JP3367318B2 - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置

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JP3367318B2 JP01626796A JP1626796A JP3367318B2 JP 3367318 B2 JP3367318 B2 JP 3367318B2 JP 01626796 A JP01626796 A JP 01626796A JP 1626796 A JP1626796 A JP 1626796A JP 3367318 B2 JP3367318 B2 JP 3367318B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改善された下引き層を
有する電子写真感光体、およびそれを用いる画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真装置は、高速でかつ高印字品質
が得られ、複写機およびレーザービームプリンター等の
分野において利用されている。電子写真装置に用いられ
る感光体として、有機の光導電材料を用いた有機感光体
(OPC)の開発が進められ、普及している。また感光
体の構成も電荷移動型錯体構造や電荷発生材料を結着樹
脂中に分散させた単層型の感光体から、電荷発生層と電
荷輸送層とを分離した機能分離型の感光体構成へと変遷
し、性能が向上してきた。この機能分離型感光体構成に
おいて、現在では、アルミニウム基体の上に、下引き層
を形成し、その後、電荷発生層および電荷輸送層を形成
する構成が主流となっている。
【0003】電子写真装置の進歩に伴ない、感光体の性
能について、より高品位な画質が要求されるようになっ
てきた。感光体の繰り返し安定性や環境安定性の改善に
対しては、電荷発生層、電荷輸送層および下引き層のい
ずれの層も感度、画質や繰り返し安定性などの電子写真
特性のそれぞれに重要な影響を与えている。さらに基体
は、コスト低減や画質欠陥の改善などを目的として、押
出し管やED管、EI管など、各種のものが用いられる
ようになってきた。さらに、干渉縞低減のために、基体
の表面を粗面化処理する方法も検討が行われてきた。
【0004】しかしながら、基体の表面には晶出物やピ
ックアップ、凹み等の多数の欠陥を有している。例え
ば、低コストパイプとして用いられているED管にはピ
ックアップといわれるアルミニウム基体表面のむしれが
存在している。このような表面欠陥があると、感光体の
成膜状態に不均一な箇所が生じ、感光体を帯電する時に
局所的な電場の集中を引き起こし、電荷リークを引き起
こす原因となっている。さらに帯電ロールを用いる接触
帯電プロセスに用いた場合には、導電性基体の上記表面
欠陥もしくは塗膜欠陥が原因となり、帯電ロールとの間
で電荷リークが生じ、リーク点に黒点または白点状のス
ポット欠陥を引き起こす。この現象が著しい場合には帯
電ロール自体の帯電能の低減を引き起こし、感光体の軸
方向全体に及ぶ帯電不良をきたしてしまう。
【0005】また、感光体によっては、干渉縞を防止す
るためにアルミニウム基体にホーニング、粗切削、エッ
チング処理等を施して粗面化する場合があるが、粗面化
したことにより局所的に基体表面に異常突起を引き起こ
してしまう場合がある。この場合においても画質欠陥が
生じ、帯電ロールと感光体との接触において電流リーク
が生じることが問題となっている。これらの問題に対
し、基体表面に十分な基体隠蔽能力とキャリアブロッキ
ング性を有する下引き層を形成したり、導電層を形成
し、基体の欠陥を隠蔽する方法が効果的である。
【0006】基体表面に形成する下引き層としては、各
種の樹脂、例えば、特開昭52−10138号公報には
マレイン酸エステル共重合体が、特開昭52−2083
6号公報にはポリエステル樹脂が、特開昭52−256
638号公報には共重合ナイロンが、特開昭52−10
0240号公報にはポリビニルアルコールが、特開昭5
2−121325号公報にはエポキシ樹脂が、また特開
昭54−26379号公報にはスチレンブタジエン樹脂
が開示されている。しかしながら、これらの樹脂単独で
下引き層を形成した場合には、電気特性において残留電
位の増加や環境変動の増大等の2次障害を生じ、また黒
点もしくは白点等の画質欠陥の改善効果も十分なレベル
ではないことが多かった。
【0007】また、下引き層の樹脂中に金属酸化物微粒
子や金属微粒子を添加することにより、下引き層の抵抗
を低減し、電気特性の向上と画質の改善を目的とする試
みもなされている。しかしながら、金属酸化物や金属微
粒子を添加した場合には、下引き層中に導電路を形成
し、基板側からホールの注入を引き起こすことによりか
ぶりや白抜けなどの問題を有している。また、例えば、
