JP4610637B2 - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、露光光源として短波長に発振する半導体レーザを用いる画像形成装置に好適に用いられる、高解像度を実現する電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。
デジタル複合機、プリンタなどに多用されている電子写真方式の画像形成装置(「電子写真装置」ともいう)に用いられる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、導電性支持体上に光導電性材料を含む感光層が積層されてなり、光導電性材料として、従来からセレンなどの無機光導電性材料が用いられてきた。
一方、有機光導電性材料は、無機光導電性材料に比べて、感度、耐久性および環境に対する安定性などの点で若干劣るものの、毒性、製造コスト、材料設計の自由度などの観点から、近年ではその開発が進み、広く用いられている。
現在、有機光導電性材料を用いた感光体(有機感光体)としては、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質(電荷発生物質と電荷輸送物質)にそれぞれ分担させた機能分離型感光体が一般的に実用化されている。
このような機能分離型感光体は、各々の物質の選択範囲が広く、帯電特性、感光波長域、感度、残留電位、繰り返し特性、耐刷性などの電子写真特性において、最良の物質を組み合わせて、高性能な感光体を提供することができるという利点を有する。
また、有機感光体は、塗工により導電性支持体上に感光層を形成できるため、極めて生産性が高く、安価な感光体を提供できるという利点を有する。
さらに、電荷輸送層にバインダ樹脂を含有させる場合、バインダ樹脂を適宜選択することにより耐摩耗特性に優れた感光体を設計することができる。
他方、有機感光体を用いた画像形成装置は、近年のプリンタなどの画像出力端末としての需要拡大に対して、高精細なデジタル画像の出力が求められている。
このようなデジタル記録方式に対応させる露光光源には、例えば、小型で安価な信頼性の高い半導体レーザや発光ダイオードが多く用いられている。
現在最もよく使用されている半導体レーザの発振波長は780〜800nm付近の近赤外領域にあり、代表的な発光ダイオードの発振波長は740nmである。
最近では、デジタル記録方式に対応させる露光光源として、400〜500nmに発振波長を有する紫色から青色の短波長レーザ(青色半導体レーザ)または発光ダイオードが開発され、市販されるに到っている。
これを受けて、レーザを露光光源とする画像形成装置用に、電荷発生物質として、長波長領域の光を吸収して感度を有する有機化合物、特にフタロシアニン顔料含有する電荷発生層を有する積層型感光体が開発されてきた。
一方、画像形成装置の出力画像の画質向上を図るために、画質の高解像度化が検討されている。
記録密度の高い高解像度の画質を達成する手段としては、例えば、レーザビームのスポット径を絞り、書込み密度を高める光学的な方法が挙げられる。そこで、レーザビームのスポット径を絞る方法として、使用するレンズの焦点距離を短くすることが考えられる。しかし、光学系の設計が難しく、800nm付近の近赤外領域に発振波長を持つレーザでは、光学系の操作でビーム径を細くしてもスポット輪郭の鮮明さが得られ難いことがわかった。その原因はレーザ光の回折限界にあり、これは避けられない現象である。
一般に感光体の表面に収束されるレーザ光(レーザビーム)のスポット径Dは、レーザビームの波長(レーザ光の発振波長)をλ、レンズ開口数をNAとしたとき、次式で表される。
D=1.22λ/NA
この式によれば、スポット径Dはレーザ光の発振波長に比例するので、スポット径Dを小さくするには発振波長の短いレーザを用いればよいことがわかる。
つまり、現在主流の近赤外半導体レーザに代えて、短波長レーザを用いれば、さらなる高解像度の画質が実現できることがわかる。
発振波長の短いレーザの開発は発振波長の長いレーザに比べて遅れていたが、1990年代初頭には650nm近傍に発振波長をもつ赤色レーザが実用化され、1995年には410nmに発振波長をもつ青紫色レーザの開発が成功し、現在ではブルーレイディスク用の光源として商品化されている。
青紫色レーザのような青色系レーザは、光ディスクの記録密度の向上に大きな期待が寄せられていたが、従来の感光体はその波長域に感度を示さないために、画像形成装置の露光光源としてはほとんど期待されていなかった。
従来から実用化されている一般的な積層型感光体、すなわち導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層がこの順に積層されてなる感光体に、500nm以下の波長にも吸収を示す電荷発生材料を用いれば、一般的には500nm以下の短波長レーザの露光にも感度を示すはずである。しかし、実際には電荷輸送層が500nm以下の波長に吸収を示すことから、露光光源として用いた短波長レーザの露光光が電荷発生層に到達する前に吸収され、積層型感光体はこのような波長域では感度を示さない。
例えば、小幡孝嗣、他4名、「分子シミュレーションを利用したホール輸送材料の物性予測」、シャープ技報、2000年4月、第76号、p.36−40(非特許文献1)には、電荷の1つであるホール(正孔)を輸送するホール輸送材料について開示されている。
また、感光体が短波長域の波長成分の揃った高強度の光で露光されるために、長期使用においては電荷輸送物質や電荷発生物質が変質し易い上、窒素酸化物と酸化防止剤との反応により発生する酸化生成物が着色し、光透過率が低下するために、充分な露光が行われず、感度が著しく低下、高画質が維持できないという問題が生じる。
小幡孝嗣、他4名、「分子シミュレーションを利用したホール輸送材料の物性予測」、シャープ技報、2000年4月、第76号、p.36−40
本発明は、390〜500nmの波長領域で高い感度特性を有し、光による疲労劣化がなく、高耐久性に優れた感光体およびその感光体と、露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段とを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、電荷輸送物質として、特定構造のエナミン化合物を単層型感光層または積層型感光層の電荷輸送層に添加することにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順もしくは逆順で積層された積層型感光層が積層されてなり、
前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、電荷輸送物質として一般式(I):
Figure 0004610637
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい1価の複素環残基であり;R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアルコキシ基であり;R3は、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基である)
で示されるエナミン化合物を含有し、かつ
