JP2021071536A - 像担持体ユニット、画像形成ユニットおよび画像形成装置 - Google Patents

像担持体ユニット、画像形成ユニットおよび画像形成装置 Download PDF

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【課題】幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴や残像を抑制する手段を提供する。【解決手段】感光層を有する像担持体を有し、前記像担持体は、絶対値が1000[V]の電圧で印加された帯電部材で帯電され、露光された後、0.06秒経過した表面の電位の絶対値が125[V]以下であり、かつ絶対値が1000[V]の電圧で印加された帯電部材で帯電され、露光された後、0.167秒経過したときの表面の電位の絶対値が55[V]以上である。【選択図】 図1

Description

本発明は、感光ドラムを有する像担持体ユニット、画像形成ユニットおよび画像形成装置に関する。
従来の像担持体ユニット、画像形成ユニットおよび画像形成装置は、帯電ローラによって一様に帯電させられた像担持体としての感光ドラムの表面を露光装置によって露光して静電潜像を形成し、現像ローラによって静電潜像を現像し、感光ドラム表面上に現像剤像としてのトナー像を形成した後、転写ローラによってトナー像を媒体に転写し、定着器によって定着させて印刷を行うようにしている。また、トナー像を媒体に転写した後の感光ドラムには現像剤としてのトナーが付着しており、クリーニング部材がトナーを除去するようにしている。
感光ドラムには、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを、この順に積層した積層型感光体が一般的に用いられている。電荷発生層と電荷輸送層とを有する積層型感光体の感光層形成の際は、膜強度確保のため、化合物を分散させるためバインダー樹脂が使用される。また、電荷輸送層は、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散させて得られる塗布液を塗布、乾燥して得るようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−288672号公報
しかしながら、従来の技術においては、様々な媒体に対する対応力の需要の増加に伴い、感光ドラムにおいて、通常の用紙より幅が狭い高電気抵抗の用紙に画像形成することも増加している。その際に、画像形成領域外にかかる感光ドラムへの高い転写電圧が感光ドラムにダメージを与えて電荷輸送層中に正電荷を蓄積する。その状態で通常の幅の用紙に画像形成すると画像形成領域外だった部分における潜像の負電荷を、蓄積された正電荷が打ち消してしまい、その部分の濃度が濃くなる(以下、「強転写履歴」という。)現象が発生することがあるという問題がある。
この問題は感光ドラムの応答特性を良好にする、つまり電荷の移動性を高くすることで、正電荷が蓄積されづらくなり解決する。しかし、その際に残留電位が低くなりすぎると、ベタ画像を印刷した部分から感光ドラムが1周回った際に電位が上がりきらず濃度が濃くなる(以下、「残像」という。) 現象が発生することがあるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴やベタ画像の印刷直後から感光ドラム1回転周期までの残像を抑制することを目的とする。
そのため、本発明は、感光層を有する像担持体を有し、前記像担持体は、絶対値が1000[V]の電圧で印加された帯電部材で帯電され、露光された後、0.06秒経過した表面の電位の絶対値が125[V]以下であり、かつ絶対値が1000[V]の電圧で印加された帯電部材で帯電され、露光された後、0.167秒経過したときの表面の電位の絶対値が55[V]以上であることを特徴とする。
このようにした本発明は、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴や残像を抑制することができるという効果が得られる。
実施例における現像装置の構成を示す概略側断面図 実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図 実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図 実施例における現像ローラの抵抗値の測定方法の説明図 実施例における感光ドラムの構成を示す説明図 実施例における強制転写履歴の説明図 実施例における残像の説明図 実施例における感光ドラムの露光後電位の測定方法の説明図 実施例における印刷パターンの説明図 実施例における印刷パターンの説明図 実施例における印刷結果の説明図 実施例における印刷濃度の測定位置の説明図 実施例における電荷輸送層の組成の説明図 実施例における試験結果
以下、図面を参照して本発明による像担持体ユニット、画像形成ユニットおよび画像形成装置の実施例を説明する。
図1は実施例における現像装置の構成を示す概略側断面図、図2は実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図2において、画像形成装置10は、媒体に現像剤画像を形成するものであり、例えばプリンタ、ファクシミリ機、複写機、複合機(MFP)等であるが、いかなる種類のものであってもよい。本実施例において、画像形成装置10は、電子写真方式によって画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。なお、画像形成装置10は、カラー画像を形成する装置であってもよいが、説明の都合上、モノクロ画像を形成する装置であるものとする。
画像形成装置10の内部には、用紙カセット21と、画像形成ユニット28と、定着器27とが媒体としての記録媒体Pの搬送路に沿って配設されている。
用紙カセット21は、記録媒体Pを収容するものである。用紙カセット21に積層されてセットされた記録媒体Pは、給紙ローラ31によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、矢印Bで示される媒体搬送方向に搬送されて用紙搬送ローラ32に送り込まれる。
画像形成ユニット28は、現像装置20を有し、現像剤像としてのトナー像を形成し、記録媒体Pに転写するものである。用紙搬送ローラ32に送り込まれた記録媒体Pは、用紙搬送ローラ32によって所定のタイミングで、矢印Cで示される媒体搬送方向に送り出され、搬送路に沿って搬送される途中で、画像形成ユニット28によって形成されたトナー像が転写ローラ25により転写される。
LEDヘッド26は、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)を備えた露光装置(露光部材)である。
定着器27は、記録媒体Pに転写されたトナー像を熱と圧力で定着させるものである。記録媒体Pが定着器27に送り込まれると、定着器27によって定着プロセスが行われ、トナー像が記録媒体P上に定着される。
トナー像が定着された記録媒体Pは、矢印Dで示される方向に搬送され、用紙排出ローラ33によって矢印Eで示される方向に排出され、画像形成装置10の外部におけるスタッカに収容される。
