JP2004226637A - 単層型電子写真感光体およびそれを有する画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単層型電子写真感光体およびその感光体を搭載した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、あるいはファクシミリ等の電子写真プロセスによって画像形成をするために電子写真感光体が用いられているが、近年は低コスト性、設計の自由度性、低公害性等から有機電子写真感光体が広く利用されている。電子写真感光体は、一般にコロナ帯電、露光、現像、転写、クリーニングなどからプロセスにおいて、繰り返し使用される。こうした感光体の使用プロセスにおいて、感光体表面は、コロナ帯電の時に発生するオゾンなどの酸化雰囲気にさらされるため、表面の劣化を生じ、環境衛生上も問題である。感光体表面の劣化は、電気特性の劣化、すなわち感度低下、電位低下および残留電位増加の原因となり、このためコピーの画像低下およびカブリ残像発生を惹き起こすことになる。一般に、有機感光体においては、感度、繰り返し安定性、耐久性(特に耐オゾン性、耐NOx、耐環境性)等をよくすること重要であるが、特に耐ガス性に関してさらなる改良手段が望まれている。
【0003】
従来、耐ガス性の対策としては、表面保護層を設ける方法、あるいは感光層に特定の有機化合物を添加する方法などが多く提案されている。
前記の表面保護層を設ける方法として、感光層の上にガスバリアー性樹脂層を設けることが提案されており(例えば、特許文献1〜4参照)、絶縁性の高い高分子材料を単独で用いる場合と金属酸化物を添加する場合がある。しかしながら、高分子材料の単独使用では、樹脂層の膜厚を厚くすると保護層の抵抗が高くなり初期の残留電位が上昇し、非画像部に地汚れが現れて画像が低下し、一方膜厚を薄くするとガスバリアー効果が不十分となり帯電性の低下、帯電の立ち上がりの遅れなど、電子写真特性の劣化が起こる。この方法では電子写真特性と耐ガス性の両方を満足することが困難である。また、金属酸化物を添加するときは、導電性を向上させて残留電位の上昇は低減できるものの、感光体の抵抗値が低下することはその写真特性上好ましくない。
【0004】
一方、感光層に特定化合物を添加する方法としては、例えば、次のような(1)〜(6)の提案がなされている。
(1)酸化防止剤、化学安定剤を感光層中に添加する(特許文献5、6参照)。これらは、積層型電子写真感光体を対象とするものであり、また十分な帯電安定性が得られるまで酸化防止剤を添加すると残留電位の上昇を伴うことが問題であると考えられる。
【0005】
(2)積層型電子写真感光体において、電荷移動層にビフェニル、o−ターフェニル、m−ターフェニル、ジフェニルエーテル、安息香酸フェニルまたはフタル酸ジフェニルの特定化合物を残留応力低下剤として添加する(特許文献7参照)。
(3)感光層に、特定構造式で示されるリン酸エステル化合物(特許文献8参照)、あるいは脂肪酸エステル化合物を含有させる(特許文献9参照)。残留電位の蓄積性が小さいことを意図しているが、電荷輸送材料によっては膜削れが、促進することが懸念される。
【0006】
(4)支持体上に下引き層、感光層を積層した電子写真感光体において、該下引き層に無機顔料を含有させ、該感光層にベンゾフェノン誘導体、フタル酸誘導体、ジフェニルエーテル誘導体、トリフェニルアルカン化合物および脂肪族二塩基酸エステルの少なくとも1種を含有させる(特許文献10参照)。
(5)積層型電子写真感光体において、電荷輸送層に高分子電荷輸送物質と、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステルおよび芳香族カルボン酸エステルの少なくとも1種を含有させる(特許文献11参照)。
【0007】
(6)導電性基体上に、直接あるいは下引き層を介して、少なくとも樹脂バインダーと電荷発生物質と正孔輸送物質と電子輸送物質とを含有し、該感光層中に、ビフェニル誘導体を含有する単層型電子写真感光体が提案されている(特許文献12参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−135955号公報(請求項1および2)
【特許文献2】
特開平2−37359号公報(請求項1および2)
【特許文献3】
特開平2−114269号公報(請求項7)
【特許文献4】
特開平5−53357号公報(請求項1)
【特許文献5】
特開昭57−122444号公報(特許請求の範囲、第2欄第16〜19行)
【特許文献6】
特開昭61−156052号公報(請求項1)
【特許文献7】
特開平3−134670号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開平8−297373号公報(請求項1)
【特許文献9】
特開平8−320581号公報(請求項1および3、[0017]、[0019])
【特許文献10】
特開平8−95278号公報(請求項1、[0012]〜[0017])
【特許文献11】
特開平2000−275880号公報(請求項1、[0011]、[0013]〜[0014])
【特許文献12】
特開平2000−314969号公報(請求項1〜3など)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、電子写真感光体の耐ガス性の対策が従来いくつか知られているものの、さらにより一層向上させることが望まれている。電子写真感光体は、感光層の構成によって、単層型感光体と積層型感光体に大別される。単層型の方が最表面層に顔料を含有しており、積層型に比較してオゾンなどのガスに対して弱い傾向にあるが、単層型感光体に特化した耐ガス性の検討がこれまでに十分なされていないのが実情である。積層型感光体における耐ガス性向上のアプローチを、層構成が異なる単層型感光体に適用しても同じような効果が得られるかどうかは不明である。一方、長寿命感光体のデバイス設計では耐ガス性がより悪くなる傾向にあり、耐ガス性はモノマー部数を減らすと低下し、バインダー樹脂の分子量を上げても低下することからも、その解決策が要望されている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、単層型電子写真感光体を対象にその耐ガス性の向上に効果がある有機化合物の検索を鋭意進めて、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は以下の単層型電子写真感光体およびそれを有する画像形成装置を提供するものである。
1)導電性基体上に、直接あるいは下引き層を介して、バインダー樹脂、電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤を同一層に含有する単層型電子写真用感光体において、
該感光層中に、一般式(1):
【0011】
【化9】
【0012】
(式中、R11およびR12はアルキル基またはアリール基を、R13〜R16は水素原子、アルキル基、アリール基または基−COOR17をそれぞれ示し、R17はアルキル基またはアリール基を示す。前記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。)で表される化合物または一般式(2):
【0013】
【化10】
【0014】
(式中、R21およびR22は置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を、Xは直鎖または分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基をそれぞれ示す。)で表される化合物であって、かつ融点が40℃以下、沸点が250℃以上である化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする単層型電子写真用感光体。
2)前記電荷発生剤がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする上記1)項記載の単層型電子写真用感光体。
【0015】
3)前記正孔輸送剤が下記の一般式(3)〜(6)で表される化合物であることを特徴とする上記1)項記載の単層型電子写真用感光体。
一般式(3):
【0016】
【化11】
【0017】
(式中、R30、R31、R32およびR33は同一または異なって、アルキル基、アルコシ基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を、またm、nおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示す。kは0〜3の整数を示す。また、R34は水素原子またはアルキル基を示す。)
一般式(4):
【0018】
【化12】
【0019】
(式中、R40、R41、R42およびR43は同一または異なって、アルキル基、アルコシ基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を、またm、n、pおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示す。また、R44およびR45は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。)
一般式(5):
【0020】
【化13】
【0021】
(式中、R50、R51、R52およびR53は同一または異なって、アルキル基、アルコシ基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を、またm、n、pおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示す。R54およびR55は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。また、−X1−は、
【0022】
【化14】
【0023】
を示し、式中のR56、R57およびR58は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。)
