JP2006163219A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、長期間の使用においても密着性の良好な、耐久性に優れた電子写真感光体を提供することを目的とする。また、高速の電子写真プロセスにおいても、帯電能の向上、更には光メモリーの低減および感度アップが達成可能な電子写真感光体を提供することである。
【解決手段】 導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、該光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有する電子写真感光体において、表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、表面層の少なくとも一部に酸素原子および/またはフッ素原子を含み、表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対する酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布が、第一の表面層と第二の表面層とを接続する領域にピークを有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真装置における電子写真感光体に関するものである。
水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、塩素等)で補償されたアモルファスシリコン(a−Si)等のアモルファス堆積膜は高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、実用化されている。a−Si感光体は他の感光体と比べ表面硬度が高く、繰り返し使用による劣化もほとんど認められない事から、特に高速複写機やLBP(レーザープリンター)等の電子写真感光体として広く使用されている。また、近年の情報処理量の増加に伴い、高速な複写機やLBPの需要は更に大きくなり、複写機1台あたりのコピー量も著しく増大している。
こうした背景において、a−Si感光体を用いた画像形成装置においては、とくに高湿環境下で感光体表面の付着物が原因となって感光体表面が低抵抗化し、印刷画像に濃度低下やボケが生じる画像流れが生じやすいという問題があった。
このような画像流れの問題に対して、様々な技術が提案されている。
例えば、下記特許文献1には、a−SiC:Hから成る表面層の元素比率を組成式a−Si1−x:Hと表したときにx値が0.95≦x<1.00であって、かつ自由表面の動的押し込み硬さが45〜220kgf/mmの特性を有する電子写真感光体の技術が開示されている。
また、新たな表面層材料の研究が様々行われており、特に近年ではa−Si感光体の表面層材料として非単結晶炭素(a−C)膜が提案されている。
例えば、下記特許文献2には、a−Si系感光体の表面層として、非晶質炭素膜の成膜とフッ素ガスのエッチングを交互に複数回繰り返した技術が開示されている。
また、下記特許文献3には、表面層に酸素原子およびフッ素原子を含有し、酸素原子を膜厚方向に濃度勾配を持たせた技術が開示されている。
これらの技術により、画像流れが防止され、電気的、光学的、光導電率的特性及び使用環境特性、耐久性の向上も可能になっている。
特開平08−133727号公報 特開平09−211878号公報 特開2002−72528号公報
上記のような技術の進展により、良好な電子写真感光体が実現されてきたが、製造される製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、より高品質な電子写真感光体が求められている。
特に、近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置やデジタルフルカラー電子写真装置においては、更なる高速化と同時に文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁に成されるため、従来以上に画質の向上が求められるようになっている。
特に、a−Si系電子写真感光体では前回複写した画像が次の画像の中間濃度の部分に薄く転写されてしまうという、残像現象が出やすい傾向にある。このため、更なる高画質化への課題として、残像現象に代表される光メモリーおよび感度アップがより一層求められるようになっている。
また、デジタルフルカラー複写機に対する要求に対して、これまで以上に感光体特性の総合的な向上が必要となってきており、例えばプロセス条件の1つとして、電子写真感光体の周囲に複数の現像器を設けるか、大型の現像手段を用いるかするため、帯電器から現像器までの距離が離れやすい構成になる場合がある。その為、暗減衰による帯電器から現像器までの電位低下を補償する為に、帯電電位をこれまで以上に高くすることが要求されている。
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、高速化、長寿命化された電子写真装置において、画像流れの無い高品質な画像が得られ、かつ、長期間の使用においても密着性が良好で耐久性に優れ、また、高速の電子写真プロセスにおいても、帯電能の向上、更には光メモリーの低減および感度アップが達成可能な電子写真感光体を提供することにある。
本発明は、下記の技術的構成により前記目的を達成できたものである。
導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、該光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有する電子写真感光体において、前記表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、該表面層の少なくとも一部に酸素原子および/またはフッ素原子を含み、該表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対する酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布が前記第一の表面層と前記第二の表面層とを接続する領域にピークを有することを特徴とする電子写真感光体。
本発明によれば、高速化、長寿命化された電子写真装置において、画像流れの無い高品質な画像が得られ、かつ、長期間の使用においても密着性が良好で耐久性に優れ、また、高速の電子写真プロセスにおいても、帯電能の向上、更には光メモリーの低減および感度アップが達成可能な電子写真感光体を提供することができる。
本発明者らは上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、光導電層上に積層した非単結晶層領域内の組成を制御することが、画像特性に多大な影響を及ぼすことを見出した。特に本発明者らは、光導電層上に積層した非単結晶層からなる第一の表面層及び第二の表面層を接続する領域において酸素原子および/またはフッ素原子の含有量がピークを持つように組成を制御することで、長期間の使用においても密着性の良好で、高画質の電子写真感光体を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
本発明は、導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有した電子写真感光体において、表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、表面層の少なくとも一部に酸素原子を含み、表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対する酸素原子の含有量分布が第一の表面層と第二の表面層とを接続する領域にピークを有するように組成を制御するする電子写真感光体に関するものである。ここで、表面層の厚さ方向とは層を構成する面と垂直な面を表す。
本発明は更に、光導電層上に積層した表面層の酸素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をOmax、前記表面層に含有する酸素原子の最小含有量をOminとしたときに、最小含有量Ominに対する最大含有量Omaxの比率が、5≦Omax/Omin≦1800の関係を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。ここで、前記最小含有量Ominは光導電層に積層される変化領域を含まない表面層での最小含有量である。
本発明は更に、酸素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たないことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、表面層の酸素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅が10nm以上200nm以下であることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層における窒素原子の平均濃度(原子%)が、30原子%≦N/(Si+N)<70原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第二の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、光導電層上に周期表第13族元素を含有した層を有することを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
また、本発明は、導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有した電子写真感光体において、表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、表面層の少なくとも一部にフッ素原子を含み、表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対するフッ素原子の含有量分布が第一の表面層と第二の表面層とを接続する領域にピークを有するように組成を制御するする電子写真感光体に関するものである。ここで、表面層の厚さ方向とは層を構成する面と垂直な面を表す。
本発明は更に、光導電層上に積層した表面層内のフッ素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をFmax、表面層含有するフッ素原子の最小含有量をFminとしたときに、最小含有量Fminに対する最大含有量Fmaxの比率が、5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。ここで、前記最小含有量Fminは光導電層に積層される表面層での最小含有量である。
