JP5504321B2 - ジアミン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
電子写真装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像が形成される。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)の感光層を帯電させた後、露光して静電潜像を形成する。形成された静電潜像を現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を記録紙などの転写材上に転写して定着させて、転写材に所望の画像を形成する。
無機感光体は、感光体としての基礎特性をある程度は備えているが、感光層の成膜が困難で、可塑性が悪く、製造原価が高いなどの欠点を有する。その上、無機光導電性材料は一般に毒性が強く、製造上および取扱い上、大きな制約がある。
このように無機光導電性材料およびそれを用いた無機感光体には多くの欠点があることから、有機光導電性材料の研究開発が進んでいる。
有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に感光体の主力として開発されてきている。
また、電荷輸送物質としては、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルアミン化合物、スチルベン化合物、エナミン化合物などの種々の化合物が知られている。
すなわち、繰返し使用にしたがって電位の低下、残留電位の上昇、感度の変化などが生じ、コピー品質の低下が起こり使用に耐えなくなる。これらの劣化原因の全ては解明されていないが、いくつかの要因が考えられる。
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいヘテロ原子含有シクロアルキル基または置換基を有してもよい1価の複素環残基であり;
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6は、同一または異なって、置換基を有してもよい鎖状のアルキレン基であり;
Zは、i) −Ar5−Ar6−またはii) −Ar5−W−Ar6−(式中、Ar5およびAr6は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリレン基または置換基を有してもよい2価の複素環残基であり;Wは、置換基を有してもよいシクロアルキリデン基、置換基を有してもよい鎖状もしくは枝分かれ状のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である)
である]
で示されるジアミン化合物を含有することを特徴とする感光体が提供される。
したがって、本発明によるジアミン化合物を、例えば、感光体の感光層に含有させることによって、耐オゾン性の効果があり、同時に耐久性および環境安定性にも優れる感光体の提供が可能となる。
また、本発明の感光体は、高速の電子写真プロセスに用いられた場合であっても、その優れた耐オゾン性の効果により、高品質の画像を提供することができる。
よって、本発明による感光体を用いることによって、長期間にわたって繰返し使用されても、耐オゾン性に優れた高品質の画像を形成することができる。
したがって、本発明による画像形成装置では、種々の環境下において、画像欠陥のない高品質の画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
また、本発明による感光体は、高速の電子写真プロセスにおいても高品質の画像を提供することができるので、本発明による画像形成装置では画像形成速度の高速化が可能である。
したがって、このような製造方法によって得られた化合物は、電子写真特性面での弊害が懸念される金属化合物の混入がなく、また分液処理などの抽出操作も必要とせず、簡便な操作により高い純度で化合物を得ることができる。
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の置換基を有してもよいアリール基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基およびハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
具体的には、フェニル基、o−トリル基、2,4−キシリル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニル基、o−トリル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が特に好ましい。
具体的には、シクロへキシル基、シクロペンチル基、4,4−ジメチルシクロへキシル基などが挙げられ、これらの中でも、シクロへキシル基が特に好ましい。
具体的には、フリル基、4−メチルフリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基などが挙げられ、これらの中でも、フリル基、ベンゾフリル基が特に好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基などが挙げられ、これらの中でも、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
具体的には、p−フェニレン基、m−フェニレン基、メチル−p−フェニレン基、メトキシ−p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、ベンゾオキサゾレン基、ビフェニリレン基などが挙げられ、これらの中でも、p−フェニレン基、m−フェニレン基、メチル−p−フェニレン基、メトキシ−p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基が好ましく、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基が特に好ましい。