一般式(6):
【0024】
【化15】
【0025】
(式中、R60、R61、R62およびR63は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコシ基を示す。また、−X2−は、
【0026】
【化16】
【0027】
を示し、式中のR64、R65、R66およびR67同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。)
4)前記電子輸送剤がジフェノキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アゾキノン誘導体またはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体であることを特徴とする上記1)項記載の単層型電子写真用感光体。
【0028】
5)前記1)〜4)項のいずれかに記載の単層型電子写真用感光体を搭載し、電子写真プロセスにおける帯電・転写・分離の各プロセスのうち少なくとも一つがチャージャー方式であることを特徴とする画像形成装置。
6)前記1)〜4)項のいずれかに記載の単層型電子写真用感光体を搭載し、現像剤の液体キャリアとして炭化水素系溶剤を使用していることを特徴とする湿式現像用画像形成装置。
【0029】
なお、以下の記載において、前記の一般式(1)または一般式(2)で表される化合物であって、かつ融点40℃以下であり沸点250℃以上である化合物を単に「本耐ガス性改良化合物」と称することがある。
【0030】
【発明の実施の形態】
前記の一般式(1)および一般式(2)において、アルキル基は炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、またアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また前記アルキル基およびアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、カルボニル基などが挙げられる。一般式(2)においてXで表される炭化水素基としては、(−CH2−)n(式中、nは2〜10の整数を表す。)などで表される直鎖飽和炭化水素基や、不飽和炭化水素基などが挙げられる。前記の直鎖飽和炭化水素の具体例としてはアジピン酸ジエステル(n=4)、アゼライン酸ジエステル(n=7)、セバジン酸ジエステル(n=8)などが挙げられ、また不飽和炭化水素の具体例としてはマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステルなどが挙げられる。
【0031】
本耐ガス性改良化合物は、一般式(1)または一般式(2)で表され、かつ融点が40℃以下、沸点が250℃以上であるが、さらには融点が10℃以下、沸点が280℃以上である化合物がより好ましい。
本耐ガス性改良化合物の具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
・フタル酸ジメチル(融点0℃、沸点282℃)
・フタル酸ジエチル(融点−3℃、沸点296℃)
・フタル酸ジプロピル(融点−25℃、沸点304℃)
・フタル酸ジブチル(融点−35℃、沸点340℃)
・フタル酸ジイソブチル(融点−64℃、沸点296℃)
・フタル酸ジヘキシル(融点−58℃、沸点350℃)
・フタル酸ジヘプチル(融点−46℃、沸点264℃)
・フタル酸ジ−n−オクチル(融点−25℃、沸点405℃)
・フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(融点−46℃、沸点385℃)
・フタル酸ジイソノニル(融点−40℃、沸点403℃)
・フタル酸ジイソデシル(融点−53℃、沸点450℃)
・フタル酸n−ブチルベンジル(融点−35℃、沸点370℃)
・フタル酸ジアリル(融点−70℃、沸点305℃)
・フタル酸ブチルベンジル(融点−40℃、沸点370℃)
・アジピン酸(2−エチルヘキシル)(融点−60℃、沸点417℃)
・セバシン酸−n−ジブチル(融点−12℃、沸点344℃)
本発明の単層型電子写真感光体において、本耐ガス性改良化合物の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲が好ましく、1〜20重量部の範囲がより好ましい。この添加量が0.1重量部に達しないとき、オゾンなどに対する耐ガス性効果が小さく、一方100重量部を超えると感光層の可塑性が高くなり過ぎ、耐摩耗性の悪化等の問題があり好ましくない。
【0032】
本発明の単層型電子写真感光体は感光層中に本耐ガス性改良化合物を含むものであるが、その感光層の構成材料について以下に説明する。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。
【0033】
本発明においては、とりわけ以下のResin−1〜Resin−6が好ましく用いられる。
【0034】
【化17】
【0035】
上記のバインダー樹脂の重量平均分子量は10,000〜400,000の範囲が好ましく、とりわけ30,000〜200,000の範囲が好ましい。バインダー樹脂の固形分濃度は、全固形分濃度の50重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
<電荷発生剤>
電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の、従来公知の電荷発生剤が挙げられる。前記例示の電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独または2種以上をブレンドして使用できる。
【0036】
上記例示の電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、600〜700nmの波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニン(CGM−1)、オキソチタニルフタロシアニン(CGM−2)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−3)、クロロガリウムフタロシアニン(CGM−4)等のフタロシアニン系顔料が好適に使用される。別途CGMの分散補助を目的に、C.I Pigment Orange 16 (PIG−1)等の実質上、露光波長に吸収を有さない顔料を添加してもよい。なお、上記フタロシアニン系顔料の結晶型については特に限定されず、種々のものを使用できる。
【0037】
電荷発生剤の量はバインダー樹脂重量に対して、一般に0.1〜50重量%以上70重量%以下であり、とりわけ0.5〜10重量%含有させることが好ましい。
【0038】
【化18】
【0039】
<電荷輸送剤>
電荷輸送剤としては、従来公知の電子輸送剤および正孔輸送剤が挙げられる。本発明の単層型感光体には、感度向上または帯電安定性向上のために、感光層中にホール輸送剤と電子輸送剤を混合して含有させることが有効である。
[正孔輸送剤]
本発明において、使用可能な正孔輸送剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。上記正孔輸送剤は1種のみを使用するほか、2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
本発明においては、前記したように、とりわけ前記の一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で示される化合物を含有することが好ましい。
一般式(1)〜(6)におけるアルキル基としては、炭素数1〜8の範囲のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシル基としては、炭素数2〜5のものが好ましく、例えばメトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、フェネチル基などが挙げられる。アルキル基およびアルコキシル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アリーリ基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0041】
これらの正孔輸送剤は、極めて移動度が大きく効率的にホールを輸送させるため、感光体の感度向上に有効である。本発明において、特に好ましく用いられる正孔輸送剤の具体例として、下記のHTM−1〜HTM−7が挙げられる。
【0042】
【化19】
【0043】
[電子輸送剤]
本発明において、使用可能な電子輸送剤としては、例えば、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、特開2000−147806や特開2000−242009に記載のアゾキノン誘導体、特開2000−075520や特開2000−258936に記載のモノキノン誘導体、ジナフチルキノン誘導体、テトラカルボン酸ジイミド誘導体、カルボン酸イミド誘導体、スチルベンキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する種々の化合物が挙げられる。
【0044】
これらのなかでも、ジフェノキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アゾキノン誘導体またはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が好ましく用いられる。
前記のジフェノキノン誘導体としては、一般式(7)または一般式(8)の化合物が挙げられる。
一般式(7):
【0045】
【化20】
【0046】
(式中、R71、R72、R73およびR74は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(8):
【0047】
【化21】
【0048】