露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段を備えた画像形成装置に用いられることを特徴とする感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体に対して露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いて露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段とを少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、390〜500nmの波長領域で高い感度特性を有し、光による疲労劣化がなく、高耐久性に優れた感光体およびその感光体と、露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段とを備えた画像形成装置を提供することができる。
これは、本発明の一般式(I)で示されるエナミン化合物は、390〜500nmの波長領域の光を吸収せず、かつホールのホッピングサイトである共役系のユニット(非特許文献1、の文献中の「S」パラメータ)を4つ有するので、390〜500nmの波長領域の光を吸収しない代表的な電荷輸送物質のトリアリールアミン誘導体より移動度が高いことによるものと考えられる。
本発明の感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順もしくは逆順で積層された積層型感光層が積層されてなり、
前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、電荷輸送物質として一般式(I)で示されるエナミン化合物を含有し、かつ
露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段を備えた画像形成装置に用いられることを特徴とする。
一般式(I)における各置換基について説明する。
Ar1およびAr2の置換基を有してもよいアリール基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
具体的には、フェニル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ピレニル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、4−ビフェニリル基が特に好ましい。
Ar1およびAr2の置換基を有してもよい1価の複素環残基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい1価の複素環残基が挙げられる。
具体的には、3−フリル基、2−チエニル基、4−ピリジル基、5−ベンゾフリル基、5−ベンゾチオフェニル基、5−ベンゾチアゾリル基などが挙げられ、これらの中でも、2−チエニル基、4−ピリジル基、5−ベンゾフリル基が特に好ましい。
アリール基および1価の複素環基における上記以外の置換基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基(さらに1以上のハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい)、炭素数1〜4のアルコキシ基(さらに1以上のハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、フェノキシ基およびフェニルチオ基などが挙げられる。
1およびR2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、これらの中でもフッ素原子が特に好ましい。
1、R2およびR3の置換基を有してもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
1およびR2の置換基を有してもよいアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。
1およびR2としては、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
3としては、水素原子、メチル基が特に好ましい。
一般式(I)における置換基Ar1およびAr2が、同一または異なって、置換基を有してもよいアリール基であり、R1およびR2が、同一または異なって、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基であり、かつR3が水素原子であるのが好ましい。
本発明のエナミン化合物の具体例として、例えば次に示す例示化合物1〜20を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004610637
Figure 0004610637
これらのエナミン化合物の中でも、例示化合物1、2、9および16が好ましく、例示化合物1が特に好ましい。
一般式(I)で示されるエナミン化合物は、例えば次のようにして製造することができる。
一般式(II):
Figure 0004610637
(式中、Ar1およびAr2は、一般式(I)における定義と同義である)
で示される2級アミン化合物と、一般式(III):
Figure 0004610637
(式中、R1、R2およびR3は、一般式(I)における定義と同義である)
で示されるジフェニルアセトアルデヒド化合物とを溶剤中で脱水縮合反応に付すことにより、一般式(I)で示されるエナミン化合物を製造することができる。
この反応は、例えば、式(III)で示されるジフェニルアセトアルデヒドと等モル量の一般式(2)で示される2級アミン化合物とを、溶剤中、触媒の存在下に加熱して行なわれる。
反応に用いられる溶剤としては、無極性溶剤、アルコール類、エーテル類、ケトン類などの溶剤、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ブターノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
溶剤の使用量は特に制限されず、反応基質の使用量、反応温度、反応時間などの反応条件に応じて、反応が円滑に進行する量を適宜設定できる。
反応に用いられる触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、ピリジニウム−p−トルエニンスルホン酸などの酸触媒が挙げられる。
酸触媒の使用量は、出発原料であるジフェニルアセトアルデヒドおよび2級アミン化合物に対して1/10〜1/1000モル当量、好ましくは1/25〜1/500モル当量、より好ましくは1/50〜1/200モル当量である。
反応において副成する水が反応の進行を妨げるために、使用する溶剤の沸点もしくはそれ以上の温度に反応系を加熱し、生成した水を溶剤と共沸させ、系外に取り除くことができるディーン−スタークを備えた反応器で縮合反応することにより、高収率でエナミン化合物(I)を製造することができる。また、上記の生成した水を除去するために、モレキュラーシーブなどの水吸着剤を反応系に加えて縮合反応することもできる。
本発明の感光体について図面を用いて具体的に説明する。
