JP2009186680A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた感度特性を効果的に維持できる電子写真感光体及びそのような電子写真感光体を搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】電子写真感光体であって、酸化防止剤が、下記一般式(1)で表されるフェノール系化合物であり、かつ、電子アクセプタ性化合物が、キノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体。

【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真感光体及び画像形成装置に関する。特に、耐久印刷を実施した場合であっても、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持できる電子写真感光体及びそのような電子写真感光体を搭載した画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等に用いられる電子写真感光体として、結着樹脂、電荷発生剤、及び電荷輸送剤等からなる有機感光体(OPC)が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
一方、かかる有機感光体において使用される電荷輸送剤は、電子写真感光体に対して所定の電気特性を付与すべく、優れた電荷移動速度を有する必要がある。
そこで、優れた電荷移動速度を有する電子アクセプタ性化合物として、キノン化合物が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、電子写真感光体における感光層は、帯電工程等において発生するオゾン等によって酸化劣化しやすく、それによって露光メモリが発生する場合があることから、感光層に対してヒンダードフェノール系化合物やヒンダードアミン系化合物等の酸化防止剤を含有させる方法が実施されている。
特開平1−206349号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、キノン化合物と、酸化防止剤と、を併用した電子写真感光体を用いて耐久印刷を実施した場合には、所定の酸化防止効果を発揮させて露光メモリを抑制することができるにもかかわらず、感度特性が低下しやすくなるという問題が見られた。これは、酸化防止効果を発揮し終えた酸化防止剤が、キノン化合物の電子輸送機能を阻害するためであると考えられる。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、酸化防止剤として特定の構造を有するフェノール系化合物を用いることにより、所定の酸化防止効果を発揮させて露光メモリを抑制することができる一方で、酸化防止効果を発揮し終えた酸化防止剤が、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の電子輸送機能を阻害することを効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、耐久印刷を実施した場合であっても、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の電子輸送機能を維持して、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持できる電子写真感光体及びそのような電子写真感光体を搭載した画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、酸化防止剤、電子アクセプタ性化合物及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、酸化防止剤が、下記一般式(1)で表されるフェノール系化合物であり、かつ、電子アクセプタ性化合物が、キノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(一般式(1)中、R1〜R5はそれぞれ独立した置換基であり、R1〜R4は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8のアリール基であり、R5は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基であり、炭素数1〜4のアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルエステル基で置換されていてもよく、さらに、当該フェノール系化合物がR5同士で結合または縮合してなる2〜4量体であってもよい。)
すなわち、酸化防止剤としてかかる特定の構造を有するフェノール系化合物を使用した場合、かかる化合物が酸化防止効果を発揮し終えた後であっても、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物との特異的な相互作用により、キノン化合物の電子輸送機能を、阻害することなく効果的に維持することができる。
したがって、耐久印刷を実施した場合であっても、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)中、R1及びR2、あるいはいずれか一方が、t−ブチル基であることが好ましい。
このように構成することにより、酸化防止効果をより向上させつつも、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物との特異的な相互作用を、より有効に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、電子アクセプタ性化合物が、下記一般式(2)で表されるキノン化合物であることが好ましい。
(一般式(2)中、R6〜R13はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8の置換または非置換のアリール基であり、繰り返し数kは0または1である。)
このように構成することにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物との特異的相互作用を、より有効に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)及び(2)におけるR1とR6、R2とR7、R3とR8及びR4とR9が、それぞれ同一の置換基であることが好ましい。
このように構成することにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物との特異的相互作用を、さらに有効に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、基体上に電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光層であることが好ましい。
このように構成することにより、一般に負帯電型の電子写真感光体として使用されることとなるため、帯電工程において発生するオゾン等により、感光層の酸化劣化が生じやすくなるが、本発明であれば、かかる酸化劣化を効果的に防止して露光メモリを抑制しつつも、優れた感度特性を効果的に維持することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、酸化防止剤の含有量を、当該酸化防止剤が含まれる層における結着樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物と、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物と、の特異的な相互作用を、より効果的に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、電子アクセプタ性化合物の含有量を、当該電子アクセプタ性化合物が含まれる層における結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物と、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物と、の特異的な相互作用を、さらに効果的に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、酸化防止剤/電子アクセプタ性化合物の重量比を0.1〜10の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物と、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物と、の特異的な相互作用を、さらに効果的に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、電荷輸送剤が、下記一般式(3)〜(5)からなる群から選択される少なくとも1つの一般式で表される化合物を含むことが好ましい。
