JP6642728B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。
近年、画像形成装置の小型化及び高速化を図るために、除電レス方式を採用する画像形成装置が検討されている。特許文献1に記載の画像形成装置は、除電レス方式を採用する。この画像形成装置は、電子写真感光体を備える。電子写真感光体は、導電性基体上に、特定構造のトリスチリルトリフェニルアミン化合物を含有する感光層を備える。
特開2011−64963号公報
しかし、除電レス方式を採用する画像形成装置は除電部を備えないために、電子写真感光体の表面電位が不均一になり易く、形成画像に画像不良が発生することがある。特許文献1に記載の画像形成装置では、露光メモリーに起因する画像ゴーストの発生の抑制が十分ではなかった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制可能な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と単層の感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、2種以上の電子輸送剤とを含有する。2種以上の前記電子輸送剤の合計質量は、前記正孔輸送剤の質量よりも多い。電流値を−5μAに設定したコロトロン帯電器を用いて帯電させたときの前記電子写真感光体の帯電電位が、−550V以上0V未満である。前記電子写真感光体を3周回転させながら各周において正帯電、露光及び転写を行い、各周における帯電電位が同一の正の値であり、露光量が同一であり、転写電流値が同一であるときに、第1周目における露光後かつ転写前の前記電子写真感光体の露光領域の表面電位VpLAと、第3周目における露光後かつ転写前の前記電子写真感光体の前記露光領域の表面電位VpLCとの差VpLA−VpLCが、0V以上である。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の電子写真感光体は、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 コロトロン帯電器の電流値と、電子写真感光体の帯電電位との関係を示すグラフ図である。 第1測定装置の構成を示す図である。 第2測定装置の構成を示す図である。 電位差VpLA−VpLCの測定方法を示すフローチャートである。 画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 画像形成装置の構成の別の例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 化学式(1−1)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体に含有される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数2以上5以下のアルキル基、炭素原子数2以上3以下のアルキル基、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上6以下のアルキル基、炭素原子数5以上7以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数2以上4以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基及び炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、何ら規定していなければ、それぞれ次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数2以上5以下のアルキル基、炭素原子数2以上3以下のアルキル基、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上6以下のアルキル基及び炭素原子数5以上7以下のアルキル基は、それぞれ直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上5以下である基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。炭素原子数2以上5以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が2以上5以下である基である。炭素原子数2以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が2以上3以下である基である。炭素原子数4以上10以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が4以上10以下である基である。炭素原子数4以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が4以上6以下である基である。炭素原子数5以上7以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が5以上7以下である基である。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、直鎖状又は分岐鎖状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基又はヘキセニル基が挙げられる。
炭素原子数2以上4以下のアルケニル基は、直鎖状又は分岐鎖状で非置換である。炭素原子数2以上4以下のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基又はブテニル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、それぞれ直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基又はヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデシル基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘプタンが挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキレン基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、n−ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、エチルメチルメチレン基、ペンチレン基又はヘキシレン基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基の例は、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基又はシクロへプチリデン基が挙げられる。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載する)は、形成画像において露光メモリーに起因する画像ゴーストの発生を抑制することができる。露光メモリーは、露光の影響によって、感光体表面において、前の周の露光領域に対応する領域の帯電電位が、前の周の非露光領域に対応する領域の帯電電位よりも低下する現象である。この露光領域に対応する領域を十分に帯電することができないため、露光メモリーに起因する画像ゴーストは、形成画像において、感光体の前の周の露光領域に対応する領域の画像濃度が増加する画像不良(いわゆる、カブリや地汚れと呼ばれる画像不良)となる。
以下、図1A〜図1Cを参照して、感光体100の構造について説明する。図1A〜図1Cは、本実施形態に係る感光体100の一例を示す断面図である。
図1Aに示すように、感光体100は、導電性基体101と感光層102とを備える。感光層102は単層である。感光体100は、単層の感光層102を備えるいわゆる単層型感光体である。
図1Bに示すように、感光体100は、導電性基体101と、感光層102と、中間層103(下引き層)とを備えてもよい。中間層103は、導電性基体101と感光層102との間に設けられる。図1Aに示すように、感光層102は導電性基体101上に直接設けられてもよいし、図1Bに示すように、感光層102は導電性基体101上に中間層103を介して間接的に設けられてもよい。
図1Cに示すように、感光体100は、導電性基体101と、感光層102と、保護層104とを備えてもよい。保護層104は、感光層102上に設けられる。
感光層102の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層102の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
以上、図1A〜図1Cを参照して、感光体100の構造について説明した。以下、感光体について更に詳細に説明する。
<導電性基体>
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料(以下、導電性材料と記載することがある)で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム又はインジウムが挙げられる。これらの導電性材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。合金としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これら導電性材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。導電性基体の表面は、酸化被膜を有していてもよい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<感光層>
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、2種以上の電子輸送剤とを含有する。感光層は、バインダー樹脂を更に含有してもよい。感光層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。電荷発生剤と、2種以上の電子輸送剤と、正孔輸送剤と、必要に応じて添加される成分(例えば、バインダー樹脂又は添加剤)とは、一層(単層)の感光層に含有される。
(比率METM/MHTM
本実施形態に係る感光体の感光層においては、2種以上の電子輸送剤の合計質量が、正孔輸送剤の質量よりも多い。つまり、感光層に含有される正孔輸送剤の質量(MHTM)に対する、2種以上の電子輸送剤の質量(METM)の比率(METM/MHTM)が、1.00より大きい。電子輸送剤の合計質量が正孔輸送剤の質量よりも多いことで、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。
感光体が電荷発生剤、電子輸送剤及び正孔輸送剤を含有する単層の感光層を備える場合、通常、正孔輸送剤の質量が電子輸送剤の質量よりも多い。理解を助けるために、その理由を説明する。画像形成において感光体を露光すると、感光層中の電荷発生剤から電子及び正孔が発生する。発生した電子は、電子輸送剤によって感光層の表面へ輸送される。発生した正孔は、正孔輸送剤によって導電性基体へ輸送される。露光した光の吸収率は、感光層の表面付近では高く、感光層の深部(導電性基体側)では低くなる。そのため、露光した光の吸収率が高い感光層の表面付近に存在する電荷発生剤から、多くの電子及び正孔が発生する傾向がある。感光層の表面付近に存在する電荷発生剤から電子及び正孔が発生した場合、感光層の表面付近から導電性基体までの正孔の移動距離は、感光層の表面付近から感光層の表面までの電子の移動距離よりも長い。そのため、通常、正孔の輸送効率を向上させる目的で正孔輸送剤を電子輸送剤よりも多く感光層に含有させる。しかし、本発明者らは鋭意検討し、電子輸送剤の合計質量を正孔輸送剤の質量よりも多くすることで、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制できることを見出した。
形成画像における画像ゴーストの発生を更に抑制するためには、正孔輸送剤の質量(MHTM)に対する、2種以上の電子輸送剤の合計質量(METM)の比率(METM/MHTM)が、1.00より大きく1.50以下であることが好ましく、1.00より大きく1.20以下であることがより好ましく、1.05以上1.20以下であることが更に好ましい。
(負帯電測定条件における帯電電位Vn0
本実施形態に係る感光体において、電流値Icを−5μAに設定したコロトロン帯電器を用いて帯電させたときの感光体の帯電電位Vn0(以下、負帯電測定条件における帯電電位Vn0と記載することがある)は、−550V以上0V未満である。負帯電測定条件における帯電電位Vn0が−550V以上0V未満であると、露光メモリーの発生を抑制することができ、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。
以下、図2を参照して、コロトロン帯電器の電流値Icと、感光体の帯電電位との関係について説明する。図2は、コロトロン帯電器の電流値と、電子写真感光体の帯電電位との関係を示すグラフ図である。図2の横軸は、コロトロン帯電器の電流値Ic(単位:μA)を示す。図2の縦軸は、感光体の帯電電位Vn0(単位:V)を示す。図2中の実線は、本実施形態に係る感光体(P−A)を測定対象としたときのコロトロン帯電器の電流値Icと感光体(P−A)の帯電電位Vn0との関係を示す。図2中の破線は、参考例の感光体(P−B)を測定対象としたときのコロトロン帯電器の電流値Icと感光体(P−B)の帯電電位Vn0との関係を示す。電流値Icを−5μAに設定したコロトロン帯電器を用いて本実施形態の感光体(P−A)を帯電させたとき、感光体(P−A)の帯電電位Vn0は−550V以上0V未満である。一方、電流値Icを−5μAに設定したコロトロン帯電器を用いて参考例の感光体(P−B)を帯電させたとき、感光体(P−B)の帯電電位Vn0は−550V未満である。以上、図2を参照して、コロトロン帯電器の電流値Icと、感光体の帯電電位Vn0との関係について説明した。
単層の感光層を備える感光体は、通常、感光体の表面を正極性に帯電させて画像を形成する。そのため、単層の感光層を備える感光体においては、感光体の正帯電特性に着目される傾向がある。しかし、本発明者らは、鋭意検討し、負帯電測定条件における帯電電位Vn0が、単層の感光層を備える感光体における露光メモリーの発生の抑制に寄与することを見出した。特に、電流値Icを−5μAに設定したコロトロン帯電器を用いて帯電させたときの感光体の帯電電位Vn0が、露光メモリーの発生の抑制に寄与することを、本発明者らは見出した。本実施形態の感光体において、感光体の負帯電測定条件における帯電電位Vn0を−550V以上0V未満とすることで、露光メモリーの発生を抑制でき、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。
本実施形態の感光体は、感光体の表面を正極性に帯電させて、画像を形成することが好ましい。負帯電測定条件における帯電電位Vn0が−550V以上0V未満である本実施形態の感光体においては、画像形成時の帯電電位を正極性の値に設定することで、形成画像における画像ゴーストの発生を好適に抑制することができる。
