JP6620461B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
外周面における十点平均表面粗さRzが1.5μm以上3.5μm以下である導電性基体と、
前記導電性基体の前記外周面上に設けられた単層型の感光層であって、結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有し、波長780μmにおける厚み1μmあたりの吸光度が0.02以上0.06以下である感光層と、
を有する電子写真感光体。
前記電荷発生材料は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料である<1>に記載の電子写真感光体。
<1>又は<2>に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<1>又は<2>に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体を備え、導電性基体上に単層型の感光層を有する有機感光体(以下、単に「感光体」又は「単層型感光体」と称することがある)である。
そして、導電性基体の外周面における十点平均表面粗さRz(以下「基体表面粗さ」と称する場合がある)が1.5μm以上3.5μm以下である。また単層型の感光層は、結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有し、かつ、波長780μmにおける厚み1μmあたりの吸光度(以下「特定吸光度」と称する場合がある)が0.02以上0.06以下である。
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
単層型の感光層は、正孔輸送材料及び電子輸送材料を含むが、正孔輸送材料の正孔輸送能に比べて電子輸送材料の電子輸送能の方が低いため、電子の輸送距離を短くすることで感度が向上すると考えられる。つまり、負帯電時の感度を高める方法として、感光層の中でも導電性基体に近い領域で電荷を多く発生させ、相対的に電子の輸送距離を短くする方法が挙げられる。
そのため、特定吸光度が前記範囲よりも大きい場合に比べ、照射された光が感光層の奥深く(導電性基体に近い領域)に到達しやすいことに加え、基体表面粗さが前記範囲よりも小さい場合に比べ、導電性基体の外周面で光が散乱しやすい。そして、導電性基体の外周面で光が散乱することで、感光層のうち導電性基体に近い領域に存在する電荷発生材料が光を吸収する機会が増え、電荷発生量が増加し、感度が向上すると推測される。
また本実施形態では、前記の通り、導電性基体の外周面に到達した光が散乱しやすく正反射しにくいため、導電性基体の外周面で正反射した光によって形成される干渉縞が生じにくい。
また本実施形態では、基体表面粗さが前記範囲であることにより、局所的な電荷漏れ(リーク)に起因する点状の画像欠陥(色点)が抑制される。
まず、感光体の作製に用いる感光層形成用塗布液と同じ組成のサンプル用塗布液を準備し、これをガラスプレート上に塗布し、感光層の形成の際の同条件で乾燥硬化し、ある厚さ(L1(μm))の膜を作製する。また、同様にして、L1とは異なる厚さ(L2(μm)及びL3(μm))の膜を、それぞれ別のガラスプレート上に作製する。
このようにして得られた3枚のサンプルについて、780nmにおける吸光度を測定し、その値を、膜厚L1のサンプルの場合「A1」、膜厚L2のサンプルの場合「A2」、膜厚L3のサンプルの場合「A3」とする。
そして、膜厚を横軸、吸光度(A1、A2、及びA3)を縦軸としたときのプロットから傾きを算出し、膜厚1μmあたりの吸光度を求めた。
なお、ガラスプレート上に成膜される膜厚は5μm以上15μm以下の範囲とした。
また、吸光度は、日立社製、紫外可視分光光度計U2000を用いて測定した。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体10は、例えば、導電性基体3を備え、導電性基体3上に、下引層1及び単層型の感光層2がこの順で設けられて構成されている。
なお、下引層1は、必要に応じて設けられる層である。すなわち、単層型の感光層2は、導電性基体3上に直接設けられていてもよく、下引層1を介して設けられてもよい。ただし負帯電時の高い感度を得る観点からは、導電性基体3上に単層型の感光層2が直接設けられていることが望ましい。
また、必要に応じてその他の層を設けてもよい。具体的には、例えば、必要に応じて、単層型の感光層2上に保護層を設けてもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
基体表面粗さを前記範囲とする方法としては、例えば、導電性基体の外周面を粗面化する方法が挙げられる。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から(1/2)λまでに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
単層型感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、電子輸送材料と、正孔輸送材料と、を含む。単層型感光層は、必要に応じてその他添加剤を含んでもよい。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
これらの結着樹脂の中でも、特に、感光層の成膜性の観点から、例えば、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂がよい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
なお、電荷発生材料は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から望ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される傾向があり、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じ易くなることがある。