図1〜3は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層(「機能分離型感光層」ともいう)である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図2は、感光層が電荷輸送層と電荷発生層とがこの順で積層された逆二層型の積層型感光層である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図3は、感光層が一層からなる単層型感光層である単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1および2の積層型感光層はいずれであってもよいが、図1の積層型感光層が好ましい。
図1の感光体は、導電性支持体1の表面に、後述する下引き層(中間層)2と、電荷発生物質を含有する電荷発生層3と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層5がこの順で形成されている。
図2の感光体は、導電性支持体1の表面に、後述する下引き層(中間層)2と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層4と電荷発生物質を含有する電荷発生層3とがこの順で積層された逆二層型の積層型感光層5がこの順で形成されている。
図3の感光体は、導電性支持体1の表面に、後述する下引き層(中間層)2と、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層5’が形成されている。
[導電性支持体1]
導電性基体1は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料または合金材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の形状としては、シート状、円筒状、円柱状、無端ベルト(シームレスベルト)状などが挙げられる。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
乱反射処理は、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザ光と感光体の内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
[積層型感光層5]
積層型感光層5は、電荷発生層3と電荷輸送層4とからなる。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることにより、各層を構成する最適な材料を独立して選択することができる。
以下の説明では、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層(図2)について説明するが、逆二層型の積層型感光層(図3)の場合には積層順が異なるだけで基本的に同様である。
[電荷発生層3]
電荷発生層3は、照射された光を吸収することにより電荷を発生する電荷発生能を有する電荷発生物質を主成分とし、任意に公知の添加剤およびバインダ樹脂(結合剤)を含有する。
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、アゾ系顔料(カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有する、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(キナクリドン、アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなど)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、スクアリリウム色素、アズレニウム色素、チオピリリウム色素、ピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
これらの電荷発生物質の中でも、アゾ系顔料、ぺリレン系顔料、多環キノン系顔料は390〜500nmの波長領域に高感度特性を有することから特に好ましい。
電荷発生層は、本発明の好ましい特性が損なわれない範囲内で、化学増感剤、光学増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散安定剤、増感剤、レベリング剤、可塑剤、無機化合物もしくは有機化合物の微粒子などから選ばれる1種または2種以上の公知の添加剤を適量含有していてもよい。これらの添加剤は、後述する電荷輸送層に含有されてもよく、電荷発生層および電荷輸送層の両方に含有されてもよい
化学増感剤および光学増感剤は、感光体の感度を向上させ、繰返し使用による残留電位の上昇および疲労などを抑え、電気的耐久性を向上させる。
化学増感剤としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物;ジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料およびこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどが挙げられる。
光学増感剤としては、例えばキサンテン系色素、キノリン系顔料、銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料;エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料;メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料;カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料;シアニン染料;スチリル染料;ピリリウム塩染料およびチオピリリウム塩染料などが挙げられる。
酸化防止剤は、長期にわたって感度安定性を維持させることができる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のようなヒンダードフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミンなどのアミン系酸化防止剤、ビタミンE、ハイドロキノン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄系化合物、有機燐系化合物などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒンダードフェノールは、従来から頻繁に用いられてきたが、酸化性ガスとの反応により着色原因となる酸化生成物が生成されるなどの弊害に加え、発がん性物質の危険性によりその使用は制限される傾向にある。
また、ヒンダードアミンは、酸化性ガスとの反応により着色するものが多いことからその使用は制限される。
本発明における短波長域における着色は、透過率の低下を示し、感度への影響が懸念されることから、その量は少量であることが好ましい。
具体的には、酸化防止剤の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して0.1〜40重量部が好ましく、0.5〜15重量部が特に好ましい。
酸化防止剤の添加量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果が得られないおそれがある。また、酸化防止剤の添加量が40重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