具体的には、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、4,4−ジメチルシクロヘキシリデニル基、シクロペンチリデン基などが挙げられる。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2、2−ジメチルプロピレン基などが挙げられ、これらの中でもメチレン基、エチレン基が特に好ましい。
なお、表1−1〜1−4において置換基を次のような略号で示す。
−Me−:メチレン基
−Et−:エチレン基
−Tr−:トリメチレン基
−Dm−:2,2−ジメチルトリメチレン基
反応式におけるX1およびX2のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも、塩素原子、臭素原子が特に好ましい。
二級アミン化合物(4)および(5)とジハロゲン化合物(6)とを溶剤に溶解または分散させ、これに有機アミン塩基を加え、加熱攪拌する。反応終了後、析出物を濾別し、エタノール、メタノール、酢酸エチルなどの単独あるいは混合溶剤系において再結晶を行うことにより、簡便に収率よく高純度で目的物を得ることができる。
なお、溶剤の使用量は特に制限されず、反応基質の使用量、反応温度、反応時間などの反応条件に応じて、反応が円滑に進行する量を適宜設定すればよい。
有機アミン塩基としては、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられる。
例えば、対称性の化合物を得る場合(二級アミン化合物(4)あるいは(5)の何れか一方のみ使用する場合)には、反応の効率性などを考慮して、ジハロゲン化合物(6)1当量に対して二級アミン化合物を2.0〜2.3当量程度用いるのが好ましい。
また、非対称性の化合物を得る場合(二級アミン化合物(4)および(5)を共に使用する場合)には、反応の効率性などを考慮して、ジハロゲン化合物(6)1当量に対して各二級アミン化合物を1.0〜1.2当量程度(二級アミン化合物(4)および(5)の合計では2.0〜2.4当量程度)用いるのが好ましい。
また、加熱温度および反応時間は特に限定されるものではないが、反応の効率性などを考慮して、使用する溶剤にもよるが、60〜120℃で2〜8時間反応させるのが好ましい。
図1〜8は、本発明の感光体における要部の構成を示す模式断面図である。
図1〜4は、感光層が一層からなる単層型感光層である単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
また、図5〜8は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層型感光層(以下「機能分離型感光層」ともいう)である積層型感光体(以下「機能分離型感光体」ともいう)の要部の構成を示す模式断面図である。本発明の感光体は、電荷発生層と電荷輸送層とを逆順で形成した逆二層型積層構造であってもよいが、前記積層型が好ましい。
図2の感光体12は、導電性支持体1の表面に単層型感光層2と表面保護層5とがこの順で形成されている。
図3の感光体13は、導電性支持体1の表面に中間層6と単層型感光層2とがこの順で形成されている。
図4の感光体14は、導電性支持体1の表面に中間層6と単層型感光層2と表面保護層5とがこの順で形成されている。
図6の感光体16は、導電性支持体1の表面に、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7と、表面保護層5とがこの順で形成されている。
図7の感光体17は、導電性支持体1の表面に、中間層6と、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7とがこの順で形成されている。
図8の感光体18は、導電性支持体1の表面に、中間層6と、電荷発生層3と電荷輸送層4とがこの順で積層された積層型感光層7と、表面保護層5とがこの順で形成されている。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体1の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理を施されていてもよい。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質と本発明のジアミン化合物とバインダ樹脂とを含有する。
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、アゾ系顔料(モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、X型無金属フタロシアニンなど)、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
フタロシアニン系顔料は、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有するので、光を吸収することによって多量の電荷を発生するとともに、発生した電荷を分子内に蓄積することなく、単層型感光層に含有される電荷輸送物質に電荷を効率よく注入されて円滑に輸送されるので、高感度かつ高解像度の感光体を得ることができる。この効果は後述する積層型感光体でも同様である。
このような増感染料としては、例えばメチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料;エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料;メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料;カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料;シアニン染料;スチリル染料;ピリリウム塩染料およびチオピリリウム塩染料などが挙げられる。
