JP4086391B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体、さらに詳しくはいかなる電子写真プロセルにおいても傷や摩耗の発生がなく、耐刷性に優れ、長寿命で、電位特性の変動が少なく、高感度で残像現象の少ない電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体に用いる素子部材の材料としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、フタロシアニン、アモルファスシリコン(以下、「a−Si」と記す)等、各種のものが提案されている。中でもa−Siに代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶質堆積膜、例えば水素および/またはハロゲン(例えばフッ素、塩素等)で補償されたa−Si等のアモルファス堆積膜は高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、その幾つかは実用化されている。このような堆積膜の形成法として従来、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等、多数知られている。中でもプラズマCVD法、すなわち原料ガスを直流または高周波、(RF,VHF)、マイクロ波、等のグロー放電等によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウム等の導電性基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用a−Si堆積膜の形成方法等において現在、実用化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案されている。
【0003】
例えば特開昭57−115551号公報には、シリコン原子を主体とし、水素原子またはハロゲン原子の少なくともいずれか一方を含むアモルファス材料で構成されている光導電層の上にシリコン原子および炭素原子を母体とし、水素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設けた光導電部材の例が開示されている。特開昭61−219961号公報には、a−Si系の感光層の上に形成された表面保護層として、10〜40原子%の水素原子を含有するa−C:Hで構成された電子写真感光体の例が開示されている。特開平6−317920号公報には20MHz以上の周波数の高周波を用い、シリコン原子を母体とする非単結晶シリコン系材料からなる光導電層と、水素原子含有量8〜45原子%のa−C:H表面保護層から構成される電子写真感光体の製造方法が開示されている。特開昭60−186849号公報には、原料ガスの分解源として、マイクロ波(例えば周波数2.45GHz)を用いたマイクロ波プラズマCVD法による頂部阻止層をもった電子写真デバイスの形成方法および装置が開示されている。
【0004】
これらの技術により、電子写真感光体は電気的、光学的、光導電率的特性および使用環境特性、耐久性が向上し、さらに画像品位の向上も可能になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、電子写真装置はさらに高速化と同時に高画質化を求められている。電子写真装置において高速化を図ろうとするとき、帯電、露光、現像、転写、除電のサイクルを早めることで複写用紙の送りスピードを速めなければならない。この場合、電子写真感光体が複写用紙、クリーニングメカニズム等と接触する単位時間当たりの回数、時間は飛躍的に増加していく。また、高速プロセスになればなるほど完全なクリーニングが難しくなるため、クリーニングブレードのビビリやトナーのすり抜けを防止するために電子写真感光体に対して摺擦力を増加させる傾向にある。このためプロセススピードが上がれば上がるほど相対的にドラム自体が摺擦される力が増加するために擦り傷がつく、あるいはこれまでのプロセスでは全く摩耗しなかった表面層であっても摩耗が発生する、という物理的な損傷が顕著になりつつある。
【0006】
このため、どのような高速プロセスにおいても感光体削れの心配のない電子写真感光体が望まれていた。このような削れの問題は、特に電子写真装置の小型化を目指して電子写真感光体のサイズを小さくしていく場合にはさらに顕著になるという問題であった。これらの対策としては電子写真感光体の最表面をより硬くしたり、より滑りやすくして傷、摩耗を防ぐという手法が取られる。
【0007】
この目的に適う材料として近年、注目を集めているものに水素を含有したアモルファス炭素膜(以下、a−C:H膜と呼ぶ)がある。このa−C:H膜は別名ダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれるように非常に硬度が高く、また、特異な潤滑性をもっているので上記の目的に使うためには最適の材料と考えられる。しかし、硬度が非常に高い反面、膜中の内部応力が大きく、剥がれやすいという欠点をも併せもっている。このため、必要な膜厚を剥がれることなく堆積することが従来困難であった。さらに、電子写真感光体に用いるという観点でその膜質を見た場合、半導体膜として不充分な点がある。すなわち、a−C:H膜を電子写真感光体の表面に用いると、感度が低下したり、残像現象が悪化したり、さらには残留電位が増加する、というような副作用が見られることがしばしばあった。
【0008】
他方で高速化のためにプロセススピードを増加させると帯電にかける時間が短くなるために帯電能が下がるという問題がある。帯電能が下がるとそれに応じて帯電電荷を増やさなければ所望の帯電電位が得られるなくなり、したがって、その帯電電荷を打ち消すために必要とされる光キャリアの総量も増加する。つまり、一般に高速プロセスになればなるほど帯電能は下がり、かつ感度も低下するという傾向にある。このため、さらなる帯電能の向上、感度の向上が従来にも増して要求されることが多くなりつつある。
【0009】
さらに、高画質化に関しては、従来の高速の電子写真装置には生産性が主に求められ、画質についてはそれほど高い要求がない場合が多かったが、近年では高速化と共に高画質化も強く求められつつある。特にa−Siを用いた電子写真感光体では前回複写した画像が次の画像の中間濃度の部分に薄く転写されるという残像現象が出やすい傾向にある。しかし、上記のように高画質を求められる近年においては要求がさらに厳しくなりつつある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は次のようである。
(1)高速化、長寿命化された近年の電子写真装置において、いかなる電子写真装置本体の装置構成であっても長期間の使用において傷や摩耗の発生することのない、耐久性に富んだ優れた電子写真感光体を提供すること。
(2)どのような条件下においても膜剥がれ等の問題が発生しない表面層を提供すること。
(3)高速の電子写真プロセスにおいても、充分な帯電能が得られ、感度が高く、残留電位が充分に低い、使いやすく電子写真装置に最適な電子写真感光体を提供すること。
(4)近年の電子写真装置における高画質化に充分対応し得る電子写真感光体、すなわち、残像現象が少なく、均一な濃度のハーフトーン画像が得られ、高解像度で鮮明な画像を長期間にわたって安定して出力できる電子写真感光体を提供すること。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は次のようである。
【0012】
1.導電性基体上にシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有し、シリコン原子を含まない原料ガスを用いて形成された、少なくとも水素を含む非単結晶炭素から成る表面層を有する電子写真感光体において、該表面層は、基準長さを5μmとした場合の表面粗さRzが500オングストローム以上、2000オングストローム以下であり、かつ該表面層中に少なくとも酸素、窒素、フッ素、硼素原子を全て同時に各々0.0001原子%以上含有し、かつ該表面層の酸素、窒素、フッ素、硼素原子の各々の含有量が該表面層の接する層よりも多いことを特徴とする電子写真感光体。