図1に示すように、像担持体ユニットとしての現像装置20は、現像剤収容器としてのトナー収容部22と、トナー収容部22から補給された現像剤としてのトナー17を内部に収容するケーシング23とを備えている。
また、現像装置20は、像担持体(静電潜像担持体)としての感光ドラム13、感光ドラム13に対向させて配設された現像剤担持体としての現像ローラ11、現像ローラ11にトナー17を供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ12、感光ドラム13を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ14、現像ローラ11上に供給されたトナー17を薄層に形成するトナー層厚規制ブレードとしての現像ブレード15、ケーシング23内のトナー17の流動性を維持するための攪拌部材24a、24b及び24c、感光ドラム13上の転写残トナーを掻き落として回収するためのクリーニングブレード16、並びに、感光ドラム13に除電光を照射する除電光ユニット18を備えている。
感光ドラム13は、表面にトナー像を担持し、帯電ローラ14で表面が帯電され、露光位置で露光部材としてのLEDヘッド26により露光され、転写位置でトナー像が転写ローラ25により媒体に転写されるものである。
除去部材としてのクリーニングブレード16は、感光ドラム13の表面に当接する当接部を有し、感光ドラム13の回転に伴い感光ドラム13表面の残留物を除去する板状のものである。
現像ローラ11、トナー供給ローラ12、感光ドラム13、帯電ローラ14は、それぞれ、矢印で示される方向に回転する。攪拌部材24a、24b及び24cは、クランク形状の棒体であり、図1に示される破線上を矢印で示される方向に回転する。
また、図2に示すLEDヘッド26は、イメージデータに基づいて感光ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成するものである。
図3は実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図3において、画像形成装置10は、印刷制御部30と、I/F制御部36と、操作部42と、センサ群43と、現像ローラ用電源44と、トナー供給ローラ用電源45と、帯電ローラ用電源46と、現像ブレード用電源47と、転写ローラ用電源51と、ヘッド駆動制御部52と、定着制御部53と、搬送モータ制御部54と、駆動制御部55とを有している。
印刷制御部30は、制御手段としてのマイクロプロセッサ、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を備え、ホストコンピュータ等の上位装置からI/F(インターフェイス)制御部36を介して印刷データ及び制御コマンドを受信し、画像形成装置10の全体のシーケンスを制御して印刷動作を行わせる。
受信メモリ37は、上位装置からI/F制御部36を介して入力された印刷データを一時的に記録するものである。
画像データ編集メモリ41は、受信メモリ37に記録された印刷データを受け取るとともに、印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわち、イメージデータを記憶するものである。
操作部42は、画像形成装置10の状態を表示するためのLED等の表示手段、及び、画像形成装置10に操作者からの指示を与えるためのスイッチ等の入力手段を備えたものである。
センサ群43は、画像形成装置10の動作状態を監視するための各種のセンサ、例えば、用紙位置検出センサ、温湿度センサ、印刷濃度センサ、トナー残量検知センサ等を含んでいる。
帯電ローラ用電源46は、印刷制御部30の指示によって帯電ローラ14に電圧を印加し、感光ドラム13の表面を帯電させるものである。
現像ローラ用電源44は、静電潜像にトナー17を付着させるために現像ローラ11に所定の電圧を印加するものである。
トナー供給ローラ用電源45は、現像ローラ11にトナー17を供給するためのトナー供給ローラ12に所定の電圧を印加するものである。
現像ブレード用電源47は、現像ローラ11の表面にトナー17の薄層を形成するための現像ブレード15に所定の電圧を印加するものである。
転写ローラ用電源51は、感光ドラム13に形成されたトナー像を記録媒体に転写するための転写ローラ25に所定の電圧を印加するものである。
なお、帯電ローラ用電源46、現像ローラ用電源44、トナー供給ローラ用電源45、現像ブレード用電源47及び転写ローラ用電源51は、印刷制御部30の指示によって各部材(帯電ローラ14、現像ローラ11、トナー供給ローラ12、現像ブレード15、および転写ローラ25)に印加する電圧を変更することができるようになっている。
ヘッド駆動制御部52は、画像データ編集メモリ41に記録されたイメージデータを図2に示すLEDヘッド26に送り、LEDヘッド26を駆動するものである。
定着制御部53は、転写されたトナー像を記録媒体に定着させるために、定着手段としての定着器27に電圧を印加するものである。なお、定着器27は、記録媒体上のトナー像を構成するトナーを溶融させるためのヒータ、温度を検出する温度センサ等を備えている。定着制御部53は、温度センサのセンサ出力を読み込み、センサ出力に基づいてヒータを通電させ、定着器27が一定の温度になるように制御を行う。
搬送モータ制御部54は、記録媒体を搬送するための用紙搬送モータ34の制御を行うものである。搬送モータ制御部54は、印刷制御部30の指示によって所定のタイミングで記録媒体を搬送したり停止させたりする。なお、給紙ローラ31、用紙搬送ローラ32及び用紙排出ローラ33は、用紙搬送モータ34によって回転させられる。そして、図2に示す記録媒体Pは矢印B〜Eで示される方向に搬送される。
駆動制御部55は、感光ドラム13を動作させるための駆動モータ35を駆動するものである。駆動制御部55によって駆動モータ35が駆動されると、図1に示されるように、感光ドラム13が矢印で示される方向に回転させられるとともに、帯電ローラ14、現像ローラ11及びトナー供給ローラ12が、それぞれ、矢印で示される方向に回転させられる。
次に、現像装置20の主な構成要素について図1に基づいて詳細に説明する。
まず、トナー17について説明する。
本実施例で使用したトナー17は、非磁性一成分の負帯電性トナーであり、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母粒子に無機微粉体や有機微粉体などの外部添加剤(以下、外添剤と称す)が添加されたものである。この結着樹脂としては、特に限定するものではないが、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、又はスチレン−ブタジエン系樹脂が好ましい。この結着樹脂には、離型剤、着色剤等が添加され、その他に帯電制御剤、導電性調整剤、流動性向上剤又はクリーニング性向上剤等の添加剤が適宜添加されていてもよい。また、結着樹脂としては複数の種類の混合でも良く、本実施例では、複数の非晶性ポリエステル系樹脂の他に結晶構造を持った結晶性ポリエステル樹脂を用いた。
トナー17の平均粒径は6.0[μm]、円形度0.96である。なお、平均粒径の測定には、コールター社製コールターマルチサイザー3を使用し、円形度の測定は、シスメ
ックス株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA−3000を使用した。