本発明は更に、フッ素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たないことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、表面層のフッ素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅が10nm以上200nm以下であることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層における窒素原子の平均濃度(原子%)が、30原子%≦N/(Si+N)<70原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第二の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、光導電層上に周期表第13族元素を含有した層を有することを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
また、本発明は、導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有した電子写真感光体において、表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、表面層の少なくとも一部に酸素原子およびフッ素原子を含み、表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対する酸素原子およびフッ素原子の含有量分布が、第一の表面層と第二の表面層とを接続する領域にピークを有するように組成を制御するする電子写真感光体に関するものである。ここで、表面層の厚さ方向とは層を構成する面と垂直な面を表す。
本発明は更に、光導電層上に積層した表面層の酸素原子およびフッ素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をOmaxおよびFmax、表面層に含有する酸素原子およびフッ素原子の最小含有量をOminおよびFminとしたときに、最小含有量OminおよびFminに対する最大含有量OmaxおよびFmaxの比率が、5≦Omax/Omin≦1800および5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。ここで、前記最小含有量OminおよびFminは光導電層に積層される表面層での最小含有量である。
本発明は更に、酸素原子およびフッ素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たないことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、表面層の酸素原子およびフッ素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅が10nm以上200nm以下であることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第一の表面層における窒素原子の平均濃度(原子%)が、30原子%≦N/(Si+N)<70原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、第二の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
本発明は更に、光導電層上に周期表第13族元素を含有した層を有することを特徴とする電子写真感光体であることが好ましい。
以下、密着性の向上、更には電気特性の良好な高画質の電子写真特性を達成するに至った知見について詳述する。
本発明者らは、長時間使用における剥れの発生が無い等の密着性の向上については、以下のように推察している。
光導電層上に積層した表面層において、互いの組成が異なる第一の表面層および第二の表面層を積層させた場合、内部応力の違いにより剥れに弱くなり密着性が低下する場合がある。特に、内部応力の高いa−C:H膜を第二の表面層とした時には、密着性の低下が第一の表面層の組成との違いにより顕著になる場合があるが、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量がピークを持つように組成を制御することで、第二の表面層の膜成長での構造緩和が進み、密着性が向上するものと考えている。
また、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量にピークを持たせる効果は密着性向上効果のみならず、電子写真感光体の帯電能をアップし、光感度が向上し、光メモリーの低減をもたらす相乗効果があることも判明した。これは酸素、フッ素といった原子がシリコン原子と炭素原子を母材とした非単結晶層の構造緩和を促す事により構造欠陥を取り除くと共に、更にターミネーターとして有効に働き膜中に存在する構造欠陥から発生する局在準位密度を効果的に減少させるものと想像している。この為、光導電層上に積層した非単結晶材料構成された表面層中の構造欠陥を介して帯電電荷の移動が防止され、帯電能改善に寄与する。また、光キャリアが局在準位にトラップされるのを防止するので、光感度のアップ、光メモリーの低減に結びつくと想像される。
また、本発明者らは酸素原子および/またはフッ素原子の含有量が光導電層上に積層した表面層の厚さ方向でピークを有した場合の効果を詳細に検討した。その結果、理由は不明であるが、非単結晶層領域中の構造緩和が効果的に作用し、帯電能および光感度の顕著なアップ、更には光メモリーの低減も顕著に向上することが判った。
更に本発明者らが、光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層における酸素原子および/またはフッ素原子の含有量と電子写真特性との相関について詳細に検討した結果、酸素原子、フッ素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をそれぞれOmax、Fmax、光導電層上に積層した非表面層に含有する酸素原子、フッ素原子の最小含有量をOmin、Fminとしたときに、最小含有量Omin、Fminに対する最大含有量Omax、Fmaxの比率が、それぞれ5≦Omax/Omin≦1800、5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすように制御することで、帯電能の向上および光感度のアップ、更には光メモリーの低減が飛躍的に向上可能であることを見出した。
更に本発明者らは、光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布のピークに関して電子写真特性との相関について詳細に検討した結果、ピーク形状が一定領域を持たないように制御することが、ピーク近傍領域の膜質を阻害することなく、帯電能の向上に加えて、更に感度アップおよび光メモリーを充分に低減することが可能になると考えている。
さらに本発明者らは、光導電層上に積層した表面層の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量と電子写真特性との相関について詳細に検討した結果、酸素原子または/およびフッ素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅を10nm以上200nm以下に制御することが好ましいことが分かった。これは、ピークの半値幅を10nm以上とすることで、ピークの形成が効果的に膜特性に影響を及ぼし、更なる光感度のアップが可能となる。一方、ピークの半値幅を200nm以下とすることで、ピーク近傍領域の膜質を阻害することなく、光メモリーを充分に低減することが可能になったものと考える。
以下、図面に従って本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の層構成例を説明するための模式的構成図である。
図1(a)に示す電子写真感光体100は、電子写真感光体用の基体101の上に、光受容層102が設けられている。光受容層102は、基体101側から順に、a−Si系下部電荷注入阻止層104と、a−Si:Hからなり光導電性を有する光導電層105と、表面層103から構成されている。また、表面層103は、第一の表面層106、第二の表面層107からなり、第一の表面層106は、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC:Hと表記する)系、第二の表面層107はa−C:H系で構成されている。ここで、第一の表面層106、第二の表面層107を接続する領域108は、本発明の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量のピークが形成される領域である。また、光導電層105と表面層106の界面は、変化層を設けて界面反射を抑制するように界面制御を行ってもよい。
図1(b)に示す電子写真感光体100は負帯電用電子写真感光体であり、基体101の上に光受容層102が設けられている。光受容層102は、基体101側から順に、a−Si系下部電荷注入阻止層104と、a−Si:Hからなり光導電性を有する光導電層105、上部電荷注入阻止層109と、表面層103から構成されている。また、表面層103は、第一の表面層106、第二の表面層107からなり、第一の表面層106は、a−SiC:H系、または水素化アモルファスシリコンナイトライド(a−SiN:Hと表記する)系、第二の表面層107は、a−C:H系で構成されている。
また、光導電層上に積層した上部電荷注入阻止層109は、第一の表面層106がa−SiC:H系のときは周期表第13族元素が含有した領域からなるa−SiC:H系、第一の表面層106が水素化アモルファスシリコンナイトライド系のときは周期表第13族元素が含有した領域からなるa−SiN:H系の構成になっている。ここで、第一の表面層106、第二の表面層107を接続する領域108は、本発明の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量のピークが形成される領域である。また、光導電層105と上部電荷注入阻止層107と表面層106の各々の界面は、変化層を設けて界面反射を抑制するように界面制御を行ってもよい。
以下に各層について詳細に説明する。
<第一の表面層>