(一般式(3)中、R14〜R16はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、あるいは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R17は炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8のアリール基であり、置換基数l及びnは0〜5の整数であり、置換基数mは0〜4の整数である。)
(一般式(4)中、R18〜R21はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、あるいは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R22及びR23は炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8のアリール基であり、置換基数o、p及びrは0〜5の整数であり、置換基数qは0〜4の整数である。)
(一般式(5)中、R24〜R29はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、あるいは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、置換基数s、t、v及びwは0〜5の整数であり、置換基数uは0〜4の整数であり、繰り返し数xは0〜1の整数である。)
このように構成することにより、感光層中における電荷の輸送効率を、さらに向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電子写真感光体を搭載した画像形成装置であって、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置である。
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、所定の電子写真感光体を搭載していることから、耐久印刷を実施した場合であっても、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持できるため、高品質な画像を、安定的に形成することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、酸化防止剤、電子アクセプタ性化合物及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、酸化防止剤が、一般式(1)で表されるフェノール系化合物であり、かつ、電子アクセプタ性化合物が、キノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体である。
以下、主に積層型電子写真感光体を例にとって、第1の実施形態としての電子写真感光体について具体的に説明する。
1.基本的構成
図1(a)に示したように、積層型電子写真感光体10は、基体12上に、塗布等の手段によって、電荷発生剤等を含有する電荷発生層14、及び電荷輸送剤等を含有する電荷輸送層16を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図1(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層16を形成し、その上に電荷発生層14を形成してもよい。
但し、このように形成した場合、電荷発生層14が、電荷輸送層16に比べて膜厚がごく薄いために破損しやすくなる場合がある。したがって、図1(a)に示すように、電荷発生層14の上に電荷輸送層16を形成することが好ましい。
また、図1(c)に示すように、基体12上に中間層15を形成することも好ましい。
なお、電子写真感光体を積層型電子写真感光体として構成することによって、電荷発生剤や、結着樹脂等の有機材料の選択肢が広がり、構造設計の自由度を向上させることができる。
一方、積層型電子写真感光体として構成した場合、一般に負帯電型の電子写真感光体として使用されることとなるため、帯電工程において発生するオゾン等により、感光層の酸化劣化が生じやすくなるが、後述するように、本発明であれば、かかる酸化劣化を効果的に防止して露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持することができる。
2.基体
図1に例示する基体12としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
3.中間層
また、図1(c)に示すように、基体12上に、所定の結着樹脂を含有する中間層15を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光を散乱させて、干渉縞の発生を抑制するともに、カブリや黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等を用いることができる。
また、この中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、中間層厚が厚くなりすぎると、感光体表面に残留電位が生じやすくなり、電気特性を低下させる要因となる場合があるためである。その一方で、中間層厚が薄くなりすぎると、基体表面の凹凸を十分緩和させることができなくなり、基体と感光層との密着性を得ることができなくなるためである。
したがって、中間層の膜厚としては、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
4.電荷発生層
(1)電荷発生剤
(1)−1 種類
また、本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
(1)−2 具体例
また、これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(6)〜(9)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜D)を使用することがより好ましい。
(1)−3 含有量
また、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して5重量部未満の値となると、電荷発生量が不十分となって、鮮明な静電潜像を形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して1000重量部を超えた値となると、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の含有量を30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)結着樹脂
また、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、N−ビニルカルバゾール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(3)膜厚
