JP2925298B2 - 堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、基体上に堆積膜、とりわけ機能性膜、特に
半導体デバイス、電子写真用感光体デバイス、画像入力
用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デバイス等
に用いるアモルフアス堆積膜をマイクロ波プラズマCVD
法により形成する堆積膜形成方法に関する。
〔従来の技術の説明〕
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体デバイス、
画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デ
バイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等
に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、例え
ば水素又は/及びハロゲン(例えば弗素、塩素等)で補
償させアモルファスシリコン等のアモルファス堆積膜が
提案され、その幾つかは実用に付されている。
こうした堆積膜の形成方法として従来、スパッタリン
グ法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、
光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズ
マにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)
等、多数知られている。中でも、プラズマCVD法、すな
わち、原料ガス直流又は高周波、マイクロ波グロー放電
等によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フイ
ルム、ステンレス、アルミニウムなどの基体上に薄膜状
の堆積膜を形成する方法は電子写真用アモルファスシリ
コン堆積膜の形成方法等、現在実用化が非常に進んでお
り、そのための装置も各種提案されている。アモルファ
スシリコン堆積膜を始めとするプラズマCVD法による作
成する材料のコストを低下させるためには、原料ガスの
利用効率、及び、堆積速度を上げることが重要なことで
ある。これらの事を達成するために特に、近年堆積膜形
成方法としてマイクロ波グロー放電分解を用いたプラズ
マCVD法すなわちマイクロ波プラズマCVD法が工業的にも
注目されている。
マイクロ波プラズマCVD法は、他の方法に比べ高いデ
ポジション速度と高い原料ガス利用効率という利点を有
している。こうした利点を生かしたマイクロ波プラズマ
CVD技術の1つの例が、米国特許4,504,518号に記載され
ている。該特許に記載の技術は、0.1Torr以下の低圧に
よりマイクロ波プラズマCVD法により高速の堆積速度で
良質の堆積膜を得るというものである。
更に、マイクロ波プラズマCVD法により原料ガスの利
用効率を改善するための技術が特開昭60−186849号公報
に記載されている。該公報に記載の技術は、マイクロ波
エネルギーの導入手段を取り囲むように基体を配置して
内部チャンバー(すなわち放電空間)を形成するように
して、原料ガス利用効率を非常に高めるようにしたもの
である。
また、特開昭61−283116号公報には、半導体部材製造
用の改良形マイクロ波技術が開示されている。すなわ
ち、当該公報は、放電空間中にプラズマ電位制御として
電極(バイアス電極)を設け、このバイアス電極に所望
の電圧(バイアス電圧)を印加して堆積膜へのイオン衝
撃を制御しながら膜堆積を行なうようにして堆積膜の特
性を向上させる技術を開示している。
これらの従来の技術により比較的厚い光導電性材料
を、ある程度の高速で堆積を行わせることが出来、また
ある程度高い原料ガスの利用効率で製造することが可能
となった。この様にして改良された従来の堆積膜形成方
法は、例えば、第7−a図の縦断面図、第7−b図の横
断面図で示されている様な電子写真感光ドラムの生産用
の堆積膜形成装置によって以下の様に実施される。第7
−a図、及び、第7−b図において701は反応容器であ
り、真空気密化構造を成している。又、702は、マイク
ロ波電力を反応容器内に効率よく透過し、かつ真空気密
を保持し得るような材料(例えば石英ガラス、アルミナ
セラミックス等)で形成されたマイクロ波導入誘電体窓
である。703はマイクロ波電力の伝送を行なう導波管で
あり、マイクロ波電源から反応容器近傍までの短形の部
分と、反応容器に挿入された円筒形の部分から成ってい
る。導波管703はスタブチューナー(不図示)、アイソ
レーター(不図示)とともにマイクロ波電源(不図示)
に接続されている。誘電体窓702は反応容器内の雰囲気
を保持するために導波管703の円筒形の部分、内壁に気
密封止されている。704は一端が反応容器701内に開口
し、他端が排気装置(不図示)に連通している排気管で
ある。706は基体705により囲まれた放電空間を示す。電
源711はバイアス電極712に直流電圧を印加するための直
流電源(バイアス電源)であり電極712に電気的に接続
されている。
一般的なマイクロ波プラズマCVD法によってより高速
で基体上に堆積膜が形成された場合、特に第7−a図、
および、第7−b図で示す様に原料ガスの利用効率を上
げるために放電空間を取り囲む様に多数の基体を配置
し、基体を運動させながら基体全面に堆積膜を形成する
堆積膜形成方法では、堆積膜の形成は断続的に行われ
る。また、堆積時間と共に、基体表面は放電空間に対し
て様々な角度で接するため、基体表面に降り注ぐ活性種
の密度を変化する。さらに、堆積膜形成が断続的に行な
われるため、実質的な堆積速度(平均堆積速度)は基体
が放電空間正面に位置する通常の成膜方法における堆積
膜の堆積速度(堆積速度の最大値)の1/3から1/4となっ
てしまう。言い替えるならば、製造時間から見て放電空
