JP4617235B2 - 電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)帯電工程において、感光体に正負いずれかの電荷が付加されるのに伴い、支持基体に逆極性の電荷が発生するが、中間層がない場合、その発生した電荷が感光体層に注入されるため、感光体の帯電性低下の原因となる。
(2)支持基体上に感光体層を直接塗布した場合、結着樹脂の種類や塗布条件によっては、感光体層が支持基体上に十分接着しない。
(3)支持基体表面に傷などの欠陥があると、画像上に黒点が発生しやすい。
例えば、支持基体と、中間層(下引き層)と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、中間層が、フェノール系樹脂と、ポリビニルアセタール樹脂と、電子輸送性有機顔料と、を含有することを特徴とする電子写真感光体を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、中間層の膜厚を均一化するために支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、中間層が、フェノール系樹脂と、所定の分子量を有する電荷輸送性材料と、を含有することを特徴とする電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2に記載された中間層を有する電子写真感光体は、電気特性や画像特性に優れているものの、使用可能な電荷輸送剤の平均分子量が400〜1000の範囲に制限され、その範囲外の電荷輸送剤を使用することが困難であるという問題が見られた。
さらに、特許文献1及び特許文献2に記載された電子写真感光体は、熱硬化性のフェノール系樹脂を多量に使用しているため、褐色化及び濃色化しやすく、中間層における厚さ等の均一性を光学的手法によって判断することが困難であるという問題が見られた。
すなわち、本発明は、高温高湿下でのかぶりの発生が少なく、かつ製造が容易である電子写真感光体、及びそのような電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
(a)アルミナおよびシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン
(b)アルミナおよびシリカで表面処理した酸化チタン
すなわち、所定の反射吸光度を有する中間層を備えることにより、電子写真感光体における高温高湿下でのかぶりの発生を少なくすることができる。また、中間層用塗布液等の保存安定性が向上するため、中間層のみならず感光体層についても、容易かつ安定的に製造することができ、電気特性が安定した電子写真感光体を経済的に得ることができる。
このように構成することにより、酸化チタンの分散性と、電気絶縁性とのバランスが良好になって、高温高湿下でのかぶりの発生をさらに少なくすることができる。
このように構成することにより、酸化チタンの分散性をさらに向上させることができる。
なお、かかる酸化チタンの平均一次粒径は、電子顕微鏡写真及び画像処理装置を組み合わせて測定することができる。
このように構成することにより、酸化チタンの吸水性を制御することができるとともに、結着樹脂中への分散性をさらに向上させることができる。
このように結着樹脂の平均分子量を所定範囲の値とすることにより、中間層を形成する際の塗布液の粘度をより適当なものとして、均一な膜厚に制御することができる。また、結着樹脂の平均分子量をこのような所定範囲の値とすることにより、得られた中間層の機械的強度や接着性についても、より優れたものとすることができる。したがって、中間層のみならず感光体層の耐磨耗性や耐久性についても著しく向上させることができる。
このように構成することにより、電荷発生層で形成された電子を速やかに支持基体側に移動させるのと、感光体層との間の密着性に優れ、かつ、機械的特性とのバランスをより良好なものとすることができる。
このように構成することにより、一般に電気特性の劣化が大きいと言われる、積層型電子写真感光体において、優れた感度特性及び耐久性を有する電子写真感光体を得ることができるようになるためである。
(a)アルミナおよびシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン
(b)アルミナおよびシリカで表面処理した酸化チタン
このように製造することにより、中間層を形成するための塗布液の保存安定性が向上し、所定の中間層を容易かつ安定的に形成することができるとともに、高温高湿下でのかぶりの発生が少ない電子写真感光体を効率的に製造することができる。
(A)酸化チタンを、中間層を構成する全結着樹脂量の31〜65重量%に該当する結着樹脂を溶解させてなる結着樹脂溶液中に添加して、一次分散液とする工程
(B)一次分散液に対して、全結着樹脂量の35〜69重量%に該当する結着樹脂を溶解させて、中間層用塗布液とする工程
このように実施することにより、中間層における反射吸光度の調整がさらに容易になって、結果として、高温高湿下でのかぶりの発生が少ない電子写真感光体をさらに効率的かつ定量的に製造することができる。
本発明の第1の実施形態は、図1(a)及び(b)に例示するように、支持基体13と、中間層12と、感光体層11とを備えた電子写真感光体10、あるいは図2(a)及び(b)に例示するように、支持基体13と、中間層12と、電荷発生層34と、電荷輸送層32を備えた電子写真感光体10であって、中間層12が、数平均一次粒子径が0.005〜0.05μmである酸化チタンと、結着樹脂とを含むとともに、酸化チタンが下記酸化チタン(a)および(b)を含み、中間層に含まれる酸化チタンの添加量を、結着樹脂100重量部に対して、200〜300重量部の範囲内の値とし、かつ、当該中間層の波長550nmの光に対する厚さ2μm当たりの反射吸光度を0.05以下の値とした電子写真感光体10である。
