JPH11184121A - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11184121A
JPH11184121A JP35344997A JP35344997A JPH11184121A JP H11184121 A JPH11184121 A JP H11184121A JP 35344997 A JP35344997 A JP 35344997A JP 35344997 A JP35344997 A JP 35344997A JP H11184121 A JPH11184121 A JP H11184121A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
etching
surface layer
photoreceptor
hydrogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35344997A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Aoki
誠 青木
Junichiro Hashizume
淳一郎 橋爪
Shigenori Ueda
重教 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP35344997A priority Critical patent/JPH11184121A/ja
Publication of JPH11184121A publication Critical patent/JPH11184121A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 いかなる環境下においても、トナーの融着が
起こらず、かっその特性を維持するに足る高耐久性を有
し、電位特性の変動が少なく高品位な画像が安定的に得
られ、ゴースト現象の起こらない電子写真感光体とその
製造方法を提供する。 【解決手段】 減圧可能な反応容器内で、高周波電力を
印加するカソード電極とこのカソード電極に対向する導
電性基体との間にプラズマを発生させ基体をプラズマ処
理するプラズマ処理装置を用いて、被処理基体上にシリ
コン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電
層を堆積し、この光導電層の上に少なくとも水素原子を
含む非単結晶炭素から成る表面層を原料ガスとして少な
くとも炭化水素系のガスを用いて設ける際、成膜とエッ
チングを同時に生起させ、このエッチング作用によって
表面の凹凸を制御し、基準長さを5μmとした場合の表
面粗さRzが2000Å未満に抑えることを特徴とする
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真プロセスに
おいて、いかなる環境下においてもトナー融着による画
像欠陥が生じず、高品質な画像が得られ、かつその特性
を維持するに足る高耐久性を有し、電位特性の変動が少
なく、高品位な画像が安定して得られ、ゴースト現象を
起こさない電子写真感光体、及びその性能を再現性よく
製造するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体に用いる素子部材の技術
としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、フタ
ロシアニン、アモルファスシリコン(以下a−Siと記
す)等、各種の材料が提案されている。中でもa−Si
に代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶質堆
積膜、例えば水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、
塩素等)で補償されたa−Si等のアモルファス堆積膜
は高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、そ
の幾つかは実用化されている。特開昭54−86341
号公報には、光導電層を主としてa−Siで形成した電
子写真感光体の技術が開示されている。
【0003】こうした堆積膜の形成法として従来、スパ
ッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱C
VD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD
法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズ
マCVD法)等、多数知られている。中でもプラズマC
VD法、即ち直流、高周波(RF,VHF)又はマイク
ロ波を用い、原料ガスをグロー放電等によって分解し、
ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、
アルミニュウム等の基体上に薄膜状の堆積膜を形成する
方法は、電子写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成
方法等において現在、実用化が非常に進んでおり、その
ための装置も各種提案されている。更に、近年では膜質
及び処理能力の向上に対する要望が強くなっており様々
な工夫も検討されている。
【0004】近年、平行平板型のプラズマCVD装置を
用いて50MHz以上の高周波電源を用いたプラズマC
VD法の報告があり(Plasma Chemistr
yand Plasma Processing,Vo
l.7,No3(1987)p267−273)、放電
周波数を従来の13.56MHzより高くすることで堆
積膜の性能を落とさずに堆積速度を向上させる可能性が
示されており、注目されている。又、この放電周波数を
高くする報告はスパッタリング等でもなされ、近年広く
検討されている。
【0005】また、表面層に関しても様々な検討がされ
ている。例えばa−C又はDLCと呼ばれる非晶質炭素
を表面層とする方法が提案されており、特開昭57−1
14146公報を始め多くの開示がある。また、特開昭
64−84257公報には、フッ素を含んだアモルファ
スカーボンからなる表面層の表面に、深さが0.1〜
0.5μm、幅が0.1〜1μmの凹凸を持つことを特
徴とする電子写真感光体及びその製造方法が開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年では、複写画像に
対する要求の高まりから、さらに高画質を安定して供給
する技術が切望されている。複写機に対して更に高精細
化、高速化、ディジタル化、小型化、低コスト化など、
様々な要求が高まる中で、高精細化に関してはトナーの
小粒径化が進められ、コールターカウンター等による重
量平均粒径が0.005〜0.008mmであるものが
多く使われるようになってきた。高速化に当たって、こ
れらの小粒径トナーの定着性を向上させる必要がある
が、相反する性質である感光体への融着に対しては不利
である。また粒径が小さいということ自体も、融着に対
しては不利な方向に向かう。すなわち、粒径の小さいト
ナーをクリーニングする際には、トナーのすり抜けを防
止するためにブレードの押し当て圧を変える等の必要が
あるが、高速プロセスとあいまって摩擦力が大きく増大
するため、融着の発生しやすい状況になっているといえ
る。
【0007】トナーがドラム表面に融着すると融着部分
では像露光が透過しないために潜像が形成されず、画像
上に微小な黒点となって現れる。また、一旦融着が発生
すると、初期には複写画像に現れなくても、複写操作を
重ねるうちに回転方向に融着が成長し、線状の画像欠陥
が生じてくる。成長した融着を除去するためにはアルミ
ナ粉等で研磨するしかないが、実際上ドラムを交換する
ことになりランニングコストを大きく引き上げる結果と
なる。このため、トナー融着の発生、成長を防止するこ
とが低ランニングコストを進める上での必須条件とな
る。
【0008】トナー融着を発生させないためには、感光
体にトナーを付着させにくくするために表面を改質した
り、付着してしてしまったトナーを削りとる能力を高め
るためにブレードの硬度を高める等の対策が考えられ
る。ブレードの高硬度化を進める場合、特性としてはゴ
ム的状態からガラス的状態に近づくため、材質としては
脆くなりブレードの欠け等が生じてクリーニング不良を
起こす可能性が出てきた。しかし、プロセススピードが
上昇するにつれて摩擦力が増大し研磨力が高まるため、
表面層の材料を慎重に選ばない限り、表面を改質して効
果を高めても削れてしまう可能性が生じてきた。
【0009】そこで小粒径トナーを用いた高速プロセス
のように、ドラム表面に過酷な条件においても高硬度で
削れず、且つトナーの融着を引き起こさない改質された
表面層を持ち、且つその機能が長期間、大量枚数の複写
操作によっても劣化しない感光体が望まれてきた。
【0010】また、近年の複写画像に対する要求の高ま
りから、高画質を安定して供給する技術が切望されてい
る。複写機の用途が文字中心の複写原稿から写真等の画
像に移り、ハーフトーンを多用する複写原稿が増えてき