離型剤としては、特に限定するものではないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなど公知のものが挙げられる。そして含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜12重量部添加されるのが効果的であり、また、複数のワックスを併用することも好ましい。
着色剤としては、特に限定するものではないが、従来のブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を単独もしくは複数種併用して使用することができ、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bべース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ピグメントブルー15:3、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられる。この着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部、好ましくは2〜15重量部添加される。
帯電制御剤としては、公知のものを用いることができる。例えば、負帯電性トナーの場合には、アゾ系錯体帯電制御剤、サリチル酸系錯体帯電制御剤、カリックスアレン系帯電制御剤などが挙げられる。この帯電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部添加される。
トナー17の外添剤は、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上のために添加され、公知のものを用いることができ、外添剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜8重量部添加される。本実施例では、母粒子100重量部に、平均粒径14[μm]のシリカを数種類(帯電極性が正のものと、負のもの)と、平均粒径110[μm]のコロイダルシリカ(負帯電)、平均粒径200[μm]のメラミン(正帯電)を添加し、その総量は、上記範囲に収まるようにした。
トナー17の帯電量(ブローオフ帯電量)は、トナーとキャリアとを振とうにより撹拌して測定した。ここでは、キャリアとして、パウダーテック株式会社製のフェライトキャリア「EF96−35」を用い、トナー0.5[g]とキャリアとを9.5[g]を混合した。トナーとキャリアの混合物(150[mg])を容器に収容し、株式会社ヤヨイ製の振とう器「YS−LD」を用いて振とうする。振とう回数を200[回/分]とし、振とう時間は300秒間とした。
振とう後、京セラケミカル株式会社製の粉体帯電量測定装置「TB−203」を使用し、ブロー圧力を7.0[kPa]、吸引圧力を−4.5[kPa]として10秒間の吸引を行い、PC(パーソナルコンピュータ)に0.1秒毎の電荷量と吸引量を出力させる。吸引時間(10秒間)の最後の2秒間に出力された電荷量および吸引量の各平均値から算出されたトナー粒子の単位重量当たりの電荷量Q/Mはおよそ−35[μC/g]であった。なお、測定は、温度25[℃]、相対湿度[50%]で行った。
現像ローラ11は、軸としての導電性の芯金上に配設された弾性層、及び、弾性層の表面を被覆する表面層を備える。
弾性層のロール形状でのゴム硬度は、一般的に、アスカーC硬度55〜80[゜]であることが好ましい。弾性層のアスカーC硬度が55[゜]より低いと、現像装置20を長期間に亘って動作させない場合、現像ローラ11における感光ドラム13及び現像ブレード15との当接部に凹みが発生し、印刷画像上に横スジが発生してしまうという問題がある。また、弾性層のアスカーC硬度が80[゜]より高いと、現像ローラ11にかかる機械的負荷が大きくなり、現像ローラ11の表面にトナーフィルミングが発生しやすくなる。
弾性層の材料としては、シリコーンゴム、ウレタン等の一般的なゴム材料を使用することができる。弾性層としてポリウレタンを用いる場合には、ポリエーテル系ポリオールを主体とするポリウレタンであるのが好ましい。エーテル系ポリウレタンは、ポリエーテル系ポリオールを主体とするポリオールとポリイソシアネートとを反応することにより得られる、いわゆる注型タイプのポリウレタンである。これは、圧縮永久ひずみを小さくするためである。一方、エステル系ポリウレタンを用いた場合には、加水分解特性が悪く、長期に亘って安定して使用できない。
また、弾性層として、ポリウレタンを用いる場合、ポリオールと反応させるイソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの3官能イソシアネート単体、ヘキサメチレンジイソシアネートのネレート変性ポリイソシアネートや、ポリメリックMDIなどの混合物を用いることができる。
また、これら3官能以上のポリイソシアネートと、一般的な2官能イソシアネート化合物との混合物としてもよい。2官能イソシアネート化合物の例として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニルー4,4−ジイソシアネート(TODI)、及びこれらのイソシアネートを両末端に有するプレポリマー等の変性体や多量体などを挙げることができる。
弾性層は、上述したようなゴム基材にカーボンブラックを添加し、カーボンの分散状態を保持したまま加熱硬化させて形成する。これにより、固有抵抗として0.1〜10[Ω・cm]程度を示すカーボンブラックを絶縁体ともいえるエラストマー(1012〜1016[Ω・cm])に分散させて104〜108[Ω・cm]の中抵抗領域を安定になるように形成することができる。
本実施例では、表面層は、弾性層の表層部に表面処理液を含浸させて形成した。表面処理液は、有機溶媒に少なくともイソシアネート成分を溶解させたものである。有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチルなどが挙げられる。このような有機溶媒を用いる場合、例えば、表面処理液に含まれるイソシアネート成分として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などのイソシアネート化合物、及び前記の多量体及び変性体などを用いることができる。
表面処理液には、ポリエーテル系ポリマーを含有させてもよい。ここで、ポリエーテル系ポリマーは、有機溶剤に可溶であるのが好ましく、また、活性水素を有して、イソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものが好ましい。活性水素を有する好適なポリエーテル系ポリマーとしては、水酸基またはアリル基を有するポリマーが挙げられ、例えば、末端イソシアネートプレポリマーに用いるポリオール、グリコール等が挙げられる。
