JP3572649B2 - ターフェニル誘導体及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光導電性材料として有用な、新規なターフェニル誘導体及び感光層に該化合物を含有する電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体に用いる光導電性材料として、ポリ−N−ビニルカルバゾールを始めとする各種の有機光導電性材料が提案され、研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
このような有機化合物系の電子写真感光体は、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等を用いた無機化合物系の電子写真感光体に比べて、成膜が容易であり、極めて生産性が高く、安価な電子写真感光体を提供できるという利点を持っている。
【0004】
しかしながら、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールのような光導電性ポリマーに関しては、ポリマー単独では被膜性、可撓性、接着性等が不良であり、これらの欠点を改良するために可塑剤、結着剤樹脂等が添加されるが、このために感度の低下や、残留電位の上昇を招く等の問題点があった。
【0005】
近年、これらの電子写真感光体の欠点や問題点を解決するために、電子写真感光体の電荷発生機能と、電荷輸送機能の大部分を各々、別個の物質に分担させて行なう機能分離型の電子写真感光体が提案されている。このような機能分離型の電子写真感光体では、電荷発生機能を有した電荷発生材料、あるいは、電荷輸送機能を発揮する電荷輸送材料、各々に選択の範囲が広がり、その組合せにおいて、帯電特性、暗所での電荷保持能力、感度、繰り返し安定性、耐久性等の電子写真特性を制御し、高性能な電子写真感光体を提供することができる。
【0006】
即ち、電荷発生材料においては、適当な材料を選択することで、光源の分光波長に合わせた感光波長特性を有する電子写真感光体を提供することができる。具体的には、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、シアニン色素等が提案されている。
【0007】
電荷輸送材料としては、これまで多くの有機化合物が提案されている。例えば、米国特許3,180,730号公報には、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子等で置換されたトリフェニルアミン誘導体を用いた電子写真感光体が開示されている。米国特許3,739,000号公報、米国特許3,274,000号公報には、アルキルアミノ基で置換されたトリアリールメタン化合物、ジアリールメタン化合物が開示されている。特開平3−114058号公報、特開平3−127765号公報には、特定のアルキル基で置換されたトリフェニルアミン化合物が開示されている。しかしながら、これらのアリールメタン化合物、トリフェニルアミン化合物を電子写真感光体の電荷輸送材料として用いた場合、暗減衰は小さく帯電能に優れるものの、残留電位が高く、十分な感度が得られない事や、繰り返しの使用によって電気特性が変化して安定な特性が得られない等の欠点がある。
【0008】
また、特開平1−280763号公報、特開平2−36156号公報には、4−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル化合物が開示されており、特開平2−13463号公報には、置換アミノ基を有するターフェニル誘導体が開示されているが、この化合物を、電荷輸送材料に用いた電子写真感光体は、十分な感度が得られない事や、繰り返しの使用によって電気特性が変化して安定な特性が得られない等の欠点がある。
【0009】
その他、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物等の光導電性材料を電子写真感光体に用いることも提案されているが、感度や繰り返し使用時の特性の安定化において満足するものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように電荷輸送材料に於ては、多くの有機化合物が提案されているが、実際には種々の問題がある。即ち、これらの電子写真感光体にあっても、必ずしも、感度を始めとした電子写真感光体に要求される下記特性全般に亙って満足するものは容易には得られておらず、一層の改良が求められている。
【0011】
(1)暗所で適当な電位に帯電できる。
(2)暗所における電荷の保持能力が大きい。
(3)光照射によって速やかに電荷を散逸できる。
(4)適当な面積を持つ電子写真感光体が容易に作れる。
(5)繰り返し安定性が良い。
(6)耐久性がある。
(7)安価である。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、(1)光導電性材料として耐久性に優れた有用な新規なターフェニル誘導体を提供すること、及び(2)従来の無機化合物系電子写真感光体の欠点を克服し、かつ、これまで提案されてきた有機化合物系電子写真感光体の欠点を改良し、十分に実用に供しうる程度の高感度、繰り返し使用時の電気特性安定性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行なった結果、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、(1)一般式(I)
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、R1及びR2は各々独立的に水素又はアルキル基を表わし、R3及びR4は各々独立的にフェニル基、またはアルキル基、アルコキシ基、もしくはハロゲン原子を置換基として有するフェニル基を表す。)で表わされるターフェニル誘導体、及び、(2)導電性支持体上に、感光層を有する電子写真感光体において、感光層中に前記一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体を提供する。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の一般式(I)で表わされるターフェニル誘導体は、以下の方法により製造することができる。
【0019】
即ち、一般式(II)
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R1及びR2は前記一般式(I)と同じものを表わす。)
で表わされる4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニル誘導体と、一般式(III)
【0022】
【化4】
(式中、R3及びR4は前記一般式(I)と同じものを表わす。)で表わされるジアリールアミノ化合物とを、無溶媒あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロベンゼン等の溶媒中で、銅粉、ハロゲン化銅、酸化銅等の触媒と、アルカリ金属炭酸塩等の塩基性無機塩存在下で、150〜250℃に加熱反応させることにより、製造することができる。
【0023】
尚、一般式(II)で表わされる4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニル誘導体は、例えば「ORGANIC PREPARATIONS AND PROCEDURES INT.」1978年10巻3号143頁記載の文献に示された方法と「BULLETIN DE LA SOCIETECHIMIQUE DE FRANCE」1977年第3−4号276頁記載の文献に示された方法又は「BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN」 1966年39巻1号128頁記載の文献に示された方法を応用して製造することができる。また、必要に応じて一般式(IV)
【0024】
【化5】
【0025】
(式中、R1及びR2は前記一般式(I)と同じものを表わす。)
で表わされる1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン誘導体と一般式(V)
【0026】
【化6】
【0027】
(式中、R3は置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、 Xはハロゲン原子を表わす。)
のハロゲン化アリール化合物とを、無溶媒あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロベンゼン等の溶媒中で、銅粉、ハロゲン化銅、酸化銅等の触媒と、アルカリ金属炭酸塩等の塩基性無機塩存在下で、150〜250℃に加熱、反応することで製造することも可能である。
【0028】
しかしながら、本発明のターフェニル誘導体の製造法は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0029】
本発明の一般式(I)で表わされるターフェニル誘導体におけるR3又はR4が置換基を有するフェニル基の場合、その置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。このうちアルキル基、アルコキシ基においては、炭素数1から4の場合が光導電性材料として特に好ましい。
【0030】
本発明のターフェニル誘導体の化合物例を下記に構造式で示すが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。
【0031】
なお、以下の構造式において、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、i−Prはイソプロピル基、Buはブチル基、sec−Buはsec−ブチル基、t−Buはtert−ブチル基を夫々表わし、構造式の左側の数字は化合物No. を表わす。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】
【化20】
【0046】
【化21】
【0047】
【化22】
【0048】
【化23】
【0049】
【化24】
【0050】
【化25】
【0051】
【化26】
【0052】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生材料としては、種々のものが使用可能であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料類;各種金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ナフタロシアニン等のフタロシアニン顔料類;ペリノン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料等の縮合多環顔料類;スクエアリウム色素類;アズレニウム色素類;チアピリリウム色素類;シアニン色素類等を挙げることができる。
【0053】
特に、フタロシアニン類は半導体レーザや発光ダイオード等の長波長光源を用いる電子写真システムにおいては感度が高く好適である。
【0054】
電荷発生材料は、ここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0055】
本発明の電子写真感光体の電荷輸送材料には、本発明のターフェニル誘導体と共に、必要に応じて他の公知の電荷輸送材料を併用することもできる。
【0056】
