JP2004133396A - 電子写真感光体製造方法、及び電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体製造方法、及び電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真装置 Download PDF

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Hideaki Matsuoka
松岡 秀彰
Junichiro Hashizume
橋爪 淳一郎
Mitsuharu Hitsuishi
櫃石 光治
Satoshi Furushima
古島 聡
Kazuto Hosoi
細井 一人
Tatsuji Okamura
岡村 竜次
Toshiyuki Ebara
江原 俊幸
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Abstract

【課題】電子写真感光体の表面に存在しうる球状突起と呼ばれる異常成長部分の影響が画像上に現れず、画像欠陥を大幅に改善可能な電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な成膜炉内に基体を設置し、原料ガスを高周波電力で分解し、該基体上に非単結晶材料からなる光導電層とC、Siを含む非単結晶材料からなるSiC層(層I)を積層する工程aと、該層Iを積層した基体を酸素及び水蒸気を含むガスに晒す工程bと、再び成膜炉内に該層Iを積層した基体を設置し、原料ガスを高周波電力で分解し、該層I上に非単結晶材料から成る上部阻止層(層II)を積層させる工程cと、該層II上に層IIIとしてC原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を積層させる工程dとを有する電子写真感光体の製造方法;感光体及び装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像欠陥の少なく帯電能が高くて濃度が濃い、良好な画像形成を長期間維持することができるアモルファスシリコン電子写真感光体を安価に製造する方法、及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置、あるいは像形成分野における電子写真用の電子写真感光体や原稿読み取り装置における光導電層を形成する材料として、高感度でSN比[光電流(IP)/(Id)]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性にマッチングした吸収スペクトル特性を有すること、光応答性が速く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に無公害であること、さらには固体撮像装置においては、残像を所定時間内に容易に処理することができる等の特性が要求される。
【0003】
特に事務機としてオフィスで使用される電子写真感光体の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点である。
【0004】
この様な観点に立脚して注目されている材料に、水素やハロゲン原子等の一価の元素でダングリングボンドが修飾されたアモルファスシリコン(以後、「a−Si」と表記する)があり、例えば特開昭54−86341号公報(特許文献1)には電子写真用電子写真感光体への応用が記載されている。
【0005】
従来、導電性基体上にa−Siからなる電子写真感光体を形成するに形成方法として、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等、多数知られている。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波、マイクロ波などのグロー放電によって分解し、導電性基体上に堆積膜を形成する方法は電子写真感光体の形成方法等、現在実用化が非常に進んでいる。このような堆積膜の層構成として、従来から行われてきたa−Siを母体とし、適宜修飾元素を添加した電子写真感光体に加えて、更に表面側に阻止能を持った、いわゆる表面層や上部阻止層を積層する構成も提案されている。例えば特開平08−15882号公報(特許文献2)では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らし、伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設けた感光体が開示されている。
【0006】
又、複写機、ファクシミリ、プリンターなどの電子写真装置では、表面に光導電層が設けられた感光体の外周面をコロナ帯電、ローラー帯電、ファーブラシ帯電、磁気ブラシ帯電といった帯電手段で一様に帯電させ、ついで被複写体の被複写像を反射光や変調信号に応じたレーザーやLEDによる露光をさせることにより前記感光体の外周面上の静電潜像を形成し、さらに該感光体上にトナーを付着させることでトナー像を形成し、これを複写用紙などに転写させて複写が行われる。
【0007】
このようにして電子写真装置で複写を行ったのちには、感光体の外周面上にトナーが一部残留するため、該残留トナーを除去する必要がある。かかる残留トナーの除去は、クリーニングブレード、ファーブラシ、マグネットブラシ等を用いたクリーニング工程によって行われるのが一般的である。
【0008】
しかし、近年環境への配慮から、廃トナーの低減乃至解消を目的にクリーニング装置を省略した電子写真装置も提案、上市されている。この方式は特開平6−118741号公報(特許文献3)に開示されているようなブラシ帯電器の様な直接帯電器でクリーニング工程を兼ねるもの、特開平10−307455号公報(特許文献4)に開示されているような現像器でクリーニング工程を兼ねるもの等があるが、いずれの方式においてもトナーと感光体表面が摺擦、除去させる工程を含んでいる。
【0009】
しかしながら、近年印刷画像の高画質化のために、従来よりも平均粒径の小さいトナーや省エネルギーに対応した融点の低いトナーが用いられるようになり、同時に、電気回路素子の発達に伴い複写速度、すなわち感光体回転数も上昇の一途をたどっている。このような状況においては、感光体表面に融着やフィルミングが発生してしまう現象がある。
【0010】
この他、従来技術としては下記課題の項目で説明される特開平11−133640号公報(特許文献5)、特開平11−133641号公報(特許文献6)がある。また、本発明の実施のために用いられる先行技術としては、特許第2786756号公報(特許文献7)がある。
【0011】
【特許文献1】
特開昭54−86341号公報
【特許文献2】
特開平08−15882号公報
【特許文献3】
特開平6−118741号公報
【特許文献4】
特開平10−307455号公報
【特許文献5】
特開平11−133640号公報
【特許文献6】
特開平11−133641号公報
【特許文献7】
特許第2786756号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の電子写真感光体形成方法により、ある程度実用的な特性と均一性を持つ電子写真感光体を得ることが可能になった。
【0013】
又、真空反応容器内の清掃を厳格におこなえば、ある程度欠陥の少ない電子写真感光体を得ることは可能である。
【0014】
しかし、これら従来の電子写真感光体の製造方法では、例えば電子写真用電子写真感光体のように大面積で比較的厚い堆積膜が要求される製品については、均一膜質で光学的及び電気的諸特性の要求を満足し、かつ電子写真プロセスにより画像形成時に画像欠陥の少ない堆積膜を高収率で得るのは難しいという問題がある。
【0015】
特に、a−Si膜は基体表面に数μmオーダーのダストが付着していた場合、成膜中にそのダストを核として異常成長、いわゆる「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。球状突起はダストを起点とした円錐形を逆転させた形をしており、正常堆積部分と球状突起部分の界面では局在準位が非常に多いために低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って基体側に抜けてしまうという性質を持っている。このため、球状突起のある部分は、画像上ではベタ黒画像で白い点となって現れる(反転現像の場合はベタ白画像に黒い点となって現れる)。
【0016】
このいわゆる「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがあり、カラー複写機に搭載される場合には更に規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良となる場合がある。
【0017】
この球状突起は、ダストを起点としているため、使用する基体は成膜前に精密に洗浄され、成膜装置に設置する工程は全てクリーンルームあるいは真空下で作業が行われる。このようにして、成膜開始前に基体上に付着するダストは極力少なくするよう努力されてきており、効果を上げてきた。
【0018】
しかし、球状突起の発生原因は基体上に付着したダストのみではない。すなわち、a−Si感光体を製造する場合、要求される膜厚が数μmから数10μmと非常に厚いため、成膜時間は数時間から数十時間に及ぶ。この間に、a−Si膜は基体のみではなく、成膜炉壁や成膜炉内の構造物にも積層する。これらの炉壁、構造物は基体のように管理された表面を有していないため、場合によっては密着力が弱く、長時間に渡る成膜中に膜剥がれをおこす場合があった。成膜中に僅かでも剥がれが発生すると、それがダストとなり、積層中の感光体表面に付着し、これが起点となって球状突起の異常成長が発生してしまう。
【0019】
従って、高い歩留まりを維持していくためには、成膜前の基体の管理のみならず、成膜中における成膜炉内の膜剥がれの防止についても慎重な管理が必要となり、a−Si感光体の製造を難しいものにしていた。
【0020】
又、ポチ以外の画像欠陥を引き起こす融着やフィルミングの詳細な発生原因は不明だが、概略次のように予想している。感光体と摺擦部分の間に摩擦力が働くと、接触状態にビビリが発生し、感光体表面での圧縮効果が高くなり、トナーが強く感光体表面に押しつけられるために融着やフィルミングが発生する。更に、電子写真装置のプロセススピードが速くなると、摺擦部分と感光体の相対速度が高くなる為、発生しやすい状況になる。
【0021】
前述の問題を解決するための対策として、特開平11−133640号公報(特許文献5)及び特開平11−133641号公報(特許文献6)にも示されているように水素を含有したアモルファス炭素層(以下、a−C:H膜と呼ぶ)を用いる事が有効である事が知られている。
【0022】
a−C:H膜は別名ダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれるように非常に硬度が高い為に、傷、摩耗を防ぐ事ができると共に、特異な固体潤滑性を持っているので、融着、フィルミングを防止する最適の材料と考えられる。
【0023】
実際、感光体最表面にa−C:H膜を用いた場合、さまざまな環境において効果的に融着、フィルミングを防止できることが確認されている。
【0024】
ところが、このa−C:H膜を表面層として用いた電子写真感光体の製造過程において、製造工程上の課題があった。通常、高周波プラズマを用いた堆積膜形成においては、堆積膜形成終了後、堆積膜形成中に発生した副生成物(ポリシラン)をドライエッチング等により除去し、反応容器内をクリーニングする。しかしながら、感光層〜表面層(a−C:H)を連続して形成した後のエッチング処理時間は、感光層〜従来表面層(a−SiC)を連続して形成した場合よりも長くかかってしまう。これは、a−C:Hは非常にエッチングされにくいことに起因しており、製造コストを上昇させる一つの要因となっていた。
【0025】
また、エッチング処理後に、a−C:H膜の残滓が薄く残る場合があり、次回の堆積膜形成時に画像欠陥の原因となり場合があった。
【0026】