たため、濃度の安定性については、以前に増して厳しい
基準が要求されるようになってきた。このように同一の
帯電を行いたいときに帯電電位が時間的に変動してしま
う場合、その電位の変動分を電位シフトと呼び、これが
小さいほど高安定であると言える。
【0011】写真原稿に関しては、濃度の安定性と共に
ゴースト現象に対しても要求が厳しいものとなる。ハー
フトーンの部分は特にゴーストによる影響を受けやすい
ためである。ここでゴーストとは、前回複写したイメー
ジが薄く顕在化してしまう現象であるが、ハーフトーン
電位を与えた時にゴーストが起きている部分の電位と起
きていない部分の電位との差をゴースト電位と呼び、こ
れが小さいほどゴーストが起きないことを示している。
【0012】これまでにも様々な方法によって電位シフ
トやゴースト電位をより小さくする試みがなされている
が、更に向上させることのできる技術が切望されてい
る。
【0013】本発明の目的は、いかなる環境下において
も、高精細で高品質な画像が得られ、ドラム表面へのト
ナーの融着を引き起こすことなく、かつその特性を維持
するに足る高耐久性を有する電子写真感光体とその製造
方法を提供することにある。また、本発明の他の目的と
して、電位シフトやゴーストの無い高品位な画像が経時
的に変化することなく安定的に得られる電子写真感光体
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、本発明では以下のような特徴を持つ電子写真感光
体及びその製造方法を提供する。 1. 導電性基体上にシリコン原子を母体とする非単結
晶材料からなる光導電層が堆積され、該光導電層の上
に、少なくとも水素原子を含む非単結晶炭素から成る表
面層が原料ガスとして少なくとも炭化水素系のガスを用
いて作成された電子写真感光体であって、該表面層作成
時に、気相中のエッチング作用によって表面の凹凸が制
御され、基準長さを5μmとした場合の表面粗さRzが
2000Å未満であることを特徴とする電子写真感光
体。 2. 前記エッチング作用が、水素ラジカルによってな
されたことを特徴とする上記1に記載の電子写真感光
体。 3. 前記エッチング作用が、フッ素を含むラジカルに
よってなされたことを特徴とする上記1に記載の電子写
真感光体。 4. 前記表面層が、1〜450MHzの高周波を用い
たプラズマCVD法によって作成されたことを特徴とす
る上記1乃至3に記載の電子写真感光体。 5. 前記プラズマCVD法に用いる高周波の周波数が
50〜450MHzであることを特徴とする上記4に記
載の電子写真感光体。 6. 前記非単結晶炭素膜からなる表面層に含まれる水
素量が、全原子に対して20原子%以上60原子%以下
であることを特徴とする上記1乃至5に記載の電子写真
感光体。 7. 前記感光体を回転させ、平均粒度8μmのSiC
研磨テープを用い、該感光体表面の移動速度を320m
m/sec、該テープが感光体に接触する際の圧力を1
5gf/cm2 とする研磨条件で研磨した場合の、1回
転当たりの研磨レートが0.25Å(0.25Å/回
転)以下であることを特徴とする上記1乃至6に記載の
電子写真感光体。 8. 前記導電性基体と、前記光導電層との間に、電荷
注入阻止層が設けられたことを特徴とする上記1乃至7
に記載の電子写真感光体。 9. 前記光導電層と、前記表面層との間にバッファ層
が設けられたことを特徴とする上記1乃至8に記載の電
子写真感光体。 10. 減圧可能な反応容器内で、高周波電力を印加す
るカソード電極と該カソード電極に対向する導電性基体
との間にプラズマを発生させ基体をプラズマ処理するプ
ラズマ処理装置を用いて、被処理基体上にシリコン原子
を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を堆積
し、該光導電層の上に原料ガスとして少なくとも炭化水
素系のガスを用い、少なくとも水素原子を含む非単結晶
炭素から成る表面層を設ける際、気相反応によって成膜
とエッチングを同時に生起させ、該エッチング作用によ
って表面の凹凸を制御し、基準長さを5μmとした場合
の表面粗さRzを2000Å未満に抑えることを特徴と
する電子写真感光体の製造方法。 11. 前記表面層を、1〜450MHzの高周波を用
いたプラズマCVD法によって作成することを特徴とす
る上記10に記載の電子写真感光体の製造方法。 12. 前記プラズマCVD法に用いる高周波の周波数
が50〜450MHzであることを特徴とする上記11
に記載の電子写真感光体の製造方法。 13. 前記エッチング作用を促進するために、エッチ
ングに用いるガスを前記反応容器外に設けられた励起源
によって励起し、励起された活性種を前記カソード電極
と前記導電性基体との間に導入することを特徴とする上
記10乃至12に記載の電子写真感光体の製造方法。 14. 前記活性種が、水素ラジカルであることを特徴
とする上記13に記載の電子写真感光体の製造方法。 15. 前記活性種が、フッ素を含むラジカルであるこ
とを特徴とする上記13に記載の電子写真感光体。 16. 前記反応容器外に設けられた前記励起源が、マ
イクロ波であることを特徴とする上記13乃至15に記
載の電子写真感光体の製造方法。 17. 前記励起源によって励起されるガスが、不活性
ガスで希釈されることを特徴とする上記13乃至16に
記載の電子写真感光体の製造方法。
【0015】以下に問題を解決するに至った経緯を説明
する。
【0016】本発明者らは、問題を解決するために表面
層に着目し、高硬度なため高耐久性が期待できる非単結
晶炭素(主にa−Cと呼ばれる非晶質を指し、多結晶や
微結晶を含んでいてもよい)を出発点として実験を行っ
た。
【0017】本発明者らは様々な成膜条件で成膜を行
い、鋭意検討したところ、非単結晶炭素膜が成長する
際、成膜中にエッチングを積極的に施すと融着特性が向
上することを偶然見出した。
【0018】そこで本発明者らは、図2に示したような
装置を用いて、膜の成長とエッチングとをある程度独立
して制御することにより、エッチングを積極的に行い、
その効果を確かめた。具体的には、通常用いられている
容量結合型の堆積装置を改造し、外部においてマイクロ
波等の独立した励起源によって水素、フッ素などのエッ
チング作用のあるガスを励起し、その導入量を変化させ
ることでエッチング量を制御した。
【0019】この装置により、成膜中に同時にエッチン
グを行って作成した感光体を用いて融着促進耐久を行っ
たところ、融着特性が向上していくことが確かめられ
た。
【0020】更に、上記の方法で作成した感光体につい
て、融着に影響を及ぼすと考えられる表面性を、原子間
力顕微鏡(AFM)を使って詳しく調べた。その結果、
融着特性の良好な表面では、5μm四方の視野において
十点平均粗さ(Rz)が2000Å未満であり、比較的
緩やかな曲面で覆われた形状であることが分かった。
【0021】以上の実験から、成膜中にエッチングを積
極的に伴わせることで、何らかの膜物性の改質や、表面
性の制御などが効果的に組み合わされ、それによっては
じめて融着特性が向上することが明らかとなった。
【0022】この理由としてはまだ明らかではないが、
次のように考えている。
【0023】プラズマCVDによって非単結晶炭素膜を
作成する際には、気相中で分解された活性種(イオンや
ラジカル)が表面に吸着・結合し、堆積されていくと考
えられる。しかし、特に炭化水素系のガスプラズマで
は、気相中でポリマライズしやすく、大きなクラスタ等
も同時に表面に堆積してしまう。これらのクラスタは、
化学的な結合をせず、ファン・デル・ワールス力のよう
な、弱い付着力によって表面にとどまっているだけであ
るが、通常の成膜方法ではこれらのクラスタを排除する
ことはできず、膜中に取り込みながら堆積が進む。この
ようなクラスタを含んだ膜は、硬度的に劣ったものにな
る。
【0024】通常のプラズマCVD法により作成された
膜をAFMで観察すると、直径が数十から数百ナノメー
トルの微小な凹凸が観察される。これらの発生原因とし
て、気相中でポリマライズしたクラスタが常に膜表面に
供給され、成長中に膜中への取り込みが行われているの
ではないかと考えられる。
【0025】このような系に対し、本発明のように、成
膜とエッチングが同時に進行する系では、弱い付着力で
膜表面に付着したクラスタを容易に排除することが可能
である。AFM観察によれば、膜表面には前述した微小
な凹凸は少なく、滑らかな曲面から成り立っていること
が分かっている。
【0026】このように表面をエッチングしながら成長
することによって、異常成長を抑制し、活性種からの成
長のみが優先されるため、膜の硬度が向上する。また、
表面に微小な凹凸がほとんどないことから、表面の摩擦
係数は非常に低く、アンカー効果も期待できないために
物質が付着しにくい。その結果、トナー成分の付着を抑
制するために融着の開始点を供給せず、アンカー効果が
得られないために成長も起こらず、高硬度で削れにくい
ために耐久性が良好で、摩擦係数が低いためにクリーニ
ング機構にかかる負荷が低減でき、長寿命化が可能にな
る。
【0027】前述したような、直径数十〜数百ナノメー
トルという微小な突起は、例えば機械的な研磨では除去