ホール輸送物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセンなど)、ポリシランなどが挙げられる。
具体的には、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタール酸誘導体、ジフェノキノン誘導体などの有機化合物、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電荷輸送物質100重量部に対する本発明のジアミン化合物の使用量が0.1重量部未満であると、効果がきわめて小さいことがある。
一方、電荷輸送物質100重量部に対する本発明のジアミン化合物の使用量が20重量部を超えると、電荷輸送物質に対する相対量比が高くなり、感度が低下するなどの現象を呈することがある。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール誘導体、ヒンダードアミン誘導体などが挙げられる。
バインダ樹脂の割合が1重量%未満では、単層型感光層の膜強度が低下するおそれがあり、逆にバインダ樹脂の割合が10重量%を超えると、単層型感光層の機能が低下するおそれがある。
予備粉砕は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
構成物質の樹脂溶液への溶解または分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
単層型感光層形成用塗布液の塗布方法としては、ロール塗布、スプレー塗布、ブレード塗布、リング塗布、浸漬塗布などが挙げられる。
積層型感光層は、電荷発生層3と電荷輸送層4とからなる。
電荷発生層3は、電荷発生物質とバインダ樹脂とを含有する。
電荷発生物質は、単層型感光層に含まれるものと同様の電荷発生物質の1種または2種以上を使用できる。
バインダ樹脂は、単層型感光層に含まれるものと同様のバインダ樹脂の1種または2種以上を使用できる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との使用割合は特に制限されないが、好ましくは、電荷発生物質とバインダ樹脂との合計量の全量において、電荷発生物質を10〜99重量%含有し、かつ残部がバインダ樹脂である。
電荷発生物質の割合が10重量%未満では、感度が低下するおそれがあり、逆に電荷発生物質の割合が99重量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生するおそれがある。
その他の工程およびその条件は、単層型感光層の形成に準ずる。
有機溶剤は、単層型感光層の形成用塗布液の調製に用いられるものと同様の溶剤の1種または2種以上を使用できる。
電荷輸送層4は、電荷輸送物質と本発明のジアミン化合物とバインダ樹脂とを含有する。
本発明のジアミン化合物は、単層型感光層に含まれるものと同様のジアミン化合物の1種または2種以上を使用できる。
電荷輸送物質は、単層型感光層に含まれるものと同様の電荷輸送物質の1種または2種以上を使用できる。
バインダ樹脂は、単層型感光層に含まれるものと同様のバインダ樹脂の1種または2種以上を使用できる。
電荷輸送物質と本発明のジアミン化合物との使用割合は、単層型感光層と同様である。
電荷発生物質とバインダ樹脂との使用割合は、単層型感光層と同様である。
電荷輸送層は、前記3種の必須成分のほかに、必要に応じて、単層型感光層に含まれるものと同様の酸化防止剤などの添加剤を含むことができる。
その他の工程およびその条件は、単層型感光層の形成に準ずる。
表面保護層5は、感光体の耐久性を向上させる機能を有し、電荷輸送物質とバインダ樹脂とを含有する。
電荷輸送物質は、単層型感光層に含まれるものと同様の電荷輸送物質の1種または2種以上を使用できる。
バインダ樹脂は、単層型感光層に含まれるものと同様のバインダ樹脂の1種または2種以上を使用できる。
その他の工程およびその条件は、単層型感光層の形成に準ずる。
有機溶剤は、単層型感光層の形成用塗布液の調製に用いられるものと同様の溶剤の1種または2種以上を使用できる。
表面保護層5の膜厚は特に制限されないが、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。表面保護層5の膜厚が0.5μm未満では、感光体表面の耐擦過性が劣り、耐久性が不十分になるおそれがあり、逆に10μmを超えると、感光体の解像度が低下するおそれがある。
本発明の感光体は、導電性支持体と単層型感光層または積層型感光層との間に中間層を有するのが好ましい。
中間層は、導電性支持体から単層型感光層または積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、単層型感光層または積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
また、中間層で導電性支持体の表面を被覆する中間層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、単層型感光層または積層型感光層の成膜性を高め、導電性支持体と単層型感光層または積層型感光層との密着性を向上させることができる。
樹脂材料としては、単層型感光層に含まれるものと同様のバインダ樹脂に加えて、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの天然高分子材料などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム類、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤などが挙げられる。
その他の工程およびその条件は、単層型感光層の形成に準ずる。
金属酸化物粒子は、中間層の体積抵抗値を容易に調節でき、単層型感光層または積層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液における樹脂材料と金属酸化物粒子との合計含有量をC、溶剤の含有量をDとするとき、両者の容量比率(C/D)は、1/99〜40/60(重量比率=0.01〜0.67)が好ましく、2/98〜30/70(重量比率=0.02〜0.43)が特に好ましい。