特に、近年、電子写真装置のデジタル化の進展に伴い、画質に対する要求はますますレベルアップしており、従来のアナログ型装置では許容されうる程度の画像欠陥も問題視せざるを得ないような状況に達している。
【0027】
従って、画像欠陥の要因を除く有効な方策が要望されている。
【0028】
(発明の目的)
本発明の目的は、このような従来の電子写真感光体における諸問題を、電気的特性を犠牲にすることなく解決し、安価に安定して歩留まり良く製造し得る、画像欠陥が少なく高画質の使いやすい電子写真感光体の製造方法及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非単結晶材料からなる層を含む電子写真感光体の製造方法において、
第1ステップとして、排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な成膜炉内に基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該基体上に少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも、炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を第1の層として積層する工程と、
第2ステップとして、前記第1の層を積層した基体を酸素および水蒸気を含むガスに晒す工程と、
第3ステップとして、再び成膜炉内に前記第1の層を積層した基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、前記第1の層上に非単結晶材料から成る上部阻止層を第2の層として積層させる工程と、
第4ステップとして、前記第2の層上に第3の層として炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を積層させる工程とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
【0030】
本発明では、前記の酸素および水蒸気を含むガスとして、大気を用いることができる。
【0031】
前記第1のステップにおいて第1の層の最表面に前記炭化珪素層を積層することによって、第3ステップにおいて積層する第2の層と、第1の層との膜の密着性が向上し、膜剥がれの防止に効果がある。又、第2ステップで、第1の層の表面を研磨加工した時の研磨キズを抑制させる効果を得られる。
【0032】
更に、前記第2ステップにおいて、前記第1の層を積層した基体を一旦、前記成膜炉から取り出して大気に晒してもよく、又、前記第1の層を積層した基体の表面に対して研磨などの加工をおこなう工程を含むことがより好ましい。
【0033】
更に、前記第3ステップと第4ステップの間で、該導電性の表面を有する基体の加熱設定温度を変更してもよい。
さらに前記第2ステップと第3ステップの間に前記基体の検査を行うとさらに良い。具体的には、外観検査、画像検査、電位検査などである。
【0034】
更に、検査後、水による洗浄を行うことにより、その後第2の層を積層した際の密着性が向上し、膜剥がれの防止に効果がある。
【0035】
本発明者らは、非単結晶材料からなる電子写真感光体、特にa−Si感光体における重要な問題点である、球状突起に起因する画像欠陥の改善を検討してきた。特に、成膜途中に成膜炉内壁や炉内の構造物からの膜剥がれによって発生する球状突起による画像欠陥を防止できないか、鋭意努力してきた。
【0036】
前述のように、球状突起がポチのような画像欠陥になるのは、堆積膜の正常積層部分と球状突起部分の界面に局在準位が多く、そこが低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って基体側に抜けてしまうからである。ところが、成膜途中に付着したダストによって発生する球状突起は基板からではなく、堆積膜の途中から成長しているため、表面側に何らかの阻止層を設けて、帯電電荷の注入を防止すれば、たとえ球状突起が存在しても画像欠陥にはならない可能性がある。
【0037】
そこで、本発明者らは、堆積膜の途中から球状突起が成長する成膜条件を選び、この条件で作成した電子感光体の表面に上部阻止層を設ける実験を行った。ところが予想に反して球状突起からの電荷の注入は防止できず、画像欠陥が発生してしまうことが判明した。
【0038】
この原因を調べるため、球状突起の断面を削りだし、SEM(走査型電子顕微鏡)で詳細に観察をおこなった。その様子を図1に示す。
【0039】
図1において、(101)は基体、(102)は第1の層、(111)は球状突起、(110)は成膜中に付着したダスト、(103)は第2の層、(104)は第3の層、(112)は球状突起部分と正常積層部分の境界である。
【0040】
図1から分かるように、球状突起(111)は第1の層(102)の正常積層部分の途中から、ダスト(110)を起点として成長しており、球状突起(111)と正常積層部分の間には境界(112)が存在している。
【0041】
帯電電荷はこの境界を通って基体(101)側に抜けてしまうため、画像上でポチの原因となる。この球状突起(111)上に第2の層(103)と、第3の層(104)を積層しても、前記第2の層(103)と、第3の層(104)は、それまでに成長した球状突起(111)の成長パターンを維持して積層されるため、前記第2の層(103)と、第3の層(104)にも境界(112)ができてしまう。
【0042】
その結果、帯電電荷はこの境界を通り抜けてしまい、上部阻止層としての機能が失われてしまうのである。
【0043】
そこで、本発明者らは、第2の層(103)を積層する際に境界(112)の成長を防止する検討を行った結果、前記第2の層(103)を積層する前に、一旦基体を大気に晒し、その後前記第2の層(103)を積層すると、この境界の成長が抑えられることを発見した。
【0044】
この状況を調べるため、再び球状突起の断面を削りだし、SEM(走査型電子顕微鏡)で断面観察を行った。その結果を図2に示す。
【0045】
基体(201)上に積層した第1の層(202)の正常積層部分の積層途中に付着したダスト(210)を起点として、球状突起(211)が成長を開始している。
【0046】
しかし、今回の一旦大気に晒した感光体で異なるのは、前記第2の層(203)を積層した際、上部阻止層表面で観察される境界(212)が、第1の層(202)の正常積層部分と球状突起(211)の境界からとぎれていることである。すなわち、第1の層(202)を積層し、一旦成膜炉から取り出して大気に晒したことによって、その表面に何らかの変化が起こり、その後、再び成膜炉内に戻して前記第2の層(203)を積層した際、その成長面が不連続になったものと推定される。
【0047】
その結果、抵抗の低い球状突起部分(211)と正常積層部分の境界が前記第2の層(203)で封止されて、帯電電荷が通り抜けにくくなり、画像欠陥が抑えられるのである。
【0048】
第1の層(202)の表面に起こる変化の詳細については現在、不明であるが、分離実験として、成膜炉から取り出さずに大気の代わりに酸素を導入したところ、上記のような効果が得られなかった。
【0049】
このことから類推すると、単に大気に晒すことで表面が酸化された、というような単純な理由ではなく、大気中の湿度や他の成分などが複雑に絡んだ現象であると推定される。
【0050】
更に、球状突起(211)から帯電電荷のすり抜けを防止するには、第1の層(202)を積層した後に前記球状突起(211)の頭頂部を研磨して平坦化することが効果的であることが判明した。
【0051】
図3に、基体(301)上に第1の層(302)を積層した後、球状突起(311)の頭頂部を研磨により平坦化した電子写真用感光体の一例を示す。
【0052】
球状突起(311)は第1の層(302)の正常積層部分の積層途中に付着したダスト(310)を起点として成長を開始している。しかし、前記球状突起(311)の頭頂部は第2の層(303)を積層する前に研磨手段により研磨され、平坦化されている。このため、その後に積層される前記第2の層(303)は境界部分(312)をまったく引き継がず、平坦化された表面上に均一に積層されている。
【0053】
このため、第1の層(302)を研磨手段により平坦化した後に前記第2の層(303)を積層した場合の方がより完全に球状突起部分(311)と第1の層(302)の正常積層部分の間の境界(312)が封止されるため、より帯電電荷が通り抜けにくくなり、画像欠陥を抑制する効果もより高まることとなる。
【0054】
本発明は、正帯電の電子写真感光体であっても負帯電の電子写真感光体であっても同様に効果が得られるが、球状突起による電荷のすり抜け度合いが負帯電の電子写真感光体の方がより顕著であるため、比較的小さい球状突起であっても影響が大きい。このため、本発明は負帯電の電子写真感光体において特に効果的である。
【0055】
本発明は、以上の検討により完成されたものである。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0057】
《本発明に係わるa−Si感光体》
図4に本発明に係わる電子写真感光体の一例を示す。
【0058】
本発明の電子写真感光体は、例えばAl、ステンレス等の導電性材料からなる基体(401)上に、第1ステップとして少なくとも非単結晶材料からなる光導電層(406)と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層(413)を第1の層(402)として積層し、第2ステップとして前記第1の層(402)を積層した基体を一旦酸素および水蒸気を含むガス(例えば大気)に晒し、第3ステップとして前記第1の層(402)上に上部阻止層(408)を含む層を積層し、第4ステップとして前記第2の層(403)上に第3の層(404)として炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層(409)を積層したものである。
【0059】
このように成膜することによって、第1の層(402)中から発生している球状突起(410)を覆うように第2の層(403)を積層することができ、たとえ球状突起(410)が存在しても画像には現れず良好な画質を保つことが可能となった。
【0060】
更に、第1のステップにおいて第1の層の最表面に前記炭化珪素層(413)を積層することによって、第3ステップにおいて積層する第2の層と、第1の層との膜の密着性が向上し、膜剥がれを効果的に防止することができる。又、第2ステップで、第1の層の表面を研磨加工した時の研磨キズを抑制させる効果を得られる。
【0061】
更に、炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層(409)を第3の層(404)を第3の層として積層することで電子写真感光体の耐摩耗性や耐傷性を向上させることができる。
【0062】
本発明においては第1の層(402)には光導電層(406)が含まれる。
【0063】
前記光導電層(406)の材料として、a−Siが用いられる。
【0064】
尚、第1の層(402)には必要に応じて更に下部阻止層(405)を設けてもよい。
【0065】
本発明においては第2の層(403)には上部阻止層(408)が含まれる。
【0066】
前記上部阻止層(408)の材料としてa−Siを母体とし、必要に応じて炭素、窒素、酸素を含有した層が用いられる。
【0067】
前記上部阻止層(408)には、13族元素および15族元素等をドーパントとして選択して含有させて、整流性を持たせることが帯電性能の向上の点で望ましく、また、正帯電、負帯電といった帯電極性の制御も可能となる。
【0068】
ドーパントとなる第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Alが好適である。第15族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にPが好適である。
【0069】
尚、前記第2の層(403)には、必要に応じて上部阻止層(408)の下に、a−Si系の中間層(407)を設けてもよい。
