JP2007316099A - 積層型電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層型電子写真感光体において、その電荷発生層で発生した電子を効率的に電荷発生層外へと輸送することによって、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリの発生を効果的に抑制する。
【解決手段】基体上に、直接または中間層を介して、少なくとも電荷発生剤と、結着樹脂と、を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送剤と、結着樹脂と、を含有する電荷輸送層と、からなる積層型の感光層を備えた積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置であって、電荷発生層が、下記一般式(1)で表される電子輸送剤を含有する。
(一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜12の置換または非置換のアルキル基等である。)
【選択図】図2
【解決手段】基体上に、直接または中間層を介して、少なくとも電荷発生剤と、結着樹脂と、を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送剤と、結着樹脂と、を含有する電荷輸送層と、からなる積層型の感光層を備えた積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置であって、電荷発生層が、下記一般式(1)で表される電子輸送剤を含有する。
(一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜12の置換または非置換のアルキル基等である。)
【選択図】図2
Description
本発明は、積層型電子写真感光体及び画像形成装置に関する。特に、電荷発生層に対して特定の構造を有する電子輸送剤を含有させることにより、連続使用した場合であっても露光メモリを抑制できる積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等の電子写真感光体として、基体上に、電荷発生剤及び結着樹脂を含有する電荷発生層と、電荷輸送剤及び結着樹脂を含有する電荷輸送層と、を備えた積層型電子写真感光体が知られている。かかる積層型電子写真感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、電荷発生剤や電荷輸送剤等の感光性材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
しかしながら、積層型電子写真感光体は、連続使用した場合に露光メモリが発生しやすいという問題が見られた。かかる露光メモリの原因としては、電荷発生層中において発生する残留電荷が影響していると考えられている。
しかしながら、積層型電子写真感光体は、連続使用した場合に露光メモリが発生しやすいという問題が見られた。かかる露光メモリの原因としては、電荷発生層中において発生する残留電荷が影響していると考えられている。
そこで、このような問題を解決するために、電荷発生層に対してジフェノキノン誘導体や、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物等の電子輸送剤を含有させることによって、電荷発生層中の電子を速やかに輸送し、電荷発生層中における残留電荷の発生を抑制した積層型電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献1〜4)。
特開平5−113683号(特許請求の範囲)
特開平7−104495号(特許請求の範囲)
特開2005−208617号(特許請求の範囲)
特開2005−208618号(特許請求の範囲)
しかしながら、近年においては、例えば、オキソチタニルフタロシアニンのような高感度な電荷発生剤が使用されるようになり、露光に対する電荷発生量が、従来と比較して著しく向上したため、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制することがより困難となる問題が見られた。
また、近年、写真等のカラー画像に対する需要が増加しているが、かかるカラー画像は、ハーフトーン画像の重ね合わせである場合が多いため、露光メモリの影響が画像に顕著に現れやすくなるという問題が見られた。
そして、このような、状況下において、特許文献1〜4の積層型電子写真感光体では、もはや十分に露光メモリを抑制することができないという問題が見られた。
また、近年、写真等のカラー画像に対する需要が増加しているが、かかるカラー画像は、ハーフトーン画像の重ね合わせである場合が多いため、露光メモリの影響が画像に顕著に現れやすくなるという問題が見られた。
そして、このような、状況下において、特許文献1〜4の積層型電子写真感光体では、もはや十分に露光メモリを抑制することができないという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、積層型電子写真感光体の電荷発生層において、特定の構造を有する電子輸送剤を含有させることによって、連続使用した場合であっても露光メモリを効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、積層型電子写真感光体において、その電荷発生層で発生した電子を効率的に基体または電荷輸送層等の電荷発生層外へと輸送することによって、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリの発生を効果的に抑制することを目的とする。
すなわち、本発明は、積層型電子写真感光体において、その電荷発生層で発生した電子を効率的に基体または電荷輸送層等の電荷発生層外へと輸送することによって、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリの発生を効果的に抑制することを目的とする。
本発明によれば、基体上に、直接または中間層を介して、少なくとも電荷発生剤と、結着樹脂と、を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送剤と、結着樹脂と、を含有する電荷輸送層と、からなる積層型の感光層を備えた積層型電子写真感光体であって、電荷発生層が、下記一般式(1)で表される電子輸送剤を含有することを特徴とする積層型電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜12の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数3〜12の置換または非置換のシクロアルキル基、あるいは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基である。)
すなわち、積層型電子写真感光体の電荷発生層に対して、一般式(1)で表される電子輸送剤としてのジナフトキノン化合物を含有させることによって、露光により電荷発生剤から発生した電子を、効率的に電荷発生層外へと輸送することができる。したがって、連続使用した場合であっても、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)で表される電子輸送剤において、電界強度5×105V/cmとした場合の電子移動度を5×10-10〜5×10-7cm2/V/secの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、露光により電荷発生剤から発生した電子をより効率的に電荷発生層外へと輸送することができる。
このように構成することにより、露光により電荷発生剤から発生した電子をより効率的に電荷発生層外へと輸送することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)で表される電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、露光により電荷発生剤から発生した電子を、さらに効率的に電荷発生層外へと輸送することができる。
このように構成することにより、露光により電荷発生剤から発生した電子を、さらに効率的に電荷発生層外へと輸送することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、電荷輸送層における結着樹脂が、下記一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含むとともに、当該ポリカーボネート樹脂における無機性度を有機性度で割った値(I/O値)を0.37以上の値とすることが好ましい。
(一般式(2)中、複数のRa及びRbは、それぞれ独立した水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基であり、R5及びR6はそれぞれ異なった置換基であり、水素原子もしくは炭素数1〜2のアルキル基であり、Wは、単結合または−O−、−CO−であり、繰り返し数k〜lは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、繰り返し数m及びnは、0.05<n/(n+m)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
このように構成することにより、電荷輸送剤の分散性や安定性を向上させることができる。また、電子写真感光体における耐汚染性及び耐磨耗性を向上させることができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、電荷輸送層における結着樹脂が、下記一般式(3)及び(4)で表されるポリカーボネート樹脂、あるいはいずれか一方で表されるポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
(一般式(3)中、複数の置換基Rcは、水素原子、炭素数1〜4の置換又は非置換のアルキル基、あるいは炭素数6〜12の置換又は非置換のアリール基であり、繰り返し数oは、0〜4の整数である。)
(一般式(4)中、複数の置換基Rdは、水素原子、炭素数1〜4の置換又は非置換のアルキル基、あるいは炭素数6〜12の置換又は非置換のアリール基であり、繰り返し数pは、0〜4の整数である。)
このように構成することにより、電荷輸送剤の分散性や安定性をより向上させることができる。また、電子写真感光体における耐汚染性及び耐磨耗性をさらに向上させることができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物を含有することが好ましい。
このように構成することにより、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、電荷輸送層が、添加剤として下記一般式(5)で表される化合物を含有することが好ましい。
(一般式(5)中、R7〜R16はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数3〜12のシクロアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基を示す。また、Rは、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキレン基、あるいは窒素原子を含む有機基であり、nは0〜3の整数を示す。)
このように構成することにより、電子写真感光体に対して汚染成分が付着した場合であっても、一般式(5)で表される化合物の作用によって、クラックの発生を効果的に防止することができる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該積層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段をそれぞれ配置し、かつ、除電手段を有さない除電レスタイプであることを特徴とする画像形成装置である。
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、電荷発生層に対して特定の構造を有する電子輸送剤が含有された積層型電子写真感光体を備えるため、連続使用した場合であっても露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
したがって、除電手段を有さない除電レスタイプを採用して構成を簡素化しつつも、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、電荷発生層に対して特定の構造を有する電子輸送剤が含有された積層型電子写真感光体を備えるため、連続使用した場合であっても露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
