JP2004133397A - 電子写真感光体 - Google Patents

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松岡 秀彰
Kazuto Hosoi
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Abstract

【課題】本発明の目的は、高品質な画像が得られ、かつその特性を維持するに足る高耐久性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【解決手段】導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非晶質材料で構成される光導電層と、前記光導電層の上に積層した非晶質材料を含む層領域を有する電子写真感光体において、前記光導電層の上に積層した層領域において、構成原子の総量に対する炭素原子の含有率が、非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値または極大領域を少なくとも2つ持つことを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真プロセスにおいて、高品質な画像が得られ、かつその特性を維持するに足る高耐久性を有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体に用いる素子部材の技術としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、フタロシアニン、アモルファスシリコン(以下a−Siと記す)等、各種の材料が提案されている。中でもa−Siに代表される珪素原子を主成分として含む非晶質堆積膜、例えば水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、塩素等)で補償されたa−Si堆積膜は高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、その幾つかは実用化されている。
【0003】
特許文献1には、光導電層を主としてa−Siで形成した電子写真感光体の技術が開示されている。
a−Si感光体は表面硬度が高く、半導体レーザー(770nm〜800nm)等の長波長光に高い感度を示し、しかも繰り返し使用による劣化もほとんど認められない等、特に高速複写機やLBP(レーザービームプリンター)等の電子写真用感光体として広く使用されている。
【0004】
こうしたa−Si堆積膜の形成法として従来、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等、多数知られている。中でもプラズマCVD法、即ち原料ガスを直流又は高周波、(RF,VHF)マイクロ波グロー放電等によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウム等の基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用a−Si堆積膜の形成方法等において現在、実用化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案されている。
【0005】
更に、近年では膜質及び処理能力の向上に対する要望が強くなっており様々な工夫も検討されている。
【0006】
特に高周波電力を用いたプラズマプロセスは、放電の安定性が高く酸化膜や窒化膜等の絶縁性材料の形成にも使用できる等様々な利点により使用されている。
【0007】
近年、非特許文献1には平行平板型のプラズマCVD装置を用いて50MHz以上の高周波電源を用いたプラズマCVD法の報告があり、放電周波数を従来の13.56MHzより高くすることで堆積膜の性能を落とさずに堆積速度を向上させる事ができる可能性が示されており、注目されている。又、この放電周波数を高くする報告はスパッタリング等でもなされ、近年広くその検討がされている。
【0008】
これらの方法で作成されたa−Si系感光体を電子写真装置に応用する際、感光体の帯電及び、除電手段としては、殆どの場合ワイヤー電極(50〜100μmφの金メッキを施したタングステン線等の金属線)とシールド板を主構成部材とするコロナ帯電器(コロトロン、スコロトロン)が利用されている。即ち該コロナ帯電器のワイヤー電極に高電圧(4〜8kV程度)を印加する事により発生するコロナ電流を感光体表面に作用させて表面の帯電及び、除電を行うものである。コロナ帯電器は均一な帯電及び除電に優れる。
【0009】
しかし、コロナ放電に伴いオゾン(O)が発生し、空気中の窒素を酸化して窒素酸化物(NOx)等を生成する。更には、その生成窒素酸化物等は空気中の水分と反応して硝酸等を生じさせる。そして窒素酸化物、硝酸等のコロナ放電による生成物は感光体や周辺の機器に付着堆積して、それらの表面を汚損する場合がある。
【0010】
コロナ放電生成物は吸湿性が強く、その吸着を生じた感光体表面は付着コロナ放電生成物の吸湿による低抵抗化で実質的に電荷保持能力が全面的に或は部分的に低下して、画像ボケや画像流れ(感光体表面電荷が面方向にリークして静電荷潜像パターンが崩れる或は形成されない)と称される画像欠陥を生じさせる原因となる場合がある。
【0011】
又、コロナ帯電器のシールド板内面に付着したコロナ放電生成物は電子写真装置の稼働中のみならず夜間等の装置の休止中にも揮発遊離し、それがコロナ帯電器の放電開口に対応したa−Si系の感光体表面に付着して更に吸湿し、その該a−Si系の感光体表面を低抵抗化させる。その為、電子写真装置休止後の再稼働時に最初に出力される一枚目、或は数枚のコピーについて、上記の装置休止中の帯電器開口に対応する領域に画像流れが生じ易い。特にコロナ帯電器がACコロナ帯電器である場合に、この現象が顕著である。
【0012】
そこで、a−Si系の感光体表面に付着しているコロナ放電生成物や水分を揮発させ、a−Si系の感光体表面の実質的な低抵抗化を抑えるため、a−Si系の感光体を加温する為のヒーターを内蔵したり、温風送風装置により温風をa−Si系の感光体に送風したりしてa−Si系の感光体表面を加温(30〜50℃)することにより相対湿度を低下させる方法が実用化されている。
【0013】
又、別の技術としてに開示されている初期の画像流れを抑制する為にa−Si系の感光体表面の撥水性を向上させ、a−Si系の感光体表面のコロナ放電生成物や水分の付着を抑制する方法もあり、実用化されている。
【0014】
又、a−Si系の感光体の表面に付着したコロナ放電生成物や水分をクリーニングする手段としてクリーニング能力の高いマグネットローラーによるクリーニング方式と、ブレード式によるクリーニング方式を採用されている。
【0015】
しかし、このブレード式によるクリーニング方式は当接するa−Si系の感光体の表面の滑り性によりクリーニング性が大きく左右される。特に高速複写機の分野や、レーザービームプリンター等の分野では、一般的な複写機に比べ長期間に大量のコピー枚数が取られる頻度が高い。この様な複写機や、レーザービームプリンター等に滑り性の悪いa−Si系の感光体を用いた場合、クリーナーブレードとの摩擦抵抗が高い為、長期間の使用に耐えられずにブレードの劣化が著しく進行してしまい残留現像剤(トナー)のスリ抜けが生じ、黒スジ状のクリーニング不良が生じる場合がある。
【0016】
又、滑り性の良いa−Si系の感光体は、その表面層の磨耗が大きい傾向にありa−Si系の感光体の寿命が短くなる場合があった。
【0017】
又、a−Si系の感光体の表面の摩擦抵抗が高いと、感光体の表面とクリーニングブレード間で摩擦熱が上昇し、感光体表面の残留現像剤は、この摩擦熱によってa−Si系の感光体の表面に強固に付着する融着現象が発生する場合が有る。この融着現象は、初期の段階では画像には影響しない程度の微小な物で有るが繰り返しの使用で微小な融着が核となり徐々に成長し、画像上に黒ポチ、白ポチ、黒スジ抜け、白スジ抜け、といった画像欠陥となる。
【0018】
そこで、画像流れや、クリーニング不良を防止し、かつa−Si系の感光体の表面の磨耗を抑制する事が重要になってきている。
【0019】
【特許文献1】
特開昭54−86341号公報
【特許文献2】
特開昭61−289354号公報
【非特許文献1】
Plasma ChemIstry and Plasma Processing,1987年,第7巻,第3号,p.267−273
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
近年、コンピュータの普及とオフィスのネットワーク化が進んだことにより、電子写真装置も従来のアナログ複写機としてだけでなく、ファクシミリやプリンターの役目を担うためにデジタル化することが求められるようになり、更にはデジタル化された情報のフルカラー出力のため、デジタルフルカラー複写機が要求されることで、それに対応したa−Si系の感光体が切望されており、以下の様な問題が新たに生じてきた。
・デジタルフルカラー複写機に用いる現像剤(カラートナー)は、磁性体を含有していないノンマグトナーであり、マグネットローラーによるクリーニング方式を使用出来ない為、クリーニングブレードでのクリーニング能力を効果的に引き出す事が必要になってきた。
・黒点状または白点状の画像欠陥、即ち「ポチ」といわれる画像欠陥に対しては、年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがある。更には、デジタル複写機であるカラー複写機に搭載される場合にはさらに規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良となる場合があり、画像欠陥が更に少なくなるa−Si系の感光体が望まれてきた。
・デジタルフルカラー複写機では、高速化、高寿命化が必要な状況の中、デジタルフルカラー複写機で一般に用いられる負帯電のa−Si系の感光体は、光導電層で生成されたホールは通過させ、一方、帯電電荷の電子は通過させないように周期表第13族に属する原子をドーピングした上部電荷注入阻止層を設けてきた。
【0021】
しかしながら、上部電荷注入阻止層の特性に関しては主に帯電能に着目していた為、他の特性に関してはあまり注目していなかった。しかし、近年の電子写真装置に対する要求に対して、a−Si系の感光体特性の総合的な向上が必要となってきている。