【0070】
前記中間層(407)は、前記光導電層(406)と、前記上部阻止層(408)と同組成の層が用いられる。
【0071】
本発明においては第3の層(404)には炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層(409)が含まれる。
【0072】
ここで言う前記炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層とは、黒鉛(グラファイト)とダイヤモンドとの中間的な性質を持つアモルファス状の炭素を主に表しているが、微結晶や多結晶を部分的に含んでいても良い。
【0073】
《本発明に係わる基体の形状及び材質》
図4に示す基体(401)の形状は電子写真感光体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。
【0074】
例えば、平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子写真用感光体を形成し得るように適宜決定するが、電子写真用感光体としての可撓性が要求される場合には、シリンダーとしての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、シリンダーは製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上が好ましい。
【0075】
基体材質としては上記Alやステンレスの如き導電性材料が一般的であるが、例えば各種のプラスチックやガラス、セラミックス等、特には導電性を有しないものにこれら導電性材料を少なくとも光受容層を形成する側の表面に蒸着するなどして導電性を付与したものも用いることができる。
【0076】
導電性材料としては上記の他、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金が挙げられる。
【0077】
プラスチックとしてはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等のフィルムまたはシートが挙げられる。
【0078】
《本発明に係わる第1の層》
図4に示す第1の層(402)としては、本発明ではシリコン原子を母体とし、更に水素原子及び/又はハロゲン原子を含む非晶質材料(「a−Si(H,X)」と略記する)の上に、少なくとも炭素原子、珪素原子を母体とし、水素原子及び/又はハロゲン原子を含む非晶質材料(「a−SiC(H,X)」と略記する)で構成される。
【0079】
a−Si層及びa−SiC層は、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成可能であるが、プラズマCVD法を用いて形成した膜は特に高品質の膜が得られるため好ましい。原料としてはSiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)を原料ガスとして用い、高周波電力によって分解することによって形成可能である。更に層形成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。
【0080】
このとき、基体の温度は、200℃〜450℃、より好ましくは250℃から350℃程度の温度に保つことが特性上好ましい。これは基体表面での表面反応を促進させ、充分に構造緩和をさせるためである。
【0081】
又、これらのガスに更にHあるいはハロゲン原子を含むガスを所望量混合して層形成することも特性向上の上で好ましい。ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0082】
a−SiC層(408)を形成するには、Si供給用のガスとC供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0083】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、C供給効率の良さ等の点でCH、C、Cが好ましいものとして挙げられる。
【0084】
又、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0085】
前記第1の層(402)の層厚としては特に限定はないが、製造コストなどを考慮すると15〜50μm程度が適当である。
【0086】
更に、特性を向上させる為に前記第1の層(402)を複数の層構成にしても良い。例えばよりバンドギャップの狭い層を表面側に、よりバンドギャップの広い層を基板側に配置することで光感度や帯電特性を同時に向上させることができる。特に、半導体レーザーの様に、比較的長波長であって且つ波長ばらつきのほとんどない光源に対しては、こうした層構成の工夫によって画期的な効果が現れる。
【0087】
例えば、必要に応じて設けられる下部阻止層(405)は、一般的にa−Si(H,X)をベースとし、13族元素、15族元素などのドーパントを含有させることにより伝導型を制御し、基体からのキャリアの注入阻止能を持たせることが可能である。この場合、必要に応じて、C、N、Oから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含有させることで応力を調整し、光導電層(406)の密着性向上の機能を持たせることもできる。
【0088】
前記下部阻止層(405)のドーパントとして用いられる13族元素、15族元素としては前述したものが用いられる。また、第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B、B10、B、B11、B10、B12、B14等の水素化硼素、BF、BCl、BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl、GaCl、Ga(CH、InCl、TlCl等も挙げることができる。中でもBは取り扱いの面からも好ましい原料物質の1つである。
【0089】
前記第15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH、P等の水素化燐;PF、PF、PCl、PCl、PBr、PI等のハロゲン化燐;さらにPHI等が挙げられる。この他、AsH、AsF、AsCl、AsBr、AsF;SbH、SbF、SbF、SbCl、SbCl;BiH、BiCl、BiBr等が第15族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げられる。
【0090】
前記ドーパントの原子の含有量としては、好ましくは1×10−2〜1×10原子ppm、より好ましくは5×10−2〜5×10原子ppm、最適には1×10−1〜1×10原子ppmである。
【0091】
又、前記第1の層(402)を積層する際のプラズマCVD法に用いる放電周波数としては如何なる周波数も用いることが出来、工業的にはRF周波数帯と呼ばれる1MHz以上、50MHz未満の高周波でも、VHF帯と呼ばれる50MHz以上、450MHz以下の高周波でも好適に用いることが出来る。
【0092】
《本発明に係わる第2の層》
図4に示す本発明に関わる第2の層(403)は、第1の層(402)が形成された後に、一旦放電を止めて酸素および水蒸気を含むガスと接触させた後に積層される。酸素および水蒸気を含むガスとしては、通常の環境下の空気である大気を用いることができる。即ち、接触させるガスは、少なくとも酸素と水蒸気を含み、必要により窒素ガス等の不活性ガスを含んでいるものである。酸素は全ガス中に例えば5体積%以上程度含むものが好ましい。また水蒸気を加えた純酸素でもよいが、通常は、空気程度の酸素含有量で充分である。また、水蒸気は、室温25℃における相対湿度が、例えば1%以上、好ましくは10%以上程度になるように添加されていればよい。通常の条件においては、環境下の空気である大気を用いることが、工程上も簡単であるので好ましい。
【0093】
大気との接触方法としては、前記第1の層(402)を積層後、成膜炉から基体を取り出すことで行ってもよいし、成膜炉内に大気(または酸素および水蒸気含有ガス)を導入して行ってもよい。
【0094】
又、このとき表面に存在する球状突起の頭頂部を研磨手段により研磨し、平坦にすることが好ましい。このような加工は後述する表面研磨装置によっておこなうことができる。球状突起を平坦化することによって電荷のすり抜けをより効果的に防止できると共に、球状突起によるクリーニングブレードの欠けやクリーニング不良を防止でき、又、球状突起を起点とする融着の発生も防止することができる。
【0095】
又、成膜炉から感光体(第1の層を形成した基体)を取り出した際に、必要に応じて感光体の外観検査や特性評価をおこなうことも有意義である。この時点で検査を行うことで、品質不良の電子写真感光体については後の工程を省略することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。
【0096】
更に、成膜炉に再度設置する前に、電子写真感光体(第1の層を形成した基体)を洗浄することは、前記第2の層(403)の密着性向上やダスト付着低減のために望ましい。
【0097】
具体的な洗浄方法としては、清浄な布や紙で表面を拭き取ったり、望ましくは有機洗浄や水洗浄などにより精密洗浄した方が望ましい。特に、近年の環境に対する配慮からは後述する水洗浄装置による水洗浄がより好ましい。
【0098】
本発明の第2の層(403)には上部阻止層(408)が含まれる。
【0099】
前記上部阻止層(408)は、電子写真感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面側より第1の層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。
【0100】
そのような機能を付与するために、前記上部阻止層(408)には伝導性を制御する不純物原子を適切に含有させることが必要である。そのような目的で用いられる不純物原子としては、本発明においては第13族原子、あるいは第15族原子を用いることができる。このような第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に硼素が好適である。第15族原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As),アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にリン(P)が好適である。
【0101】
前記上部阻止層(408)に含有される伝導性を制御する不純物原子の必要な含有量は、前記上部阻止層(408)の組成や製造方法を考慮して適宜変更することが好ましいが、一般的にはネットワーク構成原子に対して100原子ppm以上、30000原子ppm以下とすることが好ましい。
【0102】
前記上部阻止層(408)に含有される伝導性を制御する原子は、前記上部阻止層(408)中に満遍なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で満遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0103】
前記上部阻止層(408)に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は、該層中に満遍なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で満遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0104】
本発明における前記上部阻止層(408)の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種類の場合はその量として、2種類以上の場合はその総和量として、シリコン原子との総和に対して10%から70%の範囲とするのが好ましい。
【0105】
