JP4264440B2 - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、非対称ビスヒドロキシ化合物および該化合物を用いた電子写真感光体、ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置と称する)は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
電子写真装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像が形成される。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を帯電させた後、露光して静電潜像を形成する。形成された静電潜像を現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を記録紙などの転写材上に転写して定着させて、転写材に所望の画像が形成される。
近年、電子写真技術は、複写機の分野に限らず、従来では銀塩写真技術が使われていた印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィルムなどの分野においても利用されており、レーザ、発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称LED)、陰極線管(Cathode Ray Tube;略称CRT)などを光源とする高速プリンタにも応用されている。電子写真技術の応用範囲の拡大に伴い、電子写真感光体に対する要求は、高度で幅広いものになりつつある。
電子写真感光体としては、従来から、セレン、酸化亜鉛または硫化カドミウムなどの無機光導電性材料を主成分とする感光層を備える無機感光体が広く用いられている。
無機感光体は、感光体としての基礎特性をある程度は備えているけれども、感光層の成膜が困難で、可塑性が悪く、製造原価が高いなどの欠点を有する。その上、無機光導電性材料は一般に毒性が強く、製造上および取扱い上、大きな制約がある。
このように無機光導電性材料およびそれを用いた無機感光体には多くの欠点があることから、有機光導電性材料の研究開発が進んでいる。
有機光導電性材料は、近年、幅広く研究開発され、電子写真感光体などの静電記録素子に利用されるだけでなく、センサ素子、有機エレクトロルミネセント(Electro Luminescent;略称EL)素子などに応用され始めている。
有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に電子写真感光体の主力として開発されてきている。
有機感光体は、初期には感度および耐久性に欠点を有していたが、これらの欠点は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型電子写真感光体の開発によって著しく改善されている。さらに、この機能分離型感光体は、有機感光体の有する前記の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
機能分離型感光体には積層型と単層型とがあり、単層型では、バインダ樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂中に、電荷発生機能を担う電荷発生物質と電荷輸送機能を担う電荷輸送物質とが共分散されて成る単層型の感光層が設けられる。
一方、積層型の機能分離型感光体では、電荷発生物質がバインダ樹脂に分散されて成る電荷発生層と電荷輸送物質がバインダ樹脂に分散されて成る電荷輸送層とが積層された積層型の感光層が設けられる。
機能分離型感光体に用いられる電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料、ピリリウム塩系色素などの多種の物質が検討され、耐光性が強く電荷発生能力の高い種々の材料が提案されている。
また、電荷輸送物質としては、ピラゾリン化合物(例えば、特許文献1参照)、ヒドラゾン化合物(例えば、特許文献2〜4参照)、トリフェニルアミン化合物(例えば、特許文献5および6参照)、スチルベン化合物(例えば、特許文献7および8参照)などの種々の化合物が知られている。
最近では、縮合多環式炭化水素系をその中心母核に持つ化合物、たとえばピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ターフェニル誘導体(例えば、特許文献9参照)なども開発されている。
電荷輸送物質には、
(1)光および熱に対して安定であること、
(2)感光体の表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、窒素酸化物(一般式:NOx)および硝酸などの活性物質に対して安定であること、
(3)電荷輸送能力に優れていること、
(4)有機溶剤およびバインダ樹脂との相溶性に優れていること、
(5)製造が容易で安価であること
などが要求されている。
しかしながら、前記の電荷輸送物質は、これらの要求の一部は満足するけれども、すべてを高いレベルで満足するには至っていない。
また、感光体の特性としては、低温環境下で使用される場合でも良好な感度を有し、周囲の環境、たとえば温度および湿度などの変化による特性の変化が小さく、環境安定性に優れることも求められるが、このような特性を実現し得る電荷輸送物質も未だに得られていない。
一方、最近では、上記の要求の中でも、特に、電荷輸送物質が電荷輸送能力に優れていることが求められている。
たとえば、複写機およびプリンタなどの電子写真装置に対する小型化および画像形成速度の高速化に伴い、感光体特性として高感度化が要求されており、感光体の高感度化を実現する手段として、電荷輸送物質の電荷輸送能力の向上が求められている。
また高速の電子写真プロセスでは、露光から現像までの時間が短いので、光応答性の良い感光体が求められている。しかしながら、感光体の光応答性が悪いと、露光による感光層の表面電位の減衰速度が遅くなり、残留電位が上昇し、表面電位が充分に減衰していない状態で繰返し使用されることになる。このため、消去されるべき部分の表面電荷が露光によって充分に消去されず、画像濃度の低下などの問題が早期に生じる。
一方、機能分離型感光体では、光吸収によって電荷発生物質の発生した電荷を電荷輸送物質が感光層表面に輸送することによって、光の照射された部分の感光層の表面電荷が消去されるので、光応答性は電荷輸送物質の電荷輸送能力に依存する。したがって、充分な光応答性を有し、高速の電子写真プロセスにおいても高品質の画像を形成することのできる感光体を実現するという観点からも、電荷輸送物質には優れた電荷輸送能力が求められる。
また、電子写真装置には高耐久化も求められている。これを実現するためには、電子写真感光体が耐久性に優れ、長期間安定して動作し得ることが必要となる。
したがって、感光体の耐久性には、感光体の最外層の耐刷性が大きく影響する。
通常、感光体が電子写真装置に搭載されて使用される際、感光体の最外層は、クリーニングブレード、帯電ローラなどの接触部材によって摺擦され、その一部が削り取られることを余儀なくされる。摺擦による感光体の最外層の削り取られた量、すなわち膜減り量が多いと、感光体の帯電保持能が低下し、画質が低下するという問題が生じる。このため、感光体の最外層には、上記の接触部材によって削り取られにくいこと、すなわち耐刷性に優れることが求められる。
電荷輸送層が最外層となる感光体において、最外層の耐刷性を向上させる方法としては、電荷輸送層に含有されるバインダ樹脂の含有率を高くすることが考えられる。
しかしながら、バインダ樹脂の含有率を高くすると、相対的に電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有率が低下するので、電荷輸送層の電荷輸送能力が低下し、光応答性が低下するという問題が生じる。
また、電荷輸送物質とバインダ樹脂との相溶性が悪い場合には、成膜時に電荷輸送物質が結晶化し、均一な電荷輸送層が得られず、画像欠陥を引起すという問題もある。
このため、応答性などの電気特性と耐久性とが両立された感光体を実現することは困難である。
電子写真感光体における前記のような問題を解決するために、バインダ樹脂に電荷輸送機能を付与し、電荷輸送材料の添加量を減らそうとする試みがなされ、電荷輸送機能を有する構成単位を含むバインダ樹脂、いわゆる高分子光導電性材料の開発が進められている。
その具体例としては、主鎖または側鎖にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂(例えば、特許文献10〜15参照)、主鎖にトリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂(例えば、特許文献16参照)などが挙げられる。
これらの樹脂は、トリアリールアミン構造とヒドロキシル基とを有する化合物(たとえば、特許文献17〜20)をモノマーとして、これらのモノマーを単独重合または共重合させることによって合成される。
しかしながら、特許文献17〜20などに開示のトリアリールアミン系化合物は、電荷輸送能が充分でなく、これらを重合させて得られる特許文献11〜16などに開示のトリフェニルアミン構造を有する樹脂も、電荷輸送能および機械的強度などの点で充分に満足できる水準にはない。
このような高分子光導電性材料の問題を解決するために、高分子材料の原料化合物として有用であり、かつそれ自体でも電荷輸送物質として有用な化合物として、エナミン構造と2個のヒドロキシル基とを有するビスヒドロキシ置換エナミン化合物(以後、ビスヒドロキシエナミン化合物とも称する)が提案されている(特許文献21参照)。
また、感光体の高耐久化を実現するための別の手段としては、感光層を樹脂などで形成される表面保護層で被覆することが行なわれている。表面保護層が設けられた感光体では、表面保護層が感光体の最外層となるので、表面保護層には、電荷輸送能力に優れ、かつ耐磨耗性に優れることが求められる。このような要求を満足する表面保護層として、電荷輸送機能を有する構造単位を有するシロキサン系樹脂からなる表面保護層が提案されている(特許文献22参照)。
特公昭52−4188号公報 特開昭54−150128号公報 特公昭55−42380号公報 特開昭55−52063号公報 特公昭58−32372号公報 特開平2−190862号公報 特開昭54−151955号公報
特開昭58−198043号公報 特開平7−48324号公報 特開2004−334125号公報 特開平3−221522号公報 特開平4−11627号公報 特開平6−295077号公報 特開平7−258399号公報
特開平8−62864号公報 特開平8−176293号公報 特開平7−228557号公報 特開平9−194442号公報 特開2000−136169号公報 特開2002−249472号公報 特開2004−269377号公報 特開2000−242019号公報
特許文献21に記載のビスヒドロキシエナミン化合物は、エナミン骨格に含まれる窒素原子が同一の置換基を有しており、分子構造の対称性が高く、結晶性が良いので、溶媒への溶解性およびバインダ樹脂との相溶性に乏しいという問題がある。このため、たとえば電荷輸送層の電荷輸送物質として当該化合物を用いると、層を形成するための塗布液中に一部が溶解せずに残り、この不溶分が結晶状態で電荷輸送層に存在し、画像欠陥を引起すなどの弊害が生じる。
また、特許文献21に開示の化合物を製造する際に用いられる原料化合物および製造過程で生じる中間生成物も結晶性が高く、溶媒への溶解性が悪いので、反応が円滑に進行し難いという問題もある。また、特許文献21に開示の化合物を原料化合物に用いて高分子材料を製造する際にも、溶解性の悪さから、反応性が悪くなるという問題が生じる。また、エナミン構造構築のためには高価な原料を用いなければならず生産面でも好ましくない。
一方、特許文献22に記載の表面保護層は、電荷輸送能力が充分でなく、現在のところ、電荷輸送能力および機械的強度のいずれにも優れる表面保護層は実現されていない。
また、特許文献22に開示の感光体では、電荷輸送層中の電荷輸送物質と、表面保護層を構成するシロキサン系樹脂の電荷輸送機能を有する構造単位との不適合によって、表面保護層と電荷輸送層との界面に電位障壁が形成され、電荷の注入が不充分になり、感度および光応答性が低下するという問題も生じる。
