JP3647311B2 - 電子写真装置用クリーニング装置、電子写真装置、電子写真装置の光受容部材クリーニング方法及び該クリーニング方法を有する電子写真方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真装置用クリーニング装置、電子写真装置、電子写真装置の光受容部材クリーニング方法及び該クリーニング方法を有する電子写真方法に関し、さらに詳しくはクリーニングブレードを用いたスクレープクリーニングを行なうためのクリーニング装置、電子写真装置、電子写真装置の光受容部材クリーニング方法及び該クリーニング方法を有する電子写真方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真光受容部材に用いる光受容部材の素材としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン(以下、a-Siと記す)等の無機材料、あるいは有機材料等、各種の材料が提案されている。これらのうちでもa-Siに代表される珪素原料を主成分として含む非単結晶質堆積膜、例えば水素及び/またはハロゲン(例えばフッ素、塩素等)を含む(例えば水素またはダングリングボンドを補償する)a-Si等のアモルファス堆積膜は高性能、高耐久、無公害な光受容部材として提案され、そのいくつかは実用化されている。たとえば、USP4,265,991号には、光導電層を主としてa-Siで形成した電子写真光受容部材の技術が開示されている。またたとえば特開昭60-12554号公報には珪素原子を含有する非晶質シリコンからなる光導電層の表面に炭素及びハロゲン原子を含む表面層が開示されている。
【0003】
シリコン系非単結晶堆積膜の形成法としては、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等、多数の方法が知られている。中でもプラズマCVD法、すなわち原料ガスを直流または高周波、(RF,VHF)または、マイクロ波を利用して発生させたグロー放電等によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウム等の所望の基体上に堆積膜を形成する方法は、電子写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成方法等にとどまらず、他の用途の堆積膜の形成方法を含め、現在実用化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案されている。
【0004】
さらに、電子写真用光受容部材への適用を鑑みても近年では膜質及び処理能力の向上に対する要望が強くなっており様々な工夫も検討されている。
【0005】
特に高周波電力を用いたプラズマプロセスは、放電の安定性が高く酸化膜や窒化膜等の絶縁性材料の形成にも使用できる等様々な利点により使用されている。
【0006】
光受容部材としては、高速に対応した電子写真特性の向上が要求されるとともに、より精細な画質を要求される昨今においては、光受容部材特性の改善はもとより、現像剤の小粒径化が進められ、コールターカウンター等による重量平均粒径が5〜8μmであるものが多く使われている。
【0007】
現像剤も用途によって多種ものがあるが、1成分現像剤がキャリアーの劣化、交換がなく現像器を小型化できることから、近年採用する機種が増加している。こうした現像剤は磁性体を分散させた樹脂を重量平均径3〜15μm程度の球形、または不定形に合成乃至粉砕して分級品と呼ばれる母体を形成し、さらに機能を付加するためにサブミクロンの外添剤と呼ばれる粉体を表面に添付させる。より具体的には、磁性体としてはマグネタイト、樹脂としては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリブタジエン、外添剤としてはアルミナ、シリカ、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
【0008】
前記現像剤の融着発生時点のメカニズムは、外添剤がフィルム状に析出するタイプ、分級品が融けて付着するタイプの2種類に大別される。
【0009】
a-Si光受容部材は、表面硬度が高く、繰り返し使用により光受容部材表面が著しく削れる等の理由により画像品質低下をひき引き起こすことは通常の使用においてはまずないが、a-Si光受容部材の表面にはその製法上、異常成長による突起を有することがある。突起の高さは概ね2〜3μmのものが殆どであるが、稀に10μmを越えるものもあり、そのような突起はクリーニングブレードにダメージを与えることがある。特に硬度を高めたクリーニングブレードは脆いため、プロセススピードが400mm/sec以上でダメージを受けるとクリーニングブレード(以下、ブレード欠け)欠けが生じることがあった。
【0010】
ブレード欠けを防止するには、突起の高さを5〜6μm以下に制限することで例えば600mm/sec程度までは充分に防止することが可能であり、光受容部材表面を研磨手段を用いて処理することが有効である。しかし、現像剤の融着防止についてはブレード材質の向上を待つ状況にあった。
【0011】
また、a-Si光受容部材におけるオゾン生成物は転写等の除去のためにブレード自身(5〜10オングストローム/1万枚)、乃至弾性クリーニングローラ等で表面摺擦(約25〜50オングストローム/1万枚)してこれらを除去することが考えられている。しかし、近年の現像剤の小粒径化、コピー等のプロセススピードの高速化の状況下での現像剤の融着に対しては、更なる品質安定化の努力が求められている。
【0012】
こうした状況から、高画質対応の高速電子写真装置に好適なクリーニングシステムが求められている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
a-Si系光受容部材は、一般にクリーニング手段としてクリーニング能力の高い、ブレード式クリーニング方式が広く用いられている。
【0014】
しかし、このようなブレード式クリーニング方式は原稿チャートの文字パターンの差によりブレード面に滞留する現像剤の量に差が生じ受容部材表面層に削れムラが生じずる場合があり、このような削れムラが発生した場合、干渉により入射光量に差が生ずるため電子写真特性として感度ムラとなり画像の濃度ムラとして発生する場合がある。
【0015】
特に、この濃度ムラの現像は、現像剤の粒径が小さいほど顕著である。
【0016】
しかし、近年では画像特性の高画質かが要求されているのが現状であり、このような状況下において現像剤の小粒径化が進んでいる。この現像剤の小粒径化は画質面では向上する反面、摺擦力が高くなる傾向があり、この摺擦力のアップにより、クリーニングブレードのビビリ等による残留現像剤(トナー)の擦り抜けが生じ、黒スジ状のクリーニング不良が発生する。
【0017】
さらに、摩擦抵抗が高いと光受容部材とクリーニングブレード間で摩擦熱が上昇し、熱定着に用いられる残留現像剤は、この摩擦熱によって光受容部材の表面に強固に付着する融着現象が発生する場合がある。特にこの融着現象は、現像剤の小粒径化に比例して顕著になる傾向があり初期の段階では画像には影響しない程度の微小なものであるが、繰り返しの使用で微小な融着が核となり徐々に成長し画像に黒スジ状の画像欠陥となる場合がある。
【0018】
加えて、コンピュータの発達に伴いデジタル化が進むことによって、電子写真もレーザープリンターの割合が大きくなってきている。こうしたデジタル複写機の大きな特徴として、レーザーやLEDアレイによって印字部のみに現像剤をのせる、いわゆる反転現像が挙げられる。こうした現像では、光受容部材の電位の低いところに現像剤がのることから、クリーナー部位における現像剤の塗布量が、正現像をとるアナログ機に比べて多くなり、それが摩耗や現像剤融着を助長する大きな要因となる場合がある。
