JP2768539B2 - 堆積膜形成装置 - Google Patents

堆積膜形成装置

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JP2768539B2 JP12815590A JP12815590A JP2768539B2 JP 2768539 B2 JP2768539 B2 JP 2768539B2 JP 12815590 A JP12815590 A JP 12815590A JP 12815590 A JP12815590 A JP 12815590A JP 2768539 B2 JP2768539 B2 JP 2768539B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、基体上に堆積膜、とりわけ機能性膜、特に
半導体デバイス,電子写真用感光体,画像入力用ライン
センサー,撮像デバイス,光起電力デバイスなどに用い
られるアモルファス膜をマイクロ波プラズマCVD法によ
り形成する堆積膜形成装置に関する。
〔従来の技術〕
半導体デバイス,電子写真用感光体,画像入力用ライ
ンセンサー,撮像デバイス,光起電力デバイス、その他
の各種エレクトロニクス素子,光学素子に用いられる素
子部材として、例えば水素やハロゲン(フッ素,塩素な
ど)で補償されたアモルファスシリコン膜などのアモル
ファス堆積膜が提案され、そのうちのいくつかは実用化
されている。こうした堆積膜の形成方法として、従来、
スパッタリング法,熱により原料ガスを分解する熱CVD
法,光により原料ガスを分解する光CVD法,プラズマに
より原料ガスを分解するプラズマCVD法などの多数の方
法が知られている。中でもプラズマCVD法、すなわち原
料ガスを直流または高周波,マイクロ波グロー放電で分
解し、ガラス,石英,耐熱性合成樹脂フィルム,ステン
レス,アルミニウムなどの基体上に薄膜状の堆積膜を形
成する方法は、電子写真用感光体に用いられるアモルフ
ァスシリコン堆積膜への応用など、現在実用化が非常に
進んでおり、そのための装置も各種提案されている。特
に、マイクロ波グロー放電を利用したプラズマCVD法で
あるマイクロ波プラズマCVD法が、近年、工業的にも注
目されている。
マイクロ波プラズマCVD法は、他の方法に比べ、堆積
速度と原料ガス利用効率がともに高いという利点を有し
ている。こうした利点を生かした例が、米国特許第4,50
4,518号明細書に開示されている。この技術は、0.1Torr
以下の低圧でマイクロ波プラズマCVD法により高い堆積
速度で良質の堆積膜を得ようとするものである。
マイクロ波プラズマCVD法の原料ガス利用効率をさら
に改善するための技術が特開昭60−186849号公報に記載
されており、この技術はマイクロ波エネルギー導入部を
取り囲むようにして内部チャンバー(すなわち放電空
間)を形成するというものである。
また、特開昭61−283116号公報には、半導体部材製造
用の改良形マイクロ波技術が開示されている。これは、
放電空間中にプラズマの電位制御用としてバイアス電極
を設け、このバイアス電極に所望の電圧(バイアス電
圧)を印加して堆積膜へのイオン衝撃を制御し、このこ
とにより堆積膜の特性を向上させようとするものであ
る。
こうしたマイクロ波プラズマCVD装置において、原料
ガス導入部の改良が、特開昭63−57779号公報,特開昭6
3−230880号公報に記載されている。これらは、円筒状
基体の間から放電空間へ原料ガスを導入する方法であ
り、原料ガス導入部の形状をくし形または三角柱状にす
ることにより、原料ガスをプラズマ発生領域に効率的に
導入し堆積膜の堆積速度を向上させることを可能とした
ものである。
これら従来の技術により、比較的厚い光導電性材料を
ある程度高い堆積速度と原料ガス利用効率で製造するこ
とが可能となった。このようにして改良された従来の堆
積膜形成装置の例が第10図と第11図に示されている。第
10図はこの従来の装置の概略縦断面図、第11図は第10図
のB−B′線における概略横断面図である。
円筒形状の反応容器1の側面には排気管4が一体的に
形成され、排気管4の他端は図示しない排気装置に接続
されている。反応容器1の上面と下面にはそれぞれ導波
管3が取り付けられ、各導波管3の他端は図示しないマ
イクロ波電源に接続されている。各導波管3の反応容器
1側の端部にはそれぞれ誘導体窓2が機密封止されてい
る。反応容器1の中心部を取り囲むように、堆積膜の形
成される6個の円筒状基体5が互いに平行になるように
配置されている。各円筒状基体5は回転軸8によって保
持され、発熱体7によって加熱されるようになってい
る。モーター9を駆動すると減速ギア10を介して回転軸
8が回転し、円筒状基体5がその母線方向中心軸のまわ
りを自転するようになっている。
反応容器1内の各円筒状基体5と各誘導体窓2で囲ま
れた空間が放電空間6であり、放電空間6のほぼ中央部
に円筒状基体5と平行になるようバイアス電極52が設け
られている。バイアス電極52はケーブル13によってバイ
アス電源12に接続されている。また、隣接する2個の円
筒状基体5の間のすき間には、それぞれ原料ガス導入管
