JP3718508B2 - 電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタまたはファクシミリ装置などには、電子写真方式の画像形成装置(以下、単に「電子写真装置」とも称する)が多用されている。電子写真装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)の表面を、帯電ローラなどの帯電手段によって所定の電位に一様に帯電させる。帯電された感光体の表面に対して画像情報に応じた露光を施し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像を、トナーなどを含む現像剤で現像し、トナー画像として顕像化する。形成されたトナー画像を感光体の表面から紙などの記録媒体上に転写し、転写されたトナー画像を定着させることによって画像を形成する。転写動作後に記録媒体に転写されずに感光体表面に残留するトナーは、クリーニングブレードなどによって除去される。その後、感光体の表面電荷が除電ランプからの光によって除電されることによって、感光体表面の静電潜像が消失する。
【0003】
電子写真感光体は、導電性材料から成る導電性支持体と、導電性支持体上に設けられる感光層とを含んで構成される。従来から、電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛またはカドミウムなどの無機光導電性材料を主成分とする感光層を備える無機感光体が広く用いられている。無機感光体は、感光体としての基礎特性をある程度は備えているけれども、感光層の成膜が困難で、可塑性が悪く、製造原価が高いなどの問題がある。また無機光導電性材料は一般に毒性が強く、製造上および取扱い上、大きな制約がある。
【0004】
これに対し、有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に電子写真感光体の主力として開発されてきている。初期の有機感光体は感度および耐久性に欠点を有していたけれども、これらの欠点は電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型電子写真感光体の開発によって著しく改善されている。
【0005】
機能分離型感光体には積層型と単層型とがあり、積層型の感光体では、たとえば電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて成る光導電層が感光層として設けられる。また単層型の感光体では、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単一の光導電層が感光層として設けられる。機能分離型感光体は、感光層を構成する電荷発生物質および電荷輸送物質などの材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
【0006】
このような機能分離型感光体に使用される電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料およびピリリウム塩系色素などの多種の物質が検討され、耐光性が強く、電荷発生能力の高い種々の材料が提案されている。
【0007】
一方、電荷輸送物質としては、たとえばピラゾリン化合物(たとえば、特許文献1参照)、ヒドラゾン化合物(たとえば、特許文献2、特許文献3および特許文献4参照)、トリフェニルアミン化合物(たとえば、特許文献5および特許文献6参照)およびスチルベン化合物(たとえば、特許文献7および特許文献8参照)などの種々の化合物が知られている。最近では、縮合多環式炭化水素系をその中心母核に持つ、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体およびターフェニル誘導体(たとえば、特許文献9参照)なども開発されている。
【0008】
電荷輸送物質には、
(1)光および熱に対して安定であること、
(2)感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、窒素酸化物(NOx)および硝酸などの活性ガスに対して安定であること、
(3)高い電荷輸送能力を有すること、
(4)有機溶剤や結着剤との相溶性が高いこと、
(5)製造が容易で安価であること
などが要求される。しかしながら、前述の電荷輸送物質は、これらの要求の一部を満足するけれども、すべてを高いレベルで満足するには至っていない。
【0009】
また、電荷輸送物質には、前述の要求の中でも、特に、高い電荷輸送能力を有することが求められる。たとえば、電荷輸送物質がバインダ樹脂に分散されて成る電荷輸送層が感光体の表面層となる場合、充分な光応答性を確保するために、電荷輸送物質には高い電荷輸送能力が求められる。
【0010】
感光体が複写機またはレーザビームプリンタなどの電子写真装置に搭載されて使用される際、感光体の表面層は、クリーニングブレードや帯電ローラなどの接触部材によってその一部が削り取られることを余儀なくされる。感光体の表面層が削り取られると、感光体の帯電保持能が低下し、高品質の画像を提供することができなくなる。したがって、複写機やレーザビームプリンタなどの高耐久化のためには、前述の接触部材に対して強い表面層、すなわち前述の接触部材によって削り取られる量の少ない耐刷性の高い表面層を有する耐久性の高い感光体が求められる。
【0011】
表面層の耐刷性を高くして感光体の耐久性を向上させるためには、表面層となる電荷輸送層中のバインダ樹脂の含有率を高くすることが考えられる。しかしながら、電荷輸送層中のバインダ樹脂の含有率を高くすると、感光体の光応答性が低下するという問題が生じる。感光体の光応答性が低い、すなわち露光後の表面電位の減衰速度が遅いと、残留電位が上昇し、感光体の表面電位が充分に減衰していない状態で繰返し使用されることになるので、露光によって消去されるべき部分の表面電荷が充分に消去されず、早期に画像品質が低下するなどの弊害が生じる。
【0012】
この光応答性の低下は、電荷輸送物質の電荷輸送能力が低いことに起因する。機能分離型感光体では、光吸収によって電荷発生物質で発生した電荷が電荷輸送物質によって感光体表面に輸送されることによって、光が照射された部分の感光体の表面電荷が消去される。このため、バインダ樹脂の含有率の増加に伴って相対的に電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有率が低下した際、電荷輸送物質の電荷輸送能力が低いと、電荷輸送層の電荷輸送能力が一層低下し、前述のように光応答性が低下する。したがって、この光応答性の低下を防ぎ、充分な光応答性を確保するために、電荷輸送物質には高い電荷輸送能力が求められる。
【0013】
また最近では、デジタル複写機およびプリンタなどの電子写真装置の小型化および高速化が進み、感光体特性として、電子写真装置の高速化に対応した高感度化が要求されており、電荷輸送物質にはますます高い電荷輸送能力が求められている。また高速の電子写真プロセスでは、露光から現像までの時間が短いので、光応答性の高い感光体が求められる。感光体の光応答性は、前述のように電荷輸送物質の電荷輸送能力に依存するので、このような観点からもより高い電荷輸送能力を有する電荷輸送物質が求められる。
【0014】
このような要求を満たす電荷輸送物質として、前述の電荷輸送物質よりも高い電荷移動度を有するエナミン化合物が提案されている(たとえば、特許文献10、特許文献11および特許文献12参照)。
【0015】
また、ポリシランを含有させることによって高い電荷輸送能力を持たせ、さらに特定の構造を有するエナミン化合物を含有させることによって帯電能および膜強度を改善した感光体が提案されている(特許文献13参照)。
【0016】
一方、電子写真プロセスにおいて、感光体は、コロナ放電による帯電時に発生するオゾンやNOxなどの活性ガス、露光や除電に使用される光に含まれる紫外線や熱などに曝される。感光体が前述の活性ガスや紫外線、熱などに曝されると、感光層中に遊離ラジカルが発生し、感光層を構成する材料の分解や劣化が引起される。したがって、電荷輸送物質には、前述のように光や熱、オゾンやNOxなどの活性ガスに対して安定であることが求められる。しかしながら、このような要求を満足する電荷輸送物質は得られておらず、感光体を繰返し使用した場合、感光層を構成する材料、特に電荷輸送物質の分解や劣化に起因して、帯電電位の低下、残留電位の上昇、感度低下などの疲労劣化が生じ、画像品質が劣化するという問題が生じる。
【0017】
電荷輸送物質などの分解や劣化を防止し、繰返し使用した際の疲労劣化を軽減するための技術としては、感光層に酸化防止剤や光安定剤などを添加することが知られている(たとえば、特許文献14参照)。しかしながら、感光層に酸化防止剤や光安定剤などを添加すると、疲労劣化を軽減することはできるけれども、感度および光応答性が低下するという問題が生じる。この感度や光応答性の低下は、低温環境下において、特に顕著に現れる。
【0018】
酸化防止剤や光安定剤などを添加した際の感度および光応答性の低下を抑えるためには、電荷移動度の高い電荷輸送物質を用いることが考えられる。そこで、酸化防止剤や光安定剤を特定の電荷輸送物質と組み合わせて用いることが検討されている。たとえば、ヒドラゾン化合物と酸化防止剤の組み合わせ(特許文献15参照)、アルケニルアミン化合物と酸化防止剤の組み合わせ(特許文献16参照)、ジアミン化合物と光安定剤の組み合わせ(特許文献17参照)が提案されている。
【0019】
【特許文献1】
特公昭52−4188号公報
【特許文献2】
特開昭54−150128号公報
【特許文献3】
特公昭55−42380号公報
【特許文献4】
特開昭55−52063号公報
【特許文献5】
特公昭58−32372号公報
【特許文献6】
特開平2−190862号公報
【特許文献7】
特開昭54−151955号公報
【特許文献8】
特開昭58−198043号公報
【特許文献9】
特開平7−48324号公報
【特許文献10】
特開平2−51162号公報
【特許文献11】
特開平6−43674号公報
【特許文献12】
特開平10−69107号公報
【特許文献13】
特開平7−134430号公報
【特許文献14】
特許第2730744号公報
【特許文献15】
特開昭64−44946号公報
【特許文献16】
特開平11−271995号公報
【特許文献17】
特開2001−51434号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許文献15、特許文献16および特許文献17に記載の感光体のように、酸化防止剤や光安定剤を特定の電荷輸送物質と組み合わせて用いた場合にも、初期感度の良好なものは繰り返し使用による劣化が充分に改善されず、また繰り返し使用による劣化が少ないものは初期感度、帯電性が充分でないという問題がある。
【0021】
また酸化防止剤や光安定剤を前述の特許文献10、特許文献11または特許文献12に記載の電荷移動度の高いエナミン化合物と組み合わせて用いても、低温環境下では充分な感度および光応答性を得ることはできない。また特許文献13に記載の感光体では、ポリシランを含有させることによって高い電荷輸送能力を持たせているけれども、ポリシランを用いた感光体は、光暴露に弱く、光安定剤を感光層に添加したとしても、メンテナンス時などに光に曝されることによって感光体としての諸特性が低下するという問題がある。
【0022】
本発明の目的は、高感度で、光応答性に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であってもそれらの特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真用感光体およびそれを備える画像形成装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性材料から成る導電性支持体と、
前記導電性支持体上に設けられ、下記一般式(1)で示されるエナミン化合物、ならびに酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方を含有する感光層を有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0024】
【化5】
Figure 0003718508
【0025】
(式中、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。)
【0026】
本発明に従えば、電子写真感光体は導電性支持体と感光層とを有し、感光層には、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物と、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方とが含有される。ここで、感光層とは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単一の光導電層で構成される感光層、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて成る光導電層で構成される感光層、およびこれらの光導電層上にさらに表面保護層が積層されて成る感光層のいずれであってもよい。前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、高い電荷移動度を有するので、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を電荷輸送物質として感光層に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下または高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても前述の特性の低下しない電子写真感光体を得ることができる。また感光層にポリシランを含有させることなく、高い電荷輸送能力を実現することができるので、前述の特性は、電子写真感光体が光に曝された場合であっても低下しない。
【0027】
また感光層には、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有されるので、繰返し使用された際の疲労劣化を軽減し、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。これは、感光層に含有される酸化防止剤や光安定剤が、コロナ放電による帯電時に発生するオゾンおよびNOなどの活性ガス、ならびに露光や除電に使用される光に含まれる紫外線および熱などによって感光層中に発生する遊離ラジカルと優先的に反応することによって、電荷輸送物質として含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化が防止されることによると推察される。また、感光層に酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有される場合、塗布によって感光層を形成する際に、塗布液中に酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有されることになるので、塗布液の安定性を向上させることができる。したがって、塗布液の調製後、すぐに感光層を形成する場合であっても、長期間経過してから感光層を形成する場合であっても、略等しい特性を有する電子写真感光体を製造することができるので、電子写真感光体の品質安定性および生産性を向上させることができる。
【0028】
本発明の電子写真感光体は、前述のように前記一般式(1)で示される電荷移動度の高いエナミン化合物を電荷輸送物質として感光層に含有するので、酸化防止剤や光安定剤を感光層に含有させても、感度および光応答性は低下しない。
【0029】
したがって、前述のように、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物と、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方とを組合せて感光層に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真感光体を得ることができる。
【0030】
また本発明は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物であることを特徴とする。
【0031】
【化6】
Figure 0003718508
【0032】
(式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0033】
本発明に従えば、感光層には、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、特に高い電荷移動度を有する前記一般式(2)で示されるエナミン化合物が含有されるので、感度および光応答性のさらに高い電子写真感光体を得ることができる。また、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、合成が比較的容易で、かつ収率が高いので、安価に製造することができる。したがって、前述のように優れた特性を有する前記本発明の電子写真感光体を低い製造原価で製造することができる。
【0034】
また本発明は、前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール構造単位を有するヒンダードフェノール化合物であることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、前記ヒンダードフェノール化合物は、下記構造式(I−a)で示される化合物であることを特徴とする。
【0036】
【化7】
Figure 0003718508
【0037】
本発明に従えば、感光層には、酸化防止剤として、ヒンダードフェノール構造単位を有するヒンダードフェノール化合物、好ましくは前記構造式(I−a)で示されるヒンダードフェノール化合物が含有される。ヒンダードフェノール化合物、特に前記構造式(I−a)で示されるヒンダードフェノール化合物を感光層に含有させることによって、電荷輸送物質として感光層に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0038】
また本発明は、前記酸化防止剤は、リン系酸化防止剤であることを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、感光層には、リン系酸化防止剤が含有される。リン系酸化防止剤を感光層に含有させることによって、電荷輸送物質として感光層に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0040】
また本発明は、前記酸化防止剤は、有機イオウ系酸化防止剤であることを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、感光層には、有機イオウ系酸化防止剤が含有される。有機イオウ系酸化防止剤を感光層に含有させることによって、電荷輸送物質として感光層に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0042】
また本発明は、前記光安定剤は、ヒンダードアミン構造単位を有するヒンダードアミン化合物であることを特徴とする。
【0043】
また本発明は、前記ヒンダードアミン化合物は、下記構造式(II−a)で示される化合物であることを特徴とする。
【0044】
【化8】
Figure 0003718508
【0045】
本発明に従えば、感光層には、光安定剤として、ヒンダードアミン構造単位を有するヒンダードアミン化合物、好ましくは前記構造式(II−a)で示されるヒンダードアミン化合物が含有される。ヒンダードアミン化合物、特に前記構造式(II−a)で示されるヒンダードアミン化合物を感光層に含有させることによって、電荷輸送物質として感光層に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0046】
