JP4036458B2 - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents
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Description
(1)帯電工程において、感光体に正負いずれかの電荷が付加されるのに伴い、支持基体に逆極性の電荷が発生するが、中間層がない場合、その発生した電荷が感光体層に注入されるため、感光体の帯電性低下の原因となる。
(2)支持基体上に感光体層を直接塗布した場合、結着樹脂の種類や塗布条件によっては、感光体層が支持基体上に十分接着しない。
(3)支持基体表面に傷などの欠陥があると、画像上に黒点が発生しやすい。
例えば、図7に示すように、支持基体101cと、中間層(下引き層)101bと、感光体層101aとを備えた電子写真感光体101であって、中間層101bが、フェノール系樹脂と、ポリビニルアセタール樹脂と、電子輸送性有機顔料と、を含有することを特徴とする電子写真感光体101を備えた画像形成装置100が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、中間層の膜厚を均一化するために支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、中間層が、フェノール系樹脂と、所定の分子量を有する電荷輸送性材料と、を含有することを特徴とする電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。なお、図8(a)および(b)に、電荷輸送剤(電子輸送剤および正孔輸送剤)の平均分子量と、中間層の膜厚差との関係を示す。
また、特許文献2に記載された電子写真感光体は、電気特性や画像特性に優れているものの、使用可能な電荷輸送剤の平均分子量が400〜1000の範囲に制限され、その範囲外の電荷輸送剤を使用することが困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、ポリビニルアセタール樹脂を皮膜形成剤としてフェノール系樹脂に対して添加するとともに、フェノール系樹脂の含有率を所定範囲内の値にすることにより、正孔輸送剤の平均分子量にかかわらず、中間層の膜厚を均一化するとともに、優れた電気特性や画像特性が得られることを見出した。
すなわち、平均分子量が異なる種々の正孔輸送剤を用いた場合であっても、中間層の膜厚が均一になるとともに、優れた電気特性や画像特性を有する電子写真感光体、およびそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
より具体的には、支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、中間層が、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有するとともに、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2としたときに、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80重量%の範囲内の値とし、さらに、正孔輸送剤の平均分子量を1,000〜2,000の範囲内の値とするか、あるいは、正孔輸送剤の添加量を、フェノール樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
より具体的には、支持基体と、中間層と、感光体層とを有する電子写真感光体を備えた画像形成装置であって、中間層が、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有するとともに、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2としたときに、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80重量%の範囲内の値とし、さらに、正孔輸送剤の平均分子量を1,000〜2,000の範囲内の値とするか、あるいは、正孔輸送剤の添加量を、フェノール樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする画像形成装置である。
また、本発明の電子写真感光体によれば、正孔輸送剤の平均分子量を所定範囲の値とすることにより、中間層の膜厚差を小さくすることができるばかりか、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後であっても、感光体層における帯電電位を安定させ、所定の感度特性を維持することができる。
また、本発明の別の態様の電子写真感光体によれば、正孔輸送剤の添加量を所定範囲の値とすることにより、電荷発生層で形成された電子を速やかに支持基体側に移動させることができる。したがって、中間層中に電子が蓄積することを有効に防止して、電子写真感光体全体として、残留電位の上昇を防止することができるとともに、安定した電気特性を示すことができる。また、正孔輸送剤の添加量を所定範囲の値とすることにより、中間層の成膜性や機械的特性についてもさらに向上させることができる。
また、水酸基を有する皮膜形成樹脂の平均分子量をこのような所定範囲の値とすることにより、得られた中間層の機械的強度や接着性についても、より優れたものとすることができる。したがって、感光体の耐磨耗性や耐久性を著しく向上させることができる。
また、水酸基を有する皮膜形成樹脂の溶液粘度を適度な値とすることにより、顔料等の分散性についても向上させることができる。
また、フェノール系樹脂のゲルタイムを所定範囲の値とすることにより、電子写真感光体の製造条件の管理についても容易となる。
以下、本発明の第1の実施形態である電子写真感光体について具体的に説明する。
図1および図2に例示する支持基体13としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄等の金属材料の他に、表面に金属を蒸着するか導電性粉を分散した塗膜を形成するなどして、導電化処理されたプラスチックや紙等を用いることができる。
また、干渉縞の発生防止のためには、エッチング、陽極酸化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて、支持基体の表面に粗面化処理を行うことが好ましい。
図1および図2に例示するように、支持基体13上に、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有する中間層12を設けることを特徴とする。
ここで、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂とからなる混合樹脂は、反応して硬化するものであるから、その成膜後には、中間層の上に、電荷発生層や電荷輸送層を形成するための塗布液を塗布した際にも溶出することがない。