又、本発明においては前記上部阻止層(408)に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。
【0106】
又、ハロゲン原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とされるのが望ましい。
【0107】
前記上部阻止層(408)の膜厚は効果的に球状突起(410)による画像欠陥を防止できる膜厚に調整される。
【0108】
前記球状突起(410)を表面側から見た場合の大きさには様々なものがあるが、直径の大きいものほど電荷の注入度合いが大きく、画像に出やすいという性質がある。従って、前記上部阻止層(408)の膜厚も、大きな球状突起ほど厚くすることが効果的である。具体的には、第2の層を積層した後の電子写真感光体上に存在する球状突起(410)の最大のものの直径に対して10−4倍以上の厚さとすることが望ましい。この範囲の厚さとすることで、球状突起(410)からの電荷のすり抜けを効果的に防止することができる。又、膜厚の上限は1μm以下とすることが感度低下を最小限に抑えるという観点から望ましい。
【0109】
本発明の目的を達成し得る特性を有する前記上部阻止層(408)を形成するには、Si供給用のガスとCおよび/またはNおよび/またはO供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0110】
上部阻止層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0111】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、C供給効率の良さ等の点でCH、C、Cが好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0112】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH、NO、NO、NO、O、CO、CO、N等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0113】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0114】
更に、基体(401)の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0115】
本発明においては、前記上部阻止層(407)を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体(401)の加熱温度等層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写真感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0116】
又、本発明では、第2の層(403)には、必要に応じて前記上部阻止層(408)の下に、さらに非単結晶材料、特にa−Si系の材料で形成された中間層(407)を設けてもよい。
【0117】
前記中間層(407)は、水素及び/又はハロゲンを含み、シリコン原子を母体としたアモルファスシリコン(a−Si(H,X))をベースとし、更に炭素原子、窒素原子および酸素原子から選ばれる少なくとも1種以上の原子を更に含有する非単結晶材料から構成される。このような非単結晶材料として、アモルファス炭化珪素、アモルファス窒化珪素、アモルファス酸化珪素等が挙げられる。
【0118】
この場合、光導電層(406)から上部阻止層(408)に向かって前記中間層(407)の組成を連続的に変化させる事も可能であり、膜の密着性の向上を図るのに効果的である。
【0119】
前記中間層(408)を形成するには、基体(401)の加熱温度(Ts)、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。
【0120】
基体(401)の加熱温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0121】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0122】
中間層の形成に使用される原料ガスとしては、上部阻止層の形成に用いられる原料ガスを用いることができる。
【0123】
《本発明に係わる第3の層》
本発明の第3の層(404)には炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層(409)が含まれる。
【0124】
ここで言う非単結晶炭素とは、黒鉛(グラファイト)とダイヤモンドとの中間的な性質を持つアモルファス状の炭素を主に表しているが、微結晶や多結晶を部分的に含んでいても良い。
【0125】
前記表面層(409)は自由表面を有し、主に長期間の使用における融着や傷、摩耗の防止といった本発明の目的を達成するために設けられる。
【0126】
前記表面層(409)は多少の不純物が含有されても、同様の効果を得ることができる。例えば、前記表面層(409)にSi、N、O、P、B等の不純物が含有されたとしても、含有量が全元素に対して20%以下程度であれば本発明の効果は充分に得られる。
【0127】
前記表面層(409)中には水素原子が含有される。水素原子を含有させることで効果的に膜中の構造欠陥が補償され、局在準位密度が低減するため、膜の透明性が改善され、前記表面層(409)中では好ましくない不要の光吸収が抑えられることによって光感度が改善する。又、膜中の水素原子の存在が固体潤滑性に重要な役割を果たしているといわれている。
【0128】
前記表面層(409)の膜中に含まれる水素原子の含有量はH/(C+H)で41%〜60%、更に好適には45%〜50%が適している。水素量が41%を切ると光学的バンドギャップが狭くなり、感度の面で適さなくなる。また、60%を越えると硬度が低下し、削れが発生し易くなる。光学的バンドギャップは一般には1.2eV〜2.2eV程度の値であれば好適に用いることができ、感度の点からは1.6eV以上とすることが更に望ましい。屈折率は1.6〜2.8程度であれば好適に用いられる。
【0129】
前記表面層(409)の層厚は、反射分光式干渉計(大塚電子(株)製MCPD2000)により干渉度合を測定し、この値と既知の屈折率から膜厚を算出する。後述する前記表面層(409)の膜厚は成膜条件等によって調整することができる。膜厚は5nmから2000nm、好ましくは10nmから100nmである。5nmより薄くなると長期的な使用における効果を得るのが難しくなる。2000nm以上になると光感度の低下や残電等のデメリットを考慮する必要がでてくるので、2000nm以下のほうが望ましい。
【0130】
前記表面層(409)は、例えばグロー放電法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法など周知の薄膜積層法によって積層することができる。これらの薄膜積層法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される電子写真装置用の電子写真感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、該電子写真感光体の生産性から光導電層(406)と同等の積層法によることが好ましい。
【0131】
原料ガスを分解するための高周波電力については、出来るだけ高い方が炭化水素の分解が充分に進むため好ましく、具体的には原料ガスに対して、単位時間(min)、標準状態(normal)におけるガスの単位容積(ml)あたりの電気量(W)が5W・min/ml(normal)以上が好ましいが、あまり高くなると異常放電が発生してしまい、電子写真感光体の特性を劣化させるので、異常放電が発生しない程度の電力に抑える必要がある。
【0132】
又、本発明における前記表面層(409)を積層する際のプラズマCVD法に用いる放電周波数としては如何なる周波数も用いることが出来、工業的にはRF周波数帯と呼ばれる1MHz以上、50MHz未満の高周波でも、VHF帯と呼ばれる50MHz以上、450MHz以下の高周波でも好適に用いることが出来る。
【0133】
又、前記表面層(409)を積層する際の放電空間の圧力については通常のRF(代表的には13.52MHz)電力を用いる場合には13.3Pa〜1333Pa(0.1Torr〜10Torr)、VHF帯(代表的には50〜450MHz)を用いる場合には0.133Pa〜13.3Pa(0.1mTorr〜100mTorr)程度に保たれるが、可能な限り低い圧力が望ましい。
【0134】
又、前記表面層(409)を積層する際の導電性基体(401)の加熱温度(Ts)は、室温から400℃までに調整されるが、あまり基板温度が高過ぎるとバンドギャップが低下して透明度が低下するため低めの温度設定が好ましい。
【0135】
表面層の形成において使用される炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、C供給効率の良さ等の点でCH、C、Cが好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0136】
《本発明に係わるa−Si感光体成膜装置》
1)  RFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置
図5は、高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による電子写真感光体の成膜装置の一例を模式的に示した図である。
【0137】
この装置は大別すると、成膜装置(5100)、原料ガスの供給装置(5200)、成膜炉(5110)内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。成膜装置(5100)中の成膜炉(5110)内にはアースに接続された基体(5112)、基体の加熱用ヒーター(5113)、原料ガス導入管(5114)が設置され、更に高周波マッチングボックス(5115)を介して高周波電源(5120)が接続されている。
【0138】
原料ガス供給装置 5200 は、SiH、H、CH、NO、B、CF等の原料ガスボンベ(5221〜5226)とバルブ(5231〜5236)、(5241〜5246)、(5251〜5256)及びマスフローコントローラー(5211〜5216)から構成され、各構成ガスのボンベはバルブ(5260)を介して成膜炉(5110)内のガス導入管(5114)に接続されている。
【0139】
基体(5112)は導電性受け台(5123)の上に設置されることによってアースに接続される。
【0140】
以下、図5の装置を用いた感光体の形成方法の手順の一例について説明する。
【0141】
成膜炉(5110)内に基体(5112)を設置し、成膜炉(5110)に接続された不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により成膜炉(5110)内を排気する。続いて基体加熱用ヒーター(5113)により基体(5112)の温度を200℃〜450℃より好ましくは250℃〜350℃の所望の温度に制御する。次いで、感光体形成用の原料ガスを成膜炉(5110)内に流入させるにはガスボンベのバルブ(5231〜5236)、成膜炉のリークバルブ(5117)が閉じられている事を確認し又、流入バルブ(5241〜5246)、流出バルブ(5251〜5256)、補助バルブ(5260)が開かれている事を確認し、メインバルブ(5118)を開いて成膜炉(5110)及びガス供給配管(5116)を排気する。
【0142】
その後、真空計(5119)の読みが 0.67mPaになった時点で補助バルブ(5260)、流出バルブ(5251〜5256)を閉じる。その後ガスボンベ(5221〜5226)より各ガスをバルブ(5231〜5236)を開いて導入し圧力調整器(5261〜5266)により各ガス圧を0.2MPaに調整する。次に流入バルブ(5241〜5246)を徐々に開けて各ガスをマスフローコントローラー(5211〜5216)内に導入する。