【0022】
具体的には、上部電荷注入阻止層を形成した場合、条件によっては、a−Si系の感光体の表面から微少面積に高い荷重が加わると、a−Si系感光体特有の傷が発生する場合があった。この現象は、先端径がφ0.8mmのダイヤモンド針に荷重を加えてa−Si系の感光体の表面を引っ掻いた場合、a−Si系の感光体の表面には何ら外観状の傷は観察されないにも関わらず、その部分の暗部電位保持能力が著しく低下し、画像上で圧傷と称する黒スジとして画像欠陥を生ずるものである。
【0023】
この圧傷現象は、特にハーフトーン画像で目立ち易く、また軽微な圧傷はa−Si系の感光体を200℃〜240℃で約1時間程度加熱する事により消滅するが、市場で圧傷が発生した場合、この様な対応は不可能であると共に圧傷の発生を事前に予測する事も困難である。
【0024】
この様に従来のアナログ複写機では問題とならなかったレベルの画像欠陥も、デジタルフルカラー複写機が要求される現在、それに対応したa−Si系の感光体特性の向上を図りつつ、a−Si系の感光体を搭載する電子写真装置とのマッチングに関してもより一層の改善が求められ、画像流れやクリーニング不良、圧キズ等の画像欠陥を抑制し、かつ耐磨耗性を両立させる事が求められている。
【0025】
本発明の目的は、高品質な画像が得られ、かつその特性を維持するに足る高耐久性を有する電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の他の目的として、上部電荷注入阻止層を設ける感光体での画像欠陥の抑制と、電子写真特性の向上を実現することが出来る電子写真感光体を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも上部阻止層を持つa−Si系の感光体を構成する各層の役割、構成および層構成のマッチングに関して種々の条件に渡って調べた。その結果、前記光導電層の上に積層する領域において、構成原子の総量に対する炭素原子の含有率と、構成原子の総量に対する周期表第13族元素の含有率が、それぞれ非晶質領域の厚さ方向で極大値または極大領域を少なくとも2つ持ち、該炭素原子の含有率の極大値または極大領域と、周期表第13族元素の含有率の極大値が交互に分布するような層構成とすることで、画像流れ、クリーニング不良といった画像欠陥の抑制だけでなく、耐磨耗性の向上や、更には帯電能や感度といった電子写真特性の向上を抑制するという予期せぬ効果も同時に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
【0027】
本発明は、導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非晶質材料を含む光導電層と、該光導電層上に積層した周期表第13族元素を少なくとも一部に含有したシリコン原子を母材とする非晶質材料を含む層領域を有する電子写真感光体において、該光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子の含有率が、層領域の厚さ方向で極大値または極大領域を少なくとも2つ持った分布を有することを特徴とする電子写真感光体に関するものである。ここで、非晶質層領域の厚さ方向とは層領域を構成する水平な面と垂直に交わる面を表す。また、極大値または極大領域を少なくとも2つ持った分布とは、極大値を少なくとも2つ持つ分布、極大領域を少なくとも2つ持った分布、さらに極大値を少なくとも1つと極大領域を少なくとも1つ持つ分布を含んでいる。
【0028】
本発明は更に、光導電層上の非晶質層領域内において、炭素原子を含んだシリコン原子を母材とする非晶質材料が最表面層を構成することを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0029】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の極大値または極大領域値が、40原子%以上95原子%以下の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0030】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の隣接する2つの極大値間または極大領域間の距離が、100nm以上3000nm以下の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0031】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の極大値または極大領域値のうち、最も表面層側に位置する極大値または極大領域値が一番、大きいことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0032】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素の含有率が、層領域の厚さ方向で極大値を少なくとも2つ持った分布をとることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0033】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の隣接する2つの極大値間の距離が100nm以上1000nm以下の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0034】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の極大値が全て100原子ppm以上であり、隣接する2つの極大値間に存在する周期表第13族元素含有率の最小値が50原子ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。ここで、「最小値」とは極大値間または極大領域間に存在する周期表第13族元素含有率のうち最も小さいものを表し、例えば、極大値が3つ以上存在する場合、極大値間に存在する2つ以上の周期表第13族元素含有率の極小値のうち最も小さいものを表す。
【0035】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の極大値のうち、最も表面層側に位置する極大値が一番、大きいことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0036】
本発明は更に、光導電層上の非晶質材料を含む層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の極大値または極大領域と、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の極大値とを、層領域の厚さ方向に交互に分布させることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
【0037】
ここで、「極大領域」とは、図2−(a)及び(b)に示されているように、層に含有される原子(本発明では炭素原子)の含有率が極大値を持たないが、直下の層(本発明では上部電荷注入阻止層)の含有率より大きく一定である領域のことを表す。
【0038】
また、極大領域値とは極大領域を有する層の厚さ方向の1/2の位置(中間点)での原子(本発明では炭素原子)の含有率を表す。極大領域間の距離とは2つの極大領域を有する層の厚さ方向の1/2の位置の間の距離を表す。なお、本発明の電子写真感光体が1つの極大値と1つの極大領域を有する場合には、極大領域の厚さ方向1/2の位置と極大値との間の距離(極大値と極大領域値との距離)が極大領域間の距離に該当する。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
『発明に係わるa−Si系の感光体』
非晶質材料を含む層領域は複数の層を有していても良い。例えば、光導電層(PCL)上に第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を設けることができる。なお、本明細書記載の炭素、酸素、窒素、シリコン、周期表第13族元素、水素、ハロゲンの含量は二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定を行ない、上記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)などの構成する原子の総量に対する炭素、酸素、窒素、シリコン、周期表第13族元素、水素、ハロゲン原子の割合を算出した。
【0040】
図1には、本発明のa−Si系の感光体の好適な層構成の一例を説明するための模式的構成図である。図1のa−Si系の感光体は、導電性基体の上に光受容層が設けられている。該光受容層は、シリコン原子を母材とする非晶質材料で構成された下部電荷注入阻止層(UBL)、及びシリコン原子を母材とする非晶質材料で構成された光導電層(PCL)、光導電層(PCL)上に本発明からなる層領域として、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)が、この順で設けられている。
【0041】
本発明において、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)は、シリコン原子を母材とする非晶質材料で構成されており、必要に応じて炭素、窒素、酸素を含有した層が用いられる。更に、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)には、周期表第13族元素を選択して含有させている。周期表第13族元素としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Alが好適である。又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)といった層構成にする事で、図5−(a)、(b)に示す様に光導電層(PCL)の上の層領域に構成原子の総量に対する炭素原子の含有率と、構成原子の総量に対する周期表第13族元素の含有率が、それぞれ非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値及び極大領域を合計して少なくとも2つ持った分布が形成される。このように炭素原子および周期表第13族元素の含有率の極大値または極大領域を有するためには、例えば、炭素原子および13族元素導入用原料物質からなる原料ガスの導入量を変化させることで、含有率を変化させて、プラズマCVD法による層積層を行なえば良い。
