JP2003228183A - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体および画像形成装置

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JP2003228183A
JP2003228183A JP2002025047A JP2002025047A JP2003228183A JP 2003228183 A JP2003228183 A JP 2003228183A JP 2002025047 A JP2002025047 A JP 2002025047A JP 2002025047 A JP2002025047 A JP 2002025047A JP 2003228183 A JP2003228183 A JP 2003228183A
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JP2002025047A
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English (en)
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Jun Azuma
潤 東
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Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Mita Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高解像度で画像ボケがなく、繰り返し使用して
も画像が劣化しない電子写真感光体および当該感光体を
用いた画像形成装置を提供する 【解決手段】転写工程後に感光体表面に残留したトナー
がファーブラシにより除去される電子写真感光体の、感
光層が表面付近に電荷発生剤を含有し、電荷発生剤を含
有する層の露光波長に対する膜厚1μm当たりの吸光度が
0.3以上とする。または、感光層の表面付近に電荷発生
剤を含有し、且つ十点平均表面粗さRzが0.25μm以上で
あり、前記電荷発生剤を含有する層の露光波長に対する
膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファーブラシによ
るクリーニングに適する電子写真感光体と、それを用い
るレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミ
リ装置、およびこれらの機能を併せ持つ複合装置などの
画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的に用いられる画像形成装置
においては、感光体の表面を主帯電し、原稿の画像部分
を露光して原稿画像に対応した静電潜像を感光体表面に
形成する。この静電潜像にトナーを現像した後、形成さ
れたトナー像を紙などの記録媒体に転写する。その後、
記録媒体は感光体から分離され、トナー像が定着されて
画像形成を行う。転写後、感光体表面に残留したトナー
はクリーニング手段により除去され、必要に応じて感光
体表面が除電された後、次の主帯電が行われる。
【0003】このような画像形成装置のクリーニング手
段としては、ブレード方式、ファーブラシ方式、ローラ
ークリーニング方式等が簡単な機構でトナー除去効率の
良いものとして、一般的に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ファーブラ
シクリーニング方式は、ローラーの周面上に無数の繊維
を放射状に接着したファーブラシの周面を感光体表面に
当接させて回転することにより、残留トナーを付着させ
てクリーニングを行うものである。従って、ファーブラ
シのクリーニング効率を高めるためには、ファーブラシ
の繊維を太くしたり、本数を増やしたりして、感光体と
の接触面積を大きくとることが必要になる。また、繊維
を硬くしたり、ファーブラシの当接圧を大きしたりする
ことは、トナーを掻き取る効果が増大するため、クリー
ニング効率の向上に繋がる。
【0005】しかし、上記のようにするとクリーニング
効率が向上する一方、ファーブラシを回転駆動させたと
きに大きなトルクが掛かることになり、感光体表面に無
数の細かい擦り傷がついてしまう。
【0006】このような擦り傷により、以下の問題点が
発生する。図7は従来の画像形成装置において、擦り傷
がある感光体を露光した場合の露光路を示す図である。
【0007】図7より、原稿画像部321に対応する光
は、擦り傷により粗面化された感光体表面の凹凸部111
で屈折して感光層110に侵入する(露光路33)。このた
め、感光層表面付近112では露光路33の振れが小さくて
済むが、感光層110の深部113においては露光路33の振れ
は大きくなる。このため、感光層深部113では本来露光
されるべき領域341から大きく広がった領域342が露光さ
れることになる。感光層110の露光部分では、電荷発生
剤により正負電荷が発生し、そのうち一方(図3は負電
荷)が感光層112表面の電荷を中和して静電潜像322を形
成する。静電潜像322は、感光層深部113の露光領域342
に対応しており、原稿画像部321よりも広がることにな
る。
【0008】ここで、深部露光領域342が広がる分、単
位面積当たりの露光量が減少する。さらに、深部露光領
域342の中央部から端部に行くほど、また感光層深部に
行くほど露光量は減少する。加えて、感光層表面付近11
2から深部113に至る深さ方向で、露光されて電荷を発生
する電荷発生剤の数は、露光された領域の中央部が多
く、端部では少ない。
【0009】以上のことより、形成される画像は解像度
が低く、ボケたものになり、文字太りや細線再現性の低
下といった問題が生じることになる。
【0010】以上の問題点はファーブラシクリーニング
方式において、顕著に見られる現象であるが、クリーニ
ングブレード方式において、酸化チタンやマグネタイト
など硬度の大きな表面処理を施したトナーを用いた場合
にも発生することがある。これは、クリーニングブレー
ドがトナーを掻き取る際、表面処理剤が感光体表面に圧
接されたり、通過したりするために、感光体表面を削る