(式中、R81およびR82は、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
前記のスチルベンキノン誘導体としては、一般式(9)の化合物が挙げられる。
一般式(9):
【0049】
【化22】
【0050】
(式中、R91、R92、R93およびR94は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
前記のジナフトキノン誘導体としては、一般式(10)または一般式(11)の化合物が挙げられる。
一般式(10):
【0051】
【化23】
【0052】
(式中、R101およびR102は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(11):
【0053】
【化24】
【0054】
(式中、R111およびR112は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
前記のナフトキノン誘導体としては、一般式(12)〜一般式(19)の化合物が挙げられる。
一般式(12):
【0055】
【化25】
【0056】
(式中、R121は、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(13):
【0057】
【化26】
【0058】
(式中、R131およびR132は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
一般式(14):
【0059】
【化27】
【0060】
(式中、R141およびR142は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
一般式(15):
【0061】
【化28】
【0062】
(式中、R151、R152、R153およびR154は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(16):
【0063】
【化29】
【0064】
(式中、R161およびR162は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
一般式(17):
【0065】
【化30】
【0066】
(式中、R171およびR172は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアルコキシカルボニル基を示す。)
一般式(18):
【0067】
【化31】
【0068】
(式中、R181、R182、R183およびR184は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
前記のアゾキノン誘導体としては、一般式(19)〜一般式(22)の化合物が挙げられる。
一般式(19):
【0069】
【化32】
【0070】
(式中、R191およびR192は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。R193は、ニトロ基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−COOR、−CORを示し、Rはアルキル基を示す。)
一般式(20):
【0071】
【化33】
【0072】
(式中、R201は、水素原子、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。R202は、ニトロ基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−COOR、−CORを示し、Rはアルキル基を示す。)
一般式(21):
【0073】
【化34】
【0074】
(式中、R211は、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。R212は、ニトロ基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−COOR、−CORを示し、Rはアルキル基を示す。)
一般式(22):
【0075】
【化35】
【0076】
(式中、R221、R222、R223、R224、R225、R226、R227およびR228は同一または異なって、水素原子、または炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。)
一般式(23):
【0077】
【化36】
【0078】
(式中、R231、R232、R233、R234、R235、R236、R237およびR238は同一または異なって、水素原子、または炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。)
前記のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体としては、一般式(24)の化合物が挙げられる。
一般式(24):
【0079】
【化37】
【0080】
(式中、R241およびR242は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。)
上記の一般式(7)〜一般式(24)で示される電子輸送剤は、極めて移動度が大きく効率的に電子を輸送させるため、感光体の感度向上に有効である。上記電子輸送剤は1種のみを使用するほか、2種以上を混合して使用してもよい。
前記の電子輸送剤として、下記のETM−1〜ETM−19が好ましい具体的な化合物として例示される。
【0081】
【化38】
【0082】
本発明の単層型電子写真感光体において、感光層膜厚は一般に5〜100μmの範囲であり、特に15〜50μm程度が好ましい。電荷発生剤は全バインダー樹脂重量に対して0.1〜50重量%、更には0.5〜30重量%含有させることが好ましい。電子輸送剤は全バインダー樹脂重量に対して1〜100重量%、更には5〜80重量%含有させることが好ましい。正孔輸送剤は全バインダー樹脂重量に対して5〜500重量%の範囲、とりわけ25〜200重量%含有させることが好ましい。電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、全バインダー樹脂に対して20〜500重量%の範囲、とりわけ30〜200重量%含有させることが好ましい。更に、電子輸送剤とホール輸送剤との総量は、バインダー樹脂に対して40〜100重量%が最も好ましい。
[支持体と感光層の形成]
感光層が形成される支持体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、カーボンブラック等の導電性微粒子が分散されてなるプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0083】
支持体の形状はドラム状で、支持体自体が導電性を有するか、あるいは支持体の表面が導電性を有していればよい。また、支持体は使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシエーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0084】
上記分散液を作製するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独で、または2種以上混合して用いられる。
【0085】
感光層には、前述の各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル補足剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
支持体と感光層間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。さらに、電荷発生剤、電荷輸送剤等の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために、界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0086】
<下引き層>
本発明の単層型電子写真感光体は、感光層を支持体上に直接、形成してもよいし、一旦下引き層を設けてその上に形成してもよい。下引き層は、従来の方法に従って形成すればよく、例えば特許文献10に記載された方法に準じて形成することができる。すなわち、下引き層における無機顔料として酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトボン、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等があげられ、中でも酸化チタンの使用が望ましい。これら無機顔料の粒径0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmのものが用いられる。また、下引き層に用いる結着樹脂としてはポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、メラミン、エポキシ、アルキッド、フェノール、アクリル、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。下引き層の膜厚は、通常、0.1〜50μmの範囲に設定することが望ましい。
【0087】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上記の単層型電子写真感光体を搭載することを特徴とするものであり、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等を包含する。単層型電子写真感光体は、画像形成プロセスにおいて帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、分離手段の繰り返し工程の中で使用されるが、本発明の画像形成装置は、帯電手段、転写手段および分離手段のうち少なくとも一つがチャージャー方式であることを要する。