【0014】
3.前記光導電層と前記表面層の間に、さらにバッファ層を設けたことを特徴とする上記1または2に記載の電子写真感光体。
【0015】
4.前記バッファ層がシリコン原子を母体とし、さらに炭素原子を含有する非単結晶材料で構成されたことを特徴とする上記3に記載の電子写真感光体。
【0016】
5.前記バッファ層がさらに酸素、窒素、フッ素、硼素原子を全て同時に含有し、各原子の含有量が、該バッファ層の接する光導電層の含有量よりも多いことを特徴とする上記3または4に記載の電子写真感光体。
【0018】
本発明者らは、従来技術の種々の問題点を解決する方法として、非単結晶炭素膜(以下、a−C:H膜と呼ぶ)を表面保護層に用いることに注目した。a−C:H膜は別名DLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれるように非常に硬度が高く、従来の電子写真感光体にa−C:H膜の表面保護層を用いると感光体の削れや傷に対して著しい効果が得られることが判明した。しかし、このように削れに非常に強いa−C:H膜は同時に内部応力が強く、非常に剥がれやすいという性質も併せもっているため、所望の膜厚で再現性よく堆積することが難しく、効果的に電子写真感光体の表面層として用いることが困難であった。
【0019】
この剥がれやすさを詳細に検討した結果、a−C:H表面層の表面粗さと相関があることが明らかとなった。すなわち、表面層の表面粗さを基準長さを5μmとした場合のRzを500オングストローム以上とする場合に良好な結果が得られた。a−C:H表面層の表面粗さが大きいということはすなわち、表面層と光導電層の界面が粗れていることを示しており、この結果、接触面積が増加することにより接着性が向上したのであろうと考えている。しかし、その一方で表面粗さがRz:2000オングストロームを越えた場合、感度の低下が見られることが判明した。この理由についての詳細は現時点で不明であるが、表面が粗れることによる光の散乱効果が関係しているのではないかと想像している。この剥がれにくさはa−C:H表面層自体の表面粗さをRz=500オングストローム以上2000オングストローム以下とすることにより充分にその効果を得ることができ、光導電層の表面粗さを直接規定する必要は見られなかった。
【0020】
さらに、本発明の要点は前記a−C:H表面層にN,O,F,B原子を同時に含有させ、さらにa−C:H表面層が接している層に対して、より多く含有させることにある。これらの原子を全て同時に含有させる場合、表面層の密着性がさらに改善されることが判明した。表面粗さを上記の範囲に制御しても時折発生する原因不明の剥がれによる不良の発生を、これらの原子を含有させることで皆無にまで改善することができる。
【0021】
N,O,F,B原子の含有の効果は密着性に対してのみならず、電子写真感光体の帯電能を向上させ、光感度を改善し、残像現象の低減をもたらすことが判明した。これはN,O,F,Bといった原子がa−C:H膜の構造緩和を促すことにより構造欠陥を取り除くと共に、さらにターミネーターとして有効に働いているためではないかと想像している。a−C:H膜の半導体としての特性はまだ研究途上であり、必ずしも完成されたものではなく、改善すべき余地があるが、このa−C:H膜とN,O,F,B原子の相性が特異的によく、膜中に存在する構造欠陥から発生する局在準位密度を効果的に減少させるものと想像している。このため、表面層中の構造欠陥を介して帯電キャリアが注入するのを防止し、帯電能改善に寄与する。また、光キャリアが局在準位にトラップされるのを防止するので、光感度の向上、残像現象の低減に結びつく。
【0022】
このN,O,F,B各原子の含有量の和は0.001原子%〜5原子%が望ましい。ここでいう原子%とは、全元素の原子数に対する該当原子数の割合である。含有量が0.001原子%よりも少ない場合、上記の効果が得られない。また、5原子%を越えて含有する場合、a−C:H膜のバンドギャップが低下し、逆に光感度の悪化につながる。また、各々の原子の含有量は少なくとも0.0001原子%以上含有されている必要がある。
【0023】
上記の効果は、N,O,F,B原子が同時に含有されている場合のみ得られた。これらの原子のうち、一つでも欠けた場合には帯電能、感度、残像現象の改善が見られないことから、これらの特定の原子の組み合わせが非常に大切で本発明の特徴の一つである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明を具体的に説明する。図1は本発明による電子写真感光体を説明する模式図である。図1は光導電層を機能分離していない単層型と呼んでいる感光体で、導電性基体101の上に少なくとも水素を含むa−Siからなる光導電層102、非単結晶炭素からなる表面層103が積層された感光体である。表面層103にはN,O,F,B原子を光導電層102に対してより多く含有しており、かつ、その表面の凹凸は基準長さ5μmにおけるRzが500オングストローム以上2000オングストローム以下に制御されている。
【0025】
図2は図1に示した本発明の電子写真感光体の表面層203と光導電層202の間に、さらにバッファ層204を設けた場合の模式図である。表面層203にはN,O,F,B原子を少なくともバッファ層204よりも多く含有している。かつ、その表面の凹凸は基準長さ5μmにおけるRzが500オングストローム以上2000オングストローム以下に制御されている。この場合、バッファ層204のN,O,F,B原子の含有量を光導電層202より増やしてもよい。
【0026】
図3は図1に示した本発明の電子写真感光体の光導電層302と導電性基体301の間に、さらに下部阻止層305を設けた場合の模式図である。
【0027】
図4には光導電層を電荷発生層と電荷輸送層の2つに機能分離しているため、機能分離型と呼んでいる感光体を示したいる。導電性基体401の上に必要に応じて下部阻止層405を設け、その上に電荷輸送層406、電荷発生層402’の機能分離された、少なくとも水素を含むa−Siからなる層が堆積され、その上に非単結晶炭素からなる表面層403が積層されている。ここで電荷輸送層406と電荷発生層402’の順序は、本模式図に示した順序だけではなく、任意であってもよい。また、機能分離を組成変化で行う場合に、その組成変化を連続的に行ってもよい。
【0028】
図5は導電性基体501、下部阻止層505、光導電層502、バッファ層504、表面層503を設けた場合の模式図である。
【0029】
図1〜5に挙げた感光体において、それぞれの層は連続的な組成変化を伴ってもよく、明確な界面をもたなくてもよい。
【0030】
本発明において使用される導電性基体101,201,301,401または501は、使用目的に応じた材質や形状等を有するものである。例えば形状に関しては、電子写真用感光体に供する場合には円筒状が望ましいが、必要に応じて、平板状や板状無端ベルト状、その他の形状であってもよい。その厚さは、所望通りの電子写真感光体を形成し得るように適宜決定するが、可撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。材質は銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス、およびこれらの材料の中の2種以上の複合材料、さらにはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、セラミックス、紙等の絶縁材料に導電性材料を被覆したもの等が使用できる。
【0031】
