JPH11311875A - 画像形成装置用感光体 - Google Patents

画像形成装置用感光体

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JPH11311875A
JPH11311875A JP10121170A JP12117098A JPH11311875A JP H11311875 A JPH11311875 A JP H11311875A JP 10121170 A JP10121170 A JP 10121170A JP 12117098 A JP12117098 A JP 12117098A JP H11311875 A JPH11311875 A JP H11311875A
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photoreceptor
image forming
photoconductor
cleaning
forming apparatus
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JP10121170A
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Masaya Kawada
将也 河田
Takaaki Kashiwa
孝明 栢
Tetsuya Karaki
哲也 唐木
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Canon Inc
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    • G03G5/14717Macromolecular material obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
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    • G03G5/14704Cover layers comprising inorganic material

Abstract

(57)【要約】 【課題】 感光体表面と付着する異物の濡れ性を抑制
し、クリーニングに必要な負荷や機構を減少し、感光体
等の長寿命化を図り、装置の小型化に有利な画像形成装
置用感光体を提供する。 【解決手段】 感光体表面の表面自由エネルギーγを3
5乃至65(mN/m)の範囲、またその耐久による感
光体表面のγの変化量△γを25(mN/m)以内に規
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、像担持体である感
光体表面を帯電し、その帯電面に可視光、ライン走査レ
ーザー光により画像情報の書込をし、トナー像を形成
し、転写材に転写して画像形成を実行するものであり、
クリーニング手段を有する画像形成装置用の感光体に関
する。より具体的には、表面特性、特に表面自由エネル
ギー(γ)を規定し、トナー等の異物の付着性を制御し
て、温湿度変化等の環境変動に対しても良好な画質を極
めて長期にわたって安定して供給し得る画像形成装置用
感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の電子写真装置は、複写機だけでな
く、近年需要の伸びの著しいコンピュータ、ワードプロ
セッサ等の出力手段としてのプリンターを加え、広く利
用されている。その使用環境も多岐にわたり、たとえば
環境変動による出力画像の濃度の変動を防止する手段な
ど、様々な画像を安定化する手段がとられている。特に
こうしたプリンターは従来のオフィスユースのみなら
ず、パーソナルユースが増大した為、低コスト、メンテ
ナンスフリーといった経済性が重視される。
【0003】さらに、エコロジーの観点から、両面コピ
ー、再生紙利用等、紙の使用量低減、消費電力低減の省
エネルギー化等、環境への対応が、経済性と同様の重要
度で求められている。
【0004】図5はこのような複写機の画像形成プロセ
スの一例を示す概略図である。矢印X方向に回転する、
電子写真感光体(以下、単に「感光体」と称する)10
1の周辺には、主帯電器102、静電潜像形成部位10
3、現像器104、転写紙供給系105、転写帯電器1
06(a)、分離帯電器106(b)、クリーナ10
7、搬送系108、除電光源109などが配設されてい
る。感光体101は、必要に応じて面状内面ヒータ12
5によって温度コントロールをしてもよい。感光体10
1は、その表面が主帯電器102により、均一に帯電さ
れ静電潜像形成部位103にて静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像剤(トナー)が塗布された現像器
104の現像スリーブによりトナー像として顕像画化さ
れる。
【0005】一方、転写紙供給系105を通って、供給
される転写材Pにトナー像が転写供給される。該転写材
Pは分離帯電器106(b)且つ/又は爪等の分離手段
により、感光体101から分離され、搬送系108を経
由して定着器123内の定着ローラー124によって、
表面のトナー像が定着された後、画像形成装置外へ排出
される。
【0006】一方、トナー像転写後の感光体101表面
は、表面の残トナーや紙粉等の付着物がクリーニング装
置107内のクリーニングブレード120、クリーニン
グローラー(またはブラシ)121等により除去され、
次の画像形成に供される。
【0007】上記の様に、感光体表面に可転写のトナー
像を、紙などの転写材に転写する工程を繰り返す周知の
画像形成装置において、転写後、感光体表面に残留する
トナー等の異物をクリーニング手段で除去する必要があ
る。
【0008】そのため、従来からこの種のクリーニング
装置107としては、ゴム等の樹脂からなるクリーニン
グブレード、樹脂繊維等からなるクリーニングブラシな
どが実用化されている。その他には磁気などにより感光
体表面に残留するトナー等の磁性粉体を吸着除去する方
法もある。
【0009】これらのクリーニング装置、及び手段の一
例を、図を使用して概略説明する。図6は、図5のクリ
ーニング装置を拡大した図である。クリーニング手段に
おいては、必要に応じて、上記及び図6のクリーニング
装置301のように、ウレタンゴムなどからなるクリー
ニングブレード302、シリコンゴム或いはスポンジ、
或いは磁性体等の材料からなるクリーニングローラー3
03、ドクターローラー304、廃トナー溜り305、
廃トナー搬送系306等からなる。このドクターローラ
ー304は必要に応じて設置され、ブレード状の形態の
場合もある。その場合は、スクレーパ(又はドクターブ
レード)と称される。
【0010】以下、クリーニング装置の各部材の説明に
おいて、単純化の為にスクレーパについての記載は省略
する。301はクリーニング装置であり、ウレタンゴム
にシリコン化合物を混合する等して、適宜な弾性や硬度
を持たせたクリーニングブレード302が設置されてい
る。クリーニングブレード302の感光体の回転方向上
流側には、磁石からなるクリーニングローラー303を
有する。該クリーニングローラー303には、主として
回収トナー等の磁性粉体が磁気力により付着コートして
いる。感光体表面には、付着している磁性粉体のコート
部が適宜な当接幅(ニップ巾という)で当接し、感光体
との所定の相対速度をもって摺擦を行う。このクリーニ
ングローラー303は磁石以外にも、トナーと逆極性の
バイアスを印加したものでもよいし、シリコンゴムやス
ポンジ状の樹脂等からなるローラーでもよい。また、ロ
ーラー形状に限らず、ブラシ状の部材でもよい。ブラシ
状の部材としては、使用する感光体の硬度やプロセスス
ピード等により、材質を適宜選択することが好ましい。
【0011】a−Si系感光体等、高硬度な感光体に使
用するブラシ材料の一例として、ポリエチレンやポリス
チレン等の化学繊維ブラシ、該化学繊維にカーボンを混
入し、所望の導電性を有するようにした導電性繊維、ア
モルファス金属の繊維(例:ユニチカ製商品名「ボルフ
ァ」等)等を使用したブラシを使用してもよい。
【0012】クリーニング性を一定に保持する為、ま
た、局所的な過剰当接圧等による感光体の摩耗などの不
具合を防止する為、感光体101と該クリーニングロー
ラー、クリーニングブラシ等とのニップ巾は所定の巾に
保持されることが好ましい。保持機構としては、画像領
域外の適宜な位置にコロ等の突き当てでもよいし、所定
の圧力でローラーを感光体に押し当ててもよい。また、
磁性体のローラー等では、トナーコート厚を調整する方
法も可能である。クリーニング装置としては、上記の構
成の一部を除去した、或いは更に構成が追加されたクリ
ーニング装置を使用してもよい。
【0013】図7は、クリーニング工程の繰り返しにお
ける各動作を示す図である。以下、図7を例に、クリー
ニング工程の概略を、順を追って記す。
【0014】[Step.1]クリーニング装置301
が当接している感光体101が所定の速度で回転してい
る。図7(a)においては、感光体101表面が紙面の
左方から、クリーニングブレード302がある右方に移
動する。該感光体101表面には、前述の、帯電工程、
潜像形成工程、更に現像工程によりトナー像が形成され
る。転写部材で転写しきれなかった、いわゆる残トナー
や、ロジン、タルク等の付着物は、静電気力(クーロン
力)や、分子間力、摩擦力その他の付着力等により、感
光体表面に付着した状態で、クリーニング装置に接近す
る。ここで、感光体は必要に応じて、所定の温度に保持
されている場合もある。また、上述の如く、クリーニン
グローラー303(又はクリーニングブラシ等:以下括
弧内記載を略す)は付随していない場合もある。クリー
ニングブレード302は、その感光体表面との当接部位
において、感光体との潤滑性を持たせる為に粉体を塗布
した状態で使用する場合が多い。図7(a)において
は、クリーニングローラー303からトナー溜り307
を介して、既に回収された廃トナーの一部、或いは適宜
な方法でクリーニングローラーに付与されているトナー
が適宜供給されている。
【0015】[Step.2]クリーニングローラー3
03がある系では、上述の残トナー等はクリーニングロ
ーラー303により摺擦され、掻き取り、或いは吸引回
収される。これらのトナーは該クリーニングローラー3
03に取り込まれる(図7(b))。
【0016】[Step.3]取り込まれた残トナー等
は、一部はドクターローラー(又はドクターブレード:
以下括孤内記載を略す)304等の、適宜な機構により
回収される。回収された残トナー等は、クリーニング装
置301内のトナー溜り305へ送られる(図7
(c))。上述のように、クリーニングブレード302
の感光体との潤滑性の観点から、クリーニングローラー
303から、適宜な量の残トナー等を放出する場合もあ
る。該回収トナーは、さらに廃トナー搬送系306等を
経由して、不図示の廃トナー回収容器に回収される。ま
たは選別されて、一部乃至は大部分のトナーが再利用さ
れる場合もある。
【0017】[Step.4]上記クリーニングローラ
ー303により回収されなかった残トナー、或いはクリ
ーニングブレード303を有していない系の残トナーや
上述の様にクリーニングローラーから放出された残トナ
ー等は、感光体101表面に付着した状態でクリーニン
グブレード302に接近する。これらの残トナー等は、
例えばクリーニング装置301のクリーニングブレード
302によってかき落とされ、回収される。該回収トナ
ーは、廃トナー溜り305から、スクリュー等からなる
廃トナー搬送系306を経由し、不図示の廃トナー貯蔵
器へ搬送、排出される(図7(d))。該廃トナー貯蔵
器は、画像形成装置の不図示の部位に設置されている場
合も有り、カートリッジ式のレーザービームプリンター
(LBP)等の画像形成装置では、クリーニング装置に
組込まれる場合もある。残留する静電潜像はクリーニン
グ装置外にある、除電光源109等によって消去され
る。
【0018】上記のクリーニングローラー303以外に
も、上述の如く、ブラシ状のクリーニングブラシを感光
体表面に圧接摺擦し、種々の付着異物を除去する手段を
用いることができる。また、磁性体からなる磁性クリー
ニングローラーや、トナーと逆の極性にバイアスを印加
したクリーニングローラー、或いはクリーニングローラ
ー自体をトナーと逆特性になる様に構成したものを使用
し、非接触で、或いは感光体表面に当接させ、或いは吸
引した回収トナー等により、間接的に感光体に圧接摺擦
して異物を除去する方式等が既に提案されている。
【0019】これらの装置(クリーニングブレード、ク
リーニングブラシ、クリーニングローラー等)は、クリ
ーニング装置内に配置されており、各々単独又は組み合
わせて使用して、感光体表面から前述のような異物、及
びトナー等の粉体を除去する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】画像形成装置は、空調
が整った環境のみならず、低温低湿〜高温高湿環境に至
るまで、さまざまな条件下で使用される機会が急増して
いる。特にこれらの過酷な環境での使用を考慮し、メン
テナンスフリーや長寿命化のために、電子写真の安定化
に加え、上記のようなクリーニング不良やトナーの融着
等に対して、更なる高画質化に対する要求が高まってい
る。現在の電子写真はパーソナルユースの増加、使用す
る環境の多様化が進み、特に高画質を、環境変動などに
対しても極めて安定して確保し、明瞭な画像を長期にわ
たり得ることが必要である。また、装置自体の小型化、
低コスト化も重要である。
【0021】上述のように、高画質な画像を長期間得る
ためには、潜像形成を高精度に制御するとともに、感光
体表面を均一にクリーニングすることが必要である。ま
た、クリーニング装置の小型化、部材の簡易化、減少が
必要である。しかしながら、クリーニング機構の簡易化
等により、特に耐久が進んでくると、残トナーの一部は
クリーニングブレード302等、上記の部材や装置によ
り除去されず、感光体表面に残留する場合がある。
【0022】これらの残留した付着物は、図5を用いて
説明した帯電工程以降の工程を、更に1回以上、繰り返
し経過する。感光体表面に残留している付着物は、クリ
ーニングブレード302やクリーニングブラシ、クリー
ニングローラー303、また不図示の転写材等の摺擦に
より、且つ/又は熱により感光体表面への付着面積が広
がったり、感光体表面からの距離方向、いわゆる高さ方
向に成長する場合もある。或いは上記の工程の繰り返し
により、新たに異物が付着し、付着部位の面積、且つ/
又は高さが大きくなる場合がある。
【0023】上記の付着物は、クリーニング装置により
感光体表面から除去されない場合は、徐々に拡大し、画
像上に黒点として認識できる様になることも有る。特
に、長期休止後など、クリーニング装置内に滞留或いは
蓄積されているトナーや紙粉等(以下、回収トナー)が
凝集していることがあった。
【0024】また、長期休止後では凝集が発生していな
くても、その後、画像形成工程において、装置内、感光
体付近の温度が上昇し、該感光体表面とクリーニング装
置の接点近傍の残留トナーや回収トナーが昇温時に凝集
する場合があった。
【0025】特に、感光体の表面温度を調節するために
ヒーター等を有する装置においては、長期休止後の始動
時における画像形成工程において、感光体表面の温度上
昇により、該感光体表面と該クリーニング装置のトナー
が凝集し、クリーニングブレードやクリーニングローラ
ー等のクリーニング手段を損傷するブロッキングと称さ
れる現象を引き起こす場合があった。
【0026】また、固着部位の成長により、クリーニン
グブレード欠けやブレードめくれ、或いはクリーニング
ローラーにスジが入るなどの、クリーニング部材の損傷
や、クリーニングブレードのびびりやクリーニングロー
ラーと感光体のニップ巾が感光体長軸方向で不均一にな
るなど、クリーニング状態の異常が生じる場合がある。
この様な事態になると、クリーニングが完全にはなされ
ない、いわゆる「クリーニング不良」となる。
【0027】クリーニング不良には、たとえばクリーニ
ングブレードが一部欠けて画像にトナーの「黒スジ」が
発生したり、感光体の表面全体にトナーが薄くコーティ
ングされたようになる「フィルミング」、また固着した
トナーにより、画像上に黒点が生じる「融着」等が生じ
る場合がある。また、クリーニングローラー表面のトナ
ーコーティング厚に局部的なむらが生じたり、クリーニ
ングローラーの、感光体への当接圧にむらが生じて、感
光体表面の削れむらを生じる場合がある。その結果、該
感光体に照射される入射光の屈折の差異、干渉等によっ
て該感光体の光導電層への実効光量に局所的な変化が生
じ、画像の濃度むらとなる場合があった。
【0028】これらの様な、画質低下の場合にはメンテ
ナンス、場合によっては装置部品の交換などが必要にな
り、メンテナンスフリーが阻害される。
【0029】このような不具合を防止する為に、即ち、
これらのクリーニング不良が発生しないように、つまり
感光体表面に付着している異物を完全に除去する為に、
様々な手法が開示、または使用されている。例えば、
(1) クリーニングブレードやクリーニングブラシ、
同ローラー等のクリーニング部材が感光体に当接する圧