【0143】
以上の手順によって成膜準備を完了した後、基体(5112)上に、まず第1の層として、例えば光導電層の積層をおこなう。
【0144】
すなわち、基体(5112)が所望の温度になったところで、各流出バルブ(5251〜5256)のうちの必要なものと補助バルブ(5260)とを徐々に開き、各ガスボンベ(5221〜5226)から所望の原料ガスをガス導入管(5114)を介して成膜炉(5110)内に導入する。次に、各マスフローコントローラー(5211〜5216)によって、各原料ガスが所望の流量になる様に調整する。その際、成膜炉(5110)内が13.3Pa〜1330Paの所望の圧力になる様に、真空計(5119)を見ながらメインバルブ(5118)の開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源(5120)を所望の電力に設定して例えば、周波数1MHz〜50MHz、例えば 13.56MHzの高周波電力を高周波マッチングボックス(5115)を通じてカソード電極(5111)に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって成膜炉(5110)内に導入させた各原料ガスが分解され、基体(5112)上に所望のシリコン原子を主成分とする光導電層が積層される。
【0145】
所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止め、各流出バルブ(5251〜5256)を閉じて成膜炉(5110)への各原料ガスの流入を止め、光導電層の積層を終える。
【0146】
光導電層の組成や膜厚は公知のものを使用することができる。前記光導電層と基体(5112)の間に下部阻止層を積層する場合も基本的には上記の操作をあらかじめ行えばよい。前述の手順で第1の層まで積層した基体は一旦、大気に晒すことがポイントである。もちろん、本発明の場合、成膜炉から取り出さずに、炉内に大気を導入してもよい。
【0147】
成膜炉から取り出す場合には、同時に基体の膜剥がれ、球状突起などの外観検査を行っても良い。又、必要に応じて画像検査や電位特性検査なども行うことができる。
【0148】
画像検査や電位特性検査など、基体がオゾンと接する検査をおこなった場合、第2の層の積層を行う前に水洗浄あるいは有機洗浄を行うことが好ましいが、近年の環境への配慮から水洗浄がより好ましい。水洗浄の方法は後述する。このように第2の層の積層前に水洗浄行うことで密着性を更に向上させることができる。
【0149】
次に、大気に晒した基体は再び成膜炉に戻され、第2の層の積層を行う。
【0150】
第2の層に上部阻止層や、必要により中間層を積層する時は原料ガスにCH、Cなどの炭化水素ガス、必要に応じてHなど希釈ガスを追加で用いる以外は基本的に第1の層の積層に準じる。
【0151】
次に、前記第2の層まで積層した上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層する。
【0152】
前記表面層の積層は原料ガスにCH、Cなどの炭化水素ガスを原料ガスとして用いる以外は基本的に第1の層の積層に準じる。
【0153】
以上で、本発明の電子写真感光体が作成される。
【0154】
2)  VHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置
図6は、VHF電源を用いたVHFプラズマCVD法による電子写真感光体の成膜装置の一例を模式的に示した図である。
【0155】
この装置は図5に示した成膜装置(5100)を図6の成膜装置(6100)に置き換えることで構成される。
【0156】
VHFプラズマCVD法によるこの装置での堆積膜の形成は、基本的にRFプラズマCVD法の場合と同様に行うことができる。成膜炉(6110)は、排気管(6121)を通じて排気装置(図示せず)に接続されており、成膜炉(6110)内の圧力を、13.3mPa〜1330Pa程度、すなわちRFプラズマCVD法よりも低めに保つ。高周波電力として、VHF電源から50MHz〜450MHz、例えば周波数105MHzをマッチングボックス(6115)を通じてカソード電極(6111)に供給する。基体(6112)は、基体加熱用ヒーター(6113)により加熱し、層形成の均一化を図るため基体回転用モーター(6120)によって、所望の回転速度で回転させる。導入された原料ガスは、基体(6112)により取り囲まれた放電空間(6130)において、放電エネルギーにより励起されて解離し、導電性基体(6112)上に所定の堆積膜が形成される。
【0157】
《本発明に係わる表面研磨装置》
図7に、本発明の電子写真用感光体の製造工程において、表面加工に際して利用される表面加工装置の一例、具体的には、表面加工として、研磨を行う際に利用される表面研磨装置の一例を示す。図7に示す表面研磨装置の構成例において、加工対象物「円筒状の基体上の堆積膜表面」(700)は、その表面にa−Siからなる第1の層が積層された円筒状の基体であり、弾性支持機構(720)に取り付けられる。
【0158】
図7に示す装置において、弾性支持機構(720)は、例えば、空気圧ホルダーが利用され、具体的には、ブリジストン社製空気圧式ホルダー(商品名:エアーピック、型番:PO45TCA*820)が用いられる。加圧弾性ローラー(730)は、研磨テープ(731)を巻回して、加工対象物(700)のa−Si光導電層表面に押圧させる。研磨テープ(731)は、送り出しロール(732)から供給され、巻き取りロール(733)に回収される。その送り出し速度は、定量送り出しロール(734)とキャプスタンローラ(735)により調整され、また、その張力も調整されている。研磨テープ(731)には、通常ラッピングテープと呼ばれるものが好適に利用される。a−Si等の非単結晶材料の光導電層等の第1の層または上部阻止層等の中間層の表面を加工する際、ラッピングテープには、砥粒としてはSiC、Al、Feなどが用いられる。具体的には、富士フィルム社製ラッピングテープLT−C2000を用いた。加圧弾性ローラー(730)は、そのローラー部は、ネオプレンゴム、シリコンゴムなどの材質からなり、JISゴム硬度20〜80の範囲、より好ましくはJISゴム硬度30〜40の範囲とされている。また、ローラー部形状は、長手方向において、中央部の直径が両端部の直径より若干太いものが好ましく、例えば、両者の直径差が0.0〜0.6mmの範囲、より好ましくは、0.2〜0.4mmの範囲となる形状が好適である。加圧弾性ローラー(730)は、回転する加工対象物「円筒状基体上の堆積膜表面」(700)に対して、加圧圧力0.05MPa〜0.2MPaの範囲で加圧しながら、研磨テープ(731)、例えば、上記のラッピングテープを送り堆積膜表面の研磨を行う。
【0159】
なお、大気中で実施される表面研磨に対しては、前記研磨テープを利用する手段以外に、バフ研磨のような湿式研磨の手段を利用することも可能である。また、湿式研磨の手段を利用する際には、研磨加工後、研磨に利用する液の洗浄除去を施す工程を設けるが、その際、表面を水と接触させ、洗浄する処理を併せて実施することができる。
【0160】
《本発明に係わる水洗浄装置》
水洗浄に関しては、例えば特許第2786756号公報(特許文献7)などに開示されている。本発明に用いることができる水洗浄装置の一例を図8に示す。
【0161】
図8に示す処理装置は、処理部(802)と被処理部材搬送機構(803)よりなっている。処理部(802)は、被処理部材投入台(811)、被処理部材洗浄槽(821)、純水接触槽(831)、乾燥槽(841)、被処理部材搬出台(851)よりなっている。洗浄槽(821)、純水接触槽(831)とも液の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付いている。搬送機構(803)は、搬送レール(865)と搬送アーム(861)よりなり、搬送アーム(861)は、レール(865)上を移動する移動機構(862)、基体(801)を保持するチャッキング機構(863)及びチャッキング機構(863)を上下させるためのエアーシリンダー(864)よりなっている。投入台(811)上に置かれた基体(801)は、搬送機構(803)により洗浄槽(821)に搬送される。洗浄槽(821)中の界面活性剤水溶液によりなる洗浄液(822)中で超音波処理されることにより表面に付着している油及び粉体の洗浄が行われる。次に基体(801)は、搬送機構(803)により純水接触槽(831)へ運ばれ、25℃の温度に保たれた抵抗率 175kΩ・m(17.5MΩ・cm)の純水をノズル(832)から 4.9MPaの圧力で吹き付けられる。純水接触工程の終わった基体(801)は搬送機構(803)により乾燥槽(841)へ移動され、ノズル(842)から高温の高圧空気を吹き付けられ乾燥される。乾燥工程の終了した基体(801)は、搬送機構(803)により搬出台(851)に運ばれる。
【0162】
《本発明に係わる電子写真装置》
図9はコロナ帯電方式を用いた電子写真装置の一例の概略構成図である。
【0163】
(901)は電子写真感光体、(902)は主帯電器、(903)は画像情報露光装置、(904)は現像器、(905)は転写帯電器、(906)はクリーニング装置、(907)は主除電光であり、これらが電子写真感光体(901)の回転方向(X)に所定の間隔を持って順に設けられている。
【0164】
図9のコロナ帯電方式を用いた電子写真装置において、(X)方向に所定の速度で回転する電子写真感光体(901)はその表面が主帯電器(902)によって一様に帯電され、静電潜像を形成するために静電潜像形成手段(903)により画像情報露光が照射され、現像器(904)によって顕像化される。
【0165】
転写材は、この後電子写真感光体(901)と接し、前記顕像を転写材に転移させるための転写帯電器(905)及び定着器(908)とを経て複写機外に送り出される。この後、電子写真感光体(901)はクリーニング装置(906)によって、その表面がクリーニングされた後、主除電光(907)によって一様に露光され除電される、という工程を繰り返す。
【0166】
電子写真感光体(901)には多くの局在準位が存在するため、光キャリアの一部が局在準位に捕獲されてその走行性が低下したり、或いは光キャリアの再結合確率が低下したりする。その結果、画像情報露光によって生成された光キャリアが、次の帯電工程まで感光体の内部に残留し、帯電時またはそれ以降に局在準位から開放される。その為に、露光部と非露光部で感光体の表面電位に差が生じ、これが最終的に光メモリーに起因する画像形成履歴(以下、ゴーストと称す。)となって現れやすい。
【0167】
そこで、従来の電子写真感光体(901)を用いた電子写真装置においては、前記の様なゴーストを消去するために除電光が設けられてきた。除電光光源としては、やみくもに光メモリー消去能力を上げてしまうと帯電能率確保及び電位シフト低減等の点で弊害を生じてしまうため、波長及び光量を厳密にコントロールできるLEDアレイを用いることが一般的である。
【0168】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき比較例と対照しながら説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0169】
(実施例1)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmのAl製基体に表1に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層まで積層した。
【0170】
【表1】
Figure 2004133396
次いで、第1の層まで積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
【0171】
大気中で5分間放置した後、前記第1の層を積層した基体を再び成膜炉に戻し、第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0172】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0173】
