及びR40は、互いに同一であっても異なってもよく、
    前記一般式(ETM5)中、
    41、R42、及びR43は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表し、
    41、R42、及びR43は、互いに同一であっても異なってもよい。
  11. 前記一般式(ETM1)中、
    61、R62、R63、及びR64は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ETM2)中、
    33、R34、R35、及びR36は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ETM3)中、
    65は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    66は、炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表し、
    sは、0を表し、
    前記一般式(ETM4)中、
    39及びR40は、各々独立に、1又は複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記一般式(ETM5)中、
    41、R42、及びR43は、各々独立に、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す、請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記感光層は、前記導電性基体上に直接的に配置される、又は下引き層若しくは酸化皮膜を介して間接的に配置される、請求項1〜11の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  13. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
    帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
    現像剤を用いて前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する転写部と
    を備える画像形成装置であって、
    前記像担持体は、請求項1〜12の何れか一項に記載の電子写真感光体であり、
    前記帯電部の帯電極性は、正極性であり、
    前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記記録媒体とが接触しながら前記トナー像を前記像担持体から前記記録媒体へ転写する、画像形成装置。
  14. 前記帯電部は、前記像担持体の前記表面と接触しながら、前記像担持体の前記表面を帯電する、請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記現像剤は、重合トナーを含む、請求項13又は14に記載の画像形成装置。
  16. クリーニング部を更に備え、
    前記クリーニング部は、クリーニングブレードである、請求項13〜15の何れか一項に記載の画像形成装置。
  17. 請求項1〜12の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021071696A (ja) * 2019-11-01 2021-05-06 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

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