本発明における第一の表面層106は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層あるいはシリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなる。具体的には、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC:H)あるいは水素化アモルファスシリコンナイトライド(a−SiN:H)材料である。ここで、第一の表面層がa−SiC:H材料の場合、層内に含有する炭素原子の平均濃度(原子%)は、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことが好ましい。具体的には、a−Si系の感光体表面に微少面積の高い荷重が加わった時に発生するa−Si系感光体特有の傷(以下、圧傷と記載する)の発生防止という観点から50原子%以上90原子%未満であることが好ましい。
50原子%未満および90原子%以上の組成になると、膜硬度の低下が発生し、圧傷が発生ししやすくなる。ここで、圧傷とは、例えば、先端の直径が0.8mmのダイヤモンド針に荷重を加えて表面を引っ掻いた場合、感光体表面には何ら外観状の傷は観察されないにも関わらず、その部分の暗部電位保持能力が著しく低下し、画像上で黒スジとして画像欠陥を生ずる現象である。
また、第一の表面層がa−SiN:H材料の場合、層内に含有する窒素原子の平均濃度(原子%)は、30原子%≦N/(Si+N)≦70原子%を満たすことが好ましい。具体的には、圧傷の発生防止という観点から30原子%以上であることが好ましい。また、上限としては、膜の歩留まりの関係から、70原子%以下とすることが好ましい。70原子%以下であれば、膜厚、硬度および抵抗などのムラが発生しにくく、更に、膜の強度が保て、且つ、安定して高歩留まりで製造できる。
前記第一の表面層106に含有される炭素原子あるいは窒素原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有されていてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体101の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
また、第一の表面層106中には水素原子を含有させるのが好ましく、この場合水素原子は、シリコンなどの構成原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させる。このような観点から、水素の含有量は、表面層中の構成原子の総量に対して好ましくは30原子%以上70原子%以下、より好ましくは35原子%以上65原子%以下、更に好ましくは40原子%以上60原子%以下である。
前記第一の表面層106の層厚としては、通常10nm以上2000nm以下、好適には50nm以上1000nm以下、最適には100nm以上500nm以下とされるのが望ましいものである。
本発明の目的を達成し得る特性を有する第一の表面層106を形成するには、基体の温度、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。基体の温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
本発明においては、第一の表面層106を形成するための基体の温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
また、第一の表面層と光導電層との間に、炭素原子あるいは窒素原子の含有量が光導電層に向かって減少するように変化する変化層を設けても良い。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
また、本発明において、例えば図1(b)に示すように、光導電層105上に上部電荷注入阻止層109を設けることが、負帯電電子写真感光体の場合、その目的を効果的に達成するためには好ましい構成である。
上部電荷注入阻止層109は、上部から(即ち表面層側から)の電荷の注入を阻止し、帯電能を向上させる機能を有しており、このような機能を発揮させるためには上部電荷注入阻止層109に周期表第13族元素を含有させることが有効である。
周期表第13族元素としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に硼素が好適である。
本発明における上部電荷注入阻止層109に含有される周期表第13族元素の含有量は、構成原子の総量に対して60ppm以上5000ppm以下、好適には100ppm以上3000ppm以下の範囲とするのが好ましい。
上部電荷注入阻止層109に含有される周期表第13族元素は、上部電荷注入阻止層109に万偏なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
本発明において、上部電荷注入阻止層109は、第一の表面層106と同じくa−SiC:H系あるいはa−SiN:H系で構成されている。
本発明における上部電荷注入阻止層109が、a−SiC:H系材料の場合、上部電荷注入阻止層に含有される炭素原子の含有量は、構成原子のシリコン原子と炭素原子の総和に対して5原子%以上48原子%以下の範囲とするのが好ましい。より好ましくは10原子%以上45原子%以下、更に好ましくは15原子%以上40原子%以下であるのが良い。また、a−SiN:H系材料の場合、上部電荷注入阻止層に含有される窒素原子の含有量は、構成原子のシリコン原子と窒素原子の総和に対して5原子%以上35原子%以下の範囲とするのが好ましい。より好ましくは10原子%以上30原子%以下、更に好ましくは15原子%以上25原子%以下であるのが良い。
また、本発明においては上部電荷注入阻止層109には、水素原子が含有されることが好ましく、水素原子はシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させる。a−SiC:H系材料の場合、水素原子の含有量は、上部電荷注入阻止層中の構成原子の総量に対して通常の場合30原子%以上70原子%以下、好適には35原子%以上65原子%以下、最適には40原子%以上60原子%以下とするのが望ましい。また、a−SiN:H系材料の場合、水素原子の含有量は、上部電荷注入阻止層中の構成原子の総量に対して通常の場合30原子%以上70原子%以下、好適には35原子%以上65原子%以下、最適には40原子%以上60原子%以下とするのが望ましい。
本発明において、上部電荷注入阻止層109の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは10nm以上1000nm以下、より好ましくは30nm以上800nm以下、最適には50nm以上500nm以下とされるのが望ましい。層厚が10nm未満になると、表面側からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が得られず電子写真特性の低下を招くことがあり、1000nmを超えると電子写真特性の向上は期待できず、むしろ感度等の特性の低下を招くことがある。上部電荷注入阻止層109は光導電層105側から表面層106に向かって組成を連続的に変化させることも好ましい。
本発明の目的を達成し得る特性を有する上部電荷注入阻止層109を形成するには、シリコン原子供給用のガスと炭素原子供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
また、上部電荷注入阻止層109が周期表第13族元素含有量の厚さ方向における極大領域を有する場合において、帯電能の特性向上のため、最も表面層側に位置する極大領域の周期表第13族元素含有量が最も大きいことが好ましい。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×103Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×102Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×102Pa以下とするのが好ましい。さらに、基体の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
<本発明に係わる第二の表面層>
本発明の第二の表面層は、剥れや残留電位の増加なしに、主に長期間の使用における傷や摩耗の防止といった本発明の目的を達成するために設けられる。
本発明の第二の表面層は、シリコン原子、炭素原子の少なくとも一つを含んだ非単結晶層からなる。具体的には、水素化アモルファスカーボン(a−C:H)、更にはa−C:Hに微量のシリコン原子を添加させた材料である。ここで、第二の表面層中に含有する炭素原子の平均濃度(原子%)は、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことが好ましい。
また、本発明の第二の表面層107に用いられるa−C:H膜中には水素原子を適宜含有していることが必要である。a−C:H膜の膜中に含まれる水素原子の含有量はH/(C+H)で10原子%〜60原子%、更に好適には20原子%〜40原子%が適している。水素量が10原子%を切ると光学的バンドギャップが狭くなり、感度の面で適さなくなる。また、60原子%を越えると硬度が低下し、削れが発生し易くなる。光学的バンドギャップは一般には1.2eV〜2.2eV程度の値であれば好適に用いることが出来、感度の点からは1.6eV以上とすることが更に望ましい。屈折率は1.8〜2.8程度であれば好適に用いられる。膜厚は5nmから1μm、好ましくは20nmから200nmである。5nmより薄くなると機械的強度に問題が出る。1μm以上になると光感度の点で問題が発生する。
また、基板温度は室温から350℃までに調整される範囲が好ましい。
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH4、C2H6、C3H8、C4H10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、炭素供給効率の良さ等の点でCH4、C2H6が好ましいものとして挙げられる。
さらに本発明においては、例えば、図1(a)で示すように第一の表面層106と第二の表面層107とを接続する領域108として、破線で囲まれた箇所に酸素原子および/またはフッ素原子の含有量がピークを持つように制御する。第一の表面層106と第二の表面層107とを接続する領域108の厚みは5nm〜500nmが好ましい範囲である。酸素原子および/またはフッ素原子の含有量のピークを形成するには、第一の表面層106と第二の表面層107との接続領域108を形成する際に酸素原子および/またはフッ素原子供給用ガスを流すことが望ましい。また、前記接続領域108に含有させる酸素原子および/またはフッ素原子の含有量を制御するには、例えば、酸素原子および/またはフッ素原子供給用ガスのガス濃度や、高周波電力や基体温度といった堆積膜形成条件を適宜制御することが有効である。