以上の手順で得られた感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、後述する評価方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0174】
(比較例1)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表1に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した。
【0175】
次いで、大気に晒すことなく前記第1の層上に連続して第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0176】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した電子写真感光体を成膜した。
【0177】
以上の手順で得られた電子写真感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0178】
(比較例2)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径108mmの円筒状Al製基体に表2に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層と、第3の層として炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を大気に晒すことなく連続して積層した。
【0179】
【表2】
Figure 2004133396
尚、本比較例では、第2の層に上部阻止層を積層しなかった。
【0180】
以上の手順で得られた感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、後述する評価方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0181】
『球状突起数』
得られた電子写真感光体の表面を光学顕微鏡で観察した。そして、20μm以上の大きさの球状突起の数を数え、10cm当たりの個数を調べた。得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対比較でランク付けを行った。
◎ ・・・ 35%以上65%未満
○ ・・・ 65%以上95%未満
△ ・・・ 95%以上105%未満
× ・・・ 105%以上。
【0182】
『黒ポチ』
図9に示す一次帯電器にコロナ放電を採用した電子写真装置に、本実施例で作製した電子写真感光体を装着して画像形成を行った。具体的には、キヤノン製GP605(プロセススピード300mm/sec、イメージ露光)をベースに負帯電が可能なように改造し、トナーをネガトナーに変更した複写機を試験用電子写真装置として用い、A3サイズの白紙原稿を複写した。こうして得られた画像を観察し、直径0.3mm以上の球状突起に起因する黒ポチの個数を数えた。得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対比較でランク付けを行った。
◎ ・・・ 35%以上65%未満
○ ・・・ 65%以上95%未満
△ ・・・ 95%以上105%未満
× ・・・ 105%以上。
【0183】
『帯電能』
電子写真感光体を図9に示す電子写真装置に設置し、帯電器に−6kV(負帯電感光体の場合)または+6kV(正帯電感光体の場合)の高電圧を印加しコロナ帯電をおこない、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定する。得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
☆ ・・・ 125%以上
◎ ・・・ 115%以上、125%未満
○ ・・・ 105%以上、115%未満
△ ・・・ 95%以上、105%未満
× ・・・ 95%未満。
【0184】
『残留電位』
電子写真感光体を一定の暗部表面電位(例えば450V)に帯電させる。そして直ちに一定光量の比較的強い光(例えば1.5Lx・sec)を照射する。この時、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真用光感光体の残留電位を測定する。得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
◎ ・・・ 85%未満
○ ・・・ 85%以上、95%未満
△ ・・・ 95%以上、105%未満
× ・・・ 105%以上。
【0185】
『クロスハッチ』
第1の層から第3の層まで成膜した電子写真感光体の表面に鋭利な針を用いて、1cm間隔にクロスハッチ状に筋キズを付けた。これを1週間水に浸した後に取り出し電子写真感光体の表面を観察し、傷を付けた部分から膜剥がれが生じていないかを目視にて確認し、以下の基準で評価した。
○ ・・・ 膜剥がれは発生せず、非常に良好
△ ・・・ スジ傷から、ごく1部分に剥がれが発生した
× ・・・ 広範囲に若干の剥がれが発生した。
【0186】
『ヒートショック』
第1の層から第3の層まで成膜した電子写真感光体を温度−20℃に調整された容器の中に48時間放置し、その後直ちに温度50℃、湿度95%に調整された容器の中に2時間放置する。このサイクルを10サイクル繰り返した後、電子写真感光体の表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎ ・・・ 膜剥がれは発生せず、非常に良好
○ ・・・ 電子写真感光体の端部のごく1部分に剥がれが発生したが、非画像域であるので問題なし
△ ・・・ 広範囲に若干の剥がれが発生した
× ・・・ 全面剥がれが発生した。
【0187】
【表3】
Figure 2004133396
表3から分かる様に、本発明の電子写真感光体は球状突起数が比較例1、2と同等レベルであっても、画像欠陥である黒ポチの数は非常に改善することが分かる。又、上部阻止層を設けることで帯電能、残留電位は改善し、たとえ第1の層と第2の層との間で一旦、感光体を大気に晒しても特性には何ら悪影響はないことが分かった。又、第1の層に炭化珪素層を設けても特性に何んら影響が無いことも分かった。
【0188】
(実施例2)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表4に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0189】
【表4】
Figure 2004133396
次いで、前記第1まで層を積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
【0190】
大気中で5分間放置した後、前記第1の層を積層した基体を再び成膜炉に戻し、第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0191】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0192】
以上の手順で得られた感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表6に示す。
【0193】
(比較例3)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表5に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる光導電層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0194】
【表5】
Figure 2004133396
次いで、前記第1の層を積層した電子写真感光体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
【0195】
大気中で5分間放置した後、前記第1の層を積層した電子写真感光体を再び成膜炉に戻し、第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0196】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0197】
尚、本比較例では、第1の層に少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層しなかった。
【0198】
以上の手順で得られた感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表6に示す。
【0199】
【表6】
Figure 2004133396
表6から分かる様に、本発明の第1の層に炭化珪素層を設けた電子写真感光体は、すべての評価において良好な結果を示すが、ヒートショック評価で第1の層に炭化珪素層を設けていな場合に非画像域のごく1部分に剥がれが発生することが分かった
(実施例3)
図6に示すVHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表7に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0200】
【表7】
Figure 2004133396
次いで、その状態で成膜炉内に大気をリーク弁から導入し、前記第1の層を積層した電子写真感光体を大気に晒した。その状態で5分間放置した後、再び成膜炉を真空状態に戻し、前記第1の層上に第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0201】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0202】
以上の手順で作製した電子写真感光体は正帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表8に示す。
【0203】
(比較例4)
図6に示すVHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表7に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0204】
次いで、その状態で成膜炉内にOガスを大気圧まで導入し、電子写真感光体を酸素雰囲気に晒した。
【0205】
その状態で5分間放置した後、再び成膜炉を真空状態に戻し、前記第1の層上に第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0206】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0207】
以上の手順で作製した電子写真感光体は正帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表8に示す。
【0208】
【表8】
Figure 2004133396
表8から分かるように、本発明の効果は、成膜炉内で大気に触れさせるだけでも得られることが分かった。又、酸素雰囲気に触れさせても効果が見られなかったことから、単なる表面の酸化による効果ではなく、大気との何らかの相互作用であることが推測される。又、VHF方式の成膜方法であっても、本発明の効果はRF方式の成膜方法と同様に得られることが分かる。又、第1の層に下部阻止層を設けても特性に何んら影響が無いことも分かった。
【0209】
(実施例4)
図6に示すVHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表9に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0210】