したがって、除電手段を有さない除電レスタイプを採用して構成を簡素化しつつも、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の画像形成装置を構成するにあたり、帯電手段が、帯電ローラであることが好ましい。
このように構成することにより、非接触帯電方式を採用した場合と比較して、全体構成が簡易であるとともに、オゾン等の有害物質の発生もなく、環境特性に優れた画像形成装置を得ることができる。
このように構成することにより、非接触帯電方式を採用した場合と比較して、全体構成が簡易であるとともに、オゾン等の有害物質の発生もなく、環境特性に優れた画像形成装置を得ることができる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、基体上に、直接または中間層を介して、少なくとも電荷発生層と、結着樹脂と、を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送剤と、結着樹脂と、を含有する電荷輸送層と、からなる積層型の感光層を備えた積層型電子写真感光体であって、電荷発生層が、一般式(1)で表される電子輸送剤を含有することを特徴とする積層型電子写真感光体である。
以下、本発明の第1の実施形態である積層型電子写真感光体について具体的に説明する。
本発明の第1の実施形態は、基体上に、直接または中間層を介して、少なくとも電荷発生層と、結着樹脂と、を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送剤と、結着樹脂と、を含有する電荷輸送層と、からなる積層型の感光層を備えた積層型電子写真感光体であって、電荷発生層が、一般式(1)で表される電子輸送剤を含有することを特徴とする積層型電子写真感光体である。
以下、本発明の第1の実施形態である積層型電子写真感光体について具体的に説明する。
1.基本的構成
図1(a)に示すように、本発明における積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤と特定の構造を有する電子輸送剤とを含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤等と、結着樹脂を含む電荷輸送層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図1に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図1に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
図1(a)に示すように、本発明における積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤と特定の構造を有する電子輸送剤とを含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤等と、結着樹脂を含む電荷輸送層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図1に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図1に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
また、この積層型感光体は、上述の電荷発生層及び電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、図1(a)に示すように、基体12上に電荷発生層24を形成し、その上に電荷輸送層22を形成した場合において、電荷輸送層22における電荷輸送剤として、アミン化合物誘導体やスチルベン誘導体の正孔輸送剤を使用した場合には、電子写真感光体は負帯電型となる。
2.基体
積層型感光層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
積層型感光層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
3.中間層
また、上述した基体と後述する電荷発生層との間に、中間層を介させることも好ましい。
この理由は、基体側の電荷が容易に感光層へ注入されることを防ぐとともに、感光層を基体上に強固に結着させ、基体表面における欠陥を被覆し、平滑化することができるためである。
また、上述した基体と後述する電荷発生層との間に、中間層を介させることも好ましい。
この理由は、基体側の電荷が容易に感光層へ注入されることを防ぐとともに、感光層を基体上に強固に結着させ、基体表面における欠陥を被覆し、平滑化することができるためである。
(1)基本的構成
図1(c)に示すように、かかる態様における積層型電子写真感光体20´´は、まず、基体上に中間層25を形成する。そして、中間層25の上に、蒸着または塗布等の手段によって電荷発生剤と特定の構造を有する電子輸送剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24の上に、電荷輸送剤と、結着樹脂を含む電荷輸送層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
図1(c)に示すように、かかる態様における積層型電子写真感光体20´´は、まず、基体上に中間層25を形成する。そして、中間層25の上に、蒸着または塗布等の手段によって電荷発生剤と特定の構造を有する電子輸送剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24の上に、電荷輸送剤と、結着樹脂を含む電荷輸送層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
(2)結着樹脂
また、結着樹脂として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂を用いることが好ましい。
また、結着樹脂として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂を用いることが好ましい。
(3)添加剤
また、製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止したり、分散性向上等を図ったりする目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することも好ましい。
特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が好ましい添加剤である。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で10重量%以下の値、0.01〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止したり、分散性向上等を図ったりする目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することも好ましい。
特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が好ましい添加剤である。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で10重量%以下の値、0.01〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)厚さ
また、中間層は膜厚を厚くすることによって、基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する傾向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する傾向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、中間層は膜厚を厚くすることによって、基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する傾向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する傾向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
4.電荷発生層
(1)電荷発生剤
(1)−1 種類
本発明における電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
(1)電荷発生剤
(1)−1 種類
本発明における電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
より具体的には、下記式(6)〜(9)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
この理由は、光源として半導体レーザを備えたレーザビームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、600〜800nm以上の波長領域に感度を有する電子写真感光体が必要となるためである。
その一方で、ハロゲンランプ等の白色の光源を備えた静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置に使用する場合には、可視領域に感度を有する電子写真感光体が必要となるため、例えばペリレン系顔料やビスアゾ顔料等を好適に用いることができる。
また、下記式(7)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶を電荷発生剤として用いる場合は、かかる結晶が、特定の光学特性及び熱特性を有することが好ましい。
すなわち、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することが好ましい。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、有機溶媒中に、例えば、7日以上の長期にわたって浸漬した場合であっても、α型結晶及びβ型結晶への結晶転移を有効に抑制することができるためである。したがって、電荷発生能に優れるとともに、貯蔵安定性に優れた電荷発生層用塗布液を得ることができ、それを用いて電気特性や画像特性等に優れた電子写真感光体を安定的に製造することができるためである。
なお、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角の具体的な測定方法、及び、示差走査熱量分析の具体的な方法については、後述する実施例1において詳述する。
この理由は、光源として半導体レーザを備えたレーザビームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、600〜800nm以上の波長領域に感度を有する電子写真感光体が必要となるためである。
その一方で、ハロゲンランプ等の白色の光源を備えた静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置に使用する場合には、可視領域に感度を有する電子写真感光体が必要となるため、例えばペリレン系顔料やビスアゾ顔料等を好適に用いることができる。
また、下記式(7)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶を電荷発生剤として用いる場合は、かかる結晶が、特定の光学特性及び熱特性を有することが好ましい。
すなわち、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することが好ましい。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、有機溶媒中に、例えば、7日以上の長期にわたって浸漬した場合であっても、α型結晶及びβ型結晶への結晶転移を有効に抑制することができるためである。したがって、電荷発生能に優れるとともに、貯蔵安定性に優れた電荷発生層用塗布液を得ることができ、それを用いて電気特性や画像特性等に優れた電子写真感光体を安定的に製造することができるためである。
なお、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角の具体的な測定方法、及び、示差走査熱量分析の具体的な方法については、後述する実施例1において詳述する。
(1)−2 含有量
