JP2005165118A - 電子写真感光体の研磨方法、電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体の研磨方法、電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】研磨加工による研磨傷を発生させずに電子写真感光体の表面を研磨処理し、画像欠陥を大幅に改善する。
【解決手段】導電性基体上に少なくとも非単結晶材料で構成された筒状の電子写真感光体を保持し回転させ、弾性ローラに巻回させた研磨テープと前記感光体の表面を加圧当接させながら前記研磨テープを送ることによって、前記感光体の研磨を行う研磨方法において、前記研磨加工時に発生する研磨残渣を除去する手段を有することを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、画像欠陥が少なく、良好な画像形成を長期間維持することができる電子写真感光体を安価に製造する為の電子写真感光体の研磨方法、及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置に関する。
固体撮像装置、あるいは像形成分野における電子写真用の電子写真感光体や原稿読み取り装置における光導電層を形成する材料として、高感度でSN比[光電流(IP)/暗電流(Id)]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性にマッチングした吸収スペクトル特性を有すること、光応答性が速く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に無公害であること、さらには固体撮像装置においては、残像を所定時間内に容易に処理することができる等の特性が要求される。
特に事務機としてオフィスで使用される電子写真感光体の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点である。
この様な観点に立脚して注目されている材料に、水素やハロゲン原子等の一価の元素でダングリングボンドが修飾されたアモルファスシリコン(以後、「a-Si」と表記する)があり、例えば特許文献1には電子写真用電子写真感光体への応用が記載されている。
従来、導電性基体上にa-Siからなる電子写真感光体を形成するに形成方法として、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等、多数知られている。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波、マイクロ波などのグロー放電によって分解し、導電性基体上に堆積膜を形成する方法は電子写真感光体の形成方法等、現在実用化が非常に進んでいる。 このような堆積膜の層構成として、従来から行われてきたa-Siを母体とし、適宜修飾元素を添加した電子写真感光体に加えて、更に表面側に阻止能を持った、いわゆる表面層や上部阻止層を積層する構成も提案されている(例えば特許文献2)。特許文献2では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らし、伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設けた感光体が開示されている。
また、a-Si膜は基体表面に数μmオーダーのダストが付着していた場合、成膜中にそのダストを核として異常成長、いわゆる「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。この球状突起が原因となり画像上に欠陥を作ってしまう。この画像欠陥を防ぐ為に、成膜後の感光体表面に存在する球状突起の頭頂部を研磨加工により平坦化する技術も提案されている(例えば特許文献3)。特許文献3では、電子写真感光体を保持し回転させ、弾性ローラに巻回させた研磨テープと前記感光体の表面を加圧当接させながら前記研磨テープを送ることによって、前記感光体の表面突起物の平坦化研磨を行う後処理方法が開示されている。
特開昭54−86341号公報 特開平08‐15882号広報 特開2001‐318480号広報
このような従来の電子写真感光体製造方法により、ある程度実用的な特性と均一性を持つ電子写真感光体を得ることが可能になった。
しかし、これら従来の電子写真感光体の製造方法では、例えば電子写真感光体のように大面積で比較的厚い堆積膜が要求される製品については、均一膜質で光学的及び電気的諸特性の要求を満足し、かつ電子写真プロセスにより画像形成時に画像欠陥の少ない堆積膜を高収率で得るのは難しいという解決すべき問題が残存している。
特に、a-Si膜は基体表面に数μmオーダーのダストが付着していた場合、成膜中にそのダストを核として異常成長、いわゆる「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。球状突起はダストを起点とした円錐形を逆転させた形をしており、正常堆積部分と球状突起部分の界面では局在準位が非常に多いために低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って基体側に抜けてしまうという性質を持っている。このため、球状突起のある部分は、画像上ではベタ黒画像で白い点となって現れる(反転現像の場合はベタ白画像に黒い点となって現れる)。
このいわゆる「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがあり、カラー複写機に搭載される場合には更に規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良となる場合がある。この球状突起は、ダストを起点としているため、使用する基体は成膜前に精密に洗浄され、成膜装置に設置する行程は全てクリーンルームあるいは真空下で作業が行われる。このようにして、成膜開始前に基体上に付着するダストは極力少なくするよう努力されてきており、効果を上げてきた。
しかし、球状突起の発生原因は基体上に付着したダストのみではない。すなわち、a-Si感光体を製造する場合、要求される膜厚が数μmから数10μmと非常に厚いため、成膜時間は数時間から数十時間に及ぶ。この間に、a-Si膜は基体のみではなく、成膜炉壁や成膜炉内の構造物にも堆積する。これらの炉壁、構造物は基体のように管理された表面を有していないため、場合によっては密着力が弱く、長時間に渡る成膜中に膜剥がれをおこす場合があった。成膜中に僅かでも剥がれが発生すると、それがダストとなり、堆積中の感光体表面に付着し、これが起点となって球状突起の異常成長が発生してしまう。
従って、高い歩留まりを維持していくために、異常成長した球状突起の平坦化を図る研磨加工を行い、帯電電荷に対して阻止能を持つ上部阻止層を平坦化された球状突起を覆うように積層し、正常部と球状突起部の界面を帯電電荷がすり抜けてしまう現象を防ぐということが行われ、効果を上げてきた。
しかし、研磨加工を行う為には、研磨加工による研磨傷の発生を抑える目的で、1000程度のダイナミック硬度を持った炭化珪素層を被研磨層として積層しなければならない。また、1000程度のダイナミック硬度を持った炭化珪素層を光導電層の上に積層しただけでは帯電性能の悪化を招く場合がある。それ故、研磨加工による研磨傷の発生を抑え、且つ帯電性能の悪化を防ぐ為には、帯電電荷に対する阻止能を持つ層と1000程度のダイナミック硬度を持った炭化珪素層を被研磨層として積層しなければならず、全体のコストを上昇させてしまう。
全体のコストを上昇させないためには、帯電電荷に対する阻止能を持ち、且つ研磨加工による研磨傷が発生しない炭化珪素層及び、研磨方法が要望されている。
前記炭化珪素層は、含まれる珪素と炭素の割合を調整することで、層自体の抵抗値を上昇させたり、13族元素、15族元素といったドーパントを選択して含有させて、整流性を持たせることができるようになり、帯電電荷に対して阻止能を持つ上部阻止層とすることができる。ところが、上部阻止層として機能する珪素と炭素の比率の範囲においては、比較的ダイナミック硬度が低く、研磨加工による研磨傷が感光体上に発生してしまう場合がある。
従って、コストの上昇を抑え、且つ画像欠陥の発生を抑えるという目的で、ダイナミック硬度が比較的低い炭化珪素層に対する、研磨加工による傷がつかない有効な研磨方法が要望されている。
本発明の目的は、上述のごとき従来の電子写真感光体における諸問題を、電気的特性を犠牲にすることなく克服して、安価に安定して歩留まり良く製造し得る、画像欠陥が少なく使いやすい電子写真感光体の製造方法及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置を提供することにある。
研磨残渣の除去を促して、被処理体である感光体を傷つけてしまわないようにとの目的で、一般に研磨初期では、研磨テープと被処理体である感光体との間に研磨残渣を残さぬように、研磨テープの表面移動速度を変更して当該テープを早く送ることが実施される。ところが、比較的軟らかい炭化珪素層が被研磨層である場合、上記研磨方法を用いても、感光体表面に研磨傷がついてしまうことが確認された。これは、研磨初期の段階で発生する研磨残渣の中に、大きさが数μm〜数十μmと研磨中間期や終了直前に比べ非常に大きい塊片が発生、混在している為であると考えられる。前記塊片は、研磨テープの感光体に対する押し当て圧を可能な限り低く設定しても発生してしまい、感光体上に残ってしまう。この感光体上に残った前記塊片が感光体の回転と共に移動し、再び感光体と研磨テープが当接されている箇所に戻ってくる時、感光体と研磨テープの間で前記塊片のある箇所だけに局所的に大きな圧力がかかってしまう為に、比較的軟らかい前記炭化珪素層が傷つけられてしまうのではないかと考えられる。
この為、被研磨層が比較的軟らかい炭化珪素層である場合に、球状突起の頭頂部を研磨し平坦化させ、且つ感光体正常面に傷を付けさせないためには、研磨初期の段階で発生し、研磨残渣の中に混在する大きさが数μm〜数十μmと非常に大きい塊片を除去することが重要である。そして、前記塊片を除去するタイミングとして、発生した前記塊片が感光体の回転と共に移動し、再び前記感光体と前記研磨テープが当接されている箇所に戻ってくる前に取り除く事が重要であることを本発明者らは見出した。