また、かかる混合樹脂は、構成成分として水酸基を有する皮膜形成樹脂を含有していることから、所定の粘度を有しており、図3に示すように、正孔輸送剤の平均分子量にかかわらず均一な厚さの中間層を形成することができる。
また、かかる混合樹脂は、水酸基を有する皮膜形成樹脂を含有していることから、顔料等の分散性にも優れている。
また、かかる混合樹脂は、正孔輸送剤を含有していることから、電荷発生層で形成された電子を速やかに基体側に移動させ、中間層中に電子が蓄積して残留電位の上昇を防止することができ、安定した電気特性を示すことができる。
本発明に使用されるフェノール系樹脂としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−アルキルフェノール、p−フェニルフェノール、クロルフェノール、ビスフェノールA、フェノールスルホン酸、レゾルシン等のフェノール性水酸基を有する化合物に対して、ホルムアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類を付加重合させた樹脂、または上述したフェノール等に対して、加熱した場合にホルムアルデヒドを発生するヘキサメチレンテトラミンを添加して構成した樹脂や、さらには、上述したフェノール等に対して、酸性で開環してアルデヒド基を有するアセタール類を付加重合した樹脂等が挙げられる。
また、使用するフェノール系樹脂のゲルタイム(測定温度:150℃)を30〜180sec.の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようなゲルタイムを有するフェノール系樹脂を使用することにより、水酸基を有する皮膜形成樹脂との間の相溶性や反応性が向上し、均一な厚さであって、強度に優れた硬化膜を形成することができるためである。
また、このようなゲルタイムを有するフェノール系樹脂を使用することにより、電子写真感光体の製造条件の管理についても容易となるためである。
なお、かかるフェノール系樹脂のゲルタイムについては、いわゆるゲルタイマーを用いて、糸引き現象が始まるゲル化開始温度として、測定することができる。
水酸基を有する皮膜形成樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂であることが好ましい。
例えば、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂は、総称してポリビニルアセタール樹脂と呼ばれることがあるが、その構造中に、ビニルアセタール50〜75モル%、ポリビニルアルコール10〜50モル%およびポリ酢酸ビニル0〜15モル%を含有するものが好ましい。
また、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にブチルアルデヒドを反応させることにより得られ、ポリビニルホルマール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にホルムアルデヒドを反応させることにより得ることができるが、これらの樹脂は、特に、フェノール系樹脂との相溶性に優れているとともに、フェノール系樹脂との反応性や接着性に優れていることから好ましい皮膜形成樹脂である。
この理由は、水酸基を有する皮膜形成樹脂の平均分子量が1,000未満になると、中間層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、添加する正孔輸送剤の平均分子量によっては、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、水酸基を有する皮膜形成樹脂の平均分子量が50,000を超えると、中間層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、中間層の厚さを制御することが困難になったり、電荷移動性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、水酸基を有する皮膜形成樹脂の平均分子量を2,000〜30,000の範囲内の値とすることがより好ましく、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、水酸基を有する皮膜形成樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することもできるし、あるいは、水酸基を有する皮膜形成樹脂が縮合系樹脂の場合には、その縮合度から計算により算出することもできる。
この理由は、水酸基を有する皮膜形成樹脂の溶液粘度が10mPa・sec.未満になると、中間層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、中間層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、水酸基を有する皮膜形成樹脂の溶液粘度が200mPa・sec.を超えると、フェノール系樹脂との間の相溶性を制御することが困難になったり、均一な厚さの中間層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、水酸基を有する皮膜形成樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=1/1溶剤中、5重量%濃度)を30〜180mPa・sec.の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜150mPa・sec.の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量が10mol%未満になると、フェノール系樹脂との間の反応性が著しく低下したり、中間層の機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したり、あるいは顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量が40mol%を超えると、フェノール系樹脂との間の相溶性を制御することが困難になったり、均一な厚さの中間層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量を20〜38mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかるフェノール系樹脂の含有率が10重量%未満の値になると、中間層の機械的強度、耐熱性あるいは硬さ等が著しく低下する場合があるためである。一方、かかるフェノール系樹脂の含有率が80重量%を超えると、均一な厚さを有す中間層として扱うことが困難になる場合があるためである。
すなわち、かかるフェノール系樹脂の含有率が所定範囲外の値になると、電荷発生層で形成された電子を速やかに基体側に移動させ、中間層中に電子が蓄積して残留電位の上昇を防止することが困難になるためである。
評価点5:成膜可能であり、5μm未満であってもフィルムとして扱うことが可能。
評価点4:成膜可能であり、5μm以上であればフィルムとして扱うことが可能。