力(当接圧)或いは侵入量を規定したり、(2) クリ
ーニング部材の感光体への相対速度の制御、また付着物
の掻取り力を向上させる為に材料を変更する方法や、
(3) 或いは、該クリーニングローラーの表面に螺旋
状に溝を形成するなどの形状変更、(4) また、磁性
体やバイアス等による制御など、がある。
【0030】また、例えば高湿度環境下での使用時に画
像がぼやけた感じになる「(高湿)画像流れ」は、繰り
返し使用により帯電器から発生するオゾンの派生物であ
るコロナ生成物の影響により感光体表面が水分を吸着し
やすくなり、これが電荷の横流れの原因となり、画像流
れとなる。
【0031】該画像流れの対策として、a−Si系感光
体では、実公平1−34205号公報に記載されてい
る、上述のようなヒーターにより、感光体表面に吸着し
た水分を蒸発させる方法が、また特公平2−38956
号公報に記載のような、磁性ローラーと磁性トナーから
形成されたブラシにより感光体表面を摺擦してコロナ生
成物を除去する方法、また、特開昭61−100780
号公報に記載のような弾性ローラーにより感光体表面を
摺擦し、コロナ生成物を除去する方法、等が知られてい
る。
【0032】一方、ローラーによる摺擦について、上述
のクリーニングローラーやクリーニングブラシで感光体
表面を摺擦することもできる。感光体表面を摺擦する方
法は、a−Si系感光体の様に表面が高硬度の場合に実
用に供し易い。
【0033】また、有機感光体(OPC)等の比較的柔
らかい感光体では、感光体が摺擦研磨されることを前提
として電子写真装置を設計したりする方法や、逆に、該
感光体が摺擦研磨されることに関して、均一研磨や長寿
命化の為の対策を追加する場合がある。
【0034】しかしながら、上記の異物除去力を向上さ
せるための例の多くは、上記のように、クリーニング部
材の当接圧或いは侵入量を増加したり、クリーニングブ
ラシやクリーニングローラー等の感光体への相対速度を
増加するなど、摺擦力を増大させるものである。
【0035】この結果、前述の目的である、長寿命化と
は相反し、感光体表面の摩耗が生じたり、逆にクリーニ
ングブレードの欠けやクリーニングローラーのキズ等、
感光体やクリーニング装置への負荷が大きくなる場合が
多くなるなど、感光体や、クリーニング装置を含む画像
形成装置への負荷の増大は否めない。また、耐久によ
り、欠けやキズにならないまでも、部材の形状の変化等
を生じ、その結果クリーニング性が変化する。
【0036】一方、磁性体やバイアスによる制御の系
は、摺擦を増加せしめることなく、クリーニング力の向
上を図ることも可能であるが、非磁性体等、感光体表面
に残留している物質によっては、磁気力、静電気による
引力(クーロン力)に作用されない場合がある。また、
永久磁石や電磁石、或いは電源が必要となり、装置の小
型化、低コスト化が困難となる。
【0037】電子写真装置の小型化、低コスト化、メン
テナンスフリーの為に、これらの条件をクリアし、長期
間、好適状態のクリーニング作用を保持し得ることが重
要である。そのための構成の検討も必要であるが、一方
では、感光体表面自体のクリーニング性、即ちクリーニ
ングされ易さの制御が必要不可欠となる。
【0038】このような高画質化のために、上述の如く
クリーニングにかかる特性を制御する必要があり、その
ためにクリーニング装置の構成の感光体表面への、異物
やトナーの付着性を制御することが極めて重要である。
【0039】感光体の最表面の状態について、感光体の
表面性に関しては、特開昭60−22131号公報、特
開昭60−22132号公報、特開平1−269945
号公報、特公平4−62579号公報等に、純水との接
触角で規定することが挙げられているが、トナー等の異
物との接触性や濡れ性と、クリーニング性の相関等に付
いては十分な開示がなされていない。
【0040】該クリーニング性の測定法は簡易であるこ
とが好ましく、該測定結果により感光体とトナーの組合
わせなどを規定し、高画質な画像を安定して得られる電
子写真装置、方法が望ましい。
【0041】特にレーザープリンターや小型複写機、フ
ァックスのように実際に常用されている小型電子写真装
置において、サービス間隔を拡大し得るシステムとして
きわめて有効である。
【0042】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の手段を
用いることにより上記問題を解決する。画像形成装置用
感光体に対する帯電、及び露光からなる潜像形成工程、
トナー像を形成する工程、該トナー像を転写材に転写す
る工程、および該感光体の表面から異物を除去するクリ
ーニング工程、とを有する画像形成工程により、繰り返
し画像形成が可能な、画像形成装置に使用する画像形成
装置用感光体において、該感光体の最表面を、表面自由
エネルギー(γ)の値が35乃至65mN/mの範囲に
規定することを特徴とする。より好ましくは40乃至6
0mN/mである。ここでいう、該感光体の表面自由エ
ネルギー(γ)は、Forkesの拡張理論により導き
出すことができる。γは感光体表面へのトナー等の異物
の濡れ性を示すものであり、該γを制御することによ
り、感光体表面からトナー等の異物を除去、即ちクリー
ニング工程に必要な負荷を低減できる。
【0043】また、耐久によって変化する量(△γ)を
規定の範囲内で使用することを特徴とする。具体的に
は、△γを25mN/m以内の範囲とすることを特徴と
する。より好ましくは△γが15mN/m以内の範囲で
ある。
【0044】感光体表面と付着する異物の濡れ性の変化
量(△γ)を規定、制御することにより、クリーニング
即ち感光体表面とトナー等の異物の付着を切断するのに
必要な、負荷等を一定に保持できる。また、負荷の低減
によりクリーニング装置や感光体の特性を長期にわたり
保持できる。これにより、潜像及び顕像形成など、画像
形成の各工程の精度が長期にわたり維持され、高画質な
画像を安定して得ることができるようになる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく、作用について
述べる。なお、ヒーターに関しては、a−Si系感光体
を使用した画像形成装置などに搭載されている場合があ
る。省エネルギーの観点からは、ヒーターの容量を減少
乃至はヒーターレスとすることが好ましい。感光体表面
温度が低下することで、トナーの融着に対するラチチュ
ードも拡大する。当然のことながら、該ヒーターを容量
低減乃至は除去する場合、感光体の帯電能などの特性が
温度により実用上変化しないことが好ましい。
【0046】本発明の、特性を向上させたa−Si系感
光体は、光導電層は10〜30原子%の水素を含み、光
吸収スペクトルの指数関数裾(アーバックテイル)の特
性エネルギーが50〜60meVであって、かつ局在状
態密度が1×1014〜1×1016cm-3であることを特
徴としている。
【0047】温度による帯電能の変化、いわゆる温度特
性等を改善した、a−Si系感光体を使用することによ
り、上記の作用と相乗して、より一層の効果を得ること
が出来る。
【0048】電子写真の工程全般、及びクリーニング機
構の概略について、図5の画像形成プロセスの一例を示
す該略図をもって説明する。矢印X方向に回転する、感
光体101の周辺には、主帯電器102、静電潜像形成
部位103、現像器104、転写紙供給系105、転写
帯電器106(a)、分離帯電器106(b)、クリー
ニング手段である所のクリーナ107、搬送系108、
除電光源109などが配設されている。感光体101
は、必要に応じて面状内面ヒータ125によって温度コ
ントロールをしてもよい。
【0049】以下、さらに具体例を以て画像形成プロセ
スを説明すると、感光体101は、不図示の電圧印加手
段から+5〜10kVの高電圧を印加した主帯電器10
2により一様に帯電され、これに静電潜像形成部位、す
なわちランプ110から発した光が原稿台ガラス111
上に置かれた原稿112に反射し、ミラー113、11
4、115を経由し、レンズユニット117のレンズ1
18によって結像され、ミラー116を経由し、導かれ
投影された静電潜像が形成される。
【0050】この潜像に、必要に応じて、所定のac乃
至はac+dc電圧を印加した現像器104から、負極
性トナー(「ネガトナー」と称する)が供給されてトナ
ー像となる。
【0051】一方、転写紙供給系119を通って、レジ
ストローラ122によって先端タイミングを調整され、
感光体方向に供給される転写材Pは、例えば7〜8kV
などの適宜な高電圧を印加した転写帯電器106(a)
と感光体101の間隔において背面から、トナーとは反
対極性の電界を与えられ、これによって感光体表面のト
ナー像は転写材Pに転移する。転写材Pは、1.2〜
1.4kVP-P、300〜600Hzの高圧AC電圧を
印加した分離帯電器106(b)や、不図示の分離爪等
の分離手段により、転写紙搬送系108を通って定着装
置123に至り、該定着装置132内の定着ローラー1
24により、トナー像は定着されて装置外に排出され
る。感光体101上に残留するトナーはクリーニング装
置である所のクリーナユニット107内のクリーニング
ブレード120によってかき落とされる。クリーナー1
07内には他に、クリーニングローラー等の装置があっ
ても良い。クリーニング工程後、感光体表面に残存する
静電潜像は除電光源109によって消去される。
【0052】本図5はいわゆるアナログ画像形成装置の
該略図である。感光体を正極帯電させ、負極性のトナー
を使用する場合の1例について記載している。デジタル
画像形成装置の場合は、静電潜像形成部位103におけ
る光源として、原稿に反射した光をいったん信号化し、
使用する感光体の感度やその他の特性に適宜な可干渉
光、いわゆる所定の波長のレーザー等が使用されてもよ
い。帯電極性やトナーの極性、帯電方法、現像方法、転
写方法や、電圧条件等は異なるものを使用してもよい。
【0053】[クリーニング手段]図6は、図5のクリ
ーニング装置を拡大した図である。図6のクリーニング
装置は、前述の如く、ウレタンゴムなどからなるクリー
ニングブレード302、シリコンゴム或いはスポンジ、
或いは磁性体等の材料からなるクリーニングローラー3
03、ドクターローラー304、廃トナー溜り305、
廃トナー搬送系306等からなる。このドクターローラ
ー(又はドクターブレード)304は必要に応じて設置
される。これらの構成の一部乃至は全部からなる、或い
は、更に構成が追加されたクリーニング装置を使用して
もよい。
【0054】クリーニングブレード302は、適宜な当
接圧または侵入量で感光体表面に、均一に当接するよう
に設置されている。該クーリニングブレード302は、
必要に応じてイコライズ機構や可動機構を有し、感光体
表面との当接の均一性を向上させてもよい。更に、クリ
ーニングブレード302の近傍に、必要に応じてクリー
ニングローラー303を設置する。該クリーニングロー
ラー303には、シリコンゴム等の弾性材、スポンジ
材、或いは磁性体を使用してもよいし、トナーと逆極性
のバイアスを印加してもよい。該クリーニングローラー
303は、直接に、又は磁力等で付着しているトナーな
どの磁性粉体等により間接に感光体に当接され、該当接
部位にて感光体は摺擦され、付着物が掻き取られるもの
である。これ以外にも、樹脂繊維や金属繊維等からなる
クリーニングブラシや、樹脂或いは磁性体等からなるク
リーニングローラー等の、単独或いは組み合わせにより
構成させる。
【0055】上記クリーニング装置301内の、ウレタ
ンゴムなどからなるクリーニングブレード302等のク
リーニング手段と、感光体表面との間に相対移動が生じ
たとき、摩擦が生じる。
【0056】感光体表面の付着物は、該摩擦力により摺
擦され、掻取られる。掻き取られ、回収されたトナー
(回収トナー)は、一部がドクターローラー(又はスク
レーパ)304によりクリーニングローラー303から
除去され、クリーニング装置内の廃トナー溜り305、
廃トナー搬送系306を経由して不図示の廃トナー貯蔵
器へ排出される。
【0057】上述のように、感光体表面の異物を摺擦除
去する為には、相応の摩擦力等の負荷が必要となる。該
クリーニングブレード302の当接圧、いわゆるクリー
ニングブレード圧は、図8、図9に示すように、クリー
ニング性能と、ブレード欠け等との相関から、2乃至1
00gf/cmであることが好ましい。より好ましくは
5乃至50gf/cmである。なお、図8においてはニ
ップ幅(W)を30〜120μmの範囲で変化させた場
合のブレード圧に対するクリーニング性レベル(レベル
の評価については後述する)を、図9では感光体表面の
突起高さ(H)を0〜20μmの範囲で変化させた場合
のブレード圧に対するブレード欠けレベル(レベルの評
価については後述する)をそれぞれ示している。この範
囲内で、詳細には、使用する感光体の材料や、突起その
他を含めた表面形状、該感光体の表面速度等の条件によ
り、適宜設定される。
【0058】また、クリーニングローラー303は上記
の様に、直接或は間接に感光体表面と当接した状態で、
感光体表面と所定の相対速度をもって移動する。該クリ
ニニングローラー303は前述の如く、クリーニング装
置301内に設置され、これにドクターローラー(又は
スクレーパ)304が当接設置される。
【0059】該クリーニングローラー303表面は、感
光体表面を摺擦する為に、該感光体表面に対して所定の
相対速度で駆動される。該クリーニングローラの移動速
度は、感光体に対して従導方向(以下「順方向」と称す
る)を+として、該感光体に対する相対速度で記す。ク
リーニングのむらや、局所的なスジ等の防止の為、該相
対速度を、+100%より大、又は+5%以上+100
%未満、又は−4%乃至−80%の範囲のいずれかで使
用することが好ましい。
【0060】ここで、相対速度について説明すると、
「+100%」は、クリーニングローラーが、感光体表
面の順方向に等速で回転している、いわゆる“連れ回
り”を指し、「−100%」は、感光体との当接部位に
おいて、感光体表面と逆方向、いわゆるカウンターに、
感光体と同等の表面速度で回転している状態を指す。な
お、クリーニングローラーの停止状態は、相対速度「0
%」である。
【0061】感光体表面に対して、その当接部位で逆方
向に回転する方向に回転させると、順方向に回転させる
場合と比較すると、低回転速度でクリーニング効果を得
ることができる。これはクリーニングローラー303駆
動用モーターに対する配慮であり、順方向であっても、
適宜な相対速度を持って回転させればよい。また、駆動
方向は感光体表面を摺擦し得る方向の駆動であればよ
い。
【0062】例えば、感光体の回転方向(図の紙面内の
方向)に対してばかりでなく、感光体の長軸方向(紙面
に垂直な方向)、或いはその組合せで駆動しても構わな
い。これらの場合は、相対速度の方向について適宜定義
が異なるが、実質的に0%でなければよい。好ましく
は、−4%〜+4%を除く範囲である。
【0063】その他、該クリーニングローラー303
は、感光体表面に対して、距離或いはニップ巾、当接圧
等を調整し得る機構を設けてもよい。
【0064】一方、磁力或いはクーロン力等によるクリ
ーニング装置は、該磁気力、クーロン力等が、感光体表
面に付着した付着物を該感光体から吸引除去するもので
ある。
【0065】吸引した付着物を、更に排出し、クリーニ
ングローラー表面の吸引効果を維持する為、上記の摺擦
するクリーニングローラー等と同様に、適宜な装置速度
で駆動することが好ましい。
【0066】クリーニングは、前述のように、感光体表
面に付着している残留トナー等の異物を、感光体表面と
の付着力以上の力で、該感光体表面から除去することで
ある。従って、感光体表面の濡れ性が低いほどクリーニ
ング工程にかかる負荷を低減できる。
【0067】感光体表面の持つ付着性は、表面自由エネ
ルギー(表面張力と同義)として、検出することが可能
である。
【0068】[表面自由エネルギー]以下、表面自由エネ
ルギーに付いて述べる。感光体表面と残留トナー等の異
物の付着は、物理結合の範疇であり分子間力(van
der Waals力)が原因である。その分子間力が
最表面において起こす現象として表面自由エネルギー
(γ)がある。物質の「濡れ」には、大別して3種類あ
る。物質1が物質2に付着する「付着濡れ」、物質1が
物質2上に広がる「拡張濡れ」、物質1が物質2に浸っ
たり、染み込む「浸漬濡れ」である。
【0069】付着濡れについて、表面自由エネルギー
(γ)と濡れ性に関して、Youngの式から物質1と
物質2との関係は、下記のようになる。
【0070】
【数1】 γ1:物質1表面の表面自由エネルギー γ2:物質2の表面自由エネルギー γ12:物質1/物質2の界面自由エネルギー θ12:物質1/物質2の接触角 上式において、画像形成装置内の感光体表面への異物や
水分等の付着を考える場合は、物質1を感光体、物質2
を異物とすればよい。
【0071】式(1)より、濡れ難くする、つまりθ12
を大きくする為には、感光体とトナーの濡れ仕事である
ところの感光体表面の表面自由エネルギーγ1を大きく
し、γ2とγ12を小さくしてやることが有効である。
【0072】電子写真のクリーニング工程において、感
光体の表面自由エネルギーγ1を制御することにより、
結果として式(1)の右辺の付着状態を制御できる。ま