【0019】
こうした、削れムラや融着は電子写真装置のユーザ自身で補修することが困難であり、サービスマン等の作業が必要となり、交換部品代、人件費といった費用、作業中の電子写真装置の停止による時間損失といった課題があった。電子写真装置にとっては典型的な課題ではあるが、特に高速機においては、ランニングコストにはね返ることもある重要な課題である。
【0020】
このような状況の解決方法の一例として、クリーニングブレードの押しつけ圧力を高くする方法や、光受容部材表面に付着した現像剤を削り取る力を向上させるため、弾性ゴムブレードの硬度を高める等の対策が考えられるが、ブレードの硬度を高めることは、ブレードの特性としては、ゴム的状態からガラス状態に近づくため、材質としては脆くなりブレードの寿命を短くする方向であり、これらの方法は光受容部材表面との摩擦力が上昇する方向であるため、かえって表面層のムラ削れが悪化する場合もある。
【0021】
本発明は、上記のような表面層のムラ削れによる画像均一性の悪化と現像剤の光受容部材への融着といった問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、小粒径の現像剤で現像を行ないかつ、クリーニングローラー等の摺擦手段を設けたクリーニング方法で表面層が逐次摩耗する電子写真プロセスにおいても(1)光受容部材の表面がムラ削れせず均一に摩耗し、(2)光受容部材への融着物の成長を抑制、乃至剥離を容易にすることによって、現像剤の融着が発生しないクリーニング方法及び電子写真プロセス並びに該方法とプロセスを達成し得るクリーニング装置及び電子写真装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は水素を含む非単結晶質S i C膜または非単結晶質水素化炭素膜で表面層を構成した光受容部材を400〜600mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置のクリーニング装置において、光受容部材を現像し、転写剤へ現像剤が転写された後の該光受容部材表面に弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて、現像剤を 0.03 〜 0.3 m g/c m 2 塗布した後、該光受容部材表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングし、複写工程を転写紙に行なった後の前記光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲であるように構成し、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が 15 〜 30 ℃の範囲内で5〜 15 %の値を、 30 〜 45 ℃の範囲内で 10 〜 20 %の値を有し、硬度 ( H s) が 77 度以上 85 度以下の特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング装置及び該装置を有する電子写真装置を提供することを目的とする。通常この場合現像は正現像であり、従来型のアナログ複写機に適用される。
【0023】
また、本発明は水素を含む非単結晶質S i C膜または非単結晶質水素化炭素膜で表面層を構成した光受容部材を300〜500mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置のクリーニング装置において、前記光受容部材を現像し、現像剤転写後の光受容部材表面に、該弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて、前記光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布した後、該光受容部材表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の前記光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲であるように構成し、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が 15 〜 30 ℃の範囲内で5〜 15 %の値を、 30 〜 45 ℃の範囲内で 10 〜 20 %の値を有し、硬度 ( H s) が 77 度以上 85 度以下の特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング装置及び該装置を有する電子写真装置と提供することを目的とする。通常この場合現像は反転現像であり、レーザーを用いたデジタル複写機に適用される。
【0024】
加えて本発明は水素を含む非単結晶質SiC膜または非単結晶質水素化炭素膜(a-C:H)で表面層を構成した光受容部材と弾性ゴムブレードとを400〜600mm/secの相対速度で移動させながら、該光受容部材の表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置のクリーニング方法において、前記弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて前記光受容部材に現像剤を0.03〜0.3mg/cm2塗布したのちに前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングされた該光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲とし、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が15〜30℃の範囲内で5〜15%の値を、30〜45℃の範囲内で10〜20%の値を有し、硬度(Hs)が77度以上85度以下である特性を有する電子写真装置のクリーニング方法及び該方法を有する電子写真方法を提供することを目的とする。通常この場合現像は正現像であり、従来型のアナログ複写機を用いた電子写真方法に適用される。
【0025】
また、本発明は水素を含む非単結晶質SiC膜または非単結晶質水素化炭素膜(a-C:H)で表面層を構成した光受容部材と弾性ゴムブレードとを300〜500mm/secの相対速度で移動させながら、該光受容部材の表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置のクリーニング方法において、前記弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて前記光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布した後に前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングされた該光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲とし、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が15〜30℃の範囲で5〜15%の値を、30〜45℃の範囲で10〜20%の値を有し、硬度(Hs)が77度以上85度以下である特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング方法及び該方法を有する電子写真方法を提供することを目的とする。通常この場合現像は反転現像であり、レーザーを用いたデジタル複写機を用いた電子写真方法に適用される。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、電子写真プロセスと光受容部材の表面層の摩耗量との関係に着目し、ムラ削れに厳しい電子写真プロセスにおける光受容部材の表面の摩耗による表面性の変化を「制御」させることを試みた。