評価点3:成膜可能であり、10μm以上であればフィルムとして扱うことが可能。
評価点2:成膜可能であり、20μm以上であればフィルムとして扱うことが可能。
評価点1:成膜可能であり、30μm以上であればフィルムとして扱うことが可能。
評価点0:全く成膜することができず、フィルムとして扱うことができない。
かかる図4に示される評価結果から、中間層におけるフェノール系樹脂の含有率が80重量%以下であれば、成膜可能であり、所定の厚さにおいてフィルムとして扱うことが可能であることが理解される。また、図5に示すように、中間層におけるフェノール系樹脂の含有率が80重量%以下であれば、中間層を形成した場合の膜厚差についても小さくなることが判明している。
したがって、成膜性評価等から、中間層におけるフェノール系樹脂の含有率を10〜80%の範囲内の値とすることの上限を規定する理由が理解できる。
中間層に含有させる正孔輸送剤としては、従来公知の種々の化合物を使用することができる。具体的に、ベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物、スチリル系化合物、カルバゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、およびジフェニレンジアミン系化合物の一種単独または二種以上の組合せが挙げられる。
中間層に含有させる正孔輸送剤の平均分子量を1,000〜2,000の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、このような分子量範囲の正孔輸送剤を用いることにより、中間層の膜厚差が小さくなるばかりか、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後であっても、感光体層における帯電電位が安定しており、また、所定の感度特性を維持することができるためである。
また、このような分子量範囲の正孔輸送剤であれば、取り扱いが容易であるばかりか、結晶化も少なく、耐久性にも優れているためである。
したがって、下記正孔輸送剤の具体例のうち、下記式(1)〜(5)で表される化合物は、平均分子量が1,000〜2,000の範囲内の値であって特に好ましい化合物である。
また、中間層中には、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する目的、分散性向上等の目的により、電子輸送性顔料とは異なる各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を添加することが好ましい。
特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素系樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が好ましい添加剤である。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、中間層は膜厚を厚くすることによって、支持基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する方向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する方向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、中間層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に正孔輸送剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を形成することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
(1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生剤を真空蒸着により形成するか、有機溶剤および結着樹脂と共に分散させて、塗布することにより形成することが好ましい。
このような電荷発生剤としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−砒素合金、その他のセレン化合物およびセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電材料、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等の各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、芳香族多環化合物系、アゾ系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、これらの有機顔料は、一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料では、α、β等を始めとして各種の結晶型が知られているが、目的に適合した感度が得られる顔料であれば、いずれの結晶型でも用いることができる。
また、電荷発生層の膜厚は、一般には0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲の値とすることが好ましい。
さらに、電荷発生剤を結着樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミル等の方法を用いることができる。
また、電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤および電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
このように電荷輸送層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。
また、電荷輸送剤と、結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲内の値に設定することが好ましい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。
本発明の第2の実施形態は、支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、中間層が、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2として、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80%の範囲内の値とし、さらに、正孔輸送剤の平均分子量を1,000〜2,000の範囲内の値とするか、あるいは、正孔輸送剤の添加量を、フェノール樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする画像形成装置である。以下、第1の実施形態の説明と異なる点を中心に具体的に説明する。