51が設けられている。原料ガス導入管51はくし形の形状
であり、原料ガスを放電空間6に導入するようになって
いる。
この装置を用いて、例えば電子写真用感光体のために
堆積膜を形成するときは、まず反応容器1内を1×10-7
Torr以下まで排気し、ついで発熱体7により円筒状基体
5を所望の温度に加熱保持する。そして原料ガス導入管
51を介して、例えばアモルファスシリコン堆積膜を形成
する場合であれば、シランガスなどの原料ガスを反応容
器1内に導入する。これと同時並行的に周波数500MHz以
上の好ましくは2.45GHzのマイクロ波を導波管3、誘導
体窓2を経て反応容器1内に入射させる。その結果、放
電空間6においてグロー放電が開始し、原料ガスは励起
解離して円筒状基体5上に堆積膜が形成される。このと
きモーター9を駆動して円筒状基体5を自転させること
により、円筒状基体5の全周にわたって堆積膜を形成す
ることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来の堆積膜形成装置により、ある程度の堆
積速度において、実用的な特性と均一性を有する堆積膜
を形成することは可能である。また、反応容器内の清掃
を厳格に行なえば、ある程度欠陥の少ない堆積膜を形成
することも可能である。しかし、これらの堆積膜形成装
置では、特に堆積速度を大きくしたときに、大面積で比
較的厚い堆積膜を形成しようとすると、均一膜質で要求
される特性を満たす堆積膜を高収率で得ることができな
いという問題点が生じることがある。例えば電子写真用
感光体の場合、必要とされる光学的および電気的特性を
満足してかつ電子写真プロセスで画像を形成したときに
画像欠陥が少ない電子写真用感光体を定常的に安定して
高歩留まりで製造するのが難しい。すなわち、上述の従
来の方法によって製造した電子写真用感光体では、高湿
度のような帯電条件の悪い場合、低湿度のような現像条
件の悪い場合、ロット間のばらつきや長期間使用のため
に現像材の性能が低下した場合、あるいはこれら条件が
重なったときなどに、得られる画像について濃度が薄く
なったり白地かぶりが発生したりコントラストが低下し
たりするなどの問題が発生することが多い。
さらに上述した従来の堆積膜形成装置では、原料ガス
導入管が基体に近接しているため、原料ガス導入管の周
辺に付着した塵埃が原料ガス導入時に反応容器内に舞い
上がって基体に付着し、例えば電子写真用感光体の場合
には画像欠陥の原因になるという問題点がある。
本発明の目的は、上述のようなマイクロ波プラズマCV
D法による従来の堆積膜形成装置の諸問題点を克服し、
半導体デバイス,電子写真用感光体,画像入力用ライン
センサー,撮像デバイス,光起電力デバイス,その他各
種エレクトロニクス素子,光学素子の素子部材として用
いる特性のよい堆積膜をマイクロ波プラズマCVD法によ
り高速で形成し得る堆積膜形成装置を提供することにあ
る。特に、10μm以上の比較的厚くかつ高品質のアモル
ファスシリコン堆積膜を高い堆積速度で形成しうる堆積
膜形成装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、堆積速度と原料ガス利用効率が高いという
利点を有するマイクロ波プラズマCVD法による装置にお
いて、原料ガス導入手段を多重管構造にし原料ガス導入
手段と基体の間に電界を印加することにより低コストで
特性のすぐれた堆積膜を作製できるという新たな知見を
得、この知見に基づいて完成したものであり、 減圧にし得る反応容器と 堆積膜が形成される基体を前記反応容器内に配置する
手段と、 前記反応容器内にガス状の原料物質を導入するための
ガス導入手段と、 前記反応容器内にマイクロ波エネルギーを導入する手
段と、 を有する堆積膜形成装置であって、 前記基体に取り囲まれた空間の内部に前記ガス導入手
段を配し、 前記ガス導入手段は多重管構造であり、前記原料物質
の供給源に接続され、前記多重管を構成する各管にはそ
れぞれガス放出孔が当該管の内側と外側を連通するよう
に設けられ、 前記ガス導入手段と前記基体との間にバイアス電圧を
印加する手段を有することを特徴とする堆積膜形成装置
である。
〔作用〕
原料ガス導入手段を多重管構造とし、この多重管を構
成する各管にそれぞれガス放出孔を設け、さらに原料ガ
ス導入手段と基体の間にバイアス電圧を印加する手段を
有する本発明の作用は以下のようなものである。なお、
説明のため多重管は二重管であるとする。
原料ガスは原料ガス供給源より供給されて、まず二重
管の内管に導入される。内管に設けられたガス放出孔
は、内管の外側に外管があるため、プラズマに直接曝さ
れることはない。したがって、このガス放出孔のまわり
で原料ガスが分解することもなく、ここには堆積膜は形
成されずガス放出孔が塞がることもない。内管によって
軸方向にある程度均一に分布するようになった原料ガス
は、内管と外管との間の空間を通って、外管に設けられ
たガス放出孔から放電空間に放出される。このとき、マ
イクロ波プラズマおよびバイアス電流のために外管は昇
温しているが、原料ガス導入手段に単管構造のものを利
用した場合の管内の圧力に比べ、内管と外管の間の空間
の圧力はかなり低くなっている。その結果、外管の内壁