本発明の電子写真感光体における下部阻止層305,405,505は、電子写真感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、導電性支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆に極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、下部阻止層305,405,505には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。下部阻止層305,405,505に含有される伝導性を制御する原子としては、第3b族原子または第5b族原子を用いることができる。本発明において下部阻止層305,405,505中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104 原子ppm、より好適には50〜5×103 原子ppm、最適には1×102 〜1×103 原子ppmである。
【0032】
下部阻止層305,405,505には、炭素原子、窒素原子および酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、この下部阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。下部阻止層の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、一種の場合はその量として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×10-3〜50原子%、より好適には5×10-3〜30原子%、最適には1×10-2〜10原子%である。
【0033】
下部阻止層に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。下部阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の合計量は、好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜30原子%である。
【0034】
下部阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、および経済的高感度の点から好ましくは0.1〜5μm、最適には1〜4μmである。
【0035】
本発明の電子写真感光体における光導電層102,202,302,402または502は膜中に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが必要である。これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/およびハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%とするのが望ましい。光導電層中に含有される水素原子または/およびハロゲン原子の量を制御するには、層形成時に例えば支持体の温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0036】
光導電層102,202,302,402または502には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子としては下部阻止層と同様の原子を用いることができる。光導電層に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104 原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103 原子ppm、最適には1×10-1〜1×103 原子ppmである。
【0037】
光導電層に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子を含有させることも有効である。これら原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は必ずしも全層にわたって含有される必要はなく、一部分のみ、あるいは膜厚方向で濃度に濃淡があるように分布していてもよい。
【0038】
光導電層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜決定され、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜45μm、最適には25〜40μmとするのが望ましい。
【0039】
バッファ層204,504は、光導電層202,502と表面層203,503の機械的、電気的整合を図るために必要に応じて設けられる。この場合、材料としては光導電層202,502と表面層203,503との整合性の観点から中間の組成を有するSiC層を用いることが望ましい。バッファ層204,504は一定組成の均一な層としてもよいし、組成を連続的に変化させてもよい。バッファ層には必要に応じてN,O,F,B原子を含有させることができる。この場合、含有量は光導電層よりも多くすることにより密着性を改善することができる。
【0040】
バッファ層204,504には下部阻止層305,505と同様に伝導性を制御する原子を含有させてもよい。バッファ層に含有される伝導性を制御する原子としては、第3b族原子または第5b族原子を用いることができる。本発明においてバッファ層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104 原子ppm、より好適には50〜5×103 原子ppm、最適には1×102 〜1×103 原子ppmとするのが望ましい。
【0041】
バッファ層の膜厚はその目的に応じて適宜最適な値に設定されるが、一般に0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、最適には0.1μm〜1μmである。
【0042】
本発明の表面層103,203,303,404,503は非単結晶質の炭素からなる。ここでいう非単結晶炭素とは、黒鉛(グラファイト)とダイヤモンドとの中間的な性質をもつアモルファス状の炭素を主に表しているが、微結晶や多結晶を部分的に含んでいてもよい。この表面層は自由表面を有し、剥がれや残留電位、残像現象の増加なしに、主に長期間の使用における傷や摩耗の防止、帯電能、感度の改善といった本発明の目的を達成するために設けられる。
【0043】
本発明の表面層は原料ガスとしては常温常圧でガス状の炭化水素を用い、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって作成可能であるが、プラズマCVD法を用いて作成した膜は透明度、硬度共に高く、電子写真感光体の表面層として用いるには好ましい。表面層を作成する際のプラズマCVD法に用いる放電周波数としてはいかなる周波数も用いることができる。工業的にはRF周波数帯と呼ばれる1〜450MHz、特に13.56MHzの高周波が好適に用いることができる。また、特に50〜450MHzのVHFと呼ばれる周波数帯の高周波を用いた場合には、透明度、硬度共にさらに高くできるので、表面層形成時の使用により好ましい。
【0044】
本発明の表面層103,203,303,403,503は表面粗さが、基準長さ5μm当たりRzが500オングストローム以上2000オングストローム以下である必要がある。この粗さ範囲に表面層を制御するには、例えば導電性基体の切削条件を最適化して、微細な凹凸を作成してもよい。また、光導電層102,202,302,402,502の製造上の様々なパラメータを調整することによっても粗さを制御することができる。一般に、放電励起パワーが大きいほど、バイアスが大きいほど、表面の粗れは大きくなる傾向がある。また、光導電層あるいはバッファ層まで堆積後にフッ素含有ガスあるいは水素ガスでプラズマ放電を立て、エッチングすることにより表面を粗らして調整してもよい。
【0045】
本発明の目的を達成するためには、さらに表面層中にN,O,F,B原子を全て含有している必要がある。これらの原子の共存はa−C:H膜との特有の相乗効果で効果的に膜中の構造欠陥が補償され、局在準位密度を低減させると考えられる。この結果、膜の透明性が改善され、表面層中では好ましくない不要の光吸収が抑えられることによって光感度が劇的に改善される。また、表面層が緻密化するために帯電キャリアの注入が抑えられ、帯電特性が改善される。同時にN,O,F,B原子は膜の密着性を改善する効果を示すため、内部応力の大きいa−C:Hのような材料であっても膜剥がれせずに用いることが可能となる。