ここで、本発明の電子写真感光体が、支持基体上に、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であることが好ましい。
この理由は、一般に電気特性の劣化が大きいと言われる積層型電子写真感光体において、優れた感度特性及び耐久性を有する電子写真感光体を得ることができるようになるためである。
よって、以下、本発明の第1の実施形態である電子写真感光体として、積層型電子写真感光体を用いた場合について具体的に説明する。
図1及び図2に例示する支持基体13としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄等の金属材料の他に、表面に金属を蒸着するか導電性粉を分散した塗膜を形成するなどして、導電化処理されたセラミック材料やポリマー材料等を用いることができる。
また、図1及び図2に例示するように、支持基体13上に、結着樹脂と、酸化チタンと、を含有する中間層12を設けることを特徴とする。以下、結着樹脂や酸化チタン等に分けて、中間層を説明する。
結着樹脂として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂を用いることが好ましい。
また、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルホルマール樹脂を用いる場合には、その構造中に、ビニルアセタール50〜75モル%、ポリビニルアルコール10〜50モル%及びポリ酢酸ビニル0〜15モル%を含有するものを用いることが好ましい。
そして、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にブチルアルデヒドを反応させることにより得られ、ポリビニルホルマール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にホルムアルデヒドを反応させることにより得ることができるが、これらの樹脂は、特に、フェノール系樹脂との相溶性に優れているとともに、フェノール系樹脂との反応性や接着性に優れていることから好ましい樹脂である。
この理由は、結着樹脂の平均分子量が1,000未満になると、中間層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、添加する正孔輸送剤の平均分子量によっては、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、結着樹脂の平均分子量が50,000を超えると、中間層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、中間層の厚さを制御することが困難になったり、電荷移動性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、結着樹脂の平均分子量を2,000〜30,000の範囲内の値とすることがより好ましく、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、結着樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することもできるし、あるいは、結着樹脂が縮合系樹脂の場合には、その縮合度から計算により算出することもできる。
この理由は、結着樹脂の溶液粘度が10mPa・sec.未満になると、中間層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、中間層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、結着樹脂の溶液粘度が200mPa・sec.を超えると、均一な厚さの中間層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、結着樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=1/1溶剤中、5重量%濃度)を30〜180mPa・sec.の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜150mPa・sec.の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量が10mol%未満になると、中間層の機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したり、あるいは顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量が40mol%を超えると、ゲル化しやすくなったり、均一な厚さの中間層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、結着樹脂として、水酸基を有する皮膜形成樹脂を使用する場合、その水酸基量を20〜38mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、中間層に、上述した結着樹脂とともに、酸化チタンを添加することを特徴とする。
この理由は、酸化チタンは所定の電気特性を有するため、そのような酸化チタンを添加することにより、感光体層にける余分な電荷を逃がすことができるためである。したがって、酸化チタンを添加することにより、高温高湿下でのかぶりの発生を有効に防止することができる。
また、酸化チタンを添加することにより、結着樹脂とともに、中間層の機械的強度や密着性を高めることができるためである。
さらに、酸化チタンは光隠蔽性が高いものの、所定粒径の酸化チタンを均一に分散することにより、所定の透明性が得られ、光学的手法により、膜厚等を測定することができるためである。