た、耐久において、トナーやその他の異物は逐次、新た
に供給される物であり、γ2は一定と考えることが出来
る。一方、感光体は耐久によりその表面自由エネルギー
γ1が変化する。γ1が△γ1だけ変化することにより、
結果として式(1)の右辺の値も変化する。即ち異物が
感光体表面に付着する状態が変化し、結果としてクリー
ニング性やクリーニング機構への負荷に変化が生じる。
言葉を変えれば、△γ1を規定することにより、感光体
のクリーニング性、即ちクリーニングされ易さを一定に
保持し得るということである。
【0073】ここで、固体と液体の濡れに関しては、そ
の接触角θ12を直接測定することができるが、感光体と
トナーの様に、固体と固体の場合は、接触角θ12を測定
し得ない。本発明にかかる感光体とトナーは、通常とも
に固体であり、このケースに該当する。
【0074】北崎 寧昭、畑 敏雄らは、日本接着協会
紙8(3)、131〜141(1972)で、界面自由
エネルギー(界面張力と同義)に関し、非極性な分子間
力について述べたForkesの理論に対し、さらに極
性、又は水素結合性の分子間力による成分にまで拡張で
きることが示されている。この拡張Forkes理論に
より、各物質の表面自由エネルギーを2乃至3成分で求
めることができる。下に、付着濡れの場合を例に3成分
の理論について記す。この理論は下記の如き仮定の基で
成り立っている。1.表面自由エネルギー(γ)の加算
【0075】
【数2】 γ=γd+γp+γh...式(2) γd:双極子成分(極性によるぬれ=付着)、 γp:分散成分(非極性のぬれ=付着)、 γh:水素結合成分(水素結合によるぬれ=付着)
【0076】これをForkeS理論に適用して、2つ
の物質の界面自由エネルギーγ12は、下記の様になる。
【0077】
【数3】 さらに、
【0078】
【数4】
【0079】表面自由エネルギーの測定方法は、p,
d,hの表面自由エネルギー各成分が既知の試薬を使用
し、該試薬との付着性を測定し、算出することが出来
る。具体的には、試薬に純水、ヨウ化メチレン、α−ブ
ロモナフタレンを使用し、協和界面(株)製の接触角計
CA−S ROLLを使用して上記各試薬の感光体表面
への接触角を測定し、同社製表面自由エネルギー解析ソ
フトEG−11にて表面自由エネルギーγを算出した。
試薬は上記のほかにも、p、d、hの各成分が適宜な組
み合わせのものを使用すればよい。また測定方法も、上
記の他にも一般的な手法の、例えばウィルヘルミ法(つ
り板法)、ドゥ・ヌイ法等で測定することにより、行う
ことができる。
【0080】先に述べたように、「濡れ」には複数の種
類があるが、感光体表面にトナーが固着、融着する場合
には、感光体表面に残留したトナーが感光体に付着し、
クリーニング、帯電等の工程を繰り返しているうち、該
トナーが感光体表面に被膜状に広がり、付着力が強度に
なることによる影響が大きい。いわゆる「付着濡れ」に
相当する。
【0081】また、紙粉やロジン、タルク等の、異物の
固着などの場合も同様に付着後、感光体との接触面(以
下「界面」と称する)の面積が増大して強固な濡れにな
る。更に感光体表面に付着した異物に、また感光体表面
へ直接水分が関与し「濡れ」ることは、画像がぼやけた
ようになる、いわゆる「高湿流れ」の要因となってい
る。
【0082】これらの異物に関して、電子写真の画像形
成の工程上、トナーを含む様々な物質が一旦は感光体表
面に付着する。これらのうち、転写材に転写されきらな
かった、いわゆる「残トナー」や他の異物を、一定期間
以内にクリーニング、即ち除去する必要がある。ここで
言う一定期間とは、様々な物質が一旦は感光体表面に付
着する実時から、該付着物が、拡散且つ/又は更なる付
着により、感光体との界面の面積が増加するまでの状態
の期間を指す。
【0083】上記の範囲の状態内でのクリーニングにか
かる特性、即ち先ず感光体へ付着した異物の「付着濡
れ」、更に「拡張濡れ」が、実用上のクリーニング特性
や、クリーニング装置或いは感光体の寿命にかかる、大
きな要因となる。従って、本発明者らは、感光体の表面
自由エネルギーγについて、規定することが有効である
と考え、鋭意検討を行い、高画質且つ高耐久な電子写真
画像を得ることが出来ることを見出した。特に、物質
2、即ち前述の異物としてはトナー、紙粉、水分、シリ
コンオイルその他の多種類が考えられる。
【0084】本発明においては、付着される側である所
の物質1の感光体表面に付いて、その表面自由エネルギ
ーγ1を規定した。また、上記の物質2は耐久中、随時
供給されるものであるのに対し、物質1である感光体表
面は耐久により、そのγ1が変化する。画像形成用の電
子写真装置としての耐久性を検討するに当り、その変動
分△γ1を制御することが重要である。
【0085】[制御]高画質な画像を安定して得る為
に、感光体のクリーニング性、特に感光体をクリーニン
グする負荷を制御する。本発明者らは、鋭意検討の結
果、感光体の表面自由エネルギーγの値を35乃至65
mN/mの範囲、より好ましくは40乃至60mN/m
に規定することにより、低負荷で良好なクリーニング性
が得られることを見出した。また、耐久により変化する
量△γを25mN/m以内、好ましくは15mN/m以
内の範囲で使用することにより、感光体とクリーニング
装置双方への負荷の変動を抑止し、長期にわたりクリー
ニング特性を安定せしめた。
【0086】図13及び図14は、現像器の構成と、ト
ナーの挙動をモデル化して描いてある。図13及び図1
4に記載の、現像手段であるところの現像器1001は
磁性体1003を内蔵し、トナーを感光体表面近傍に運
ぶ現像スリーブ1002と、該トナーが現像器1001
のシリンダーへコートされる量を規制する手段としての
ドクターブレード1004と、現像スリーブ1002に
現像バイアスを印加する不図示の電圧印加手段と、該ト
ナーを蓄えておくトナー溜め1005とからなる。
【0087】[トナー、現像]現像時には現像器100
1内の現像スリーブ1002に現像バイアス(ac+d
c)が印加される。トナーは1成分トナー(磁性トナ
ー)と2成分トナー(トナー+キャリア)という様に、
2種類に大別できる。現像スリーブ1002と感光体間
でのトナーの挙動は、該トナーの構成により異なる。1
成分系トナーの場合、図13にあるように、トナーは現
像バイアスの特にac成分と現像器1001内の磁性体
1003の磁力の相関により、現像スリーブ1002と
感光体の間を高速でジャンプしながら往復している。ト
ナーの極性と、現像バイアスの特にdc成分と、感光体
表面の電位、また現像器1001内の磁性体1003の
磁力等との相関により、トナーが感光体表面に現像され
る。
【0088】2成分系トナーの場合、図14にある様
に、トナーは現像スリーブ1002から連鎖しながら感
光体表面側に伸び、いわゆる磁気ブラシ状に接触してい
る。該トナーは現像バイアスの特にdc成分と感光体表
面の電位の相関や、現像器1001内の磁性体1003
の磁力等との相関により、感光体表面に現像される。
【0089】使用する感光体の種類、誘電率、またプロ
セススピード等により、現像バイアス等の条件を適宜調
整したり、トナーを適宜選択することが好ましい。
【0090】また、一般にトナーは、分級品の周囲に添
加剤(以下、「外添剤」と称する)をまぶした構成にな
っており、2成分系トナーの場合は、更にキャリヤと呼
ばれる材料が混合される。外添剤は、一般に数十〜数千
オングストローム(Å)の粒径で、分級品やキャリアよ
りも十分に小さいものを使用する。
【0091】トナー粒径、及び粒度分布の測定方法は、
レーザー回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子
製)を使用して行った。実際の測定は0.05μm〜2
00μmの範囲を32対数分割して行い、50%平均粒
径をもって平均粒径とした。なお、特に断りの無い場
合、トナー粒径とは、外添剤を除く分級品やキャリア等
の粒径を指す。全体の平均粒径としては、この他に、光
学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により、ランダムに10
0個以上の粒子を抽出し、水平方向最大弦長をもって該
値としてもよい。また、トナーの平均粒径は、画質の面
から微小な方が良いが、クリーニング性や、製造性等か
ら、1乃至50μmの範囲が好ましい。より好ましく
は、2乃至20μmである。なお、上記範囲内の平均粒
径のトナー分級品、キャリアを複数種類混合使用しても
構わない。
【0092】また、トナーの形状は球形で無く、例えば
上記の平均粒径を有する不特定数の凹凸を有していても
よい。
【0093】なお、一般にトナーのジャンプ移動や連鎖
接触の点、或いは装置内のトナー飛散防止などの点か
ら、感光体表面と現像スリーブ間の距離(以下、「SD
ギャップ」と称する)があまり大きいのは好ましくな
い。また近すぎると、トナーや現像スリーブなどの現像
手段と感光体間で放電が発生し潜像に影響を及ぼす、或
いはトナーの運動が妨げられ感光体や現像手段等を損傷
する場合がある。このため、SDギャップは、一般に5
0〜1000μm、好ましくは100〜600μmの範
囲内に設置される。
【0094】[感光体]本発明に好適な感光体の形態と
して、無機感光体のうち、非晶質珪素を主原料とする感
光体、すなわちアモルファスシリコン系感光体(以下
「a−Si感光体」と称する)、および有機半導体から
なる感光体(OPC)がある。a−Si系感光体は、中
高速複写機等に搭載されており、使用頻度が高い条件に
おいても、非常に長期間、安定した特性を有する。
【0095】この様な長寿命の電子写真感光体を搭載し
た画像形成装置において、その電子写真工程の一部であ
るクリーニング工程の高効率化、長寿命化の効果は非常
に大きい。
【0096】一方、OPCはLBP等のカートリッジ等
に搭載されている。OPCも、高画質な画像を提供する
感光体である。OPCは表面の構成がa−Si系感光体
のように高硬度ではない。クリーニングブレードの摺擦
等により、該OPCの感光層膜厚が減少し、その膜厚減
少は感光体、ひいてはカートリッジの寿命を決定する要
因になる場合がある。
【0097】前述の如く、クリーニングブレードの線圧
等の負荷を減少し、感光体の膜厚減少を低減し得る構成
にすることで、感光体の長寿命化が可能になる。
【0098】[a−Si系感光体]本発明に係るa−S
i系感光体は周知の、導電性支持体と、シリコン原子を
母体とする非単結晶材料から成る光導電層を有する感光
層とから構成される感光体でも構わないが、必要に応じ
て特性を向上させたものを用いる。
【0099】本発明の、特性を向上させたa−Si系感
光体は、光導電層は10〜30原子%の水素を含み、光
吸収スペクトルの指数関数裾(アーバックテイル)の特
性エネルギーが50〜60meVであって、かつ局在状
態密度が1×1014〜1×1016cm-3であることを特
徴としている。
【0100】上記したような構成をとるように設計され
た画像形成装置用感光体は、帯電能の温度依存性を初
め、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像
品質、耐久性及び使用環境特性を示す。
【0101】以下、図面に従って本発明の光導電部材に
ついて詳細に説明する。図10は、本発明の画像形成装
置用感光体の層構成を説明するための模式的構成図であ
る。図10(a)に示す画像形成装置用感光体700
は、感光体用としての支持体701の上に、感光層70
2が設けられている。該感光層702はa−Si:H,
Xからなり光導電性を有する光導電層703で構成され
ている。図10(b)は、本発明の画像形成装置用感光
体の他の層構成を説明するための模式的構成図である。
図10(b)に示す画像形成装置用感光体700は、感
光体用としての支持体701の上に、感光層702が設
けられている。該感光層702はa−Si:H,Xから
なり光導電性を有する光導電層703と、アモルファス
シリコン系表面層704とから構成されている。図10
(c)は、本発明の画像形成装置用感光体の他の層構成
を説明するための模式的構成図である。図10(c)に
示す画像形成装置用感光体700は、感光体用としての
支持体701の上に、感光層702が設けられている。
該感光層702はa−Si:H,Xからなり光導電性を
有する光導電層703と、アモルファスシリコン系表面
層704と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層7
05とから構成されている。図10(d)及び(e)
は、本発明の画像形成装置用感光体のさらに他の層構成
を説明するための模式的構成図である。図10(d)、
同(e)に示す画像形成装置用感光体700は、感光体
用としての支持体701の上に、感光層702が設けら
れている。該感光層702は光導電層703を構成する
a−Si:H,Xからなる電荷発生層707ならびに電
荷輸送層708と、アモルファスシリコン系表面層70
4とから構成されている。
【0102】[支持体701]支持体701としては、
導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体と
してはAl、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、
V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの
合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエ
ステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロース
アセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシー
ト、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なく
とも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も
用いることができる。
【0103】また、支持体701の形状は平滑表面ある
いは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であるこ
とができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光
体700を形成し得るように適宜決定するが、支持体7
01の厚さは製造上および取り扱い上、機械的強度等の
点から通常は10μm以上とされる。
【0104】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
るために、光生成キャリアの減少が実質的にない範囲で
支持体701の表面に凹凸を設けてもよい。支持体70
1の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−16815
6号公報、同60−178457号公報、同60−22
5854号公報、同61−231561号公報等に記載
された公知の方法により作成される。
【0105】又、レーザー光等の可干渉光を用いた場合
の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するさ
らに別の方法として、感光層702内、或いは該層70
2の下側に光吸収層等の干渉防止層或いは領域を設けて
も良い。
【0106】又、支持体の表面に微細なキズをつけるこ
とにより感光体表面の微細粗さを制御することも可能で
ある。キズの作成は研磨材を使用しても良いし、化学反
応によるエッチングやプラズマ中のいわゆるドライエッ
チング、スパッタリング法等を用いても良い。この際に
該キズの深さ、大きさは光生成キャリアの減少が実質的
にない範囲であれば良い。
【0107】[光導電層703]本発明に於いて、その
目的を効果的に達成するために支持体701上、必要に
応じて下引き層(不図示)上に形成され、感光層702
の一部を構成する光導電層703は真空堆積膜形成方法
によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメー
ターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、
例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法
またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、ある
いは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD
法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができ
る。
【0108】これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資
本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装
置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択