【0046】
このN,O,F,B原子の含有量の和は0.001原子%〜5原子%が望ましい。含有量が0.001原子%よりも少ない場合、上記の効果が低下する。また、5原子%を越えてて含有する場合、a−C:H膜のバンドギャップが低下し、逆に光感度の悪化につながる。また、各々の原子の含有量は少なくとも0.0001原子%以上含有されていることが望ましい。
【0047】
本発明の表面層に用いられるa−C膜中には水素原子を適宜含有していることが必要である。a−C:H膜中に含まれる水素原子の含有量はH/(C+H)で10原子%〜60原子%、さらに好適には20原子%〜40原子%である。水素量が10原子%未満であると光学的バンドギャップが狭くなり、感度の面で適さなくなる。また、60原子%を越えると硬度が低下し、削れが発生しやすくなる。光学的バンドギャップは一般には1.2eV〜2.2eV程度の値であれば好適に用いることができ、感度の点からは1.6eV以上とすることがさらに望ましい。屈折率は1.8〜2.8程度であれば好適に用いられる。膜厚は50オングストロームから10000オングストローム、好ましくは100オングストオロームから2000オングストロームである。50オングストロームより薄くなると機械的強度に問題を生じ、10000オングストロームを越えると光感度の点で問題が発生する。
【0048】
さらに本発明においては、表面層には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させてもよい。伝導性を制御する原子としては、半導体分野におけるいわゆる不純物を挙げることができ、p型電導特性を与える周期律表第3b族に属する原子(以後「第3b族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表第5b族に属する原子(以後「第5族原子」と略記する)を用いることができる。伝導性を制御する原子の含有量としては、所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104 原子ppm、より好適には50〜5×103 原子ppm、最適には1×102 〜1×103 原子ppmである。
【0049】
また、本発明のa−C:Hからなる表面層には、必要に応じてハロゲン原子が含まれていてもよい。
【0050】
表面層の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.1〜2μm、最適には0.5〜1μmとするのが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと電子写真感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0051】
層形成時の基板温度は室温から350℃までに調整されるが、あまり基板温度が高すぎるとバンドギャップが低下して透明度が低下するため低めの温度設定が好ましい。高周波電力については、できるだけ高い方が炭化水素の分解が充分に進むため好ましく、具体的には炭化水素の原料ガスに対して5W/cc以上が好ましいが、あまり高くなると異常放電が発生してしまい、電子写真感光体の特性を劣化させるので、異常放電が発生しない程度の電力に抑える必要がある。放電空間の圧力については、炭化水素のように分解されにくい原料ガスで成膜する場合には気相中での分解種同士の衝突があるとポリマーが発生し易いため、比較的高真空が望ましい。通常のRF(代表的には13.56MHz)電力を用いる場合には13.3Pa〜1330Pa、VHF帯(代表的には50〜450MHz)を用いる場合には13.3mPa〜13.3Pa程度に保たれる。
【0052】
本発明で用いられる伝導性を制御する原子、例えば、第3b族原子としては、具体的には、B(ほう素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ta(タリウム)等があり、特にB,Al,Gaが好適である。第5b族原子としては、具体的にはP(リン)、As(砒素),Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適である。
【0053】
第3b族原子あるいは第5b族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第3b族原子導入用の原料物質あるいは第5b族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に他のガスと共に導入すればよい。第3b族原子導入用の原料物質あるいは第5b族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。そのような第3b族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B26 ,B410,B59 ,B511,B610,B612,B614等の水素化硼素、BF3 、BCl3 ,BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3 ,GaCl3 ,Gd(CH33 ,InCl3 ,TiCl3 等も挙げることができる。第5b族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 ,P24 等の水素化燐、PH4 I,PF3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 .PBr5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,SbCl5 ,BiH3 ,BiCl3 ,BiBr3 等も第5b族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2 および/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0054】
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4 ,Si26 ,Si38 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率のよさ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいものとして挙げられる。
【0055】
そして、形成される各層中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスにさらにH2 および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することもできる。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0056】
希釈ガスとして使用するH2 および/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対してH2 および/またはHeを、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜15倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0057】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得るハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有用なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2 )、BrF,ClF,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 ,IF7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF4 ,Si26 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0058】