なお、クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
正孔輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の化合物が挙げられる。これらの正孔輸送材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
なお、フェニル基に置換し得る置換基としては、例えば、R1〜R6が示す低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
・4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
・3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
・4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
・4−MeO:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
・4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
・4−Pr:フェニル基の4−位に置換するプロピル基
・4−PhO:フェニル基の4−位に置換するフェノキシ基
なお、この正孔輸送材料の含有量は、2種以上の正孔輸送材料を併用した場合、それらの正孔輸送材料全体の含有量である。
電子輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、9−ジシアノメチレン−9−フルオレノン−4−カルボン酸オクチル、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’−ジ−tert−ペンチル-ジナフトキノン等のジナフトキノン化合物;3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルジフェノキノン、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;等が挙げられる。これらの電子輸送材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
一般式(2)中、R11〜R17が示すアラルキル基としては、−R19−Ar1で示される基が挙げられる。但し、R19は、アルキレン基を示す、Ar1は、アリール基を示す。 R19が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上8以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Ar1が示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、等が挙げられる。
R11〜R17が示すアラルキル基としては、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
R20が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上8以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Ar2が示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、等が挙げられる。
・Ph:フェニル基又はフェニレン基
・p−C2H5:パラ位に置換したエチル基
なお、この電子輸送材料の含有量は、2種以上の電子輸送材料を併用した場合、それらの電子輸送材料全体の含有量である。
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が好ましく、より好ましくは60/40以上80/20以下である。
なお、本比率は、他の電荷輸送材料を併用した場合、その合計での比率である。
単層型の感光層には、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
−導電性基体の作製−
潤滑剤を塗布したアルミニウム純度99.5%以上のJIS呼称1050合金のスラグ(被加工材料)を用意し、450℃で40分間の均質化処理を行った。均質化処理を行ったスラグを用いて、ダイ(雌型)とパンチ(雄型)によりインパクトプレス加工にて底面の有る円筒体を作製し、その後、しごき加工(回数:3回)にて、直径30mm、長さ244.5mm、厚み1mmの円筒状のアルミニウム基体を作製した。その後、アルミニウム基体に対して、220℃で60分間の焼き鈍し処理を行った。
得られた導電性基体の外周面における十点平均表面粗さRzを既述の方法で測定したところ、2.5μmであった。
結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)46.8質量部と、電荷発生材料として下記表1に示す電荷発生材料1.2質量部と、正孔輸送材料として下記表1に示す正孔輸送材料37質量部と、電子輸送材料として下記表1に示す電子輸送材料15質量部と、溶媒としてテトラヒドロフラン250質量部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散し、感光層形成用塗布液を得た。
以上の工程を経て、電子写真感光体を作製した。
表2〜表5に従って、導電性基体の外周面における十点平均表面粗さRz(表中「基体表面粗さ」と表記)、結着樹脂の添加量、電荷発生材料の種類及び添加量、正孔輸送材料の種類及び添加量、並びに電子輸送材料の種類及び添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
なお、導電性基体の外周面における十点平均表面粗さRzの調整は、粗面化処理におけるメディア吐出圧力の条件を変えることで行った。