されて採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置
用感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容
易であることからしてグロー放電法、特にRF帯、μW
帯またはVHF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放
電法が好適である。
【0109】グロー放電法によって光導電層703を形
成するには、基本的には周知のごとくシリコン原子(S
i)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子
(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハ
ロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、
内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入
して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじ
め所定の位置に設置されてある所定の支持体701上に
a−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0110】また、シリコン原子の未結合手を補償し、
層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上
させるために、光導電層703中に水素原子または/及
びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、水素
原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハ
ロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/
及びハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より
好ましくは15〜25原子%とされるのが望ましい。そ
して、形成される光導電層703中に水素原子を構造的
に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易に
なるように図り、本発明の目的を達成する膜特性を得る
ために、これらのガスに更にH2および/またはHeあ
るいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合し
て層形成することが必要である。また、各ガスは単独種
のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えな
いものである。
【0111】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のま
たはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化含物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的にはフッ素ガス(F2)、Br
F、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF
7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0112】ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆる
ハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体
的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好
ましいものとして挙げることができる。
【0113】光導電層703中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体701の温度、水素原子または/及びハロゲン原子
を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ
導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0114】本発明においては、光導電層703には必
要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好
ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層703中に
万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あ
るいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。
【0115】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表IIIa族に属する原子
(以後「第IIIa族原子」と略記する)またはn型伝導
特性を与える周期律表Va族に属する原子(以後「第V
a族原子」と略記する)を用いることができる。第III
a族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニ
ウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(I
n)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Ga
が好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス
(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0116】光導電層703に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1
×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×
103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子
ppmとされるのが望ましい。
【0117】伝導性を制御する原子、たとえば、第III
a族原子あるいは第Va族原子を構造的に導入するに
は、層形成の際に、第IIIa族原子導入用の原料物質あ
るいは第Va族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に、光導電層103を形成するための他のガスと
ともに導入してやればよい。第IIIa族原子導入用の原
料物質あるいは第Va族原子導入用の原料物質となり得
るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくと
も層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用される
のが望ましい。
【0118】そのような第IIIa族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も挙げることができる。
【0119】第Va族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P2
4等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PCl5
PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐が挙げられ
る。この他、AsH3、AsF 3、AsCl3、AsB
3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、SbC
3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3等も
第Va族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げ
ることができる。
【0120】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2および/またはHeに
より希釈して使用してもよい。
【0121】さらに本発明においては、光導電層703
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
を含有させることも有効である。炭素原子及び/または
酸素原子/及びまたは窒素原子の含有量はシリコン原
子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して、好
ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×
10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望
ましい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒
素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良
いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0122】本発明において、光導電層703の層厚
は、所望の電子写真特性が得られること及び使用状態に
おける電気容量が前述の範囲に収まることや、経済的効
果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましく
は20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最
適には25〜40μmとされるのが望ましい。さらに、
支持体701の温度は、層設計にしたがって適宜最適範
囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜3
50℃、より好ましくは230〜330℃、最適には2
50〜310℃とするのが望ましい。
【0123】光導電層を形成するための支持体温度、ガ
ス圧等の条件は通常は独立的に別々に決められるもので
はなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的
且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望まし
い。
【0124】[表面層704]本発明においては、上述
のようにして支持体701上に形成された光導電層70
3の上に、更に表面層704を形成することが好まし
い。この表面層704は自由表面を有し、主に耐湿性、
連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、
耐久性において本発明の目的を達成するために設けられ
る。アモルファスシリコン系等、高硬度で適宜な電気
的、光学的特性を有するものが望ましい。
【0125】表面層704は、アモルファスシリコン系
の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を
含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子
(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に
酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−
SiO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/
またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含
有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,
X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素
原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン
(以下「a−Si(C,O,N):H,X」と表記す
る)等の材料が好適に用いられる。
【0126】該表面層704は、例えばグロー放電法
(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波C
VD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD
法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレー
ティング法、光CVD法、熱CVD法など周知の薄膜堆
積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積
法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規
模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性
等の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体
の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ま
しい。
【0127】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H,Xよりなる表面層704を形成するには、基本
的にはシリコン原子(Si)を供給し得る、Si供給用
の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の
原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原
料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX
供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に
所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電
を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電
層703を形成した支持体701上にa−SiC:H,
Xからなる層を形成すればよい。
【0128】表面層を、a−SiCを主成分として構成
する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対
して30%から90%の範囲が好ましい。また表面層内
の水素含有量を30原子%以上70%以下に制御するこ
とで電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な
向上を図り、表面層の高い硬度を確保できる。
【0129】表面層中の水素含有量は、H2ガスの流
量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し
得る。
【0130】表面層704中に含有される水素原子また
は/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持
体701の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を
含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導
入する量、放電電力等を制御すればよい。炭素原子及び
/または酸素原子及び/または窒素原子は、表面層中に
万遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向
に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分
があっても良い。
【0131】さらに本発明においては、表面層704に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層704中
に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、
あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している
部分があってもよい。
【0132】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、「第IIIa族原子」または「第Va族原子」を用い
ることができる。また、これらの伝導性を制御する原子
導入用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、N
e等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0133】本発明に於ける表面層704の層厚として
