JP2016038445A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層であって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と、ブタジエン構造を有する化合物を少なくとも含む2種以上の正孔輸送材料と、下記一般式(1)で表される電子輸送材料と、下記式(2)を満たすポリカーボネート樹脂と、を含有する感光層と、
を有する電子写真感光体。
(上記式(2)中、Mvは粘度平均分子量を表し、Mwは重量平均分子量を表す。)
前記感光層は、さらに一般式(3)で表される化合物を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
前記ブタジエン構造を有する化合物は、1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体を備え、導電性基体上に単層型の感光層を有する正帯電有機感光体(以下、単に「感光体」又は「単層型感光体」と称することがある)である。
そして単層型の感光層は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種(以下「特定フタロシアニン顔料」と称する場合がある)の電荷発生材料と、ブタジエン構造を有する化合物(以下「ブタジエン化合物」と称する場合がある)を少なくとも含む2種以上の正孔輸送材料と、前記一般式(1)で表される電子輸送材料(以下「特定電子輸送材料」と称する場合がある)と、前記式(2)を満たすポリカーボネート樹脂(以下「特定ポリカーボネート樹脂」と称する場合がある)と、を含有する
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
ここで、(Mv/Mw)値は前記の通り、粘度から求めた分子量である粘度平均分子量を重量平均分子量で割った値である。すなわち、繰り返し単位の数が同じ樹脂を比較すると、(Mv/Mw)値が大きい樹脂は、小さい樹脂に比べて分子間相互作用が大きく、相対的に粘度が大きいものである。そのため(Mv/Mw)値が前記範囲である樹脂を用いると、前記範囲よりも小さい樹脂を用いた場合に比べて特定電子輸送材料の感光層内における移動、凝集、結晶化等が抑制される。
なお、前記(Mv/Mw)値が上記範囲よりも大きいポリカーボネート樹脂は、製造及び入手が困難であると推測される。
以上のように、本実施形態では、繰り返し画像形成しても電子輸送材料が感光層内において移動、凝集、結晶化等が起こりにくいため、感光層のひび割れが起こりにくく、それに起因する点状の画像欠陥が発生しにくいと推測される。以下、点状の画像欠陥を「黒点」と称する場合がある。
一方、本実施形態において感光層がさらに特定添加剤を含むと、(Mv/Mw)値が大きい特定ポリカーボネート樹脂の自由体積を特定添加剤が埋めることにより、さらに特定電子輸送材料が感光層内を移動しにくくなる。そのため、感光体の表面に皮脂等が付着したことに起因するひび割れが起こりにくくなると推測される。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体10は、例えば、導電性基体3を備え、導電性基体3上に、下引層1及び単層型の感光層2がこの順で設けられて構成されている。
なお、下引層1は、必要に応じて設けられる層である。すなわち、単層型の感光層2は、導電性基体3上に直接設けられていてもよく、下引層1を介して設けられてもよい。
また、必要に応じてその他の層を設けてもよい。具体的には、例えば、必要に応じて、単層型の感光層2上に保護層を設けてもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
単層型の感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含み、必要に応じて前記特定添加剤等のその他添加剤を含んでもよい。
結着樹脂として、下記式(2)を満たすポリカーボネート樹脂を用いる。
式(2):0.45≦(Mv/Mw)≦0.55
(上記式(2)中、Mvは粘度平均分子量を表し、Mwは重量平均分子量を表す。)
ただし、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて前記式(2)を満たすポリカーボネート樹脂以外の樹脂(すなわち、他のポリカーボネート樹脂や他の樹脂等)を結着樹脂成分として含有させてもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式(2)を満たすものであれば特に限定されない。式(2)における(Mv/Mw)値は、ポリカーボネート樹脂を構成する繰り返し単位の構造によって決まると考えられる。
式(2)を満たすポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂が挙げられ、下記一般式(4)で表される繰り返し単位と、その他の繰り返し単位と、を有する共重合体であってもよい。
すなわちポリカーボネート樹脂は、上記一般式(4)で表される繰り返し単位と下記一般式(5)で表される繰り返し単位とを含む共重合体であってもよく、上記一般式(4)で表される繰り返し単位と下記一般式(6)で表される繰り返し単位とを含む共重合体であってもよい。
また上記一般式(6)中、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。
具体的には、一般式(4)で表される繰り返し単位と上記一般式(5)で表される繰り返し単位とで構成されたポリカーボネート樹脂を合成する場合、例えば、下記一般式(4’)で表される4,4′−ジヒドロキシビフェニル化合物及び下記一般式(5’)で表されるビスフェノール化合物を材料として用い、ホスゲン等の炭酸エステル形成性化合物との重縮合又はビスアリールカーボネートとのエステル交換反応等の方法によってポリカーボネート樹脂を得る。
特定ポリカーボネート樹脂以外の樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプ又はビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。
特定ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含有させる場合の含有量としては、結着樹脂全体に対し、例えば25質量%以下の範囲が挙げられる。
電荷発生材料としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種が適用される。