また、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることによって、露光による電荷発生量を向上させることができるためである。
すなわち、電荷発生層の厚さが0.1μm未満の値となると、十分な電荷発生能を有する電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。一方、電荷発生層の厚さが5μmを超えた値となると、残留電荷の発生を抑制することが困難となったり、均一な電荷発生層の形成が困難となる場合があるためである。
したがって、電荷発生層の厚さを、0.15〜4μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.電荷輸送層
(1)電荷輸送剤
(1)−1 種類
電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−(ピリジル−(2))−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1−ビフェニル)−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、及び上述した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
(1)−2 具体例
また、上述した電荷輸送剤のうち、特に好ましい化合物としては、一般式(3)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
また、一般式(3)で表される化合物としては、下記式(10)で表される化合物(HTM−1)が挙げられ、一般式(4)で表される化合物としては、下記式(11)で表される化合物(HTM−2)が挙げられ、さらに一般式(5)で表される化合物としては、下記式(12)〜(13)で表される化合物(HTM−3〜4)が挙げられる。
(1)−3 含有量
また、電荷輸送剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷輸送剤の含有量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電荷輸送剤の含有量が100重量部を超えた値になると、電荷輸送剤が結晶化しやすくなり、適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電荷輸送剤の含有量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)電子アクセプタ性化合物
(2)−1 種類
本発明においては、電子アクセプタ性化合物として、キノン化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、キノン化合物であれば、優れた電子移動速度を有することから、電荷発生層から電荷輸送層に対して一部注入された電子を、効果的に電荷発生層、ひいては基体へと輸送することができる。その結果、電荷輸送層における正孔輸送効率を効果的に向上させることができるためである。
一方、キノン化合物を用いた電子写真感光体は、併用する酸化防止剤の種類によっては、耐久印刷を実施した場合に、感度特性が低下しやすくなる傾向が見られる。
この点、本発明であれば、所定の酸化防止剤を用いることから、かかる所定の酸化防止剤と、キノン化合物と、の特異的な相互作用により、上述した問題を解決することができる。
また、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物が、一般式(2)で表されるキノン化合物であることが好ましい。
この理由は、かかる構造のキノン化合物であれば、後述する酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物との特異的相互作用を、より有効に発揮させることができるためである。
(2)−2 具体例
また、一般式(2)で表されるキノン化合物の具体例としては、下記式(14)〜(18)で表される化合物(ETM−1〜5)を挙げることができる。
(2)−3 含有量
また、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、キノン化合物の含有量をかかる範囲とすることにより、後述する酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物との間における特異的な相互作用を、さらに効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、キノン化合物の含有量が0.1重量部未満の値となると、キノン化合物の絶対量が過度に不足して、電荷輸送層に対して注入された電子を、電荷発生層に対して効率的に輸送することが困難となる場合があるためである。一方、キノン化合物の含有量が20重量部を超えた値となると、それに応じて特定の構造を有する酸化防止剤も多量に含有させることとなるが、酸化防止剤が過度に増加することにより、キノン化合物の電子輸送機能を阻害する場合があるためである。
したがって、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して0.3〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図2を用いて、電子アクセプタ性化合物の種類及び含有量と、耐久印刷後の感度特性と、の関係を説明する。
すなわち、図2においては、横軸に電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対する電子アクセプタ性化合物の含有量(重量部)を採り、縦軸に10,000枚耐久印刷後における感度(V)を採った特性曲線が示してある。
ここで、特性曲線Aは、電子アクセプタ性化合物として式(14)で表されるキノン化合物(ETM−1)を含有させた積層型電子写真感光体を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、電子アクセプタ性化合物として下記式(19)で表される非キノン化合物(ETM−6)を含有させた積層型電子写真感光体を用いた場合の特性曲線である。
なお、特性曲線A及びBのいずれの場合も、積層型電子写真感光体の電荷輸送層に対し、酸化防止剤として特定の構造を有するフェノール系化合物を含有させた(電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して5重量部)。
その他、積層型電子写真感光体の構成及びメモリ電位の測定方法等の詳細については、後の実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、電子アクセプタ性化合物としてキノン化合物を用いた場合には、その含有量を0重量部から1重量部に増加させた時点で、感度の値が80V以上の値から60V前後にまで急激に減少している。より詳細には、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の含有量を0.1重量部とした時点で、実用上許容範囲の感度特性を得ることができることが確認されている。
そして、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の含有量を1重量部を超えた値とした場合であっても、感度の値を60V前後の値に、安定的に保持できることがわかる。
なお、本発明においては、電荷輸送層に対して、電子アクセプタ性化合物と共に、特定の酸化防止剤を含有させる必要があり、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物を過度に含有させると、特定の酸化防止剤につても、それにともなって含有量を増加させることとなり、かえって感度特性を低下させる場合がある。
したがって、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の含有量は、20重量部以下の範囲とすることが好ましいことが確認されている。