や外管に設けられたガス放出孔への膜の堆積が、前記の
単管構造のものに比べ、非常に少なくなる。また、外管
のガス放出孔の大きさを比較的大きくできるので、膜の
堆積によるガス放出孔の径の変化があっても基体上の軸
方向の膜厚むらが生じることはない。
さらに本発明においては、原料ガス導入手段と基体と
の間にバイアス電圧を印加することができる。バイアス
電圧を調節することにより、基体上の堆積膜へのイオン
の供給を制御でき、堆積膜の特性向上を図ることができ
る。また、バイアス電圧を印加することにより、原料ガ
ス導入手段の外壁への膜の堆積が抑制される。
これらの作用が相俟って、基体上に特性のすぐれた蓄
積膜を高い堆積速度で形成することができるようにな
る。以上の説明は二重管構造の場合を例に挙げて行なっ
たが、三重管以上の多重管を原料ガス導入手段に用いた
場合も、その作用は上述と同様である。
ここで、多重管を構成する各管に設けられるガス放出
孔の数について、内側の管よりも外側の管の方に数多く
ガス放出孔が設けられるようにすると、放電空間に流出
する原料ガスの分布がより均一となって、さらに特性の
すぐれた堆積膜を形成することができる。
原料ガス導入手段の形状としては特に制限はないが、
鋭いエッジ部があると外側に付着した堆積膜の膜剥れし
やすいため、前記膜剥れを防止するためには円筒状かま
たはそれに近似したものが適している。原料ガス導入手
段が二重管構造のものの場合、内管の形状としては円筒
状のものが好ましく、断面の直径は外管に対して30%以
上70%以下が好ましい。また原料ガス導入手段の長さに
ついては特に制限はないが、堆積膜の膜厚むらの防止の
ためには基体の90%以上110%以下の長さとするのが好
ましい。
原料ガス導入手段の材質としては、表面が導電性であ
り高温に耐える材質であり、ある程度熱伝導の悪いもの
が望ましいが、実用上次のものが望ましい。例えばステ
ンレス、Ni,Cr,Mo,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、
これらの合金または表面を導電処理したガラス、セラミ
ックス等が通常使用される。
原料ガス導入手段の平面における位置は、放電空間の
中心から原料ガス導入部の中心までの距離が、放電空間
の中心から基体までの最短距離の20%以内の範囲ならば
いずれの所に設定されても良いが、好ましくは放電空間
の中心位置に設置されるのが膜厚、膜質の均一性のため
には望ましい。
また、原料ガス導入手段の形状が円筒状の場合、後述
するように、その直径は放電空間の直径の4〜25%程度
にすることが好ましく、放電空間の直径の4〜14%程度
にすることがさらに好ましい。
原料ガス導入手段の外管のガス放出孔の直径は、後述
するように、0.4〜2.5mm程度が好ましく、0.6〜1.5mm程
度がさらに好ましい。
原料ガス導入手段の外管のガス放出孔の個数は、後述
するように、外管の単位外表面積当りの個数で表わす
と、0.09〜0.31個/cm2程度が好ましく、0.14〜0.27個/c
m2程度がさらに好ましい。
堆積膜が形成される基体には、導電性材料か表面を導
電処理した材料が用いられる。例えば、ステンレス、A
l,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、これら
の合金または表面を導電処理したポリカーボネート等の
合成樹脂,ガラス,セラミックス,紙等が通常使用され
る。
基体の形状としては、板状、長尺シート状、円筒状等
の放電空間を取り囲むことができる形状のものが使用さ
れる。
基体の形状が円筒状の場合、基体の直径には特に制限
はないが、実用的には20〜500mm程度であり、長さは10m
m以上1000mm以下程度が好ましい。
また、円筒状の基体の場合、基体相互の間隔は1〜50
mm程度が放電空間を安定して維持する上で好ましく、基
体の数は放電空間を形成できるならばいずれでもよいが
3本以上が好ましく、4本以上がより好ましい。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
第1図は本発明の一実施例の堆積膜形成装置の構成を
示す概略縦断面図、第2図は第1図のA−A′線におけ
る概略横断面図、第3図は二重管構造の場合の原料ガス
導入手段の詳細を示す概略縦断面図、第4図は三重管構
造の場合の原料ガス導入手段の詳細を示す概略縦断面図
である。
円筒形状であり真空気密化構造である反応容器1の側
面には排気管4が一体的に形成され、排気管4の他端は
真空ポンプなどの図示しない排気装置に接続されてい
る。反応容器1の上面と下面の中央部にはそれぞれ導波
管3が取り付けられている。導波管3は、マイクロ波電
源(図示せず)から反応容器1の近傍までの矩形断面の
部分(図示せず)と、反応容器1内に挿入された円形断
面部分とからなり、スタブチューナー(図示せず)、ア
イソレーター(図示せず)とともにマイクロ波電源(図
示せず)に取り付けられている。各導波管3の反応容器
1側の端部には、マイクロ波エネルギーを損失少なく透
過しかつ真空気密を保持し得るような材料で形成された
誘電体窓2が設けられている。誘電体窓2は、具体的に
は、アルミナ(Al2O3),窒化アルミニウム(AlN),窒