電荷発生材料としては、これら顔料を単独で用いてもよいが、必要に応じて併用してもよい。そして、電荷発生材料としては、感光体の高感度化、及び画像の点欠陥抑制の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から望ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される場合がある。そして、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい場合があり、それにより画質欠陥を生じ易くなることがある。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
正孔輸送材料としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の化合物が挙げられる。
本実施形態では、前記の通り、正孔輸送材料として少なくとも2種以上の正孔輸送材料を用い、その2種以上の正孔輸送材料のうち少なくとも1種としてブタジエン化合物を用いる。
なお、正孔輸送材料としては、ブタジエン化合物を2種以上用いてもよいし、ブタジエン化合物とブタジエン化合物以外のその他の正孔輸送材料とを併用してもよい。この場合の、ブタジエン化合物とその他の正孔輸送材料の質量比としては、例えば1:5〜5:1の範囲が挙げられる。すなわち、ブタジエン化合物とその他の正孔輸送材料とを併用する場合、正孔輸送材料全体におけるブタジエン化合物の含有量としては、例えば17質量%以上83質量%以下の範囲が挙げられる。また正孔輸送材料全体におけるブタジエン化合物の含有量は、40質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上70質量%以下がより好ましい。正孔輸送材料全体におけるブタジエン化合物の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べて電気特性に優れるという利点があり、上記範囲よりも多い場合に比べて膜中において正孔輸送材料の結晶化及び析出が生じ難いという利点がある。
また置換若しくは無置換のフェニル基としては、例えば、未置換のフェニル基;p−トリル基、2,4−ジメチルフェニル基等の低級アルキル基置換のフェニル基;p−メトキシフェニル基等の低級アルコキシ基(例えば炭素数1以上3以下のアルコキシ基)置換のフェニル基;p−クロロフェニル基等のハロゲン原子置換のフェニル基等が挙げられる。
上記一般式(8)中のR81、R82、R83、R84、R85、及びR86は、上記の中でも、水素原子、低級アルキル基、又はアルコキシ基が好ましく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。また、上記一般式(8)中のmは1が好ましく、nは1が好ましい。
なお、上記トリブタジエン化合物は、一般式(8)で表される化合物のうち、m=1かつn=1である化合物である。
・4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
・3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
・4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
・4−OMe:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
・4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
・4−Pr:フェニル基の4−位に置換するプロピル基
・4−OPh:フェニル基の4−位に置換するフェノキシ基
電子輸送材料としては、少なくとも下記一般式(1)で表される電子輸送材料が用いられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基が望ましい。
炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
L41が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R42が示すアルキル基としては、上記R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
なお、一般式(1)中のR18がアリール基である場合、前記アリール基がさらにアルキル基で置換されていることが、溶解性の観点で好ましい。前記アリール基に置換されるアルキル基としては、前記R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。また、さらにアルキル基で置換されたアリール基の具体例としては、上記メチルフェニル基及びジメチルフェニル基のほか、エチルフェニル基等が挙げられる。
R19が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Arが示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基エチルフェニル基等が挙げられる。
・Ph:フェニル基
感光体の全固形分に対する電子輸送材料の含有量が前記範囲であることにより、前記範囲よりも少ない場合に比べて感光体の電気特性が良好となり、前記範囲よりも多い場合に比べて、かぶりや黒点(点状の画像欠陥)が生じにくくなる。
なお、この電子輸送材料の含有量は、2種以上の電子輸送材料を併用した場合、それらの電子輸送材料全体の含有量である。
なお、本比率は、他の電荷輸送材料を併用した場合、その合計での比率である。
前記の通り、単層型の感光層は、特定添加剤(下記一般式(3)で表される化合物)を含んでもよい。
上記特定添加剤として一般式(3)で表される化合物を用いる場合、一般式(3)中のR31及びR32は、感光層に含まれる一般式(1)で表される電子輸送材料のR18といずれも同じであってもよく、一方が異なってもよく、両方が異なっていてもよい。感光体表面におけるひび割れの発生を抑制する観点からは、一般式(3)中のR31及びR32の両方が、一般式(1)中のR18と同じであることが好ましい。
・Ph:フェニル基
また、一般式(1)で表される電子輸送材料(特定電子輸送材料)100質量部に対する一般式(3)で表される化合物(特定添加剤)の含有量は、例えば1質量部以上60質量部以下が挙げられ、5質量部以上50質量部以下が好ましい。上記特定電子輸送材料に対する特定添加剤の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べて感光体の表面に皮脂等が付着したことに起因するひび割れが起こりにくいという利点があり、上記範囲よりも多い場合に比べて耐傷性が良好という利点がある。
単層型の感光層には、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