一方、特性曲線Bから理解されるように、電子アクセプタ性化合物としてキノン化合物以外の化合物を用いた場合には、その含有量を変化させた場合であっても、感度の値を減少させることができないことがわかる。
したがって、特性曲線A及びBより、電子アクセプタ性化合物としてキノン化合物を用いることによって、初期感度特性は勿論のこと、耐久感度特性についても、効果的に維持することができ、特にその含有量を0.1〜20重量部の範囲内の値とすることによって、かかる効果をより有効に発揮できることがわかる。
(3)酸化防止剤
(3)−1 種類
本発明においては、酸化防止剤として、一般式(1)で表されるフェノール系化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、酸化防止剤としてかかる特定の構造を有するフェノール系化合物を使用した場合、耐久印刷を実施した場合であっても、露光メモリを効果的に抑制することができるためである。
さらに、かかる化合物が酸化防止効果を発揮し終えた後であっても、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物との特異的な相互作用により、キノン化合物の電子輸送機能を、阻害することなく効果的に維持することができるためである。
したがって、耐久印刷を実施した場合であっても、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持することができる。
すなわち、一般式(1)で表されるフェノール系化合物であれば、優れた酸化防止機能を有することは勿論のこと、ラジカルを補足して酸化防止効果を発揮し終えた後の構造が、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の一部と近似した構造となるため、キノン化合物との間において特異的な相互作用を発揮させることができる。
その結果、酸化防止効果を発揮し終えた後であっても、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の電子輸送機能を、阻害することなく効果的に維持することができる。
また、一般式(1)中、R1及びR5、あるいはいずれか一方が、t−ブチル基であることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、酸化防止効果をより向上させつつも、キノン化合物との特異的な相互作用を、より有効に発揮させることができるためである。
すなわち、一般式(1)中、R1及びR5、あるいはいずれか一方を、t−ブチル基とすることにより、フェノール系化合物の中でも特に酸化防止効果に優れるヒンダードフェノールとすることができるためである。
また、酸化防止効果を発揮し終えた後の構造においても、式(14)〜(18)に示す電子アクセプタ性化合物の例示から理解されるように、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物との、分子構造における共通性を高め、特異的な相互作用をより有効に発揮させることができるためである。
また、一般式(1)及び(2)におけるR1とR6、R2とR7、R3とR8及びR4とR9が、それぞれ同一の置換基であることが好ましい。
この理由は、このように、酸化防止剤としてのフェノール系化合物の構造と、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の構造と、における共通性をさらに高めることにより、これらの化合物間における特異的な相互作用を、さらに有効に発揮させることができるためである。
(3)−2 具体例
また、一般式(1)で表されるフェノール系化合物としては、下記式(20)〜(24)で表される化合物(P−1〜5)を挙げることができる。
(3)−3 含有量
また、酸化防止剤としてのフェノール系化合物の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、フェノール系化合物の含有量をかかる範囲とすることにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物と、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物と、の特定的な相互作用を、より効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、フェノール系化合物の含有量が0.5重量部未満の値となると、フェノール系化合物の絶対量が過度に不足して、電荷輸送層の酸化劣化を十分に抑制することが困難となる場合があるためである。一方、フェノール系化合物の含有量が20重量部を超えた値となると、フェノール系化合物の含有量が過剰となって、キノン化合物との特異的な相互作用を発揮させることが困難となる場合があるためである。
したがって、酸化防止剤としてのフェノール系化合物の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して0.8〜18重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜15重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図3を用いて、酸化防止剤の種類及び含有量と、耐久印刷後の露光メモリと、の関係を説明する。
すなわち、図3においては、横軸に電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対する酸化防止剤の含有量(重量部)を採り、縦軸に10,000枚耐久印刷後におけるメモリ電位(V)を採った特性曲線が示してある。
ここで、特性曲線Aは、酸化防止剤として式(20)で表されるフェノール系化合物(P−1)を含有させた積層型電子写真感光体を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、酸化防止剤として下記式(25)で表される非フェノール系化合物(P−6)を含有させた積層型電子写真感光体を用いた場合の特性曲線である。
なお、特性曲線A及びBのいずれの場合も、積層型電子写真感光体の電荷輸送層に対し、電子アクセプタ性化合物としてキノン化合物を含有させた(電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して3重量部)。
その他、積層型電子写真感光体の構成及びメモリ電位の測定方法等の詳細については、後の実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、酸化防止剤としてフェノール系化合物を用いた場合には、その含有量が0重量部から1重量部へと増加するのにともなって、やや急激にメモリ電位の値が減少し、さらにその含有量が1重量部を超えた範囲においては、メモリ電位の値が緩やかに減少し続けている。
一方、特性曲線Bから理解されるように、酸化防止剤として非フェノール系化合物を用いた場合には、その含有量が0重量部から1重量部へと増加した時点で、メモリ電位の値が30V以上の値から10V強の値にまで急激に減少している。そして、さらに酸化防止剤の含有量を増加させると、メモリ電位の値が急激に増加してしまうことがわかる。
このように、酸化防止剤としてフェノール系化合物を用いた場合と、非フェノール系化合物を用いた場合とでは、その含有量と、メモリ電位の値と、の間における相関が異なることがわかる。
とはいうものの、酸化防止剤として非フェノール系化合物を用いた場合であっても、その含有量を、例えば、1〜3重量部といった範囲とすることによって、十分にメモリ電位を抑制することができるといえる。
したがって、露光メモリを抑制するという観点からは、酸化防止剤をフェノール系化合物に限定する必要はないことがわかる。
次いで、図4を用いて、酸化防止剤の種類及び含有量と、耐久印刷後の感度特性と、の関係を説明する。
すなわち、図4においては、横軸に電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対する酸化防止剤の含有量(重量部)を採り、縦軸に10,000枚耐久印刷後における感度(V)を採った特性曲線が示してある。
