JP2018105972A - 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018105972A
JP2018105972A JP2016251082A JP2016251082A JP2018105972A JP 2018105972 A JP2018105972 A JP 2018105972A JP 2016251082 A JP2016251082 A JP 2016251082A JP 2016251082 A JP2016251082 A JP 2016251082A JP 2018105972 A JP2018105972 A JP 2018105972A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon atoms
group
compound
agent
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016251082A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6635021B2 (ja
Inventor
浜崎 一也
Kazuya Hamazaki
一也 浜崎
和隆 杉本
Kazutaka Sugimoto
和隆 杉本
裕子 岩下
Hiroko Iwashita
裕子 岩下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2016251082A priority Critical patent/JP6635021B2/ja
Publication of JP2018105972A publication Critical patent/JP2018105972A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6635021B2 publication Critical patent/JP6635021B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】感光層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立できる正帯電積層型電子写真感光体を提供する。【解決手段】正帯電積層型電子写真感光体30は、導電性基体31と電荷輸送層32と電荷発生層33とを備える。導電性基体31の上に電荷輸送層32が備えられる。電荷輸送層32の上に電荷発生層33が備えられる。電荷発生層33は、電荷発生剤と第一正孔輸送剤と第一電子輸送剤と第一バインダー樹脂とを含有する。第一電子輸送剤は、5つの特定構造で表される化合物のうちの2種以上を含む。第一バインダー樹脂の質量に対する2種以上の第一電子輸送剤の合計質量の比率は、0.45以上である。2種以上の第一電子輸送剤の合計質量は、第一正孔輸送剤の質量よりも多い。電荷輸送層32は、第二正孔輸送剤と、第二電子輸送剤とを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体の一例として、正帯電用電子写真感光体が知られている。特許文献1に記載の正帯電用電子写真感光体は、導電性支持体上にキャリア輸送層とキャリア発生層とをこの順に有する。キャリア発生層は、P型キャリア輸送物質とN型キャリア輸送物質とを含有する。
特開平4−242259号公報
しかし、特許文献1に記載の正帯電用電子写真感光体において、キャリア発生層中のP型キャリア輸送物質に対するN型キャリア輸送物質の量比が0.01〜1.0である。このような正帯電用電子写真感光体は転写メモリーの発生を抑制する点で不十分であることが、本発明者らの検討により判明した。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立できる正帯電積層型電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような正帯電積層型電子写真感光体を備えることで、形成画像における転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制できるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
本発明の正帯電積層型電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体の上に備えられる電荷輸送層と、前記電荷輸送層の上に備えられる電荷発生層とを備える。前記電荷発生層は、電荷発生剤と、第一正孔輸送剤と、第一電子輸送剤と、第一バインダー樹脂とを含有する。前記第一電子輸送剤は、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)で表される化合物のうちの2種以上を含む。前記第一バインダー樹脂の質量に対する2種以上の前記第一電子輸送剤の合計質量の比率は、0.45以上である。2種以上の前記第一電子輸送剤の合計質量は、前記第一正孔輸送剤の質量よりも多い。前記電荷輸送層は、第二正孔輸送剤と、第二電子輸送剤とを含有する。
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
前記一般式(1−1)、(2)及び(3)中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す。但しR14は水素原子ではない。前記一般式(4)中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。前記一般式(5−1)中、Q6及びQ7は、各々独立して、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表す。Q6及びQ7のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の正帯電積層型電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の正帯電積層型電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記正帯電積層型電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記正帯電積層型電子写真感光体の前記表面を露光して、前記正帯電積層型電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記正帯電積層型電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の正帯電積層型電子写真感光体によれば、感光層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像において、転写メモリーに起因する画像ゴーストの発生を抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る正帯電積層型電子写真感光体の一例を示す部分断面図である。 チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。 チタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートの一例である。 画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る正帯電積層型電子写真感光体を備える。 図4に示すV領域の拡大図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数2以上4以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数6以上10以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基及び炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上5以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基及び炭素原子数2以上4以下のアルケニル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、例えば、1個以上3個以下の二重結合を有する。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基の例としては、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基及びヘキサジエニル基が挙げられる。炭素原子数2以上4以下のアルケニル基の例は、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が2以上4以下である基である。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基及びヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数6以上10以下のアリール基の各々は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基及びフェナントリル基が挙げられる。炭素原子数6以上10以下のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基及び炭素原子数7以上9以下のアラルキル基は、各々、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基及び4−フェニルブチル基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基及び炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基は、各々、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が挙げられる。炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基の例は、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が3以上8以下である基である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基の例は、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が5以上7以下である基である。
<1.感光体>
本実施形態は正帯電積層型電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明する。図1(a)〜図1(c)は、それぞれ、本実施形態に係る感光体30の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体30は、例えば、導電性基体31と電荷輸送層32と電荷発生層33とを備える。電荷輸送層32は、導電性基体31の上に備えられる。電荷発生層33は、電荷輸送層32の上に備えられる。感光層は、電荷輸送層32と電荷発生層33とを含む。感光体30は、感光層として電荷輸送層32と電荷発生層33とを備える積層型電子写真感光体である。感光体30は正帯電させることができる。詳しくは、感光体30が画像形成装置100(図4参照)に備えられた場合に、帯電部42(図4参照)が感光体30を正極性に帯電することができる。
正帯電積層型である感光体30は、負帯電積層型電子写真感光体と比較して、次の利点を有する。なお、負帯電積層型電子写真感光体では、通常、導電性基体の上に電荷発生層が備えられ、電荷発生層の上に電荷輸送層が備えられる。負帯電積層型電子写真感光体は、画像形成装置に備えられた場合に、帯電部によって負極性に帯電される。
正帯電積層型である感光体30の第一の利点は、解像度が向上することである。負帯電積層型電子写真感光体では、露光時に、導電性基体の上の電荷発生層において電荷(正孔と電子)が発生する。発生した正孔は、電荷発生層及び電荷発生層上の電荷輸送層を移動し、電荷輸送層の表面に到達する。そして、電荷輸送層の表面に到達した正孔が、電荷輸送層の表面の負電荷を打ち消す。負帯電積層型電子写真感光体では、正孔の移動距離が長いため、正孔が移動している間に、露光された箇所から若干離れたところに正孔が到達することがある。そのため、負帯電積層型電子写真感光体では、解像度が低下することがある。しかし、正帯電積層型である感光体30では、露光時に、感光体30の表面30a(図5参照)に近い電荷発生層33において電荷(正孔と電子)が発生する。発生した電子は、電荷発生層33を移動し、電荷発生層33の表面に到達する。そして、電荷発生層33の表面に到達した電子が、電荷発生層33の表面の正電荷を打ち消す。感光体30では電子の移動距離が短いため、露光された箇所と同じ箇所に電子が到達する傾向がある。そのため、正帯電積層型である感光体30では、解像度が向上する。
正帯電積層型である感光体30の第二の利点は、オゾンが発生し難いことである。負帯電積層型電子写真感光体は、負極性に帯電されるため、画像形成においてオゾンが発生することがある。しかし、感光体30は正極性に帯電されるため、オゾンの発生を抑制できると考えられる。
図1(b)に示すように、感光体30は、導電性基体31と電荷輸送層32と電荷発生層33と中間層34(下引き層)とを備えてもよい。中間層34は、導電性基体31と電荷輸送層32との間に設けられる。図1(a)に示すように、電荷輸送層32は導電性基体31の上に直接設けられてもよいし、図1(b)に示すように、電荷輸送層32は導電性基体31の上に中間層34を介して設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体30は、導電性基体31と電荷輸送層32と電荷発生層33と保護層35とを備えてもよい。保護層35は、電荷発生層33の上に設けられる。しかし、露光時の感光体30の光感度を向上させるためには、感光体30は保護層35を備えないことが好ましい。感光体30が保護層35を備えない場合、電荷発生層33が感光体30の最表面層として備えられる。
電荷発生層33及び電荷輸送層32の厚さは、それぞれの層として機能できる限り、特に限定されない。電荷発生層33の厚さは、0.01μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましく、8μm以上15μm以下であることが更に好ましい。電荷輸送層32の厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る感光体30は、感光層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立させることができる。その理由は以下のように推測される。
理解を容易にするために、まず転写メモリーについて説明する。感光体30を備える画像形成装置100を用いて記録媒体P(図4参照)に画像を形成する場合、感光体30が1周回転する間に、帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程が行われる。帯電工程では、感光体30の表面30a(図5参照)が一定の正極性の電位まで帯電される。続いて、露光工程及び現像工程を経て、転写工程では、帯電とは逆極性の転写バイアス(負極性の転写バイアス)が、被転写体(例えば中間転写ベルト56、図4参照)を介して感光体30に印加される。印加された逆極性の転写バイアスの影響により、感光体30の表面30aの非露光領域(非画像領域)の電位が低下し、電位が低下した状態が保持されることがある。この電位低下の影響を受け、非露光領域は、次の周の帯電工程において、所望の正極性の電位まで帯電され難くなる。一方、感光体30の表面30aの露光領域(画像領域)にはトナーが付着しているため、露光領域に転写バイアスが直接印加され難い。そのため、転写バイアスが印加されても、露光領域の電位は低下し難い。その結果、露光領域と非露光領域との間で、次の周の感光体30の表面30aの帯電電位に差が生じることがある。このように、転写バイアスの影響によって、感光体30の表面30aにおいて、前の周の非露光領域に対応する領域の帯電電位が、前の周の露光領域に対応する領域よりも低下する現象を、転写メモリーという。転写メモリーは、高速で画像を形成する場合に発生し易い。高速で画像を形成する場合には、強い転写バイアスを感光体30へ印加する転写条件に設定されることが多いからである。感光体30に転写メモリーが発生すると、形成画像にネガゴーストが発生し易くなる。ネガゴーストは、形成画像において、感光体30の前の周の非露光領域に対応する領域が黒ずむ画像不良である。
ここで、本実施形態の感光体30の電荷発生層33においては、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量が、第一正孔輸送剤の質量よりも多い。通常、電荷発生層において、第一電子輸送剤の質量は、第一正孔輸送剤の質量よりも少ない。その理由は次のとおりである。画像形成において感光体30を露光すると、電荷発生層33中の電荷発生剤から電子及び正孔が発生する。発生した電子は、第一電子輸送剤によって電荷発生層33の表面へ輸送される。発生した正孔は、第一正孔輸送剤によって電荷輸送層32へ輸送され、更に導電性基体31へ輸送される。露光した光の透過率は、電荷発生層33の表面付近では高く、電荷発生層33の深部(電荷輸送層32側)では低くなる。そのため、露光した光の透過率が高い電荷発生層33の表面付近に存在する電荷発生剤から、多くの電子及び正孔が発生する傾向がある。電荷発生層33の表面付近に存在する電荷発生剤から電子及び正孔が発生した場合、電荷輸送層32までの正孔の移動距離は、電荷発生層33の表面までの電子の移動距離よりも長い。そのため、第一正孔輸送剤を、第一電子輸送剤よりも多く含有させることが一般的である。しかし、本発明者らは鋭意検討し、電荷発生層33において、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量を、第一正孔輸送剤の質量よりも多くすることで、転写メモリーの発生を抑制できることを見出した。