この理由は、このように構成することにより、酸化チタンの分散性と、電気絶縁性とのバランスが良好になって、高温高湿下でのかぶりの発生をさらに少なくすることができるためである。
したがって、酸化チタンの分散性と、電気絶縁性とのバランスがさらに良好になることから、中間層に含まれる酸化チタンの添加量を、結着樹脂100重量部に対して、200〜300重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
より具体的には、酸化チタンの平均一次粒径を0.005〜0.05μmの範囲内の値と制御することを特徴とする。
この理由は、このような平均一次粒径を有する酸化チタンを用いることにより、所定の透明性が得られ、光学的手法により、膜厚等を測定することができるためである。すなわち、このような平均一次粒径を有する酸化チタンであれば良好な分散性が得られ、結着樹脂中に、均一に分散させることができる。
したがって、中間層に含まれる酸化チタンの平均一次粒径を0.01〜0.015μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる酸化チタンの平均一次粒径や平均二次粒径は、電子顕微鏡写真及び画像処理装置を組み合わせて、算出することができる。
この理由は、このように構成することにより、酸化チタンの吸水性を制御することができるとともに、分散性をさらに向上させることができるためである。
ここで、中間層に含まれる酸化チタン100重量部に対して、有機ケイ素化合物の処理量を1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる有機ケイ素化合物の処理量が1重量部未満になると、有機ケイ素化合物の処理効果が得られにくく、分散性が向上しない場合があるためである。一方、かかる有機ケイ素化合物の処理量が50重量部を超えると、酸化チタンの電気特性を有効に発揮することが困難となる場合があるためである。
したがって、酸化チタンの分散性等と、電気絶縁性とのバランスがさらに良好になることから、中間層に含まれる酸化チタン100重量部に対して、有機ケイ素化合物の処理量を5〜40重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、中間層(基準厚さ:2μm)の波長550nmの光に対する反射吸光度を0.05以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、所定厚さの中間層における反射吸光度を0.05以下の値とすることによって、かかる中間層における酸化チタンの分散状態が好適な状態であることが判断できるためである。
すなわち、中間層における酸化チタンの分散状態が不均一であるほど、白色の凝集粒子が残り、中間層に対して光を当てた際の散乱が多くなる。したがって、実施例において記載した数式(1)から算出される、中間層における反射吸光度の値は大きな値となる。一方、中間層における酸化チタンの分散状態が均一であるほど、白色の凝集粒子が残留しないため、中間層に光を当てた際の散乱は少なくなる。したがって、中間層における反射吸光度の値は小さな値となる。
よって、中間層における反射吸光度が0.05以下の値であれば、酸化チタンの含有量等が所定範囲であっても、中間層における酸化チタンの分散状態が好適な状態であると判断することができる。そして、そのような中間層を用いることにより、感光体における電気特性が向上し、高温高湿下でのかぶりを防止することが可能となる。さらに、このような中間層を形成するための中間層用塗布液の保存安定性についても向上するため、中間層の製造が容易になるのみならず、感光体層についても、容易かつ安定的に製造することが可能となる。
但し、中間層に含まれる酸化チタンの含有量等が低下して、中間層における反射吸光度が過度に小さくなると、感光層に残留した電荷を、効果的に導電性基体へと逃がすことが困難となる場合がある。したがって、中間層における反射吸光度の下限値に関して、0.005以上の値とすることが好ましい。
したがって、中間層における反射吸光度を0.008〜0.045の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜0.04の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、中間層の厚さが変化した場合には、基準厚さと想定して、反射吸光度の値を調整すれば良い。例えば、中間層の厚さが4μmの場合には、得られた反射吸光度の値を1/2とすれば良い。
図3は、縦軸に感光体における明電位の絶対値、横軸にかかる感光体を構成する中間層における反射吸光度を採った場合の特性曲線である。
かかる特性曲線から、中間層における反射吸光度が大きくなるに従って、明電位の絶対値も大きくなることがわかる。よって、明電位の絶対値を低い値とし、感光体における感度を高く保つためには、中間層における反射吸光度を、低い値に保つ有効であることがわかる。また、中間層における反射吸光度を0.05以下の値とすることにより、感光体の明電位の絶対値を30V未満の値とすることができることがわかる。
なお、中間層における反射吸光度の測定方法、及び感光体における明電位の測定方法は、後述の実施例において詳述するため、ここでは省略する。
また、中間層中には、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する目的、分散性向上等の目的により、電子輸送性顔料とは異なる各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を添加することが好ましい。
