JP2841222B2 - 堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成方法

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JP2841222B2 JP2007227A JP722790A JP2841222B2 JP 2841222 B2 JP2841222 B2 JP 2841222B2 JP 2007227 A JP2007227 A JP 2007227A JP 722790 A JP722790 A JP 722790A JP 2841222 B2 JP2841222 B2 JP 2841222B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は基体上に堆積膜、とりわけ機能性膜、特に半
導体デバイス、電子写真用感光体デバイス、画像入力用
ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デバイス等に
用いる結晶又は非単結晶堆積膜をマイクロ波プラズマに
より形成する堆積膜形成方法に関する。
〔従来の技術の説明〕
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体デバイス、
画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デ
バイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等
に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、例え
ば水素又は/及びハロゲン(例えばフッ素、塩素等)で
補償されたアモルファスシリコン等の非単結晶堆積膜又
はダイヤモンド薄膜のような結晶堆積膜が提案され、そ
の中のいくつかは実用に付されている。
こうした堆積膜の形成方法として従来、熱により原料
ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを
分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを
分解する方法(プラズマCVD法)等、多数知られてい
る。中でも、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直
流又は高周波、マイクロ波グロー放電等によって分解
し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレ
ス、アルミニウム等の基体上に薄膜状の堆積膜を形成す
る方法は電子写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成
方法等、現在実用化が非常に進んでおり、そのための装
置も各種提案されている。特に、近年、堆積膜形成方法
としてマイクロ波グロー放電分解を用いたプラズマCVD
法すなわちマイクロ波プラズマCVD法が工業的にも注目
されている。
マイクロ波プラズマCVD法は、他の方法に比べ高いデ
ポジション速度と高い原料ガス利用効率という利点を有
している。こうした利点を生かしたマイクロ波プラズマ
CVD技術の1つの例が、米国特許第4,504,518号に記載さ
れている。該特許に記載の技術は、0.1Torr以下の低圧
下でマイクロ波プラズマCVD法により高速の堆積速度で
良質の堆積膜を得るというものである。
更に、マイクロ波プラズマCVD法により原料ガスの利
用効率を改善するための技術が特開昭60−186849号公報
に記載されている。該公報に記載の技術は、概要、マイ
クロ波エネルギーの導入手段を取り囲むように基体を配
置して内部チャンバー(すなわち放電空間)を形成する
ようにして、原料ガス利用効率を非常に高めるようにし
たものである。
また、特開昭61−283116号公報には、半導体部材製造
用の改良形マイクロ波技術が開示されている。すなわ
ち、当該公報は、放電空間中にプラズマ電位制御として
電極(バイアス電極)を設け、このバイアス電極に所望
の電圧(バイアス電圧)を印加して堆積膜へのイオン衝
撃を制御しながら膜堆積を行うようにして堆積膜の特性
を向上させる技術を開示している。
ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィ
ジィックス、第28巻、第5号(1989年5月)(JAPANESE
JOURNAL OF APPLIED PHYSICS VOL.28,NO.5,MAY,1989)
pp.849−855には、ECRプラズマに関する従来技術が報告
されている。この報告では水素化アモルファスゲルマニ
ウム堆積膜をECRプラズマにより作製する際、マイクロ
波電力のリップル率を5%以内に抑えることにより再現
性の向上を図っている。
一方、工業用マイクロ波応用技術(柴田長吉郎著、電
気書院、1986年)pp.32には、マイクロ波発生装置とし
てマグネトロンを用いる場合、ランナウェイ現象のため
に管球破損が発生することを防ぐため、完全な直流では
動作させずに陽極電圧にわざとリップルを含ませる技術
が開示されている。しかし、該文献ではマイクロ波電力
のリップル率とマイクロ波プラズマCVD法で得られた堆