炭素供給ガスとなり得る物質としては、CH4 ,C26 ,C38 ,C410等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率のよさ等の点でCH4 ,C26 が好ましいものとして挙げられる。
【0059】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH3 ,NO,N2 O,NO2 ,O2 ,CO,CO2 ,N2 等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。
【0060】
各層に含有される原子は、該層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されているが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0061】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合13.3mPa〜133Pa、好ましくは66.5mPa〜665Pa.最適には133mPa〜133Paである。
【0062】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、通常の場合2〜7倍、好ましくは2.5〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定することが望ましい。
【0063】
支持体の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは50〜500℃、より好ましくは200〜350℃とする。
【0064】
本発明においては、各層を形成するための原料ガスの混合比、ガス圧、支持体温度、放電電力の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する堆積膜を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0065】
以下、高周波プラズマCVD法によって堆積膜を形成するための装置および形成方法について詳述する。
【0066】
図6は高周波プラズマCVD(以下「RF−PCVD」と表記する)法による電子写真感光体の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。図6に示すRF−PCVD法による堆積膜の製造装置の構成は以下の通りである。この装置は大別すると、堆積装置5100、原料ガスの供給装置5200、反応容器5111内を減圧するための排気装置5117から構成されている。堆積装置5100中の反応容器5111内には、導電性支持体5112、基体加熱用ヒータ5113、原料ガス導入管5114が設置され、さらに高周波マッチングボックス5115が接続されている。
【0067】
原料ガス供給装置5200は、SiH4 ,H2 ,CH4 ,NO,B26 ,GeH4 等の原料ガスのボンベ5221〜5226とバルブ5231〜5236、5241〜5246,5251〜5256およびマスフローコントローラ5211〜5216から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ5260を介して反応容器5111内のガス導入管5114に接続されている。
【0068】
この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行うことができる。まず、導電性基体5112を反応容器5111に設置する。導電性基体5112は電子写真感光体の場合、円筒状が望ましい。設置後、排気装置(5117、例えば真空ポンプ)により反応容器5111内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター5113をONし、導電性支持体5112の温度を250℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0069】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器5111に流入させるには、ガスボンベのバルブ5231〜5236、反応容器のリークバルブ5123が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ5251〜5256、流出バルブ5241〜5246、補助バルブ5260が開かれていることを確認して、まずメインバルブ5118を開いて反応容器5111およびガス配管内を排気する。次に真空計5124の読みが約6.65×10-4Paになった時点で補助バルブ5260、流出バルブ52451〜5256を閉じる。
【0070】
その後、ガスボンベ5221〜5226より各ガスをバルブ5231〜5236を開いて導入し、圧力調整器5261〜5266により各ガス圧を(たとえば200KPa)調整する。次に、流入バルブ5241〜5246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー5211〜5216内に導入する。
【0071】
導電性支持体5122が所定の温度になったところで流出バルブ5251〜5256のうちの必要なものおよび補助バルブを徐々に開き、ガスボンベ5221〜5226から所定のガスをガス導入管5114を介して反応容器5111内に導入する。次にマスフローコントローラー5211〜5216によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器5111内の圧力が133Pa以下の所定の圧力になるように真空計5124を見ながらメインバルブ5118の開口を調整する。内圧が安定したところで、RF電源(図示せず)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス5115を通じて反応容器5111内にRF電力を導入し、RFグロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、導電性支持体5112上に所定の堆積膜が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め下引き層の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、たとえば下部阻止層、光導電層、表面保護層等の多層構造の電子写真感光体が形成される。
【0072】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブは全て閉じられていることはいうまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器5111内、流出バルブ5251〜5256から反応容器5111に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ5251〜5256を閉じ、補助バルブ5260を開き、さらにメインバルブ5118を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。また、膜形成の均一化を図る場合は、膜形成を行っている間は、導電性支持体5112を駆動装置(図示せず)によって所定の速度で回転させる。上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることはいうまでもない。
【0073】
次に、VHF体の周波数を用いた高周波プラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略記する)法によって形成される電子写真用電子写真感光体の製造方法について説明する。図6に示した製造装置におけるRF−PCVD法による堆積装置5100を、図7に示す堆積装置6100に交換して原料ガス供給装置5200と接続することにより、VHF−PCVD法による電子写真用電子写真感光体製造装置を得ることができる。