特に、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が好ましい添加剤である。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このような正孔輸送剤としては、従来公知の種々の化合物を使用することができるが、具体的に、ベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物、スチリル系化合物、カルバゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物の一種単独または二種以上の組合せが挙げられる。
また、中間層は膜厚を厚くすることによって、支持基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する方向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する傾向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生剤を真空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂と共に分散させて、塗布することにより形成することが好ましい。
このような電荷発生剤としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−砒素合金、その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電材料、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等の各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、芳香族多環化合物系、アゾ系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、これらの有機顔料は、一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料では、α、β等を始めとして各種の結晶型が知られているが、目的に適合した感度が得られる顔料であれば、いずれの結晶型でも用いることができる。
また、電荷発生層の膜厚は、一般には0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲の値とすることが好ましい。
さらに、電荷発生剤を結着樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミル等の方法を用いることができる。
また、電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤及び電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;及び上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
このように電荷輸送層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
また、電荷輸送剤と、結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲内の値に設定することが好ましい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。
(1)基本構成
次いで、図4に、本発明に係る画像形成装置50の基本構成を示す。かかる画像形成装置50は、ドラム型の感光体10を備えており、この感光体10の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、一次帯電器14a、露光装置14b、現像器14c、転写帯電器14d、分離帯電器14e、クリーニング装置18、及び除電器23が順次に配設されて構成されている。
また、記録材Pを矢印Bで示す搬送方向に沿って、その上流側から順に、給紙ローラ19a、19b及び搬送ベルト21によって搬送し、その途中に、トナーを定着させて画像形成するための定着ローラ22a及び加圧ローラ22bが配設されている。
そして、感光体10は、上述した所定の中間層12を支持基体13上に備えている。したがって、均一な厚さを有する中間層であるとともに、長時間にわたって、優れた電気特性や画像特性を示すことができる。
次いで、図4を参照しながら、画像形成装置50の基本動作を説明する。
まず、かかる画像形成装置50の感光体10を、駆動手段(図示せず)によって、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させるとともに、その表面を一次帯電器14aによって所定の極性及び電位に帯電させる。例えば、導電性弾性ローラを感光体表面に接触させる方式の場合には、1〜2KV程度の直流電圧を印加して、50〜2000Vに正帯電させることが好ましい。
次いで、レーザー、LED等の露光装置14bにより、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、光を照射して、感光体10の表面を露光する。この露光により、感光体10の表面に静電潜像が形成される。
次いで、感光体10上に形成されたトナー像は、記録材Pに転写される。この記録材Pは、給紙カセット(図示せず)から、給紙ローラ19a、19bによって給紙された後、感光体10上のトナー像とタイミングが同期するように調整して、感光体10と転写帯電器14dとの間の転写部に供給される。そして、感光体10上のトナー像は、転写帯電器14dに、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材P上に確実に転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体10はそのまま回転を続け、転写時に記録材Pに転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、クリーニング装置18によって除去されるとともに、感光体10は、次の画像形成に供されることになる。