形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、負帯電測定条件における帯電電位Vn0は、−550V以上−400V以下であることが好ましい。
負帯電測定条件における帯電電位Vn0は、第1測定装置を用いて測定される。以下、図3を参照して、負帯電測定条件における帯電電位Vn0の測定方法を説明する。図3は、第1測定装置210の構成を示す。第1測定装置210は、コロトロン帯電器200と、帯電電位測定器212とを備える。第1測定装置210は、除電器214を更に備えていてもよい。
コロトロン帯電器200は、感光体100の表面を帯電する。コロトロン帯電器200は、ワイヤー202と、ケーシング204と、電源206と、電流計208とを備える。
ワイヤー202に−5μAの電流を流すことにより、コロトロン帯電器200が感光体100を帯電する。ワイヤー202に流れる電流は、直流電流である。ワイヤー202は、電流計208の一方端に接続される。
ケーシング204は、ワイヤー202を収容する。ケーシング204は、接地されている。
電源206は、ワイヤー202に電流を流す。電源206の一方端は、接地されている。電源206の他方端は、電流計208の他方端に接続されている。
電流計208は、電源206からワイヤー202に流れる電流値Icを測定する。コロトロン帯電器200の電流値Icは、コロトロン帯電器200が備える電源206からワイヤー202に流れる電流の値である。コロトロン帯電器200の電流値Icは、−5μAに設定される。
帯電電位測定器212は、帯電された感光体100の表面電位を測定する。除電器214は、感光体100の表面を除電する。
第1測定装置210内に、感光体100を回転可能にセットすることができる。コロトロン帯電器200と、帯電電位測定器212と、除電器214とは、感光体100の周囲に配置される。コロトロン帯電器200と、帯電電位測定器212と、除電器214とは、感光体100の回転方向の上流側から記載された順に配置される。
負帯電測定条件における帯電電位Vn0は、第1測定装置210を用いて下記工程(a)及び(b)を行うことにより測定される。
(a)第1測定装置210のコロトロン帯電器200が備えるワイヤー202に−5μAの電流を流すことにより、感光体100を帯電させる帯電工程、及び
(b)帯電電位測定器212が感光体100の帯電電位Vn0を測定する帯電電位測定工程。
以上、図3を参照して、負帯電測定条件における帯電電位Vn0の測定方法を説明した。負帯電測定条件における帯電電位Vn0の測定方法は、実施例で詳細に説明する。
(正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLC
感光体を3周回転させながら各周において正帯電、露光及び転写を行い、各周における帯電電位が同一の正の値であり、露光量が同一であり、転写電流値が同一であるときに、第1周目における露光後かつ転写前の感光体の露光領域の表面電位VpLAと、第3周目における露光後かつ転写前の感光体の露光領域の表面電位VpLCとの差VpLA−VpLC(以下、正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCと記載することがある)は、0V以上である。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCが0V以上であると、露光メモリーの発生を抑制でき、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。表面電位VpLA、表面電位VpLC及び電位差VpLA−VpLCの単位は、何れも、V(ボルト)である。
なお、感光体を正帯電させた後に露光していることから、第1周目における露光後かつ転写前の感光体の露光領域の表面電位VpLA、及び第3周目における露光後かつ転写前の感光体の露光領域の表面電位VpLCは、それぞれ正の値となる。即ち、不等式「VpLA>0」及び「VpLC>0」を満たす。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCが0V以上である場合、第1周目における露光後かつ転写前の感光体の露光領域の表面電位VpLAは、第3周目における露光後かつ転写前の感光体の露光領域の表面電位VpLCと等しい又は表面電位VpLCよりも大きくなる。即ち、不等式「VpLA≧VpLC」を満たす。
形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCは、0V以上20V以下であることが好ましく、0V以上15V以下であることがより好ましい。
正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCは、第2測定装置を用いて測定される。以下、図4を参照して、第2測定装置300について説明する。図4は、第2測定装置300の構成の一例を示す。第2測定装置300は、帯電ユニット302と、露光ユニット304と、電位測定ユニット306と、転写ユニット308とを備える。帯電ユニット302は、感光体100の表面100aを帯電する。露光ユニット304は、感光体100の表面100aを露光する。電位測定ユニット306は、露光された感光体100の表面電位(例えば、表面電位VpL1、VpLA及びVpLC)を測定する。転写ユニット308に転写電流が流れることで、転写ユニット308は感光体100に転写バイアスを印加する。転写ユニット308に流れる転写電流の転写電流値は、例えば、−20μA以上−5μA以下である。
第2測定装置300内に、感光体100を回転可能にセットすることができる。帯電ユニット302と、露光ユニット304と、電位測定ユニット306と、転写ユニット308とは、感光体100の周囲に配置される。帯電ユニット302と、露光ユニット304と、電位測定ユニット306と、転写ユニット308とは、感光体100の回転方向の上流側から記載された順に配置される。
図5を更に参照して、正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定方法を説明する。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCは、感光体100を3周回転させながら、第2測定装置300を用いて下記工程(A)〜(M)を行うことにより測定される。
工程(A)+750Vに帯電した感光体100の表面を露光したときに感光体100の露光領域の表面電位VpL1が+150Vになるように、露光ユニット304の露光量を設定する露光量設定工程(ステップS402)、
工程(B)感光体100の第1周目において、帯電ユニット302が感光体100の表面を+750Vに帯電する第1正帯電工程(ステップS404)、
工程(C)第1周目において、露光量設定工程で設定された露光量を有する光を、露光ユニット304が感光体100の表面に露光する第1露光工程(ステップS406)、
工程(D)第1周目において、電位測定ユニット306が感光体100の露光領域の表面電位VpLAを測定する第1電位測定工程(ステップS408)、
工程(E)第1周目において、転写電流を転写ユニット308に流すことにより、転写ユニット308が感光体100に転写バイアスを印加する第1転写工程(ステップS410)、(F)感光体100の第2周目において、帯電ユニット302が感光体100の表面を+750Vに帯電する第2正帯電工程(ステップS412)、
工程(G)第2周目において、露光量設定工程で設定された露光量を有する光を、露光ユニット304が感光体100の表面に露光する第2露光工程(ステップS414)、
工程(H)第2周目において、第1転写工程と同じ値の転写電流を転写ユニット308に流すことにより、転写ユニット308が感光体100に転写バイアスを印加する第2転写工程(ステップS416)、
工程(I)感光体100の第3周目において、帯電ユニット302が感光体100の表面を+750Vに帯電する第3正帯電工程(ステップS418)、
工程(J)第3周目において、露光量設定工程で設定された露光量を有する光を、露光ユニット304が感光体100の表面に露光する第3露光工程(ステップS420)、
工程(K)第3周目において、電位測定ユニット306が感光体100の露光領域の表面電位VpLCを測定する第3電位測定工程(ステップS422)、
工程(L)第3周目において、第1転写工程と同じ値の転写電流を転写ユニット308に流すことにより、転写ユニット308が感光体100に転写バイアスを印加する第3転写工程(ステップS424)、及び
工程(M)第1周目における感光体100の露光領域の表面電位VpLA及び第3周目における感光体100の露光領域の表面電位VpLCから、電位差VpLA−VpLCを算出する算出工程(ステップS426)。
以上、図4及び図5を参照して、正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定方法を説明した。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定方法は、実施例で詳細に説明する。
(電子輸送剤)
感光層は、2種以上の電子輸送剤を含有する。感光層は、例えば、2種の電子輸送剤を含有することができる。電子輸送剤の例としては、キノン化合物、ジイミド化合物、ヒドラゾン化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。
電子輸送剤の好適な例は、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7)で表される化合物である。以下、一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される化合物を、それぞれ化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)と記載することがある。
以下、化合物(1)について説明する。化合物(1)は、一般式(1)で表されるキノン誘導体である。
Figure 0006642728
一般式(1)中、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基又は炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。炭素原子数2以上5以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する。R1、R2及びR3のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表してもよい。R4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。炭素原子数2以上5以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する。R4、R5及びR6のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表してもよい。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表わされる炭素原子数4以上10以下のアルキル基は、炭素原子数4以上6以下のアルキル基が好ましく、n−ブチル基、イソヘキシル又はn−ヘキシル基がより好ましい。R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表してもよい。R4、R5及びR6のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表してもよい。このような環としては、例えば、シクロアルキリデン基又は環状炭化水素基が挙げられる。シクロアルキリデン基としては、例えば、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基(より具体的には、シクロヘキシリデン基等)が挙げられる。環状炭化水素基としては、例えば、アダマンチル基が挙げられる。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表わされる炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基としては、フェニル基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基が好ましく、フェニルエチル基がより好ましい。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表わされる炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表わされる炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6が次のとおりである化合物が好ましい。R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。R1、R2及びR3のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6が次のとおりである化合物がより好ましい。一般式(1)中、R1、R2及びR3のうちの1つは、フェニル基を有する炭素原子数2以上3以下のアルキル基を表す。R1、R2及びR3のうちの残りはメチル基を表す。R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表さない。R4、R5及びR6のうちの1つは、フェニル基を有する炭素原子数2以上3以下のアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの残りは、メチル基を表す。R4、R5及びR6のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表さない。
別の好適な態様において、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は次の通りである。一般式(1)中、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上6以下のアルキル基又はフェニル基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。R1、R2及びR3のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上6以下のアルキル基又はフェニル基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
別の好適な態様において、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は次の通りである。一般式(1)中、R1、R2及びR3のうちの1つ又は2つは、フェニル基を有する炭素原子数2以上3以下のアルキル基又は炭素原子数5以上7以下のアルキル基を表す。R1、R2及びR3のうちの残りはメチル基を表す。R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表さない。R4、R5及びR6のうちの1つ又は2つは、フェニル基を有する炭素原子数2以上3以下のアルキル基又は炭素原子数5以上7以下のアルキル基を表す。R4、R5及びR6のうちの残りは、メチル基を表す。R4、R5及びR6のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表さない。