また、第一電子輸送剤は、電荷発生層33を形成するための溶剤に溶解し難い化学構造を有する。しかし、電荷発生層33に第一電子輸送剤として、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)で表される化合物のうちの2種以上を含有させることで、電荷発生層33を形成するための溶剤に対する第一電子輸送剤の溶解性を向上させることができる。これにより、電荷発生層33を形成するための溶剤に多くの第一電子輸送剤を溶解させることができる。その結果、電荷発生層33において、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量を、第一正孔輸送剤の質量よりも多くすることができる。これにより、電荷発生層33の結晶化を抑制しつつ、転写メモリーの発生を抑制することができる。
更に、電荷発生層33に第一電子輸送剤として一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)で表される化合物のうちの2種以上を含有させることで、電荷発生層33に含有される第一バインダー樹脂と第一電子輸送剤との相溶性が向上する。これにより、電荷発生層33の結晶化を抑制しつつ、第一バインダー樹脂の質量に対する2種以上の第一電子輸送剤の合計質量の比率を0.45以上にすることができる。その結果、電荷発生層33の結晶化を抑制しつつ、転写メモリーの発生を抑制することができる。
そして、電荷輸送層32は、第二正孔輸送剤と、第二電子輸送剤とを含有する。既に述べたように、画像形成において感光体30が露光されると、電荷発生層33中の電荷発生剤から電子及び正孔が発生する。発生した電子は第一電子輸送剤によって電荷発生層33の表面へ輸送され、発生した正孔は第一正孔輸送剤によって電荷輸送層32へ輸送され、更に第二正孔輸送剤によって導電性基体31へ輸送される。そのため、電荷輸送層32には、第二正孔輸送剤が含有されていれば十分であるとも考えられる。しかし、本発明者らは鋭意検討し、電荷輸送層32が第二正孔輸送剤に加えて第二電子輸送剤を更に含有することで、転写メモリーの発生を好適に抑制できることを見出した。
以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造、及び効果を奏すると推測される理由について説明した。以下、本実施形態に係る感光体について更に説明する。
<1−1.導電性基体>
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、電荷輸送層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<1−2.電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生剤と、第一正孔輸送剤と、第一電子輸送剤と、第一バインダー樹脂とを含有する。第一正孔輸送剤は、電荷発生層に含有される正孔輸送剤である。第一電子輸送剤は、電荷発生層に含有される電子輸送剤である。第一バインダー樹脂は、電荷発生層33に含有されるバインダー樹脂である。電荷発生層33は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
電荷発生層において、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1)は、第一正孔輸送剤の質量(MHTM1)よりも多い。つまり、電荷発生層において、第一正孔輸送剤の質量(MHTM1)に対する、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1)の比率(METM1/MHTM1)は、1.00より大きい。2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1)が第一正孔輸送剤の質量(MHTM1)と同じ又は少ないと、既に述べたように、転写メモリーが発生する。電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を更に抑制するためには、比率(METM1/MHTM1)が1.00より大きく1.60以下であることが好ましく、1.00より大きく1.50以下であることがより好ましく、1.05以上1.30以下であることが更に好ましく、1.05以上1.20以下であることが一層好ましく、1.10以上1.13以下であることが特に好ましい。
第一バインダー樹脂の質量(MRESIN1)に対する2種以上(好ましくは2種又は3種)の第一電子輸送剤の合計質量(METM1)の比率(METM1/MRESIN1)は、0.45以上である。比率(METM1/MRESIN1)が0.45未満であると、転写メモリーが発生する。転写メモリーの発生を更に抑制するためには、比率(METM1/MRESIN1)は、0.50以上であることがより好ましい。電荷発生層の結晶化を更に抑制するためには、比率(METM1/MRESIN1)は、0.80以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましく、0.55以下であることが更に好ましい。
電荷発生層の質量(MCGL)に対する2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1)の比率(METM1/MCGL)は、0.20以上であることが好ましく、0.24以上であることがより好ましく、0.25以上であることが更に好ましい。また、比率(METM1/MCGL)は、0.50以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましく、0.26以下であることが更に好ましい。電荷発生層の質量(MCGL)は、電荷発生層に含まれる全ての材料の質量の和である。例えば、電荷発生層が電荷発生剤と2種以上の第一電子輸送剤と第一正孔輸送剤と第一バインダー樹脂とを含む場合には、電荷発生層の質量(MCGL)は、電荷発生剤の質量、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量、第一正孔輸送剤の質量及び第一バインダー樹脂の質量の和である。
電荷発生層の質量(MCGL)に対する第一バインダー樹脂の質量(MRESIN1)の比率(MRESIN1/MCGL)は、0.55以下であることが好ましく、0.53以下であることがより好ましく、0.52以下であることが更に好ましい。比率(MRESIN1/MCGL)が0.55以下であると、転写メモリーの発生を好適に抑制することができる。また、比率(MRESIN1/MCGL)は、0.40以上であることが好ましく、0.45以上であることがより好ましく、0.48以上であることが更に好ましい。比率(MRESIN1/MCGL)が0.40以上であると、感光体の耐摩耗性を向上できると考えられる。
電荷発生層の質量(MCGL)に対する第一正孔輸送剤の質量(MHTM1)の比率(MHTM1/MCGL)は、0.10以上0.50以下であることが好ましく、0.20以上0.30以下であることがより好ましく、0.21以上0.24以下であることが更に好ましい。
電荷発生層の質量(MCGL)に対する電荷発生剤の質量(MCGM)の比率(MCGM/MCGL)は、0.005以上0.10以下であることが好ましく、0.01以上0.02以下であることがより好ましい。
(第一電子輸送剤)
第一電子輸送剤は、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)で表される化合物のうちの2種以上を含む。以下、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)で表される化合物の各々を、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)と記載することがある。電荷発生層は、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの2種以上を含有する。2種以上の第一電子輸送剤の各々の間の還元電位差は、小さいことが好ましい。
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
一般式(1−1)、(2)及び(3)中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す。但し、R14は、水素原子ではない。つまり、R14は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す。
一般式(4)中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子;ニトロ基;シアノ基;炭素原子数2以上6以下のアルケニル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基;又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7は、各々独立して、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;及び1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表す。Q6及びQ7のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。つまり、化合物(5−1)はハロゲン原子を必須で有する。
一般式(1−1)、(2)及び(3)中のR1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表されるハロゲン原子(ハロゲン基)は、塩素原子(クロロ基)であることが好ましい。
一般式(1−1)、(2)及び(3)中のR1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基又はn−ペンチル基がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を更に有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基及びシアノ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有する置換基としては、炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。置換基としての炭素原子数6以上14以下のアリール基が更に有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数2以上7以下のアルカノイル基(炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するカルボニル基)、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基(炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するカルボニル基)及びフェノキシカルボニル基が挙げられる。
一般式(1−1)、(2)及び(3)中のR1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基及びシアノ基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1−1)、(2)及び(3)中のR1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基及びシアノ基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1−1)、(2)及び(3)中のR1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数2以上7以下のアルカノイル基(炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するカルボニル基)、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基(炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するカルボニル基)、フェノキシカルボニル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基及びビフェニル基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又はニトロ基が好ましく、メチル基、エチル基又はニトロ基がより好ましい。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1−1)、(2)及び(3)中のR1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基及びシアノ基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1−1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表すことが好ましい。
一般式(1−1)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表し、R3及びR4は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(1−1)中、R1及びR2は、各々独立して、メチル基、イソプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、フェニルメチル基、フェニル基又はメトキシ基を表し、R1及びR2は、同じ基を表し、R3及びR4は、各々独立して、メチル基又は水素原子を表すことが更に好ましい。
一般式(1−1)中、R1及びR2は、各々独立して、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基又はメトキシ基を表し、R1及びR2は、同じ基を表し、R3及びR4は、各々水素原子を表すことが特に好ましい。
一般式(2)中のR8、R9、R10及びR11は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表すことが好ましい。一般式(2)中のR8、R9、R10及びR11は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましい。R8、R9、R10及びR11が炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す場合、R8、R9、R10及びR11が炭素原子数1以上6以下のアルキル基のうちの同じ基を表してもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基のうちの異なる基を表してもよい。一般式(2)中のR8、R9、R10及びR11は、各々独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基又は1,1−ジメチルプロピル基を表すことが更に好ましい。一般式(2)中のR8及びR10は、同じ基を表すことが好ましい。一般式(2)中のR9及びR11は、同じ基を表すことが好ましい。
一般式(3)中のR12及びR13は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基がより好ましい。一般式(3)中のR14は、ハロゲン原子を表すことが好ましい。一般式(3)中のR14の結合位置は特に限定されない。R14が結合するフェニル基が結合する窒素原子に対して、R14はこのフェニル基のオルト位、パラ位又はメタ位に結合することができ、パラ位に結合することが好ましい。
一般式(4)中のR6及びR7で表される炭素原子数2以上6以下のアルケニル基としては、炭素原子数2以上4以下のアルケニル基が好ましい。
一般式(4)中のR6及びR7で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。
一般式(4)中のR6及びR7で表される炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(4)中のR6及びR7で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基又はn−ペンチル基がより好ましく、エチル基又は1,2−ジメチルプロピル基が更に好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有してもよい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の数は、3個以下であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましく、1個であることが更に好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、エトキシエチル基がより好ましく、2−エトキシエチル基が更に好ましい。
一般式(4)中のR6及びR7で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基の数は、3個以下であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましく、2個であることが更に好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を1つ又は2つ有するフェニル基が好ましく、エチルメチルフェニル基がより好ましく、2−エチル−6−メチルフェニル基が更に好ましい。
