JPH10288852A - 電子写真感光体 - Google Patents
電子写真感光体Info
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- JPH10288852A JPH10288852A JP9113538A JP11353897A JPH10288852A JP H10288852 A JPH10288852 A JP H10288852A JP 9113538 A JP9113538 A JP 9113538A JP 11353897 A JP11353897 A JP 11353897A JP H10288852 A JPH10288852 A JP H10288852A
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- G03G5/14—Inert intermediate or cover layers for charge-receiving layers
- G03G5/147—Cover layers
- G03G5/14708—Cover layers comprising organic material
- G03G5/14713—Macromolecular material
- G03G5/14747—Macromolecular material obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
- G03G5/14773—Polycondensates comprising silicon atoms in the main chain
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- G03G5/02—Charge-receiving layers
- G03G5/04—Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
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- G03G5/0433—Photoconductive layers characterised by having two or more layers or characterised by their composite structure all layers being inorganic
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- G03G5/082—Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic and not being incorporated in a bonding material, e.g. vacuum deposited
- G03G5/08285—Carbon-based
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、高精細で高品質な画像が得られ、耐
久性の優れた電子写真感光体を提供すること、および、
感度が高く、リークによる画像欠陥が起こらず、ゴース
ト等の無い高品位な画像が経時的に変化することなく安
定的に得られる電子写真感光体を提供することを目的と
している。 【解決手段】本発明は、導電性基体上にシリコン原子を
母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有し、
該光導電層上に表面層が形成された電子写真感光体であ
って、該表面層がトナーの離型性と滑り性とを共に向上
させるために、スピン密度が小さく、且つスピン緩和時
間のを短くしてなる、少なくとも水素を含む非単結晶炭
素膜で形成されていることを特徴とするものである。
久性の優れた電子写真感光体を提供すること、および、
感度が高く、リークによる画像欠陥が起こらず、ゴース
ト等の無い高品位な画像が経時的に変化することなく安
定的に得られる電子写真感光体を提供することを目的と
している。 【解決手段】本発明は、導電性基体上にシリコン原子を
母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有し、
該光導電層上に表面層が形成された電子写真感光体であ
って、該表面層がトナーの離型性と滑り性とを共に向上
させるために、スピン密度が小さく、且つスピン緩和時
間のを短くしてなる、少なくとも水素を含む非単結晶炭
素膜で形成されていることを特徴とするものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関
し、詳しくは、電子写真プロセスにおいて、如何なる環
境下においても高精細な画像が得られ、トナーの離型性
が高いために高速プロセスに用いた際にも融着が発生せ
ず、かつその特性を維持するに足る高耐久性を有し、感
度が高く、高品位な画像が安定して得られる電子写真感
光体に関する。
し、詳しくは、電子写真プロセスにおいて、如何なる環
境下においても高精細な画像が得られ、トナーの離型性
が高いために高速プロセスに用いた際にも融着が発生せ
ず、かつその特性を維持するに足る高耐久性を有し、感
度が高く、高品位な画像が安定して得られる電子写真感
光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体に用いる素子部材の技術
としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、フタ
ロシアニン、アモルファスシリコン(以下a−Siと記
す)等、各種の材料が提案されている。中でもa−Si
に代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶質堆
積膜、例えば水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、
塩素等)で補償されたa−Si等のアモルファス堆積膜
は高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、そ
の幾つかは実用化されている。特開昭54−86341
号公報には、光導電層を主としてa−Siで形成した電
子写真感光体の技術が開示されている。a−Si感光体
は表面硬度が高く、半導体レーザー(770nm〜80
0nm)等の長波長光に高い感度を示し、しかも繰り返
し使用による劣化もほとんど認められない等、特に高速
複写機やLBP(レーザービームプリンター)等の電子
写真用感光体として広く使用されている。こうした堆積
膜の形成法として従来、スパッタリング法、熱CVD
法、光CVD法、プラズマCVD法等、多数知られてい
る。中でもプラズマCVD法、即ち原料ガスを直流又は
高周波(RF,VHF)、或はマイクロ波によってグロ
ー放電を生じさせて分解し、ガラス、石英、耐熱性合成
樹脂フィルム、ステンレス、アルミニュウム等の基体上
に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用アモル
ファスシリコン堆積膜の形成方法等において現在、実用
化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案され
ている。
としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、フタ
ロシアニン、アモルファスシリコン(以下a−Siと記
す)等、各種の材料が提案されている。中でもa−Si
に代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶質堆
積膜、例えば水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、
塩素等)で補償されたa−Si等のアモルファス堆積膜
は高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、そ
の幾つかは実用化されている。特開昭54−86341
号公報には、光導電層を主としてa−Siで形成した電
子写真感光体の技術が開示されている。a−Si感光体
は表面硬度が高く、半導体レーザー(770nm〜80
0nm)等の長波長光に高い感度を示し、しかも繰り返
し使用による劣化もほとんど認められない等、特に高速
複写機やLBP(レーザービームプリンター)等の電子
写真用感光体として広く使用されている。こうした堆積
膜の形成法として従来、スパッタリング法、熱CVD
法、光CVD法、プラズマCVD法等、多数知られてい
る。中でもプラズマCVD法、即ち原料ガスを直流又は
高周波(RF,VHF)、或はマイクロ波によってグロ
ー放電を生じさせて分解し、ガラス、石英、耐熱性合成
樹脂フィルム、ステンレス、アルミニュウム等の基体上
に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用アモル
ファスシリコン堆積膜の形成方法等において現在、実用
化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案され
ている。
【0003】更に、近年では膜質及び処理能力の向上に
対する要望が強くなっており様々な工夫も検討されてい
る。特に、高周波電力を用いたプラズマプロセスは、放
電の安定性が高く酸化膜や窒化膜等の絶縁性材料の形成
にも使用できる等様々な利点により使用されている。近
年、平行平板型のプラズマCVD装置を用いて50MH
z以上の高周波電源を用いたプラズマCVD法の報告が
あり(Plasma Chemistry and P
lasma Processing,Vol.7,No
3(1987)p267−273)、放電周波数を従来
の13.56MHzより高くすることで堆積膜の性能を
落とさずに堆積速度を向上させる事ができる可能性が示
されており、注目されている。又、この放電周波数を高
くする報告はスパッタリング等でもなされ、近年広くそ
の検討がされている。
対する要望が強くなっており様々な工夫も検討されてい
る。特に、高周波電力を用いたプラズマプロセスは、放
電の安定性が高く酸化膜や窒化膜等の絶縁性材料の形成
にも使用できる等様々な利点により使用されている。近
年、平行平板型のプラズマCVD装置を用いて50MH
z以上の高周波電源を用いたプラズマCVD法の報告が
あり(Plasma Chemistry and P
lasma Processing,Vol.7,No
3(1987)p267−273)、放電周波数を従来
の13.56MHzより高くすることで堆積膜の性能を
落とさずに堆積速度を向上させる事ができる可能性が示
されており、注目されている。又、この放電周波数を高
くする報告はスパッタリング等でもなされ、近年広くそ
の検討がされている。
【0004】近年では、複写画像に対する要求の高まり
から、さらに高画質を安定して供給する技術が切望され
ている。複写機に対して更に高精細化、高速化、ディジ
タル化、小型化、低コスト化など、様々な要求が高まる
中で、高精細化に関してはトナーの小粒径化が進めら
れ、コールターカウンター等による重量平均粒径が0.
005〜0.008mmであるものが多く使われるよう
になってきた。高速化に当たって、これらの小粒径トナ
ーの定着性を向上させる必要があるが、相反する性質で
ある感光体への融着に対しては不利である。また粒径が
小さいと言うこと自体も、融着に対しては不利な方向に
向かう。即ち、粒径の小さいトナーをクリーニングする
際には、トナーのすり抜けを防止するためにブレードの
押し当て圧を変える等の必要があるが、高速プロセスと
あいまって摩擦力が大きく増大するため、融着の発生し
やすい状況になっているといえる。
から、さらに高画質を安定して供給する技術が切望され
ている。複写機に対して更に高精細化、高速化、ディジ
タル化、小型化、低コスト化など、様々な要求が高まる
中で、高精細化に関してはトナーの小粒径化が進めら
れ、コールターカウンター等による重量平均粒径が0.
005〜0.008mmであるものが多く使われるよう
になってきた。高速化に当たって、これらの小粒径トナ
ーの定着性を向上させる必要があるが、相反する性質で
ある感光体への融着に対しては不利である。また粒径が
小さいと言うこと自体も、融着に対しては不利な方向に
向かう。即ち、粒径の小さいトナーをクリーニングする
際には、トナーのすり抜けを防止するためにブレードの
押し当て圧を変える等の必要があるが、高速プロセスと
あいまって摩擦力が大きく増大するため、融着の発生し
やすい状況になっているといえる。
【0005】トナーがドラム表面に融着すると、融着部
分では像露光が透過しないために潜像が形成されず、画
像上に微小な黒点となって現れる。また、一旦融着が発
生すると、初期には複写画像に現れなくても、複写操作
を重ねるうちに回転方向に融着が成長し、線状の画像欠
陥が生じてくる。成長した融着を除去するためにはアル
ミナ粉等で研磨するしかないが、事実上交換することに
なりランニングコストを大きく引き上げる結果となる。
このため、トナー融着の発生、成長を防止することが必
須条件となる。これらの問題に対する公知技術として