併用が可能である低分子化合物の電荷輸送材料としては、例えば、ピレン;N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール類;N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、p−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、1−[4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジリデンイミノ]−2,3−ジメチルインドリン、N−エチルカルバゾール−3−メチリデン−N−アミノインドリン、N−エチルカルバゾール−3−メチリデン−N−アミノテトラヒドロキノリン等のヒドラゾン類;2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール類;1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[キノリル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン類;トリ−p−トリルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等のアリールアミン類;1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等のブタジエン類;4−(2,2−ジフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン、4−(1,2,2−トリフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン等のスチリル類等が挙げられる。
【0057】
また、高分子化合物の電荷輸送材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアンスラセン、ピレン−ホルムアミド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリフェニルアルキルシラン等が挙げられる。
【0058】
併用する電荷輸送材料は、ここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0059】
これらの電荷輸送材料を本発明のターフェニル誘導体と併用して用いる場合は、全電荷輸送材料中の本発明のターフェニル誘導体の含有量は、重量比で5%以上、好ましくは10%以上であることが望ましい。
【0060】
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に前記一般式(I)で表わされるターフェニル誘導体を含有する感光層を形成してなるが、その構成は、種々の構造を採ることができる。その例を図1から図3に示した。
【0061】
図1及び図2の電子写真感光体は導電性支持体1の上に電荷発生材料を主体とする電荷発生層2と、電荷輸送材料と感光層形成上必要に応じて結着剤樹脂からなる電荷輸送層3とから成る感光層4a又は4bをそれぞれ設けたものである。図3の電子写真感光体は導電性支持体1の上に電荷発生材料5を電荷移動媒体6の中に分散せしめた感光層4cを設けたものである。
【0062】
図1及び図2の電子写真感光体の場合には、電荷発生層2に含まれる電荷発生材料が電荷を発生し、一方、電荷輸送層3は電荷の注入を受け、その輸送を行なう。即ち、光減衰に必要な電荷の生成が電荷発生材料で行なわれ、また、電荷の輸送が電荷輸送媒体で行なわれる。図3の電子写真感光体では電荷発生材料が光に対して電荷を発生し、電荷移動媒体により電荷の移動が行なわれる。
【0063】
図1の電子写真感光体は電荷発生材料の蒸着、あるいは電荷発生材料の微粒子を必要に応じて結着剤樹脂を溶解した溶媒中に分散して得た分散液を塗布、乾燥し、その上に電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着剤樹脂を併用し溶解した溶液を塗布、乾燥することによって製造することができる。
【0064】
図2の電子写真感光体は電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着剤樹脂を併用し溶解した溶液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、その上に電荷発生材料の蒸着、あるいは電荷発生材料の微粒子を溶剤又は結着剤樹脂溶液中に分散して得た分散液を塗布、乾燥することにより製造することができる。
【0065】
図3の電子写真感光体は電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着剤樹脂を併用し溶解した溶液に電荷発生材料の微粒子を分散させて、これを導電性支持体上に塗布、乾燥することによって製造することができる。
【0066】
感光層の厚さは、図1及び図2の電子写真感光体の場合には、電荷発生層の厚さは5μm以下、好ましくは0.01〜2μmであり、電荷輸送層の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜30μmである。図3の電子写真感光体の場合には、感光層の厚さは、3〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
【0067】
図1及び図2の電子写真感光体における電荷輸送層中の電荷輸送材料の割合は、5〜100重量%の範囲で適時選ぶことができ、好ましくは30〜80重量%の範囲で選ぶことができる。図1及び図2の電子写真感光体の電荷発生層中の電荷発生材料の割合は、5〜100重量%の範囲で適時選ぶことができ、好ましくは30〜80重量%の範囲で選ぶことができる。図3の電子写真感光体において、感光層中の電荷輸送材料の割合は、5〜99重量%の範囲で適時選ぶことができ、また電荷発生材料の割合は、1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%である。なお、図1〜図3のいずれの電子写真感光体の作製においても、結着剤樹脂と共に可塑剤、増感剤を用いることができる。
【0068】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金、あるいは、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物;アルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、セラミックス等が挙げられ、必要に応じて導電性支持体表面は化学的又は物理的な処理を施してもよい。
【0069】
本発明の電子写真感光体の形状は、用いる支持体によって異なるが、ドラム状、平板状、シート状、ベルト状等多種の形状が可能である。
【0070】
必要に応じて使用することのできる結着剤樹脂は、疎水性で、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子化合物を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン等が挙げられる。
【0071】
結着剤樹脂はここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独あるいは2種以上の混合物として用いることもできる。
【0072】
また、電子写真感光体の成膜性、可撓性、機械的強度を向上するために、これらの結着剤樹脂と共に、周知の可塑剤、表面改質剤等の添加剤を使用することもできる。
【0073】
可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、p−ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチルグリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種のフルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0074】
表面改質剤としては、例えば、シリコンオイル、フッソ樹脂等が挙げられる。
【0075】
前記感光層に必要に応じて用いられる増感剤としては、いずれも周知のものが使用できる。
【0076】
増感剤としては、例えば、クロラニル、テトラシアノエチレン、メチルバイオレット、ローダミンB、シアニン染料、メロシアニン染料、ピリリウム染料、チアピリリウム染料等が挙げられる。
【0077】
また、本発明の電子写真感光体においては、保存性、耐久性、耐環境依存性を向上させるために、感光層中に酸化防止剤や光安定剤等の劣化防止剤を含有させることもできる。その例としては、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物等を挙げることができる。
【0078】
更に、本発明においては、導電性支持体と感光層との接着性を向上させたり、導電性支持体から感光層への自由電荷の注入を阻止するため、導電性支持体と感光層との間に、必要に応じて接着層あるいはバリアー層を設けることもできる。
【0079】
これらの層に用いられる材料としては、前記結着剤樹脂に用いられる高分子化合物の他、カゼイン、ゼラチン、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、スチレン−ブタジエン系ポリマーラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン等が挙げられ、その膜厚は1μm以下が望ましい。
【0080】
積層型電子写真感光体を塗工によって形成する場合、結着剤樹脂を溶解する溶剤は、結着剤樹脂の種類によって異なるが、下層を溶解しないものの中から選択することが望ましい。具体的な有機溶剤の例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。
【0081】
塗工法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法等のコーティング法が挙げられる。
【0082】
本発明のターフェニル誘導体は、光導電性材料として耐久性に優れ、この化合物を感光層中に含有する電子写真感光体は以上のような構成であって、以下に述べる実施例からも明かなように、電子写真感光体の高感度と繰り返し使用時の電気特性安定性に優れたものである。
【0083】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。尚、実施例中、「部」は『重量部』を表わす。
【0084】
<実施例1>
[N,N−ジ(4−メチルフェニル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No. 4の電荷輸送材料)の製造]
還流冷却管と温度計及び攪拌装置を装着した300ml四口フラスコ中に、4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニル 18.0g(0.051モル)、p,p’−ジトリルアミン 10.0g(0.051モル)、スルホラン 150g、炭酸カリウム 7.0g(0.0826モル)、銅粉1.0gを入れ、220℃で30時間加熱攪拌した。反応混合物を80℃に冷却した後、反応混合物を水300mlを加え、90℃で1時間攪拌した。攪拌した後、静置し、上澄液をデカンテーションで除いた。更に、反応混合物に水300mlを加え、90℃で1時間加熱攪拌し、静置した後、上澄液をデカンテーションで取り除いた。黒色固体にジクロロメタン200mlを加え、超音波を印加しながら分散溶解した後、不溶物を濾過して取り除いた。濾液に無水硫酸ナトリウムを加えて、濾液を乾燥させた後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでヘキサン−ジクロロメタン(3:1)混合溶出液を用いて黒色色素分を除くことにより、淡い褐色の油状物を得た。再度、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでヘキサン−ジクロロメタン(5:1)混合溶出液で単離精製することにより、式