【0042】
非晶質材料を含む層領域の厚さ方向の極大値または極大領域は所望の目的に応じて3つ以上を持っていても良い。この場合、3つ以上の極大値または極大領域は、2つ以上の中間層(BF)および表面保護層(SL)を設け、各層中で炭素の含有率の極大値または極大領域値を持たせることによって有することができる。
【0043】
本発明の構成原子の総量に対する周期表第13族元素を非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値を少なくとも2つ持たせることで、圧傷の原因の1つである荷重を分散させることが出来、圧傷の発生を抑制することが可能となる。好ましくは、周期表第13族元素の含有率の極大値のうち、最も表面層側に位置する極大値が一番、大きいのが良い。
【0044】
更に、表面からの電荷注入を阻止する能力が向上し、帯電能の向上が可能となる。
【0045】
又、本発明の中間層(BF)は、炭素原子を多く含有させる事で、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)を積層した際の表面の凹凸をならすカバーリング効果により滑らかな最表面層を得る事が出来た。
【0046】
又、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)との密着性の向上を図る効果も有る事が分かった。
【0047】
又、前記中間層(BF)の膜厚を変化させることで周期表第13族元素含有率の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向における隣接する2つの極大値間距離を制御することが可能となり、帯電能向上および圧傷の抑制のため、100nm以上1000nm以下にすることが好ましい。より好ましくは、200nm以上800nm以下であるのが良い。又、本発明の周期表第13族元素含有率の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向での極大値と隣接する2つの極大値間に存在する周期表第13族元素含有率の最小値は、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)および中間層(BF)に含有させる周期表第13族元素量で変化させることが可能で、極大値が100ppm以上で帯電能の向上が得られ、隣接する2つの極大値間に存在する周期表第13族元素含有率の最小値が50ppm以下で圧傷発生の抑制が効果的に得られる。より好ましくは極大値は200ppm以上、最小値は40ppm以下であるのが良い。
【0048】
更に、周期表第13族元素含有率の極大値は最表面層側で一番大きくなることが、帯電能の向上について効果的になるため、より好ましい。
【0049】
又、前記中間層(BF)でのカバーリング効果により最表面を滑らかに出来る為に耐磨耗性に有利な炭素原子含有率に調整する事が出来る。
【0050】
又、本発明の構成原子総量に対する炭素原子の含有率の極大値または極大領域を、非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で中間層(BF)に持たせることで、積層する層の凹凸をならすカバーリング効果を得て、かつ耐磨耗性に優れた表面保護層(SL)を形成する事が出来、クリーニング性、画像流れ、耐磨耗性を向上させる事が出来る。
【0051】
又、表面保護層(SL)と、前記第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚を変化させることで、炭素原子含有率の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向における炭素原子含有率の隣接する2つの極大値間または極大領域間の距離を制御することが可能となる。極大値間距離を100nm以上にすると、前記第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚が適度な厚さとなるので、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)が薄いことによる帯電能力の低下が起こらない。また、前記極大値間距離が3000nm以下のとき、や、前記第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚が厚すぎることによる感度の低下が起こらない。より好ましくは極大値間距離は500nm以上2000nm以下であるのが良い。
『導電性基体』
基体材質としては、Alやステンレスの如き導電性材料が一般的であるが、例えば各種のプラスチックやガラス、セラミックス等、特には導電性を有しないものにこれら導電性材料を少なくとも光受容層を形成する側の表面に蒸着するなどして導電性を付与したものも用いることができる。
【0052】
導電性材料としては上記の他、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金が挙げられる。
【0053】
プラスチックとしてはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等のフィルムまたはシートが挙げられる。
【0054】
又、円筒状基体の表面は旋盤等により処理され、基体に堆積膜を成膜する成膜工程に先立ち基体表面を脱脂洗浄する。更に、画像欠陥を軽減し、帯電性及び光感度等の電子写真特性の向上を果たす目的に、珪酸塩を腐食防止剤(インヒビター)として溶解させた水系洗剤を用いて形成されるAl−Si−O被膜(珪酸塩被膜)を基体表面に形成する事が好ましい。
【0055】
Al系基体上に形成される被膜の膜厚としては、皮膜の十分な効果を確保する観点から、0.5nm以上とされ、1nm以上がより好ましく、1.5nm以上が更に好ましい。一方、基体の十分な導電性を確保する観点から、15nm以下とされ、13nm以下がより好ましく、12nm以下が更に好ましい。
『下部電荷注入阻止層』
本発明において、導電性基体の上層には、導電性基体側からの電荷の注入を阻止する働きのある下部電荷注入阻止層(UBL)を設けるのが効果的である。下部電荷注入阻止層(UBL)は光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、導電性基体側より光導電層(PCL)側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有している。
【0056】
下部電荷注入阻止層(UBL)には、シリコン原子を母材とした非晶質材料で構成され、導電性を制御する元素を光導電層(PCL)に比べて比較的多く含有させる。下部電荷注入阻止層(UBL)に含有される導電性を制御する元素としては、周期表第13族元素を用いることが出来る。本発明においては下部電荷注入阻止層(UBL)中に含有される周期表第13族元素の含有率は、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは構成原子の総量に対して10原子ppm以上10000原子ppm以下、より好適には50原子ppm以上7000原子ppm以下、最適には100原子ppm以上5000原子ppm以下とされるのが望ましい。
【0057】
更に、下部電荷注入阻止層(UBL)には、窒素及び酸素を含有させることによって、該下部電荷注入阻止層(UBL)と基体との間の密着性の向上を図ることが可能となる。又、負帯電用のa−Si系の感光体の場合には、導電性を制御する元素をドープしなくても窒素および酸素を最適に含有させることで優れた阻止能を有することも可能となる。具体的には、下部電荷注入阻止層(UBL)の全層領域に含有される窒素および酸素の含有率は、窒素および酸素の和を構成原子の総量に対して0.1原子%以上、より好ましくは1.2原子%以上、また、40原子%以下、より好ましくは20原子%以下とすることにより、電荷阻止能が向上する。
【0058】
又、本発明における下部電荷注入阻止層(UBL)に含有される水素および/またはハロゲンは、層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。下部電荷注入阻止層(UBL)中に含有される原子の含有率の和は、構成原子の総量に対して1原子%以上が好ましく、5原子%以上がより好ましく、10原子%以上が更に好ましい。一方、50原子%以下が好ましく、40原子%以下がより好ましく、30原子%以下が更に好ましい。
【0059】
本発明において、下部電荷注入阻止層(UBL)の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.3μm以上4μm以下、最適には0.5μm以上3μm以下とされるのが望ましい。層厚が0.1μm以上にとなると、基体からの電荷の注入阻止能が充分となり、充分な帯電能が得られる。また、層厚を5μm以下とすることにより、電子写真特性の向上が期待でき、残留電位の上昇などの弊害が発生しない。
【0060】
下部電荷注入阻止層(TBL−2)を形成するには、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。導電性基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
【0061】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
『光導電層』
本発明のa−Si系の感光体における光導電層(PCL)は、シリコン原子を母材とした非晶質材料からなり、膜中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが望ましい。これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために効果的であるからである。水素原子またはハロゲン原子の含有率、または水素原子とハロゲン原子の和の量は構成原子の総量に対して好ましくは10原子%以上40原子%以下、より好ましくは15原子%以上25原子%以下とされるのが望ましい。光導電層(PCL)中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0062】