具体的には、研磨テープと感光体表面が当接され、研磨加工が行われている箇所で、研磨残渣に混在する塊片を除去すること、もしくは表面研磨装置に研磨残渣除去手段を取り付けて、遅くとも被処理体である前記感光体が1周する前に、前記塊片を除去することが重要であることを本発明者らは見出した。また、遅くとも被処理体である前記感光体が1周する前に、一旦研磨加工工程を中断し、研磨残渣に混在する塊片の除去を行ってもよい。
このような見識を踏まえて、前述の目的を達成するための本発明における電子写真感光体の研磨方法は、導電性基体上に少なくとも非単結晶材料で構成された筒状の電子写真感光体を保持し回転させ、弾性ローラに巻回させた研磨テープと前記感光体の表面を加圧当接させながら前記研磨テープを送ることによって、前記感光体の表面突起物の平坦化研磨を行う研磨方法において、前記研磨加工初期に発生する研磨残渣に混在する塊片を、研磨テープと感光体表面が当接され、研磨加工が行われている箇所で除去する、もしくは遅くとも前記感光体が1周の研磨処理を終えるまでに除去する手段を有することを特徴とする。
研磨残渣を除去する手段としては、感光体の表面移動速度aと前記研磨テープの表面移動速度bとを逆向きの速度とし、それぞれを10mm/sec≦a≦100mm/sec且つ5mm/sec≦b≦100mm/sec、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.01mm≦d≦1 mm、前記ニップ中央における前記感光体表面の接線と前記ニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを30°≦θ≦70°に設定し、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープが送られていくのと合わせて除去する方法や、清浄な布や紙で前記塊片を拭き取ることにより除去する手段や、純水もしくは揮発性溶液を感光体表面に流すことにより除去する手段や、イオン化エアーを感光体表面に吹き付けることにより除去する手段が挙げられる。またこの時、前記研磨テープを純水もしくは揮発性液体に浸漬させてもよい。
これらの手法により、研磨初期に発生し、研磨残渣に混在する塊片を感光体が1周の研磨処理を行うまでに除去することができ、比較的やわらかい炭化珪素層が被研磨層であっても研磨傷をつけることなく球状突起の平坦化研磨を行うことができる。また、帯電電荷に対して阻止能を持つ上部阻止層を平坦化された球状突起を覆うように積層することができる為、正常部と球状突起部の界面を帯電電荷がすり抜けてしまう現象を防ぐことができるばかりでなく、クリーニングブレード等の損傷防止や、トナー融着の発生を良好に低減させ、良好な画像品質を達成することが可能となる。
また、上記の発明では比較的やわらかい炭化珪素層を直接研磨加工できることから、従来のように帯電電荷に対する阻止能を持つ層と1000程度のダイナミック硬度を持った炭化珪素層を成膜して研磨加工を行う必要がなく、コストの上昇を抑えることができる。
本発明は、以上の検討により完成されたものである。
以上詳述したように、本発明の電子写真感光体の研磨方法によれば、研磨残渣に混在する塊片を除去する工程を有することにより、上部阻止層としての機能を有することのできる炭化珪素層を直接研磨しても電子写真感光体に研磨傷をつけることなく球状突起の頭頂部を平坦化研磨できることが達成された。また、併せて成膜工程の簡素化も達成され、全体のコストダウンが達成された。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
《本発明に係わる表面研磨装置》
図6に、本発明の電子写真感光体の製造工程において、表面加工に際して利用される表面加工装置の一例、具体的には、表面加工として、研磨を行う際に利用される表面研磨装置の一例を示す。図6に示す表面研磨装置の構成例において、加工対象物「円筒状の基体上の堆積膜表面」(600)は、その表面に第1の層が堆積された円筒状の基体であり、弾性支持機構(620)に取り付けられる。
図6に示す装置において、弾性支持機構(620)は、例えば、空気圧ホルダーが利用され、具体的には、ブリジストン社製空気圧式ホルダー(商品名:エアーピック、型番:PO45TCA*820)が用いられている。加圧弾性ローラ(630)は、研磨テープ(631)を巻回して、加工対象物(600)の円筒状基体上の炭化珪素層表面に押圧させる。研磨テープ(631)は、送り出しロール(632)から供給され、巻き取りロール(633)に回収される。その送り出し速度は、定量送り出しロール(634)とキャプスタンローラ(635)により調整され、また、その張力も調整されている。 研磨テープ(631)には、通常ラッピングテープと呼ばれるものが好適に利用される。円筒状基体上の炭化珪素層の表面を加工する際、ラッピングテープには、砥粒としてはSiC、Al2O3、Fe2O3などが用いられる。具体的には、富士フィルム社製ラッピングテープLT-C2000を用いた。加圧弾性ローラ(630)は、そのローラ部は、ネオプレンゴム、シリコンゴムなどの材質からなり、JISゴム硬度(JIS K 6253-1997年)20〜80の範囲、より好ましくはJISゴム硬度(JIS K 6253-1997年)30〜40の範囲とされている。また、ローラ部形状は、長手方向において、中央部の直径が両端部の直径より若干太いものが好ましく、例えば、両者の直径差が0.0〜0.6mmの範囲、より好ましくは、0.2〜0.4mmの範囲となる形状が好適である。加圧弾性ローラ(630)は、回転する加工対象物「円筒状基体上の堆積膜表面」(600)に対して、加圧圧力0.05MPa〜0.2MPaの範囲で加圧しながら、研磨テープ(631)、例えば、上記のラッピングテープを送り堆積膜表面の研磨を行う。
また、感光体の回転方向(943)と前記研磨テープの送り方向(944)とは図8に示されるように逆向きの方向に移動させている。
そして、本発明においては、それぞれ感光体の表面移動速度をa、研磨テープの表面移動速度をbとした時に、10mm/sec≦a≦100mm/sec且つ5mm/sec≦b≦100mm/sec、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.01mm≦d≦1 mm、前記ニップ中央における前記感光体表面の接線と前記ニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを30°≦θ≦70°に設定し、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープが送られていくのと合わせて除去する方法や、遅くとも被処理体である前記感光体が1周の研磨処理を終える前に、前記表面研磨装置に研磨残渣除去手段(610)を取り付けて前記塊片の除去が行われる。また、遅くとも被処理体である前記感光体が1周の研磨処理を終える前に、一旦研磨加工工程を中断し、前記塊片の除去を行うこともでき、また、前記研磨テープを純水もしくは揮発性液体に浸漬させて行うこともできる。これらは、研磨初期に発生し研磨残渣の中に混在する、大きさが数μm〜数十μmと研磨中間期や終了直前に比べ非常に大きく、研磨傷の原因となる球状突起(411)頭頂部の塊片を取り除く目的で行われる。また、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープが送られていくのと合わせて除去する手法は、前記塊片を可及的速やかに取り除く目的で、研磨テープと前記感光体が当接されている箇所で行われ、そして、研磨残渣除去手段(610)は、前記感光体の回転方向に対して、感光体と研磨テープが当接している箇所の下流側に備えられる。
また、研磨加工工程と別に行われる場合には、被処理体である感光体が研磨加工を1周終えるまでに研磨加工を一時中断し、前記弾性支持機構(620)から、前記感光体を取り外し、研磨残渣に混在する塊片の除去を行う。そして、再び研磨加工を行う。この作業を、前記感光体を光学顕微鏡で観察して、前記感光体上に前記塊片がなくなるまで繰り返すことによって、研磨傷の発生を抑制することができる。
研磨残渣除去の具体的な例としては、感光体の表面移動速度aと前記研磨テープの表面移動速度bとを逆向きの速度とし、それぞれを10mm/sec≦a≦100mm/sec且つ5mm/sec≦b≦100mm/sec、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.01mm≦d≦1 mm、前記ニップ中央における前記感光体表面の接線と前記ニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを30°≦θ≦70°に設定し、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープが送られていくのと合わせて除去する方法や、清浄な布や紙に純水や揮発性溶液を浸透させたものを被処理体である感光体の長手方向全域に当接させるように表面研磨装置取り付けて、前記塊片及び研磨残渣を拭き取ることにより除去する手段や、純水や揮発性溶液を感光体表面と研磨テープが当接している箇所の下流側で、前記感光体表面の接線方向から流し、前記塊片及び研磨残渣を洗い流すように除去する手段や、イオン化エアーを感光体表面と研磨テープが当接している箇所の下流側で、前記感光体表面の接線方向から吹き付けることにより、前記塊片及び研磨残渣を吹き飛ばすことにより除去する手段が挙げられる。また、前記研磨テープを純水もしくは揮発性液体に浸漬させる為の手段(611)を前記表面研磨装置に取り付けて、研磨テープを液体に浸漬させて行うこともできる。
《本発明に係わるa-Si感光体》
図4に本発明に係わる電子写真感光体の一例を示す。
本発明の電子写真感光体は、例えばAl、ステンレス等の導電性材料からなる基体(401)を、第1ステップとして、排気手段と原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な成膜炉内に設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、前記基体(401)上に少なくとも非単結晶材料からなる光導電層(406)と、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなり、中間層(407)と近い組成の炭化珪素層(413)を第1の層(402)として積層する工程と、第2ステップとして、前記第1の層(402)を積層した円筒状基体を一旦成膜炉から取り出す工程と、第3ステップとして、前記第1の層(402)を積層した円筒状基体上の炭化珪素層(413)の表面を加工する本発明の研磨工程と、第4ステップとして、前記第1の層(402)を積層した円筒状基体を再び成膜炉内に設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、前記第1の層(402)上に非単結晶材料から成る第2の層(403)を堆積したものである。