【0027】
具体的にはコピー枚数が進むに応じて生じる前記ムラ削れと融着に対し、コピー枚数に応じて変動する要因の中から、発生に係る要因を抽出し、コピー枚数が進むに応じてその要因の変動を相殺するようにクリーナーの構成と光受容部材の特性の組合せを最適化した。
【0028】
すなわち、コピー枚数が進むに応じて否応なく摩耗する表面層の微視的物性と巨視的な摩耗トルクの変動とブレードの光受容部材付着物に対する反撥挙動を光受容部材表面材質を選択することにより制御することによって、各耐久進行時点に応じて絶えず前記問題点を解消させる条件を本発明者らは見出すことを求めた。
【0029】
その結果、本発明の電子写真プロセス及び本発明の非単結晶質水素化炭素膜(a-C:H)を光受容部材の表面層に用いた光受容部材の組合せにより、ムラ削れせず、クリーニング不良や、融着が発生しないように制御させることが可能になった。
【0030】
つまり、本発明は、光受容部材表面を弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする場合に、A4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上、10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつブレードとの摩擦トルクが上昇するようにする。
【0031】
より具体的には、光受容部材を400〜600mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置において、光受容部材を現像、転写材へ転写し、現像剤が転写された後の光受容部材表面を弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつ該ブレードとの摩擦トルクが上昇するように構成するものである。
【0032】
なお、現像剤の融着発生時点のメカニズムは、外添剤がフィルム状に析出するタイプ、分級品が融けて付着するタイプの2種類に大別されるが、特に前者のタイプに対して光受容部材を300〜500mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置において、前記光受容部材を現像、転写機へ転写し、現像剤が転写された後の光受容部材表面を該弾性ゴムブレードの上流にローラを設けかつ、光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布する構成で、A4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつ該ブレードとの摩擦トルクが上昇するように構成するのが好ましい。
【0033】
また、それぞれ重量平均粒径5〜8μmの現像剤を使用すること、前記光受容部材が水素を含む非単結晶質SiC膜もしくは非単結晶質水素化炭素膜(a-C:H)の表面層を有することは好ましく、前記弾性ゴムブレードは温度が15〜30℃における反撥弾性率を5〜15%、30〜45℃における反撥弾性率を10〜20%、JIS A硬度(Hs)を77度以上85度以下の弾性ゴムブレードとすることは好ましい。
【0034】
加えて、前記弾性ゴムブレードは温度が10〜50℃より好ましくは15〜45℃における反撥弾性率の温度依存性が−1%/deg〜+1%/degの範囲にあること、前記弾性ゴムブレードの上流にさらにローラを設けかつ、光受容部材に現像剤を0.03〜0.3mg/cm2 塗布する構成であること、前記光受容部材の表面粗さがRmax0.3μm以上5.0μm以下であって、異常成長突起部分の高さを5.0μm以下に研磨処理してから使用すること、前記非単結晶水素化炭素膜の水素量が41%〜60%であることは望ましい。
【0035】
また本発明は、光受容部材を400〜600mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置のクリーニング方法及びプロセスにおいて、光受容部材を、現像、転写材へ転写し、現像剤が転写された後の光受容部材表面を弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、前記光受容部材表面の摩耗による表面性の変化を制御するものである。
【0036】
あるいは、光受容部材を300〜500mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置のクリーニング方法及びプロセスにおいて、前記光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布し、弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、光受容部材表面の摩耗により表面性の変化を制御するものである。
【0037】
また、前記と同様に、重量平均粒径5〜8μmの現像剤を使用すること、前記光受容部材が水素を含む非単結晶質SiC膜もしくは非単結晶質水素化炭素膜(a-C:H)で表面層を構成したこと、前記弾性ゴムブレードは温度が15〜30℃における反撥弾性率を5〜15%、30〜45℃における反撥弾性率を10〜20%、JIS A硬度を77度以上85度以下の弾性ゴムブレードを設けた構成であること、前記弾性ゴムブレードは温度が10〜50℃より好ましくは15〜45℃における反撥弾性率の温度依存性が−1%/deg〜+1%/degの範囲にあること、前記帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す光受容部材に現像剤を0.03〜0.3mg/cm2塗布する工程であること、前記光受容部材の表面粗さがRmax0.3μm以上5.0μm以下であって、異常成長突起部分の高さを5.0μm以下に研磨処理してから使用すること、前記非単結晶質水素化炭素膜の水素量が41%〜60%であることは好ましい。
【0038】
本発明に重要なパラメータである反撥弾性率については、この値が低いと、光受容部材表面の融着トナーを拭い取る動きをするため融着解消能力が高い。また、高湿画像流れの防止のために光受容部材を加温するヒータを設けたシステムにおいてはヒータの通電開始初期等温度が一定になるまでの時間、光受容部材を加温するヒータを設けないシステムにおいては空調、季節変動による室温変化等に順応し得る反撥弾性率の温度依存性も考慮することは好ましい。
【0039】
ブレードの硬度(Hs)は試験片表面に押針を通す穴を有する押針に垂直な平面を有する加圧面を接触させ、加圧面の中心に設けられた該穴から、ばね圧力によって突き出している押針が試験片によって押し戻される距離を硬さとして測定されるもので、日本工業規格JIS K6301に規定される方法により測定され、表される。
【0040】
なお、押針は先端がφ0.79±0.02の円形とされる。
【0041】
ブレードの硬度が85度を越えるブレードの材質としては脆くなりブレードの寿命を短くする方向でありまた、JIS硬度69度より低いと、クリーニング性が低下したり、ブレードが捲かれてしまい光受容部材表面にダメージを与えてしまう等の問題が発生する場合がある。
【0042】