【0088】
本発明の単層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置の例を、図1の概略図で示す。この画像形成装置には、矢印22方向に回転する感光体(正帯電単層型OPC)ドラム21が備えられている。感光体ドラム21の周囲には、その回転方向22に沿って順に、メインチャージャ23、露光装置24、現像装置25、転写ローラ26、およびクリーニングブレード28が備えられたクリーニング装置27が配置されている。
【0089】
画像形成時には、感光体ドラム21が矢印22方向に一定速度(周速:110mm/sec)で回転駆動されていて、感光体ドラム21の表面は、メインチャージャ23の放電により所定電位(850V)に均一にプラス帯電される。プラス帯電された表面は、感光体ドラム21の回転によって露光装置24に対向し、形成すべき画像に対応した光で露光される。これにより、感光体ドラム21の表面には、電位の高い領域と低い領域とが生じ、いわゆる静電潜像が形成される。感光体ドラム21が更に回転すると、その表面に形成された静電潜像は、現像装置25に対向し、トナーによって現像される。そして、トナー像は転写ローラ26に対向する位置になったとき、搬送されてくる転写用紙Pに転写される。
【0090】
転写後の感光体ドラム21の表面には、通常、一部のトナーが転写用紙Pに転写されずに残留している。感光体ドラム21がさらに回転されて、残留トナーが付着した表面がクリーニング装置27に対向すると、残留トナーはクリーニング装置27で回収される。
具体的には、クリーニング装置27には、感光体ドラム21の軸方向に長手のクリーニングブレード28(ウレタンゴム製)が備えられており、その先端縁が感光体ドラム21表面のほぼ全幅にわたって押し当てられている。残留トナーは、このクリーニングブレード28によって感光体ドラム21の表面から掻き落とされる。クリーニングブレード28は、鉄板を断面L字形状に折り曲げて形成されたブレードホルダ29に接着されている。
【0091】
本発明の画像形成装置は、現像剤の液体キャリアとして炭化水素系溶剤用いる湿式現像現像用画像形成装置を対象とすることができる。すなわち、絶縁性液体(isopar)としての炭化水素系溶剤中にトナー粒子を分散し現像液とし、静電潜像にトナー粒子を電気泳動させて現像する方法を採用することができる。この場合、1μm前後の粒径のトナーはその構成樹脂や極性制御剤により液中で正または負に帯電し、微粒子は安定して分散懸濁する。乾式現像に比較して、高い解像力が得られるので、透明フィルムをベースとした透明OPCの現像や、非画像部を不感脂化することによりオフセット印刷のマスタへの利用が可能である。また、カラー像のときはトラッピングの影響が少なく色再現性に優れているため印刷用色分解フィルムのカラープルーフなどにも利用できる。本発明の単層型電子写真感光体は、湿式現像現像用画像形成装置に搭載するとき、クラックの発生が抑制される。
【0092】
前記の炭化水素系溶剤の、特に好ましいものとして、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度の脂肪炭化水素溶剤が挙げられ、市販品としてはエクソ化学製のアイソパーG、H、L、M、V(商品名)、ノーバー12、13、15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620、2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300、400(商品名)、丸善石油化学製のマルカゾールR(商品名)、等が挙げられる。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素溶剤であり、引火点は40℃以上、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1013Ω・cm以上である。
【0093】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。これらは、本発明の実施態様の一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施例1〜11
表1に示す各化合物(実施例1〜11欄に記載の本ガス耐性改良化合物)3重量部、電荷発生剤としてY型チタニルフタロシアニン(CGM−2)3.0重量部およびペリレン顔料0.5重量部、正孔輸送剤(HTM−1)50重量部、電子輸送剤(ETM−2)40重量部、バインダー樹脂としてResin−3(粘度平均分子量:45,000、PC−A換算)95重量部およびポリエステル樹脂(東洋紡製「RV200」)5重量部、レベリング剤(信越化学製「シリコーンオイルKF−96−50CS」)0.2重量部、を均一にテトラヒドロフラン溶剤に溶解・分散させて、粘度400cpsの塗工液を調製した。700重量部と共にボールミル中で24時間分散あるいは溶解させ、単層型電子写真用感光層用の塗工液を調製した。この塗工液に、導電性支持体(アルミニウム素管)を浸漬、所定の速度で引き上げた後、120℃で30分間、熱風乾燥を行い、膜厚30μmの単層型電子写真感光体を作製した。
【0094】
比較例1〜5
上記の実施例おいて、本ガス耐性改良化合物に代えて、表1に示す比較化合物(比較例1〜4)を用いたこと以外は同様に処理して、単層型電子写真感光体を作製した。なお、比較例5は、本ガス耐性改良化合物および比較化合物のいずれも添加していない例を示す。
[画像形成装置の作製]
図1の画像形成装置において、上記の実施例および比較例の単層型電子写真感光体が備えられた画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用いてオゾン帯電後の帯電変化(V)を測定した。それらの結果をまとめて表に示す。
【0095】
オゾン帯電後の帯電変化(V)の測定方法
京セラミタ製のCreage7325改造機に、作製した単層型電子写真感光体をそれぞれ800Vに帯電させるようにグリッド電位を調整した。その後、オゾン濃度8ppm雰囲気下にて6時間暴露した後、複写機にセットし、駆動後1分後の帯電量を測定した。オゾン暴露後の帯電変化を表1に示す。
この測定方法によるとき、帯電低下が−60V程度までに抑えられていれば、耐オゾン性のよい単層型電子写真感光体であると判断される。
【0096】
【表1】
【0097】
この結果、比較例5の感光体におけるように、耐ガス性改良化合物を一切添加しないときは、帯電低下が−82Vと大きく、感光体表面がオゾンに曝されたことにより、電気特性が著しく低下する。比較例1〜4の場合、比較例5に比べれば帯電低下が小さくなっている感光体もみられるが、それでも低下の度合いは−60Vを超えており、耐ガス性改良効果は実用的に満足できるものではない。これらに比較して、実施例1〜11で得られた単層型電子写真感光体は、オゾン帯電低下がほぼ−50Vまでに抑えられており、耐オゾン性改良効果の向上が著しいことを示している。
【0098】
なお、表1の結果から、各添加化合物の融点(℃)とオゾン暴露後の帯電変化(V)との関係をグラフ化すると図2のとおりになる。このグラフにも示されるとおり、融点が40℃を超える化合物を添加した比較例1〜4の場合は帯電変化(V)が−60Vよりも大きい。これに比較して、一般式(1)または(2)で示され、かつ融点が0〜−60℃(沸点はいずれも250℃以上)である化合物を添加した実施例1〜11の場合、帯電低下が小さいことがこのグラフからも理解できる。
【0099】
実施例12
前記の実施例1、2および3と、比較例5で作製した電子写真感光体を、エクソン化学製のイソパラフィン系溶剤であるアイソパーLに30分間浸漬した。次いで、Creage7325改造機にて800V帯電時の明電位を測定し、30分間浸漬前後の明電位変化を求めた。その結果を表2に示した。また、電子写真感光体のクラック発生の有無を調べた結果を同じく表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
この結果に示すように、本発明の電子写真感光体は、比較例のものに比べて、感度変化が小さく、しかもクラックの発生がみられなかった。
【0102】
【発明の効果】
上述のとおり、本発明の単層型電子写真感光体は、本耐ガス性改良化合物を含有することから、コロナ帯電の時に発生するオゾンなどの酸化雰囲気に表面が曝されても、劣化が抑制される。従って、本単層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置は、電気特性の劣化、すなわち感度低下および残留電位の増加が抑制され、コピーの画像低下やカブリ残像の発生などがよく防止されたものである。また、湿式現像用画像形成装置に搭載するとき、感光層成分の溶出が抑えられることから、結晶化やクラックの発生が抑制されて、湿式現像用画像形成装置の本来の鮮明な画像形成がよく発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置の一例を概念図で示す。
【図2】実施例および比較例で得られた単層型電子写真感光体において、添加化合物の融点とオゾン暴露後の帯電変化との関係を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、単層型電子写真感光体およびその感光体を搭載した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、あるいはファクシミリ等の電子写真プロセスによって画像形成をするために電子写真感光体が用いられているが、近年は低コスト性、設計の自由度性、低公害性等から有機電子写真感光体が広く利用されている。電子写真感光体は、一般にコロナ帯電、露光、現像、転写、クリーニングなどからプロセスにおいて、繰り返し使用される。こうした感光体の使用プロセスにおいて、感光体表面は、コロナ帯電の時に発生するオゾンなどの酸化雰囲気にさらされるため、表面の劣化を生じ、環境衛生上も問題である。感光体表面の劣化は、電気特性の劣化、すなわち感度低下、電位低下および残留電位増加の原因となり、このためコピーの画像低下およびカブリ残像発生を惹き起こすことになる。一般に、有機感光体においては、感度、繰り返し安定性、耐久性(特に耐オゾン性、耐NOx、耐環境性)等をよくすること重要であるが、特に耐ガス性に関してさらなる改良手段が望まれている。