また、樹脂材料の含有量(E)と金属酸化物粒子の含有量(F)との容量比率(E/F)は、1/99〜90/10(重量比率=0.01〜9.0)が好ましく、5/95〜70/30(重量比率=0.05〜2.33)が特に好ましい。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、中間層とすることができる。
図9は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図9の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図1〜8の感光体11〜18のいずれか1つ)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写器26と、クリーナ27と、定着器31とを含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
帯電手段としてはチャージャーワイヤも使用できるが、感光体表面の高い耐摩耗性が要求される帯電ローラにおいて、本発明による表面保護層が形成された感光体は耐久性向上により大きな効果を発揮する。
したがって、本発明の画像形成装置においては、帯電手段は接触帯電手段であるのが好ましい。
露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
本発明による画像形成装置20は、本発明のジアミン化合物が均一に分散された感光層を有する感光体21を備えるので、黒点などの画像欠陥のない高品質の画像を形成することができる。
なお、製造例で得られた化合物の化学構造、分子量および元素分析は、以下の装置および条件により測定した。
核磁気共鳴装置:NMR(ブルカーバイオスピン社製、型式:DPX−200)
サンプル調整 約4mg試料/0.4m(CDCl3)
測定モード 1H(通常)、13C(通常、DPET−135)
分子量測定装置:LC−MS(サーモクエスト社製、
フィネガン LCQ Deca マススペクトロメーターシステム)
LCカラム GL-Sciences Inertsil ODS-3 2.1×100mm
カラム温度 40℃
溶離液 メタノール:水=90:10
サンプル注入量 5μl
検出器 UV254nmおよびMS ESI
元素分析装置:パーキン エールマー社製、Elemental Analysis 2400
サンプル量: 約2mgを精秤
ガス流量(ml/分):He=1.5、O2=1.1、N2=4.3
燃焼管温度設定:925℃
還元管温度設定:640℃
なお、元素分析は、差動熱伝導度法による炭素(C)、水素(H)および窒素(N)同時定量法に分析した。
無水1,4−ジオキサン50ml中に4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル6.06g(1.0当量)とジベンジルアミン10.0g(2.1当量)を加え、アイスバスにて氷冷下に冷却した。この溶液中に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン6.86g(2.2当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を100〜110℃まで上げ、100〜110℃を保つように加熱しながら4時撹拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、生じた沈殿を濾取し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤(エタノール:酢酸エチル=8:2〜7:3)で再結晶を行うことによって、白色粉末状化合物12.1gを得た。
核磁気共鳴装置:NMR
1H−NMRスペクトル(通常)は、δ(ppm)=3.58(S.12H)7.07
7.84(m.28H)を示した。
また、13C−NMRスペクトル(通常、DPET−135)は、δ=57.80(CH2、シグナル強度2)、58.07(CH2、シグナル強度4)、126.94(CH、シグナル強度4)、128.32(CH、シグナル強度8)、128.72(CH、シグナル強度4)、128.83(CH、シグナル強度4)、128.85(CH、シグナル強度8)、138.29(C、シグナル強度2)、139.25(C、シグナル強度4)、139.28(C、シグナル強度2)を示した。
さらに、分子量測定装置:LC−MSは例示化合物No.1(分子量の計算値:572.30)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが573.2に観測された。
<例示化合物No.1の元素分析値>
理論値 C:88.07%、H:7.04%、N:4.89%
実測値 C:87.25%、H:6.88%、N:4.42%
以上、NMR、LC−MSおよび元素分析などの分析結果から、得られた白色粉末状化合物が、例示化合物No.1のジアミン化合物であることがわかった(収率:87.5%)。また、LC−MS測定時のHPLCの分析結果から、得られた例示化合物No.1の純度は99.0%であった。
図10〜12は、それぞれ例示化合物No.1の1H−NMRスペクトルチャート図、通常の13C−NMRスペクトルチャート図およびDEPT−135の13C−NMRスペクトルチャート図である。
製造例1において、一般式(4)および(5)で示されるアミン化合物、一般式(6)で示されるジハロゲン化合物として表2に示す各原料化合物を用いて全く同様の操作を行ない、例示化合物No.3、7、13、21、28、37、49、52および56をそれぞれ製造した。なお、表2には、例示化合物No.1の原料化合物も併せて示す。
特開平5−158258号公報に記載の合成例に従い、記載の例示化合物(No.10)である下記化学構造式(7)で表されるジアミン化合物(以後、「比較製造例により合成したジアミン化合物」と称す)6.2gを得た。