ここで、特性曲線Aは、酸化防止剤として式(20)で表されるフェノール系化合物(P−1)を含有させた積層型電子写真感光体を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、酸化防止剤として式(25)で表される非フェノール系化合物(P−6)を含有させた積層型電子写真感光体を用いた場合の特性曲線である。
なお、特性曲線A及びBのいずれの場合も、積層型電子写真感光体の電荷輸送層に対し、電子アクセプタ性化合物としてキノン化合物を含有させた(電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して3重量部)。
その他、積層型電子写真感光体の構成及び感度の測定方法等の詳細については、後の実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、酸化防止剤としてフェノール系化合物を用いた場合には、その含有量を増加させた場合であっても、それにともなって非常に緩やかに感度の値が増加しているが、60V以下の値に安定的に維持できる。
一方、特性曲線Bから理解されるように、酸化防止剤として非フェノール系化合物を用いた場合には、その含有量が増加するのにともなって、感度の値がやや急激に増加してしまい、その含有量を1重量部以上の値とした時点で、感度の値を60V以下の範囲に抑制することが困難となっている。
したがって、図3において示したように、露光メモリを抑制するという観点からは、酸化防止剤をフェノール系化合物に限定する必要はないものの、感度特性を維持するという観点からは、酸化防止剤としてフェノール系化合物を用いる必要があることがわかる。
また、その含有量については、電荷輸送層の酸化劣化を抑制し、ひいては露光メモリを抑制するのに十分な量であって、かつ、感度特性についても十分に維持できる量である必要があることから、図3及び4を参照すると、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましいことがわかる。
また、酸化防止剤/電子アクセプタ性化合物の重量比を0.1〜10の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、酸化防止剤/電子アクセプタ性化合物の重量比をかかる範囲とすることにより、酸化防止剤としての特定の構造を有するフェノール系化合物と、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物と、の特異的な相互作用を、さらに効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、かかる重量比が0.1〜10の範囲外の値となると、酸化防止剤及び電子アクセプタ性化合物のうちの一方の含有量が、過剰であったり、あるいは過度に少なくなって、これらの化合物間における特異的な相互作用が発揮されにくくなる場合があるためである。
したがって、酸化防止剤/電子アクセプタ性化合物の重量比を、0.5〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)結着樹脂
また、電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
また、これらの結着樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。
(5)膜厚
また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、電荷輸送層の膜厚が5μm未満の値となると、均一に塗布することが困難となる場合があるためである。一方、電荷輸送層の膜厚が50μmを超えた値となると、機械的強度が低下する場合があるためである。したがって、10〜40μmの範囲内の値に設定することがより好ましい。
6.製造方法
(1)基体の準備
干渉縞の発生防止のためには、エッチング、陽極酸化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて、支持基体の表面に粗面化処理を行うことが好ましい。
(2)中間層の形成
また、中間層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に酸化チタン等の添加剤を添加して、分散処理を行い、塗布液を形成することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタ、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
また、中間層用塗布液の塗布方法については特に制限されるものではないが、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
なお、中間層およびその上の感光層をより安定的に形成するためには、中間層用塗布液の塗布後、30〜200℃で、5分〜2時間、加熱乾燥処理を実施することが好ましい。
(3)電荷発生層の形成
また、電荷発生層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に電荷発生剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を製造することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
また、電荷発生層用塗布液の塗布方法については、特に制限されるものではないが、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。
(4)電荷輸送層の形成
電荷輸送層の形成は、樹脂成分を溶解した溶液中に電荷輸送剤、電子アクセプタ性化合物及び酸化防止剤等を添加して、塗布液を製造することが好ましい。なお、分散処理、塗布方法、乾燥方法は、電荷発生層と重複するため省略する。
7.単層型電子写真感光体
本発明の電子写真感光体は、図5に示すように、単層型電子写真感光体20として構成してもよい。
すなわち、図5(a)に示すように単層型電子写真感光体20は、基体12上に単一の感光層24を設けたものである。
また、かかる感光層は、電荷輸送剤(正孔輸送剤)、電子アクセプタ性化合物(電子輸送剤)としてのキノン化合物及び酸化防止剤としてのフェノール系化合物を含有することを特徴とする。
また、本発明としての単層型電子写真感光体は、図5(b)に示すように、基体12と感光層24との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層26が形成されている単層型電子写真感光体20´であってもよい。
なお、単層型電子写真感光体は、感光層が単層である点以外は、上述した積層型電子写真感光体と同様にして製造することができるが、電荷輸送剤(正孔輸送剤)の含有量を、結着樹脂100重量部に対して30〜120重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電子アクセプタ性化合物(電子輸送剤)としてのキノン化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して1〜60重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、酸化防止剤としてのフェノール系化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷発生剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して0.2〜40重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、感光層の膜厚を5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態において記載した電子写真感光体を搭載した画像形成装置であって、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態の説明と異なる点を中心に説明する。