このように成膜することによって、第1の層(402)中から発生している球状突起(411)を覆うように第2の層(403)を積層することができ、たとえ球状突起(411)が存在しても画像には現れず良好な画質を保つことが可能となった。
更に、第1のステップにおいて第1の層(402)の最表面に前記炭化珪素層(413)を積層することによって、第4ステップにおいて積層する第2の層と、第1の層との膜の密着性が向上し、膜ハガレに対するラチチュードを広くすることができる。又、前記炭化珪素層(413)は13族元素や15族元素といったドーパントを選択して含有させて、整流性を持たせることにより帯電電荷に対する阻止能を持たせることもでき、帯電性能を維持することも可能となる。
本発明においては第1の層(402)には光導電層(406)が含まれ、前記光導電層(406)の材料として、a-Siが用いられる。尚、第1の層(402)には必要に応じて更に下部阻止層(405)を設けてもよい。
また、本発明においては第2の層(403)には上部阻止層(408)が含まれてもよく、前記上部阻止層(408)の材料としてa-Siを母体とし、必要に応じて炭素、窒素、硼素、酸素を含有した層が用いられる。
前記上部阻止層(408)には、13族元素、15族元素といったドーパントを選択して含有させて、整流性を持たせることが帯電性能の向上の点で望ましく、また、正帯電、負帯電といった帯電極性の制御も可能である。
更に、前記第2の層(403)には少なくとも非単結晶材料からなるダイナミック硬度が1000以上の表面層(404)を積層することもでき、これにより電子写真感光体の耐摩耗性や耐傷性を向上させることができる。
尚、前記第2の層(403)には、必要に応じて上部阻止層(408)の下に、a-Si系の中間層(407)を設けてもよい。前記中間層(407)は、第1の層(402)と 第2の層(403)との密着性向上の目的で、前記炭化珪素層(413)と同組成の層が用いられる。
《本発明に係わる基体の形状及び材質》
図4に示す基体(401)の形状は電子写真感光体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。
例えば、平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子写真感光体を形成し得るように適宜決定するが、電子写真感光体としての可撓性が要求される場合には、基体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、基体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常の場合、円筒状は0.5mm以上、板状無端ベルト状は10μm以上とされる。
基体材質としては上記Alやステンレスの如き導電性材料が一般的であるが、例えば各種のプラスチックやガラス、セラミックス等、特には導電性を有しないものに下記導電性材料を少なくとも光受容層を形成する側の表面に蒸着するなどして導電性を付与したものも用いることができる。
導電性材料としては上記の他、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金が挙げられる。
プラスチックとしてはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等のフィルムまたはシートが挙げられる。
《本発明に係わる第1の層》
図4に示す第1の層(402)としては、本発明ではシリコン原子を母体とし、更に水素原子及び/又はハロゲン原子を含む非晶質材料(「a-Si(H,X)」と略記する)で構成される。
光導電層(406)は、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって作成可能であるが、プラズマCVD法を用いて作成した膜は特に高品質の膜が得られるため好ましい。原料としてはSiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)を原料ガスとして用い、高周波電力によって分解することによって作成可能である。更に層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。
このとき、基体の温度は、200℃〜450℃、より好ましくは250℃〜350℃程度の温度に保つことが特性上好ましい。これは基体表面での表面反応を促進させ、充分に構造緩和をさせるためである。
又、これらのガスに更にH2あるいはハロゲン原子を含むガスを所望量混合して層形成することも特性向上の上で好ましい。ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF5、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
又、これらの珪素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
前記光導電層(406)の層厚としては特に限定はないが、製造コストなどを考慮すると 15〜50μm程度が適当である。
また、炭化珪素層(413)は前記光導電層(406)と同様にプラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって作成可能であるが、プラズマCVD法を用いて作成した膜は特に高品質の膜が得られるため好ましい。原料としてSi供給源はSiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)を原料ガスとして用いられ、層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。また、C供給源としては、CH4、C24を原料ガスとして用い、高周波電力によって分解することによって作成可能である。そして、炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が30%以上50%以下であることを特徴としている。また、ダイナミック硬度は、シリコンウェハー上に導電性基体上に作成する条件と同条件でサンプルを作成し、島津製作所社製のダイナミック硬度計(型番DUH-201)を用いて測定した。組成分析はコーニング製7059ガラス基板上に導電性基体上に作成する条件と同条件でサンプルを作成し、アルバックファイ社製のX線光電子分析装置(型式Quantum2000)を用いて行った。
また、前記炭化珪素層(413)は13族元素、15族元素といったドーパントを選択して含有させて帯電電荷に対して阻止能を有する上部阻止層(413)とすることもできる。前記上部阻止層(413)は、電子写真感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面側より第1の層(402)側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、前記上部阻止層(413)には伝導性を制御する不純物原子を適切に含有させることが必要である。そのような目的で用いられる不純物原子としては、本発明においては第13族原子、あるいは第15族原子を用いることができる。このような第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に硼素(B)が好適である。第15族原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As),アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にリン(P)が好適である。
前記上部阻止層(413)に含有される伝導性を制御する不純物原子の必要な含有量は、前記上部阻止層(413)の組成や製造方法により一概にはいえないが、一般的にはネットワーク構成原子に対して100原子ppm以上、30000原子ppm以下とされることが好ましい。
前記上部阻止層(413)に含有される伝導性を制御する原子は、前記上部阻止層(413)中に万偏なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
更に、特性を向上させる為に前記第1の層(402)を複数の層構成にしても良い。例えばよりバンドギャップの狭い層を表面側に、よりバンドギャップの広い層を基板側に配置することで光感度や帯電特性を同時に向上させることができる。
特に、半導体レーザーの様に、比較的長波長であって且つ波長ばらつきのほとんどない光源に対しては、こうした層構成の工夫によって画期的な効果が現れる。
例えば、必要に応じて設けられる下部阻止層(405)は、一般的にa-Si(H、X)をベースとし、13族元素、15族元素などのドーパントを含有させることにより伝導型を制御し、基体からのキャリアの注入阻止能を持たせることが可能である。この場合、必要に応じて、C、N、Oから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含有させることで応力を調整し、光導電層(406)の密着性向上の機能を持たせることもできる。
前記下部阻止層(405)のドーパントとして用いられる13族元素、15族元素としては前記記載のものが用いられる。 また、第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用として、B26、B410、B59、B511、B610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH3)3、InCl3、TlCl3等も挙げることができる。中でもB26は取り扱いの面からも好ましい原料物質の1つである。
前記第15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用として、PH3,P24等の水素化燐、PF3,PF5,PCl3,PCl5,PBr3,PI3等のハロゲン化燐、さらにPH4I等が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3等が第15族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げられる。