間の正面に位置する時に、堆積が行われる基体表面上で
は、従来の経済的に見合う堆積速度の3倍から4倍の堆
積速度で良好な特性を持つ堆積膜の形成が行なわれる必
要がある。このため基体表面に形成された堆積膜の構成
元素で形成されるネットワーク緩和過程の十分な促進が
堆積膜の特性を上げるうえで他の方法による成膜方法に
比べてさらに重要なものとなってくる。
こうした問題点を解決する1つの方法として、放電空
間中に設けられた電極(バイアス電極)又は基体の一部
にプラズマ電位を制御する目的でバイアス電圧を印加で
きる様な構成が取られている。これはバイアス電圧を掛
けることによって生じた電界により放電空間中のイオン
を加速して基体に衝突させ局部的に堆積膜をアニールす
る事により、ネットワークの緩和過程を促進するためで
ある。
こうした堆積膜形成装置を使用した従来の堆積膜形成
方法による電子写真感光体の堆積膜形成は、以下の様に
して行なわれる。
まず真空ポンプ(不図示)により排気管704を介し
て、反応容器701内を排気し、反応容器701内の圧力を1
×10-7Torr以下に調整する。ついでヒーター707によ
り、基体705の温度を200度以上、300度以下の温度に加
熱保持する。そこで不図示のガス導入手段を介して、シ
ランガス、水素ガス等の原料ガスが反応容器701内に導
入される。それと並行的にマイクロ波電源(不図示)に
より周波数2.45GHzのマイクロ波を発生させ、導波管703
を通じ、誘電体窓702を介して反応容器701内に導入され
る。更に放電空間706中のバイアス電極712に電気的に接
続されたバイアス電源711により、バイアス電極712に基
体705に対してバイアス電圧を印加する。かくして基体7
05により囲まれた放電空間706に於て、原料ガスはマイ
クロ波のエネルギーにより励起されて解離し、更にバイ
アス電極712と基体705の間の電界により定常的に基体70
5上にイオン衝撃を受けながら、基体705表面に堆積膜が
形成される。この時、基体705が設置された回転軸709を
モーター710により回転させ、基体705を基体母線方向中
心軸の回りに回転させることにより、基体705全周に渡
って均一に堆積膜が形成される。このような従来の堆積
膜形成方法より、ある程度の堆積速度では、実用的な特
性と均一性の堆積膜を得ることが可能になった。また反
応容器内の清掃を厳格に行なえばある程度欠陥の少ない
堆積膜を得ることは可能であった。
この様な方法は高速堆積における堆積膜の膜質向上に
非常に有効であるが、更に、堆積膜を高速で堆積するた
めにバイアス電圧を上げていった時に、画像欠陥の原因
となる堆積膜の欠陥が生じる。このため例えば電子写真
感光体のように大面積の比較的厚い堆積膜が要求される
製品の製造については、均一膜質で光学的及び電気的諸
特性の要求を満足し、かつ電子写真プロセスにより画像
形成時になどの画像欠陥の少ない堆積膜を定常的に安定
して高収率(高歩留まり)で得るのは難しいという解決
すべき課題が残存している。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上述のごとき従来の堆積膜形成方法
における諸問題を克服して、質の良い膜を高速で形成す
ることにある。特に半導体デバイス、電子写真用感光体
デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、
光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、
光学素子などに用いる素子部材として特性の良い堆積膜
を、マイクロ波プラズマCVD法により、安価に安定して
しかも歩留まり良く高速形成し得る堆積膜形成方法を提
供することにある。
本発明の他の目的は特に10ミクロン以上の比較的厚い
アモルファスシリコン堆積膜形成時に高品質の堆積膜
を、マイクロ波プラズマCVD法により、高速形成し得る
堆積膜形成方法を提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明は前述した本発明の目的を達成するために鋭意
研究を重ねた結果完成に至ったものであり、本発明の堆
積膜の形成方法は、反応容器内に原料ガス及びマイクロ
波エネルギーを導入して、前記反応容器内の放電空間に
プラズマを生じさせ、該反応容器内に設置された基体
に、該基体表面が放電空間内と非放電空間とを交互に通
過するように該基体を運動させながら基体表面上に堆積
膜の形成を行うマイクロ波プラズマCVD法によるシリコ
ン原子を含むアモルフアス堆積膜形成方法において、少
なくとも堆積膜の一部の形成時に、前記基体温度を340
℃以上、450℃以下に保持し、且つ、該堆積膜中に炭素
原子をシリコン原子に対して1原子%以上、30原子%以
下含有する様に炭素原子を含有する気体を放電空間に導
入することを特徴としている。
〔作用〕
本発明者らは従来の堆積膜形成方法に置ける前述の課
題を解決して、前述の本発明の目的を達成すべく鋭意研
究を重ねたところ、以下に述べるような知見を得た。
プラズマCVD法による堆積膜の成長機構を考えると
き、一般にプラズマ中での原料ガスの分解過程、分解種
の基体までの輸送過程、基体上での成長過程の3つの過
程に分けた考えることができる。この中でも第3番目の
過程は堆積膜の特性を決定する上で重要な過程である。
この基体上での成長過程をアモルファスシリコンを例
にしてもう少し詳細に説明すると以下の様になる。
プラズマ中で分解して輸送されてきた分解種は基体上
に付着してアモルファスシリコン膜のネットワークを形
成するが、まだ3次元的にネットワークが完成されてい
ないアモルファスシリコンの成長表面では水素原子の脱
離、ダングリングボンドへの水素原子やシリコン原子の
結合、エネルギー的に高い結合を持つ原子の再配置など
により、構造欠陥が少なく、エネルギー的に安定な方向
への化学的反応(緩和過程)が起こる。つまり、これら
の結果Si−H2結合が減少しSi−H結合が主に生じること
によるダングリングボンドの減少および、バンドギャッ