また、表面処理液には、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択されるポリマーを含有させてもよい。アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーは、所定の溶剤に可溶でイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものである。アクリルフッ素系ポリマーは、例えば、水酸基、アルキル基、またはカルボキシル基を有する溶剤可溶性のフッ素系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸フッ化アルキルのブロックコポリマーやその誘導体を挙げることができる。また、アクリルシリコーン系ポリマーは、溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸シロキサンエステルのブロックコポリマーやその誘導体を挙げることができる。
また、表面処理液には、導電性付与材としてさらにアセチレンブラック等のカーボンブラックを添加してもよい。
表面処理液中のポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーは、イソシアネート成分に対し、ポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーの総量を10〜70質量%となるようにするのが好ましい。10質量%より少ないとカーボンブラック等を表面処理液中に保持する効果が小さくなる。一方、70質量%より多いと、電気抵抗値が上昇したり、相対的にイソシアネート成分が少なくなって有効な表面処理層が形成できないという問題がある。
上述した表面処理液に弾性層を浸漬させることにより塗布し、乾燥硬化させることにより、表面処理液が弾性層の表層部に含浸されて表面層となる。
現像ローラ11の抵抗値は、図4の示す方法で測定を行い、ヒューレット・パッカード社製ハイレジスタンスメータ(型番:4339B)65を用いた。図4(a)に示すように、現像ローラ11は、軸方向における両端にW=300[g]の荷重を掛けて、直径30[mm]のSUS(Steel Use Stainless)材の金属ローラ66に接触させた。金属ローラ66を50[rpm]の速度で回転させ、現像ローラ11の芯金61に−100[V]の電圧を印加し、現像ローラ11の1周につき100ポイント測定し、その平均値をローラの抵抗値とした。このとき、現像ローラ11の抵抗値は、1×104〜1×107[Ω]の範囲が好ましく、本実施例においては、抵抗値が1×105[Ω]の現像ローラを用いた。
なお、図4(b)は現像ローラ11および金属ローラ66を軸方向から見た図である。
次に、現像ブレード15およびクリーニングブレード16について説明する。
本実施例における現像ブレード15は、ステンレス鋼材製で、板厚が0.08[mm]であり、現像ローラ11との当接部に曲げ加工が施されており、曲げ部の曲率半径は0.18[mm]であり、現像ローラ11に対する圧力(線圧)は、40[gf/cm]である。
現像ブレード15の設定条件に鑑み、現像ローラ11上のトナー層厚、トナー帯電量を所望の量にするため、現像ローラ11の表面粗さ、抵抗値等を検討する必要がある。本実施例の形態において使用する現像ローラ11の表面粗さは、周方向における十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)が2〜10[μm]であることが適当である。
本実施例で使用したクリーニングブレード16は、板状弾性体と、それを保持するための導電性の板状保持具からなる。
板状弾性体の形成材料としては、特に限定されるものではないが、感光ドラム13表面に摺接して残留トナーを掻き取る際、感光ドラム表面を傷つけることがないよう、弾性体組成物を用いるのが一般的である。例えばポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フッ素ゴム等に、適宜の添加剤を配合した組成物があげられる。なかでも、機械的強度や弾性圧接性等に優れる点で、ポリウレタン組成物が好適である。
上記ポリウレタン組成物は、通常、ポリイソシアネートとポリオールと硬化剤と触媒とを用いて得ることができる。
上記ポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−トリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添加MDI)、カルボジイミド変性MDI、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、ポリメリックMDI等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、耐摩耗性の観点から、MDIが好ましい。
また、上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート等のポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、耐摩耗性に優れる点で、PBAが好ましい。
上記ポリイソシアネートおよびポリオールとともに用いられる硬化剤としては、特に限定されるものではなく、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール等の、分子量300以下のポリオールがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
感光ドラム13に対するクリーニングブレード16の線圧は、15[gf/cm]以上、かつ30[gf/cm]以下が望ましく、本実施例では20[gf/cm]とした。また、クリーニング角は10[゜]以上、かつ15[゜]以下となるようにした。
図5は実施例における感光ドラムの構成を示す説明図である。
図5(a)に示すように、像担持体としての感光ドラム13は、ドラムギア71、ドラムフランジ72を有し、また図5(b)に示すように、感光ドラム13の表面層が、円筒型に加工された導電性支持体74上に表面から順に、下引き層75、電荷発生層76、電荷輸送層77の構成で積層構造となっており、感光層73は電荷発生層76と電荷輸送層77で構成されている。
導電性支持体74と後述する感光層73との間には、接着性、ブロッキング性等の改善のため、下引き層75を設けてもよい。
下引き層75としては、例えば、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層75は、単一層であっても、複数層を設けてもよい。
下引き層75に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
これらの金属酸化物粒子の中でも、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理が施されていてもよい。
これらの処理は何れか1種でもよく、2種以上が施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、例えば、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスの何れを用いることができる。なお、酸化チタン粒子は、その結晶型が1種のみであってもよく、2種以上の結晶型が任意の比率及び組み合わせで含まれていてもよい。
金属酸化物粒子の粒径は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、下引き層75の原料であるバインダー樹脂等の特性及び溶液の安定性の観点から、平均一次粒径が、通常10[nm]以上、また、通常100[nm]以下、好ましくは50[nm]以下のものが望ましい。この平均一次粒径は、例えば透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)により測定できる。