ことによるものである。
【0011】また、接触現像法において上記と同様のト
ナーを用いた場合、二成分現像法でフェライト等のキャ
リアを用いた場合も、感光体に当接するトナーやキャリ
アにより感光体表面に擦り傷が発生することがある。
【0012】露光路33の屈折度合いは、凹凸部111の深
さ、角度によって異なってくるが、十点平均表面粗さRz
が0.25μm以上になると露光路33の振れが顕著になる。
【0013】また、画像形成を繰り返し行うことによ
り、感光体表面の擦り傷は増加し、大きくなるため、以
上の問題点が顕著に見られるようになる。
【0014】本発明の目的は、以上のような問題点を解
消し、高解像度で画像ボケがなく、繰り返し使用しても
画像が劣化しない電子写真感光体および当該感光体を用
いた画像形成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ための、本発明の第1の電子写真感光体は、転写工程後
に感光体表面に残留したトナーがファーブラシにより除
去される電子写真感光体であって、この感光体は支持基
体上に感光層が形成されており、当該感光層は表面付近
に電荷発生剤を含有し、前記電荷発生剤を含有する層の
露光波長に対する膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上で
あることを特徴とする。
【0016】本発明の第2の電子写真感光体は、支持基
体上に感光層が形成されており、感光層は表面付近に電
荷発生剤を含有し、且つ十点平均表面粗さRzが0.25μm
以上であり、前記電荷発生剤を含有する層の露光波長に
対する膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上であることを
特徴とする。
【0017】図2は本発明の感光体を露光した場合の露
光路を示す図である。
【0018】図2より、原稿画像部321に対応する光は、
擦り傷により粗面化された感光体表面の凹凸部111で屈
折して感光層110に侵入する。しかしながら、膜厚1μm
当たりの吸光度が0.3以上であるため、光は感光層110の
深部まではほとんど侵入しない。従って、感光層110の
表面付近112、すなわち領域341のみが露光されることに
なる。このため、露光領域341における露光路33の振れ
は僅かであり、露光領域341および露光領域341に対応
する静電潜像322の広がりは殆どない。
【0019】これらのことにより、ファーブラシまたは
上記その他の要因による感光体表面の擦り傷があったと
しても、感光体の表面付近しか露光されないので、静電
潜像が広がることがない。従って、解像度が低下や画像
ボケが発生することがなく、繰り返し使用時においても
画像が劣化しない。
【0020】本発明の電子写真感光体は、上記に加えて
以下の構成とすることができる。 ・感光層が結着樹脂、電荷発生剤および電荷輸送剤を含
有する単層型の感光層である。 ・感光層が結着樹脂と電荷輸送剤とを含有する電荷輸送
層と、電荷発生剤を含有する層をこの順に積層する積層
型の感光層である。
【0021】以上の層構成とすることにより、露光領域
の広がりが小さい表面付近での電荷発生剤を効果的に利
用することができる。
【0022】本発明の画像形成装置は、本発明の電子写
真感光体を用いた画像形成装置である。
【0023】すなわち、支持基体上に感光層を形成した
感光体と、感光体を一定方向に駆動する駆動手段とを有
し、当該感光体の駆動方向に沿って帯電手段、露光手
段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段がこの
順に設けられている。
【0024】本発明の第1の画像形成装置は、さらに、
感光層が表面部に電荷発生剤を含有し、露光手段が前記
電荷発生剤を含有する層の膜厚1μm当たりの吸光度が0.
3以上の波長域内の光で露光を行うものであり、クリー
ニング手段が転写手段による転写工程後に感光体表面に
残留したトナーを除去するためのファーブラシを有する
ことを特徴とする。
【0025】本発明の第2の画像形成装置については、
感光層が表面付近に電荷発生剤を含有し、且つ十点平均
表面粗さRzが0.25μm以上であり、前記露光手段が前記
電荷発生剤を含有する層の膜厚1μm当たりの吸光度が0.
3以上の波長域内の光で露光を行うものであることを特
徴とする。
【0026】上記の画像形成装置によれば、露光波長の
光は感光層の深部まで侵入しないので、感光層の表面付
近の電荷発生剤のみ電荷発生するように促すことができ
る。このため、ファーブラシまたは上記その他の要因に
よる感光体表面の擦り傷によっても、解像度が低下や画
像ボケが発生することがなく、繰り返し使用時において
も画像が劣化しない。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体および画
像形成装置について詳細に説明する。 《電子写真感光体》 (感光層)本発明の電子写真感光体は、支持基体上に感
光層を設けたものであり、当該感光層の少なくとも表面
付近に電荷発生剤を含有する。
【0028】感光層には、単層型感光層と積層型感光層
とがあるが、本発明には、このいずれのものも適用可能
である。
【0029】このうち単層型感光層は、電荷発生剤を含
有する光導電層単独で構成されるものである。感光層の
形成は電荷発生剤をCVD法などの気相成長法によって行
うか、電荷発生剤を結着樹脂とともに適当な有機溶媒に
溶解または分散した塗工液を、塗布などの手段によって
支持基体上に塗布し、乾燥させることで形成される。結
着樹脂を用いる場合は、電荷発生剤とともに電荷輸送剤
(正孔輸送剤と電子輸送剤があるが、詳細については後
述する。)を分散させることによって、電荷輸送能に優
れた感光層を形成することができる。
【0030】電荷輸送剤として、正孔輸送剤を用いた場
合は正帯電型、電子輸送剤を用いた場合は負帯電型、正
孔輸送剤と電子輸送剤の両方を用いた場合は両帯電型の
感光層となる。
【0031】以上に述べた単層型感光層は、層構成が簡
単で生産性に優れているという利点がある。
【0032】一方、積層型感光層は、支持基体上に電荷
輸送剤を含有する電荷輸送層と、電荷輸送層上に電荷発
生剤を含有する電荷発生層とを積層することで構成され
る。あるいは、電荷発生剤とともに電荷輸送剤(正孔輸
送剤および/または電子輸送剤)を含有させた光導電層
を、電荷輸送層、電荷発生層と組み合わせても良い。各
層の形成は単層型感光層の場合と同様にして行うことが
できる。
【0033】積層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸
送層などの形成順序と、両層に含有させる電荷輸送剤の
種類(正孔輸送剤または電子輸送剤)によって種々の組
み合わせが考えられるが、本発明においては、上記の
内、電荷発生剤を含有する層が最表面なければならな
い。
【0034】したがって積層型感光層の具体例として
は、以下のようなものが挙げられる。 (a)支持基体上に、電子輸送剤を含有する電荷輸送層を
形成し、その上に電荷発生層または光導電層を積層した
負帯電型の積層型感光層。 (b)支持基体上に、正孔輸送剤を含有する電荷輸送層を
形成し、その上に電荷発生層または光導電層を積層し
た、正帯電型の積層型感光層。 (c)支持体上に、正孔輸送剤と電子輸送剤とを含有する
電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層または光導電
層を積層した、両帯電型感光層。
【0035】上記(a)〜(c)の層構成に、必要に応じて電
荷発生層、電荷輸送層、光導電層を付加することも可能
である。この際、電荷輸送層については、感光層の最表
面ではない層に設けなければならない。
【0036】上記(a)〜(c)の内、正帯電型の積層型感光
層の方が正帯電型に比べて、光感度や残留電位などの電
気的特性が優れているため、正帯電型である(a)の構成
が好ましい。
【0037】以上の単層型および積層型感光層におい
て、電荷発生剤が上述のとおり感光層の表面付近に存在
している必要がある。そのためには、後述する感光層の
作製方法によって、電荷発生剤を結着樹脂中に溶媒と共
に分散させて支持基体に塗布してやれば、通常、感光層
の表面付近にも電荷発生剤が分散されて存在するように
なる。従って、単層型感光層の光導電層、または積層型
感光層の感光層の最表面に設けられた電荷発生層もしく
は光導電層に、電荷発生剤が分散されていればよい。
【0038】本発明において、クリーニング方式がファ
ーブラシによる場合に、またはファーブラシを使用する
場合はもちろん使用しない場合でも十点平均表面粗さRz
が0.25μm以上である場合に、感光層の表面付近ででき
る限りの露光を吸収する必要がある。このため、感光層
最表面に形成される層(電荷発生剤を含有する)は露光
波長に対する膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上である
べきである。但し、電荷輸送剤または色素を含有させる
ことにより、吸光度があまりに大きくなり過ぎると、電
荷発生に寄与する電荷発生剤が減少するので、電荷発生
効率の良い電荷発生剤を使用する必要性が出てくる。従
って、電荷発生剤の選択の幅を広げるためには、露光波
長に対する膜厚1μm当たりの吸光度が0.7以下であるこ
とが好ましい。
【0039】上記吸光度の範囲は、単層型感光層の場合
は光導電層における値であり、積層型感光層の場合は感
光層の最表面に設けられた電荷発生層または光導電層に
おける値である。
【0040】また、表面粗さが大きくなるに従い、露光
波長に対する膜厚1μm当たりの吸光度も増大させる必要
があるが、上記の電荷発生量との兼ね合いから、表面粗
さがあまりにも大きくなると電荷発生剤の選択が難しく
なってくる。このような観点から、感光層の十点平均表
面粗さRzが0.25μm以上であることが好ましい。 (電荷発生剤)上記単層型もしくは積層型感光層に使用
される電荷発生剤としては、例えば非晶質無機材料〔例
えばa-シリコン、a-炭素など〕などの無機光導電材料の
粉末、無金属フタロシアニン、金属(例えば、チタン、
銅、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、インジウ
ム、ガリウム、錫、亜鉛、バナジウム等)または金属酸
化物(上記金属の酸化物でありTiO等)が配位したフタ
ロシアニン等の、種々の結晶型を有する結晶からなるフ
タロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、ペ
リレン系顔料、アンサンスロン系顔料、インジゴ系顔
料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイ
ジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料、
ジチオケトピロロピロール系顔料などの、従来公知の種
々の顔料が挙げられる。
【0041】電荷発生剤は、感光層が露光の波長域に感
度を有するように、それぞれ単独で、あるいは2種以上
を組み合わせて使用することができる。いずれの場合
も、電荷発生剤は感光層の表面付近に存在しなければな
らない。 (電荷輸送剤)本発明の電子写真感光体に用いる電荷輸
送剤の具体例としては、ベンジジン系化合物、フェニレ
ンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フ
ェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系
化合物〔例えば2,5-ジ(4-メチルアミノフェニル)-1,
3,4-オキサジアゾールなど〕、スチリル系化合物〔例え
ば9-(4-ジエチルアミノスチリル)アントラセンな
ど〕、カルバゾール系化合物〔例えばポリ-N-ビニルカ
ルバゾールなど〕、ピラゾリン系化合物〔例えば1-フェ
ニル-3-(p-ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンな
ど〕、ヒドラゾン系化合物〔例えばジエチルアミノベン
ズアルデヒドジフェニルヒドラゾンなど〕、トリフェニ
ルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール
系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化
合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合
物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタ
ジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロ
レイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、
キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、
スチルベン−ヒドラゾン系化合物、ジフェニレンジアミ
ン系化合物および有機ポリシラン系化合物などの正孔輸
送剤、ベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物
〔例えば2,6-ジメチル-2’,6’-t-ブチルベンゾキノン
など〕、ナフトキノン系化合物、マロノニトリル、チオ
ピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8-トリニ
トロチオキサントン、フルオレノン系化合物〔例えば2,
4,7-トリニトロ-9-フルオレノンなど〕、ジニトロベン
ゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニ
トロアントラキノン、無水こはく酸、無水マレイン酸、
ジブロモ無水マレイン酸、2,4,7-トリニトロフルオレノ
ンイミン系化合物、エチル化ニトロフルオレノンイミン
系化合物、トリプトアントリン系化合物、トリプトアン
トリンイミン系化合物、アザフルオレノン系化合物、ジ
ニトロピリドキナゾリン系化合物、チオキサンテン系化
合物、2-フェニル-1,4-ベンゾキノン系化合物、2-フェ
ニル-1,4-ナフトキノン系化合物、5,12-ナフタセンキノ
ン系化合物、α-シアノスチルベン系化合物、4’-ニト
ロスチルベン系化合物、ならびに、ベンゾキノン系化合
物の陰イオンラジカルとカチオンとの塩などの電子輸送
剤などの、従来公知の化合物が挙げられる。
【0042】これらの電荷輸送剤は単独で使用できるほ
か、2種以上を併用することもできる。
【0043】上記感光層の表面付近に、上記電荷輸送剤
のうちから露光波長域に光吸収を有するものを含有させ
た場合(最表面層に電荷輸送剤を分散させれば良い。)
は、感光層表面付近での露光による光の吸収を助ける。
このため、電荷発生剤自体の吸光度が小さい場合でも、
光が感光体深部にまで侵入するのを抑制することができ
る。従って、上記分光特性を有する電荷輸送剤は、本発
明において好ましい化合物といえる。 (結着樹脂)結着樹脂としては、例えばスチレン系重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポ
リエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホ
ン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキ
ッド樹脂、ポリウレタン、その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリ
レートなどの光硬化性樹脂などが挙げられる。これらは
それぞれ単独で使用できるほか、2種以上を併用するこ
ともできる。
【0044】また、前記例示の正孔輸送剤うち、ポリ-N
-ビニルカルバゾールや有機ポリシラン化合物等の高分
子の正孔輸送剤を用いる場合は、当該化合物を結着樹脂
としても機能させて、上記例示の通常の結着樹脂を省略
することもできる。
【0045】感光層には、上記各成分の他に、例えばフ
ルオレン系化合物、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性
剤、レベリング剤などの種々の添加剤を添加することも
できる。また感光体の感度を向上させるために、例えば
ターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンな
どの増感剤を添加してもよい。
【0046】特に、電荷発生剤の吸光度が小さい場合
に、感光層中に色素を含有させることで露光による光の
吸収を補うことができる。上記色素は上記電荷発生剤と
して使用するものとは別の、着色剤のことであり、各種
有機および無機顔料や染料が使用される。具体的には、
「化学便覧 応用編」改訂3版p.977〜p.1027に記載され
ているものの中から、露光波長域に光吸収を有するもの
が選択され、感光層の特性に影響を与えない程度に添加
することができる。色素についても電荷輸送剤と同様、
感光層の表面付近に含有させることにより、感光層表面
付近での露光による光の吸収を助ける効果が得られる。 (支持基体)前記感光層が形成される支持基体として
は、導電性を有する種々の材料を使用することができ、
例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジ
ウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッ
ケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等
の金属単体や、前記金属が蒸着またはラミネートされた
プラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸
化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
【0047】支持基体の形状は、使用する画像形成装置
の構造に合わせて、シート状、ベルト状、ドラム状等の
いずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、
あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。ま
た、支持基体は、使用に際して十分な機械的強度を有す
るものが好ましい。 (感光層の形成)感光層は、例えばプラズマCVD法、
光CVD法等の化学蒸着法、スパッタリング法、真空蒸
着法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法など、従
来公知の種々の気相成長法、または塗布法よって形成す
ることができる。
【0048】この内、塗布法については以下のようにし
て行うことができる。
【0049】単層型感光層においては、結着樹脂100重
量部に対して、電荷発生剤を0.1〜50重量部、特に0.5〜
30重量部の割合で、また正孔輸送剤を5〜500重量部、特
に25〜200重量部の割合で、それぞれ含有させるのが好
ましい。また、電子輸送剤は、結着樹脂100重量部に対
して5〜100重量部、特に10〜80重量部の割合で含有させ
るのが好ましい。
【0050】この際、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量
は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、特に30
〜200重量部が好ましい。
【0051】単層型感光層に色素を含有させる場合は、
結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の割合で含
有させればよい。
【0052】単層型感光層の厚みは5〜100μm、特に10
〜50μm程度が好ましい。
【0053】積層型感光層のうち電荷発生層において
は、結着樹脂100重量部に対して、電荷発生剤を5〜1000
重量部、特に30〜500重量部の割合で含有させるのが好
ましい。この電荷発生層に電荷輸送剤を含有して光導電
層とする場合には、結着樹脂100重量部に対して、正孔
輸送剤を含有させる場合は1〜500重量部、特に25〜200
重量部の割合で含有させるのが好ましい。電子輸送剤を
含有させる場合は、当該電子輸送剤を1〜200重量部、特
に5〜100重量部の割合で含有させるのが好ましい。この
際、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着樹脂100
重量部に対して10〜500重量部、特に30〜200重量部が好
ましい。
【0054】また電荷輸送層においては、結着樹脂100
重量部に対して、正孔輸送剤を含有させる場合は、当該
正孔輸送剤を10〜500重量部、特に25〜200重量部の割合
で、電子輸送剤を含有させる場合は、当該電子輸送剤を
1〜250重量部、特に5〜150重量部の割合でそれぞれ含有
させるのが好ましい。この際、正孔輸送剤と電子輸送剤
との総量は、結着樹脂100重量部に対して10〜500重量
部、特に30〜200重量部が好ましい。
【0055】積層型感光層に色素を含有させる場合は、
最表面となる層に結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20
重量部の割合で含有させればよい。
【0056】積層型感光層の厚みは、電荷発生層が0.01
〜5μm、特に0.1〜3μm程度、電荷輸送層が2〜100μm、
特に5〜50μm程度が好ましい。
【0057】上記単層型、または積層型の有機感光層と
導電性基体との間や、あるいは積層型感光層を構成する
電荷発生層と電荷輸送層との間には、感光体の特性を阻
害しない範囲で中間層、バリア層を形成しても良い。
【0058】感光体を構成する各層を、塗布の方法によ
り形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送
剤、結着樹脂などを、前述したテトラヒドロフランなど
の有機溶媒とともに、公知の方法、例えば、ロールミ
ル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカーある
いは超音波分散器などを用いて分散混合して塗工液を調
整し、これを公知の手段により塗布、乾燥すればよい。
【0059】塗工液を作るための有機溶媒としては、例
えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノールなどのアルコール類、n-ヘキサン、オクタン、シ
クロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなど
のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール
ジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸
エチル、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルホルム
アルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シドなどの1種または2種以上があげられる。
【0060】さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散
性、感光層表面の平滑性をよくするため、塗工液には界
面活性剤、レベリング剤などを添加してもよい。
【0061】上記のようにして得られた感光層は、単層
型の場合は感光層全体、積層型の場合は電荷発生剤を有
しており最表面となる電荷発生層または光導電層の露光
波長に対する膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上である
ことが要求される。上記吸光度は、感光層に含有される
電荷発生剤、電荷輸送剤または色素の含有割合を上記範
囲内で調整することにより得られる。
【0062】また、上記感光層の十点平均表面粗さRzは
0.25μm以上とすることができる。本発明でいう十点平
均表面粗さRzは、JIS B0601-1976で規定されている方法
で測定されたものと定義する。この際の基準長さは8mm
とする。十点平均表面粗さRzのより好ましい範囲として
は0.25〜2.0μmである。 《画像形成装置》図1は本発明で実施した画像形成装置
の一例を模式的に示したものである。1は上述の電子写
真感光体(支持基体10上に感光層11が形成されてい
る。)であって、その軸心13が駆動手段14とギア、プー
リを介して接続されており一方向(矢印Aの向き)に定
速度で回転するようになっている。
【0063】感光体1の周辺にはその駆動方向、つまり
回転方向に沿って主帯電手段2、露光手段3、現像手段
4、転写手段5、クリーニング手段9、除電手段7がこの順
序で設けられている。転写媒体8の搬送方向(矢印Bの向
き)の下流側には、分離手段6および定着手段12が設け
られている。
【0064】除電レス方式で画像形成をおこなう場合に
は、上記から除電手段7を省いた画像形成装置が用いら
れる。
【0065】画像の形成の際は、まず帯電手段2により
感光体1表面は一様に帯電される。次いで、露光手段3よ
り露光軸31に沿って感光体1表面が露光され、原稿画像
に対応した静電潜像が形成される。その後、現像手段4
により静電潜像に対応する部分にトナーが付着して現像
される。そして、転写手段5により、搬送(矢印Bの向
き)されてくる転写媒体8上に感光体1表面のトナー像が
転写される。転写後の転写媒体8は、分離手段6で感光体
1から分離された後、定着手段12によりトナー定着され
る。
【0066】転写後、転写媒体8に転写しきれず感光体1
表面に残ったトナーは、クリーニング手段9によって除
去される。その後、感光体1表面は除電手段7により除電
され、再び帯電手段2により帯電される。
【0067】クリーニング手段9としては、ファーブラ
シが好適に用いられる。ファーブラシは上述した通り、
機構が簡単であり、繊維の太さ、本数、硬さ、感光体と
の接触面積を調整することにより、効率の良いクリーニ
ングを行うことができる。ここで、感光体1としては、
本発明の電子写真感光体を用いるので、ファーブラシに
よる感光体表面の擦り傷の画像への影響を抑制しつつ、
ファーブラシによる高効率のクリーニング効果を維持す
ることが可能となる。
【0068】ファーブラシの繊維としては、従来公知の
例えばアクリル繊維、ナイロン繊維、アクリルカーボン
繊維、金属繊維に樹脂をコートしたものなどが用いられ
る。この内、アクリル繊維、ナイロン繊維などの絶縁性
繊維は、トナーと逆極性に帯電させると、トナーが静電
気的に繊維に付着するためクリーニング効率が向上す
る。
【0069】クリーニング手段9として、ファーブラシ
の他にクリーニングブレード、クリーニングローラーを
用いても良い。これらのクリーニング手段9と酸化チタ
ンやマグネタイトなど硬度の大きな表面処理を施したト
ナーを併用した場合でも、感光体1の表面に擦り傷が発
生するが、本発明の電子写真感光体を用いることで解像
度の高い画像を維持することができる。
【0070】帯電手段2としては従来公知の例えば、感
光体1の表面に近接して設けられるチャージワイヤーに
高電圧を掛けてコロナ放電を行う方法や、導電性ローラ
ーや帯電ブラシなどの帯電部材を感光体1表面に接触さ
せて感光体1に電荷を与える方法等が適用される。主帯
電部での表面電位を一定に保つために、帯電部材を感光
体1表面に接触させる方法または、前記主帯電器のチャ
ージワイヤーと感光体1との間にグリッド電極を設け
て、コロナ放電を行う方法を用いることが好ましい。
【0071】帯電手段2から感光体1に印加される主帯
電電圧は、感光体1やトナーの特性、現像条件等によっ
て異なるが、例えば一般的な正帯電型感光体の場合、感
光体1表面の接地部に対する電位差が+300V〜+1000Vに
なるように設定すればよい。
【0072】露光手段3としては、感光体1が感度を示
す波長のレーザー光が一般的に用いられる。具体的に
は、電荷発生剤としてフタロシアニン系顔料を用いるの
場合は、波長が600nm〜880nm程度の赤色半導体レーザー
が挙げられる。主な電荷発生剤と波長の組み合わせにつ
いては、表1に示した通りである。
【0073】
【表1】
【0074】露光量は、できる限り明電位を低く、すな
わち明電位を0V付近にする値、に設定される方がよい。
具体的には、感光体1の明電位を、主帯電された感光体1
の接地部に対する電位と同極性とし、加えて、好ましく
は0〜300V、更に好ましくは0〜250Vにするよう、露光量
が設定されるのがよい。
【0075】現像手段4としては、従来公知の接触また
は非接触現像装置を用いることができる他、乾式、湿式
のいずれの方法によるものでもよい。現像手段4に用い
られる現像剤は、一成分系、二成分系のどちらでもよ
い。接触二成分現像法でフェライト等のキャリアを用い
た場合、感光体に当接するトナーやキャリアにより感光
体表面に擦り傷が発生することがある。この場合も、本
発明の電子写真感光体と併用することによって、擦り傷
が原因となる画像の劣化を抑制することが可能となる。
【0076】転写手段5としては、従来公知の接触転写
あるいは非接触転写方式のいずれも適用可能である。具
体的には、チャージャー、ローラー、ブラシ、プレート
等により、転写媒体8を介して感光体1に転写電圧が印加
される。
【0077】分離手段6としては、帯電手段2と同様に、
チャージワイヤーによるコロナ放電によるもの、導電性
ローラーを用いるもの等が使用でき、中でもコロナ放電
によるものが好適に用いられる。分離手段6により感光
体1に印加される分離電圧は、一般的に交流である。
【0078】除電手段7は本発明においては特に必要な
いが、設ける場合には従来公知の例えば、LEDアレイ、
蛍光管などを使用することができ、感光体1が感度を持
つ波長で、感光体1表面の残留電荷を除去できるのに十
分な光量があればよい。
【0079】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 《単層型感光体》 [作製例1]電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニ
ン(X-H2Pc)5重量部、結着樹脂としてZ型ポリカーボネ
ート(帝人化成製のパンライトTS2050)95重量部および
ポリエステル(東洋紡製のRV200)5重量部、分散媒とし
てテトラヒドロフラン800重量部、正孔輸送剤として式
(1):
【0080】
【化1】
【0081】で表されるスチルベンアミン化合物(BS
A)60重量部および電子輸送剤として3,5-ジメチル-3’,
5’-ジtert-ブチル-4,4’-ジフェキノン(DMDB)50重量
部をボールミルにて50時間混合、分散させて光導電層用
の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をφ30のアル
ミニウム素管(支持基体)上にフッ素樹脂ブレードを用
いて塗布し、100℃で1時間乾燥させて、膜厚が20μmの
光導電層を形成させ、単層型感光体を作製した。 [作製例2〜5]電荷発生剤、結着樹脂、電子輸送剤の
配合割合を表2に示される通りにした以外は、作製例1
と同様にしてそれぞれの単層型感光体を作製した。
【0082】
【表2】
【0083】《積層感光体》 [作製例6]結着樹脂としてフェノール樹脂(大日本イ
ンキ社製のTD447)60重量部、電子輸送剤として式(2):
【0084】
【化2】
【0085】で表されるナフトキノン化合物20重量部お
よび分散媒としてメタノール100重量部を、ボールミル
(φ1のジルコニアビーズ)にて24時間混合、分散させ
て電荷輸送層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布
液をφ30のアルミニウム素管(支持基体)にフッ素樹脂
ブレードを用いて塗布し、150℃で30分間乾燥させて、
平均膜厚が10μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の電
子写真感光体の中間体を作製した。
【0086】次いで、電荷発生剤としてY型チタニルフ
タロシアニン結晶10重量部と、正孔輸送剤としての上記
式(1)で表されるスチルベン化合物(BSA)70重量部と、
電子輸送剤として3,5-ジメチル-3’,5’-ジtert-ブチル
-4,4’(DMDB)30重量部と、結着樹脂であるZ型ポリカ
ーボネート(帝人化成製のパンライトTS2050)100重量
部とを、800重量部のテトラヒドロフランとともに、超
音波分散機を用いて混合、分散させて光導電層用の塗工
液を作製した。
【0087】ついでこの塗工液を製造直後、および常
温、常湿の密閉系中で24時間、放置して超音波分散機で
再分散させた後に、それぞれ前記中間体上に、フッ素樹
脂ブレードを用いて塗布し、110℃で30分間、熱風乾燥
して、膜厚10μmの光導電層を形成し、作製例5の電子写
真感光体を作製した。 [作製例6]電荷発生剤、結着樹脂、電子輸送剤の配合
割合を表3に示される通りにした以外は、作製例6と同様
にしてそれぞれの積層型感光体を作製した。
【0088】
【表3】
【0089】なお、表2および表3に示されている電荷発
生剤、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)の可視領
域の吸収スペクトルを図3に示す。測定方法は以下の通
りである。
【0090】Z型ポリカーボネート(帝人化成製のパン
ライトTS2050)100重量部と、各試料(電荷発生剤の場
合は1重量部、電荷輸送剤の場合は10重量部)をテトラ
ヒドロフラン430部に溶解した塗布液を、φ30のアルミ
ニウム素管上にフッ素樹脂ブレードを用いて塗布して膜
厚10μmの膜を形成し、当該膜を素管から剥ぎ取って測
定試料を作製した。この測定試料の可視領域の吸収スペ
クトルを分光測色計により測定した。
【0091】また、作製例1〜8の感光体について、電荷
発生剤を含有する光導電層の可視領域における吸収スペ
クトルを測定し、図4〜6に示した。ここで、図4は単層
型感光体において電荷発生剤の量を変化させた場合の吸
収スペクトル(作製例1〜3)を、図5は単層型感光体に
おいて電荷輸送剤の配合割合を変化させた場合の吸収ス
ペクトル(作製例1,4〜5)を、図6は積層型感光体にお
いて電荷発生剤の量を変化させた場合の吸収スペクトル
(作製例6〜8)を表したものである。
【0092】なお、吸収スペクトルの測定は上記と同様
に行なった。但し、測定試料は各作製例で作製した感光
体から感光層を剥ぎ取ったものを使用した。また、積層
型感光体については、上記中間体から電荷輸送層を剥ぎ
取ったものについても測定を行い、感光層の吸収スペク
トルから電荷輸送層のそれを差し引くことにより、電荷
発生剤を含む光導電層の吸収スペクトルを求めた。 [実施例1〜6および比較例1〜4]作製例1〜5の単層
型感光体について、露光波長600nmにて画像評価を行
い、実施例1〜4および比較例1とした。露光波長780nmに
ついても同様の実験を行い、実施例5〜6および比較例2
〜4とした。
【0093】また、それぞれの単層型感光体について、
静電式複写機〔京セラミタ(株)製のKM-4850w改造機〕に
搭載し、露光波長を600nmまたは780nmとして、連続12万
枚の画像形成を行い、12万枚画像形成後の画像につい
て、それぞれ下記の基準で画像ボケを評価した。
【0094】なお、本静電式複写機は以下の設定とし
た。 ・帯電:スコロトロン(感光体の表面電位約700Vに帯電
させた。) ・露光:レーザー光(波長600nm、780nm) ・現像:二成分接触反転現像 ・転写:転写ローラー ・クリーニング:ファーブラシ(φ20、アクリル繊維使
用) 画像ボケについては、1ドットの点を1画像につき5箇
所、画像形成して、その点の鮮明さを下記の判断基準に
より目視にて評価した。
【0095】○:画像ボケのある点は無かった。
【0096】△:一部に画像ボケのある点が認められ
た。
【0097】×:全ての点について画像ボケが認められ
た。
【0098】12万枚画像形成後の単層型感光体の十点平
均表面粗さRzを、表面粗さ測定機(小坂研究所製の万能
表面形状測定器MODEL SE-3H)にて測定した。
【0099】以上の画像評価、十点平均表面粗さRz測定
の結果を表4に示す。
【0100】
【表4】
【0101】表4より、感光層の最表面に形成された電
荷発生剤を含有する光導電層が、膜厚1μm当たりの吸光
度が0.3以上である電子写真感光体をファーブラシクリ
ーニング方式の画像形成装置に用いた実施例1〜6におい
ては、12万枚の画像形成後も画像ボケのない良好な画像
が得られた。一方、膜厚1μm当たりの吸光度が0.3未満
である比較例1〜4の電子写真感光体を用いた場合は、初
期画像は不具合がないものの、12万枚画像形成を行うと
画像ボケの発生が認められた。
【0102】また、感光層の十点平均表面粗さRzが0.25
μm以上であり、感光層の最表面に形成された電荷発生
剤を含有する層が、膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上
である実施例1〜6の電子写真感光体を用いた場合、画像
ボケのない良好な画像が得られた。一方、感光層の十点
平均表面粗さRzが0.25μm以上であり、膜厚1μm当たり
の吸光度が0.3未満である比較例1〜4の電子写真感光体
を用いた場合は、画像ボケの発生が認められた。 [実施例7〜10および比較例5〜6]作製例6〜8の積
層型感光体について、露光波長600nmにて画像評価を行
い、実施例8〜9および比較例5とした。露光波長780nmに
ついても同様の実験を行い、実施例7,10および比較例6
とした。
【0103】また、それぞれの感光体について、画像評
価および十点平均表面粗さRz測定を上記単層型感光体の
場合と同様にして行った。
【0104】以上の画像評価、十点平均表面粗さRz測定
の結果を表4に示す。
【0105】
【表5】
【0106】表5より、感光層の最表面に形成された電
荷発生剤を含有する光導電層が、膜厚1μm当たりの吸光
度が0.3以上である電子写真感光体をファーブラシクリ
ーニング方式の画像形成装置に用いた実施例7〜10にお
いては、12万枚の画像形成後も画像ボケのない良好な画
像が得られた。一方、膜厚1μm当たりの吸光度が0.3未
満である比較例5〜6の電子写真感光体を用いた場合は、
初期画像は不具合がないものの、12万枚画像形成を行う
と画像ボケの発生が認められた。
【0107】また、感光層の十点平均表面粗さRzが0.25
μm以上であり、感光層の最表面に形成された電荷発生
剤を含有する層が、膜厚1μm当たりの吸光度が0.3以上
である実施例7〜10の電子写真感光体を用いた場合、画
像ボケのない良好な画像が得られた。一方、感光層の十
点平均表面粗さRzが0.25μm以上であり、膜厚1μm当た
りの吸光度が0.3未満である比較例5〜6の電子写真感光
体を用いた場合は、画像ボケの発生が認められた。
【0108】
【発明の効果】以上記述したように、本発明の電子写真
感光体は、露光領域の広がりが小さい表面付近での電荷
発生剤を効果的に利用することができる。このため、本
発明の電子写真感光体は、ファーブラシクリーニング方
式の画像形成装置に好適に用いることができる。また、
十点平均表面粗さRzが0.25μm以上の場合でも画像ボケ
の要因とはならず、優れた解像度特性を発揮する。
【0109】また、本発明の画像形成装置は、露光波長
の光は感光層の深部まで侵入しないので、感光層の表面
付近の電荷発生剤のみ電荷発生するように促すことがで
きる。このため、ファーブラシクリーニング方式を採用
した場合でも、繰り返し使用時において画像が劣化しな
い。また、ファーブラシまたはその他の要因による感光
体表面の擦り傷によって、十点平均表面粗さRzが0.25μ
m以上となった場合でも、画像ボケが発生することがな
く、解像度の良い画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】従来の画像形成装置において、擦り傷がある感
光体を露光した場合の露光路を示す図である。
【図3】各作製例に用いた電荷発生剤および電荷輸送剤
の可視吸収スペクトルを示す図である。
【図4】作製例1〜3の単層型感光体において、電荷発生
剤の量を変化させた場合の光導電層の可視吸収スペクト
ルを示す図である。
【図5】作製例1,4〜5の単層型感光体において、電荷輸
送剤の配合割合を変化させた場合の光導電層の可視吸収
スペクトルを示す図である。
【図6】作製例6〜8の積層型感光体において、電荷発生
剤の量を変化させた場合の光導電層の可視吸収スペクト
ルを示す図である。
【図7】本発明の感光体を露光した場合の露光路を示す
図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写工程後に感光体表面に残留したトナ
    ーがファーブラシにより除去される電子写真感光体であ
    って、 前記電子写真感光体は支持基体上に感光層が形成されて
    おり、前記感光層は表面付近に電荷発生剤を含有し、前
    記電荷発生剤を含有する層の露光波長に対する膜厚1μm
    当たりの吸光度が0.3以上であることを特徴とする電子
    写真感光体。
  2. 【請求項2】 支持基体上に感光層が形成されており、
    前記感光層は表面付近に電荷発生剤を含有し、且つ十点
    平均表面粗さRzが0.25μm以上であり、前記電荷発生剤
    を含有する層の露光波長に対する膜厚1μm当たりの吸光
    度が0.3以上であることを特徴とする電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記感光層は、結着樹脂、電荷発生剤お
    よび電荷輸送剤を含有する光導電層からなる単層型の感
    光層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記感光層は、結着樹脂と電荷輸送剤と
    を含有する電荷輸送層と、電荷発生剤を含有する層をこ
    の順に積層する積層型の感光層であることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 支持基体上に感光層を形成した感光体
    と、前記感光体を一定方向に駆動する駆動手段とを有
    し、前記感光体の駆動方向に沿って帯電手段、露光手
    段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段がこの
    順に設けられており、 前記感光層は表面部に電荷発生剤を含有し、前記露光手
    段は前記電荷発生剤を含有する層の膜厚1μm当たりの吸
    光度が0.3以上の波長域内の光で露光を行うものであ
    り、前記クリーニング手段は前記転写手段による転写工
    程後に感光体表面に残留したトナーを除去するためのフ
    ァーブラシを有することを特徴とする画像形成装置。
  6. 【請求項6】 支持基体上に感光層を形成した感光体
    と、前記感光体を一定方向に駆動する駆動手段とを有
    し、前記感光体の駆動方向に沿って帯電手段、露光手
    段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段がこの
    順に設けられており、 前記感光層は表面付近に電荷発生剤を含有し、且つ十点
    平均表面粗さRzが0.25μm以上であり、 前記露光手段は前記電荷発生剤を含有する層の膜厚1μm
    当たりの吸光度が0.3以上の波長域内の光で露光を行う
    ものであることを特徴とする画像形成装置。
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