積膜の特性の関係については触れていず、又、ランナウ
ェイ現象を防ぐための最適なリップル率についても脈動
的に停止時間が含まれるような大きなもの(リップル
率:〜200%)としている。
以上述べたマイクロ波プラズマCVD法に使用するマイ
クロ波を得るためには、クライストロン、進行波管、マ
グネトロン、ジャイロトロンなどの発振装置が使用され
ている。特に変換効率が高く、大電力のものが比較的安
価に得られるマグネトロンが一般的にパルス波又は連続
波のマイクロ波発振源としてマイクロ波プラズマCVD法
に用いられる。このようなマグネトロンの発振のために
用いられる電源回路の例を第4図、第5図及び第6図に
示す。
第4図は単相半波整流回路を示した回路図である。第
5図は単相両波整流回路を示したものである。更に第6
図は整流後、平滑回路を用いて陽極電流の変動(即ちマ
イクロ波電力の変動)を小さくする構成の電源回路を示
している。第4図、第5図及び第6図において401,501,
601はトランスを、402,502,602は整流器としてダイオー
ドを、403,503,603は負荷としてマグネトロンの陽極を
各々示している。第6図においては、更に604のコイル
と605のコンデンサーを加えた平滑回路が設けられてい
る。
第4図のような比較的簡単な回路では陽極電流のピー
ク値が大きく、マイクロ波がモーディングしやすい。
又、第6図の電源回路では、コイル604のインダクタン
スと、コンデンサー605の静電容量を上げることにより
平滑性を上げることは可能であるが、このように平滑性
を上げれば上げるほど電源回路のコストとサイズが大き
くなってしまう。従来は平滑回路無しで陽極電流のピー
ク値が比較的小さい第5図のような回路を用いるか、あ
るいは簡単な平滑回路を用いた第6図のような電源回路
により、ある程度リップル率の大きな状態(50%以上)
でマイクロ波を使用していた。
なおこの時、リップル率とはマイクロ波出力電力にお
いて、(出力電力波の最大値−同最小値)×100%/
(出力電力の実効値)で表される値を言う。
これらの従来の技術により比較的厚い光導電性材料
を、ある程度高速の堆積速度と原料ガスの利用効率で製
造することが可能となった。このようにして改良された
従来の堆積膜形成方法は、第3(A)図の縦断面図、第
3(B)図の横断面図で示されている電子写真感光ドラ
ムの生産装置によって以下のように実施される。
第3(A)図、及び第3(B)図において301反応容
器であり、真空気密化構造を成している。また、302
は、マイクロ波電力を反応容器内に効率よく透過し、か
つ真空気密を保持し得るような材料(例えば石英ガラ
ス、アルミナセラミックス等)で形成されたマイクロ波
導入誘電体窓である。303はマイクロ波電力の伝送を行
う導波管であり、マイクロ波電源から反応容器近傍まで
の矩形の部分と、反応容器に挿入された円筒形の部分か
ら成っている。導波管303はスタブチューナー(図示せ
ず)、アイソレーター(図示せず)とともにマイクロ波
電源308に接続されている。誘電体窓302は反応容器301
内の雰囲気を保持するために導波管303の円筒形の底面
部分の内壁に気密封止されている。304は一端が反応容
器301内に開口し、他端が排気装置(図示せず)に連通
している排気管である。306は基体305により囲まれた放
電空間を示す。電源311はバイアス電極312に直流電圧を
印加するための直流電源(バイアス電源)であり電極31
2に電気的に接続されている。
こうした堆積膜形成装置を使用した従来の堆積膜形成
方法による堆積膜形成は、以下のようにして行われる。
まず真空ポンプ(図示せず)により排気管304を介し
て、反応容器301を排気し、反応容器301内の圧力を1×
10-7Torr以下に調整する。ついでヒーター307により、
基体305の温度を膜堆積に好適な温度に加熱保持する。
そこで原料ガスを不図示のガス導入手段を介して、例え
ばアモルファスシリコン堆積膜を形成する場合であれ
ば、シランガズ、水素ガス等の原料ガスが反応容器301
内に導入される。それと同時併行的にマイクロ波電源30
8により周波数2.45GHzでリップル率の比較的大きな(50
%以上の)マイクロ波を発生させ、導波管303を通じ、
誘電体窓302を介して反応容器301内に導入される。更に
放電空間306中のバイアス電極312に電気的に接続された
バイアス電源311により、バイアス電極312に基体305に
対してバイアス電圧を印加する。かくして基体305によ
り囲まれた放電空間306において、原料ガスはマイクロ
波のエネルギーにより励起されて解離し、更にバイアス
電極311と基体305の間の電界により定常的に基体305上
にイオン衝撃を受けながら、基体305表面に堆積膜が形
成される。この時、基体305が設置された回転軸309をモ
ーター310により回転させ、基体305を基体母線方向中心
軸の回りに回転させることにより、基体305全周に渡っ
て均一に堆積膜が形成される。
このような従来の堆積膜形成方法により、ある程度の
堆積速度では実用的な特性と均一性の堆積膜を得ること
が可能になった。また反応容器内の清掃を厳格に行えば
ある程度欠陥の少ない堆積膜を得ることは可能であっ
た。しかし、これら従来の堆積膜形成方法では、特に堆
積速度の速い領域では、例えば電子写真感光体のように