一般式(4)中、R6及びR7は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。このようなハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上3つ以下であることが好ましい。1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有するフェニル基が好ましく、ジクロロフェニル基又はトリクロロフェニル基がより好ましく、2,6−ジクロロフェニル基又は2,4,6−トリクロロフェニル基が更に好ましい。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を1つ以上5つ以下有するフェニル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を1つ又は2つ有するフェニル基がより好ましく、エチルメチルフェニル基が更に好ましく、2−エチル−6−メチルフェニル基が特に好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子を有してもよい。このようなハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基がハロゲン原子を有する場合、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がハロゲン原子を有していてもよく、炭素原子数6以上14以下のアリール基がハロゲン原子を有していてもよい。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7が表すベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、ベンゾイル基を少なくとも1つ有するフェニル基が好ましく、ベンゾイル基を1つ以上3つ以下有するフェニル基がより好ましく、ベンゾイル基を1つ有するフェニル基が更に好ましく、2−ベンゾイルフェニル基が特に好ましい。ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子を有してもよい。このようなハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。ベンゾイル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基がハロゲン原子を有する場合、ベンゾイル基がハロゲン原子を有していてもよく、炭素原子数6以上14以下のアリール基がハロゲン原子を有していてもよい。1つ以上のハロゲン原子を有し、ベンゾイル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有し、ベンゾイル基を有するフェニル基が好ましく、1つ以上3つ以下の塩素原子を有し、ベンゾイル基を有するフェニル基がより好ましく、クロロ(ベンゾイル)フェニル基であることが更に好ましく、4−クロロ−2−ベンゾイルフェニル基であることが特に好ましい。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7が表す炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基が好ましく、フェニルエチル基がより好ましく、1−フェニルエチル基が更に好ましい。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子を有してもよい。このようなハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基がハロゲン原子を有する場合、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基のアルキル部位がハロゲン原子を有していてもよく、アリール部位がハロゲン原子を有していてもよい。1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有する炭素原子数7以上9以下のアラルキル基が好ましく、1つ以上3つ以下の塩素原子を有する1−フェニルエチル基がより好ましく、1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基が更に好ましい。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7が表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましい。炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子を有してもよい。このようなハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
一般式(5−1)中、Q6及びQ7が表す炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基が好ましい。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子を有してもよい。このようなハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
一般式(5−1)中のQ6及びQ7は、好ましくは以下のとおりである。Q6及びQ7は、各々独立して、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;及び1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基からなる群より選択される基を表す。Q6及びQ7のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。
一般式(5−1)中のQ6及びQ7は、より好ましい例において、以下のとおりである。Q6及びQ7の一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有し、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。Q6及びQ7の他方が、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
一般式(5−1)中のQ6及びQ7は、より好ましい別の例において、以下のとおりである。Q6及びQ7の両方が、1つ以上のハロゲン原子を有し、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。なお、化合物(5−1)は、実施例に記載の方法又はその代替法によって製造することができる。
電荷発生層は、例えば、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの2種を含むことができる。化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)から2種を選択する場合、同じ一般式(具体的には、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)の何れか)で表される異なる種類の化合物を2種選択してもよい。また、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)から2種を選択する場合、異なる一般式で表される化合物を2種選択してもよい。
電荷発生層は、例えば、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの3種を含むこともできる。化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)から3種を選択する場合、同じ一般式(具体的には、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)の何れか)で表される異なる種類の化合物を3種選択してもよい。また、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)から3種を選択する場合、異なる一般式で表される化合物を3種選択してもよい。
化合物(1−1)の好適な例は、下記化学式(ET1−1)〜(ET1−12)で表される化合物であり、より好適な例は、化学式(ET1−3)又は(ET1−12)で表される化合物である。化合物(2)の好適な例は、下記化学式(ET2−1)〜(ET2−10)で表される化合物であり、より好適な例は、化学式(ET2−4)で表される化合物である。化合物(3)の好適な例は、下記化学式(ET3−1)〜(ET3−3)で表される化合物であり、より好適な例は、化学式(ET3−1)で表される化合物である。化合物(4)の好適な例は、下記化学式(ET4−1)〜(ET4−4)で表される化合物である。化合物(5−1)の好適な例は、下記化学式(ET5−1)〜(ET5−6)で表される化合物であり、より好適な例は、化学式(ET5−1)、(ET5−2)又は(ET5−3)で表される化合物である。以下、化学式(ET1−1)〜(ET1−12)、(ET2−1)〜(ET2−10)、(ET3−1)〜(ET3−3)、(ET4−1)〜(ET4−4)及び(ET5−1)〜(ET5−6)で表される化合物の各々を、化合物(ET1−1)〜(ET1−12)、(ET2−1)〜(ET2−10)、(ET3−1)〜(ET3−3)、(ET4−1)〜(ET4−4)及び(ET5−1)〜(ET5−6)と記載することがある。
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)及び(3)のうちの2種以上を含有することが好ましく、化合物(1−1)、(2)及び(3)のうちの2種又は3種を含有することがより好ましい。
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−1)〜(ET1−12)、(ET2−1)〜(ET2−10)、(ET3−1)〜(ET3−3)、(ET4−1)〜(ET4−4)及び(ET5−1)〜(ET5−6)のうちの2種以上を含有することが好ましく、化合物(ET1−3)、(ET1−12)、(ET2−4)及び(ET3−1)のうちの2種以上を含有することがより好ましく、化合物(ET1−3)、(ET1−12)、(ET2−4)及び(ET3−1)のうちの2種又は3種を含有することが更に好ましい。
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が第一電子輸送剤として、化合物(1−1)及び化合物(2)を含有することが好ましい。また、電荷発生層が第一電子輸送剤として、化合物(1−1)及び化合物(3)を含有することも好ましい。また、電荷発生層が第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、化合物(2)及び化合物(3)を含有することも好ましい。
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)を含有することが好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)を含有することも好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−12)、(ET2−4)及び化合物(ET3−1)を含有することも好ましい。
電荷発生層は、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの2種のみを含有することができる。また、電荷発生層は、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの3種のみを含有することができる。また、電荷発生層は、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの4種以上のみを含有することができる。また、電荷発生層は、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの2種以上に加えて、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)以外の化合物を更に含有していてもよい。電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、化合物(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)のうちの2種以上の合計質量は、第一電子輸送剤の合計質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(第一正孔輸送剤)
電荷発生層は、第一正孔輸送剤を含有する。第一正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。第一正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第一正孔輸送剤の好適な例は、下記一般式(10)、(11)又は(12)で表される化合物(以下、化合物(10)、(11)又は(12)と記載することがある)である。電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を一層抑制するためには、電荷発生層は、第一正孔輸送剤として、化合物(12)を含むことが好ましい。
Figure 2018105972
一般式(10)中、R20〜R22は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R20〜R22としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、n−ブチル基を表すことがより好ましい。
一般式(10)中、p、q及びrは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。pが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR20は、互いに同一でも異なっていてもよい。qが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR21は、互いに同一でも異なっていてもよい。rが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR22は、互いに同一でも異なっていてもよい。pは1を表すことが好ましい。q及びrは0を表すことが好ましい。
20〜R22の結合位置は特に限定されない。R20〜R22は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R20は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
Figure 2018105972
一般式(11)中、R23〜R27は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R23〜R25は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。R26〜R27は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表すことがより好ましく、メチルフェニル基を表すことが更に好ましく、p−メチルフェニル基を表すことが特に好ましい。
一般式(11)中、s、t及びuは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。sが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR23は、互いに同一でも異なっていてもよい。tが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR24は、互いに同一でも異なっていてもよい。uが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR25は、互いに同一でも異なっていてもよい。s、t及びuは、各々、1を表すことが好ましい。
23〜R25の結合位置は特に限定されない。R23〜R25は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R23〜R25は、各々、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
Figure 2018105972
一般式(12)中、R28〜R33は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表す。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基が置換基を有する場合、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基が有する置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基が有する置換基の数は、特に限定されないが、3以下であることが好ましく、2であることがより好ましい。R28〜R33としては、炭素原子数1以上6以下のアルキルが好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
一般式(12)中、g、h、i及びjは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。gが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR28は、互いに同一でも異なっていてもよい。hが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR29は、互いに同一でも異なっていてもよい。iが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR30は、互いに同一でも異なっていてもよい。jが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR31は、互いに同一でも異なっていてもよい。g及びhの一方は2を表し、他方は0又は1を表すことが好ましい。g及びhの一方は2を表し、他方は0を表すことがより好ましい。i及びjの一方は2を表し、他方は0又は1を表すことが好ましい。i及びjの一方は2を表し、他方は0を表すことがより好ましい。
28〜R31の結合位置は特に限定されない。R28〜R31は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R28〜R31は、各々、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合することが好ましい。
一般式(12)中、k及びlは、各々独立して、0以上4以下の整数を表す。kが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。lが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR33は、互いに同一でも異なっていてもよい。k及びlは、各々、0を表すことが好ましい。