は、以下のものが挙げられる。まず表面をより削れにく
くする方法として、a−C又はDLCと呼ばれる非晶質
炭素を表面層とする方法が知られており、例えば特開昭
57−114146号公報を始め多くの開示が為されて
いる。また、表面層の改質方法の1つとして、表面のス
ピン密度を変化させる方法があるが、例えば特開昭60
−28660号公報、特開昭61−160754号公報
等の開示例がある。
分では像露光が透過しないために潜像が形成されず、画
像上に微小な黒点となって現れる。また、一旦融着が発
生すると、初期には複写画像に現れなくても、複写操作
を重ねるうちに回転方向に融着が成長し、線状の画像欠
陥が生じてくる。成長した融着を除去するためにはアル
ミナ粉等で研磨するしかないが、事実上交換することに
なりランニングコストを大きく引き上げる結果となる。
このため、トナー融着の発生、成長を防止することが必
須条件となる。これらの問題に対する公知技術として
は、以下のものが挙げられる。まず表面をより削れにく
くする方法として、a−C又はDLCと呼ばれる非晶質
炭素を表面層とする方法が知られており、例えば特開昭
57−114146号公報を始め多くの開示が為されて
いる。また、表面層の改質方法の1つとして、表面のス
ピン密度を変化させる方法があるが、例えば特開昭60
−28660号公報、特開昭61−160754号公報
等の開示例がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のものにおけるいずれの開示例においても、表面
層におけるトナーの離型性、あるいは滑り性に関しては
注目されていなかった。すなわち、トナー融着を発生さ
せないためには、感光体にトナーを付着させにくくする
ために表面を改質したり、付着してしまったトナーを削
りとる能力を高めるためにブレードの硬度を高める等の
対策が考えられる。しかし、プロセススピードが上昇す
るにつれて摩擦力が増大し研磨力が高まるため、材料を
慎重に選ばない限り、表面を改質して効果を高めても削
れてしまうという可能性が生じる。また、ブレードの硬
度化を進める場合、特性としてはゴム的状態からガラス
的状態に近づく為、材質としては脆くなりブレードの欠
け等が生じてクリーニング不良を起こす可能性が出てき
た。そのため小粒径トナーを用いた高速プロセスのよう
に、ドラム表面に過酷な条件においても高硬度で削れ
ず、且つトナーの融着を引き起こさない改質された表面
層を持ち、且つその機能が長期間、大量枚数の複写操作
によっても劣化しない感光体が望まれることとなった。
また、複写機に対して様々な要求が高まる中で、電子写
真感光体には感光体の高感度化、高画質化、薄膜化が要
求される。その場合、感光体表面を保護する表面層に対
しては、低損失、薄膜化が要求される。そのため、更に
広いバンドギャップを持ち、耐圧が高く薄膜化が可能な
表面層材料が望まれることとなった。
た従来のものにおけるいずれの開示例においても、表面
層におけるトナーの離型性、あるいは滑り性に関しては
注目されていなかった。すなわち、トナー融着を発生さ
せないためには、感光体にトナーを付着させにくくする
ために表面を改質したり、付着してしまったトナーを削
りとる能力を高めるためにブレードの硬度を高める等の
対策が考えられる。しかし、プロセススピードが上昇す
るにつれて摩擦力が増大し研磨力が高まるため、材料を
慎重に選ばない限り、表面を改質して効果を高めても削
れてしまうという可能性が生じる。また、ブレードの硬
度化を進める場合、特性としてはゴム的状態からガラス
的状態に近づく為、材質としては脆くなりブレードの欠
け等が生じてクリーニング不良を起こす可能性が出てき
た。そのため小粒径トナーを用いた高速プロセスのよう
に、ドラム表面に過酷な条件においても高硬度で削れ
ず、且つトナーの融着を引き起こさない改質された表面
層を持ち、且つその機能が長期間、大量枚数の複写操作
によっても劣化しない感光体が望まれることとなった。
また、複写機に対して様々な要求が高まる中で、電子写
真感光体には感光体の高感度化、高画質化、薄膜化が要
求される。その場合、感光体表面を保護する表面層に対
しては、低損失、薄膜化が要求される。そのため、更に
広いバンドギャップを持ち、耐圧が高く薄膜化が可能な
表面層材料が望まれることとなった。
【0007】そこで、本発明は、上記した課題を解決
し、表面層の離型性と滑り性とを共に向上させること
で、いかなる環境下においてもドラム表面にトナーの融
着を引き起こすことがなく、高精細で高品質な画像が得
られ、耐久性の優れた電子写真感光体を提供することを
目的としている。また、本発明は、感度が高く、リーク
による画像欠陥が起こらず、ゴースト等の無い高品位な
画像が経時的に変化することなく安定的に得られる電子
写真感光体を提供することを目的としている。
し、表面層の離型性と滑り性とを共に向上させること
で、いかなる環境下においてもドラム表面にトナーの融
着を引き起こすことがなく、高精細で高品質な画像が得
られ、耐久性の優れた電子写真感光体を提供することを
目的としている。また、本発明は、感度が高く、リーク
による画像欠陥が起こらず、ゴースト等の無い高品位な
画像が経時的に変化することなく安定的に得られる電子
写真感光体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、電子写真感光体をつぎのように構成したこ
とを特徴とするものである。すなわち、本発明の電子写
真感光体は、導電性基体上にシリコン原子を母体とする
非単結晶材料で構成された光導電層を有し、該光導電層
上に表面層が形成された電子写真感光体であって、該表
面層がトナーの離型性と滑り性とを共に向上させるため
に、スピン密度の小さい、且つスピン緩和時間の短い、
少なくとも水素を含む非単結晶炭素膜で形成されている
ことを特徴としている。また、本発明の電子写真感光体
は、前記非単結晶炭素膜のスピン密度が1×1020sp
ins/cm3以下であり、且つスピン緩和時間が10
-2sec以下であることを特徴としている。また、本発
明の電子写真感光体は、 前記非単結晶炭素膜が、少な
くともフッ素原子を含む原料ガスによって形成され、フ
ッ素原子を膜中に含有していることを特徴としている。
また、本発明の電子写真感光体は、前記非単結晶炭素膜
が、少なくともフッ素原子を含む原料ガスを分解したプ
ラズマ中でエッチングすることによって、表面付近にフ
ッ素−炭素結合を有していることを特徴としている。ま
た、本発明の電子写真感光体は、前記フッ素原子を含む
原料ガスが、CF4ガスであることを特徴としている。
また、本発明の電子写真感光体は、前記表面層が、1〜
450MHzの高周波を用いたプラズマCVD法によっ
て、原料ガスを分解することにより形成されていること
を特徴としている。また、本発明の電子写真感光体は、
前記表面層が、50〜450MHzの高周波を用いたプ
ラズマCVD法によって、原料ガスを分解することによ
り形成されていることを特徴としている。また、本発明
の電子写真感光体は、前記光導電層と前記表面層との間
に両者の中間の組成をもつバッファ層を有していること
を特徴としている。
決するため、電子写真感光体をつぎのように構成したこ
とを特徴とするものである。すなわち、本発明の電子写
真感光体は、導電性基体上にシリコン原子を母体とする
非単結晶材料で構成された光導電層を有し、該光導電層
上に表面層が形成された電子写真感光体であって、該表
面層がトナーの離型性と滑り性とを共に向上させるため
に、スピン密度の小さい、且つスピン緩和時間の短い、
少なくとも水素を含む非単結晶炭素膜で形成されている
ことを特徴としている。また、本発明の電子写真感光体
は、前記非単結晶炭素膜のスピン密度が1×1020sp
ins/cm3以下であり、且つスピン緩和時間が10
-2sec以下であることを特徴としている。また、本発
明の電子写真感光体は、 前記非単結晶炭素膜が、少な
くともフッ素原子を含む原料ガスによって形成され、フ
ッ素原子を膜中に含有していることを特徴としている。
また、本発明の電子写真感光体は、前記非単結晶炭素膜
が、少なくともフッ素原子を含む原料ガスを分解したプ
ラズマ中でエッチングすることによって、表面付近にフ
ッ素−炭素結合を有していることを特徴としている。ま
た、本発明の電子写真感光体は、前記フッ素原子を含む
原料ガスが、CF4ガスであることを特徴としている。
また、本発明の電子写真感光体は、前記表面層が、1〜
450MHzの高周波を用いたプラズマCVD法によっ
て、原料ガスを分解することにより形成されていること
を特徴としている。また、本発明の電子写真感光体は、
前記表面層が、50〜450MHzの高周波を用いたプ
ラズマCVD法によって、原料ガスを分解することによ
り形成されていることを特徴としている。また、本発明
の電子写真感光体は、前記光導電層と前記表面層との間
に両者の中間の組成をもつバッファ層を有していること
を特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の上記構成は、本発明者ら
の、以下の検討からなし得たものである。すなわち、本
発明者らは、従来表面層材料に比べてさらに高耐久性を
有すると考えられる非単結晶炭素膜を数種類作成し、鋭
意検討した(ここで非単結晶炭素膜とは、グラファイト
やダイヤモンドではない、主にその中間の結合状態であ
る非晶質炭素のことを指しており、多結晶や微結晶と共
存していても良い)。しかし表面層の高硬度にしただけ
では融着の発生頻度に変化はなく、ブレードの硬度化や
押し当て圧の上昇等を行い、一旦融着が発生してもそれ
を削り取る方向で改善を目指したが、今度はブレードの
傷みが激しくなり、クリーニング不良が頻発してしまう
ことがわかった。即ち表面層の高硬度化だけでは、融着
防止において限界があることが明白となった。次に表面
の離型性を向上させる方向で鋭意検討を行ったところ、
表面のスピン密度とトナーの離型性との間に相関がある
ことを偶然発見した。そこで高硬度でほとんど削れない
非単結晶炭素膜を用い、スピン密度の小さい膜の検討を
重ねたところ、離型性、滑り性ともに従来の表面層材料
よりも向上していることが分かったが、この2つを兼ね
備えた場合でも、長期の複写操作後にはそれらの特性が
維持出来ない場合が多く、維持出来る膜が得られるのは
極稀である事が分かった。
の、以下の検討からなし得たものである。すなわち、本
発明者らは、従来表面層材料に比べてさらに高耐久性を
有すると考えられる非単結晶炭素膜を数種類作成し、鋭
意検討した(ここで非単結晶炭素膜とは、グラファイト
やダイヤモンドではない、主にその中間の結合状態であ
る非晶質炭素のことを指しており、多結晶や微結晶と共
存していても良い)。しかし表面層の高硬度にしただけ
では融着の発生頻度に変化はなく、ブレードの硬度化や
押し当て圧の上昇等を行い、一旦融着が発生してもそれ
を削り取る方向で改善を目指したが、今度はブレードの
傷みが激しくなり、クリーニング不良が頻発してしまう
ことがわかった。即ち表面層の高硬度化だけでは、融着
防止において限界があることが明白となった。次に表面
の離型性を向上させる方向で鋭意検討を行ったところ、
表面のスピン密度とトナーの離型性との間に相関がある
ことを偶然発見した。そこで高硬度でほとんど削れない
非単結晶炭素膜を用い、スピン密度の小さい膜の検討を
重ねたところ、離型性、滑り性ともに従来の表面層材料
よりも向上していることが分かったが、この2つを兼ね
備えた場合でも、長期の複写操作後にはそれらの特性が
維持出来ない場合が多く、維持出来る膜が得られるのは
極稀である事が分かった。
【0010】その後更に検討を重ねるうち、本発明者ら
は、非単結晶炭素と低スピン密度とを組み合わせただけ
では有効とは言えず、膜のスピン密度がある特定の値よ
りも小さい範囲で、且つスピン緩和時間がある特定の値
より短い非単結晶炭素膜でのみ、離型性、滑り性が向上
し、且つその表面層の特性が長期の複写操作によっても
劣化せず、融着が発生しにくいことを見出した。即ち、
表面層材料として従来材料よりも高硬度な非単結晶炭素
膜を用い、その膜のスピン密度が1×1020spins
/cm3以下であるという条件に加え、スピン緩和時間
が10-2sec以下であるような膜を作成したときに初
めて、離型性、滑り性がともに向上し、かつその特性を
維持する事が出来、融着を発生しにくくせしめることが
可能となったのである。
は、非単結晶炭素と低スピン密度とを組み合わせただけ
では有効とは言えず、膜のスピン密度がある特定の値よ
りも小さい範囲で、且つスピン緩和時間がある特定の値
より短い非単結晶炭素膜でのみ、離型性、滑り性が向上
し、且つその表面層の特性が長期の複写操作によっても
劣化せず、融着が発生しにくいことを見出した。即ち、
表面層材料として従来材料よりも高硬度な非単結晶炭素
膜を用い、その膜のスピン密度が1×1020spins
/cm3以下であるという条件に加え、スピン緩和時間
が10-2sec以下であるような膜を作成したときに初
めて、離型性、滑り性がともに向上し、かつその特性を
維持する事が出来、融着を発生しにくくせしめることが
可能となったのである。
【0011】本発明の範囲内で非単結晶炭素膜を作成し
た場合、融着を防止でき、その特性が維持出来た理由と