1.基本構成
図6に、本発明に係る画像形成装置50の基本構成を示す。かかる画像形成装置50は、ドラム型の電子写真感光体30を備えており、この電子写真感光体30の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、一次帯電器34a、露光装置34b、現像器34c、転写帯電器34d、分離帯電器34e、クリーニング装置38、及び除電器43が順次に配設されて構成されている。
また、記録材Pを矢印Bで示す搬送方向に沿って、その上流側から順に、給紙ローラ39a、39b及び搬送ベルト41によって搬送し、その途中に、トナーを定着させて画像形成するための定着ローラ42a及び加圧ローラ42bが配設されている。
2.動作
次いで、図6を参照しながら、画像形成装置50の基本動作を説明する。
まず、かかる画像形成装置50の電子写真感光体30を、駆動手段(図示せず)によって、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させるとともに、その表面を一次帯電器34aによって所定の極性及び電位に帯電させる。例えば、導電性弾性ローラを感光体表面に接触させる方式の場合には、1〜2kV程度の直流電圧を印加して、50〜2000Vに正帯電させることが好ましい。
次いで、レーザー、LED等の露光装置34bにより、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、光を照射して、電子写真感光体30の表面を露光する。この露光により、電子写真感光体30の表面に静電潜像が形成される。
次いで、静電潜像に基づいて、現像器34cにより現像剤(トナー)が現像される。すなわち、現像器34cには、トナーが収納されており、備えてある現像スリーブに、所定の現像バイアスを印加することにより、トナーが電子写真感光体30の静電潜像に対応して付着し、トナー像が形成される。
次いで、電子写真感光体30上に形成されたトナー像は、記録材Pに転写される。この記録材Pは、給紙カセット(図示せず)から、給紙ローラ39a、39bによって給紙された後、電子写真感光体30上のトナー像とタイミングが同期するように調整して、電子写真感光体30と転写帯電器34dとの間の転写部に供給される。そして、電子写真感光体30上のトナー像は、転写帯電器34dに、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材P上に確実に転写することができる。
次いで、トナー像が転写された後の記録材Pは、分離帯電器34eによって電子写真感光体30表面から分離され、搬送ベルト41によって定着器に搬送される。ここで、定着ローラ42a及び加圧ローラ42bによって、加熱処理及び加圧処理されて表面にトナー像が定着された後、排出ローラ(図示せず)によって画像形成装置50の外部に排出される。
一方、トナー像転写後の電子写真感光体30はそのまま回転を続け、転写時に記録材Pに転写されなかった残留トナー(付着物)が電子写真感光体30の表面から、クリーニング装置38によって除去されるとともに、電子写真感光体30は、次の画像形成に供されることになる。
なお、本発明の画像形成装置であれば、第1の実施形態において説明した所定の電子写真感光体を搭載していることから、耐久印刷を実施した場合であっても、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持した高品質な画像を、安定的に形成することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
容器中に、アルミナとシリカにて表面処理を施した後、湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理を施したルチル型酸化チタン(テイカ(株)製、STM−02(数平均一次粒子径:10nm))300重量部と、4次元共重合ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ(株)製、ベスタメルトX4685)100重量部と、エタノール1200重量部と、ブタノール300重量部と、を収容し、ビーズミルを用いて5時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。
次いで、得られた中間層用塗布液を、5ミクロンのフィルタにてろ過した後、基体としての直径30mm、長さ246mmのアルミニウム製ドラム状支持体に対して、ディップコート法にて塗布し、さらに、130℃、30分の条件で熱処理して、膜厚2μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の形成
次いで、容器中に、下記製造方法にて製造した電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶200重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業(株)製、デンカブチラール#6000EP)100重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル3000重量部と、テトラヒドロフラン5000重量部と、を収容し、ビーズミルを用いて2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。
次いで、得られた電荷発生層用塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過した後、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、さらに80℃、5分の条件で乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(3)チタニルフタロシアニン結晶の製造方法
上述した電荷発生層の形成において電荷発生剤として用いたチタニルフタロシアニン結晶は、以下の製造方法にて製造した。
すなわち、アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル25gと、チタンテトラブトキシド28gと、尿素20gとキノリン300gとを加え、攪拌しつつ150℃まで昇温した。次に、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この反応温度を維持しつつさらに2時間、攪拌して反応させた。
反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、及びメタノールで順次洗浄した後、真空乾燥して、青紫色の固体25gを得た。
次いで、得られた青紫色の固体15gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、攪拌しつつ130℃に加熱して2時間、攪拌処理を行った。次に、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却した後、攪拌を停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。次いで、安定化された液をガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
次いで、得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。次に、この溶液を、氷冷下の水中に滴下した後、室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させた。次に、上述した液をガラスフィルターによってろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。次いで、液をガラスフィルターによってろ別した後、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(7)で表される無置換のチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶(青色粉末)4.5gを得た。