ここで、酸素原子供給用ガスとなり得る物質としては、O、CO、CO、NO、NO、CO等のガスが好ましいものとして挙げられる。また、フッ素原子供給用ガスとなり得る物質としては、フッ素ガス(F)、CF、SiF、Si、BrF、ClF、ClF等のガスが好ましいものとして挙げられる。また、酸素原子およびフッ素原子供給用ガスとしては、上記ガスを複数種混合することが好ましく、具体的にはCFとOの混合ガスが好ましい例として挙げられる。
表面層103中の酸素原子の含有量は、好ましくは1.0×1017〜2.5×1022原子/cm、より好ましくは5.0×1017〜2.0×1022原子/cm、最適には1.0×1018〜1.0×1022原子/cmとすることが望ましい。また、同じく、表面層106中のフッ素原子の含有量は、好ましくは1.0×1016〜2.0×1022原子/cm、より好ましくは5.0×1016〜5.0×1022原子/cm、最適には1.0×1017〜2.5×1021原子/cmとすることが望ましい。表面層103中の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量は、例えば、図4に示すような分布状態とすることができる。
図4は表面層中における酸素原子およびフッ素原子の含有量のピークを説明するSIMS(二次イオン質量分析法)によるデプスプロファイルの一例を示す。
図4では、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量のデプスプロファイルは、表面層中においてピークと最小含有量を有している場合であるが、酸素原子、フッ素原子のピークにおける最大含有量をそれぞれOmax、Fmax、酸素原子及びフッ素原子の表面層での最小含有量をOmin、Fminとしたときに、最小含有量Omin、Fmin対する最大含有量Omax、Fminの比率が、各々5≦Omax/Omin≦1800、5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすことが望ましい。Omaxは5.0×1020原子/cm〜2.5×1022原子/cm、Ominは2.5×1017原子/cm〜1.3×1022原子/cmの範囲が好ましい。また、Fmaxは5.0×1019原子/cm〜2.0×1022原子/cm、Fminは2.5×1017原子/cm〜1.0×1022原子/cmの範囲が好ましい。 ここで定義した最小含有量とは、光導電層上に積層した表面層での含有量で最小の値を指す。
また、図5は表面層中のピークの半値幅を説明する一例であるが、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量のデプスプロファイルは、表面層内の酸素原子、フッ素原子の含有量分布のピークにおいて、各々のピークの半値幅が酸素原子は10nm以上200nm以下、フッ素原子は10nm以上200nm以下であることがより好ましい。
本発明において、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たない形状を示すことが好ましい。具体的には、図4の第一の表面層と第二の表面層の接続領域で形成される形状のように、含有量のピークに頂部が存在する形状を示すことが好ましい。ピークが一定領域を持つ場合とは、例えば、分析結果で、図6に示すような表面層の厚さ方向において酸素原子および/またはフッ素原子が一定の値で存在し続けていることを意味する。
<基体>
本発明において使用される基体としては、導電性であれば良く、導電性基体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、及びこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。
また、電気絶縁性材料であっても、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性材料の少なくとも光受容層を作製する側の表面を導電処理して基体として用いることができる。 使用される基体の形状は平滑表面あるいは微小な凹凸表面を有する円筒状または無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子写真感光体を形成し得るように適宜決定する。電子写真感光体としての可撓性が要求される場合には、基体としての機能が十分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、基体は、製造上及び取り扱い上、機械的強度等の点から、通常10μm以上とされる。
<下部電荷注入阻止層>
本発明において、例えば、図1(a)に示すように、導電性基体101の上層には、基体101側からの電荷の注入を阻止する働きのある下部電荷注入阻止層104を設けるのが効果的である。下部電荷注入阻止層104は光受容層102が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、基体101側より光導電層105側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有している。
下部電荷注入阻止層104には、シリコン原子を母材に導電性を制御する不純物を、後で詳述する光導電層105に比べて比較的多く含有させる。正帯電用電子写真感光体の場合、下部電荷注入阻止層104に含有される不純物元素としては、周期表第13族元素を用いることが出来る。また、負帯電用電子写真感光体の場合、下部電荷注入阻止層104に含有される不純物元素としては、周期表第15族元素を用いることが出来る。本発明においては下部電荷注入阻止層104中に含有される不純物元素の含有量は、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは下部電荷注入阻止層中の構成原子の総量に対して10原子ppm以上10000原子ppm以下、より好適には50原子ppm以上7000原子ppm以下、最適には100原子ppm以上5000原子ppm以下とされるのが望ましい。
更に、下部電荷注入阻止層104には、窒素及び酸素を含有させることによって、該下部電荷注入阻止層104と基体101との間の密着性の向上を図ることが可能となる。また、負帯電用電子写真感光体の場合には、下部電荷注入阻止層104に周期表第15族元素の不純物元素を含有させなくても窒素および酸素を最適に含有させることで優れた電荷注入阻止能を有することも可能となる。具体的に、下部電荷注入阻止層104の全層領域に含有される窒素原子および酸素原子の含有量は、窒素および酸素の和を下部電荷注入阻止層中の構成原子の総量に対して、好ましくは0.1原子%以上40原子%以下、より好ましくは1.2原子%以上20原子%以下とすることにより、電荷注入阻止能が向上する。
また、本発明における下部電荷注入阻止層104には水素原子を含有させるのが好ましく、この場合、水素原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。下部電荷注入阻止層104中に含有される水素原子の含有量は、下部電荷注入阻止層中の構成原子の総量に対して1原子%以上50原子%以下が好ましく、5原子%以上40原子%以下がより好ましく、10原子%以上30原子%以下が更に好ましい。
本発明において、下部電荷注入阻止層104の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは100nm以上5000nm以下、より好ましくは300nm以上4000nm以下、最適には500nm以上3000nm以下とすることが望ましい。層厚を100nm以上5000nm以下とすることにより、基体101からの電荷の注入阻止能が充分となり、充分な帯電能が得られると共に電子写真特性の向上が期待でき、残留電位の上昇などの弊害が発生しない。
下部電荷注入阻止層104を形成するには、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
<光導電層>
本発明の電子写真感光体における光導電層105は、シリコン原子を母材とした非単結晶材料からなり、層中に水素原子及び/またはハロゲン原子が含有されることが好ましい。これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるためである。水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量は光導電層中の構成原子の総量に対して好ましくは10原子%以上40原子%以下、より好ましくは15原子%以上25原子%以下とされるのが望ましい。光導電層105中に含有される水素原子及び/またはハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体101の温度、水素原子及び/またはハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
本発明においては、光導電層105には必要に応じて導電性を制御する不純物元素を含有させても良い。含有させる不純物元素としては下部電荷注入阻止層104と同様、周期表第13族元素を用いることができる。光導電層105に含有される不純物元素の含有量としては、光導電層中の構成原子の総量に対して好ましくは1×10−2原子ppm以上1×10原子ppm以下、より好ましくは5×10−2原子ppm以上5×10原子ppm以下、最適には1×10−1原子ppm以上1×10原子ppm以下とされるのが望ましい。
本発明において、光導電層105の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは20μm以上45μm以下、最適には25μm以上40μm以下とされるのが望ましい。
光導電層105を形成するには、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは180℃以上330℃以下、最適には200℃以上300℃以下とするのが望ましい。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2Pa以上1×10Pa以下、好ましくは5×10−2Pa以上5×10Pa以下、最適には1×10−1Pa以上1×10Pa以下とするのが好ましい。