しては、まだ明らかではないが、おおよそ次の様に考え
ている。特定の条件下で作成した非単結晶炭素膜によ
り、従来表面層材料に比べ初期特性は若干ながら改善で
きた。非単結晶炭素は、適当な条件下で作成すると表面
を水素で終端し、表面エネルギーが低く物質が付着しに
くい、即ち離型性が向上すると考えられる。また、成膜
条件を最適化するか、適当な処理を施すことにより、原
子レベルで滑らかなものが作成できることが原子間力顕
微鏡による観察から分かっている。この事が滑り性をよ
くしている原因と考えている。しかし、表面にダングリ
ングボンドが多数存在する場合、それらは吸着中心とな
り、様々なものが吸着する結果表面エネルギーが増大
し、離型性が損なわれる。同時に色々なものが付着する
ことによって滑り性も悪化してくると思われる。このよ
うな状況でドラム周辺部材と摩擦を繰り返した場合、表
面原子の脱落が起こりはじめ、それによりダングリング
ボンドが常に生成される。このような悪循環の中で、特
定サイトにトナー融着が発生し、一旦融着が起こるとそ
こを中心に成長が起こり、画像に顕在化すると考えられ
る。
た場合、融着を防止でき、その特性が維持出来た理由と
しては、まだ明らかではないが、おおよそ次の様に考え
ている。特定の条件下で作成した非単結晶炭素膜によ
り、従来表面層材料に比べ初期特性は若干ながら改善で
きた。非単結晶炭素は、適当な条件下で作成すると表面
を水素で終端し、表面エネルギーが低く物質が付着しに
くい、即ち離型性が向上すると考えられる。また、成膜
条件を最適化するか、適当な処理を施すことにより、原
子レベルで滑らかなものが作成できることが原子間力顕
微鏡による観察から分かっている。この事が滑り性をよ
くしている原因と考えている。しかし、表面にダングリ
ングボンドが多数存在する場合、それらは吸着中心とな
り、様々なものが吸着する結果表面エネルギーが増大
し、離型性が損なわれる。同時に色々なものが付着する
ことによって滑り性も悪化してくると思われる。このよ
うな状況でドラム周辺部材と摩擦を繰り返した場合、表
面原子の脱落が起こりはじめ、それによりダングリング
ボンドが常に生成される。このような悪循環の中で、特
定サイトにトナー融着が発生し、一旦融着が起こるとそ
こを中心に成長が起こり、画像に顕在化すると考えられ
る。
【0012】非単結晶炭素膜は、従来のa−Siやa−
SiC等に比べてスピン密度を抑える事が難しいが、特
定の条件下では非単結晶炭素膜としては比較的低スピン
密度、即ち1×1020cm-3以下程度の膜を得ることが
出来る。この事により初期の離型性を更に向上させるこ
とが出来たが、長期使用するとやはりダングリングボン
ド生成の悪循環を生じてしまうことが分かった。この事
から、表面に初期に存在するダングリングボンドの数を
減少させるか、若しくは表面を終端している水素等の元
素との結合を強固にしてダングリングボンドの生成を抑
制することのいずれかが必要であると考えられた。初期
のダングリングボンドを減少させるには限界があった
が、終端元素との結合強化に関しては検討の余地があっ
た。終端元素との結合力を強化しようとした場合、終端
元素が結合している炭素の周囲とのボンドに歪みが少な
いことが条件として考えられる。結合炭素が周囲と歪ん
だ結合をしている場合、結合電子の偏りが生じて終端元
素との結合が弱くなると考えられる。ESRによって観
測される波形にはボンドの歪みによる結合電子の揺らぎ
が観察されると考えられるが、スピン緩和時間はボンド
が安定しているほど短かくなると考えられ、スピン緩和
時間が短い方が結合の歪みが少ない、つまり強固な結合
をしていると考えられる。このようにスピン緩和時間の
短い表面を持つように表面層を作成できれば、終端原子
の脱落がなく、ダングリングボンド生成の悪循環が起こ
らないと考えられる。以上を総合すると、非単結晶炭素
を用いたことと、スピン密度を1020cm-3以下に抑え
たことから、初期における離型性と滑り性が従来に比べ
大ぎく改善できたこと、加えてスピン緩和時間を10-2
sec以下に抑えることによってその特性を維持できる
ようになったことにより、高速プロセスにおいて長期使
用しても融着が発生しない電子写真感光体が得られたと
考えている。
SiC等に比べてスピン密度を抑える事が難しいが、特
定の条件下では非単結晶炭素膜としては比較的低スピン
密度、即ち1×1020cm-3以下程度の膜を得ることが
出来る。この事により初期の離型性を更に向上させるこ
とが出来たが、長期使用するとやはりダングリングボン
ド生成の悪循環を生じてしまうことが分かった。この事
から、表面に初期に存在するダングリングボンドの数を
減少させるか、若しくは表面を終端している水素等の元
素との結合を強固にしてダングリングボンドの生成を抑
制することのいずれかが必要であると考えられた。初期
のダングリングボンドを減少させるには限界があった
が、終端元素との結合強化に関しては検討の余地があっ
た。終端元素との結合力を強化しようとした場合、終端
元素が結合している炭素の周囲とのボンドに歪みが少な
いことが条件として考えられる。結合炭素が周囲と歪ん
だ結合をしている場合、結合電子の偏りが生じて終端元
素との結合が弱くなると考えられる。ESRによって観
測される波形にはボンドの歪みによる結合電子の揺らぎ
が観察されると考えられるが、スピン緩和時間はボンド
が安定しているほど短かくなると考えられ、スピン緩和
時間が短い方が結合の歪みが少ない、つまり強固な結合
をしていると考えられる。このようにスピン緩和時間の
短い表面を持つように表面層を作成できれば、終端原子
の脱落がなく、ダングリングボンド生成の悪循環が起こ
らないと考えられる。以上を総合すると、非単結晶炭素
を用いたことと、スピン密度を1020cm-3以下に抑え
たことから、初期における離型性と滑り性が従来に比べ
大ぎく改善できたこと、加えてスピン緩和時間を10-2
sec以下に抑えることによってその特性を維持できる
ようになったことにより、高速プロセスにおいて長期使
用しても融着が発生しない電子写真感光体が得られたと
考えている。
【0013】また、非単結晶炭素膜の表面の終端元素を
フッ素とした場合、表面エネルギーが更に低下し離型性
や滑り性が向上する。結合力の強化によって更に脱落が
抑制されるため、水素等の終端元素以上に融着を起こり
にくくすることが可能である。フッ素化の方法としては
原料ガスとして例えばCF4のようなフッ素を含むガス
を導入して成膜時からフッ素を膜中に取り込む方法と、
非単結晶炭素膜を成膜した後にフッ素を含むガスのプラ
ズマにて表面をフッ素化する方法がある。前者の場合、
成膜ガス中のフッ素の割合を多くしすぎると柔らかくな
る場合があるが、本発明の範囲内のスピン密度、スピン
緩和時間になるようにガス比を設定すると、硬度が維持
できる。理由としては明らかではないが、本発明範囲内
では結合力が強くなっていることから硬度も維持されて
いると考えられる。後者の場合、フッ素プラズマによる
処理で表面にダメージを与えないように注意することが
重要である。ダメージを与えるとかえって表面原子の脱
落が起こりやすくなるので、本発明の範囲内のスピン密
度、スピン緩和時間になるようにフッ素化する必要があ
る。加えて、本発明の予期せぬ効果として、表面層にお
ける感度低下が最小限に抑えられた事、更に加えてゴー
スト現象、即ち直前に複写した画像が残る現象が改善さ
れた点、更に加えて耐圧が向上した為に表面層の膜厚を
更に薄くする事が可能になった事である。
フッ素とした場合、表面エネルギーが更に低下し離型性
や滑り性が向上する。結合力の強化によって更に脱落が
抑制されるため、水素等の終端元素以上に融着を起こり
にくくすることが可能である。フッ素化の方法としては
原料ガスとして例えばCF4のようなフッ素を含むガス
を導入して成膜時からフッ素を膜中に取り込む方法と、
非単結晶炭素膜を成膜した後にフッ素を含むガスのプラ
ズマにて表面をフッ素化する方法がある。前者の場合、
成膜ガス中のフッ素の割合を多くしすぎると柔らかくな
る場合があるが、本発明の範囲内のスピン密度、スピン
緩和時間になるようにガス比を設定すると、硬度が維持
できる。理由としては明らかではないが、本発明範囲内
では結合力が強くなっていることから硬度も維持されて
いると考えられる。後者の場合、フッ素プラズマによる
処理で表面にダメージを与えないように注意することが
重要である。ダメージを与えるとかえって表面原子の脱
落が起こりやすくなるので、本発明の範囲内のスピン密
度、スピン緩和時間になるようにフッ素化する必要があ
る。加えて、本発明の予期せぬ効果として、表面層にお
ける感度低下が最小限に抑えられた事、更に加えてゴー
スト現象、即ち直前に複写した画像が残る現象が改善さ
れた点、更に加えて耐圧が向上した為に表面層の膜厚を
更に薄くする事が可能になった事である。
【0014】この3つの予期せぬ効果に対しては、およ
そ次の様に考えている。本発明における非単結晶炭素膜
のバンドギャップを測定すると、従来のa−C膜に比
べ、バンドギャップが大きい事が分かった。この理由と
しては、ダングリングボンドが減り、かつ強固に結合し
たボンドが増した為、結果的に膜全体としての結合力が
増し、光学的バンドギャップが広がったと考えている。
このバンドギャップの広がりにより、従来技術で挙げた
a−Cに比べて、同じ膜厚でも損失が少なくなり、感度
がさらに向上したと考えられる。また、ゴーストに関し
ては電荷が準位にトラップされる為に生じてしまうと考
えられている。本発明においては電荷をトラップする準
位が低減されたと思われるが、高々数千Åである薄い表
面層に存在する準位だけでは説明出来ないので、何らか
の違う要因が加わっていると考えられるが、詳細は不明
である。また、一般に非単結晶炭素膜は作成時の活性種
が感光体表面に対して濡れやすく、その為カバレッジが
向上するが、本発明の範囲では、カバレッジの良さに加
えて緻密性が非常に向上している。緻密性の高さは結合
状態に起因すると考えているが詳しい事は今のところ不
明である。カバレッジの良さのために球状突起等で発生
した欠陥も均一に覆い、また緻密性の高さから電荷が欠
陥周辺を経由しにくくなり、そのために耐圧が向上し、
電荷の表面層中のリークが原因である白抜け等が発生し
にくくなったと考えられる。本発明は以上の検討を経て
完成に至ったものである。
そ次の様に考えている。本発明における非単結晶炭素膜
のバンドギャップを測定すると、従来のa−C膜に比
べ、バンドギャップが大きい事が分かった。この理由と
しては、ダングリングボンドが減り、かつ強固に結合し
たボンドが増した為、結果的に膜全体としての結合力が
増し、光学的バンドギャップが広がったと考えている。
このバンドギャップの広がりにより、従来技術で挙げた
a−Cに比べて、同じ膜厚でも損失が少なくなり、感度
がさらに向上したと考えられる。また、ゴーストに関し
ては電荷が準位にトラップされる為に生じてしまうと考
えられている。本発明においては電荷をトラップする準
位が低減されたと思われるが、高々数千Åである薄い表
面層に存在する準位だけでは説明出来ないので、何らか
の違う要因が加わっていると考えられるが、詳細は不明
である。また、一般に非単結晶炭素膜は作成時の活性種
が感光体表面に対して濡れやすく、その為カバレッジが
向上するが、本発明の範囲では、カバレッジの良さに加
えて緻密性が非常に向上している。緻密性の高さは結合
状態に起因すると考えているが詳しい事は今のところ不
明である。カバレッジの良さのために球状突起等で発生
した欠陥も均一に覆い、また緻密性の高さから電荷が欠
陥周辺を経由しにくくなり、そのために耐圧が向上し、
電荷の表面層中のリークが原因である白抜け等が発生し
にくくなったと考えられる。本発明は以上の検討を経て
完成に至ったものである。
【0015】以下、図に基づいて本発明の内容を具体的
に説明する。図1は本発明による電子写真感光体を説明
する模式図である。図1(a)には光導電層を機能分離
していない単層型と呼んでいる感光体で、基体101の
上に必要に応じて電荷注入阻止層102を設けられ、そ
の上に少なくとも水素を含むa−Siからなる光導電層
103、本発明の範囲内の物性を持つ非単結晶炭素から
なる表面層104が積層された感光体である。図1
(b)には光導電層を電荷発生層と電荷輸送層の2つに
機能分離している為、機能分離型と呼んでいる感光体を
示している。基体101の上に必要に応じて電荷注入阻
止層102を設け、その上に電荷輸送層106、電荷発
生層107の機能分離された、少なくとも水素を含むa
−Siからなる光導電層103が堆積され、その上に本
発明の範囲内の物性を持つ非単結晶炭素からなる表面層
104が積層されている。ここで電荷輸送層106と電
荷発生層107の位置関係はいかなるものでも使用出来
る。また、機能分離を組成変化で行う場合に、その組成
変化を連続的に行ってもよい。
に説明する。図1は本発明による電子写真感光体を説明
する模式図である。図1(a)には光導電層を機能分離
していない単層型と呼んでいる感光体で、基体101の
上に必要に応じて電荷注入阻止層102を設けられ、そ
の上に少なくとも水素を含むa−Siからなる光導電層
103、本発明の範囲内の物性を持つ非単結晶炭素から
なる表面層104が積層された感光体である。図1