一般式(1)中、R1及びR4は同じ基を表し、R2及びR5は同じ基を表し、R3及びR6は同じ基を表すことが好ましい。
化合物(1)の好適な例としては、化学式(1−1)〜(1−7)で表される化合物(以下、化合物(1−1)〜(1−7)と記載することがある)が挙げられる。形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、化合物(1)としては化合物(1−1)がより好ましい。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
化合物(1)は、例えば、反応式(R−1)〜(R−3)で表す反応(以下、(R−1)〜(R−3)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。
反応(R−1)において、R1、R2及びR3は、それぞれ一般式(1)中のR1、R2及びR3と同義である。
Figure 0006642728
反応(R−1)では、化学式(A)で表される化合物(1−ナフトール)1当量と、一般式(B)で表される化合物(アルコール化合物)(以下、アルコール化合物(B)と記載することがある)1当量とを、溶媒中濃硫酸の存在下で反応させて、中間体である一般式(C)で表される化合物(以下、ナフトール誘導体(C)と記載することがある)1当量を得る。反応(R−1)では、1モルの1−ナフトールに対して、1モル以上2.5モル以下のアルコール化合物(B)を添加することが好ましい。1モルの1−ナフトールに対して1モル以上のアルコール化合物(B)を添加すると、ナフトール誘導体(C)の収率を向上させ易い。一方、1モルの1−ナフトールに対して2.5モル以下のアルコール化合物(B)を添加すると、反応(R−1)後に未反応のアルコール化合物(B)が残留し難く、化合物(1)の精製が容易となる。反応(R−1)の反応温度は室温(例えば、25℃)であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。反応(R−1)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、有機酸水溶液(より具体的には、酢酸等)が挙げられる。
より具体的には、反応(R−1)では、1−ナフトールとアルコール化合物(B)とを反応させる。反応後、反応液にイオン交換水を加え、有機層に抽出する。有機層に含まれる有機溶媒としては、例えば、クロロホルム又は酢酸エチルが挙げられる。有機層にアルカリ水溶液で加え、有機層を洗浄し中和する。アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(より具体的には、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等)又はアルカリ土類金属の水酸化物(より具体的には、水酸化カルシウム等)が挙げられる。
反応(R−2)において、R4、R5及びR6は、それぞれ一般式(1)中のR4、R5及びR6と同義である。
Figure 0006642728
反応(R−2)では、化学式(A)で表される化合物(1−ナフトール)1当量と、一般式(D)で表される化合物(アルコール化合物)(以下、アルコール化合物(D)と記載することがある)1当量とを、溶媒中濃硫酸の存在下で反応させて、中間体である一般式(E)で表される化合物(以下、ナフトール誘導体(E)と記載することがある)1当量を得る。反応(R−2)は、アルコール化合物(B)をアルコール化合物(D)に変更した以外は、反応(R−1)と同じ反応である。
反応(R−3)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6と同義である。
Figure 0006642728
反応(R−3)では、1当量のナフトール誘導体(C)及び1当量のナフトール誘導体(E)を酸化剤の存在下で反応して、1当量の化合物(1)を得る。反応(R−3)では、1モルのナフトール誘導体(C)及び1モルのナフトール誘導体(E)に対して、1モルの酸化剤を添加することが好ましい。酸化剤としては、例えば、クロラニル、過マンガン酸カリウム又は酸化銀が挙げられる。反応(R−3)の反応温度は室温(例えば、25℃)であることが好ましい。反応(R−3)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンが挙げられる。
化合物(1)の製造では、必要に応じて他の工程を含んでもよい。他の工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶析等)が挙げられる。
次に、化合物(2)〜(7)について説明する。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
一般式(2)及び(4)〜(7)中、R21、R22、R23、R24、R41、R42、R43、R51、R52、R61、R62、R63、R64、R71、R72及びR73は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい。一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。一般式(4)中、Wは、−CO−O−又は−CO−O−CH2−を表す。
一般式(2)及び(4)〜(7)中、R21、R22、R23、R24、R41、R42、R43、R51、R52、R61、R62、R63、R64、R71、R72及びR73が表わすハロゲン原子としては、塩素原子(クロロ基)が好ましい。
一般式(2)〜(7)中のR21、R22、R23、R24、R31、R32、R41、R42、R43、R51、R52、R61、R62、R63、R64、R71、R72及びR73が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、tert−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基がより好ましい。
一般式(2)及び(4)〜(7)中、R21、R22、R23、R24、R41、R42、R43、R51、R52、R61、R62、R63、R64、R71、R72及びR73が表わす炭素原子数2以上6以下のアルケニル基としては、例えば、炭素原子数2以上4以下のアルケニル基が挙げられる。
一般式(2)及び(4)〜(7)中、R21、R22、R23、R24、R41、R42、R43、R51、R52、R61、R62、R63、R64、R71、R72及びR73が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(2)及び(4)〜(7)中、R21、R22、R23、R24、R41、R42、R43、R51、R52、R61、R62、R63、R64、R71、R72及びR73が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ(好ましくは1つ又は2つ)有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、2−エチル−6−メチルフェニル基が好ましい。
一般式(2)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はtert−ブチル基を表すことが更に好ましい。
一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、1,1−ジメチルプロピル基を表すことがより好ましい。
一般式(4)中、R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。R41及びR42は、それぞれ炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。R43は、水素原子を表すことが好ましい。Wは、−CO−O−CH2−を表すことが好ましい。一般式(4)中、R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、Wは、−CO−O−CH2−を表すことが好ましい。
一般式(5)中、R51及びR52は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を1つ又は2つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、2−エチル−6−メチルフェニル基を表すことがより好ましい。
一般式(6)中、R61、R62、R63及びR64は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はtert−ブチル基を表すことが更に好ましい。
一般式(7)中、R71及びR72は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、イソプロピル基又はtert−ブチル基を表すことがより好ましく、tert−ブチル基を表すことが特に好ましい。一般式(7)中のR73は、ハロゲン原子を表すことが好ましく、塩素原子(クロロ基)を表すことがより好ましい。一般式(7)中、R71及びR72は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R73は、ハロゲン原子を表すことが好ましい。
化合物(2)の好適な例は、化学式(2−1)で表される化合物である。化合物(3)の好適な例は、化学式(3−1)で表される化合物である。化合物(4)の好適な例は、化学式(4−1)で表される化合物である。化合物(5)の好適な例は、化学式(5−1)で表される化合物である。化合物(6)の好適な例は、化学式(6−1)で表される化合物である。化合物(7)の好適な例は、化学式(7−1)で表される化合物である。化学式(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)及び(7−1)で表される化合物のそれぞれを、化合物(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)及び(7−1)と記載することがある。
Figure 0006642728
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電子輸送剤は、2種以上である。2種以上の電子輸送剤は、第1電子輸送剤と第2電子輸送剤とを少なくとも含むことが好ましい。感光層が2種以上の電子輸送剤を含むことで、感光層を形成するための溶剤に対する電子輸送剤の溶解性を向上させることができる。これにより、感光層を形成するための溶剤に多くの電子輸送剤を溶解させることができ、感光層中の電子輸送剤の質量を多くすることができる。その結果、露光メモリーの発生を抑制することができ、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。2種以上の電子輸送剤は、例えば、2種の電子輸送剤であり得る。感光層に2種の電子輸送剤が含有される場合、2種の電子輸送剤は、第1電子輸送剤と第2電子輸送剤とを含む。
電子輸送剤は、化合物(1)〜(7)のうちの2種以上であることが好ましい。負帯電測定条件における帯電電位Vn0及び正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを所望の値に調整し、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、第1電子輸送剤が化合物(1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7)であることが好ましい。同じ理由から、第1電子輸送剤が化合物(1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2)であることがより好ましい。
負帯電測定条件における帯電電位Vn0及び正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを所望の値に調整し、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、第1電子輸送剤が化合物(1−1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)又は(7−1)であることが好ましい。同じ理由から、第1電子輸送剤が化合物(1−1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2−1)であることがより好ましい。
1種の電子輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、20質量部以上30質量部以下であることが好ましい。電子輸送剤が2種以上含有される場合、2種以上の電子輸送剤の合計含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、50質量部以上75質量部以下であることが好ましく、50質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
感光層の質量(ML)に対する電子輸送剤の質量(METM)の比率(METM/ML)は、0.25以上0.28以下であることが好ましい。比率(METM/ML)が0.25以上0.28以下であると、形成画像における画像ゴーストの発生をより抑制することができる。
(正孔輸送剤)
感光層は、例えば正孔輸送剤を含有する。正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル系化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール系化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の好適な例は、下記一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)で表される化合物である。以下、一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)及び(15)で表される化合物のそれぞれを、化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)及び(15)と記載することがある。
以下、化合物(10)について説明する。
Figure 0006642728
一般式(10)中、R101、R102、R103、R104及びR105は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい。b1、b2及びb3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
一般式(10)中、R101、R102及びR103は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。R104及びR105は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表すことがより好ましく、メチルフェニル基又はフェニル基を表すことが更に好ましく、p−メチルフェニル基又はフェニル基を表すことが特に好ましい。