得られた各電子写真感光体について、以下の評価を行った。その結果を表2〜表5に示す。
感光体の作製に用いた感光層形成用塗布液と同じ組成のサンプル用塗布液をガラスプレート上に塗布し、感光層の形成の際の同条件で乾燥硬化し、厚さ(L1(μm)、L2(μm)、及びL3(μm))の膜を、それぞれ作製した。得られた3枚のサンプルについて、780nmにおける吸光度を測定し、膜厚を横軸、吸光度を縦軸としたときのプロットから傾きを算出し、膜厚1μmあたりの吸光度を求めた。
なお、ガラスプレート上に成膜される膜厚は5μm以上15μm以下の範囲とした。
また、吸光度は、日立社製、紫外可視分光光度計U2000を用いて測定した。
感光体の感度の評価は、−800Vに帯電させた時の半減露光量として、評価した。
具体的には、静電複写紙試験装置(エレクトロスタティックアナライザーEPA−8100、川口電気社製)を用いて、20℃、40%RHの環境下、−800Vに帯電させた後、タングステンランプの光を、モノクロメーターを用いて780nmの単色光にし、感光体表面上で1μW/cm2になるように調整して、照射した。
そして、帯電直後における感光体表面の表面電位V0(V)、感光体表面の光照射により表面電位が1/2×VO(V)となる半減露光量E1/2(μJ/cm2)を測定し、それを「感度」とした。
なお、感光体の感度(半減露光量E1/2)は、小さい値であるほど感度が高いことを示し、0.20μJ/cm2未満の半減露光量が得られたとき、高感度化されたと評価する。
画質評価は、Brother社製HL2270DWに対して、前述のようにして得られた電子写真感光体を取り付けた改造機を用いて行った。
この改造機を用い、20℃、40%RHの環境下で、電子写真感光体の表面を負に帯電させ780nmの単色光で像を形成する方法により50%ハーフトーン画像を形成し、導電性基体の外周面における光の反射に起因する干渉縞を目視で観察して評価を行った。
グレード1:干渉縞が全く確認されない
グレード2:画像のごく一部に干渉縞に起因する非常にわずかな濃度変化が確認される
グレード3:画像の一部に干渉縞に起因するわずかな濃度変化が確認される
グレード4:干渉縞に起因する濃度変化が確認されるが、干渉縞とは認識できない
グレード5:うっすらと干渉縞が確認され、干渉縞と認識できる
グレード6:干渉縞の輪郭が明確に確認される
グレード7:干渉縞により画像が形成できない
画質評価は、Brother社製HL2270DWに対して、前述のようにして得られた電子写真感光体を取り付けた改造機を用いて行った。
この改造機を用い、20℃、40%RHの環境下で、電子写真感光体の表面を負に帯電させ780nmの単色光で像を形成する方法により50%ハーフトーン画像を形成し、画像の点欠陥(色点)を表1に示した基準で評価した。評価方法の詳細としては、得られた画像の点欠陥を3つの大きさ(面積)で分類し、各々の大きさの点欠陥の個数が該当する基準のうち最も悪い基準(数値の大きい基準)の評価を与えることとした。具体的には、例えば、0.05mm2未満が11個、0.05mm2以上0.1mm2未満が2個、0.1mm2以上が0個の場合、評価は「8」である。
評価基準は下記表1の通りである。なお、評価基準「4」以下であると実用上許容範囲であると評価する。
・PC1:クロロガリウムフタロシアニン(ClGaPC):Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜、28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=780nm、平均粒径=0.15μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=56m2/g)
・(1−1): 一般式(1)で表される正孔輸送材料の例示化合物(1−1)
・(2−1) : 一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物(2−1)
・(2−11): 一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物(2−11)
・化合物A : 下記構造の電子輸送材料「化合物A」
・化合物B : 下記構造の電子輸送材料「化合物B」
・化合物C : 下記構造の電子輸送材料「化合物C」
・PCZ:ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)
Claims (5)
- 外周面における十点平均表面粗さRzが1.5μm以上3.5μm以下である導電性基体と、
前記導電性基体の前記外周面上に直接設けられた単層型の感光層であって、結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有し、波長780μmにおける厚み1μmあたりの吸光度が0.02以上0.06以下である感光層と、
を有し、
前記正孔輸送材料は、トリアリールアミン系化合物を含み、
前記電子輸送材料は、下記一般式(2)で表される化合物、ジフェノキノン化合物、及びジナフトキノン化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む電子写真感光体。
(前記一般式(2)中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、及びR 17 は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R 18 は、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。) - 前記十点平均表面粗さRzが2.0μm以上3.5μm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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