することが難しい。また、成膜が終了した後で表面をエ
ッチングしたとしても、膜中にポリマライズしたクラス
タが分散したような形態の膜では、いくらエッチングし
ても膜中のクラスタを除去することは不可能である。よ
って、成膜中に、成膜とエッチングとが同時に起こるよ
うな方法で堆積膜を形成することではじめて、本発明の
効果が特異的に得られたと考えられる。
【0028】また、予期せぬ効果として、電位シフト及
びゴースト現象の改善が見られた。この予期せぬ効果に
関しては、およそ次のように考えている。一般にこれら
の電位特性に関しては、膜中に電荷がトラップされるた
めに生じる。前述したように、強固な結合を伴わずに膜
中に埋め込まれたクラスターが散在している場合、電荷
のトラップが豊富に存在する。電荷の移動に特に重要と
考えられる光導電層〜表面層界面にも、これらのクラス
タの影響が考えられる。
【0029】本発明では、成膜と同時にエッチングが起
こっており、膜中や界面に電荷をトラップするような欠
陥が非常に少ない。このことが電位特性を改善したもの
と考えている。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に図面を用いて本発明を具体
的に説明する。図1は本発明による電子写真感光体を説
明する模式図である。図1(a)には光導電層を機能分
離していない単層型と呼んでいる感光体で、基体101
の上に電荷注入阻止層102、少なくとも水素を含むa
−Siからなる光導電層103、成膜とエッチングとを
同時に進行させて作成した非単結晶炭素からなる表面層
104が順に積層された感光体である。
【0031】図1(b)には光導電層を電荷発生層と電
荷輸送層の2つに機能分離しているため、機能分離型と
呼んでいる感光体を示している。基体101の上に必要
に応じて電荷注入阻止層102を設け、その上に電荷輸
送層105、電荷発生層106の機能分離された、少な
くとも水素を含むa−Siからなる光導電層103が堆
積され、その上に非単結晶炭素からなる表面層104が
積層されている。ここで電荷輸送層105と電荷発生層
106の位置関係はいかなるものでも使用できる。ま
た、機能分離を組成変化で行う場合に、その組成変化を
連続的に行ってもよい。
【0032】図1(a)、(b)に挙げた感光体におい
て、それぞれの層は連続的な組成変化を伴ってもよく、
明確な界面を持たなくてもよい。また、電荷注入阻止層
102は必要に応じて省略してもよい。また、光導電層
103と非単結晶炭素からなる表面層104との間に
は、密着性向上等の目的で必要に応じて中間層を設けて
もよい。中間層の材料としては光導電層103と表面層
104との中間の組成を持ったSiC層が挙げられる
が、あるいはSiO,SiNなどを用いてもよい。また
中間層は組成を連続的に変化させてもよい。
【0033】ここで言う非単結晶炭素とは、黒鉛(グラ
ファイト)とダイヤモンドとの中間的な性質を持つアモ
ルファス状の炭素を主に表しているが、微結晶や多結晶
を部分的に含んでいてもよい。これらはプラズマCVD
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によ
って作成可能であるが、プラズマCVD法を用いて作成
した膜は透明度、硬度共に高く、電子写真感光体の表面
層として用いるには好ましい。
【0034】非単結晶炭素膜を作成する際のプラズマC
VD法に用いる放電周波数としてはいかなる周波数も用
いることができる。工業的にはRF、VHF周波数帯と
呼ばれる1〜450MHz、特に13.56MHzの高
周波を好適に用いることができる。特に50〜450M
HzのVHFと呼ばれる周波数帯の高周波を用いる場合
には、透明度、硬度共に更に高くできるので、表面層と
しての使用に際してはより好ましい。
【0035】本発明の効果を得るために用いられるガス
としてはCH4 、C22 、C2 4 、C26 、C3
8 、C410等の炭化水素、あるいは幾つかの水素を
フッ素で置換した弗化炭化水素等、プラズマ化で活性な
炭素ラジカルを生成できるものであればいかなるもので
も使用可能である。またこれらのガスを混合したもの、
あるいは希ガス等の他のガスで希釈したものでも使用で
きる。特に不飽和度の高いガスの中には、単独では良質
の膜が得られないこともあるため、その場合には水素ガ
スや不活性ガスで希釈する必要がある。
【0036】一般に非単結晶炭素膜は、ガス流量比、圧
力、成膜時の温度、高周波電力によって、含有する水素
量を制御することが可能であるが、本発明の効果を得る
ためには、全原子に対する水素の割合を20原子%〜6
0原子%に設定することが最も望ましい。20原子%よ
りも水素量が少ない場合、炭素骨格の歪みは大きく、膜
中に内包する歪みや電荷のトラップをエッチングで除去
することが難しくなる。逆に水素含有量が60原子%を
超えるような非単結晶炭素膜の場合、エッチングの効果
をもってしても膜の硬度を上げることが難しく、表面層
に要求される耐久性の点では望ましくない。
【0037】エッチングを伴う膜成長に関しては、図2
に挙げたように、外部からエッチング性のガスを励起さ
せて、エッチング性の活性種を積極的に導入することに
よって実現可能である。エッチング作用が期待できる活
性種としては、水素ラジカル、フッ素などのハロゲンラ
ジカル等が考えられるが、アルゴンなどの希ガスをイオ
ン化し、バイアスをかけることで物理的なスパッタ効果
によってエッチングすることも可能である。この時、エ
ッチングの速度を制御することで表面粗さの制御が可能
となり、表面粗さが2000Å未満の非単結晶炭素膜を
得ることができる。
【0038】前に挙げたエッチング方法のうち、水素ラ
ジカルによるエッチングが、膜の硬度、透明度、水素量
等に対して制御性がよく、最も好ましい。
【0039】外部から活性種の供給を行う場合、ガスの
解離に使用できる放電周波数としてはいかなる周波数も
用いることができるが、工業的に用いやすい2.45G
Hzのマイクロ波を用いた場合には、ガスを解離する能
力が極めて高く、活性種生成の効率を高くすることがで
きるためより好ましい。また、電力投入量を大きくし、
解離のための予備室を工夫することによって、やはり工
業的に用いやすい13.56MHzの高周波や、50〜
450MHzのVHF帯も用いることが可能である。
【0040】また、活性種の自由度を広げるために、利
用するガスを適宜混合してもよい。具体的には、水素ラ
ジカルを使用する場合、不活性ガスであるHe、Ne、
Ar、N2 の内いずれかを水素ガスと混合してから励起
を行ってもよい。
【0041】一方、このような外部からの特別な付加装
置を用いない場合には、本発明の非単結晶炭素膜を作成
することは非常に困難である。しかし、非常に限定され
た条件を用い、成膜とエッチングが同時に進行するよう
に工夫すれば、本発明の非単結晶炭素膜を得ることは不
可能ではない。
【0042】図2は、本発明の高周波電源を用いたプラ
ズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に
示した図である。
【0043】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガスの供給装置2200および反応容器211
0内を減圧するための排気装置(図示せず)から構成さ
れている。堆積装置2100中の反応容器2110内に
はアースに接続された円筒状被成膜基体2112、円筒
状被成膜基体の加熱用ヒーター2113、原料ガス導入
管2114が設置され、更に高周波マッチングボックス
2115を介して高周波電源2120が接続されてい
る。
【0044】また、外部から積極的に活性種を導入した
い場合には、2121〜2125からなる付加装置を必
要に応じて用いてもよい。水素ガス、弗化炭素、あるい
は不活性ガスで希釈された水素ガス等の供給手段(ボン
ベ)2122からガス導入路2121を介して反応容器
内に導入する。ガス導入路2121は反応容器2110
の直前で導波管2124と交差する形で反応領域を形成
し、エッチング用ガスはマイクロ波電源2123から導
入されるマイクロ波によって励起、解離され、活性種と
なる。2125はマッチング制御部を表している。
【0045】図2では、エッチング性活性種供給源とし
て、マイクロ波を用いているが、RF,VHFを用いた
誘導結合型励起、あるいは熱フィラメントによる解離を
行ってもよく、エッチング性の活性種を生成できればい
かなる形態でもよい。
【0046】原料ガス供給装置2200は、SiH4
2 ,CH4 ,NO,B26 等の原料ガスボンベ22
21〜2226とバルブ2231〜2236、2241
〜2246、2251〜2256及びマスフローコント
ローラー2211〜2216から構成され、各構成ガス
のボンベはバルブ2260を介して反応容器2110内
のガス導入管2114に接続されている。
【0047】本発明で使用される高周波電源の出力は1
0W〜5000W以上の範囲で使用する装置に適した電
力を発生することができれば、いかなる出力のものであ
っても使用できる。更に、高周波電源の出力変動率は、
いかなる値であっても本発明の効果を得ることができ
る。