下引き層75は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散したもので形成することが好ましい。このような下引き層75は、例えば、バインダー樹脂を溶解した溶液に金属酸化物粒子を分散させ、この金属酸化物粒子を分散した溶液(以下、適宜「下引き層形成用塗布液」という。)を塗布することにより形成することが好ましい。下引き層75に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。また、硬化剤とともに硬化した形状で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性及び塗布性を示し、好ましい。
感光層73の構成は、公知の電子写真感光体に適用可能な如何なる構成も採用することが可能である。具体例を挙げると、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解又は分散させた単層の感光層(即ち、単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層76と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層77を積層してなる複数の層からなる感光層(即ち、積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体等が挙げられる。一般に光導電性材料は、単層型でも積層型でも、機能としては同等の性能を示すことが知られている。
本発明の電子写真感光体の有する感光層は、公知のいずれの形態であっても構わないが、電子写真感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性等を総合的に勘案して、積層型の電子写真感光体が好ましい。特に、導電性支持体上に電荷発生層76と電荷輸送層77とをこの順に積層した順積層型感光体がより好ましい。
電荷発生層76と電荷輸送層77とを有する機能分離型感光体(即ち、積層型感光体)の電荷輸送層及び単層型感光体の感光層形成の際は、膜強度確保のため、通常、化合物を分散させるためバインダー樹脂(結着樹脂)が使用される。機能分離型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。また、単層型感光体は、電荷発生物質、電荷輸送物質及び各種バインダー樹脂を溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。
機能分離型感光体における電荷発生層76に通常用いられるバインダー樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることができるが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
電荷輸送層77に用いられるバインダー樹脂の例としては、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂および有機光導電性樹脂などである。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体および塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体などである。有機光導電性樹脂は、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンおよびポリビニルペリレンなどである。
電荷輸送剤(電荷輸送材料)として用いられるものとしては、例えば、電荷輸送物質のうちのいずれか1種類または2種類以上(少なくとも1種類以上)を含んでいる。電荷輸送物質の種類は、特に限定されないが、例えば、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、アニリン誘導体およびエナミン誘導体などである。この他、電荷輸送物質は、例えば、上記した芳香族アミン誘導体のうちのいずれか1種類または2種類以上が結合された化合物でもよい。また、電荷輸送物質は、例えば、上記した芳香族アミン誘導体などからなる基を主鎖または側鎖として有する重合体(電子供与性材料)などでもよい。中でも、電荷輸送物質は、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、エナミン誘導体およびそれらのうちのいずれか1種類または2種類以上が結合された化合物であることが好ましく、芳香族アミン誘導体とエナミン誘導体とが結合された化合物であることがより好ましい。
感光ドラム13を構成する各層は、通常、各層を構成する材料を含有する塗布液を、導電性支持体74上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布、乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。バインダー樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状、分岐及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(以下、適宜「THF」と言う。)、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられ、前述した下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
層形成用の塗布液は、単層型感光体及び積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度が、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、その上限は、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下である。また、塗布液の粘度は、通常10[mPa・s]以上、好ましくは50[mPa・s]以上、また、その上限は、通常500[mPa・s]以下、好ましくは400[mPa・s]以下である。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、その上限は、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。また、塗布液の粘度は、通常0.01m[Pa・s]以上、好ましくは0.1[mPa・s]以上、また、その上限は、通常20[mPa・s]以下、好ましくは10[mPa・s]以下である。