<比較製造例により合成したジアミン化合物の元素分析値>
理論値 C:85.67%、H:7.67%、N:6.66%
実測値 C:84.21%、H:6.38%、N:5.87%
また、得られた比較製造例により合成したジアミン化合物をLC−MSで分析した結果、目的とする上記化学構造式で表される化合物(分子量の計算値:420.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが421.5に観測された。
元素分析およびLC−MSの分析結果から、得られた化合物が、特開平5−158258号公報に記載の例示化合物(No.10)のジアミン化合物であることがわかった。また、LC−MS測定時のHPLCの分析結果から、得られたジアミン化合物の純度は96.3%であった。
合成原料として、製造例1で用いた、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル3.03g(1.0当量)とジベンジルアミン5.0g(2.1当量)を用いた以外は特開平5−158258号公報の合成例に従い、本発明の例示化合物No.1で示されるジアミン化合物(以降、「比較製造例により合成した本発明の例示化合物No.1で示されるジアミン化合物」)を白色粉末状化合物として5.84gを得た。
1H−NMRスペクトル(通常)、13C−NMRスペクトル(通常、DPET−135)は製造例1で得られた物と同一であった。
以下のようにして、製造例1で製造した本発明によるジアミン化合物である例示化合物No.1を電荷輸送層に含有させた感光体を作製した。導電性支持体には、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(略称PET)フィルムの表面にアルミニウムを蒸着したもの(以後、「アルミニウム蒸着PETフィルム」と称す)を用いた。
本発明によるジアミン化合物である例示化合物No.1に代えて例示化合物No.3、7および13を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
電荷輸送物質として下記構造式(9)で示される化合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
電荷輸送物質として下記構造式(10)で示される化合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
例示化合物No.1のジアミン化合物0.1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
例示化合物No.1のジアミン化合物20重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型感光体を作製した。
本発明によるジアミン化合物を用いないこと以外は実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した。
本発明によるジアミン化合物を用いないこと以外は実施例5と同様にして、積層型感光体を作製した。
本発明によるジアミン化合物を用いないこと以外は実施例6と同様にして、積層型感光体を作製した。
本発明によるジアミン化合物の代りにヒドロキシエチルジベンジルアミン(特開平3−172852号公報記載化合物)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した。
本発明によるジアミン化合物の代りに比較製造例(製造例11)により合成したジアミン化合物(特開平5−158258号公報に記載の化合物)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した。
(比較例6)
比較製造例(製造例12)により合成した本発明によるジアミン化合物である例示化合物No.1を用いて実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した。
〔評価装置による評価〕
実施例1〜8および比較例1〜6の各評価装置評価用感光体(電荷輸送層の層厚:15μm)を試験用複写機にそれぞれ搭載し、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境下において、帯電直後の感光体の表面電位V1(V)および帯電から3秒間経過後の感光体の表面電位V2(V)を測定した。試験用複写機には、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販の複写機(商品名:AR−F330、シャープ株式会社製)の内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(商品名:CATE751、ジェンテック社製)を設けたものを用いた。測定された帯電直後の表面電位V1(V)および帯電から3秒間経過後の表面電位V2(V)を下記式(I)に代入し、電荷保持率DD(%)を算出し、これを初期電荷保持率DD0とした。
オゾン曝露前の電荷保持率すなわち初期電荷保持率DD0からオゾン曝露後の電荷保持率DD02を差引いた値を、電荷保持率変化量ΔDD(=DD0−DD02)として求め、耐オゾンガス性の評価指標とした。
実施例1〜8および比較例1〜6の各実機評価用感光体(電荷輸送層の層厚:28μm)を、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販の複写機(商品名:AR−F330、シャープ株式会社製)にそれぞれ搭載し、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N)環境下において、所定のパターンのテスト画像を記録用紙5万枚に実写させた。5万枚の実写が終了した時点から1時間複写機の動作を停止させた後、記録用紙にハーフトーン画像を複写させ、これを第1評価用画像とした。次いで、再び温度25℃、相対湿度50%のN/N環境下において所定のパターンのテスト画像を記録用紙5万枚に実写させ、5万枚の実写が終了した時点から1時間複写機の動作を停止させた後、記録用紙にハーフトーン画像を複写させ、これを第2評価用画像とした。