(b)には光導電層を電荷発生層と電荷輸送層の2つに
機能分離している為、機能分離型と呼んでいる感光体を
示している。基体101の上に必要に応じて電荷注入阻
止層102を設け、その上に電荷輸送層106、電荷発
生層107の機能分離された、少なくとも水素を含むa
−Siからなる光導電層103が堆積され、その上に本
発明の範囲内の物性を持つ非単結晶炭素からなる表面層
104が積層されている。ここで電荷輸送層106と電
荷発生層107の位置関係はいかなるものでも使用出来
る。また、機能分離を組成変化で行う場合に、その組成
変化を連続的に行ってもよい。
【0016】図1(a)、(b)に挙げた感光体におい
て、それぞれの層は連続的な組成変化を伴ってもよく、
明確な界面を持たなくても良い。また、電荷注入阻止層
102は必要に応じて省略しても良い。また、光導電層
103と非単結晶炭素からなる表面層104との間に
は、密着性向上等の目的で必要に応じて中間層を設けて
も良い。中間層の材料としては光導電層103と表面層
104との中間の組成を持ったSiC層が挙げられる
が、或はSiO、SiNなどを用いても良い。また中間
層は組成を連続的に変化させても良い。ここで言う非単
結晶炭素とは、黒鉛(グラファイト)とダイヤモンドと
の中間的な性質を持つアモルファス状の炭素を主に表し
ているが、微結晶や多結晶を部分的に含んでいても良
い。これらはプラズマCVD法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等によって作成可能であるが、プ
ラズマCVD法を用いて作成した膜は透明度、硬度共に
高く、電子写真感光体の表面層として用いるには好まし
い。
て、それぞれの層は連続的な組成変化を伴ってもよく、
明確な界面を持たなくても良い。また、電荷注入阻止層
102は必要に応じて省略しても良い。また、光導電層
103と非単結晶炭素からなる表面層104との間に
は、密着性向上等の目的で必要に応じて中間層を設けて
も良い。中間層の材料としては光導電層103と表面層
104との中間の組成を持ったSiC層が挙げられる
が、或はSiO、SiNなどを用いても良い。また中間
層は組成を連続的に変化させても良い。ここで言う非単
結晶炭素とは、黒鉛(グラファイト)とダイヤモンドと
の中間的な性質を持つアモルファス状の炭素を主に表し
ているが、微結晶や多結晶を部分的に含んでいても良
い。これらはプラズマCVD法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等によって作成可能であるが、プ
ラズマCVD法を用いて作成した膜は透明度、硬度共に
高く、電子写真感光体の表面層として用いるには好まし
い。
【0017】非単結晶炭素膜を作成する際のプラズマC
VD法に用いる放電周波数としては如何なる周波数も用
いることが出来る。工業的にはRF周波数帯と呼ばれる
1〜450MHz、特に13.56MHzの高周波が好
適に用いることが出来る。また、特に50〜450MH
zのVHFと呼ばれる周波数帯の高周波を用いた場合に
は、透明度、硬度共に更に高く出来るので、表面層とし
ての使用に際してはより好ましい。本発明の非単結晶炭
素膜をブラズマCVD法により作成する場合には、炭素
を含むガスをプラズマによって分解する事により膜を得
ることが出来る。この時用いる事の出来る炭素を含んだ
ガスとしては、CH4、C2H6、C2H4、C2H2、等の
炭化水素、CH3OH、C2H5OH等のアルコール類を
水素でバブリングしたもの、CH3F、CH2F2、CH3
Cl等の炭化水素の水素をハロゲン元素で置換したハロ
ゲン化炭化水素、等、プラズマ化で活性な炭素ラジカル
を生成出来るものであれば如何なるものでも使用可能で
ある。中には単独で成膜可能なガスも存在するが、水素
や希ガス等で希釈する必要のあるガスもあり、その都度
最適な条件を選択する必要がある。また上記のガスを混
合したものでも使用出来る。
VD法に用いる放電周波数としては如何なる周波数も用
いることが出来る。工業的にはRF周波数帯と呼ばれる
1〜450MHz、特に13.56MHzの高周波が好
適に用いることが出来る。また、特に50〜450MH
zのVHFと呼ばれる周波数帯の高周波を用いた場合に
は、透明度、硬度共に更に高く出来るので、表面層とし
ての使用に際してはより好ましい。本発明の非単結晶炭
素膜をブラズマCVD法により作成する場合には、炭素
を含むガスをプラズマによって分解する事により膜を得
ることが出来る。この時用いる事の出来る炭素を含んだ
ガスとしては、CH4、C2H6、C2H4、C2H2、等の
炭化水素、CH3OH、C2H5OH等のアルコール類を
水素でバブリングしたもの、CH3F、CH2F2、CH3
Cl等の炭化水素の水素をハロゲン元素で置換したハロ
ゲン化炭化水素、等、プラズマ化で活性な炭素ラジカル
を生成出来るものであれば如何なるものでも使用可能で
ある。中には単独で成膜可能なガスも存在するが、水素
や希ガス等で希釈する必要のあるガスもあり、その都度
最適な条件を選択する必要がある。また上記のガスを混
合したものでも使用出来る。
【0018】図2は、本発明の高周波電源を用いたプラ
ズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に
示した図である。この装置は大別すると、堆積装置21
00、原料ガスの供給装置2200、反応容器2110
内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されて
いる。堆積装置2100中の反応容器2110内にはア
ースに接続された円筒状被成膜基体2112、円筒状被
成膜基体の加熱用ヒーター2113、原料ガス導入管2
114が設置され、更に高周波マッチングボックス21
15を介して高周波電源2120が接続されている。原
料ガス供給装置2200は、SiH4、H2、CH4、C2
H2、NO、B2H6、CF4等の原料ガスボンベ及びエッ
チングガスボンベ2221〜2226とバルブ2231
〜2236、2241〜2246、2251〜2256
及びマスフローコントローラー2211〜2216から
構成され、各構成ガスのボンベはバルブ2260を介し
て反応容器2110内のガス導入管2114に接続され
ている。
ズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に
示した図である。この装置は大別すると、堆積装置21
00、原料ガスの供給装置2200、反応容器2110
内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されて
いる。堆積装置2100中の反応容器2110内にはア
ースに接続された円筒状被成膜基体2112、円筒状被
成膜基体の加熱用ヒーター2113、原料ガス導入管2
114が設置され、更に高周波マッチングボックス21
15を介して高周波電源2120が接続されている。原
料ガス供給装置2200は、SiH4、H2、CH4、C2
H2、NO、B2H6、CF4等の原料ガスボンベ及びエッ
チングガスボンベ2221〜2226とバルブ2231
〜2236、2241〜2246、2251〜2256
及びマスフローコントローラー2211〜2216から
構成され、各構成ガスのボンベはバルブ2260を介し
て反応容器2110内のガス導入管2114に接続され
ている。
【0019】本発明で使用される高周波電源の出力は1
0W〜5000W以上の範囲で使用する装置に適した電
力を発生する事ができれば、如何なる出力の物であって
も使用できる。更に、高周波電源の出力変動率は、如何
なる値で有っても本発明の効果を得ることができる。使
用されるマッチングボックスは2115は高周波電源2
120と負荷の整合を取ることができるものであれば如
何なる構成のものでも好適に使用できる。又、整合を取
る方法としては、自動的に調整される物が好適であるが
手動で調整されるものであっても本発明の効果には全く
影響はない。高周波電力が印加されるカソード電極21
11の材質としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、
鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チ
タン、ステンレス及び、これらの材料の2種類以上の複
合材料等が使用できる。又、形状は円筒形状が好ましい
が必要に応じて楕円形状、多角形状を用いても良い。カ
ソード電極2111は必要に応じて冷却手段を設けても
良い。具体的な冷却手段としては水、空気、液体窒素、
ペルチェ素子等による冷却が必要に応じて用いられる。
0W〜5000W以上の範囲で使用する装置に適した電
力を発生する事ができれば、如何なる出力の物であって
も使用できる。更に、高周波電源の出力変動率は、如何
なる値で有っても本発明の効果を得ることができる。使
用されるマッチングボックスは2115は高周波電源2
120と負荷の整合を取ることができるものであれば如
何なる構成のものでも好適に使用できる。又、整合を取
る方法としては、自動的に調整される物が好適であるが
手動で調整されるものであっても本発明の効果には全く
影響はない。高周波電力が印加されるカソード電極21
11の材質としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、
鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チ
タン、ステンレス及び、これらの材料の2種類以上の複
合材料等が使用できる。又、形状は円筒形状が好ましい
が必要に応じて楕円形状、多角形状を用いても良い。カ
ソード電極2111は必要に応じて冷却手段を設けても
良い。具体的な冷却手段としては水、空気、液体窒素、
ペルチェ素子等による冷却が必要に応じて用いられる。
【0020】本発明に用いる円筒状被成膜基体2112
は、使用目的に応じた材質や形状を有する物であれば良
い。例えば、形状に関しては、電子写真用感光体を製造
する場合には、円筒状が望ましいが、必要に応じて平板
状や、その他の形状であっても良い。又、材質に於て
は、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、
コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレ
ス及び、これらの材料の2種類以上の複合材料、更には
ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、石英、セ
ラミックス、紙などの絶縁材料に導電性材料を被覆した
物などが使用できる。表面形状としてはバイト切削、デ
ィンプル加工等を、干渉防止等の目的で行っても良い。
は、使用目的に応じた材質や形状を有する物であれば良
い。例えば、形状に関しては、電子写真用感光体を製造
する場合には、円筒状が望ましいが、必要に応じて平板
状や、その他の形状であっても良い。又、材質に於て
は、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、
コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレ
ス及び、これらの材料の2種類以上の複合材料、更には
ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、石英、セ
ラミックス、紙などの絶縁材料に導電性材料を被覆した
物などが使用できる。表面形状としてはバイト切削、デ
ィンプル加工等を、干渉防止等の目的で行っても良い。
【0021】以下、図2の装置を用いた、感光体の形成
方法の手順の一例について説明する。反応容器2110
内に円筒状被成膜基体2112を設置し、不図示の排気
装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2110内を
排気する。続いて円筒状被成膜基体加熱用ヒーター21
13により円筒状被成膜基体2112の温度を20℃〜
500℃の所定の温度に制御する。感光体形成用の原料
ガスを反応容器2110内に流入させるにはガスボンベ
のバルブ2231〜2236、反応容器のリークバルブ
2117が閉じられている事を確認し又、流入バルブ2
241〜2246、流出バルブ2251〜2256、補
助バルブ2260が開かれている事を確認し、メインバ
ルブ2118を開いて反応容器2110及びガス供給配
管2116を排気する。次に真空系2119の読みが5
×10-6Torrになった時点で補助バルブ2260、
流出バルブ2251〜2256を閉じる。その後ガスボ
ンベ2221〜2226より各ガスをバルブ2231〜
2236を開いて導入し圧力調整器2261〜2266
により各ガス圧を2kg/cm2に調整する。次に流入
バルブ2241〜2246を徐々に開けて各ガスをマス
フローコントローラー2211〜2216内に導入す
る。
方法の手順の一例について説明する。反応容器2110
内に円筒状被成膜基体2112を設置し、不図示の排気
装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2110内を