酸化錫や酸化アンチモンおよびこれらの混合物等の低抵
抗微粒子を樹脂中に分散させて電気特性の安定化をはか
ることも試みられているが、この場合には、基体側から
ホールの注入に対する抵抗性がなく、白抜け、かぶり等
の画質欠陥を生じる問題がある。また、金属酸化物微粒
子等を分散させる樹脂として、ウレタン樹脂、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂は、ブチラール樹脂
と比較して十分な分散性が得られない。また、ブチラー
ル樹脂とイソシアネートを混合した硬化膜は、特開昭6
2−276560〜276563号公報等に開示されて
いるが、一般にイソシアネートを用いた場合には、繰り
返し使用や環境の変化により感光体の残留電位の上昇を
きたす場合が多い。
【0008】また、帯電ロールを用いる接触帯電プロセ
スに用いた場合には、通常のスコロトロンを用いた場合
では画質欠陥を生じない感光体においても、帯電ロール
との間で電荷リークが生じやすく、このため黒点または
白点状のスポット欠陥を引き起こしたり、著しい場合に
は、帯電ロール自体の帯電能の低減を引き起こし、感光
体の軸方向全体に及ぶ帯電不良をきたしてしまう。この
リークを防止するためには、下引き層をなるべく厚膜化
することが有効であるが、従来の下引き層の材料では1
μm程度の膜厚までは良好な電気特性が得られても、さ
らに厚膜化すると残留電位が著しく上昇し、使用に耐え
得ないレベルになってしまうのが通常であった。接触帯
電ロールによる電流リークが生じないようにするために
は、下引き層の膜厚は3μm程度以上に厚くすることが
望まれるが、このように厚膜化しても、電気特性や画質
などにおいて障害のない下引き層が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実情に鑑みてなされたものであっ
て、本発明の目的は、電気特性に優れ、また画質欠陥の
少ない電子写真感光体を提供することにある。本発明の
他の目的は、接触帯電方式の画像形成方法に使用した際
に、画質欠陥のない画像を形成することができる電子写
真感光体、およびそれを用いる画像形成装置を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高画質で
電気特性への悪影響のない下引き層形成用材料について
検討した結果、特定の電子輸送性有機顔料とポリビニル
アセタール樹脂とエポキシ樹脂とを含有させることによ
って上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】本発明は、導電性基体と感光層との間に下
引き層を設けた電子写真感光体において、その下引き層
が電子輸送性有機顔料とポリビニルアセタール樹脂とエ
ポキシ樹脂とを含有し、該電荷輸送性有機顔料がペリレ
ンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料、多環キノン顔
料、アントラキノンアクリドン顔料またはナフタレンテ
トラカルボン酸ジイミダゾール顔料であることを特徴と
する。
【0012】本発明において、ポリビニルアセタール樹
脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく用い
られる。また、電子輸送性有機顔料としては、多環キノ
ン顔料、ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料
またはナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料
が好ましく用いられる。
【0013】本発明の画像形成装置は、電子写真感光体
と帯電器とを有するものであって、その電子写真感光体
が上記したものより構成され、帯電器が電子写真感光体
の表面に接触させ、外部より電荷を供給するものである
ことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性
基体の上に下引き層が形成され、さらにその上に電荷発
生層および電荷輸送層の順に積層して感光層が形成され
た構成を有している。
【0015】導電性基体としては、銅、アルミニウム、
ニッケル、鉄等の金属の他に、表面に金属を蒸着するか
導電性粉を分散した塗膜を形成するなどにより導電化処
理されたプラスチック或いは紙等の筒状、ベルト状或い
はシート状の基体を用いることができる。また、干渉縞
防止のために、導電性基体表面は、エッチング、陽極酸
化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング
法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて粗面化処
理を行うことができる。