【0048】使用されるマッチングボックスは2115
は高周波電源2120と負荷の整合を取ることができる
ものであればいかなる構成のものでも好適に使用でき
る。整合を取る方法としては、自動的に調整されるもの
が好適であるが手動で調整されるものであっても本発明
の効果には全く影響はない。
【0049】高周波電力が印加されるカソード電極21
11の材質としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、
鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チ
タン、ステンレス及び、これらの材料の2種類以上の複
合材料等が使用できる。カソード電極の形状は円筒形状
が好ましいが必要に応じて楕円形状、多角形状を用いて
もよい。カソード電極2111は必要に応じて冷却手段
を設けてもよい。具体的な冷却手段としては水、空気、
液体窒素、ペルチェ素子等による冷却が必要に応じて用
いられる。
【0050】本発明に用いる円筒状被成膜基体2112
は、使用目的に応じた材質や形状を有するものであれば
よい。例えば、形状に関しては、電子写真用感光体を製
造する場合には、円筒状が望ましいが、必要に応じて平
板状や、その他の形状であってもよい。又、材質は、
銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバ
ルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス及
び、これらの材料の2種類以上の複合材料、更にはポリ
エステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロー
スアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、石英、セラミ
ックス、紙などの絶縁材料に導電性材料を被覆したもの
などが使用できる。
【0051】表面形状としては比較的大きい周期での凹
凸に関しては、融着特性や耐久性を劣化させないため、
干渉防止等の目的でバイト切削、ディンプル加工等を併
用することが可能である。本発明の効果は、電子写真感
光体の最表面の粗さを基準長さ5μmとした場合に、R
zが2000Å未満であれば得ることができる。成膜に
よって表面を平坦化させることができるため、成膜前の
基体表面の粗さに関してはそれほど敏感ではない。
【0052】以下、図2に示す装置を用いた感光体の形
成方法の手順の一例について説明する。反応容器211
0内に円筒状被成膜基体2112を設置し、不図示の排
気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2110内
を排気する。続いて円筒状被成膜基体加熱用ヒーター2
113により円筒状被成膜基体2112の温度を200
℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0053】感光体形成用の原料ガスを反応容器211
0内に流入させるにはガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ2117が閉じられて
いること、および流入バルブ2241〜2246、流出
バルブ2251〜2256、補助バルブ2260が開か
れていることを確認し、メインバルブ2118を開いて
反応容器2110及びガス供給配管2116を排気す
る。
【0054】次に真空系2119の読みが5×10ー4
aになった時点で補助バルブ2260、流出バルブ22
51〜2256を閉じる。その後ガスボンベ2221〜
2226より各ガスをバルブ2231〜2236を開い
て導入し圧力調整器2261〜2266により各ガス圧
を2kg/cm2 に調整する。次に流入バルブ2241
〜2246を徐々に開けて各ガスをマスフローコントロ
ーラー2211〜2216内に導入する。
【0055】以上の手順によって成膜準備を完了した
後、円筒状被成膜基体2112上に光導電層の形成を行
う。円筒状被成膜基体2112が所定の温度になったと
ころで、各流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものと補助バルブ2260とを徐々に開き、各ガスボ
ンベ2221〜2226から所定の原料ガスをガス導入
管2114を介して反応容器2110内に導入する。次
に、各マスフローコントローラー2211〜2216に
よって、各原料ガスが所定の流量になるように調整す
る。その際、反応容器2110内が133Pa以下の所
定の圧力になるように、真空計2119を見ながらメイ
ンバルブ2118の開口を調整する。内圧が安定したと
ころで、高周波電源2120を所望の電力に設定して高
周波マッチングボックス2115を通じてカソード電極
2111に供給し高周波グロー放電を生起させる。この
放電エネルギーによって反応容器2110内に導入させ
た各原料ガスが分解され、円筒状被成膜基体2112上
にシリコン原子を主成分とする所定の堆積膜が形成され
る。所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給
を止め、各流出バルブ2251〜2256を閉じて反応
容器2110への各原料ガスの流入を止め、堆積膜の形
成を終える。
【0056】本発明の表面層を形成する場合も基本的に
は上記の操作を繰り返して成膜ガスを供給すればよい。
具体的には各流出バルブ2251〜2256のうちの必
要なものと補助バルブ2260とを徐々に開き、各ガス
ボンベ2221〜2226から表面層に必要な原料ガス
をガス導入管2114を介して反応容器2110内に導
入する。次に、各マスフローコントローラー2211〜
2216によって、各原料ガスが所定の流量になるよう
に調整する。その際、反応容器2110内が133Pa
以下の所定の圧力になるように、真空計2119を見な
がらメインバルブ2118の開口を調整する。内圧が安
定したところで、高周波電源2120を所望の電力に設
定して高周波電力を高周波マッチングボックス2115
を通じてカソード電極2111に供給し高周波グロー放
電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器
2110内に導入させた各原料ガスが分解され、表面層
が形成される。所望の膜厚の形成が行われた後、高周波
電力の供給を止め、各流出バルブ2251〜2256を
閉じて反応容器2110への各原料ガスの流入を止め、
表面層の形成を終える。
【0057】前述したように、積極的に外部からエッチ
ング性の活性種を供給したい場合には、水素、弗化炭
素、あるいは不活性ガスで希釈された水素ガス等のエッ
チング性のガス2122から、ガス導入路2121を通
じ、マイクロ波電源2123からのマイクロ波を導波管
2124を通して与えることでラジカル化し、反応容器
2110に導入する。
【0058】膜形成を行っている間は円筒状被成膜基体
2112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回
転させてもよい。
【0059】図3は前記、図2とは別形態のプラズマC
VD法による電子写真感光体の形成装置(量産型)の一
例の模式図である。図3はその反応容器部の断面図を示
している。図3においても、外部からの水素ラジカル供
給装置は、図2と同様の形態で付加することが可能であ
る。
【0060】図3において300は反応容器であり、真
空気密化構造を成している。302は一端が反応容器3
01内に開口し、他端が排気装置(図示せず)に連通し
ている排気管である。303は円筒状被成膜基体304
によって囲まれた放電空間を示す。高周波電源305
は、高周波マッチングボックス306を介して電極30
7に電気的に接続されている。円筒状被成膜基体304
はホルダー308(a)(b)にセットした状態で回転
軸309に設置される。必要に応じてモーター310で
回転できるようになっている。
【0061】原料ガス供給装置(不図示)は、図2に示
した2200と同様のものを用いればよい。各構成ガス
は混合され、バルブ312を介して反応容器301内の
ガス導入管311に接続されている。
【0062】本形成装置の高周波電源の出力は10W〜
5000W以上の範囲で使用する装置に適した電力を発
生することができれば、いかなる出力のものであっても
使用できる。更に、高周波電源の出力変動率は、いかな
る値であっても本発明の効果を得ることができる。
【0063】使用されるマッチングボックス306は高
周波電源305と負荷の整合を取ることができるもので
あればいかなる構成のものでも好適に使用できる。整合
を取る方法としては、自動的に調整されるものが好適で
あるが、手動で調整されるものであっても本発明の効果
には全く影響はない。
【0064】高周波電力が印加される電極307の材質
としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケ
ル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステ
ンレス及び、これらの材料の2種類以上の複合材料等が