塗布液の塗布方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。なお、これらの方法は、1種を単独で利用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて利用してもよい。塗布液の乾燥は室温(通常25℃)における指触乾燥後、通常30[℃]以上200[℃]以下の温度範囲で、通常1分以上2時間以下の間、無風、又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常[5μm]以上、好ましくは10[μm]以上、また、その上限は、通常100[μm]以下、好ましくは50[μm]以下である。また、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5[μm]以上50[μm]以下の範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の観点からは、好ましくは10[μm]以上45[μm]以下、高解像度の観点からは、より好ましくは10[μm]以上30[μm]以下である。
上述した構成の作用について説明する。
まず、現像装置の画像形成時の作用を図1、図2および図3に基づいて説明する。
駆動制御部55によって制御される駆動モータ35の回転に伴い、感光ドラム13、現像ローラ11、トナー供給ローラ12が、図1において矢印で示される方向に回転する。
本実施例においては、画像形成装置10の印刷速度は、記録媒体PとしてA4用紙縦方向印刷で40[ppm](枚/分)相当とし、外径16.0[mm]の現像ローラ11の周速度、および外径15.5[mm]のトナー供給ローラ12の周速度は、それぞれ0.3[m/s]、および0.2[m/s]とした。また、感光ドラム13は外径が30.0[mm]であり、周速度は0.22[m/s]とした。
図1に示す現像装置20において、スポンジ状の弾性体である発泡弾性層を備えるトナー供給ローラ12は、外周面及びセル内にトナー17を担持しながら回転し、現像ローラ11との接触部に到る。なお、トナー供給ローラ12には、トナー供給ローラ用電源45により、−330[V]の直流電圧が印加される。また、現像ローラ11には、現像ローラ用電源44により、−200[V]の直流電圧が印加される。そして、現像ローラ11とトナー供給ローラ12との間に生じた電位差により、負に帯電したトナー17は、現像ローラ11に供給される。
現像ローラ11の表面に担持されたトナー17は、現像ブレード用電源47により−330[V]の直流電圧が印加された現像ブレード15によって、薄層化される。
また、帯電ローラ14には、帯電ローラ用電源46により−1000[V]の直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム13の表面は、−400[V]程度に一様に帯電される。
そして、LEDヘッド26の露光によって感光ドラム13上に形成された静電潜像に、現像ローラ11が担持するトナー17が供給され、静電潜像が現像される。
印刷画像密度100%のベタ画像(ソリッド画像)を印刷する場合、露光後の感光ドラム13表面電位はLEDヘッド26からの全露光を受けて、およそ−400[V]からおよそ−130[V]程度の表面電位となる。
感光ドラム13に供給されなかった現像ローラ11上のトナー17は、トナー供給ローラ12の対向部において、トナー供給ローラ12によって掻き取られる。
感光ドラム13に現像されたトナー画像のトナー17は、所定の転写電圧が印加された図2に示す転写ローラ25により記録媒体Pに転写される。
一方、感光ドラム13に現像され、記録媒体Pに転写されなかったトナー17や、トナー母粒子から遊離して感光ドラム13の表面に付着した外添剤は、クリーニングブレード16の当接部まで搬送され、掻き取られる。
クリーニングブレード16によってトナー17や外添剤が掻き取られた感光ドラム13は、除電光ユニット18により除電光が照射されて除電され、帯電ローラ14による次の帯電に供される。
ここで、印刷画像密度について説明する。
印刷画像密度において、所定の領域(例えば、感光ドラム1周分や印刷媒体1ページ分等)の印刷可能範囲に全面ベタ画像印刷時の面積率100%印刷のことを印刷画像密度100%といい、この印刷画像密度100%に対して0%の面積に相当する印刷を印刷画像密度0%という。
感光ドラムがCd回転したときに実際に印刷で用いられたドットの数、すなわち、露光されたドット数をCm(i)、感光ドラム1回転あたりのドット数、すなわち、露光の有無に限らず、感光ドラム1回転あたりで(印刷でドットが潜在的に)印刷可能なドットであり、仮に、ベタ画像(ソリッド画像)の場合に用いられるドット数をC0としたとき、印刷画像密度は以下の式で表される。
印刷画像密度=〔Cm(i)/(Cd×C0)〕×100[%]
なお、Cd×C0は感光ドラムがCd回転したときの(印刷でドットが潜在的に)印刷可能なドット数である。
次に、強転写履歴について、図6の実施例における強制転写履歴の説明図を用いて説明する。図6(a)は幅狭サイズの用紙を印刷する場合の転写前の電荷の様子、図6(b)は幅狭サイズの用紙を印刷する場合の転写直後の電荷の様子、図6(c)は幅狭サイズの用紙を印刷した場合の転写後から次の帯電(除電後)までの電荷の様子、図6(d)は幅狭サイズの用紙を印刷する場合の連続印刷中の電荷の様子、図6(e)は通常サイズの用紙を印刷する場合の帯電直後の電荷の様子、図6(f)は通常サイズの用紙を印刷する場合の帯電後から現像前までの電荷の様子を示している。
また、EINは幅狭サイズの用紙を印刷する場合の画像形成領域を表し、EOUTは幅狭サイズの用紙を印刷する場合の画像形成領域外であって通常サイズの用紙を印刷する場合の画像形成領域内となる領域を表している。
なお、本実施例において、印刷媒体(用紙)の幅とは、図4に示す感光ドラム13の長手方向(媒体搬送方向と直交する方向)の印刷媒体の長さである。
電気抵抗が高抵抗の幅が狭い印刷媒体としての用紙P1に印刷を行う場合、図6(a)、図6(b)に示すように、図4に示す感光ドラム13の画像形成領域外EOUTの部分に必要以上の転写電圧が印加される。
必要以上に転写電圧が印加された図4に示す感光ドラム13の画像形成領域外EOUTの部分には、図6(c)に示すように正電荷80が残り、図5に示す感光ドラム13の電荷輸送層77中に正電荷80が残留する。
用紙P1に連続で印刷することにより、図6(d)に示すように残留する正電荷80はさらに増加していく。
図6(d)に示す正電荷80が電荷輸送層77中に残留した状態で、電気抵抗が低抵抗であって用紙P1より幅が広い通常サイズの用紙P2に印刷を行った場合、図6(e)、図6(f)に示すように、図1に示す帯電ローラ14により一様に帯電した感光ドラム13表面の負電荷81が電荷輸送層77中の正電荷80により中和されて用紙P1の画像形成領域外EOUTの部分の負電荷がなくなり、用紙P1の画像形成領域外EOUTに対応する用紙P2の部分に縦(媒体搬送方向)の黒帯となって印刷画像に現れる。
ここで、電気抵抗が高抵抗の印刷媒体としての高抵抗媒体および電気抵抗が低抵抗の印刷媒体としての低抵抗媒体について説明する。
高抵抗媒体として、ポリエステルなどを用いたフィルム媒体やコート紙等があり、具体例として、フィルム媒体としては、レーザーピーチ紙(ダイオーポスタルケミカル製、体積抵抗率5.05×1014Ω/cm3)、紙をコーティングして平滑性を持たせたコート紙としてラミフリー紙(中川製作所製、体積抵抗率3.72×1015Ω/cm3)、カレカ紙(三菱化学メディア製、体積抵抗率1.36×1016Ω/cm3)が挙げられる。