したがって、本発明は、電荷輸送能力に優れるとともに、溶媒への溶解性および樹脂との相溶性に優れ、成膜時に部分的な結晶化などを生じずに、電気特性および耐久性のいずれにも優れる電子写真感光体を、より安価で提供し、かつ種々の機能性材料の原料化合物としても有用な有機光導電性材料、ならびに該有機光導電性材料を用いた電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意努力研究を重ねた結果、以外にも、非対称ビスヒドロキシ化合物が、電荷輸送能に優れ、かつ溶媒への溶解性および樹脂との相容性に優れていることを見出し、さらに、電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置に、有機光導電性材料として、極めて有用であることを見出したことにより、本発明を完成するに至った。
しかるに、本発明によれば、一般式(1):
Figure 0004264440
(式中、Ar1は任意に置換基を有してもよいアリール基または複素環基であり、Ar2およびAr3は互いに異なって、任意に置換基を有してもよいアリレン基または2価の複素環基であり、Ar4は任意に置換基を有してもよいアリレン基または2価の複素環基であり、Ar5は水素原子、もしくは任意に置換基を有してもよいアリール基、アラルキル基またはアルキル基であり、R1およびR1'は、水素原子または任意に置換基を有してもよいアルキル基であり、R2およびR2'ならびにR3およびR3'は、水素原子もしくは任意に置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素環基またはアラルキル基であるが、但し、R1とR1'、R2とR2'およびR3とR3'はそれぞれ、同一または異なった基であってもよく、nは、0〜2の整数である)
で示される非対称ビスヒドロキシ化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)と称す)を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式(1)においてAr2またはAr3のいずれか一方がフェニレン基であり、他方がナフチレン基であり、R1とR1'、R2とR2'およびR3とR3'がともに水素であり、次の一般式(2):
Figure 0004264440
(式中、Ar1、Ar4、Ar5およびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である)
で示される非対称ビスヒドロキシ化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(2)と称す)である電子写真感光体が提供される。
具体的には、本発明によれば、前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式(1)においてAr2またはAr3のいずれか一方がフェニレン基であり、他方がナフチレン基であり、Ar4が任意に置換基を有していてもよいフェニレン基であり、Ar5が水素であり、R1とR1'、R2とR2'およびR3とR3'がともに水素であり、次の一般式(3):
Figure 0004264440
(式中、Ar1およびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義であり、aは水素原子もしくは任意に置換基を有してもよいアルキル基またはジアルキルアミノ基またはアリール基であるが、但し、該aが式中に複数個存在する場合は、互いに独立して同一または異なってもよく、mは、1〜4の整数を示す)
で示される非対称ビスヒドロキシ化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(3)と称す)である電子写真感光体が提供される。
より具体的には、本発明によれば、前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式(1)においてAr2またはAr3のいずれか一方がフェニレン基であり、他方がナフチレン基であり、Ar4がフェニレン基であり、Ar5が水素であり、R1とR1'、R2とR2'およびR3とR3'がともに水素であり、次の一般式(4):
Figure 0004264440
(式中、Ar1およびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である)
で示される非対称ビスヒドロキシ化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(4)と称す)である電子写真感光体が提供される。
さらに具体的には、本発明によれば、前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式(1)においてAr2またはAr3のいずれか一方がフェニレン基であり、他方がナフチレン基であり、Ar4がフェニレン基であり、Ar5が水素であり、R1とR1'がともに水素であり、nが0であり、次の一般式(5):
Figure 0004264440
(式中、Ar1は、前記一般式(1)において定義したものと同義である)
で示される非対称ビスヒドロキシ化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(5)と称す)である電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、導電性支持体上に、感光層と表面保護層がこの順で積層されてなり、該感光層および表面保護層の少なくともいずれか一つが、前記非対称ビスヒドロキシ化合物(1)〜(5)のいずれかを単独か、またはそれらの混合物として含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記の非対称ビスヒドロキシ化合物(1)〜(5)のいずれかを単独か、またはそれらの混合物として含有する電荷輸送層との積層構造からなることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
さらに、本発明によれば、前記電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光する露光手段と、
露光によって形成された静電潜像を現像する現像手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記画像形成装置が、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段として、接触帯電方式を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物はいずれも、良好な電荷輸送機能、特にホール輸送機能を有するだけでなく、溶媒への溶解性および樹脂との相溶性にも優れるので、有機光導電性材料として有用であり、電子写真感光体などの静電記録素子、センサ素子またはEL素子などのデバイスの電荷輸送物質として好適である。
したがって、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を、例えば、電子写真感光体の感光層または表面保護層に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性などの電気特性が良好で、かつ耐久性および環境安定性にも優れる電子写真感光体の提供が可能となる。
また、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、いずれも溶媒への溶解性およびバインダ樹脂との相溶性に優れているので、感光層または表面保護層においても結晶化せず、均一な状態で分散される。
したがって、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を含有する電子写真感光体を用いることによって、種々の環境下において、黒点などの画像欠陥のない高品質の画像を安定的に形成することができる。
また、本発明による電子写真感光体は、高速の電子写真プロセスに用いられた場合であっても、その優れた光応答性により、高品質の画像を提供することができる。
さらに、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、高分子材料、たとえばポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの原料化合物としても有用であり、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物をモノマーとして用いることによって、優れた電荷輸送機能を有する高分子光導電性材料を容易に得ることができる。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物において、化学物質としての分解または変質などの化学的安定性、原料入手の容易性、製造の容易性および収率の高さならびに製造コストなどを考慮すると、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)の中でも非対称ビスヒドロキシ化合物(2)が好ましく、非対称ビスヒドロキシ化合物(3)がさらに好ましく、非対称ビスヒドロキシ化合物(4)がより好ましく、非対称ビスヒドロキシ化合物(5)が特に好ましい。
また本発明によれば、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を感光層に含有する電子写真感光体が提供される。該電子写真感光体は、感度、応答性などの電気特性および耐久性に優れるとともに、感光層中に画像欠陥の原因となる結晶化部分を有しない。このような電子写真感光体を用いることによって、黒点などの画像欠陥のない高品質の画像を安定的に形成することができる。
また本発明によれば、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を表面保護層に含有する電子写真感光体が提供される。該表面保護層中において、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、結晶化せず、均一な状態で分散されているので、電荷輸送機能を充分に発揮することができる。
よって、本発明による電子写真感光体は、機械的強度に優れるだけでなく、感度および応答性などの電気特性にも優れる。このような電子写真感光体を用いることによって、長期間にわたって繰返し使用されても、黒点などの画像欠陥のない高品質の画像を形成することができる。
また、本発明によれば、前記電子写真感光体を備える画像形成装置が提供される。
すなわち、本発明による電子写真感光体は、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を感光層または表面保護層に含有するので、帯電性、感度および光応答性などの電気特性および耐久性に優れる。また、本発明による電子写真感光体の感光層または表面保護層には、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物が結晶化せずに、均一に分散されている。
したがって、本発明による画像形成装置では、種々の環境下において、黒点などの画像欠陥のない高品質の画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
また、本発明による電子写真感光体は光応答性に優れ、高速の電子写真プロセスにおいても高品質の画像を提供することができるので、本発明による画像形成装置では画像形成速度の高速化が可能である。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物において、化学物質としての分解または変質などの化学的安定性、原料入手の容易性、製造の容易性および収率の高さならびに製造コストなどを考慮すると、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)の中でも非対称ビスヒドロキシ化合物(2)が好ましく、非対称ビスヒドロキシ化合物(3)がさらに好ましく、非対称ビスヒドロキシ化合物(4)がより好ましく、非対称ビスヒドロキシ化合物(5)が特に好ましい。
一般式(1)〜(5)においてAr1で示されている任意に置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルなどの、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されているアリール基が挙げられる。これらの中でも、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルなどが好ましい。