本発明においては、光導電層(PCL)には必要に応じて導電性を制御する元素を含有させても良い。含有させる元素としては下部電荷注入阻止層(UBL)と同様、周期表第13族元素を用いることができる。光導電層(PCL)に含有される周期表第13族元素の含有率としては、構成原子の総量に対して好ましくは1×10−2原子ppm以上1×10原子ppm以下、より好ましくは5×10−2原子ppm以上5×10原子ppm以下、最適には1×10−1原子ppm以上1×10原子ppm以下とされるのが望ましい。
【0063】
本発明において、光導電層(PCL)の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは20μm以上45μm以下、最適には25μm以上40μm以下とされるのが望ましい。
【0064】
光導電層(PCL)を形成するには、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。導電性基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
【0065】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
『上部電荷注入阻止層』
発明において、光導電層(PCL)の上に積層する領域において構成原子の総量に対する周期表第13族元素の含有率が、非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値を少なくとも2つ持った分布を形成する為には、上部電荷注入阻止層を第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の2層から成る構成をとることが好ましい。
【0066】
前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)は、a−Si系の感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面側より第1の層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されな特性を有している。そのような機能を付与するために、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)には伝導性を制御する原子を適切に含有させることが必要である。
【0067】
第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)は、シリコン原子を母材とする非晶質材料で構成される。伝導性を制御する目的で用いられる原子としては、本発明においては周期表第13族元素を用いることができる。このような周期表第13族元素としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に硼素が好適である。
【0068】
前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に含有される伝導性を制御する原子の必要な含有率は、上部電荷注入阻止層(TBL−1)、(TBL−2)の組成や製造方法により一概にはいえないが、一般的にはネットワーク構成原子に対して50原子ppm以上3000原子ppm以下とされることが好ましい。より好ましくは100原子ppm以上1500原子ppm以下であるのが良い。
【0069】
前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に含有される伝導性を制御する原子は、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に満遍なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で満遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0070】
前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、少なくともC、O、Nからなる材料で構成することが好ましい。即ち、「a−SiC:H,X」、「a−SiO:H,X」、「a−SiN:H,X」、「a−SiCON:H,X」等の材料が好適に用いられる。
【0071】
前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は、該層中に満遍なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも導電性基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で満遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0072】
本発明における前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有率は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種類の場合はその量として、2種類以上の場合はその総和量として、シリコンとの総和に対して10原子%から70原子%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、20原子%から60原子%の範囲とするのが良い。
【0073】
又、本発明においては前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが望ましいが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために効果的である。水素含有率は、構成原子の総量に対して通常の場合30原子%以上70原子%以下、好適には35原子%以上65原子%以下、最適には40原子%以上60原子%以下とするのが望ましい。また、ハロゲン原子の含有率として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1原子%以上10原子%以下、最適には0.5原子%以上5原子%以下とされるのが望ましい。
【0074】
本発明において、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の各々の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは10nm以上1000nm以下、より好ましくは30nm以上800nm以下、最適には50nm以上500nm以下とされるのが望ましい。層厚が10nm以上であると、表面側からの電荷の注入阻止能が充分であり、充分な帯電能が得られ、電子写真特性の向上を期待できる。また、層厚が1000nm以下のとき、電子写真特性の向上が期待でき、感度等に関して良好な特性を得ることができる。
【0075】
前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)は光導電層(PCL)側から表面保護層(SL)に向かって組成を連続的に変化させることも好ましく、密着性の向上や干渉防止等に効果がある。
【0076】
又、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に炭素原子を含有しても良いが、本発明の光導電層(PCL)の上の領域において、構成原子の総量に対する炭素原子の含有の極大値を少なくとも2つ設ける構成とする為、構成原子の総量に対する炭素原子の含有率は、30原子%以下にすることが好ましい。
【0077】
また、第1、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、(TBL−2)が周期表第13族元素含有率の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向における極大を有する場合において、帯電能の特性向上のため、最も表面保護層側に位置する極大の周期表第13族元素含有率が最も大きいことが好ましい。
【0078】
本発明の目的を達成し得る特性を有する前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−1)を形成するには、Si供給用のガスとCおよび/またはNおよび/またはO供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0079】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
【0080】
更に、導電性基体の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
【0081】
本発明においては、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)および第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
『中間層』
本発明における中間層(BF)の材質としては、炭素を含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0082】
前記中間層(BF)に炭素原子を多く含有させる事により凹凸をカバーリングする効果を得る事が重要である。又、前記中間層(BF)に含有される炭素原子は、該層中に満遍なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0083】
又、前記中間層(BF)に含まれる構成原子の総量に対する炭素原子の含有率は、40原子%以上95原子%以下にすることが好ましい。炭素原子の含有率をこの範囲とすることにより、カバーリングする効果が得られると共に感度も良好となる。より好ましくは、構成原子の総量に対して50原子%以上90原子%以下であるのが良い。
【0084】
又、前記第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)よりも炭素原子を多く含有させなければならない。
【0085】
更に、中間層(BF)には、周期表第13族元素を含有させても構わないが、本発明の効果が得られるように含有率を構成原子の総量に対して50原子ppm以下にすることがより好ましい。