32及びR33の結合位置は特に限定されない。R32及びR33は、各々、フェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
gが2を表しhが0又は1を表す場合、2個のR28は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基を表すことがより好ましい。gが2を表しhが0又は1を表す場合、R29は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基を表すことが特に好ましい。gが2を表しhが0又は1を表す場合、2個のR28はフェニル基のオルト位に結合することが好ましい。この場合、R29はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
hが2を表しgが0又は1を表す場合、2個のR29は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基を表すことがより好ましい。hが2を表しgが0又は1を表す場合、R28は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基を表すことが特に好ましい。hが2を表しgが0又は1を表す場合、2個のR29はフェニル基のオルト位に結合することが好ましい。この場合、R28はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
iが2を表しjが0又は1を表す場合、2個のR30は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基を表すことがより好ましい。iが2を表しjが0又は1を表す場合、R31は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基を表すことが特に好ましい。iが2を表しjが0又は1を表す場合、2個のR30はフェニル基のオルト位に結合することが好ましい。この場合、R31はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
jが2を表しiが0又は1を表す場合、2個のR31は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基を表すことがより好ましい。iが2を表しjが0又は1を表す場合、R30は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基を表すことが特に好ましい。jが2を表しiが0又は1を表す場合、2個のR31はフェニル基のオルト位に結合することが好ましい。この場合、R30はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
化合物(10)の好適な例は、下記化学式(HT2)で表される化合物である。化合物(11)の好適な例は、下記化学式(HT3)で表される化合物である。化合物(12)の好適な例は、下記化学式(HT1)で表される化合物である。以下、化学式(HT1)〜(HT3)で表される化合物の各々を、化合物(HT1)〜(HT3)と記載することがある。
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が、第一電子輸送剤として化合物(1−1)及び化合物(2)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(12)を含有することが好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)及び化合物(3)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(12)を含有することも好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、化合物(2)及び化合物(3)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(12)を含有することも好ましい。
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が、第一電子輸送剤として化合物(1−1)及び化合物(2)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有することが好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)及び化合物(3)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有することも好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、化合物(2)及び化合物(3)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有することも好ましい。
電荷発生層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有することが好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有することも好ましい。また、電荷発生層が、第一電子輸送剤として、化合物(ET1−12)、(ET2−4)及び化合物(ET3−1)を含有し、第一正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有することも好ましい。
(電荷発生剤)
電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CG1)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 2018105972
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、α型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。また、Y型チタニルフタロシアニンには、電荷発生効率が高く、電荷発生層内に電荷が残留し難いという利点がある。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有しない。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
図2は、チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。図2において、横軸はブラッグ角2θ(°)を示し、縦軸は強度(cps)を示す。図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートから、測定されたチタニルフタロシアニンの結晶型がY型であることを推定できる。
Y型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析(DSC)スペクトルにおける熱特性(詳しくは、次に示す熱特性(a)〜(c))の違いによって3種類に分類される。
(a)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
(b)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上400℃以下の範囲にピークを有しない。
(c)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
示差走査熱量分析スペクトルの測定方法の一例について説明する。サンプルパンにチタニルフタロシアニン結晶粉末の評価用試料を載せて、示差走査熱量計(例えば、株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて示差走査熱量分析スペクトルを測定する。測定範囲は、例えば40℃以上400℃以下であり、昇温速度は、例えば20℃/分である。
図3は、チタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートの一例である。具体的には、図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートで示されるチタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートである。図3において、横軸は温度(℃)を示し、縦軸は熱流束(mcal/秒)を示す。図3の示差走査熱量分析スペクトルチャートでは、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークが観察されず、296℃(270℃以上400℃以下の範囲)に1つのピークが観察される。従って、測定されたチタニルフタロシアニン結晶が、主に熱特性(c)を有するY型チタニルフタロシアニンであることを推定できる。
熱特性(b)及び(c)を有するY型チタニルフタロシアニンは、結晶安定性に優れており、有機溶媒中で結晶転移を起こしにくく、電荷発生層中に分散し易い。電荷発生層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立させるためには、熱特性(c)を有するY型チタニルフタロシアニンが好ましい。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
(第一バインダー樹脂)
電荷発生層は、第一バインダー樹脂を含有する。第一バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン重合体(ポリスチレン)、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。これらの第一バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた電荷発生層が得られることから、第一バインダー樹脂としてはポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂及びビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、下記化学式(R−1)で表される繰り返し単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(R−1)と記載することがある)が好ましい。
Figure 2018105972
第一バインダー樹脂の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上52,500以下であることがより好ましい。第一バインダー樹脂の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。第一バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、第一バインダー樹脂が電荷発生層用塗布液の溶剤に溶解し易くなり、電荷発生層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、電荷発生層を形成し易くなる。
<1−3.電荷輸送層>
電荷輸送層は、第二正孔輸送剤と、第二電子輸送剤とを含有する。電荷輸送層は、第二バインダー樹脂を含有してもよい。第二正孔輸送剤は、電荷輸送層に含有される正孔輸送剤である。第二電子輸送剤は、電荷輸送層に含有される電子輸送剤である。第二バインダー樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂である。電荷輸送層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
電荷輸送層が第二正孔輸送剤と第二電子輸送剤とを含有することで、既に述べたように、転写メモリーの発生を抑制することができる。また、電荷輸送層が第二電子輸送剤を含有することで、電荷輸送層に残る空間電荷が第二電子輸送剤によって中和されると考えられる。更に、電荷輸送層が第二電子輸送剤を含有することで、第二電子輸送剤が可視光を吸収し、感光体の耐光性が向上すると考えられる。更に、電荷輸送層が第二電子輸送剤を含有することで、感光体に露光された光に対する感光体の感度が向上すると考えられる。
(第二電子輸送剤)
第二電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。第二電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
転写メモリーの発生を抑制するためには、第二電子輸送剤は、下記一般式(5−2)又は(1−2)で表される化合物を含むことが好ましい。以下、一般式(5−2)及び(1−2)で表される化合物を、各々、化合物(5−2)及び(1−2)と記載することがある。電荷輸送層は、第二電子輸送剤として、化合物(5−2)又は(1−2)を含有することが好ましい。電荷輸送層が第二正孔輸送剤に加えて第二電子輸送剤を含有すると、電荷輸送層の結晶化が発生し易くなる。しかし、第二電子輸送剤として化合物(5−2)又は(1−2)が含有されることで、電荷輸送層の結晶化を抑制しつつ、転写メモリーの発生を抑制することができる。
Figure 2018105972
一般式(5−2)中、Q106及びQ107は、各々独立して、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基;1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;及び1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表す。Q106及びQ107のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。
一般式(5−2)中のQ106及びQ107は、各々、一般式(5−1)中のQ6及びQ7と同義である。一般式(5−2)中のQ106及びQ107の好適な例は、各々、一般式(5−1)中のQ6及びQ7の好適な例と同じである。化合物(5−2)の好適な例は、化合物(5−1)の好適な例と同じである。なお、化合物(5−2)は、実施例に記載の方法又はその代替法によって製造することができる。
Figure 2018105972
一般式(1−2)中、R101、R102、R103及びR104は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す。
一般式(1−2)中のR101、R102、R103及びR104は、各々、一般式(1−1)中のR1、R2、R3及びR4と同義である。一般式(1−2)中のR101、R102、R103及びR104の好適な例は、各々、一般式(1−1)中のR1、R2、R3及びR4の好適な例と同じである。化合物(1−2)の好適な例は、化合物(1−1)の好適な例と同じである。
電荷輸送層は、第二電子輸送剤として、化合物(5−2)及び(1−2)の1種を単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。電荷輸送層は、第二電子輸送剤として、化合物(5−2)又は(1−2)のみを含有してもよい。化合物(5−2)又は(1−2)の含有率は、第二電子輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。第二電子輸送剤の含有量は、第二バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
(第二正孔輸送剤)
第二正孔輸送剤の好適な例は、第一正孔輸送剤の好適な例と同じである。第二正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第二正孔輸送剤は、第一正孔輸送剤と同じであってもよく、異なっていてもよい。第二正孔輸送剤の含有量は、第二バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
(第二バインダー樹脂)
第二バインダー樹脂の例は、第一バインダー樹脂の例及び好適な例と同じである。第二バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。第二バインダー樹脂は、第一バインダー樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよい。電荷輸送層に含有される第二バインダー樹脂は、電荷発生層に含有される第一バインダー樹脂とは異なることが好ましい。感光体の製造では、例えば、導電性基体の上に電荷輸送層が形成され、電荷輸送層の上に電荷発生層が形成される。その際に、電荷輸送層の上に、電荷発生層用塗布液が塗布される。そのため、電荷輸送層は、電荷発生層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。第一バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂である場合、第二バインダー樹脂としてはポリスチレンが好ましい。
転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(12)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(5−2)を含有することが好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(12)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(ET5−1)、(ET5−2)又は(ET5−3)を含有することが好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(5−2)を含有することが好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(ET5−1)、(ET5−2)又は(ET5−3)を含有することが好ましい。