【0016】上記の導電性基体の上には、下引き層が設
けられるが、本発明における下引き層は、少なくとも
記の電子輸送性有機顔料とポリビニルアセタール樹脂と
エポキシ樹脂とを含有するために、次のような優れた作
用を示す。すなわち、ポリビニルアセタール樹脂とエポ
キシ樹脂とからなる樹脂混合物は、反応して硬化するた
め硬化膜が形成され、したがって、成膜後は電荷発生層
および電荷輸送層を生成する塗布液の塗布においても溶
出することがない。また、この樹脂混合物は構成成分と
してポリビニルアセタール樹脂を含有しているために有
機顔料に対する分散性に優れている。さらにこの樹脂混
合物中に上記の電子輸送性有機顔料が添加されているこ
とにより、下引き層が、基体からのホールの注入に対し
て十分な抵抗層として働くために、注入に起因する画質
欠陥を防止することができる。すなわち、電荷発生層で
形成された電子を速やかに基体側に移動させ、下引き層
中に電子が蓄積して残留電位の上昇を妨げることがで
き、安定した電気特性が得られる。したがって、従来の
酸化錫や酸化アンチモン或いはそれらの混合物等の低抵
抗微粒子を含有させた場合における基体側からのホール
の注入に対する抵抗性がないと言う問題が解決される。
【0017】本発明において、ポリビニルアセタール樹
脂としては、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニ
ルホルマール樹脂等が使用される。ポリビニルブチラー
ル樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にブチルアルデヒ
ドを反応させることにより得られ、また、ポリビニルホ
ルマール樹脂は、ホルムアルデヒドを反応させることに
よって得られる。これらのポリビニルアセタール樹脂に
おいて、その構造中にビニルアセタール単位は50〜7
5モル%、ビニルアルコール単位は10〜50モル%。
酢酸ビニル単位は0〜15モル%が含有されるものが好
ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂の中では、分
散性や電気特性等の点で、ポリビニルブチラール樹脂が
より好ましい。
【0018】本発明において使用するエポキシ樹脂とし
ては、少なくともエポキシ基を2個以上有する化合物が
使用される。その代表的なものとしては、ビスフェノー
ルAとエピクロルヒドリンの縮合生成物である、いわゆ
るビスフェノールAエポキシ樹脂があげられる。その
他、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルソク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂等が使用できる。
【0019】本発明において、下引き層には上記の電子
輸送性有機顔料が使用されるが、有機顔料が正孔輸送性
であるか電子輸送性であるかは、正孔の輸送性が高いか
電子の輸送性が高いかによって判別される。より具体的
な判別法としては、例えば、判別すべき有機顔料を結着
樹脂に分散した数μm〜10μm程度の塗膜を正帯電お
よび負帯電の両者で帯電を行い、いずれの帯電電極の方
がより高い感度を示すかにより判別するものであって、
負帯電の方が高い感度を示せば電子輸送性有機顔料と判
別する。また、有機顔料によっては、顔料単一ではキャ
リアを生成できないものがある。この場合の判別方法と
して、判別すべき有機顔料を結着樹脂に分散した数μm
〜10μm程度の塗膜上に、異なる材料からなるサブミ
クロンオーダーの電荷発生層を成膜し、電荷発生層が感
度を有する波長の光照射を行ってキャリアを形成するこ
とにより、下層の輸送極性を求めたい有機顔料にキャリ
アを注入させ、その際いずれの帯電極性でより大きな電
位減衰を生じるかによって判別する方法である。またそ
の他の方法として、有機顔料を分散した数μm〜10μ
m程度の塗膜上に、サブミクロン〜1μm程度の薄い電
荷輸送層を成膜し、判別すべき有機顔料が感度を有する
光を照射することにより、顔料/薄層電荷輸送層界面で
キャリアを形成し、有機顔料層にキャリアを注入させ、
いずれの帯電極性でより大きな電位減衰を生じるかによ
って判別する。
【0020】
【0021】電子輸送性有機顔料の具体例として、ナフ
タレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料としては、
下記の例示化合物No.1−1〜No.1−6あげら
れ、ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料とし
ては、下記の例示化合物No.2−1〜No.2−7が
あげられ、アントラキノンアクリドン顔料としては、下
記の例示化合物No.3−1〜No.3−40があげら
れ、多環キノン顔料としては、下記の例示化合物No.