一方、低抵抗媒体としては、普通紙、やや厚い紙、グロス紙、厚紙等があり、具体例として、普通紙としては、エクセレントホワイト紙(沖データ製、体積抵抗率9.64×109Ω/cm3)、やや厚い紙としてP厚口紙(富士ゼロックス製、体積抵抗率1.36×1011Ω/cm3)、グロス紙としてGloss text(Futura Laser製、体積抵抗率2.02×1011Ω/cm3)、厚紙としてLABEL33up紙(ゼロックス製、体積抵抗率3.85×1012Ω/cm3)が挙げられる。
また、低抵抗媒体と高抵抗媒体を区別する方法として、強転写履歴(濃度段差)が発生しない低抵抗媒体と、強転写履歴(濃度段差)が発生する高抵抗媒体の体積抵抗率の間に境界値を設定してもよい。具体的には、厚紙とフィルム媒体との体積抵抗率の間の値を境界値として設けてもよく、例えば、境界値を5.00×1013Ω/cm3と定義してもよい。
次に、残像について、図7の実施例における残像の説明図を用いて説明する。図7(a)は帯電直後の感光ドラムの表面電位、図7(b)は感光ドラムの一部にベタ画像を露光した場合の表面電位、図7(c)は次の帯電直後の表面電位、図7(d)はハーフトーン画像を露光した場合の表面電位を示している。
感光ドラム13の残留電位が低すぎる場合、例えばベタ画像を印刷した後の次の画像形成プロセスにおける帯電ローラによる帯電で感光ドラム13を十分に帯電することができなくなる。
これは、図7(a)に示すように一様に帯電された感光ドラムの表面に、図7(b)に示す感光ドラムの一部(領域EB)にベタ画像を露光した場合、露光した感光ドラムの表面電位(領域EBの表面電位)はV0からVL[−V]に下がり、図7(c)に示すように次の画像形成プロセスにおける帯電ローラによる帯電で感光ドラムの領域EBをV0に帯電させることができず、感光ドラムの表面を十分(一様)に帯電することができなくなる。
その状態でハーフトーンを印刷すると、図7(d)に示すように、上がりきらなかった電位差が残り、ベタ画像を印刷した部分(電位差が残った領域EB)が濃く印刷される。
次に、感光ドラムの露光後電位の測定方法について、図8を用いて説明する。
図8に示すように、感光ドラム13の露光後電位は、図1に示す現像装置20を模した試験機を用いて測定を行った。その際の環境は温度10[℃]、湿度20[%]である。
図8に示す感光ドラム13は図中矢印が示す反時計方向に回転しており、トレック社製表面電位計(Model344)83のプローブ84を、感光ドラム13の回転方向におけるLEDヘッド26の下流に設置し、LEDヘッド26によって全露光された後の感光ドラム13表面の露光後電位を測定した。
また、感光ドラム13の表面がLEDヘッド26による露光位置からプローブ84による測定位置まで移動する時間は、感光ドラム13の回転速度を変更することで0.06[s]、0.167[s]とした。
0.06[s]という時間は、図2に示す現像装置20において、露光位置T1から感光ドラム13と現像ローラ11との対向位置(現像位置)T2に、感光ドラム13の表面が移動するまでの時間である。
また、0.167[s]という時間は、露光位置T1から感光ドラム13と転写ローラ25の当接位置(転写位置)T3に、感光ドラム13の表面が移動するまでの時間以下の時間であり、十分に露光後電位が落ちている時間である。
露光位置T1から感光ドラム13と現像ローラ11との対向位置(現像位置)T2に、感光ドラム13の表面が移動するまでの時間が経過した露光後電位を測定するのは、感光ドラム13に形成された静電潜像を現像するときの電位が十分に上がっていること、即ち上述した強転写履歴(濃度段差)を発生させない電位(応答特性)を測定するためである。
また、露光位置T1から感光ドラム13と転写ローラ25の当接位置(転写位置)T3に、感光ドラム13の表面が移動するまでの時間が経過した露光後電位を測定するのは、感光ドラム13に形成されたトナー画像を転写するときの電位が下がり過ぎていないこと、即ち上述した残像を発生させない電位(残留電位)を測定するためである。
次に、本実施例における効果を確認するために行った印刷試験方法について説明する。
まず、強転写履歴の有無を確認する試験については、温度10[℃]、湿度20[%]の環境で、図9に示す白紙パターン(印刷画像密度0%)を高抵抗の幅が狭い用紙であるレーザーピーチ(大王製紙株式会社製、WETY−145)を用いて60枚印刷をした。
その後、レーザーピーチより幅が広いA4サイズの普通紙(株式会社沖データ製エクセレントホワイトPPR−CA4NA)で、図10に示すハーフトーンパターンを印刷して帯部85と近接した非帯部94の印刷濃度をエックスライト社製X−Rite528で測定した。
ハーフトーンパターンとは、ベタ画像を印刷する際のLEDヘッドの光量の1/2の光量で印刷したパターンのことである。
なお、印刷媒体の体積抵抗値は、三菱ケミカル株式会社製Hiresta−UPMCP−HT450で測定し、1000[V]印加時は、レーザーピーチは6.8×1014Ω、エクセレントホワイトは1×109Ω以下、500[V]印加時は、レーザーピーチは1×1015Ω以上、エクセレントホワイトは7.5×109Ωだった。
次に、残像の有無を確認する試験については、図11に示す評価パターンを印刷して評価を行った。図11は感光ドラム周期の残像の有無を確認するための評価パターンの例である。図11に示す評価パターンは、用紙Pの上端部(図中矢印Fが示す印刷方向における上端部)にベタのボールド文字87と、ボールド文字87の下端から感光ドラム1周分(図中矢印Gが示す感光ドラム1周分)の位置にハーフトーンのパターン88の下部とを配したものになっている。
感光ドラム1周分の周期に残像が発生しない場合は、図11(a)に示すように、ハーフトーン部88にボールド文字87の残像は発生しない。
しかし、残留電位が低すぎる場合は、図11(b)に示すように、ボールド文字89を印刷した部分の電位が上がりきらず、感光ドラム1周期後に印刷濃度が濃くなってしまう。その結果、ボールド文字89から感光ドラム1周期後のハーフトーン部90に残像91が発生する。
次に、印刷濃度を測定した位置について、図12を用いて説明する。
図12に示すように、残像部92と、その近傍のハーフトーン部である背景部93の濃度をエックスライト社製X−Rite528で測定した。
強転写履歴に関しては上記の測定方法で図10に示す帯部85と近接した非帯部94の濃度差が0.02以下であるものを効果ありと判断した。
また、残像の有無に関しては、図12に示す残像部92と背景部93の濃度差が0.02以下であるものを効果ありと判断した。
本実施例では、感光ドラム13の電荷輸送層77の電荷輸送剤の組成を変更することで感光ドラム13の電気特性としての応答特性を調整した。応答特性を調整する場合、電荷輸送剤の共役を長くすることで高い応答特性を有した感光ドラム13を得ることができる。
その一例として、図13(a)は共役が短く、図13(b)は共役が長い例を示している。共役が長いことで正孔の電荷輸送剤間の移動が減るため応答性が良化する。
なお、電荷輸送剤は公知の合成方法により得ることができ、また電荷輸送剤の共役の長さは公知の合成方法(例えば、特開2017−31063号で開示されている製造方法)により共役の長さが異なるベンジジン誘導体を反応させることで調整することができる。