レベリング剤および可塑剤は、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させることができる。
レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などが挙げられる。
無機化合物または有機化合物の微粒子は、機械的強度を増強し、電気特性を向上させることができる。このような微粒子としては、例えば、後述する下引き層において例示する微粒子が挙げられる。
電荷発生層は、公知の乾式法および湿式法により形成することができる。
乾式法としては、例えば、電荷発生物質を導電性支持体の表面に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電荷発生物質、必要に応じて添加剤およびバインダ樹脂を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1の表面に、または導電性支持体1上に形成された下引き層2の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
バインダ樹脂は、電荷発生層の機械的強度や耐久性、層間の結着性などを向上させることができ、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用できる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との配合比は特に限定されないが、通常、バインダ樹脂に対して電荷発生物質が20〜80重量%程度である。
電荷発生物質が20重量%未満であると、感光体の感度が低下するおそれがある。
一方、電荷発生物質が80重量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなるおそれがある。
有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;安息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤;ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられ、これらは単独または混合溶剤として使用できる。また、このような溶剤に、アルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンを加えた混合溶剤を使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶媒が好適に用いられる。
構成物質を樹脂溶液に溶解または分散させるに先立ち、電荷発生物質を予備粉砕してもよい。
予備粉砕は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
構成物質の樹脂溶液への溶解または分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法は、シートの場合にはベーカーアプリケーター法、バーコーター法、キャスティング法、スピンコート法、ロール法、ブレード法など、ドラムの場合にはスプレー法、垂直リング法、浸漬塗工法などが挙げられる。
浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に導電性支持体1を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体1上に層を形成する方法である。この方法は比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
塗膜の乾燥工程における温度は、使用した有機溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50〜140℃が適当であり、80〜130℃が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が140℃を超えると、感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化するおそれがある。
このような感光層の製造における温度条件は、感光層のみならず後述する下引き層などの層形成や他の処理においても共通する。
電荷発生層の膜厚は特に限定されないが、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感度が低下するおそれがあり、逆に電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷輸送が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下するおそれがある。
[電荷輸送層4]
電荷輸送層4は、電荷発生物質で発生した電荷を受け入れ、それを輸送する能力を有する電荷輸送物質としての一般式(I)で示されるエナミン化合物と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
本発明では、電荷輸送物質として一般式(I)で示されるエナミン化合物を用いるが、感度の向上を図り繰り返し使用時の残留電位の上昇や疲労などを抑える目的のために、本発明の効果を阻害しない範囲で他の公知の電荷輸送物質を併用してもよい。
このような電荷輸送物質としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質;
フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
本発明の感光体では、電荷輸送物質は、使用する半導体レーザの発振波長、すなわち390〜500nmの波長領域の光に対して透過性を有する(吸収を示さない)ことが望ましい。
このような観点から、上記の電荷輸送物質の中でも、一般式(1)で示されるエナミン化合物以外では、アリールアミン系、ベンジジン系の化合物が特に好ましい。
通常、電荷輸送物質とバインダ樹脂との重量比は1:1であるが、一般式(1)で示されるエナミン化合物は、公知の電荷輸送物質と比べて高い移動度を有しているため、高感度を維持したままバインダ樹脂の比率を高くすることができる。バインダ樹脂の比率を高くすることにより、電荷輸送層の耐刷性が向上し、感光体の耐久性を向上させることができる。
したがって、エナミン化合物の重量Eとバインダ樹脂の重量Bとの比率E/Bは、10/12〜10/25、好ましくは10/16〜10/20である。
比率E/Bが10/25未満であると、エナミン化合物に対するバインダ樹脂の相対量比が高くなり、十分な感度が得られないおそれがある。
一方、比率E/Bが10/12を超えると、電荷輸送層の耐刷性や感光体の耐久性が低下するおそれがある。
バインダ樹脂は、電荷発生層に含まれるものと同様のバインダ樹脂の1種または2種以上を使用できる。
これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリスチレン樹脂は、光化学的に安定で、一般式(I)で示されるジアミン化合物との相溶性に特に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましい。