前記の通り、必要に応じてその他の層を設けてもよい。その他の層としては、例えば、感光層上に最表面層として設けられる保護層が挙げられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善したりする目的で設けられる。そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
−下引層の形成−
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBE502:信越化学工業製)1.2質量部を添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
電荷発生物質として下記表1に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料2質量部と、結着樹脂として下記表1に示す樹脂55質量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン300質量部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて6時間分散し、分散液を得た。
以上の工程を経て、電子写真感光体を作製した。
なお、実施例1において得られた電子写真感光体においては、感光層の全固形分に対する特定添加剤の含有量が5質量%であった。
表1及び表2に従って、下引層の有無、感光層形成用塗布液に用いる電荷発生材料の種類、結着樹脂の種類、正孔輸送材料1及び正孔輸送材料2の種類及び添加量、電子輸送材料の種類及び添加量、並びに特定添加剤の種類及び添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
なお表1及び表2中の「量」は添加量(質量部)を表し、「−」は添加していないことを表す。
−電荷発生材料−
・HOGaPC:ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型):Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=820nm、平均粒径=0.12μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=60m2/g)
・ポリカーボネート樹脂1:下記構造式(11)で表される繰り返し単位25及び下記構造式(12)で表される繰り返し単位75からなるポリカーボネート共重合体(粘度平均分子量:45,000、重量平均分子量:89,000、Mv/Mw:0.51)
・8−1: 一般式(8)で表される化合物の例示化合物(8−1)
・HT−1: 一般式(B−2)で表される化合物の例示化合物(HT−1)
・7−1: 一般式(7)で表される化合物の例示化合物(7−1)
・HT−4: 一般式(B−1)で表される化合物の例示化合物(HT−4)
・1−2: 一般式(1)で表される電子輸送材料の例示化合物(1−2)
・1−6: 一般式(1)で表される電子輸送材料の例示化合物(1−6)
・1−14: 一般式(1)で表される電子輸送材料の例示化合物(1−14)
・3−1: 一般式(3)で表される化合物の例示化合物(3−1)
・3−7: 一般式(3)で表される化合物の例示化合物(3−7)
得られた各電子写真感光体について、以下の評価を行った。その結果を表3に示す。
感光体の外周面に、オレイン酸1質量%ヘキサン溶液を0.5ml噴霧し、室温(25℃)で2週間放置し、感光体表面のクラック(ひび割れ)を以下の基準で評価した。なお、用いた顕微鏡はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、型番:VHX−700)であり、700倍に拡大して観察した。
A:顕微鏡で観察して問題なし(クラックが観察されない)
B:顕微鏡観察で微細なクラック発生するが実用上問題なし(目視でクラックが観察されない)
C:目視でクラックが確認される
初期画質評価(初期画質黒点)は、室温28℃、湿度85%の環境下で、Brother社製HL5340Dを用い、50%ハーフトーン画像を形成し、画像の黒点発生の有無を以下の基準で評価した。
A:黒点発生なし(目視で黒点が確認されない)
B:目視でわずかに黒点が確認されるが、画質上問題なし
C:目視で確認される黒点が多く、実用上問題となる
上記初期画質評価と同じ条件で1万枚の画像形成を行った後、上記初期画質評価と同様にして50%ハーフトーン画像を形成し、画像の黒点発生の有無を以下の基準で評価した。
A:黒点発生なし(目視で黒点が確認されない)
B:目視でわずかに黒点が確認されるが、画質上問題なし
C:目視で確認される黒点が多く、実用上問題となる
上記初期画質評価と同じ条件で1万枚の画像形成を行った後、感光体の表面を顕微鏡(デジタルマイクロスコープ、キーエンス社製、型番:VHX−700)で500倍に拡大して観察し、以下の基準で評価した。
A:感光体表面の傷は観察されないか、又は微小な傷がわずかに観察されるレベル
B:感光体表面に明らかな傷が発生しているものの、許容レベル
C:感光体表面に傷も多く、所々見た目で変色しており、問題となるレベル
Claims (5)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層であって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と、ブタジエン構造を有する化合物を少なくとも含む2種以上の正孔輸送材料と、下記一般式(1)で表される電子輸送材料と、下記式(2)を満たすポリカーボネート樹脂と、を含有する感光層と、
を有する電子写真感光体。
(一般式(1)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、−L41−O−R42、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L41はアルキレン基を示し、R42はアルキル基を示す。)
式(2):0.45≦(Mv/Mw)≦0.55
(上記式(2)中、Mvは粘度平均分子量を表し、Mwは重量平均分子量を表す。) - 前記感光層は、さらに一般式(3)で表される化合物を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
(一般式(3)中、R31及びR32は、各々独立に、アルキル基、−L61−O−R62、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L61はアルキレン基を示し、R62はアルキル基を示す。) - 前記ブタジエン構造を有する化合物は、1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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