一般式(10)中、b1、b2及びb3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。b1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR101は、互いに同一でも異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR102は、互いに同一でも異なっていてもよい。b3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR103は、互いに同一でも異なっていてもよい。b1、b2及びb3は、各々、0又は1を表すことが好ましい。
101〜R103の結合位置は特に限定されない。R101〜R103は、それぞれフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R101〜R103は、それぞれフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
一般式(10)中、R101、R102及びR103は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R104及びR105は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、b1、b2及びb3は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
化合物(10)の好適な例は、下記化学式(10−1)、(10−2)又は(10−3)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(10−1)、(10−2)及び(10−3)と記載することがある)である。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
次に、化合物(11)について説明する。
Figure 0006642728
一般式(11)中、R111、R112、R113、R114、R115及びR116は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。d1、d2、d3及びd4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。d5及びd6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(11)中、R111〜R116は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はエチル基を表すことが特に好ましい。
一般式(11)中、d1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR111は、互いに同一でも異なっていてもよい。d2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR112は、互いに同一でも異なっていてもよい。d3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR113は、互いに同一でも異なっていてもよい。d4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR114は、互いに同一でも異なっていてもよい。d5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR114は、互いに同一でも異なっていてもよい。d6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR116は、互いに同一でも異なっていてもよい。
111〜R114の結合位置は特に限定されない。R111〜R114は、それぞれフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R113及びR114は、それぞれフェニル基のオルト位に結合することが好ましい。R115及びR116の結合位置は特に限定されない。R115及びR116は、それぞれフェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
1、d2、d3及びd4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。d5及びd6は、それぞれ0を表すことが好ましい。
一般式(11)中、R111、R112、R113、R114、R115及びR116は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、d1、d2、d3及びd4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、d5及びd6は、それぞれ0を表すことが好ましい。
化合物(11)の好適な例は、下記化学式(11−1)で表される化合物(以下、化合物(11−1)と記載することがある)である。
Figure 0006642728
次に、化合物(12)について説明する。
Figure 0006642728
一般式(12)中、R121、R122、R123、R124、R125及びR126は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表す。e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e5及びe6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(12)中、e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR121は、互いに同一でも異なっていてもよい。e2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR122は、互いに同一でも異なっていてもよい。e3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR123は、互いに同一でも異なっていてもよい。e4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR124は、互いに同一でも異なっていてもよい。e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。e1及びe2の一方は2を表し、他方は0又は1を表すことがより好ましい。e3及びe4の一方は2を表し、他方は0又は1を表すことがより好ましい。
121〜R124の結合位置は特に限定されない。R121〜R124は、それぞれフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R121〜R124は、それぞれフェニル基のオルト位又はパラ位に結合することが好ましい。
一般式(12)中、e5及びe6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。e5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR125は、互いに同一でも異なっていてもよい。e6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR126は、互いに同一でも異なっていてもよい。e5及びe6は、それぞれ0を表すことが好ましい。
125及びR126の結合位置は特に限定されない。R125及びR126は、それぞれフェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
一般式(12)中、R121、R122、R123、R124、R125及びR126は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。e5及びe6は、それぞれ0を表すことが好ましい。
一般式(12)中、R121、R122、R123、R124、R125及びR126は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、e5及びe6は、それぞれ0を表すことが好ましい。
化合物(12)の好適な例は、下記化学式(12−1)又は(12−2)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(12−1)及び(12−2)と記載することがある)である。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
次に、化合物(13)について説明する。
Figure 0006642728
一般式(13)中、R131、R132、R133及びR134は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。f1、f2及びf3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。f4は、0又は1を表す。
一般式(13)中、R131〜R133は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。R134は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。
一般式(13)中、f1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR131は、互いに同一でも異なっていてもよい。f2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR132は、互いに同一でも異なっていてもよい。f3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR133は、互いに同一でも異なっていてもよい。f1は、0又は1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。f2は1又は2を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。f3は、0又は1を表すことが好ましく、0を表すことがより好ましい。
131〜R133の結合位置は特に限定されない。R131〜R133は、それぞれフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R131は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。R132は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
2が2を表し、2個のR132がフェニル基の隣接した結合位置(例えば、オルト位とメタ位、又はメタ位とパラ位)に結合する場合、2個のR132が互いに結合して、環を表してもよい。隣接した2個のR132が互いに結合して形成される環としては、例えば、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンが挙げられる。隣接した2個のR132が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成する場合、この炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、2個のR132が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基を形成する。この場合、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとフェニル基との縮合部位は、二重結合を含んでいてもよい。隣接した2個のR132が互いに結合して、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成することが好ましく、シクロヘキサンを形成することがより好ましい。
化合物(13)の好適な例は、下記化学式(13−1)又は(13−2)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(13−1)及び(13−2)と記載することがある)である。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
次に、化合物(14)について説明する。
Figure 0006642728
一般式(14)中、R141、R142、R143及びR144は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。g1、g2、g3及びg4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR141は、互いに同一でも異なっていてもよい。g2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR142は、互いに同一でも異なっていてもよい。g3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR143は、互いに同一でも異なっていてもよい。g4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR144は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(14)中、R141、R142、R143及びR144は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。g1及びg4の一方が1を表し、他方が0を表すことが好ましい。g2及びg3の一方が1を表し、他方が0を表すことが好ましい。
化合物(14)の好適な例は、下記化学式(14−1)で表される化合物(以下、化合物(14−1)と記載することがある)である。
Figure 0006642728
次に、化合物(15)について説明する。
Figure 0006642728
一般式(15)中、R151、R152及びR153は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。h1、h2及びh3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
一般式(15)中、R151〜R153としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、n−ブチル基を表すことがより好ましい。
一般式(15)中、h1、h2及びh3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。h1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR151は、互いに同一でも異なっていてもよい。h2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR152は、互いに同一でも異なっていてもよい。h3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR153は、互いに同一でも異なっていてもよい。h1は1を表すことが好ましい。h2及びh3は0を表すことが好ましい。