転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(12)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(1−2)を含有することも好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(12)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(ET1−3)又は(ET1−12)を含有することが好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(1−2)を含有することが好ましい。同じ理由から、電荷輸送層が、第二正孔輸送剤として化合物(HT1)を含有し、第二電子輸送剤として化合物(ET1−3)又は(ET1−12)を含有することが好ましい。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることが好ましい。
第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(3)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(1−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(2)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(1−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;又は
第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(3)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(5)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることがより好ましい。第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(3)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(5)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることが好ましい。
第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(3)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(1−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(2)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(1−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;又は
第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(3)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(5)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることがより好ましい。第一電子輸送剤が化合物(1−1)及び化合物(3)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(5)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることが好ましい。
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−1)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)、化合物(ET2−4)及び化合物(ET3−1)の3種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;又は
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることがより好ましい。
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−1)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)であるか;又は
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(12)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(12)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることが好ましい。
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)及び化合物(ET2−4)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−1)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−12)、化合物(ET2−4)及び化合物(ET3−1)の3種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;又は
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET1−12)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)である。
電荷発生層の結晶化、電荷輸送層の結晶化及び転写メモリーの発生を好適に抑制するためには、電荷発生層に含有される第一電子輸送剤及び第一正孔輸送剤、並びに電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤及び第二正孔輸送剤が、次に示す組み合わせであることがより好ましい。
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−1)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−2)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)であるか;又は
第一電子輸送剤が化合物(ET1−3)及び化合物(ET3−1)の2種であり、第一正孔輸送剤が化合物(HT1)であり、第二電子輸送剤が化合物(ET5−3)であり、第二正孔輸送剤が化合物(HT1)である。
電荷輸送層において、第二正孔輸送剤の質量(MHTM2)に対する、第二電子輸送剤の合計質量(METM2)の比率(METM2/MHTM2)は、0.90以上1.10以下であることが好ましく、0.95以上1.05以下であることがより好ましく、1.00であることが更に好ましい。電荷輸送層において、第二バインダー樹脂の質量(MRESIN2)に対する第二電子輸送剤の合計質量(METM2)の比率(METM2/MRESIN2)は、0.30以上0.50以下であることが好ましく、0.35以上0.45以下であることがより好ましく、0.40であることが更に好ましい。電荷輸送層の質量(MCTL)に対する第二電子輸送剤の合計質量(METM2)の比率(METM2/MCTL)は、0.20以上0.25以下であることが好ましく、0.21以上0.23以下であることがより好ましく、0.22であることが更に好ましい。電荷輸送層の質量(MCTL)に対する第二バインダー樹脂の質量(MRESIN2)の比率(MRESIN2/MCTL)は、0.50以上0.60以下であることが好ましく、0.55以上0.57以下であることがより好ましく、0.56であることが更に好ましい。なお、電荷輸送層の質量(MCTL)は、電荷輸送層に含まれる全ての材料の質量の和である。例えば、電荷輸送層が第二電子輸送剤と第二正孔輸送剤と第二バインダー樹脂とを含む場合には、電荷輸送層の質量(MCTL)は、第二電子輸送剤の質量と、第二正孔輸送剤の質量と、第二バインダー樹脂の質量との和である。
<1−4.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、添加剤を含有してもよい。
<1−5.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。まず、電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液を調製する。電荷輸送層用塗布液を導電性基体に塗布し、乾燥することによって、電荷輸送層を形成する。続いて、電荷発生層用塗布液を電荷輸送層に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層を形成する。これにより、感光体が製造される。
電荷輸送層用塗布液は、第二正孔輸送剤、第二バインダー樹脂及び必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤、第一電子輸送剤、第一正孔輸送剤、第一バインダー樹脂及び必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
塗布液(電荷輸送層用塗布液又は電荷発生層用塗布液)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液(電荷輸送層用塗布液又は電荷発生層用塗布液)は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液(電荷輸送層用塗布液又は電荷発生層用塗布液)を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
塗布液(電荷輸送層用塗布液又は電荷発生層用塗布液)を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<2.画像形成装置>
以下、本実施形態に係る感光体を備える画像形成装置について説明する。画像形成装置は、本実施形態に係る感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。帯電部は、感光体の表面を正極性に帯電する。露光部は、帯電された感光体の表面を露光して、感光体の表面に静電潜像を形成する。現像部は、静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する。転写部は、感光体から被転写体へトナー像を転写する。
本実施形態に係る感光体は、感光層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立させることができる。このような本実施形態に係る感光体を備えることで、画像形成装置は、形成画像において、転写メモリーに起因する画像ゴーストの発生を抑制することができる。
以下、本実施形態に係る感光体を備える画像形成装置の一態様として、タンデム方式で且つ中間転写方式のカラー画像形成装置を例に挙げて、図4を参照しながら説明する。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、中間転写ベルト56と、二次転写部58と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
画像形成ユニット40は、感光体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部とを備える。画像形成装置100が中間転写方式を採用する場合、転写部は一次転写部54及び二次転写部58に相当する。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体30が設けられる。感光体30は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。感光体30の周囲には、感光体30の回転方向の上流側から、帯電部42、露光部44、現像部46及び一次転写部54が記載された順に設けられる。
なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。画像形成ユニット40にクリーニング部及び除電部が備えられる場合、感光体30の周囲には、感光体30の回転方向の上流側から、帯電部42、露光部44、現像部46、一次転写部54、クリーニング部及び除電部が記載された順に設けられる。
帯電部42は、感光体30の表面30a(具体的には周面、図5参照)を正極性に帯電する。帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
露光部44は、帯電された感光体30の表面30aを露光する。これにより、感光体30の表面30aに静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、感光体30の表面30aに形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体30は、トナー像を担持する像担持体に相当する。現像部46の詳細については、後述する。
転写部は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体30から被転写体へ転写する。画像形成装置100が中間転写方式を採用する場合、転写部は、一次転写部54及び二次転写部58に相当する。画像形成装置100が中間転写方式を採用する場合、被転写体は、中間転写ベルト56及び記録媒体Pに相当する。一次転写部54は、中間転写ベルト56を介して一次転写バイアス(具体的には、トナーの帯電極性と逆極性を有するバイアス)を感光体30に印加する。中間転写ベルト56は、無端状のベルトである。中間転写ベルト56は、矢符(反時計回り)方向に回転する。一次転写バイアスが印加されると、感光体30と一次転写部54との間で、感光体30から中間転写ベルト56の表面(感光体30との接触面)へ、感光体30の表面30aに形成されたトナー像が転写(一次転写)される。
次いで、記録媒体Pが二次転写部58と中間転写ベルト56との間に搬送される。搬送された記録媒体Pに、二次転写部58が二次転写バイアス(具体的には、トナー像と逆極性を有するバイアス)を印加する。その結果、中間転写ベルト56の表面に一次転写されたトナー像は、二次転写部58と中間転写ベルト56との間で、中間転写ベルト56の表面から記録媒体Pの表面(中間転写ベルト56との接触面)に転写(二次転写)される。これにより、未定着のトナー像が記録媒体Pに転写される。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、中間転写ベルト56の上に、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。そして、中間転写ベルト56の上に重ねられた複数色のトナー像は、二次転写部58によって、記録媒体Pに一度に二次転写される。
画像形成装置100は、クリーニング部(不図示)を備えてもよい。クリーニング部の例は、クリーニングブレード又はクリーニングローラーである。感光体30の電荷発生層33の摩耗を低減させるためには、クリーニング部がクリーニングローラーであることが好ましい。但し、画像形成装置100は、クリーニング部(不図示)を備えない設計とすることができる。つまり、画像形成装置100は、クリーニング部を備えないクリーナーレス方式を採用することができる。感光体30の電荷発生層33の摩耗を低減させるためには、画像形成装置100がクリーニングブレードを備えないことが好ましい。感光体30の表面30a(周面)は、現像部46によって清掃(クリーニング)されてもよい。感光体30の表面30aを清掃する現像部46については後述する。
画像形成装置100は、除電部を備えない設計とすることができる。つまり、画像形成装置100は、除電部を備えない除電レス方式を採用することができる。画像形成装置100が中間転写方式及び除電レス方式を採用する場合、一次転写部54によって、感光体30の表面30aから中間転写ベルト56の表面(感光体30との接触面)に、トナー像が転写される。そして、感光体30の表面30aにおけるトナー像が転写された領域は、除電されることなく帯電部42によって再び帯電される。除電部を備えない除電レス方式の画像形成装置100では、転写電流の影響が残り易く、転写メモリーが発生し易い。しかし、本実施形態の感光体30によれば、既に述べたように転写メモリーを抑制することができる。そのため、画像形成装置100が本実施形態の感光体30を備えることにより、画像形成装置100が除電部を備えない場合であっても、転写メモリーの発生を抑制することができる。
定着部52は、二次転写部58によって記録媒体Pに二次転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
(現像部)
現像部46は、非磁性一成分現像方式を採用することができる。これにより、感光体30の電荷発生層33の摩耗を低減させることができる。以下、図5を参照して、非磁性一成分現像方式を採用する現像部46について説明する。図5は、図4に示すV領域の拡大図である。
現像部46は、収容フレーム210と、供給ローラー220と、現像ローラー230と、規制ブレード400とを備える。供給ローラー220及び現像ローラー230の軸方向(図5の紙面と直交する方向)の長さは、感光体30の長さとほぼ同じである。
収容フレーム210は、その内部に非磁性一成分現像剤を収容する。非磁性一成分現像剤は、トナーに相当する。トナーは磁性粉を含まない。収容フレーム210は、その内部に、供給ローラー220、現像ローラー230及び規制ブレード400も収容する。収容フレーム210は、感光体30と対向して配置される開口部211を有する。開口部211は、現像ローラー230の一部を、収容フレーム210の外部に露出させる。
供給ローラー220は、収容フレーム210の内部に配置される。供給ローラー220は、現像ローラー230に対向して配置される。供給ローラー220は、供給ローラー軸部材221と、ローラー部222とを備える。供給ローラー軸部材221は、供給ローラー220の回転軸223方向に延びるように配置される。供給ローラー軸部材221は、収容フレーム210の軸支持部(不図示)に回転可能に支持される。供給ローラー220は、矢符方向(反時計回り)に回転可能である。ローラー部222は、供給ローラー軸部材221の外側に取り付けられる円筒状の部材である。