使用できる。形状は円筒形状が好ましいが必要に応じて
楕円柱状、多角形柱状を用いてもよい。
【0065】電極307は必要に応じて冷却手段を設け
てもよい。具体的な冷却手段としては水、空気、液体窒
素、ペルチェ素子等による冷却が必要に応じて用いられ
る。
【0066】外部から積極的にエッチング性活性種を導
入したい場合には、313〜316からなる付加装置を
必要に応じて用いてもよい。水素ガス、弗化炭素、ある
いは不活性ガスで希釈された水素ガス313をガス導入
路を介して反応容器内に導入する。ガス導入路は反応容
器301の直前で導波管315と交差する形で反応領域
を形成し、エッチング性ガスはマイクロ波電源314か
ら導入されるマイクロ波によって励起、解離され、エッ
チング性活性種となる。316はマッチング制御部を表
している。
【0067】本発明に用いる円筒状被成膜基体304
は、使用目的に応じた材質や形状を有するものであれば
よい。例えば、形状に関しては、電子写真用感光体を製
造する場合には、円筒状が望ましいが、必要に応じて平
板状や、その他の形状であってもよい。材質は、銅、ア
ルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、
鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス及び、こ
れらの材料の2種類以上の複合材料、更にはポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセ
テート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリスチレン、ガラス、石英、セラミック
ス、紙などの絶縁材料に導電性材料を被覆したものなど
が使用できる。
【0068】図4は電子写真装置の画像形成プロセスの
一例を示す概略図であって、感光体401は矢印X方向
に回転する。感光体401の周辺には、主帯電器40
2、静電潜像形成部位403、現像器404、転写紙供
給系405、転写帯電器406(a)、分離帯電器40
6(b)、クリーナー407、搬送系408、除電光源
409等が配設されている。
【0069】以下、さらに具体的に画像形成プロセスを
説明すると、感光体401は高電圧を印加した主帯電器
402により一様に帯電され、これに静電潜像部位、す
なわちランプ410から発した光が原稿台ガラス411
上に置かれた原稿412に反射し、ミラー413、41
4、415を経由し、レンズユニット417のレンズ4
18によって結像され、ミラー416を経由して導かれ
投影されて静電潜像が形成される。この潜像に現像器4
04からネガ極性トナーが供給されてトナー像が形成さ
れる。
【0070】一方、転写紙供給系405を通って、レジ
ストローラー422によって先端タイミングを調整さ
れ、感光体401方向に供給される転写材Pは高電圧を
印加した転写帯電器406(a)と感光体401の間隙
において背面から、トナーとは逆極性の正電界を与えら
れ、これによって感光体表面のネガ極性のトナー像は転
写材Pに転写する。次いで、高圧AC電圧を印加した分
離帯電器406(b)により、転写材Pは転写搬送系4
08を通って定着装置424に至り、トナー像が定着さ
れて装置外に搬出される。
【0071】感光体401上に残留するトナーはクリー
ニングユニット407のマグネットローラー407及
び、クリーニングブレード421によって回収され、残
留する静電潜像は除電光源409によって消去される。
【0072】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれによりなんら限定されるものでは
ない。
【0073】実施例1 図2に示したプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、その上に表2に示した条件で、エッチ
ング性活性種として、水素ラジカルを外部から供給し、
成膜とエッチングとが同時に進行するような条件で非単
結晶炭素膜を堆積させた。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】 この時、外部から供給する水素ラジカルの量を50c
c、100cc、200ccと変化させ、これを供給し
ない場合(比較例1の中に挙げる)との膜厚差からエッ
チング量並びにエッチングレートを測定、算出し、5μ
m四方の視野における表面粗さについても測定、算出し
た。
【0076】更にこのドラムについて、特性把握のため
以下のような評価を行った。 (1)研磨レートの測定 得られた感光体の削れに対する耐久性を調べるため、複
写機での耐久試験の代用加速試験として、表面を機械的
にある程度強く摩擦し、長期使用後の特性を推定した。
まず、ドラムをプロセススピード320mm/secで
回転させ、それにトナーと同程度の平均粒度(8μm)
のSiC研磨テープ(富士フィルム製LT−C200
0)を接触させ、接触面の上から3φ、幅20mmの平
行ピンで抑え、ニップ幅2mmとし、600gの荷重を
かけて摩擦した。また研磨テープは1mm/sec程度
で常に動かしており、常に新しい面を供給して研磨力を
一定に保ち、研磨屑の影響が出ないように工夫した。こ
のような研磨を5000回転分(108Φの円筒形Al
基体を用いた場合、上記のプロセススピードで約94分
間回転させた分)行った後、研磨量を反射分光計にて測
定し、研磨量を総回転数で割った研磨レートを見積っ
た。 (2)トナー融着の評価 キヤノン社製のNP6060を改造した改造機を用い
て、融着に対して厳しい条件(融着の出やすい条件)と
してドラムヒーターを用いてドラムを通常よりも高い温
度まで加熱した。ドラム表面温度を50℃とし、1%原
稿(A4対角線方向に直線を引いただけの原稿)を用い
て10万枚耐久した。耐久後、ハーフトーン画像をコピ
ーして融着の有無を調べた。具体的には、同様にA4の
ハーフトーン画像において、ドラムの母線方向に平行な
領域をとり、同領域に存在するトナー融着による黒点の
数を見積り、5枚のコピーサンプルでの結果を得た。得
られた結果は比較例2の従来表面層での同様の試験から
求められた値との相対値で判定する。従来表面層での値
を50とし、1〜100までの点数で評価した。50よ
り小さければ従来表面層に比べて融着が少ないことを示
し、50より大きければ従来表面層に比べて程度が悪い
ことを示している。 (3)ムラ削れ評価 前記のNP6060改造機を用いて、長期使用による削
れに対する耐久性を調べた。ムラ削れの出やすい条件と
して小粒径のトナーを用い、更にドラムの周方向に平行
となるようなストライプ状の原稿を用いることにより、
同じ部分が摺擦力の高い小粒径トナーで常に摺擦される
ようにして10万枚のコピーを行った。続いてゴースト
の影響を取り除いた後、ハーフトーン原稿をコピーし
て、ムラ削れによる濃度ムラが生じているかどうかを調
べた。濃度ムラを確認した後、現像器の位置に電位計を
挿入し、ストライプの白と黒に対応する部分の電位を調
べ、その差を測定した。電位差が大きいほど濃度ムラが
生じていることを表している。得られた測定値は、比較
例2の従来表面層で同条件で耐久し測定した値との相対
値で表す。従来表面層での電位差の値を50とし、1か
ら100までの点数を付けた。50より小さければ従来
表面層より濃度ムラが小さいことを示し、50より大き
ければ従来表面層よりも濃度ムラが大きいことを示す。
この評価を5枚のハーフトーンコピーサンプル、5回の
電位測定から求めた。 (4)電位特性の評価 評価には複写機を模した測定器に搭載し、様々な条件で
表面電位の変化を測定した。電位シフトの評価には、帯
電器に一定電流を流しておき、2分間(キヤノン製複写
機NP−5060なら100枚相当)の感光体表面の帯
電電位を観測し、その変動の様子を調べた。また、ゴー
スト電位に関しては、帯電させた後、露光、除電等の複
写プロセスと同等のプロセスを経て、一周した後にハー
フトーン電位を与え、露光した部分としなかった部分と
での電位の差を観測することにより得られる。電位シフ
ト、ゴースト電位ともに、比較例2に示す従来表面層の
値を50とし、全く電位シフトやゴースト電位がない場
合を0として、0〜100点の点数を付けて評価した。
【0077】(2)(4)の評価については、 ◎:0〜20点のもの(極めて優れた特性) ○:20〜40点のもの(良好な特性) △:40〜60点のもの(従来表面層並みの特性) ×:60〜100点のもの(実用上問題がでる可能性が
ある) をそれぞれ表している。
【0078】以上の評価で得られた実施例1のドラムの
諸特性の結果を表4に示す。
【0079】比較例1 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、その上に表2に示した条件で、エッチ
ング性活性種として、水素ラジカルを外部から供給し、
成膜とエッチングとが同時に進行するような条件で非単
結晶炭素膜を堆積させた。この時、外部から供給する水
素ラジカルの量を0cc(供給しない)、10ccと変
化させ、0ccの場合を基準としてエッチング量ならび
にエッチングレートを測定・算出し、5μm四方の視野