また、一般式(1)〜(5)においてAr1で示されている任意に置換基を有してもよい複素環基としては、チエニルまたはベンゾチアゾリルなどの、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を有する複素環基が挙げられる。
一般式(1)においてAr2およびAr3で示され、かつ一般式(1)および(2)においてAr4で示される、任意に置換基を有してもよいアリレン基としては、p−フェニレン、m−フェニレン、メチル−p−フェニレン、メトキシ−p−フェニレン、1,4−ナフチレン、ベンゾオキサゾレン、ビフェニリレンなどの、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選択される置換基を有し得るアリレン基が挙げられる。これらの中でも、p−フェニレン、m−フェニレン、メチル−p−フェニレン、メトキシ−p−フェニレン、1,4−ナフチレンなどが好ましく、p−フェニレン、1,4−ナフチレンなどが特に好ましい。
また、一般式(1)においてAr2およびAr3で示され、かつ一般式(1)および(2)においてAr4で示される、任意に置換基を有してもよい2価複素環基としては、1,4−フランジイル、1,4−チオフェンジイル、2,5−ベンゾフランジイル、2,5−ベンゾオキサゾールジイルおよびN−エチルカルバゾール−3,6−ジイル基などが挙げられる。
なお、前記一般式(1)において、Ar2およびAr3のいずれか一方がp−フェニレン基であり、他方が1,4−ナフチレン基である場合、すなわち一般式(2)の場合が、原材料が安価であり、また合成が容易であることから、特に好ましい。
さらに、原材料のコスト、入手の容易性、合成の容易および合成の収率の観点から、Ar4がフェニレン基である場合、すなわち一般式(3)の場合がより好ましく、さらにAr4がp−フェニレン基である場合、すなわち一般式(4)および(5)の場合がさらに好ましい。
一般式(1)および(2)において、Ar5で示される、任意に置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル、トリルなどの、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる置換基を有し得るアリール基が挙げられる。
これらの中でも、フェニルおよびメトキシフェニルなどが好ましい。
また、同様に、Ar5で示される、任意に置換基を有してもよいアラルキル基としてはベンジルなどのアラルキル基が挙げられる。
さらに、同様に、Ar5で示される、任意に置換基を有してもよいアルキル基としては、チエニル基を有し得る、メチルなどのアルキル基が挙げられる。
一般式(1)において、R1、R2およびR3で示される、任意に置換基を有してもよいアルキル基としては、チエニル基を有し得るメチル、エチル、イソプロピルおよびn−ブチルなどの炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
また、同様に、任意に置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる置換基を有し得るフェニルなどのアリール基が挙げられる。
また、同様に、任意に置換基を有してもよい複素環基としては、置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有し得るチエニルが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジルなどのアラルキル基が挙げられる。
一般式(3)において、aで示される置換基を有してもよいアルキル基としては、上記R1、R2およびR3でアルキル基として挙げられた直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
同様に、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノなどのジアルキルアミノ基が挙げられる。
前記の非対称ビスヒドロキシ化合物(1)は、たとえば、下記反応スキームに示す方法により、非対称ビスヒドロキシエーテル化合物(9a)または(9b)中間体を製造し、次いでこれら中間体の式中、R5で示される保護基を脱保護することによって製造できる。
Figure 0004264440
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、R1、R2、R3、R1'、R2'、R3'およびnは上記で定義したとおりであり、R4およびR5はアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を示し、同一分子中の2個のR4またはR5は互いに独立して同一または異なってもよい。)
上記の反応スキームにおいて、R4およびR5で示されるアルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、2−チエニルメチルなどの、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチルおよびエチルなどが好ましい。
また、上記の置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる置換基を有し得るフェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどの、アリール基が挙げられる。
上記の反応スキームにおける各反応は、たとえば、次のようにして実施できる。
一般式(6)で表されるアミン中間体のビスホルミル化は、たとえば、当業者に周知のビルスマイヤー反応に従って実施できる。具体的には、アミン中間体(6)とビルスマイヤー試薬とを撹拌下に加熱した後、加水分解を行うことによって実施される。
ビルスマイヤー試薬としては周知のものを使用でき、たとえば、適当な溶媒中にてオキシ塩化リンとホルムアミド類の1種または2種以上とを反応させて調製し得るビルスマイヤー試薬が挙げられる。
ビルスマイヤー試薬調製用のホルムアミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド等の他に、N−メチル−N−フェニルホルムアミド、N,N−ジフェニルホルムアミドなどが挙げられる。
上記の溶媒としては、たとえば、1,2−ジクロロエタンなどが挙げられるが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジエチルホルムアミドなどのビルスマイヤー試薬調製用のホルムアミド類を、溶媒を兼ねて使用してもよい。
アミン中間体(6)とビルスマイヤー試薬との使用割合は特に制限されるものではないが、反応の効率性などを考慮すると、アミン中間体(6)1当量に対して、ビルスマイヤー試薬を2.0〜2.3当量程度用いるのが好ましい。
この反応は、たとえば、撹拌下に、60〜110℃で、2〜8時間加熱して行われる。
反応終了後、反応混合物にアルカリを加えて加水分解して、一般式(7)で表されるビスカルボニル中間体(以後、ビスカルボニル中間体(7)と称する)のうち、2つのR1が水素原子である化合物(以後、ビスカルボニル中間体(7a)と称する)が、析出物として得られる。
上記のアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの一般的なアルカリ剤を使用できる。また、このアルカリ剤は1〜8N程度の水溶液の形態で使用される。
また、アミン中間体(6)のビスアシル化は、たとえば、当業者に周知のフリーデル−クラフツ反応に従って実施できる。具体的には、適当な溶媒中にてアミン中間体(6)とフリーデル−クラフツ反応試薬とを反応させ、さらに反応生成物を加水分解することによって実施される。
この反応使用される溶媒としては、不活性でかつアミン中間体(6)およびフリーデル−クラフツ反応試薬を溶解または分散できるものであれば特に制限なく使用でき、例えば1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。フリーデル−クラフツ反応試薬としては、たとえば、以下の、一般式
X−CO−R1
(式中、R1は上記で定義したとおりであり、Xはハロゲン原子である)
で表されるハロゲン化アシル化合物(以後、ハロゲン化アシル化合物と称する)とルイス酸とを反応させて得られるものが挙げられる。
上記のルイス酸としては、たとえば、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化鉄、塩化スズおよび塩化亜鉛などが挙げられる。ルイス酸の使用量は特に制限されないが、反応の効率性などを考慮すると、たとえばアミン中間体(6)1当量に対し、ハロゲン化アシル化合物を2.0〜2.3当量、ルイス酸を2.2〜3.8当量程度使用できる。
上記の反応は、たとえば、−40〜80℃の温度で、2〜8時間撹拌下に行われる。
反応終了後は、上記のビスカルボニル中間体(7a)の場合と同様に、アルカリ加水分解して、ビスカルボニル中間体(7)のうち、2つのR1が水素原子以外の基である化合物(以後、ビスカルボニル中間体(7b)と称する)が得られる。
さらに、ビスカルボニル中間体(7)をウィッティッヒ−ホルナー(Wittig−Horner)反応に付し、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)の前駆体としてエーテル化合物である、一般式(9a)または(9b)で表されるエーテル化合物(以後、エーテル化合物(9a)または(9b)と称する)が得られる。
上記のウィッティッヒ試薬としては、一般式(8a)または(8b)で表される化合物(以後、ウィッティッヒ試薬(8a)または(8b)と称する)が挙げられる。
なお、ウィッティッヒ試薬(8a)および(8b)において、Ar4で示される置換基が有する水酸基が、置換基R5で保護されている。
ビスカルボニル中間体(7)とウィッティッヒ試薬(8a)とを反応させることにより、エーテル化合物(8a)が得られ、さらに保護R5基を脱保護することによって、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)においてn=0である化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(1a)と称する)が得られる。
また、ビスカルボニル中間体(7)とウィッティッヒ試薬(8b)とを反応させることにより、エーテル化合物(9b)が得られ、さらに保護基R5を脱保護することによって、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)においてn=1または2である化合物(以後、非対称ビスヒドロキシ化合物(1b)と称する)が得られる。
ビスカルボニル中間体(7)に対するウィッティッヒ−ホルナー反応は当業者に周知の方法に従って実施できる。
すなわち、適当な溶媒中にて、金属アルコキシドなどの塩基性触媒の存在下に、ビスカルボニル中間体(7)とウィッティッヒ試薬(8a)または(8b)とを反応させることにより目的物質を得ることができる。
上記の溶媒としては、反応に不活性でかつ反応基質および触媒を溶解または分散できるものであれば特に制限なく使用でき、たとえば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられ、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。
また、溶媒の使用量は特に制限されず、反応基質の使用量、反応温度、反応時間などの反応条件に応じて、反応が円滑に進行する量を適宜選択できる。
上記の金属アルコキシド塩基性触媒としては、たとえばカリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウムメトキサイドなどのアルカリ金属アルコキシド塩基などの公知のものを使用できる。金属アルコキシド塩基は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
反応基質および触媒の使用量は特に制限されず、反応条件などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、反応の円滑な進行などを考慮すると、例えばビスカルボニル中間体(7)1当量に対して、ウィッティッヒ試薬(8a)または(8b)を2.0〜2.3当量程度、および触媒を2.0〜2.5当量程度用いることができる。
この反応は、たとえば、室温下または30〜60℃の加熱下に行われ、2〜8時間程度撹拌して行ない、常法に従って、エーテル化合物(9a)または(9b)を得ることができる。
エーテル化合物(9a)または(9b)の脱保護は、公知の方法に従って実施できる。