本発明においては、光受容部材は表面層も含む。具体的には、前述したように水素を含む非晶質炭素(a-C:H)が好ましく、そのa-C:H膜は膜中に含まれる水素量がH/(C+H)で41%〜60%、好適には45%〜55%が効果を高める点でさらに適している。水素量が40%以下だと感度的に電子写真装置に適さない場合がある。また60%を越えると膜の緻密化が損なわれ、機械的強度が損なわれ電子写真装置に適さない場合がある。
【0043】
さらに該表面層は上記、水素量の範囲でA4版の複写工程を転写紙に行なった後に摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲を選択することにより摩擦によるブレードのビビリが少なく、ブレード当接面の部分的なストレスが抑えられるため、現像剤の部分的な滞留が緩和さえる。その結果、ムラ削れせず均一に表面層が摩耗することを見出したものである。なお、1回転はドラム状光受容部材の場合は文字通り1回まわることであり、ベルト状であれば同じ場所が現れるまでの移動と考えてよい。
【0044】
本発明に用いる光受容部材の表面層の摩耗量が、10オングストローム/1万回転より大きい値になると機械的強度が損なわれる場合があり、1オングストローム/1万回転より小さい値になると表面層が摩耗しにくくなりコロナ放電生成物を削り取る効果が低減し画像流れが発生する場合がある。
【0045】
さらに本発明の光受容部材に用いる表面層の膜厚としては表面層の摩耗量と電子写真装置の寿命との関係から最適な膜厚が決定できるが、一般的には0.01μm〜10μm、好適には0.1μm〜1μmの範囲が望ましい。表面層の膜厚が0.01μm以下だと機械的強度が損なわれ、10μm以上になると残留電位が高くなる場合がある。
【0046】
さらに本発明の光受容部材に用いる光導電層の膜厚としては、一般的には35μm〜50μm、好適には40μm〜50μmの範囲が望ましい。これは金属導電性基板に対して、a-Si光受容部材全体の比誘電率が10程度と小さく、殊に、a-C表面層部分は比誘電率が6程度と小さいため、光受容部材の膜厚が厚いほど、小粒径化した現像剤の付着力を小さくする効果がある。光導電層の膜厚が35μm以下だと現像剤の離型性効果が不十分で、50μm以上になると球状突起が高くなる場合がある。
【0047】
また、光受容部材の表面粗さも重要なパラメータであり、特に限定された表面粗さにおいて、コピー枚数が進むに応じてクリーナーの摩擦トルクと光受容部材の表面自由エネルギーが連動して変化し、現像剤融着の発現起因を相殺するような挙動をとることが見出された。
【0048】
以上をまとめると、a-SiCの表面層は小粒径現像剤によって従来以上に摩耗し、自由エネルギーが悪化し、本来現像剤が融着し易くなるがトルクで剥ぎ取り、a-Cは摩耗が少なく、自由エネルギーがあまり悪化せず、トルクも上がらずに融着を剥ぎ取ることができる。どちらにも共通することは反撥弾性の低い、粘性の高いブレードを、欠けさせることなく用いることが好適であるということである。以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0049】
「クリーニング装置」
図1は、本発明の主要ユニットであるクリーニング装置を拡大した図である。クリーニング手段においては、必要に応じて図1のクリーニング装置101のように、光受容部材100、ウレタンゴム等からなるクリーニングブレード102、シリコンゴムあるいはスポンジ、あるいは磁性体等の材料からなるクリーニングローラ103、ドクターローラ104、廃トナー溜り105、廃トナー搬送系106等を有する。
【0050】
このドクターローラ104は必要に応じて設置され、ブレード状の形態の場合もある。この場合は、スクレーパ(またはドクターブレード)と称する。
【0051】
以下、クリーニング装置の各部材の説明において、単純化のためにスクレーパについての記載は省略する。
【0052】
101はクリーニング装置であり、ウレタンゴムにシリコン化合物を混合する等して、適宜な弾性や硬度をもたせたクリーニングブレード102が設置されている。
【0053】
クリーニングブレード102の光受容部材の回転方向上流には、クリーニングローラ103を有する。該クリーニングローラ103には、主として回収トナー等の磁性粉体が磁気力や付着力により付着コートしている。光受容部材表面には、付着している磁性粉体のコート部が適当な当接幅(ニップ幅という)で当接し、光受容部材との所定の相対速度をもって摺擦及び廃トナーの光受容部材100へのコーティングを行なう。
【0054】
このクリーニングローラ103は磁石以外にも、トナーと逆極性のバイアスを印加したものでもよいし、シリコンゴムやスポンジ状の樹脂等からなるローラでもよい。
【0055】
また、ローラ形状に限らず、ブラシ状の部材でもよい。ブラシ状の部材としては、使用する光受容部材の硬度やプロセススピード等により、材質を適宜選択することが好ましい。
【0056】
a-Si系光受容部材等、高硬度な光受容部材に使用するブラシ材料の一例として、ポリエチレンやポリスチレン等の化学繊維ブラシ、該化学繊維にカーボンを混入し、適宜な導電性を有するようにした導電性繊維、アモルファス金属の繊維(例:ユニチカ製ボルファ等)を使用したブラシ等を使用してもよい。
【0057】
「電子写真装置」
図2はアナログ複写機の一例を示す概略図である。
【0058】
矢印X方向に回転する、光受容部材201の周辺には、主帯電器202、静電潜像形成部203、現像器204、転写紙供給系205、転写帯電器206(a)、分離帯電器206(b)、クリーナ207、搬送系208、除電光源209等が配設されている。光受容部材201は、必要に応じて面状内面ヒータ225によって温度コントロールをしてもよい。
【0059】
光受容部材201は、その表面が主帯電器202により、均一に帯電され画像露光付与手段により静電潜像が形成される。
【0060】
原稿台211に載置された原稿212に光源であるハロゲンランプ210からの光を走査、照射し、原稿212からの反射光をミラー213、214、215で反射してレンズ系217のレンズ218を通ってミラー216を介して光受容部材201上に結像させることで前述の静電潜像が形成される。
【0061】
この静電潜像は、現像剤(トナー)が塗布された現像器204の現像スリーブによりトナー像として顕像画化される。
【0062】
一方、転写紙供給系205を通って、供給される転写材Pにトナー像が転写供給される。該転写材Pは分離帯電器206(b)かつ/または爪(不図示)等の分離手段により、光受容部材201から分離され、搬送系208を経由して定着器223内の定着ローラー224によって、表面トナー像が定着された後、画像装置外へ排出される。
【0063】
一方、トナー像転写後の光受容部材201表面は、表面の残トナーや紙粉等の付着物がクリーニング装置207内のクリーニングブレード220、クリーニングローラー(またはブラシ)221により除去され、次の画像形成に供される。
【0064】
なお、226はブランク露光源である。
【0065】
図3は電子写真装置の一例としてのデジタルプリンター(たとえば、LPB(レーザービームプリンター)の一例を説明するための概略的構成図である。
【0066】
図3において、図2と同じ引出し番号の部材は図2で説明された部材と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0067】
図3では像情報を不図示のレーザー光源からの光を偏向するための偏向手段(たとえば回転多面鏡)230によって光受容部材201の長手方向に光を走査させる。偏向手段230によって偏向された光はミラー216で反射されて光受容部材201に照射される。また、図3において、236は表面電位を測定するためのセンサーである。