大面積の比較的厚い堆積膜が要求される製品の製造につ
いては、均一膜質で光学的及び電気的諸特性の要求を満
足し、かつ画像欠陥等の原因となる欠陥の少ない堆積膜
を定常的に安定して高収率(高歩留まり)で得るのは難
しいという解決すべき問題点が残存している。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上述のごとき従来の堆積膜形成方法
における諸問題を克服して、半導体デバイス、電子写真
用感光体デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デ
バイス、光起電力デバイス、その他各種エレクトロニク
ス素子、光学素子等に用いる素子部材等に用いられる素
子部材として特性の良い堆積膜を、マイクロ波プラズマ
CVD法により、安価に安定して歩留まり良く高速形成し
得る堆積膜形成方法を提供することにある。
更に本発明の目的は、マイクロ波プラズマCVD法によ
りアモルファスシリコン堆積膜、アモルファスシリコン
カーバイト堆積膜等の機能性堆積膜を形成するについ
て、特性の優れ、かつ欠陥の少ない膜を形成し得る堆積
膜形成方法を提供することにある。
〔発明の構成、効果〕
本発明の堆積膜形成方法は、基体を設置した減圧にし
得る反応容器内に原料ガス及びマイクロ波エネルギーを
導入してプラズマを生じさせ、前記反応容器内に設けた
電極又は前記基体に電圧を印加してプラズマの電位制御
を行いながら該基体上に堆積膜の形成を行うマイクロ波
プラズマCVD法による堆積膜形成方法であって、放電中
に前記マイクロ波電力のリップル率を6%以上、40%以
下の範囲の値に保持することを特徴としている。
本発明者らは従来の堆積膜形成方法における前述の問
題を克服して、前述の本発明の目的を達成すべく鋭意研
究を重ねたところ、以下に述べるような知見を得た。
プラズマCVD法による堆積膜の成長機構を考えると
き、一般にプラズマ中での原料ガスの分解過程、分解種
の基体までの輸送過程、基体上での成長過程の3つの過
程に分けて考えることができる。この中でも第3番目の
基体上での成長過程は堆積膜の特性を決定する上でも重
要な過程である。
この基体上での成長過程を水素を含むアモルファスシ
リコンを例にしてもう少し詳細に説明すると以下のよう
になる。プラズマ中で分解して輸送されてきた分解種は
基体上に付着してアモルァスシリコン膜のネットワーク
を形成するが、まだ3次元的にネットワークが完成され
ていないアモルファスシリコンの成長表面では水素原子
の脱離、ダングリングボンドへの水素原子や珪素原子の
結合、エイルギー的に高い結合を持つ原子の再配置など
により、構造欠陥の少なく、エネルギー的に安定の方向
への化学的反応(緩和過程)が起こる。これらの結果、
堆積膜としてはダングリングボンドの減少、ギャップ準
位密度の低下、Si−H2結合が減少してSi−H結合が主と
なる等の現象が観察される。これらの反応は基体の熱エ
ネルギーにより促進される。一般にプラズマCVD法で形
成されるアモルファスシリコンでは、基体温度が200℃
から300℃の間の時に良好な膜が得られ、これからも低
い基体温度では水素の含有量が多く、ダングリングボン
ド密度の高い、特性の低い堆積膜しか得られない。
一方、アモルファスシリコン感光ドラムを始めとする
プラズマCVD法により作製する製品のコストを低下させ
るためには、原料ガスの利用効率、及び、堆積速度を上
げることは重要なことである。これらのことを達成する
ためにマイクロ波によるプラズマCVD法は有効な手段で
ある。ところがこのようなマイクロ波プラズマCVD法に
より基体上に高速で堆積膜が形成された場合、成長表面
でネットワークが急速に組まれて行くため前述の水素原
子の脱離や珪素原子の再配置等の緩和過程が間に合わず
に特性の悪い堆積膜しか得られない現象が発生する。
特に第3(A)図、及び第3(B)図で示す堆積膜形
成装置のように原料ガス利用効率を上げるために放電空
間を取り囲むように基体を配置し、放電空間内と放電空
間外とを交互に通過するように基体を運動させながら基
体全面に堆積膜を形成する構造の堆積膜形成装置による
堆積膜形成方法では、基体上の堆積膜形成は断続的に行
われるため、実質的な堆積速度(平均堆積速度)は基体
が放電空間正面に位置したときの堆積膜の堆積速度(堆
積速度の最大値)の1/3から1/4となってしまう。言い替
えるならば、放電空間の正面に位置した時に、基体表面
上では経済的に見合う堆積速度の3倍から4倍の堆積速
度で良好な特性の堆積膜の形成が行われる必要がある。
さらに、時間と共に、基体表面は放電空間に対して様々
な角度で接するため、基体表面に降り注ぐ活性種の密度
も変化する。このため基体表面に形成された堆積膜構成
元素によるネットワークの十分な緩和過程の促進が他の
構成の装置に比べさらに重要なものとなってくる。
こうした問題点を解決する1つの方法として、放電空
間中に設けられた電極(バイアス電極)または基体の一
部にプラズマ電位を制御する目的でバイアス電圧を掛け
ることが従来提案されていた。これはこのようなマイク
ロ波プラズマCVD法では電界により放電空間中のイオン
を加速して基体に衝突させ局部的に堆積膜をアニールす
ることにより、ネットワークの緩和過程を促進するもの
である。
このような方法は高速堆積における堆積膜の膜質向上