すなわち、エーテル化合物(9a)または(9b)と脱保護剤とを適当な溶媒中で反応させることにより実施できる。
上記の脱保護剤としては、例えば臭化水素、ヨウ化水素などのハロゲン化水素、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム、三臭化ホウ素、エタンチオールナトリウム塩などの公知のものを使用できる。
脱保護剤は、上記の化合物1種を単独で、または2種以上を併用して使用できる。
脱保護剤の使用量は特に制限されないが、反応を円滑に進行させること、反応終了後の目的化合物を容易に単離精製できることなどを考慮すると、エーテル化合物(9a)または(9b)1当量に対して、2.0〜3.0当量程度、さらに2.2〜2.6当量程度使用するのが好ましい。
上記の溶媒としては、反応に不活性でかつ反応基質を安定的に溶解または分散できるものであれば特に制限なく使用できるが、例えばベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミド類、無水酢酸、塩化メチレンなどが好適に使用される。
なお、上記の溶媒は、脱保護剤の種類に応じて適宜選択して使用できる。
たとえば、ハロゲン化水素を用いる場合は、無水酢酸が好ましく、ハロゲン化アルミニウムを用いる場合は、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類などが好ましい。
また、三臭化ホウ素を用いる場合は、塩化メチレンが好ましく、エタンチオールナトリウム塩を用いる場合は、ホルムアミド類が好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されず、反応基質および脱保護剤の種類、使用量、反応温度などの反応条件に応じて広い範囲から適宜選択できる。
この脱保護反応は、たとえば、冷却下または室温から溶媒還流下にて行われ、0.5〜24時間程度で終了する。なお、反応温度は脱保護反応が円滑に進行する温度を適宜選択すればよい。この反応により、非対称ビスヒドロキシ化合物(1)が得られる。
このようにして得られる本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、抽出、クロマトグラフィー、遠心分離、再結晶化、洗浄などの一般的な精製手段により、反応終了後の反応混合物中から容易に単離精製できる。
非対称ビスヒドロキシ化合物(1)の具体例としては、たとえば、下記表1に記載のものが挙げられる。
Figure 0004264440
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本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、電荷輸送能に優れ、かつ溶媒への溶解性および樹脂との相容性に優れているので有機光導電性材料として有用であり、電子写真感光体の感光層における電荷輸送物質または表面保護層における電荷輸送物質として特に有用である。
また、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、分子内に2個のヒドロキシル基を有するので、種々の高分子材料、特に2個のヒドロキシル基を有する化合物から誘導される高分子材料の原料化合物としても有用である。
たとえば、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などのモノマーとして用いることによって、優れた電荷輸送機能を有し、光導電性材料として有用な高分子光導電性材料を得ることができる。
ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの高分子材料は、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物の1種または2種以上をジオール類として用いる以外は、従来の各樹脂の製造方法と同様にして製造することができる。
たとえば、ポリカーボネート樹脂は、原料化合物として、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物の1種または2種以上と、カーボネート化合物の1種または2種以上とを用いる以外は、従来のポリカーボネート樹脂と同様に製造できる。
上記のカーボネート化合物としては、ポリカーボネート樹脂の製造に用いられるものを使用でき、例えばホスゲン、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(別名トリホスゲン)などのハロゲン化カルボニル化合物、ビスフェニルカーボネートなどのビスアリールカーボネート類、および例えば2個のヒドロキシル基を有するジヒドロキシ化合物から誘導されるビスクロロホルメートなどのようなビスハロゲン化ホルメート類などが挙げられる。
ビスハロゲン化ホルメート類の原料となるジヒドロキシ化合物としては、たとえば、4,4'−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、4,4'−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4'−シクロヘキシリデンビスフェノールおよび4,4−エチリデンビスフェノールなどが挙げられる。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との重合は、公知の方法に従って実施できる。たとえば、カーボネート化合物としてハロゲン化カルボニル化合物を用いる場合には、溶液重合法、界面重合法などによってポリカーボネート樹脂が得られる。
また、カーボネート化合物としてビスアリールカーボネート類を用いる場合には、エステル交換法によってポリカーボネート樹脂が得られる。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、溶媒への溶解性に優れるので、重合工程において使用される溶媒に対しても容易に溶解する。
したがって、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を原料化合物として用いることにより、重合反応を円滑に進行させることができ、前記のように光導電性材料として有用な高分子材料を容易に得ることができる。
図1〜図8は、本発明による他の実施形態である電子写真感光体(以後、単に「感光体」とも称する)の要部の構成を模式的に示す断面図である。
図1〜4に示す電子写真感光体11〜14は、感光層2が、一層からなる単層型感光層2であることを特徴とする単層型電子写真感光体である。
また、図5〜8に示す電子写真感光体15〜18は、感光層7が、電荷発生層3と電荷輸送層4とからなる積層型感光層(以後、「機能分離型感光層」とも称する)7であることを特徴とする積層型電子写真感光体(以後、「機能分離型電子写真感光体」とも称する)である。
図1に示す電子写真感光体11は、導電性支持体(電子写真感光体用素管)1と、導電性支持体1の表面に形成される感光層2とを含む。
図2に示す電子写真感光体12は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される感光層2と、感光層2の表面に形成される表面保護層5とを含む。
図3に示す電子写真感光体13は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される中間層6と、中間層6の表面に形成される感光層2とを含む。
図4に示す電子写真感光体14は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される中間層6と、中間層6の表面に形成される感光層2と、感光層2の表面に形成される表面保護層5とを含む。
図5に示す電子写真感光体15は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される電荷発生層3と、電荷発生層3の表面に形成される電荷輸送層4とを含む。
図6に示す電子写真感光体16は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される電荷発生層3と、電荷発生層3の表面に形成される電荷輸送層4と、電荷輸送層4の表面に形成される表面保護層5とを含む。
図7に示す電子写真感光体17は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される中間層6と、中間層6の表面に形成される電荷発生層3と、電荷発生層3の表面に形成される電荷輸送層4とを含む。
図8に示す電子写真感光体18は、導電性支持体1と、導電性支持体1の表面に形成される中間層6と、中間層6の表面に形成される電荷発生層3と、電荷発生層3の表面に形成される電荷輸送層4と、電荷輸送層4の表面に形成される表面保護層5とを含む。
図1〜8に示す電子写真感光体11〜18を構成する各層は、具体的には、次の通りである。
[導電性支持体]
導電性支持体1は、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料により構成される。また、これらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。
導電性支持体1の形状は、図1〜8に示す感光体11〜18ではシート状であるけれども、これに限定されることなく、円筒状、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
導電性支持体1の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。
乱反射処理は、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による電子写真感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、電子写真感光体の表面で反射されたレーザ光と電子写真感光体の内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。
しかしながら、導電性支持体1の表面に前記のような乱反射処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
[単層型感光層]
単層型感光層である感光層2は、電荷発生物質と本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物とバインダ樹脂とを含んで構成される。感光層2において、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、電荷輸送物質として機能する。感光層2は、必要に応じて、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質、酸化防止剤などの添加剤などを含有してもよい。
上記の電荷発生物質とは、光を吸収することにより電荷を発生する物質である。電荷発生物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アゾ系顔料(モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなど)、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。
上記の電荷発生物質1種を単独または2種以上を組合せて使用することもできる。
これらの電荷発生物質の中でも、X型無金属フタロシアニン、金属フタロシアニンが好ましく、オキソチタニウムフタロシアニンがさらに好ましい。
X型無金属フタロシアニンおよび金属フタロシアニン、特にオキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有するので、光を吸収することによって多量の電荷を発生するとともに、発生した電荷を分子内に蓄積することなく、感光層2または7に含有される電荷輸送物質である本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物に効率よく注入する。
したがって、光吸収によって電荷発生物質で発生する電荷は、電荷輸送物質として用いられる本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物に効率的に注入されて円滑に輸送されるので、高感度かつ高解像度の電子写真感光体を得ることができる。
電荷発生物質は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用されてもよい。