【0086】
中間層(BF)の膜厚は、周期表第13族元素含有率の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向における隣接する2つの極大値間距離を100nm以上1000nm以下になるように制御することがより好ましい。また、中間層(BF)の厚さは通常50nm以上2000nm以下、好適には100nm以上1500nm以下、最適には200nm以上1000nm以下とされるのが望ましいものである。
『表面保護層』
本発明における表面保護層(SL)の材質としては、炭素を含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。特に、前記中間層(BF)のカバーリング効果により滑らかな最表面を得られる事から表面保護層(SL)は、高硬度を得られる組成とする事で、耐磨耗性を向上させる事が可能となる。
【0087】
更に、前記光導電層(PCL)よりも上に積層する該表面保護層(SL)構成原子の総量に対する炭素原子の含有率の極大値または極大領域値を1番大きくする事で、融着を抑制する効果を得る事が可能となる。
【0088】
前記表面保護層(SL)に含有される炭素原子は、該層中に満遍なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも導電性基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で満遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0089】
又、前記表面保護層(SL)に含まれる構成原子の総量に対する炭素原子の含有率は、構成原子の総量に対して40原子%以上95原子%以下が好ましい。より好ましくは、50原子%以上90原子%以下であるのが良い。炭素原子の含有率が、この範囲にあることで、良好な耐研磨性を有すると共に感度も良好となる。
【0090】
前記表面保護層(SL)中の水素およびハロゲンは、シリコンなどの構成原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させる。このような観点から、水素の含有率は、構成原子の総量に対して好ましくは30原子%以上70原子%以下、より好ましくは35原子%以上65原子%以下、更に好ましくは40原子%以上60原子%以下である。また、ハロゲンとしては例えば弗素の含有率は、通常0.01原子%以上15原子%以下、好適には0.1原子%以上10原子%以下、最適には0.6原子%以上4原子%以下である。
【0091】
前記表面保護層(SL)の層厚としては、通常10nm以上1000nm以下、好適には50nm以上2000nm以下、最適には100nm以上1000nm以下とされるのが望ましいものである。層厚が10nm以上であるとa−Si系の感光体を使用中に摩耗等の理由により表面保護層(SL)が失われない。また、層厚を1000nm以下とすることで、残留電位の増加等の電子写真特性の低下も起こらない。
【0092】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面保護層(SL)を形成するには、導電性基体の温度、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。導電性基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
【0093】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
【0094】
本発明においては、表面保護層(SL)を形成するための導電性基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
『堆積膜形成装置』
次に、a−Si系の感光体を作成するための装置及び形成方法について詳述する。
【0095】
図8は、本発明に適用しうる堆積膜形成装置の実施形態の模式図である。
【0096】
図8はRF帯の周波数を用いたプラズマCVD法による堆積膜形成装置の模式図である。
【0097】
図8の堆積膜形成装置は、反応容器内に導電性基体8112が設置された装置である。
【0098】
円筒状の反応容器の底面には排気管が形成され、排気管の他端は不図示の排気装置に接続されている。
【0099】
原料ガスは、原料ガス導入管8114を介して反応容器中に導入される。また、高周波電力は、マッチングボックス8115を介して高周波電極8111より反応容器内に供給される。
【0100】
このような図8の装置を用いた場合の堆積膜形成を、概略以下のような手順により行うことが出来る。
【0101】
まず、反応容器内に導電性基体8112を設置し、不図示の排気装置により排気管を通して反応容器内を排気する。続いて、ヒーター8113により導電性基体8112を所定の温度に加熱・制御する。導電性基体8112が所定の温度となったところで、原料ガス導入管8114を介して、原料ガスを反応容器内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器内の圧力が安定したのを確認した後、発振周波数が13.56MHzの高周波電源よりマッチングボックス8115を介して高周波電極8111へ所定の高周波電力を供給する。これにより、反応容器内にグロー放電が生起し、原料ガスが励起解離して導電性基体8112上に堆積膜が形成される。
【0102】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表1の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0103】
尚、作製した電子写真感光体を二次イオン質量分析器(SIMS)で調べたところ、本実施例の中間層(BF)と表面保護層(SL)の構成原子の総量に対して炭素原子の含有率の極大値または極大領域値は、それぞれ70原子%と同一であり、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図2−(b)と図4−(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持った分布となる。
【0104】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)と第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚は、それぞれ0.2μmと同一であり、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ200原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図3−(b)と図4−(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持った分布となる。
【0105】
又、周期表第13族元素含有率の2つの極大値間の最小値は0ppmであり、極大値間距離は350nmであった。
【0106】
【表1】
Figure 2004133397
【0107】
<実施例2>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(SL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第1の中間層(BF−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、第2の中間層(BF−2)、第3の上部電荷注入阻止層(TBL−3)、表面保護層(SL)を表2の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0108】
尚、本実施例の第1の中間層(BF−1)、第2の中間層(BF−2)、表面保護層(SL)の構成原子の総量に対する炭素原子の含有率の極大値または極大領域値は実施例1と同様に調べたところ、それぞれ70原子%と同一であり、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図2−(a)と図4−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で2つの極大値と1つの極大領域を持った分布となる。
【0109】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、第3の上部電荷注入阻止層(TBL−3)膜厚は、それぞれ0.2μmと同一であり、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ200原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図3−(a)と図4−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で3つの極大値を持った分布となる。
【0110】
【表2】
Figure 2004133397
【0111】
<比較例1>
本比較例では、実施例1と同様に鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表3の条件にて、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、表面保護層(SL)のみを積層し、負帯電用電子写真感光体を作製し、実施例1と同様に評価した。
【0112】
尚、本比較例の表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大領域値は、実施例1と同じで、構成原子の総量に対して70原子%と実施例1と同じであるが、本比較例では中間層(BF)を積層しなかった為、図2−(c)と図4−(c)に示す様に非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大領域を1つ持った分布となる。
【0113】