図6に、本発明に係る画像形成装置50の基本構成を示す。かかる画像形成装置50は、ドラム型の感光体10を備えており、この感光体10の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、一次帯電器14a、露光装置14b、現像器14c、転写帯電器14d、分離帯電器14e、クリーニング装置18、および除電器23が順次に配設されて構成されている。
また、記録材Pを矢印Bで示す搬送方向に沿って、その上流側から順に、給紙ローラ19a、19bおよび搬送ベルト21によって搬送し、その途中に、トナーを定着させて画像形成するための定着ローラ22aおよび加圧ローラ22bが配設されている。
そして、感光体10は、第1の実施形態で説明した所定の中間層12を支持基体13上に備えている。したがって、均一な厚さを有する中間層であるとともに、長時間にわたって、優れた電気特性や画像特性を示すことができる。
次いで、図6を参照しながら、画像形成装置50の基本動作を説明する。
まず、かかる画像形成装置50の感光体10を、駆動手段(図示せず)によって、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させるとともに、その表面を一次帯電器14aによって所定の極性および電位に帯電させる。例えば、導電性弾性ローラを感光体表面に接触させる方式の場合には、1〜2KV程度の直流電圧を印加して、50〜2000Vに正帯電させることが好ましい。
次いで、レーザー、LED等の露光装置14bにより、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、光を照射して、感光体10の表面を露光する。この露光により、感光体10の表面に静電潜像が形成される。
次いで、感光体10上に形成されたトナー像は、記録材Pに転写される。この記録材Pは、給紙カセット(図示せず)から、給紙ローラ19a、19bによって給紙された後、感光体10上のトナー像とタイミングが同期するように調整して、感光体10と転写帯電器14dとの間の転写部に供給される。そして、感光体10上のトナー像は、転写帯電器14dに、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材P上に確実に転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体10はそのまま回転を続け、転写時に記録材Pに転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、クリーニング装置18によって除去されるとともに、感光体10は、次の画像形成に供されることになる。
そして、上述したように、感光体10は、第1の実施形態で説明した所定の中間層12を支持基体13上に備えているため、長時間にわたって、優れた電気特性や画像特性を示すことができる。
1.電子写真感光体の作成
(1)中間層の作成
容器内に、レゾール型フェノール系樹脂として、J325(大日本インキ(株)製)50重量部と、ポリビニルブチラール樹脂として、エスレックBM−5(積水化学(株)製)50重量部と、正孔輸送剤として、式(1)で表されるスチルベン誘導体(HTM−1)10重量部と、分散媒としてのメタノール100重量部と、を収容した後、ボールミル(メディア:直径1mmのジルコニアボール)を用いて24時間混合して、中間層用塗布液を作成した。
次いで、30mmφのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、150℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚10μmの中間層を形成した。
なお、この段階で、アルミニウム素管の上端から20mmの箇所と、下端から20mmの2箇所における膜厚差を測定した。すなわち、接触式渦電流型膜厚計を用いて、中間層の該当箇所において、それぞれの円周方向に対して30rad間隔で12箇所測定し、さらに同一箇所の膜厚を3回繰り返し測定して、合計36回の測定値から平均値を求め、2箇所の平均値の差を中間層の膜厚差(μm)とした。
一方、攪拌容器内に、電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン3.5重量部、正孔輸送剤として、式(1)で表されるスチルベン誘導体(HTM−1)60重量部と、電子輸送剤として、下記式(8)で表されるキノン誘導体(ETM−1)30重量部と、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂パンライトTS2050(帝人化成(株)製)100重量部と、テトラヒドロフラン750重量部とを収容した後、20時間攪拌混合して、感光体用塗布液を作成した。
次いで、得られた感光体用塗布液を、中間層上に、フッ素樹脂ブレードを用いて塗布した。その後、110℃、30分の条件で加熱処理を行って、膜厚30μmの単層型の感光体層を形成し、電子写真感光体とした。
(3)−1 感度測定および帯電量測定
得られた電子写真感光体を、複写機Creage7340(京セラミタ(株)製)に装着して複写操作を行った。その際の電子写真感光体における初期感度、初期帯電量、およびN/N環境(25℃、50%RH)で、A4紙を1万枚連続印刷した後の、電子写真感光体における感度および帯電量を測定した。得られた結果を表1に示す。
その結果、実施例1の電子写真感光体は、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後であっても、感光体層における帯電電位が安定しており、また、所定の感度特性を維持することが確認された。
得られた電子写真感光体の画像評価を、感度測定および帯電量測定と同様に実施した。すなわち、得られた電子写真感光体を、複写機Creage7340(京セラミタ(株)製)に搭載し、A4紙の連続印刷を1万枚行い、下記基準に準じて、画像評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
◎:カブリや濃度不良が全く観察されない。
○:カブリや濃度不良がほとんど観察されない。
△:カブリや濃度不良が少々観察されるが、実使用上問題無い。
×:顕著なカブリや濃度不良が観察される。
実施例2〜5においては、実施例1における正孔輸送剤(HTM−1)の代わりに、平均分子量が1000以上の正孔輸送剤(HTM−2〜HTM−5)をそれぞれ同量用い、実施例6においては、実施例1における正孔輸送剤(HTM−1)の添加量を5重量部に低下させたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
その結果、実施例2〜6の電子写真感光体は、いずれも初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後であっても、感光体層における帯電電位が安定しており、また、所定の感度特性を維持することが確認された。