前記ドーパントの原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppmとされるのが望ましい。
又、前記第1の層(402)を積層する際のプラズマCVD法に用いる放電周波数としては如何なる周波数も用いることが出来、工業的にはRF周波数帯と呼ばれる1MHz以上、50MHz未満の高周波でも、VHF帯と呼ばれる50MHz以上、450MHz以下の高周波でも好適に用いることが出来る。
又、このとき表面に存在する球状突起(411)の頭頂部を研磨手段により研磨し、平坦にすることが画像欠陥の低減の為に必要不可欠である。このような加工は前述した表面研磨装置によって行うことができる。また、被研磨層である、第一ステップで堆積される炭化珪素層(413)が比較的やわらかい炭化珪素層である場合、研磨加工初期に発生し、研磨残渣に混在する球状突起(411)頭頂部の塊片により感光体が傷ついてしまうことがある。これを防ぐ為には、前記塊片を除去することが必要である。前記塊片を除去する手段としては、感光体の表面移動速度aと研磨テープの表面移動速度bとを逆向きの速度とし、10mm/sec≦a≦100mm/sec且つ5mm/sec≦b≦100mm/sec、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.01mm≦d≦1 mm、前記ニップ中央における前記感光体表面の接線と前記ニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを30°≦θ≦70°に設定し、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープが送られていくのと合わせて除去する方法や、清浄な布や紙で前記塊片を拭き取る方法や、純水や揮発性溶液により洗い流すことにより除去する方法、イオン化エアーにより除去する方法などが挙げられる。この時、前記研磨テープを純水もしくは揮発性液体に浸漬させてもよい。
また、前記塊片を除去する工程は、研磨テープと前記感光体が当接されている箇所で行われるか、遅くとも被処理体である前記感光体が1周の研磨処理を終える前に行われ、具体的には表面研磨装置に浸漬手段や研磨残渣除去手段を取り付けて行われる。尚、遅くとも被処理体である前記感光体が1周の研磨処理を終える前に、一旦研磨加工工程を中断し前記塊片の除去を行うこともできる。
この研磨加工により、研磨初期に発生、混在する塊片を感光体が1周の研磨処理を行うまでに除去することができ、比較的やわらかい炭化珪素層が被研磨層であっても研磨傷をつけることなく球状突起(411)の平坦化研磨を行うことができる。また、球状突起(411)を平坦化することによって、正常堆積部分と球状突起部分の界面において、帯電電荷が界面を通って基体側に抜けてしまうという現象をより効果的に防止できると共に、球状突起(411)によるクリーニングブレードの欠けやクリーニング不良を防止でき、又、球状突起(411)を起点とする融着の発生も防止することができる。
又、成膜炉から感光体を取り出した際に、必要に応じて感光体の外観検査や特性評価をおこなうことも有意義である。この時点で検査を行うことで、品質不良の電子写真感光体については後の工程を省略することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。
更に、成膜炉に再度設置する前に、電子写真感光体を洗浄することは、後述する第2の層(403)の密着性向上やダスト付着低減のために望ましい。具体的な洗浄方法としては、清浄な布や紙で表面を拭き取る方法や、望ましくは有機洗浄や水洗浄などにより精密洗浄した方が望ましい。特に、近年の環境に対する配慮からは後述する水洗浄装置による水洗浄がより好ましい。
《本発明に係わる第2の層》
図4に示す本発明に関わる第2の層(403)は、第1の層(402)が形成された後に一旦放電を止めて、研磨加工を施された後に積層される。
また、本発明の第2の層(403)には上部阻止層(408)を含むことができる。前記上部阻止層(408)は、電子写真感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面側より第1の層(402)側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、前記上部阻止層(408)には伝導性を制御する不純物原子を適切に含有させることが必要である。
そのような目的で用いられる不純物原子としては、本発明においては第13族原子、あるいは第15族原子を用いることができる。このような第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に硼素が好適である。第15族原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As),アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にリン(P)が好適である。
前記上部阻止層(408)に含有される伝導性を制御する不純物原子の必要な含有量は、前記上部阻止層(408)の組成や製造方法により一概にはいえないが、一般的にはネットワーク構成原子に対して100原子ppm以上、30000原子ppm以下とされることが好ましい。
前記上部阻止層(408)に含有される伝導性を制御する原子は、前記上部阻止層(408)中に万偏なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
前記上部阻止層(408)は、a−Si系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、前記第1の層で積層される被研磨層(413)と同様の材料で構成することが好ましい。すなわち、「a-SiC:H,X」、「a-SiO:H,X」、「a-SiN:H,X」、「a-SiCON:H,X」等の材料が好適に用いられる。前記上部阻止層(408)に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
本発明における前記上部阻止層(408)の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種類の場合はその量として、2種類以上の場合はその総和量として、シリコン原子との総和に対して10%から70%の範囲とするのが好ましい。
又、本発明においては前記上部阻止層(408)に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必要不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。又、ハロゲン原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とされるのが望ましい。
そして、前記上部阻止層(408)の膜厚は効果的に球状突起(411)による画像欠陥を防止できる膜厚に調整される。前記球状突起(411)を表面側から見た場合の大きさには様々なものがあるが、直径の大きいものほど電荷の注入度合いが大きく、画像に出やすいという性質がある。従って、前記上部阻止層(408)の膜厚も、大きな球状突起ほど厚くすることが効果的である。具体的には感光体上に存在する球状突起(411)の最大のものの直径に対して10-4倍以上の厚さとすることが望ましい。この範囲の厚さとすることで、球状突起(411)からの電荷のすり抜けを効果的に防止することができる。又、膜厚の上限は1μm以下とすることが感度低下を最小限に抑えるという観点から望ましい。
本発明の目的を達成し得る特性を有する前記上部阻止層(408)を形成するには、Si供給用のガスとCおよび/またはNおよび/またはO供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとするのが好ましい。
更に、基体(401)の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
本発明においては、前記上部阻止層(408)を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体(401)の加熱温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写真感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
又、本発明の第2の層(403)には、必要に応じて前記上部阻止層(408)の下に、a-Si系の中間層(407)を設けてもよい。
前記中間層(407)は、a−Si系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、前記第1の層で積層される被研磨層(413)と同様の材料で構成することが好ましい。すなわち、「a-SiC:H,X」、「a-SiO:H,X」、「a-SiN:H,X」、「a-SiCON:H,X」等の材料が好適に用いられる。
前記中間層(408)を形成するには、基体(401)の加熱温度(Ts)、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。基体(401)の加熱温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとするのが好ましい。
また、本発明の第2の層には少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を表面層(409)として、前記上部阻止層(408)の上に設けることができる。前記表面層(409)はダイナミック硬度が1000以上であることを特徴とし、これにより電子写真感光体の耐摩耗性や耐傷性を向上させることができる。
《本発明に係わるa-Si感光体成膜装置》
図5は、高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による電子写真感光体の成膜装置の一例を模式的に示した図である。