プ準位密度の低下等の現象が堆積膜において観察され
る。これらの反応は基体の熱エネルギーにより促進さ
れ、一般にプラズマCVD法で形成されるアモルファスシ
リコンでは、基体温度が200度から300度であるときに良
好な膜が得られるのであるが、これよりも低い基体温度
では水素の含有量が多く、ダングリングボンド密度が高
く、特性の低い堆積膜しか得られていない。
一方前述したように第7−a図,第7−b図のような
マイクロ波プラズマCVD装置によって特により高速で基
体上に堆積膜を形成する場合、堆積膜の成長表面でネッ
トワーク構造が急速に組まれて行くため前述の水素原子
の脱離や珪素原子の再配置等が行われる緩和過程が十分
に行われずに特性の悪い堆積膜しか得られない。そこ
で、堆積膜を高速で堆積させる場合には、この緩和過程
を促進するためにバイアス電圧を加えていた。しかしバ
イアス電圧を増加して行った場合には、ある電圧で画像
欠陥の原因となる球状突起等の欠陥が急激に増加するこ
とが分かった。
本発明を成すに当たり、前記球状突起等の欠陥につい
て調べ、それらについて以下に述べる様な知見を得た。
球状突起が生じる現象は次の様に解釈することができ
る。
(1)画像欠陥の原因となる堆積膜の欠陥の断面を顕微
鏡で観察すると数ミクロンから数十ミクロンの大きさの
異物を核として堆積膜の途中から表面に向かい柱状又は
逆円錐状に成長し、表面に球状突起として現われること
がわかった。第8図にこのような堆積膜の球状突起近傍
の断面を示す。
そして、この堆積膜の欠陥の原因である微小な異物の
数は堆積膜の電気的特性を向上させるために、バイアス
電極又は基体の一部に印加するバイアス電圧を上げてい
くと急激に増加してくることがわかった。この現象の説
明として、電界によりイオンが加速され基体に衝突する
だけでなく反応容器壁や基体から剥れた微小の堆積膜の
破片がプラズマによりチャージアップし、イオンの場合
と同様電界により加速され基体に付着することが挙げら
れる。
従来のRF法や、バイアスを使用しないマイクロ波プラ
ズマCVD法の場合は、たとえ反応容器壁やガス管などか
ら剥れたとしても重力により落下して基体上の欠陥の原
因とはならなかった。これに対してバイアスを印加して
堆積膜形成方法では、比較的大きな堆積膜の破片も基体
に付着して堆積膜の異常成長の原因となるとの見地を得
た。
(2)第9図は第8図で示した破片を核とした球状突起
の断面を弗酸によりエツチングを短時間行なった後のも
のである。
エッチングレートの速い膜質の低い部分が球状突起内
部と通常の堆積膜との界面にあることが分かった。正常
な堆積膜上に堆積膜の破片等の異物が乗るとその部分で
のプラズマ中の電位が変化するためその近傍のプラズマ
空間で生成される、又は輸送されてくる活性種が異な
る。またこのような異物のために活性種の表面での運動
が阻害され表面反応も通常とは異なってくる。そのため
従来の堆積膜形成方法ではこのように異物の上に成長し
た堆積膜の部分は他の正常部分と性質が異なり電子写真
的に不十分な(特に暗抵抗の小さな)膜となる。電子写
真感光体として複写機で実際に使用する場合、帯電器に
より感光体表面に均一に帯電を行ない、この表面電荷の
クローン力によりトナー像を形成する。球状突起周辺に
帯電された表面電荷は前述の暗抵抗の小さな部分を通り
速やかに基体に抜けてしまうため、その部分だけトナー
を引きつけることができず、全面黒の画像では球状突起
の位置に対応した画像欠陥である白点(白ぽち)として
表れ、画質を低下させてしまう。
これらの現象は基体表面が放電空間内と非放電空間と
を交互に通過するように該基体を運動させながら基体表
面上に堆積膜の堆積を行なうマイクロ波プラズマCVD法
による堆積膜形成方法で特に顕著に現われる。すなわち
基体を静止させて常時放電に曝され堆積膜形成を行なう
場合は堆積膜表面での球状突起の直径が10ミクロン以上
であっても画像欠陥とはならなかったのに対して、例え
ば、第7−a図、及び、第7−b図で示すような放電空
間を取り囲むように基体を配置して各々の基体を回転さ
せ、基体表面を放電空間と非放電空間を交互に通過させ
ることにより均一に堆積膜を形成する構造の堆積膜形成
装置を使用して作製した電子写真感光体では球状突起の
直径が5ミクロンでも画像欠陥となって現われた。
アモルファスリコンのような堆積膜が柱状構造(電子
写真の画像に欠陥を生じるような柱状構造)を持つ場合
その電気的特性が悪いことは従来から知られていた。生
産技術的には排気ポンプや高周波電源の出力を調整する
ことによって放電空間の圧力や放電エネルギー等を微調
して堆積膜中に柱状構造ができにくい条件を維持しよう
とする試みがなされてきた。これらのことにより平滑な
基板の上の堆積膜は、ある程度柱状構造ができることを
防ぐことは可能となった。しかし、堆積膜の破片等が乗
って堆積膜形成の基体上が平滑でないときには、従来の
堆積膜形成方法では全く対応ができず、画像欠陥となる
球状突起が基体上の異物の数に応じて発生していた。
本発明者は、画像欠陥の原因となるこうした球状突起
の内部及び界面を改質することにより、例え堆積膜形成
中に堆積膜の破片等の異物が基体上に付着し、球状突起
として成長しても、それが原因となる画像欠陥の発生を
無くすことができないかと言う点に目をつけて鋭意研究
した結果、本発明を完成するに至った。
第1図に本発明の堆積膜形成方法により作製された堆
積膜の球状突起近傍の断面を示す。第2図に第1図の断
面を、第9図の堆積膜を処理したときと同じ条件で弗酸
によりエツチング処理した後の断面を示す。
本発明の堆積膜形成方法により形成した堆積膜も従来
の堆積膜形成方法で形成した堆積膜と同様、異物の上に
成長した部分は表面から観察すると僅かに盛り上がり、
球状突起として認められる。しかし、第9図で示した従
来方法で作製した堆積膜の場合と異なり、成膜中に外部
より飛来した堆積膜の破片から成長した部分も他の正常
の部分とエッチングレートが同じであり、エッチング後