【0068】
図4は弾性ブレード301が、現像剤302の融着を防止するメカニズムを考察したものである。本発明に用いるクリーニングブレード硬度は温度が15〜30℃における反撥弾性率を5〜15%、30〜45℃における反撥弾性率を10〜20%、JIS A硬度(Hs)を77度以上85度以下のものであり、図4(a)、(b)、(c)に示すようにブレード自身への変形が小さく、現像剤融着部分を拭い取るような挙動を示すと考えられる。一方、クリーニングブレード硬度を温度が15〜30℃における反撥弾性率がおおむね30%、30〜45℃における反撥弾性率がおおむね60%、またJIS A硬度(Hs)を69度以上77度以下のものとすると、図4(a)、(d)、(e)に示されるように現像剤を引きずったりブレード自身が変形しはね飛んでしまうものと考えられる。
【0069】
こうしたメカニズムから、a-Si光受容部材特有の異常突起は、現像剤融着に比べはるかに硬いために、逆にブレードを欠いてしまう弊害も生じることがある。そこで、光受容部材表面をRmax5μm以下に研磨処理を併用することは好ましい。
【0070】
図5(a)及び図5(b)は本発明に適用可能な光受容部材の模式的断面図の一例である。
【0071】
図5(a)に示すa-Si系光受容部材400は、アルミニウム等の導電性基体401上に少なくともシリコン原子を含む非晶質材料で構成された光導電層403を積層し、さらに炭素原子と水素原子を含むa-C:H膜またはa-SiC:H膜からなる表面層404がその上に順次積層された感光層(光受容層)402を有する光受容部材である。
【0072】
図5(b)はa-SiC:H膜からなる表面層404を有する図5(a)の光受容部材に、さらに炭素原子と水素原子を含むa-C:H膜からなる表面層405を積層したものである。前記、a-C:H膜の水素量が41%〜60%であることがさらに好ましい。
【0073】
もちろん、光導電層403は基体401または表面層404側に周期律表第III族または第V族に属する元素を含有する電荷注入阻止層を有していてよい。
【0074】
該光受容層402はたとえばプラズマCVD法等の化学的気相成長法を用いて作製することができる。
【0075】
また、プラズマCVD法等の形成法を用いた光受容部材の光受容層の堆積は公知の手段を用いることで形成することができるが、特には、高周波電源を周波数1MHz〜45MHzの高周波電力、いわゆるVHF帯の電力を供給し高周波グロー放電を生起させることは、光受容層の、特に、表面層のクリーニング性能の向上にとって好ましい。
【0076】
【実施例】
以下、本発明実施例を用いて具体的に説明する。
【0077】
(実施例1)
プラズマCVD装置を用いて表1の条件により円筒状導電性基体上に電荷注入阻止層、光導電層を積層した後、表2の条件での表面層を0.6μm堆積し光受容部材1A〜1Dを製造した。
【0078】
一方、トナーを下記の例の如く製造した。テレフタル酸6.0mol、n-ドデニセル無水琥珀酸3.0mol、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物10.0mol、無水トリメリット酸0.7mol、ジブチルチンオキサイド0.1molを反応器に入れ、温度計、攪拌棒、コンデンサー、窒素導入管を取り付け、窒素置換した後、攪拌しながら徐々に昇温し、180℃で5時間反応させ、次いで20℃に昇温し、減圧(15hPa)して、4時間反応させて脱水縮合させ、反応を終了し、ポリエステル樹脂1を得た。このポリエステル樹脂は、ピーク分子量10,700、ガラス転移点63℃であった。
【0079】
この結着樹脂であるポリエステル樹脂100重量部、とカーボンブラック顔料5重量部、ジ-t-ブチルサリチル酸クロム錯体4重量部を、ヘンシェルミキサで前混合した後、130℃に設定した二軸押し出し機によって溶融混練した。混練物を冷却後、ジェット気流を用いた粉砕機によって微粉砕し、風力分級器を用いて分級し、重量平均径6.5μmの分級品を得た。
【0080】
処理無機微粉体(外添剤)を下記のようにして作成した。容器中にトルエン1kgと被処理微粉体粒子200gを入れ、ミキサーにより攪拌してスラリーとして、ここの処方量の処理剤を添加し、さらにミキサーで十分に攪拌した。このスラリーをジルコニアボールをメディアとするサンドミルに30分間かけた。
【0081】
該スラリーをサンドミルから取り出し、60℃で減圧しながらトルエンを除去した後、ステンレス容器中で攪拌しながら200〜300℃で2時間乾燥した。ここで得られた粉体をハンマミルにて解砕処理をし、処理無機微粉体を得た。
【0082】
上記の分級品100重量部に対し、ヘンシェルミキサで十分攪拌し、上記の無機微粉体を外添混合し本実施例の現像剤を得た。
【0083】
外添剤の種類、使用する感光体の硬度や画質等の様々な要因に応じて、外添剤の混入量は適宜調整することができる。この外添剤では、外添量としては、1〜30重量部の適宜な範囲で使用した。
【0084】
次いで、前記φ108の光受容部材1A〜1Dをキャノン製の複写機NP-6085の改造機(プロセススピード513mm/sec)に搭載し連続通紙耐久を50万回転(A4版47万枚相当)行ないクリーニング性の評価を行なった。なお、弾性ゴムブレード220は図6に示した温度が15〜30℃の範囲でのある温度(ここでは23℃)の反撥弾性率が8%、30〜45℃の範囲でのある温度(ここでは41.5℃)の反撥弾性率を18%、JIS A硬度(Hs)を82度、反撥弾性の温度依存性が−1%/deg〜+1%/degの1のブレードを使用し、ブレード圧を14gf/cmにて設置した。また、使用する現像剤に関しては、前述の通り現像剤の粒径が6.5μmのものを使用した。さらに、原稿印字率を1%と極端に低くすることにより融着が発生し易い条件とした。前記弾性ゴムブレードの上流にはマグネットローラからなるクリーニングローラを設けることにより、均一に0.03〜0.05mg/cm2の現像剤を光受容部材に塗布させた。
【0085】
以上の評価で得られた結果を表5及び図7に示す。
【0086】
また耐久後の表面層の摩耗量を表3に示す。この表面層の摩耗量は耐久前後の表面層膜厚を反射分光式干渉計(大塚電子(株)製MCPD2000)により干渉度合を測定し、この値と既知の屈折率から1万回転当たりの摩耗量に換算したものである。
【0087】
その結果1B,1Cの光受容部材において70万回転の耐久後でもムラ削りによって発生する黒スジ状の画像欠陥は全くなく、融着に関しても全く発生しなかった。
【0088】
また、表面自由エネルギーの値は耐久に伴い増大し、付着しやすい方向に推移してゆくが、同時に摩擦トルクも上昇しており剥ぎ取り力が強まり、ブレードの材質による効果と相乗して融着を防止していると考えられる。
【0089】
15℃、60%RHの環境下で図2の面状内面ヒータ225に対応するヒータへの電源を切って同様に評価を行なったが、ブレード特性の温度依存性が小さいため、上記と同様の良好な結果が得られた。
【0090】
(ムラ削れ評価方法)
以下、ムラ削れの評価方法を図2を用いて説明する。
【0091】
現像器204位置における暗部電位が400Vになるように主帯電器202の帯電電流量を調整し、原稿台211にベタ黒の縦ラインを設けた原稿212を置き、光受容部材表面の母線方向において、常に現像剤で摺擦される部分と摺擦されない部分を設け耐久を行なった後、現像器204位置における暗部電位が400Vになるように主帯電器202の帯電電流量を調整し、原稿台211にベタ白原稿212を置き、明部電位が50Vになるようにハロゲンランプ210の点灯電圧を調整した後、反射濃度が0.3の原稿212を置く、このときの電位ムラを測定し、正常部分の電位に対するムラ削れした部分の電位が何%変化しているかを評価する。