における表面粗さについても測定した。次に実施例1と
同様の条件で特性についても評価し、評価結果を表4に
示した。
【0080】比較例2 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、表3に示した条件で炭化珪素(Si
C)からなる従来材料による表面層を5000Å堆積さ
せた。
【0081】
【表3】 次いで、実施例1と同様の耐久及び評価をそれぞれにつ
いて行い結果を表4に示した。
【0082】
【表4】 以上の実施例1、比較例1および比較例2の結果を総括
すると次のようである。 (1)比較例1の0ccの結果の成膜レートを基準と
し、それぞれの処方で作成した膜の成膜レートを測定
し、両者の差からエッチングレートを見積もった。ある
程度以上エッチングが起きない限り、表面粗さが200
0Å未満にならないことが判った。 (2)研磨レートは、実施例1の全ての感光体では0.
18Å/回転以内、比較例1の0ccの感光体では0.
22Å/回転、10ccの感光体では0.19Å/回
転、比較例2では0.23Å/回転であった。 (3)融着耐久試験では、実施例1の感光体で非常に良
好な結果が得られた。従来表面層である比較例2につい
ては、融着が発生してしまった。これはドラムヒーター
によって感光体表面を通常よりかなり高温にしているた
め、トナーがとけやすく、固着しやすくなったためと考
えられる。比較例1に関しては、0ccのものは従来表
面層並み、10ccのものは若干良好ではあるが、いず
れも融着が発生していた。このことから、水素の供給量
はある程度以上必要であることが判った。 (4)ムラ削れに関しては、実施例1の非単結晶炭素膜
は比較例2に比べて非常に良好であった。比較例1の結
果はその中間に位置していた。これは本発明の非単結晶
炭素膜の硬度が非常に高いことが理由として挙げられ
る。 (5)電位測定では、全ての感光体について電位シフ
ト、ゴースト電位共に実用上問題はないが、本発明の範
囲内である実施例1については極めて良好であることが
分かった。
【0083】以上のことから、表面層として水素を含む
非単結晶炭素を作成する際、水素ラジカルを適度に供給
した場合にのみ、本発明の効果が最適に得られることが
確かめられた。
【0084】実施例2 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、その上に表5に示した条件で、エッチ
ング性活性種として、水素ラジカルを外部から供給し、
成膜とエッチングとが同時に進行するような条件で非単
結晶炭素膜を堆積させた。
【0085】
【表5】 この時、外部供給する水素ラジカルを生成させるための
マイクロ波電力を100W、200W、500Wと変化
させ、パワーを供給しない場合(比較例3に挙げる)を
基準としてエッチング量並びにエッチングレートを測定
・算出し、5μm四方の視野における表面粗さについて
も測定した。次に実施例1と同様の条件で特性について
も評価し結果を表6に示した。
【0086】
【表6】 比較例3 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、その上に表5に示した条件で、エッチ
ング性活性種として、水素ラジカルを外部から供給し、
成膜とエッチングとが同時に進行するような条件で非単
結晶炭素膜を堆積させた。この時、外部供給する水素ラ
ジカルを生成するためのマイクロ波電力を0W(供給し
ない)、1000Wと変化させ、0Wの場合を基準とし
てエッチング量並びにエッチングレートを測定・算出
し、5μm四方の視野における表面粗さについても測定
した。次に実施例1と同様の条件で特性についても評価
し結果を表6に示した。
【0087】実施例2、および比較例3の結果を総括す
ると次のようである。 (1)実施例2の3種類の感光体に関しては、全て表面
粗さが2000Å未満であったのに対し、比較例3の2
種類の感光体では、いずれも表面粗さが2000Åを超
えていた。エッチングレートとマイクロ波電力との関係
からは、適度に水素の分解を行い、水素ラジカルによる
エッチングを行えば、表面粗さを2000Å未満に制御
出来ることが確かめられた。 (2)研磨レートに関しても、実施例2の感光体に関し
ては全て0.18Å/回転以下の低いレートであるのに
対し、比較例3の感光体に関しては、1000Wのマイ
クロ波電力を投入したもので0.25Å/回転を超える
研磨レートであった。これは表面が必要以上に荒らさ
れ、硬度が低下したため考えられる。 (3)融着に関しては、実施例2の感光体では全て良好
な結果が得られた。それに対し、比較例3の感光体では
2種類とも融着が発生した。 (4)ムラ削れに関しては、研磨レートの結果から分か
るように、1000Wのマイクロ波電力を投入したもの
で発生したが、他の感光体では比較例2の従来表面層よ
りも良好な結果が得られた。 (5)電位特性では、全ての感光体において実用上問題
のないレベルであったが、比較例3の2種類の感光体に
関しては従来表面層に比べて同程度か、やや劣る結果だ
ったのに対し、実施例2の感光体では極めて良好な結果
が得られた。
【0088】以上のことから、表面層作成時にエッチン
グ効果を得るために外部から供給するラジカル生成に於
いて、マイクロ波電力によってラジカルの供給量を変化
させることで、表面粗さを本発明の範囲内に収めたと
き、本発明の効果が最大限に得られることが判った。
【0089】実施例3 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、表5に示した条件で外部から水素ラジ
カルを供給しつつ、非単結晶炭素からなる表面層を堆積
させた。この処方で作成された表面層は膜中水素量が4
0%であることをあらかじめ確認している。このような
感光体を3本作成した。この時、水素ラジカル供給系の
マイクロ波電力を調整してエッチング量を変化させるこ
とにより、表面粗さを500Å、1100Å、1900
Åと変化させた。あらかじめ測定されたエッチングレー
トを元に、表面層の膜厚を5000Åにそろえて作成し
た。
【0090】次いで、実施例1と同様の耐久及び評価を
それぞれについて行った。
【0091】得られた評価結果を表7に示す。
【0092】
【表7】 比較例4 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、表5に示した条件で外部から水素ラジ
カルを供給しつつ、非単結晶炭素からなる表面層を堆積
させた。この処方で作成された表面層は膜中水素量が4
0原子%であることをあらかじめ確認している。この
時、水素ラジカル供給系のマイクロ波電力を調整してエ
ッチング量を変化させることにより、表面粗さを220
0Åとした。あらかじめ測定されたエッチングレートを
元に、表面層の膜厚を5000Åにそろえて作成した。
次いで、実施例1と同様の耐久及び評価をそれぞれにつ
いて行い、結果を表7に示した。
【0093】実施例3および比較例4の結果を総括する
と次のようである。 (1)研磨レートは、実施例3では0.12〜0.15
Å/回転、比較例4では0.18Å/回転であった。 (2)融着特性に関しては、全ての感光体で従来表面層
に比べて融着発生頻度は低下していたが、実施例3の3
本のドラムでは、ドラム表面温度を極端に上げているに
もかかわらず、融着がほとんど発生せず、特に優れた結
果が得られた。 (3)ムラ削れ特性に関しては実施例3の3本の感光体
に関しては良好な結果が得られた。比較例4に関しては
従来並みであった。これは表面の凹凸が大きくなりすぎ
ために、凸部分に力が集中しやすく削れの要因になった
ものと思われる。 (4)電位特性に関しては、どの感光体も実用上問題は
ないが、比較例4に比べて実施例3の感光体では良好な
電位特性を示した。これは比較例4の水素ラジカルによ
るエッチングが強力過ぎたため、トラップの低減ととも
に新たな欠陥を導入した可能性が考えられる。
【0094】以上のことから、成膜時に、表面粗さRz
を2000Å未満に抑えるようなエッチングを伴うこと
で、本発明の効果が最適に得られることが確かめられ
た。
【0095】実施例4 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、表8に示した条件で、水素ラジカルの
供給方法や、高周波電力の大きさなどを変化させ、水素
含有量が異なるようにエッチングと同時に成膜を行った
非単結晶炭素からなる表面層を堆積させた。
【0096】
【表8】 この時、あらかじめ測定したエッチングレートを元に、
表面層の膜厚が5000Åになるようにした。このよう
な感光体を3本作成した。この処方で作成された表面層
は膜中水素量が25、45、55原子%であることをあ
らかじめ確認している。表面粗さRzは1000Å前後
であった。次いで、実施例1と同様の耐久及び評価をそ
れぞれについて行い、結果を表9に示した。
【0097】
【表9】 比較例5 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、表8に示した条件で、水素ラジカルの
供給方法や、高周波電力の大きさなどを変化させ、水素
含有量が異なるようにエッチングと同時に成膜を行った