も第9図でみれらたような構造は見られない。この事に
より、本発明の堆積膜形成方法では堆積膜の破片などの
異物の上に成長した部分も、通常の部分と同様の電子写
真的に良好な特性を示す膜質の堆積膜が成長しているこ
とが判った。
本発明における作用については不明な点が多いが本発
明者は次の様な作用によるものであると考える。
堆積膜中での柱状構造の発生は、基体上での反応が大
きく関与している。平滑な基体上では、活性種のサーフ
ェイスモビリティを大きくするため、十分エネルギーの
高い活性種を用いることにより、柱状構造の成長を防ぐ
ことがある程度可能である。すなわち、活性種の移動を
妨げるものがない平滑な基体表面上では、十分なエネル
ギーを持った活性種は基体の表面を広範囲に移動するこ
とが可能である。このため活性種は、内部ストレス少な
くもっともエネルギー的に安定な結合の形成が可能な位
置まで移動し構造の無い堆積膜が成長する。これらの効
果は、放電空間の圧力や高周波のエネルギーを調整する
ことによりある程度制御可能であった。
しかし、平面が平滑で無い場合には、活性種が大きな
エネルギーを持っていても活性種は基体上を自由に走り
回れず、すぐに堆積膜に取り込まれてしまい、基体の凹
凸に応じた構造が出来てしまう。このため、単に活性種
の持つエネルギーを調整する場合とは別の手段により堆
積膜の結合の生じ方を制御する必要がある。
本発明においては、マイクロ波によって分解された炭
素原子を含む原料ガスから生成した活性種が、ある程度
の量存在し、それをある特定の基体温度のときに基体上
の堆積膜の成長に寄与させることにより、堆積膜の柱状
構造の成長を大幅に改善している。すなわち、基体があ
る温度のとき、炭素原子を含む活性種はそれ自身、結合
の緩和剤的な働きをして膜全体の構造緩和の作用を起こ
す。このことにより基体の形状は関係なくけい素原子が
一番安定な結合を取ることが可能となり、平滑で無い基
体上であっても柱状構造を生じないのである。更に、こ
の特定の条件の組み合わせ方によっては堆積膜の電気的
特性を落とさずに、堆積膜の形成が可能なのである。
本発明の堆積膜形成方法により堆積膜を実際に形成す
る手順の一例を、第7−a図、及び、第7−b図に示す
堆積膜形成装置を用いて以下に説明する。
まず真空ポンプ(不図示)により排気管704を介し
て、反応容器701を排気し、反応容器701内の圧力を1×
10-7Torr以下に調整する。ついでヒーター707により、
基体705の温度を320度以上、500度以下に加熱保持す
る。そこで原料ガスを不図示のガス導入手段を介して、
アモルファスシリコンの原料ガスとしてシランガス、炭
素原子の添加剤としてメタン、希釈ガスとして、水素ガ
ス等の原料ガスが反応容器701内に導入される。それと
並行的にマイクロ波電源(不図示)により周波数2.45GH
zのマイクロ波を発生させ、導波管703を通じ、誘電体窓
702を介して反応容器701内に導入される。更に放電空間
706中のバイアス電極712に電気的に接続された直流電源
711によりバイアス電極712に基体705に対して直流電圧
を印加する。かくして基体705により囲まれた放電空間7
06において、原料ガスはマイクロ波のエネルギーにより
励起されて解離し、更にバイアス電極712と基体705の間
の電界により定常的に基体705上にイオン衝撃を受けな
がら、基体705表面に堆積膜が形成される。この時、基
体705が設置された回転軸709をモーター710により回転
させ、基体705を基体母線方向中心軸の回りに回転させ
ることにより、基体705全周に渡って均一に堆積膜が形
成される。本発明での主たる部分の堆積膜形成時の基体
温度は、340度以上、450度以下、より好ましくは360度
以上、400度以下が良好な効果を示すために好ましい。
本発明での堆積膜形成時に温度を上昇させる場合の、
初期温度は、100度以上、400度以下、好ましくは150度
以上、350度以下、最適には200度以上、300度以下が良
好な効果を示すため好ましい。本発明での堆積膜形成中
の温度の変化は50度以上、250度以下、好ましくは70度
以上、200度以下、最適には100度以上、150度以下の範
囲で上昇する事が良好な効果を示すため好ましい。温度
上昇の速度は、1度/分以上、20度/分以下が好まし
い。
本発明における基体の加熱方法は、真空仕様である発
熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒーター巻
き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックスヒーター
等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等
の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換
手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質
は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属
類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用すること
ができる。また、それ以外にも、反応容器以外に加熱専
用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で基
体を搬送する等の方法も使用することができる。更にこ
れらの手段と併用して又は単独で、放電に使用するマイ
クロ波自身により(例えば、必要に応じて強度を変える
ことにより)基体温度を制御することも可能である。
本発明では、アモルファスシリコン堆積膜の形成原料
ガスとしては、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、
四フッ化珪素(SiF4)等のシリコン原子を含むガス、又
はそれらの混合ガスが挙げられる。また、これらのSi供