排気する。続いて円筒状被成膜基体加熱用ヒーター21
13により円筒状被成膜基体2112の温度を20℃〜
500℃の所定の温度に制御する。感光体形成用の原料
ガスを反応容器2110内に流入させるにはガスボンベ
のバルブ2231〜2236、反応容器のリークバルブ
2117が閉じられている事を確認し又、流入バルブ2
241〜2246、流出バルブ2251〜2256、補
助バルブ2260が開かれている事を確認し、メインバ
ルブ2118を開いて反応容器2110及びガス供給配
管2116を排気する。次に真空系2119の読みが5
×10-6Torrになった時点で補助バルブ2260、
流出バルブ2251〜2256を閉じる。その後ガスボ
ンベ2221〜2226より各ガスをバルブ2231〜
2236を開いて導入し圧力調整器2261〜2266
により各ガス圧を2kg/cm2に調整する。次に流入
バルブ2241〜2246を徐々に開けて各ガスをマス
フローコントローラー2211〜2216内に導入す
る。
【0022】以上の手順によって成膜準備を完了した
後、円筒状被成膜基体2112上に光導電層の形成を行
う。円筒状被成膜基体2112が所定の温度になったと
ころで、各流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものと補助バルブ2260とを徐々に開き、各ガスボ
ンベ2221〜2226から所定の原料ガスをガス導入
管2114を介して反応容器2110内に導入する。次
に、各マスフローコントローラー2211〜2216に
よって、各原料ガスが所定の流量になる様に調整する。
その際、反応容器2110内が1Torr以下の所定の
圧力になる様に、真空計2119を見ながらメインバル
ブ2118の開口を調整する。内圧が安定したところ
で、高周波電源2120を所望の電力に設定して高周波
マッチングボックス2115を通じてカソード電極21
11に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電
エネルギーによって反応容器2110内に導入させた各
原料ガスが分解され、円筒状被成膜基体2112上に所
定のシリコン原子を主成分とする堆積膜が形成される。
所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、各流出バルブ2251〜2256を閉じて反応容器
2110への各原料ガスの流入を止め、堆積膜の形成を
終える。
後、円筒状被成膜基体2112上に光導電層の形成を行
う。円筒状被成膜基体2112が所定の温度になったと
ころで、各流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものと補助バルブ2260とを徐々に開き、各ガスボ
ンベ2221〜2226から所定の原料ガスをガス導入
管2114を介して反応容器2110内に導入する。次
に、各マスフローコントローラー2211〜2216に
よって、各原料ガスが所定の流量になる様に調整する。
その際、反応容器2110内が1Torr以下の所定の
圧力になる様に、真空計2119を見ながらメインバル
ブ2118の開口を調整する。内圧が安定したところ
で、高周波電源2120を所望の電力に設定して高周波
マッチングボックス2115を通じてカソード電極21
11に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電
エネルギーによって反応容器2110内に導入させた各
原料ガスが分解され、円筒状被成膜基体2112上に所
定のシリコン原子を主成分とする堆積膜が形成される。
所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、各流出バルブ2251〜2256を閉じて反応容器
2110への各原料ガスの流入を止め、堆積膜の形成を
終える。
【0023】又、本発明の表面層を形成する場合も基本
的には上記の操作を繰り返せばよく成膜ガスを供給し放
電を開始すればよい。本発明の効果が得られる非単結晶
炭素膜は、使用ガスの種類とその混合比、成膜圧力、高
周波電力とその周波数、成膜温度などが適切な値に設定
されていなければ作成出来ないが、特別な装置が必要な
訳では無く、従来のプラズマCVD装置を用いて作成出
来る。ガスの混合比についてはガス種によって異なる
為、一意には定まらないが、例えば不飽和炭化水素は水
素ガスによって希釈するとよく、飽和炭化水素の場合は
あまり希釈しない方が良い傾向が見られた。成膜圧力に
関しては従来の成膜条件と同様の範囲で作成可能であ
る。ガス種によって変わる為一概には言えないが、低く
する方が気相中でのポリマライゼーションが抑えられる
傾向がある。高周波電力に関してはある程度以上放電エ
ネルギーを与えないとC−H結合等が切断出来ずラジカ
ルが得られない。一方放電エネルギーを与えすぎると再
脱離やスパッタリングが生じる為成膜速度が極端に遅く
なってしまい好ましくない。同軸型の成膜炉であれば2
000W以下程度が好ましい。また周波数に関しては高
い方がより高硬度で低損失な膜が得やすいが、高くなり
すぎると膜厚分布が生じる。成膜温度に関しては従来の
成膜条件範囲内でよいが、高くしすぎるとバンドギャッ
プが狭くなり損失が増える傾向にある為、あまり高くし
ない方が好ましい。以上、それぞれの設定値については
従来の成膜条件と著しく異なる値ではないが、スピン密
度とスピン緩和時間の成膜パラメータ依存性が大きい
為、これまで再現性よく的確な膜が作成出来なかったも
のと考えられる。
的には上記の操作を繰り返せばよく成膜ガスを供給し放
電を開始すればよい。本発明の効果が得られる非単結晶
炭素膜は、使用ガスの種類とその混合比、成膜圧力、高
周波電力とその周波数、成膜温度などが適切な値に設定
されていなければ作成出来ないが、特別な装置が必要な
訳では無く、従来のプラズマCVD装置を用いて作成出
来る。ガスの混合比についてはガス種によって異なる
為、一意には定まらないが、例えば不飽和炭化水素は水
素ガスによって希釈するとよく、飽和炭化水素の場合は
あまり希釈しない方が良い傾向が見られた。成膜圧力に
関しては従来の成膜条件と同様の範囲で作成可能であ
る。ガス種によって変わる為一概には言えないが、低く
する方が気相中でのポリマライゼーションが抑えられる
傾向がある。高周波電力に関してはある程度以上放電エ
ネルギーを与えないとC−H結合等が切断出来ずラジカ
ルが得られない。一方放電エネルギーを与えすぎると再
脱離やスパッタリングが生じる為成膜速度が極端に遅く
なってしまい好ましくない。同軸型の成膜炉であれば2
000W以下程度が好ましい。また周波数に関しては高
い方がより高硬度で低損失な膜が得やすいが、高くなり
すぎると膜厚分布が生じる。成膜温度に関しては従来の
成膜条件範囲内でよいが、高くしすぎるとバンドギャッ
プが狭くなり損失が増える傾向にある為、あまり高くし
ない方が好ましい。以上、それぞれの設定値については
従来の成膜条件と著しく異なる値ではないが、スピン密
度とスピン緩和時間の成膜パラメータ依存性が大きい
為、これまで再現性よく的確な膜が作成出来なかったも
のと考えられる。
【0024】具体的な作成手順を以下に示す。各流出バ
ルブ2251〜2256のうちの必要なものと補助バル
ブ2260とを徐々に開き、各ガスボンベ2221〜2
226から表面層に必要な原料ガス、例えばCH4ガス
やH2ガスをガス導入管2114を介して反応容器21
10内に導入する。次に、各マスフローコントローラー
2211〜2216によって、各原料ガスが所定の流量
になる様に調整する。その際、反応容器2110内が1
Torr以下の所定の圧力になる様に、真空計2119
を見ながらメインバルブ2118の開口を調整する。内
圧が安定したところで、高周波電源2120を所望の電
力に設定して高周波電力を高周波マッチングボックス2
115を通じてカソード電極2111に供給し高周波グ
ロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反
応容器2110内に導入させた各原料ガスが分解され、
表面層が形成される。所望の膜厚の形成が行われた後、
高周波電力の供給を止め、各流出バルブ2251〜22
56を閉じて反応容器2110への各原料ガスの流入を
止め、表面層の形成を終える。
ルブ2251〜2256のうちの必要なものと補助バル
ブ2260とを徐々に開き、各ガスボンベ2221〜2
226から表面層に必要な原料ガス、例えばCH4ガス
やH2ガスをガス導入管2114を介して反応容器21
10内に導入する。次に、各マスフローコントローラー
2211〜2216によって、各原料ガスが所定の流量
になる様に調整する。その際、反応容器2110内が1
Torr以下の所定の圧力になる様に、真空計2119
を見ながらメインバルブ2118の開口を調整する。内
圧が安定したところで、高周波電源2120を所望の電
力に設定して高周波電力を高周波マッチングボックス2
115を通じてカソード電極2111に供給し高周波グ
ロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反
応容器2110内に導入させた各原料ガスが分解され、
表面層が形成される。所望の膜厚の形成が行われた後、
高周波電力の供給を止め、各流出バルブ2251〜22
56を閉じて反応容器2110への各原料ガスの流入を
止め、表面層の形成を終える。
【0025】膜形成を行っている間は円筒状被成膜基体
2112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回
転させても良い。また、膜の更なる高硬度化が要求され
る場合、不図示のローパスフィルタによって高周波電力
に直流バイアス電圧を印加してもよい。また、表面の離
型性を更に向上させる為に、フッ素原子を含むガスを分
解したプラズマで表面をフッ素化しても良い。フッ素プ
ラズマによるフッ素化においても、本発明で限定したス
ピン密度とスピン緩和時間とを満たしていれば本発明の
効果が得られる。フッ素化に際しては、使用ガスの種類
とその混合比、処理圧力、高周波電力とその周波数、処
理温度、処理時間などが適切な値に設定されていなけれ
ばならないが、特別な装置が必要な訳では無く、従来の
プラズマCVD装置を用いて処理出来る。
2112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回
転させても良い。また、膜の更なる高硬度化が要求され
る場合、不図示のローパスフィルタによって高周波電力
に直流バイアス電圧を印加してもよい。また、表面の離
型性を更に向上させる為に、フッ素原子を含むガスを分
解したプラズマで表面をフッ素化しても良い。フッ素プ
ラズマによるフッ素化においても、本発明で限定したス
ピン密度とスピン緩和時間とを満たしていれば本発明の
効果が得られる。フッ素化に際しては、使用ガスの種類
とその混合比、処理圧力、高周波電力とその周波数、処
理温度、処理時間などが適切な値に設定されていなけれ
ばならないが、特別な装置が必要な訳では無く、従来の
プラズマCVD装置を用いて処理出来る。
【0026】具体的には、使用出来るガスの種類として
は、CF4、CH3F、CH2F2、CHF3、C2F4、C2
H3F、ClF3、SF6、HF、F2等、フッ素を含むガ
スであり、プラズマ化によって活性なフッ素ラジカルを
生成出来るものであれば使用出来る。また、希ガス等で
希釈して使用する事も可能である。傾向として、エッチ
ング性の強いガスでは希釈量を多くする方が望ましい。
処理圧力に関しては従来の成膜条件と同様の範囲で作成
可能である。ガス種によって変わる為一概には言えない
が、あまり低くすると表面粗さが増大する傾向があり好
ましく無い場合がある。高周波電力に関してはある程度
以上放電エネルギーを与えないとC−F結合等が切断出
来ずフッ素ラジカルが得られない。一方放電エネルギー
を与えすぎるとエッチングが進み、表面にダメージを与
えてダングリングボンドが生成され易くなる為好ましく
ない。同軸型の成膜炉であれば2000W以下程度が好
ましい。
は、CF4、CH3F、CH2F2、CHF3、C2F4、C2
H3F、ClF3、SF6、HF、F2等、フッ素を含むガ
スであり、プラズマ化によって活性なフッ素ラジカルを
生成出来るものであれば使用出来る。また、希ガス等で
希釈して使用する事も可能である。傾向として、エッチ
ング性の強いガスでは希釈量を多くする方が望ましい。
処理圧力に関しては従来の成膜条件と同様の範囲で作成
可能である。ガス種によって変わる為一概には言えない
が、あまり低くすると表面粗さが増大する傾向があり好
ましく無い場合がある。高周波電力に関してはある程度
以上放電エネルギーを与えないとC−F結合等が切断出
来ずフッ素ラジカルが得られない。一方放電エネルギー
を与えすぎるとエッチングが進み、表面にダメージを与
えてダングリングボンドが生成され易くなる為好ましく
ない。同軸型の成膜炉であれば2000W以下程度が好
ましい。
【0027】図3は前記、図2とは別形態のプラズマC
VD法による電子写真感光体の形成装置(量産型)の一
例の模式図である。図3はその反応容器部の断面図を示
している。図3において300は反応容器であり、真空
気密化構造を成している。又、302は一端が反応容器