に非常に有効であるが、更に堆積膜を高速で堆積するた
めにバイアス電圧を上げていった時に以下のような問題
が発生する。
(1)画像欠陥の原因となる堆積膜の欠陥があるバイア
ス電圧を境に急激に増加する。
(2)放電空間中のバイアス電極又は基体からスパーク
等の以上放電が多発する。
(3)堆積膜の再現性が悪くなる。
これらの現象は以下のように説明される。
(1)画像欠陥の原因となる堆積膜の欠陥の断面を顕微
鏡で観察すると数ミクロンから数十ミクロンの大きさの
異物を核として堆積物の途中から球状突起が成長してい
ることが観察された。そして、堆積膜の電気的特性を向
上させるためにバイアス電極又は基体の一部に印加する
バイアス電圧を上げていくとこの堆積膜の欠陥の原因で
ある微小な異物の数が急激に増加してくるのである。こ
の現象の原因としては、電界によりイオンが加速され基
体に衝突するだけではなく反応容器壁や基体から剥がれ
た微小の堆積膜の破片がプラズマによりチャージアップ
し、イオンの場合と同様電界により加速され基体に付着
することが挙げられる。
(2)放電空間に掛かる電圧が大きくなると放電空間中
に局部的にブレークダウンが生じる。このためバイアス
電極又は基体に印加した全電力が瞬間的に一箇所に集中
するため基体や基体上の堆積膜の破壊が発生する。
(3)異常放電が多発するため基体に対するイオンの衝
突が有効に行われず堆積膜の特性の再現性を低下させ
る。
バイアス電源とバイアス電極又は基体の間に、電圧又
は電流の変化を検知し異常放電が起こる前に事前に電圧
を一時的に遮断する手段を設けることにより(2)の現
象はある程度防ぐことが可能であったが、従来は、他の
現象は完全には防ぐことはできなかった。
これらの現象は、いずれもバイアス電圧を低下すること
ができれば低減又はなくすことが可能であるが、堆積膜
の特性向上と関係が深いため、特性もよく欠陥も少ない
堆積膜を得るための最適条件を維持することが従来は非
常に困難であった。
そこで本発明者らは、マイクロ波の導入を工夫するこ
とにより低いバイアス電圧でも有効に堆積膜の膜質向上
が可能にならないかという点に着目して鋭意検討を行っ
た。その結果、従来技術についての前述の問題点を解決
して、上述の本発明を完成させるに至った。
堆積膜の形成中のマイクロ波電力のリップル率をある
範囲内に制御すれば低いバイアス電圧でも有効に堆積膜
の特性向上をすることができるという、従来の技術から
は予想できなかったこの驚くべき結論について、そのメ
カニズムの詳細は不明であるが、本発明者らは現在のと
ころ以下のように考えている。
放電空間中にバイアス電圧を印加してプラズマ中のイ
オンを加速して基体に衝突させ局部的に堆積膜をアニー
ル堆積膜形成方法では、リップル率の大きなマイクロ波
を用い堆積膜を形成する場合、プラズマ中のイオン数が
リップル率の周波数に同期して大きく変動するため、イ
オン数の少ないときの堆積膜のアニールの効果が小さく
なり、その影響でバイアス電圧の効果が減少してしまう
のである。
一方マイクロ波のリップル率が非常に小さな場合、電
子写真感光体のような厚い堆積膜を形成する場合、堆積
膜自身の局部的な抵抗により、時間と共に堆積膜表面
が、チャージアップしてバイアス電界による堆積膜の特
性向上の効果が局部的に低下してくるのである。
そのためマイクロ波のリップル率が大きな場合も非常
に小さな場合もいずれもバイアス電極又は基体に印加し
たバイアス電圧は有効に働かず、常に堆積膜上に十分に
アニール効果を与えるために、非常に大きな電圧を印加
する必要があったこのため前述のバイアス電圧が高いこ
とに起因する様々な問題点が発生した。
本発明による堆積膜形成方法のように適当な範囲のリ
ップル率を持つマイクロ波を使用することにより、始め
て低いバイアス電圧でも常に有効に堆積膜の特性向上が
可能となったのである。
以下、本発明による堆積膜形成方法を実施するための
堆積膜形成装置の例を第1(A)図、及び第1(B)図
に示す。
第1(A)図、及び第1(B)図において、101〜112
は、従来の堆積膜形成方法を実施するための装置図であ
る第3(A)図、及び第3(B)図での説明と全く同じ
である。更に、第1(A)図、及び第1(B)図では、
マイクロ波のリップル率をモニターするためのマイクロ
波電力リップル率測定手段115、測定手段115より得た信
号を処理して、あらかじめ設定されたリップル率と比較
し、リップル率を制御するための制御信号を出すデータ
処理手段114、データ処理手段114からの信号により、マ
イクロ波電力のリップル率を最適な値にするため、マイ
クロ波電源103より発振されるマイクロ波電力のリップ
ル率を変化させるマイクロ波電力リップル率制御手段11
3が加えられている。
以上の装置により本発明の堆積膜形成方法により実際
に堆積魔窟を形成する手順の一例を以下に説明する。
まず真空ポンプ(図示せず)により排気管104を介し
て、反応容器101を排気し、反応容器101内の圧力を1×
10-7Torr以下に調整する。ついでヒーター107により、
基体105の温度を膜堆積に好適な温度に加熱保持する。
そこで原料ガスを不図示のガス導入手段を介して、例え
ばアモルファスシリコン堆積膜を形成する場合であれ
ば、シランガス、水素ガス等の原料ガスを反応容器101
内に導入する。それと同時併行的にマイクロ波電源108