給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガス
により希釈して使用しても良い。又、堆積膜に炭素原子
を添加する導入用の原料物質となり得るものとして有効
に使用される出発物質は、CとHとを構成原子とする、
例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、炭素数2〜4のエ
チレン系炭化水素、炭素数2〜3のアセチレン系炭化水
素等が上げられる。具体的には飽和炭化水素としての、
メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、
n−ブタン(n−C4H10)、ペンタン(C5H12)、エチレ
ン系炭化水素としては、エチレン(C2H4)、プロピレン
(C3H6)、ブテン−1(C4H8)、ブテン−2(C4H8)、
イソブチレン(C4H8)、ペンテン(C5H10)、アセチレ
ン系炭化水素としては、アセチレン(C2H2)、メチルア
セチレン(C3H4)、ブチン(C4H6)等の炭化水素また、
SiとCとを構成原子とする原料ガスとしては、Si(C
H3、Si(C2H5等のケイ化アルキルを用いること
もできる。またフッソの導入を行う場合には(CF4)等
のフッ化物または、これらの混合ガスを用いても良い。
本発明において放電空間に導入する炭素原子を含むガ
スの量は、形成された堆積膜中に炭素原子が、堆積膜中
のシリコン原子の量に対して1原子%以上、30原子以
下、更に好ましくは2原子%以上、20原子%以下、最適
には3原子%以上、10原子%以下含有される量が本発明
では有効である。
本発明においてアモルファスシリコン作製のガスと炭
素原子含有のガスを同時に導入するので有れば、特性が
大幅に劣化しない限り他のいかなるガスを導入すること
も有効である。
例えば、ドーピングを目的としてジボラン(B2H6)、
フッ化ほう素(BF3)、ホスフイン(PH3)等のドーパン
トガスを同時に放電空間に導入しても本発明は同様に有
効である。また、希釈ガスとしては水素(H2)、アルゴ
ン(Ar)、ヘリウム(He)等を多量に導入することも有
効である。更に酸素原子、窒素原子などを含む気体を意
識的に導入する場合、又は不純物として混入してしまう
場合も本発明の効果は有効である。
また、本発明において、体積膜中に必要に応じて水素
やハロゲン元素ガスおよびそれらの元素を含むガスを導
入しても良い。本発明において、マイクロ波導入のため
の誘電体窓の材質としてはアルミナ(Al2O3)、窒化ア
ルミニウム(AlN)、窒化ボロン(BN)、窒化珪素(Si
N)、炭化珪素(SiC)、酸化珪素(SiO2)、酸化ベリリ
ウム(BeO)、テフロン、ポリスチレン等のマイクロ波
の損失の少ない材料が通常使用される。
本発明では、放電空間の圧力がいずれの領域でも効果
が現われたが、特に100mtorr以下、好ましくは50mtorr
以下で特に良好な結果が再現良く得られた。
基体材料としては、例えば、ステンレス、AlCr、Mo、
Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、これら
の合金又は表面を導電処理したポリカーボネート等の合
成樹脂、ガラス、セラミックス、紙等が本発明では通常
使用される。
基体の形状は任意の物で良いが、複数の基体で放電空
間を取り囲む構成の堆積膜形成方法においては特に円筒
形の物が本発明に最適である。基体の大きさには特に制
限はないが実用的には直径20mm以上、500mm以下、長さ1
0mm以上、1000mm以下が好ましい。
複数の基体で放電空間を取り囲む構成の堆積膜形成方
法においては基体の間隔は1mm以上、50mm以下が好まし
い。基体の数は放電空間を形成できるならばいずれでも
良いが3本以上、より好ましくは4本以上が適当であ
る。
更に本発明は、阻止型アモルファスシリコン感光体、
高抵抗型アモルファスシリコン感光体等、複写機、又は
プリンター用感光体の作製にも応用が可能である。
本発明は、マイクロ波を使用するいずれの装置にも適
用が可能であるが、特に、放電空間を囲むように基体を
設け、少なくとも基体の一端側から導波管によりマイク
ロ波を導入する構成の装置に対して大きな効果がる。
以下、本発明を完成するに当たって行った実験例を具
体的に説明する。
〔実験例1〕 第7−a図及び7−b図で示す堆積膜形成装置を用
い、前述した本発明による堆積膜形成法方の手順に従っ
て基体上にアモルファスシリコン堆積膜の形成を行うこ
とにより、第3図に示す層構成の阻止型電子写真感光体
を作成した。このときの成膜条件を第1表に示す。第3
図において、301はアルミニュウム基体を、302は電荷注
入阻止層を、303は感光層を示している。
本実施例においてはいずれの層中にもけい素原子に対
して5原子%の炭素原子が含有されるようにシランガス
と同時に原料ガスとしてメタンガスを導入して、また基
体温度を変化させることによって得られた堆積膜の特性
向上の検討を行なった。
この様にして得られた堆積膜の球状突起を顕微鏡(商
品名:Versamet−2 Union社製)により観察した。続い
てキヤノン社製複写機NP7550を実験用に改良した改造機
に作成した感光体を入れ、画像による評価を以下の様に
して行った。
黒原稿を原稿台に置きコピーした時に得られた画像サ
ンプルを観察して予め顕微鏡で確認した球状突起の位置
に画像欠陥として白点が認められるかどうか確認した。
それらの結果を第2表に示す。但し、表中の基体温度
とは電荷注入阻止層および感光層の堆積膜形成中におけ
る基体温度で基体加熱用ヒーター(第7図中の707)の
通電量を調整して、ほぼ示した温度に(±5度)の保持
した。なお、表中の記号は各々、以下のことを示してい
る。
○…まったく白点が認められない。
△…かすかに白点が認められる。
×…はっきりと白点が認められる。
〔比較実験例〕
第7−a図、及び、第7−b図で示す堆積膜形成装置
を用い、従来の体積膜形成方法により、電子写真感光体