また、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して5重量部未満の値となると、電荷発生量が不十分となって、鮮明な静電潜像を形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して1000重量部を超えた値となると、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の含有量を30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して5重量部未満の値となると、電荷発生量が不十分となって、鮮明な静電潜像を形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して1000重量部を超えた値となると、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の含有量を30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)電子輸送剤
(2)−1 種類
本発明としての積層型電子写真感光体の電荷発生層は、一般式(1)で表される電子輸送剤としてのジナフトキノン化合物を含有することを特徴とする。
この理由は、積層型電子写真感光体の電荷発生層に対して、一般式(1)で表される電子輸送剤を含有させることによって、露光により電荷発生剤から発生した電子を、効率的に電荷発生層外へと輸送することができるためである。したがって、連続使用した場合であっても、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリの発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、かかる特定の構造を有する電子輸送剤であれば、次項において記載するように、所定の範囲内の電子移動度を有するため、電荷発生層における電子を効率的に電荷発生層外へと輸送することができるためである。
また、かかる特定の構造を有する電子輸送剤であれば、従来から電子輸送剤として用いられているジフェノキノン系化合物等と比較して、その分子量が大きいため、結着樹脂との相溶性にも優れることから、電荷発生層において均一に分散して、残留電荷の除去をさらに効率的に行うことができるためである。
(2)−1 種類
本発明としての積層型電子写真感光体の電荷発生層は、一般式(1)で表される電子輸送剤としてのジナフトキノン化合物を含有することを特徴とする。
この理由は、積層型電子写真感光体の電荷発生層に対して、一般式(1)で表される電子輸送剤を含有させることによって、露光により電荷発生剤から発生した電子を、効率的に電荷発生層外へと輸送することができるためである。したがって、連続使用した場合であっても、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリの発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、かかる特定の構造を有する電子輸送剤であれば、次項において記載するように、所定の範囲内の電子移動度を有するため、電荷発生層における電子を効率的に電荷発生層外へと輸送することができるためである。
また、かかる特定の構造を有する電子輸送剤であれば、従来から電子輸送剤として用いられているジフェノキノン系化合物等と比較して、その分子量が大きいため、結着樹脂との相溶性にも優れることから、電荷発生層において均一に分散して、残留電荷の除去をさらに効率的に行うことができるためである。
また、一般式(1)で表される電子輸送剤の具体例としては、下記式(10)〜(13)で表される化合物(ETM−1〜4)を挙げることができる。
(2)−2 電子移動度
また、一般式(1)で表される電子輸送剤において、電界強度5×105V/cmとした場合の電子移動度を5×10-10〜5×10-7cm2/V/secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、露光により電荷発生層から発生した電子をより効率的に電荷発生層外へと輸送することができるためである。
すなわち、かかる電子移動度が5×10-10cm2/V/sec未満の値となると、連続して画像形成を実施した際に、電荷発生層において残留する電子を、効率的に基体等へと除去することが困難となる場合があるためである。一方、かかる電子移動度が5×10-7cm2/V/secを超えた値となると、基体側から電荷発生層への電子の注入が起こりやすくなる場合があるためである。
したがって、かかる電子移動度を8×10-10〜1×10-7cm2/V/secの範囲内の値とすることがより好ましく、1×10-9〜5×10-8cm2/V/secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる電子移動度の測定方法としては、電子移動度の測定上のばらつきを小さくするために、該当する電子輸送材料を平均分子量50,000のポリカーボネート樹脂中に、40重量%の濃度になるように添加したものを測定試料用の塗布液とする。次いで、得られた塗布液を基材上に塗布し、80℃で30分間熱処理を行って、膜厚7μmの測定試料を作成する。このようにして得られた測定試料は、常温下で、通常のTOF(Time of Flight)法を用いて電子移動度を測定する。なお、測定の際の電界強度を5×105V/cmの一定値とする。
また、一般式(1)で表される電子輸送剤において、電界強度5×105V/cmとした場合の電子移動度を5×10-10〜5×10-7cm2/V/secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、露光により電荷発生層から発生した電子をより効率的に電荷発生層外へと輸送することができるためである。
すなわち、かかる電子移動度が5×10-10cm2/V/sec未満の値となると、連続して画像形成を実施した際に、電荷発生層において残留する電子を、効率的に基体等へと除去することが困難となる場合があるためである。一方、かかる電子移動度が5×10-7cm2/V/secを超えた値となると、基体側から電荷発生層への電子の注入が起こりやすくなる場合があるためである。
したがって、かかる電子移動度を8×10-10〜1×10-7cm2/V/secの範囲内の値とすることがより好ましく、1×10-9〜5×10-8cm2/V/secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる電子移動度の測定方法としては、電子移動度の測定上のばらつきを小さくするために、該当する電子輸送材料を平均分子量50,000のポリカーボネート樹脂中に、40重量%の濃度になるように添加したものを測定試料用の塗布液とする。次いで、得られた塗布液を基材上に塗布し、80℃で30分間熱処理を行って、膜厚7μmの測定試料を作成する。このようにして得られた測定試料は、常温下で、通常のTOF(Time of Flight)法を用いて電子移動度を測定する。なお、測定の際の電界強度を5×105V/cmの一定値とする。
(2)−3 含有量
また、特定の構造を有する電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定の構造を有する電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることによって、電荷発生層において発生した電子をさらに効率的に電荷発生層外に輸送することができるためである。
すなわち、かかる含有量が電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1重量部未満の値となると、電荷発生層において発生した電子を十分に電荷発生層外に輸送することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有量が電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して90重量部を超えた値となると、かかる電子輸送剤が電荷発生層において結晶化しやすくなったり、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、特定の電子輸送剤の含有量を10〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、特定の構造を有する電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定の構造を有する電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることによって、電荷発生層において発生した電子をさらに効率的に電荷発生層外に輸送することができるためである。
すなわち、かかる含有量が電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1重量部未満の値となると、電荷発生層において発生した電子を十分に電荷発生層外に輸送することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有量が電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して90重量部を超えた値となると、かかる電子輸送剤が電荷発生層において結晶化しやすくなったり、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、特定の電子輸送剤の含有量を10〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、電荷発生層における特定の構造を有する電子輸送剤の含有量と、かかる電荷発生層を備えた積層型電子写真感光体における露光メモリと、の関係を、図2を用いて説明する。
図2においては、横軸に電荷発生層の結着樹脂100重量部に対する特定の構造を有する電子輸送剤の含有量(重量部)を採り、縦軸に電子写真感光体における露光メモリ(V)(10,000枚耐久印刷後)を採った特性曲線を示している。
なお、特定の構造を有する電子輸送剤としては、一例として、式(10)で表される電子輸送剤(ETM−1)を用いている。
かかる特性曲線から理解されるように、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値が増加するのにともない、露光メモリ(V)の値は臨界的に変化し、下に凸の曲線を描いている。
より具体的には、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値を1重量部へと増加させると、それにともなって、露光メモリ(V)の値が35から約30Vへと、急激に減少していることがわかる。そして、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値が1〜90重量部の範囲内の値である場合には、露光メモリ(V)が、30V以下の低い値を安定して維持していることがわかる。一方、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値が90重量部を超えた範囲では、かかる含有量の増加にともなって、特定の電子輸送剤の結晶化等による影響が表れるため、露光メモリの値が緩やかに増加していることがわかる。
したがって、特定の電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることによって、露光メモリを30V以下の低い値に抑制することができることがわかる。よって、特定の電子輸送剤の含有量をかかる範囲内の値とすることで、メモリ画像の発生を抑制した高品質な画像形成が可能となる。
なお、電子写真感光体における露光メモリの測定方法は、実施例において詳述する。
図2においては、横軸に電荷発生層の結着樹脂100重量部に対する特定の構造を有する電子輸送剤の含有量(重量部)を採り、縦軸に電子写真感光体における露光メモリ(V)(10,000枚耐久印刷後)を採った特性曲線を示している。
なお、特定の構造を有する電子輸送剤としては、一例として、式(10)で表される電子輸送剤(ETM−1)を用いている。
かかる特性曲線から理解されるように、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値が増加するのにともない、露光メモリ(V)の値は臨界的に変化し、下に凸の曲線を描いている。