301内に開口し、他端が排気装置(図示せず)に連通
している排気管である。303は円筒状被成膜基体30
4によって囲まれた放電空間を示す。高周波電源305
は、高周波マッチングボックス306を介して電極30
7に電気的に接続されている。円筒状被成膜基体304
はホルダー308(a)(b)にセットした状態で回転
軸309に設置される。必要に応じてモーター310で
回転出来るようになっている。原料ガス供給装置(不図
示)は、図2に示した2200と同様のものを用いれば
よい。各構成ガスは混合され、バルブ312を介して反
応容器301内のガス導入管311に接続されている。
本形成装置の高周波電源の出力は10W〜5000W以
上の範囲で使用する装置に適した電力を発生する事がで
きれば、如何なる出力の物であっても使用できる。更
に、高周波電源の出力変動率は、如何なる値で有っても
本発明の効果を得ることができる。
VD法による電子写真感光体の形成装置(量産型)の一
例の模式図である。図3はその反応容器部の断面図を示
している。図3において300は反応容器であり、真空
気密化構造を成している。又、302は一端が反応容器
301内に開口し、他端が排気装置(図示せず)に連通
している排気管である。303は円筒状被成膜基体30
4によって囲まれた放電空間を示す。高周波電源305
は、高周波マッチングボックス306を介して電極30
7に電気的に接続されている。円筒状被成膜基体304
はホルダー308(a)(b)にセットした状態で回転
軸309に設置される。必要に応じてモーター310で
回転出来るようになっている。原料ガス供給装置(不図
示)は、図2に示した2200と同様のものを用いれば
よい。各構成ガスは混合され、バルブ312を介して反
応容器301内のガス導入管311に接続されている。
本形成装置の高周波電源の出力は10W〜5000W以
上の範囲で使用する装置に適した電力を発生する事がで
きれば、如何なる出力の物であっても使用できる。更
に、高周波電源の出力変動率は、如何なる値で有っても
本発明の効果を得ることができる。
【0028】使用されるマッチングボックス306は高
周波電源305と負荷の整合を取ることができるもので
あれば如何なる構成のものでも好適に使用できる。又、
整合を取る方法としては、自動的に調整される物が好適
であるが手動で調整されるものであっても本発明の効果
には全く影響はない。高周波電力が印加される電極30
7の材質としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、
鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チ
タン、ステンレス及び、これらの材料の2種類以上の複
合材料等が使用できる。又、形状は円筒形状が好ましい
が必要に応じて楕円形状、多角形状を用いても良い。電
極307は必要に応じて冷却手段を設けても良い。具体
的な冷却手段としては水、空気、液体窒素、ペルチェ素
子等による冷却が必要に応じて用いられる。本発明に用
いる円筒状被成膜基体304は、使用目的に応じた材質
や形状を有する物であれば良い。例えば、形状に関して
は、電子写真用感光体を製造する場合には、円筒状が望
ましいが、必要に応じて平板状や、その他の形状であっ
ても良い。又、材質に於ては、銅、アルミニウム、金、
銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリ
ブデン、チタン、ステンレス及び、これらの材料の2種
類以上の複合材料、更にはポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
スチレン、ガラス、石英、セラミックス、紙などの絶縁
材料に導電性材料を被覆した物などが使用できる。図4
は電子写真装置の画像形成プロセスの一例を示す概略図
であって、感光体401は矢印X方向に回転する。感光
体401の周辺には、主帯電器402、静電潜像形成部
位403、現像器404、転写紙供給系405、転写帯
電器406(a)、分離帯電器406(b)、クリーナ
ー407、搬送系408、除電光源409等が配設され
ている。
周波電源305と負荷の整合を取ることができるもので
あれば如何なる構成のものでも好適に使用できる。又、
整合を取る方法としては、自動的に調整される物が好適
であるが手動で調整されるものであっても本発明の効果
には全く影響はない。高周波電力が印加される電極30
7の材質としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、
鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チ
タン、ステンレス及び、これらの材料の2種類以上の複
合材料等が使用できる。又、形状は円筒形状が好ましい
が必要に応じて楕円形状、多角形状を用いても良い。電
極307は必要に応じて冷却手段を設けても良い。具体
的な冷却手段としては水、空気、液体窒素、ペルチェ素
子等による冷却が必要に応じて用いられる。本発明に用
いる円筒状被成膜基体304は、使用目的に応じた材質
や形状を有する物であれば良い。例えば、形状に関して
は、電子写真用感光体を製造する場合には、円筒状が望
ましいが、必要に応じて平板状や、その他の形状であっ
ても良い。又、材質に於ては、銅、アルミニウム、金、
銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリ
ブデン、チタン、ステンレス及び、これらの材料の2種
類以上の複合材料、更にはポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
スチレン、ガラス、石英、セラミックス、紙などの絶縁
材料に導電性材料を被覆した物などが使用できる。図4
は電子写真装置の画像形成プロセスの一例を示す概略図
であって、感光体401は矢印X方向に回転する。感光
体401の周辺には、主帯電器402、静電潜像形成部
位403、現像器404、転写紙供給系405、転写帯
電器406(a)、分離帯電器406(b)、クリーナ
ー407、搬送系408、除電光源409等が配設され
ている。
【0029】以下、さらに具体的に画像形成プロセスを
説明すると、感光体401は高電圧を印加した主帯電器
402により一様に帯電され、これに静電潜像部位、即
ちランプ410から発した光が原稿台ガラス411上に
置かれた原稿412に反射し、ミラー413、414、
415を経由し、レンズユニット417のレンズ418
によって結像され、ミラー416を経由し、導かれ投影
された静電潜像が形成される。この潜像に現像器404
からネガ極性トナーが供給されてトナー像が形成され
る。一方、転写紙供給系405を通って、レジストロー
ラー422によって先端タイミングを調整され、感光体
401方向に供給される転写材Pは高電圧を印加した転
写帯電器406(a)と感光体401の間隙に於て背面
から、トナーとは逆極性の正電界を与えられ、これによ
って感光体表面のネガ極性のトナー像は転写材Pに転写
する。次いで、高圧AC電圧を印加した分離帯電器40
6(b)により、転写材Pは転写搬送系408を通って
定着装置424に至り、トナー像が定着されて装置外に
搬出される。感光体401上に残留するトナーはクリー
ニングユニット407のマグネットローラー407及
び、クリーニングブレード421によって回収され、残
留する静電潜像は除電光源409によって消去される。
説明すると、感光体401は高電圧を印加した主帯電器
402により一様に帯電され、これに静電潜像部位、即
ちランプ410から発した光が原稿台ガラス411上に
置かれた原稿412に反射し、ミラー413、414、
415を経由し、レンズユニット417のレンズ418
によって結像され、ミラー416を経由し、導かれ投影
された静電潜像が形成される。この潜像に現像器404
からネガ極性トナーが供給されてトナー像が形成され
る。一方、転写紙供給系405を通って、レジストロー
ラー422によって先端タイミングを調整され、感光体
401方向に供給される転写材Pは高電圧を印加した転
写帯電器406(a)と感光体401の間隙に於て背面
から、トナーとは逆極性の正電界を与えられ、これによ
って感光体表面のネガ極性のトナー像は転写材Pに転写
する。次いで、高圧AC電圧を印加した分離帯電器40
6(b)により、転写材Pは転写搬送系408を通って
定着装置424に至り、トナー像が定着されて装置外に
搬出される。感光体401上に残留するトナーはクリー
ニングユニット407のマグネットローラー407及
び、クリーニングブレード421によって回収され、残
留する静電潜像は除電光源409によって消去される。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれにより何ら限定されるものではない。 [実施例1]図2に記載のプラズマCVD装置を用い
て、円筒形のAl基体上に、表1に示した条件で下部阻
止層、光導電層を堆積し、表2に示した条件で表面層を
順次積層した。このとき、水素ガス流量と、同時に高周
波電力を変化させ、表面層のスピン密度とスピン緩和時
間の異なるAからEの5本の感光体を作成した。得られ
た膜のスピン密度およびスピン緩和時間の値は結果の表
中に示した。
明はこれにより何ら限定されるものではない。 [実施例1]図2に記載のプラズマCVD装置を用い
て、円筒形のAl基体上に、表1に示した条件で下部阻
止層、光導電層を堆積し、表2に示した条件で表面層を
順次積層した。このとき、水素ガス流量と、同時に高周
波電力を変化させ、表面層のスピン密度とスピン緩和時
間の異なるAからEの5本の感光体を作成した。得られ
た膜のスピン密度およびスピン緩和時間の値は結果の表
中に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】 上記の方法で作成した5本のドラムを、複写機での耐久
試験の代用試験として、表面を機械的にある程度強く摩
擦し、その後複写機に搭載することで長期使用後の特性
を推定した。まず、ドラムをプロセススピード400m
m/secで回転させ、それにトナーと同程度の平均粒
度(8μm)のSiC研磨テープ(富士フィルム製LT
−C2000)を接触させ、接触面の上から3φ、幅2
0mmの平行ピンで抑え、荷重をかけて摩擦した。また
研磨テープは1mm/sec程度で常に動かしており、
常に新しい面を供給して研磨力を一定に保ち、研磨屑の
影響が出ない様に工夫した。このような強制的な摩擦を
80分間行った。次に上記の方法で作成した5本のドラ
ムをキヤノン製複写機NP6062改造機に搭載し、キ
ヤノン製テストチャート(部品番号:FY9−905
8)を原稿台に置き通常の露光量でA4用紙1万枚の複
写操作を行った。この時、トナーは平均粒径8μmのも
のを用い、クリーナーブレードにはJIS硬度で通常の
ものより4度低い硬度のものを用い、且つブレード圧を
通常より低く設定して融着の出やすい環境で行った。1
万枚通紙後に、前記テストチャートによる画像、キヤノ
ン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)に
よる画像の2画像によって評価し、融着が発生している
かどうかを確認した後、ドラムを取り出して顕微鏡にて
表面の様子を観察し、画像に現れない微小な融着が存在
するかどうかを確認した。以上の評価で得られた諸特性
の結果を表6に示す。
試験の代用試験として、表面を機械的にある程度強く摩
擦し、その後複写機に搭載することで長期使用後の特性
を推定した。まず、ドラムをプロセススピード400m
m/secで回転させ、それにトナーと同程度の平均粒
度(8μm)のSiC研磨テープ(富士フィルム製LT
−C2000)を接触させ、接触面の上から3φ、幅2
0mmの平行ピンで抑え、荷重をかけて摩擦した。また
研磨テープは1mm/sec程度で常に動かしており、
常に新しい面を供給して研磨力を一定に保ち、研磨屑の
影響が出ない様に工夫した。このような強制的な摩擦を
80分間行った。次に上記の方法で作成した5本のドラ
ムをキヤノン製複写機NP6062改造機に搭載し、キ
ヤノン製テストチャート(部品番号:FY9−905
8)を原稿台に置き通常の露光量でA4用紙1万枚の複
写操作を行った。この時、トナーは平均粒径8μmのも
のを用い、クリーナーブレードにはJIS硬度で通常の
ものより4度低い硬度のものを用い、且つブレード圧を
通常より低く設定して融着の出やすい環境で行った。1
万枚通紙後に、前記テストチャートによる画像、キヤノ
ン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)に
よる画像の2画像によって評価し、融着が発生している
かどうかを確認した後、ドラムを取り出して顕微鏡にて
表面の様子を観察し、画像に現れない微小な融着が存在
するかどうかを確認した。以上の評価で得られた諸特性
の結果を表6に示す。
【0033】(比較例1)図2に記載のプラズマCVD
装置を用いて、円筒形のAl基体上に、表1に示した条
件で下部阻止層、光導電層を堆積し、次に表面層を堆積
させた。この表面層では表2に示した条件のうち、水素
流量と高周波電力を変化させ、表面層のスピン密度とス