を作成した。このとき、堆積膜形成条件として、いずれ
の層の形成中においても原料ガス中に炭素原子を含有す
るガスは全く導入せず、またいずれの層の形成中も基体
温度は250度に維持し、他は第1表の条件に従った。こ
の様にして作成した電子写真感光体を、実験例1と同様
の方法で評価した結果を第3表に示す。
第2表および第3表より明らかな様に、本発明による
体積膜形成方法で作成した電子写真感光体では、堆積膜
中の基体温度が320度以上、500度以下の時に、従来の堆
積膜形成方法により作成した電子写真感光体に比べ画質
欠陥の現れ方について良好な結果が得られ、特に340度
以上、450度以下のときに良好な結果が得られた。
〔実験例2〕 第7−a図、及び、第7−b図で示す堆積膜形成装置
を用い、実験例1と同様にして本発明による体積膜形成
法方により第3図で示す層構成の電子写真感光体を作成
した。本実験例では、堆積膜中の炭素量を変え、堆積膜
の特性向上の検討を行った。このとき、いずれの条件に
おいても、いずれの層の形成中も基体温度は380度に保
持した。この様にして作成した電子写真感光体を実験例
1と同様にして評価し、得られた結果を第4表に示す。
表中および膜中の炭素量とは、電荷注入阻止層および
感光層とも堆積膜中にけい素原子に対して炭素原子が含
まれる割合を示している。
第4表より明らかなように、堆積膜中の炭素量が1原
子%以上、30原子%以下と成るように原料ガス中に炭素
原子を含むガスを導入した時に良好な結果が得られ、2
原子%以上、20原子%以下となるように原料ガス中に炭
素原子を含むガスを導入した時にさらに良好な結果が得
られた。これら結果は基体温度を320℃から500℃の範囲
で変えても全く同様であった。
〔実験例3〕 第7−a図、及び、第7−b図で示す堆積膜形成装置
を用い、実験例1と同様にして本発明による堆積膜形成
法により、第3図で示される様な層構成を持つ電子写真
感光体を作成した。本実験例では堆積膜の総膜厚を変
え、堆積膜の特性向上の検討を行った。
いずれの場合も、いずれの層の形成中に置いても基体
温度は380度に保持し、またいずれの層中にも5原子%
の炭素原子が含有されるようにシランガスと同時に原料
ガスとしてメタンガスを導入した。
この様にして作成したアモルファスシリコン電子写真
感光ドラムを実験例1と同様にして評価し、得られた結
果を第5表に示す、また、第5表には、ドラム表面、及
び、ガス管等成膜容器内部の堆積膜の剥がれの状態も同
時に示した。また、膜剥れの評価として用いた各記号は
以下のことを示している。
○…まったく剥がれが認められない。
△…わずかに剥がれが認められる。
×…大きな剥がれがある。
第5表より明らかなように、本発明の体積膜形成方法
で作成した堆積膜の総膜厚を10ミクロン以上、200ミク
ロン以下とした電子写真感光体においては、画像性と膜
剥れに関して良好な結果が得られ、15ミクロン以上、10
0ミクロン以下とした場合に、更に良好な結果が得られ
た。
これら結果は基体温度を320℃から500℃の範囲で変化
させても、又堆積中の炭素量を1原子%から30原子%の
範囲で変化させても変えてもまったく同様であった。
〔実験例4〕 第7−a図及び第7−b図で示す堆積膜形成装置を用
い、本発明による体積膜形成方法により第4図で示され
る様な層構成を持つ電子写真感光体を作成した。この時
の成膜条件を第6表に示した。第4図において、401は
アルミニュウム基体を、402は電荷注入阻止層を、403は
感光層1を、404は感光層2を示している。
電荷注入阻止層402および、感光層1(403)の堆積膜
形成中は、基体温度を380度に保持した。また、堆積膜
中に炭素原子がけい素原子に対して5%含有される様に
シランガスと同時にメタンガスを原料ガス中に導入した
層であり、球状突起が画像上の欠陥として現れないよう
に働く作用を持つ。
一方、感光層2は、感光層1の形成後一旦放電を止め
て基体温度が250度に下がった後その温度で維持したま
ま、炭素原子を含む原料ガスを一切導入せずに形成した
層である。つまりこの感光層2は球状突起が画像上の欠
陥として現れない様に働く作用を持たない層である。
本実験例では電化注入阻止層と感光層1の膜厚の和
(d1)と感光層2の膜厚(d2)を変え、堆積膜の特性向
上の検討を行った。但し電化注入阻止層の膜厚をすべて
3μmにした。
この様にして得られた結果を第7表に示す。第7表か
ら明らかな様に画像上の欠陥として現れない様に働く作
用を持つ層領域の厚さが10μm以上で、またその様な作
用を持たない層領域の膜厚が24μm以下の場合には、電
子写真感光体の画像性について良好な結果が得られ、特
に、画像上の欠陥として現れない様に働ぐ作用を持つ層
領域の厚さが15μm以上で、またその様な作用を持たな
い層領域の膜厚が15μm以下の場合には、電子写真感光
体の画像性において非常に良好な結果が得られることが
分かった。
これらの結果は電荷注入阻止層と感光層1の形成中の
基体温度を320度から500度の範囲で変化させても、また
電荷注入阻止層と感光層1中の炭素原子の含有量をけい
素原子の含有量に対して1原子%から30原子%の範囲で
変化させても全く同様であった。
〔実験例5〕 第7−a図、及び、第7−b図で示す堆積膜形成装置
を用い、実験例1と同様にして本発明による体積形成方
法を用いて第3図で示される様な層構成の電子写真感光
体を作成した。本実施例では、基体温度の変化の大きさ
を変え、得られた堆積膜の特性向上の検討を行なった。
すなわち、成膜初期の温度が50度から450度の範囲の
温度になる様に設定して、5μmの堆積膜が形成された
とき基体温度が400度に達する様に成膜開始と共にヒー
ター707の通電量を変化させ、基体温度を変化させた。
基体温度が400度に達した後は基体温度をその温度のま
ま保持させる様にヒーター707の通電量を設定した。
すなわち、基体初期の温度が400度よりも低いとき
は、堆積膜の形成と同時にヒーター707の通電量を上