【0003】
従来、耐ガス性の対策としては、表面保護層を設ける方法、あるいは感光層に特定の有機化合物を添加する方法などが多く提案されている。
前記の表面保護層を設ける方法として、感光層の上にガスバリアー性樹脂層を設けることが提案されており(例えば、特許文献1〜4参照)、絶縁性の高い高分子材料を単独で用いる場合と金属酸化物を添加する場合がある。しかしながら、高分子材料の単独使用では、樹脂層の膜厚を厚くすると保護層の抵抗が高くなり初期の残留電位が上昇し、非画像部に地汚れが現れて画像が低下し、一方膜厚を薄くするとガスバリアー効果が不十分となり帯電性の低下、帯電の立ち上がりの遅れなど、電子写真特性の劣化が起こる。この方法では電子写真特性と耐ガス性の両方を満足することが困難である。また、金属酸化物を添加するときは、導電性を向上させて残留電位の上昇は低減できるものの、感光体の抵抗値が低下することはその写真特性上好ましくない。
【0004】
一方、感光層に特定化合物を添加する方法としては、例えば、次のような(1)〜(6)の提案がなされている。
(1)酸化防止剤、化学安定剤を感光層中に添加する(特許文献5、6参照)。これらは、積層型電子写真感光体を対象とするものであり、また十分な帯電安定性が得られるまで酸化防止剤を添加すると残留電位の上昇を伴うことが問題であると考えられる。
【0005】
(2)積層型電子写真感光体において、電荷移動層にビフェニル、o−ターフェニル、m−ターフェニル、ジフェニルエーテル、安息香酸フェニルまたはフタル酸ジフェニルの特定化合物を残留応力低下剤として添加する(特許文献7参照)。
(3)感光層に、特定構造式で示されるリン酸エステル化合物(特許文献8参照)、あるいは脂肪酸エステル化合物を含有させる(特許文献9参照)。残留電位の蓄積性が小さいことを意図しているが、電荷輸送材料によっては膜削れが、促進することが懸念される。
【0006】
(4)支持体上に下引き層、感光層を積層した電子写真感光体において、該下引き層に無機顔料を含有させ、該感光層にベンゾフェノン誘導体、フタル酸誘導体、ジフェニルエーテル誘導体、トリフェニルアルカン化合物および脂肪族二塩基酸エステルの少なくとも1種を含有させる(特許文献10参照)。
(5)積層型電子写真感光体において、電荷輸送層に高分子電荷輸送物質と、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステルおよび芳香族カルボン酸エステルの少なくとも1種を含有させる(特許文献11参照)。
【0007】
(6)導電性基体上に、直接あるいは下引き層を介して、少なくとも樹脂バインダーと電荷発生物質と正孔輸送物質と電子輸送物質とを含有し、該感光層中に、ビフェニル誘導体を含有する単層型電子写真感光体が提案されている(特許文献12参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−135955号公報(請求項1および2)
【特許文献2】
特開平2−37359号公報(請求項1および2)
【特許文献3】
特開平2−114269号公報(請求項7)
【特許文献4】
特開平5−53357号公報(請求項1)
【特許文献5】
特開昭57−122444号公報(特許請求の範囲、第2欄第16〜19行)
【特許文献6】
特開昭61−156052号公報(請求項1)
【特許文献7】
特開平3−134670号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開平8−297373号公報(請求項1)
【特許文献9】
特開平8−320581号公報(請求項1および3、[0017]、[0019])
【特許文献10】
特開平8−95278号公報(請求項1、[0012]〜[0017])
【特許文献11】
特開平2000−275880号公報(請求項1、[0011]、[0013]〜[0014])
【特許文献12】
特開平2000−314969号公報(請求項1〜3など)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、電子写真感光体の耐ガス性の対策が従来いくつか知られているものの、さらにより一層向上させることが望まれている。電子写真感光体は、感光層の構成によって、単層型感光体と積層型感光体に大別される。単層型の方が最表面層に顔料を含有しており、積層型に比較してオゾンなどのガスに対して弱い傾向にあるが、単層型感光体に特化した耐ガス性の検討がこれまでに十分なされていないのが実情である。積層型感光体における耐ガス性向上のアプローチを、層構成が異なる単層型感光体に適用しても同じような効果が得られるかどうかは不明である。一方、長寿命感光体のデバイス設計では耐ガス性がより悪くなる傾向にあり、耐ガス性はモノマー部数を減らすと低下し、バインダー樹脂の分子量を上げても低下することからも、その解決策が要望されている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、単層型電子写真感光体を対象にその耐ガス性の向上に効果がある有機化合物の検索を鋭意進めて、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は以下の単層型電子写真感光体およびそれを有する画像形成装置を提供するものである。
1)導電性基体上に、直接あるいは下引き層を介して、バインダー樹脂、電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤を同一層に含有する単層型電子写真用感光体において、
該感光層中に、一般式(1):
【0011】
【化9】
【0012】
(式中、R11およびR12はアルキル基またはアリール基を、R13〜R16は水素原子、アルキル基、アリール基または基−COOR17をそれぞれ示し、R17はアルキル基またはアリール基を示す。前記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。)で表される化合物または一般式(2):
【0013】
【化10】
【0014】
(式中、R21およびR22は置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を、Xは直鎖または分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基をそれぞれ示す。)で表される化合物であって、かつ融点が40℃以下、沸点が250℃以上である化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする単層型電子写真用感光体。
2)前記電荷発生剤がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする上記1)項記載の単層型電子写真用感光体。
【0015】
3)前記正孔輸送剤が下記の一般式(3)〜(6)で表される化合物であることを特徴とする上記1)項記載の単層型電子写真用感光体。
一般式(3):
【0016】
【化11】
【0017】
(式中、R30、R31、R32およびR33は同一または異なって、アルキル基、アルコシ基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を、またm、nおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示す。kは0〜3の整数を示す。また、R34は水素原子またはアルキル基を示す。)
一般式(4):
【0018】
【化12】
【0019】
(式中、R40、R41、R42およびR43は同一または異なって、アルキル基、アルコシ基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を、またm、n、pおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示す。また、R44およびR45は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。)
一般式(5):
【0020】
【化13】
【0021】
(式中、R50、R51、R52およびR53は同一または異なって、アルキル基、アルコシ基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を、またm、n、pおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示す。R54およびR55は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。また、−X1−は、
【0022】
【化14】
【0023】
を示し、式中のR56、R57およびR58は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。)
一般式(6):
【0024】
【化15】
【0025】
(式中、R60、R61、R62およびR63は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコシ基を示す。また、−X2−は、
【0026】
【化16】
【0027】
を示し、式中のR64、R65、R66およびR67同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。)
4)前記電子輸送剤がジフェノキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アゾキノン誘導体またはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体であることを特徴とする上記1)項記載の単層型電子写真用感光体。
【0028】