は、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μ
m、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいもの
である。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用
中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μ
mを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下が
みられる。
【0134】その他に、表面層として炭素を主体とした
非晶質炭素膜(以下、「a−C:H」と表記する)、ま
た、a−C:Hを主体として、内部且つ/又は最表面に
フッ素との結合を有する非晶質炭素膜(以下「a−C:
H:F」と表記する)を使用しても良い。
【0135】a−C:H、a−C:H:F表面層は、a
−SiC同等以上の硬度を有し、また、撥水性に優れ、
低摩擦であり、環境対策ヒーターを除去した状態におい
ても高湿環境下での画像のぼけを防止する効果がある。
また、トナー粒子等による機械的な摩擦による感光体の
損傷を低減乃至は防止できる。
【0136】表面層704がa−C:H:Fから成る場
合の例を示す。原料ガスとしては炭化水素を用い、高周
波によりグロー放電分解して作成される。表面保護層と
しては透明度が高い方が感度の低下が少なく好都合であ
るので、必要に応じて水素や、ヘリウム、アルゴン等の
ガスが適宜混合される。また、基板温度は室温から35
0℃までで適宜に温度調整される。
【0137】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C26、C38、C410等のガス状態の、また
はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、炭素供給効率
の良さ等の点でCH4、C2 6が好ましいものとして挙
げられる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要
に応じて、H2、He、Ar、N2、Ne等のガスにより
希釈して使用してもよい。
【0138】高周波電力については、出来るだけ高い方
が炭化水素の分解が充分に進むため好ましいが、異常放
電が発生してしまい、電子写真感光体の特性を劣化させ
るので、異常放電が発生しない程度の電力に抑える必要
がある。具体的には炭化水素の原料ガスに対して10W
/cc以上が好ましく、適宜調整される。
【0139】放電空間の圧力については15Pa以下、
より好ましくは6.5Pa以下、更に好適には1.5P
a以下、圧力の下限は放電が安定して立つ領域であれば
よい。
【0140】フッ素原子が膜中に結合した領域を作成す
るためには、a−C:Hからなる表面保護層を作成した
後にフッ素を含有したガスを導入し、適宜の高周波電力
でプラズマを発生させて表面保護層のエッチング処理を
行うことによって表面保護層の膜中にフッ素原子を含有
させる。また、電力は10Wから5000Wまで、各々
のエッチング速度に鑑み、適宜決定される。また、同様
に処理空間の圧力も0.1Paから数Paの範囲で適宜
決定される。
【0141】本発明の効果を得る為に用いられるフッ素
系のガスとしてはCF4、CHF3、C26、ClF3
CHClF2、F2、C38、C410等のフッ素含有ガ
スを用いれば良い。
【0142】エッチングする膜厚に関しては最小20Å
以上あれば本発明の効果は得られる。100Å以上エッ
チングすると、再現性、均一性が向上し、更に好まし
い。エッチングする膜厚は20Å〜100Å以上あれば
どれだけエッチングしても本発明の効果は得られるので
任意に決めて良いが、制御の容易性と工業的な生産性か
ら言えば1000Å〜5000Å以下程度が好ましいと
考えられる。
【0143】a−C:H表面層704を作成する場合
は、上述のうち、フッ素による処理、或いはフッ素源と
なるガスを除いた状態で作成動作を行えばよい。
【0144】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層704を形成するには、支持体701の温度、反応
容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要
がある。表面層を形成するための支持体温度、ガス圧等
の条件は通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ
有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0145】さらに本発明に於いては、光導電層と表面
層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表
面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設け
ることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効
である。また表面層704と光導電層703との間に炭
素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子の含
有量が光導電層703に向かって減少するように変化す
る領域を設けても良い。これにより表面層と光導電層の
密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響
をより少なくすることができる。
【0146】[電荷注入阻止層705]本発明の画像形
成装置用感光体においては、導電性支持体701と光導
電層703との間に、導電性支持体701側からの電荷
の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層705を設
けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻
止層705は感光層702が一定極性の帯電処理をその
自由表面に受けた際、支持体701側より光導電層70
3側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の
極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮さ
れない、いわゆる極性依存性を有している。そのような
機能を付与するために、電荷注入阻止層705には伝導
性を制御する原子を光導電層703に比べ比較的多く含
有させる。
【0147】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、ある
いは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一
に分布する状態で含有している部分があってもよい。分
布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するよ
うに含有させるのが好適である。いずれの場合にも支持
体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏
なく含有されることが面内方向における特性の均一化を
はかる点からも必要である。
【0148】電荷注入阻止層705に含有される伝導性
を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆ
る不純物を挙げることができ、「第IIIa族原子」また
は「第Va族原子」を用いることができる。
【0149】本発明において、電荷注入阻止層705の
層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的
効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好まし
くは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされる
のが望ましい。
【0150】本発明においては、電荷注入阻止層705
を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電
力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲
が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独
立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有
する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づ
いて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望まし
い。
【0151】また、本発明の画像形成装置用感光体に於
いては、支持体701と光導電層703あるいは電荷注
入阻止層705との間の密着性の一層の向上を図る目的
で、例えば、Si34、SiO2、SiO、あるいはシ
リコン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン
原子と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒
素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設け
ても良い。更に、前述のごとく、支持体からの反射光に
よる干渉縞模様の発生を防止するための光吸収層を設け
ても良い。
【0152】上記の各層は、例えば図11に示される様
な周知の装置および膜形成方法にて製造される。図11
は電源周波数としてRF帯を用いた高周波プラズマCV
D法(以後「RF−PCVD」と略記する)による画像
形成装置用感光体の製造装置の一例を示す模式的な構成
図である。この装置は大別すると、堆積装置(310
0)、原料ガスの供給装置(3200)、反応容器(3
111)内を減圧にするための排気装置(不図示)から
構成されている。堆積装置(3100)中の反応容器
(3111)内には円筒状支持体(3112)、支持体
加熱用ヒーター(3113)、原料ガス導入管(311
4)が設置され、更に高周波マッチングボックス(31
15)が接続されている。原料ガス供給装置(320
0)は、SiH4、GeH4、H2、CH4、B26、PH
3等の原料ガスのボンベ(3221〜3226)とバル
ブ(3231〜3236、3241〜3246、325
1〜3256)およびマスフローコントローラー(32
11〜3216)から構成され、各原料ガスのボンベは
バルブ(3160)及び配管3116を介して反応容器
(3111)内のガス導入管(3114)に接続されて
いる。
【0153】次に、電源にVHF帯の周波数を用いた高
周波プラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略記
する)法によって形成される画像形成装置用感光体の製
造装置は、例えば図11に示した製造装置におけるRF
−PCVD法による堆積装置(3100)を図12に示
す堆積装置(4100)に交換して原料ガス供給装置
(3200)と接続することにより、得ることができ
る。
【0154】この装置は大別すると、真空気密化構造を
成した減圧にし得る反応容器(4111)、原料ガスの
供給装置(3200)、および反応容器内を減圧にする
ための排気装置(不図示)から構成されている。反応容
器(4111)内には円筒状支持体(4112)、支持
体加熱用ヒーター(4113)、原料ガス導入管を兼ね
る電極(4114)が設置され、電極には更に高周波マ
ッチングボックス(4115)が接続されている。ま
た、反応容器(4111)内は排気管(4121)を通
じて不図示の拡散ポンプに接続されている。
【0155】原料ガス供給装置(3200)は、SiH
4、GeH4、H2、CH4、B26、PH3等の原料ガス
のボンベ(3221〜3226)とバルブ(3231〜
3236、3241〜3246、3251〜3256)
およびマスフローコントローラー(3211〜321
6)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(31
60)を介して反応容器(4111)内のガス導入管
(4115)に接続されている。また、円筒状支持体
(4112)によって取り囲まれた空間(4130)が
放電空間を形成している。
【0156】[有機光導電体(OPC)]本発明に好適
な感光体の一形態であるOPC感光体について以下に述
べる。図10は、前述の如く本発明の画像形成装置用感
光体の層構成を説明するための模式的構成図である。図
10(f)に画像形成装置用OPC感光体の一例を示
す。OPC感光体700は、感光体用としての支持体7
01の上に、感光層702が設けられている。該感光層
702は電荷発生層707、電荷輸送層708からな
り、必要に応じて、保護層ないし表面層704’、及び
支持体701と電荷発生層707の間等の適宜な層間
に、中間層705’を設けて構成されている。
【0157】本発明に用いられるOPC感光体、すなわ
ち表面層、光導電層、必要に応じて設けられる中間層等
において、特にその表面層は、従来のものでもよいが、
耐久性を向上させるためにフッ素を含有した素材、例え
ばポリエチレンテレフタレート(PTFE、以下「PT
FE」と称する)を混入或いはコートしてもよい。
【0158】フッ素原子を含有且つ/又はコートを施し
ていない表面を有する感光体でも撥水性、クリーニング
性は特に問題無いが、フッ素原子を含有且つ/又はコー
トした表面層は含有またはコートを施していない表面よ
りも、撥水性、滑り性に富み、高耐久化に有利である。
【0159】[樹脂の生成例]本発明の電子写真感光体
の表面層、光導電層、電荷輸送層及び電荷発生層の形成
に用いる樹脂の1例を説明する。
【0160】ポリエステルとは酸成分とアルコール成分
との結合ポリマーであり、ジカルボン酸とグリコ−ルと
の縮合あるいはヒドロキシ安息香酸のヒドロキシ基とカ
ルボキシ基とを有する化合物の縮合によって得られる重
合体である。
【0161】酸成分としてテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、
コハク酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン
酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸
等を用いることが出来る。
【0162】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメ
チロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等を使用することが出来る。
【0163】尚、前記ポリエステル樹脂が実質的に線状
である範囲でペンタエリスリトール、トリメチロールプ
ロパン、ピロメリット酸及びこれらのエステル形成誘導
体等の多官能化合物を共重合させても良い。
【0164】本発明に用いるポリエステル樹脂として
は、高融点ポリエステル樹脂を用いる。高融点ポリエス
テル樹脂としては、オルソクロロフェノール中36℃で
測定した極限粘度が0.4dl/g以上、好ましくは
0.5dl/g以上、更に好ましくは0.65dl/g
以上のものが用いられる。好ましい高融点ポリエステル
樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が
挙げられる。ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は酸
成分として、テレフタル酸、グリコール成分として、ア
ルキレングリコールから主としてなるものである。
【0165】その具体例としては、テレフタル酸成分と
エチレングリコール成分とから主としてなるポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、テレフタル酸成分と1,
4−テトラメチレングリコール(1,4−ブチレングリ
コール)成分とから主としてなるポリブチレンテレフタ
レート(PBT)、テレフタル酸成分とシクロヘキサン
ジメチロール成分とから主としてなるポリシクロヘキシ
ルジメチレンテレフタレート(PCT)等をあげること
が出来る。
【0166】他の好ましい高分子量ポリエステル樹脂と
しては、ポリアルキレンナフタレート系樹脂を例示出来
る。ポリアルキレンナフタレート系樹脂は酸成分として
ナフタレンジカルボン酸成分とグリコール成分としてア
ルキレングリコール成分とから主としてなるものであっ
て、その具体例としては、ナフタレンジカルボン酸成分
とエチレングリコール成分とから主としてなるポリエチ
レンナフタレート(PEN)等を挙げることが出来る。
【0167】高融点ポリエステル樹脂としては、その融
点が好ましくは160℃以上、特に好ましくは200℃
以上のものである。
【0168】ポリエステル樹脂の他に、アクリル樹脂を