【0085】
【化27】
【0086】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる白色固体のN,N−ジ(4−メチルフェニル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No. 4の電荷輸送材料)6.6gを得た。4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニルからの収率は30%であった。
【0087】
得られたN,N−ジ(4−メチルフェニル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミンを、日本分光工業社製赤外分光光度計IR−810にて測定した赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示し、日立製作所社製高速掃引相関核磁気共鳴装置RS−1200で測定したプロトンNMRスペクトル(四塩化炭素溶液)を図5に示した。
【0088】
<実施例2>
α型チタニルフタロシアニン2部とブチラール樹脂(商品名「エスレックBH−3」積水化学工業(株)製)1部を、ジクロロメタン52部と1,1,2−トリクロロエタン78部の混合液に添加し、サンドミル中で分散、混合して電荷発生材料分散液を得た。この分散液を塗布、乾燥して得られた塗膜のX線回折スペクトルを図6に示した。
【0089】
この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が0.1μmの膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。次に、実施例1で得た化合物No. 4の電荷輸送材料10部、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)10部を1,1,2−トリクロロエタン36部とジクロロメタン54部に溶解して得られた塗料を上記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、電荷輸送層を形成することによって図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0090】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率(DDR(%):(V10/V0 )×100)を算出した。更に、表面電位V10に対して波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2 の光で露光を行ない、表面電位がV10の半分になるまでの時間より半減露光量E1/2(μJ/cm2)を求めた。更にまた、露光開始15秒後の表面電位、即ち残留電位VR(V)を測定した。
【0091】
この表面電位の暗及び光減衰の測定結果を表1に示した。また、帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返した直後の測定結果も同様に表1に示した。
【0092】
<比較例1>
実施例2において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて式(VI)
【0093】
【化28】
【0094】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例2と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0095】
<比較例2>
実施例2において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて式(VII)
【0096】
【化29】
【0097】
(式中、Meはメチル基を表わし、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例2と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0100】
表1に示した結果から明かなように、実施例2において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の保持率が良好で、しかも半減露光量が小さい感度の良好なものであった。また、1,000回繰り返し運転後においても、良好な表面電位、表面電位保持率及び感度を有しており、更には、露光後の残留電位が小さいものであった。
【0101】
<実施例3〜8>
実施例2において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて、式
【0102】
【化30】
【0103】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.3の電荷輸送材料、式
【0104】
【化31】
【0105】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.17の電荷輸送材料、式
【0106】
【化32】
【0107】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.18の電荷輸送材料、式
【0108】
【化33】
【0109】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.20の電荷輸送材料、式
【0110】
【化34】
【0111】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.21の電荷輸送材料及び式
【0112】
【化35】
【0113】
(式中、Meはメチル基を表わし、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.38の電荷輸送材料をそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例2と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0114】
【表2】
【0115】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0116】
<実施例9>
式(VIII)
【0117】
【化36】
【0118】
で表わされるジスアゾ顔料2部を、ジオキサン97部で溶解したフェノキシ樹脂(商品名「PKHH」米国ユニオン・カーバイド(UNION CARBIDE)社製)1部の溶液中で、振動ミルを用いて電荷発生材料分散液を調製した。
【0119】
この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が1μmの膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。
【0120】
次に、実施例1で製造した化合物No. 4の電荷輸送材料10部及び市販ポリエステル樹脂(商品名「バイロン200」東洋紡社製)10部を、ジクロロメタン40部と1,1,2−トリクロロエタン60部との混合溶剤に溶解した塗料を、電荷発生層上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、電荷輸送層を形成することによって図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0121】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率(DDR:(V10/V0 )×100)を算出した。更に、表面電位V10に対して5ルックスの白色光で露光し、表面電位が初期表面電位の半分に減少するまでの時間(秒)を求め、光感度E1/2 (ルックス・秒)を求めた。更にまた、露光開始15秒後の表面電位すなわち残留電位VR(V)を測定した。
【0122】
この表面電位の暗及び光減衰の測定結果を下記表4に示した。また、帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返した直後の測定結果も同様に下記表3に示した。
【0123】
<比較例3>
実施例9において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて下式構造式(IX)
【0124】
【化37】
【0125】
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例9と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0126】
【表3】
【0127】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0128】
表3に示した結果から明かなように、実施例9において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の電位保持率が良好で、露光時における半減露光量が小さく、更に、露光後の残留電位が小さいものであった。また、1,000回繰り返し運転後においても、表面電位保持率及び感度が良好で、残留電位が小さいものであった。
【0129】
<実施例10>
下記構造式(X)
【0130】
【化38】
【0131】
で表わされるジスアゾ顔料35部を、化合物No. 4の電荷輸送材料275部及びポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)275部をジクロロメタン2475部に溶解させた溶液に加え、振動ミルにより粉砕混合して分散液を得た。この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上にワイヤーバーで塗布し、乾燥後の厚さ10μmとなるように塗布して、図3に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0132】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KV又は+6KVのコロナ放電により帯電した以外は実施例9と同様な方法により電子写真特性を測定した。その結果を下記表4に示した。
【0133】
<比較例4>
実施例10において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて下記構造式(XI)
【0134】
【化39】
【0135】
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例10と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0136】
【表4】
【0137】
(表中、V0及びVRの値の単位は(V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0138】
表4から明かなように、実施例10において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電後の表面電位保持率が良好で、また、露光時の半減露光量が小さく、しかも、露光後の残留電位の小さいものであった。