により、周波数2.45GHzでマイクロ波を発生させ、導波
管103を通じ、誘電体窓102を介して反応容器101内に導
入される。更に放電空間106中のバイアス電極112に電気
的に接続された直流電源111によりバイアス電極112に基
体105に対して直流電圧を印加する。かくして基体105に
より囲まれた放電空間106において、原料ガスはマイク
ロ波のエネルギーにより励起されて解離し、更にバイア
ス電極112と基体105の間の電界により定常的に基体105
上にイオン衝撃を受けながら、基体105表面に堆積膜が
形成される。
放電中のマイクロ波電力のリップル率はマイクロ波電
力リップル率測定手段115により常時測定される。この
測定手段115より得た信号はデータ処理手段114に送ら
れ、ここであらかじめ設定されたリップル率と比較処理
される。この結果を基にしてデータ処理手段114はリッ
プル率を制御するための信号をマイクロ波電力リップル
率制御手段113に送る。マイクロ波電力リップル率制御
手段113はこの信号を基に、マイクロ波電源108より発信
されるマイクロ波電力のリップル率を所定の値に制御す
る。
この時、基体105が設置された回転軸109をモーター11
0により回転させ、基体105を基体母線方向中心軸の回り
に回転させることにより、基体105全周に渡って均一に
堆積膜が形成される。
本発明においてマイクロ波電力の発生方法としては本
発明で用いられるリップル率のリップルをマイクロ波電
力に重畳できるものであればいかなるマイクロ波発振器
も使用することができる。中でもマグネトロンは大電力
を得られる点と発振効率の良さから本発明に最適であ
る。
本発明におけるマイクロ波電力のリップル率の範囲
は、好ましくは6%以上40%以下、更に好ましくは8%
以上30%以下、最適には11%以上25%以下である。
本発明において、マイクロ波電力のリップル率を測定
する手段として、通常用いられているマイクロ波電力測
定手段を使用することができる。具体的には、ダイオー
ド、サーモカップル、サーミスタ、ボロメータ等が挙げ
られる。特にダイオードは応答の速いため、本発明にお
けるマイクロ波電力のリップル率の測定手段としては最
適である。
本発明においてマイクロ波電力のリップル率の制御の
方法としては、マイクロ波発振器としてマグネトロンを
用いる場合は陽極電圧のリップル率を変化させる方法、
マイクロ波の出力電力を調整する方法等が挙げられる。
陽極電圧のリップル率を制御する方法において、マグ
ネトロンのカットオフ現象のためマイクロ波の陽極電圧
と陽極電流の関係は第7図に示す関係であり、(陽極電
流のリップル率)>(陽極電圧のリップル率)であるた
め、必要とするマイクロ波電力のリップル率よりも小さ
いリップル率で陽極電圧を制御する必要がある。
陽極電圧のリップル率としては0.5%以上、20%以下
の範囲で制御することが好ましい。陽極電圧のリップル
率を制御する方法としては、陽極電圧が交流電圧を整流
して用いている場合、平滑回路内のコイルのインダクタ
ンスを変化させる方法、コンデンサーの静電容量を変化
させる方法等が挙げられる。コイルのコンダクタンスと
して50mH以上50H以下の範囲で制御することが好まし
い。コンデンサの静電容量としては50nF以上100μF以
下で制御することが好ましい。このような平滑回路を含
んだ電源回路の例を第2図に示す。図において201はト
ランスを、202は整流器としてダイオードを、203は負荷
としてマグネトロンの陽極を示している。更に204で示
すインダクタンス可変のコイルと、205で示す静電容量
が可変のコンデンサーによる平滑回路が設けられてい
る。
出力を調整する場合、陽極電圧及び電流を変化させる
方法、マグネトロンにかける磁界強度を変化させる方法
等がある。このようにマイクロ波の電力を変化させた場
合はスタブチューナ等で同時に反射波を変化させること
により放電空間に導入されるマイクロ波電力を常に一定
に保つことは、堆積膜の膜特性の再現性の向上の面から
有効である。
本発明においてデータ処理手段として、コンピュータ
を用い、マイクロ波電力リップル率測定手段で得られた
信号を処理して自動的に制御する方法、リップル率測定
手段からの信号をオシロスコープ等でオペレータが監視
し、所定の範囲から外れた場合手動で制御する方法等が
挙げられる。
生産のように全く同じ条件で複数回、連続して堆積膜
形成を行う場合、最初に上述の測定手段と制御方法を用
い、あらかじめリップル率を本発明の範囲内になるよう
に条件を設定しておき、次回からは同一のシーケンスで
成膜を行い、必要に応じてマイクロ波電力のリップル率
の確認、調整をすれば、常時リップル率の測定及び調整
をすることを省略することも可能である。
本発明で好ましいマイクロ波のリップルの周波数の範
囲は30Hz以上2000Hz以下、更に好ましくは40Hz以上500H
z以下である。
本発明の堆積膜形成方法により形成する堆積膜の好ま
しい膜厚の範囲は5μ以上200μ以下、更に好ましくは1
0μ以上150μ以下、最適には20μ以上100μ以下であ
る。
本発明においてマイクロ波の導入手段としては、アン
テナを用いる方法、誘電体の窓を用いる方法等が挙げら
れる。
誘電体窓を用いる場合、材質としてはアルミナ(Al2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ボロン(BN)、窒