また本発明は、前記光安定剤は、ベンゾトリアゾール誘導体であることを特徴とする。
【0047】
本発明に従えば、感光層には、光安定剤として、ベンゾトリアゾール誘導体が含有される。ベンゾトリアゾール誘導体を感光層に含有させることによって、電荷輸送物質として感光層に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0048】
また本発明は、前記感光層は、前記酸化防止剤を0.1〜15重量%含有することを特徴とする。
【0049】
本発明に従えば、感光層に含有される酸化防止剤の含有量が好適な範囲に選択されるので、電子写真感光体の耐久性の向上および塗布液の安定性の向上に充分な効果を得ることができるとともに、酸化防止剤を含有させることによる電子写真感光体の特性の低下を最小限に抑えることができる。
【0050】
また本発明は、前記感光層は、前記光安定剤を0.1〜10重量%含有することを特徴とする。
【0051】
本発明に従えば、感光層に含有される光安定剤の含有量が好適な範囲に選択されるので、電子写真感光体の耐久性の向上および塗布液の安定性の向上に充分な効果を得ることができるとともに、光安定剤を含有させることによる電子写真感光体の特性の低下を最小限に抑えることができる。
【0052】
また本発明は、前記本発明の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、
露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0053】
本発明に従えば、画像形成装置は、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段とを備える。前記本発明の電子写真感光体は、前述のように、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下または高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化が少なく、高い信頼性を有する。したがって、各種の環境下において、長期に渡って安定して高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。また、前記本発明の電子写真感光体は、光に曝された場合であっても前述の特性の低下することがないので、メンテナンス時などに電子写真感光体が光に曝されることに起因する画質の低下を防ぎ、画像形成装置の信頼性を向上させることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
図1(a)は、本発明の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す斜視図である。図1(b)は、電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。電子写真感光体1(以下、単に「感光体」とも称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性支持体11と、導電性支持体11の外周面上に設けられる感光層14とを含んで構成される。感光層14は、光を吸収することによって電荷を発生させる電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷発生物質12で発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質13を含有する電荷輸送層16とが、導電性支持体11の外周面上にこの順序で積層されて成る光導電層で構成される。すなわち、電子写真感光体1は、積層型感光体である。
【0056】
感光層14は、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方を含有する。酸化防止剤や光安定剤は、感光層14を構成する電荷発生層15および電荷輸送層16のいずれに含有されてもよく、また電荷発生層15と電荷輸送層16との両方に含有されてもよい。少なくとも電荷輸送層16には、酸化防止剤や光安定剤が含有されることが好ましい。
【0057】
電荷輸送層16に含有される電荷輸送物質13には、下記一般式(1)で示されるエナミン化合物が用いられる。
【0058】
【化9】
Figure 0003718508
【0059】
前記一般式(1)において、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。
【0060】
前記一般式(1)において、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,a,R,RまたはRの示すアリール基の具体例としては、たとえばフェニル、ナフチル、ピレニルおよびアントリルなどを挙げることができる。これらのアリール基が有することのできる置換基としては、たとえばメチル、エチル、プロピルおよびトリフルオロメチルなどのアルキル基、2−プロペニルおよびスチリルなどのアルケニル基、メトキシ、エトキシおよびプロポキシなどのアルコキシ基、メチルアミノおよびジメチルアミノなどのアミノ基、フルオロ、クロロおよびブロモなどのハロゲン基、フェニルおよびナフチルなどのアリール基、フェノキシなどのアリールオキシ基、チオフェノキシなどのアリールチオ基などを挙げることができる。このような置換基を有するアリール基の具体例としては、たとえばトリル、メトキシフェニル、ビフェニリル、テルフェニル、フェノキシフェニル、p−(フェニルチオ)フェニルおよびp−スチリルフェニルなどを挙げることができる。
【0061】
前記一般式(1)において、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,RまたはRの示す複素環基の具体例としては、たとえばフリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリルおよびベンゾオキサゾリルなどを挙げることができる。これらの複素環基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができ、置換基を有する複素環基の具体例としては、たとえばN−メチルインドリルおよびN−エチルカルバゾリルなどを挙げることができる。
【0062】
前記一般式(1)において、Ar,Ar,Ar,R,RまたはRの示すアラルキル基の具体例としては、たとえばベンジルおよび1−ナフチルメチルなどを挙げることができる。これらのアラルキル基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができ、置換基を有するアラルキル基の具体例としては、たとえばp−メトキシベンジルなどを挙げることができる。
【0063】
前記一般式(1)において、Ar,Ar,Ar,a,R,R,RまたはRの示すアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、具体例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルなどの鎖状アルキル基、ならびにシクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのシクロアルキル基などを挙げることができる。これらのアルキル基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができ、置換基を有するアルキル基の具体例としては、たとえばトリフルオロメチルおよびフルオロメチルなどのハロゲン化アルキル基、1−メトキシエチルなどのアルコキシアルキル基、ならびに2−チエニルメチルなどの複素環基で置換されたアルキル基などを挙げることができる。
【0064】
前記一般式(1)において、aの示すアルコキシ基としては、炭素数1〜4のものが好ましく、具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどを挙げることができる。これらのアルコキシ基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができる。
【0065】
前記一般式(1)において、aの示すジアルキルアミノ基としては、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたものが好ましく、具体例としては、たとえばジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどを挙げることができる。これらのジアルキルアミノ基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができる。
【0066】
前記一般式(1)において、aまたはRの示すハロゲン原子の具体例としては、たとえばフッ素原子および塩素原子などを挙げることができる。
【0067】
前記一般式(1)において、ArとArとを結合する原子の具体例としては、たとえば酸素原子、硫黄原子および窒素原子などを挙げることができる。窒素原子は、たとえばイミノ基またはN−アルキルイミノ基などの2価基としてArとArとを結合することができる。ArとArとを結合する原子団の具体例としては、たとえばメチレン、エチレンおよびメチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレンおよびプロペニレンなどのアルケニレン基、オキシメチレン(化学式:−O−CH−)などのヘテロ原子を含むアルキレン基、ならびにチオビニレン(化学式:−S−CH=CH−)などのヘテロ原子を含むアルケニレン基などの2価基などを挙げることができる。
【0068】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、高い電荷移動度を有するので、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を電荷輸送物質13として感光層14に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下または高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても前述の特性の低下しない電子写真感光体1を得ることができる。また感光層14にポリシランを含有させることなく、高い電荷輸送能力を実現することができるので、前述の特性は、電子写真感光体1が光に曝された場合であっても低下しない。
【0069】
また感光層14には、前述のように酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有されるので、繰返し使用された際の疲労劣化を軽減し、電子写真感光体1の耐久性を向上させることができる。これは、感光層14に含有される酸化防止剤や光安定剤が、コロナ放電による帯電時に発生するオゾンおよびNOなどの活性ガス、ならびに露光や除電に使用される光に含まれる紫外線および熱などによって感光層14中に発生する遊離ラジカルと優先的に反応することによって、電荷輸送物質13として含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化が防止されることによると推察される。また、感光層14に酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有される場合、塗布によって感光層14を形成する際に、塗布液中に酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有されることになるので、塗布液の安定性を向上させることができる。したがって、塗布液の調製後、すぐに感光層14を形成する場合であっても、長期間経過してから感光層14を形成する場合であっても、略等しい特性を有する電子写真感光体1を製造することができるので、電子写真感光体1の品質安定性および生産性を向上させることができる。
【0070】
このように感光層14に酸化防止剤や光安定剤を含有させる場合、感度および光応答性の低下することがあるけれども、本実施形態の電子写真感光体1は、前述のように前記一般式(1)で示される電荷移動度の高いエナミン化合物を電荷輸送物質13として感光層14に含有するので、酸化防止剤や光安定剤を感光層14に含有させても、感度および光応答性は低下しない。
【0071】
したがって、前述のように、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物と、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方とを組合せて感光層14に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真感光体1を得ることができる。
【0072】
電荷輸送物質13には、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物が好適に用いられる。
【0073】
【化10】
Figure 0003718508
【0074】
前記一般式(2)において、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0075】
前記一般式(2)において、b,cまたはdの示すアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、具体例としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルなどの鎖状アルキル基、ならびにシクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのシクロアルキル基などを挙げることができる。これらのアルキル基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができ、置換基を有するアルキル基の具体例としては、たとえばトリフルオロメチルおよびフルオロメチルなどのハロゲン化アルキル基、1−メトキシエチルなどのアルコキシアルキル基、ならびに2−チエニルメチルなどの複素環基で置換されたアルキル基などを挙げることができる。
【0076】
前記一般式(2)において、b,cまたはdの示すアルコキシ基としては、炭素数1〜4のものが好ましく、具体例としては、たとえばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどを挙げることができる。これらのアルコキシ基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができる。
【0077】
前記一般式(2)において、b,cまたはdの示すジアルキルアミノ基としては、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたものが好ましく、具体例としては、たとえばジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどを挙げることができる。これらのジアルキルアミノ基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができる。
【0078】
前記一般式(2)において、b,cまたはdの示すアリール基の具体例としては、たとえばフェニルおよびナフチルなどを挙げることができる。これらのアリール基が有することのできる置換基としては、前述のArなどの示すアリール基が有することのできる置換基と同様の置換基を挙げることができ、置換基を有するアリール基の具体例としては、たとえばトリルおよびメトキシフェニルなどを挙げることができる。
【0079】
前記一般式(2)において、b,cまたはdの示すハロゲン原子の具体例としては、たとえばフッ素原子および塩素原子などを挙げることができる。
【0080】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、特に高い電荷移動度を有するので、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を電荷輸送物質13に用いることによって、感度および光応答性のさらに高い電子写真感光体を得ることができる。
【0081】
また前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、合成が比較的容易で、かつ収率が高いので、安価に製造することができる。したがって、前述のように優れた特性を有する本実施形態の電子写真感光体1を低い製造原価で製造することができる。
【0082】
また、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物のうち、特性、原価および生産性などの観点から特に優れた化合物としては、ArおよびArが共にフェニル基であり、Arがフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基またはチエニル基であり、ArおよびArのうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基またはチアゾリル基であり、R,R,RおよびRが共に水素原子であり、nが1であるものを挙げることができる。
【0083】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の具体例としては、たとえば以下の表1〜表32に示す例示化合物No.1〜No.220を挙げることができるけれども、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、これらに限定されるものではない。なお、表1〜表32では、各例示化合物を前記一般式(1)の各基に対応する基で表している。たとえば、表1に示す例示化合物No.1は、下記構造式(1−1)で示されるエナミン化合物である。ただし、表1〜表32において、ArおよびArが互いに結合し環構造を形成するものを例示する場合には、Arの欄からArの欄に渡って、ArおよびArの結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にArおよびArが形成する環構造とを合わせて示す。
【0084】
【化11】
Figure 0003718508
【0085】
【表1】
Figure 0003718508
【0086】
【表2】
Figure 0003718508
【0087】
【表3】
Figure 0003718508
【0088】
【表4】
Figure 0003718508
【0089】
【表5】
Figure 0003718508
【0090】
【表6】
Figure 0003718508
【0091】
【表7】
Figure 0003718508
【0092】
【表8】
Figure 0003718508
【0093】
【表9】
Figure 0003718508
【0094】
【表10】
Figure 0003718508
【0095】
【表11】
Figure 0003718508
【0096】
【表12】
Figure 0003718508
【0097】
【表13】
Figure 0003718508
【0098】
【表14】
Figure 0003718508
【0099】
【表15】
Figure 0003718508
【0100】
【表16】
Figure 0003718508
【0101】
【表17】
Figure 0003718508
【0102】
【表18】
Figure 0003718508
【0103】
【表19】
Figure 0003718508
【0104】
【表20】
Figure 0003718508
【0105】
【表21】
Figure 0003718508
【0106】
【表22】
Figure 0003718508
【0107】
【表23】
Figure 0003718508
【0108】
【表24】
Figure 0003718508
【0109】
【表25】
Figure 0003718508
【0110】
【表26】
Figure 0003718508
【0111】
【表27】
Figure 0003718508