【0139】
<実施例11>
[4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−N,N−ジフェニル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No.70の電荷輸送材料)の製造]
容量2リットルのビーカーに、m−ターフェニル120.0g(0.521モル)、2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−p−クレゾール149.25g(0.677モル)及びニトロメタン220mlを仕込み、液温15℃で暫時攪拌した。この混合物に、塩化アルミニウム118.11g(0.886モル)をニトロメタン240mlに溶かした溶液を15分かけて滴下し、滴下終了後、更に30分攪拌した。反応終了後、反応液を蒸留水1.5リットルに注ぎ、塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を、炭酸ナトリウム水溶液、蒸留水の順で洗浄した後、硫酸ナトリウムで一晩乾燥した後、エバポレーターにて溶媒を留去し、真空ポンプを用いて減圧乾燥した。これによりオイル状の生成物239.9gが得られた。このオイル状生成物をエタノール620ml中、室温で攪拌することにより、白色結晶が析出し、結晶を吸引ろ過した。得られた結晶をエタノール600ml中、還流下で30分攪拌した後、放冷し吸引ろ過により結晶を濾別した。得られた結晶を少量のエタノールで洗浄した後、減圧乾燥することにより46.7gの4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニルが得られた。
【0140】
このようにして得た4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル40.0g(0.117モル)、オルト過ヨウ素酸二水塩6.43g(0.0282モル)、ヨウ素14.25g(0.0561モル)、酢酸470ml、蒸留水94ml及び濃硫酸15mlを、容量2リットルのナス型フラスコに仕込み、液温80℃で4時間攪拌することにより、淡黄色の固体が析出した。反応混合物を放冷した後、反応液の上澄みをデカンテーションにより除去した。淡黄色の固体を蒸留水で洗浄した後、塩化メチレン500mlに溶解し、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、更に蒸留水で洗浄した。塩化メチレン層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、エバポレーターにて塩化メチレンを留去し、更に、真空ポンプにより減圧乾燥して、4’−ヨード−4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル59.11gを得た。
【0141】
還流冷却管と温度計及び攪拌装置を装着した容量300mlの四口フラスコ中に、上記の方法により得た4’−ヨード−4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル10.0g(0.0213モル)、ジフェニルアミン5.42g(0.032モル)、スルホラン90ml、炭酸カリウム3.14g及び銅粉2.86gを入れ、220℃で30時間加熱攪拌した。反応終了後、反応混合物を80℃に冷却した後、反応混合物に蒸留水1.5リットルを加え、90℃で1時間攪拌し、静置した後、上澄液をデカンテーションで除いた。更に、反応混合物に蒸留水1.5リットルを加え、90℃で1時間加熱攪拌し、静置した後、上澄液をデカンテーションで取り除いた。黒色固体にトルエン200mlを加え、超音波を印加して分散溶解し、不溶物を濾過して取り除いた。トルエン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでトルエンを溶出液として用いて黒色色素分を除くことにより、淡い褐色の油状物が得られた。淡い褐色の油状物を、再度、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでヘキサン−ジクロロメタン(5:1)混合溶出液で単離した後、アセトニトニルから再結晶させて、式
【0142】
【化40】
【0143】
(式中、t−Buはターシャリーブチル基を表わす。)
で表わされる白色固体の4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−N,N−ジフェニル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No. 70の電荷輸送材料)2.66gを得た。
【0144】
得られた4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−N,N−ジフェニル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミンを、日本分光工業社製赤外分光光度計IR−810にて測定した赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図7に示し、日立製作所社製高速掃引相関核磁気共鳴装置RS−1200で測定したプロトンNMRスペクトル(四塩化炭素溶液)を図8に示した。
【0145】
<実施例12>
α型チタニルフタロシアニン2部とブチラール樹脂(商品名「エスレックBH−3」積水化学工業(株)製)1部を、ジクロロメタン52部と1,1,2−トリクロロエタン78部の混合溶媒に添加し、サンドミル中で分散、混合して電荷発生材料分散液を得た。この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が0.1μmの膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。
【0146】
次に、実施例11で得た化合物No. 70の電荷輸送材料90部、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)100部を、クロロベンゼン105部及びジクロロメタン420部から成る混合溶媒に溶解して得られた塗料を、上記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が11μmとなるように塗布し、電荷輸送層を形成することによって図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0147】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率DDR(%)を算出した。更に、表面電位V10に対して波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2 の光で露光を行ない、表面電位がV10の半分になるまでの時間より半減露光量E1/2(μJ/cm2)を求めた。更にまた、露光開始15秒後の表面電位、即ち残留電位VR (V)を測定した。
【0148】
この表面電位の暗減衰及び光減衰の測定結果を下記表5に示した。
【0149】
<実施例13>
実施例12において、化合物No. 70の電荷輸送材料に代えて、式
【0150】
【化41】
【0151】
(式中、Meはメチル基を表わし、t−Buはターシャリーブチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.71の電荷輸送材料を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表5に示した。
【0152】
<比較例5>
実施例12において、化合物No. 70の電荷輸送材料に代えて式(XII)
【0153】
【化42】
【0154】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表5に示した。
【0155】
【表5】
【0156】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0157】
表5に示した結果から明らかなように、実施例12及び実施例13において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の電位保持率が良好で、露光時における半減露光量が小さく、更に露光後の残留電位が小さいものであった。
【0158】
<実施例14>
実施例12において、化合物No.70の電荷輸送材料90部に代えて式(XIII)
【0159】
【化43】
【0160】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料36部と式
【0161】
【化44】
【0162】
(式中、Meはメチル基を表わし、t−Buはターシャリーブチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.74の電荷輸送材料9部の混合物を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表6に示した。
【0163】
更に帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返した直後の測定結果も同様に表6に示した。
【0164】
<比較例6>
実施例12において、化合物No. 70の電荷輸送材料90部に代えて実施例14で使用した式(XIII)で表わされる電荷輸送材料45部を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表6に示した。
【0165】
更に帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返し直後の測定結果も同様に下記表6に示した。
【0166】
【表6】
【0167】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0168】
表6から明らかなように、実施例14において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の電位保持率が良好で、露光時における半減露光量が小さく、更に露光後の残留電位が小さいものであった。また、1,000回繰り返し使用後においても、良好な表面電位、表面電位保持率及び感度を有しており、更には、露光後の残留電位が小さいものであった。
【0169】
【発明の効果】
本発明のターフェニル誘導体は、光導電性材料として耐久性に優れ、感度が高く、繰り返し使用時の電気特性安定性に優れた電子写真感光体を提供するための材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体が取り得る層構成を一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体が取り得る層構成を一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体が取り得る層構成を一例を示す模式断面図である。
【図4】化合物No. 4のターフェニル誘導体の赤外吸収スペクトルである。
【図5】化合物No. 4のターフェニル誘導体のNMRスペクトルである。
【図6】実施例3で得た電荷発生層塗膜のX線回折スペクトルである。
【図7】化合物No. 70のターフェニル誘導体の赤外吸収スペクトルである。
【図8】化合物No. 70のターフェニル誘導体のNMRスペクトルである。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4a 感光層
4b 感光層
4c 感光層