本発明の感光体では、バインダ樹脂は、使用する半導体レーザの発振波長、すなわち350〜500nmの波長領域の光に対して透過性を有する(吸収を示さない)ことが望ましい。このような観点においても、上記のバインダ樹脂は特に好ましい。
電荷輸送層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
電荷輸送層4は、電荷輸送物質としての一般式(I)で示されるエナミン化合物、バインダ樹脂および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷輸送層形成用塗布液を調製し、この塗布液を電荷発生層3の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成できる。より具体的には、例えば、バインダ樹脂を有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液にエナミン化合物および必要に応じて他の添加剤を溶解または分散させることにより、電荷輸送層形成用塗布液を調製する。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
電荷輸送層の膜厚は特に限定されないが、10〜60μmが好ましく、15〜40μmが特に好ましい。電荷輸送層の膜厚が10μm未満であると、帯電保持能が低下するおそれがあり、逆に電荷輸送層の膜厚が60μmを超えると、一部のホールがプロセス内に表層まで移動できなかったり、感光体層内で短波長レーザの吸収や散乱が顕著に大きくなるため、鮮鋭性の低下や残留電位の上昇が発生し、著しく画像劣化が生じるおそれがある。
[下引き層(「中間層」ともいう)2]
本発明の感光体は、導電性支持体1と単層型感光層5’または積層型感光層5との間に下引き層2を有するのが好ましい(例えば、図1〜3参照)。
下引き層は、導電性支持体から単層型感光層または積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、単層型感光層または積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
また、導電性支持体の表面を被覆する下引き層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、単層型感光層または積層型感光層の成膜性を高め、導電性支持体と単層型感光層または積層型感光層との密着性(接着性)を向上させることができる。
下引き層207は、例えば、樹脂材料を適当な溶剤に溶解させて下引き層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
樹脂材料としては、電荷発生層に含まれるものと同様のバインダ樹脂に加えて、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの天然高分子材料などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、アルコール可溶性ナイロン樹脂が特に好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンなどを共重合させた共重合ナイロン;N−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などが挙げられる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム類、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤などが挙げられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
また、下引き層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節でき、積層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。
下引き層形成用塗布液における樹脂材料と金属酸化物粒子との合計含有量をC、溶剤の含有量をDとするとき、両者の重量比率(C/D)は、3/97〜20/80が好ましく、5/95〜15/85が特に好ましい。
また、金属酸化物粒子の含有量をF、樹脂材料の含有量をGとするとき、両者の重量比率(F/G)は、0/100〜90/10が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。
下引き層の膜厚は特に限定されないが、0.01〜10μmが好ましくは、0.1〜10μmが特に好ましい。
下引き層の膜厚が0.01μm未満では、下引き層として実質的に機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体からの感光層への電荷の注入を防止することができなくなるおそれがあり、下引き層の膜厚が10μmを超えると、均一な下引き層を形成し難く、また感光体の感度も低下するおそれがある。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、下引き層とすることができる。
[単層型感光層5’]
単層型感光層5’は、電荷発生物質と、電荷輸送物質としての一般式(I)で示されるエナミン化合物と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
単層型感光層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
単層型感光層5’は、電荷発生物質、電荷輸送物質としての一般式(I)で示されるエナミン化合物および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解および/または分散して単層型感光層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1の表面に、または導電性支持体1上に形成された下引き層2の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成できる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
単層型感光層の膜厚特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、15〜50μmが特に好ましい。単層型感光層の膜厚が10μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがあり、単層型感光層の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下するおそれがある。
[保護層(図示せず)]
本発明の感光体は、積層型感光層5および単層型感光層5’の表面に保護層(図示せず)を有していてもよい。
保護層は、感光層の摩耗性の改善やオゾン、窒素酸化物などによる化学的悪影響の防止の機能を有する。