【0112】
【表28】
Figure 0003718508
【0113】
【表29】
Figure 0003718508
【0114】
【表30】
Figure 0003718508
【0115】
【表31】
Figure 0003718508
【0116】
【表32】
Figure 0003718508
【0117】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0118】
まず、下記一般式(3)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、下記一般式(4)で示される2級アミン化合物との脱水縮合反応を行うことによって、下記一般式(5)で示されるエナミン中間体を製造する。
【0119】
【化12】
Figure 0003718508
【0120】
(式中、Ar,ArおよびRは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0121】
【化13】
Figure 0003718508
【0122】
(式中、Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0123】
【化14】
Figure 0003718508
【0124】
(式中、Ar,Ar,Ar,R,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0125】
この脱水縮合反応は、たとえば以下のように行う。前記一般式(3)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、これと略等モル量の前記一般式(4)で示される2級アミン化合物とを、芳香族系溶媒、アルコール類またはエーテル類などの溶媒に溶解させ、溶液を調製する。用いる溶媒の具体例としては、たとえばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ブタノールおよびジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。調製した溶液中に、触媒、たとえばp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはピリジニュウム−p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を加え、加熱下で反応させる。触媒の添加量は、前記一般式(3)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物に対して、10分の1(1/10)〜1000分の1(1/1000)モル当量であることが好ましく、より好ましくは25分の1(1/25)〜500分の1(1/500)モル当量であり、50分の1(1/50)〜200分の1(1/200)モル当量が最適である。反応中、水が副成し反応を妨げるので、生成した水を溶媒と共沸させ系外に取除く。これによって、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体を高収率で製造することができる。
【0126】
次に、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うことによって、下記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うと、下記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うと、下記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を製造することができる。
【0127】
【化15】
Figure 0003718508
【0128】
(式中、Rは、前記一般式(1)において、nが0のときRを示し、nが1,2または3のときRを示す。Ar,Ar,Ar,R,R,R,a,mおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0129】
ビルスマイヤー反応は、たとえば以下のように行う。N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−Dimethylformamide;略称:DMF)または1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中に、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミド、オキシ塩化リンとN−メチル−N−フェニルホルムアミド、またはオキシ塩化リンとN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、ビルスマイヤー試薬を調製する。調製したビルスマイヤー試薬1.0当量〜1.3当量に、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体1.0当量を加え、60〜110℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
【0130】
また、フリーデル−クラフト反応は、たとえば以下のように行う。1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中に、塩化アルミニウムと酸塩化物とによって調製した試薬1.0当量〜1.3当量と、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体1.0当量とを加え、−40〜80℃で、2〜8時間撹拌する。このとき、場合によっては加熱する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を高収率で製造することができる。
【0131】
最後に、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体と下記一般式(7−1)または(7−2)で示されるWittig試薬とを塩基性条件下で反応させるWittig−Horner反応を行うことによって、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を製造することができる。このとき、下記一般式(7−1)で示されるWittig試薬を用いると、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物のうち、nが0であるものを得ることができ、下記一般式(7−2)で示されるWittig試薬を用いると、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物のうち、nが1,2または3であるものを得ることができる。
【0132】
【化16】
Figure 0003718508
【0133】
(式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。ArおよびArは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0134】
【化17】
Figure 0003718508
【0135】
(式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。nは1〜3の整数を示す。Ar,Ar,R,RおよびRは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0136】
このWittig−Horner反応は、たとえば以下のように行う。トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran;略称:THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの溶媒中に、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(7−1)または(7−2)で示されるWittig試薬1.0〜1.20当量と、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイドまたはナトリウムメトキサイドなどの金属アルコキシド塩基1.0〜1.5当量とを加え、室温または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。これによって、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を高収率で製造することができる。
【0137】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、たとえば前述の表1〜表32に示す例示化合物からなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
【0138】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、他の電荷輸送物質と混合されて使用されてもよい。前記一般式(1)で示されるエナミン化合物に混合されて使用される他の電荷輸送物質としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセンなども挙げられる。
【0139】
しかしながら、特に高い電荷輸送能力を実現するためには、電荷輸送物質13の全量が、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物であることが好ましい。
【0140】
感光層14に含有される酸化防止剤としては、一般に樹脂などに添加して利用される酸化防止剤をそのまま使用することができ、たとえばヒンダードフェノール化合物、リン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、ハイドロキノン誘導体、パラフェニレンジアミン誘導体またはトコフェロール化合物などが用いられる。
【0141】
前述の酸化防止剤の中でも、ヒンダードフェノール化合物、リン系酸化防止剤または有機イオウ系酸化防止剤が好適に用いられる。これらの酸化防止剤を用いることによって、電荷輸送物質13として感光層14に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体1の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層14を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体1の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0142】
本明細書において、ヒンダードフェノール化合物とは、ヒンダードフェノール構造単位を有する化合物のことであり、ヒンダードフェノール構造単位とは、フェノール性水酸基(−OH)の近傍に嵩高い原子団を有するフェノール化合物に由来する構造単位のことである。嵩高い原子団としては、たとえば分枝状アルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基および複素環基などを挙げることができる。
【0143】
ヒンダードフェノール構造単位は、下記一般式(I)で示されることが好ましい。
【0144】
【化18】
Figure 0003718508
【0145】
前記一般式(I)において、R11は、分枝状アルキル基、炭素数8以上の直鎖状アルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基、多置換シリル基、環状基を含む1価基または炭素数4以上のアルキル基を含む1価基を示す。R12,R13およびR14は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または1価の有機残基を示し、R12,R13およびR14のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成してもよい。R15は、水素原子または1価の有機残基を示す。
【0146】
前記一般式(I)において、R11の示す分枝状アルキル基としては、炭素数3〜18のものが好ましく、具体例としては、たとえばt−ブチル、t−ペンチルおよびt−オクチルなどのt−アルキル基、ならびにs−ブチル、s−オクチルおよびs−オクタデシルなどのs−アルキル基などを挙げることができる。
【0147】
11の示す炭素数8以上の直鎖状アルキル基としては、炭素数12〜18のものが好ましい。
【0148】
11の示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数2〜12のものが好ましく、具体例としては、たとえば2−プロペニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニルおよび1,4−ヘキサジエニルなどのアルケニル基、エチニルおよび2−ヘキシニルなどのアルキニル基、ならびに2−ペンテン−4−インイルおよび1−ヘプテン−5−インイルなどの炭素−炭素間の二重結合と三重結合とを有する脂肪族炭化水素基などを挙げることができる。
【0149】
11の示す脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜8のものが好ましく、具体例としては、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルおよび1−メチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、2−シクロペンテン−1−イルおよび1−シクロヘキセニルなどのシクロアルケニル基、2−シクロヘキシン−1−イルなどのシクロアルキニル基、ならびに2−シクロデセン−5−イン−1−イルなどの炭素−炭素間の二重結合と三重結合とを有する脂環式炭化水素基などを挙げることができる。
【0150】
11の示すアリール基の具体例としては、たとえばフェニル、ナフチル、アントリルおよびビフェニリルなどを挙げることができる。
【0151】
11の示す複素環基の具体例としては、たとえばチエニル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニルおよびベンゾチアゾリルなどを挙げることができる。
【0152】
11の示す多置換シリル基の具体例としては、たとえばトリメチルシリルおよびトリイソプロピルシリルなどの三置換シリル基、ならびにジメチルシリルおよびジフェニルシリルなどの二置換シリル基などを挙げることができる。
【0153】
11の示す環状基を含む1価基は、環状基として、前述の脂環式炭化水素基、アリール基または複素環基などを含むことが好ましい。R11の示す環状基を含む1価基の具体例としては、たとえばベンジル、フェネチル、1−ナフチルメチルおよび1−メチルベンジルなどのアラルキル基、フェニルホスフィノ、ジフェニルホスフィノおよびエチルフェニルホスフィノなどのアリール基で置換されたホスフィノ基、シクロヘキシルメチルおよび1−シクロヘキシル−1−メチルエチルなどのシクロアルキルアルキル基、フェノキシなどのアリールオキシ基、チオフェノキシなどのアリールチオ基、ならびにフルフリル、ピペリジノメチルおよびチエニルメチルなどの複素環基で置換されたアルキル基などを挙げることができる。
【0154】
11の示す炭素数4以上のアルキル基を含む1価基は、炭素数4以上のアルキル基として、炭素数4〜18のアルキル基を含むことが好ましい。R11の示す炭素数4以上のアルキル基を含む1価基の具体例としては、たとえばヘプチルカルボニルアミノおよびN−メチルオクチルカルボニルアミノなどのアルキルカルボニルアミノ基、オクチルチオメチル、デシルチオエチルおよびペンチルチオエチルなどのアルキルチオアルキル基、ならびにヘプチルオキシメチル、2−ドデシルオキシエチルおよびヘキシルオキシエチルなどのアルコキシアルキル基などを挙げることができる。
【0155】
前記一般式(I)において、R12,R13またはR14の示すハロゲン原子としては、たとえばフッ素原子および塩素原子などを挙げることができる。
【0156】
12,R13またはR14の示す1価の有機残基としては、たとえばメチル、エチル、t−ペンチル、ヘキシルおよびオクチルなどのアルキル基、フェニル、ナフチル、アントリルおよびビフェニリルなどのアリール基、ベンジル、フェネチル、1−ナフチルメチルおよび1−メチルベンジルなどのアラルキル基、ピリジル、チエニル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリルおよびN−インドリルなどの複素環基、ならびにジエチルアミノ、ジメチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのアミノ基などを挙げることができる。またヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボン酸基、アシル基、エステル基、アミド基、シロキサン基およびシリル基などを挙げることもできる。R12,R13またはR14の示すアルキル基は、炭素数が1〜40であることが好ましい。
【0157】
12,R13またはR14の示す1価の有機残基は、置換基を有してもよく、置換基としては、たとえばエステル基、カルボン酸基、リン酸基およびチオエーテル基などを挙げることができる。
【0158】
前記一般式(I)において、R15の示す1価の有機残基としては、たとえばメチル、エチル、プロピル、ヘキシルおよびオクチルなどのアルキル基、フェニル、ナフチルおよびアントリルなどのアリール基、ベンジル、フェネチルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ピリジル、チエニル、フリル、ベンゾフリルおよびベンゾチオフェニルなどの複素環基、ならびにアクリロイルおよびアセチルなどのアシル基などを挙げることができる。R15の示すアルキル基は、炭素数が1〜40であることが好ましく、より好ましくは炭素数が1〜18である。
【0159】
ヒンダードフェノール化合物は、前記一般式(I)などで示されるヒンダードフェノール構造単位を2つ以上有してもよい。この場合、複数のヒンダードフェノール構造単位は、同一でも異なってもよい。
【0160】
このようにヒンダードフェノール化合物に複数のヒンダードフェノール構造単位が含まれる場合、複数のヒンダードフェノール構造単位は、直接結合してもよく、原子または原子団を介して結合してもよい。
【0161】
複数のヒンダードフェノール構造単位を結合する原子の具体例としては、酸素原子、硫黄原子および炭素原子などを挙げることができる。
【0162】
複数のヒンダードフェノール構造単位を結合する原子団としては、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素または複素環化合物から生じる2価基および3価基などの多価基を挙げることができる。飽和脂肪族炭化水素から生じる多価基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基およびエチリデン、プロピリデン、ブチリデンなどのアルキリデン基などの2価基、ならびに1−プロパニル−3−イリデンなどのアルカニリデン基および1,3,6−ヘキサントリイルなどのアルカントリイル基などの3価基などを挙げることができる。不飽和脂肪族炭化水素から生じる多価基の具体例としては、ビニレン、プロペニレンなどのアルケニレン基、1,3−ブタジエニレン、1,4−ヘキサジエニレンなどのアルカジエニレン基および3−ペンチニレン、2−ヘキシニレンなどのアルキニレン基などの2価基、ならびに2−ペンテニル−5−イリデンなどのアルケニリデン基などの3価基などを挙げることができる。芳香族炭化水素から生じる多価基の具体例としては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニリレンおよび2,7−フェナントリレンなどのアリーレン基、1,3,5−ベンゼントリイルなどの3価基、ならびに1,4,5,8−アントラセンテトライルなどの4価基などを挙げることができる。複素環化合物から生じる多価基の具体例としては、3,5−ピリジンジイルおよび2,6−キノリンジイルなどの2価基、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルおよび1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン−1,3,5−トリイルなどの3価基、ならびに1,4,5,8−アクリジンテトライルなどの4価基などを挙げることができる。