より具体的には、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値を1重量部へと増加させると、それにともなって、露光メモリ(V)の値が35から約30Vへと、急激に減少していることがわかる。そして、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値が1〜90重量部の範囲内の値である場合には、露光メモリ(V)が、30V以下の低い値を安定して維持していることがわかる。一方、特定の電子輸送剤の含有量(重量部)の値が90重量部を超えた範囲では、かかる含有量の増加にともなって、特定の電子輸送剤の結晶化等による影響が表れるため、露光メモリの値が緩やかに増加していることがわかる。
したがって、特定の電子輸送剤の含有量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることによって、露光メモリを30V以下の低い値に抑制することができることがわかる。よって、特定の電子輸送剤の含有量をかかる範囲内の値とすることで、メモリ画像の発生を抑制した高品質な画像形成が可能となる。
なお、電子写真感光体における露光メモリの測定方法は、実施例において詳述する。
(3)結着樹脂
また、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、N−ビニルカルバゾール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、N−ビニルカルバゾール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(4)溶媒
また、電荷発生層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
また、電荷発生層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
(5)厚さ
また、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることによって、露光による電荷発生量を向上させることができるためである。一方で、電荷発生層が、特定の構造を有する電子輸送剤を含有していることから、残留電荷の発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、電荷発生層の厚さが0.1μm未満の値となると、十分な電荷発生能を有する電荷発生層を形成することが困難となる場合がある。一方、電荷発生層の厚さが5μmを超えた値となると、残留電荷の発生を抑制することが困難となったり、均一な電荷発生層の形成が困難となる場合がある。
したがって、電荷発生層の厚さを、0.15〜4μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることによって、露光による電荷発生量を向上させることができるためである。一方で、電荷発生層が、特定の構造を有する電子輸送剤を含有していることから、残留電荷の発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、電荷発生層の厚さが0.1μm未満の値となると、十分な電荷発生能を有する電荷発生層を形成することが困難となる場合がある。一方、電荷発生層の厚さが5μmを超えた値となると、残留電荷の発生を抑制することが困難となったり、均一な電荷発生層の形成が困難となる場合がある。
したがって、電荷発生層の厚さを、0.15〜4μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.電荷輸送層
(1)電荷輸送剤
電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤及び電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;及び上述した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
(1)電荷輸送剤
電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤及び電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;及び上述した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
(2)結着樹脂
(2)−1 種類
また、電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
これらの結着樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。中でも、ポリカーボネート樹脂等であれば、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や電荷輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
(2)−1 種類
また、電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
これらの結着樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。中でも、ポリカーボネート樹脂等であれば、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や電荷輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
また、上述したポリカーボネート樹脂として、特に、一般式(2)で表されるポリカーボネ−ト樹脂を用いるとともに、当該ポリカーボネート樹脂における無機性度を有機性度で割った値(I/O値)を0.37以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂を結着樹脂として用いることによって、電荷輸送剤の分散性や安定性を向上させることができるためである。また、電子写真感光体における耐汚染性及び耐摩耗性を向上させることができるためである。
したがって、長期感の繰り返し使用時や、指油の付着によっても、クラックの発生を抑制できるばかりか、感光層における電荷輸送剤の結晶化を抑制し、電荷輸送をより効率的にすることができる。
ただし、かかるポリカーボネート樹脂におけるI/O値が過度に大きくなると、電荷輸送剤との混合性が低下する場合がある。
したがって、かかるポリカーボネート樹脂のI/O値を0.375〜1.7の範囲内の値とする事がより好ましく、0.38〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂を結着樹脂として用いることによって、電荷輸送剤の分散性や安定性を向上させることができるためである。また、電子写真感光体における耐汚染性及び耐摩耗性を向上させることができるためである。
したがって、長期感の繰り返し使用時や、指油の付着によっても、クラックの発生を抑制できるばかりか、感光層における電荷輸送剤の結晶化を抑制し、電荷輸送をより効率的にすることができる。
ただし、かかるポリカーボネート樹脂におけるI/O値が過度に大きくなると、電荷輸送剤との混合性が低下する場合がある。
したがって、かかるポリカーボネート樹脂のI/O値を0.375〜1.7の範囲内の値とする事がより好ましく、0.38〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、I/O値の概念を詳細に説明するが、例えば、KUMAMOTO PHARMACEUTICAL BULLETIN,第1号、第1〜16項(1954年);化学の領域、第11巻、第10号、719〜725項(1957年);フレグランスジャーナル、第34号、第97〜111項(1979年);フレグランスジャーナル、第50号、第79〜82項(1981年);などの文献に詳細に説明されている。
すなわち、炭素(C)1個を有機性20とし、それを基準として、各極性基の無機性値及び有機性値を表1の如く定め、各極性基における無極性値の和(I値)と、有機性値の和(O値)を求めて、それぞれの比をI/O値としたものである。
なお、表1において、Rは、主にアルキル基を示し、φは、主にアルキル基もしくはアリール基を示している。かかる表から容易に理解されるように、I/O値が0に近いほど非極性(疎水性、有機性の大きな)の有機化合物であることを示し、I/O値が大きいほど極性(親水性、無機性の大きな)の有機化合物であることを示すと言える。
すなわち、炭素(C)1個を有機性20とし、それを基準として、各極性基の無機性値及び有機性値を表1の如く定め、各極性基における無極性値の和(I値)と、有機性値の和(O値)を求めて、それぞれの比をI/O値としたものである。
なお、表1において、Rは、主にアルキル基を示し、φは、主にアルキル基もしくはアリール基を示している。かかる表から容易に理解されるように、I/O値が0に近いほど非極性(疎水性、有機性の大きな)の有機化合物であることを示し、I/O値が大きいほど極性(親水性、無機性の大きな)の有機化合物であることを示すと言える。
また、このようなI/O値は、化合物の性質を、共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基とに分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけた指標ということができる。即ち、無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。
具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて、各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値である。例えば、表1に示されている通り、−COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。従って、ある種の有機化合物の無機性値は、該有機化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて、各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値である。例えば、表1に示されている通り、−COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。従って、ある種の有機化合物の無機性値は、該有機化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
また、その他のポリカーボネ−ト樹脂として、一般式(3)及び(4)で表されるポリカーボネート樹脂、あるいはいずれか一方で表されるポリカーボネート樹脂を用いることも好ましい。
この理由は、電荷輸送剤の分散性や安定性を、より向上させることができるからである。また、電子写真感光体における耐汚染性及び耐摩耗性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる構造を有するポリカーボネート樹脂であれば、電子写真感光体における電気特性と、耐摩耗性と、耐汚染性等との間のバランスを好適な状態に調整することができるためである。
なお、一般式(3)〜(4)で表されるポリカーボネート樹脂におけるI/O値を0.37未満の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂におけるI/O値の値を0.37未満の値とすることによって、上述したI/O値の値が0.37以上である一般式(1)で表されるポリカーボネート樹脂とともに用いた場合における結着樹脂の特性を、容易に調整することができるためである。
この理由は、電荷輸送剤の分散性や安定性を、より向上させることができるからである。また、電子写真感光体における耐汚染性及び耐摩耗性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる構造を有するポリカーボネート樹脂であれば、電子写真感光体における電気特性と、耐摩耗性と、耐汚染性等との間のバランスを好適な状態に調整することができるためである。
なお、一般式(3)〜(4)で表されるポリカーボネート樹脂におけるI/O値を0.37未満の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂におけるI/O値の値を0.37未満の値とすることによって、上述したI/O値の値が0.37以上である一般式(1)で表されるポリカーボネート樹脂とともに用いた場合における結着樹脂の特性を、容易に調整することができるためである。
(2)−2 具体例