151〜R153の結合位置は特に限定されない。R151〜R153は、それぞれフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R151は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
一般式(15)中、R151、R152及びR153は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、h1、h2及びh3は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
化合物(15)の好適な例は、下記化学式(15−1)で表される化合物(以下、化合物(15−1)と記載することがある)である。
Figure 0006642728
負帯電測定条件における帯電電位Vn0及び正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを所望の値に調整し、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、感光層は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)又は(15)を含むことが好ましく、化合物(10)を含むことがより好ましく、化合物(10−1)、(10−2)又は(10−3)を含むことが更に好ましい。
負帯電測定条件における帯電電位Vn0及び正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを所望の値に調整し、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制するためには、2種以上の電子輸送剤が第1電子輸送剤と第2電子輸送剤とを少なくとも含み、第1電子輸送剤が化合物(1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7)であり、正孔輸送剤が化合物(10)、(11)、(12)又は(15)を含むことが好ましい。同じ理由から、2種以上の電子輸送剤が第1電子輸送剤と第2電子輸送剤とを少なくとも含み、第1電子輸送剤が化合物(1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2)であり、正孔輸送剤が化合物(10)を含むことがより好ましい。同じ理由から、2種以上の電子輸送剤が第1電子輸送剤と第2電子輸送剤とを少なくとも含み、第1電子輸送剤が化合物(1−1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2−1)であり、正孔輸送剤が化合物(10−1)、(10−2)又は(10−3)を含むことが更に好ましい。
正孔輸送剤が化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)を含む場合、化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)の含有量は、感光層に含有される正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。正孔輸送剤が化合物(10)、(11)、(12)又は(15)を含む場合、化合物(10)、(11)、(12)又は(15)の含有量は、感光層に含有される正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
感光層に含有される正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上60質量部以下であることが更に好ましい。
(電荷発生剤)
感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(C−1)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 0006642728
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(より具体的には、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ等)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有しない。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
Y型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析(DSC)スペクトルにおける熱特性(詳しくは、次に示す熱特性(a)〜(c))の違いによって3種類に分類される。
(a)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
(b)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上400℃以下の範囲にピークを有しない。
(c)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
示差走査熱量分析スペクトルの測定方法の一例について説明する。サンプルパンにチタニルフタロシアニン結晶粉末の評価用試料を載せて、示差走査熱量計(例えば、株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて示差走査熱量分析スペクトルを測定する。測定範囲は、例えば40℃以上400℃以下であり、昇温速度は、例えば20℃/分である。
熱特性(b)及び(c)を有するY型チタニルフタロシアニンは、結晶安定性に優れており、有機溶媒中で結晶転移を起こしにくく、感光層中に分散し易い。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザーの波長としては、例えば、350nm以上550nm以下の範囲の波長が挙げられる。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
(バインダー樹脂)
感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物又はウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的強度、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、下記一般式(20)で表される樹脂(以下、樹脂(20)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006642728
一般式(20)中、R201〜R206は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。但し、R203及びR204は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を形成してもよい。x+y=1.00である。0.00<x≦1.00である。つまり、xは0.00より大きく1.00以下の数である。
一般式(20)中のR201〜R206が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(20)中のR201〜R206が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
一般式(20)中、R201、R202、R205及びR206は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は水素原子を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R203及びR204は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましく、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
樹脂(20)は、一般式(20a)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(20a)と記載することがある)と、一般式(20b)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(20b)と記載することがある)とを含む。なお、一般式(20a)中のR201〜R204は、それぞれ一般式(20)中のR201〜R204と同義である。一般式(20b)中のR205及びR206は、それぞれ一般式(20)中のR205及びR206と同義である。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
一般式(20)中、xは、樹脂(20)における全繰返し単位の物質量(モル数)に対する、繰返し単位(20a)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。yは、樹脂(20)における全繰返し単位の物質量(モル数)に対する、繰返し単位(20b)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。
樹脂(20)は、繰返し単位(20a)と繰返し単位(20b)とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。或いは、樹脂(20)は、繰返し単位(20a)と繰返し単位(20b)とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。或いは、樹脂(20)は、1以上の繰返し単位(20a)と、1以上の繰返し単位(20b)とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。或いは、樹脂(20)は、複数の繰返し単位(20a)からなるブロックと、複数の繰返し単位(20b)からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。
樹脂(20)は、末端基として下記一般式(20e)又は(20f)で表される基を有していてもよい。
Figure 0006642728
一般式(20e)中、R207は、−CO−O−又は−O−を表す。但し、繰返し単位(20a)又は繰返し単位(20b)のエーテル部位(−O−)と結合するとき、R207は−CO−O−を表す。繰返し単位(20a)又は繰返し単位(20b)のエステル部位(−CO−O−)と結合するとき、R207は−O−を表す。R208及びR209は、各々独立に、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは、1個以上12個以下)有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキレン基を表す。R208及びR209としては、ハロゲン原子を2個以上4個以下有する炭素原子数メチレン基又はエチレン(−CH2−CH2−)基が好ましい。R210は、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは、1個以上13個以下)有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。R210としては、ハロゲン原子を1個以上9個以下有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子を9個有する2−メチルプロピル基がより好ましい。
Figure 0006642728
一般式(20f)中、R207は、−CO−O−又は−O−を表す。但し、繰返し単位(20a)又は繰返し単位(20b)のエーテル部位(−O−)と結合するとき、R207は−CO−O−を表す。繰返し単位(20a)又は繰返し単位(20b)のエステル部位(−CO−O−)と結合するとき、R207は−O−を表す。R211は、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは、1個以上13個以下)有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。R211としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、tert−ブチル基が特に好ましい。
樹脂(20)の具体例としては、下記一般式(PC−1)、一般式(PC−2)又は化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂が挙げられる。以下、下記化学式(PC−1)、一般式(PC−2)及び化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂を、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)及び(PC−3)と記載することがある。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
一般式(PC−2)中、x2+y2=1.00である。x2は0.56以上0.62以下の数を表す。y2は0.38以上0.44以下の数を表す。一般式(PC−2)中、x2は、一般式(PC−2)で表されるポリカーボネート樹脂における繰返し単位の合計物質量(モル数)に対する、x2が付された繰返し単位の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。y2は、一般式(PC−2)で表されるポリカーボネート樹脂における繰返し単位の合計物質量(モル数)に対する、y2が付された繰返し単位の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。
Figure 0006642728
化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂は、一般式(20)中のyが0.00であり、xが1.00である樹脂である。化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂は、繰り返し単位(20a)のみによって構成される。
バインダー樹脂の製造方法は、樹脂(20)を製造できれば、特に限定されない。樹脂(20)の製造方法の一例として、ポリカーボネート樹脂の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)が挙げられる。より具体的には、例えば、一般式(20c)で表されるジオール化合物と、一般式(20d)で表されるジオール化合物と、ホスゲンとを、縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(20c)中のR201〜R204は、それぞれ一般式(20)中のR201〜R204と同義である。一般式(20d)中のR205及びR206は、それぞれ一般式(20)中のR205及びR206と同義である。樹脂(20)の製造方法の別の例として、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法も挙げられる。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