供給ローラー220は、収容フレーム210の内部に収容された非磁性一成分現像剤であるトナーを、供給ローラー220の表面220a(周面)に保持する。詳しくは、ローラー部222は、供給ローラー軸部材221の回転にともなって、供給ローラー軸部材221と一体的に回転する。そして、ローラー部222は、収容フレーム210に収容されたトナーを、ローラー部222の外周面に保持する。ローラー部222の外周面は、供給ローラー220の表面220aに相当する。供給ローラー220は、その表面220aに保持したトナーを、現像ローラー230に供給する。
現像ローラー230は、感光体30に対向して配置される。現像ローラー230は、収容フレーム210の開口部211を介して、感光体30に対向して配置される。また、現像ローラー230は、供給ローラー220に対向して配置される。供給ローラー220は、現像ローラー230を介して、感光体30に対向して配置される。
現像ローラー230は、現像ローラー軸部材231と、ローラー部232とを備える。現像ローラー軸部材231は、現像ローラー230の回転軸233方向に延びるように配置される。現像ローラー軸部材231は、収容フレーム210の軸支持部(不図示)に回転可能に支持される。現像ローラー230は、矢符方向(反時計回り)に回転可能である。現像ローラー軸部材231は、1つ以上の磁石部(不図示)を有する。現像ローラー軸部材231が1つ以上の磁石部を有することで、規制ブレード400と現像ローラー230の表面230aとの間に所定の間隔が設けられる。ローラー部232は、現像ローラー軸部材231の外側に取り付けられる円筒状の部材である。ローラー部232は、現像ローラー軸部材231の回転にともなって、現像ローラー軸部材231と一体的に回転する。
現像ローラー230は、供給ローラー220からトナーの供給を受ける。供給ローラー220から供給されたトナーは、現像ローラー230の表面230a(周面)にトナー層TLとして保持される。トナー層TLは、供給ローラー220から供給されたトナーを含む。現像ローラー230の表面230aは、ローラー部232の表面に相当する。例えば、現像ローラー230の鏡像力によって、トナーが現像ローラー230の表面230aに保持される。
現像ローラー230の表面230aに保持されたトナー層TLの厚さは、規制ブレード400によって規制される。トナー層TLの厚さを規制するとは、トナー層TLの厚さを所定の値に均一に調整することである。
規制ブレード400の形状は、板状である。規制ブレード400は、一端401が収容フレーム210に固定され、他端402が自由端である。他端402(自由端)は、規制ブレード400を構成する板状部材の外縁付近を現像ローラー230側と反対側に折り曲げて形成される。
規制ブレード400は、現像ローラー230の表面230aに保持されるトナー層TLに当接(具体的には、面接触)するように配置される。規制ブレード400と現像ローラー230との間には、規制ニップN1が形成される。
既に述べたように、現像ローラー軸部材231は、1つ以上の磁石部を有する。また、規制ブレード400は、磁性を有する。更に、規制ブレード400は、他端402側が現像ローラー230側に近づくように、撓み変形可能である。これにより、磁石部からの磁力により生じる付勢力によって、規制ブレード400の他端402(自由端)側が現像ローラー230に向かうよう付勢される。そして、現像ローラー230の表面230aに保持されるトナー層TLに、規制ブレード400が所定の圧力で当接する。これにより、現像ローラー230の表面230aに保持されたトナー層TLの厚さを、規制(所定の値に均一に調整する)ことができる。
規制ブレード400は、他端402側が現像ローラー230から離間する側に移動するように、撓み変形可能でもある。これにより、規制ブレード400は、供給ローラー220から現像ローラー230に供給されたトナーを、規制ニップN1にスムーズに誘導することができる。
トナー層TLに含まれるトナーは、規制ブレード400との当接によって摩擦され帯電する。規制ブレード400は、トナー層TLの厚さを規制するとともに、トナー層TLに含まれるトナーを帯電させる。
感光体30は、例えば円筒形状を有する。感光体30の回転軸301を中心に、感光体30は矢符方向(時計回り)に回転可能である。感光体30の回転軸301は、図5の紙面と直交する。
トナー層TLの厚さが規制ブレード400によって規制された後、現像ローラー230は、その表面230aに保持されたトナー層TLに含まれるトナーを、感光体30の表面30a(周面)に形成された静電潜像に供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。現像ローラー230の表面230aから感光体30の表面30aにトナーを効率的に移動させるためには、現像バイアスを印加することが好ましい。以上、一成分現像方式を採用する現像部46について説明した。
次に、感光体30の表面30aを清掃する現像部46について説明する。現像部46が感光体30の表面30aを清掃することで、クリーニング部(特にクリーニングブレード)を備えない場合であっても、感光体30の表面30aを清掃することができる。これにより、感光体30の電荷発生層33の摩耗を低減させつつ、感光体30の表面30aを清掃することができる。
現像部46は、感光体30の表面30aに残留する成分(以下、「残留成分」と記載することがある)を除去することができる。残留成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。残留成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)である。
現像部46が感光体30の表面30aを効率的に清掃するためには、以下に示す条件(a)及び条件(b)の一方又は両方を満たすことが好ましい。
条件(a):接触現像方式を採用し、感光体30と現像部46との間に周速(回転速度)差が設けられる。
条件(b):感光体30の表面電位と、現像バイアスの電位とが以下の数式(b−1)及び数式(b−2)を満たす。
0(V)<現像バイアスの電位(V)<感光体30の未露光領域の表面電位(V)・・・(b−1)
現像バイアスの電位(V)>感光体30の露光領域の表面電位(V)>0(V)・・・(b−2)
条件(a)に示す接触現像方式を採用し、感光体30と現像部46(具体的には現像ローラー230)との間に周速差が設けられていると、感光体30の表面30aは現像ローラー230と接触し、感光体30の表面30aの付着成分が現像ローラー230との摩擦により除去される。現像ローラー230の周速は、感光体30の周速よりも速いことが好ましい。
条件(b)では、現像方式が反転現像方式である場合を想定している。単層型感光体である感光体30の電気特性を向上させるためには、トナーの帯電極性、感光体30の未露光領域の表面電位、感光体30の露光領域の表面電位及び現像バイアスの電位が何れも正極性であることが好ましい。なお、感光体30の未露光領域の表面電位及び露光領域の表面電位は、一次転写部54がトナー像を感光体30から中間転写ベルト56へ転写した後、帯電部42が次周回の感光体30の表面30aを帯電する前に測定される。
条件(b)の数式(b−1)を満たすと、感光体30に残留したトナー(以下、残留トナーと記載することがある)と感光体30の未露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46(具体的には現像ローラー230)との間に作用する静電的斥力に比べ大きくなる。このため、感光体30の未露光領域の残留トナーは、感光体30の表面30aから現像ローラー230へ移動し、回収される。
条件(b)の数式(b−2)を満たすと、残留トナーと感光体30の露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像ローラー230との間に作用する静電的斥力に比べ小さくなる。このため、感光体30の露光領域の残留トナーは、感光体30の表面30aに保持される。感光体30の露光領域に保持されたトナーは、そのまま画像形成に使用される。
以上、図4及び図5を参照して、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置100の一例について説明した。なお、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置は、上述した画像形成装置100に限定されない。例えば、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置であってもよい。この場合、画像形成装置は、例えば画像形成ユニットを1つだけ備えていればよい。また、上述した画像形成装置100はタンデム方式の画像形成装置であったが、画像形成装置は例えばロータリー方式を採用してもよい。また、上述した画像形成装置100は中間転写方式の画像形成装置であったが、画像形成装置は例えば直接転写方式を採用してもよい。画像形成装置が直接転写方式を採用する場合、被転写体は、記録媒体に相当する。
<3.プロセスカートリッジ>
引き続き、図4を参照して、本実施形態に係る感光体30を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、本実施形態に係る感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部(一次転写部54に相当)からなる群より選択される少なくとも1つを更に備えていてもよい。プロセスカートリッジには、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、クリーニングブレードを備えないことが好ましい。プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図4を参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<電荷発生層を形成するための材料>
感光体の電荷発生層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、第一正孔輸送剤、第一電子輸送剤及び第一バインダー樹脂を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、実施形態で述べたY型チタニルフタロシアニンを準備した。チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CG1)で表される化合物であった。また、このチタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有し、26.2℃にピークを有していなかった。このチタニルフタロシアニンは、DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲に1つのピークを有していた。
(第一正孔輸送剤)
第一正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(HT1)を準備した。
(第一電子輸送剤)
第一電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(ET1−3)、(ET1−12)、(ET2−4)及び(ET3−1)を準備した。第一電子輸送剤として、これら化合物のうちの2種又は3種を選択して使用した。使用した2種の第一電子輸送剤の各々を、第一電子輸送剤A及び第一電子輸送剤Bと記載する。また、使用した3種の第一電子輸送剤の各々を、第一電子輸送剤A、第一電子輸送剤B及び第一電子輸送剤Cと記載する。
(第一バインダー樹脂)
電荷発生層を形成するための第一バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(R−1)を準備した。ポリカーボネート樹脂(R−1)の粘度平均分子量は、30000であった。
<電荷輸送層を形成するための材料>
感光体の電荷輸送層を形成するための材料として、以下の第二正孔輸送剤、第二電子輸送剤及び第二バインダー樹脂を準備した。
(第二正孔輸送剤)
第二正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(HT1)を準備した。
(第二バインダー樹脂)
第二バインダー樹脂として、ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製「PSJ−ポリスチレン HIPS」)を準備した。
(第二電子輸送剤)
第二電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(ET1−3)、(ET1−12)、(ET5−1)、(ET5−2)及び(ET5−3)を準備した。なお、化合物(ET5−1)、(ET5−2)及び(ET5−3)は、以下の方法で合成した。
(化合物(ET5−1)の製造)
反応式(r−4)で表される反応(以下、反応(r−4)と記載することがある)に従って化合物(ET5−1)を製造した。
Figure 2018105972
反応(r−4)では、化合物(F)(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物)2.68g(10ミリモル)と、化学式(1G)で表される化合物4.64g(20ミリモル)と、ピコリン50mLとをフラスコに投入し、ピコリン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して4時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、イオン交換水をフラスコに投入し、クロロホルムで抽出した。有機層の溶媒(ピコリン)を除去し、残渣を得た。得られた残渣を展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、化合物(ET5−1)を得た。化合物(ET5−1)の収量は4.16gであり、反応(r−4)における化合物(F)からの化合物(ET5−1)の収率は60モル%であった。
(化合物(ET5−3)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(ET5−1)の製造と同じの方法で、化合物(ET5−3)を製造した。化合物(ET5−3)の製造では、反応(r−4)で使用した化合物(1G)(4.64g、20ミリモル)を、化合物(5G)(3.80g、20ミリモル)に変更した。なお、化合物(5G)は、下記化学式(5G)で表される。その結果、化合物(ET5−1)の代わりに、化合物(ET5−3)を得た。化合物(ET5−3)の収量は3.98gであり、反応(r−4)における化合物(F)からの化合物(ET5−3)の収率は65モル%であった。
Figure 2018105972
(化合物(ET5−2)の製造)
反応式(r’−1)、(r’−2)及び(r’−3)で表される反応(以下、それぞれ反応(r’−1)、反応(r’−2)、及び反応(r’−3)と記載することがある)に従って化合物(ET5−2)を製造した。
Figure 2018105972
反応(r’−1)では、化合物(1A)3.42g(10ミリモル)と、化合物(2E)1.35g(10ミリモル)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン1.3g(10ミリモル)と、ジオキサン50mLとをフラスコに投入し、ジオキサン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して2時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、ジオキサンを除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(体積比V/V=1/2)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化学式(2C’)で表される中間生成物(以下、化合物(2C’)と記載することがある)を得た。
Figure 2018105972
反応(r’−2)では、化合物(2C’)と、トリフルオロ酢酸15mLとをフラスコに投入し、トリフルオロ酢酸溶液を調製した。化合物(2C’)は、反応(r’−1)で得られた全量を反応(r’−2)で使用した。フラスコ内容物の温度を80℃に昇温し、80℃に維持して24時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、トリフルオロ酢酸を除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(体積比V/V=1/4)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化学式(2D’)で表される中間生成物(以下、化合物(2D’)と記載することがある)を得た。
Figure 2018105972
反応(r’−3)では、化合物(2D’)と、化学式(2B)で表される化合物2.32g(10ミリモル)と、ジイソプロピルエチルアミン1.3g(10ミリモル)と、ジオキサン50mLとをフラスコに投入し、ジオキサン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して2時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、ジオキサンを除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチルを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化合物(ET5−2)を得た。化合物(ET5−2)の収量は2.69gであり、反応(r’−1)〜(r’−3)における化合物(1A)からの化合物(ET5−2)の収率は45モル%であった。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造した化合物(ET5−1)〜(ET5−3)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち代表例として、(ET5−1)の化学シフト値を示す。1H−NMRスペクトルの化学シフト値により、(ET5−1)が得られていることを確認した。化合物(ET5−2)及び(ET5−3)も同じように、1H−NMRスペクトルの化学シフト値から、化合物(ET5−2)及び(ET5−3)が得られていることを確認した。
化合物(ET5−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.70(d, 4H), 7.62−7.75(m, 8H), 7.36−7.55(m, 8H).