げ、また基体初期温度他400度よりも高いときには加熱
ヒーター707に供給している通電量を下げ、いずれにし
ても、堆積膜が5μm形成されるまえに基体温度がほぼ
400度に成る様にしてアモルファスシリコン堆積膜の形
成を行った。
尚、このときいずれの場合およびいずれの層中にも5
原子%の炭素原子が含有される様にシランガスと同時に
原料ガスとしてのメタンガスを導入した。その他の条件
は実験例1と同様とした。
この電子写真感光体を実験例1と同様にして評価し、
得られた結果を第8表に示す。表中における基体温度の
変化とは、堆積膜の主な部分の形成時の基体温度(400
度)から、初期温度を差し引いた値である。
第8表より明らかな様に、50度以上、300度以下の堆
積膜形成の初期に、基体温度を変化させて形成した電子
写真感光体の画像性においては良好な結果が得られ、10
0度以上、250度以下の堆積膜形成の初期に、基体温度を
変化させて形成した電子写真感光体の画像性は、更に良
好なものであった。
以上の実験例により本発明の構成が決定された。次
に、本発明の実施例および比較例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれらにより何ら限定されることは
ない。
〔実施例1、比較例1〕 《実施例1》 第7−a図、第7−b図に示す堆積膜形成装置を用
い。第9表の条件で、前述の本発明の堆積膜形成方法に
よりアモルフアスシリコン電子写真感光体の形成を行な
った。このようにして作成した電子写真感光体の電子写
真的特性を以下のようにして行なった。
作成した感光ドラムをキヤノン社製複写機(NP7550)
を実験用に改良した改造機にいれ、通常の複写プロセス
により転写紙上に画像を作製した。但し、この時、帯電
器に6kVの電圧で印加し帯電を行なった。
細線再現性:白地に全面文字よりなる通常の原稿を原稿
台に置きコピーした時に得られた画像サンプルを観察
し、画像上の細線が途切れずにつながっているか評価し
た。但しこの時画像上でむらがある時は、全画像領域で
評価し、一番悪い部分の結果を示した。
◎…良好。
○…一部途切れあり。
△…途切れは多いが文字として認識できる。
× 文字として認識できないものもある。
白地かぶり:白地に前面文字よりなる通常の原稿を原稿
台に置きコピーした時に得られた画像サンプルを観察
し、白地の部分のかぶりを評価した。
◎…良好。
○…一部僅かにかぶりあり。
△…全面に渡りかぶりあるが文字の認識には支障無
し。
×…文字が読みにくい程かぶりがある。
画像むら:全面ハーフトーンの原稿を原稿台に置きコピ
ーした時に得られた画像サンプルを観察し、濃淡のむら
を評価した。
◎…良好。
○…一部僅かな濃淡の差有り。
△…全面に渡り濃淡の差があるが文字の認識には支障
無し。
×…文字が読みにくい程むらがある。
画像欠陥:黒原稿を原稿台に置きコピーした時に得られ
た画像サンプルの同一面積内にある白点の数により評価
を行なった。
◎…良好。
○…一部小さな白点有り。
△…全面に白点があるが文字の認識には支障無し。
×…文字が読みにくい程白点が多い。
(比較例1) 第7−a図、第7−b図に示す堆積膜形成装置を用
い、第10表の条件で前述の従来の堆積膜形方法によりア
モルファスシリコン感光体の作製を行なった。この時、
いずれの層の形成時の基体温度も250度とし、表面層作
製時を除き原料ガスに炭素原子を含む気体は導入しなか
った。この様にして作製した電子写真感光体にたいして
実施例1と同様の評価を行なった。
実施例1、比較例1の結果を併せて第11表に示す。表
に示されるようにいずれの項目においても、本発明の堆
積膜形成法で作成した電子写真感光体は従来の堆積膜形
成法で作成した電子写真感光体に比べ電子写真特性にお
いて非常に良好な結果が得られた。
〔実施例2〕 第7−a図、および第7−b図に示す堆積膜形成装置
を用いた本発明の堆積膜形成方法により、第12表の条件
で感光ドラムの形成を行なった。この時、炭素原料ガス
としてメタンガスに代えアセチレンガスを用いた。この
様にして作成した電子写真感光体の評価を実施例1と同
様の方法で行なった。その結果、実施例1及び実施例2
と同様に本発明の堆積膜形成方法で作成した電子写真感
光体においては画像性について非常に良好な結果が得ら
れた。
〔実施例3〕 第7−a図、及び、第7−b図に示す堆積膜形成装置
を用い第13表に示すように本発明の堆積膜形成法により
電子写真感光体を作成した。この様にして得られた電子
写真感光体の層構成を第5図に示す。
本実施例において、基体温度は成膜初期に250度とな
る様に基体加熱時様にヒーター(第7図中、707)であ
らかじめ加熱しておき、成膜を始めると同時に基体加熱
ヒーター707の通電量を殖やし、基体温度を更に上昇さ
せ。基体温度が、380度に成ると同時に基体の温度がそ
れ以上上昇しない様にヒーター707の通電量を調整し、
ほぼ380度と成る様に保持した。
第5図中、501はアルミニュウム基体、基体、502は電
荷注入阻止層、503は感光層、505は表面層を示してい
る。また、506は、堆積膜形成中に基体の温度が250度か
ら380度に上昇していた領域であり、膜厚としては5μ
mであり、507は、堆積膜形成中に基体温度が380度でほ
ぼ一定であった領域であり、膜厚としては20μmであ
る。
この様にして作成した電子写真感光体の評価を実施例
1と同様の方法で行った。
その結果を第14表に示す。第14表で明らかな様に、本
実施例の本発明の堆積膜形成方法による作成した電子写
真感光体は、従来の堆積膜形成方法で作成した電子写真
感光体よりも良好な画像性が得られることはもちろん、
更に、実施例1および実施例2の電子写真感光体に比べ
ても更に良好な結果となっていることが分かった。
〔実施例4〕 第7−a図、及び、第7−b図に示す堆積膜形成装置
を用い第15表に示すように本発明の堆積膜形成法により
電子写真感光体を作成した。この様にして得られた電子
写真感光体の層構成を第6図に示す。