この装置は大別すると、成膜装置 (5100)、原料ガスの供給装置(5200)、成膜炉(5110) 内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。成膜装置(5100)中の成膜炉(5110)内にはアースに接続された基体(5112)、基体の加熱用ヒーター(5113)、原料ガス導入管(5114)が設置され、更に高周波マッチングボックス(5115)を介して高周波電源(5120)が接続されている。
原料ガス供給装置 5200 は、SiH4、H2、CH4、NO、B26、CF4等の原料ガスボンベ(5221〜5226)とバルブ(5231〜5236)、(5241〜5246)、(5251〜5256)及びマスフローコントローラ(5211〜5216 )から構成され、各構成ガスのボンベはバルブ(5260)を介して成膜炉(5110)内のガス導入管(5114) に接続されている。
基体(5112)は導電性受け台(5123)の上に設置されることによってアースに接続される。
以下、図5の装置を用いた感光体の形成方法の手順の一例について説明する。
成膜炉(5110)内に基体(5112)を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により成膜炉(5110)内を排気する。続いて基体加熱用ヒーター(5113)により基体(5112)の温度を200 ℃〜450℃より好ましくは250℃〜350℃の所望の温度に制御する。
次いで、感光体形成用の原料ガスを成膜炉(5110)内に流入させるにはガスボンベのバルブ(5231〜5236)、成膜炉のリークバルブ(5117)が閉じられている事を確認し又、流入バルブ(5241〜5246)、流出バルブ(5251〜5256)、補助バルブ(5260)が開かれている事を確認し、メインバルブ(5118)を開いて成膜炉(5110)及びガス供給配管(5116)を排気する。
その後、真空計(5119)の読みが 0.67mPaになった時点で補助バルブ(5260)、流出バルブ(5251〜5256) を閉じる。 その後ガスボンベ(5221〜5226)より各ガスをバルブ(5231〜5236)を開いて導入し圧力調整器(5261〜5266)により各ガス圧を0.2MPaに調整する。
次に流入バルブ(5241〜5246)を徐々に開けて各ガスをマスフローコントローラ(5211〜5216)内に導入する。
以上の手順によって成膜準備を完了した後、基体(5112)上に、まず第1の層として、例えば光導電層の積層を行う。
すなわち、基体(5112)が所望の温度になったところで、各流出バルブ(5251〜5256)のうちの必要なものと補助バルブ(5260)とを徐々に開き、各ガスボンベ(5221〜5226)から所望の原料ガスをガス導入管(5114)を介して成膜炉(5110)内に導入する。
次に、各マスフローコントローラ(5211〜5216)によって、各原料ガスが所望の流量になる様に調整する。その際、成膜炉(5110)内が13.3Pa〜1330Paの所望の圧力になる様に、真空計(5119)を見ながらメインバルブ(5118)の開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源(5120)を所望の電力に設定して例えば、周波数1MHz〜50MHz、例えば 13.56MHzの高周波電力を高周波マッチングボックス(5115)を通じてカソード電極(5111)に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって成膜炉(5110)内に導入させた各原料ガスが分解され、基体(5112)上に所望のシリコン原子を主成分とする光導電層が積層される。
所望の膜厚の形成がおこなわれた後、高周波電力の供給を止め、各流出バルブ(5251〜5256)を閉じて成膜炉(5110)への各原料ガスの流入を止め、光導電層の積層を終える。
光導電層の組成や膜厚は公知のものを使用することができる。続いて炭化珪素層を積層する場合や前記光導電層と基体(5112)の間に下部阻止層を積層する場合も基本的には上記の操作をあらかじめおこなえばよい。前述の手順で第1の層まで積層した基体は研磨を行うことがポイントである。
第2の層の積層を行う前に水洗浄あるいは有機洗浄をおこなうことが好ましいが、近年の環境への配慮から水洗浄がより好ましい。水洗浄の方法は後述する。このように第2の層の積層前に水洗浄を行うことは、密着性向上やダスト付着低減に有効である。
次に、研磨を行った基体は再び成膜炉に戻され、第2の層の積層をおこなう。
第2の層に上部阻止層や、必要により中間層、表面層を積層する時も基本的に第1の層の積層に準じる。
《本発明に係わる水洗浄装置》
本発明に用いられる水洗浄装置の一例を図7に示す。
図7に示す処理装置は、処理部(702)と被処理部材搬送機構(703)よりなっている。処理部(702)は、被処理部材投入台(711)、被処理部材洗浄槽(721)、純水接触槽(731)、乾燥槽(741)、被処理部材搬出台(751)よりなっている。洗浄槽(721)、純水接触槽(731)とも液の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付いている。搬送機構(703)は、搬送レール(765)と搬送アーム(761)よりなり、搬送アーム(761)は、レール(765)上を移動する移動機構(762)、基体(701)を保持するチャッキング機構(763)及びチャッキング機構(763)を上下させるためのエアーシリンダー(764)よりなっている。投入台(711)上に置かれた基体(701)は、搬送機構(703)により洗浄槽(721)に搬送される。洗浄槽(721)中の界面活性剤水溶液によりなる洗浄液(722)中で超音波処理されることにより表面に付着している油及び粉体の洗浄が行なわれる。次に基体(701)は、搬送機構(703)により純水接触槽(731)へ運ばれ、25℃の温度に保たれた抵抗率 175kΩ・m(17.5MΩ・cm)の純水をノズル(732)から 4.9MPaの圧力で吹き付けられる。純水接触工程の終わった基体(701)は搬送機構(703)により乾燥槽(741)へ移動され、ノズル(742)から高温の高圧空気を吹き付けられ乾燥される。乾燥工程の終了した基体(701)は、搬送機構(703)により搬出台(751)に運ばれる。
《本発明に係わる電子写真装置》
図8はコロナ帯電方式を用いた電子写真装置の一例の概略構成図である。
(801)は電子写真感光体、(802)は主帯電器、(803)は画像情報露光装置、(804)は現像器、(805)は転写帯電器、(806)はクリーニング装置、(807)は主除電光であり、これらが電子写真感光体(801)の回転方向(X)に所定の間隔を持って順に設けられている。
図8のコロナ帯電方式を用いた電子写真装置において、(X)方向に所定の速度で回転する電子写真感光体(801)はその表面が主帯電器(802)によって一様に帯電され、静電潜像を形成するために静電潜像形成手段(803)により画像情報露光が照射され、現像器(804)によって顕像化される。
転写材は、この後電子写真感光体(801)と接し、前記顕像を転写材に転移させるための転写帯電器(805)及び定着器(808)とを経て複写機外に送り出される。この後、電子写真感光体(801)はクリーニング装置(806)によって、その表面がクリーニングされた後、主除電光(807)によって一様に露光され除電される、という工程を繰り返す。
電子写真感光体(801)には多くの局在準位が存在するため、光キャリアの一部が局在準位に捕獲されてその走行性が低下したり、或いは光キャリアの再結合確率が低下したりする。その結果、画像情報露光によって生成された光キャリアが、次の帯電工程まで感光体の内部に残留し、帯電時またはそれ以降に局在準位から開放される。その為に、露光部と非露光部で感光体の表面電位に差が生じ、これが最終的に光メモリーに起因する画像形成履歴(以下、ゴーストと称す。)となって現れやすい。
そこで、従来の電子写真感光体(801)を用いた電子写真装置においては、前記の様なゴーストを消去するために除電光が設けられてきた。除電光光源としては、やみくもに光メモリー消去能力を上げてしまうと帯電能率確保及び電位シフト低減等の点で弊害を生じてしまうため、波長及び光量を厳密にコントロールできるLEDアレイを用いることが一般的である。
しかしながら、近年、小型化・低コスト化の要請により、LEDアレイ等の除電光光源を設けることによるコスト高や、感光体の小径化による感光体周りのスペース不足が問題となり、除電光光源を設けることが困難になってきた。
又、従来の帯電方式の主流であったコロナ帯電方式は、φ50〜100μm程度の金属ワイヤーに5〜10Kv程度の高電圧を印加、雰囲気を電離し、対向物に帯電を付与する方法であり、その帯電過程においては、ワイヤー自身も汚れを吸着し、定期的な清掃、交換が必要とされた。
更に、コロナ帯電方式においては、とくに高湿環境下において、画像流れが発生することがあった。画像流れは、電子写真感光体(801)表面にコロナ帯電器より発生するオゾン生成物が吸着し、更に空気中の水分によりオゾン生成物のイオン化が引き起こされ、その結果、感光体表面が低抵抗化して電荷が横流れし、画質が劣化する現象である。
高硬度で摩耗量の少ない電子写真感光体(801)においては、オゾン生成物が蓄積されやすく、画像流れが発生しやすかった。そこで、従来、電子写真感光体(801)を用いる電子写真装置においては、感光体ヒーターを搭載し、感光体自体を加熱することで、表面から水分を除去し、画像流れを防止してきた。
以下、実験例、実施例、比較例を挙げながら本発明を詳細に説明する。
〈実験例〉
本発明の、研磨残渣の除去を研磨テープと感光体表面が当接され、研磨加工が行われている箇所において行う研磨方法について、感光体の表面移動速度と研磨テープの表面移動速度及び、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅、前記ニップ中央における前記感光体表面の接線と前記ニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θの最適な範囲を検証する為に以下の実験1〜5を行った。実験の詳細については、図9を用いて説明する。
図9は加工対象物である感光体(900)と研磨テープ(932)が当接され、前記研磨テープ(932)により研磨加工が行われている箇所を拡大した模式図である。加圧弾性ローラ(931)は自転可能となるように、加圧弾性ローラ支持部材(930)により保持されている。そして研磨テープ(932)を巻回して、加工対象物である感光体(900)に押圧させて研磨を行う。尚、加工対象物である感光体(900)と研磨テープ(932)とは対向する方向にそれぞれ移動させている。