また、電気特性としての残留電位を調整したい場合、電荷輸送剤のHOMOのエネルギーレベルが高いほど露光後電位が低く優れた感光ドラムを得られる。その中でもアミン系化合物は低い残留電位を示すことから広く利用されている。また、電荷輸送剤のバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用するとポリアリレート樹脂に比べ良好な電気特性が得られる。
図14に本実施例の試験結果を示す。
応答特性(LL応答特性)は、低温低湿環境(温度10[℃]、湿度20[%])において、1000[−V]の電圧を印加した帯電ローラ14によって帯電した感光ドラム13に対して露光を行ってから0.06秒経過した後における感光ドラム13の電位を、応答特性(LL応答特性)として図8に示す試験機を用いて測定した。
また、残留電位(LL残留電位)は、低温低湿環境(温度10[℃]、湿度20[%])において、1000[−V]の電圧を印加した帯電ローラ14によって帯電した感光ドラム13に対して露光を行ってから0.167秒経過した後における感光ドラム13の電位を、残留電位(LL残留電位)として図8に示す試験機を用いて測定した。
さらに、図14に示す強転写履歴および残像は、図1、図2に示す画像形成装置10を用いて印刷を行った評価結果である。
図14において、強転写履歴が発生したものを「×」、未発生のものを「〇」(印刷濃度の測定において図10に示す帯部85と近接した非帯部94の濃度差が0.02以下)と記し、また、残像が発生したものを「×」、未発生だったものを「〇」(印刷濃度の測定において図12に示す残像部92と背景部93の濃度差が0.02以下)と記した。
強転写履歴および残像がいずれも「〇」だったものは、感光ドラム13として、強転写履歴が抑制され、残像も抑制されていることから優れた性能を有しているとみなした。
強転写履歴、および残像がともに発生しなかった感光ドラム13は実施例1〜5であった。これらの感光ドラム13は、応答特性が125[−V]以下(負帯電であって電位の絶対値が125以下)であり、かつ残留電位が55[−V]以上(負帯電であって電位の絶対値が55以上)であった。
以上の結果より、強転写履歴と残像の発生は、それぞれ感光ドラム13の応答特性、残留電位が寄与していることが分かる。
なお、比較例1〜5および比較例6〜7が、それぞれ強転写履歴と残像が発生した理由については、図6および図7で説明したとおりである。
このように、本実施例では、感光ドラム13の露光後電位を適正化することにより、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴と残像を抑制することができる。
具体的には、温度10[℃]、湿度20[%]の環境下で1000[−V]の電圧を印加した帯電ローラ14によって帯電した感光ドラム13に対して露光した後の電位が、0.06秒後において125[−V]以下となり、かつ0.167秒後において55[−V]以上となる感光ドラム13を備えることにより、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴と残像を抑制することができる。
なお、本実施例において、トナーは負帯電性トナーとして説明したが、正帯電性トナーを用いても良い。
正帯電性トナーを用いた場合、温度10[℃]、湿度20[%]の環境下で1000[+V]の電圧を印加した帯電ローラ14によって帯電した感光ドラム13に対して露光した後の電位が、0.06秒後において125[+V]以下(正帯電であって電位の絶対値が125以下)となり、かつ0.167秒後において55[+V]以上(正帯電であって電位の絶対値が55以上)となる感光ドラム13を備えることにより、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴と残像を抑制することができる。
即ち、本実施例では、絶対値が1000[V]の電圧が印加された帯電ローラ14で帯電されて露光位置T1から現像ローラ11との対向位置T2に到達するまでに表面の電位の絶対値が125[V]以下となり、かつ絶対値が1000[V]の電圧が印加された帯電ローラ14で帯電されて露光位置T1から転写位置T3に到達したときの表面の電位の絶対値が55[V]以上となる感光ドラム13を備えることにより、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴と残像を抑制することができる。
また、本実施例では、帯電ローラ14に印加される電圧をトナーの帯電極性と同じ極性の電圧としている。
以上説明したように、本実施例では、幅狭の高抵抗媒体を連続印刷した後の強転写履歴や残像を抑制することができるという効果が得られる。
なお、本実施例では、画像形成装置を現像装置が1つのモノクロプリンタとして説明したが、それに限られることなく、現像装置を複数有するカラープリンタとしても良い。
また、画像形成装置をプリンタとして説明したが、複写機、ファクシミリ装置、または複合機(MFP)等としても良い。
10 画像形成装置
11 現像ローラ
12 トナー供給ローラ
13 感光ドラム
14 帯電ローラ
15 現像ブレード
16 クリーニングブレード
17 トナー
18 除電光ユニット
20 現像装置
22 トナー収容部
23 ケーシング
25 転写ローラ
26 LEDヘッド
27 定着器
28 画像形成ユニット
35 駆動モータ
55 駆動制御部
71 ドラムギア
72 ドラムフランジ
73 感光層
74 導電性支持体
75 下引き層
76 電荷発生層
77 電荷輸送層

Claims (5)

  1. 感光層を有する像担持体を有し、
    前記像担持体は、絶対値が1000[V]の電圧で印加された帯電部材で帯電され、露光された後、0.06秒経過した表面の電位の絶対値が125[V]以下であり、かつ絶対値が1000[V]の電圧で印加された帯電部材で帯電され、露光された後、0.167秒経過したときの表面の電位の絶対値が55[V]以上であることを特徴とする像担持体ユニット。
  2. 請求項1に記載の像担持体ユニットにおいて、
    更にトナーを有し、
    前記帯電部材に印加される電圧は、前記トナーの帯電極性と同じ極性の電圧であることを特徴とする像担持体ユニット。
  3. 帯電部材と、
    表面に現像剤像を担持し、前記帯電部材で表面が帯電され、露光位置で露光部材により露光され、転写位置で前記現像剤像が媒体に転写される像担持体と、
    前記像担持体に対向する現像剤担持体と、
    を有し、
    前記像担持体は、絶対値が1000[V]の電圧が印加された前記帯電部材で帯電されて前記露光位置から前記現像剤担持体との対向位置に到達するまでに表面の電位の絶対値が125[V]以下となり、かつ絶対値が1000[V]の電圧が印加された前記帯電部材で帯電されて前記露光位置から前記転写位置に到達したときの表面の電位の絶対値が55[V]以上であることを特徴とする画像形成ユニット。
  4. 請求項3に記載の画像形成ユニットにおいて、
    更に現像剤としてのトナーを有し、
    前記帯電部材に印加される電圧は、前記トナーの帯電極性と同じ極性の電圧であることを特徴とする画像形成ユニット。
  5. 現像剤像を形成する画像形成装置であって、
    請求項3または請求項4に記載の画像形成ユニットを有することを特徴とする画像形成装置。
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