化珪素(SiN)、炭化珪素(SiC)、酸化珪素(SiO2)、
酸化ベリリウム(BeO)、テフロン、ポリスチレン等マ
イクロ波の損失の少ない材料が通常使用される。
本発明では、放電空間の圧力がいずれの領域でも効果
が現れたが、特に100mTorr以下、好ましくは50mTorr以
下で特に良好な結果が再現良く得られた。
基体材料としては、例えば、ステンレス,Al,Cr,Mo,A
u,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、これらの合金又は
表面を導電処理したポリカーボネート等の合成樹脂、ガ
ラス、セラミックス、紙等が本発明では通常使用され
る。
基体の形状は任意のものでよいが、複数の基体で放電
空間を取り囲む構成の堆積膜形成方法においては特に円
筒形のものが本発明に最適である。円筒形基体の大きさ
には特に制限はないが実用的には直径20mm以上500mm以
下、長さ10mm以上1000mm以下が好ましい。
複数の基体で放電空間を取り囲む構成の堆積膜形成方
法においては基体の間隔は1mm以上50mm以下が好まし
い。基体の数は放電空間を形成できるならばいずれでも
良いが、3本以上、より好ましくは4本以上が適当であ
る。
本発明における基体の加熱方法は、真空仕様である発
熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの
巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックスヒータ
ー等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ
等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交
換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材
質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金
属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用するこ
とができる。また、それ以外にも、反応容器以外に加熱
専用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で
基体を搬送する等の方法も使用することができる。
本発明での堆積膜形成時の基体温度はいずれの温度で
も有効だが、アモルファスシリコンを堆積する場合は20
℃以上500℃以下、好ましくは50℃以上450℃以下が良好
な効果を示すためには好ましい。
本発明では堆積膜の原料ガスとしては、例えばシラン
(SiH4)、ジシラン(Si2H6)等のアモルファスシリコ
ン形成原料ガス、ゲルマン(GeH4)、メタン(CH4)等
の他の機能性堆積膜形成原料ガス又はそれらの混合ガス
が挙げられる。
稀釈ガスとしては水素(H2)、アルゴン(Ar)、ヘリ
ウム(He)等が挙げられる。
又、堆積膜のバンドギャップ幅を変化させる等の特性
改善ガスとして、窒素(N2)、アンモニア(NH3)等の
窒素原子を含む元素、酸素(O2)、酸化窒素(NO)、酸
化二窒素(N2O)等酸素原子を含む元素、メタン(C
H4)、エタン(C2H6)、エチレン(C2H4)、アセチレン
(C2H2)、プロパン(C3H8)等の炭化水素、四フッ素化
珪素(SiF4)、六フッ化二珪素(Si2F6)、四フッ化ゲ
ルマニウム(GeF4)等の弗素化合物又はこれらの混合ガ
スが挙げられる。
また、本発明においては、ドーピングを目的としてジ
ボラン(B2H6)、フッ化ほう素(BF3)、ホスフィン(P
H3)等のドーパントガスを同時に放電空間に導入しても
同様に有効である。
さらに本発明の方法は、阻止型アモルファスシリコン
感光体、高抵抗型アモルファスシリコン感光体等複写
機、又はプリンター用感光体のほか、太陽電池、薄膜ト
ランジスター、ラインセンサー等良好な電気的特性の機
能性堆積膜を要求される他のいずれのデバイスの作製に
も応用が可能である。
本発明は、マイクロ波を使用するいずれの装置にも適
用が可能であるが、特に、放電空間を囲むように基体を
設け、少くとも基体の一端側から導波管によりマイクロ
波を導入する構成の装置に対して大きな効果がある。
〔実験例〕
以下、本発明の効果を、実験例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。
実験例1 第1(A)図、及び、第1(B)図で示す堆積膜形成
装置を用いマイクロ波電力のリップル率の大きさを変
え、本発明の堆積膜形成方法により得られた堆積膜の特
性向上の検討を行った。この時いずれの条件において
も、マイクロ波のリップルの周波数は360Hzで、波形は
ほぼ正弦波に近い波形を用いた。
この堆積膜形成方法により第1表に示す条件により、
基体上に1μの膜厚のアモルファスシリコン堆積膜の形
成を行った。この時、本実験では円筒形基体に代え、円
筒形の基体ホルダーを設置し、その表面に本実験におい
て各々の測定に最適な材質の基体を固定した。基体ホル
ダーの回転数は0.1回転/秒とした。このようにして作
製した堆積膜の測定結果を第2表に示す。