<堆積膜形成装置>
次に、本発明の光受容層102を作製するための装置及び膜形成方法について詳述する。 図2は、電源周波数としてRF帯を用いた高周波プラズマCVD法(RF−PCVDとも略記する)による電子写真感光体の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。図2に示す製造装置の構成は以下の通りである。
この装置は大別すると、堆積装置(2100)、原料ガスの供給装置(2200)、反応容器(2111)内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置(2100)中の反応容器(2111)内には円筒状基体(2112)、基体加熱用ヒーター(2113)、原料ガス導入管(2114)が設置され、さらに高周波マッチングボックス(2115)を介してRF電源(不図示)が接続されている。
原料ガス供給装置(2200)は、SiH、H、CH、B、NO、PH等の原料ガスのボンベ(2221〜2226)とバルブ(2231〜2236、2241〜2246、2251〜2256)及びマスフローコントローラー(2211〜2216)から構成され、各原料ガスのボンベは補助バルブ(2260)を介して反応容器(2111)内のガス導入管(2114)に接続されている。
この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行なうことができる。
先ず、反応容器(2111)内に円筒状基体(2112)を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(2111)内を排気する。続いて、基体加熱用ヒーター(2113)により円筒状基体(2112)の温度を150℃乃至350℃の所定の温度に制御する。
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(2111)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231〜2236)、反応容器のリークバルブ(2117)が閉じられていることを確認し、又、ガス流入バルブ(2241〜2246)、流出バルブ(2251〜2256)、補助バルブ(2260)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ(2118)を開いて反応容器(2111)及び原料ガス配管内(2116)を排気する。
次に、真空計(2119)の読みが約0.1Pa以下になった時点で補助バルブ(2260)、ガス流出バルブ(2251〜2256)を閉じる。その後、ガスボンベ(2221〜2226)より各ガスを原料ガスボンベバルブ(2231〜2236)を開いて導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各ガス圧を0.2MPaに調整する。次に、ガス流入バルブ(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(2211〜2216)内に導入する。
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。
円筒状基体(2112)が所定の温度になったところで流出バルブ(2251〜2256)のうちの必要なもの及び補助バルブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜2226)から所定のガスを原料ガス導入管(2114)を介して反応容器(2111)内に導入する。次にマスフローコントローラー(2211〜2216)によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器(2111)内の圧力が1×10Pa以下の所定の圧力になるように真空計(2119)を見ながらメインバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安定したところで、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス(2115)を通じて反応容器(2111)内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体(2112)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器(2111)内、流出バルブ(2251〜2256)から反応容器(2111)に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ(2118)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
また、膜形成の均一化を図るために、層形成を行なっている間は、円筒状基体(2112)を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。
さらに、上述のガス種及びバルブ操作は各々の層の作製条件に従って変更が加えられることは言うまでもない。
基体の加熱方法は、真空仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とした熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で基体を搬送する方法が用いられる。
<電子写真装置>
図3には、本発明の電子写真感光体を好適に使用できる画像形成装置の模式図を示した。
図3は、フィルム状の誘電体ベルトからなる中間転写ベルト305を用いて転写を行う電子写真プロセスを利用したカラー画像形成装置(複写機またはレーザービームプリンター)の一例である。
この画像形成装置は、表面に静電潜像が形成され、この静電潜像上にトナーが付着されてトナー像が形成される第1の画像担持体である、繰り返し使用される電子写真感光体からなる、回転ドラム型の感光体ドラム301を有している。感光体ドラム301の周りには、感光体ドラム301の表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる1次帯電器302と、帯電された感光体ドラム301の表面に画像露光303を行って静電潜像を形成する、不図示の画像露光装置とが配置されている。また、形成された静電潜像上にトナーを付着させて現像する現像器として、ブラックトナー(B)を付着させる第1現像器304aと、イエロートナー(Y)を付着させる現像器とマゼンタトナー(M)を付着させる現像器とシアントナー(C)を付着させる現像器とを内蔵した回転型の第2の現像器304bとが配置されている。さらに、中間転写ベルト305にトナー像を転写した後、感光体ドラム301上をクリーニングする感光体クリーナー306、及び、感光体ドラム301の除電を行う除電露光307が設けられている。
中間転写ベルト305は、感光体ドラム301に当接ニップ部を介して駆動するように配置されており、内側には感光体ドラム301上に形成されたトナー像を中間転写ベルト305に転写するための一次転写ローラ308が配備されている。一次転写ローラ308には、感光体ドラム301上のトナー像を中間転写ベルト305に転写するための一次転写バイアスを印加するバイアス電源(不図示)が接続されている。中間転写ベルト305の周りには、中間転写ベルト305に転写されたトナー像を記録材313にさらに転写するための二次転写ローラ309が、中間転写ベルト305の下面部に接触するように設けられている。二次転写ローラ309には、中間転写ベルト305上のトナー像を記録材313に転写するための二次転写バイアスを印加するバイアス電源が接続されている。また、中間転写ベルト305上のトナー像を記録材313に転写した後、中間転写ベルト305の表面上に残留した転写残トナーをクリーニングするための中間転写ベルトクリーナー310が設けられている。
また、この画像形成装置は、画像が形成される複数の記録材313を保持する給紙カセット314と、記録材313を給紙カセット314から中間転写ベルト305と二次転写ローラ309との当接ニップ部を介して搬送する搬送機構とが設けられている。記録材313の搬送経路上には、記録材313上に転写されたトナー像を記録材313上に定着させる定着器315が配置されている。
一次帯電器302としては磁気ブラシ方式の帯電器やコロナ帯電器などが用いられる。画像露光装置としては、カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系などが用いられる。
以下、実施例、比較例により本発明ならびに本発明の効果をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の最良な実施形態の一例であるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用いて、直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表1に示す作製条件で、図1(a)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、第一の表面層、第二の表面層からなる正帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、層中の炭素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=71原子%であった。また、第二の表面層は、炭素を母体とした非単結晶層からなり、層中の炭素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=100原子%であった。
また、本実施例の第一の表面層と第二の表面層とを接続する領域に酸素原子および/またはフッ素原子の含有量が、表面層中の厚さ方向においてピークを形成するように、堆積膜形成中にOガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスのガス流量をそれぞれXppm、Yppm、Zppm(いずれもSiH流量に対して)に変化させた。具体的には、接続領域内で各々のガス流量を一定の割合で変化させることで、酸素原子のピーク、フッ素原子のピーク、酸素原子およびフッ素原子のピークをそれぞれ有するように作製した。ここで、各原子のピークの形状は、図4に示したような全て一定領域を持たない形状である。また、ピーク形成領域の膜厚Wは80nmとし、ピークの半値幅を表3に示す。
Figure 2006163219