そして、上述したように、感光体10は、所定の中間層12を支持基体13上に備えているため、長時間にわたって、優れた電気特性や画像特性を示すことができる。
本発明の第2の実施形態は、支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体の製造方法であって、結着樹脂と、有機溶剤とを含む結着樹脂溶液中に、数平均一次粒子径が0.005〜0.05である下記酸化チタン(a)および(b)を含む酸化チタンを結着樹脂100重量部に対して200〜300重量部の範囲内で添加して分散させて、中間層を形成するための中間層用塗布液を製造する工程と、当該中間層用塗布液を用いて、波長550nmの光に対する厚さ2μm当たりの反射吸光度が0.05以下の中間層を形成する工程と、を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
(a)アルミナおよびシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン
(b)アルミナおよびシリカで表面処理した酸化チタン
以下、第1の実施形態の説明と異なる点を中心に具体的に説明する。
干渉縞の発生防止のためには、エッチング、陽極酸化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて、支持基体の表面に粗面化処理を行うことが好ましい。
(1)中間層用塗布液の準備
また、中間層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に正孔輸送剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を形成することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
より具体的には、中間層用塗布液の製造に際して、下記工程(A)〜(B)を含むことが好ましい。
(A)酸化チタンを、中間層を構成する全結着樹脂量の31〜65重量%に該当する結着樹脂を溶解させてなる結着樹脂溶液中に添加して、一次分散液とする工程
(B)一次分散液に対して、全結着樹脂量の35〜69重量%に該当する結着樹脂を溶解させて、中間層用塗布液とする工程
この理由は、複数段階に分けずに、最初から全量の結着樹脂と、全量の酸化チタンと、有機溶剤と、を一段階で混合した場合、酸化チタン粒子表面における、樹脂との接触割合と、有機溶剤との接触割合とが、不均一となりやすいためである。したがって、中間層用塗布液中における酸化チタン表面の性質が変化し、酸化チタンの分散性が悪化したりするためである。一段階で混合した場合、特に、平均一次粒径が0.015μm以下の酸化チタンを使用すると、顕著に分散性が低下する場合がある。
したがって、工程(A)において加える結着樹脂の量を、全結着樹脂の35〜60重量%に相当する分量とすることがより好ましく、40〜55重量%に相当する分量とすることがさらに好ましい。
また、中間層用塗布液の塗布方法については特に制限されるものではないが、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
なお、中間層およびその上の感光層をより安定的に形成するためには、中間層用塗布液の塗布後、30〜200℃で、5分〜2時間、加熱乾燥処理を実施することが望ましい。
また、感光体層塗布液を準備した後、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて、感光体層を形成することが好ましい。なお、加湿処理方法を用いない場合には、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。そして、加熱乾燥の条件としては、例えば、30〜200℃の温度で、5分〜2時間の範囲とすることが好ましい。
1.電子写真感光体の作成
(1)中間層の作成
容器内に、アルミナ及びシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン(テイカ製、SMT−02、数平均一次粒子径:10nm)150重量部と、アルミナ及びシリカで表面処理した酸化チタン(テイカ製、MT−05、数平均一次粒子径:10nm)100重量部と、メタノール600重量部と、ブタノール150重量部と、予めメタノール140重量及びブタノール35重量部の割合で溶解させたアミランCM8000(東レ(株)製、四元共重合ポリアミド樹脂)を35重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、1次分散溶液とした。
次いで、メタノール260重量部と、ブタノール65重量部の割合で溶解させたCM8000を65重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
次いで、得られた中間層用塗布液を5ミクロンのフィルタにてろ過した後、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
なお、上述の中間層用塗布液における各構成材料の添加量に関して、中間層用塗布液に加えられたアミランCM8000の全体量を基準量(100重量部)としている。以下の実施例及び比較例においても同様である。
次いで、電荷発生剤として、以下の手順で製造したチタニルフタロシアニン1重量部と、結着樹脂としてポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業、エスレックKS−5)1重量部と、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル60重量部と、テトラヒドロフラン20重量部とを混合し、ボールミルを用いて48時間分散させ、電荷発生層用塗布液を作成した。