5 電荷発生材料
6 電荷移動媒体
7 電子写真感光体
【産業上の利用分野】
本発明は、光導電性材料として有用な、新規なターフェニル誘導体及び感光層に該化合物を含有する電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体に用いる光導電性材料として、ポリ−N−ビニルカルバゾールを始めとする各種の有機光導電性材料が提案され、研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
このような有機化合物系の電子写真感光体は、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等を用いた無機化合物系の電子写真感光体に比べて、成膜が容易であり、極めて生産性が高く、安価な電子写真感光体を提供できるという利点を持っている。
【0004】
しかしながら、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールのような光導電性ポリマーに関しては、ポリマー単独では被膜性、可撓性、接着性等が不良であり、これらの欠点を改良するために可塑剤、結着剤樹脂等が添加されるが、このために感度の低下や、残留電位の上昇を招く等の問題点があった。
【0005】
近年、これらの電子写真感光体の欠点や問題点を解決するために、電子写真感光体の電荷発生機能と、電荷輸送機能の大部分を各々、別個の物質に分担させて行なう機能分離型の電子写真感光体が提案されている。このような機能分離型の電子写真感光体では、電荷発生機能を有した電荷発生材料、あるいは、電荷輸送機能を発揮する電荷輸送材料、各々に選択の範囲が広がり、その組合せにおいて、帯電特性、暗所での電荷保持能力、感度、繰り返し安定性、耐久性等の電子写真特性を制御し、高性能な電子写真感光体を提供することができる。
【0006】
即ち、電荷発生材料においては、適当な材料を選択することで、光源の分光波長に合わせた感光波長特性を有する電子写真感光体を提供することができる。具体的には、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、シアニン色素等が提案されている。
【0007】
電荷輸送材料としては、これまで多くの有機化合物が提案されている。例えば、米国特許3,180,730号公報には、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子等で置換されたトリフェニルアミン誘導体を用いた電子写真感光体が開示されている。米国特許3,739,000号公報、米国特許3,274,000号公報には、アルキルアミノ基で置換されたトリアリールメタン化合物、ジアリールメタン化合物が開示されている。特開平3−114058号公報、特開平3−127765号公報には、特定のアルキル基で置換されたトリフェニルアミン化合物が開示されている。しかしながら、これらのアリールメタン化合物、トリフェニルアミン化合物を電子写真感光体の電荷輸送材料として用いた場合、暗減衰は小さく帯電能に優れるものの、残留電位が高く、十分な感度が得られない事や、繰り返しの使用によって電気特性が変化して安定な特性が得られない等の欠点がある。
【0008】
また、特開平1−280763号公報、特開平2−36156号公報には、4−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル化合物が開示されており、特開平2−13463号公報には、置換アミノ基を有するターフェニル誘導体が開示されているが、この化合物を、電荷輸送材料に用いた電子写真感光体は、十分な感度が得られない事や、繰り返しの使用によって電気特性が変化して安定な特性が得られない等の欠点がある。
【0009】
その他、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物等の光導電性材料を電子写真感光体に用いることも提案されているが、感度や繰り返し使用時の特性の安定化において満足するものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように電荷輸送材料に於ては、多くの有機化合物が提案されているが、実際には種々の問題がある。即ち、これらの電子写真感光体にあっても、必ずしも、感度を始めとした電子写真感光体に要求される下記特性全般に亙って満足するものは容易には得られておらず、一層の改良が求められている。
【0011】
(1)暗所で適当な電位に帯電できる。
(2)暗所における電荷の保持能力が大きい。
(3)光照射によって速やかに電荷を散逸できる。
(4)適当な面積を持つ電子写真感光体が容易に作れる。
(5)繰り返し安定性が良い。
(6)耐久性がある。
(7)安価である。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、(1)光導電性材料として耐久性に優れた有用な新規なターフェニル誘導体を提供すること、及び(2)従来の無機化合物系電子写真感光体の欠点を克服し、かつ、これまで提案されてきた有機化合物系電子写真感光体の欠点を改良し、十分に実用に供しうる程度の高感度、繰り返し使用時の電気特性安定性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行なった結果、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、(1)一般式(I)
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、R1及びR2は各々独立的に水素又はアルキル基を表わし、R3及びR4は各々独立的にフェニル基、またはアルキル基、アルコキシ基、もしくはハロゲン原子を置換基として有するフェニル基を表す。)で表わされるターフェニル誘導体、及び、(2)導電性支持体上に、感光層を有する電子写真感光体において、感光層中に前記一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体を提供する。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の一般式(I)で表わされるターフェニル誘導体は、以下の方法により製造することができる。
【0019】
即ち、一般式(II)
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R1及びR2は前記一般式(I)と同じものを表わす。)
で表わされる4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニル誘導体と、一般式(III)
【0022】
【化4】
(式中、R3及びR4は前記一般式(I)と同じものを表わす。)で表わされるジアリールアミノ化合物とを、無溶媒あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロベンゼン等の溶媒中で、銅粉、ハロゲン化銅、酸化銅等の触媒と、アルカリ金属炭酸塩等の塩基性無機塩存在下で、150〜250℃に加熱反応させることにより、製造することができる。
【0023】
尚、一般式(II)で表わされる4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニル誘導体は、例えば「ORGANIC PREPARATIONS AND PROCEDURES INT.」1978年10巻3号143頁記載の文献に示された方法と「BULLETIN DE LA SOCIETECHIMIQUE DE FRANCE」1977年第3−4号276頁記載の文献に示された方法又は「BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN」 1966年39巻1号128頁記載の文献に示された方法を応用して製造することができる。また、必要に応じて一般式(IV)
【0024】
【化5】
【0025】
(式中、R1及びR2は前記一般式(I)と同じものを表わす。)
で表わされる1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン誘導体と一般式(V)
【0026】
【化6】
【0027】
(式中、R3は置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、 Xはハロゲン原子を表わす。)
のハロゲン化アリール化合物とを、無溶媒あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロベンゼン等の溶媒中で、銅粉、ハロゲン化銅、酸化銅等の触媒と、アルカリ金属炭酸塩等の塩基性無機塩存在下で、150〜250℃に加熱、反応することで製造することも可能である。
【0028】
しかしながら、本発明のターフェニル誘導体の製造法は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0029】
本発明の一般式(I)で表わされるターフェニル誘導体におけるR3又はR4が置換基を有するフェニル基の場合、その置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。このうちアルキル基、アルコキシ基においては、炭素数1から4の場合が光導電性材料として特に好ましい。
【0030】
本発明のターフェニル誘導体の化合物例を下記に構造式で示すが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。
【0031】
なお、以下の構造式において、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、i−Prはイソプロピル基、Buはブチル基、sec−Buはsec−ブチル基、t−Buはtert−ブチル基を夫々表わし、構造式の左側の数字は化合物No. を表わす。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】
【化20】
【0046】
【化21】
【0047】
【化22】
【0048】
【化23】
【0049】
【化24】
【0050】
【化25】
【0051】
【化26】
【0052】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生材料としては、種々のものが使用可能であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料類;各種金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ナフタロシアニン等のフタロシアニン顔料類;ペリノン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料等の縮合多環顔料類;スクエアリウム色素類;アズレニウム色素類;チアピリリウム色素類;シアニン色素類等を挙げることができる。
【0053】
特に、フタロシアニン類は半導体レーザや発光ダイオード等の長波長光源を用いる電子写真システムにおいては感度が高く好適である。
【0054】
電荷発生材料は、ここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0055】
本発明の電子写真感光体の電荷輸送材料には、本発明のターフェニル誘導体と共に、必要に応じて他の公知の電荷輸送材料を併用することもできる。
【0056】
