JP6907878B2 - 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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本発明の第一実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある。)の構造を説明する。図1、図2及び図3は、第一実施形態の一例である感光体1の構造を示す部分断面図である。図1に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層の感光層である。図1に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接的に設けられてもよい。また、図2に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と、中間層4(例えば下引き層)と、感光層3とを備えてもよい。図2に示す例では、感光層3は、導電性基体2上に中間層4を介して間接的に設けられている。また、図3に示すように、感光体1は、最表面層として保護層5を備えてもよい。
導電性基体2は、感光体1の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体2としては、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成される導電性基体を用いることができる。導電性基体2としては、例えば、導電性を有する材料(導電性材料)で構成される導電性基体、及び導電性材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、及びインジウムが挙げられる。これらの導電性材料は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。二種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、真鍮等)が挙げられる。これらの導電性材料の中でも、感光層3から導電性基体2への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
感光層3は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。感光層3は更に添加剤を含有してもよい。感光層3の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できれば、特に限定されない。具体的には、感光層3の厚さは、5μm以上100μm以下であってもよく、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム及びアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体;ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、ジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等);オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等);スチリル系化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等);カルバゾール系化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;トリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
電子輸送剤は、第一電子輸送剤及び第二電子輸送剤を含む。第一電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物である。第二電子輸送剤は、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物である。感光層3は、第一電子輸送剤の一種又は二種以上と、第二電子輸送剤の一種又は二種以上とを含む。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(エポキシ化合物のアクリル酸付加物)及びウレタン−アクリル酸系共重合体(ウレタン化合物のアクリル酸付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
任意成分である添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、及びレベリング剤が挙げられる。添加剤を添加する場合は、これらの添加剤の一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
上述したように感光体1は、中間層4(例えば、下引き層)を有してもよい。中間層4は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層4を介在させると、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体1を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇を抑えることができる。
感光体1の製造方法について説明する。感光体1の製造方法は、例えば、感光層形成工程を有する。感光層形成工程では、感光層3を形成するための感光層用塗布液を調製する。次いで、感光層用塗布液を導電性基体2上に塗布する。次いで、適宜な方法で乾燥することによって、塗布した感光層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して感光層3を形成する。感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。このような感光層用塗布液は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製する。感光層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
以下、第二実施形態に係る画像形成装置の一態様について、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて説明する。図4は、第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、第一実施形態に係る感光体である。帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光して、像担持体30の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、像担持体30の表面と記録媒体P(被転写体)とを接触させながらトナー像を像担持体30から記録媒体Pへ転写する。以上、第二実施形態に係る画像形成装置100の概要を説明した。
第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、第一実施形態に係る感光体を備える。引き続き、図4を参照して、第三実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
感光層を作製するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を準備した。
X型無金属フタロシアニン(以下、電荷発生剤(CG−1)と記載する。)、及びY型チタニルフタロシアニン(以下、電荷発生剤(CG−2)と記載する。)を準備した。
正孔輸送剤として、第一実施形態で述べた正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−7)を準備した。更に、正孔輸送剤(HT−8)及び(HT−9)も準備した。正孔輸送剤(HT−8)及び(HT−9)は、それぞれ以下に示す化学式(HT−8)及び(HT−9)で表される正孔輸送剤である。
第一実施形態で説明した電子輸送剤(ET−1)〜(ET−5)を準備した。更に、電子輸送剤(ET−A)及び(ET−B)も準備した。電子輸送剤(ET−A)及び(ET−B)は、それぞれ以下に示す化学式(ET−A)及び(ET−B)で表される電子輸送剤である。
以下に示す方法により感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−12)を作製した。
電荷発生剤(CG−1)(5.0質量部)と、正孔輸送剤(HT−5)(50.0質量部)と、電子輸送剤(ET−1)(17.5質量部)と、電子輸送剤(ET−2)(17.5質量部)と、バインダー樹脂としてのビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製「PCZ500」、粘度平均分子量50,000)(100.0質量部)と、溶剤としてのテトラヒドロフラン(800.0質量部)とをボールミル内に投入した。これらの材料と溶剤とをボールミルにより50時間混合して、材料を溶剤に分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。この感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に感光層(膜厚30μm)を形成し、単層型感光体である感光体(A−1)を得た。
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の作製と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−12)を作製した。
感光体(A−1)の作製に用いた電荷発生剤(CG−1)を、表1に示す電荷発生剤に変更した。感光体(A−1)の作製に用いた正孔輸送剤(HT−5)を、表1に示す正孔輸送剤に変更した。感光体(A−1)の作製に用いた電子輸送剤(ET−1)及び(ET−2)を、表1に示す電子輸送剤に変更すると共に、電子輸送剤の含有量比を表1に示す質量比に変更した。感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−12)の作製に用いたそれぞれの電子輸送剤の合計質量は、感光体(A−1)の作製に用いた電子輸送剤の合計質量と同じであった。
[露光後電位及び転写メモリー電位の測定]
感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−12)の各々に対して、露光後電位及び転写メモリー電位の測定を行った。評価には、画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を用いた。この画像形成装置は、感光体の表面と中間転写ベルトとを接触させながらトナー像を感光体から中間転写ベルトへ転写する方式を採用していた。また、この画像形成装置は、直流電圧を印加する接触方式の帯電ローラーを帯電部として備えていた。この帯電ローラーは、エピクロルヒドリン樹脂に導電性カーボンを分散させた帯電性ゴムからなる弾性体層を備えていた。
2 導電性基体
3 感光層
Claims (8)
- 導電性基体と感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、単層であり、かつ電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含み、
前記電子輸送剤は、第一電子輸送剤及び第二電子輸送剤を含み、
前記第一電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記第二電子輸送剤は、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物であり、
前記正孔輸送剤は、下記化学式(HT−1)又は化学式(HT−3)で表される化合物を含む、電子写真感光体。
前記一般式(3)中、R17及びR18は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
前記一般式(4)中、
R19及びR20は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
R21は、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
前記一般式(5)中、R22、R23、R24及びR25は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
- 前記第二電子輸送剤は、前記一般式(2)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
前記一般式(3)中、R17及びR18は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有するフェニル基を表し、
前記一般式(4)中、R21は、ハロゲン原子を有するフェニル基を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。 - 像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する転写部と
を備える画像形成装置であって、
前記像担持体は、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体であり、
前記帯電部の帯電極性は、正極性であり、
前記転写部は、前記像担持体の前記表面と前記被転写体とを接触させながら前記トナー像を前記像担持体から前記被転写体へ転写する、画像形成装置。 - 前記被転写体は、記録媒体である、請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部は、前記像担持体の前記表面と接触しながら、前記像担持体の前記表面を帯電する、請求項5又は6に記載の画像形成装置。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
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