【0163】
ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、たとえば以下の表33〜表39に示す例示化合物HP−1〜HP−80を挙げることができるけれども、ヒンダードフェノール化合物は、これらに限定されるものではない。なお、以下において、t−Buは、t−ブチル基(−C(CH)を表し、t−C11は、t−ペンチル基(−C(CH)を表し、t−C17は、t−オクチル基(−C(CH11)を表す。
【0164】
【表33】
Figure 0003718508
【0165】
【表34】
Figure 0003718508
【0166】
【表35】
Figure 0003718508
【0167】
【表36】
Figure 0003718508
【0168】
【表37】
Figure 0003718508
【0169】
【表38】
Figure 0003718508
【0170】
【表39】
Figure 0003718508
【0171】
表33〜表39に示すヒンダードフェノール化合物の中でも、表33に示す例示化合物HP−1、すなわち下記構造式(I−a)で示されるヒンダードフェノール化合物が好適に用いられる。
【0172】
【化19】
Figure 0003718508
【0173】
リン系酸化防止剤としては、公知のものを使用することができ、具体例としては、たとえば以下の表40〜表44に示す例示化合物P−1〜P−47を挙げることができるけれども、リン系酸化防止剤は、これらに限定されるものではない。
【0174】
【表40】
Figure 0003718508
【0175】
【表41】
Figure 0003718508
【0176】
【表42】
Figure 0003718508
【0177】
【表43】
Figure 0003718508
【0178】
【表44】
Figure 0003718508
【0179】
なお、表43に示す例示化合物P−39は、たとえばJPH−3800(商品名、城北化学工業株式会社製)として市販されている。
【0180】
有機イオウ系酸化防止剤としては、公知のものを使用することができ、具体例としては、たとえば以下の表45および表46に示す例示化合物S−1〜S−14を挙げることができるけれども、有機イオウ系酸化防止剤は、これらに限定されるものではない。
【0181】
【表45】
Figure 0003718508
【0182】
【表46】
Figure 0003718508
【0183】
また、光安定剤としては、一般に樹脂などに添加して利用される光安定剤をそのまま使用することができ、たとえばヒンダードアミン化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体または3級アミン化合物などが用いられる。
【0184】
前述の光安定剤の中でも、ヒンダードアミン化合物、ベンゾトリアゾール誘導体またはベンゾフェノン誘導体が好適に用いられる。これらの光安定剤を用いることによって、電荷輸送物質13として感光層14に含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体1の耐久性を一層向上させることができる。また塗布によって感光層14を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体1の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0185】
本明細書において、ヒンダードアミン化合物とは、ヒンダードアミン構造単位を有する化合物のことであり、ヒンダードアミン構造単位とは、アミノ窒素原子の近傍に嵩高い原子団を有するアミン化合物に由来する構造単位のことである。嵩高い原子団としては、たとえば分枝状アルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基および複素環基などを挙げることができる。ヒンダードアミン構造単位は、芳香族アミン系および脂肪族アミン系のいずれであってもよいけれども、好ましくは脂肪族アミン系である。
【0186】
またヒンダードアミン構造単位は、下記一般式(II)で示されることが好ましい。
【0187】
【化20】
Figure 0003718508
【0188】
前記一般式(II)において、R16,R17,R18およびR19は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基またはアラルキル基を示す。R20は、水素原子または1価の有機残基を示す。Wは、アミノ窒素原子を含む環構造を形成するために必要な原子団を示す。ただし、R16,R17,R18およびR19が共に水素原子になることはない。
【0189】
前記一般式(II)において、R16,R17,R18またはR19の示すアルキル基としては、炭素数1〜18のものが好ましい。R16,R17,R18またはR19の示すアルキル基は、置換基を有してもよく、置換基としては、たとえばアリール基、アルコキシ基、カルボン酸基、アミド基、ハロゲン基およびチオエーテル基などを挙げることができる。
【0190】
16,R17,R18またはR19の示すアリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル、アントリルおよびp−トリルなどを挙げることができる。
【0191】
16,R17,R18またはR19の示す複素環基の具体例としては、たとえばチエニル、フリル、ベンゾフリルおよびベンゾチオフェニルなどを挙げることができる。
【0192】
16,R17,R18またはR19の示すアラルキル基の具体例としては、たとえばベンジル、フェネチル、1−ナフチルメチルおよび1−メチルベンジルなどを挙げることができる。
【0193】
20の示す1価の有機残基としては、たとえばメチル、エチル、t−ペンチル、ヘキシルおよびオクチルなどのアルキル基、フェニルおよびナフチルなどのアリール基、ベンジル、フェネチルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにピリジル、チエニル、フリル、ベンゾフリルおよびベンゾチオフェニルなどの複素環基などを挙げることができる。R20の示すアルキル基は、炭素数が1〜18であることが好ましい。
【0194】
前記一般式(II)において、Wによって形成されるアミノ窒素原子を含む環構造は、5員環または6員環であることが好ましく、具体例としては、たとえばピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、セレナゾリジン、ピロリン、イミダゾリン、イソインドリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロイソキノリン、オキサゾリン、チアゾリン、セレナゾリンおよびピロールなどの各環を挙げることができる。これらの中でも、特にピペリジン、ピペラジンおよびピロリジンの各環が好ましい。なお、Wは、前記一般式(II)では、1個の結合鎖を有しているけれども、これに限定されることなく、2個以上の結合鎖を有してもよい。
【0195】
Wによって形成されるアミノ窒素原子を含む環は、置換基を有してもよく、置換基としては、たとえばメチル、エチルおよびオクチルなどのアルキル基、フェニルおよびナフチルなどのアリール基、ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基、ピリジル、チエニル、フリル、ベンゾフリルおよびベンゾチオフェニルなどの複素環基、ならびにメチルアミノ、ジメチルアミノおよびジフェニルアミノなどのアミノ基などを挙げることができる。またエステル基、ヒドロキシル基およびシリル基などを挙げることもできる。
【0196】
ヒンダードアミン化合物は、前記一般式(II)などで示されるヒンダードアミン構造単位を2つ以上有してもよい。この場合、複数のヒンダードアミン構造単位は、同一でも異なってもよい。
【0197】
このようにヒンダードアミン化合物に複数のヒンダードアミン構造単位が含まれる場合、複数のヒンダードアミン構造単位は、直接結合してもよく、原子または原子団を介して結合してもよい。
【0198】
複数のヒンダードアミン構造単位を結合する原子の具体例としては、酸素原子、硫黄原子および炭素原子などを挙げることができる。
【0199】
複数のヒンダードアミン構造単位を結合する原子団の具体例としては、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素または複素環化合物から生じる2価基および3価基などの多価基を挙げることができる。飽和脂肪族炭化水素から生じる多価基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基およびエチリデン、プロピリデン、ブチリデンなどのアルキリデン基などの2価基、ならびに1−プロパニル−3−イリデンなどのアルカニリデン基および1,3,6−ヘキサントリイルなどのアルカントリイル基などの3価基などを挙げることができる。不飽和脂肪族炭化水素から生じる多価基の具体例としては、ビニレン、プロペニレンなどのアルケニレン基、1,3−ブタジエニレン、1,4−ヘキサジエニレンなどのアルカジエニレン基および3−ペンチニレン、2−ヘキシニレンなどのアルキニレン基などの2価基、ならびに2−ペンテニル−5−イリデンなどのアルケニリデン基などの3価基などを挙げることができる。芳香族炭化水素から生じる多価基の具体例としては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニリレンおよび2,7−フェナントリレンなどのアリーレン基、1,3,5−ベンゼントリイルなどの3価基、ならびに1,4,5,8−アントラセンテトライルなどの4価基などを挙げることができる。複素環化合物から生じる多価基の具体例としては、3,5−ピリジンジイルおよび2,6−キノリンジイルなどの2価基、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルなどの3価基、ならびに1,4,5,8−アクリジンテトライルなどの4価基などを挙げることができる。
【0200】
またヒンダードアミン化合物は、ヒンダードアミン構造単位に加えて、前述のヒンダードフェノール構造単位を有してもよい。
【0201】
ヒンダードアミン化合物の具体例としては、たとえば以下の表47〜表49に示す例示化合物HA−1〜HA−15を挙げることができるけれども、ヒンダードアミン化合物は、これらに限定されるものではない。
【0202】
【表47】
Figure 0003718508
【0203】
【表48】
Figure 0003718508
【0204】
【表49】
Figure 0003718508
【0205】
なお、表49に示す例示化合物HA−12は、たとえばTINUVIN622(商品名、日本チバガイギー株式会社製)として市販されている。また例示化合物HA−14は、たとえばCHIMASSORB944(商品名、日本チバガイギー株式会社製)として市販されている。また例示化合物HA−15は、たとえばCHIMASSORB119(商品名、日本チバガイギー株式会社製)として市販されている。
【0206】
表47〜表49に示すヒンダードアミン化合物の中でも、表47に示す例示化合物HA−3、すなわち下記構造式(II−a)で示されるヒンダードアミン化合物が好適に用いられる。
【0207】
【化21】
Figure 0003718508
【0208】
ベンゾトリアゾール誘導体の具体例としては、たとえば以下の表50〜表52に示す例示化合物TZ−1〜TZ−28を挙げることができるけれども、ベンゾトリアゾール誘導体は、これらに限定されるものではない。
【0209】
【表50】
Figure 0003718508
【0210】
【表51】
Figure 0003718508
【0211】
【表52】
Figure 0003718508
【0212】
前述の表33〜表46に示す酸化防止剤および表47〜表52に示す光安定剤以外に、酸化防止剤または光安定剤として使用することのできる化合物としては、たとえば以下の表53〜表55に示す例示化合物X−1〜X−20を挙げることができる。
【0213】
【表53】
Figure 0003718508
【0214】
【表54】
Figure 0003718508
【0215】
【表55】
Figure 0003718508
【0216】
前述の表33〜表55に示す酸化防止剤および光安定剤は、種々の方法で合成することができ、また市販品として入手することもできる。
【0217】
酸化防止剤および光安定剤は、たとえば前述の表33〜表55に示す例示化合物からなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
【0218】
酸化防止剤は、感光層14中に、0.1重量%以上15重量%以下の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上5重量%以下の範囲である。
【0219】
また光安定剤は、感光層14中に、0.1重量%以上10重量%以下の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上5重量%以下の範囲である。
【0220】
また感光層14に酸化防止剤と光安定剤との両方が含有される場合、感光層14における酸化防止剤および光安定剤の合計含有量は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上10重量%以下である。
【0221】
感光層14における酸化防止剤の含有量、光安定剤の含有量、または酸化防止剤および光安定剤の合計含有量を前述の範囲に選択することによって、電子写真感光体1の耐久性の向上および塗布液の安定性の向上に充分な効果を得ることができる。また酸化防止剤や光安定剤を含有させることによる電子写真感光体1の特性の低下を最小限に抑えることができる。
【0222】
なお、感光層14における酸化防止剤の含有量、光安定剤の含有量、または酸化防止剤および光安定剤の合計含有量が0.1重量%未満であると、感光体1の耐久性の向上および塗布液の安定性の向上に充分な効果を得ることができない。また感光層14における酸化防止剤の含有量が15重量%を超える、光安定剤の含有量が10重量%を超える、または酸化防止剤および光安定剤の合計含有量が20重量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、前述の範囲とした。
【0223】
電荷輸送層16は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13が、バインダ樹脂17に結着された形で形成される。電荷輸送層16のバインダ樹脂17には、電荷輸送物質13との相溶性に優れるものが選ばれる。バインダ樹脂17に使用される樹脂の具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびフェノール樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。前述の樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性および電位特性などにも優れているので、これらをバインダ樹脂17に用いることが特に好ましい。
【0224】
電荷輸送層16における電荷輸送物質13の重量Aとバインダ樹脂17の重量Bとの比率A/Bは、12分の10(10/12)〜30分の10(10/30)であることが好ましい。従来公知の電荷輸送物質を用いる場合、前記比率A/Bを10/12以下とし、バインダ樹脂17の比率を高くすると、光応答性の低下することがあるので、前記比率A/Bは10/12程度である。しかしながら、本実施形態の電子写真感光体1では、前述のように、前記一般式(1)で示される電荷移動度の高いエナミン化合物が電荷輸送物質13に用いられるので、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂17を加えても、光応答性を維持することができる。したがって、光応答性を低下させることなく、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、電荷輸送層16におけるバインダ樹脂17の含有率を高めて電荷輸送層16の耐刷性を向上させ、電子写真感光体1の耐久性を向上させることができる。
【0225】
なお、前記比率A/Bが10/12を超え、バインダ樹脂17の比率が低くなると、バインダ樹脂17の比率が高いときに比べ、電荷輸送層16の耐刷性が低くなり、感光層14の摩耗量が増加する。また前記比率A/Bが10/30未満であり、バインダ樹脂17の比率が高くなると、後述する浸漬塗布法によって電荷輸送層16を形成する場合、塗布液の粘度が増大し、塗布速度が低下するので、生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層16に白濁が発生する。したがって、前記比率A/Bを10/12〜10/30とした。
【0226】
電荷輸送層16には、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤またはレベリング剤などの添加剤を添加してもよい。可塑剤としては、たとえばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
【0227】
また電荷輸送層16には、機械的強度の増強や電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。
【0228】
電荷輸送層16は、たとえば、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13とバインダ樹脂17とを、適当な溶剤中に溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層15の外周面上に塗布することによって形成される。電荷輸送層16に酸化防止剤や光安定剤を含有させる場合には、前述の酸化防止剤や光安定剤を電荷輸送物質13およびバインダ樹脂17と共に適当な溶剤中に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製する。また電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて前述の可塑剤、レベリング剤または微粒子などの添加剤が添加される。
【0229】
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、たとえばベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などを挙げることができる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。またこれらの溶剤に、アルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。
【0230】
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されており、電荷輸送層16を形成する場合にも多く利用されている。
【0231】
電荷輸送層16の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層16の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層16の膜厚が50μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