電荷輸送物質として用いられる本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物としては、前記の非対称ビスヒドロキシ化合物(1)から選ばれる1種または2種以上を使用できる。
たとえば、感光層2の電気特性をさらに向上させるために、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質を、用いることもできる。
そのような電荷輸送物質には、ホール輸送物質および電子輸送物質が包含される。
上記のホール輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセンなど)、ポリシランなどが挙げられる。
また、上記の電子輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタール酸誘導体、ジフェノキノン誘導体などの有機化合物、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することもできる。
前記のバインダ樹脂としては、結着性を有するものが用いられ、たとえば、感光層2の機械的強度、耐久性などを向上させる目的で使用される。
バインダ樹脂には、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物との相溶性に優れるものが好ましく用いられる。
そのような樹脂の具体例としては、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物などが挙げられる。
上記の樹脂の中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物との相溶性に特に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので、バインダ樹脂として好適に使用でき、ポリカーボネートは特に好適に使用できる。バインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することもできる。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物とバインダ樹脂との使用割合は特に制限されないが、表面保護層に用いる場合には、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物100重量部に対して、100重量部〜2000重量部のバインダ樹脂を用いるのが好ましい。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物100重量部に対するバインダ樹脂の使用量が100重量部未満であると、摩耗量が多く保護層としての役割が担えないことがある。
一方、該バインダ樹脂の使用量が2000重量部を超えると、電荷輸送物質に対するバインダ樹脂の相対量比が高くなり、感度が低下するなどの現象を呈することがある。
バインダ樹脂を電荷輸送層に用いる場合には、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物100重量部に対して、バインダ樹脂50重量部〜300重量部を使用するのが好ましい。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物100重量部に対するバインダ樹脂の使用量が50重量部未満であると、摩耗量が多くなり、一方、該バインダ樹脂の使用量が300重量部を超えると、感度が低下することが認められた。
酸化防止剤は、電子写真感光体の帯電時に発生するオゾン、NOxなどの活性物質の付着による表面層の劣化を軽減し、その上、電子写真感光体の繰返し使用時の耐久性を向上させ得る。さらに、以下に記載するように感光層形成用塗布液としての安定性を高め、液寿命を延長させるとともに、該塗布液で製造した電子写真感光体も、酸化性不純物が軽減されるので耐久性が向上する。
上記の酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール誘導体、ヒンダードアミン誘導体などが挙げられる。
酸化防止剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜10重量部である。酸化防止剤の使用量が0.1重量部未満では、後述する感光層形成用塗布液の安定性および電子写真感光体の耐久性を向上効果が不充分になり、また、10重量部を超えると、電子写真感光体の電気特性に悪影響を及ぼす。
感光層2は、電荷発生物質、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物およびバインダ樹脂、ならびに必要に応じて本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質、酸化防止剤などを適当な有機溶媒に溶解または分散して感光層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1または前記中間層6の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶媒を除去することによって形成できる。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、溶媒への溶解性およびバインダ樹脂との相溶性に優れるので、塗布液中に溶解するか、または均一に分散され、さらに感光層2を形成する過程においても結晶化しない。
したがって、本発明では、結晶化部分のない均質な感光層2を形成することができる。
上記の有機溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類、安息香酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤が挙げられ、これら溶媒のうち1種を単独で、または2種以上の混合溶媒として使用することもできるが、さらに、これら溶媒の1種または2種以上の混液に、アルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンを加えた混合溶媒を使用することもできる。
感光層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは5〜100μmであり、さらに10〜50μmが好ましくい。膜厚が5μm未満では、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがあり、逆に膜厚が100μmを超えると、電子写真感光体の生産性が低下するおそれがある。
[積層型感光層]
積層型感光層である感光層7は、電荷発生層3と電荷輸送層4とを含んで構成される積層体である。
[電荷発生層]
電荷発生層3は、電荷発生物質およびバインダ樹脂を含有する。
電荷発生物質としては、感光層2に含まれるものと同様の電荷発生物質の1種または2種以上を使用できる。
バインダ樹脂としては電荷発生層のマトリックス樹脂として常用されるものを使用でき、たとえば、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレートなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラールが好ましい。バインダ樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との含有割合は特に制限されないが、好ましくは、電荷発生物質とバインダ樹脂との合計量の全量において、電荷発生物質を10〜99重量%含有し、かつ残部がバインダ樹脂である。
電荷発生物質の割合が10重量%未満では、感度が低下するおそれがあり、逆に電荷発生物質の割合が99重量%を超えると、電荷発生層3の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少するので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生する。
電荷発生層3は、前記2種の必須成分のほかに、必要に応じて、ホール輸送材料、電子輸送材料、酸化防止剤、分散安定剤、増感剤などから選ばれる1種または2種以上のそれぞれ適量を含んでもよい。これによって、電位特性が向上するとともに、後述する電荷発生層形成用塗布液の安定性が高まり、電子写真感光体の繰返し使用時の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させ得る。
上記の電荷発生層3は、たとえば、電荷発生物質、バインダ樹脂および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1または後述の中間層6の表面に塗布し、乾燥して有機溶媒を除去することにより形成できる。具体的には、たとえば、バインダ樹脂を有機溶媒に溶解してなる樹脂溶液に電荷発生物質および必要に応じて他の添加剤を溶解または分散させることにより、電荷発生層形成用塗布液が調製される。
ここで用いられる有機溶媒としては、たとえば、テトラクロロプロパン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。また、これらの溶剤を単独で用いるか、2種以上混合した混合溶剤を用いることもできる。
電荷発生物質などを樹脂溶液に溶解または分散させるに先立ち、電荷発生物質およびその他の添加剤を予備粉砕してもよい。
予備粉砕は、たとえば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて実施される。
電荷発生物質などの樹脂溶液への溶解または分散は、たとえば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて実施される。このとき、樹脂溶液、電荷発生物質などを収容する容器および分散機を構成する部材から、摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜選択するのが好ましい。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、ロール塗布、スプレー塗布、ブレード塗布、リング塗布、浸漬塗布などが挙げられる。
電荷発生層3の膜厚は特に制限されないけれども、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。これは、電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感度が低下するが、逆に電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が電子写真感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下するからである。
[電荷輸送層]
電荷輸送層4は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物とバインダ樹脂とを含有する。さらに、電荷輸送層4は、必要に応じて、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質、酸化防止剤などの添加剤を含むことができる。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物としては、前記の非対称ビスヒドロキシ化合物(1)から選ばれる1種または2種以上を使用できる。
また、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質、バインダ樹脂および酸化防止剤としては、感光層2において用いられるものと同様のものを同様の使用量でそれぞれ使用できる。
電荷輸送層4は、たとえば、適当な有機溶媒に本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物およびバインダ樹脂、ならびに必要に応じて本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質、酸化防止剤などを溶解または分散させて電荷輸送層形成用塗布液を調製し、この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層3の表面に塗布し、乾燥により有機溶媒を除去することにより形成できる。
電荷輸送層4を形成する過程においても本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物の結晶化は生じないので、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物が均一に分散された電荷輸送層4を形成することができる。