非単結晶炭素からなる表面層を5000Å堆積させた。
このような感光体を3本作成した。この処方で作成され
た表面層は膜中水素量が18、60、65%であること
をあらかじめ確認している。表面粗さRzは1000Å
前後であった。次いで、実施例1と同様の耐久及び評価
をそれぞれについて行い、結果を表9に示した。
【0098】実施例4および比較例5の結果を総括する
と次のようである。 (1)研磨レートは、実施例3では0.05〜0.18
Å/回転、比較例3では水素含有量18%のものが0.
04Å/回転、60〜65%含有のものは0.22〜
0.27Å/回転であった。 (2)融着特性に関しては、膜中水素量が60原子%を
超えない範囲のものは良好な結果が得られたが、60原
子%を超えたものでは従来表面層並みであった。 (3)ムラ削れ耐久試験では、水素量が60原子%を超
える場合に、トナー摺擦により削れが発生しており、画
像に顕在化してしまった。これは硬度が不足しているた
めと考えられる。特に65原子%のものは、研磨試験に
よる研磨レートが0.25Å/回転を超える範囲のもの
であり、削れ量が顕著であった。 (4)電位特性に関しては、膜中水素量が18原子%の
場合、シフト、ゴーストともに悪い結果となった。これ
は膜中水素量が極端に低すぎたためボンドの歪みが大き
く、エッチングによる膜質改善を行ってもボンドを緩和
しきれなかったためと考えられる。また、膜中水素量が
60原子%以上の場合も、シフト、ゴーストともに悪か
った。これは膜の密度が低下し、電荷の注入が増えたた
めと考えられるが、詳細は不明である。このような膜で
はエッチング同時成膜の効果が得にくいことが判った。
一方、膜中水素量が25、45、55原子%のものにつ
いては電位特性が全て良好であった。
【0099】以上のことから、表面層の非単結晶炭素膜
に含まれる水素量が20原子%以上60原子%以下、研
磨レートが0.25Å/回転以下の時に、本発明の効果
が最適に得られることが判った。
【0100】実施例5 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、図3に記載のプラズマCVD装置を用
いて表10に示した条件で、外部から水素ラジカルを供
給することによりエッチングと成膜を同時に進行させ
た。このとき、成膜に用いる高周波電力の周波数を変え
て、非単結晶炭素からなる表面層を堆積させた。膜厚は
あらかじめ測定しておいたエッチングレートを元に50
00Åにそろえた。このような感光体を5本作成した。
表面粗さは1000Å前後であった。
【0101】
【表10】 次いで、実施例1と同様の耐久及び評価をそれぞれにつ
いて行った。得られた評価結果を表11に示す。この結
果から、エッチングと成膜とが同時に行われれば、膜の
特性は成膜に用いる周波数には依存しないことが分かっ
た。
【0102】
【表11】 実施例6 図2に記載のプラズマCVD装置を用いて表1に示した
条件により円筒形のAl基体に電荷注入阻止層、光導電
層を順次積層し、表12に示した条件で、外部から水素
ラジカルを供給して、成膜とエッチングとを同時に進行
させ、非単結晶炭素からなる表面層5000Åを堆積さ
せた。このような感光体を4本作成した。この時、外部
から供給する水素ガスを、4種類の不活性ガスで希釈し
て用いた。表面粗さは800Å前後であった。
【0103】
【表12】 次いで、実施例1と同様の耐久及び評価をそれぞれにつ
いて行った。得られた評価結果を表13に示す。この結
果から分かるとおり、エッチング性活性種の導入時に水
素を不活性ガスで希釈しても、本発明の効果が最適に得
られることが判った。
【0104】
【表13】
【0105】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体の製造方法によ
れば、減圧可能な反応容器内で、高周波電力を印加する
カソード電極と、このカソード電極に対向する導電性基
体との間にプラズマを発生させ基体をプラズマ処理する
プラズマ処理装置を用いて、被処理基体上にシリコン原
子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を堆
積し、この光導電層の上に、少なくとも水素原子を含む
非単結晶炭素から成る表面層を原料ガスとして少なくと
も炭化水素系のガスを用いて設ける際に、成膜とエッチ
ングを同時に生起させ、このエッチング作用によって表
面の凹凸を制御し、基準長さを5μmとした場合の表面
粗さRzを2000Å未満に抑えることを特徴としてお
り、得られた電子写真感光体は高硬度で削れにくく、離
型性が高いため、トナーの融着が起こらず、高品位な画
像を長期間の使用においても劣化することなく複写でき
る。更には、電位シフトやゴーストのない高品位な画像
を提供できる感光体が再現性よく製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の模式的断面図で
(a)単層型(b)積層型を示す。
【図2】PCVD法を用いて本発明の電子写真を形成す
るための堆積装置の模式図である。
【図3】VHF−PCVD法を用いて本発明の電子写真
感光体を形成するための堆積装置の模式図である。
【図4】電子写真装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
101 導電性基体 102 電荷注入阻止層 103 光導電層 104 表面層 105 電荷輸送層 106 電荷発生層 2100 堆積装置 2110 反応容器 2111 カソード電極 2112 導電性基体 2113 基体加熱用ヒーター 2114 ガス導入管 2115 高周波マッチングボックス 2116 ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空系 2120 高周波電源 2121 水素含有ガス導入管 2122 水素含有ガス供給ボンベ系 2123 水素クラッキング用高周波電源(マイクロ
波電源) 2124 高周波導入系(マイクロ波導波管) 2125 マッチング系(マイクロ波マッチング制御
部) 2200 ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 ボンベ 2231〜2236 バルブ 2241〜2246 流入バルブ 2251〜2256 流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 300 VHFを用いた堆積装置(量産型) 301 反応容器 302 排気管 303 放電空間 304 円筒状被成膜基体 305 高周波電源 306 マッチングボックス 307 電極 308(a)(b) 基体ホルダー 309 回転軸 310 モーター 311 ガス導入管 312 ガス導入バルブ 313 水素含有ガス供給ボンベ系 314 水素クラッキング用高周波電源(マイクロ波
電源) 315 高周波導入系(マイクロ波導波管) 316 マッチング系(マイクロ波マッチング制御
部) 401 感光体 402 主帯電器 403 静電潜像形成部位 404 現像器 405 転写紙供給系 406(a) 転写帯電器 406(b) 分離帯電器 407 クリーニングローラー 408 搬送系 409 除電光源 410 ハロゲンランプ 411 原稿台 412 原稿 413 ミラー 414 ミラー 415 ミラー 416 ミラー 417 レンズユニット 418 レンズ 419 給紙ガイド 420 ブランク露光LED 421 クリーニングブレード 422 レジストローラー 424 定着器

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上にシリコン原子を母体とす
    る非単結晶材料からなる光導電層が堆積され、該光導電
    層の上に、少なくとも水素原子を含む非単結晶炭素から
    成る表面層が原料ガスとして少なくとも炭化水素系のガ
    スを用いて作成された電子写真感光体であって、該表面
    層作成時に、気相中のエッチング作用によって表面の凹
    凸が制御され、基準長さを5μmとした場合の表面粗さ
    Rzが2000Å未満であることを特徴とする電子写真
    感光体。
  2. 【請求項2】 前記エッチング作用が、水素ラジカルに
    よってなされたことを特徴とする請求項1に記載の電子
    写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記エッチング作用が、フッ素を含むラ
    ジカルによってなされたことを特徴とする請求項1に記
    載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記表面層が、1〜450MHzの高周
    波を用いたプラズマCVD法によって作成されたことを
    特徴とする請求項1乃至3に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記プラズマCVD法に用いる高周波の
    周波数が50〜450MHzであることを特徴とする請