【0092】
○・・・感度ムラがなく良好な画像
△・・・2.5%以下の電位ムラがあるが画像は実用上問題のないレベル
×・・・2.5%以上の電位ムラが発生し画像にスジ状の濃度ムラが発生する場合がある。
【0093】
(融着評価方法)
以下に、融着の評価方法を同じく図2を用いて説明する。
【0094】
現像器204位置における暗部電位が400Vになるように主帯電器202の帯電電流量を調整し、原稿台211にベタ白の原稿212を置き、明部電位が50Vになるようにハロゲンランプ210の点灯電圧を調整し、A3版のベタ白画像を作成した。この画像によって現像剤の融着により発生する黒ポチを観察し、さらに顕微鏡により光受容部材表面を観察する。
【0095】
○・・・融着がなく良好な画像
△・・・画像には黒ポチは発生しないが顕微鏡観察で10μm以下の微小な融着が認められる(実用上問題なし)
×・・・画像上に黒ポチとして発生することがある。
【0096】
(トルク測定方法)
耐久の進行に伴って生じた、光受容部材の回転トルク、すなわちクリーナーと光受容部材との摩擦トルクについては、Tohnichi(製)トルクゲージにて、光受容部材回転起動時maxトルクを測定した。実施例1における耐久の進行(コピー枚数の増加)に伴って生じたトルクの変化については、図7に示したとおりである。
【0097】
(表面粗さ測定方法)
光受容部材の表面粗さは(株)小坂研究所製SE-30Dを用いて測定した。実施例1の結果については、表3に示した。
【0098】
(表面自由エネルギー)
耐久の進行に伴って生じた、光受容部材の表面自由エネルギーについては、協和界面(株)製接触角測定機CSA-S ROLLを用い、評価液体に純水、ヨウ化メチレン、α-ブロモナフタレン、解析ソフトには協和界面(株)製表面自由エネルギー解析ソフトEG-11を用いて求めた。評価液体は上記のものに限らない。双極子成分や水素結合成分等が適宜ばらけた組み合わせであればよい。実施例1の耐久の進行(コピー枚数の増加)に伴って生じた表面自由エネルギーの変化については、図7に示したとおりである。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
(比較例1)
温度が15〜30℃の範囲内でのある温度の反撥弾性率が31%、30〜45℃の範囲内でのある温度の反撥弾性率が62%、またJIS A硬度(Hs)が74度の弾性ブレード(図6の破線3)に換えたことを除けば、実施例1と同様に、光受容部材1A'〜1D'(それぞれ光受容部材1A〜1Dに対応)をキャノン製複写機NP-6085の改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転(A4版47万枚相当)行ないクリーニング性の評価を行なった。
【0104】
また、特公平07-010488号公報に記載されるような研磨装置を用い、具体的には(株)富士フィルム製ラッピングフィルム(砥粒:SiC、アルミナ、酸化鉄)を用いて、異常成長高さ3μm以下になるまで光受容部材1A〜1Dを処理した光受容部材1A”〜1D”を作製した。これらを用いて上記と同様の評価を行なった。
【0105】
各光受容部材を以上の評価で得られた結果を表5に示す。また耐久による表面層の摩耗量を表4に示す。
【0106】
その結果、研磨のないもののみ、50万回転耐久によってムラ削れによるスジ状の画像欠陥が発生した。しかし融着等はいずれの場合も発生し必ずしも良好な画像が得られるとはいえなかった。
【0107】
(実施例2)
実施例1と同様に、プラズマCVD装置を用いて表1の条件により円筒状導電性基体上に電荷注入阻止層、光導電層を積層した後、表6の条件での表面層を0.7μm堆積し光受容部材1E〜1Hを製造した。
【0108】
次いで、光受容部材1E〜1Hをそれぞれキャノン製複写機NP-6085の改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転(A4版47万枚相当)行ないクリーニング性の評価を行なった。なお、弾性ゴムブレード220の温度が15〜30℃の範囲でのある温度(ここでは20℃)の反撥弾性率を8%、30〜45℃の範囲でのある温度(ここでは43℃)の反撥弾性率を12%、JIS A硬度(Hs)を81度のものを使用し、また、使用する現像剤に関しては、現像剤の粒径が7.5μmのものを使用した。さらに原稿印字率を1%と極端に低くすることにより融着が発生し易い条件とした。前記弾性ゴムブレードの上流にはマグネットローラからなるクリーニングローラを設けることにより、均一に0.03〜0.05mg/cm2の現像剤を光受容部材に塗布させた。
【0109】
以上の評価で得られた結果を表8に示す。
【0110】
その結果、光受容部材1F,1Hの光受容部材において50万回転の耐久後でもムラ削りによって発生するスジ状の画像欠陥は全くなく、融着も全く発生しなかった。
【0111】
光受容部材の表面粗さRmaxについても0.3μm以上5.0μm以下において、好適な結果が確認された。
【0112】
(比較例2)
表面粗さを換えたことを除けば、実施例2と同様に光受容部材1E'〜1F'(光受容部材1E〜1Fに対応)をキャノン製複写機NP-6085の改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転(A4版47万枚相当)行ないクリーニング性の評価を行なった。
【0113】
また、クリーニングローラを設けずに、現像剤塗布量を0.01〜0.3mg/cm2の範囲で不均一にさせたことを除けば、実施例2と同様にした光受容部材1E"〜1F"を(光受容部材1E'〜1F'に対応)を作製した。これらを用いて上記と同様の評価を行なった。
【0114】
各光受容部材を以上の評価で得られた結果を表8に示す。また耐久による表面層の摩耗量を表7に示す。
【0115】
その結果、クリーニングローラのないもののみ、50万回転耐久によってムラ削れによるスジ状の画像欠陥が発生した。しかし、融着等は発生し必ずしも良好な画像が得られなかった。
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、プラズマCVD装置を用いて表9の条件でφ108、Rmax0.45の円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を積層した後、表10の条件で表面層を0.6μm堆積し光受容部材1I〜1Lを製造した。更に表面層の水素含有量を測定するためのサンプルとしてシリコンウエハー上にも表9の条件でa-C:H表面層サンプルを作成した。
【0119】
この表面層サンプルに対して、IRによる水素量H/(C+H)の測定を行なった。その結果、表面層の水素量は表11に示した値であった。
【0120】
次いで、この光受容部材1I〜1Lをキヤノン製複写機NP6085の改造機に搭載し、実施例1と同様の条件で耐久試験を行なった。この耐久後の表面層の摩耗量を表11に示す。
【0121】
以上の評価で得られた結果を表12に及び図8に示す。
【0122】
その結果、表面層の水素含有量が41%以上60%以下の光受容部材1I,1J,1Kの光受容部材において50万回転の耐久後でもムラ削れによって発生するスジ状の画像欠陥は全くなく融着に関しても問題なかった。
【0123】
【表9】
【0124】
【表10】
【0125】
【表11】
(比較例3)
温度が15〜30℃の範囲内でのある温度の反撥弾性率が31%、30〜45℃の範囲内でのある温度の反撥弾性率が62%、またJIS A硬度(Hs)74度の弾性ブレードに換えたことを除けば、実施例3と同様に、光受容部材1I'〜1L'をキヤノン製複写機NP-6085の改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転(A4版47万枚相当)を行ないクリーニング性の評価を行なった。