ここで用いられる有機溶媒としては、感光層2の形成に用いられる有機溶媒と同様のものを使用できる。
電荷輸送層形成用塗布液の電荷発生層3表面への塗布方法としては特に制限はなく、たとえば、浸漬塗布、ロール塗布、インクジェット塗布などが挙げられる。また、乾燥は、塗布液中に含まれる有機溶媒を除去し、かつ均一な表面を有する電荷輸送層4を形成できる温度を適宜選択して実施すればよい。
電荷輸送層4の膜厚は特に制限されないけれども、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜40μmである。これは、電荷輸送層の膜厚が5μm未満では、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがあるが、逆に電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、電子写真感光体の解像度が低下するおそれがあるからである。
[表面保護層]
表面保護層5は、電子写真感光体の耐久性を向上させる機能を有する。表面保護層5は、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物とバインダ樹脂とを含有する。さらに、表面保護層5は、必要に応じて、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質を含んでもよい。
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物としては、前記の非対称ビスヒドロキシ化合物(1)から選ばれる1種または2種以上を使用できる。また、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質およびバインダ樹脂としては、感光層2において用いられるものと同様のものを同様の使用量でそれぞれ使用できる。
表面保護層5が設けられる電子写真感光体において、感光層2または電荷輸送層4に含有される電荷輸送物質としては、ブタジエン化合物が好ましい。ブタジエン化合物を用いることによって、感光層2または電荷輸送層4と表面保護層5との界面に電位障壁が形成されることを防ぐことができるので、表面保護層5と感光層2または電荷輸送層4との電荷の授受を円滑にし、感光体の感度および光応答性を向上させることができる。
なお、表面保護層5が設けられる電子写真感光体において、感光層2または電荷輸送層4に含有される電荷輸送物質としては、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を用いてもよい。本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物は、ブタジエン化合物に類の構造を含むので、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を用いることによって、ブタジエン化合物を用いた場合と同様に、感光層2または電荷輸送層4と表面保護層5との電荷の授受を円滑にし、感光体の感度および光応答性を向上させることができる。
表面保護層5は、たとえば、適当な有機溶媒に本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物およびバインダ樹脂、ならびに必要に応じて本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物以外の電荷輸送物質などを溶解または分散させて表面保護層形成用塗布液を調製し、この表面保護層形成用塗布液を感光層2または7表面に塗布し、乾燥により有機溶媒を除去することによって形成できる。ここで用いられる有機溶媒としては、感光層2の形成に用いられる有機溶媒と同様のものを使用できる。本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物の結晶化は表面保護層5を形成する過程においても生じないので、本発明では、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物が均一に分散された表面保護層5を形成することができる。
表面保護層5の膜厚は特に制限されないけれども、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmである。表面保護層5の膜厚が0.5μm未満では、電子写真感光体表面の耐擦過性が劣り、耐久性も不充分である。10μmを超えると、電子写真感光体の解像度が低下する。
[中間層]
中間層6は、導電性支持体1から感光層2、7への電荷の注入を防止する機能を有する。その結果、感光層2、7の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。
特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。また、中間層6で導電性支持体1表面を被覆することにより、導電性支持体1表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、感光層2、7の成膜性を高め、導電性支持体1と感光層2、7との密着性を向上させることができる。
中間層6は、たとえば、樹脂材料を適当な溶媒に溶解させた中間層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体1の表面に塗布し、加熱により該塗布液中の溶媒を除去することによって形成できる。樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリアリレートなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂、これらの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの天然高分子材料などが挙げられる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶媒としては、たとえば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム類、これらの溶媒を2種以上混合した混合溶媒などが挙げられる。
さらに、中間層形成用塗布液には、金属酸化物粒子を添加してもよい。金属酸化物粒子の添加により中間層6の体積抵抗値を容易に調節でき、導電性支持体1から感光層2、7への電荷注入をさらに抑制できるとともに、各種環境下において電子写真感光体の電気特性を維持できる。金属酸化物粒子としては、たとえば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。金属酸化物微粒子を中間層形成用塗布液中に分散させるには、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの、一般的な粒子分散装置を使用できる。
樹脂材料と金属酸化物粒子とを含む中間層形成用塗布液における、樹脂材料と金属酸化物粒子との合計含有量をC、溶剤の含有量をDとするとき、両者の比率(C/D)は、好ましくは1/99〜40/60(=0.01〜0.67、重量比)であり、さらに好ましくは2/98〜30/70(=0.02〜0.43、重量比)である。
また、樹脂材料含有量(E)と金属酸化物粒子含有量(F)との比率(E/F)は、好ましくは1/99〜90/10(=0.01〜9.0、重量比)であり、さらに好ましくは5/95〜70/30(=0.05〜2.33、重量比)である。
中間層6の膜厚は特に制限されないけれども、好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。膜厚が0.01μm未満では、中間層6として実質的に機能しなくなり、導電性支持体1の欠陥を被覆して均一な表面が得られず、また導電性支持体1から感光層2、7に対する電荷の注入を防止できなくなるので、感光層2、7の帯電性の低下が生じる。膜厚が20μmを超えると、中間層6の均一な形成が難しく、また電子写真感光体の感度も低下する。
なお、導電性支持体1の表面にアルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、中間層6とすることができる。
図9は、本発明によるさらに他の実施形態である画像形成装置20の構成を簡略化して示す側面配置図である。画像形成装置20は、前記した図1〜8に示す電子写真感光体11〜18のいずれかと同様の構成を有する本発明による電子写真感光体21を備えることを特徴とする。図9を参照して、本発明による実施の他の形態である画像形成装置20について説明する。なお、本発明による画像形成装置は、以下の記載内容に限定されるものではない。
画像形成装置20は、本発明による電子写真感光体21であって、不図示の装置本体に回転自在に支持される電子写真感光体21と、帯電器24と、露光手段28と、現像器25と、転写器26と、クリーナ27と、定着器31とを含んで構成される。
電子写真感光体21は、不図示の駆動手段によって回転軸線22まわりに矢符23方向に回転駆動される。駆動手段は、たとえば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を電子写真感光体21の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、電子写真感光体21を所定の周速度で回転駆動させる。帯電器24、露光手段28、現像器25、転写器26およびクリーナ27は、この順序で、電子写真感光体21の外周面に沿って、矢符23で示される電子写真感光体21の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器24は、電子写真感光体21の外周面を所定の電位に帯電させる帯電手段である。本実施の形態では、帯電器24は、接触式の帯電ローラ24aと、帯電ローラ24aに電圧を印加するバイアス電源24bとによって実現される。帯電手段としてはチャージャーワイヤも使用できるが、感光体表面の高い耐摩耗性が要求される帯電ローラにおいて、本発明による表面保護層が形成された電子写真感光体は耐久性向上により大きな効果を発揮する。
露光手段28は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光28aを、電子写真感光体21の帯電器24と現像器25との間に照射することによって、帯電された電子写真感光体21の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光28aは、主走査方向である電子写真感光体21の回転軸線22の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って電子写真感光体21の表面に静電潜像が順次形成される。
現像器25は、露光によって電子写真感光体21の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、電子写真感光体21を臨んで設けられ、電子写真感光体21の外周面にトナーを供給する現像ローラ25aと、現像ローラ25aを電子写真感光体21の回転軸線22と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング25bとを備える。
転写器26は、現像によって電子写真感光体21の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符29方向から電子写真感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、たとえば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ27は、転写器26による転写動作後に電子写真感光体21の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、電子写真感光体21の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード27aと、クリーニングブレード27aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング27bとを備える。また、このクリーナ27は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置20には、電子写真感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