又、本比較例の第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)の膜厚は0.2μmであり、実施例1と同一であり、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して200原子ppmと実施例1と同じであるが、本比較例では第2の上部電荷注入阻止層も積層しなかった為、図3−(c)と図4−(c)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値を1つ持った分布となる。
【0114】
【表3】
Figure 2004133397
【0115】
以上のように、実施例1、2と、比較例1で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、後述する評価項目について評価を行った。その評価結果を表5に示す。
『画像流れ』
作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、30℃/80%の高温・高湿環境で、ドラムヒーター等の加熱手段を一切用いずに10万枚連続複写して耐久試験をした。このとき、マグローラーをカウンター方向に通常使用よりも高速で回転して接触させ、クリーナーブレードの押しつけ圧を通常より高くし、慴擦による表面への付加がより厳しい環境に設定した。複写原稿にはキヤノン製テストチャート(部品番号:FY99058)を用いた。この耐久試験前後で、上記のテストチャートの細線の画像評価をおこなった。
◎…ルーペで確認しても、細線にぼやけも無く非常に良好な画像である
○…ルーペで確認すると、細線が少しぼやけているが肉眼では認識出来ないレベルであり良好な画像である
△…肉眼で確認すると、細線が少しぼやけているのが、実用上問題が無いレベルである。
【0116】
『クリーニング性』
作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、光受容部材の移動速度を300mm/secでA4版の連続通紙耐久を10万枚行いクリーニング性の評価を行った。尚、弾性ゴムブレードは反発弾性10%のウレタンゴムブレードを使用した。又、使用する現像剤に関しては、現像剤の粒径が小さい程、融着が発生し易い事から粒径が6.5μmのものを使用した。更に光受容部材の表面温度を60℃にコントロールする事により融着が発生し易い条件とした
○…クリーニング不良もスジ抜けも無い良好な画像である
△…幅1mm長さ1cm以内のクリーニング不良が2個所以下あるが実用上問題のないレベル。
【0117】
『磨耗量』
作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、光受容部材の移動速度を300mm/secでA4版の連続通紙耐久を10万枚おこない耐久前後の表面保護層(SL)の膜厚を反射分光式干渉計(商品名:MCPD−2000、大塚電子(株)社製)により測定した。
○…表面保護層の膜厚減少は、50nm未満であり非常に良好な状態である
△…表面保護層の膜厚減少は、50nm以上100nm未満であるが、実用上問題無いレベルである。
【0118】
『融着』
作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、画出しをおこないA3版のベタ白画像を作成した。この画像によってトナー融着により発生する黒ポチと、作製した電子写真感光体の表面に存在する融着を顕微鏡で観察した
◎…黒ポチ、融着も無く非常に良好な状態である
○…黒ポチは無いが、作製した電子写真感光体の表面を顕微鏡で観察すると微小な融着が存在するが、5ケ所以下であり良好な状態である
△…黒ポチは無いが、作製した電子写真感光体の表面を顕微鏡で観察すると微小な融着が存在するが、10ケ所以下であり実用上問題無いレベルである。
【0119】
『圧傷試験』
作製した電子写真感光体をHEIDON社製表面性試験機を用いて先端直径0.8mmの曲率を持つダイヤモンド針に一定荷重を加えて該電子写真感光体表面に接触させる。
【0120】
この状態でダイヤモンド針を電子写真感光体の長手方向に50mm/minのスピードで移動させる。この操作を荷重を変えながら測定位置を移動させ、繰り返す。
【0121】
次に、電子写真感光体表面に引っ掻き傷が発生していない事を金属顕微鏡で確認した後に電子写真装置により反射濃度が0.5のハーフトーン画像を形成する。
【0122】
この画像により圧傷が発生し始める荷重を圧傷発生荷重とし、評価は比較例1での圧傷発生荷重(単位:g)を100%とした時の相対評価でランク付けを行った。従って、数値が大きいほど圧傷が発生し難く良好である事を示す。
◎…115%以上
○…105%以上115%未満
△…95%以上105%未満。
【0123】
『帯電能』
作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、帯電器に−6kVの高電圧を印加しコロナ帯電をおこない、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定する。得られた結果は、比較例1での値(単位:V)を100%とした場合の相対評価でランク付けをおこなった。
◎…115%以上
○…105%以上115%未満
△…95%以上105%未満。
【0124】
『感度』
作製した電子写真感光体を上述の条件で表面電位が−450V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光(波長655nmの半導体レーザー)を照射し、像露光光源の光量を調整して、表面電位が−50V(明電位)となるようにし、そのときの露光量を感度とした。従って、感度値が小さいほど良好である。得られた結果は、比較例1での値を100%とした場合の相対評価でランク付けをおこなった。
◎…85%未満
○…85%以上95%未満
△…95%以上105%未満。
【0125】
『総合評価』
すべての評価項目について、評価をおこないランク付けをおこなった。
◎…すべての評価項目について、◎と○からなり、◎の比率が多く良好なレベルである
○…すべての評価項目について、◎と○からなり、○の比率が多く少し良好なレベルである
△…評価項目のいずれかに△が含まれるが、実用上問題ないレベルである。
【0126】
【表4】
Figure 2004133397
【0127】
表4結果から明らかなように、光導電層(PCL)の上に積層する層領域に炭素原子含有率の極大値または極大領域と、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値とを、少なくとも2つ分布させる構成とすることで、画像流れ、クリーニング性、磨耗量、融着、圧傷、帯電能、感度のすべての評価項目について良好な効果を得られることが確認できた。
<実施例3>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表5の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0128】
尚、炭素原料であるCHガスとSiHガスの流量を変化させることで本実施例の中間層(BF)の炭素原子の含有率を構成原子の総量に対して変化さ   せた。
【0129】
又、表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大領域値は構成原子の総量に対して80原子%としたので、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図4−(b)と図5−(a)、(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持った分布となる。
【0130】
又、第1上部電荷注入阻止層(TBL−1)と第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚は、それぞれ0.2μmと同一であり、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値は二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ200原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図3−(b)と図4−(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で2つの極大値を持った分布となる。
【0131】
又、周期表第13族元素含有率の2つの極大値間の最小値は0ppmであり、極大値間距離は350nmであった。
【0132】
【表5】
Figure 2004133397
【0133】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ評価項目について評価した。その評価結果を表6に示す。
【0134】
【表6】
Figure 2004133397
【0135】
表6の結果から明らかなように、中間層(BF)に分布される炭素原子の含有率が40原子%未満であると画像流れが悪化傾向を示し、95原子%を超えると感度が低下傾向を見せる事から、前記中間層(BF)の炭素原子の含有率の極大値は40原子%から95原子%の範囲が好ましい事が分かった。
【0136】
又、図5−(a)に示すような表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大領域値が、前記中間層(BF)の炭素原子の含有率の極大値より大きくなるような分布となる事で融着の評価項目について良好な効果が得られる事も分かった。<実施例4>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表7の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0137】
尚、炭素原料であるCHガスとSiHガスの流量を変化させることで本実施例の表面保護層(SL)の炭素原子の含有率を構成原子の総量に対して変化させた。 又、中間層(BF)の炭素原子の含有率の極大値は構成原子の総量に対して50原子%としたので、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図4−(b)と図5−(a)、(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持った分布となる。
【0138】