化ホウ素(BN),窒化ケイ素(SiN),炭化ケイ素(Si
C),酸化ケイ素(SiO2),酸化ベリリウム(BeO),ポ
リテトラフルオロエチレン,ポリスチレンなどの材料に
よって構成されている。誘電体窓2は、反応容器1内の
雰囲気を保持するため、導波管3の円筒形の部分と密着
し気密封止されている。反応容器1の中心部を取り囲む
ように、堆積膜の形成される6個の円筒状基体5が互い
に平行になるように配置されている。円筒状基体5はそ
れぞれ回転軸8によって保持され、かつその内部には同
軸状に円筒状の発熱体7が配設されており、該発熱体7
によって内側から加熱されるようになっている。回転軸
8は、反応容器1に対して回転自在に取り付けられ、一
端が減速ギア10を介してモーター9に接続している。し
たがって、モーター9を駆動することにより、円筒状基
体5をその母線方向中心軸のまわりを自転させることが
できる。
反応容器1内の各円筒状基体5と各誘導体窓2で囲ま
れた部分が放電空間6であり、各導波管3から各誘電体
窓2を経てマイクロ波が反応容器1に入射したとき、マ
イクロ波によるグロー放電は主としてこの放電空間6で
発生する。放電空間6がマイクロ波に対して空洞共振構
造となるようにしておくとよい。放電空間6の中央部
に、円筒状基体5と平行に、ガス管16に接続された後述
する原料ガス導入手段11が設けられている。ガス管16は
電気絶縁性の材料からなり、その他端はガス導入口15を
経て図示しない原料ガス供給源に接続されている。バイ
アス電源12からのゲーブル13は、導入端子14によって反
応容器1内のガス管16の内部に導入されて原料ガス導入
手段11に接続している。この結果、各円筒状基体5と原
料ガス導入手段11との間にバイアス電圧を印加できるよ
うになっている。
次に、原料ガス導入手段11について説明する。
原料ガス導入手段11は、少なくとも表面が導電性であ
る材料からなる多重管構造である。その最内側の管は、
ガス管16に接続されている。多重管を構成する各管に
は、それぞれガス放出孔が設けられ、原料ガスが当該管
の内側から外側へ流れ出せるようになっている。この場
合、内側の管と外側の管を比べたときに外側の管の方に
より多くのガス放出孔が設けられるようにしておくと、
放電空間6内での原料ガスの圧力分布をより均一にする
ことができ、堆積膜の特性の均一化を図ることができ
る。また、内側の管のガス放出孔の位置と外側の管のガ
ス放出孔の位置が重ならないようにしておくことが望ま
しい。
ガス放出孔の位置関係は、多重管内に供給されたガス
が反応容器内に放出されるまでのガス導入手段内を通る
ガスの行路長がどの最外管のガス放出孔についても同程
度となるように配するのが、成膜の過程でガス組成を変
化する場合においてもより均一な膜を得るには望まし
い。
二重管構造の場合の原料ガス導入手段11の例が第3図
に示されている。この場合、内管23と外管22による二重
管構造であり、口金21によってガス管16に接続されるよ
うになっている。内管23と外管22にはそれぞれ複数のガ
ス放出孔25,24が設けられているが、ガス放出孔の数は
内管23より外管22の方が多いようになっている。口金21
から流入した原料ガスは、内管23,ガス放出孔25,外管2
2,ガス放出孔24を経て、放電空間6に流出することにな
る。
同様に、三重管構造の場合の原料ガス導入手段11の例
が第4図に示されている。この場合、内管34,中管33,外
管32による三重管構造であり、口金31によってガス管16
に接続されるようになっている。内管34,中管33,外管32
にはそれぞれ複数個のガス放出孔37,36,35が設けられ、
その数は外側の管ほど多くなるようになっている。口金
31から流入した原料ガスは、内管34,ガス放出孔37,中管
33,ガス放出孔36,外管32,ガス放出孔35を経て放電空間
6に流出することになる。
本発明におけるガス導入手段の形状は第3図及び第4
図に図示した形状にのみ限定されるものではなく、例え
ば口金の位置を前述の多重管の中央部の対称位置ではな
く、上端または下端に設けてもよいし、複数のガス種を
単一の導入系路でガス導入手段の多重管内に供給して
も、複数の導入系路でガス導入手段の多重管内に供給し
てもよい。
また、その際多重管の最内側の管にのみガス種を供給
するばかりではなく、多重管の最内側の管以外にもガス
種を供給して混合したガス種を反応容器内にガス導入手
段最外側の管のガス放出孔より導入してもよい。
ここで、より均一な組成でガス種を反応容器内に均一
に導入するためには、ガス導入手段内にガス種を供給す
る位置は近い方がよく、最適には第3図及び第4図で図
示するとおり最内側の管に1箇所から供給するのが望ま
しい。
次に、円筒状基体5の加熱方法について説明する。
円筒状基体5は、発熱体7によって加熱されるように
なっている。この発熱体7は真空仕様のものであればい
ずれでもよく、具体的には、シース状の巻き付けヒータ
ー,板状ヒーター,セラミックスヒーター等の電気抵抗
発熱体,ハロゲンランプ,赤外線ランプ等の熱放射ラン
プ発熱体,気体や液体を温媒とした熱交換手段による発
熱体などを適宜選択して用いればよい。発熱体7の表面
材質としては、ステンレス,Ni,Al,Cu等の金属類,セラ