保護層は、例えば、適当な有機溶剤にバインダ樹脂、必要に応じて酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を溶解または分散させて保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を単層型感光層5’または積層型感光層5の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
保護層の膜厚は特に制限されないが、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。表面保護層5の膜厚が0.5μm未満では、感光体表面の耐擦過性が劣り、耐久性が不十分になるおそれがあり、逆に10μmを超えると、感光体の解像度が低下するおそれがある。
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体に対して露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いて露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
図面を用いて本発明の画像形成装置について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図4は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図4の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図1〜3の感光体のいずれか1つ)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写器26と、クリーナ27と、定着器31とを含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
感光体21は、図示しない画像形成装置20本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線22回りに矢符23方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体21の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体21を所定の周速度で回転駆動させる。帯電器24、露光手段28、現像器25、転写器26およびクリーナ27は、この順序で、感光体21の外周面に沿って、矢符23で示される感光体21の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器24は、感光体21の外周面を所定の電位に帯電させる帯電手段である。本実施の形態では、帯電器24は、コロトロンやスコロトロンなどのチャージャーワイヤ24aによって実現される。
帯電手段としては、接触式の帯電ローラと帯電ローラに電圧を印加するバイアス電源も使用できる。
露光手段28は、例えば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光28aを、感光体21の帯電器24と現像器25との間に照射することによって、帯電された感光体21の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光28aは、主走査方向である感光体21の回転軸線22の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って感光体21の表面に静電潜像が順次形成される。
現像器25は、露光によって感光体21の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体21を臨んで設けられ、感光体21の外周面にトナーを供給する現像ローラ25aと、現像ローラ25aを感光体21の回転軸線22と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング25bとを備える。
転写器26は、現像によって感光体21の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符29方向から感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、例えば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ27は、転写器26による転写動作後に感光体21の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体21の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード27aと、クリーニングブレード27aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング27bとを備える。また、このクリーナ27は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置20には、感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
この画像形成装置20による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、感光体21が駆動手段によって矢符23方向に回転駆動されると、露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、感光体21の表面が正または負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段28から、感光体21の表面に対して画像情報に応じた光28aが照射される。感光体21は、この露光によって、光28aが照射された部分の表面電荷が除去され、光28aが照射された部分の表面電位と光28aが照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
本発明では、露光光源として、発振波長390〜500nmの半導体レーザが用いられる。
露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体21に対する露光と同期して、感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって感光体21の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体21の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体21はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰り返されて連続的に画像が形成される。
本発明の画像形成装置は、特定のエナミン化合物を含有する、390〜500nmの波長領域で高い感度特性を有し、光による疲労劣化がなく、高耐久性に優れた感光体を備えるので、露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いた露光により高解像度を有する画像を形成することができる。
以下に製造例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの製造例および実施例により本発明が限定されるものではない。