【0074】
この装置は大別すると、真空気密化構造とした減圧にし得る反応容器6111、原料ガスの供給装置5200、および反応容器内を減圧にするための排気装置(不図示)から構成されている。反応容器6111内には導電性支持体6112、支持体加熱用ヒーター6113、原料ガス導入管(不図示)、電極6115が設置され、電極にはさらに高周波マッチングボックス6116が接続されている。また、反応容器6111内は排気管6121を通じて不図示の拡散ポンプに接続されている。
【0075】
原料ガス供給装置5200は前述のように、SiH4 ,GeH4 ,H2 ,CH4 ,B26 ,PH3 等の原料ガスのボンベ5221〜5226とバルブ5231〜5236,5241〜5246,5251〜5256およびマスフローコントローラー5211〜5216から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ5260を介して反応容器6111内のガス導入管(不図示)に接続されている。また、導電性支持体6112によって取り囲まれた空間6130が放電空間を形成している。
【0076】
VHF−PCVD法によるこの装置での堆積膜の形成は、以下のように行うことができる。まず、反応容器6111内に導電性支持体6112を設置し、駆動装置6120によって支持体6112を回転し、不図示の排気装置(たとえば拡散ポンプ)により反応容器6111内を排気管6121を介して排気し、反応容器6111内の圧力を1.33×10-5Pa以下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒーター6113により導電性支持体6112の温度を50℃乃至500℃の所定の温度に加熱保持する。
【0077】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器6111に流入させるには、ガスボンベのバルブ5231〜5236、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ5241〜5246、流出バルブ5251〜5256、補助バルブ5260が開かれていることを確認して、まずメインバルブ(不図示)を開いて反応容器6111およびガス配管内を排気する。
【0078】
次に真空計(不図示)の読みが約6.65×10-4Paになった時点で補助バルブ5260、流出バルブ5251〜5256を閉じる。その後、ガスボンベ5221〜5226より各ガスをバルブ5231〜5236を開いて導入し、圧力調整器5261〜5266により各ガス圧を2×105 Paに調整する。次に、流入バルブ5241〜5246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー5211〜5216内に導入する。
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下のようにして導電性支持体6112上に堆積膜の形成を行う。
【0079】
導電性支持体6112が所定の温度になったところで流出バルブ5251〜5256のうちの必要なものおよび補助バルブ5260を徐々に開き、ガスボンベ5211〜5226から所定のガスをガス導入管(不図示)を介して反応容器6111内の放電空間6130に導入する。次に、マスフローコントローラー5211〜5216によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、放電空間3130内の圧力が133Pa以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。
【0080】
圧力が安定したところで、例えば周波数500MHzのVHF電源(不図示)を所望の電力に設定して、マッチングボックス6116を通じて放電空間6130にVHF電力を導入し、グロー放電を生起させる。かくして支持体6112により取り囲まれた放電空間において、導入された原料ガスは、放電エネルギーにより励起された解離し、支持体6112上に所定の堆積膜が形成される。このときVHF電力導入と同時に、支持体加熱用ヒーター6113の出力を調整し導電性支持体の温度を所定の値で変化させる。このとき、層形成の均一化を図るため支持体回転用モーター6120によって、所望の回転速度で回転させる。所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜を形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の電子写真感光体が形成される。
【0081】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブは全て閉じられていることはいうまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器6111内、流出バルブ5251〜5256から反応容器6111に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ5251〜5256を閉じ、補助バルブ5260を開き、さらにメインバルブ(不図示)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることはいうまでもない。
【0082】
導電性支持体5112,6112の加熱方法は、真空仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。また、それ以外にも、反応容器5111,6111以外に加熱専用の容器を設け、導電性支持体5112,6112を加熱した後、反応容器5111,6111内に真空中で導電性支持体5112,6112を搬送する等の方法が用いられる。
【0083】
また、特にVHF−PCVD法における放電空間の圧力として、好ましくは0.133Pa以上66.5Pa以下、より好ましくは0.1333Pa以上40Pa以下、最も好ましくは0.133Pa以上13.3Pa以下に設定することが望ましい。
【0084】
VHF−PCVD法において放電空間に設けられる電極6115の大きさおよび形状は、放電を乱さないならばいずれのものでもよいが、実用上は直径1mm以上10cm以下の円筒状が好ましい。このとき、電極6115の長さも、導電性支持体6112に電界が均一にかかる長さであれば任意に設定できる。
【0085】
電極6115の材質としては、表面が導電性となるものならばいずれのものでもよく、例えば、ステンレス、Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pb,Fe等の金属、これらの合金または表面を導電処理したガラス、セラミック等が通常使用される。
【0086】
本発明の方法で製造された電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンタ、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レーザー製版機等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0087】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0088】
実施例1
図6に示したプラズマCVD装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層を順次積層した。次に表2に示した条件で表面をエッチングし、表面の凹凸を変化させた。その後表3に示す表面層を積層し、電子写真感光体を完成させた。本実施例ではエッチングの条件を変化させて7本(No.1〜No.7)の感光体を作成した。
【0089】
【表1】
Figure 0004086391
【0090】
【表2】
Figure 0004086391
【0091】
【表3】
Figure 0004086391
【0092】