4−1〜No.4−41があげられる。
【0022】(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾ
ール顔料の具体例)
【化1】
【0023】
【0024】(ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾー
ル顔料の具体例)シル体およびシス体・トランス体混合
物については省略する。
【化3】
【0025】(アントラキノンアクリドン顔料の具体
例)
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】(多環キノン顔料の具体例)
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【0038】本発明において、上記の電子輸送性有機顔
料は、下引き層中に5〜90重量%の割合で含有させる
のが好ましい。これらの電子輸送性有機顔料は、通常、
粒径0.001〜0.5μmの範囲のものが使用され
る。
【0039】下引き層には、光散乱を生じさせて干渉縞
を防止する目的や、分散性向上の目的で、電子輸送性顔
料とは異なる各種の有機または無機微粉末を混合するこ
とができる。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、
鉛白、リトポン等の白色顔料や、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム等の体質顔料、テフロン樹脂粒子、ベンゾグア
ナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。添
加微粉末の粒径は、適宜に設定され、通常0.01〜3
μmのものが用いられる。粒径が3μmよりも大きすぎ
ると下引き層の凹凸が激しくなるために電気的に部分的
な不均一性が大きくなり、画質欠陥を生じやすくなる。
また、0.01μmよりも小さすぎると、十分な光散乱
効果が得られない。これら微粉末は所望に応じて添加さ
れるが、添加する場合には、下引き層の固形分に対して
重量比で1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量
%の範囲に設定される。
【0040】下引き層は膜厚を厚くすることによって、
支持体の凹凸の隠蔽性が高まるため、一般に膜厚を厚く
すると画質欠陥は低減する方向にあるが、電気的な繰り
返し安定性は悪くなるため、0.1〜3μmの範囲にあ
るのが好ましい。しかしながら、下引き層に電子輸送性
有機顔料を含有させた場合には、厚膜化を行っても電気
特性上の劣化が少ないので、10μmの範囲まで設定す
ることが可能である。さらに、膜厚が厚い方が、接触帯
電方式のような電流リークを生じやすい帯電方式におい
ても、リーク欠陥が生じにくくなる。したがって、本発
明において、下引き層の膜厚は2〜10μmの範囲に設
定することが可能である。
【0041】下引き層形成用塗布液の形成は、上記電子
輸送性顔料およびその他の微粒子を樹脂成分を含有する
液中に添加し、分散処理することによって行うことがで
きる。分散処理を行う方法としては、ロールミル、ボー
ルミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、
コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いるこ
とができる。
【0042】上記下引き層の上に形成させる電荷発生層
は、電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、または
有機溶剤および結着樹脂と共に分散し、塗布することに
より形成される。電荷発生材料としては、非晶質セレ
ン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素
合金、その他のセレン化合物およびセレン合金、酸化亜
鉛、酸化チタン等の無機系光導電材料、無金属フタロシ
アニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、
錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、クロロイ
ンジウムフタロシアニン等の各種フタロシアニン顔料、
スクエアリウム系、例えば、アントアントロン系、ペリ
レン系、アントラキノン系、ピレン系等の芳香族多環化
合物、アゾ系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各
種有機顔料および染料が用いられる。また、これらの有
機顔料は、一般に数種の結晶型を有しており、特にフタ
ロシアニン顔料では、α、β等を始めとして各種の結晶
型が知られているが、目的に適合した感度が得られる顔
料であれば、いずれの結晶型でも用いることができる。
【0043】電荷発生層における結着樹脂としては、次
のものを例示することができる。すなわち、ビスフェノ
ールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェ
ノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステ
ル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデ
ン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコン樹脂、シリコン
−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、
スチレン−アルキド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾー
ル等があげられる。
【0044】これらの結着樹脂は、単独または2種以上
混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着
樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範
囲が好ましい。また、電荷発生層の膜厚は、一般には
0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの
範囲に設定される。電荷発生材料を樹脂中に分散させる
方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミ
ル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイ
ドミル等の方法を用いることができる。
【0045】電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料とし
ては、下記のものが例示できる。2,5−ビス(p−ジ
エチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾー
ル等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェ
ニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフ
ェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル
−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級ア
ミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス
(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−
4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、
3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−
(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン
等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミ
ノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等
のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナ
ゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3
−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾ
フラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−
N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導
体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカル
バゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよび
その誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニ
ル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノ
キノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオ
レノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレ
ノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チ
オフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物
質;および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖
に有する重合体等をあげることができる。これらの電荷
輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用で
きる。
【0046】電荷輸送層に用いられる結着樹脂の例とし
ては、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル樹
脂、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ
またはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネート樹
脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、
ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素化ゴム等の絶縁
性樹脂或いはポリビニルカルバゾール、ポリビニルアン
トラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー
等があげられる。
【0047】電荷輸送層は、上記した電荷輸送材料およ
び結着樹脂を、適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、
乾燥することによって形成することができる。電荷輸送
層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ア
セトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、ク
ロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水
素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリ
コール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテ
ル、或いはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜
1:5の範囲が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、
一般に5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲
に設定する。電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性
ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的
で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添
加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤とし
ては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラ
フェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノ
ン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの
誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられ
る。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾト
リアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリ
ジン等の誘導体があげられる。
【0048】また、感度の向上、残留電位の低減、繰り
返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種
の電子受容性物質を含有させることができる。本発明の
電子写真感光体に使用可能な電子受容性物質としては、
例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水
マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル
酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタ
ン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、ク
ロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオ
レノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ
安息香酸、フタル酸等をあげることができる。これらの