表中、Si−H2比とは、シリコンウエハー基体上に堆積
したアモルファスシリコン堆積膜の赤外線吸収の測定を
行い、2100cm-1の吸収と2000cm-1の吸収から膜中のSi−
H2結合の密度とSi−H結合の密度を計算して決定した。
〔Si−H2比〕=〔Si−H2密度〕/〔Si−H密度〕であ
る。
表中、σp/σd比とは明部導電率と暗部導電率の比率
を表している。各導電率の測定は、表面にクロムを蒸着
したガラス(コーニング7059)基体上に本発明の方法に
より堆積膜を形成後、堆積膜表面に光の透過率が30%以
上になるようにクロムの薄膜を形成した試料により行っ
た。この時、暗部導電率とは試料に光を当てずに電気的
測定を行ったものであり、明部導電率とは光を当てなが
ら測定したものである。光としては波長633nm、出力7mW
のヘリウムネオンレーザー光を用いた。
第2表より明らかなようにマイクロ波電力のリップル
率として6%から40%の時に本発明は良好な効果が得ら
れた。
実験例2 第1(A)図、及び、第1(B)図で示す堆積膜形成
装置を用いマイクロ波電力のリップルの周波数を変え、
本発明の堆積膜形成方法により得られた堆積膜の特性向
上の検討を行った。この時、いずれの条件においてもリ
ップル率の大きさは15%で、波形はほぼ正弦波に近い波
形を用いた。
この堆積膜形成方法により実験例1と同様の条件でア
モルファスシリコンの形成を行った。その結果を第3表
に示す。
第3表の結果よりマイクロ波電力のリップルが30Hz以
上、2000Hz以下の周波数の範囲において本発明は良好な
結果が得られた。
実験例3 第1(A)図、及び、第1(B)図で示す堆積膜形成
装置を用い形成する堆積膜の膜厚を変え、本発明の堆積
膜形成方法により得られた堆積膜の球状突起の数を数え
た。
この時、本発明の堆積膜形成方法でのマイクロ波電力
のリップル率の大きさは15%で堆積膜形成中±2%の範
囲で一定であるように制御した。リップルの周波数は36
0Hz、波形はほぼ正弦波に近い波形を用いた。バイアス
電圧は30Vとした。
この堆積膜形成方法により実験例1及び2と同様の条
件でアモルファスシリコンの形成を行った。
次にこのようにして作製した堆積膜の球状突起の数を
測定した。球状突起の数の測定方法は顕微鏡を用い倍率
を50倍とし、100cm2中にある直径10μ以上のものだけを
合計した。
この本発明の効果を確認するために、本実験例の比較
例として、第3(A)図、及び、第3(B)図で示す堆
積膜形成装置を用い本発明の場合と同様に形成する堆積
膜の膜厚を変え、堆積魔窟の形成を行った。但し、第3
(A)図、及び、第3(B)図で示す堆積膜形成装置に
は確認のためマイクロ波電力のリップル率測定手段を設
けた。
この時、リップル率の大きさは70%であり、リップル
率の制御を行わなかったため、堆積膜形成中±20%の範
囲で変動した。リップルの周波数は360Hz、波形はほぼ
正弦波に近い波形を用いた。バイアス電圧は予め本発明
の堆積膜と堆積膜の特性(Si−H2比、及び、σp/σ
d比)となる電圧を検討しておきその値とした。具体的
には60Vである。
このようにして形成した堆積膜の球状突起の数を本発
明の方法で作製した堆積膜の場合と同様にして測定し
た。
その結果を第4表に示す。表中、球状突起の比率と
は、比較例で作製した堆積膜上の球状突起の数を100%
として、同一面積上で測定した本発明の方法で作製した
堆積膜の球状突起の数を表している。
堆積膜の膜厚が100μ以下では、比較例においては膜
厚が厚くなるにつれ球状突起の数が大きく増加している
が、本発明の方法で作製した堆積膜では膜厚が増加して
もほとんど球状突起の数が増加が見られないため球状突
起の比率は堆積膜の厚さが厚くなるにつれ小さくなり本
発明の効果は顕著なものとなってくる。一方膜厚が200
μを越えるといずれの場合も成膜装置の放電空間に面す
る部分の基体以外の面から微小な膜剥がれが発生するた
めこの破片を核とする球状突起が増加するため本発明の
効果は小さなものとなる。
これらの結果、球状突起の減少については、特に堆積
膜の膜厚が5μ以上200μ以下の範囲において本発明は
良好な結果が得られた。
以上の実験例により本発明の構成が決定された。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に
説明する。
(実施例1、比較例1及び比較例2) 実施例1 第1(A)図、及び、第1(B)図に示す堆積膜形成
装置を用い、第5表の条件で、前述の本発明の堆積膜形
成方法によりアモルファスシリコン感光ドラムの形成を
行った。このようにして作製したアモルファスシリコン
感光ドラムの電子写真的特性を以下のようにして行っ
た。
作製した感光ドラムをキヤノン社製複写機NP7550にい
れ、通常の複写プロセスにより転写紙上に画像を作製し
た。但し、この時、帯電器に6kVの電圧で印加し帯電を
行った。
細線再現性:白地に全面文字よりなる通常の原稿を原稿
台に置きコピーした時に得られた画像サンプルを観察
し、画像上の細線が途切れずにつながっているか評価し
た。
◎…良好。
○…一部途切れあり。
△…途切れは多いが文字として認識できる。
×…文字として認識できないものもある。
白地かぶり:白地に洗面文字よりなる通常の原稿を原稿
台に置きコピーした時に得られた画像サンプルを観察