ピン緩和時間が本発明範囲外となる条件で感光体F,G
を作成した。スピン密度、スピン緩和時間の値は結果の
表中に示した。次いで、実施例1と同様の評価をそれぞ
れについて行った。以上の特性の変化の結果を実施例1
の結果と合わせて表6に示す。1万枚通紙後の画像によ
る評価では、感光帯Fにおいては、非常に微小ながら数
箇所に黒い点状の跡が見られた。感光体Gにおいてクリ
ーニング不良による横筋と、融着によるものと思われる
黒筋が認められた。それ以外の感光体を使用した場合は
すべて画像上には融着の影響は見られなかった。次にド
ラムを複写機から取り出し、顕微鏡による観察を行った
ところ、本発明範囲内である感光体A〜Eに関してはま
ったく融着の跡が見られなかったのに対し、感光体F,
Gについては融着の跡が見られた。特にGに関してはド
ラムの回転方向に成長した後が見られ、画像上に現れた
融着痕と一致した。実施例1、比較例1から、ESRに
よるスピン密度が1×1020spins/cm3以下で
あり、且つスピン緩和時間が10-2sec以下である必
要がある事が分かった。
装置を用いて、円筒形のAl基体上に、表1に示した条
件で下部阻止層、光導電層を堆積し、次に表面層を堆積
させた。この表面層では表2に示した条件のうち、水素
流量と高周波電力を変化させ、表面層のスピン密度とス
ピン緩和時間が本発明範囲外となる条件で感光体F,G
を作成した。スピン密度、スピン緩和時間の値は結果の
表中に示した。次いで、実施例1と同様の評価をそれぞ
れについて行った。以上の特性の変化の結果を実施例1
の結果と合わせて表6に示す。1万枚通紙後の画像によ
る評価では、感光帯Fにおいては、非常に微小ながら数
箇所に黒い点状の跡が見られた。感光体Gにおいてクリ
ーニング不良による横筋と、融着によるものと思われる
黒筋が認められた。それ以外の感光体を使用した場合は
すべて画像上には融着の影響は見られなかった。次にド
ラムを複写機から取り出し、顕微鏡による観察を行った
ところ、本発明範囲内である感光体A〜Eに関してはま
ったく融着の跡が見られなかったのに対し、感光体F,
Gについては融着の跡が見られた。特にGに関してはド
ラムの回転方向に成長した後が見られ、画像上に現れた
融着痕と一致した。実施例1、比較例1から、ESRに
よるスピン密度が1×1020spins/cm3以下で
あり、且つスピン緩和時間が10-2sec以下である必
要がある事が分かった。
【0034】[実施例2]図2に記載のプラズマCVD
装置を用いて、円筒形のAl基体上に、表1に示した条
件で下部阻止層、光導電層を堆積し、図2に記載のプラ
ズマCVD装置を用いて、表3に示した条件のうち、ガ
ス流量と高周波電力を適当な値に設定し、フッ素を膜中
に含有した表面層を堆積し、感光体Hを作成した。ま
た、表面層を表2の条件のうち水素ガス流量と高周波電
力とを適当な値に設定して堆積した後、表4に挙げたフ
ッ素化条件で感光体表面をフッ素プラズマに晒してフッ
素化し、感光体1を完成させた。この時、表面層のスピ
ン密度とスピン緩和時間が本発明範囲内となるような作
成条件を選んだ。スピン密度とスピン緩和時間について
は結果の表中に示した。
装置を用いて、円筒形のAl基体上に、表1に示した条
件で下部阻止層、光導電層を堆積し、図2に記載のプラ
ズマCVD装置を用いて、表3に示した条件のうち、ガ
ス流量と高周波電力を適当な値に設定し、フッ素を膜中
に含有した表面層を堆積し、感光体Hを作成した。ま
た、表面層を表2の条件のうち水素ガス流量と高周波電
力とを適当な値に設定して堆積した後、表4に挙げたフ
ッ素化条件で感光体表面をフッ素プラズマに晒してフッ
素化し、感光体1を完成させた。この時、表面層のスピ
ン密度とスピン緩和時間が本発明範囲内となるような作
成条件を選んだ。スピン密度とスピン緩和時間について
は結果の表中に示した。
【0035】これらのドラムに対し、実施例1と同様の
研磨試験と改造複写機による融着発生の有無を評価する
試験とを行った。次に試験前後でのフッ素量を測定し、
フッ素がどれだけ残留しているかを初期からの割合で評
価した。フッ素量の測定には、X線光電子分光法(XP
S)を用い、極表面近傍(〜50Å)のフッ素量を測定
した。結果としては試験後の値と初期の値との比を取っ
て表した。以上の評価で得られた諸特性の結果を表7に
示す。
研磨試験と改造複写機による融着発生の有無を評価する
試験とを行った。次に試験前後でのフッ素量を測定し、
フッ素がどれだけ残留しているかを初期からの割合で評
価した。フッ素量の測定には、X線光電子分光法(XP
S)を用い、極表面近傍(〜50Å)のフッ素量を測定
した。結果としては試験後の値と初期の値との比を取っ
て表した。以上の評価で得られた諸特性の結果を表7に
示す。
【0036】(比較例2)図2に記載のプラズマCVD
装置を用いて、円筒形のAl基体上に、表1に示した条
件で下部阻止層、光導電層を堆積し、図2に記載のプラ
ズマCVD装置を用いて、表3に示した条件でフッ素を
膜中に含有した表面層を堆積し、感光体Jを作成した。
また、表面層を表2の条件で堆積した後、表4に挙げた
フッ素化条件で感光体表面をフッ素プラズマに晒してフ
ッ素化し、感光体Kを完成させた。この時、表面層のス
ピン密度とスピン緩和時間が本発明範囲外となるような
作成条件を選んだ。スピン密度とスピン緩和時間につい
ては結果の表中に示した。次に上記の方法で作成したド
ラムに実施例2と同様の評価を施した。得られた特性の
結果を実施例2と合わせて表7に示す。本発明の範囲内
である感光体H,Iを用いた場合(実施例2)では、画
像上にもドラム上にも融着の跡は全く認められなかっ
た。また、フッ素量の測定においては、感光体H,Iの
場合、試験後でもそれぞれ作成直後の80%、75%程
度以上のフッ素が残留している事が分かった。それに対
し、感光体J,Kを用いた場合(比較例2)では、画像
上に微小ながら融着の影響と見られる黒点が観察され
た。また、ドラム上に融着が見られた。フッ素量測定の
結果では、作成直後に存在したフッ素が、試験後には試
験前に比べてそれぞれ20%、15%程度まで減少して
いる。この場合、研磨作用によって表面のフッ素が脱落
し、ダングリングボンドが増え、それが摩擦力を大きく
するという悪循環が生じてしまったため、軽微ながら融
着が発生してしまったと考えられる。実施例2、比較例
2から、更に離型性や滑り性を向上させる目的で導入し
たフッ素でも、スピン密度やスピン緩和時間が本発明範
囲内であるように成膜又は処理した時にのみ効果が維持
出来、本発明範囲外になると効果的でないことが分かっ
た。
装置を用いて、円筒形のAl基体上に、表1に示した条
件で下部阻止層、光導電層を堆積し、図2に記載のプラ
ズマCVD装置を用いて、表3に示した条件でフッ素を
膜中に含有した表面層を堆積し、感光体Jを作成した。
また、表面層を表2の条件で堆積した後、表4に挙げた
フッ素化条件で感光体表面をフッ素プラズマに晒してフ
ッ素化し、感光体Kを完成させた。この時、表面層のス
ピン密度とスピン緩和時間が本発明範囲外となるような
作成条件を選んだ。スピン密度とスピン緩和時間につい
ては結果の表中に示した。次に上記の方法で作成したド
ラムに実施例2と同様の評価を施した。得られた特性の
結果を実施例2と合わせて表7に示す。本発明の範囲内
である感光体H,Iを用いた場合(実施例2)では、画
像上にもドラム上にも融着の跡は全く認められなかっ
た。また、フッ素量の測定においては、感光体H,Iの
場合、試験後でもそれぞれ作成直後の80%、75%程
度以上のフッ素が残留している事が分かった。それに対
し、感光体J,Kを用いた場合(比較例2)では、画像
上に微小ながら融着の影響と見られる黒点が観察され
た。また、ドラム上に融着が見られた。フッ素量測定の
結果では、作成直後に存在したフッ素が、試験後には試
験前に比べてそれぞれ20%、15%程度まで減少して
いる。この場合、研磨作用によって表面のフッ素が脱落
し、ダングリングボンドが増え、それが摩擦力を大きく
するという悪循環が生じてしまったため、軽微ながら融
着が発生してしまったと考えられる。実施例2、比較例
2から、更に離型性や滑り性を向上させる目的で導入し
たフッ素でも、スピン密度やスピン緩和時間が本発明範
囲内であるように成膜又は処理した時にのみ効果が維持
出来、本発明範囲外になると効果的でないことが分かっ
た。
【0037】[実施例3]図2に記載のプラズマCVD
装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体
に下部阻止層、光導電層を順次積層し、図3に記載のプ
ラズマCVD装置を用いて表5に挙げた条件で表面層の
作成を行った。このとき、放電周波数は50、100、
200MHzの3種類を用い、水素ガス流量、高周波電
力を適当な値に設定する事で、表面層のスピン密度とス
ピン緩和時間が本発明範囲内となるような作成条件を選
び、感光体L,M,Nを作成した。次いで、実施例1と
同様の研磨試験と融着評価試験をそれぞれについて行っ
た。得られた結果を表8に示す。この結果と実施例1
(放電周波数13.56MHz)から、表面層作成に用
いる高周波電源の発振周波数や装置間の違いによらず、
本発明の効果が得られるような感光体が作成可能である
ことが分かった。
装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体
に下部阻止層、光導電層を順次積層し、図3に記載のプ
ラズマCVD装置を用いて表5に挙げた条件で表面層の
作成を行った。このとき、放電周波数は50、100、
200MHzの3種類を用い、水素ガス流量、高周波電
力を適当な値に設定する事で、表面層のスピン密度とス
ピン緩和時間が本発明範囲内となるような作成条件を選
び、感光体L,M,Nを作成した。次いで、実施例1と
同様の研磨試験と融着評価試験をそれぞれについて行っ
た。得られた結果を表8に示す。この結果と実施例1
(放電周波数13.56MHz)から、表面層作成に用
いる高周波電源の発振周波数や装置間の違いによらず、
本発明の効果が得られるような感光体が作成可能である
ことが分かった。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】 [実施例4]図2に記載のプラズマCVD装置を用い
て、円筒形のAl基体上に、表1に示した条件で下部阻
止層、光導電層を堆積し、次に表面層を堆積させた。こ
の表面層では表2に示した条件のうち、水素流量と高周
波電力を変化させ、実施例1と同様に表面層のスピン密
度とスピン緩和時間が本発明範囲内となる条件で感光体
Oを作成した。次いで、複写機と同様のレイアウトを持
つドラム専用試験機を用いて、ドラムの感度を測定し
た。プロセススピード400mm/secで回転させ、
コロナ帯電器により表面に400V程度の帯電電位を与
える様にし、この後、露光位置で光量を変化させ、現像
位置で表面電位を測定した。このとき、表面電位が50
Vとなる点での露光光量を感度とする。感度の評価につ
いては従来表面層との比較によって表した。次に上記の
ドラム専用試験機を用い、様々な条件で表面電位の変化
を測定した。ゴースト電位の評価には、ドラム表面を帯
電させた後、露光、除電等の複写プロセスと同等のプロ
セスを経て、一周した後にハーフトーン電位を与え、露
光した部分としなかった部分とでの電位の差を観測する
ことにより得られる。電位の差を画像に換算した場合
に、実用上問題があるかないかを判断した。更に、耐圧
の違いを見る為に、NP6062改造機にて、コロナ帯
電器のグリッドを取り払い、かつ帯電電位を通常より高
めに設定してリークしやすい環境を設定した。このよう
な改造機で複写操作を行い、初期の画像と、1000枚
複写操作した後の画像とを比較して、リークに起因する
白抜け状の画像欠陥(白ポチ)の数をカウントした。評
価に関しては従来表面層で同等の試験を行った場合の数
との比較によって表した。得られた感度の評価結果、ゴ
ースト電位の評価結果、リークに起因する画像欠陥の評
価結果を表9に示す。
て、円筒形のAl基体上に、表1に示した条件で下部阻
止層、光導電層を堆積し、次に表面層を堆積させた。こ
の表面層では表2に示した条件のうち、水素流量と高周
波電力を変化させ、実施例1と同様に表面層のスピン密
度とスピン緩和時間が本発明範囲内となる条件で感光体
Oを作成した。次いで、複写機と同様のレイアウトを持
つドラム専用試験機を用いて、ドラムの感度を測定し
た。プロセススピード400mm/secで回転させ、
コロナ帯電器により表面に400V程度の帯電電位を与
える様にし、この後、露光位置で光量を変化させ、現像
位置で表面電位を測定した。このとき、表面電位が50
Vとなる点での露光光量を感度とする。感度の評価につ
いては従来表面層との比較によって表した。次に上記の
ドラム専用試験機を用い、様々な条件で表面電位の変化
を測定した。ゴースト電位の評価には、ドラム表面を帯
電させた後、露光、除電等の複写プロセスと同等のプロ
セスを経て、一周した後にハーフトーン電位を与え、露
光した部分としなかった部分とでの電位の差を観測する
ことにより得られる。電位の差を画像に換算した場合
に、実用上問題があるかないかを判断した。更に、耐圧
の違いを見る為に、NP6062改造機にて、コロナ帯