得られた電荷発生層用塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過した後、中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃、5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、正孔輸送剤として、下記式(1)で表されるスチルベン化合物(HTM−1)70重量部と、結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂100重量部(帝人化成 TS2020)と、溶剤としてテトラヒドロフラン460重量部とを混合溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
まず、アルゴン置換したフラスコ中に、反応原料として、o−フタロニトリル25gと、チタンテトラブトキシド28gと、キノリン300gとを加えた後、攪拌装置を用いて攪拌しながら150℃まで昇温した。
次いで、フラスコ内の反応原料から発生する蒸気を留去しながら、さらに215℃まで昇温した。その後、この温度を維持しつつ、さらに2時間、攪拌しながら反応原料を反応させた。
反応終了後、150℃まで冷却した時点で、フラスコから反応物を取り出し、ガラスフィルターによってろ別した。得られた固体状物をN,N−ジメチルホルムアミド、及びメタノールで順次洗浄したのち、真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。(顔料化前処理)
次いで、攪拌装置付きのフラスコ内に、得られた青紫色の固体10gと、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットルとを加え、130℃に加熱して、2時間、攪拌処理を行い、反応液とした。
次いで、加熱を停止し、23±1℃まで冷却した後、12時間、反応液を静置して安定化処理を行った。
そして安定化された反応液を、ガラスフィルターを用いてろ別し、得られた固体をメタノールでさらに洗浄した。次いで、それを真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
次いで、攪拌装置付きのフラスコ内に、得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gと、濃硫酸100ミリリットルとを加えて、均一に溶解させた。
次いで、得られた溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち、室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃で30分間、静置して再結晶させた。
次いで、再結晶させた溶液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した。その後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて、それを、50℃に加熱して、10時間、攪拌した。
そして得られた溶液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン結晶として、4.1gの青色粉末を得た。
なお、得られたチタニルフタロシアニンは、初期及び1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフラン中に7日間、浸漬しても、ブラッグ角度2θ±0.2°=7.4°及び26.2°にピークが発生していないこと、及び吸着水の気化に伴なう90℃付近のピーク以外は、50℃から400℃の温度範囲において結晶変化のピークを示さないことを確認した。
(3)−1 酸化チタンの分散状態1(中間層用塗布液の状態)
支持基体に塗布する前の中間層用塗布液における酸化チタンの分散性を目視により観察して、下記基準に照らして評価した。得られた結果を表1に示す
○:分散不良による酸化チタンの集合体が観察されない。
△:分散不良による酸化チタンの集合体が、やや観察される。
×:分散不良による酸化チタンの集合体が観察される。
得られた中間層(基準厚さ:2μm)を積層した支持基体における、波長550nmの光に対する反射吸光度(A1)を、色差計(ミノルタ(株)製、色差計CM1000)を用いて測定した。次に、中間層を積層していない支持基体における、波長550nmの光に対する反射吸光度(A2)を、同様に測定した。
すなわち、図5(a)及び(b)を用いてより具体的に説明すると、図5(a)は、支持基体13上に中間層12が積層してある状態を示しており、図5(b)は、支持基体のみの状態を示している。そして、図5(a)及び(b)中のI0は、それぞれの支持基体に対して照射された光(入射光)の強度を表しており、I1及びI2はそれぞれの支持基体に対して照射された入射光における反射光の強度を表している。したがって、支持基体の影響を排除して、中間層における反射吸光度を求めるためには、中間層と支持基体の反射吸光度が混在しているA1から、支持基体の反射吸光度であるA2を差し引けばよい。
よって、得られた反射吸光度の値(A1、A2)をもとに、下記数式(1)から、中間層の反射吸光度(A)を算出するとともに、その反射吸光度(A)を以下の基準に照らして、中間層における酸化チタン粒子の分散性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
なお、図5(a)における反射吸光度(A1)は、下記数式(2)から算出され、同様に、図5(b)における反射吸光度(A2)は、下記数式(3)から算出される。そして、かかる中間層の反射吸光度(A)が小さいほど、中間層における光の散乱が少ないことを示す。すなわち、中間層における酸化チタン粒子の分散性が高いことを示す。