また、上述した一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記式(14)〜(15)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1〜2)が挙げられる。
また、上述した一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記式(14)〜(15)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1〜2)が挙げられる。
また、上述した一般式(3)〜(4)で表されるポリカーボネート樹脂の具体例としては、それぞれ下記式(16)〜(17)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−3〜4)が挙げられる。
(3)溶媒
また、電荷輸送層は、電荷輸送剤及び結着樹脂を、適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布した後、乾燥することによって形成することができる。
このように電荷輸送層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
また、電荷輸送層は、電荷輸送剤及び結着樹脂を、適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布した後、乾燥することによって形成することができる。
このように電荷輸送層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
(4)酸化防止剤
(4)−1 種類
また、電荷輸送層が、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物を含有することが好ましい。
この理由は、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができるためである。
このような働きは、ヒンダードフェノール系化合物が、電荷輸送層内に蓄積した残留電荷を速やかに基底状態に戻しているためであると考えられる。
また、かかる酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系化合物を、電荷発生層に対して含有させることも好ましい。
この理由は、電荷輸送層における場合と同様の作用によって、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができるためである。
(4)−1 種類
また、電荷輸送層が、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物を含有することが好ましい。
この理由は、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができるためである。
このような働きは、ヒンダードフェノール系化合物が、電荷輸送層内に蓄積した残留電荷を速やかに基底状態に戻しているためであると考えられる。
また、かかる酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系化合物を、電荷発生層に対して含有させることも好ましい。
この理由は、電荷輸送層における場合と同様の作用によって、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができるためである。
また、酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、下記式(18)で表される化合物(P−1〜16)が挙げられる。
(4)−2 添加量
また、かかる酸化防止剤の添加量は、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して1〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる添加量が電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して1重量部未満の値となると、露光メモリを抑制する効果が十分に発揮されない場合があるためである。一方、かかる添加量が、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して40重量部を超えた値となると、電荷輸送層中に均一に分散させることが困難となる場合があるためである。
したがって、かかる酸化防止剤の添加量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して3〜35重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜30重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる酸化防止剤の添加量は、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して1〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる添加量が電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して1重量部未満の値となると、露光メモリを抑制する効果が十分に発揮されない場合があるためである。一方、かかる添加量が、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して40重量部を超えた値となると、電荷輸送層中に均一に分散させることが困難となる場合があるためである。
したがって、かかる酸化防止剤の添加量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して3〜35重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜30重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)添加剤
また、電荷輸送層が、添加剤として一般式(5)で表される化合物を含有することが好ましい。
この理由は、添加剤としての一般式(5)で表される化合物の作用等によって、電子写真感光体における汚染成分付着部におけるクラックの発生を抑制できるためである。
すなわち、電子写真感光体表面に汚染成分が付着し、モノマー成分が溶出することによって、感光層内部に空孔が形成された場合、この空孔に対して、添加剤としての一般式(5)で表される化合物が作用して局所的な応力を開放し、クラックの発生を抑制することができるためである。
したがって、比較的溶解度が高い電荷輸送剤を用いた場合であっても、感光層におけるクラックの発生を抑制し、安定的な画像特性を長期間に渡って維持することができる。
また、電荷輸送層が、添加剤として一般式(5)で表される化合物を含有することが好ましい。
この理由は、添加剤としての一般式(5)で表される化合物の作用等によって、電子写真感光体における汚染成分付着部におけるクラックの発生を抑制できるためである。
すなわち、電子写真感光体表面に汚染成分が付着し、モノマー成分が溶出することによって、感光層内部に空孔が形成された場合、この空孔に対して、添加剤としての一般式(5)で表される化合物が作用して局所的な応力を開放し、クラックの発生を抑制することができるためである。
したがって、比較的溶解度が高い電荷輸送剤を用いた場合であっても、感光層におけるクラックの発生を抑制し、安定的な画像特性を長期間に渡って維持することができる。
ここで、電子写真感光体表面に汚染物質が付着した際のクラック発生機構について詳細に説明する。
まず、電子写真感光体表面に、汚染物質が付着すると、感光層中のモノマー成分、特に正孔輸送剤や電子輸送剤からなる電荷輸送剤が溶出し始める。
次いで、この電荷輸送剤が溶出した跡に、感光層の結着樹脂内に空孔が形成され、その空孔近傍に局所的な応力が生じてクラックが発生すると考えられる。つまり、クラックの発生とは、モノマー成分の溶出という現象と、空孔近傍の応力発生という現象と、の2つの現象の組合せと捉えることができる。
このようにクラック発生機構を捉えた場合、第二段階としての空孔近傍の応力発生に対して所定の対策を講じることで、効果的に耐クラック性を得ることができる。
すなわち、特定の添加剤を添加することにより、発生した応力を緩和してクラックの発生を抑制することができる。
さらに、添加剤の種類を限定するとともに、分子量と添加量とについても、所定範囲内に制御することにより、より効果的に、空孔近傍の応力を緩和することができる。
まず、電子写真感光体表面に、汚染物質が付着すると、感光層中のモノマー成分、特に正孔輸送剤や電子輸送剤からなる電荷輸送剤が溶出し始める。
次いで、この電荷輸送剤が溶出した跡に、感光層の結着樹脂内に空孔が形成され、その空孔近傍に局所的な応力が生じてクラックが発生すると考えられる。つまり、クラックの発生とは、モノマー成分の溶出という現象と、空孔近傍の応力発生という現象と、の2つの現象の組合せと捉えることができる。
このようにクラック発生機構を捉えた場合、第二段階としての空孔近傍の応力発生に対して所定の対策を講じることで、効果的に耐クラック性を得ることができる。
すなわち、特定の添加剤を添加することにより、発生した応力を緩和してクラックの発生を抑制することができる。
さらに、添加剤の種類を限定するとともに、分子量と添加量とについても、所定範囲内に制御することにより、より効果的に、空孔近傍の応力を緩和することができる。
また、一般式(5)で表される化合物の好適例としては、下記式(19)で表される化合物(BP−1〜20)が挙げられる。
(6)厚さ
また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、電荷輸送層の膜厚が5μm未満の値となると、均一に塗布することが困難となる場合があるためである。一方、電荷輸送層の膜厚が50μmを超えた値となると、機械的強度が低下する場合があるためである。したがって、10〜40μmの範囲内の値に設定することがより好ましい。
また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、電荷輸送層の膜厚が5μm未満の値となると、均一に塗布することが困難となる場合があるためである。一方、電荷輸送層の膜厚が50μmを超えた値となると、機械的強度が低下する場合があるためである。したがって、10〜40μmの範囲内の値に設定することがより好ましい。
6.製造方法
(1)基体の準備
干渉縞の発生防止のためには、エッチング、陽極酸化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて、支持基体の表面に粗面化処理を行うことが好ましい。
(1)基体の準備
干渉縞の発生防止のためには、エッチング、陽極酸化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて、支持基体の表面に粗面化処理を行うことが好ましい。
(2)中間層の形成
また、上述した基体と、後述する電荷発生層と、の間に、中間層を介することも好ましい。
この理由は、既に上述した通り、基体側の電荷が容易に感光層へ注入されるのを防ぐとともに、感光層を基体上に強固に結着させ、基体表面における欠陥を被覆し、平滑化することができるためである。
また、上述した基体と、後述する電荷発生層と、の間に、中間層を介することも好ましい。
この理由は、既に上述した通り、基体側の電荷が容易に感光層へ注入されるのを防ぐとともに、感光層を基体上に強固に結着させ、基体表面における欠陥を被覆し、平滑化することができるためである。
(2)−1 中間層用塗布液の準備
中間層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に酸化チタン等を添加して、分散処理を行い、塗布液を製造することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
中間層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に酸化チタン等を添加して、分散処理を行い、塗布液を製造することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
(2)−2 中間層用塗布液の塗布
また、中間層用塗布液の塗布方法については、特に制限されるものではないが、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