    求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記非単結晶炭素膜からなる表面層に含
    まれる水素量が、全原子に対して20原子%以上60原
    子%以下であることを特徴とする請求項1乃至5に記載
    の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 前記感光体を回転させ、平均粒度8μm
    のSiC研磨テープを用い、該感光体表面の移動速度を
    320mm/sec、該テープが感光体に接触する際の
    圧力を15gf/cm2 とする研磨条件で研磨した場合
    の、1回転当たりの研磨レートが0.25Å(0.25
    Å/回転)以下であることを特徴とする請求項1乃至6
    に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記導電性基体と、前記光導電層との間
    に、電荷注入阻止層が設けられたことを特徴とする請求
    項1乃至7に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記光導電層と、前記表面層との間にバ
    ッファ層が設けられたことを特徴とする請求項1乃至8
    に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 減圧可能な反応容器内で、高周波電力
    を印加するカソード電極と該カソード電極に対向する導
    電性基体との間にプラズマを発生させ基体をプラズマ処
    理するプラズマ処理装置を用いて、被処理基体上にシリ
    コン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電
    層を堆積し、該光導電層の上に原料ガスとして少なくと
    も炭化水素系のガスを用い、少なくとも水素原子を含む
    非単結晶炭素から成る表面層を設ける際、気相反応によ
    って成膜とエッチングを同時に生起させ、該エッチング
    作用によって表面の凹凸を制御し、基準長さを5μmと
    した場合の表面粗さRzを2000Å未満に抑えること
    を特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記表面層を、1〜450MHzの高
    周波を用いたプラズマCVD法によって作成することを
    特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記プラズマCVD法に用いる高周波
    の周波数が50〜450MHzであることを特徴とする
    請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記エッチング作用を促進するため
    に、エッチングに用いるガスを前記反応容器外に設けら
    れた励起源によって励起し、励起された活性種を前記カ
    ソード電極と前記導電性基体との間に導入することを特
    徴とする請求項10乃至12に記載の電子写真感光体の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記活性種が、水素ラジカルであるこ
    とを特徴とする請求項13に記載の電子写真感光体の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記活性種が、フッ素を含むラジカル
    であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真感
    光体。
  16. 【請求項16】 前記反応容器外に設けられた前記励起
    源が、マイクロ波であることを特徴とする請求項13乃
    至15に記載の電子写真感光体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記励起源によって励起されるガス
    が、不活性ガスで希釈されることを特徴とする請求項1
    3乃至16に記載の電子写真感光体の製造方法。
JP35344997A 1997-12-22 1997-12-22 電子写真感光体及びその製造方法 Pending JPH11184121A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35344997A JPH11184121A (ja) 1997-12-22 1997-12-22 電子写真感光体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35344997A JPH11184121A (ja) 1997-12-22 1997-12-22 電子写真感光体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11184121A true JPH11184121A (ja) 1999-07-09

Family

ID=18430931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35344997A Pending JPH11184121A (ja) 1997-12-22 1997-12-22 電子写真感光体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11184121A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6576387B2 (en) 2000-11-15 2003-06-10 Canon Kabushiki Kaisha Image-forming apparatus and image-forming method
US6645688B2 (en) 2000-11-15 2003-11-11 Canon Kabushiki Kaisha Image-forming apparatus and image-forming method

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6576387B2 (en) 2000-11-15 2003-06-10 Canon Kabushiki Kaisha Image-forming apparatus and image-forming method
US6645688B2 (en) 2000-11-15 2003-11-11 Canon Kabushiki Kaisha Image-forming apparatus and image-forming method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3530667B2 (ja) 電子写真感光体およびその製造方法
JPH11184341A (ja) 電子写真装置
EP0872770B1 (en) Light-receiving member, image forming apparatus having the member, and image forming method utilizing the member
JPH1083091A (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
EP0962838B1 (en) Image-forming apparatus and image-forming method
JPH11184121A (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
KR100289479B1 (ko) 감광체,그의제조방법,그감광체를갖춘화상형성장치및화상형성방법
JP3710304B2 (ja) 電子写真装置
JP3571917B2 (ja) 電子写真装置
JPH11133641A (ja) 電子写真感光体
JP2000010313A (ja) 電子写真装置
JP2002023401A (ja) 光受容部材及びそれを用いた電子写真装置
JP2001312085A (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
JP4086391B2 (ja) 電子写真感光体
JP2001337474A (ja) 光受容部材の製造方法、光受容部材、及び電子写真装置
JPH11133640A (ja) 電子写真感光体
JP2002082463A (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JPH11133638A (ja) 電子写真装置
JP2002139857A (ja) 電子写真感光体、電子写真装置、及び電子写真感光体の製造方法
JP2002049171A (ja) 電子写真感光体及び電子写真装置
JPH10301310A (ja) 電子写真感光体およびその製造方法
JP2006163219A (ja) 電子写真感光体
JPH11249523A (ja) 電子写真システム
JP2925298B2 (ja) 堆積膜形成方法
JP2000221715A (ja) 電子写真感光体