△:0.05<A≦0.07
×:A>0.07
支持基体上に形成された中間層の表面を、日本電子社製走査型顕微鏡JSM-7401F、FE−SEMを用いて観察し、酸化チタンの分散状態を評価した。
すなわち、酸化チタンの分散性を下記基準に照らして評価した。得られた結果を表1に示す。また、電子顕微鏡で観察された中間層表面の画像を図6に示す。
○:分散が均一であることが確認される。
△:分散が不均一な部分が、やや観察される。
×:分散が不均一であることが確認される。
得られた電子写真感光体を、負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製Microline−22N)に装着して、高温高湿環境下における明電位測定を行った。
すなわち、高温高湿環境下(温度:35℃、湿度:85%)において1000枚印刷後、現像位置での電位を、明電位(V)とした。また、得られた明電位の値から、以下の基準に沿って、感度評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
○:明電位の絶対値が25V未満の値である。
△:明電位の絶対値が25V以上、35V未満の値である。
×:明電位の絶対値が35V以上の値である。
また、得られた電子写真感光体を、負帯電反転現像プロセスを採用した上述のプリンタ(沖データ(株)製Microline−22N)に装着して、高温高湿環境下(温度:35℃、湿度:85%)におけるかぶり画像評価を行った。
すなわち、かかる高温高湿環境下において、10万枚の画像評価パターンを印字し、以下の基準に沿って、10万枚印刷後のかぶりを評価した。なお、ここでかぶりとは、非画像部の濃度とベースペーパーの濃度との濃度差を意味する。
よって、画像評価パターンのない非画像部の濃度を、反射濃度計(東京電色社製TC−6D)を用いて測定した。より具体的には、非画像部の任意の9箇所での濃度測定を行い、その平均値を算出してかぶり評価の基準とした。得られた結果を表1に示す。
○:濃度差が0.008未満の値である。
×:濃度差が0.008以上の値である。
実施例2においては、中間層用塗布液を以下のようにして作成して、中間層の形成に使用したほかは、実施例1と同様に、電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1及び図7に示す。
すなわち、容器内に、実施例1で使用したSMT−02を150重量部と、MT−05を100重量部と、メタノール600重量部と、ブタノール150重量部と、予めメタノール200重量部及びブタノール50重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を50重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径1mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、1次分散液とした。
次いで、メタノール200重量部と、ブタノール50重量部の割合で溶解させたCM8000を50重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
実施例3においては、中間層用塗布液を以下のようにして作成して、中間層の形成に使用したほかは、実施例1と同様に、電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1及び図8に示す。
すなわち、容器内に、実施例1で使用したSMT−02を150重量部と、MT−05を100重量部と、メタノール600重量部と、ブタノール150重量部と、予めメタノール240重量部及びブタノール60重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を60重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径1mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、1次分散液とした。
次いで、メタノール160重量部と、ブタノール40重量部の割合で溶解させたCM8000を40重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
比較例1においては、中間層用塗布液を以下のようにして作成して、中間層の形成に使用したほかは、実施例1と同様に、電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1及び図9に示す。
すなわち、容器内に、実施例1で使用したSMT−02を150重量部と、MT−05を100重量部と、メタノール10重量部と、ブタノール250重量部と、アミランCM8000を100重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて10時間混合して、中間層用塗布液とした。
比較例2においては、中間層用塗布液を以下のようにして作成して、中間層の形成に使用したほかは、実施例1と同様に評価したが、中間層用塗布液がゲル状であったため、形成された中間層は、不安定なものであった。したがって、中間層上に感光層を積層し、電子写真感光体を作製することはできなかった。よって、電子写真感光体における電気特性の評価は実施できなかった。得られた結果を表1及び図10に示す。
すなわち、容器内に、実施例1で使用したSMT−02を150重量部と、MT−05を100重量部と、メタノール600重量部と、ブタノール150重量部とを加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、1次分散液とした。