また、得られたチタニルフタロシアニン結晶は、初期においても、1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフラン中に7日間浸漬させた場合であっても、Cukα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び26.2°にピークを有さないことを確認した。
同様に、示差走査熱量分析において400℃まで昇温させた場合において、吸着水の気化にともなう90℃付近のピーク以外に、302℃において一箇所のピークを有することを確認した。
(4)電荷輸送層の形成
次いで、容器中に、電荷輸送剤(正孔輸送剤)としての式(10)で表されるヒドラゾン化合物(HTM−1)70重量部と、電子アクセプタ性化合物としての式(14)で表されるキノン化合物(ETM−1)3重量部と、酸化防止剤としての式(20)で表されるメタターフェニル(P−1)5重量部と、粘度平均分子量50,000の下記式(26)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)100重量部と、テトラヒドロフラン430重量部と、トルエン430重量部と、を収容し、混合溶解して、電荷輸送層用塗布液を調製した。
次いで、得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして、電荷発生層上に塗布し、120℃、30分の条件で乾燥させて、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を得た。
2.評価
(1)感度の評価
得られた積層型電子写真感光体における感度を測定した。
すなわち、得られた積層型電子写真感光体を、除電手段を有さない市販の負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製、c5200n)の改造機に搭載して、常温常湿環境(温度:25℃、相対湿度:50%Rh)下にて感度の測定を行った。
より具体的には、初期及びプリンタ(沖データ(株)製、c5200n)にて10,000枚連続して画像形成を行った後の積層型電子写真感光体を、表面電位が−600Vとなるように帯電させて帯電電位(V)とし、黒ベタ画像に相当する露光を行い、当該露光箇所における表面電位を感度(V)とした。得られた結果を表1に示す。なお、測定された感度(V)は負の値であったが、表1においては、その絶対値を記載している。
なお、上述したプリンタにおける改造内容は、以下の通りである。
すなわち、電子写真感光体における表面電位を測定するために、プリンタのイメージングユニットから現像部分を抜き取り、代わりに電位測定装置を挿入した。
かかる電位測定装置は、イメージングユニットの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の軸方向の中央とし、また、電位測定プローブと電子写真感光体とのギャップは5mmとした。
(2)メモリ電位の評価
また、得られた積層型電子写真感光体におけるメモリ電位の評価を行った。
すなわち、初期及び10,000枚連続して画像形成を行った後の積層型電子写真感光体を、感度の測定においても使用した表面電位測定用のプリンタに装着した。次いで、感度の測定を行った際と同様の環境下にて、1周目(95mm長)の積層型電子写真感光体に対して、ベタ黒画像65mmに相当する露光を行い(露光部)、残りの30mmには露光を行わなかった(非露光部)。次いで、2周目の積層型電子写真感光体全体に対しても、露光を行わなかった。次いで、1周目の露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0b(V)と、1周目の非露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0(V)と、を測定し、この電位差の絶対値│V0−V0b│(V)を計算して、メモリ電位(V)とした。得られた結果を表1に示す。
(3)メモリ画像の評価
また、得られた積層型電子写真感光体を用いて形成した画像におけるメモリ画像の評価を行った。
すなわち、得られた積層型電子写真感光体をプリンタ(沖データ(株)製、c5200n)に搭載し、初期及び10,000枚連続して画像形成を行った後において、10mm角の黒四角パターンを、電子写真感光体の一周分を用いて任意の数だけ印字した。
次いで、全面グレー画像及び全面白紙画像を印字し、これらの画像におけるメモリ画像の発生を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:メモリ画像が全く確認されない。
○:輪郭が確認できない程度のメモリ画像が確認される。
△:輪郭が確認できる程度のメモリ画像が確認される。
×:メモリ画像が明確に確認される。
[実施例2]
実施例2では、酸化防止剤の種類を、式(21)で表される化合物(P−2)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3では、酸化防止剤の種類を、式(23)で表される化合物(P−4)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4では、酸化防止剤の種類を、式(24)で表される化合物(P−5)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、電子アクセプタ性化合物の種類を、式(15)で表される化合物(ETM−2)に変えるとともに、酸化防止剤の種類を、式(22)で表される化合物(P−3)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6では、電子アクセプタ性化合物の種類を、式(16)で表される化合物(ETM−3)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、電子アクセプタ性化合物の種類を、式(17)で表される化合物(ETM−4)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例8では、電子アクセプタ性化合物の種類を、式(18)で表される化合物(ETM−5)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例9では、正孔輸送剤の種類を、式(11)で表される化合物(HTM−2)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例10では、正孔輸送剤の種類を、式(12)で表される化合物(HTM−3)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例11では、正孔輸送剤の種類を、式(13)で表される化合物(HTM−4)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例12〜14]
実施例12〜14では、電子アクセプタ性化合物の含有量を、それぞれ1、2及び8重量部に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例15〜17]
実施例15〜17では、酸化防止剤の含有量を、それぞれ1、2及び10重量部に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1〜5]
比較例1〜5では、電子アクセプタ性化合物の種類を、それぞれ式(14)〜(18)で表される化合物(ETM−1〜5)とするとともに、酸化防止剤を含有させなかったほかは、それぞれ実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例6]
比較例6では、電子アクセプタ性化合物を含有させなかったほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例7]