【0232】
電荷発生層15は、電荷発生物質12を主成分として含有する。電荷発生物質12として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機材料などを挙げることができる。これらの電荷発生物質は、1種が単独で使用されてもよく、または2種以上が組合わされて使用されてもよい。
【0233】
前述の電荷発生物質の中でも、オキソチタニウムフタロシアニンを用いることが好ましい。オキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生効率と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質13に効率よく注入する。また、前述のように、電荷輸送物質13には、前記一般式(1)で示される電荷移動度の高いエナミン化合物が使用されるので、光吸収によって電荷発生物質12であるオキソチタニウムフタロシアニンで発生する電荷は、電荷輸送物質13である前記一般式(1)で示されるエナミン化合物に効率的に注入され、感光層14表面に円滑に輸送される。したがって、電荷発生物質12にオキソチタニウムフタロシアニンを用いることによって、高感度かつ高解像度の電子写真感光体1を得ることができる。
【0234】
電荷発生物質12は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用されてもよい。
【0235】
電荷発生層15の形成方法としては、電荷発生物質12を導電性支持体11の外周面上に真空蒸着する方法、または電荷発生物質12を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布する方法などが用いられる。これらの中でも、結着剤であるバインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質12を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
【0236】
電荷発生層15に用いられるバインダ樹脂としては、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
【0237】
電荷発生層用塗布液の溶剤には、たとえばジクロロメタンもしくはジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンもしくはシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素類、またはN,N−ジメチルホルムアミドもしくはN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが用いられる。また、これらの溶剤が2種以上混合された混合溶剤を用いることもできる。
【0238】
電荷発生物質12とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生物質12の割合が10重量%〜99重量%の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質12の割合が10重量%未満であると、感度が低下する。電荷発生物質12の割合が99重量%を超えると、電荷発生層15の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質12の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の部分において表面電荷の減少することがあるので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。したがって、10重量%〜99重量%とした。
【0239】
電荷発生物質12は、バインダ樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
【0240】
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器や分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
【0241】
なお、電荷発生層15に酸化防止剤や光安定剤を含有させる場合には、前述の酸化防止剤や光安定剤を電荷発生物質12と共に適当な溶剤中またはバインダ樹脂溶液中に溶解させて電荷発生層用塗布液を調製する。
【0242】
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷発生層15を形成する場合にも多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
【0243】
電荷発生層15の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層15の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層15の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。したがって、0.05μm以上5μm以下とした。
【0244】
前述のように、感光層14を構成する光導電層は、以上のようにして形成される電荷発生層15と電荷輸送層16との積層構造から成る。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、各層を構成する材料に、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、さらに繰り返し使用時の安定性も増した高耐久性を有する電子写真感光体1を得ることができる。
【0245】
導電性支持体11を構成する導電性材料には、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛もしくはチタンなどの金属、またはアルミニウム合金もしくはステンレス鋼などの合金などの金属材料を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンもしくはポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。導電性支持体11の形状は、本実施形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
【0246】
導電性支持体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、入射するレーザ光と感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥の発生することがある。導電性支持体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
【0247】
以上に述べたように、本実施形態では、感光層14は、電荷発生層15と電荷輸送層16とが、この順序で導電性支持体11の外周面上に積層されて成る光導電層で構成されるけれども、これに限定されることなく、電荷輸送層16および電荷発生層15の順に導電性支持体11の外周面上に積層されて成る光導電層で構成されてもよい。
【0248】
図2は、本発明の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。本実施形態の電子写真感光体2は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0249】
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性支持体11と感光層14との間に中間層18が設けられていることである。
【0250】
導電性支持体11と感光層14との間に中間層18がない場合、導電性支持体11から感光層14に電荷が注入され、感光層14の帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の部分において表面電荷が減少し、画像にかぶりなどの欠陥の発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じる。すなわち、導電性支持体11と感光層14との間に中間層18がない場合、導電性支持体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ポチなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となる。
【0251】
本実施形態の電子写真感光体2では、前述のように導電性支持体11と感光層14との間には中間層18が設けられるので、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができる。したがって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の部分における表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。
【0252】
また中間層18を設けることによって、導電性支持体11表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性支持体11からの剥離を抑え、導電性支持体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
【0253】
中間層18には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。
【0254】
樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびエチルセルロースなども挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロンおよび12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
【0255】
中間層18は、金属酸化物粒子などの粒子を含有してもよい。中間層18にこれらの粒子を含有させることによって、中間層18の体積抵抗値を調節し、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができるとともに、各種の環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
【0256】
金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
【0257】
中間層18は、たとえば前述の樹脂を適当な溶剤中に溶解または分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布することによって形成される。中間層18に前述の金属酸化物粒子などの粒子を含有させる場合には、たとえば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布することによって中間層18を形成することができる。
【0258】
中間層用塗布液の溶剤には、水もしくは各種有機溶剤、またはこれらの混合溶剤が用いられる。特に、水、メタノール、エタノールもしくはブタノールなどの単独溶剤、または水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどの塩素系溶剤とアルコール類などの混合溶剤が好適に用いられる。
【0259】
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルまたは超音波分散機などを用いる一般的な方法を使用することができる。
【0260】
中間層用塗布液中の樹脂および金属酸化物の合計含有量Cは、中間層用塗布液に使用されている溶剤の含有量Dに対し、C/Dが重量比で1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂と金属酸化物との比率(樹脂/金属酸化物)は、重量比で90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
【0261】
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、中間層18を形成する場合にも多く利用されている。
【0262】
中間層18の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層18の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層18として機能しなくなり、導電性支持体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。中間層18の膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層18を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層18の形成が困難になるとともに、中間層18の外周面上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
【0263】
図3は、本発明の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す概略断面図である。本実施形態の電子写真感光体3は、実施の第2形態の電子写真感光体2に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0264】
電子写真感光体3において注目すべきは、感光層140が、電荷発生物質12と電荷輸送物質13とを含有する単一の光導電層で構成されていることである。すなわち、電子写真感光体3が単層型感光体であることである。
【0265】
本実施形態では、前述の実施の第1形態および第2形態と同様に、電荷輸送物質13には、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が用いられる。また感光層140には、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方が含有される。したがって、実施の第1形態および第2形態と同様に、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真感光体3を得ることができる。
【0266】
感光層140における酸化防止剤の含有量、光安定剤の含有量、ならびに酸化防止剤および光安定剤の合計含有量は、実施の第1形態の感光層14における酸化防止剤の含有量、光安定剤の含有量、ならびに酸化防止剤および光安定剤の合計含有量と同様である。
【0267】
感光層140は、実施の第1形態の電子写真感光体1に設けられる電荷輸送層16と同様の方法で形成される。たとえば、前述の電荷発生物質12と、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13と、バインダ樹脂17と、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方と、必要な場合には前述の添加剤とを、前述の電荷輸送層用塗布液と同様の適当な溶剤に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液を浸漬塗布法などによって中間層18の外周面上に塗布することによって、感光層140を形成することができる。
【0268】
感光層140における電荷輸送物質13の重量A’とバインダ樹脂17の重量B’との比率A’/B’は、実施の第1形態の電荷輸送層16における電荷輸送物質13の重量Aとバインダ樹脂17の重量Bとの比率A/Bと同様に、10/12〜10/30であることが好ましい。
【0269】
感光層140の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層140の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層140の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。したがって、5μm以上100μm以下とした。
【0270】
以上に述べた実施の第1〜第3形態の電子写真感光体1,2,3に設けられる感光層14,140には、感度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、さらに1種以上の電子受容物質や色素を添加してもよい。
【0271】
電子受容物質としては、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、またはジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料などを用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることもできる。
【0272】
色素としては、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
【0273】
本発明による電子写真感光体は、以上に述べた実施の第1〜第3形態の電子写真感光体1,2,3の構成に限定されることなく、種々の層構成を採ることができる。
【0274】
たとえば、実施の第1〜第3形態の電子写真感光体1,2,3では、電荷発生層15と電荷輸送層16とが積層されて成る光導電層で構成される感光層14または電荷発生物質12と電荷輸送物質13とを含有する単一の光導電層で構成される感光層140が設けられるけれども、これに限定されることなく、これらの光導電層上にさらに表面保護層が積層されて成る感光層を設けてもよい。
【0275】
このように光導電層上に表面保護層を設けることによって、感光層の耐刷性を向上させることができるとともに、感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾンや窒素酸化物(NOx)などの活性ガスの感光層への化学的悪影響をさらに防止することができる。表面保護層には、たとえば樹脂、無機フィラー含有樹脂または無機酸化物などから成る層が用いられる。
【0276】
なお、感光層が、光導電層上に表面保護層が積層されて成る場合、前述の酸化防止剤や光安定剤は、光導電層および表面保護層のいずれに含有されてもよく、また光導電層と表面保護層との両方に含有されてもよい。
【0277】
次に、本発明の実施の第4の形態である画像形成装置として、実施の第1形態の電子写真感光体1(感光体1)を備える画像形成装置100を例示する。なお、本発明による画像形成装置は、以下の記載内容に限定されるものではない。図4は、画像形成装置100の構成を簡略化して示す側面配置図である。
【0278】
画像形成装置100は、図示しない装置本体に回転自在に支持される感光体1と、感光体1を回転軸線44まわりに矢符41方向に回転駆動させる図示しない駆動手段とを備える。駆動手段は、たとえば動力源としてモータを備え、モータからの動力を図示しない歯車を介して感光体1の芯体を構成する支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。
【0279】
感光体1の周囲には、帯電器32と、図示しない露光手段と、現像器33と、転写器34と、クリーナ36とが、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。クリーナ36は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
【0280】
帯電器32は、感光体1の外周面43を所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電器32は、たとえばローラ帯電方式などの接触式の帯電手段である。
【0281】