次いで、メタノール400重量部と、ブタノール1重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を100重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
比較例3においては、中間層用塗布液を以下のようにして作成して、中間層の形成に使用したほかは、実施例1と同様に、電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1及び図11に示す。
すなわち、容器内に、実施例1で使用したSMT−02を150重量部と、MT−05を100重量部と、メタノール600重量部と、ブタノール150重量部と、予めメタノール40重量部及びブタノール10重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を10重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径1mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、1次分散液とした。
次いで、メタノール360重量部と、ブタノール90重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を90重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
比較例4においては、中間層用塗布液を以下のようにして作成して、中間層の形成に使用したほかは、実施例1と同様に、電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1及び図12に示す。
すなわち、容器内に、実施例1で使用したSMT−02を25重量部と、メタノール500重量部と、ブタノール125重量部と、予めメタノール40重量部及びブタノール10重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を10重量部と、を加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて1時間混合して、1次分散液とした。
次いで、メタノール460重量部と、ブタノール115重量部の割合で溶解させたアミランCM8000を90重量部とを加えた後、ビーズミルを用いて1時間混合して、中間層用塗布液とした。
*比較例2においては、中間層用塗布液がゲル状であり、形成された中間層が不安定であった。そのため、中間層上に感光層を均一に積層して感光体を形成することが困難であったため、感光体の電気特性を測定し、評価することができなかった。
また、本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、中間層用塗布液等の保存安定性が向上するため、中間層のみならず感光体層についても、容易かつ安定的に製造することができようになった。したがって、電気特性が安定した電子写真感光体を経済的に得ることができるようになった。
Claims (6)
- 支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、前記中間層が、
数平均一次粒子径が0.005〜0.05μmである酸化チタンと、結着樹脂とを含むとともに、
前記酸化チタンが下記酸化チタン(a)および(b)を含み、
前記中間層に含まれる酸化チタンの添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、200〜300重量部の範囲内の値とし、かつ、
前記中間層の波長550nmの光に対する厚さ2μm当たりの反射吸光度を0.05以下の値とすることを特徴とする電子写真感光体。
(a)アルミナおよびシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン
(b)アルミナおよびシリカで表面処理した酸化チタン - 前記中間層に含まれる結着樹脂の平均分子量を1,000〜50,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記支持基体上に、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体の製造方法であって、
結着樹脂と、有機溶剤とを含む結着樹脂溶液中に、数平均一次粒子径が0.005〜0.05である下記酸化チタン(a)および(b)を含む酸化チタンを前記結着樹脂100重量部に対して200〜300重量部の範囲内で添加して分散させて、前記中間層を形成するための中間層用塗布液を製造する工程と、
当該中間層用塗布液を用いて、波長550nmの光に対する厚さ2μm当たりの反射吸光度が0.05以下の中間層を形成する工程と、を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(a)アルミナおよびシリカで表面処理した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン
(b)アルミナおよびシリカで表面処理した酸化チタン - 前記中間層用塗布液の製造に際して、下記工程(A)〜(B)を含むことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
(A)前記酸化チタンを、中間層を構成する全結着樹脂量の31〜65重量%に該当する結着樹脂を溶解させてなる結着樹脂溶液中に添加して、一次分散液とする工程
(B)前記一次分散液に対して、全結着樹脂量の35〜69重量%に該当する結着樹脂を溶解させて、前記中間層用塗布液とする工程。
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