この画像形成装置20による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、電子写真感光体21が駆動手段によって矢符23方向に回転駆動されると、露光手段28による光28aの結像点よりも電子写真感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、電子写真感光体21の表面が正または負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段28から、電子写真感光体21の表面に対して画像情報に応じた光28aが照射される。電子写真感光体21は、この露光によって、光28aが照射された部分の表面電荷が除去され、光28aが照射された部分の表面電位と光28aが照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段28による光28aの結像点よりも電子写真感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された電子写真感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
電子写真感光体21に対する露光と同期して、電子写真感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、電子写真感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も電子写真感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって電子写真感光体21の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された電子写真感光体21の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、電子写真感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、電子写真感光体21はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
本発明による画像形成装置20は、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物が均一に分散された感光層または表面保護層を有する電子写真感光体21を備えるので、黒点などの画像欠陥のない高品質の画像を形成することができる。
以下に製造例、実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、以下の例は、本発明をなんら限定するものではない。
なお、以下の製造例または実施例で得られた化合物の分子量および元素分析は、以下の装置および条件で測定した。
分子量測定装置:LC−MS(サーモクエスト社製、フィネガン LCQ Deca マススペクトロメーターシステム)。
LCカラム GL-Sciences Inertsil ODS-3 2.1×100mm
カラム温度 40℃
溶離液 メタノール:水=90:10
サンプル注入量 5μl
検出器 UV 254nmおよびMS ESI
元素分析装置:パーキン エールマー社製、Elemental Analysis 2400
サンプル量: 約2mgを精秤
ガス流量(ml/分):He=1.5、O2=1.1、N2=4.3
燃焼管温度設定:925℃
還元管温度設定:640℃
なお、元素分析は、差動熱伝導度法による炭素(C)、水素(H)および窒素(N)同時定量法に分析した。
(製造例1)
下記反応スキームに従って、例示化合物No.1(化合物(1aa))を製造した。
Figure 0004264440
[アミン−ビスアルデヒド中間体(7aa)の製造]
無水N,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)100ml中に、氷冷下、オキシ塩化リン18.4g(2.4当量)を徐々に加えて約30分間撹拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、N-α−ナフチル-N−フェニル-p-トルイジン(6a)15.5g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を110℃まで上げ、110℃を保つように加熱しながら3時間撹拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷4N水酸化ナトリウム水溶液800ml中に徐々に加え、生じた沈殿を濾取し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤(エタノール:酢酸エチル=8:2〜7:3)で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物14.6gを得た。
得られた黄色粉末状化合物を分析した結果、化学構造式(7aa)の化合物(分子量の計算値:365.14)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが366.4に観測されたことから、該化合物が化学構造式(7aa)で表されるアミン−ビスアルデヒド中間体(7aa)であることが判った(収率:80%)。
また、LC−MS測定時のHPLCの分析結果から、得られたアミン−ビスアルデヒド中間体(7aa)の純度は97.2%であった。
[非対称ビスアルコキシアミン化合物(9aa)の製造]
アミン−ビスアルデヒド中間体(7aa)7.26g(1.0当量)およびジエチル−p−メトキシベンジルホスホネート(8aa)12.41g(2.4当量)を、無水DMF80mlに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド5.6g(2.5当量)を0℃で徐々に加えた。その後室温で1時間放置し、さらに50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を除去した有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶9.75gを得た。
得られた黄色結晶をLC−MSで分析した結果、化学構造式(9aa)で表される化合物(分子量の計算値:573.27)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが574.5に観測された。このことから、該結晶が、例示化合物No.1の前駆体である非対称ビスアルコキシアミン化合物(9aa)であることが判った(収率:85%)。また、LC−MS測定時のHPLCの分析結果から、得られた化合物の純度は97.7%であった。
[非対称ビスヒドロキシ化合物(1aa)(例示化合物No.1)の合成]
非対称ビスアルコキシアミン化合物(9aa)5.7g(1.0当量)およびエタンチオールナトリウム塩6.39g(7.0当量)をN,N−ジメチルホルムアミド130mlに懸濁させ、窒素ガス気流下、撹拌しながら徐々に加熱すると、130℃で発泡が始まった。発泡がおさまった後、さらに温度を上げて、4時間加熱環流した。室温まで放冷した後、反応混合物を氷水600ml中に注入し、撹拌下に濃塩酸3.2mlを加えて中和した。これを酢酸エチル400mlで抽出し、抽出液を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過でこれを除去した後、溶媒を留去して粗結晶6.71gを得た。これを、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤(エタノール:酢酸エチル=8:2〜7:3)で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物5.04gを得た。
この黄色粉末状化合物の元素分析値は以下のとおりであった。
<例示化合物No.1の元素分析値>
理論値 C:85.84%、H:5.73%、N:2.57%
実測値 C:84.95%、H:5.18%、N:2.22%
また、得られた黄色粉末状化合物をLC−MSで分析した結果、目的とする化学構造式(1aa)で表される化合物(分子量の計算値:545.24)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが546.8に観測された。
元素分析およびLC−MSの分析結果から、得られた黄色粉末状化合物が、例示化合物No.1の非対称ビスヒドロキシ化合物(1aa)であることが判った(収率:88%)。また、LC−MS測定時のHPLCの分析結果から、得られた化合物(1aa)の純度は99.0%であった。
製造例2〜10
例示化合物No.2、3、4、7、18、20、22、23および57の合成
製造例1において、一般式(6)で表されるアミン化合物、一般式(8a)あるいは、一般式(8b)で表されるウィッティッヒ試薬として下記表2に示す各原料化合物を用いて全く同様の操作を行ない、例示化合物No.2、3、4、7、18、20、22、23および57をそれぞれ製造した。なお、表2には、例示化合物No.1の原料化合物も合わせて示す。
Figure 0004264440
Figure 0004264440
また、上記の製造例1〜10で得られた各例示化合物の元素分析値と分子量の計算値およびLC-MSによる実測値[M+H]を表3に示す。
Figure 0004264440
Figure 0004264440
製造例11
比較用対称ビスヒドロキシエナミン化合物の合成
アミン化合物として、ジフェニルアミンとジフェニルアセトアルデヒドより合成されるエナミン化合物16.9g(1.0当量)を用いる以外は製造例1と同様にして、特開2004−269377号公報の実施例1に記載の例示化合物(EA−14)である下記化学構造式(11)で表される対称ビスヒドロキシエナミン化合物(以後、「対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)」と称す)4.21gを得た。
Figure 0004264440
得られた対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)の元素分析値は以下のとおりであった。
<対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)の元素分析値>
理論値 C:86.42%、H:5.70%、N:2.40%
実測値 C:85.97%、H:5.38%、N:2.27%
また、得られた対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)をLC−MSで分析した結果、目的とする化学構造式(11)で表される化合物(分子量の計算値:583.73)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが584.9に観測された。
元素分析およびLC−MSの分析結果から、得られた化合物が、特開2004-269377号公報に記載の例示化合物(EA−14)の対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)であることが判った(収率:83%)。また、LC−MS測定時のHPLCの分析結果から、得られた化合物(11)の純度は98.3%であった。
実施例1
以下のようにして、製造例1で製造した本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物である例示化合物No.1を電荷輸送層の電荷輸送物質として用いた電子写真感光体を作製した。導電性支持体には、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(略称PET)フィルムの表面にアルミニウムを蒸着したもの(以後、「アルミニウム蒸着PETフィルム」と称す)を用いた。
酸化チタン(商品名:タイベークTTO55A、石原産業株式会社製)7重量部および共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)13重量部を、メチルアルコール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層形成用塗布液100gを調製した。この中間層形成用塗布液を、導電性支持体であるアルミニウム蒸着PETフィルムのアルミニウム表面にアプリケータによって塗布し、自然乾燥して膜厚1μmの中間層を形成した。