<感光体の製造>
電荷発生層及び電荷輸送層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)を製造した。
(感光体(A−1)の製造)
まず、電荷輸送層を形成した。詳しくは、容器内に、第二正孔輸送剤としての化合物(HT1)40質量部、第二電子輸送剤としての化合物(ET1−3)、第二バインダー樹脂100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン300質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて10時間混合して、溶剤に材料を溶解させた。これにより、電荷輸送層用塗布液を得た。ディップコート法を用いて、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長247mm)に電荷輸送層用塗布液を塗布し、導電性基体上に塗布膜を形成した。塗布膜が形成された導電性基体を100℃で30分間乾燥させて、塗布膜からテトラヒドロフランを除去した。これにより、導電性基体の上に、電荷輸送層(膜厚20μm)が形成された。
次に、電荷発生層を形成した。詳しくは、電荷発生剤3質量部、第一正孔輸送剤としての化合物(HT1)50質量部、第一電子輸送剤Aとしての化合物(ET1−3)25質量部、第一電子輸送剤Bとしての化合物(ET3−1)30質量部、第一バインダー樹脂100質量部及び溶剤としてのトルエン800質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、電荷発生層用塗布液を得た。ディップコート法を用いて、導電性基体の上に形成された電荷輸送層に、電荷発生層用塗布液を塗布し、電荷輸送層の上に塗布膜を形成した。塗布膜が形成された電荷輸送層を備える導電性基体を、100℃で60分間乾燥させた。これにより、塗布膜からトルエンを除去し、電荷輸送層の上に電荷発生層(膜厚10μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。
(感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の製造)
下記(1)〜(7)の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同じ方法で、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の各々を製造した。
(1)感光体(A−1)の電荷輸送層の形成においては第二電子輸送剤として化合物(ET1−3)を添加したが、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−4)〜(B−6)の電荷輸送層の形成においては表1に示す種類の第二電子輸送剤を添加した。なお、感光体(B−1)〜(B−3)の電荷輸送層の形成においては第二電子輸送剤を添加しなかった。
(2)感光体(A−1)の電荷発生層の形成においては第一電子輸送剤Aとして化合物(ET1−3)を添加したが、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の電荷発生層の形成においては表2に示す種類の第一電子輸送剤Aを添加した。
(3)感光体(A−1)の電荷発生層の形成においては25質量部の第一電子輸送剤Aを添加したが、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の電荷発生層の形成においては表2に示す量(質量METM1A)の第一電子輸送剤Aを添加した。
(4)感光体(A−1)の電荷発生層の形成においては第一電子輸送剤Bとして化合物(ET3−1)を添加したが、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)、(B−2)、(B−4)〜(B−6)の電荷発生層の形成においては表2に示す種類の第一電子輸送剤Bを添加した。なお、感光体(B−3)の電荷発生層の形成においては第一電子輸送剤Bを添加しなかった。
(5)感光体(A−1)の電荷発生層の形成においては30質量部の第一電子輸送剤Bを添加したが、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)、(B−2)、(B−4)〜(B−6)の電荷発生層の形成においては表2に示す量(質量METM1B)の第一電子輸送剤Bを添加した。
(6)感光体(A−8)の電荷発生層の形成においては、第一電子輸送剤A及び第一電子輸送剤Bに加えて、表2に示す種類の第一電子輸送剤Cを表2に示す量(質量METM1C)で添加した。
(7)感光体(A−1)の電荷発生層の形成においては50質量部の第一正孔輸送剤を添加したが、感光体(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の電荷発生層の形成においては表2に示す量(質量MHTM1)の第一正孔輸送剤を添加した。
<転写メモリー抑制の評価>
製造した感光体(A−1)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の各々に対して、転写メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。転写メモリーの発生が抑制されているか否かの評価は、温度25℃且つ相対湿度45%RHの環境下で行った。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機として、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1300D」)から除電器及びクリーニングブレードを取り外した改造機を用いた。評価機は、非磁性一成分現像方式、除電レス方式及びクリーナーレス方式を採用していた。評価機の現像部は、供給ローラーと現像ローラーと規制ブレードとを備えていた。評価機の現像部は、感光体の表面を清掃する構成を有していた。転写部が印加する転写電流を、−15μAに設定した。感光体の回転速度は150mm/秒であった。また、評価機の現像部には、非磁性一成分現像剤を投入した。
評価機を用いて、5000枚の用紙(富士ゼロックス株式会社製「上質PPC用紙」)に画像I(印字率4%のパターン画像)を連続して印刷した。続いて、画像II及び画像IIIを含む評価用画像を1枚印刷した。画像IIは、黒色(画像濃度100%)の背景に、1個の白色(画像濃度0%)の円型パターンが現された画像であった。画像IIは、感光体の1周目で形成される画像に相当していた。画像IIIは、全面ハーフトーン(画像濃度12.5%)の画像であった。画像IIIは、感光体の2周目で形成される画像に相当していた。
得られた画像IIIを肉眼で観察し、画像IIに由来する画像ゴーストの有無を確認した。また、得られた画像IIIを、ルーペ(TRUSCO社製「TL−SL10K」)を用いて倍率10倍で観察し、画像IIに由来する画像ゴーストの有無を確認した。なお、感光体に転写メモリーが発生すると、形成画像に画像ゴースト(特にネガゴースト)が発生する。画像ゴーストは、感光体の1周目で印刷された画像IIの白色の円型パターンに対応する領域が、感光体の2周目で印刷された全面ハーフトーンの画像IIIにおいて黒く現れる画像不良である。画像ゴーストの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、転写メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表3に示す。なお、評価がA又はBである感光体を、転写メモリーの発生が抑制されていると評価した。
(転写メモリー抑制の評価基準)
評価A:画像ゴーストが、肉眼観察でもルーペ観察でも全く確認されなかった。
評価B:画像ゴーストが、肉眼観察では確認されないが、ルーペ観察では確認された。
評価C:画像ゴーストが、肉眼観察で観察された。
<感光層の結晶化抑制の評価>
製造した感光体(A−1)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−6)の各々に対して、感光層の結晶化が抑制されているか否かを評価した。まず、感光体の表面の全域を肉眼で観察し、感光層における結晶化した部分の有無を確認した。また、感光体の表面の全域を、ルーペ(TRUSCO社製「TL−SL10K」)を用いて倍率10倍で観察し、感光層における結晶化した部分の有無を確認した。確認結果に基づいて、下記の基準に従って、感光層の結晶化が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表3に示す。なお、評価がAである感光体を、感光層の結晶化が抑制されていると評価した。
(結晶化抑制の評価基準)
評価A:感光層に結晶化した部分が、肉眼観察でもルーペ観察でも確認されなかった。
評価B:感光層に結晶化した部分が、肉眼観察では確認されないが、ルーペ観察では確認された。
評価C:感光層に結晶化した部分が、肉眼観察で観察された。
表1中、部、MHTM2、及びMETM2は、各々、質量部、電荷輸送層に含有される第二正孔輸送剤の質量、及び電荷輸送層に含有される第二電子輸送剤の質量を示す。表1中、「METM2/MHTM2」は、第二正孔輸送剤の質量(MHTM2、単位:質量部)に対する、第二電子輸送剤の質量(METM2、単位:質量部)の比率を示す。表1中、「METM2/MRESIN2」は、第二バインダー樹脂の質量(MRESIN2、単位:質量部)に対する、第二電子輸送剤の質量(METM2、単位:質量部)の比率を示す。表1中、「MRESIN2/MCTL」は、電荷輸送層の質量(MCTL、単位:質量部)に対する、第二バインダー樹脂の質量(MRESIN2、単位:質量部)の比率を示す。表1中、「METM2/MCTL」は、電荷輸送層の質量(MCTL、単位:質量部)に対する、第二電子輸送剤の質量(METM2、単位:質量部)の比率を示す。なお、「MCTL」は、計算式「MCTL=第二正孔輸送剤の質量MHTM2+第二電子輸送剤の質量METM2+第二バインダー樹脂の質量MRESIN2」から算出される。
表2中、部、及びCGMは、各々、質量部、及び電荷発生剤を示す。表2中、MCGM、METM1A、METM1B、METM1C、MHTM1、MRESIN1は、各々、電荷発生層に含有される、電荷発生剤の質量、第一電子輸送剤Aの質量、第一電子輸送剤Bの質量、第一電子輸送剤Cの質量、第一正孔輸送剤の質量、及び第一バインダー樹脂の質量を示す。
表2中、「METM1/MHTM1」は、第一正孔輸送剤の質量(MHTM1、単位:質量部)に対する、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1、単位:質量部)の比率を示す。METM1/MHTM1は、計算式「METM1/MHTM1=(第一電子輸送剤Aの質量METM1A+第一電子輸送剤Bの質量METM1B+第一電子輸送剤Cの質量METM1C)/第一正孔輸送剤の質量MHTM1」から算出される。比率METM1/MHTM1が1.00より大きいとき、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量METM1が第一正孔輸送剤の質量MHTM1よりも多いことを示す。
表2中、「METM1/MRESIN1」は、第一バインダー樹脂の質量(MRESIN1、単位:質量部)に対する、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1、単位:質量部)の比率を示す。METM1/MRESIN1は、計算式「METM1/MRESIN1=(第一電子輸送剤Aの質量METM1A+第一電子輸送剤Bの質量METM1B+第一電子輸送剤Cの質量METM1C)/第一バインダー樹脂の質量MRESIN1」から算出される。
表2中、「MRESIN1/MCGL」は、電荷発生層の質量(MCGL、単位:質量部)に対する、第一バインダー樹脂の質量(MRESIN1、単位:質量部)の比率を示す。MRESIN1/MCGLは、計算式「MRESIN1/MCGL=第一バインダー樹脂の質量MRESIN1/電荷発生層の質量MCGL」から算出される。なお、「MCGL」は、計算式「MCGL=電荷発生剤の質量MCGM+第一電子輸送剤Aの質量METM1A+第一電子輸送剤Bの質量METM1B+第一電子輸送剤Cの質量METM1C+第一正孔輸送剤の質量MHTM1+第一バインダー樹脂の質量MRESIN1」から算出される。
表2中、「METM1/MCGL」は、電荷発生層の質量(MCGL、単位:質量部)に対する、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量(METM1、単位:質量部)の比率を示す。METM1/MCGLは、計算式「METM1/MCGL=(第一電子輸送剤Aの質量METM1A+第一電子輸送剤Bの質量METM1B+第一電子輸送剤Cの質量METM1C)/電荷発生層の質量MCGL」から算出される。
Figure 2018105972
Figure 2018105972
Figure 2018105972
感光体(A−1)〜(A−9)は、導電性基体と、導電性基体の上に備えられる電荷輸送層と、電荷輸送層の上に備えられる電荷発生層とを備えていた。電荷発生層は、電荷発生剤と、第一正孔輸送剤と、第一電子輸送剤と、第一バインダー樹脂とを含有していた。第一電子輸送剤は、化合物(1−1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)及び化合物(5−1)のうちの2種以上を含んでいた。第一バインダー樹脂の質量に対する2種以上の第一電子輸送剤の合計質量の比率METM1/MRESIN1は、0.45以上であった。2種以上の第一電子輸送剤の合計質量METM1は、第一正孔輸送剤の質量MHTM1よりも多かった。つまり、比率METM1/MHTM1が1.00より大きかった。電荷輸送層は、第二正孔輸送剤と、第二電子輸送剤とを含有していた。そのため、表3から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−9)では、転写メモリー抑制の評価がA又はBであり、転写メモリーの発生が抑制されていた。また、感光体(A−1)〜(A−9)では、結晶化抑制の評価がAであり、感光層の結晶化も抑制されていた。
一方、感光体(B−1)及び(B−2)の電荷輸送層は、第二電子輸送剤を含有していなかった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−1)及び(B−2)では、転写メモリー抑制の評価がCあり、転写メモリーが発生していた。
感光体(B−3)の電荷輸送層は、第二電子輸送剤を含有していなかった。また、感光体(B−3)の電荷発生層は、第一電子輸送剤として、化合物(1−1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)及び化合物(5−1)のうちの2種以上を含んでいなかった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−3)では、転写メモリー抑制の評価がCあり、転写メモリーが発生していた。また、感光体(B−3)では、結晶化抑制の評価がCであり、感光層の結晶化が抑制されていなかった。
感光体(B−4)では、第一バインダー樹脂の質量に対する2種以上の第一電子輸送剤の合計質量の比率METM1/MRESIN1が0.45未満であった。また、感光体(B−4)では、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量METM1が第一正孔輸送剤の質量MHTM1よりも多くなかった。つまり、比率METM1/MHTM1が1.00以下であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−4)では、転写メモリー抑制の評価がCあり、転写メモリーが発生していた。
感光体(B−5)では、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量METM1が第一正孔輸送剤の質量MHTM1よりも多くなかった。つまり、比率METM1/MHTM1が1.00以下であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−5)では、転写メモリー抑制の評価がCあり、転写メモリーが発生していた。
感光体(B−6)では、2種以上の第一電子輸送剤の合計質量METM1が第一正孔輸送剤の質量MHTM1よりも多くなかった。つまり、比率METM1/MHTM1が1.00以下であった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−6)では、転写メモリー抑制の評価がCあり、転写メモリーが発生していた。また、感光体(B−6)では、結晶化抑制の評価がBであり、感光層の結晶化が抑制されていなかった。
以上のことから、本発明に係る感光体は、感光層の結晶化の抑制及び転写メモリーの発生の抑制を両立できることが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、このような感光体を備えることで、形成画像において、転写メモリーに起因する画像ゴーストの発生を抑制できることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。
30 正帯電積層型電子写真感光体
30a 感光体の表面
31 導電性基体
32 電荷輸送層
33 電荷発生層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
54 一次転写部
56 中間転写ベルト
58 二次転写部
100 画像形成装置
220 供給ローラー
220a 供給ローラーの表面
230 現像ローラー
230a 現像ローラーの表面
400 規制ブレード
TL トナー層
P 記録媒体

Claims (18)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体の上に備えられる電荷輸送層と、前記電荷輸送層の上に備えられる電荷発生層とを備え、
    前記電荷発生層は、電荷発生剤と、第一正孔輸送剤と、第一電子輸送剤と、第一バインダー樹脂とを含有し、
    前記第一電子輸送剤は、一般式(1−1)、(2)、(3)、(4)及び(5−1)で表される化合物のうちの2種以上を含み、
    前記第一バインダー樹脂の質量に対する2種以上の前記第一電子輸送剤の合計質量の比率は、0.45以上であり、