露光手段は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光31を帯電器32と現像器33との間に位置する感光体1の外周面43に照射することによって、帯電された感光体1の外周面43に対して画像情報に応じた露光を施す。
【0282】
現像器33は、露光によって感光体1の外周面43に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体1に対向して設けられ感光体1の外周面43にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
【0283】
転写器34は、現像によって感光体1の外周面43に形成される可視像であるトナー画像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写器34との間に供給される記録媒体である転写紙51上に転写させる転写手段である。転写器34は、たとえば、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー画像を転写紙51上に転写させる非接触式の転写手段である。
【0284】
クリーナ36は、転写器34による転写動作後に感光体1の外周面43に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体1の外周面43に残留するトナーを前記外周面43から剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。
【0285】
また、感光体1と転写器34との間を通過した後の転写紙51が搬送される方向には、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
【0286】
画像形成装置100による画像形成動作について説明する。まず、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の外周面43が正または負の所定電位に均一に帯電される。
【0287】
次いで、露光手段から、感光体1の外周面43に対して光31が照射される。光源からの光31は、主走査方向である感光体1の長手方向に繰返し走査される。感光体1を回転駆動させ、光源からの光31を繰返し走査することによって、感光体1の外周面43に対して画像情報に応じた露光が施される。この露光によって、光31が照射された部分の表面電荷が除去され、光31が照射された部分の表面電位と光31が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、感光体1の外周面43に静電潜像が形成される。
【0288】
次いで、光源からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33の現像ローラ33aから、静電潜像の形成された感光体1の外周面43にトナーが供給される。これによって、静電潜像が現像され、感光体1の外周面43にトナー画像が形成される。
【0289】
また、感光体1への露光と同期して、転写紙51が、搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写器34との間に供給される。感光体1と転写器34との間に転写紙51が供給されると、転写器34によってトナーと逆極性の電荷が転写紙51に与えられる。これによって、感光体1の外周面43に形成されたトナー画像が、転写紙51上に転写される。
【0290】
トナー画像の転写された転写紙51は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧される。これによって、転写紙51上のトナー画像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
【0291】
一方、転写器34による転写動作後に感光体1の外周面43上に残留するトナーは、クリーナ36のクリーニングブレード36aによって感光体1の外周面43から剥離され、回収用ケーシング36b内に回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の外周面43の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体1の外周面43上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度感光体1の帯電から始まる一連の動作が繰返される。以上のようにして、連続的に画像が形成される。
【0292】
画像形成装置100に備わる感光体1は、前述のように、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を電荷輸送物質13として含有し、さらに酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方を含有する感光層14を有するので、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下または高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化が少なく、高い信頼性を有する。したがって、各種の環境下において、長期に渡って安定して高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置100を得ることができる。また、感光体1は、光に曝された場合であっても前述の特性の低下することがないので、メンテナンス時などに感光体1が光に曝されることに起因する画質の低下を防ぎ、画像形成装置100の信頼性を向上させることができる。
【0293】
以上に述べたように、本実施形態の画像形成装置100は、実施の第1形態の電子写真感光体1を備えるけれども、これに限定されることなく、実施の第2形態の電子写真感光体2もしくは実施の第3形態の電子写真感光体3、または実施の第1〜第3形態の電子写真感光体1,2,3とは異なる層構成を有する電子写真感光体を備えてもよい。
【0294】
また帯電器32は、接触式の帯電手段であるけれども、これに限定されることなく、コロナ帯電方式などの非接触式の帯電手段であってもよい。
【0295】
また転写器34は、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー画像を転写紙51上に転写させる非接触式の転写手段であるけれども、これに限定されることなく、たとえばローラを備え、ローラを用いて転写紙51と感光体1とを圧接させることによってトナー画像を転写紙51上に転写させる接触式の転写手段であってもよい。
【0296】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
【0297】
[製造例]
(製造例1)例示化合物No.1の製造
(製造例1−1)エナミン中間体の製造
トルエン100mLに、下記構造式(8)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)と、下記構造式(9)で示されるジフェニルアセトアルデヒド20.6g(1.05当量)と、DL−10−カンファースルホン酸0.23g(0.01当量)とを加えて加熱し、副生した水をトルエンと共沸させて系外に取除きながら、6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を10分の1(1/10)程度に濃縮し、激しく撹拌されているヘキサン100mL中に徐々に滴下し、結晶を生成させた。生成した結晶を濾別し、冷エタノールで洗浄することによって、淡黄色粉末状化合物36.2gを得た。
【0298】
【化22】
Figure 0003718508
【0299】
【化23】
Figure 0003718508
【0300】
得られた化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(Liquid
Chromatography−Mass Spectrometry;略称:LC−MS)で分析した結果、下記構造式(10)で示されるエナミン中間体(分子量の計算値:411.20)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが412.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(10)で示されるエナミン中間体であることが判った(収率:88%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン中間体の純度は99.5%であることが判った。
【0301】
【化24】
Figure 0003718508
【0302】
以上のように、2級アミン化合物である前記構造式(8)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミンと、アルデヒド化合物である前記構造式(9)で示されるジフェニルアセトアルデヒドとの脱水縮合反応を行うことによって、前記構造式(10)で示されるエナミン中間体を得ることができた。
【0303】
(製造例1−2)エナミン−アルデヒド中間体の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mL中に、氷冷下、オキシ塩化リン9.2g(1.2当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、製造例1−1で得られた前記構造式(10)で示されるエナミン中間体20.6g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を80℃まで上げ、80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)−水酸化ナトリウム水溶液800mL中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物20.4gを得た。
【0304】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体(分子量の計算値:439.19)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが440.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体であることが判った(収率:93%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン−アルデヒド中間体の純度は99.7%であることが判った。
【0305】
【化25】
Figure 0003718508
【0306】
以上のように、前記構造式(10)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うことによって、前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体を得ることができた。
【0307】
(製造例1−3)例示化合物No.1の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体8.8g(1.0当量)と、下記構造式(12)で示されるジエチルシンナミルホスホネート6.1g(1.2当量)とを、無水DMF80mLに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド2.8g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶10.1gを得た。
【0308】
【化26】
Figure 0003718508
【0309】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物(分子量の計算値:539.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが540.5に観測された。
【0310】
また、得られた結晶の重クロロホルム(化学式:CDCl)中における核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;略称:NMR)スペクトルを測定したところ、例示化合物No.1のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図5は、製造例1−3の生成物のH−NMRスペクトルを示す図であり、図6は、図5に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図7は、製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図8は、図7に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図9は、製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図10は、図9に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図5〜図10において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図5および図6において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図5の参照符500で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0311】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた結晶は、例示化合物No.1のエナミン化合物であることが判った(収率:94%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.1のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0312】
以上のように、前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と、Wittig試薬である前記構造式(12)で示されるジエチルシンナミルホスホネートとのWittig−Horner反応を行うことによって、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物を得ることができた。
【0313】
(製造例2)例示化合物No.61の製造
前記構造式(8)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)に代えて、N−(p−メトキシフェニル)−α−ナフチルアミン4.9g(1.0当量)を用いる以外は、製造例1と同様にして、脱水縮合反応によるエナミン中間体の製造(収率:94%)およびビルスマイヤー反応によるエナミン−アルデヒド中間体の製造(収率:85%)を行い、さらにWittig−Horner反応を行うことによって、黄色粉末状化合物7.9gを得た。なお、各反応において使用した試薬と基質との当量関係は、製造例1で使用した試薬と基質との当量関係と同様である。
【0314】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、目的とする表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物(分子量の計算値:555.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが556.7に観測された。
【0315】
また、得られた化合物の重クロロホルム(CDCl)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物No.61のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図11は、製造例2の生成物のH−NMRスペクトルを示す図であり、図12は、図11に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図13は、製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図14は、図13に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図15は、製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図16は、図15に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図11〜図16において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図11および図12において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図11の参照符501で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0316】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた化合物は、例示化合物No.61のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.61のエナミン化合物の純度は99.0%であることが判った。
【0317】
以上のように、脱水縮合反応、ビルスマイヤー反応およびWittig−Horner反応の3段階の反応を行うことによって、3段階収率73.5%で、表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物を得ることができた。
【0318】
(製造例3)例示化合物No.46の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)と、下記構造式(13)で示されるWittig試薬1.53g(1.2当量)とを、無水DMF15mLに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド0.71g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶2.37gを得た。
【0319】
【化27】
Figure 0003718508
【0320】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表7に示す例示化合物No.46のエナミン化合物(分子量の計算値:565.28)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが566.4に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.46のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.46のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0321】
以上のように、前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と前記構造式(13)で示されるWittig試薬とのWittig−Horner反応を行うことによって、表7に示す例示化合物No.46のエナミン化合物を得ることができた。
【0322】
(比較製造例1)下記構造式(14)で示される化合物の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)を無水THF15mLに溶解させ、その溶液中に、アリルブロマイドと金属マグネシウムとから調製したグリニヤール試薬であるアリルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(モル濃度:1.0mol/L)5.23mL(1.15当量)を0℃で徐々に加えた。0℃で0.5時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーによって反応の進行状況を確認したところ、明確な反応生成物は確認できず、複数の生成物が確認された。常法により、後処理、抽出、濃縮を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、反応混合物の分離、精製を行った。