このようにして作製した電子写真感光体について、SIMS(CAMECA社製、装置名:IMS−4F)により酸素原子および/またはフッ素原子の含有量のデプスプロファイルを測定した。測定条件は、一次イオンのエネルギーが14.5keVのCsを使用し、二次イオンとしてネガティブイオンを検出した。測定終了時に、スパッタクレータの深さを触針式段差計により実測し、得られたスパッタレートを用いて測定データの横軸を時間から深さに換算した。その結果、例えば、図4に示すデプスプロファイルのように、表面層の堆積膜形成途中にOガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスのガス流量を適宜選択することで、表面層の厚さ方向において、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量がピークを有するように作製可能であることが確認できた。
表3に示すように表面層形成途中に、Oガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスをSiHに対するガス流量X、Y、Z[ppm]を変化させて電子写真感光体を作製した。各々の電子写真感光体の評価結果を表3に示す。
また、各々の電子写真感光体について、SIMS(CAMECA社製、装置名:IMS−4F)によりデプスプロファイルを測定した結果から酸素原子及びフッ素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をそれぞれOmax、Fmax、表面層内に含有する酸素原子およびフッ素原子の最小含有量をそれぞれOmin、Fminとしたときの、最小含有量Omin、Fminに対する最大含有量Omax、Fmaxの比率Omax/Omin、Fmax/Fminを表3に示す。
(比較例1)
本比較例では、実施例1と同様に鏡面加工を施した直径84mmの円筒状アルミニウム基体上に、表2に示す作製条件で、図1(a)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、第一の表面層、第二の表面層からなる正帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、本比較例では表面層形成途中にO2ガス、CF4ガス、CF4−O2(30%)混合ガスのガスを導入せずに作製し、同じくSIMSにより表面層中の厚さ方向で酸素原子及びフッ素原子の含有量分布がピークを有しないことを確認した。
Figure 2006163219
実施例1および比較例1で作製した正帯電用電子写真感光体を、図3に概略構成を示すキヤノン製デジタルカラー電子写真装置iRC−6800に設置して、後述する評価項目について評価を行った。その評価結果を表3に示す。
(1)密着性の評価
作製した感光体を、一次帯電器として磁気ブラシ帯電器を採用した電子写真装置にセットし、A4用紙で300万枚の通紙耐久を行った。具体的には、キヤノン製iRC6800を改造した磁気ブラシ帯電器に交流電圧(1.2kVpp、1.0kHz)を印加し、更に+500Vの直流電圧を重畳させた。
耐久後、電子写真感光体を温度−30℃に調整された容器の中に48時間放置し、その後直ちに温度+150℃に調整された容器の中に48時間放置する。このサイクルを10サイクル繰り返したヒートショック試験の後電子写真感光体表面を観察した。更に、加速度7Gからなる10Hz〜10kHzの振動をスイープ時間2.2分で5サイクル繰り返した振動試験の後電子写真感光体表面を観察した。以下の基準で評価する。
◎ …ヒートショック試験後、更には振動試験後も膜剥がれが認められず極めて良好。
○ …ヒートショック試験後、膜剥がれは認められず、後振動試験後、非画像領域の端部に微小な膜剥がれが一部認められるが実用上問題なし。
△ …ヒートショック試験後、非画像領域の端部に微小な膜剥がれが一部認められるが実用上問題なし。
(2)帯電能
作製した電子写真感光体を電子写真装置に設置し、帯電器に+6kVの高電圧を印加してコロナ帯電を行ない、黒現像器位置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定した。
得られた結果は、比較例1での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
◎ …115%以上。非常に優れている。
○ …105%以上、115%未満。優れている。
△ …比較例1と同等。実用上問題なし。
(3)感度
作製した電子写真感光体にコロナ帯電を行ない、黒現像器位置の表面電位が+520V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光(波長655nmの半導体レーザー)を照射し、像露光光源の光量を調整して、表面電位が+100V(明電位)となるようにし、そのときの露光量を感度とした。
得られた結果は、比較例1での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
◎ …85%未満。非常に優れている。
○ …85%以上、95%未満。優れている。
△ …比較例1と同等。実用上問題なし。
(4)光メモリー
作製した電子写真感光体にコロナ帯電を行ない、黒現像器位置における暗部電位が+520Vになるように主帯電器の電流値を調整した後、所定の白紙を原稿とした際の明部電位が+100Vとなるよう像露光光量を調整する。この状態でキヤノン製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置き、その上にキヤノン製中間調チャートを重ねておいた際のコピー画像において、中間調コピー上に認められるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測定することにより行った。光メモリー測定は感光体母線方向全領域にわたって行い、その中の最大反射濃度差により評価した。従って、数値が小さいほど良好である。
得られた結果は、比較例1での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
◎ …85%未満。非常に優れている。
○ …85%以上、95%未満。優れている。
△ …比較例1と同等。実用上問題なし。
Figure 2006163219
表3の結果より、表面層中の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量が、表面層中にピークを有するように組成制御を行うことで、密着性が非常に良好であることが判った。更に、表面層中のピークに関して5≦Omax/Omin≦1800および/または5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすように酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布が厚さ方向においてピークを形成した実施例1−bから1−f、1−iから1−n、1−qから1−uにおいて、ピークを形成させない比較例1に対して、帯電能の向上、更には感度アップおよび光メモリーの低減を同時に、しかも顕著な効果を達成することができた。
(実施例2)
次に、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布のピーク形状について検討を行った。
図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用いて、直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表1に示す作製条件で、図1(a)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、第一の表面層、第二の表面層からなる正帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、本実施例では、表面層の堆積膜形成中に流したOガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスのガス流量Xppm、Yppm、Zppm(いずれもSiH流量に対して)について、(1)X=2000ppm、Y=0ppm、Z=0ppm、(2)X=0ppm、Y=3500ppm、Z=0ppm、(3)X=0ppm、Y=0ppm、Z=2500ppmに制御した。
具体的には、ピーク形成領域内で各々のガス流量を一定の割合で変化させることで、酸素原子のピーク、フッ素原子のピーク、酸素原子およびフッ素原子のピークを形成した。
また、本実施例のピークの形状においては、接続領域内で各々のガス流量を変化させることで、各原子の含有量分布を制御し、図6に示すようなピーク形状が一定領域を持つ場合と、図4に示したような一定領域を持たない場合を作製した。
ここでピークの半値幅は、ピーク近傍のデプスプロファイルにおいて酸素原子および/またはフッ素原子の含有量がピーク高さの1/2になる所のピーク幅である(図5参照)。
また、接続領域の膜厚Wは250nmとし、ピークの半値幅を表4に示す。
このようにして正帯電用電子写真感光体を同様に作製し、実施例1と同様に評価した結果を表4に示す。
Figure 2006163219
表4の結果より、ピーク形状比較から、酸素原子および/またはフッ素原子の含有量分布のピークが一定領域を持たない事で、密着性が良好で、さらに帯電能の向上、感度アップを同時に達成することができた。
(実施例3)
次に、酸素原子および/またはフッ素原子のピークの半値幅について検討を行った。
図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用いて、直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表1に示す作製条件で、図1(a)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、第一の表面層、第二の表面層からなる正帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、本実施例では、表面層の堆積膜形成中に流したO2ガス、CF4ガス、CF4−O2(30%)混合ガスのガス流量Xppm、Yppm、Zppm(いずれもSiH4流量に対して)について、(1)X=30ppm、Y=0ppm、Z=0ppm、(2)X=0ppm、Y=50ppm、Z=0ppm、(3)X=0ppm、Y=0ppm、Z=150ppmに制御した。具体的には、接続領域内では各々のガス流量を一定の割合で変化させることで、酸素原子のピーク、フッ素原子のピーク、酸素原子およびフッ素原子のピークをそれぞれ有するように形成した。ここで、各原子のピーク形状は、全て一定領域を持たない形状である。また、各々の接続領域の膜厚W[nm]のみを変化させて酸素原子および/またはフッ素原子のピークの半値幅を変化させて正帯電電子写真感光体を作製した。