次いで、前記第1の層まで積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した後に前記第1の層を積層した電子写真感光体を再び成膜炉に戻し、前記第1の層上に第2の層としてa−Si系の中間層を積層し、前記中間層上に少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0211】
次いで、前記第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0212】
以上の手順で得られた電子写真感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、膜の密着性と、研磨キズに関しては後述する評価方法により評価し、その他の評価に関しては実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表11に示す。
【0213】
(実施例5)
図6に示すVHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表9に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0214】
【表9】
Figure 2004133396
次いで、前記第1の層まで積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
【0215】
本実施例では、この時に図7に示した研磨装置を用いて表面を研磨し、球状突起の突起部分の平坦化を行った。
【0216】
次に図8に示した水洗浄装置を用いて表面を洗浄した。
【0217】
その後、前記第1の層を積層した電子写真感光体を再び成膜炉に戻し、前記第1の層上に第2の層としてa−Si系の中間層を積層し、前記中間層上に少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0218】
次いで、炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0219】
以上の手順で得られた電子写真感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表11に示す。
【0220】
(比較例5)
図6に示すVHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表10に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる光導電層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0221】
【表10】
Figure 2004133396
次いで、前記第1の層まで積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
【0222】
本実施例では、この時に図7に示した研磨装置を用いて表面を研磨し、球状突起の突起部分の平坦化を行った。この平坦化によって、研磨前の表面の凹凸が、10μm以上であったのが、1μm以下に減少した。
【0223】
突起部分の凹凸は、Z方向(観察物と対物レンズの遠近方向)位置検出機能付きの顕微鏡(オリンパス社製STM−5)により、突起頂部にピントを合せた時をZ1、近傍正常部にピントを合せた時をZ2とし、Z1とZ2の差で評価した。次に図8に示した水洗浄装置を用いて表面を洗浄した。
【0224】
その後、前記第1の層を積層した基体を再び成膜炉に戻し、前記第1の層上に第2の層としてa−Si系の中間層を積層し、前記中間層上に少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0225】
次いで、炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層した。
【0226】
尚、本比較例では、第1の層に少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層しなかった。
【0227】
以上の手順で得られた感光体は負帯電で用いられる電子写真感光体であり、実施例1と同様の評価方法により評価した。その結果を表11に示す。
【0228】
『研磨キズ』
第1の層まで積層した電子写真感光体を図7に示す研磨装置に設置し、研磨をおこなった。研磨後に電子写真感光体の表面を目視で確認した。得られた結果は、比較例5での値を100%とした場合の相対評価でランク付けをおこなった。
◎ ・・・ 20%以上、研磨キズが減少した
○ ・・・ 研磨キズが、比較例5と同じである
△ ・・・ 研磨キズが、比較例5より増加した
× ・・・ 全面に研磨キズが発生しており、NGレベル。
【0229】
【表11】
Figure 2004133396
表11から分かるように、第1の層に炭化珪素層を積層することで水洗浄装置により洗浄した後に第2の層を積層することで膜の密着性を向上させるだけでなく、画像欠陥の低減効果が高まることが判明した。又、第1の層に炭化珪素層を積層することで、球状突起の突起部分を研磨により平坦化した際に生じる研磨キズを抑制出来ることが分かった。又、第2の層に中間層を設けても特性に何ら影響が無いことが分かった。
【0230】
(実施例6)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmのAl製基体に表12に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0231】
【表12】
Figure 2004133396
次いで、第1の層まで積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。大気中で10分間放置した後、図8に示した水洗浄装置を用いて洗浄した。
【0232】
その後、前記第1の層まで積層した基体を再び成膜炉に戻し、前記第1の層上に第2の層としてa−Si系の中間層を積層し、前記中間層上に少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0233】
次いで、前記第2の層上に第3の層として炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を積層した。
【0234】
尚、本実施例においては、前記上部阻止層の膜厚を変化させた感光体(A〜F)を作成した。
【0235】
以上の手順で得られた負帯電用の電子写真感光体は実施例1と同様の評価方法で評価すると共に、更に球状突起の大きさの評価を行った。得られた電子写真感光体の表面全体を光学顕微鏡で観察し、最も大きい球状突起のおおよその直径を調べた。
【0236】
その結果、本実施例の製造条件においては、いずれの電子写真感光体においてもほぼ100μmであることが判明した。こうして得られた最大球状突起の直径に対して、上部阻止層の膜厚の比を求めた。
【0237】
その結果を表13に示す。
【0238】
【表13】
Figure 2004133396
表13から分かるように、本発明の黒ポチの低減効果を得るためには、上部阻止層の膜厚は最大球状突起の直径の10−4倍以上の膜厚が好適であることが分かる。又、感光体Fについては黒ポチの低減効果は充分に得られたが、上部阻止層が厚くなりすぎ、感度低下が見られた。従って、膜厚の上限は1μm以下に抑えることが望ましいことが分かる。又、第2の層を積層する前に水洗浄装置により洗浄をおこなうことにより、より密着性が向上した。
【0239】
(実施例7)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径φ108mmの円筒状Al製基体に表14に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0240】
【表14】
Figure 2004133396
次いで、前記第1の層まで積層した基体を成膜炉に残したままリーク弁を開き、成膜炉内を大気に戻した。こうして基体を大気に晒し、約10分間放置した後、成膜炉から取り出し、図8に示した水洗浄装置で洗浄を行った。
【0241】
洗浄後、再び前記第1の層まで積層した成膜炉に電子写真感光体を戻した後に成膜炉を真空引きし、引き続いて、前記第1の層上に第2の層としてa−Si系の中間層を積層し、前記中間層上に少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層を積層した。
【0242】
次いで、前記第2の層上に第3の層として炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0243】
尚、本実施例においては、前記上部阻止層に含有される第13族不純物原子であるB(ボロン)の含有量を変化させた感光体(G〜L)を成膜した。
【0244】
以上の手順で得られた負帯電の電子写真感光体は実施例1と同様の評価方法により評価した。
【0245】
評価後、それぞれの電子写真感光体を切り出し、SIMS分析(2次イオン質量分析)をおこない、上部阻止層中のB(ボロン)含有量を調べた。その評価結果を表15に示す。
【0246】
【表15】
Figure 2004133396
表15から分かるように上部阻止層の不純物含有量は100ppmから30000ppmが適していることが分かる。
【0247】
(実施例8)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置を用いて、外径108mmの円筒状Al製基体に表16に示した条件で、第1の層として非単結晶材料からなる下部阻止層と、非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を成膜した。
【0248】
【表16】
Figure 2004133396
次いで、第1の層まで積層した基体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。大気中で10分間放置した後、図7に示した研磨装置を用いて表面を研磨し、球状突起の突起部分の平坦化を行った。この平坦化によって、研磨前の表面の凹凸が、10μm以上であったのが、1μm以下に減少した。
【0249】
突起部分の凹凸は、Z方向(観察物と対物レンズの遠近方向)位置検出機能付きの顕微鏡(オリンパス社製STM−5)により、突起頂部にピントを合せた時をZ1、近傍正常部にピントを合せた時をZ2とし、Z1とZ2の差で評価した。次に図8に示した水洗浄装置を用いて表面を洗浄した。
【0250】
その後、第1の層を積層した基体をを再び成膜炉に戻し、研磨した第1の層上に、第2の層として非単結晶材料からなる中間層および上部阻止層を積層した。
【0251】
次いで、第2の層上に炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を積層した。
【0252】
尚、本実施例においては、前記第1の層の炭化珪素層に含有される第13族不純物原子であるB(ボロン)の含有量を変化させた感光体(M〜R)を成膜した。
【0253】
以上の手順で得られた負帯電の電子写真感光体は実施例1と同様の評価方法により評価した。
【0254】
評価後、それぞれの電子写真感光体を切り出し、SIMS分析(2次イオン質量分析)をおこない、炭化珪素層中のB(ボロン)含有量を調べた。その評価結果を表17に示す。
【0255】
【表17】
Figure 2004133396
表17から分かるように炭化珪素層に不純物を100ppmから30000ppm含有させることで帯電能が良くなることが分かった。
【0256】
【発明の効果】
以上述べたように、第1の層を積層した後に大気に晒すことにより、従来球状突起に基づいて発生していた画像欠陥を大幅に改善させることができた。即ち、本発明によれば、電気的特性を犠牲にすることなく解決し、安価に安定して歩留まり良く製造し得る、画像欠陥が少なく高画質の使いやすい電子写真感光体の製造方法及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置を提供することができる。
【0257】