作成した電子写真感光体の表面層中のN,O,F,Bの含有量(原子%)をSIMS分析によって測定したところ、各々0.5%、0.8%、0.12%、2.5%であり、表面層が接している光導電層中の含有量は各々0.005%、0.007%、0.0035%、0.0012%であった。また、得られた電子写真感光体の表面粗さはAFM(原子間力顕微鏡)によって測定した。
【0093】
このように作成した電子写真感光体を次のように評価した。
【0094】
密着性試験…作成した電子写真感光体の表面に鋭利な針を用いて1cm間隔にクロスハッチ状に筋傷を付けた。これを1週間水に浸した後に取り出し、傷を付けた部分から膜剥がれが生じていないかを目視にて点検した。
【0095】
◎ 剥がれは発生せず、非常に良好
△ 筋傷からごく一部分に剥がれが広がった
× 広範囲に剥がれが発生した
耐久試験…電子写真感光体をキヤノン製複写機NP−5060改造機に搭載し、A4コピー用紙を通紙しながら10万枚の耐久を行った。耐久中の画像、および耐久後の感光体表面を目視点検し、表面層の剥がれが発生していないかどうかを確認した。
【0096】
◎ 剥がれは発生せず、非常に良好
△ ごく一部分に剥がれが発生した
× 広範囲に剥がれが発生し、実用上問題あり
強制ジャム試験…電子写真装置に設置し、通紙している際に強制的に紙詰まり状態を発生させた。この作業を10回繰り返し、感光体に剥がれが発生しないかを画像上でチェックした。
【0097】
◎ 傷はつかず、非常に良好
△ 感光体にはかすかに傷が付いたが画像には出ず、実用上問題なし
× 画像に出る傷が付き、実用上問題あり
帯電能…電子写真感光体を電子写真装置に設置し、帯電器に+6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行い、表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を現像位置で測定した。
【0098】
感度…電子写真感光体を、一定の暗部表面電位に帯電させる。そして直ちにフィルターを用いて550nm以上の波長域の光を除いたハロゲンランプ光を照射し、電子写真感光体の明部表面電位が所定の値になるように光量を調整する。このときに必要な光量をハロゲンランプ光源の点灯電圧から換算する。この光量から感度を評価した。
【0099】
残留電位…電子写真用光受容部材を、一定の暗部表面電位に帯電させる。そして直ちに一定光量の比較的強い光(例えば2L.s)を照射する。光像はハロゲンランプ光源を用い、フィルターを用いて550nm以上の波長域の光を除いた光を照射した。このとき表面電位計により電子写真用光受容部材の明部表面電位を測定した。
【0100】
ゴースト…キヤノン製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、φ5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台の画像先端部に置き、その上にキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を重ねて置いた際のコピー画像において、中間コピー上に認められるゴーストチャートのφ5mmの反射濃度と中間調部分の反射濃度の差を測定し、評価した。
【0101】
以上、帯電能、感度、残留電位、ゴースト、それぞれについて、次のようなランク付けを行った。
【0102】
◎ 非常に良好
○ 良好
△ 従来レベルであり、実用上問題なし
× 実用上問題あり
評価結果を表4に示す。実施例1から本発明の効果は表面粗さを500オングストローム〜2000オングストロームに制御し、かつ、N,O,F,Bを0.001%〜5%含有した場合、特に顕著な効果があることが判明した。
【0103】
【表4】
Figure 0004086391
【0104】
実施例2、参考例1
図6に示したプラズマCVD装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層を順次積層した。次に表2に示した条件で表面をエッチングし、表面の凹凸を約800オングストロームに制御した。その後表5に示す表面層を積層し、電子写真感光体を完成させた。本実施例、本参考例では表面層に含まれるN,O,F,Bの含有量を変化させた電子写真感光体を本(No.1〜No.)作成した。作成した電子写真感光体の表面層中のN,O,F,Bの含有量(原子%)をSIMS分析によって測定した。また、表面層が接している光導電層中の含有量は各々0.005%、0.007%、0.0035%、0.0001%であった。
【0105】
【表5】
Figure 0004086391
【0106】
このように作成した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。
【0107】
実施例2(No.5〜6)、参考例1(No.1〜4)の結果を表6に示す。実施例2から本発明の効果は表面粗さを500オングストローム〜2000オングストロームに制御し、かつN,O,F,Bを0.001%〜5%含有した場合、特に顕著な効果があることが判明した。
【0108】
【表6】
Figure 0004086391
【0109】
比較例1
図6に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層を順次積層した。次に表2に示した条件で表面をエッチングし、表面の凹凸を制御した。その後表7に示す表面層を積層し、電子写真感光体を完成させた。
【0110】
【表7】
Figure 0004086391
【0111】
作成した電子写真感光体の表面層および表面層が接している光導電層中のN,O,F,Bの含有量をSIMS分析によって測定したところ、両者に大きな濃度差は見られなかった。また、得られた電子写真感光体の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)によって測定したところ、Rzは約1500オングストロームであった。
【0112】
このように作成した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。比較例1の結果を表8に示す。比較例1の結果からは表面粗さを500オングストローム〜2000オングストロームに制御しても、表面層が接する層に比べてN,O,F,Bが同時に多く含有されていない場合には、本発明のような結果が得られないことがわかる。
【0113】
【表8】
Figure 0004086391
【0114】
実施例3
図6に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層を成膜し、さらに引き続いて表9に示したa−SiCバッファ層を各々積層した電子写真感光体を作成した。
【0115】
【表9】
Figure 0004086391
【0116】
次に表2に示した条件で表面をエッチングし、表面の凹凸を制御した。その後表3に示す表面層を積層し、電子写真感光体を完成させた。
【0117】
作成した電子写真感光体の表面層中のN,O,F,Bの含有量(原子%)をSIMS分析によって測定したところ、各々0.5%、0.8%、0.12%、2.5%であり、表面層が接しているa−SiCバッファ層中の含有量は各々0.0045%、0.0085%、0.0025%、0.0003%、a−SiCバッファ層が接している光導電層中の含有量は、各々0.0025%、0.0045%、0.0015%、0.0001%であった。また、得られた電子写真感光体の表面粗さをAFM(原子力間顕微鏡)によって測定したところ、Rzは約1000オングストロームであった。
【0118】
このように作成した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果を表10に示す。実施例3から本発明の効果は光導電層と表面層の間にa−SiCといったようなバッファ層があっても同様に得られることが判明した。
【0119】
【表10】
Figure 0004086391
【0120】
実施例4
図6に示したプラズマCVD装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層を成膜し、さらに引き続いて表9に示したa−SiCバッファ層を積層した電子写真感光体を作成した。本実施例では表面の凹凸の制御は一切せずに表3に示す表面層を積層し、電子写真感光体を完成させた。