うち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2
等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好
ましい。
【0049】塗工は、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビ
ード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法等の塗布
法を用いて行うことができる。乾燥は、加湿処理方法を
用いない場合には、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥す
るのが好ましい。加熱乾燥は、30〜200℃の温度で
5分〜2時間の範囲で行うのが望ましい。
【0050】感光層の上には、必要に応じて表面保護層
を形成することができる。表面保護層としては、絶縁性
樹脂保護層或いは絶縁性樹脂中に抵抗調製剤を添加した
低抵抗保護層がある。低抵抗保護層の場合には、例え
ば、絶縁性樹脂中に導電性微粒子を分散させた層があげ
られる。導電性微粒子としては、電気抵抗が109 Ω・
cm以下で白色、灰色もしくは青白色を呈する平均粒径
0.3μm以下、好ましくは0.1μm以下の微粒子が
適当であり、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステ
ン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジ
ウム、酸化錫とアンチモン或いは酸化アンチモンとの固
溶体または混合物、或いは単一粒子中にこれらの金属酸
化物を混合したもの、或いは被覆したものがあげられ
る。中でも、酸化錫、酸化錫とアンチモン或いは酸化ア
ンチモンとの固溶体は、電気抵抗を適切に調整すること
が可能であり、かつ保護層を実質的に透明にすることが
可能であるので好ましい(特開昭57−30847号公
報および特開昭57−128344号公報参照)。絶縁
性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエス
テル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等
の縮合系樹脂、およびポリビニルケトン、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド等のビニル重合体があげられ
る。
【0051】本発明の電子写真感光体は、ライトレンズ
系複写機、近赤外光または可視光に発光するレーザービ
ームプリンター、デジタル複写機、LEDプリンター、
レーザーファクシミリ等の電子写真装置に用いることが
できる。また、本発明の電子写真感光体には、一成分
系、二成分系の正規現像剤或いは反転現像剤のいずれを
用いてもよい。
【0052】次に、本発明の画像形成装置について説明
する。図1は、本発明の電子写真感光体を用いる画像形
成装置の一例を示すものであって、装置の外部に設けら
れた電源2から電圧が供給される帯電器3が、感光体ド
ラム1に表面に接触するように配設されている。感光体
ドラム1の周囲には、、画像入力装置4、現像器5、圧
力転写器または静電転写器6、クリーナー装置9、除露
光器10が設けられている。なお、7は用紙、8は定着
装置である。本発明の画像形成装置において、帯電器と
しては、帯電ロールが図示されているが、帯電ブラシ、
ブレード型のフィルム帯電器であってもよい。帯電器に
は装置の外部に設けられた電源2から直流電圧が印加さ
れるが、帯電の均一性を向上させるために直流電圧に交
流電圧を重畳して印加してもよい。
【0053】上記の画像形成装置を用いて画像形成を行
うためには、感光体ドラム1の表面を、装置の外部に設
けられた電源2から、一般に50〜2000Vの範囲の
直流電圧を印加した帯電器3により帯電させる。例え
ば、導電性弾性ローラーを感光体表面に接触させる方式
の場合には、数百V〜2KV程度の直流電圧を印加させ
ればよい。また、帯電の均一性を向上させるために、直
流電圧に交流電圧を重畳して帯電用部材に加えてもよ
い。次いで原稿像を照射する光学系や、レーザー、LE
D等の画像入力装置4からの光により露光し、静電潜像
を形成させる。形成された静電潜像は、現像器5によっ
てトナー可視化され、トナー像に変換させる。この場
合、現像は磁気ブラシ法を採用することができる。トナ
ー像は、その後、圧力転写器または静電転写器6によっ
て用紙7に転写され、定着装置8によって定着される。
一方、転写後の感光体ドラム1表面に残留したトナー
は、ブレードを用いたクリーナー装置9により除去さ
れ、そして感光体ドラム1表面に僅かに残った電荷は除
露光器10により消去される。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。さらにエポキシ樹脂(エピコ
ート828、シェル化学社製)8重量部を加えて攪拌し
た。さらにこの混合液に電子輸送性顔料(前記例示化合
物No.4−6)120重量部を加え、サンドミルにて
3時間分散処理を行い、下引き層形成用塗布液を得た。
この塗布液を、液体ホーニング処理によりRa=0.1
8μmに粗面化された30mmφのED管アルミニウム
基体の上にリング塗布装置を用いて塗布し、150℃で
1時間硬化処理を行って、膜厚5μmの下引き層を形成
した。電荷発生材料として、塩化ガリウムフタロシアニ
ン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(V
MCH、日本ユニカー社製)2重量部、酢酸ブチル18
0重量部からなる混合液をサンドミルによって4時間分
散処理した。得られた分散液を上記下引き層の上に浸漬
塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成
した。次に、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス
(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−
4,4′−ジアミン4重量部とビスフェノールZポリカ
ーボネート樹脂(分子量4万)6重量部とをクロルベン
ゼン80重量部に加えて溶解した。得られた溶液を、上
記電荷発生層の上に塗布し120℃で30分間乾燥し
て、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、3層からなる
電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体
を、接触帯電方式を有するプリンター(PC−PR10
00/4R、日本電気社製)に装着して複写操作を行っ
た。その際の電子写真感光体の残留電位および画質に関
して得られた結果を表1に示す。
【0055】なお、電子輸送性有機顔料の確認は次のよ
うにして行った。すなわち、上記実施例1において、導
電性基体上に本発明の下引き層、電荷発生層を成膜した
ドラムを用意した。このドラムをスコロトロンを用いて
−200Vに帯電して780nmの光照射を行い、電荷
発生層にて光キャリアを励起させたところ、10V・m
2 /mJの光減衰特性が得られた。一方、この同じドラ
ムを+200Vに帯電して同様の光照射を行っても全く
光減衰は認められなかった。したがって、この下引き層
に用いている有機顔料(例示化合物No.4−6)は電
子輸送性有機顔料であることが確認された。