併用が可能である低分子化合物の電荷輸送材料としては、例えば、ピレン;N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール類;N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、p−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、1−[4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジリデンイミノ]−2,3−ジメチルインドリン、N−エチルカルバゾール−3−メチリデン−N−アミノインドリン、N−エチルカルバゾール−3−メチリデン−N−アミノテトラヒドロキノリン等のヒドラゾン類;2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール類;1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[キノリル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン類;トリ−p−トリルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等のアリールアミン類;1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等のブタジエン類;4−(2,2−ジフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン、4−(1,2,2−トリフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン等のスチリル類等が挙げられる。
【0057】
また、高分子化合物の電荷輸送材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアンスラセン、ピレン−ホルムアミド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリフェニルアルキルシラン等が挙げられる。
【0058】
併用する電荷輸送材料は、ここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0059】
これらの電荷輸送材料を本発明のターフェニル誘導体と併用して用いる場合は、全電荷輸送材料中の本発明のターフェニル誘導体の含有量は、重量比で5%以上、好ましくは10%以上であることが望ましい。
【0060】
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に前記一般式(I)で表わされるターフェニル誘導体を含有する感光層を形成してなるが、その構成は、種々の構造を採ることができる。その例を図1から図3に示した。
【0061】
図1及び図2の電子写真感光体は導電性支持体1の上に電荷発生材料を主体とする電荷発生層2と、電荷輸送材料と感光層形成上必要に応じて結着剤樹脂からなる電荷輸送層3とから成る感光層4a又は4bをそれぞれ設けたものである。図3の電子写真感光体は導電性支持体1の上に電荷発生材料5を電荷移動媒体6の中に分散せしめた感光層4cを設けたものである。
【0062】
図1及び図2の電子写真感光体の場合には、電荷発生層2に含まれる電荷発生材料が電荷を発生し、一方、電荷輸送層3は電荷の注入を受け、その輸送を行なう。即ち、光減衰に必要な電荷の生成が電荷発生材料で行なわれ、また、電荷の輸送が電荷輸送媒体で行なわれる。図3の電子写真感光体では電荷発生材料が光に対して電荷を発生し、電荷移動媒体により電荷の移動が行なわれる。
【0063】
図1の電子写真感光体は電荷発生材料の蒸着、あるいは電荷発生材料の微粒子を必要に応じて結着剤樹脂を溶解した溶媒中に分散して得た分散液を塗布、乾燥し、その上に電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着剤樹脂を併用し溶解した溶液を塗布、乾燥することによって製造することができる。
【0064】
図2の電子写真感光体は電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着剤樹脂を併用し溶解した溶液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、その上に電荷発生材料の蒸着、あるいは電荷発生材料の微粒子を溶剤又は結着剤樹脂溶液中に分散して得た分散液を塗布、乾燥することにより製造することができる。
【0065】
図3の電子写真感光体は電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着剤樹脂を併用し溶解した溶液に電荷発生材料の微粒子を分散させて、これを導電性支持体上に塗布、乾燥することによって製造することができる。
【0066】
感光層の厚さは、図1及び図2の電子写真感光体の場合には、電荷発生層の厚さは5μm以下、好ましくは0.01〜2μmであり、電荷輸送層の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜30μmである。図3の電子写真感光体の場合には、感光層の厚さは、3〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
【0067】
図1及び図2の電子写真感光体における電荷輸送層中の電荷輸送材料の割合は、5〜100重量%の範囲で適時選ぶことができ、好ましくは30〜80重量%の範囲で選ぶことができる。図1及び図2の電子写真感光体の電荷発生層中の電荷発生材料の割合は、5〜100重量%の範囲で適時選ぶことができ、好ましくは30〜80重量%の範囲で選ぶことができる。図3の電子写真感光体において、感光層中の電荷輸送材料の割合は、5〜99重量%の範囲で適時選ぶことができ、また電荷発生材料の割合は、1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%である。なお、図1〜図3のいずれの電子写真感光体の作製においても、結着剤樹脂と共に可塑剤、増感剤を用いることができる。
【0068】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金、あるいは、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物;アルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、セラミックス等が挙げられ、必要に応じて導電性支持体表面は化学的又は物理的な処理を施してもよい。
【0069】
本発明の電子写真感光体の形状は、用いる支持体によって異なるが、ドラム状、平板状、シート状、ベルト状等多種の形状が可能である。
【0070】
必要に応じて使用することのできる結着剤樹脂は、疎水性で、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子化合物を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン等が挙げられる。
【0071】
結着剤樹脂はここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独あるいは2種以上の混合物として用いることもできる。
【0072】
また、電子写真感光体の成膜性、可撓性、機械的強度を向上するために、これらの結着剤樹脂と共に、周知の可塑剤、表面改質剤等の添加剤を使用することもできる。
【0073】
可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、p−ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチルグリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種のフルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0074】
表面改質剤としては、例えば、シリコンオイル、フッソ樹脂等が挙げられる。
【0075】
前記感光層に必要に応じて用いられる増感剤としては、いずれも周知のものが使用できる。
【0076】
増感剤としては、例えば、クロラニル、テトラシアノエチレン、メチルバイオレット、ローダミンB、シアニン染料、メロシアニン染料、ピリリウム染料、チアピリリウム染料等が挙げられる。
【0077】
また、本発明の電子写真感光体においては、保存性、耐久性、耐環境依存性を向上させるために、感光層中に酸化防止剤や光安定剤等の劣化防止剤を含有させることもできる。その例としては、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物等を挙げることができる。
【0078】
更に、本発明においては、導電性支持体と感光層との接着性を向上させたり、導電性支持体から感光層への自由電荷の注入を阻止するため、導電性支持体と感光層との間に、必要に応じて接着層あるいはバリアー層を設けることもできる。
【0079】
これらの層に用いられる材料としては、前記結着剤樹脂に用いられる高分子化合物の他、カゼイン、ゼラチン、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、スチレン−ブタジエン系ポリマーラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン等が挙げられ、その膜厚は1μm以下が望ましい。
【0080】
積層型電子写真感光体を塗工によって形成する場合、結着剤樹脂を溶解する溶剤は、結着剤樹脂の種類によって異なるが、下層を溶解しないものの中から選択することが望ましい。具体的な有機溶剤の例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。
【0081】
塗工法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法等のコーティング法が挙げられる。
【0082】
本発明のターフェニル誘導体は、光導電性材料として耐久性に優れ、この化合物を感光層中に含有する電子写真感光体は以上のような構成であって、以下に述べる実施例からも明かなように、電子写真感光体の高感度と繰り返し使用時の電気特性安定性に優れたものである。
【0083】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。尚、実施例中、「部」は『重量部』を表わす。
【0084】
<実施例1>
[N,N−ジ(4−メチルフェニル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No. 4の電荷輸送材料)の製造]
還流冷却管と温度計及び攪拌装置を装着した300ml四口フラスコ中に、4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニル 18.0g(0.051モル)、p,p’−ジトリルアミン 10.0g(0.051モル)、スルホラン 150g、炭酸カリウム 7.0g(0.0826モル)、銅粉1.0gを入れ、220℃で30時間加熱攪拌した。反応混合物を80℃に冷却した後、反応混合物を水300mlを加え、90℃で1時間攪拌した。攪拌した後、静置し、上澄液をデカンテーションで除いた。更に、反応混合物に水300mlを加え、90℃で1時間加熱攪拌し、静置した後、上澄液をデカンテーションで取り除いた。黒色固体にジクロロメタン200mlを加え、超音波を印加しながら分散溶解した後、不溶物を濾過して取り除いた。濾液に無水硫酸ナトリウムを加えて、濾液を乾燥させた後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでヘキサン−ジクロロメタン(3:1)混合溶出液を用いて黒色色素分を除くことにより、淡い褐色の油状物を得た。再度、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでヘキサン−ジクロロメタン(5:1)混合溶出液で単離精製することにより、式