実施例7〜8においては、実施例1における正孔輸送剤(HTM−1)の代わりに、平均分子量が1000以下の正孔輸送剤(HTM−6、HTM−7)を同量用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
その結果、実施例7〜8の電子写真感光体は、中間層の膜厚差が若干大きかった。また、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後の感光体層における帯電電位が若干上昇しており、また、所定の感度特性についても若干低下する傾向が見られた。さらに、画像評価においても、実施例1等と比較すると、評価結果が低下する傾向が見られた。
比較例1においては、中間層に実施例1におけるフェノール系樹脂の添加量100重量部に用い、ポリビニルブチラール樹脂を全く添加しなかったほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して評価した。
また、比較例2においては、中間層に正孔輸送剤を全く添加しなかったほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して評価した。
また、比較例3においては、中間層に正孔輸送剤のかわりに、式(8)で表される電子輸送剤(ETM−1)を添加したほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して評価した。
その結果、比較例1〜3の電子写真感光体は、中間層の膜厚差が大きく、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後の感光体層における帯電電位が上昇しており、また、所定の感度特性についても低下する傾向が見られた。さらに、画像評価においても、実施例1等と比較すると、評価結果が著しく低下する傾向が見られた。
実施例9〜14においては、レゾ−ル型フェノール系樹脂を10〜80重量部、ポリビニルブチラール樹脂を90〜20重量部の範囲内でそれぞれ変えて添加したほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して評価した。得られた結果を表2に示す。
したがって、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高耐久性化、高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
11:感光体層
11´:表面保護層
12:中間層
13:支持基体
14a:一次帯電器
14b:露光装置
14c:現像器
14d:転写帯電器
14e:分離帯電器
18:クリーニング装置
18a:クリーニングブレード
19a、19b:給紙ローラ
21:搬送ベルト
22a:定着ローラ
22b:加圧ローラ
23:除電器
32:電荷輸送層
34:電荷発生層
50:画像形成装置
100:画像形成装置
101:電子写真感光体
101a:感光体層
101b:中間層
101c:支持基体
102:電源
103:帯電器
104:画像入力装置
105:現像器
106:圧力転写器
107:用紙
108:定着装置
109:クリーナー装置
110:除露光器
Claims (10)
- 支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、前記中間層が、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有するとともに、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2としたときに、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80重量%の範囲内の値とし、かつ、前記正孔輸送剤の平均分子量を1,000〜2,000の範囲内の値とすることを特徴とする電子写真感光体。
- 支持基体と、中間層と、感光体層とを備えた電子写真感光体であって、前記中間層が、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有するとともに、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2としたときに、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80重量%の範囲内の値とし、かつ、前記正孔輸送剤の添加量を、前記フェノール樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記水酸基を有する皮膜形成樹脂の平均分子量を1,000〜50,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記水酸基を有する皮膜形成樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=1/1溶剤中、5重量%濃度)を10〜200mPa・sec.の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記水酸基を有する皮膜形成樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記フェノール系樹脂のゲルタイム(測定温度:150℃)を30〜180sec.の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光体層が、結着樹脂と、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、を含有する単層構造であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 支持基体と、中間層と、感光体層とを有する電子写真感光体を備えた画像形成装置であって、前記中間層が、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有するとともに、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2としたときに、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80重量%の範囲内の値とし、かつ、前記正孔輸送剤の平均分子量を1,000〜2,000の範囲内の値とすることを特徴とする画像形成装置。
- 支持基体と、中間層と、感光体層とを有する電子写真感光体を備えた画像形成装置であって、前記中間層が、フェノール系樹脂と、水酸基を有する皮膜形成樹脂と、正孔輸送剤と、を含有するとともに、フェノール系樹脂の添加量をA1、水酸基を有する皮膜形成樹脂の添加量をA2としたときに、フェノール系樹脂の含有率(A1/(A1+A2)×100)を10〜80重量%の範囲内の値とし、かつ、前記正孔輸送剤の添加量を、前記フェノール樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする画像形成装置。
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