使用しても良い。又、バインダとしては2官能アクリ
ル、6官能アクリル、ホスファゼン等が使用される。こ
れらの樹脂は、比較的結晶性が高く、硬化樹脂ポリマー
鎖と高融点ポリマー鎖との相互の絡み合いが均一かつ密
になって、高耐久性の表面層を形成出来るものと考えら
れる。低融点ポリエステル樹脂等の場合には、結晶性が
低いので、硬化樹脂ポリマー鎖との絡み合いの程度が大
きいところと小さいところが生じ、耐久性が劣るものと
考えられる。該樹脂は、使用条件により、適宜に選択さ
れた分散量を用い、帯電性や感度特性を制御することが
好ましい。
【0169】また、該感光体の表面は、上述のように、
PTFE樹脂をコートさせたものでもよいし特に含ませ
なくても使用可能である。
【0170】[トナー/無機微粉体]トナーとしては、
感光体の表面電位や現像の極性及び電界に応じて適した
極性その他の特性のものを使用することが好ましい。本
発明においては、周知のトナーを使用しても何ら構わな
いものである。なお、トナーの製作は、例えば下記のよ
うに結着樹脂、酸無水物等を使用して作成する。
【0171】反応器にトルエン200重量部を入れ、還
流温度まで昇温する。それに、スチレンモノマーを77
重量部、アクリル酸n−ブチルを13重量部、マレイン
酸モノブチルを10重量部、ジ−tert−ブチルパー
オキサイドを6重量部の混合物をトルエン還流下で4時
間かけて滴下する。さらにトルエン還流下(120〜1
30℃)で重合を完了し、トルエンを除去する。このよ
うにして、スチレン系共重合体が得られる。上記スチレ
ン系共重合体30重量部を下記単量体混合物に溶解し、
混合物を調製する。スチレンモノマーを42重量部、ア
クリル酸n−ブチルを12重量部、メタクリル酸n−ブ
チルを12重量部、マレイン酸モノブチルを4重量部、
ジビニルベンゼンを0.4重量部、ベンゾイルパーオキ
サイドを1.6重量部を混合したものに、ポリビニルア
ルコール部分ケン化物0.1重量部を溶解した水170
重量部を加え懸濁分散液とする。水15重量部を入れ窒
素置換した反応器に上記分散液を添加し、反応温度70
〜95℃で6時間、懸濁重合反応後に、濾別、脱水、乾
燥し樹脂組成物を得られる。
【0172】この例で得られた樹脂組成物の分子量分布
は、分子量のメインピークは7500、分子量3500
0にショルダーを有し、Tgが60℃であり、JIS酸
価が22.0であった。
【0173】この様な樹脂と、フェライト等の磁性体や
適宜なオイル等や、無機微粉体として疎水化処理したシ
リカ微粉体その他の適宜な外添剤等により、トナーを形
成することができる。
【0174】トナーの粒径や組成は、使用する画像形成
装置の条件等により、調整することが好ましい。たとえ
ば、使用する現像剤(トナー)としては、公知の方法に
より、トナー中にワックス類を含有させてもよい。ま
た、さらに特開平09−068822号公報に記載の様
に、該炭化水素系ワックス、該樹脂微粒子の粒径や表面
処理等を行ってもよい。
【0175】現像された該トナーを効率よく転写材に転
写させる為の転写手段、且つ/又は分離手段、且つ/又
は転写効率を上げる為の予備的な操作、例えば転写前に
電界を印加する等、を加えてもよい。
【0176】また、感光体、特にa−Si系の感光体
で、温度特性や表面性が改良された感光体を使用するこ
ととの組み合わせにより、ヒーターの容量低下乃至除去
ができ、さらにトナーの融着防止に、更に効果が上がっ
た。
【0177】以上述べてきた、課題を解決するための手
段及び作用を単独、又は組合せで使うことにより、クリ
ーニング性の向上、クリーニング装置及び感光体表面の
耐久性向上、さらにクリーニング装置等、ひいては画像
形成装置の小型化などの優れた効果を引き出すことが可
能である。
【0178】クリーニング性を一定に保持する為、ま
た、局所的な過剰当接圧等による感光体の摩耗などの不
具合を防止する為、感光体と該クリーニングローラー、
クリーニングブラシ等とのニップ巾は所定の巾に保持さ
れることが好ましい。
【0179】保持機構としては、画像領域外の適宜な位
置にコロ等の突き当てでもよいし、所定の圧力でローラ
ーを感光体に押し当ててもよい。また、磁性体のローラ
ー等では、トナーコート厚を調整する方法も可能であ
る。
【0180】なお、現像バイアスや、画像露光強度等
は、該感光体やトナーに応じて適宜調整することが好ま
しい。
【0181】
【実施例】以下、実施例により本発明について具体的に
説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0182】〔実験例1〕図11に示すRF−PCVD
法による画像形成装置用電子写真感光体の成膜装置を使
用し、直径φ80の鏡面加工を施したアルミニウムシリ
ンダーと、該シリンダーを前述の、公知の方法で凹凸処
理を施したものを使用した。これらのシリンダー上に、
表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層か
らなる感光体を作成した。
【0183】
【表1】
【0184】作成した感光体を画像形成装置(キヤノン
製NP6750をテスト用に改造)に投入し、帯電能の
温度依存性(温度特性)、光メモリ、ならびに画像欠陥
を評価した。
【0185】感光体の表面電位は、画像形成を行わずに
電気的特性を評価する場合は上記画像形成装置の現像器
位置に、画像形成を行う場合は感光体回転方向で、帯電
部材と現像器の間で放電の影響を実質的に受けない範囲
の画像露光等に影響を及ぼさない位置に、キヤノン製N
P6750内蔵のドラム表面電位センサーを改造したも
のを設置して行なった。なお、感光体表面との距離は、
SDギャップと同等とした。
【0186】該電位センサを設置して、感光体長軸方向
で中央位置の特性を代表値として測定した。また、周方
向の平均電位を基準の感光体表面電位Vdとした。
【0187】除電光源109の除電光の曝露後に上記の
短尺帯電部材で電圧印加し、通紙無しの空回転状態で、
帯電電流、電圧および上記の感光体表面電位を測定し
た。その方法で、耐久前後の感光体の電気的特性を測定
した。
【0188】[電位ムラ]本実験例では、感光体の周方
向の電位むらを△Vd_rotとして、また、長軸方向で中
央位置と、画像両端部、およびそれらの点と中央位置の
中間の計5点について中央位置のVd同様に測定し、差
の最大値をもって母線方向むら△Vd_axとして、各々評
価した。なお、作成した感光体のうち、以下の評価には
上記△Vd_rot、△Vd_axが各々20V以内のものを使
用した。
【0189】[温度特性]帯電能の温度依存性(以下、
「温度特性」)の評価は、画像露光信号を感光体表面に
照射しない状態の、感光体表面電位(暗電位:Vd)
を、感光体表面温度を室温〜45℃まで変化させながら
帯電特性を測定し、この時の1℃当りのVdの変化割合
を測定した。該値が2V/deg以内を、合格と判定し
た。
【0190】[画出し条件]キヤノン製NP6750用
純正トナーを使用し、画像出しにより各種の特性を評価
した。
【0191】画像出し評価は、下記の各環境下で、連続
画像出し後に行った。 35±2℃、85±10%RHの環境(以下、H/H環
境と称する) 25±2℃、45± 5%RHの環境(以下、N/N環
境と称する) 25±2℃、10± 5%RHの環境(以下、N/L環
境と称する) 15±2℃、10± 5%RHの環境(以下、L/L環
境と称する)
【0192】[光メモリー]また、光メモリーの評価に
は、ハーフトーンチャート(キヤノン製テストチャー
ト:FY9−9042−000またはFY9−9098
−000)、及びゴーストチャート(キヤノン製テスト
チャート:FY9−9040−000)を使用した。光
メモリーについては、各環境において、画像をマクベス
社製反射濃度計を使用して測定し、画像形成後のハーフ
トーン部平均反射濃度をDr、ハーフトーン上で、光メ
モリー部の反射平均濃度をDmとし、(Dm−Dr)を
光メモリー量として評価を行なった。又、目視判定も加
味し、 1.非常に良好、 2.良好、 3.やや良好、 4.実用上問題なし、 5.実用上やや難ありの5段階にランク分けした。
【0193】判定基準は下記の通りである。 1.光メモリ量が 0.05未満、また目視で判別不可
能(実質非常に良好) 2.〃 0.05以上0.10未満、また目視で濃度差
は殆ど見えない(実用上、良好) 3.〃 0.10以上、0.15未満、また目視で濃度
差がやや見える(実用上やや良好) 4.〃 0.15以上、0.20未満、また目視で濃度
差が見える(実用上問題無し) 5.〃 0.35以上また、目視で濃度差が見える
【0194】[画像流れ]また、画像流れの評価には、
サンプルとなる感光体とトナーを投入した画像形成装置
を、H/H環境に72時間以上の適宜な時間放置して、
機内を該環境に安定させた。その後、5万枚の通紙耐久
を行い、その後装置の電源をOFFにして24時間放置
した。放置後に下記のチャートを使用して、画像出しを
連続100枚行い、その時の画像をもって判断した。
【0195】なお、テスト用の機種によっては、通常は
環境対策ヒーター(ドラムヒーター)等を搭載している
機種もあるが、本実験は上記ヒーター等を排除した状態
で行った。画出しチャートには、いろはチャート(キヤ
ノン製テストチャート:FY9−9058−000)、
及びNA−7チャート(キヤノン製テストチャート:F
Y9−9060−000)を使用した。
【0196】画像流れについては、画像を顕微鏡による
画像観察を含む目視により判定し、 1.非常に良好、 2.良好、 3.やや良好、 4.実用上問題なし、 5.実用上やや難ありの5段階にランク分けした。
【0197】画像流れの判定基準は、下記の通りである 1.細線の間隔がぼやける範囲が、9.0以上、また目
視で判別不可能(実用上、非常に良好) 2.細線の間隔がぼやける範囲が、7.1以上、また目
視でほぼ判別不可能(実用上、良好) 3.細線の間隔がぼやける範囲が、5.0以上、また目
視で判別ほぼ不可能(実用上、やや良好) 4.細線の間隔がぼやける範囲が、4.5以上、また目
視で判別可能(実用上、問題無し) 5.細線の間隔がぼやける範囲が、4.0以下(4.5
未満)、また目視で判別可
【0198】[がさつき]また、がさつきの評価には、
各項境下で、サンプルとなる感光体とトナーを投入した
画像形成装置を、各環境に72時間以上の適宜な時間放
置して、機内を該環境に安定させた。その後、5万枚の
通紙耐久を行い、その後装置の電源をOFFにして24
時間放置した。放置後に下記のチャートを使用して、画
像出しを連続100枚行い、その時の画像をもって判断
した。
【0199】なお、テスト用の機種によっては、通常は
環境対策ヒーター(ドラムヒーター)等を搭載している
機種もあるが、本実験は上記ヒーター等を排除した状態
で行った。
【0200】画出しチャートには、NA−7チャート
(キヤノン製テストチャート:FY9−9060−00
0)、及びハーフトーンチャート(キヤノン製テストチ
ャート:FY9−9042−000またはFY9−90
98−000)、を使用した。
【0201】がさつきについては、画橡を顕微鏡による
画像観察を含む目視により判定し、特に細線ががさつき
により切れる範囲によって、 1.非常に良好、 2.良好、 3.やや良好、 4.実用上問題なし、 5.実用上やや難ありの5段階にランク分けした。
【0202】がさつきの判定基準は、下記の通りである 1.細線が切れる範囲が、9.0以上、また目視で判別
不可能(実用上、非常に良好) 2.細線が切れる範囲が、7.1以上、また目視でほぼ
判別不可能(実用上、良好) 3.細線が切れる範囲が、5.0以上、また目視で判別
ほぼ不可能(実用上、やや良好) 4.細線が切れる範囲が、4.5以上、また目視で判別
可能(実用上、問題無し) 5.細線が切れる範囲が、4.0以下(4.5未満)、
また目視で明確に判別可(実用上、やや問題あり)
【0203】[ポチレベル]さらに、白ポチ、黒ポチ等
の画像欠陥を評価した。これには、べ夕黒(キヤノン製
テストチャート:FY9−9073−000)、及びハ
ーフトーンチャート(キヤノン製テストチャート:FY
9−9042−000)、及び白紙(転写材)を使用し
て、該ボチの大きさ、及び個数をそれぞれ評価した。
【0204】[D.O.S.、Eu]一方、円筒形のサ
ンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社7
059)ならびにSiウェハー上に、光導電層の作成条
件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板
上の堆積膜にはAlの櫛型電極を蒸着し、CPMにより
指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度
(D.O.S.)を測定し、Siウェハー上の堆積膜は
FT−IR(フーリエ変換赤外吸収)により含有水素量
を測定した。
【0205】このときのEuと温度特性との関係を図1
6に、D.O.S.と光メモリー、画像流れとの関係を
図17、図18示す。また、Si−H2/Si−H比と
がさつきの関係を図19に示す。いずれのサンプルも水
素含有量は10〜30原子%の間であった。
【0206】図16〜図19から明らかなように、サブ
バンドギャップ光吸収スペクトルから得られる指数関数
裾の特性エネルギー(Eu)が50〜60meV、かつ
伝導帯端下のD.O.Sが、1×1014〜1×1016
-3であること、更に水素結合比(Si−H2/Si−
H比)が0.2乃至0.5であることが、良好な電子写
真特性を得る好適条件であることがわかった。
【0207】[電気抵抗率]又、同様に表面層のサンプ
ルを作成し、櫛型電極を用いて抵抗値の測定を行なっ
た。該抵抗値の測定はHIOKI社(メーカー)製のM
Ωテスターで250〜1kVの印加電圧における測定に
て行なった。一方、上記サンプルと同様の表面層を有す
る感光体を作成し、同等の感光体を画像形成装置に投入
し、上述の各環境において、各々72時間以上の適宜な
時間放置して、機内を該環境に安定させた。各環境にお
いて、上述の電位センサを用い、感光体の電気的特性を
評価した。更に、現像器を設置し、5万枚相当以上の通
電耐久を行った後に、画像出し機にて、べた黒、ハーフ
トーンチャート、および転写材を原稿として、画像出し
を連続各100枚行い、その時の画像をもって感光体表
面の微小欠陥からピンホールリークの発生を評価した。
【0208】該感光体の表面層の抵抗値は、図15に示
す、サンプル及び試作感光体の結果より、その電荷保持
能、帯電効率、また、残電等の電気的特性を良好に有
し、電圧により表面層が損傷する、いわゆるピンホール
リークを防止する為に、1×1010〜5×1015Ω・c
mなる抵抗を有することが好ましい。より好ましくは5
×1012〜5×1014Ω・cmである。
【0209】各評価項目に対して前述同様の環境で、画
像形成装置の現像器及びクリーニング機構を除し、電位
センサを設置した。現像及びクリーニング以外は上記の
各評価と同様にし、上記に相当する量の非通紙耐久試験
を行い、耐久に伴う感光体の電気的特性の変化および前
後の特性を評価した。なお、本耐久に際しても環境対策
ヒーターはOFFにした。
【0210】感光体の膜厚変化や画像露光光量変化その
他による、感光体の表面電位変化の有無、およびそのレ
ベルを評価した。さらに、前述の電位測定装置のうち、
現像器位置以外の装置にて、感光体の表面電位をモニタ
ーしながら耐久を行なった。
【0211】ここで使用した感光体の、空回転機での耐
久後の電気的特性は各項目とも耐久前の±5%以内に収
まっており、実質的に差異は無い。
【0212】〔実験例2〕図12に示すVHF−PCV
D法による画像形成装置用電子写真感光体の成膜装置を
使用し、直径φ80の鏡面加工を施したアルミニウムシ
リンダーと、該シリンダーを前述の、公知の方法で凹凸
処理を施したものを使用した。これらのシリンダー上
に、表2に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる感光体を作成した。
【0213】
【表2】
【0214】更に、光導電層のSiH4とH2の混合比な
らびに放電電力を変化させることにより、種々の感光体
を作成した。これらは、必要に応じてSiC粉体やダイ
ヤモンド粉体等により、突起の研磨や表面荒さ処理等を
施した。また、表面層においては、CF4は使用せず
に、a−C:Hとしたものも作成した。
【0215】一方、実験例1同様、円筒形のサンプルホ
ルダーに設置したガラス基板(コーニング社7059)
ならびにSiウェハー上に、光導電層の作成条件で膜厚
約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積
膜にはAlの櫛型電極を蒸著し、CPMにより指数関数
裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(D.O.
S.)を測定し、Siウェハー上の堆積膜はFT−IR
(フーリエ変換赤外吸収)により含有水素量を測定し
た。
【0216】実験例1同様、サブバンドギャップ光吸収
スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギー
(Eu)が50〜60meV、かつ伝導帯端下のD.