なお、中間層およびその上の感光層をより安定的に形成するためには、中間層用塗布液の塗布後、30〜200℃で、5分〜2時間、加熱乾燥処理を実施することが望ましい。
また、中間層用塗布液の塗布方法については、特に制限されるものではないが、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
なお、中間層およびその上の感光層をより安定的に形成するためには、中間層用塗布液の塗布後、30〜200℃で、5分〜2時間、加熱乾燥処理を実施することが望ましい。
(3)電荷発生層の形成
(3)−1 電荷発生層用塗布液の準備
また、電荷発生層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に電荷発生剤、及び特定の構造を有する電子輸送剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を製造する。
また、分散処理を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
(3)−1 電荷発生層用塗布液の準備
また、電荷発生層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に電荷発生剤、及び特定の構造を有する電子輸送剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を製造する。
また、分散処理を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
(3)−2 電荷発生層用塗布液の塗布
また、電荷発生層用塗布液の塗布方法については、特に制限されるものではないが、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。
また、電荷発生層用塗布液の塗布方法については、特に制限されるものではないが、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。
(4)電荷輸送層の形成
電荷輸送層の形成は、樹脂成分を溶解した溶液中に電荷輸送剤等を添加して、塗布液を製造することが好ましい。なお、分散処理、塗布方法、乾燥方法は、電荷発生層と重複するため省略する。
電荷輸送層の形成は、樹脂成分を溶解した溶液中に電荷輸送剤等を添加して、塗布液を製造することが好ましい。なお、分散処理、塗布方法、乾燥方法は、電荷発生層と重複するため省略する。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態において記載した積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該積層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段をそれぞれ配置し、かつ、除電手段を有さない除電レスタイプであることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態の説明と異なる点を中心に具体的に説明する。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態において記載した積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該積層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段をそれぞれ配置し、かつ、除電手段を有さない除電レスタイプであることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態の説明と異なる点を中心に具体的に説明する。
本発明における画像形成装置の基本構成及び動作を、図3を用いて説明する。
まず、画像形成装置100の積層型電子写真感光体111を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段112によって所定電位に帯電させる。なお、図3においては、帯電手段112としては、帯電ロールを用いている。
次いで、露光手段113により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、電子写真感光体111の表面を露光する。この露光により、電子写真感光体111の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段114により潜像現像が行われる。この現像手段114の内部にはトナーが収納されており、このトナーが電子写真感光体111表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙120は、所定の転写搬送経路に沿って、電子写真感光体下部まで搬送される。このとき、電子写真感光体111と転写手段115との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材120上にトナー像を転写することができる。
まず、画像形成装置100の積層型電子写真感光体111を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段112によって所定電位に帯電させる。なお、図3においては、帯電手段112としては、帯電ロールを用いている。
次いで、露光手段113により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、電子写真感光体111の表面を露光する。この露光により、電子写真感光体111の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段114により潜像現像が行われる。この現像手段114の内部にはトナーが収納されており、このトナーが電子写真感光体111表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙120は、所定の転写搬送経路に沿って、電子写真感光体下部まで搬送される。このとき、電子写真感光体111と転写手段115との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材120上にトナー像を転写することができる。
次いで、トナー像が転写された後の記録紙120は、分離手段(図示せず)によって電子写真感光体111表面から分離され、搬送ベルトによって定着器に搬送される。次いで、この定着器によって、加熱、加圧処理されて表面にトナー像が定着された後、排出ローラによって画像形成装置100の外部に排出される。
一方、トナー像転写後の電子写真感光体111はそのまま回転を続け、転写時に記録紙120に転写されなかった残留トナー(付着物)が電子写真感光体111の表面から、クリーニング装置117によって除去される。
そして、上述したように、電子写真感光体111は、所定の電荷発生層を備えている。したがって、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリを効果的に抑制することができる。したがって、除電手段を省略しても良質な画像を形成することができるとともに、画像形成装置を小型化及び簡素化することができる。
一方、トナー像転写後の電子写真感光体111はそのまま回転を続け、転写時に記録紙120に転写されなかった残留トナー(付着物)が電子写真感光体111の表面から、クリーニング装置117によって除去される。
そして、上述したように、電子写真感光体111は、所定の電荷発生層を備えている。したがって、電荷発生層における残留電荷の発生を抑制し、かかる残留電荷に起因する露光メモリを効果的に抑制することができる。したがって、除電手段を省略しても良質な画像を形成することができるとともに、画像形成装置を小型化及び簡素化することができる。
また、本発明の画像形成装置を構成するにあたり、帯電手段が帯電ローラであることが好ましい。
この理由は、非接触帯電方式を採用した場合に比べて全体構成が容易であるとともに、オゾン等の有害物質の発生もなく環境特性に優れた画像形成装置を得ることができるためである。
また、非接触帯電方式のように、帯電手段と電子写真感光体との間において空気を介さないため、温度及び湿度といった環境への依存性を低減することができるためである。
この理由は、非接触帯電方式を採用した場合に比べて全体構成が容易であるとともに、オゾン等の有害物質の発生もなく環境特性に優れた画像形成装置を得ることができるためである。
また、非接触帯電方式のように、帯電手段と電子写真感光体との間において空気を介さないため、温度及び湿度といった環境への依存性を低減することができるためである。
[実施例1]
1.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の作成
容器内に、アルミナ及びシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン(テイカ製、MT−02、数平均一次粒子径:10nm)250重量部と、アミランCM8000(東レ(株)製、四元共重合ポリアミド樹脂)を100重量部と、メタノール1000重量部と、ブタノール250重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
次いで、得られた中間層用塗布液を5ミクロンのフィルタにてろ過した後、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
1.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の作成
容器内に、アルミナ及びシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン(テイカ製、MT−02、数平均一次粒子径:10nm)250重量部と、アミランCM8000(東レ(株)製、四元共重合ポリアミド樹脂)を100重量部と、メタノール1000重量部と、ブタノール250重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
次いで、得られた中間層用塗布液を5ミクロンのフィルタにてろ過した後、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の作成
次いで、後述する手順で製造した式(7)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶200重量部と、式(10)で表される電子輸送剤(ETM−1)40重量部と、結着樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業、デンカブチラール6000EP)100重量部と、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル4000重量部と、テトラヒドロフラン4000重量部とを混合し、ビーズミルを用いて48時間分散させ、電荷発生層用塗布液を作成した。
得られた電荷発生層用塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過した後、中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃、5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、後述する手順で製造した式(7)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶200重量部と、式(10)で表される電子輸送剤(ETM−1)40重量部と、結着樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業、デンカブチラール6000EP)100重量部と、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル4000重量部と、テトラヒドロフラン4000重量部とを混合し、ビーズミルを用いて48時間分散させ、電荷発生層用塗布液を作成した。
得られた電荷発生層用塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過した後、中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃、5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(3)電荷輸送層の作成