○:良(第1評価用画像および第2評価用画像のいずれか一方または両方に若干の画像欠陥が発生しているけれども、無視できる程度である)
△:可(第1評価用画像および第2評価用画像のいずれか一方または両方に若干の画像欠陥が発生しているけれども、実使用上問題がない程度である)
×:不可(第1評価用画像および第2評価用画像のいずれか一方または両方に多数の画像欠陥が発生し、実使用不可)
◎:優良(ΔDDが3.0%未満かつ画質が優(◎))
○:良好(ΔDDが3.0%以上7.0%未満かつ画質が優(◎)、またはΔDDが7.0%未満かつ画質が良(○))
△:実使用上問題なし(ΔDDが7.0%未満かつ画質が可(△))
×:不良(ΔDDが7.0%以上、または画質が不可(×))
実施例1〜8および比較例1〜6の各実機評価用感光体(電荷輸送層の層厚:28μm)を試験用複写機にそれぞれ搭載し、温度5℃、相対湿度20%の低温/低湿(L/L:Low Temperature/Low Humidity)環境下および温度35℃、相対湿度85%の高温/高湿(H/H:High Temperature/High Humidity)環境下のそれぞれの環境下において、以下のようにして電気特性の安定性を評価した。試験用複写機には、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販の複写機(商品名:AR−F330、シャープ株式会社製)の内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(商品名:CATE751、ジェンテック社製)を設けたものを用いた。なお、複写機AR−F330は、感光体表面を負に帯電して電子写真プロセスを行なう負帯電型の画像形成装置である。
次いで、所定のパターンのテスト画像を記録用紙30万枚に連続して複写させた後、初期と同様にして帯電電位V0および残留電位Vrを測定し、これらを繰返し使用後の帯電電位V02および繰返し使用後の残留電位Vr2とした。初期の帯電電位V01と繰返し使用後の帯電電位V02との差の絶対値を、帯電電位変化量ΔV0(=|V01−V02|)として求めた。また初期の残留電位Vr1と繰返し使用後の残留電位Vr2との差の絶対値を、残留電位変化量ΔVr(=|Vr1−Vr2|)として求めた。帯電電位変化量ΔV0および残留電位変化量ΔVrを評価指標として、電気特性の安定性を評価した。
◎:優良(ΔV0が35V以下かつΔVrが55V以下)
○:良好(ΔV0が35V以下かつΔVrが55Vを超え80V以下、またはΔV0が35Vを超え75V以下かつΔVrが55V以下)
△:実使用上問題なし。ΔV0が35Vを超え75V以下かつΔVrが55Vを超え80V以下)
×:不良(ΔV0が75Vを超える、またはΔVrが80Vを超える)
◎:優良(ΔV0が15V以下かつΔVrが105V以下)
○:良好(ΔV0が15V以下かつΔVrが105Vを超え125V以下、またはΔV0が15Vを超え30V以下かつΔVrが105V以下)
△:実使用上問題なし(ΔV0が15Vを超え30V以下かつΔVrが105Vを超え125V以下)
×:不良(ΔV0が30Vを超える、またはΔVrが125Vを超える)
◎:優良(L/L環境下およびH/H環境下がいずれも優良(◎))
○:良好(L/L環境下およびH/H環境下のいずれかが良好(○)かつ他方が優良(◎)または良好(○))
△:実使用上問題なし(L/L環境下およびH/H環境下のいずれかが実使用上問題なし(△)かつ他方が不良(×)でない)
×:不良)L/L環境下およびH/H環境下のいずれか一方または両方が不良(×))
耐オゾンガス性の評価結果と電気特性の安定性の総合評価結果とを合わせて、感光体性能の総合判定を行なった。総合判定の判定基準は以下のようである)
◎:優良(耐オゾンガス性および電気特性の安定性がいずれも優良(◎))
○:良好(耐オゾンガス性および電気特性の安定性のいずれかが良好(○)かつ他方が優良(◎)または良好(○))
△:実使用上問題なし(耐オゾンガス性および電気特性の安定性のいずれかが実使用上問題なし(△)かつ他方が不良(×)でない)
×:不良(耐オゾンガス性および電気特性の安定性のいずれか一方または両方が不良(×))
以上の評価結果を表4に示す。
また、異なる骨格を有する電荷輸送物質に対しても、一様な性能を示し、各種電荷輸送物質に対しての適用範囲が広いこともわかる。
実施例1と比較例4および5との比較から、本発明と同様な目的で提案されている公知のアミン系あるいはジアミン系材料は、画質にまで及んで評価を実施した場合に効果の違いが明白に現れており、本発明のジアミン系化合物を用いた実施例1の感光体の方が優れていることがわかる。
なお、実施例1と比較例6比較から、同じジアミン化合物であっても製造方法が異なることによる特性面での違いが繰り返しの電気特性面に顕著に現れている。
以上のように、一般式(1)で表される本発明のジアミン化合物を感光体に含有させることによって、帯電性および応答性などの電気特性に優れるとともに、耐オゾンガス性に優れ、繰返し使用されても前述の良好な電気特性が低下しない特性安定性に優れる感光体を得ることができた。
2 単層型感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 表面保護層
6 中間層
7 積層型感光層
11〜18、21 感光体
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a 帯電ローラ
24b バイアス電源
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写器
27 クリーナ
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ
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