又、第1上部電荷注入阻止層(TBL−1)と第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚は、それぞれ0.2μmと同一であり、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ200原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図3−(b)と図4−(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で2つの極大値を持った分布となる。
【0139】
又、周期表第13族元素含有率の2つの極大値間の最小値は0ppmであり、極大値間距離は350nmであった。
【0140】
【表7】
Figure 2004133397
【0141】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ評価項目について評価した。その評価結果を表8に示す。
【0142】
【表8】
Figure 2004133397
【0143】
表8の結果から明らかなように、表面保護層(SL)に分布される炭素原子の含有率の極大領域値が40原子%未満であると磨耗量が悪化傾向を示し、95原子%を超えると感度が低下傾向を見せる事から、表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大領域値は40原子%から95原子%の範囲が好ましい事が分かった。
【0144】
又、実施例3の結果と同じく前記中間層(BF)と前記表面保護層(SL)の炭素原子の含有率が同一とならず、図5−(a)に示すような表面保護層(SL)の炭素原子の含有率が、前記中間層(BF)の炭素原子の含有率より大きくなるような分布となる事で融着の評価項目について良好な効果が得られる事も分かった。
<実施例5>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表9の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0145】
尚、本実施例の中間層(BF)と表面保護層(SL)の構成原子の総量に対する炭素原子の含有率の極大値または極大領域値は、それぞれ45原子%と75原子%であり、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図5−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値と極大領域値を持ち、最も表面層側に位置する極大領域値が一番大きい分布となる。
【0146】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値は、二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ200原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図3−(b)と図5−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で2つの極大値を持った分布である。この2つの極大値間の最小値は0ppmであった。
【0147】
この時、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の堆積膜形成時間を変化する処理により第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚を変化させることで、図2−(b)に示す炭素原子の含有率の極大値と極大領域値との距離を表10に示す様に変化させた。
【0148】
【表9】
Figure 2004133397
【0149】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ評価項目について評価した。その評価結果を表10に示す。
【0150】
【表10】
Figure 2004133397
【0151】
表10の結果から明らかなように、光導電層(PCL)の上に分布される炭素原子含有率の極大値間と極大領域値との距離が100nm未満の場合、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚が薄くなり帯電能が低下してしまい、3000nmを超えると第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚が厚くなりすぎる事で、感度が低下傾向を見せる事から、前記光導電層(PCL)の上に分布される炭素原子含有率の極大値と極大領域値との距離は100nmから3000nmの範囲が好ましい事が分かった。
<実施例6>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表11の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0152】
尚、炭素原料であるCHガスの流量を変化させることによって本実施例の中間層(BF)と表面保護層(SL)の構成原子の総量に対する炭素原子の含有率を変化させることで2つの極大領域の分布状態を以下に示す様に変化させた。
*図6−(a)…最表面層側の構成原子の総量に対する炭素原子の含有量の極大領域値が一番大きくなる分布状態。
*図6−(b)…光導電層側の構成原子の総量に対する炭素原子の含有量の極大領域値が一番大きくなる分布状態。
【0153】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値は、二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ250原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図6−(a)、(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値を2つ持った分布である。
【0154】
【表11】
Figure 2004133397
【0155】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ評価項目について評価した。その評価結果を表12に示す。
【0156】
実施例5の極大値と極大領域値との距離が1000nmのときの評価結果を同じく表12に示す。
【0157】
【表12】
Figure 2004133397
【0158】
表12の結果から明らかなように、光導電層(PCL)の上に分布される炭素原子含有率の分布状態を変えても、前記炭素原子含有率の極大領域値を最表面層側が一番大きくなるような分布状態とさせる事で、良好な効果が得られる事が確認できた。
<実施例7>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表13の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0159】
尚、本実施例の中間層(BF)と表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大値または極大領域値は、構成原子の総量に対して、それぞれ60原子%と75原子%であり、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図5−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持ち、最表面層側の極大領域値が一番大きくなる分布となる。
【0160】
又、中間層(BF)の堆積膜形成時間を変化させることにより、本実施例では、中間層(BF)の膜厚を変化させ、光導電層(PCL)の上に分布する周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の2つの極大値間距離を80nm以上1200nm以下に変化させた。
【0161】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚は0.2μmと同一であり、周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、それぞれ300原子ppmと同一であり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図5−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で2つの極大値を持った分布となる。又、2つの極大値間の最小値は0.2原子ppmである。
【0162】
【表13】
Figure 2004133397
【0163】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ項目について評価した。その評価結果を表14に示す。
【0164】
【表14】
Figure 2004133397
【0165】
表14の結果から明らかなように、光導電層(PCL)の上に分布される周期表第13族元素の極大値間距離が非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で100nmから1000nmの範囲において、総合評価について良好な効果が得られることが分かった。
<実施例8>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表15の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0166】
尚、本実施例の中間層(BF)と表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大値または極大領域値は、構成原子の総量に対して、それぞれ65原子%と85原子%であり、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図5−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持ち、最表面層側の極大領域値が一番大きくなる分布となる。