【0056】比較例1 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)30重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。この塗布液を、液体ホーニン
グ処理によりRa=0.18μmに粗面化された30m
mφのED管アルミニウム基体の上に、リング塗布装置
を用いて塗布し、150℃で30分間乾燥処理を行っ
て、膜厚4μmの下引き層を形成した。さらに実施例1
と同様の方法で、電荷発生層および電荷輸送層を順次形
成し、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感
光体を実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表
1に示す。
【0057】比較例2 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール500重
量部と攪拌して混合した。さらにエポキシ樹脂(エピコ
ート828、シェル化学社製)8重量部を加え、攪拌し
て、さらにトリエチレンテトラミン1重量部を加え、下
引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニ
ング処理によりRa=0.18μmに粗面化された30
mmφのED管アルミニウム基体の上に、リング塗布装
置を用いて塗布し、150℃で1時間乾燥処理を行っ
て、膜厚5μmの下引き層を形成した。次いで実施例1
と同様の方法で、電荷発生層および電荷輸送層を順次形
成し、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感
光体を実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表
1に示す。
【0058】比較例3 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。さらにこの溶液に電子輸送性
有機顔料(前記例示化合物No.4−6)120重量部
を加え、サンドミルにて3時間分散処理を行い、下引き
層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニング
処理によりRa=0.18μmに粗面化された30mm
φのED管アルミニウム基体の上にリング塗布装置を用
いて塗布し、150℃で30分間硬化処理を行って、膜
厚5μmの下引き層を形成した。次いで実施例1と同様
の方法で、電荷発生層および電荷輸送層を順次形成し、
電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を
実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表1に示
す。
【0059】比較例4 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。さらにイソシアネート化合物
(GR4000K、関西ペイント社製)8重量部を加
え、撹拌した。さらにこの混合液に電子輸送性有機顔料
(前記例示化合物No.4−6)120重量部を加え、
サンドミルにて3時間分散処理を行い、下引き層形成用
塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニング処理によ
りRa=0.18μmに粗面化された30mmφのED
管アルミニウム基体の上にリング塗布装置を用いて塗布
し、150℃で1時間硬化処理を行って、膜厚5μmの
下引き層を形成した。次いで実施例1と同様の方法で、
電荷発生層および電荷輸送層を順次形成し、電子写真感
光体を作製した。得られた電子写真感光体を実施例1と
同様の方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0060】比較例5 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。実施例1におけるエポキシ樹
脂の代わりに、硬化剤としてアセチルアセトンジルコニ
ウムブチレート(ZC540、松本製薬社製)18重量
部を加え、撹拌して溶解した。さらにこの混合液に電子
輸送性有機顔料(前記例示化合物No.4−6)120
重量部を加え、サンドミルにて3時間分散処理を行い、
下引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホー
ニング処理によりRa=0.18μmに粗面化された3
0mmφのED管アルミニウム基体の上にリング塗布装
置を用いて塗布し、150℃で1時間硬化処理を行っ
て、膜厚5μmの下引き層を形成した。この場合、下引
き層には塗布時に多数の亀裂が発生した。次いで実施例
1と同様の方法で、電荷発生層および電荷輸送層を順次
形成し、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真
感光体を実施例1と同様の方法で評価した。その結果を
表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】実施例1に示す下引き層を有する電子写真
感光体は、接触帯電装置を有するプリンターによるプリ
ントテストを行った場合に、リーク放電等に起因する画
質異常は認められなかった。また、実施例1の電子写真
感光体は残留電位が低く、安定した電気特性が得られ
た。一方、比較例1および2の電子写真感光体は、低感
度で残留電位が高く、画像が得られなかった。また、比
較例3の電子写真感光体は、暗減衰が大きく十分に高い
帯電電位は得られなかった。比較例4の電子写真感光体
は、高い残留電位を有するものであり、さらに比較例5
の電子写真感光体は、下引き層に亀裂が発生し、その影
響が画質にも現れた。
【0063】実施例2 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部をシクロヘキサノン550重量部
と攪拌して混合した。さらにエポキシ樹脂(エピクロン
P439、大日本インキ化学社製)8重量部を加えて攪
拌した。さらにこの混合液に電子輸送性有機顔料(前記
例示化合物No.2−1)60重量部を加え、ボールミ
ルにて20時間分散処理を行った。得られた下引き層形
成用塗布液を、液体ホーニング処理によりRa=0.1
8μmに粗面化された30mmφのED管アルミニウム
基体の上にリング塗布装置を用いて塗布し、170℃で
1時間硬化処理を行って、膜厚4μmの下引き層を形成
した。電荷発生材料として、ヒドロキシガリウムフタロ
シアニン15重量部、ポリビニルブチラール樹脂(エス
レックBM−S、積水化学社製)10重量部、n−ブチ
ルアルコール300重量部からなる混合液をサンドミル
によって4時間分散処理した。得られた分散液を上記下
引き層の上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの
電荷発生層を形成した。次に、N,N−ビス(3,4−
ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン4重量部と
ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)
6重量部とをクロルベンゼン80重量部に加えて溶解し
た。得られた溶液を、上記電荷発生層の上に塗布し、乾
燥することにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成
し、3層からなる電子写真感光体を作製した。得られた