【0085】
【化27】
【0086】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる白色固体のN,N−ジ(4−メチルフェニル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No. 4の電荷輸送材料)6.6gを得た。4’−ヨード−1,1’:3’,1”−ターフェニルからの収率は30%であった。
【0087】
得られたN,N−ジ(4−メチルフェニル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミンを、日本分光工業社製赤外分光光度計IR−810にて測定した赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示し、日立製作所社製高速掃引相関核磁気共鳴装置RS−1200で測定したプロトンNMRスペクトル(四塩化炭素溶液)を図5に示した。
【0088】
<実施例2>
α型チタニルフタロシアニン2部とブチラール樹脂(商品名「エスレックBH−3」積水化学工業(株)製)1部を、ジクロロメタン52部と1,1,2−トリクロロエタン78部の混合液に添加し、サンドミル中で分散、混合して電荷発生材料分散液を得た。この分散液を塗布、乾燥して得られた塗膜のX線回折スペクトルを図6に示した。
【0089】
この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が0.1μmの膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。次に、実施例1で得た化合物No. 4の電荷輸送材料10部、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)10部を1,1,2−トリクロロエタン36部とジクロロメタン54部に溶解して得られた塗料を上記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、電荷輸送層を形成することによって図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0090】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率(DDR(%):(V10/V0 )×100)を算出した。更に、表面電位V10に対して波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2 の光で露光を行ない、表面電位がV10の半分になるまでの時間より半減露光量E1/2(μJ/cm2)を求めた。更にまた、露光開始15秒後の表面電位、即ち残留電位VR(V)を測定した。
【0091】
この表面電位の暗及び光減衰の測定結果を表1に示した。また、帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返した直後の測定結果も同様に表1に示した。
【0092】
<比較例1>
実施例2において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて式(VI)
【0093】
【化28】
【0094】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例2と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0095】
<比較例2>
実施例2において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて式(VII)
【0096】
【化29】
【0097】
(式中、Meはメチル基を表わし、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例2と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0100】
表1に示した結果から明かなように、実施例2において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の保持率が良好で、しかも半減露光量が小さい感度の良好なものであった。また、1,000回繰り返し運転後においても、良好な表面電位、表面電位保持率及び感度を有しており、更には、露光後の残留電位が小さいものであった。
【0101】
<実施例3〜8>
実施例2において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて、式
【0102】
【化30】
【0103】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.3の電荷輸送材料、式
【0104】
【化31】
【0105】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.17の電荷輸送材料、式
【0106】
【化32】
【0107】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.18の電荷輸送材料、式
【0108】
【化33】
【0109】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.20の電荷輸送材料、式
【0110】
【化34】
【0111】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.21の電荷輸送材料及び式
【0112】
【化35】
【0113】
(式中、Meはメチル基を表わし、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.38の電荷輸送材料をそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例2と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0114】
【表2】
【0115】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0116】
<実施例9>
式(VIII)
【0117】
【化36】
【0118】
で表わされるジスアゾ顔料2部を、ジオキサン97部で溶解したフェノキシ樹脂(商品名「PKHH」米国ユニオン・カーバイド(UNION CARBIDE)社製)1部の溶液中で、振動ミルを用いて電荷発生材料分散液を調製した。
【0119】
この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が1μmの膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。
【0120】
次に、実施例1で製造した化合物No. 4の電荷輸送材料10部及び市販ポリエステル樹脂(商品名「バイロン200」東洋紡社製)10部を、ジクロロメタン40部と1,1,2−トリクロロエタン60部との混合溶剤に溶解した塗料を、電荷発生層上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、電荷輸送層を形成することによって図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0121】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率(DDR:(V10/V0 )×100)を算出した。更に、表面電位V10に対して5ルックスの白色光で露光し、表面電位が初期表面電位の半分に減少するまでの時間(秒)を求め、光感度E1/2 (ルックス・秒)を求めた。更にまた、露光開始15秒後の表面電位すなわち残留電位VR(V)を測定した。
【0122】
この表面電位の暗及び光減衰の測定結果を下記表4に示した。また、帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返した直後の測定結果も同様に下記表3に示した。
【0123】
<比較例3>
実施例9において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて下式構造式(IX)
【0124】
【化37】
【0125】
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例9と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0126】
【表3】
【0127】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0128】
表3に示した結果から明かなように、実施例9において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の電位保持率が良好で、露光時における半減露光量が小さく、更に、露光後の残留電位が小さいものであった。また、1,000回繰り返し運転後においても、表面電位保持率及び感度が良好で、残留電位が小さいものであった。
【0129】
<実施例10>
下記構造式(X)
【0130】
【化38】
【0131】
で表わされるジスアゾ顔料35部を、化合物No. 4の電荷輸送材料275部及びポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)275部をジクロロメタン2475部に溶解させた溶液に加え、振動ミルにより粉砕混合して分散液を得た。この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上にワイヤーバーで塗布し、乾燥後の厚さ10μmとなるように塗布して、図3に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0132】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KV又は+6KVのコロナ放電により帯電した以外は実施例9と同様な方法により電子写真特性を測定した。その結果を下記表4に示した。
【0133】
<比較例4>
実施例10において、化合物No. 4の電荷輸送材料に代えて下記構造式(XI)
【0134】
【化39】
【0135】
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例10と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0136】
【表4】
【0137】
(表中、V0及びVRの値の単位は(V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0138】
表4から明かなように、実施例10において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電後の表面電位保持率が良好で、また、露光時の半減露光量が小さく、しかも、露光後の残留電位の小さいものであった。
【0139】
<実施例11>
[4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−N,N−ジフェニル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No.70の電荷輸送材料)の製造]