(製造例1)例示化合物1の製造
ディーン-スタークを備えた反応器中のトルエン50mLに、一般式(II)で示される2級アミン化合物として下記構造式(IV)で示されるジフェニルアミン1.7g(1.0当量)と、一般式(III)で示されるジフェニルアセトアルデヒド化合物として下記構造式(V)で示されるジフェニルアセトアルデヒド2.1g(1.05当量)と、DL-10-カンファースルホン酸0.023g(0.01当量)とを加え、130℃のオイルバス上で加熱還流し、トルエンと共沸した水を系外に取り除きながら、6時間反応を行った。
Figure 0004610637
反応終了後、反応溶液を10分の1(1/10)程度に濃縮し、激しく撹拌しながらヘキサン100mL中に徐々に滴下した。次いで、生成した結晶を濾取し、冷エタノールで洗浄し、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことにより、白色粉末状化合物3.1g(収率84%)を得た。
得られた白色粉末状化合物をLC−MSで分析した結果、例示化合物1(分子量の計算値:347.17)に相当するメインピークのマススペクトルに、分子イオン[M]+に相当するピークが347.3に観測され、また次のフラグメントピークが観察された。
MW=270:[M−φ]+ <ベンゼン環が脱離した形態に相当>
MW=179:[CH=C(φ)2]+
MW=168:[N(φ)2]+
得られた白色粉末状化合物を差動熱伝導度法で炭素(C)、水素(H)および窒素(N)について同時定量した結果を以下に示す。
理論値 C:89.88%、H:6.09%、N:4.03%
実測値 C:89.62%、H:6.26%、N:4.12%
以上の結果から、白色粉末状化合物が例示化合物1であり、その純度が99.5%であることがわかった。
また、得られた白色粉末状化合物のUV吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長315nm、吸収端380nmであることがわかった。
(製造例2〜4)例示化合物No.2、9および16の製造
一般式(II)で示される2級アミン化合物および一般式(III)で示されるジフェニルアセトアルデヒド化合物として表1に示す各原料化合物を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、それぞれ例示化合物2、9および16を製造した。なお、表1には、例示化合物1の原料化合物および製造例1〜4で得られた化合物の分析値も併せて示す。
Figure 0004610637
(実施例1)
電荷輸送物質として、製造例1で得られた本発明によるエナミン化合物(例示化合物1)を用いて、図1の感光体を作製した。
導電性支持体として、180mm×250mm×厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に100nmのアルミニウムを蒸着したもの(「アルミニウム蒸着PETフィルム」という)を用いた。
酸化チタン(商品名:タイベークTTO55A、石原産業株式会社製)7重量部および共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)13重量部を、メチルアルコール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、下引き層形成用塗布液100gを調製した。この下引き層形成用塗布液を、導電性支持体であるアルミニウム蒸着PETフィルムのアルミニウム表面にアプリケータにより塗布し、自然乾燥して膜厚1μmの下引き層を形成した。
次いで、電荷発生物質として、下記構造式(VI)で示されるアゾ化合物2重量部およびブチラール樹脂(商品名:#6000−C、電気化学工業株式会社製)1重量部を、メチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカにて2時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液50gを調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、下引き層と同様の方法で、先に設けた下引き層の表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0004610637
次いで、電荷輸送物質として、例示化合物1のエナミン化合物10重量部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学株式会社製)18重量部と2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を、テトラヒドロフラン140重量部に溶解させて、電荷輸送層形成用塗布液50gを調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層の表面にベーカーアプリケーターにより塗布し、自然乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す感光体を作製した。
(実施例2〜4)
例示化合物1の代わりに、それぞれ表1に示す例示化合物2、9および16のエナミン化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして図1の感光体を作製した。
(比較例1)
例示化合物1の代わりに、下記構造式(VII)で示される比較化合物(7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして図1の感光体を作製した。
Figure 0004610637
(比較例2)
例示化合物1の代わりに、下記構造式(VIII)で示される比較化合物(8)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして図1の感光体を作製した。
Figure 0004610637
(実施例5)
電荷発生層および電荷輸送層の層構成を逆にしたこと以外は、実施例1と同様にして図2の感光体を作製した。
(実施例6)
実施例1と同様にして、アルミニウム蒸着PETフィルム表面に膜厚1μmの下引き層を形成した。
次いで、電荷発生物質として前記構造式(VI)で示されるアゾ化合物1重量部、電荷輸送物質として例示化合物1のエナミン化合物10重量部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−400、三菱瓦斯化学株式会社製)4重量部、3−ブロモ−5,7−ジニトロフルオレノン5重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部を、テトラヒドロフラン150重量部に混合し、ボールミルにて12時間分散処理して単層型感光層形成用塗布液50gを調製した。この単層型感光層形成用塗布液を、先に設けた下引き層の表面にベーカーアプリケーターにより塗布し、110℃で1時間、熱風乾燥して膜厚20μmの電荷発生層を形成した。このようにして、図3に示す感光体を作製した。
(評価1)
作製した実施例1〜6および比較例1〜2の感光体について、静電複写紙試験装置(型式:EPA−8200、川口電機株式会社製)を用いて下記の条件下で評価した。具体的には、各単色波長で表面電位300Vを示す時の光量から換算して、評価感度E1/2(mJ/cm2)を求めた。