ミックス,耐熱性高分子樹脂などが挙げられる。また、
発熱体7を設ける代わりに、反応容器1の外部に加熱専
用の容器を設け、ここで円筒状基体5を加熱した後、反
応容器1内に円筒状基体5を真空中で搬送するなどの方
法を用いてもよい。さらに、これらの方法と併用して、
あるいは単独で、グロー放電に使用するマイクロ波自身
により円筒状基体5の温度を制御することも可能であ
り、この場合必要に応じてマイクロ波の強度を変化させ
てもよい。
次に、原料ガスについて説明する。
堆積膜の原料ガスとして例えばシラン(SiH4)、ジシ
ラン(Si2H6)などのアモルファスシリコン形成用原料
ガス,ゲルマン(GeH4),メタン(CH4)などの他の機
能性堆積膜形成ガスあるいはこれらの混合ガスが用いら
れる。
原料ガスに対する希釈ガスとして、水素(H2),アル
ゴン(Ar),ヘリウム(He),ネオン(Ne)などが用い
られる。
また、堆積膜がアモルファスシリコン膜などの場合、
堆積膜のバンドギャップを変化させ、あるいはより安定
な結合を形成する等の特性改善ガスとして、アンモニア
(NH3),窒素(N2)などの窒素原子を含む化合物、酸
素(O2),一酸化窒素(NO),一酸化二窒素(N2O)な
どの酸素原子を含む化合物、メタン(CH4),エタン(C
2H6),エチレン(C2H4),アセチレン(C2H2),プロ
パン(C3H8)などの炭化水素、四フッ化ケイ素(Si
F4),六フッ化二ケイ素(Si2F6),四フッ化ゲルマニ
ウム(GeF4)などのフッ素化合物あるいはこれらの混合
ガスも用いることができる。
さらに不純物のドーピングを目的として、ジボラン
(B2H6),フッ化ホウ素(BF3),ホスフィン(PH3)な
どのドーパントガスを原料ガスと同時に放電空間に導入
しても本発明は有効である。
放電空間の圧力については特に制限はないが、100m T
orr以下、とりわけ50m Torr以下の圧力で特に良好な結
果を再現よく得ることができた。
次に、本実例の動作について説明する。
まず、排気装置(図示せず)により排気管4を介して
反応容器1を排気し、圧力が1×10-7Torr以下になるよ
う調整する。次に発熱体7によって各円筒状基体5を最
適な温度に加熱保持する。そこで例えばアモルファスシ
リコン堆積膜を作製するのであれば、シラン等の原料ガ
スをガス導入口15より導入し、ガス管16を通過させて原
料ガス導入手段11から放電空間6へ放出させる。これと
同時に、バイアス電源12により原料ガス導入手段11に、
例えば直流のバイアス電圧を印加する。さらにマイクロ
波電源(図示せず)によって周波数500MHz以上のマイク
ロ波、例えば周波数2.45GHzのマイクロ波を発生させ、
導波管3を経て誘電体窓2より反応容器1の内部へ入射
させる。以上により、円筒状基体5に囲まれた放電空間
6においてマイクロ波グロー放電が開始し、これによっ
て原料ガスが励起されて解離し、さらに原料ガス導入手
段11と円筒状基体5との間に印加された電界により円筒
状基体5は定常的にイオンの供給を受け、円筒状基体5
の表面に堆積膜が形成される。このとき、モーター9に
より回転軸8を回転させ、円筒状基体5をその母線方向
中心軸の回りを自転させることにより、円筒状基体5の
全周にわたって均一に堆積膜が形成されることになる。
次に、本実施例の堆積膜形成装置について行なった実
験結果について説明する。
(実施例1) 原料ガス導入手段に第3図で示す二重管構造を用いた
場合と第9図で示す単管構造(従来例)のものを用いた
場合のそれぞれについて、放電空間にシランガス(Si
H4)600sccm(sccmは0℃,1気圧に換算した1分当たり
のcm3で表わした流量)を導入し、さらに上下の誘導体
窓からそれぞれ600Wのマイクロ波を入射し、印加するバ
イアス電圧を変化させながら堆積膜を形成した。第9図
に示す単管構造の原料ガス導入手段は、口金41から管内
に導入された原料ガスが直接ガス放出孔42から放電空間
に放出されるようになっている。原料ガス導入手段に熱
電対を接続し、原料ガス導入手段の表面の温度変化を測
定するとともに、堆積膜形成後に堆積膜上に発生した球
状突起の数を光学顕微鏡で測定した。その結果を第5図
および第6図に示す。ここで第5図において、横軸は放
電を開始してからの堆積膜形成時間を示し縦軸は原料ガ
ス導入手段の表面温度を示している。円筒状基体をあら
かじめ300℃に加熱したため、実験開始時の原料ガス導
入手段の表面温度は250℃であった。図より分かるよう
に単管、二重管を問わず、印加するバイアス電圧が高く
なるに従い原料ガス導入手段の表面温度も上昇すること
が分かる。さらに印加するバイアス電圧が100V以上のと
き原料ガス導入手段の温度は600℃を超えており非常に
高温になっていることが分かる。
次にこの条件での堆積膜形成を4時間行ない、反応容
器から取り出した後、堆積膜上に発生している球状突起
の数を測定した結果を第6図に示す。球状突起の数は、
円筒状基体の上中下の円周方向3箇所の合計9箇所の単
位面積(1cm×1cm)あたりにある直径20μm以上の球状
突起の数を光学顕微鏡を用いて数えた。図において横軸
は印加するバイアス電圧、縦軸は単位面積当りの球状突
起の数の平均を示している。図から分かる様に、印加す
るバイアス電圧が0〜30Vの条件で作製した堆積膜上に
発生する球状突起の数は、単管、二重管とも極めて少な
く、1個/cm2程度以下である。しかし印加するバイアス
電圧が100V以上になると、単管で作製した堆積膜上の球
状突起の数は大幅に増加しているのに対して二重管で作
製した堆積膜上の球状突起数は、ほとんど増加していな
いことが認められる。球状突起は電子写真用感光体にお
いては画像欠陥の大きな原因の1つであり、原料ガス導
入手段を二重管にすることによって膜質が向上している
ことが分かる。
また、印加するバイアス電圧が120Vの時に使用した単
管と二重管の各原料ガス導入手段を堆積膜形成後に切断
して、内部を目視により観察したところ、単管では管内
に黒褐色の粉状の堆積物が多く観察されたのに対して二
重管では管内に堆積物は観察されなかった。
(実施例2) 原料ガス導入手段に第3図に示す二重管構造のものを
用いて、放電空間にシランガス(SiH4)600sccmを導入
し、印加するバイアス電圧を120Vとし、上下の誘導体窓
より各800Wのマイクロ波電力を導入して4時間放電を維
持し、円筒状基体表面に堆積膜を形成した。この時、二
重管の外管の長さを350mmとしさらに外管および内管の
ガス放出孔の孔径は直径1.2mm、孔数は原料ガス導入手
段1本につき24個と一定とし、外管の直径を種々変化さ
せた。また放電空間の直径(対向する円筒状基体間の距
離)は、127mmとした。この条件で、アモルファスシリ
コン堆積膜を形成した時の膜厚と平均膜厚に対する膜厚
むらおよび放電の安定性を測定し第1表に示す。
表中、堆積膜形成速度は、堆積時間がすべて4時間と
同じであるため形成した堆積膜の膜厚の比で求めた。膜
厚は円筒状基体の上下方向の膜厚を3cmおきで、かつそ
れぞれ円周方向に3箇所について、過電流による膜厚測
定器(Fischer社製TYPEEC8e2Ty)を用いて測定しその平
均を求めた。求めた膜厚を原料ガス導入手段の外径が6m
mの時を100%とし相対値で示した。また、表中の放電安
定性は目視により行ない、◎は4時間の間ずっと放電が
安定していたことを示し、○は数回スパークが観測され
たことを示し、△は何度か放電が消えたことを示し、×
は放電切れが頻繁に起こり放電を維持できず途中でやめ
たことを示す。また、表中の膜厚むらは円筒状基体の上
下方向の膜厚を3cm間隔で測定し、最高膜厚と最低膜厚
を求め、その差を平均膜厚で割ったものとした。さらに
以上の評価をすべて総合した『総合評価』をあわせて表
中に示している。
表より明らかなように、原料ガス導入手段が円筒状の
場合その直径は放電空間の直径に対して4%以上、25%
以下とすることが好ましく、特に4%以上、14%以下と
することがより好ましいことが分かる。
つまり原料ガス導入手段は、外壁にも堆積膜が付着す
るため、外径を大きくすると原料ガスの利用効率が低下
する。さらに放電空間内に大きな形状の原料ガス導入手
段を設けると、放電空間へ導入するマイクロ波の反射が
増え、放電を乱し、安定なプラズマの形成が困難にな
る。また外径が小さいと基体の上下方向の堆積膜の膜厚
の均一性が低下する。またさらには二重管の構造にする
ため、細い原料ガス導入手段を精度よく作製するのは困
難である。よって以上の理由から上記のような外径の範
囲の多重管が本発明には適するものと考えられる。
(実施例3) 原料ガス導入手段に第3図に示す二重管構造のものを
用いて、放電空間にシランガス(SiH4)600sccmを導入
し、印加するバイアス電圧を120Vとし、上下の誘導体窓
から各800Wのマイクロ波電力を導入して4時間放電を維
持し、円筒状基体表面に堆積膜を形成した。第3図に示
す二重管の外管のガス放出孔の外径を種々変化させて作
製した堆積膜について、膜厚測定器を用いて円筒状基体
の上下方向の膜厚のむらを測定した。結果を第6図に示
す。ここで図の横軸は、外管のガス放出孔の孔径、縦軸
は膜厚むらを示す。なお0.5mm以下の孔径においては、
成膜後、場所によっては原料ガス導入手段の表面に堆積
した堆積膜によりガス放出孔がほとんど塞がっているも
のが認められた。
この結果から分かるように、ガス放出孔の大きさが小
さすぎても大きすぎても堆積膜の膜厚の均一性が低下す
ることがわかる。これは、ガス放出孔の大きさが小さい
と堆積膜形成中に塞がってしまい、大きいと原料ガス導
入手段から放電空間に向かって圧力差が取れないので、
円筒状基体の上下方向での堆積膜の膜厚の均一性が低下
するためと考えられる。以上より、原料ガス導入手段の
外管の放出孔の大きさは、好ましくは0.5mm以上、2.5mm
以下、より好ましくは0.6mm以上、1.5mm以下であること
がわかる。
(実施例4) 実施例3と同様に原料ガスの流量と印加するバイアス
電圧は一定として、原料ガス導入手段の外壁上にあるガ
ス放出孔の密度を変化させて堆積膜形成を行なった。原
料ガス導入手段には外管の長さが320mm,外管の直径が12
mmのものを用い、外管の同一円周上には3個のガス放出
孔が設けられるようにしながら、外管の長手方向のガス
放出孔の間隔を変化させることにより、外壁上のガス放
出孔の密度を変化させた。このときのガス放出孔の孔径
は直径1.2mmで一定とし、上述の手段によりそれぞれの
堆積膜の膜厚むらを測定した。その結果を第8図に示
す。図において横軸は、ガス放出孔の数を原料ガス導入
手段の外壁の全面積で割った密度であり、縦軸は膜厚む
らを示す。この結果より、ガス放出孔の密度は、小さす
ぎても大きすぎても堆積膜の膜厚の均一性が低下するこ
とが分かり、好ましくは0.09個/cm2以上0.31個/cm2以下
であり、より好ましくは0.14個/cm2以上0.27個/cm2以下
である。
(実施例5) 原料ガス導入手段に第3図に示す二重管構造のものを
用い、第2表に示す条件により、下から電荷注入阻止
層,感光層,表面層の3層からなる堆積膜をアルミ製の
円筒状基体の上に形成し、アモルファスシリコン感光ド
ラムを作製した。このアモルファスシリコン感光ドラム
をキヤノン社製複写機NP7550を実験用に改造したものに
装着し、通常の複写プロセスにより転写紙上に画像を形
成した。以下の項目について測定を行ない、作製したア
モルファスシリコン感光ドラムの電子写真特性を評価し
た。なお、このとき、帯電器に6kVの電圧を印加し、感
光ドラムを帯電させた。これらの測定結果と総合的な評
価を第3表に示す。
(1)帯電能むら 複写機に堆積膜が形成された感光ドラムを搭載し、ド
ラムを回転させながら一定帯電量のもとでのドラムの表
面電位を現像器位置で測定する。ドラムの上から下にか
けて3cmにおきに表面電位を測定しその平均を帯電能と
した。そして1本のドラムにおいて平均値から一番離れ
ている値を求めてその値と平均値との差を帯電能むらと
した。1回の堆積膜形成において得られた6本のドラム
について同じ評価を行ない、帯電能むらの一番大きいも
のについて以下の判定をした。
◎…10V以下であり非常にすぐれた均一性である。
○…20V以下でありすぐれた均一性である。
△…30V以下であり実用上問題なし。
×…30V以上であり非常に高画質で高速の複写装置に
用いる場合には、不十分である。
(2)感度むら 上記と同様の方法で帯電させ、一定露光量のもとに、
1本のドラムの上から下まで3cmおきに表面電位の測定
を行ない、その平均値を感度とした。また同様にそれら
の値のうち平均値より一番離れている値と平均値との差
を感度むらとした。そして一回の堆積膜作製で得られる
6本のドラムについて同じ評価を行ない、一番感度むら
の大きいものについて以下のように判断した。
◎…3V以下であり非常にすぐれた均一性である。
○…6V以下でありすぐれた均一性である。
△…10V以下であり実用上まったく問題ない。
×…10V以上であり、高温高湿や低温低湿等のきびし
い条件下で品質が低下するおそれがある。
(3)細線再現性 白地に全面文字よりなる通常の原稿を原稿台に置いて
コピーした時に得られた画像サンプルを観察し、画像上
の細線が途切れずにつながっているかを評価した。但し
この時画像上でむらがある時は、全画像領域で評価し一
番悪い部分の結果を示した。また1回の堆積膜作製で得
得られる6本のドラムについて同様の評価を行ない、そ
の中で1番悪いものについて次の判断をした。
◎…良好。
○…一部途切れあり。
△…途切れは多いが文字として認識できる。
×…文字として認識できないものもある。
(4)白地かぶり 白地に全面文字よりなる通常の画像サンプルを原稿台
に置いて複写した時に得られた画像サンプルを観察し、
白地の部分のかぶりを評価した。また1回の堆積膜作製
で得られる6本のドラムについて同様の評価を行ない、
その中で1番悪いものについて次の判断をした。
◎…良好。
○…一部僅かにかぶりあり。
△…全面にわたりかぶりあるが文字の認識には支障な
し。
×…文字が読みにくい程かぶりがある。
(5)画像むら 全面ハーフトーンの原稿を原稿台に置いてコピーした
時に得られた画像サンプルを観察し、濃淡のむらを評価
した。また1回の堆積膜作製で得られる6本のドラムに
ついて同様の評価を行ない、その中で1番悪いものにつ
いて次の判断をした。
◎…良好。
○…一部僅かな濃淡の差有り。
△…全面にわたり濃淡の差があるが文字の認識には支
障なし。
×…文字が読みにくい程むらがある。
(6)画像欠陥 黒原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像
サンプルの同一面積内にある白点の数により評価を行な
った。また1回の堆積膜作製で得られる6本のドラムに
ついて同様の評価を行ない、その中で1番悪いものにつ
いて次の判断をした。
◎…良好。
○…一部が小さな白点有り。
△…全面に白点があるが文字の認識には支障なし。
×…文字が読みにくい程白点が多い。
(実施例6) 原料ガス導入手段に第4図に示す三重管構造のものを
用い、実施例5と同様にアモルファスシリコン感光ドラ
ムを作製してその電子写真特性を評価した。その結果を
第3表に示す。
(比較例1) 原料ガス導入手段に第9図に示す単管構造のもの(従
来例)を用い、実施例5と同様にアモルファスシリコン
感光ドラムを作製してその電子写真特性を評価した。そ
の結果を第3表に示す。
(比較例2) 第10図,第11図で示される従来の堆積膜形成装置を用
い、第2表に示す条件によりアルミ製の円筒状基体の上
に堆積膜を形成してアモルファスシリコン感光ドラムを
作製し、実施例5と同様にこの感光ドラムの電子写真特
性を評価した。その結果を第3表に示す。
以上の各実施例の結果より明らかなように、本発明の
堆積膜形成装置によって特性のすぐれた堆積膜を形成す
ることができ、特に電子写真用感光体を製造した場合に
は、画像の均一性に優れ画像欠陥の少ない電子写真用感
光体を得ることができることがわかった。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は、原料ガス導入手段を多
重管構造とし、この多重管を構成する各管にそれぞれガ
ス放出孔を設け、さらに原料ガス導入手段と基体との間
にバイアス電圧を印加する手段を設けることにより、と
りわけ堆積速度の大きい領域で、大面積で比較的厚く、
均一膜質であって光学的および電気的諸特性を満足し、
かつ非常に欠陥の少ない堆積膜を定常的に安定して高歩
留まりでしかも低コストで作製することができるという
効果がある。このように本発明の堆積膜形成装置は、大
面積で均一膜質である堆積膜を形成し得るため、素子数
の多いマトリクス駆動回路用トランジスタ、マトリクス
表示用の発行ダイオード、長尺の画像入力用ラインセン
サー、撮像デバイス等の素子間の特性にばらつきのない
均一特性の半導体デバイスを歩留まりよく低コストで形
成できる。特に、本発明は電子写真用感光体の製造にお
いて、高温高湿のような帯電条件の悪い場合あるいは低
温低湿のような現像条件の悪い場合においてもすぐれた
電子写真特性を有する電子写真用感光体を製造すること
ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の堆積膜形成装置の構成を示
す概略縦断面図、第2図は第1図のA−A′線における
概略横断面図、第3図は二重管構造の場合の原料ガス導
入手段の詳細を示す概略縦断面図、第4図は三重管構造
の場合の原料ガス導入手段の詳細を示す概略縦断面図、
第5図は原料ガス導入手段の表面温度の変化を示すグラ
フ、第6図はバイアス電圧と堆積膜中の球状突起の数の
関係を示すグラフ、第7図はガス放出孔の直径と膜厚む
らの関係を示すグラフ、第8図はガス放出孔の密度と膜
厚むらの関係を示すグラフ、第9図は従来の単管構造の
原料ガス導入手段の詳細を示す概略縦断面図、第10図は
従来の堆積膜形成装置の概略縦断面図、第11図は第10図
のB−B′における概略横断面図である。 1……反応容器、2……誘電体窓、3……導波管、4…
…排気管、5……円筒状基体、6……放電空間、7……
発熱体、8……回転軸、9……モーター、10……減速ギ
ア、11……原料ガス導入手段、12……バイアス電源、13
……ケーブル、14……導入端子、15……ガス導入口、16
……ガス管、21,31,41……口金、22,32……外管、23,34
……内管、33……中管、24,25,35,36,37,42……ガス放
出孔、51……原料ガス導入管、52……バイアス電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 竜次 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 白井 茂 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 三角 輝男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】減圧にし得る反応容器と、 堆積膜が形成される基体を前記反応容器内に配置する手
    段と、 前記反応容器内にガス状の原料物質を導入するためのガ
    ス導入手段と、 前記反応容器内にマイクロ波エネルギーを導入する手段
    と、 を有する堆積膜形成装置であって、 前記基体に取り囲まれた空間の内部に前記ガス導入手段
    を配し、 前記ガス導入手段は多重管構造であり、前記原料物質の
    供給源に接続され、前記多重管を構成する各管にはそれ
    ぞれガス放出孔が当該管の内側と外側を連通するように
    設けられ、 前記ガス導入手段と前記基体との間にバイアス電圧を印
    加する手段を有することを特徴とする堆積膜形成装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の堆積膜形成装置において、
    多重管を構成する各管のそれぞれに設けられるガス放出
    孔の数が、前記多重管の内側から外側に向かうにつれて
    増加することを特徴とする堆積膜形成装置。
  3. 【請求項3】前記基体は円筒状であり、該基体の回転手
    段を有する請求項1記載の堆積膜形成装置。
  4. 【請求項4】前記基体を前記ガス導入手段と前記基体の
    各々との距離が等しい位置に配した請求項1記載の堆積
    膜形成装置。
  5. 【請求項5】前記ガス導入手段を前記放電空間の中央部
    に配した請求項1記載の堆積膜形成装置。
  6. 【請求項6】前記基体は複数である請求項1記載の堆積
    膜形成装置。
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