5)前記1)〜4)項のいずれかに記載の単層型電子写真用感光体を搭載し、電子写真プロセスにおける帯電・転写・分離の各プロセスのうち少なくとも一つがチャージャー方式であることを特徴とする画像形成装置。
6)前記1)〜4)項のいずれかに記載の単層型電子写真用感光体を搭載し、現像剤の液体キャリアとして炭化水素系溶剤を使用していることを特徴とする湿式現像用画像形成装置。
【0029】
なお、以下の記載において、前記の一般式(1)または一般式(2)で表される化合物であって、かつ融点40℃以下であり沸点250℃以上である化合物を単に「本耐ガス性改良化合物」と称することがある。
【0030】
【発明の実施の形態】
前記の一般式(1)および一般式(2)において、アルキル基は炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、またアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また前記アルキル基およびアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、カルボニル基などが挙げられる。一般式(2)においてXで表される炭化水素基としては、(−CH2−)n(式中、nは2〜10の整数を表す。)などで表される直鎖飽和炭化水素基や、不飽和炭化水素基などが挙げられる。前記の直鎖飽和炭化水素の具体例としてはアジピン酸ジエステル(n=4)、アゼライン酸ジエステル(n=7)、セバジン酸ジエステル(n=8)などが挙げられ、また不飽和炭化水素の具体例としてはマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステルなどが挙げられる。
【0031】
本耐ガス性改良化合物は、一般式(1)または一般式(2)で表され、かつ融点が40℃以下、沸点が250℃以上であるが、さらには融点が10℃以下、沸点が280℃以上である化合物がより好ましい。
本耐ガス性改良化合物の具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
・フタル酸ジメチル(融点0℃、沸点282℃)
・フタル酸ジエチル(融点−3℃、沸点296℃)
・フタル酸ジプロピル(融点−25℃、沸点304℃)
・フタル酸ジブチル(融点−35℃、沸点340℃)
・フタル酸ジイソブチル(融点−64℃、沸点296℃)
・フタル酸ジヘキシル(融点−58℃、沸点350℃)
・フタル酸ジヘプチル(融点−46℃、沸点264℃)
・フタル酸ジ−n−オクチル(融点−25℃、沸点405℃)
・フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(融点−46℃、沸点385℃)
・フタル酸ジイソノニル(融点−40℃、沸点403℃)
・フタル酸ジイソデシル(融点−53℃、沸点450℃)
・フタル酸n−ブチルベンジル(融点−35℃、沸点370℃)
・フタル酸ジアリル(融点−70℃、沸点305℃)
・フタル酸ブチルベンジル(融点−40℃、沸点370℃)
・アジピン酸(2−エチルヘキシル)(融点−60℃、沸点417℃)
・セバシン酸−n−ジブチル(融点−12℃、沸点344℃)
本発明の単層型電子写真感光体において、本耐ガス性改良化合物の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲が好ましく、1〜20重量部の範囲がより好ましい。この添加量が0.1重量部に達しないとき、オゾンなどに対する耐ガス性効果が小さく、一方100重量部を超えると感光層の可塑性が高くなり過ぎ、耐摩耗性の悪化等の問題があり好ましくない。
【0032】
本発明の単層型電子写真感光体は感光層中に本耐ガス性改良化合物を含むものであるが、その感光層の構成材料について以下に説明する。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。
【0033】
本発明においては、とりわけ以下のResin−1〜Resin−6が好ましく用いられる。
【0034】
【化17】
【0035】
上記のバインダー樹脂の重量平均分子量は10,000〜400,000の範囲が好ましく、とりわけ30,000〜200,000の範囲が好ましい。バインダー樹脂の固形分濃度は、全固形分濃度の50重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
<電荷発生剤>
電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の、従来公知の電荷発生剤が挙げられる。前記例示の電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独または2種以上をブレンドして使用できる。
【0036】
上記例示の電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、600〜700nmの波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニン(CGM−1)、オキソチタニルフタロシアニン(CGM−2)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−3)、クロロガリウムフタロシアニン(CGM−4)等のフタロシアニン系顔料が好適に使用される。別途CGMの分散補助を目的に、C.I Pigment Orange 16 (PIG−1)等の実質上、露光波長に吸収を有さない顔料を添加してもよい。なお、上記フタロシアニン系顔料の結晶型については特に限定されず、種々のものを使用できる。
【0037】
電荷発生剤の量はバインダー樹脂重量に対して、一般に0.1〜50重量%以上70重量%以下であり、とりわけ0.5〜10重量%含有させることが好ましい。
【0038】
【化18】
【0039】
<電荷輸送剤>
電荷輸送剤としては、従来公知の電子輸送剤および正孔輸送剤が挙げられる。本発明の単層型感光体には、感度向上または帯電安定性向上のために、感光層中にホール輸送剤と電子輸送剤を混合して含有させることが有効である。
[正孔輸送剤]
本発明において、使用可能な正孔輸送剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。上記正孔輸送剤は1種のみを使用するほか、2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
本発明においては、前記したように、とりわけ前記の一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で示される化合物を含有することが好ましい。
一般式(1)〜(6)におけるアルキル基としては、炭素数1〜8の範囲のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシル基としては、炭素数2〜5のものが好ましく、例えばメトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、フェネチル基などが挙げられる。アルキル基およびアルコキシル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アリーリ基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0041】
これらの正孔輸送剤は、極めて移動度が大きく効率的にホールを輸送させるため、感光体の感度向上に有効である。本発明において、特に好ましく用いられる正孔輸送剤の具体例として、下記のHTM−1〜HTM−7が挙げられる。
【0042】
【化19】
【0043】
[電子輸送剤]
本発明において、使用可能な電子輸送剤としては、例えば、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、特開2000−147806や特開2000−242009に記載のアゾキノン誘導体、特開2000−075520や特開2000−258936に記載のモノキノン誘導体、ジナフチルキノン誘導体、テトラカルボン酸ジイミド誘導体、カルボン酸イミド誘導体、スチルベンキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する種々の化合物が挙げられる。
【0044】
これらのなかでも、ジフェノキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アゾキノン誘導体またはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が好ましく用いられる。
前記のジフェノキノン誘導体としては、一般式(7)または一般式(8)の化合物が挙げられる。
一般式(7):
【0045】
【化20】
【0046】
(式中、R71、R72、R73およびR74は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(8):
【0047】
【化21】
【0048】
(式中、R81およびR82は、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
前記のスチルベンキノン誘導体としては、一般式(9)の化合物が挙げられる。
一般式(9):
【0049】
【化22】
【0050】
(式中、R91、R92、R93およびR94は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
前記のジナフトキノン誘導体としては、一般式(10)または一般式(11)の化合物が挙げられる。
一般式(10):
【0051】
【化23】
【0052】
(式中、R101およびR102は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(11):
【0053】
【化24】
【0054】
(式中、R111およびR112は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