    2種以上の前記第一電子輸送剤の合計質量は、前記第一正孔輸送剤の質量よりも多く、
    前記電荷輸送層は、第二正孔輸送剤と、第二電子輸送剤とを含有する、正帯電積層型電子写真感光体。
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    (前記一般式(1−1)、(2)及び(3)中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表し、但しR14は水素原子ではなく、
    前記一般式(4)中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記一般式(5−1)中、Q6及びQ7は、各々独立して、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表し、Q6及びQ7のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。)
  2. 前記第二電子輸送剤は、一般式(5−2)で表される化合物を含む、請求項1に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
    Figure 2018105972
    (前記一般式(5−2)中、Q106及びQ107は、各々独立して、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表し、Q106及びQ107のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。)
  3. 前記一般式(5−2)中、Q106及びQ107は、各々独立して、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい、ベンゾイル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基からなる群より選択される基を表し、Q106及びQ107のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する、請求項2に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  4. 前記一般式(5−2)で表される化合物は、化学式(ET5−1)、(ET5−2)又は(ET5−3)で表される化合物である、請求項2又は3に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
  5. 前記第二電子輸送剤は、一般式(1−2)で表される化合物を含む、請求項1に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
    Figure 2018105972
    (前記一般式(1−2)中、R101、R102、R103及びR104は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す。)
  6. 前記一般式(1−2)中、R101、R102、R103及びR104は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す、請求項5に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  7. 前記一般式(1−2)で表される化合物は、化学式(ET1−3)又は(ET1−12)で表される化合物である、請求項5又は6に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
  8. 前記第一電子輸送剤は、前記一般式(1−1)、(2)及び(3)で表される化合物のうちの2種以上を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  9. 前記一般式(1−1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表し、
    前記一般式(2)中、R8、R9、R10及びR11は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表し、
    前記一般式(3)中、R12及びR13は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R14は、ハロゲン原子を表す、請求項8に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  10. 前記一般式(1−1)、(2)及び(3)で表される化合物のうちの2種以上は、化学式(ET1−3)、(ET1−12)、(ET2−4)及び(ET3−1)で表される化合物のうちの2種以上である、請求項8又は9に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
    Figure 2018105972
  11. 前記第一正孔輸送剤の質量に対する2種以上の前記第一電子輸送剤の合計質量の比率は、1.00より大きく1.60以下である、請求項1〜10の何れか一項に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  12. 前記電荷発生層の質量に対する前記第一バインダー樹脂の質量の比率は、0.55以下である、請求項1〜11の何れか一項に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  13. 前記電荷発生層は、最表面層として備えられる、請求項1〜12の何れか一項に記載の正帯電積層型電子写真感光体。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載の正帯電積層型電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  15. 請求項1〜13の何れか一項に記載の正帯電積層型電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記正帯電積層型電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記正帯電積層型電子写真感光体の前記表面を露光して、前記正帯電積層型電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記正帯電積層型電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する、画像形成装置。
  16. 前記現像部は、供給ローラーと、現像ローラーと、規制ブレードとを備え、
    前記供給ローラーは、非磁性一成分現像剤である前記トナーを、前記現像ローラーに供給し、
    前記現像ローラーは、前記現像ローラーの表面に、前記トナーを含むトナー層を保持し、
    前記規制ブレードは、前記現像ローラーの前記表面に保持された前記トナー層の厚さを規制し、
    厚さが規制された前記トナー層に含まれる前記トナーが、前記現像ローラーの前記表面から前記静電潜像に供給されて、前記静電潜像が前記トナー像として現像される、請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記現像部は、前記正帯電積層型電子写真感光体の前記表面を清掃する、請求項15又は16に記載の画像形成装置。
  18. 前記被転写体へ前記トナー像が転写された前記正帯電積層型電子写真感光体の前記表面の領域は、除電されることなく前記帯電部によって再び帯電される、請求項15〜17の何れか一項に記載の画像形成装置。
JP2016251082A 2016-12-26 2016-12-26 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP6635021B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016251082A JP6635021B2 (ja) 2016-12-26 2016-12-26 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016251082A JP6635021B2 (ja) 2016-12-26 2016-12-26 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018105972A true JP2018105972A (ja) 2018-07-05
JP6635021B2 JP6635021B2 (ja) 2020-01-22

Family

ID=62787717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016251082A Expired - Fee Related JP6635021B2 (ja) 2016-12-26 2016-12-26 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6635021B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019230044A1 (ja) 2018-06-01 2019-12-05 Kddi株式会社 中継伝送路を含んだハンドオーバが実行される無線通信システムにおける基地局装置、その制御方法、及びプログラム

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6239861A (ja) * 1985-08-15 1987-02-20 Konishiroku Photo Ind Co Ltd 正帯電用感光体
JP2004093801A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2008184386A (ja) * 2007-01-26 2008-08-14 Canon Inc 新規なイミド化合物、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
WO2009104571A1 (ja) * 2008-02-22 2009-08-27 富士電機デバイステクノロジー株式会社 電子写真感光体およびその製造方法、それを使用した電子写真装置
WO2013021430A1 (ja) * 2011-08-05 2013-02-14 富士電機株式会社 電子写真用感光体、その製造方法およびそれを用いた電子写真装置
JP2014092582A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電単層型電子写真感光体および画像形成装置
US20140212803A1 (en) * 2013-01-30 2014-07-31 Kyocera Document Solutions Inc. Positively chargeable electrophotographic photosensitive member and image forming apparatus
JP2014146001A (ja) * 2013-01-30 2014-08-14 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電積層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2014149363A (ja) * 2013-01-31 2014-08-21 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電積層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2014164275A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電単層型電子写真感光体、及び画像形成装置
JP2016142930A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6239861A (ja) * 1985-08-15 1987-02-20 Konishiroku Photo Ind Co Ltd 正帯電用感光体
JP2004093801A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2008184386A (ja) * 2007-01-26 2008-08-14 Canon Inc 新規なイミド化合物、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
WO2009104571A1 (ja) * 2008-02-22 2009-08-27 富士電機デバイステクノロジー株式会社 電子写真感光体およびその製造方法、それを使用した電子写真装置
WO2013021430A1 (ja) * 2011-08-05 2013-02-14 富士電機株式会社 電子写真用感光体、その製造方法およびそれを用いた電子写真装置
JP2014092582A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電単層型電子写真感光体および画像形成装置
US20140212803A1 (en) * 2013-01-30 2014-07-31 Kyocera Document Solutions Inc. Positively chargeable electrophotographic photosensitive member and image forming apparatus
JP2014146001A (ja) * 2013-01-30 2014-08-14 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電積層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2014149363A (ja) * 2013-01-31 2014-08-21 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電積層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2014164275A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電単層型電子写真感光体、及び画像形成装置
JP2016142930A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019230044A1 (ja) 2018-06-01 2019-12-05 Kddi株式会社 中継伝送路を含んだハンドオーバが実行される無線通信システムにおける基地局装置、その制御方法、及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6635021B2 (ja) 2020-01-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6515880B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6747514B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6569609B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6642728B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6558334B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6354669B2 (ja) 正帯電単層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP5622673B2 (ja) 電子写真感光体及び画像形成装置
JP6520854B2 (ja) 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2018036374A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP6481650B2 (ja) 電子写真感光体
JP6635021B2 (ja) 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
WO2018061368A1 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6515878B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP7180174B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP7180175B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
CN109074009B (zh) 电子照相感光体、处理盒和图像形成装置
CN107942626B (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
CN109074010B (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
CN109074008B (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
JP6528735B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP6421780B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2024076779A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2024076777A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6635021

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees