JP5866188B2 - 電子写真感光体、それを用いた画像形成装置および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、それを用いた画像形成装置および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、それを用いた画像形成装置および電子写真感光体の製造方法に関する。
より具体的には、本発明は、オゾンおよびNOxなどの酸化性ガスによる画像欠陥を効果的に防ぐことができ、製造時の耐熱性に優れたヒンダードフェノール化合物を含有する電子写真感光体とそれを備えた画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(以下「電子写真装置」ともいう)は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
近年、電子写真技術は、複写機の分野に限らず、従来では銀塩写真技術が使われていた印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィルムなどの分野においても利用されている。例えば電子写真技術は、レーザ、発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称LED)、陰極線管(Cathode Ray Tube;略称CRT)などを光源とする高速プリンタにも応用されている。
このような電子写真技術の応用範囲の拡大に伴い、感光体に対する要求は、高度で幅広いものになりつつある。
感光体としては、従来から、セレン、酸化亜鉛または硫化カドミウムなどの無機光導電性材料を主成分とする感光層を備える無機感光体が広く用いられていたが、現在では、有機光導電性材料の研究開発が進みこれらの材料を使用する有機感光体が用いられてきている。
有機光導電性材料は、近年、幅広く研究開発され、感光体などの静電記録素子に利用されるだけでなく、センサ素子、有機エレクトロルミネセント(Organic Electro Luminescent;略称OEL)素子などに応用され始めている。
有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、現在では、感光体の主力として開発されている。
有機感光体は、初期には感度および耐久性に欠点を有していたが、これらの欠点は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。
さらに、この機能分離型感光体は、有機感光体の有する前記の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
このような有機系感光体の構成としては、導電性支持体上に電荷発生物質および電荷輸送物質(「電荷移動物質」ともいう)の双方をバインダ樹脂に分散させた単層構造、あるいは導電性支持体上に電荷発生物質をバインダ樹脂に分散させた電荷発生層と電荷輸送物質をバインダ樹脂に分散させた電荷輸送層とをこの順で、または逆順で形成した積層構造または逆二層型積層構造などの構成が提案されている。
これらの中でも感光層として電荷発生層上に電荷輸送層を積層した機能分離型感光体は、電子写真特性および耐久性に優れ、材料選択の自由度の高さから感光体特性を様々に設計できることから広く実用化されている。
このように上記の構成を有する感光体においては、高速化や耐久性と感度安定性などのさまざまな性能が求められている。特に、最近のデジタル複写機およびレーザプリンタにおいては、反転現像方式、すなわち両面印刷機能を有する電子写真装置が普及しだしている。このような現状に対応して、電子写真感光体には、感光体特性として高速化に対応する高感度化と、耐摩耗性および感度安定性を備える耐久化、すなわち長寿命化との両立が要求されている。加えて、レーザプリンタなどに用いる感光体には、より高い画像信頼性や繰返し安定性が要求されている。
しかしながら、一般に、有機感光体は、無機感光体に比べて耐久性が低いことが1つの大きな欠点であるとされてきた。この耐久性は、感度、残留電位、帯電能、画像ボケなどの電子写真物性面の耐久性と、摺擦による感光体表面の摩耗や傷などの機械的耐久性に大別される。
電子写真感光体の物理的な耐久性の低下の主原因は、コロナ放電により発生するオゾン、NOx(窒素酸化物)および光照射による、感光体表面層である電荷移動層に含有される電荷輸送物質の劣化であることが知られている。このようなオゾン、NOxおよび光照射を防止するために、様々な骨格からなる電荷輸送物質も数多く提案されており、耐久性の面ではかなり改善されつつあるが、いまだ十分とは言えないのが現状である。
上記の酸化性のガスは、感光層中の材料を化学変化させて種々の特性変化、すなわち帯電電位の低下、残留電位の上昇、表面抵抗の低下による解像力の低下などをもたらし、その結果出力画像上に白抜けおよび黒帯などの画像ボケが発生して著しく画質を低下させ、感光体の寿命を短くしている。
このような現象に対して、コロナ帯電器の周りのガスを効率よく排気、置換し、感光体への直接的なガスの影響を避ける対策を盛り込む提案や、感光層に酸化防止剤、安定剤を添加し劣化を防ぐ提案もされている。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系添加剤が提案されている(特許文献1)。
上記のヒンダードフェノール系添加剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が安価で広く用いられてきた。しかし、BHTは揮発性があり、変異原性も確認されたことから、例えばスミライザー(登録商標)MDP-SのようなBHTの2量体構造を有する添加剤が用いられつつある。
一方、機械的耐久性の改良方法としては、積層型感光体においては電荷輸送層に用いる樹脂として熱硬化型樹脂を用いたり、新たに感光体の表面保護層として熱硬化型樹脂層を積層することが提案されている。
具体的には電荷輸送能を有するポリシロキサン樹脂を熱硬化した表面層などが提案されている(特開平9-124943号公報および特開平9-190004号公報)。
通常の電子写真感光体の製造方法としては、感光体製造用の各材料を溶媒に溶解または分散した塗布液を塗布し、溶媒を除去するために乾燥炉で高温に加熱して感光体を製造する。
この場合の加熱温度は、溶媒の沸点以上であればよく、通常最高でも130℃程度である。
特開平1-118137号公報 特開平9-124943号公報 特開平9-190004号公報
これに対し、熱硬化型電荷輸送層や熱硬化型表面保護層は、溶媒の気化だけでなく高分子を構成するモノマーを重合させる必要があるため、高温の熱処理が必要である。
そのため、使用する材料の耐熱性が課題となってきている。材料の一つである酸化防止剤では、BHTと同等以上の耐オゾン性を実現し、さらに耐熱性に優れた添加剤が求められている。
上記、BHTの代替品としてBHTの2量体構造を有する添加剤、すなわちスミライザー(登録商標)MDP-Sが用いられつつあるが、その融点は128℃であるため重合のための加熱中に添加剤が凝集し易いなどの不都合があり、いまだ不十分である。
一方、単に耐熱性だけを追求して融点が高すぎるヒンダードフェノール化合物を用いると、該化合物を含有する塗布液用溶媒に対する溶解性が低くなり、製造時において塗布膜液に不溶分が残留してしまう。
このような不溶分が残留した塗布液を用いて製造した電子写真感光体は、画像形成装置に搭載された場合に画像欠陥を生じさせてしまうことになる。
一方、融点の低いヒンダードフェノール化合物では高い熱処理温度で揮発し周囲に悪影響を及ぼしたり、溶融凝集して画像特性を悪化させてしまうことがある。
このため、極めて限られた好適な範囲の融点を有し、かつ高い耐オゾン性を有するヒンダードフェノール化合物が、求められている。
本発明者らは、鋭意努力研究を重ねた結果、ヒンダードフェノール化合物として2,2'−メチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシ)フェニルメチレン誘導体が、優れた耐オゾン性を有しながら、かつ耐熱性を両立させた添加剤であることを見出し、本発明を完成した。
しかるに、本発明によれば、導電性支持体上に、電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷移動物質を含む電荷移動層とがこの順で積層された積層型感光体において、前記電荷移動層が、さらに以下の一般式(I):
Figure 0005866188
(式中、R1およびR2は、互いに独立して水素原子またはC1〜C3アルキル基を示すが、但しR1およびR2が同時に水素であることはない)
で表されるヒンダードフェノール化合物を含有する電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記一般式(I)におけるR1およびR2が、互いに独立して水素原子またはメチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピル基である前記の電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記一般式(I)におけるR1およびR2が、互いに独立して水素原子またはメチル、エチルもしくはプロピル基である、前記の電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記一般式(I)において、R1が水素原子であるとき、R2がメチル、エチルまたはプロピル基であり、R1がメチル基であるとき、R2がメチル、エチルまたはプロピル基であり、R1がエチル基であるとき、R2がエチルまたはプロピル基であり、R1がプロピル基であるとき、R2がプロピル基である、前記の電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記ヒンダードフェノール化合物が、電荷移動物質に対して0.1〜20重量%含有され、前記電荷移動層が、熱硬化型電荷輸送層である前記の電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記の電子写真感光体が、140〜160℃で熱硬化処理されていることを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、前記の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段、トナー像を媒体に転写させる転写手段、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段、前記トナー像を媒体に定着させる定着手段および感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明による電子写真感光体は、オゾンおよびNOxに対する耐ガス特性を有し、高画質を有し、長時間使用による繰り返し電気特性を損なわず、高い耐久性を有する。
本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
本発明による電子写真感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷移動物質を含む電荷移動層とがこの順で積層された積層型感光体において、前記電荷移動層が、さらに以下の一般式(I):
Figure 0005866188
(式中、R1およびR2は、互いに独立して水素原子またはC1〜C3アルキル基を示すが、但しR1およびR2が同時に水素であることはない)
で表されるヒンダードフェノール化合物を含有することを特徴とする。
上記の一般式(I)で表される化合物は、以下の反応式:
Figure 0005866188
[式中、R1およびR2は、互いに独立して水素原子またはC1〜C3アルキル基を示すが、但しR1およびR2が同時に水素であることはない]
に従って合成される。
すなわち、上記の反応式において、ケトン化合物としてアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトン、ブチルアルデヒド、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトンまたはジプロピルケトンをそれぞれ用いることにより、以下の表1に示す本発明のヒンダードフェノール化合物1〜9を容易に製造できる。
Figure 0005866188
Figure 0005866188
Me=CH3、Et=C2H5、Pr=C3H7、Bu=C4H9、t=tert.
上記の化合物の中でも、化合物1、2および3が、十分な耐酸化特性を有し、かつ原材料として安価な工業材料の酸化防止剤を使用できる観点から好ましく、化合物1が特に好ましい。
次に、本発明の感光体の構成について具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の感光体における要部の構成を示す模式断面図である。
また、図1〜4は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層型感光層(以下「機能分離型感光層」ともいう)である積層型感光体(以下「機能分離型感光体」ともいう)の要部の構成を示す模式断面図である。本発明の感光体は、電荷発生層と電荷輸送層とを逆順で形成した逆二層型積層構造であってもよいが、前記積層型が好ましい。
図1の感光体15は、導電性支持体1の表面に、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7が形成されている。
図2の感光体16は、導電性支持体1の表面に、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7と、表面保護層5とがこの順で形成されている。
図3の感光体17は、導電性支持体1の表面に、中間層6と、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7とがこの順で形成されている。
図4の感光体18は、導電性支持体1の表面に、中間層6と、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7と、表面保護層5とがこの順で形成されている。
導電性支持体1(感光体用素管)
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の形状は、図1〜4に示すようなシート状に限定されず、円筒状、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
導電性支持体1の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理を施されていてもよい。
乱反射処理は、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザ光と感光体の内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
積層型感光層7
積層型感光層は、電荷発生層3と電荷輸送層4とからなる。
電荷発生層3
電荷発生層3は、電荷発生物質とバインダ樹脂とを含有する。
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、アゾ系顔料(モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、X型無金属フタロシアニンなど)、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
これらの電荷発生物質の中でも、金属フタロシアニン、X型無金属フタロシアニンのようなフタロシアニン系顔料が好ましく、チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
フタロシアニン系顔料は、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有するので、光を吸収することによって多量の電荷を発生するとともに、発生した電荷を分子内に蓄積することなく、単層型感光層に含有される電荷輸送物質に電荷を効率よく注入されて円滑に輸送されるので、高感度かつ高解像度の感光体を得ることができる。この効果は後述する積層型感光体でも同様である。
電荷発生物質は、増感染料と組み合せて使用することができる。
このような増感染料としては、例えばメチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料;エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料;メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料;カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料;シアニン染料;スチリル染料;ピリリウム塩染料およびチオピリリウム塩染料などが挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えば、電荷発生層の機械的強度、耐久性などを向上させる目的で使用され、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用できる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
特に電荷発生物質の分散性の良好なポリビニルブチラールなどが好ましい。
電荷発生物質とバインダ樹脂との使用割合は特に制限されないが、好ましくは、電荷発生物質とバインダ樹脂との合計量の全量において、電荷発生物質を10〜99重量%含有し、かつ残部がバインダ樹脂である。
電荷発生物質の割合が10重量%未満では、感度が低下するおそれがあり、逆に電荷発生物質の割合が99重量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生するおそれがある。
電荷発生層は、前記2種の必須成分のほかに、必要に応じて、ホール輸送材料、電子輸送材料、酸化防止剤、分散安定剤、増感剤などから選ばれる1種または2種以上のそれぞれ適量を含んでもよい。これによって、電位特性が向上するとともに、後述する電荷発生層形成用塗布液の安定性が高まり、感光体の繰返し使用時の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
電荷発生層3は、電荷発生物質、バインダ樹脂および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1の表面に、または導電性支持体1上に形成された中間層6の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成できる。より具体的には、例えば、バインダ樹脂を有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液に電荷発生物質および必要に応じて他の添加剤を溶解または分散させることにより、電荷発生層形成用塗布液を調製する。
有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;安息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤;ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられ、これらは単独または混合溶剤として使用できる。また、このような溶剤に、アルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンを加えた混合溶剤を使用することもできる。
構成物質を樹脂溶液に溶解または分散させるに先立ち、電荷発生物質およびその他の添加剤を予備粉砕してもよい。
予備粉砕は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
構成物質の樹脂溶液への溶解または分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、ロール塗布、スプレー塗布、ブレード塗布、リング塗布、浸漬塗布などが挙げられる。
電荷発生層3の膜厚は特に限定されないが、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。これは、電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感度が低下するおそれがあり、逆に電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷輸送が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下するおそれがある。
電荷輸送層4
電荷輸送層4は、電荷輸送物質と本発明のヒンダードフェノール化合物とバインダ樹脂とを含有する。
本発明のヒンダードフェノール化合物の1種または2種以上を使用できる。
電荷輸送物質は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有し、ホール輸送物質および電子輸送物質を包含する。
ホール輸送物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセンなど)などが挙げられる。
また、電子輸送物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタール酸誘導体、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
バインダ樹脂は、電荷発生層に含まれるものと同様のバインダ樹脂の1種または2種以上を使用できる。
電荷輸送層は、前記3種の必須成分のほかに、必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の酸化防止剤などの添加剤を含むことができる。
電荷輸送層4は、電荷輸送物質、本発明のヒンダードフェノール化合物、バインダ樹脂および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷輸送層形成用塗布液を調製し、この塗布液を電荷発生層3の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成できる。より具体的には、例えば、バインダ樹脂を有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液に電荷輸送物質、本発明のヒンダードフェノール化合物および必要に応じて他の添加剤を溶解または分散させることにより、電荷輸送層形成用塗布液を調製する。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
電荷輸送層4の膜厚は特に限定されないが、5〜50μmが好ましく、10〜40μmが特に好ましい。電荷輸送層の膜厚が5μm未満では、感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがあり、逆に電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下するおそれがある。
バインダ樹脂としては、例えば、電荷輸送層の機械的強度、耐久性などを向上させる目的で使用され、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用でき、本発明のヒンダードフェノール化合物との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
これらの樹脂の中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、本発明のアミン化合物との相溶性に特に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましく、ポリカーボネートは特に好適に使用できる。
電荷輸送層の上に表面保護層を設けない場合には、機械的耐久性向上のために電荷輸送層形成用樹脂として熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。
電荷輸送物質と本発明のヒンダードフェノール化合物との使用割合は特に限定されないが、ヒンダードフェノール化合物が、電荷輸送物質に対して0.1〜20重量%であるのが好ましい
電荷輸送物質に対する本発明のヒンダードフェノール化合物の使用量が0.1重量%未満であると、効果がきわめて小さいことがある。
一方、電荷輸送物質に対する本発明のヒンダードフェノール化合物の使用量が20重量%を超えると、電荷輸送物質に対するヒンダードフェノール化合物の相対量比が高くなり、感度が低下するなどの現象を呈することがある。
また、電荷輸送層は、当該分野で用いられる、他の酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。このような添加剤は、感光層形成用塗布液としての安定性を高め、液寿命を延長させると共に、塗布液で製造した感光体も酸化性不純物が軽減され、耐久性が向上するので好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
電荷輸送物質と併用するヒンダードフェノール以外の他の酸化防止剤との使用割合は特に限定されないが、電荷輸送物質に対して0.1〜10重量%が好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1重量%未満では、後述する感光層形成用塗布液の安定性および感光体の耐久性を向上効果が不充分になることがあり、また、10重量%を超えると、感光体の電気特性に悪影響を及ぼすことがある。
表面保護層5
表面保護層5は、感光体の耐久性を向上させる機能を有し、電荷輸送物質とバインダ樹脂とを含有させるか、電荷輸送能をもつバインダ樹脂を用いる。
電荷輸送物質は、積層型感光層に含まれるものと同様の電荷輸送物質の1種または2種以上を使用できる。
バインダ樹脂は、熱硬化型樹脂の1種または2種以上を使用できる。
表面保護層5は、例えば、適当な有機溶剤に電荷輸送物質およびバインダ樹脂のモノマー成分を溶解または分散させて表面保護層形成用塗布液を調製し、この表面保護層形成用塗布液を積層型感光層7の表面に塗布し、熱硬化によって形成できる。ここで用いられる有機溶剤としては、感光層2の形成に用いられる有機溶剤と同様のものを使用できる。
表面保護層形成用塗布液の塗布方法としては、すでに形成した電荷輸送層の溶解を避けるため浸漬塗布は不適当でロール塗布、スプレー塗布、ブレード塗布、リング塗布、などが好ましい。
熱硬化の条件は140℃〜160℃が好ましい。
140℃より低温であると熱硬化が不十分となりやすく、160℃より高温であると電荷輸送物質の劣化を引き起こすからである。
有機溶剤は、電荷輸送層の形成用塗布液の調製に用いられるものと同様の溶剤の1種または2種以上を使用できる。
表面保護層5の膜厚は特に制限されないが、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。表面保護層5の膜厚が0.5μm未満では、感光体表面の耐擦過性が劣り、耐久性が不十分になるおそれがあり、逆に10μmを超えると、感光体の解像度が低下するおそれがある。
中間層6
本発明の感光体は、導電性支持体と積層型感光層との間に中間層を有するのが好ましい。
中間層は、導電性支持体から積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
また、中間層で導電性支持体の表面を被覆する中間層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、積層型感光層の成膜性を高め、導電性支持体と積層型感光層との密着性(接着性)を向上させることができる。
中間層は、例えば、樹脂材料を適当な溶剤に溶解させて中間層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
樹脂材料としては、積層型感光層に含まれるものと同様のバインダ樹脂に加えて、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの天然高分子材料などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム類、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤などが挙げられる。
その他の工程およびその条件は、積層型感光層の形成に準ずる。
また、中間層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子は、中間層の体積抵抗値を容易に調節でき、積層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液における樹脂材料と金属酸化物粒子との合計含有量をC、溶剤の含有量をDとするとき、両者の容量比率(C/D)は、1/99〜40/60(重量比率=0.01〜0.67)が好ましく、2/98〜30/70(重量比率=0.02〜0.43)が特に好ましい。
また、樹脂材料の含有量(E)と金属酸化物粒子の含有量(F)との容量比率(E/F)は、1/99〜90/10(重量比率=0.01〜9.0)が好ましく、5/95〜70/30(重量比率=0.05〜2.33)が特に好ましい。
中間層の膜厚は特に限定されないが、0.01〜20μmが好ましくは、0.1〜10μmが特に好ましい。中間層の膜厚が0.01μm未満では、中間層として実質的に機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面が得られないおそれがあり、中間層の膜厚が20μmを超えると、均一な中間層を形成し難く、また感光体の感度も低下するおそれがある。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、中間層とすることができる。
画像形成装置20
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体、前記感光体を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体に対して露光を施す露光手段、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段、トナー像を媒体に転写させる転写手段、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段、前記トナー像を媒体に定着させる定着手段および感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段とを備えることを特徴とする。
図面を用いて本発明の画像形成装置について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図5は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図5の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図1〜4の感光体15〜18のいずれか1つ)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写器26と、クリーナ27と、定着器31とを含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
感光体21は、図示しない画像形成装置20本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線22回りに矢符23方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体21の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体21を所定の周速度で回転駆動させる。帯電器24、露光手段28、現像器25、転写器26およびクリーナ27は、この順序で、感光体21の外周面に沿って、矢符23で示される感光体21の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器24は、感光体21の外周面を所定の電位に帯電させる帯電手段である。本実施の形態では、帯電器24は、接触式の帯電ローラ24aと、帯電ローラ24aに電圧を印加するバイアス電源24bとによって実現される。
帯電手段としてはチャージャーワイヤも使用できるが、感光体表面の高い耐摩耗性が要求される帯電ローラにおいて、本発明による表面保護層が形成された感光体は耐久性向上により大きな効果を発揮する。
したがって、本発明の画像形成装置においては、帯電手段は接触帯電であるのが好ましい。
露光手段28は、例えば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光28aを、感光体21の帯電器24と現像器25との間に照射することによって、帯電された感光体21の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光28aは、主走査方向である感光体21の回転軸線22の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って感光体21の表面に静電潜像が順次形成される。
現像器25は、露光によって感光体21の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体21を臨んで設けられ、感光体21の外周面にトナーを供給する現像ローラ25aと、現像ローラ25aを感光体21の回転軸線22と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング25bとを備える。
転写器26は、現像によって感光体21の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符29方向から感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、例えば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ27は、転写器26による転写動作後に感光体21の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体21の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード27aと、クリーニングブレード27aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング27bとを備える。また、このクリーナ27は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置20には、感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
この画像形成装置20による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、感光体21が駆動手段によって矢符23方向に回転駆動されると、露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、感光体21の表面が正または負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段28から、感光体21の表面に対して画像情報に応じた光28aが照射される。感光体21は、この露光によって、光28aが照射された部分の表面電荷が除去され、光28aが照射された部分の表面電位と光28aが照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体21に対する露光と同期して、感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって感光体21の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体21の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体21はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
本発明による画像形成装置20は、本発明のヒンダードフェノール化合物が均一に分散された感光層を有する感光体21を備えるので、白抜けなどの画像欠陥のない高品質の画像を形成することができる。
以下に製造例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの合成例および実施例により本発明が限定されるものではない。
また、以下の製造例で得られた各化合物の化学構造および分子量は、以下の装置および条件により測定した。
分子量測定装置:LC−MS(サーモクエスト社製、フィネガン LCQ Deca
マススペクトロメーターシステム)
LCカラム GL-Sciences Inertsil ODS-3 2.1×100mm
カラム温度 40℃
溶離液 メタノール:水=90:10
サンプル注入量 5μl
検出器 UV254nmおよびMS ESI
製造例1
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成
三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.4gとDMF35.5mlを入れ、氷水で冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、温度を95℃に上げて5時間反応させた。反応液を4Lの温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物をろ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドを得た。収量91.5g(収率81.0%)。
4−ビニルトリフェニルアミンの合成
水酸化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタン700mlを3つ口フラスコに入れ、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、70℃に温度を上げ5時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液と沈澱物のエーテル抽出液を一緒にして水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、ろ過しエーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色のビニルトリフェニルアミンを得た。収量83.4g(収率84.0%)。
4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロシリル化
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(O)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルトリフェニルアミン8.2gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量12.1g(収率91.7%)。
製造例2
化合物1の製造
温度計、滴下漏斗、還流冷却器及び攪拌機を備えた100ml容量の4つ口フラスコに2,4-ジ-tert-ブチルフェノール41.26g(0.2モル)、水0.99g、75%リン酸水溶液0.05gを仕込み、温度を20℃とし、攪拌下に、反応系内を窒素ガスで置換した後、塩化水素ガスを導入した。反応容器内のガス組成を分析して、塩化水素ガスの容積濃度を80%に調整した。
温度を20℃に保持しながら、メチルメルカプタンナトリウム塩の15%水溶液2.1gを滴下し、次いで2,4-ジ-tert-ブチルフェノール41.26g(0.2モル)188gとアセトアルデヒド2.2g(0.05モル)との混合物を0.5時間で滴下した。滴下終了後、温度を20℃に維持しながら更に3時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物を40〜50℃の温度に保ちながら、これに18%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.5に中和した。次いでこのように中和した反応混合物を95℃まで昇温し、生成した結晶を溶解させた後、水相を分液除去し、得られた油相を温度勾配約6℃/時間で、温度40℃まで徐冷して結晶を析出させ、これを遠心濾過して、結晶17.55gを得た。
このようにして得られた結晶を液体クロマトグラフィー−質量分析法で分析した結果、目的とする化合物1(分子量の理論値:438.69)からプロトンが取れた分子イオン[M-H]-に相当するピークが437.3に観測されたことから、化合物1が得られたことが判った(収率:80%)。
また、LC−MSの分析結果から、得られた化合物1の純度は98.5%であることが判った。
融点は160℃であった。
製造例3
化合物2の製造
上記製造例1と同様な反応条件により、アセトアルデヒドの代わりに、プロピオンアルデヒドを用いて、化合物2を合成した。
収量は19.24gであった。
化合物2(分子量の理論値:452.71)からプロトンが取れた分子イオン[M-H]-に相当するピークが451.2に観測され、
LC−MSの分析による、得られた化合物2の純度は98.0%であった。
製造例4
化合物3の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、アセトンを用いる事により化合物3を合成した。
収量は20.37gであった。
化合物3(分子量の理論値:452.71)からプロトンが取れた分子イオン[M-H]-に相当するピークが451.4に観測され、
LC−MSの分析による、得られた化合物3の純度は98.0%であった。
製造例5
化合物4の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、ブチルアルデヒドを用いる事により化合物4を合成した。
製造例6
化合物5の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、メチルエチルケトンを用いる事により化合物5を合成した。
製造例7
化合物6の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、メチルプロピルケトンを用いる事により化合物6を合成した。
製造例8
化合物7の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、ジエチルケトンを用いる事により化合物7を合成した。
製造例9
化合物8の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、エチルプロピルケトンを用いる事により化合物8を合成した。
製造例10
化合物9の製造
また、上記製造例1で使用したアセトアルデヒドの代わりに、ジプロピルケトンを用いる事により化合物9を合成した。
実施例1
以下のようにして、合成例1で製造した本発明によるヒンダードフェノール化合物である化合物1を電荷輸送層に含有させた感光体を作製した。
酸化チタン(商品名:タイベークTTO55A、石原産業株式会社製)7重量部および共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)13重量部を、メチルアルコール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層形成用塗布液(3kg)を調製した。この中間層形成用塗布液を、塗工槽に満たし、この塗工層に直径30mm、長手方向の長さ340mmのアルミニウム製円筒状導電性支持体を浸漬した後引上げ、乾燥して膜厚1.0μmの中間層を導電性支持体上に形成した。
次いで、チタニルフタロシアニン1重量部およびブチラール樹脂(商品名:#6000−C、電気化学工業株式会社製)1重量部を、メチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗布液(3kg)を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、先に形成した中間層と同様の浸漬塗布法にて中間層上に塗布し、乾燥して膜厚0.1μmの電荷発生層を形成した。
次いで、製造例1で製造した化合物1のヒンダードフェノール化合物2.5重量部、下記構造式で示される電荷輸送物質1を100重量部およびポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学株式会社製)180重量部を混合し、THFを溶剤として固形分20重量%の電荷輸送層形成用塗布液(3kg)を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、先に形成した中間層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して、膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を形成した。
次に、メチルシロキサン単位80モル%、メチル−フェニルシロキサン単位20モル%から成るポリシロキサン樹脂(1重量%のシラノール基を含む)10重量部にモレキュラーシーブ4Aを添加し、15時間静置し脱水処理した。この樹脂をトルエン10重量部に溶解し、これにメチルトリメトキシシラン5重量部、ジブチル錫アセテート0.2重量部を加え均一な溶液にした。ここに製造例1で合成した4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミン6重量部を加えて混合し、100gの表面保護層用塗工液を作製した。この塗工液を垂直リング塗工により先に作製した電荷輸送層上に塗布し、140℃で15時間硬化することにより膜厚2μmの表面保護層を形成した。
このようにして、図4に示す導電性支持体に中間層、電荷発生層、電荷輸送層および表面保護層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体18を作製した。
実施例2
本発明によるヒンダードフェノール化合物である化合物1に代えて化合物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層、電荷輸送層、および表面保護層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
実施例3
本発明によるヒンダードフェノール化合物である化合物1に代えて化合物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層、電荷輸送層、および表面保護層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
比較例1
本発明のヒンダードフェノール化合物に替えて、以下の構造:
Figure 0005866188
を有するスミライザーBHT(住友化学社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した
比較例2
本発明のヒンダードフェノール化合物に替えて、以下の構造:
Figure 0005866188
を有するスミライザーMDP-S(住友化学社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した。
比較例3
本発明のヒンダードフェノール化合物に替えて、以下の構造:
Figure 0005866188
を有するアデカスタブ AO-40(アデカ社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した
以上のようにして作製した実施例1〜3および比較例1〜3の各感光体について、以下のようにして(a)耐オゾンガス性および(b)電気特性の安定性を評価し、さらに(c)感光体性能の総合判定を行なった。
(a)耐オゾンガス性
評価装置による評価
実施例1〜3および比較例1〜3の感光体を試験用複写機にそれぞれ搭載し、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境下において、帯電直後の感光体の表面電位V1(V)および帯電から3秒間経過後の感光体の表面電位V2(V)を測定した。試験用複写機には、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販の複写機(商品名:AR−450S、シャープ株式会社製)の内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(商品名:CATE751、ジェンテック社製)を設けたものを用いた。測定された帯電直後の表面電位V1(V)および帯電から3秒間経過後の表面電位V2(V)を下記式(I)に代入し、電荷保持率DD(%)を算出し、これを初期電荷保持率DD0とした。
Figure 0005866188
次いで、オゾン発生・制御装置(商品名:OES−10A、ダイレック社製)を用い、各感光体をオゾン濃度が約7.5ppm(ダイレック株式会社製のオゾン濃度計MODEL1200(商品名)にて確認)に調整された密閉された容器中で20時間オゾンに曝露した。オゾンへの曝露後、各感光体を温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N)環境下に2時間放置した後、オゾン曝露前と同様にして電荷保持率DD(%)を求め、これをオゾン曝露後の電荷保持率DD02とした。
オゾン曝露前の電荷保持率すなわち初期電荷保持率DD0からオゾン曝露後の電荷保持率DD02を差引いた値を、電荷保持率変化量ΔDD(=DD0−DD02)として求め、耐オゾンガス性の評価指標とした。
実機による評価
実施例1〜3および比較例1〜3の各実機評価用感光体を、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販の複写機(商品名:AR−450S シャープ株式会社製)にそれぞれ搭載し、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N)環境下において、所定のパターンのテスト画像を記録用紙5万枚に実写させた。5万枚の実写が終了した時点から1時間複写機の動作を停止させた後、記録用紙にハーフトーン画像を複写させ、これを第1評価用画像とした。次いで、再び温度25℃、相対湿度50%のN/N環境下において所定のパターンのテスト画像を記録用紙5万枚に実写させ、5万枚の実写が終了した時点から1時間複写機の動作を停止させた後、記録用紙にハーフトーン画像を複写させ、これを第2評価用画像とした。
形成された第1評価用画像および第2評価用画像をそれぞれ目視によって観察し、複写機の動作停止時にコロナ放電帯電器に近接して配置されていた感光体の部位からトナー像が転写された部分に相当する記録用紙の部位の画質を、白抜けおよび黒帯などの画像欠陥の発生度合によって判定し、耐オゾンガス性の評価指標とした。画質の判定基準を以下に示す。
VG(very good):第1評価用画像および第2評価用画像のいずれにも画像欠陥が全く発生していない;
G(good):第1評価用画像および第2評価用画像のいずれか一方または両方に若干の画像欠陥が発生しているけれども、無視できる程度である;
NB(not bad):第1評価用画像および第2評価用画像のいずれか一方または両方に若干の画像欠陥が発生しているけれども、実使用上問題がない程度である;
B(bad):第1評価用画像および第2評価用画像のいずれか一方または両方に多数の画像欠陥が発生し、実使用不可
以上の電荷保持率変化量ΔDDの値と画質の判定結果とを合わせて、感光体の耐オゾンガス性を評価した。耐オゾンガス性の評価基準を以下に示す。
VG(very good):ΔDDが3.0%未満かつ画質がVG;
G(good):ΔDDが3.0%以上7.0%未満かつ画質がVG、またはΔDDが7.0%未満かつ画質がG;
NB(not bad):実使用上問題なし(ΔDDが7.0%未満かつ画質がNB;
B(bad):良(ΔDDが7.0%以上、または画質がB。
(b)電気特性の安定性
実施例1〜3および比較例1〜3の感光体を試験用複写機にそれぞれ搭載し、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N)環境下において、以下のようにして電気特性の安定性を評価した。試験用複写機には、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販の複写機(商品名:AR−450S、シャープ株式会社製)の内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(商品名:CATE751、ジェンテック社製)を設けたものを用いた。なお、複写機AR−450Sは、感光体表面を負に帯電して電子写真プロセスを行なう負帯電型の画像形成装置である。
実施例1〜3および比較例1〜3の各感光体が搭載された試験用複写機を用い、帯電器による帯電動作直後の感光体の表面電位を帯電電位V0(V)として測定し、これを初期の帯電電位V01とした。またレーザ光によって露光を施した直後の感光体の表面電位を残留電位Vr(V)として測定し、これを初期の残留電位Vr1とした。
次いで、所定のパターンのテスト画像を記録用紙30万枚に連続して複写させた後、初期と同様にして帯電電位V0および残留電位Vrを測定し、これらを繰返し使用後の帯電電位V02および繰返し使用後の残留電位Vr2とした。初期の帯電電位V01と繰返し使用後の帯電電位V02との差の絶対値を、帯電電位変化量ΔV0(=|V01−V02|)として求めた。また初期の残留電位Vr1と繰返し使用後の残留電位Vr2との差の絶対値を、残留電位変化量ΔVr(=|Vr1−Vr2|)として求めた。帯電電位変化量ΔV0および残留電位変化量ΔVrを評価指標として、電気特性の安定性を評価した。
電気特性の安定性の評価基準を以下に示す。
VG(very good):ΔV0が35V以下かつΔVrが55V以下;
G(good):ΔV0が35V以下かつΔVrが55Vを超え80V以下、またはΔV0が35Vを超え75V以下かつΔVrが55V以下;
NB(not bad):実使用上問題なし。ΔV0が35Vを超え75V以下かつΔVrが55Vを超え80V以下;
B(bad):ΔV0が75Vを超える、またはΔVrが80Vを超える。
(c)感光体性能の総合判定
耐オゾンガス性の評価結果と電気特性の安定性の総合評価結果とを合わせて、感光体性能の総合判定を行なった。総合判定の判定基準は以下のようである
VG(very good):耐オゾンガス性および電気特性の安定性がいずれもVG;
G(good):耐オゾンガス性および電気特性の安定性のいずれかがGかつ他方がVGまたはG;
NB(not bad):実使用上問題なし(耐オゾンガス性および電気特性の安定性のいずれかが実使用上問題なし(NB)かつ他方がBでない)
B(bad):耐オゾンガス性および電気特性の安定性のいずれか一方または両方がB。
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 0005866188
実施例1〜3では耐ガス性、繰り返し電気特性とも良好であった。
これに対し、比較例1では耐ガス性が悪化している。BHTは融点が69℃と低く揮発性もあるため 140℃という高温の熱処理で気化してしまい、所望の効果を得ることができなかったものと思われる。
比較例2では画像特性が悪化している。MDP−Sは融点128℃であり、揮発性はないもの、融点以上に加熱したため塗布膜内で溶融し凝集してしまい画像ムラとして現れたものと思われる。
比較例3では画像特性が悪化している。AO−40は融点210〜214℃と非常に高い。一般に高融点な添加剤は溶媒への溶解性が低く、本添加剤も溶解が不十分で塗膜内に粒子のまま残留し、ざらついた画像となって表れてしまったものと思われる。
本発明による感光体は、製造時においてヒンダードフェノール化合物を含む電荷移動層および/または表面保護層を形成する際に、高温で加熱硬化させ、高耐久な電荷移動層および/または表面保護層を形成できるので傷の発生がなく、摩耗が少なく高い耐酸化性を有する電子写真感光体を作製でき、高耐久性である画像形成装置を提供できる。
1 導電性支持体
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 表面保護層
6 中間層
7 積層型感光層
15〜18、21 感光体
20 画像形成装置
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a 帯電ローラ
24b バイアス電源
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写器
27 クリーナ
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に、電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷移動物質を含む電荷移動層とがこの順で積層された積層型感光体において、前記電荷移動層が、さらに以下の一般式(I):
    Figure 0005866188
    (式中、R1およびR2は、互いに独立して水素原子またはC1〜C3アルキル基を示すが、但しR1およびR2が同時に水素であることはない)
    で表されるヒンダードフェノール化合物を含有し、前記積層型感光体が、熱硬化型表面保護層を有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記一般式(I)におけるR1およびR2が、互いに独立して水素原子またはメチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピル基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(I)におけるR1およびR2が、互いに独立して水素原子またはメチル、エチルもしくはプロピル基である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(I)において、R1が水素原子であるとき、R2がメチル、エチルまたはプロピル基であり、R1がメチル基であるとき、R2がメチル、エチルまたはプロピル基であり、R1がエチル基であるとき、R2がエチルまたはプロピル基であり、R1がプロピル基であるとき、R2がプロピル基である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記ヒンダードフェノール化合物が、電荷移動物質に対して0.1〜20重量%含有されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷移動層が、熱硬化型電荷輸送層である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  7. 前記電荷発生物質が、チタニルフタロシアニンである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真感光体
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真感光体が、140〜160℃で熱硬化処理されていることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段、トナー像を媒体に転写させる転写手段、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段、前記トナー像を媒体に定着させる定着手段および感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
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