更に、第1ステップにおいて第1の層の最表面に少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層することにより、その後の第2の層を積層した際の密着性が向上し、膜剥がれがより起こりにくくなる。
【0258】
又、第2ステップにおいて、球状突起の突起部の研磨をおこない平坦化した後に発生する研磨キズの発生を抑制することができる。
【0259】
更に、第2ステップにおいて、球状突起の突起部の研磨をおこない平坦化した後に第2の層を積層することで、より一層、球状突起を画像に現れにくくすることができる。
【0260】
更に、第2ステップと第3ステップの間に基体を水と接触させるとさらに良い。具体的には、水洗浄を行うことにより、その後の第2の層を積層した際の密着性が向上し、膜剥がれがより起こりにくくなる。又、第3ステップでの第1の層を研磨した際に生じる研磨キズを抑制させる効果を得ることができる。
【0261】
又、必要に応じて第2ステップで基体の検査をおこなうことで、品質不良の感光体については後の工程を省略することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。
【0262】
更に、第4ステップにおいて、炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層させることで高硬度、長寿命といった優れた性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。
【図3】第1の層表面を研磨した本発明の電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。
【図5】RF プラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置の模式的断面図である。
【図6】VHFプラズマCVD方式のa−Si感光体成膜装置の模式的断面図である。
【図7】本発明に用いた表面研磨装置の模式的断面図である。
【図8】本発明に用いた水洗浄装置の模式的断面図である。
【図9】コロナ帯電方式を用いた電子写真装置置の一例の模式的断面図である。
【符号の説明】
101、201、301、401      導電性基体
102、202、302、402      第1の層
103、203、303、403      第2の層
104、204、304、404      第3の層
405                      下部阻止層
406                      光導電層
413                      炭化珪素層
407                      中間層
408                      上部阻止層
409                      表面層
110、210、310、410      ダスト
111、211、311、411      球状突起
112、212、312、412      球状突起正常積層部分の境界
5100、6100       成膜装置
5110、6110       反応炉
5111、6111       カソード電極
5112、6112       導電性基体
5113、6113       加熱用ヒーター
5114          ガス導入管
5115、6115       高周波マッチングボックス
5116          ガス配管
5117          リークバルブ
5118          メインバルブ
5119          真空計
5120          高周波電源
5121          絶縁材料
5123          受け台
5200          ガス供給装置
5211〜5216       マスフローコントローラー
5221〜5226       ボンベ
5231〜5236       バルブ
5241〜5246       流入バルブ
5251〜5256       流出バルブ
5260          補助バルブ
5261〜5266       圧力調整器
6120          回転モーター
6121          排気口
6130          放電空間
700                      基体
720                      弾性支持機構
730              加圧弾性ローラー
731              研磨テープ
732              送り出しロール
733              巻き取りロール
734              定量送り出しロール
735              キャプスタンローラ
801              導電性の表面を有する基体
802              処理部
803              被処理部材搬送機構
811              被処理部材投入台
821              被処理部材洗浄槽
822              洗浄液
831              純水接触槽
832              ノズル
841              乾燥槽
842              ノズル
851              被処理部材搬出台
861              搬送アーム
862              移動機構
863              チャッキング機構
864              エアーシリンダー
865              搬送レール
901              電子写真感光体
902             帯電器
903              画像情報露光装置
904              現像器
905              転写帯電器
906              クリーニング装置
907              主除電光
908              定着装置
L        走査露光

Claims (21)

  1. 非単結晶材料からなる層を含む電子写真感光体の製造方法において、
    第1ステップとして、排気手段に接続され、原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な成膜炉内に基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該基体上に少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、少なくとも、炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を第1の層として積層する工程と、
    第2ステップとして、前記第1の層を積層した基体を酸素および水蒸気を含むガスに晒す工程と、
    第3ステップとして、再び成膜炉内に前記第1の層を積層した基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、前記第1の層上に非単結晶材料から成る上部阻止層を第2の層として積層させる工程と、
    第4ステップとして、前記第2の層上に第3の層として炭素原子を母材とする非単結晶材料からなる表面層を積層させる工程とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記の酸素および水蒸気を含むガスが、大気であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記炭化珪素層に、周期律表第13族または第15族元素を含有させることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記周期律表第13族または第15族元素の含有量が100原子ppm以上、30000原子ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記光導電層が、少なくともシリコン原子を母材とする非単結晶質材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記上部阻止層を含む第2の層が、少なくともシリコン原子を母材とし、炭素、酸素、窒素原子の少なくとも1つを含有する非単結晶質材料から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記上部阻止層が、更に導電性を制御する不純物原子を含有する非単結晶質材料であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記不純物原子が、周期律表第13族あるいは第15族元素であることを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記周期律表第13族または第15族元素の含有量が100原子ppm以上、30000原子ppm以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記上部阻止層の膜厚が、前記電子写真感光体の表面に存在する球状突起のうち、最大の球状突起の直径の10−4倍以上であり、かつ、1μm以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記第4ステップにおいて、前記第2の層の上に炭素原子を母材する非単結晶材料からなる表面層を第3の層として積層することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記第3ステップの第2の層の積層と第4ステップの第2の層の積層では、前記基体の加熱設定温度が異なることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記第2ステップにおいて、更に前記第1の層の表面を加工する工程を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真用感光体の製造方法。
  14. 前記第1の層の表面に施す加工が、前記第1ステップにおいて積層された第1の層表面の突起の少なくとも頭頂部を除去する工程であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  15. 前記第1の層の表面に施す加工が、研磨加工であることを特徴とする請求項13または14に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  16. 前記研磨加工は、前記第1ステップにおいて積層された前記第1の層表面の突起を研磨し、表面を平坦化するものであることを特徴とする請求項15に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  17. 前記研磨加工は、前記第1ステップにおいて積層された前記第1の層表面に研磨テープを弾性ゴムローラを用いて当接させ、前記円筒状基体とともに移動される前記第1の層表面の移動速度と、前記研磨テープを当接させる弾性ゴムローラの回転移動速度との間に、相対的な速度差を設けることによりなされることを特徴とする請求項15または16に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  18. 前記第2ステップで、更に前記第1の層を積層した基体の検査を行う工程を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  19. 前記第2ステップにおいて、前記第3ステップに進む前に前記第1の層の表面を水と接触させ、洗浄処理することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の電子写真用感光体の製造方法。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の方法により製造された電子写真感光体。
  21. 請求項20に記載の電子写真感光体を用いた電子写真装置。
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