次いで、X型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue 8120、大日本インキ社製)
1重量部およびブチラール樹脂(商品名:#6000−C、電気化学工業株式会社製)1重量部を、メチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗布液50gを調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、前記の中間層と同様の方法で、先に設けた中間層表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
次いで、製造例1で製造した例示化合物No.1の非対称ビスヒドロキシ化合物100重量部およびポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学株式会社製)100重量部を混合し、トルエンを溶剤として固形分10重量%の電荷輸送層形成用塗布液10gを調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、前記の中間層と同様の方法で、先に設けた電荷発生層表面に塗布した後、110℃で1時間乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、前記の図7に示す電子写真感光体17と同様に、導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型電子写真感光体を作製した。
実施例2〜5
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物である例示化合物No.1に変えて例示化合物3、18、22および23を用いた以外は実施例1と全く同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型電子写真感光体を作製した。
実施例6
製造例1で製造した本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物である例示化合物No.1を表面保護層の電荷輸送物質として用いた電子写真感光体の作製
厚さ100μmのPETフィルムの表面にアルミニウムを蒸着してなる導電性支持体のアルミニウム表面に、実施例1と同様にして、膜厚1μmの中間層および膜厚0.4μmの電荷発生層を順次形成した。
次いで、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物である例示化合物No.1に代えて、下記化学構造式(12)で表されるブタジエン化合物(1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、商品名:T405、株式会社高砂ケミカル製)を用いる以外は実施例1と全く同様にして、電荷輸送層を形成した。
なお以下では、化学構造式(12)で表されるブタジエン化合物を「ブタジエン化合物(12)」と称する。
Figure 0004264440
次いで、硬化性シロキサン樹脂(商品名:KP−854、信越化学工業株式会社製)60重量部およびイソプロパノール60重量部を混合して均一に溶解させ、これに製造例1で製造した例示化合物No.1の非対称ビスヒドロキシ化合物6重量部を加えて混合し、表面保護層形成用塗布液10gを調製した。この表面保護層形成用塗布液を、実施例1における中間層形成の場合と同様の方法で電荷輸送層表面に塗布し、120℃で1時間乾燥して膜厚1μmの表面保護層を形成した。このようにして、前記の図8に示す電子写真感光体18と同様に、導電性支持体に中間層、電荷発生層、電荷輸送層および表面保護層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型電子写真感光体を作製した。
実施例7〜11
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物である例示化合物No.1に変えて例示化合物2、4、7、20および57を用いた以外は実施例と全く同様にして導電性支持体に中間層、電荷発生層、電荷輸送層および表面保護層が順次積層された積層構造を有する本発明による積層型電子写真感光体を作製した。
比較例1
電荷輸送層の形成に際し、本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物である例示化合物No.1に代えて、製造例11で製造した対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)を用いる以外は実施例1と同様にして、積層型電子写真感光体を作製した。
[電気特性評価]
実施例1〜11および比較例1で得られた各電子写真感光体について、静電紙試験装置(商品名:EPA−8200、株式会社川口電機製作所製)を用いて、以下のようにして電気特性を評価した。
感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V0[V]として測定した。次に、帯電された感光体表面に対して露光を施し、感光体の表面電位を帯電電位V0から半減させるのに要した露光量を半減露光量E1/2[μJ/cm2]として測定した。また、露光開始から10秒間経過した時点の感光体の表面電位を残留電位Vr[V]として測定した。なお、露光には、モノクロメータにて分光して得られた波長780nm、強度1μW/cm2の光を用いた。
[画像評価]
実施例1〜11および比較例1で得られた各電子写真感光体について、以下のようにして形成される画像の状態を評価した。
市販のデジタル複写機(商品名:LIBRE AR−451、シャープ株式会社製)から感光体ドラムを取出し、該感光体ドラムの感光層の一部を剥離し、感光層の剥離された部分に実施例1、2または比較例1で得られた電子写真感光体(PETフィルム)のアルミニウム蒸着面と導電性支持体の間をアルミニウム箔で導通させ、現像装置でのリークを防止するため、その導通部分の表面をセロハンテープ等で保護して貼付し、再度、前記複写機AR−451に搭載した。
この複写機を用いて、日本工業規格(JIS)P0138:1998規定のA3判用紙上にハーフトーン画像を形成し、これを評価用画像とした。ここで、ハーフトーン画像とは、画像の濃淡を白黒のドットによって階調表現した画像のことである。得られた評価用画像を目視観察し、実施例1〜11または比較例1で得られた電子写真感光体で形成された部分の画像状態を評価した評価結果を以下の表4に示す。
Figure 0004264440
本発明による非対称ビスヒドロキシ化合物を電荷輸送層に用いた実施例1〜5および表面保護層に用いた実施例6〜10の感光体は、比較例1に比べて半減露光量E1/2および残留電位Vrの絶対値が共に小さく、感度および応答性に優れることが判った。
また、実施例1〜11においては、画像状態は良好であり、黒点、白抜け、黒帯、画像ぼけなどの画像欠陥は発生していなかった。
一方、これに対し、対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)を電荷輸送層に用いた比較例1では、画像に黒点が多数発生した。これは、対称ビスヒドロキシエナミン化合物(11)が、化学構造的な対称性が高いので、溶媒への溶解性が低く、溶媒への不溶部分が結晶状態で電荷輸送層中に残り、その部分が画像に黒点として発現したものと考えられる。
本発明の他の実施形態である単層型電子写真感光体11の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態である単層型電子写真感光体12の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態である単層型電子写真感光体13の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態である単層型電子写真感光体14の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態である積層型電子写真感光体15の要部の構成を模式的に示す断面図である。
本発明の他の実施形態である積層型電子写真感光体16の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態である積層型電子写真感光体17の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態である積層型電子写真感光体18の要部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明のさらに他の実施形態である画像形成装置20の構成を簡略化して示す側面配置図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2、7 感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 表面保護層
6 中間層
11〜18,21 電子写真感光体
20 画像形成装置
24 帯電器
25 現像器
26 転写器
27 クリーナ
28 露光手段
30 転写紙
31 定着器

Claims (8)

  1. 一般式():
    Figure 0004264440
    (式中、Ar1は任意に置換基を有してもよいアリール基または複素環基であり、A4は任意に置換基を有してもよいアリレン基または2価の複素環基であり、Ar5は水素原子、もしくは任意に置換基を有してもよいアリール基、アラルキル基またはアルキル基であり、nは、0〜2の整数である)で示される非対称ビスヒドロキシ化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式()においてA4が任意に置換基を有していてもよいフェニレン基であり、Ar5が水素であり、次の一般式(3):
    Figure 0004264440
    (式中、Ar1およびnは、前記一般式()において定義したものと同義であり、aは水素原子もしくは任意に置換基を有してもよいアルキル基またはジアルキルアミノ基であるが、但し、該aが式中に複数個存在する場合は、互いに独立して同一または異なってもよく、mは、1〜4の整数を示す)
    で示される請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式()においてA4がフェニレン基であり、Ar5が水素であり、次の一般式(4):
    Figure 0004264440
    (式中、Ar1およびnは、前記一般式()において定義したものと同義である)
    で示される請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記非対称ビスヒドロキシ化合物が、前記一般式()においてA4がフェニレン基であり、Ar5が水素であり、nが0であり、次の一般式(5):
    Figure 0004264440
    (式中、Ar1は、前記一般式()において定義したものと同義である)
    で示される請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 導電性支持体上に、感光層と表面保護層がこの順で積層されてなり、該感光層および表面保護層の少なくともいずれか一つが、請求項1〜のいずれか1つに記載の非対称ビスヒドロキシ化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  6. 前記感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、請求項1〜のいずれか1つに記載の非対称ビスヒドロキシ化合物とを含有する電荷輸送層との積層構造からなることを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  7. 請求項またはに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記電子写真感光体を露光する露光手段と、
    露光によって形成された静電潜像を現像する現像手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記画像形成装置が帯電手段として接触帯電を備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
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