次いで、正孔輸送剤として、下記式(20)で表される正孔輸送剤(HTM−1)70重量部と、添加剤として、式(19)中のBP−3で表されるメタターフェニル10重量部と、酸化防止剤として、式(18)中のP−14で表される酸化防止剤(IRGANOX1010)4重量部と、結着樹脂として、分子量20,500の式(16)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−3)70重量部と、式(14)で表される分子量50,000のポリカーボネート樹脂(Resin−1)30重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン300重量部と、トルエン300重量部と、を混合溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、120℃、30分間の条件で乾燥させた後、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体とした。
次いで、正孔輸送剤として、下記式(20)で表される正孔輸送剤(HTM−1)70重量部と、添加剤として、式(19)中のBP−3で表されるメタターフェニル10重量部と、酸化防止剤として、式(18)中のP−14で表される酸化防止剤(IRGANOX1010)4重量部と、結着樹脂として、分子量20,500の式(16)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−3)70重量部と、式(14)で表される分子量50,000のポリカーボネート樹脂(Resin−1)30重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン300重量部と、トルエン300重量部と、を混合溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、120℃、30分間の条件で乾燥させた後、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体とした。
なお、使用したチタニルフタロシアニン結晶は、以下の手順で合成した。
まず、アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル25gと、チタンテトラブトキシド28gと、尿素20gとキノリン300gとを加え、攪拌しつつ150℃まで昇温した。次に、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この反応温度を維持しつつさらに2時間、攪拌して反応させた。
反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体25gを得た。(顔料化前処理)
まず、アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル25gと、チタンテトラブトキシド28gと、尿素20gとキノリン300gとを加え、攪拌しつつ150℃まで昇温した。次に、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この反応温度を維持しつつさらに2時間、攪拌して反応させた。
反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体25gを得た。(顔料化前処理)
次いで、得られた青紫色の固体15gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、攪拌しつつ130℃に加熱して2時間、攪拌処理を行った。次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却した後、攪拌を停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。次いで、安定化された液をガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。(酸処理前工程)
次いで、上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。次に、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させた。次に、上述した液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。次いで、液をガラスフィルターによって濾別したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(7)で表される無置換のチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶(青色粉末)4.5gを得た。(酸処理工程)
なお、得られたチタニルフタロシアニンは、初期及び1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフラン中に7日間、浸漬しても、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角度2θ±0.2°=7.4°及び26.2°にピークが発生していないこと、及び示差走査熱量分析における400℃までの昇温過程において、吸着水の気化に伴なう90℃付近のピーク以外に、302℃において1つのピークを確認した。
なお、得られたチタニルフタロシアニンは、初期及び1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフラン中に7日間、浸漬しても、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角度2θ±0.2°=7.4°及び26.2°にピークが発生していないこと、及び示差走査熱量分析における400℃までの昇温過程において、吸着水の気化に伴なう90℃付近のピーク以外に、302℃において1つのピークを確認した。
なお、チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα特性X線回折スペクトルは、以下に示す測定方法により測定した。
まず、チタニルフタロシアニン結晶0.3gをテトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で24時間保管した後、X線回折装置(理学電気(株)製 RINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。
なお、測定条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
まず、チタニルフタロシアニン結晶0.3gをテトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で24時間保管した後、X線回折装置(理学電気(株)製 RINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。
なお、測定条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
また、チタニルフタロシアニン結晶のDSC(示差走査熱量分析)は、示差走査熱量計(理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D)を用いて行った。測定条件は下記の通りである。
サンプルパン:アルミニウム製
昇温速度:20℃/分
サンプルパン:アルミニウム製
昇温速度:20℃/分
2.評価
(1)感度の評価
また、得られた積層型電子写真感光体における感度の評価を行った。
すなわち、負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製MicroLine−22)におけるイメージングユニットから、現像手段を取り外し、そこに電位測定装置を装着して、電位測定用のイメージングユニットを作成した。かかる電位測定装置は、イメージングユニットの現像位置に対して、電位測定プローブを配置する構成とした。また、かかる電位測定プローブを、電子写真感光体の軸方向における中央に対して配置し、電位測定プローブと電子写真感光体表面との距離は、5mmとした。
次いで、常温常湿環境下(温度:23℃、相対湿度:50%RH)において、1%原稿にて10,000枚プリントした後の積層型電子写真感光体を、上述した電位測定用のイメージングユニットに装着し、負帯電させて、ベタ黒画像に相当する露光を行い、かかる露光部の電位を測定して感度(V)とした。得られた結果を表2に示す。なお、得られた帯電電位(V)及び感度(V)の測定値は負の値であったが、表2においては、その絶対値(正の値)を記載している。
(1)感度の評価
また、得られた積層型電子写真感光体における感度の評価を行った。
すなわち、負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製MicroLine−22)におけるイメージングユニットから、現像手段を取り外し、そこに電位測定装置を装着して、電位測定用のイメージングユニットを作成した。かかる電位測定装置は、イメージングユニットの現像位置に対して、電位測定プローブを配置する構成とした。また、かかる電位測定プローブを、電子写真感光体の軸方向における中央に対して配置し、電位測定プローブと電子写真感光体表面との距離は、5mmとした。
次いで、常温常湿環境下(温度:23℃、相対湿度:50%RH)において、1%原稿にて10,000枚プリントした後の積層型電子写真感光体を、上述した電位測定用のイメージングユニットに装着し、負帯電させて、ベタ黒画像に相当する露光を行い、かかる露光部の電位を測定して感度(V)とした。得られた結果を表2に示す。なお、得られた帯電電位(V)及び感度(V)の測定値は負の値であったが、表2においては、その絶対値(正の値)を記載している。
(2)露光メモリの評価
また、得られた積層型電子写真感光体における露光メモリの評価を行った。
すなわち、常温常湿環境下(温度:23℃、相対湿度:50%RH)において、1%原稿にて10,000枚プリントした後の積層型電子写真感光体を、上述した電位測定用イメージングユニットに装着し、1周目(95mm長)の電子写真感光体に対して、ベタ黒画像65mmに相当する露光を行い(露光部)、残りの30mmには露光を行わなかった(非露光部)。次いで、2周目の電子写真感光体全体に対しても、露光を行わなかった。次いで、1周目の露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0b(V)と、1周目の非露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0(V)と、を測定し、この電位差の絶対値│V0−V0b│(V)を計算して、露光メモリ(V)とした。得られた結果を表2に示す。
また、得られた積層型電子写真感光体における露光メモリの評価を行った。
すなわち、常温常湿環境下(温度:23℃、相対湿度:50%RH)において、1%原稿にて10,000枚プリントした後の積層型電子写真感光体を、上述した電位測定用イメージングユニットに装着し、1周目(95mm長)の電子写真感光体に対して、ベタ黒画像65mmに相当する露光を行い(露光部)、残りの30mmには露光を行わなかった(非露光部)。次いで、2周目の電子写真感光体全体に対しても、露光を行わなかった。次いで、1周目の露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0b(V)と、1周目の非露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0(V)と、を測定し、この電位差の絶対値│V0−V0b│(V)を計算して、露光メモリ(V)とした。得られた結果を表2に示す。
(3)露光メモリ画像の評価
また、得られた積層型電子写真感光体における露光メモリ画像の評価を行った、
すなわち、負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製MicroLine−22)のイメージングユニットに対して、得られた積層型電子写真感光体を装着し、常温常湿環境下(温度:23℃、湿度:50%RH)において、1%原稿にて10,000枚プリントした後、10mm角の黒四角パターンを、電子写真感光体1周分任意の数だけ印字した。次いで、全面グレー画像及び全面白紙画像をプリントし、下記基準に沿って評価した。
◎:露光メモリ画像が全く観察されない
○:露光メモリ画像が若干観察されるが、四角形の輪郭は観察されない
△:露光メモリ画像が若干観察されるとともに、四角形の輪郭も観察される
×:露光メモリ画像がはっきりと観察される
また、得られた積層型電子写真感光体における露光メモリ画像の評価を行った、