電子写真感光体を、接触帯電方式を有するプリンター
(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着し
て複写操作を行った。その際の電子写真感光体の残留電
位および画質に関して得られた結果を表2に示す。
【0064】実施例3〜実施例 実施例2における電子輸送性有機顔料(前記例示化合物
No.2−1)の代わりに表2に示す電子輸送性有機顔
料を用いた以外は、実施例2と同様の方法で電子写真感
光体を作製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0065】比較例6〜比較例8 実施例2における電子輸送性有機顔料(前記例示化合物
No.2−1)の代わりに表2に示す正孔輸送性有機顔
料を用いた以外は、実施例2と同様の方法で電子写真感
光体を作製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】実施例 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。さらにエポキシ樹脂(エピク
ロンP439、大日本インキ化学社製)8重量部を加え
て攪拌した。さらにこの混合液に電子輸送性有機顔料
(前記例示化合物No.4−6)120重量部を加え、
サンドミルにて3時間分散処理を行って、下引き層形成
用塗布液を得た。得られた塗布液を、液体ホーニング処
理によりRa=0.18μmに粗面化された30mmφ
のED管アルミニウム基体の上にリング塗布装置を用い
て塗布し、150℃で1時間硬化処理を行って、下引き
層を形成した。この場合、下引き層の膜厚を膜厚を1〜
5μmの範囲で変化させた。電荷発生材料として、ヒド
ロキシガリウムフタロシアニン15重量部、ポリビニル
ブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)
10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からな
る混合液をサンドミルによって4時間分散処理した。得
られた分散液を上記下引き層の上に浸漬塗布し、乾燥し
て、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次に、
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル
−4−アミン4重量部とビスフェノールZポリカーボネ
ート樹脂(分子量4万)6重量部とをクロルベンゼン8
0重量部に加えて溶解した。得られた溶液を、上記電荷
発生層の上に塗布し、乾燥することにより、膜厚20μ
mの電荷輸送層を形成し、3層からなる電子写真感光体
を作製した。得られた電子写真感光体を、接触帯電方式
を有するプリンター(PC−PR1000/4R、日本
電気社製)に装着して複写操作を行った。その際の電子
写真感光体の残留電位および画質に関して得られた結果
を表3に示す。
【0068】比較例9 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水
化学社製)16重量部をn−ブチルアルコール600重
量部と攪拌して混合した。さらにエポキシ樹脂(エピク
ロンP439、大日本インキ化学社製)8重量部を加え
て攪拌して下引き層形成用塗布液を得た。得られた塗布
液を、液体ホーニング処理によりRa=0.18μmに
粗面化された30mmφのED管アルミニウム基体の上
にリング塗布装置を用いて塗布し、150℃で1時間硬
化処理を行って、下引き層を形成した。この場合、下引
き層の膜厚を膜厚を1〜5μmの範囲で変化させた。さ
らに、実施例と同様の方法で、電荷発生層および電荷
輸送層を順次形成し、3層からなる電子写真感光体を作
製した。得られた電子写真感光体を実施例と同様の方
法で評価した。その結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】表3から明らかなように、実施例の電子
写真感光体は、下引き層の膜厚を厚く変化させても、電
気特性はいずれも良好な特性を示した。一方、比較例9
の下引き層に電子輸送性有機顔料を含有させなかった電
子写真感光体においては、下引き層の膜厚の増加と共に
感度の低減および残留電位の大幅な上昇があり、画像が
得られなかった。
【0071】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、上記のよう
特定の電子輸送性有機顔料、ポリビニルアセタール樹
脂およびエポキシ樹脂を含有する下引き層を設けたか
ら、基体の欠陥の隠蔽性に優れ、アルミニウム基体が使
用される場合には、その基体が有している晶出物やピッ
クアップ等の欠陥および干渉縞防止処理時のブラスティ
ング処理などに発生する異常突起に起因する電流リーク
の発生が制御され、コロトロン帯電のみならず、帯電ロ
ーラーや帯電ブラシ、フィルム帯電等を用いた接触帯電
方式においても、電流リークの発生が少ないという良好
な特性を有するものである。したがって、本発明の電子
写真感光体を用いた画像形成装置によれば、残留電位が
低く、環境変動にも安定しており、また、接触帯電方式
での電流リークがなく、画質欠陥のない優れた複写画像
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成装置の概略の構成図であ
る。
【符号の説明】
1…感光体ドラム、2…電源、3…帯電器、4…画像入
力装置、5…現像器、6…静電転写器、7…用紙、8…
定着装置、9…クリーナー装置、10…除露光器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−208853(JP,A) 特開 平1−297674(JP,A) 特開 平1−277250(JP,A) 特開 平6−236062(JP,A) 特開 平4−195064(JP,A) 特開 昭63−236051(JP,A) 特開 平4−212970(JP,A) 特開 平7−84376(JP,A) 特開 平7−13354(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体と感光層との間に下引き層を
    設けた電子写真感光体において、該下引き層が電荷輸送
    性有機顔料とポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂
    とを含有し、該電荷輸送性有機顔料がペリレンテトラカ
    ルボン酸ジイミダゾール顔料、多環キノン顔料、アント
    ラキノンアクリドン顔料またはナフタレンテトラカルボ
    ン酸ジイミダゾール顔料であることを特徴とする電子写
    真感光体。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアセタール樹脂がポリビニル
    ブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1記載の
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 電子写真感光体と帯電器とを有する画像
    形成装置において、該電子写真感光体が請求項1または
    請求項2に記載の電子写真感光体であり、該帯電器が、
    上記電子写真感光体の表面に接触させ、外部より電荷を
    供給する帯電器であることを特徴とする画像形成装置。
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