比較例7では、電子アクセプタ性化合物及び酸化防止剤を、含有させなかったほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例8〜11]
比較例8〜11では、電子アクセプタ性化合物の種類を式(19)で表される化合物(ETM−6)とするとともに、その含有量をそれぞれ1、2、3及び8重量部に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例12〜15]
比較例12〜15では、酸化防止剤の種類を式(25)で表される化合物(P−6)とするとともに、その含有量をそれぞれ1、2、5及び10と重量部に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
以上、詳述したように、本発明によれば、酸化防止剤として特定の構造を有するフェノール系化合物を用いることにより、所定の酸化防止効果を得ることができる一方で、酸化防止効果を発揮し終えた酸化防止剤が、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の電子輸送機能を阻害することを、効果的に抑制することができるようになった。
その結果、耐久印刷を実施した場合であっても、電子アクセプタ性化合物としてのキノン化合物の電子輸送機能を維持して、露光メモリを抑制しつつ、優れた感度特性を効果的に維持できるようになった。
したがって、本発明の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における高品質化、高速化及び長寿命化等に寄与することが期待される。
(a)〜(c)は、本発明における積層型電子写真感光体の構成を説明するために供する図である。 図2は、電子アクセプタ性化合物の種類及び含有量と、耐久印刷後の感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 図3は、酸化防止剤の種類及び含有量と、耐久印刷後の露光メモリと、の関係を説明するために供する図である。 図4は、酸化防止剤の種類及び含有量と、耐久印刷後の感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、本発明における単層型電子写真感光体の構成を説明するために供する図である。 図6は、本発明の画像形成装置を説明するために供する図である。
符号の説明
10:積層型電子写真感光体、12:支持基体、14:電荷発生層、15:中間層、16:電荷輸送層、20:単層型電子写真感光体、24:感光層、26:中間層、34a:一次帯電器、34b:露光装置、34c:現像器、34d:転写帯電器、34e:分離帯電器、38:クリーニング装置、38a:クリーニングブレード、39a、39b:給紙ローラ、41:搬送ベルト、42a:定着ローラ、42b:加圧ローラ、43:除電器、50:画像形成装置

Claims (10)

  1. 基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、酸化防止剤、電子アクセプタ性化合物及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、
    前記酸化防止剤が、下記一般式(1)で表されるフェノール系化合物であり、かつ、前記電子アクセプタ性化合物が、キノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体。

    (一般式(1)中、R1〜R5はそれぞれ独立した置換基であり、R1〜R4は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8のアリール基であり、R5は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基であり、前記炭素数1〜4のアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルエステル基で置換されていてもよく、さらに、当該フェノール系化合物がR5同士で結合または縮合してなる2〜4量体であってもよい。)
  2. 前記一般式(1)中、R1及びR2、あるいはいずれか一方が、t−ブチル基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電子アクセプタ性化合物が、下記一般式(2)で表されるキノン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。

    (一般式(2)中、R6〜R13はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8の置換または非置換のアリール基であり、繰り返し数kは0または1である。)
  4. 前記一般式(1)及び(2)におけるR1とR6、R2とR7、R3とR8及びR4とR9が、それぞれ同一の置換基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層が、基体上に電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記酸化防止剤の含有量を、当該酸化防止剤が含まれる層における結着樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記電子アクセプタ性化合物の含有量を、当該電子アクセプタ性化合物が含まれる層における結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内の値とすることと特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記酸化防止剤/前記電子アクセプタ性化合物の重量比を0.1〜10の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記電荷輸送剤が、下記一般式(3)〜(5)からなる群から選択される少なくとも1つの一般式で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体。

    (一般式(3)中、R14〜R16はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、あるいは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R17は炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8のアリール基であり、置換基数l及びnは0〜5の整数であり、置換基数mは0〜4の整数である。)

    (一般式(4)中、R18〜R21はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、あるいは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R22及びR23は炭素数1〜8のアルキル基、あるいは炭素数6〜8のアリール基であり、置換基数o、p及びrは0〜5の整数であり、置換基数qは0〜4の整数である。)

    (一般式(5)中、R24〜R29はそれぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、あるいは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、置換基数s、t、v及びwは0〜5の整数であり、置換基数uは0〜4の整数であり、繰り返し数xは0〜1の整数である。)
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載した電子写真感光体を搭載した画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置。
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