【0121】
作成した電子写真感光体の表面層中のN,O,F,Bの含有量(原子%)をSIMS分析によって測定したところ、各々0.5%、0.8%、0.12%、2.5%であり、表面層が接しているa−SiCバッファ層中の含有量は各々0.0045%、0.0085%、0.0025%、0.0003%、a−SiCバッファ層が接している光導電層中の含有量は、各々0.0025%、0.0045%、0.0015%、0.0001%であった。また、得られた電子写真感光体の表面粗さをAFM(原子力間顕微鏡)によって測定したところ、Rzは約2000オングストロームであった。
【0122】
このように作成した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、実施例3と同様に非常に良好な結果が得られた。このことから、表面の凹凸は本件の範囲内にあれば、敢えてエッチング等で制御する必要はなく、本件の効果が得られることが判明した。
【0123】
実施例5
図6に示したプラズマCVD装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層を成膜し、さらに引き続いて表11に示したa−SiCバッファ層を積層した電子写真感光体を作成した。
【0124】
本実施例のa−SiCバッファ層は全層変化型とし、光導電層から表面層に向かって滑らかに組成が変化するように作成した。したがって表面層の凹凸の制御は一切せずに、さらに表11に示す表面層を積層し、電子写真感光体を完成させた。
【0125】
【表11】
Figure 0004086391
【0126】
作成した電子写真感光体の表面層中のN,O,F,Bの含有量(原子%)をSIMS分析によって測定したところ、各々0.5%、0.8%、0.12%、2.5%であり、表面層が接しているa−SiCバッファ層中の膜厚方向の中央位置での含有量は各々0.0040%、0.008%、0.0030%、0.0002%、a−SiCバッファ層が接している光導電層中の含有量は、各々0.0015%、0.0040%、0.0010%、0.0001%であった。また、得られた電子写真感光体の表面粗さをAFM(原子力間顕微鏡)によって測定したところ、Rzは約1800オングストロームであった。
【0127】
このように作成した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、実施例3と同様な非常に良好な結果が得られた。このことから、バッファ層の組成は膜厚方向で変化していても同様には本発明の効果が得られることが判明した。
【0128】
実施例6
図6に示したプラズマCVD装置の代わりに図7に示したVHFプラズマCVD法を用いた量産型の装置を用いて表12に示した条件により円筒形のAl基体に下部阻止層、光導電層、a−SiCバッファ層、表面層を積層した電子写真感光体を作成した。表面層の凹凸の制御は一切せずに電子写真感光体を完成させた。
【0129】
【表12】
Figure 0004086391
【0130】
作成した電子写真感光体の表面層中のN,O,F,Bの含有量(原子%)をSIMS分析によって測定したところ、各々0.5%、0.8%、0.12%、2.5%であり、表面層が接しているa−SiCバッファ層中の含有量は各々0.0035%、0.075%、0.0015%、0.0004%、a−SiCバッファ層が接している光導電層中の含有量は、各々0.0025%、0.0045%、0.0010%、0.0002%であった。また、得られた電子写真感光体の表面粗さをAFM(原子力間顕微鏡)によって測定したところ、Rzは約1800オングストロームであった。
【0131】
このように作成した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、実施例4と同様な非常に良好な結果が得られた。このことから、成膜方法はいかなる方法であっても、本件の効果が得られることが判明した。
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性基体上にシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有し、少なくとも水素を含む非単結晶炭素からなる表面層が形成された電子写真感光体において、この表面層は、基準長さを5μmとした場合の表面粗さRzが500オングストローム以上、2000オングストローム以下であり、かつこの表面層中に少なくとも酸素、窒素、フッ素、硼素原子を全て同時に含有し、これらの含有量が、表面層の接する層よりも多い層構成とすることにより、長期間の使用において剥がれや傷、摩耗の発生することがない、電気特性の良好な、高画質の電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の一例の単層型の模式的断面図である。
【図2】図1にバッファ層を加えた模式的断面図である。
【図3】図1に下部阻止層を加えた模式的断面図である。
【図4】本発明の電子写真感光体の一例の機能分離型の模式的断面図である。
【図5】図2にさらに下部阻止層を加えた模式的断面図である。
【図6】本発明による電子写真感光体を形成するための装置の一例のRFグロー放電法による製造装置の模式的説明図である。
【図7】本発明における電子写真用感光体を形成するための装置の一例のVHFグロー放電法による量産型の製造装置の模式的説明図である。
【符号の説明】
101,201,301,401,501 導電性基体
102,202,302,502 光導電層
103,203,303,403,503 表面層
204,504 バッファ層
305,405,505 下部阻止層
402’ 電荷発生層
406 電荷輸送層
5100,6100 堆積装置
5111,6111 反応容器
5112,6112 導電性支持体
5113,6113 支持体加熱用ヒーター
5114 原料ガス導入管
5115,6115 マッチングボックス
5116 原料ガス配管
5117 反応容器リークバルブ
5118 メイン排気バルブ
5119 真空計
5200 原料ガス供給装置
5211〜5216 マスフローコントローラ
5221〜5226 原料ガスボンベ
5231〜5236 原料ガスボンベバルブ
5241〜5246 ガス流入バルブ
5251〜5256 ガス流出バルブ
5261〜5266 圧力調整器
6115 電極
6120 支持体回転用モーター
6121 排気管
6130 放電空間

Claims (4)

  1. 導電性基体上にシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有し、シリコン原子を含まない原料ガスを用いて形成された、少なくとも水素を含む非単結晶炭素から成る表面層を有する電子写真感光体において、
    該表面層は、基準長さを5μmとした場合の表面粗さRzが500オングストローム以上、2000オングストローム以下であり、かつ該表面層中に少なくとも酸素、窒素、フッ素、硼素原子を全て同時に各々0.0001原子%以上含有し、かつ該表面層の酸素、窒素、フッ素、硼素原子の各々の含有量が該表面層の接する層よりも多いことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記光導電層と前記表面層の間に、さらにバッファ層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記バッファ層がシリコン原子を母体とし、さらに炭素原子を含有する非単結晶材料で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記バッファ層がさらに酸素、窒素、フッ素、硼素原子を全て同時に含有し、各原子の含有量が、該バッファ層の接する光導電層の含有量よりも多いことを特徴とする請求項2または3に記載の電子写真感光体。
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