本実施例において、基体温度は成膜初期に250度と成
る様に基体加熱用ヒーター(第7図中、707)であらか
じめ加熱しておき、成膜を始めると同時に基体加熱用ヒ
ーター707の通電量をふやし、基体温度を更に上昇させ
た。基体温度が380度に成ると同時に基体の温度がそれ
以上、上昇しない様にヒーター707の通電量を調整しほ
ぼ380度を保持する様に設定した。
更に、感光層1の成膜終了後に、一旦放電を止め、基
体温度が再び250度と成る様にヒーター707の設定を調節
し、感光層2以降の形成を開始した。
第6図中、601はアルミニュウム基体、602は電荷注入
阻止層、603は感光層1、604は感光層2、605は表面層
を示している。また、606は堆積膜形成中に基体の温度
が上昇していた領域であり、膜厚としては5μmであ
る。607は、体積膜中に基体温度が380度でほぼ一定であ
った領域である。膜厚としては20μmである。
この様にして作成した電子写真感光体の評価を実施例
1と同様の方法で行った。その結果を実施例1、実施例
2および実施例3と比べ、画像性について同等またはそ
れ以上の良好な結果がえら得られることが分かった。
〔本発明の効果の概要〕 本発明のマイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成
方法によれば、たとえ成膜中に堆積膜の破片等の異物が
付着しても画像欠陥の原因となる異常成長を起こさない
ために非常に画質のよい電子写真感光体が再現良く得ら
れた。
なお、本発明の効果として細線の再現性が全ての領域
で良くなったことも挙げられる。従来の堆積膜形成方法
では、堆積膜が暗抵抗の小さい部分を含む構造を作り易
いため、異物の無いところでも基体の表面性の違いや材
質の不純物のむらなどが原因となり部分的に低抵抗の領
域ができる場合があった。このことにより表面電荷の横
流れが発生するため、解像力の再現性が悪く、場合によ
っては、感光ドラム上で文字が判別しにくいほどきわめ
て解像性の悪い箇所がみられ、これが製品の品質と歩留
りを低下させていた。本発明の堆積膜形成方法では、堆
積膜の成長が基体の表面性や基体材質の純度のむらの影
響を受けにくく、堆積膜中の異常な構造ができにくいた
め、このような解像力の低下はみられず、前述の画像欠
陥の低減と相まって製品の品質歩留りとも格段の向上が
達成できた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の堆積膜作製方法により堆積したアモ
ルファスシリコン堆積膜の球状突起部における断面のエ
ッチング前の結晶構造を示す図、第2図は、本発明の堆
積膜作製方法により堆積したアモルファスシリコン堆積
膜の球状突起部における断面のエッチング後の結晶構造
を示す図、 第3図、第4図、第5図および第6図は本発明の堆積膜
作成方法により堆積した電子写真感光体の層構成を示し
た図、 第7−a図は、堆積膜形成装置の縦断面図、第7−b図
は、堆積膜形成装置の横断面図、 第8図は、従来の堆積膜作成方法により堆積したアモル
ファスシリコン堆積膜の球状突起部における断面のエッ
チング前の結晶構造を示す図、 第9図は、従来の堆積膜作成方法により堆積したアモル
ファスシリコン堆積膜の球状突起部における断面のエッ
チング後の結晶構造を示す図である。 図において、 301、401、501、601……基体 302、402、502、602……電荷注入阻止層 303、403、503、603……炭素原子含有の感光層 404、604……炭素原子を含有しない感光層 305、405、505、605……表面層 506、606……形成中に温度が大きく変化する部分 507、607……形成中に温度がほぼ一定の部分 701……反応容器 702……マイクロ波導入窓 703……導波管 704……排気管 705……基体 706……放電空間 707……ヒーター 709……回転軸 710……モーター 711……直流電源 712……電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/205 H01L 21/205 21/31 21/31 C (56)参考文献 特開 平2−10368(JP,A) 特開 平2−181974(JP,A) 特開 昭60−186849(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/50 H01L 21/205 G03G 5/08 303 G03G 5/08 313 G03G 5/08 333

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応容器内に原料ガス及びマイクロ波エネ
    ルギーを導入して、前記反応容器内の放電空間にプラズ
    マを生じさせ、該反応容器内に設置された基体に、該基
    体表面が放電空間内と非放電空間内とを交互に通過する
    ように該基体を運動させながら基体表面上にシリコンを
    含む堆積膜の形成を行うマイクロ波プラズマCVD法によ
    る堆積膜形成方法において、 少なくとも堆積膜の一部の形成時に、前記基体温度を34
    0度以上、450度以下に保持し、且つ、該堆積膜中に炭素
    原子をシリコン原子に対して1原子%以上、30原子%以
    下含有するように炭素原子を含有する気体を放電空間に
    導入することを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記堆積膜形成中に基体温度を初期温度に
    対して50度以上、250度以下の範囲で上昇させることを
    特徴とする請求項1記載の堆積膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記基体温度の上昇速度は1度/分以上、
    20度/分以下とすることを特徴とする請求項2記載の堆
    積膜形成方法。
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