(実験例1)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa-Si感光体成膜装置を用いて、φ80mmのAl製基体に表1に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が47.9%で、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を作製した。
次いで、前記第1の層を積層した電子写真感光体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
大気中で本発明の研磨加工を前記第1の層を積層した電子写真感光体に施した後、前記第1の層を積層した電子写真感光体を再び成膜炉に戻し、第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層と少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる表面層を積層した電子写真感光体を作製した。尚、研磨テープはキシダ化学製のイソプロピルアルコール(純度99.0%以上)に浸漬手段を用いて浸漬させている。
前記研磨加工において、感光体の回転方向(943)と前記研磨テープの送り方向(944)とは図9に示されるように逆向きの方向に移動させ、感光体(900)の表面移動速度をa、研磨テープ(932)の表面移動速度をbとし、a及びbを変化させる実験を行った。具体的には、研磨テープ(932)の表面移動速度bを50mm/secに固定し、感光体(900)の表面移動速度aを1,5,10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110mm/secと変化させ、同様に感光体(900)の表面移動速度aを50mm/secに固定し、研磨テープ(932)の表面移動速度bを変化させ、研磨傷、研磨時間について下記の手法により評価した。その結果を表2及び表3に示す。尚、前記ニップ(942)中央における前記感光体表面の接線(940)と前記ニップ(942)の感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラ(931)の接線(945)とが成す角度(941)θを50°、感光体(900)と研磨テープ(932)を当接させるニップ幅dを0.5mmとした。
《研磨傷の評価方法》
光学顕微鏡を用いて研磨加工後の電子写真感光体の表面を観察した。そして、直径30μm程度の球状突起を水準線まで研磨し、正常部における研磨傷の有無を確認した。
尚、表中の判定記号として、◎は正常部に研磨傷がないこと、○は軽微な研磨傷が発生したこと、△は実用上、問題のない程度の研磨傷が発生したこと、×は実用に耐えかねる重度の研磨傷が発生したことを示している。
《研磨時間の評価方法》
a及びbの移動速度を、それぞれ50mm/secとした時の研磨時間を基準とし、相対的に評価した。◎は50mm/secとした時と比較して減少したこと、○は50mm/secとした時と同等であること、△は50mm/secとした時と比較して増加したことを示している。
Figure 2005165118
Figure 2005165118
Figure 2005165118
表2、表3の結果から、感光体の表面移動速度aと前記研磨テープの表面移動速度bとを逆向きの速さとした時、10mm/sec≦a≦100mm/sec且つ5mm/sec≦b≦100mm/secが研磨残渣に混在する塊片を研磨テープにより除去できる最適な範囲であることが判明した。これは、aが10mm/secより小さくなると感光体の移動速度が小さくなり過ぎる為に研磨時間が増加してしまい、100mm/secより大きくなってしまうと、感光体が研磨テープを噛み込んでしまう為に研磨傷が発生してしまう。また、bが5mm/secよりも小さくなると前記塊片を研磨テープにより除去できなくなってしまう為に研磨傷が発生し、bが100mm/secよりも大きくなると、研磨テープの表面移動速度が大きすぎて研磨テープ自体が感光体を傷つけてしまう為であると思われる。
(実験例2)
実験例1に示される手順により電子写真感光体を作成した。手順中の研磨加工は、感光体(900)の表面移動速度を50mm/sec、研磨テープ(932)の表面移動速度を50mm/secとし、感光体(900)と研磨テープ(932)を当接させるニップ幅dを0.5mmとした。
そして、前記ニップ(942)中央における前記感光体表面の接線(940)と前記ニップ(942)の感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラ(931)の接線(945)とが成す角度(941)をθとし、加圧弾性ローラ(931)の径を変化させることにより角度(941)θを変化させる実験を行い、研磨傷について評価した。具体的には、θを20°〜90°まで10°刻みで変化させた。その結果を表4に示す。
Figure 2005165118
表4の結果から、前記角度(941)θは、30°≦θ≦80°が前記塊片を研磨テープにより除去できる最適な範囲であることが判明した。これは、前記角度θが30°より小さくなると、感光体が研磨テープを噛み込んでしまう為に研磨傷が発生し、前記角度θが80°より大きくなると、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープにより除去できなくなってしまい、研磨傷が発生してしまう為であると思われる。
(実験例3)
実験例1に示される手順により電子写真感光体を作成した。手順中の研磨加工は、感光体(900)の表面移動速度を50mm/sec、研磨テープ(932)の表面移動速度を50mm/sec、前記ニップ(942)中央における前記感光体表面の接線(940)と前記ニップ(942)の感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラ(931)の接線(945)とが成す角度(941)θを50°とした。
そして、前記感光体(900)と研磨テープ(932)を当接させるニップ幅をdとし、ブレード(930)の押し当て圧を変化させることによりニップ幅dを変化させる実験を行い、研磨傷について評価した。具体的には、dを0.009mm、0.01mm、0.1mm、0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm、1mm、1.1mmと変化させた。その結果を表5に示す。
Figure 2005165118
表5の結果から、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dは、0.01mm≦d≦1 mmが前記塊片を研磨テープにより除去できる最適な範囲であることが判明した。これは、前記ニップ幅dが0.01mmより小さくなる、もしくは1mmより大きくなると、研磨残渣に混在する塊片を研磨テープにより除去できなくなってしまい、研磨傷が発生してしまう為であると思われる。
次に、研磨テープに対する純水もしくは揮発性液体の浸漬の有無による研磨傷の違いについて検証する為に以下の実験を行った。
(実験例4)
実験例2に示される手順により電子写真感光体を作成した。手順中の研磨加工は、感光体(900)の表面移動速度を50mm/sec、研磨テープ(932)の表面移動速度を50mm/sec、感光体(900)と研磨テープ(932)を当接させるニップ幅dを0.5mmとし、前記ニップ(942)中央における前記感光体表面の接線(940)と前記ニップ(942)の感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラ(931)の接線(945)とが成す角度(941)θを実験例2と同様に変化させ、研磨傷について評価した。その結果を表6に示す。尚、実験例2との違いは、研磨テープ(932)は純水に浸漬手段(611)を用いて浸漬させて研磨を行ったことである。
(実験例5)
実験例4に示される手順により電子写真感光体を作成し、研磨傷について評価した。その結果を表6に示す。手順中の研磨加工において、実験例4との違いは、研磨テープ(932)に何も浸漬させずに研磨を行ったことである。
Figure 2005165118
表6より、研磨テープが純水や揮発性液体に浸漬されていない場合は、前記角度θ(941)のラチチュードが狭まってしまい、30°≦θ≦70°が塊片を研磨テープにより除去できる最適な範囲であることが判明した。
以下、本発明を実施例に基づき比較例と対照しながら説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図5に示すRFプラズマCVD方式のa-Si感光体成膜装置を用いて、φ80mmのAl製基体に表1に示した条件で、第1の層として少なくとも非単結晶材料からなる下部阻止層と、少なくとも非単結晶材料からなる光導電層と、炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が47.9%で、少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層を積層した電子写真感光体を作製した。
次いで、前記第1の層を積層した電子写真感光体を一旦成膜炉から取り出し、大気に晒した。
研磨残渣に混在する塊片の除去を研磨テープと感光体表面が当接され、研磨加工が行われている箇所において行う本発明の研磨加工を、大気中で前記第1の層を積層した電子写真感光体に施した後、前記第1の層を積層した電子写真感光体を再び成膜炉に戻し、第2の層として少なくとも非単結晶材料からなる上部阻止層と少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる表面層を積層した電子写真感光体を作製した。
前記研磨加工は、図6及び図9に示される表面研磨装置を用いて行われる。