【0323】
しかしながら、目的とする下記構造式(14)で示される化合物を得ることはできなかった。
【0324】
【化28】
Figure 0003718508
【0325】
[実施例]
(実施例1)
酸化アルミニウム(化学式:Al)と二酸化ジルコニウム(化学式:ZrO)とで表面処理された樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9重量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:アミランCM8000)9重量部とを、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。得られた中間層用塗布液を、導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上にベーカアプリケータで塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
【0326】
次いで、電荷発生物質12である下記構造式(15)で示されるアゾ化合物2重量部を、THF97重量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBX−1)1重量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで10時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。得られた電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層18上にベーカアプリケータで塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
【0327】
【化29】
Figure 0003718508
【0328】
次いで、電荷輸送物質13である前述の表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物10重量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:Z200)14重量部と、酸化防止剤である前述の表33に示す例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1重量部(感光層に対して約4重量%)とを、THF80重量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層15上にベーカアプリケータで塗布した後、乾燥させ、膜厚18μmの電荷輸送層16を形成した。
【0329】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図2に示す層構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
【0330】
(実施例2〜6)
実施例1において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表1に示す例示化合物No.3、表9に示す例示化合物No.61、表16に示す例示化合物No.106、表21に示す例示化合物No.146または表26に示す例示化合物No.177を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する5種類の電子写真感光体を作製した。
【0331】
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(16)で示される比較化合物Aを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0332】
【化30】
Figure 0003718508
【0333】
(比較例2)
実施例1において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(17)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0334】
【化31】
Figure 0003718508
【0335】
(比較例3)
実施例1において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(18)で示される比較化合物Cを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0336】
【化32】
Figure 0003718508
【0337】
(実施例7)
実施例1と同様にして、導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上に、膜厚1μmの中間層18を形成した。
【0338】
次に、電荷発生物質12である前記構造式(15)で示されるアゾ化合物1重量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:Z−400)12重量部と、電荷輸送物質13である表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物10重量部と、酸化防止剤である表33に示す例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物0.5重量部(感光層に対して約2重量%)と、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5重量部と、THF65重量部とを、ボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。得られた感光層用塗布液を、先に形成した中間層18上にベーカアプリケータで塗布した後、110℃で1時間、熱風乾燥し、膜厚20μmの感光層140を形成した。
【0339】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図3に示す層構成の単層型の電子写真感光体を作製した。
【0340】
(実施例8)
実施例1において、電荷発生物質12に、前記構造式(15)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0341】
(実施例9〜13)
実施例1において、電荷発生物質12に、前記構造式(15)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表1に示す例示化合物No.3、表9に示す例示化合物No.61、表16に示す例示化合物No.106、表21に示す例示化合物No.146または表26に示す例示化合物No.177を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する5種類の電子写真感光体を作製した。
【0342】
(比較例4〜6)
実施例1において、電荷発生物質12に、前記構造式(15)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(16)で示される比較化合物A、前記構造式(17)で示される比較化合物Bまたは前記構造式(18)で示される比較化合物Cを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない3種類の電子写真感光体を作製した。
【0343】
(比較例7)
実施例1において、電荷発生物質12に、前記構造式(15)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(19)で示される比較化合物Dを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0344】
【化33】
Figure 0003718508
【0345】
(比較例8)
実施例1において、電荷発生物質12に、前記構造式(15)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(20)で示される比較化合物Eを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0346】
【化34】
Figure 0003718508
【0347】
<評価1>
以上の実施例1〜13および比較例1〜8で作製した各電子写真感光体について、静電紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて、初期および繰返し使用後の特性を評価した。評価は、温度22℃、相対湿度(Relative Humidity)65%(22℃/65%RH)の常温/常湿(N/N:
Normal Temperature/Normal Humidity)環境下と、温度5℃、相対湿度20%(5℃/20%RH)の低温/低湿(L/L:Low Temperature/Low Humidity)環境下とにおいて、以下のように行った。
【0348】
感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V(V)として測定した。ただし、実施例7の単層型感光体の場合には、プラス(+)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させた。
【0349】
次に、帯電された感光体表面に対して露光を施し、感光体の表面電位を帯電電位Vから半減させるために要した露光量を半減露光量E1/2(μJ/cm)として測定した。また露光開始から10秒間経過した時点での感光体の表面電位を残留電位Vr(V)として測定した。なお、露光には、電荷発生物質12に前記構造式(15)で示されるアゾ化合物を用いた実施例1〜7および比較例1〜3の感光体の場合には強度1μW/cmの白色光を用い、電荷発生物質12にX型無金属フタロシアニンを用いた実施例8〜13および比較例4〜8の感光体の場合にはモノクロメータにて分光して得られた波長780nm、強度1μW/cmの光を用いた。
これらの測定結果を初期の測定結果とした。
【0350】
次に、前述の帯電および露光の操作を1サイクルとして、5000回繰返した後、初期と同様にして、帯電電位V、半減露光量E1/2および残留電位Vrを測定した。これらの測定結果を繰返し使用後の測定結果とした。
以上の初期および繰返し使用後の測定結果を表56に示す。
【0351】
【表56】
Figure 0003718508
【0352】
表56から、感光層に酸化防止剤を含有する実施例1〜13および比較例1〜8のいずれの感光体も、初期の測定結果と繰返し使用後の測定結果との差が小さく、繰返し使用された際の疲労劣化が小さいことが判った。
【0353】
また、実施例1〜13および比較例1〜8の感光体のうち、電荷輸送物質13に前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を用いた実施例1〜13の感光体は、電荷輸送物質13に比較化合物A,B,C,DまたはEを用いた比較例1〜8の感光体に比べ、半減露光量E1/2が小さく高感度であり、また残留電位Vrの絶対値が小さく光応答性に優れることが判った。また、実施例1〜13の感光体は、N/N環境下の測定結果とL/L環境下の測定結果との差が小さく、環境の変化に対する特性安定性に優れ、L/L環境下においても特性が低下しないのに対し、比較例1〜8の感光体は、N/N環境下の測定結果とL/L環境下の測定結果との差が大きく、L/L環境下では特性が大きく低下することが判った。
【0354】
(実施例14)
酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO55A)21重量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:アミランCM8000)39重量部とを、メタノール329重量部と1,2−ジクロロエタン611重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。得られた中間層用塗布液を、導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上にベーカアプリケータで塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
【0355】
次いで、電荷発生物質12であるY型オキソチタニウムフタロシアニン2重量部を、メチルエチルケン97重量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBX−1)1重量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで10時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。得られた電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層18上にベーカアプリケータで塗布した後、乾燥させ、膜厚0.4μmの電荷発生層15を形成した。
【0356】
次いで、電荷輸送物質13である表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物10重量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:PCZ400)18重量部と、酸化防止剤である表33に示す例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1.4重量部(感光層に対して約5重量%)とを、THF100重量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層15上にベーカアプリケータで塗布した後、乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層16を形成した。
【0357】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図2に示す層構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
【0358】
(実施例15〜17)
実施例14において、酸化防止剤に、例示化合物HP−1に代えて、表33に示す例示化合物HP-9、表40に示す例示化合物P−7または表45に示す例示化合物S−6を用いる以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する3種類の電子写真感光体を作製した。
【0359】
(実施例18〜20)
実施例14において、酸化防止剤である例示化合物HP−1に代えて、光安定剤である前述の表47に示す例示化合物HA−3、表48に示す例示化合物HA−10または表50に示す例示化合物TZ−5を用いる以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する3種類の電子写真感光体を作製した。
【0360】
(実施例21)
実施例14において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、表1に示す例示化合物No.3を用い、酸化防止剤に、例示化合物HP−1に代えて、表35に示す例示化合物HP−26を用いる以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0361】
(実施例22)
実施例14において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、表21に示す例示化合物No.146を用い、酸化防止剤である例示化合物HP−1に代えて、光安定剤である表48に示す例示化合物HA−10を用いる以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0362】
(実施例23)
実施例14で得られた電荷輸送層用塗布液を、温度40℃の環境下、暗所にて1ヶ月間保管した後、この電荷輸送層用塗布液を用いて、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0363】
(実施例24)
実施例14において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物の量を、5.4重量部(感光層に対して約16重量%)とする以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0364】
(実施例25)
実施例14において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1.4重量部に代えて、光安定剤である表47に示す例示化合物HA−3のヒンダーアミン化合物3.5重量部(感光層に対して約11重量%)を用いる以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0365】
(比較例9)
実施例14において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物を用いない以外は、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0366】
(比較例2)
比較例1で得られた電荷輸送層用塗布液を、温度40℃の環境下、暗所にて1ヶ月間保管した後、この電荷輸送層用塗布液を用いて、実施例14と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0367】
<評価2>
以上の実施例14〜25および比較例9,10で作製した各電子写真感光体について、静電紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用い、試料を載置した回転円盤を回転させながら帯電と測定とを交互に行う、いわゆるダイナミック法によって、初期および繰返し使用後の特性を評価した。評価は、温度35℃、相対湿度85%(35℃/85%RH)の高温高湿環境下において、以下のように行った。
【0368】
試料を載置した回転円盤を毎分1100回転の回転速度で回転させながら、感光体表面をマイナス(−)600Vに帯電した。次に、帯電された感光体表面に対して波長780nmの単色光を強度1μW/cmで照射し、感光体の表面電位を帯電電位であるマイナス(−)600Vからマイナス(−)300Vに半減させるために要した露光量を半減露光量E1/2(μJ/cm)として測定した。また、マイナス(−)600Vに帯電された感光体表面に対して露光量2μJ/cmの露光を施し、露光直後の感光体の表面電位を残留電位V(V)として測定した。これらの測定結果を初期の測定結果とした。
【0369】
次に、前述の帯電および露光の操作を1サイクルとして、5万回繰返した後、初期と同様にして、半減露光量E1/2および残留電位Vを測定した。これらの測定結果を繰返し使用後の測定結果とした。
以上の初期および繰返し使用後の測定結果を表57に示す。
【0370】
【表57】
Figure 0003718508
【0371】
表57から、電荷輸送物質13に前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を用いた実施例14〜25および比較例9,10の感光体のうち、感光層に酸化防止剤または光安定剤を含有する実施例14〜25の感光体は、初期の測定結果と繰返し使用後の測定結果との差が小さく、繰返し使用された際の疲労劣化が小さいことが判った。これに対し、感光層に酸化防止剤および光安定剤のいずれも含有しない比較例9,10の感光体は、初期の測定結果と繰返し使用後の測定結果との差が大きく、繰返し使用された際の疲労劣化が大きいことが判った。