前記のナフトキノン誘導体としては、一般式(12)〜一般式(19)の化合物が挙げられる。
一般式(12):
【0055】
【化25】
【0056】
(式中、R121は、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(13):
【0057】
【化26】
【0058】
(式中、R131およびR132は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
一般式(14):
【0059】
【化27】
【0060】
(式中、R141およびR142は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
一般式(15):
【0061】
【化28】
【0062】
(式中、R151、R152、R153およびR154は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。)
一般式(16):
【0063】
【化29】
【0064】
(式中、R161およびR162は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
一般式(17):
【0065】
【化30】
【0066】
(式中、R171およびR172は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアルコキシカルボニル基を示す。)
一般式(18):
【0067】
【化31】
【0068】
(式中、R181、R182、R183およびR184は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基を示す。)
前記のアゾキノン誘導体としては、一般式(19)〜一般式(22)の化合物が挙げられる。
一般式(19):
【0069】
【化32】
【0070】
(式中、R191およびR192は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を示す。R193は、ニトロ基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−COOR、−CORを示し、Rはアルキル基を示す。)
一般式(20):
【0071】
【化33】
【0072】
(式中、R201は、水素原子、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。R202は、ニトロ基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−COOR、−CORを示し、Rはアルキル基を示す。)
一般式(21):
【0073】
【化34】
【0074】
(式中、R211は、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。R212は、ニトロ基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素数1〜12の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−COOR、−CORを示し、Rはアルキル基を示す。)
一般式(22):
【0075】
【化35】
【0076】
(式中、R221、R222、R223、R224、R225、R226、R227およびR228は同一または異なって、水素原子、または炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。)
一般式(23):
【0077】
【化36】
【0078】
(式中、R231、R232、R233、R234、R235、R236、R237およびR238は同一または異なって、水素原子、または炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。)
前記のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体としては、一般式(24)の化合物が挙げられる。
一般式(24):
【0079】
【化37】
【0080】
(式中、R241およびR242は、同一または異なって、炭素数1〜12の、アルキル基、アリール基、アルコシ基を示す。)
上記の一般式(7)〜一般式(24)で示される電子輸送剤は、極めて移動度が大きく効率的に電子を輸送させるため、感光体の感度向上に有効である。上記電子輸送剤は1種のみを使用するほか、2種以上を混合して使用してもよい。
前記の電子輸送剤として、下記のETM−1〜ETM−19が好ましい具体的な化合物として例示される。
【0081】
【化38】
【0082】
本発明の単層型電子写真感光体において、感光層膜厚は一般に5〜100μmの範囲であり、特に15〜50μm程度が好ましい。電荷発生剤は全バインダー樹脂重量に対して0.1〜50重量%、更には0.5〜30重量%含有させることが好ましい。電子輸送剤は全バインダー樹脂重量に対して1〜100重量%、更には5〜80重量%含有させることが好ましい。正孔輸送剤は全バインダー樹脂重量に対して5〜500重量%の範囲、とりわけ25〜200重量%含有させることが好ましい。電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、全バインダー樹脂に対して20〜500重量%の範囲、とりわけ30〜200重量%含有させることが好ましい。更に、電子輸送剤とホール輸送剤との総量は、バインダー樹脂に対して40〜100重量%が最も好ましい。
[支持体と感光層の形成]
感光層が形成される支持体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、カーボンブラック等の導電性微粒子が分散されてなるプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0083】
支持体の形状はドラム状で、支持体自体が導電性を有するか、あるいは支持体の表面が導電性を有していればよい。また、支持体は使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシエーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0084】
上記分散液を作製するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独で、または2種以上混合して用いられる。
【0085】
感光層には、前述の各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル補足剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
支持体と感光層間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。さらに、電荷発生剤、電荷輸送剤等の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために、界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0086】
<下引き層>
本発明の単層型電子写真感光体は、感光層を支持体上に直接、形成してもよいし、一旦下引き層を設けてその上に形成してもよい。下引き層は、従来の方法に従って形成すればよく、例えば特許文献10に記載された方法に準じて形成することができる。すなわち、下引き層における無機顔料として酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトボン、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等があげられ、中でも酸化チタンの使用が望ましい。これら無機顔料の粒径0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmのものが用いられる。また、下引き層に用いる結着樹脂としてはポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、メラミン、エポキシ、アルキッド、フェノール、アクリル、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。下引き層の膜厚は、通常、0.1〜50μmの範囲に設定することが望ましい。
【0087】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上記の単層型電子写真感光体を搭載することを特徴とするものであり、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等を包含する。単層型電子写真感光体は、画像形成プロセスにおいて帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、分離手段の繰り返し工程の中で使用されるが、本発明の画像形成装置は、帯電手段、転写手段および分離手段のうち少なくとも一つがチャージャー方式であることを要する。
【0088】
本発明の単層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置の例を、図1の概略図で示す。この画像形成装置には、矢印22方向に回転する感光体(正帯電単層型OPC)ドラム21が備えられている。感光体ドラム21の周囲には、その回転方向22に沿って順に、メインチャージャ23、露光装置24、現像装置25、転写ローラ26、およびクリーニングブレード28が備えられたクリーニング装置27が配置されている。
【0089】