O.S.が1×1014〜1×1016cm-3がであること
が良好な電子写真特性を得る好適条件であることがわか
った。
【0217】該感光体の表面層の抵抗値は、実験例1同
様、その電荷保持能、帯電効率等の電気的特性を良好に
有し、電圧により表面層が損傷する、いわゆるピンホー
ルリークを防止する為に、1×1010〜5×1015Ω・
cmなる抵抗を有することが好ましい。より好ましくは
1×1012〜1×1014Ω・cmである。以下に本発明
にかかる実施例を記述する。
【0218】本発明は実施例に規制されるものではな
く、本発明の作用、効果を得られるものであれば、実施
例以外の構成を有してもよい。なお、実施例では、実験
例で良好な結果を得られたEu、 D.O.S.の光導
電層と、抵抗の表面層を有する感光体を使用した。
【0219】〔実施例1〕図11に示すRF−PCVD
法による画像形成装置用電子写真感光体の成膜装置を使
用し、実験例1同様に、電荷注入阻止層、光導電層、表
面層からなる感光体を作成した。各感光体の光導電層は
D.O.S.、Euについて実験例より得た、良好な範
囲内の内、1種類に統一して作成した。感光体は実験例
同様、外径φ80のものを作成した。また、評価機及び
トナーは実験例同様に、キヤノン製NP6750を改造
したもの、及びNP6750純正トナーを使用した。
【0220】表面層は実験例1を基準に原料ガスの比や
放電パワー等の調節により、種々の表面層を有するもの
を作成した。さらに、作成した感光体は、必要に応じて
SiC粉体やダイヤモンド粉体等により、突起の研磨や
表面荒さ処理等を施し、表面自由エネルギー(γ)等、
下記の特性を有する試料とした。これにより、本実施例
の感光体A1〜F1及び後述する比較例1の感光体G1
〜J1を作成した。各感光体の特性を下表3に示す。
【0221】なお、表面自由エネルギー測定は前述の、
協和界面(株)製接触角測定機「CA−S ROL
L」、及び解析ソフト「EG−11」を使用して求め
た。また、表面粗さRzは(株)小坂研究所製のサーフ
コーダ「SE−30D」にて測定した。
【0222】
【表3】
【0223】評価機に各感光体を投入し、N/N(25
℃45%RH)、H/H(35℃85%RH)、N/L
(25℃10%RH)の3種の環境下で、光メモリーの
評価、画像流れの評価、白ポチ、黒ポチ等の画像欠陥の
評価を行った。評価方法は実験例1に準ずる。
【0224】通紙耐久は、TC−A1チャート(キヤノ
ン製テストチャート:FY9−9045−000)を使
用して各々20万枚ずつの耐刷試験を行った。その際、
耐久前後と耐久中の数千枚毎に定期的にクリーニング不
良の評価、感光体表面自由エネルギー評価をした。
【0225】本実施例において、クリーニング装置中の
クリーニングブレードを感光体に当接させる当接圧、い
わゆるクリーニングブレード圧は前述の5〜50gf/
cmのものを準備して行った。
【0226】[クリーニング不良判定]クリーニング不
良、ベタ白部がトナーにより濃度を有する「かぶり」の
有無の評価には、3色〔黒/ハーフトーン/白〕チャー
ト(キヤノン製テストチャート:FY9−9017−0
00)、及びNA−7チャート(キヤノン製テストチャ
ート:FY9−9060−000)を使用した。環境に
より画質の差が生じた場合は、最も画質が悪い状態の画
像を用いて評価した。具体的には、3色チャートで、上
記各環境において画像出しを行い、各色の境界部の鮮明
度、感光体回転方向へのトナー洩れスジの有無、及びか
ぶりについて評価した。
【0227】画像上のかぶりは反射濃度計(リフレクト
メーター モデルTC−6DS(東京電色社製))を用
いて行ない、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をD
s、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、D
s−Drをかぶり量としてかぶりの評価を行なった。
【0228】上記の値より、判定基準は下記の通りであ
る。 5.かぶりが非常に良好・・・Ds−Drが1.0%未
満 4.かぶりが良好・・・ Ds−Drが1.0〜1.3
%未満 3.実質的にかぶりが良好・・・ Ds−Drが1.3
〜1.7%以下 2.実質的に問題無し・・・ Ds−Drが1.7〜
2.0%未満 1.実用上、やや問題あり・・・ Ds−Drが2.0
%以上
【0229】また、クリーニング装置を取り出し、クリ
ーニングブレードの欠けの有無を顕微鏡観察及び、濃度
測定により評価した。また、画像サンプリング時に、感
光体表面へのトナーの残留の有無も評価した。
【0230】画像濃度はマクベス濃度計RD918型
(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃
度測定を行なった。第1に、上記チャートを使用して画
像をサンプリングし、感光体の回転方向への、黒スジの
有無を評価した。第2に、クリーニング装置を通過した
位置の、感光体表面にセロテープ等の粘着材を貼付した
後、該粘着材を転写材に貼付した。該粘着材の反射濃度
を、かぶりの評価同様に、反射濃度計を使用して、測定
した。この平均値をDtとする。
【0231】一方、感光体表面を乾拭き又はアルコール
拭きし、トナー等を除去した状態で同位置にて、同評価
を行い、その差により、クリーニング不良を判定した。
この値をDnとする。
【0232】上記のかぶりと同様の評価基準に加え、D
t−Dnが2.0%以上、又は画像上の感光体回転方向
にトナーによる黒スジが発生している場合、クリーニン
グ不良と判断した。
【0233】クリーニング不良の判定基準は、 5・クリーニング不良が非常に良好(ブレード抜けによ
る黒スジ無し、且つDt−Dnが、1.0%未満) 4.クリーニング不良が良好(ブレード抜けによる黒ス
ジ無し、且つDt−Dnが、1.0〜1.3%未満) 3.クリーニング不良がやや良好(黒スジは1.5mm
以内且つ3箇所以内、且つDt−Dnが、1.3〜1.
7%未満) 2.実用上問題無し(黒スジは2.0mm以内且つ5箇
所以内、且つDt−Dnが、1.7〜2.0%未満) 1.実用上やや問題あり(黒スジが上記範囲を超えるも
の、またはDt−Dnが、2.0%以上とした)。
【0234】これらの感光体の表面自由エネルギー(γ
[mN/m])は、下表4、及び図3の様になった。
【0235】
【表4】
【0236】また、この時の、初期のγに対するγの変
化△γを図4に示す。又、耐久前、耐久後で画質、クリ
ーニング装置、感光体の状態等を評価した結果を表5に
示す。なお、表中の記号は、下記の通りである。
【0237】◎:非常に良い(クリーニング性が、非常
に良好。ブレード欠けなし。かぶりを含むクリーニング
不良レベルランク5且つ、画像流れレベルの低下無し) ○:良い(クリーニング性が従来よりも良好。ブレード
欠け有。但し画像上のクリーニング不良のランク4) ●:従来並以下(従来同等以下のクリーニング性。ラン
ク3〜1(クリーニング不良ランクにより判別))
【0238】
【表5】
【0239】表面自由エネルギーγとクリーニング耐久
性の相関を図1に、γとクリーニング性の安定度の相関
を図2に、それぞれ示す。
【0240】又、クリーニング性の安定度を評価した結
果を表6に示す。なお、表中の記号は、下記の通りであ
る。 ◎:非常に良好(画像流れのランク変動が無い、クリー
ニングに必要なクリーニングブレードの線圧の範囲が初
期と同等) ○:良好(画像流れのランク変動が1〜2、上記クリー
ニングブレードの線圧範囲の変化量が実質的に問題ない
範囲) ●:従来並、乃至はそれ以下(画像流れのランク変動が
2を超過するもの、上記クリーニングブレードの線圧範
囲の変化量が従来並)
【0241】
【表6】
【0242】図1〜4、及び上記の表より、γは35乃
至65mN/mの範囲、好ましくは40乃至60mN/
mの範囲である時、融着等のない、良好なクリーニング
性が得られた。また、△γは25mN/m以内、更には
15mN/m以内のときに、クリーニング性の安定度が
高く、クリーニング機構の条件設定に対してラチチュー
ドを確保できる。
【0243】〔実施例2〕図12に示すVHF−PCV
D法による画像形成装置用電子写真感光体の成膜装置を
使用し、鏡面加工を施したアルミニウムシリンダーと、
該シリンダーを前述の、公知の方法で凹凸処理を施した
ものを使用した。これらのシリンダー上に、表7に示す
条件で電荷注入阻止層、光尊電層、表面層からなる外径
φ80の感光体を作成した。
【0244】
【表7】
【0245】上記表7の光導電層や表面層の原料ガスや
放電パワーの調整により、A2〜F2の感光体を作成し
た。
【0246】これらの感光体の表面自由エネルギー(γ
[mN/m])は、下表8、及び図20の様になった。
また、この時の初期のγに対するγの変化量Δγを図2
1に示す。
【0247】
【表8】
【0248】作成した感光体は、各々外径に応じて実施
例1同様の評価機に搭載し、実施例1同様の耐久、評価
を行った。その結果、実施例1と同様に、良好な結果を
得た。耐久の結果を表9に示す。また、感光体表面の突
起によるブレード欠けは減少乃至は解消されていた。
【0249】
【表9】
【0250】また、クリーニングの安定度は表10の様
になった。
【0251】
【表10】
【0252】実験例のクリーニングに関するランクと同
様の評価により、表面自由エネルギーγとクリーニング
耐久性の相関を図1に、γと画質変化の相関を図2に、
それぞれ示す。
【0253】図1、2及び上記の表より、γは35乃至
65mN/mの範囲、さらには40乃至60mN/mの
範囲であることが好ましい。また、△γは25mN/m
以内、更には15mN/m以内のときに、クリーニング
性の安定度が高く、クリーニング機構の条件設定に対し
てラチチュードを確保できる。
【0254】〔実施例3〕図12に示すVHF−PCV
D法による画像形成装置用電子写真感光体の成膜装置を
使用し、直径φ30、80、108に鏡面加工を施した
アルミニウムシリンダーと、該シリンダーを前述の公知
の方法で凹凸処理を施したものを使用した。これらのシ
リンダー上に、表11に示す条件で電荷注入阻止層、光
導電層、表面層からなる感光体を作成した。
【0255】
【表11】
【0256】上表の光導電層や表面層の原料ガスや放電
パワーの調整により、A3〜J3の感光体を作成した。
また、トナーは実施例2で使用したものと同じものを使
用した。これらの感光体の表面自由エネルギー(γ[m
N/m])は、下表12、及び図22の様になった。ま
た、この時の初期のγに対するγの変化量Δγを図23
に示す。
【0257】
【表12】
【0258】作成した感光体は、各々外径に応じて、 φ30の感光体は画像形成装置A(キヤノン製GP55IIを
テスト用に改造) φ80の感光体は画像形成装置B(キヤノン製NP6750を
テスト用に改造) φ108の感光体は画像形成装置C(キヤノン製NP6085を
テスト用に改造) にそれぞれ搭載し、実施例1同様の耐久、評価を行っ
た,結果を表13に示す。
【0259】実施例1、2と同様に、γが35乃至65
mN/mの範囲で良好な結果を得られた。耐久結果にお
いても、a−C:F表面層を使用した本実施例3は、a
−C:H表面層を使用した実施例2よりも、更に良好な
結果が得られた。また、実施例2同様、突起によるブレ
ード欠けは見られなかった。
【0260】
【表13】 また、クリーニングの安定度は表14の様になった。
【0261】
【表14】
【0262】実験例のクリーニングに関するランクと同
様の評価により、表面自由エネルギーγとクリーニング
耐久性の相関を図1に、γと画質変化の相関を図2に、
それぞれ示す。
【0263】図1、2及び上記の表より、γは35乃至
65mN/mの範囲、さらには40乃至60mN/mの
範囲であることが好ましい。
【0264】また、△γは25mN/m以内、更には1
5mN/m以内のときに、クリーニング性の安定度が高
く、クリーニング機構の条件設定に対してラチチュード
を確保できる。
【0265】実施例1乃至3の様にa−SiC、a−C
系の表面層を有する感光体は、表面層が高硬度であり耐
久性に優れている。
【0266】a−SiC等のa−Si系表面層やa−C
系表面層は高硬度で、繰り返し使用に有効であり、高速
機や長寿命化に有効である。a−C系表面層は潤滑性に
優れ、低負荷でのクリーニング性に富む。これはクリー
ニング機構への負荷も減少し、システムとして長寿命化
に有効である。また、フッ素を含む表面層は、撥水性に
富み、画像流れに対して特に有効である。
【0267】本発明の作用によりクリーニング性が向上
した結果、感光体周辺の部材の交換寿命も向上し、長寿
命である該感光体との組合せにより、電子写真装置とし
ての長寿命化、廃棄部材の削減による省資源化等に有効
である。
【0268】〔実施例4〕本実施例のOPC(有機感光
体)は支持体、電荷発生層、電荷輸送層からなり、必要
に応じて、表面層、及び中間層を設けて構成する。本発
明に用いられるOPC感光体において、特にその表面部
の異なる様々な感光体を作成した。条件としては、表面
自由エネルギーγの調整を行うとともに、感光特性を含
めた電気的特性に、実質的な差異が無いこと、硬度に実
質上の差異が無いことを重視した。本実施例では、特に
表面層を設けていないが、表面層を設けても本実施例の
効果を阻害するものでなければよい。なお、感光体の外
径はφ30のものを作成し、評価機には、キヤノン
(株)製GP55IIを実験用に改造したものを使用し
た。また、トナーはGP55II用の純正トナーを使用し
た。
【0269】本実施例4の感光体A4〜F4の表面自由
エネルギー(γ)測定を行った。また、作成した感光体
は、上記の評価機に搭載し、実施例1同様の環境で通紙
耐久、及び評価を行った。各々表15、表16、及び図
24、25に示す
【0270】
【表15】
【0271】本実施例では、クリーニング性、画質とも
に良好な初期の状態を保持できた。また、感光体の削れ
量が減少した。これはOPCの長寿命化の有効なことに
対する資料の一つに挙げられる。その他、トナーの融着
もなく、ブレード欠けも見られなかった。
【0272】
【表16】 また、クリーニングの安定度は表17の様になった。
【0273】
【表17】
【0274】実験例のクリーニングに関するランクと同
様の評価により、表面自由エネルギーγとクリーニング
耐久性の相関を図1に、γと画質変化の相関を図2に、
それぞれ示す。
【0275】図1、2及び上記の表より、γは35乃至
65mN/mの範囲、さらには40乃至60mN/mの
範囲であることが好ましい。また、△γは15mN/m
以内であり、また、クリーニング性の安定度も良好であ
った。表面が摺擦研磨され、随時新鮮な表面が露出する
ことにより、表面性の変動が少なくなっているものと思
われる。
【0276】〔実施例5〕実施例4に使用した感光体
に、更に表面層を設けた。特にその表面層は従来のもの
でもよいが、フッ素を含有した素材、例えばポリエチレ
ンテレフタレート(PTFE、「テフロン」)等のフッ
素系樹脂を含有させたものを使用した。
【0277】PTFE粒子の平均粒径、含有量を変化さ
せて各種の感光体を作成した結果、フッ素系樹脂の平均
粒径は使用するトナー粒径より小さいこと、好ましくは
更に3μm以下、更に好ましくは1μm以下、最適には
0.5μm以下が、画質や表面の硬度等から好適条件で
あることが分った。また、フッ素系樹脂の含有量は、表
面自由エネルギーγや帯電性、表面耐久性等との相関よ
り、表面層の全成分に対して5〜70重量%であること
が好ましい。
【0278】フッ素原子を含有且つ/又はコートを施し
ていない表面を有する感光体でも撥水性、クリーニング
性は特に問題無いが、フッ素原子を含有且つ/又はコー
トした表面層は、表面自由エネルギーγが有効な範囲に
収束しやすい、即ち収束性がより富んでおり、また滑り
性に優れ、高耐久化に有利であった。
【0279】実施例4で使用した感光体に対し、PTF
E粒子混入を施し、感光体A5〜J5を得た。なお、上
記感光体に使用したPTFE粒子の粒径、含有量は上記
の好適な範囲内で使用した。
【0280】これら本実施例の感光体A5〜J5と、実