し、白地の部分のかぶりを評価した。
◎…良好。
○…一部僅かにかぶりあり。
△…全面に渡りかぶりあるが文字の認識には支障無し。
×…文字が読みにくい程かぶりがある。
画像むら:全面ハーフトーンの原稿を原稿台に置きコピ
ーした時に得られた画像サンプルを観察し、濃淡のむら
を評価した。
◎…良好。
○…一部僅かな濃淡の差有り。
△…全面に渡り濃淡の差があるが文字の認識には支障無
し。
×…文字が読みにくい程むらがある。
画像欠陥:黒原稿を原稿台に置きコピーした時に得られ
た画像サンプルの同一面積内にある白点の数により評価
を行った。
◎…良好。
○…一部小さな白点有り。
△…全面に白点があるが文字の認識には支障無し。
×…文字が読みにくい程白点が多い。
比較例1 第3(A)図、第3(B)図に示す堆積膜形成装置を
用い、第6表の条件で前述の従来の堆積膜形成方法によ
りアモルファスシリコン感光ドラムの作製を行った。そ
の作製したアモルファスシリコン感光ドラムを実施例1
と同様の評価を行った。
比較例2 第3(A)図、第3(B)図に示す堆積膜形成装置を
用い、第7表の条件で前述の従来の堆積膜形成方法によ
りアモルファスシリコン感光ドラムの作製を行った。そ
の作製したアモルファスシリコン感光ドラムを実施例1
と同様の評価を行った。
実施例1、比較例1及び比較例2の結果を併せて第8
表に示す。表に示されるようにいずれの項目において
も、本発明の堆積膜形成方法で作製した堆積膜は非常に
良好な結果が得られた。
実施例2 第1(A)図、及び、第1(B)図に示す堆積膜形成
装置を用い、本発明の堆積膜形成方法により、第9表の
条件で、実施例1よりも高速の堆積速度でアモルファス
シリコン感光ドラムの作製を行った。このようにして作
製したアモルファスシリコン感光ドラムの評価を実施例
1と同様の方法で行った。その結果、実施例1と同様、
本発明では感光ドラムの画像性について非常に良好な結
果が得られた。
実施例3 第1(A)図、及び、第1(B)図に示す堆積膜形成
装置を用い本発明の堆積膜形成方法により、第10表の条
件でアモルファスシリコン及びアモルファスシリコンカ
ーバイトによる機能分離型感光ドラムの形成を行った。
このようにして作製した感光ドラムの評価を実施例1と
同様の方法で行った。その結果、実施例1及び実施例2
と同様、本発明では感光ドラムの画像性について非常に
良好な結果が得られた。
〔発明の効果の概要〕 本発明のマイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成
方法に依れば、バイアス電圧の低い条件において、堆積
膜表面での不要な原子の脱離や、不安定な結合を持つ原
子の再配置が効率よく行われるため、良好な特性の堆積
膜が、欠陥の増加等の副作用無くして大面積に渡って高
速の堆積速度で再現良く得られた。
【図面の簡単な説明】
第1(A)図及び、第1(B)図は、それぞれ本発明に
おける堆積膜形成方法を実施するための堆積膜形成装置
の縦断面図及び横断面図である。第2図は本発明の堆積
膜形成方法に用いたマグネトロンの電源回路の略図であ
る。第3(A)図及び、第3(B)図は、それぞれ従来
の堆積膜形成方法を実施するための堆積膜形成装置の縦
断面図及び横断面図である。第4図、第5図及び第6図
は従来の堆積膜形成方法に用いた電源回路の略図であ
る。 第7図は、マグネトロンにおける陽極電圧と陽極電流の
関係を示すグラフである。 図において、 101,301……反応容器、201,401,501,601……トランス、
102,302……マイクロ波導入窓、202,402,502,602……ダ
イオード、103,303……導波管、203,403,503,603……マ
グネトロン陽極、104,304……排気管、204……インダク
タンス可変のコイル、604……コイル、105,305……基
体、205……静電容量可変のコンデンサー、605……コン
デンサー、106,306……放電空間、107,307……ヒータ
ー、108,308……マイクロ波電源、109,309……回転軸、
110,310……モーター、111,311……直流電源、112,312
……電極、113……マイクロ波電力リップル率制御手
段、114……データ処理手段、115……マイクロ波電力リ
ップル率測定手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/00 - 16/56 H01L 21/205,21/31,21/365 H01L 21/469,21/86

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体を設置した減圧にし得る反応容器内に
    原料ガス及びマイクロ波エネルギーを導入してプラズマ
    を生じさせ、前記反応容器内に設けた電極又は前記基体
    に電圧を印加してプラズマの電位制御を行いながら該基
    体上に堆積膜の形成を行うマイクロ波プラズマCVD法に
    よる堆積膜形成方法であって、放電中に前記マイクロ波
    電力のリップル率を6%以上、40%以下の範囲の値に保
    持することを特徴とするマイクロ波プラズマCVD法によ
    る堆積膜形成方法。
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