【0372】
また、実施例14と実施例23との比較から、電荷輸送層用塗布液に酸化防止剤が添加されている場合、電荷輸送層用塗布液の調製後すぐに作製しても、長期間経過してから作製しても、略等しい特性を有する感光体が得られることが判った。これに対し、比較例9および比較例10のように電荷輸送層用塗布液に酸化防止剤および光安定剤のいずれも添加されていない場合、電荷輸送層用塗布液の調製後すぐに作製された比較例9の感光体と、長期間経過してから作製された比較例10の感光体とは、特性が大きく異なることが判った。特に、比較例10の感光体は、比較例9の感光体に比べ、残留電位Vの絶対値が大きく、光応答性が低下していた。以上のことから、酸化防止剤を添加することによって、塗布液の安定性が向上することが判る。
【0373】
また、実施例14と実施例24との比較から、感光層における酸化防止剤の含有量が15重量%を超える実施例24の感光体は、感光層における酸化防止剤の含有量が0.1〜15重量%の範囲にある実施例14の感光体に比べ、残留電位Vの絶対値がやや大きく、光応答性に若干劣ることが判る。
【0374】
また、実施例18と実施例25との比較から、感光層における光安定剤の含有量が10重量%を超える実施例25の感光体は、感光層における光安定剤の含有量が0.1〜10重量%の範囲にある実施例18の感光体に比べ、残留電位Vの絶対値がやや大きく、光応答性に若干劣ることが判る。
【0375】
(実施例26)
酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO55A)21重量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:アミランCM8000)39重量部とを、メタノール329重量部と1,2−ジクロロエタン611重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。得られた中間層用塗布液を塗工槽に満たし、直径40mm、全長340mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体11を前記塗工槽に浸漬した後引上げ、乾燥させ、膜厚1.0μmの中間層18を導電性支持体11の外周面上に形成した。
【0376】
次いで、電荷発生物質12としてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)に対するX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBM−S)1重量部と、メチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。得られた電荷発生層用塗布液を、前述の中間層18と同様の浸漬塗布法によって先に形成した中間層18の外周面上に塗布した後、乾燥させ、膜厚0.4μmの電荷発生層15を形成した。
【0377】
次いで、電荷輸送物質13である例示化合物No.61のエナミン化合物10重量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ200)18重量部と、酸化防止剤である表33に示す例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1.4重量部(感光層に対して約5重量%)と、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−96)0.004重量部とを、テトラヒドロフラン110重量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層用塗布液を、前述の中間層18と同様の浸漬塗布法によって、先に形成した電荷発生層15の外周面上に塗布した後、110℃にて1時間乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層16を形成した。
【0378】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図2に示す構成の電子写真感光体を作製した。
【0379】
(実施例27,28)
実施例26において、酸化防止剤に、例示化合物HP−1に代えて、表42に示す例示化合物P−36または表46に示す例示化合物S−12を用いる以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する2種類の電子写真感光体を作製した。
【0380】
(実施例29,30)
実施例26において、酸化防止剤である例示化合物HP−1に代えて、光安定剤である表47に示す例示化合物HA−3または表50に示す例示化合物TZ−4を用いる以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する2種類の電子写真感光体を作製した。
【0381】
(実施例31)
実施例26において、酸化防止剤である例示化合物HP−1に代えて、表55に示す例示化合物X−19を用いる以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0382】
(実施例32)
実施例26において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、表23に示す例示化合物159を用いる以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0383】
(実施例33)
実施例26において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1.4重量部に代えて、例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1重量部と光安定剤である表47に示す例示化合物HA−3のヒンダードアミン化合物0.4重量部とを混合して用いる(感光層における合計含有量約5重量%)以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0384】
(実施例34)
実施例26において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1.4重量部に代えて、酸化防止剤である表35に示す例示化合物HP−26のヒンダードフェノール化合物0.3重量部と光安定剤である表48に示す例示化合物HA−10のヒンダードアミン化合物0.2重量部とを混合して用いる(感光層における合計含有量約2重量%)以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0385】
(実施例35)
実施例26において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1.4重量部に代えて、例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物1重量部と表54に示す例示化合物X−16の1重量部とを混合して用いる(感光層における合計含有量約7重量%)以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0386】
(比較例11)
実施例26において、酸化防止剤である例示化合物HP−1のヒンダードフェノール化合物を用いない以外は、実施例26と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0387】
<評価3>
以上の実施例26〜35および比較例11で作製した各電子写真感光体を、画像形成過程における感光体の表面電位を表面電位計(ジェンテック社製:CATE751)で測定できるように改造された市販の小型デジタル複写機(シャープ株式会社製:AR−C260)に搭載した。温度22℃、相対湿度20%(22℃/20%RH)の環境下において、帯電直後の感光体の表面電位を帯電電位V(V)として測定した。またレーザ光によって露光を施した直後の感光体の表面電位を露光後電位V(V)として測定した。これらの測定結果を初期の測定結果とした。
【0388】
次に、所定のパターンの試験用画像を普通紙上に複写させる実写エイジングを1万枚行った後、初期と同様にして、帯電電位V(V)および露光後電位V(V)を測定した。これらの測定結果を実写エイジング後の測定結果とした。
【0389】
次に、日本工業規格(JIS)A3判の普通紙上にハーフトーン画像を形成した。ここで、ハーフトーン画像とは、画像の濃淡を白黒のドットによって階調表現した画像のことである。得られた画像を目視観察し、白抜け、黒帯および画像ぼけなどの画像欠陥の程度によって画質を評価した。
【0390】
画質の評価は、以下の基準で行った。
A:良好。画像欠陥無し。
B:やや不良。無視できる程度の画像欠陥有り。
C:不良。明らかな画像欠陥有り。
【0391】
以上の初期および実写エイジング後の測定結果、ならびに実写エイジング後の画質の評価結果を表58に示す。
【0392】
【表58】
Figure 0003718508
【0393】
表58から、電荷輸送物質13に前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を用いた実施例26〜35および比較例11の感光体のうち、感光層に酸化防止剤や光安定剤を含有する実施例26〜35の感光体は、帯電時のオゾンやNOxへの暴露、露光や除電時の光や熱への暴露などの負荷のかかる実写エイジング後においても、帯電電位Vの絶対値の大幅な低下がなく、また露光後電位Vの絶対値の大幅な上昇がなく、非常に良好な電気特性を有することが判った。また実写エイジング後に実施例26〜35の感光体が搭載された複写機によって形成された画像は、疲労劣化に由来する画像ぼけなどの画像欠陥がほとんどなく、ほぼ良好な品質であった。
【0394】
これに対し、感光層に酸化防止剤および光安定剤のいずれも含有しない比較例11の感光体は、初期には実施例26〜35の感光体と同程度の帯電電位Vおよび露光後電位Vであるけれども、実写エイジング後には、帯電電位Vの絶対値が大幅に低下し、また露光後電位Vの絶対値が大幅に上昇した。また実写エイジング後に比較例11の感光体が搭載された複写機によって形成された画像には、明らかな画像欠陥が生じていた。
【0395】
以上のように、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物と、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方とを組合せて感光層に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下で用いられた場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真感光体を得ることができた。
【0396】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、感光層には、特定の構造を有する電荷移動度の高いエナミン化合物と、酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方とが含有されるので、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真感光体を得ることができる。また塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性を高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を向上させることができる。
【0397】
また本発明によれば、感光層には、特に高い電荷移動度を有し、かつ合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することのできる特定の構造のエナミン化合物が含有されるので、感度および光応答性のさらに高い電子写真感光体を低い製造原価で製造することができる。
【0398】
また本発明によれば、感光層には、特定の酸化防止剤が含有されるので、電荷輸送物質として感光層に含有される特定の構造を有するエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができるとともに、塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0399】
また本発明によれば、感光層には、特定の光安定剤が含有されるので、電荷輸送物質として感光層に含有される特定の構造を有するエナミン化合物の分解や劣化を特に抑えて繰返し使用された際の疲労劣化をさらに軽減し、電子写真感光体の耐久性を一層向上させることができるとともに、塗布によって感光層を形成する際の塗布液の安定性をさらに高め、電子写真感光体の品質安定性および生産性を一層向上させることができる。
【0400】
また本発明によれば、感光層に含有される酸化防止剤の含有量が好適な範囲に選択されるので、電子写真感光体の耐久性の向上および塗布液の安定性の向上に充分な効果を得ることができるとともに、酸化防止剤を含有させることによる電子写真感光体の特性の低下を最小限に抑えることができる。
【0401】
また本発明によれば、感光層に含有される光安定剤の含有量が好適な範囲に選択されるので、電子写真感光体の耐久性の向上および塗布液の安定性の向上に充分な効果を得ることができるとともに、光安定剤を含有させることによる電子写真感光体の特性の低下を最小限に抑えることができる。
【0402】
また本発明によれば、画像形成装置には、帯電性、感度および光応答性が高く、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつオゾンやNOxなどの活性ガス、紫外線および熱などに対して安定であり、繰返し使用された際の疲労劣化の少ない信頼性の高い電子写真感光体が備わるので、各種の環境下において、長期に渡って安定して高品質の画像を提供することができるとともに、メンテナンス時などに電子写真感光体が光に曝されることに起因する画質の低下のない信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す斜視図である。図1(b)は、電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図2】本発明の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図4】画像形成装置100の構成を簡略化して示す側面配置図である。
【図5】製造例1−3の生成物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】図5に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図7】製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図8】図7に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図9】製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図10】図9に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図11】製造例2の生成物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図12】図11に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図13】製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図14】図13に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図15】製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図16】図15に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【符号の説明】
1,2,3 電子写真感光体
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14,140 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 露光手段からの光
32 帯電器
33 現像器
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写器
35 定着器
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーナ
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
51 転写紙
100 画像形成装置

Claims (12)

  1. 導電性材料から成る導電性支持体と、
    前記導電性支持体上に設けられ、下記一般式(1)で示されるエナミン化合物、ならびに酸化防止剤および光安定剤のうちの少なくともいずれか一方を含有する感光層を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0003718508
    (式中、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。)
  2. 前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
    Figure 0003718508
    (式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  3. 前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール構造単位を有するヒンダードフェノール化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  4. 前記ヒンダードフェノール化合物は、下記構造式(I−a)で示される化合物であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
    Figure 0003718508
  5. 前記酸化防止剤は、リン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  6. 前記酸化防止剤は、有機イオウ系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  7. 前記光安定剤は、ヒンダードアミン構造単位を有するヒンダードアミン化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  8. 前記ヒンダードアミン化合物は、下記構造式(II−a)で示される化合物であることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体。
    Figure 0003718508
  9. 前記光安定剤は、ベンゾトリアゾール誘導体であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  10. 前記感光層は、前記酸化防止剤を0.1〜15重量%含有することを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  11. 前記感光層は、前記光安定剤を0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、
    露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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