樹脂(20)を製造するための反応において、所望の末端停止剤を添加することにより、樹脂(20)に所望の末端基を導入することができる。末端基が下記一般式(20e)である場合、末端停止剤として下記一般式(20g)で表される化合物を添加する。一般式(20g)中のR207〜R210は、それぞれ一般式(20e)中のR207〜R210と同義である。末端基が下記一般式(20f)である場合、末端停止剤として下記一般式(20h)で表される化合物を添加する。一般式(20h)中のR207及びR211は、それぞれ一般式(20f)中のR207及びR211と同義である。
Figure 0006642728
Figure 0006642728
感光層は、樹脂(20)に加えて、樹脂(20)以外のバインダー樹脂を更に含有してもよい。感光層に含有されるバインダー樹脂の質量に対する樹脂(20)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
感光層の質量(ML)に対する、バインダー樹脂の質量(MRESIN)の比率(MRESIN/ML)は、0.50未満とすることができる。比率(MRESIN/ML)が0.50未満であると、感光層の質量に対するバインダー樹脂以外の材料の質量の比率が大きくなる。具体的には、感光層の質量に対する電荷発生剤、正孔輸送剤及び2種以上の電子輸送剤の質量の比率が大きくなる。比率(MRESIN/ML)は、0.49以下であることがより好ましく、0.45以上0.49以下であることが更に好ましく、0.45以上0.47以下であることが一層好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
<中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、電流リークの発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄又は銅等)、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛等)の粒子又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。
<感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)を導電性基体上に塗布し塗布膜を形成し、塗布膜を乾燥させることによって製造される。塗布液は、電荷発生剤と、2種以上の電子輸送剤と、正孔輸送剤と、必要に応じて添加される成分(例えば、バインダー樹脂及び各種添加剤)とを、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥させる方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<画像形成装置>
次に、図6を参照して、本実施形態に係る感光体100を備える画像形成装置110について説明する。図6は画像形成装置110の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置110は本実施形態に係る感光体100を備える。図6に示す画像形成装置110は、直接転写方式を採用する。なお、中間転写方式を採用する画像形成装置110については、図7を参照して後述する。
画像形成装置110は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置110は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置110がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置110は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置110を例に挙げて説明する。
画像形成装置110は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dのそれぞれを、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置110がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置110は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、感光体100と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体100が設けられる。感光体100は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体100の周囲には、帯電部42を基準として感光体100の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。
帯電部42は、感光体100の表面(周面)を正極性に帯電する。帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
露光部44は、帯電された感光体100の表面を露光する。これにより、感光体100の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置110に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、感光体100に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体100は、トナー像を担持する像担持体に相当する。
転写ベルト50は、感光体100と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体100から被転写体へ転写する。画像形成装置110が直接転写方式を採用する場合、被転写体は記録媒体Pに相当する。画像形成装置110が直接転写方式を採用する場合、感光体100から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、感光体100は記録媒体Pと接触している。転写部48は、例えば転写ローラーである。
画像形成ユニット40a〜40dのそれぞれによって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
画像形成装置110は、除電部を備えない設計とすることができる。つまり、画像形成装置110は、除電部を省略した除電レス方式を採用することができる。画像形成装置110が直接転写方式及び除電レス方式を採用する場合、感光体100の表面(周面)において、転写部48によって感光体100から被転写体(記録媒体Pに相当)にトナー像が転写された感光体100の表面の領域は、除電されることなく帯電部42によって再び正極性に帯電される。除電部を備えない除電レス方式の画像形成装置110では、露光の影響が残り易いため、露光メモリーが発生して形成画像に画像ゴーストが発生し易い。しかし、本実施形態に係る感光体100は、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置110が本実施形態に係る感光体100を備えることにより、画像形成装置110が除電部を備えない場合であっても、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することができる。
定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
なお、画像形成装置110は、中間転写方式を採用することもできる。以下、図7を参照して、中間転写方式を採用する画像形成装置110について説明する。図7は、画像形成装置110の構成の別の例を示す図であり、この画像形成装置110は本実施形態に係る感光体100を備える。冗長を避けるために、図6に示す画像形成装置110が備える構成と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
画像形成装置110が中間転写方式を採用する場合、直接転写方式で説明した転写部48は、一次転写部54及び二次転写部58に相当する。画像形成装置110が中間転写方式を採用する場合、被転写体は、中間転写ベルト56及び記録媒体Pに相当する。一次転写部54は、一次転写バイアス(具体的には、トナーの帯電極性と逆極性を有するバイアス)を中間転写ベルト56に印加する。中間転写ベルト56は、無端状のベルトである。中間転写ベルト56は、矢符(反時計回り)方向に回転する。一次転写バイアスが印加されると、感光体100と一次転写部54との間で、感光体100から中間転写ベルト56へ感光体100の表面に形成されたトナー像が転写(一次転写)される。
二次転写部58は、二次転写バイアス(具体的には、トナー像の帯電極性に対して逆極性を有するバイアス)を、記録媒体Pを介してトナー像に印加する。その結果、中間転写ベルト56上に一次転写されたトナー像は、二次転写部58と中間転写ベルト56との間で、中間転写ベルト56から記録媒体Pに転写(二次転写)される。これにより、未定着のトナー像が記録媒体Pに転写される。
画像形成装置110が中間転写方式及び除電レス方式を採用する場合、感光体100の表面(周面)において、一次転写部54によって感光体100から被転写体(中間転写ベルト56に相当)にトナー像が転写された領域は、除電されることなく帯電部42によって再び正極性に帯電される。
以上、図6及び図7を参照して、本実施形態の感光体100を備える画像形成装置110について説明した。
<プロセスカートリッジ>
次に、図6及び図7を引き続き参照して、本実施形態に係る感光体100を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dのそれぞれに相当する。プロセスカートリッジは、ユニット化された感光体100を備える。プロセスカートリッジは、感光体100に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48(又は一次転写部54)からなる群より選択される少なくとも1つをユニット化した構成が採用される。プロセスカートリッジには、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置110に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体100の感度特性等が劣化した場合に、感光体100を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光層を形成するための材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、チタニルフタロシアニンを準備した。チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(C−1)で表される化合物であった。また、このチタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有し、26.2℃にピークを有していなかった。このチタニルフタロシアニンは、DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲に1つのピークを有していた。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(10−1)、(10−2)、(10−3)、(11−1)、(12−1)、(12−2)、(13−1)、(13−2)、(14−1)及び(15−1)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、一般式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂を準備した。実施例で使用した一般式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、50,000であった。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(1−1)、(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)及び(7−1)を準備した。電子輸送剤として、化合物(1−1)、(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)及び(7−1)のうちの2種を選択して使用した。使用した2種の電子輸送剤のそれぞれを、第1電子輸送剤及び第2輸送剤と記載する。なお、化合物(1−1)は、以下の方法で合成した。
(化合物(1−1)の合成)
反応式(r−1)及び反応式(r−3)で表される反応(以下、それぞれ反応(r−1)及び(r−3)と記載することがある)に従って化合物(1−1)を製造した。
Figure 0006642728
反応(r−1)では、ナフトール化合物(1A)(1−ナフトール)とアルコール化合物(1B)とを反応させて、中間生成物であるナフトール誘導体(1C)を得た。詳しくは、ナフトール化合物(1A)1.44g(0.010モル)と、アルコール化合物(1B)1.64g(0.010モル)と、酢酸30mLとをフラスコに投入し、酢酸溶液を調製した。フラスコ内容物に濃硫酸0.98g(0.010モル)を滴下し、室温(25℃)で8時間攪拌した。フラスコ内容物にイオン交換水及びクロロホルムを添加して有機層を得た。有機層を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、中和した。続けて、有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、有機層を乾燥させた。乾燥させた有機層を減圧留去し、ナフトール誘導体(1C)を含む粗生成物を得た。
Figure 0006642728
反応(r−3)では、ナフトール誘導体(1C)を酸化反応させて、化合物(1−1)を得た。詳しくは、ナフトール誘導体(1C)を含む粗生成物と、クロロホルム100mLとをフラスコに投入し、クロロホルム溶液を調製した。フラスコ内容物にクロラニル2.46g(0.010モル)を加え、室温(25℃)で8時間攪拌した。続けて、フラスコ内容物をろ過し、ろ液を得た。得られたろ液の溶媒を留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、得られた残渣を精製した。これにより、化合物(1−1)を得た。化合物(1−1)の収量は、1.73gであり、ナフトール化合物(1A)からの化合物(1−1)の収率は、60モル%であった。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。図8は、化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルを示す。図8中、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示し、横軸は化学シフト(単位:ppm)を示す。化合物(1−1)の化学シフト値を以下に示す。
化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.32−8.35(m, 2H), 8.02(s, 2H), 7.84−7.88(m, 2H), 7.60−7.67(m, 4H), 7.03−7.18(m, 10H), 2.39−2.45(m, 4H), 2.22−2.29(m, 4H), 1.38(s, 12H).