電器のグリッドを取り払い、かつ帯電電位を通常より高
めに設定してリークしやすい環境を設定した。このよう
な改造機で複写操作を行い、初期の画像と、1000枚
複写操作した後の画像とを比較して、リークに起因する
白抜け状の画像欠陥(白ポチ)の数をカウントした。評
価に関しては従来表面層で同等の試験を行った場合の数
との比較によって表した。得られた感度の評価結果、ゴ
ースト電位の評価結果、リークに起因する画像欠陥の評
価結果を表9に示す。
【0044】
【表9】 (比較例3)図2に記載のプラズマCVD装置を用い
て、円筒形のAl基体上に、表1に示した条件で下部阻
止層、光導電層を堆積し、次に表面層を堆積させた。こ
の表面層では表2に示した条件のうち、水素流量と高周
波電力を変化させ、比較例1と同様に表面層のスピン密
度とスピン緩和時間が本発明範囲外となる条件で感光体
Pを作成した。次いで、実施例4と同様の評価を行っ
た。得られた結果を実施例4の結果と共に表9に示す。
比較例3ではSiCからなる従来表面層に比べて同等で
あるのに対し、本発明範囲内である実施例4では、従来
表面層よりも感度低下が抑えられている事が分かった。
これは予期せぬ効果であったが、理由としてはダングリ
ングボンドが減ったために結合に寄与する原子が増え、
バルクとして結合力が増した為にバンドギャップが大き
くなり、表面層における損失が減少しているためと考え
られる。また、ゴースト電位評価においては、本発明範
囲外である比較例3では従来の感光体と同等であるのに
対し、本発明範囲内である実施例4では、ゴースト電位
が従来の感光体に比べて小さく、ゴースト現象が起こり
にくい事が分かった。この理由として、高々数千Åしか
ない表面層だけでは説明しにくいので、今のところ原因
不明である。また、耐圧試験においては、本発明範囲外
である比較例3では従来表面層と同等である事が分かっ
た。これに対し、本発明範囲内である実施例4では、白
ポチの発生が非常に少ない事が分かった。試験後にドラ
ムを取り出して顕微鏡観察を行ったところ、比較例3で
は球状突起の縁の部分からリークが起こっているのが観
察されたのにたいし、実施例4では球状突起周辺へのリ
ーク跡はほとんど観察されなかった。この差異の原因と
しては、本発明範囲内の非単結晶炭素膜はカバレッジの
良さに加え、膜の緻密性が向上している為であると考え
られる。この結果、耐圧の向上が見られたと思われる。
て、円筒形のAl基体上に、表1に示した条件で下部阻
止層、光導電層を堆積し、次に表面層を堆積させた。こ
の表面層では表2に示した条件のうち、水素流量と高周
波電力を変化させ、比較例1と同様に表面層のスピン密
度とスピン緩和時間が本発明範囲外となる条件で感光体
Pを作成した。次いで、実施例4と同様の評価を行っ
た。得られた結果を実施例4の結果と共に表9に示す。
比較例3ではSiCからなる従来表面層に比べて同等で
あるのに対し、本発明範囲内である実施例4では、従来
表面層よりも感度低下が抑えられている事が分かった。
これは予期せぬ効果であったが、理由としてはダングリ
ングボンドが減ったために結合に寄与する原子が増え、
バルクとして結合力が増した為にバンドギャップが大き
くなり、表面層における損失が減少しているためと考え
られる。また、ゴースト電位評価においては、本発明範
囲外である比較例3では従来の感光体と同等であるのに
対し、本発明範囲内である実施例4では、ゴースト電位
が従来の感光体に比べて小さく、ゴースト現象が起こり
にくい事が分かった。この理由として、高々数千Åしか
ない表面層だけでは説明しにくいので、今のところ原因
不明である。また、耐圧試験においては、本発明範囲外
である比較例3では従来表面層と同等である事が分かっ
た。これに対し、本発明範囲内である実施例4では、白
ポチの発生が非常に少ない事が分かった。試験後にドラ
ムを取り出して顕微鏡観察を行ったところ、比較例3で
は球状突起の縁の部分からリークが起こっているのが観
察されたのにたいし、実施例4では球状突起周辺へのリ
ーク跡はほとんど観察されなかった。この差異の原因と
しては、本発明範囲内の非単結晶炭素膜はカバレッジの
良さに加え、膜の緻密性が向上している為であると考え
られる。この結果、耐圧の向上が見られたと思われる。
【0045】
【発明の効果】本発明は、以上のように導電性基体にお
ける表面層を、スピン密度が小さく、且つスピン緩和時
間を短くしてなる、少なくとも水素を含む非単結晶炭素
膜で形成して、トナーの離型性と滑り性とを共に向上さ
せることにより、いかなる環境下においてもドラム表面
にトナーの融着を引き起こすことのない耐久性の優れた
感光体を実現することができる。また、本発明による
と、感度が高く、ゴースト現象が起こりにくく、表面電
荷のリークによる画像欠陥が起こらず、高品位な画像が
経時的に変化することなく安定的に得られる電子写真感
光体を実現することができる。
ける表面層を、スピン密度が小さく、且つスピン緩和時
間を短くしてなる、少なくとも水素を含む非単結晶炭素
膜で形成して、トナーの離型性と滑り性とを共に向上さ
せることにより、いかなる環境下においてもドラム表面
にトナーの融着を引き起こすことのない耐久性の優れた
感光体を実現することができる。また、本発明による
と、感度が高く、ゴースト現象が起こりにくく、表面電
荷のリークによる画像欠陥が起こらず、高品位な画像が
経時的に変化することなく安定的に得られる電子写真感
光体を実現することができる。
【図1】図1(a)は本発明における単層型の表面層の
模式的断面図であり、 図1(b)は本発明の機能分離
型の表面層の模式的断面図である。
模式的断面図であり、 図1(b)は本発明の機能分離
型の表面層の模式的断面図である。
【図2】PCVD法により基体上に感光体を形成するた
めの堆積装置の模式図である。
めの堆積装置の模式図である。
【図3】VHF−PCVD法を用いた感光体を形成する
為の堆積装置の模式図である。
為の堆積装置の模式図である。
【図4】電子写真装置の模式的断面図である。
101:導電性基体 102:電荷注入阻止層 103:光導電層 104:表面層 105:電荷輸送層 106:電荷発生層 2100:堆積装置 2110:反応容器 2111:カソード電極 2112:導電性基体 2113:基体加熱用ヒーター 2114:ガス導入管 2115:高周波マッチングボックス 2116:ガス配管 2117:リークバルブ 2118:メインバルブ 2119:真空系 2120:高周波電源 2200:ガス供給装置 2211〜2216:マスフローコントローラー 2221〜2226:ボンベ 2231〜2236:バルブ 2241〜2246:流入バルブ 2251〜2256:流出バルブ 2260:補助バルブ 2261〜2266:圧力調整器 300:VHFを用いた堆積装置(量産型) 301:反応容器 302:排気管 303:放電空間 304:円筒状被成膜基体 305:高周波電源 306:マッチングボックス 307:電極 308(a)、(b):基体ホルダー 309:回転軸 310:モーター 311:ガス導入管 312:ガス導入バルブ 401:感光体 402:主帯電器 403:静電潜像形成部位 404:現像器 405:転写紙供給系 406(a):転写帯電器 406(b):分離帯電器 407:クリーニングローラー 408:搬送系 409:除電光源 410:ハロゲンランプ 411:原稿台 412:原稿 413:ミラー 414:ミラー 415:ミラー 416:ミラー 417:レンズユニット 418:レンズ 419:給紙ガイド 420:ブランク露光LED 421:クリーニングブレード 422:レジストローラー 424:定着器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/205 H01L 21/205
Claims (8)
- 【請求項1】導電性基体上にシリコン原子を母体とする
非単結晶材料で構成された光導電層を有し、該光導電層
上に表面層が形成された電子写真感光体であって、該表
面層がトナーの離型性と滑り性とを共に向上させるため
に、スピン密度が小さく、且つスピン緩和時間を短くし
てなる、少なくとも水素を含む非単結晶炭素膜で形成さ
れていることを特徴とする電子写真感光体。 - 【請求項2】前記非単結晶炭素膜は、スピン密度が1×
1020spins/cm3以下であり、且つスピン緩和
時間が10-2sec以下であることを特徴とする請求項
1に記載の電子写真感光体。 - 【請求項3】前記非単結晶炭素膜は、少なくともフッ素
原子を含む原料ガスによって形成され、フッ素原子を膜
中に含有していることを特徴とする請求項1または請求
項2に記載の電子写真感光体。 - 【請求項4】前記非単結晶炭素膜は、少なくともフッ素
原子を含む原料ガスを分解したプラズマ中でエッチング
することによって、表面付近にフッ素−炭素結合を有し
ていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
の電子写真感光体。 - 【請求項5】前記フッ素原子を含む原料ガスが、CF4
ガスであることを特徴とする請求項3または請求項4に
記載の電子写真感光体。 - 【請求項6】前記表面層は、1〜450MHzの高周波
を用いたプラズマCVD法によって、原料ガスを分解す
ることにより形成されていることを特徴とする請求項1
〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 - 【請求項7】前記表面層は、50〜450MHzの高周
波を用いたプラズマCVD法によって、原料ガスを分解
することにより形成されていることを特徴とする請求項
1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 - 【請求項8】前記電子写真感光体は、前記光導電層と前
記表面層との間に両者の中間の組成をもつバッファ層を
有していることを特徴とする請求項1〜請求項7のいず
れか1項に記載の電子写真感光体。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9113538A JPH10288852A (ja) | 1997-04-14 | 1997-04-14 | 電子写真感光体 |
DE69801131T DE69801131T2 (de) | 1997-04-14 | 1998-04-09 | Lichtempfindliches Element, Verfahren zu dessen Herstellung, Bildherstellungsapparat dieses lichtempfindliche Element umfassend, und Bildherstellungsverfahren |
EP98106550A EP0872771B1 (en) | 1997-04-14 | 1998-04-09 | Photosensitive member, process for its production, image forming apparatus having the photosensitive member, and image forming process |
CN98106915A CN1126991C (zh) | 1997-04-14 | 1998-04-14 | 光敏部件及其制备方法和有该部件的成象装置和成象方法 |
KR1019980013216A KR100289479B1 (ko) | 1997-04-14 | 1998-04-14 | 감광체,그의제조방법,그감광체를갖춘화상형성장치및화상형성방법 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9113538A JPH10288852A (ja) | 1997-04-14 | 1997-04-14 | 電子写真感光体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10288852A true JPH10288852A (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=14614868
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9113538A Pending JPH10288852A (ja) | 1997-04-14 | 1997-04-14 | 電子写真感光体 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0872771B1 (ja) |
JP (1) | JPH10288852A (ja) |
KR (1) | KR100289479B1 (ja) |
CN (1) | CN1126991C (ja) |
DE (1) | DE69801131T2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011187722A (ja) * | 2010-03-09 | 2011-09-22 | Fujitsu Ltd | 電子デバイスの製造方法 |
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