【0167】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚は0.2μmと同一であるが、本実施例では、ホウ素原料であるジボランガスの流量を変えて、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)に含有する構成原子の総量に対する周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率を変化させ、前記光導電層(PCL)側の極大値を表16に示すように変化させた。
【0168】
又、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に含有する構成原子の総量に対する周期表第13族元素(B:ホウ素)含有率の極大値を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べたところ構成原子の総量に対して、300原子ppmであり、周期表第13族元素を含有させる為に原料ガスのジボランガスを導入することにより、図5−(a)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で2つの極大値を持った分布となる。
【0169】
【表15】
Figure 2004133397
【0170】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ項目について評価した。その評価結果を表16に示す。
【0171】
【表16】
Figure 2004133397
【0172】
表16の結果から明らかなように、光導電層(PCL)の上の層領域に分布される周期表第13族元素含有率の光導電層側の極大値が100原子ppm以上1500原子ppm以下の範囲では総合評価を行なった結果、良好な効果が得られることが分かった。
<実施例9>
図8に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、下部電荷注入阻止層(UBL)、光導電層(PCL)、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、中間層(BF)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)、表面保護層(SL)を表17の条件にて積層し、負帯電用電子写真感光体を作製した。
【0173】
尚、本実施例の中間層(BF)と表面保護層(SL)の炭素原子の含有率の極大値または極大領域値は、構成原子の総量に対して、それぞれ60原子%と90原子%であり、炭素原子を含有させる為に原料ガスのメタンガスを導入することにより、図7−(a)、(b)に示すように非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で1つの極大値と1つの極大領域を持ち、最表面層側の極大領域値が一番大きくなる分布となる。
【0174】
又、第1の上部電荷注入阻止層(TBL−1)、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)の膜厚は0.2μmと同一であるが、本実施例では、ホウ素原料であるジボランガスの流量を変えて、第2の上部電荷注入阻止層(TBL−2)に含有する構成原子の総量に対する周期表第13族元素(B:ホウ素)の含有率を変化させ、2つの極大値の分布状態を以下に示す様に変化させた。
*図7−(a)…最表面層側の構成原子の総量に対する周期表第13族元素(B:ホウ素)の極大値が一番大きくなる分布状態。
*図7−(b)…光導電層側の構成原子の総量に対する周期表第13族元素(B:ホウ素)の極大値が一番大きくなる分布状態。
【0175】
以上のように、本実施例で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製、商品名:iR6000を負帯電システム評価用に改造したもの)に搭載して、実施例1と同じ項目について評価した。その評価結果を表18に示す。
【0176】
【表17】
Figure 2004133397
【0177】
【表18】
Figure 2004133397
【0178】
表18の結果から明らかなように、光導電層(PCL)の上に分布される周期表第13族元素(B:ホウ素)の極大値を最表面層側が一番大きくなるように分布させる事で、帯電能の評価項目について、更に良好な効果が得られる事が分かった。
【0179】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によるところのa−Si系の感光体は、導電性基体上に少なくともシリコン原子を母材とする非晶質材料で構成される光導電層と、前記光導電層の上に周期表第13族元素を含有したシリコン原子を母材とする非晶質材料からなるa−Si系の感光体において、前記光導電層の上に積層する構成原子の総量に対する炭素原子の含有率と、構成原子の総量に対する周期表第13族元素の含有率が、それぞれ非晶質材料を含む層領域の厚さ方向で極大値または極大領域を少なくとも2つ持ち、炭素原子の含有率の極大値または極大領域と、周期表第13族元素の含有率の極大値が交互に分布するような層構成にすることにより、電子写真特性の向上や画像欠陥の問題点を克服した、優れた画像を長期にわたって得られる高品位のa−Si系の感光体を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のa−Si系の感光体の構造例を説明するための模式的断面図である。
【図2】図2(a)、(b)、(c)は本発明のa−Si系の感光体の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向に対する炭素原子の含有率の分布図である。
【図3】図3(a)、(b)、(c)は本発明のa−Si系の感光体の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向に対する周期表第13族元素の含有率の分布図である。
【図4】図4(a)、(b)、(c)は本発明のa−Si系の感光体の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向に対する炭素原子の含有率と周期表第13族元素の含有率の分布図である。
【図5】図5(a)、(b)は本発明のa−Si系の感光体の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向に対する炭素原子の含有率と周期表第13族元素の含有率の分布図である。
【図6】図6(a)、(b)は本発明のa−Si系の感光体の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向に対する炭素原子の含有率と周期表第13族元素の含有率の分布図である。
【図7】図7(a)、(b)は本発明のa−Si系の感光体の非晶質材料を含む層領域の厚さ方向に対する炭素原子の含有率と周期表第13族元素の含有率の分布図である。
【図8】RF−PCVD法によるa−Si系の感光体の製造装置を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
101 基体
102 光受容層
103 下部電荷注入阻止層
104 光導電層
105 第1の上部電荷注入阻止層
106 中間層
107 第1の上部電荷注入阻止層
108 表面保護層
8100 堆積装置
8111 反応容器
8112 基体
8113 ヒーター
8114 導入管
8115 マッチングボックス
8116 配管
8117 バルブ
8118 バルブ
8119 真空計
8200 供給装置
8211〜8216 マスフローコントローラー
8221〜8226 ボンベ
8231〜8260 バルブ
8261〜8266 圧力調整器

Claims (10)

  1. 導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非晶質材料を含む光導電層と、該光導電層上に積層した周期表第13族元素を少なくとも一部に含有したシリコン原子を母材とする非晶質材料を含む層領域を有する電子写真感光体において、
    該光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子の含有率が、層領域の厚さ方向で極大値又は極大領域を少なくとも2つ持った分布を有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、炭素原子を含んだシリコン原子を母材とする非晶質材料が最表面層を構成することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の極大値または極大領域値が、40原子%以上95原子%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の隣接する2つの極大値間または極大領域間の距離が、100nm以上3000nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の極大値または極大領域値のうち、最も表面層側に位置する極大値または極大領域値が一番、大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素の含有率が、層領域の厚さ方向で極大値を少なくとも2つ持った分布をとることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の隣接する2つの極大値間距離が100nm以上1000nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の極大値が全て100原子ppm以上であり、隣接する2つの極大値間に存在する周期表第13族元素含有率の最小値が50原子ppm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の極大値のうち、最も表面層側に位置する極大値が一番、大きいことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記光導電層上の非晶質層領域内において、構成原子の総量に対する炭素原子含有率の極大値または極大領域と、構成原子の総量に対する周期表第13族元素含有率の極大値とを、層領域の厚さ方向に交互に分布させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
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