施例4と同様のトナーを使用して、表面自由エネルギー
γの測定を行った。また、実施例1同様の耐久、評価を
行った。各々表18、表19、及び図26、27に示す
【0281】
【表18】
【0282】本実施例では、実施例2の様に、表面自由
エネルギーγが良好な範囲にあり、クリーニング性も良
好であった。耐久結果においても、フッ素コート表面層
を使用した本実施例5は、フッ素コートをしていない表
面層を使用した実施例4よりも、更に良好な結果が得ら
れた。特に、プロセススピードや耐久環境等を振って
も、感光体との摩擦により生じるブレードの異常振動
音、いわゆるブレードの「鳴き」が減少乃至は皆無であ
った。また、実施例4同様、ブレード欠けは見られなか
った。
【0283】
【表19】 また、クリーニングの安定度は表20の様になった。
【0284】
【表20】
【0285】実験例のクリーニングに関するランクと同
様の評価により、表面自由エネルギーγとクリーニング
耐久性の相関を図1に、γと画質変化の相関を図2に、
それぞれ示す。
【0286】図1、2及び上記の表より、γは35乃至
65mN/mの範囲、さらには40乃至60mN/mの
範囲であることが好ましい。また、△γは15mN/m
以内であり、また、クリーニング性の安定度も良好であ
った。表面が摺擦研磨され、随時新鮮な表面が露出する
ことにより、表面性の変動が少なくなっているものと思
われる。
【0287】前述の如く、クリーニングブレード圧等の
クリーニング条件は、感光体クリーニング機構等のシス
テムの寿命にも影響する。クリーニング性が安定、即ち
表面性の変動が少ないためクリーニング機構の設計にお
けるラチチュードが大きくなる。また、フッ素系の表面
を有する感光体は、さらに撥水性にも富み画像流れに良
好な特性を有していた。
【0288】本実施例ではフッ素含有、分散系について
記載したが、フッ素原子を含む塗料で表面をコートする
など、フッ素コート系の表面層を有する感光体を使用し
てもよい。フッ素コートの系においても含有系と同様の
効果を得た。コート部分が摩耗した後は、コートをして
いないOPCと同様の特性を得た。
【0289】感光体、電子写真装置の使用条件により、
適宜に選択された分散量或いは含有量を用い、帯電性や
感度特性を制御することが好ましい。その表面層にフッ
素系樹脂粉体を表面層にコートさせる場合、含有量とし
ては帯電均一性や画質等との兼ね合いで選択すればよ
い。また、フッ素系樹脂の含有、分散と最表面のフッ素
コートと合わせて使用してもよいし、各々単独でも上記
の通り効果を得るものである。
【0290】上記の各実施例において、クリーニングブ
レードを感光体に当接する当接圧、いわゆるクリーニン
グブレード圧は前述の5乃至100gf/cmを使用し
た。上記の各表においては、15gr/cmの場合を代
表として記載したものであるが、他のクリーニングブレ
ード圧においても、上記の実施例同様に、γや△γの規
定により良好な結果を得られた。
【0291】以下に、実施例に対する比較例を記載す
る。 〔比較例1 範囲外の感光体&トナー〕実施例1の要領
で、放電パワーや原料ガスの混合比、特に表面層成膜時
の該値を様々に変化させ、a−Si感光体G1〜J1を
作成した。これらの感光体の表面自由エネルギー(γ
[mN/m])は、下表21の様になった
【0292】
【表21】
【0293】また耐久前後の比較による結果は、表2
2、表23、及び図28,29の様になった。
【0294】
【表22】
【0295】
【表23】
【0296】表面自由エネルギー(γ)がその耐久中に
65[mN/m]を超える本比較例1においては、トナ
ーの「融着」が多発し、クリーニングブレードの欠け、
クリーニング不良が発生していた。
【0297】また、表面自由エネルギーの変化(△γ)
がその耐久中に25[mN/m]を超える本比較例1の
H1、J1においては、クリーニングに必要な条件が変
化しており、耐久末期にはクリーニングブレード圧等の
条件の変更が必要な場合があった。
【0298】〔比較例2〕実施例5の要領で、樹脂の組
成比、生成温度等の条件を様々に変化させ、OPC(有
機感光体)G2〜I2を作成した。これらG2〜I2の
表面自由エネルギー(γ[mN/m])は、下表24、
表25、及び図30、31の様になった
【0299】
【表24】
【0300】
【表25】 また、クリーニングの安定度は表26の様になった。
【0301】
【表26】
【0302】表面自由エネルギー(γ)が35[mN/
m]を下回る本比較例2においては、トナーの「融着」
の発生や、該融着や突起によるクリーニングブレードの
欠けは見られなかった。
【0303】しかしながら一方では、プロセススピード
や環境により、耐久中にクリーニングブレードの、感光
体表面との当接部位のトナーが減少し、クリーニングブ
レードのめくれ、鳴き、或いはフィルミングが発生して
いた。即ち、これらに対するラチチュードが狭まってい
た。また、感光体摺擦が不均一になる場合があり、画像
流れが局所的に発生するものがあった。また、△γが2
5mN/mを超える比較例2のH2,I2においては、
クリーニングに必要な条件が変化しており、耐久におい
て、クリーニングブレード圧等の適正条件の変動が大き
くなっていた。
【0304】上記の各比較例中の表においては、15g
f/cmの場合を代表として記載したものであるが、他
のクリーニングブレード圧においても、γや△γに応
じ、上記の比較例と同様の結果を得た。
【0305】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、電子写真装置、特にデジタル電子写真装置におい
て、上述の従来の課題が効果的に解消される。
【0306】具体的には、 1.感光体表面の表面自由エネルギー(γ)、即ち濡れ
性の値を規定の範囲内で抑制し使用することにより、ク
リーニング、即ち感光体表面と異物やトナーの付着を切
断するのに必要な負荷や機構を減少できる。 2.感光体への負荷を低減できる為、特にOPCや、表
面を薄層コートした感光体等の長寿命化に有効である。 3.クリーニングブレードを含むクリーニング装置への
負荷を低減できる為、クリーニングブレードのメンテナ
ンス等の間隔を延長できる。これは、サービスにかかる
レーバーコスト低減やカートリッヂコストに有効であ
る。また、クリーニング装置を小型化することに有利に
なり、ひいては画像形成装置自体の小型化に有効であ
る。 4・感光体駆動等のモーターの小型化、省電力化に有効
である。 5・温度特性に優れた感光体を合わせて使用することに
より、ドラムヒーターレスで良好な画質を保持、融着発
生に対するラチチエードを更に広げることができた。ド
ラムヒーターレスで省エネルギーにも効果的である。
【0307】また、予期せぬ効果として、廃トナー量が
減少した。これは、感光体の濡れ性を制御したことによ
り、転写残卜ナーが減少したのではないかと思われる。
これにより、特にカートリッヂ等の更なるコンパクト化
が可能になった。
【0308】また、感光体の片削れ等の、いわゆるムラ
削れを抑制乃至は解消できた。これは、感光体とクリー
ナー中のトナー等の異物の流動性がより良い状態で確保
されたことによる効果と思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面自由エネルギーγとクリーニング性、画質
の相関を示す図である。
【図2】表面自由エネルギーγと耐久によるクリーニン
グ性の安定性の相関を示す図である。
【図3】実施例1の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を示
す図である。
【図4】実施例1の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関を
示す図である。
【図5】電子写真装置の一例の該略図である。
【図6】クリーニング装置の概略を表す模式図である。
【図7】クリーニング工程の模式的該略図である。
【図8】ブレード線圧とクリーニング性の相関を示す図
である。
【図9】ブレード線圧とブレード欠けの相関の1例を示
す図である
【図10】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を説
明するための模式的構成図である。
【図11】RF−PCVDによる感光体の製造装置の一
例を示す模式的な構成図である。
【図12】VHF−PCVDによる感光体の堆積装置の
一例を示す模式的な構成図である。
【図13】現像器構成及び1成分トナーの挙動モデル図
である。
【図14】現像器構成及び2成分トナーの挙動モデル図
である。
【図15】表面層の抵抗率(Ω・cm)と帯電性、ピン
ホールリーク特性の相関を示す図である。
【図16】Euと温度特性の相関を示す図である。
【図17】D.O.S.とメモリーの相関を示す図であ
る。
【図18】D.O.Sと画像流れの相関を示す図であ
る。
【図19】Si−H2/Si−H(水素結合比)とがさ
つきの相関を示す図である。
【図20】実施例2の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を
示す図である。
【図21】実施例2の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関
を示す図である。
【図22】実施例3の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を
示す図である。
【図23】実施例3の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関
を示す図である。
【図24】実施例4の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を
示す図である。
【図25】実施例4の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関
を示す図である。
【図26】実施例5の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を
示す図である。
【図27】実施例5の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関
を示す図である。
【図28】比較例1の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を
示す図である。
【図29】比較例1の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関
を示す図である。
【図30】比較例2の通紙耐久の耐久枚数とγの相関を
示す図である。
【図31】比較例2の通紙耐久の耐久枚数と△γの相関
を示す図である。
【符号の説明】
101:感光体 102:主帯電器 103:静電潜像形成部位 104:現像器 105:転写紙供給系 106(a):転写帯電器 106(b):分離帯電器 107:クリーニング装置 108:搬送系 109:除電光源 110:ランプ 111:原稿台ガラス 112:原稿 113〜116:ミラー 117:レンズユニット 118:レンズ 119:転写紙ガイド 120:クリーニングブレード 121:クリーニングローラ 122:レジストローラー 123:定着器 124:定着ローラー 125:環境対策ヒーター 126:電位センサー P:転写紙 301:クリーニング装置外郭部 302:クリーニングブレード 303:クリーニングローラー 304:ドクターローラー(又はスクレーパー) 305:廃トナー溜り 306:廃トナー搬送系 307:トナー溜り(クリーニングローラー〜クリーニ
ングブレード) 700:感光体 701:支持体 702:感光層 703:光導電層 704:表面層 705:電荷注入阻止層 706:自由表面 707:電荷発生層 708:電荷輸送層 1001:現像器 1002:現像スリーブ 1003:磁性体 1004:ドクターブレード 1005:トナー溜め

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像形成装置用感光体に対する帯電、及
    び露光からなる潜像形成工程、トナー像を形成する工
    程、該トナー像を転写材に転写する工程、および該感光
    体の表面から異物を除去するクリーニング工程、とを有
    する画像形成工程により、繰り返し画像形成が可能な、
    画像形成装置に使用する画像形成装置用感光体におい
    て、 該感光体表面の表面自由エネルギー(γ)の値が、35
    乃至65mN/mの範囲であることを特徴とする画像形
    成装置用感光体。
  2. 【請求項2】 前記γの値が、40乃至60mN/mの
    範囲であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成
    装置用感光体。
  3. 【請求項3】 画像形成装置用感光体に対する帯電、及
    び露光からなる潜像形成工程、トナー像を形成する工
    程、該トナー像を転写材に転写する工程、および該感光
    体の表面から異物を除去するクリーニング工程、とを有
    し、繰り返し画像形成が可能な画像形成装置に使用する
    画像形成装置用感光体において、 該感光体表面の表面自由エネルギーの耐久によって変化
    する量(△γ)が、25mN/m以内の範囲であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置用感
    光体。
  4. 【請求項4】 前記△γの値が、15mN/m以内の範
    囲であることを特徴とする話求項1乃至3のいずれか1
    項に記載の画像形成装置用感光体。
  5. 【請求項5】 上記γは、Forkes理論の応用によ
    り算出、導き出したものであることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置用感光
    体。
  6. 【請求項6】 (a)導電性支持体と、 (b)シリコン原子を母体として水素原子及び/又はハ
    ロゲン原子を含有する非晶質材料からなる光受容層と、
    から構成され、 最表面の抵抗率が1×1010〜5×1015Ω・cmであ
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記
    載の画像形成装置用感光体。
  7. 【請求項7】 少なくとも、表面層に、主として非晶質
    炭化珪素からなる領域を有することを特徴とする請求項
    6に記載の画像形成装置用感光体。
  8. 【請求項8】 最表面に、主として非晶質炭素からなる
    領域を有することを特徴とする請求項6に記載の画像形
    成装置用感光体。
  9. 【請求項9】 前記最表面にフッ素を含有する非晶質炭
    素からなる領域を有することを特徴とする請求項8に記
    載の画像形成装置用感光体。
  10. 【請求項10】 前記最表面に、フッ素が結合した非晶
    質炭素からなる領域を有することを特徴とする請求項8
    に記載の画像形成装置用感光体。
  11. 【請求項11】 光導電層が、主として有機感光材料か
    らなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1
    項に記載の画像形成装置用感光体。
  12. 【請求項12】 前記最表面領域にフッ素を含有する領
    域を有することを特徴とする請求項11に記載の画像形
    成装置用感光体。
  13. 【請求項13】 上記異物が、該画像形成に供されるト
    ナーであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれ
    か1項に記載の画像形成装置用感光体。
JP10121170A 1998-04-30 1998-04-30 画像形成装置用感光体 Pending JPH11311875A (ja)

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