このようにして作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に評価した結果を表5に示す。ここでピークの半値幅は、ピーク近傍のデプスプロファイルにおいて酸素原子および/またはフッ素原子の含有量がピーク高さの1/2になる所のピーク幅である(図5参照)。
Figure 2006163219
表5の結果より、表面層中において酸素原子および/またはフッ素原子の厚さ方向に対するピークの半値幅が10nm以上200nm以下になるように形成した実施例3−bから3−g、3−jから3−n、3−qから3−uにおいて、密着性が良好で、さらに帯電能の向上、感度アップおよび光メモリーの低減を同時に達成することができた。
(実施例4)
次に、負帯電用電子写真感光体について検討を行った。
図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用いて、直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表6に示す作製条件で、図1(b)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、周期表第13族元素が含有する領域からなる上部電荷注入阻止層、第一の表面層、第二の表面層からなる負帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、層中の炭素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=75原子%であった。また、第二の表面層は、炭素を母体とした非単結晶層からなり、層中の炭素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=100原子%であった。
なお、本実施例では、表面層中の酸素原子及び/またはフッ素原子の含有量が、表面層中の厚さ方向においてピークを有するように、表面層の堆積膜形成中にOガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスを各々Xppm、Yppm、Zppm(いずれもSiH流量に対して)に変化させた。具体的には、ピーク形成領域内で各々のガス流量を一定の割合で変化させることで、酸素原子のピーク、フッ素原子のピーク、酸素原子およびフッ素原子のピークをそれぞれ有するように作製した。ここで、各原子のピークの形状は、全て一定領域を持たない形状である。また、接続領域の膜厚Wは100nmとし、ピークの半値幅を表8に示す。
Figure 2006163219
表6のガス流量X、Y、Z[ppm]を変化させて作製した各々の電子写真感光体の評価結果を表8に示す。
各々の電子写真感光体について、SIMS(CAMECA社製、装置名:IMS−4F)によりデプスプロファイルを測定した結果から酸素原子及びフッ素原子のピークにおける最大含有量をそれぞれOmax、Fmax、表面層内に含有する酸素原子およびフッ素原子の最小含有量をそれぞれOmin、Fminとしたときの、最小含有量Omin、Fminに対する最大含有量Omax、Fmaxの比率Omax/Omin、Fmax/Fminを表8に示す。
(比較例2)
本比較例では、実施例4と同様に直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表7に示す作製条件で、図1(b)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、周期表第13族元素を含有する領域からなる上部電荷注入阻止層、第一の表面層、第二の表面層からなる負帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、本比較例では表面層膜形成途中にO2ガス、CF4ガス、CF4−O2(30%)混合ガスのガスを導入せずに作製し、同じくSIMSにより表面層中の厚さ方向で酸素原子及びフッ素原子の含有量がピークを有しないことを確認した。
Figure 2006163219
実施例4および比較例2で作製した負帯電用電子写真感光体を、図3に概略構成を示す負帯電システム評価用に改造したキヤノン製デジタルカラー電子写真装置iRC6800に設置して、実施例1と同様の評価項目について評価を行った。但し、評価の基準は比較例2とした。その評価結果を表8に示す。
(1)密着性の評価
実施例1の評価と異なる点として、−550Vの直流電圧を重畳させた。
(2)帯電能
実施例1の評価と異なる点として、帯電器に−6.3kVの高電圧を印加しコロナ帯電させた。
(3)感度
実施例1の評価と異なる点として、暗電位が−450V、明電位が−100Vに設定した。
(4)光メモリー
実施例1の評価と異なる点として、暗電位が−520V、明電位が−100Vに設定した。
Figure 2006163219
表8の結果より、周期表第13族元素が含有する領域を有した負帯電用電子写真感光体において、表面層中の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量が、表面層中にピークを有するように組成制御を行うことで、ピークを形成させない比較例2に対して、密着性が非常に良好で、更に帯電能の向上、感度アップおよび光メモリーの低減を同時に達成することが可能となる。
(実施例5)
次に、負帯電用電子写真感光体について層構成を変化させて検討を行った。
図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用いて、直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表9に示す作製条件で、図1(b)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、上部電荷注入阻止層、第一の表面層、第二の表面層からなる負帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、層中の窒素原子の平均濃度(原子%)は、N/(Si+N)=48原子%であった。また、第二の表面層は、炭素を母体とした非単結晶層からなり、層中の炭素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=100原子%であった。
また、本実施例では、表面層中の酸素原子及び/またはフッ素原子の含有量が、表面層中の厚さ方向においてピークを有するように、表面層の堆積膜形成中にOガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスを各々Xppm、Yppm、Zppm(いずれもSiH流量に対して)に変化させた。具体的には、ピーク形成領域内で各々のガス流量を一定の割合で変化させることで、酸素原子のピーク、フッ素原子のピーク、酸素原子およびフッ素原子のピークをそれぞれ有するように作製した。ここで、各原子のピークの形状は、全て一定領域を持たない形状である。また、接続領域の膜厚Wは60nmとし、ピークの半値幅を表10に示す。
Figure 2006163219
実施例5で作製した負帯電用電子写真感光体を、図3に概略構成を示す負帯電システム評価用に改造したキヤノン製デジタルカラー電子写真装置iRC6800に設置して、実施例4と同様の評価を行った。その評価結果を表10に示す。
Figure 2006163219
表10の結果より、第一の表面層がa−SiN:H系材料からなる負帯電用電子写真感光体において、表面層中の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量が、表面層中にピークを有するように組成制御を行うことで、ピークを形成させない比較例2に対して、密着性が非常に良好で、更に帯電能の向上、感度アップおよび光メモリーの低減を同時に達成することが可能となる。
(実施例6)
次に、負帯電用電子写真感光体について層構成を変化させて検討を行った。
図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製造装置を用いて、直径84mmの鏡面加工を施した円筒状アルミニウム基体上に、表9に示す作製条件で、図1(b)に概略構成を示す下部電荷注入阻止層、光導電層、上部電荷注入阻止層、第一の表面層、第二の表面層からなる負帯電用電子写真感光体を作製した。
なお、第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、層中の窒素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=69原子%であった。また、第二の表面層は、炭素を母体とした非単結晶層からなり、層中の炭素原子の平均濃度(原子%)は、C/(Si+C)=98原子%であった。
また、本実施例では、表面層中の酸素原子及び/またはフッ素原子の含有量が、表面層中の厚さ方向においてピークを有するように、表面層の堆積膜形成中にOガス、CFガス、CF−O(30%)混合ガスを各々Xppm、Yppm、Zppm(いずれもSiH流量に対して)に変化させた。具体的には、接続領域内で各々のガス流量を一定の割合で変化させることで、酸素原子のピーク、フッ素原子のピーク、酸素原子およびフッ素原子のピークをそれぞれ有するように作製した。ここで、各原子のピークの形状は、全て一定領域を持たない形状である。また、接続領域の膜厚Wは80nmとし、ピークの半値幅を表12に示す。
Figure 2006163219
実施例6で作製した負帯電用電子写真感光体を、図3に概略構成を示す負帯電システム評価用に改造したキヤノン製デジタルカラー電子写真装置iRC6800に設置して、実施例5と同様の評価を行った。その評価結果を表12に示す。
Figure 2006163219
表12の結果より、第二の表面層がシリコン原子を微量含有したa−SiC:H系材料からなる負帯電用電子写真感光体において、表面層中の酸素原子および/またはフッ素原子の含有量が、表面層中にピークを有するように組成制御を行うことで、ピークを形成させない比較例2に対して、密着性が非常に良好で、更に帯電能の向上、感度アップおよび光メモリーの低減を同時に達成することが可能となる。