感光体の表面電位:−600V
露光波長(モノクロメーターにて分離):450nm
また、露光30秒後の残留表面電位Vr(V)を測定した。
さらに、450nmの単色光を用いて暗部電位V0(V)(600V設定)、明部電位V1(V)(100V設定)の初期感度から帯電、露光、除電を1000回繰り返した時の電位変化量ΔV0、ΔV1をそれぞれ求めた。電位変動における負符号は電位の絶対値の低下を表し、正符号は電位の絶対値の増加を表す。なお、実施例5および6の感光体については帯電極性をプラスとした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0004610637
表2の結果から、実施例1〜6の感光体は比較例1〜2の感光体に比べて、短波長領域での感度に優れ、安定した繰り返し特性を有していることがわかる。
(実施例7)
電荷発生物質としての構造式(VI)で示されるアゾ化合物の代わりに、下記構造式(IX)で示されるチオインジゴ化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして図1の感光体を作製した。
Figure 0004610637
(実施例8〜10)
例示化合物1の代わりに、それぞれ表1に示す例示化合物2、9および16のエナミン化合物を用いたこと以外は、実施例7と同様にして図1の感光体を作製した。
(比較例3)
例示化合物1の代わりに、前記構造式(VII)で示される比較化合物(7)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして図1の感光体を作製した。
(評価2)
作製した実施例7〜10および比較例3の感光体について、露光波長を400nm、500nmおよび600nmとしたこと以外は、評価1と同様にして評価した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0004610637
表3の結果から、実施例7〜10の感光体は比較例3の感光体に比べて、短波長領域での感度に優れ、安定した繰り返し特性を有していることがわかる。
(実施例11)
実施例1と同様にして調製した下引き層用塗布液を浸漬塗布装置の塗布槽に満たし、厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ326.3mmのアルミニウム製の導電性支持体を浸漬した後引き上げ、自然乾燥して膜厚1.0mmの下引き層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして電荷発生層用塗布液を調製し、この塗布液を下引き層と同様の浸漬塗布法で、先に設けた下引き層の表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.5nmの電荷発生層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗布液を下引き層と同様の浸漬塗布法で、先に設けた電荷発生層の表面に塗布し、110℃で1時間、熱風乾燥して膜厚20nmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す感光体を作製した。
(比較例4)
電荷輸送層用塗布液の調製において、例示化合物1の代わりに、前記構造式(VIII)で示される比較化合物(8)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして図1の感光体を作製した。
(評価3)
作製した実施例11および比較例4の感光体について、露光光源として発振波長405nmの半導体レーザを搭載した複写機(型式:AR−F330、シャープ株式会社製)の改造機を用いて、1200dpi相当の1ドット1スペース画像および5ポイントの文字画像を出力し、画像(ドットおよび文字再現性)を下記の基準で評価した。
基準 ドット再現性:○:鮮明な画像、×:ドットの乱れが発生し不鮮明
文字再現性 :○:鮮明な画像、×:文字が不鮮明
得られた結果を表4に示す。
Figure 0004610637
表4の結果から、実施例11の感光体を備えた画像形成装置は比較例4の感光体を備えた画像形成装置に比べて、ドットの再現性や文字再現性に非常に優れ、高解像度の出力画像が得られることがわかる。
(実施例12)
実施例11と同様にして、図1に示す感光体を作製した。
(比較例5)
比較例4と同様にして、図1に示す感光体を作製した。
(評価4)
作製した実施例12および比較例5の感光体について、評価3と同様にして100,000枚印刷した後の画像を評価した。
得られた結果を表5に示す。
Figure 0004610637
表5の結果から、実施例12の感光体を備えた画像形成装置は比較例5の感光体を備えた画像形成装置に比べて、耐久性に優れ、高解像度の出力画像が得られることがわかる。
本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2 下引き層(中間層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 積層型感光層
5’ 単層型感光層
20 画像形成装置
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a チャージャーワイヤ
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写器
27 クリーナ
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ

Claims (4)

  1. 子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光光源として発振波長390〜500nmの半導体レーザを用いて露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段とを少なくとも備え
    前記電子写真感光体が、波長390〜500nmの露光光源で露光される電子写真感光体であり、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順もしくは逆順で積層された積層型感光層が積層されてなり、
    前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、電荷輸送物質として次式:
    Figure 0004610637
    で示されるエナミン化合物を含有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層がバインダ樹脂を含有し、前記エナミン化合物の重量Eと前記バインダ樹脂の重量Bとの比率E/Bが、10/12〜10/25である請求項1に記載の画像形成装置
  3. 前記導電性支持体と前記単層型感光層または前記積層型感光層との間に下引き層を有する請求項1または2に記載の画像形成装置
  4. 前記下引き層の膜厚が、0.01μm以上10μm以下である請求項に記載の画像形成装置
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