そして、研磨残渣に混在する塊片を除去する手段として具体的には、研磨テープをキシダ化学製のイソプロピルアルコール(純度99.0%以上)に浸漬手段を用いて浸漬させ、被処理体である感光体の表面移動速度を50mm/sec、前記研磨テープの表面移動速度を50mm/sec、ニップ中央における感光体表面の接線とニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを50°、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.5mm、加圧弾性ローラの加圧圧力0.05Mpaの条件で5分間研磨加工を行い、研磨テープと感光体が当接されている箇所での前記塊片の除去を行った。
以上の手順で得られた感光体を、研磨傷について下記の手法により評価した。その結果を表7に示す。
(実施例2)
実施例1の手順において、研磨残渣除去手段を追加した手順で電子写真感光体を作製した。
前記研磨残渣除去手段(1010)として具体的には、図10に示すように、住友スリーエム製イオナイズドエアーガン(型式:980)備え、イオン化エアーを被処理体である感光体表面と研磨テープが当接している箇所の下流側で、前記感光体表面の接線方向に0.5Mpaの圧力で吹き付けることにより前記塊片の除去を行った。また、前記研磨残渣除去手段(1010)は、被処理体である感光体(1001)の長手方向の全域に、圧縮された空気が吹き付けられる様に表面研磨装置に取り付けて行い、吹き飛ばされた前記塊片を受ける為の手段(1012)を併せて取り付けて行った。
以上の手順で得られた感光体を、研磨傷について下記の手法により評価した。その結果を表7に示す。
(実施例3)
実施例2の手順において、研磨残渣除去手段のみを変更した手順で電子写真感光体を作製した。
前記研磨残渣除去手段(1210)として具体的には、実施例2における図10の変わりに図12に示すような、旭化成工業製のリントフリーワイパー(製品名:ベンコット、型式:CT-8)(1213)に、キシダ化学製のイソプロピルアルコール(純度99.0%以上)を浸透させたものを、被処理体である感光体の長手方向の全域に当接させる様に表面研磨装置に取り付けて行った。また、前記布や紙に純水やアルコール類を浸透させる為の手段(1210)を併せて取り付けて行った。
以上の手順で得られた感光体を、研磨傷について下記の手法により評価した。その結果を表7に示す。
(実施例4)
実施例2の手順において、研磨残渣除去手段のみを変更した手順で電子写真感光体を作製した。
前記研磨残渣除去手段(1110)として具体的には、実施例2における図10の変わりに図11に示すような、キシダ化学製のイソプロピルアルコール(純度99.0%以上)を、被処理体である感光体表面と研磨テープが当接している箇所の下流側で、前記感光体表面の接線方向に流し、感光体の長手方向全域に行き渡るように表面研磨装置に取り付けて、前記塊片を洗い流すように行った。また、処理後の液を受ける手段(1112)を併せて取り付けて行った。
以上の手順で得られた感光体を、研磨傷について下記の手法により評価した。その結果を表7に示す。
(比較例1)
実施例2の手順において、研磨テープと感光体表面が当接され、研磨加工が行われている箇所において研磨残渣に混在する塊片の除去を行わず、また、研磨残渣除去手段も含まない、従来の研磨加工を行う手順で電子写真感光体を作製した。なお、研磨条件は、加圧弾性ローラの加圧圧力0.05Mpa、基体表面移動速度250mm/sec、研磨テープ表面移動速度0.55mm/sec、ニップ中央における感光体表面の接線とニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを50°、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.5mmの条件で5分間行った。
また、実施例1〜4及び比較例1、いずれもドラムの回転方向と研磨テープの送り方向は対向する方向にそれぞれ移動させている。
以上の手順で得られた感光体を、研磨傷について下記の手法により評価した。その結果を表7に示す。
《研磨傷の評価方法》
光学顕微鏡を用いて研磨加工後の電子写真感光体の表面を観察した。そして、直径30μm程度の球状突起を水準線まで研磨し、正常部における研磨傷の有無を確認した。
尚、表中の判定記号として、「星印」は正常部に研磨傷がないこと、◎は軽微な研磨傷が感光体全面において5本以下発生したこと、○は軽微な研磨傷が感光体全面において5本以上発生したこと、△は実用上、問題のない中程度の研磨傷が発生したこと、×は実用に耐えかねる重度の研磨傷が発生したことを示している。
Figure 2005165118
表7から分かるように、従来の研磨方法を用いて比較的やわらかい炭化珪素層の研磨処理を行った比較例1では、研磨加工初期に発生し、研磨残渣に混在する球状突起頭頂部からの塊片が原因となり研磨傷が発生してしまう。そして、研磨テープと感光体表面が当接され研磨加工が行われている箇所において、研磨テープが送られていくのとあわせて前記塊片の除去を行った実施例1では、僅かに軽微な研磨傷が発生する程度まで抑えることができる結果となった。実施例1の前記塊片除去方法に加え、研磨残渣除去手段を追加した実施例2〜4では、軽微な研磨傷でさえ発生しない程度まで抑えることができる結果となった。
(実施例5)
次に、表1に示される成膜条件において、第1の層の最表面として積層される炭化珪素層の成膜条件を変え、前記炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率を変化させた感光体を作成し、前記感光体を実施例2に示されるような研磨残渣除去手段を含む研磨加工処理を行ったものを作成した。具体的には、前記炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率を20%〜90%まで10%刻みで変化させたものを作製した。これらの感光体を用いて、前述した研磨傷の評価と、帯電能の評価を以下の手順で行った。その結果を表8に示す。
《帯電能》
電子写真感光体を図7に示す電子写真装置に設置し、帯電器に-6kVの高電圧を印加し、コロナ帯電をおこない、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定した。得られた結果は、炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が60%での値を基準(100%)とした場合の相対評価でランク付けをおこなった。
◎ …105%以上、
○ …95%以上105%未満、
△ …95%未満。
Figure 2005165118
表8から、本発明の研磨方法は、被研磨層となる第1の層の最表面に積層される炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が30%以上80%以下の領域において、研磨傷を発生させることなく、良好に研磨処理を行えることが判明した。また、帯電性能を維持しながら、研磨傷の抑えるには、前記炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が30%以上50%以下の領域が有効であることが判明した。
次に実施例1〜4、比較例1で作製した感光体について、研磨傷、帯電能、コスト、密着性の評価を下記の手法により行った。その結果を表13に示す。
《研磨傷》
光学顕微鏡を用いて研磨加工後の電子写真感光体の表面を観察した。そして、直径30μm程度の球状突起を水準線まで研磨し、正常部における研磨傷の有無を確認した。
尚、表中の判定記号として、「星印」は正常部に研磨傷がないこと、◎は軽微な研磨傷が感光体全面において5本以下発生したこと、○は軽微な研磨傷が感光体全面において5本以上発生したこと、△は実用上、問題のない中程度の研磨傷が発生したこと、×は実用に耐えかねる重度の研磨傷が発生したことを示している。
《コスト》
比較例4を基準とし、相対的に評価した。◎は比較例4と比較して減少したこと、○は比較例4と同等であること、△は比較例4と比較して上昇したことを示している。
《帯電能》
電子写真感光体を図8に示す電子写真装置に設置し、帯電器に-6kVの高電圧を印加し、コロナ帯電をおこない、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定した。得られた結果は、比較例4での値を100%とした場合の相対評価でランク付けをおこなった。
◎ …105%以上、
○ …95%以上105%未満、
△ …95%未満。
《密着性》
上記手順で得られた感光体の第1の層と第2の層における密着性を、新東化学製のHEIDON(Type:14S)を用いて測定した。この装置を用いて、ダイヤモンド針で各層が積層された前記感光体表面を引っ掻き、感光体表面に剥れが発生したときの前記ダイヤモンド針にかかる荷重の大小で層と層の密着力を評価した。得られた結果は、比較例4での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
◎ …105%以上、
○ …95%以上105%未満、
△ …95%未満。
(実施例6)
実施例2の手順において、成膜条件を表9に示す条件で行い、被研磨層となる第1の層の炭化珪素層と第2の層の上部阻止層を、炭素と珪素の和に対する炭素の比率を30%とした感光体を作製し、研磨傷、帯電能、コスト、密着性について評価を行った。その結果を表13に示す。
(実施例7)
実施例2の手順において、成膜条件を表10に示す条件で行い、被研磨層となる第1の層の炭化珪素層と第2の層の上部阻止層を、炭素と珪素の和に対する炭素の比率を50%とした感光体を作製し、研磨傷、帯電能、コスト、密着性について評価を行った。その結果を表13に示す。
(比較例2)
比較例1の手順において、成膜条件を表9に示す条件で行い、被研磨層となる第1の層の炭化珪素層と第2の層の上部阻止層を、炭素と珪素の和に対する炭素の比率を30%とした感光体を作製し、研磨傷、帯電能、コスト、密着性について評価を行った。その結果を表13に示す。
(比較例3)
比較例1の手順において、成膜条件を表10に示す条件で行い、被研磨層となる第1の層の炭化珪素層と第2の層の上部阻止層を、炭素と珪素の和に対する炭素の比率を50%とした感光体を作製し、研磨傷、帯電能、コスト、密着性について評価を行った。その結果を表13に示す。
(比較例4)
比較例1の手順において、成膜条件を表11に示す条件で行い、被研磨層となる第1の層の炭化珪素層として、炭素と珪素の和に対する炭素の比率が62.2%の炭化珪素層を追加した感光体を作製し、研磨傷、帯電能、コスト、密着性について評価を行った。その結果を表13に示す。
(比較例5)