(a)、(b)は本発明の電子写真感光体の層構成を説明するための模式的断面図 本発明の電子写真感光体の製造装置の一例を示す模式的説明図 本発明の電子写真感光体を設置するデジタルカラー電子写真装置の一例を示す模式的説明図 本発明における表面層中の酸素原子及びフッ素原子含有量のピークを説明するデプスプロファイルの一例を示す図 本発明における表面層中のピークの半値幅を説明する一例を示す図 本発明における表面層中の酸素原子あるいはフッ素原子含有量のピーク形状が一定領域を持つことを説明するデプスプロファイルの一例を示す図
符号の説明
100 電子写真感光体
101 基体
102 光受容層
103 表面層
104 下部電荷注入阻止層
105 光導電層
106 第一の表面層
107 第二の表面層
108 第一の表面層と第二の表面とを接続する領域
109 上部電荷注入阻止層
2100 堆積装置
2111 反応容器
2112 円筒状基体
2113 基体加熱用ヒーター
2114 原料ガス導入管
2115 高周波マッチングボックス
2116 原料ガス配管
2117 反応容器リークバルブ
2118 メイン排気バルブ
2119 真空計
2200 原料ガス供給装置
2211〜2216 マスフローコントローラー
2221〜2226 原料ガスのボンベ
2231〜2236 原料ガスボンベバルブ
2241〜2246 ガス流入バルブ
2251〜2256 ガス流出バルブ
2260 補助バルブ
2261〜2266 圧力調整器
301 感光体
302 一次帯電器
303 画像露光
304a 第1現像器
304b 第2現像器
305 中間転写ベルト
306 感光体クリーナー
307 除電露光
308 一次転写ローラ
309 二次転写ローラ
310 中間転写ベルトクリーナー
313 記録材
314 給紙カセット
315 定着器

Claims (30)

  1. 導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、該光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有する電子写真感光体において、前記表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、該表面層層の少なくとも一部に酸素原子を含み、該表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対する酸素原子の含有量分布が、前記第一の表面層と前記第二の表面層とを接続する領域にピークを有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記酸素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をOmax、前記第一の表面層または第二の表面層に含有する酸素原子の最小含有量をOminとしたときに、最小含有量Ominに対する最大含有量Omaxの比率が、5≦Omax/Omin≦1800の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記酸素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記表面層層の酸素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅が10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記第一の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
  8. 前記第一の表面層における窒素原子の平均濃度(原子%)が、30原子%≦N/(Si+N)<70原子%を満たすことを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体。
  9. 前記第二の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記光導電層上に周期表第13族元素を含有した層を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成される光導電層と、該光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有する電子写真感光体において、前記表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、該表面層の少なくとも一部にフッ素原子を含み、該表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対するフッ素原子の含有量分布が、前記第一の表面層と前記第二の表面層とを接続する領域にピークを有することを特徴とする電子写真感光体。
  12. 前記フッ素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をFmax、前記第一の表面層または第二の表面層に含有するフッ素原子の最小含有量をFminとしたときに、最小含有量Fminに対する最大含有量Fmaxの比率が、5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすことを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記フッ素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たないことを特徴とする請求項11又は12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記表面層のフッ素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅が10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  15. 前記第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  16. 前記第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  17. 前記第一の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体。
  18. 前記第一の表面層における窒素原子の平均濃度(原子%)が、30原子%≦N/(Si+N)<70原子%を満たすことを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
  19. 前記第二の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  20. 前記光導電層上に周期表第13族元素を含有した層を有することを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  21. 導電性基体上に、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶材料で構成された光導電層と、該光導電層上に積層した非単結晶材料で構成された表面層を有した電子写真感光体において、前記表面層は第一の表面層と第二の表面層を有しており、該表面層の少なくとも一部に酸素原子及びフッ素原子を含み、該表面層の厚さ方向において構成原子の総量に対する酸素原子及びフッ素原子の含有量分布が、前記第一の表面層と前記第二の表面層とを接続する領域にピークを有することを特徴とする電子写真感光体。
  22. 前記酸素原子及びフッ素原子の含有量分布のピークにおける最大含有量をOmax、Fmax、前記第一の表面層または第二の表面層に含有する酸素原子およびフッ素原子の最小含有量をOmin、Fminとしたときに、最小含有量Omin、Fminに対する最大含有量Omax、Fmaxの比率が、5≦Omax/Omin≦1800、5≦Fmax/Fmin≦1800の関係を満たすことを特徴とする請求項21に記載の電子写真感光体。
  23. 前記酸素原子およびフッ素原子の含有量分布のピークは、一定領域を持たないことを特徴とする請求項21又は22に記載の電子写真感光体。
  24. 前記表面層の酸素原子およびフッ素原子の含有量分布のピークにおいて、ピークの半値幅が10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項21乃至23のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  25. 前記第一の表面層は、シリコン原子と炭素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする請求項21乃至24のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  26. 前記第一の表面層は、シリコン原子と窒素原子を母体とした非単結晶層からなり、前記第二の表面層は、炭素原子を母体とした非単結晶層からなることを特徴とする請求項21乃至25のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  27. 前記第一の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、50原子%≦C/(Si+C)<90原子%を満たすことを特徴とする請求項25に記載の電子写真感光体。
  28. 前記第一の表面層における窒素原子の平均濃度(原子%)が、30原子%≦N/(Si+N)<70原子%を満たすことを特徴とする請求項26に記載の電子写真感光体。
  29. 前記第二の表面層における炭素原子の平均濃度(原子%)が、90原子%≦C/(Si+C)≦100原子%を満たすことを特徴とする請求項21乃至28のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  30. 前記光導電層上に周期表第13族元素を含有した層を有することを特徴とする請求項21乃至29のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009036932A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Kyocera Corp 電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置
WO2009028448A1 (ja) * 2007-08-29 2009-03-05 Kyocera Corporation 電子写真感光体および該電子写真感光体を備える画像形成装置

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