画像形成時には、感光体ドラム21が矢印22方向に一定速度(周速:110mm/sec)で回転駆動されていて、感光体ドラム21の表面は、メインチャージャ23の放電により所定電位(850V)に均一にプラス帯電される。プラス帯電された表面は、感光体ドラム21の回転によって露光装置24に対向し、形成すべき画像に対応した光で露光される。これにより、感光体ドラム21の表面には、電位の高い領域と低い領域とが生じ、いわゆる静電潜像が形成される。感光体ドラム21が更に回転すると、その表面に形成された静電潜像は、現像装置25に対向し、トナーによって現像される。そして、トナー像は転写ローラ26に対向する位置になったとき、搬送されてくる転写用紙Pに転写される。
【0090】
転写後の感光体ドラム21の表面には、通常、一部のトナーが転写用紙Pに転写されずに残留している。感光体ドラム21がさらに回転されて、残留トナーが付着した表面がクリーニング装置27に対向すると、残留トナーはクリーニング装置27で回収される。
具体的には、クリーニング装置27には、感光体ドラム21の軸方向に長手のクリーニングブレード28(ウレタンゴム製)が備えられており、その先端縁が感光体ドラム21表面のほぼ全幅にわたって押し当てられている。残留トナーは、このクリーニングブレード28によって感光体ドラム21の表面から掻き落とされる。クリーニングブレード28は、鉄板を断面L字形状に折り曲げて形成されたブレードホルダ29に接着されている。
【0091】
本発明の画像形成装置は、現像剤の液体キャリアとして炭化水素系溶剤用いる湿式現像現像用画像形成装置を対象とすることができる。すなわち、絶縁性液体(isopar)としての炭化水素系溶剤中にトナー粒子を分散し現像液とし、静電潜像にトナー粒子を電気泳動させて現像する方法を採用することができる。この場合、1μm前後の粒径のトナーはその構成樹脂や極性制御剤により液中で正または負に帯電し、微粒子は安定して分散懸濁する。乾式現像に比較して、高い解像力が得られるので、透明フィルムをベースとした透明OPCの現像や、非画像部を不感脂化することによりオフセット印刷のマスタへの利用が可能である。また、カラー像のときはトラッピングの影響が少なく色再現性に優れているため印刷用色分解フィルムのカラープルーフなどにも利用できる。本発明の単層型電子写真感光体は、湿式現像現像用画像形成装置に搭載するとき、クラックの発生が抑制される。
【0092】
前記の炭化水素系溶剤の、特に好ましいものとして、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度の脂肪炭化水素溶剤が挙げられ、市販品としてはエクソ化学製のアイソパーG、H、L、M、V(商品名)、ノーバー12、13、15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620、2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300、400(商品名)、丸善石油化学製のマルカゾールR(商品名)、等が挙げられる。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素溶剤であり、引火点は40℃以上、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1013Ω・cm以上である。
【0093】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。これらは、本発明の実施態様の一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施例1〜11
表1に示す各化合物(実施例1〜11欄に記載の本ガス耐性改良化合物)3重量部、電荷発生剤としてY型チタニルフタロシアニン(CGM−2)3.0重量部およびペリレン顔料0.5重量部、正孔輸送剤(HTM−1)50重量部、電子輸送剤(ETM−2)40重量部、バインダー樹脂としてResin−3(粘度平均分子量:45,000、PC−A換算)95重量部およびポリエステル樹脂(東洋紡製「RV200」)5重量部、レベリング剤(信越化学製「シリコーンオイルKF−96−50CS」)0.2重量部、を均一にテトラヒドロフラン溶剤に溶解・分散させて、粘度400cpsの塗工液を調製した。700重量部と共にボールミル中で24時間分散あるいは溶解させ、単層型電子写真用感光層用の塗工液を調製した。この塗工液に、導電性支持体(アルミニウム素管)を浸漬、所定の速度で引き上げた後、120℃で30分間、熱風乾燥を行い、膜厚30μmの単層型電子写真感光体を作製した。
【0094】
比較例1〜5
上記の実施例おいて、本ガス耐性改良化合物に代えて、表1に示す比較化合物(比較例1〜4)を用いたこと以外は同様に処理して、単層型電子写真感光体を作製した。なお、比較例5は、本ガス耐性改良化合物および比較化合物のいずれも添加していない例を示す。
[画像形成装置の作製]
図1の画像形成装置において、上記の実施例および比較例の単層型電子写真感光体が備えられた画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用いてオゾン帯電後の帯電変化(V)を測定した。それらの結果をまとめて表に示す。
【0095】
オゾン帯電後の帯電変化(V)の測定方法
京セラミタ製のCreage7325改造機に、作製した単層型電子写真感光体をそれぞれ800Vに帯電させるようにグリッド電位を調整した。その後、オゾン濃度8ppm雰囲気下にて6時間暴露した後、複写機にセットし、駆動後1分後の帯電量を測定した。オゾン暴露後の帯電変化を表1に示す。
この測定方法によるとき、帯電低下が−60V程度までに抑えられていれば、耐オゾン性のよい単層型電子写真感光体であると判断される。
【0096】
【表1】
【0097】
この結果、比較例5の感光体におけるように、耐ガス性改良化合物を一切添加しないときは、帯電低下が−82Vと大きく、感光体表面がオゾンに曝されたことにより、電気特性が著しく低下する。比較例1〜4の場合、比較例5に比べれば帯電低下が小さくなっている感光体もみられるが、それでも低下の度合いは−60Vを超えており、耐ガス性改良効果は実用的に満足できるものではない。これらに比較して、実施例1〜11で得られた単層型電子写真感光体は、オゾン帯電低下がほぼ−50Vまでに抑えられており、耐オゾン性改良効果の向上が著しいことを示している。
【0098】
なお、表1の結果から、各添加化合物の融点(℃)とオゾン暴露後の帯電変化(V)との関係をグラフ化すると図2のとおりになる。このグラフにも示されるとおり、融点が40℃を超える化合物を添加した比較例1〜4の場合は帯電変化(V)が−60Vよりも大きい。これに比較して、一般式(1)または(2)で示され、かつ融点が0〜−60℃(沸点はいずれも250℃以上)である化合物を添加した実施例1〜11の場合、帯電低下が小さいことがこのグラフからも理解できる。
【0099】
実施例12
前記の実施例1、2および3と、比較例5で作製した電子写真感光体を、エクソン化学製のイソパラフィン系溶剤であるアイソパーLに30分間浸漬した。次いで、Creage7325改造機にて800V帯電時の明電位を測定し、30分間浸漬前後の明電位変化を求めた。その結果を表2に示した。また、電子写真感光体のクラック発生の有無を調べた結果を同じく表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
この結果に示すように、本発明の電子写真感光体は、比較例のものに比べて、感度変化が小さく、しかもクラックの発生がみられなかった。
【0102】
【発明の効果】
上述のとおり、本発明の単層型電子写真感光体は、本耐ガス性改良化合物を含有することから、コロナ帯電の時に発生するオゾンなどの酸化雰囲気に表面が曝されても、劣化が抑制される。従って、本単層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置は、電気特性の劣化、すなわち感度低下および残留電位の増加が抑制され、コピーの画像低下やカブリ残像の発生などがよく防止されたものである。また、湿式現像用画像形成装置に搭載するとき、感光層成分の溶出が抑えられることから、結晶化やクラックの発生が抑制されて、湿式現像用画像形成装置の本来の鮮明な画像形成がよく発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置の一例を概念図で示す。
【図2】実施例および比較例で得られた単層型電子写真感光体において、添加化合物の融点とオゾン暴露後の帯電変化との関係を示す。
Claims (6)
- 導電性基体上に、直接あるいは下引き層を介して、バインダー樹脂、電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤を同一層に含有する単層型電子写真用感光体において、
該感光層中に、一般式(1):
- 前記電荷発生剤がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする請求項1記載の単層型電子写真用感光体。
- 前記正孔輸送剤が下記の一般式(3)〜(6)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の単層型電子写真用感光体。
一般式(3):
一般式(4):
一般式(5):
一般式(6):
- 前記電子輸送剤がジフェノキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アゾキノン誘導体またはナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体であることを特徴とする請求項1記載の単層型電子写真用感光体。
- 前記請求項1〜4に記載のいずれかの単層型電子写真用感光体を搭載し、電子写真プロセスにおける帯電・転写・分離の各プロセスのうち少なくとも一つがチャージャー方式であることを特徴とする画像形成装置。
- 前記請求項1〜4に記載のいずれかの単層型電子写真用感光体を搭載し、現像剤の液体キャリアとして炭化水素系溶剤を使用していることを特徴とする湿式現像用画像形成装置。
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