容量2リットルのビーカーに、m−ターフェニル120.0g(0.521モル)、2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−p−クレゾール149.25g(0.677モル)及びニトロメタン220mlを仕込み、液温15℃で暫時攪拌した。この混合物に、塩化アルミニウム118.11g(0.886モル)をニトロメタン240mlに溶かした溶液を15分かけて滴下し、滴下終了後、更に30分攪拌した。反応終了後、反応液を蒸留水1.5リットルに注ぎ、塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を、炭酸ナトリウム水溶液、蒸留水の順で洗浄した後、硫酸ナトリウムで一晩乾燥した後、エバポレーターにて溶媒を留去し、真空ポンプを用いて減圧乾燥した。これによりオイル状の生成物239.9gが得られた。このオイル状生成物をエタノール620ml中、室温で攪拌することにより、白色結晶が析出し、結晶を吸引ろ過した。得られた結晶をエタノール600ml中、還流下で30分攪拌した後、放冷し吸引ろ過により結晶を濾別した。得られた結晶を少量のエタノールで洗浄した後、減圧乾燥することにより46.7gの4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニルが得られた。
【0140】
このようにして得た4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル40.0g(0.117モル)、オルト過ヨウ素酸二水塩6.43g(0.0282モル)、ヨウ素14.25g(0.0561モル)、酢酸470ml、蒸留水94ml及び濃硫酸15mlを、容量2リットルのナス型フラスコに仕込み、液温80℃で4時間攪拌することにより、淡黄色の固体が析出した。反応混合物を放冷した後、反応液の上澄みをデカンテーションにより除去した。淡黄色の固体を蒸留水で洗浄した後、塩化メチレン500mlに溶解し、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、更に蒸留水で洗浄した。塩化メチレン層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、エバポレーターにて塩化メチレンを留去し、更に、真空ポンプにより減圧乾燥して、4’−ヨード−4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル59.11gを得た。
【0141】
還流冷却管と温度計及び攪拌装置を装着した容量300mlの四口フラスコ中に、上記の方法により得た4’−ヨード−4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル10.0g(0.0213モル)、ジフェニルアミン5.42g(0.032モル)、スルホラン90ml、炭酸カリウム3.14g及び銅粉2.86gを入れ、220℃で30時間加熱攪拌した。反応終了後、反応混合物を80℃に冷却した後、反応混合物に蒸留水1.5リットルを加え、90℃で1時間攪拌し、静置した後、上澄液をデカンテーションで除いた。更に、反応混合物に蒸留水1.5リットルを加え、90℃で1時間加熱攪拌し、静置した後、上澄液をデカンテーションで取り除いた。黒色固体にトルエン200mlを加え、超音波を印加して分散溶解し、不溶物を濾過して取り除いた。トルエン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでトルエンを溶出液として用いて黒色色素分を除くことにより、淡い褐色の油状物が得られた。淡い褐色の油状物を、再度、シリカゲルのカラムクロマトグラフィでヘキサン−ジクロロメタン(5:1)混合溶出液で単離した後、アセトニトニルから再結晶させて、式
【0142】
【化40】
【0143】
(式中、t−Buはターシャリーブチル基を表わす。)
で表わされる白色固体の4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−N,N−ジフェニル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミン(化合物No. 70の電荷輸送材料)2.66gを得た。
【0144】
得られた4,4’’−ジ−ターシャリ−ブチル−N,N−ジフェニル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−4’−アミンを、日本分光工業社製赤外分光光度計IR−810にて測定した赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図7に示し、日立製作所社製高速掃引相関核磁気共鳴装置RS−1200で測定したプロトンNMRスペクトル(四塩化炭素溶液)を図8に示した。
【0145】
<実施例12>
α型チタニルフタロシアニン2部とブチラール樹脂(商品名「エスレックBH−3」積水化学工業(株)製)1部を、ジクロロメタン52部と1,1,2−トリクロロエタン78部の混合溶媒に添加し、サンドミル中で分散、混合して電荷発生材料分散液を得た。この分散液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が0.1μmの膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。
【0146】
次に、実施例11で得た化合物No. 70の電荷輸送材料90部、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)100部を、クロロベンゼン105部及びジクロロメタン420部から成る混合溶媒に溶解して得られた塗料を、上記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が11μmとなるように塗布し、電荷輸送層を形成することによって図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0147】
この電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用いて、電子写真感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率DDR(%)を算出した。更に、表面電位V10に対して波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2 の光で露光を行ない、表面電位がV10の半分になるまでの時間より半減露光量E1/2(μJ/cm2)を求めた。更にまた、露光開始15秒後の表面電位、即ち残留電位VR (V)を測定した。
【0148】
この表面電位の暗減衰及び光減衰の測定結果を下記表5に示した。
【0149】
<実施例13>
実施例12において、化合物No. 70の電荷輸送材料に代えて、式
【0150】
【化41】
【0151】
(式中、Meはメチル基を表わし、t−Buはターシャリーブチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.71の電荷輸送材料を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表5に示した。
【0152】
<比較例5>
実施例12において、化合物No. 70の電荷輸送材料に代えて式(XII)
【0153】
【化42】
【0154】
(式中、Meはメチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表5に示した。
【0155】
【表5】
【0156】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0157】
表5に示した結果から明らかなように、実施例12及び実施例13において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の電位保持率が良好で、露光時における半減露光量が小さく、更に露光後の残留電位が小さいものであった。
【0158】
<実施例14>
実施例12において、化合物No.70の電荷輸送材料90部に代えて式(XIII)
【0159】
【化43】
【0160】
(式中、Etはエチル基を表わす。)
で表わされる電荷輸送材料36部と式
【0161】
【化44】
【0162】
(式中、Meはメチル基を表わし、t−Buはターシャリーブチル基を表わす。)
で表わされる化合物No.74の電荷輸送材料9部の混合物を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表6に示した。
【0163】
更に帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返した直後の測定結果も同様に表6に示した。
【0164】
<比較例6>
実施例12において、化合物No. 70の電荷輸送材料90部に代えて実施例14で使用した式(XIII)で表わされる電荷輸送材料45部を用いた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例12と同様な方法で電子写真感光体の評価を行った。その結果を下記表6に示した。
【0165】
更に帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、白色光による除電0.1秒間のプロセスを1,000回繰り返し直後の測定結果も同様に下記表6に示した。
【0166】
【表6】
【0167】
(表中、V0及びVRの値の単位は(−V)であり、DDRの値の単位は(%)であり、E1/2の値の単位は(μJ/cm2)である。)
【0168】
表6から明らかなように、実施例14において使用した電子写真感光体は、コロナ帯電時の表面電位が高く、また、その表面電位の電位保持率が良好で、露光時における半減露光量が小さく、更に露光後の残留電位が小さいものであった。また、1,000回繰り返し使用後においても、良好な表面電位、表面電位保持率及び感度を有しており、更には、露光後の残留電位が小さいものであった。
【0169】
【発明の効果】
本発明のターフェニル誘導体は、光導電性材料として耐久性に優れ、感度が高く、繰り返し使用時の電気特性安定性に優れた電子写真感光体を提供するための材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体が取り得る層構成を一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体が取り得る層構成を一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体が取り得る層構成を一例を示す模式断面図である。
【図4】化合物No. 4のターフェニル誘導体の赤外吸収スペクトルである。
【図5】化合物No. 4のターフェニル誘導体のNMRスペクトルである。
【図6】実施例3で得た電荷発生層塗膜のX線回折スペクトルである。
【図7】化合物No. 70のターフェニル誘導体の赤外吸収スペクトルである。
【図8】化合物No. 70のターフェニル誘導体のNMRスペクトルである。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4a 感光層
4b 感光層
4c 感光層
5 電荷発生材料
6 電荷移動媒体
7 電子写真感光体
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