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−A1)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)を製造した。
(感光体(P−A1)の製造)
容器内に、電荷発生剤3質量部と、正孔輸送剤としての化合物(10−1)50質量部と、第1電子輸送剤としての化合物(1−1)30質量部と、第2電子輸送剤としての化合物(2−1)30質量部と、バインダー樹脂100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部とを投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料(電荷発生剤、化合物(10−1)、化合物(1−1)、化合物(2−1)及びバインダー樹脂)を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。
次に導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体)の上に、ディップコート法を用いて、調製した感光層用塗布液を塗布した。これにより、導電性基体上に塗布膜を形成した。塗布膜が形成された導電性基体を100℃で60分間乾燥させて、塗布膜からテトラヒドロフランを除去した。これにより、導電性基体上に、感光層(膜厚25μm)が形成された。その結果、感光体(P−A1)が得られた。
(感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)の製造)
下記(1)〜(7)の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれを製造した。
(1)感光体(A−1)の製造では第1電子輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれの製造では表1〜表3に示す種類の第1電子輸送剤を使用した。
(2)感光体(A−1)の製造では第1電子輸送剤を30質量部使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれの製造では表1〜表3に示す質量の第1電子輸送剤を使用した。
(3)感光体(A−1)の製造では第2電子輸送剤として化合物(2−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれの製造では表1〜表3に示す種類の第2電子輸送剤を使用した。
(4)感光体(A−1)の製造では第2電子輸送剤を30質量部使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれの製造では表1〜表3に示す質量の第2電子輸送剤を使用した。なお、感光体(P−B1)〜(P−B3)のそれぞれの製造においては、第2電子輸送剤を添加しなかった。
(5)感光体(A−1)の製造では正孔輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれの製造では表1〜表3に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
(6)感光体(A−1)の製造では正孔輸送剤を30質量部使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれの製造では表1〜表3に示す質量の正孔輸送剤を使用した。
<負帯電測定条件における帯電電位Vn0の測定>
感光体(P−A1)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれに対して、負帯電測定条件における帯電電位Vn0を測定した。負帯電測定条件における帯電電位Vn0の測定は、温度23℃及び相対湿度50%RHの条件下で行った。実施形態で述べた第1測定装置として、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いた。第1測定装置としてのドラム感度試験機は、コロトロン帯電器と、帯電電位測定器と、除電器とを備えていた。ドラム感度試験機に感光体をセットした。ドラム感度試験機の設定条件は次のとおりであった。
(設定条件)
感光体の回転速度(周速):125rpm
コロトロン帯電器の電流値Ic:−5μA(直流電流)
コロトロン帯電器のワイヤーと感光体の表面とのギャップ幅:10mm
帯電電位Vn0を測定するタイミング:帯電後80ミリ秒経過した時点
除電器の種類:波長660nmの赤色LEDを備える除電器
除電バイアス:+24V
ドラム感度試験機の動作を安定させるために、ドラム感度試験機を用いて感光体を5周回転させながら、予め感光体を負帯電させた。次いで、ドラム感度試験機を用いて感光体を9周回転させて、各周において負帯電及び除電を行った。次いで、感光体の10周目において、ドラム感度試験機を用いて実施形態で述べた工程(a)及び(b)を行った。次いで、ドラム感度試験機を用いて感光体を5周回転させながら、感光体を更に除電した。工程(b)で測定された負帯電測定条件における帯電電位Vn0を、表1〜表3に示す。
<正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定(転写電流値−5μA)>
感光体(P−A1)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれに対して、正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを測定した。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定は、温度25℃及び相対湿度45%RHの条件下で行った。実施形態で述べた第2測定装置として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」)から除電器を取り除いた改造機を用いた。第2測定装置としての改造機は、帯電ユニットと、露光ユニットと、電位測定ユニットと、転写ユニットとを備えていた。改造機に感光体をセットした。
第2測定装置としての改造機を用いて、感光体を3周回転させながら、実施形態で述べた工程(A)〜(M)を行った。工程(E)、(H)及び(L)において転写ユニットに流す転写電流の転写電流値を、−5μAに設定した。そして、白紙画像を3枚の用紙に印刷した後、ソリッド画像(画像濃度100%)を1枚の用紙に印刷することで、工程(A)を行った。更に、ソリッド画像(画像濃度100%)を3枚の用紙に印刷することで、工程(B)〜(L)を行った。次いで、工程(M)を行った。なお、改造機の設定条件は次のとおりであった。
(設定条件)
感光体の回転速度(周速):94rpm
帯電ユニットの種類:スコロトロン帯電器
露光ユニットの種類:光源としてLEDを備える露光ユニット
露光波長:780nm
表面電位VpL1、VpLA及びVpLCを測定するタイミング:露光後80ミリ秒経過した時点
転写ユニットの種類:転写ベルト方式の転写ユニット
転写電流値:−5μA
転写ユニットと感光体とのニップ幅:1mm
転写電流値−5μA設定時の正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを、表1〜表3に示す。なお、測定された表面電位VpLA及びVpLCは、それぞれ、正の値であった。
<正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定(転写電流値−20μA)>
工程(E)、(H)及び(L)において転写ユニットに流す転写電流の転写電流値を−5μAから−20μAに変更した以外は、転写電流値−5μA設定時の正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCの測定方法と同じ方法で、転写電流値−20μA設定時の正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを測定した。転写電流値−20μA設定時の正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCを、表1〜表3に示す。なお、測定された表面電位VpLA及びVpLCは、それぞれ、正の値であった。
<画像ゴースト抑制の評価>
製造した感光体(P−A1)〜(P−A20)及び(P−B1)〜(P−B11)のそれぞれに対して、画像ゴースト抑制の評価を行った。画像ゴースト抑制の評価は、温度25℃及び相対湿度45%RHの環境下で行った。感光体を評価機に搭載した。評価機として、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1300D」)からクリーニングブレードを取り外した改造機を使用した。また、この評価機は、除電レス方式を採用していた。用紙として、(富士ゼロックス株式会社製「上質PPC用紙」、A4サイズ)を使用した。
評価機を用いて、画像I(印字率4%のパターン画像)を5000枚の用紙に連続して印刷した。次いで、画像II及び画像IIIを含む評価用画像を1枚の用紙に印刷した。画像IIは、白色(画像濃度0%)の背景に、1つの黒色(画像濃度100%)の四角形が現された画像であった。画像IIは、感光体の1周目で形成される画像に相当していた。画像IIIは、全面ハーフトーン(画像濃度12.5%)の画像であった。画像IIIは、感光体の2周目及び3周目で形成される画像に相当していた。
得られた画像IIIを肉眼で観察し、画像IIに由来する画像ゴーストの有無を確認した。なお、感光体に露光メモリーが発生すると、形成画像に画像ゴースト(ポジゴースト)が発生する。画像ゴーストは、感光体の1周目で印刷された画像IIの黒色の四角形に対応する領域が、感光体の2周目及び3周目で印刷された全面ハーフトーンの画像IIIにおいて黒く現れる画像不良である。画像ゴーストの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、画像ゴーストの発生が抑制されているか否かを評価した。画像ゴースト抑制の評価結果を、表1〜表3に示す。
(転写メモリー抑制の評価基準)
A(特に良好):画像ゴーストが、全く確認されなかった。
B(良好) :画像ゴーストが、わずかに確認された。
C(不良) :画像ゴーストが、明確に確認された。
表1〜表3中、第1ETM、第2ETM、HTM及び部は、それぞれ第1電子輸送剤、第2電子輸送剤、正孔輸送剤及び質量部を示す。
表1〜表3中、「METM/MHTM」は、正孔輸送剤の質量に対する、電子輸送剤の合計質量の比率を示す。「METM/MHTM」は、下記計算式から算出した。「METM/MHTM」が1.00超であるとき、電子輸送剤の合計質量が正孔輸送剤の質量よりも多いことを示す。
ETM/MHTM=(第1電子輸送剤の質量+第2電子輸送剤の質量)/正孔輸送剤の質量
表1〜表3中、「METM/ML」は、感光層の質量に対する、電子輸送剤の合計質量の比率を示す。METM/MLは、下記計算式から算出した。
ETM/ML=(第1電子輸送剤の質量+第2電子輸送剤の質量)/(電荷発生剤の質量+バインダー樹脂の質量+正孔輸送剤の質量+第1電子輸送剤の質量+第2電子輸送剤の質量)
表1〜表3中、「MRESIN/ML」は、感光層の質量に対する、バインダー樹脂の質量の比率を示す。MRESIN/MLは、下記計算式から算出した。
RESIN/ML=(バインダー樹脂の質量)/(電荷発生剤の質量+バインダー樹脂の質量+正孔輸送剤の質量+第1電子輸送剤の質量+第2電子輸送剤の質量)
Figure 0006642728
Figure 0006642728
Figure 0006642728
表1及び2に示すように、感光体(P−A1)〜(P−A20)は、導電性基体と感光層とを備えていた。感光層は、単層であった。感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、2種以上の電子輸送剤とを含有していた。電子輸送剤の合計含有量は、前記正孔輸送剤の含有量よりも多かった。負帯電測定条件における帯電電位Vn0が−550V以上0V未満であった。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCが、0V以上であった。表1及び表2から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A20)では、画像ゴースト抑制の評価がA(特に良好)又はB(良好)であった。