【0126】
各光受容部材を以上の評価で得られた結果を表12に示す。また耐久による表面層の摩耗量を表11に示す。
【0127】
その結果、摩耗量が1オングストローム/1万回転よりも小さく、更に水素含有量が60%を越えた値を示すa-C:H膜では10万回転耐久によってムラ削れ、融着、更に画像流れが発生する場合があることが判明した。
【0128】
【表12】
(実施例4)
プラズマCVD装置を用いて表13の条件によりφ108のアルミシリンダーを表面粗さRmax0.3〜5.0μmの範囲にて切削加工した。円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を積層した後、表14の条件でのSiC表面層を0.6μm堆積し光受容部材2A〜2Dを製造した。
その後、研磨装置を用い、具体的には(株)富士フィルム社製ラッピィングフィルムを用いて、光受容部材2A〜2Dの異常成長部高さが3μm以下になるまで処理した。
【0129】
次いで、実施例1で使用した現像剤と同様に作製した現像剤を用い、前記光受容部材2A〜2Dをキヤノン製の複写機NP-6060をレーザープリンタに改造したもの(プロセススピード300mm/sec、図3参照)に搭載し連続通紙耐久を50万回転行ないクリーニング性の評価を行なった。なお、弾性ゴムブレード220は温度が15〜30℃の範囲でのある温度の反撥弾性率を12%、30〜45℃の範囲でのある温度の反撥弾性率を17%、JIS A硬度(Hs)を81度、反発弾性の温度依存性が−1%/deg〜+1%/degの1のブレード(図6)を使用し、ブレード圧を13gf/cmにて設置した。また、使用する現像剤に関しては、前述のとおり現像剤の粒径が6.5μmのものを使用した。更に、原稿印字率を1%と極端に低くすることにより融着が発生し易い条件とした。前記弾性ゴムブレードの上流にはマグネットローラからなるクリーニングローラを設けることにより、均一に0.4〜0.6mg/cm2の現像剤を光受容部材に塗布させた。
【0130】
以上の評価で得られた結果を表17、図9に示す。
【0131】
また耐久後の表面層の摩耗量を表15に示す。この表面層の摩耗量は耐久前後の表面層膜厚を反射分光式干渉計(大塚電子(株)製MCPD2000)により測定し、この値から1万回転当りの摩耗量に換算したものである。
【0132】
その結果B,Cの光受容部材において50万回転の耐久後でもムラ削りによって発生する黒スジ状の画像欠陥は全くなく、融着に関しても全く発生しなかった。
【0133】
また、表面自由エネルギーの値は耐久(コピー枚数の増加)に伴い増大し、付着し易い方向に推移してゆくが、同時に摩擦トルクも上昇しており、ブレードの材質による効果と相乗して融着を防止していると考えられる。
【0134】
15℃、60%RHの環境下で図2の面状内面ヒータ225に対応するヒータへの電源を切って同様に評価を行なったが、ブレード特性の温度依存性が小さいため、上記と同様の良好な結果が得られた。
【0135】
【表13】
【0136】
【表14】
【0137】
【表15】
その結果2B,2Cの光受容部材において50万回転の耐久後でもムラ削りによって発生する黒スジ状の画像欠陥は全くなく、融着に関しても全く発生しなかった。
【0138】
また、表面自由エネルギーの値は耐久に伴い増大し、付着し易い方向に推移してゆくが、同時に摩擦トルクも上昇しており、ブレードの材質による効果と相乗して融着を防止していると考えられる。
【0139】
15℃、60%RHの環境下で図3の面状内面ヒータ225に対応するヒータへの電源を切って同様に評価を行なったが、ブレード特性の温度依存性が小さいため、上記と同様な良好な結果が得られた。
【0140】
(比較例4)
温度が15〜30℃の範囲でのある点の反撥弾性率が30%、30〜45℃の範囲でのある点の反撥弾性率が61%、またJIS A硬度(Hs)を75度の弾性ブレードに換えたことを除けば、実施例4と同様にし、光受容部材2A〜2Dに夫々対応する光受容部材2A'〜2D'をキヤノン製複写機NP-6350の改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転行ないクリーニング性の評価を行なった。
【0141】
また、研磨装置を用いた処理を行なわない光受容部材2A"〜2D"を作製した。これらを用いて実施例4と同様の評価を行なった。
【0142】
各光受容部材を以上の評価で得られた結果を表17に示す。また耐久による表面層の摩耗量を表16に示す。
【0143】
その結果、ブレードによる効果の差が明確になり、かつ研磨のないものは、50万回転耐久によってムラ削れによるスジ状の画像欠陥と融着が発生し必ずしも良好な画像が得られなかった。
【0144】
【表16】
【0145】
【表17】
(実施例5)
実施例4と同様に、プラズマCVD装置を用いて表13の条件により円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を積層した後、表18の条件での表面層を0.7μm堆積し2E〜2Hの光受容部材を製造した。
【0146】
【表18】
次いで、光受容部材2E〜2Hをキヤノン製複写機NP-6060の改造機(プロセススピード500mm/sec)に搭載し連続通紙耐久を50万回転行ないクリーニング性の評価を行なった(図2)。なお、弾性ゴムブレード220の温度が15〜30℃の範囲でのある点の反撥弾性率を8%、30〜45℃の範囲でのある点の反撥弾性率を12%、JIS A硬度(Hs)を81度のものを使用し、また、使用する現像剤に関しては、現像剤の粒径が7.5μmのものを使用した。更に原稿印字率を1%と極端に低くすることにより融着が発生し易い条件とした。前記弾性ゴムブレードの上流にはマグネットローラからなるクリーニングローラを設けることにより、均一に0.4〜0.6mg/cm2の現像剤を光受容部材に塗布させた。
【0147】
以上の評価で得られた結果を表20に示す。
【0148】
その結果、光受容部材2F,2Hの光受容部材において50万回転の耐久後でもムラ削りによって発生するスジ状の画像欠陥は全くなく、融着も全く発生しなかった。
【0149】
光受容部材の表面粗さRmaxについても0.3μm以上5.0μm以下において、好適な結果が確認された。
【0150】
(比較例5)
表面粗さを変えたことを除けば、実施例5と同様に、光受容部材2E'〜2F'をキヤノン製複写機NP-6060のレーザープリンター改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転行ないクリーニング性の評価を行なった。
【0151】
また、クリーニングローラを設けずに、現像剤塗布量を0.01〜0.6mg/cm2の範囲で不均一にさせたことを除けば、実施例5と同様にした光受容部材2E"〜2F"を作製した。これらを用いて上記と同様の評価を行なった。
【0152】
各光受容部材を以上の評価で得られた結果を表20に示す。また耐久による表面層の摩耗量を表19に示す。
【0153】
【表19】
【0154】
【表20】
実施例3で作製した光受容部材1I〜1Lをキヤノン製複写機NP-6060のレーザービームプリンター改造機(プロセススピード300mm/sec)に搭載し、実施例1と同様の条件で耐久試験を行なった。
【0155】
以上の評価で得られた結果を表21に示す。
【0156】