比較例1の手順において、成膜条件を表12に示す条件で行い、被研磨層となる第1の層の炭化珪素層と第2の層の上部阻止層を、炭素と珪素の和に対する炭素の比率を52%とした感光体を作製し、研磨傷、帯電能、コスト、密着性について評価を行った。その結果を表13に示す。
Figure 2005165118
Figure 2005165118
Figure 2005165118
Figure 2005165118
Figure 2005165118
表13から分かるように、比較例1〜3では、研磨残渣除去手段を含まない従来の研磨加工を行った為、球状突起の高さが高い研磨初期の段階で発生し、研磨残渣に混在する塊片により、電子写真感光体正常部に研磨傷をつけ、画像欠陥を発生させる原因となった。
比較例4では、1000程度のダイナミック硬度を持った炭化珪素層を被研磨層として一層余分に積層することにより、研磨残渣除去手段を含まない従来の研磨加工においても研磨傷の発生を抑制できるが、全体のコストを上昇させてしまう。また、密着性については、第1の層の最表面である炭化珪素層と第2の層として始めに積層される上部阻止層とが、同組成の層で構成できない為、他の実施例や比較例に比べて劣る結果となった。
比較例5では、第1の層として積層される前記炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が50%以上である為、帯電電荷に対する阻止能が低下し、帯電能が悪化するという結果となった。
そして、本発明の研磨加工方法を用いた実施例1〜4、6、7の場合、被研磨層となる炭化珪素層がダイナミック硬度400以上800以下と比較的軟らかい層であっても、電子写真感光体の正常部に研磨傷をつけることなく水準線まで感光体表面の球状突起を良好に研磨することができた。この様に、珪素と炭素の和に対する炭素の含有率を調整し、上部阻止層としての機能を有することのできる、炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が30%以上、50%以下の炭化珪素層を直接研磨することができる為、帯電能の悪化を招くことなく、コストの上昇を抑えることができた。また、第1の層の最表面である炭化珪素層と第2の層として始めに積層される上部阻止層とが同組成の層で構成できる為、第1の層と第2の層との密着性が向上する結果となった。
電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。 電子写真感光体の球状突起の水準線を示す模式的断面図である。 第1の層表面を研磨した本発明の電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。 本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。 RF プラズマCVD方式のa-Si感光体成膜装置の模式的断面図である。 本発明に用いた表面研磨装置の模式的断面図である。 本発明に用いた水洗浄装置の模式的断面図である。 コロナ帯電方式を用いた電子写真装置の一例の模式的断面図である。 本発明に用いた表面研磨装置の模式的断面図である。 本発明に用いた研磨残渣除去手段の一例のとして、イオン化エアーを用いたときの模式図である。 本発明に用いた研磨残渣除去手段の一例のとして、純水もしくは揮発性液体を用いたときの模式図である。 本発明に用いた研磨残渣除去手段の一例のとして、清浄な布や紙を用いたときの模式図である。
符号の説明
101、201、301、401 導電性基体
102、202、302、402 第1の層
403 第2の層
405 下部阻止層
406 光導電層
413 炭化珪素層(上部阻止層、被研磨層)
407 中間層
408 上部阻止層
409 表面層
110、210、310、410 ダスト
111、211、311、411 球状突起
112、212、312、412 球状突起正常積層部分の境界
5000 成膜装置
5110 反応炉
5111 カソード電極
5112 導電性基体
5113 加熱用ヒーター
5114 ガス導入管
5115 高周波マッチングボックス
5116 ガス配管
5117 リークバルブ
5118 メインバルブ
5119 真空計
5120 高周波電源
5121 絶縁材料
5123 受け台
5200 ガス供給装置
5211〜5216 マスフローコントローラ
5221〜5226 ボンベ
5231〜5236 バルブ
5241〜5246 流入バルブ
5251〜5256 流出バルブ
5260 補助バルブ
5261〜5266 圧力調整器
600 基体
610 研磨残渣除去手段
611 浸漬手段
620 弾性支持機構
630 加圧弾性ローラ
631 研磨テープ
632 送り出しロール
633 巻き取りロール
634 定量送り出しロール
635 キャプスタンローラ
701 導電性の表面を有する基体
702 処理部
703 被処理部材搬送機構
711 被処理部材投入台
721 被処理部材洗浄槽
722 洗浄液
731 純水接触槽
732 ノズル
741 乾燥槽
742 ノズル
751 被処理部材搬出台
761 搬送アーム
762 移動機構
763 チャッキング機構
764 エアーシリンダー
765 搬送レール
801 電子写真感光体
802 帯電器
803 画像情報露光装置
804 現像器
805 転写帯電器
806 クリーニング装置
807 主除電光
808 定着装置
900 基体
930 加圧弾性ローラ支持部材
931 加圧弾性ローラ
932 研磨テープ
940 感光体(900)と研磨テープ(932)が当接されているニップ(942)中央における感光体表面の接線
941 感光体と研磨テープが当接されているニップ中央における感光体表面の接線(940)とニップの感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラの接線とが成す角度
942 前記感光体(900)と研磨テープ(932)が当接されているニップ幅
943 感光体の回転方向
944 前記研磨テープの送り方向
955 感光体(900)と研磨テープ(932)が当接されているニップ(942)の感光体回転方向上流側端部における加圧弾性ローラ(931)の接線
1001,1101,1201 基体
1002,1102,1202 研磨テープ
1003,1103,1203 加圧弾性ローラ支持部材
1004,1104,1204 加圧弾性ローラ
1010,1110,1210 研磨残渣除去手段
1011,1111,1211 イオン化エアー、純水、揮発性溶液噴出し孔
1012,1112,1212 塊片受け手段
1213 清浄な布、紙

Claims (12)

  1. 導電性基体上に少なくとも非単結晶材料で構成された筒状の電子写真感光体を保持し回転させ、加圧弾性ローラに巻回させた研磨テープと前記感光体の表面を加圧当接させながら前記研磨テープを送ることによって、前記感光体の研磨を行う研磨方法において、前記研磨加工時に発生する研磨残渣を除去する手段を有することを特徴とする電子写真感光体の研磨方法。
  2. 前記感光体の被研磨層が少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層であり、前記炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が30%以上、80%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の研磨方法。
  3. 前記感光体の被研磨層が少なくとも炭素、珪素を含む非単結晶材料からなる炭化珪素層であり、前記炭化珪素層の炭素と珪素の和に対する炭素の含有率が30%以上、50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の研磨方法。
  4. 前記研磨残渣の除去を、遅くとも前記感光体が1周の研磨処理を終えるまでに行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の研磨方法。
  5. 前記研磨残渣の除去を、研磨テープと感光体表面が当接され、前記研磨加工が行われている箇所において行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の研磨方法。
  6. 前記研磨残渣の除去を、研磨テープと感光体表面が当接され、前記研磨加工が行われている箇所において行う研磨方法において、前記感光体の表面移動速度aと前記研磨テープの表面移動速度bとを逆向きの速度とし、それぞれを10mm/sec≦a≦100mm/sec且つ5mm/sec≦b≦100mm/sec、感光体と研磨テープを当接させるニップ幅dを0.01mm≦d≦1 mm、前記ニップ中央における前記感光体表面の接線と前記ニップの感光体回転方向上流側端部における前記加圧弾性ローラの接線とが成す角度θを30°≦θ≦70°の範囲に設定して行うことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の研磨方法。
  7. 前記研磨残渣の除去を、研磨テープと感光体表面が当接され、前記研磨加工が行われている箇所において行う研磨方法において、前記研磨テープを純水もしくは揮発性液体に浸漬させて行うことを特徴とする請求項5または6に記載の電子写真感光体の研磨方法。
  8. 前記研磨残渣を除去する手段が、前記研磨残渣を拭き取ることによる除去であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の研磨方法。
  9. 前記研磨残渣を除去する手段が、前記研磨残渣を純水もしくは揮発性溶液で洗い流すことにより除去することであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の研磨方法。
  10. 前記研磨残渣を除去する手段が、前記研磨残渣をイオン化エアーにより除去することであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の研磨方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の研磨方法により研磨加工された前記感光体上に、再びプラズマCVD法により少なくとも非単結晶材料からなる層を積層させた電子写真感光体。
  12. 請求項11の電子写真感光体を用いた電子写真装置。
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