表1及び2に示すように、感光体(P−A1)、(P−A7)〜(P−A10)及び(P−A18)〜(P−A20)のそれぞれにおいては、2種以上の電子輸送剤が第1電子輸送剤及び第2電子輸送剤を含み、第1電子輸送剤が化合物(1)であり、第2電子輸送剤が化合物(2)であり、正孔輸送剤が化合物(10)を含んでいた。表1及び表2から明らかなように、感光体(P−A1)、(P−A7)〜(P−A10)、(P−A18)〜(P−A20)では、画像ゴースト抑制の評価がA(特に良好)であった。
一方、表3に示すように、感光体(P−B1)〜(P−B3)においては、感光層が2種以上の電子輸送剤を含有していなかった。電子輸送剤の合計含有量が、正孔輸送剤の含有量よりも多くなかった。負帯電測定条件における帯電電位Vn0が−550V以上0V未満ではなかった。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCが、0V以上ではなかった。
表3に示すように、感光体(P−B4)〜(P−B6)においては、電子輸送剤の合計含有量が、正孔輸送剤の含有量よりも多くなかった。負帯電測定条件における帯電電位Vn0が−550V以上0V未満ではなかった。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCが、0V以上ではなかった。
表3に示すように、感光体(P−B7)〜(P−B11)においては、負帯電測定条件における帯電電位Vn0が−550V以上0V未満ではなかった。正帯電測定条件における電位差VpLA−VpLCが、0V以上ではなかった。
表3から明らかなように、感光体(P−B1)〜(P−B11)では、画像ゴースト抑制の評価がC(不良)であった。
以上のことから、本発明に係る感光体は、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することが示された。また、本発明に係る画像形成装置は、形成画像における画像ゴーストの発生を抑制することが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。

Claims (8)

  1. 導電性基体と単層の感光層とを備える、電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、2種以上の電子輸送剤とを含有し、
    2種以上の前記電子輸送剤の合計質量は、前記正孔輸送剤の質量よりも多く、
    2種以上の前記電子輸送剤は、第1電子輸送剤と第2電子輸送剤とを少なくとも含み、
    前記第1電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物であり、
    前記第2電子輸送剤は、一般式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7)で表される化合物であり、
    前記正孔輸送剤は、一般式(10)、(11)、(12)又は(15)で表される化合物を含み、
    電流値を−5μAに設定したコロトロン帯電器を用いて帯電させたときの前記電子写真感光体の帯電電位が、−550V以上0V未満であり、
    前記電子写真感光体を3周回転させながら各周において正帯電、露光及び転写を行い、各周における帯電電位が同一の正の値であり、露光量が同一であり、転写電流値が同一であるときに、第1周目における露光後かつ転写前の前記電子写真感光体の露光領域の表面電位VpLAと、第3周目における露光後かつ転写前の前記電子写真感光体の前記露光領域の表面電位VpLCとの差VpLA−VpLCが、0V以上である、電子写真感光体。
    Figure 0006642728
    前記一般式(1)中、
    1 、R 2 及びR 3 のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基又は炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、
    前記炭素原子数2以上5以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有し、
    1 、R 2 及びR 3 のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、
    1 、R 2 及びR 3 のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表してもよく、
    4 、R 5 及びR 6 のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基又は炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、
    前記炭素原子数2以上5以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有し、
    4 、R 5 及びR 6 のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、
    4 、R 5 及びR 6 のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を表してもよい。
    Figure 0006642728
    前記一般式(2)、(4)、(5)、(6)及び(7)中、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 41 、R 42 、R 43 、R 51 、R 52 、R 61 、R 62 、R 63 、R 64 、R 71 、R 72 及びR 73 は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよく、
    前記一般式(3)中、R 31 及びR 32 は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(4)中、Wは、−CO−O−又は−CO−O−CH 2 −を表す。
    Figure 0006642728
    前記一般式(10)中、
    101 、R 102 、R 103 、R 104 及びR 105 は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよく、
    1 、b 2 及びb 3 は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 0006642728
    前記一般式(11)中、
    111 、R 112 、R 113 、R 114 、R 115 及びR 116 は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    1 、d 2 、d 3 及びd 4 は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    5 及びd 6 は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
    Figure 0006642728
    前記一般式(12)中、
    121 、R 122 、R 123 、R 124 、R 125 及びR 126 は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表し、
    1 、e 2 、e 3 及びe 4 は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    5 及びe 6 は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
    Figure 0006642728
    前記一般式(15)中、
    151 、R 152 及びR 153 は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    1 、h 2 及びh 3 は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
  2. 前記一般式(1)中、
    1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、
    1、R2及びR3のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、
    4、R5及びR6のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(2)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(4)中、R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、Wは、−CO−O−CH2−を表し、
    前記一般式(5)中、R51及びR52は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を1つ又は2つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記一般式(6)中、R61、R62、R63及びR64は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(7)中、R71及びR72は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R73は、ハロゲン原子を表し、
    前記一般式(10)中、R101、R102及びR103は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R104及びR105は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、b1、b2及びb3は、各々独立に、0又は1を表し、
    前記一般式(11)中、R111、R112、R113、R114、R115及びR116は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、d1、d2、d3及びd4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、d5及びd6は、それぞれ0を表し、
    前記一般式(12)中、R121、R122、R123、R124、R125及びR126は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、e5及びe6は、それぞれ0を表し、
    前記一般式(15)中、R151、R152及びR153は、それぞれ炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、h1、h2及びh3は、各々独立に、0又は1を表す、請求項に記載の電子写真感光体。
  3. 前記第1電子輸送剤は、前記一般式(1)で表される化合物であり、
    前記第2電子輸送剤は、前記一般式(2)で表される化合物であり、
    前記正孔輸送剤は、前記一般式(10)で表される化合物を含む、請求項に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物は、化学式(1−1)で表される化合物であり、
    前記一般式(2)で表される化合物は、化学式(2−1)で表される化合物であり、
    前記一般式(10)で表される化合物は、化学式(10−1)、(10−2)又は(10−3)で表される化合物である、請求項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006642728
    Figure 0006642728
    Figure 0006642728
    Figure 0006642728
    Figure 0006642728
  5. 前記正孔輸送剤の質量に対する2種以上の前記電子輸送剤の合計質量の比率は、1.00より大きく1.20以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  7. 請求項1に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する、画像形成装置。
  8. 前記転写部によって前記電子写真感光体から前記被転写体に前記トナー像が転写された前記電子写真感光体の前記表面の領域は、除電されることなく前記帯電部によって再び正極性に帯電される、請求項に記載の画像形成装置。
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