すなわち、負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製MicroLine−22)のイメージングユニットに対して、得られた積層型電子写真感光体を装着し、常温常湿環境下(温度:23℃、湿度:50%RH)において、1%原稿にて10,000枚プリントした後、10mm角の黒四角パターンを、電子写真感光体1周分任意の数だけ印字した。次いで、全面グレー画像及び全面白紙画像をプリントし、下記基準に沿って評価した。
◎:露光メモリ画像が全く観察されない
○:露光メモリ画像が若干観察されるが、四角形の輪郭は観察されない
△:露光メモリ画像が若干観察されるとともに、四角形の輪郭も観察される
×:露光メモリ画像がはっきりと観察される
[実施例2〜4]
また、実施例2〜4においては、電荷発生層における電子輸送剤を、それぞれ式(11)〜(13)で表される電子輸送剤(ETM−2〜4)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
また、実施例2〜4においては、電荷発生層における電子輸送剤を、それぞれ式(11)〜(13)で表される電子輸送剤(ETM−2〜4)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例5〜7]
また、実施例5〜7においては、電荷輸送層における正孔輸送剤を、それぞれ下記式(21)〜(23)で表される正孔輸送剤(HTM−2〜4)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られえた結果を表2に示す。
また、実施例5〜7においては、電荷輸送層における正孔輸送剤を、それぞれ下記式(21)〜(23)で表される正孔輸送剤(HTM−2〜4)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られえた結果を表2に示す。
[実施例8]
また、実施例8においては、電荷発生層における電荷発生剤を、式(8)で表される電荷発生剤(CGM−C)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
また、実施例8においては、電荷発生層における電荷発生剤を、式(8)で表される電荷発生剤(CGM−C)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例9〜11]
また、実施例9〜12においては、電荷輸送層において用いる結着樹脂の種類の影響を評価した。
すなわち、実施例9においては、電荷輸送層における結着樹脂として、式(17)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−4)70重量部と式(14)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)30重量部とを混合したものを用いた。
また、実施例10においては、電荷輸送層における結着樹脂として、式(16)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−3)70重量部と式(15)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−2)30重量部とを混合したものを用いた。
また、実施例11においては、電荷輸送層における結着樹脂として、式(17)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−4)70重量部と式(15)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−2)30重量部とを混合したものを用いた。
なお、かかる電荷輸送層における結着樹脂を、上述したようにそれぞれかえたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
また、実施例9〜12においては、電荷輸送層において用いる結着樹脂の種類の影響を評価した。
すなわち、実施例9においては、電荷輸送層における結着樹脂として、式(17)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−4)70重量部と式(14)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)30重量部とを混合したものを用いた。
また、実施例10においては、電荷輸送層における結着樹脂として、式(16)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−3)70重量部と式(15)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−2)30重量部とを混合したものを用いた。
また、実施例11においては、電荷輸送層における結着樹脂として、式(17)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−4)70重量部と式(15)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−2)30重量部とを混合したものを用いた。
なお、かかる電荷輸送層における結着樹脂を、上述したようにそれぞれかえたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例12〜16]
実施例12〜16においては、電荷発生層における式(10)で表される電子輸送剤(ETM−1)の含有量を、それぞれ表2に示すようにかえたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例12〜16においては、電荷発生層における式(10)で表される電子輸送剤(ETM−1)の含有量を、それぞれ表2に示すようにかえたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例1]
比較例1においては、電荷発生層において、電子輸送剤を含有させなかったほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例1においては、電荷発生層において、電子輸送剤を含有させなかったほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例2〜4]
比較例2〜4においては、電荷輸送層における正孔輸送剤を、式(21)〜(23)で表される正孔輸送剤(HTM−2〜4)としたほかは、比較例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例2〜4においては、電荷輸送層における正孔輸送剤を、式(21)〜(23)で表される正孔輸送剤(HTM−2〜4)としたほかは、比較例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例5においては、電荷発生層における電子輸送剤を、下記式(24)で表される電子輸送剤(ETM−5)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例5においては、電荷発生層における電子輸送剤を、下記式(24)で表される電子輸送剤(ETM−5)としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
本発明にかかる積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置によれば、積層型電子写真感光体の電荷発生層において、特定の構造を有する電子輸送剤を含有させることによって、連続使用した場合であっても露光メモリを効果的に抑制できるようになった。
したがって、本発明の積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンタ等各種画像形成装置における電気特性や画像特性向上させるのみならず、除電手段等を省略して部品点数を減らした簡易な構造の画像形成装置の製造にも著しく寄与することが期待される。
したがって、本発明の積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンタ等各種画像形成装置における電気特性や画像特性向上させるのみならず、除電手段等を省略して部品点数を減らした簡易な構造の画像形成装置の製造にも著しく寄与することが期待される。
20:積層型電子写真感光体
20´:積層型電子写真感光体
20´´:積層型電子写真感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
100:画像形成装置
111:積層型電子写真感光体
112:帯電手段
113:露光手段
114:現像手段
115:転写手段
117:クリーニング装置
120:記録紙
20´:積層型電子写真感光体
20´´:積層型電子写真感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
100:画像形成装置
111:積層型電子写真感光体
112:帯電手段
113:露光手段
114:現像手段
115:転写手段
117:クリーニング装置
120:記録紙
Claims (9)
- 基体上に、直接または中間層を介して、少なくとも電荷発生剤と、結着樹脂と、を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送剤と、結着樹脂と、を含有する電荷輸送層と、からなる積層型の感光層を備えた積層型電子写真感光体であって、
前記電荷発生層が、下記一般式(1)で表される電子輸送剤を含有することを特徴とする積層型電子写真感光体。
(一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜12の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数3〜12の置換または非置換のシクロアルキル基、あるいは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基である。) - 前記一般式(1)で表される電子輸送剤において、電界強度5×105V/cmとした場合の電子移動度を5×10-10〜5×10-7cm2/V/secの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記一般式(1)で表される電子輸送剤の含有量を、前記電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層における結着樹脂が、下記一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含むとともに、当該ポリカーボネート樹脂における無機性度を有機性度で割った値(I/O値)を0.37以上の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記感光層が、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層が、添加剤として下記一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体。
(一般式(5)中、R7〜R16はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数3〜12のシクロアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基を示す。また、Rは、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキレン基、あるいは窒素原子を含む有機基であり、nは0〜3の整数を示す。) - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該積層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段をそれぞれ配置し、かつ、除電手段を有さない除電レスタイプであることを特徴とする画像形成装置。
- 前記帯電手段が、帯電ローラであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
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- 2006-05-23 JP JP2006142287A patent/JP2007316099A/ja active Pending
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