その結果、a-C:H表面層の水素含有量が41%以上60%以下の光受容部材1I,1J,1Kの光受容部材をレーザービームプリンタで使用した場合に50万回転の耐久後でもムラ削れによって発生するスジ状の画像欠陥は全くなく、融着に関しても問題なかった。
【0157】
【表21】
(比較例6)
光受容部材1I'〜1L'をキヤノン製複写機NP-6060のレーザービームプリンター改造機に搭載し連続通紙耐久を50万回転を行ないクリーニング性の評価を行なった。
【0158】
各光受容部材を以上の評価で得られた結果を表21に示す。また耐久による表面層の摩耗量はレーザービームプリンタの場合も実施例3の場合と同様であった。
【0159】
その結果、レーザービームプリンタでの使用においても摩耗量が1オングストローム/1万回転よりも小さく、更に水素含有量が60%を超えた値を示すa-C:H膜では50万回転耐久によってムラ削れ、融着、更に画像流れが発生する場合があることが判明した。
【0160】
なお、本発明の主旨の範囲内で適宜、変形組み合わせを行なうことができ、上記した各実施例に限定されないことは言うまでもない
【0161】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、現像剤の融着、ムラ削れがなく、長期間にわたって安定した画像を形成することができる。また、本発明によれば、メンテナンス期間を長くとることができ、結果としてのランニングコストの低減をもはかることができる。
【0162】
また本発明によれば、光受容部材を400〜600mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置において、とくに水素を含む非単結晶質SiC膜で表面層を有する光受容部材を現像、転写材へ転写し、現像剤が転写された後の光受容部材表面を弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングし、A4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつ該ブレードとの摩耗トルクが上昇するように構成させることにより、ムラ削れにより発生する画像濃度ムラ及び、現像剤の融着を防止することが可能になった。
【0163】
加えて、光受容部材を400〜600mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置において、とくに水素量が41%〜60%である非単結晶水素化炭素膜(a-C:H)で表面層を構成した光受容部材を現像、転写材へ転写し、現像剤が転写された後の光受容部材表面を弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつ該ブレードとの摩耗トルクが上昇するように構成させることにより、画像流れや画像ボケといった画像欠陥を効果的に防止することが可能である。
【0164】
加えて本発明によれば、光受容部材を300〜500mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置において、とくに水素を含む非単結晶質SiC膜で表面層を構成した光受容部材を現像、転写後の光受容部材表面を該弾性ゴムブレードの上流にローラを設け、かつ光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布したのちに弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつ該ブレードとの摩耗トルクが上昇するように構成させることにより、ムラ削れにより発生する画像濃度ムラ及び、現像剤の融着を防止することが可能になった。
【0165】
加えて、光受容部材を300〜500mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置において、とくに水素量が41%〜60%である非単結晶質水素化炭素膜(a-C:H)で表面層を構成した光受容部材を現像、転写後の光受容部材表面を弾性ゴムブレードの上流にローラを設け、かつ光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布したのちに弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲で、摩耗に応じて表面粗さが減少、かつ表面自由エネルギーが増加、かつ該ブレードとの摩耗トルクが上昇するように構成させることにより、画像流れや画像ボケといった画像欠陥を効果的に防止することが可能である。
【0166】
更に、弾性ゴムブレードは温度が15〜30℃の温度範囲(Aゾーン)での反撥弾性率が5〜15%、30〜45℃の温度範囲(Bゾーン)での反撥弾性率を10〜20%、JIS A硬度(Hs)を77度以上85度以下の弾性ブレードを設けた構成で画像流れや画像ボケといった画像欠陥を防止するラチチュードを大幅に広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クリーニング装置の好適な一例を示す模式的構成図である。
【図2】電子写真方式を用いた像形成装置である電子写真装置の好適な一例を示す模式的な構成図である。
【図3】電子写真方式を用いた像形成装置である電子写真装置の他の好適な一例を示す模式的な構成図である。
【図4】ブレードの挙動の一例を説明するための模式的説明図である。
【図5】光受容部材の構成の一例を説明するための模式断面図である。
【図6】ブレードの温度特性の一例を示す図である。
【図7】コピー枚数の増加に伴う表面自由エネルギーの変化の一例を示す図である。
【図8】コピー枚数の増加に伴う表面自由エネルギーの変化の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
100: 光受容部材
101: クリーニング装置
102: クリーニングブレード
103: クリーニングローラ
104: ドクターローラ
105: 廃トナー溜り
106: 廃トナー搬送系
201: 光受容部材
202: 主帯電器
203: 静電潜像形成部
204: 現像器
205: 転写紙供給系
206(a): 転写帯電器
206(b): 分離帯電器
207: クリーナ
208: 搬送系
209: 除電光源
210: ハロゲンランプ
211: 原稿台
212: 原稿
213、214、215、216: ミラー
217: レンズ系
218: レンズ
219: 転写紙供給系
220: クリーニングブレード
221: クリーニングローラー(またはブラシ)
222: 転写紙供給系
223: 定着器
224: 定着ローラー
226: ブランク露光源
230: 偏向手段
236: 表面電位測定センサー
301: 弾性ブレード
302: 現像剤
400: a-Si系光受容部材
401: 導電性基体
402: 感光層(光受容層)
403: 光導電層(少なくともシリコン原子を含む非晶質材料)
404: 表面層(a-C:H膜またはa-SiC:H膜)
405: 表面層(a-C:H膜)
Claims (30)
- 水素を含む非単結晶質S i C膜または非単結晶質水素化炭素膜で表面層を構成した光受容部材を400〜600mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置のクリーニング装置において、前記光受容部材を現像し、転写材へ現像剤が転写された後の該光受容部材表面に弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて、現像剤を 0.03 〜 0.3 m g/c m 2 塗布した後、該光受容部材表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングし、複写工程を転写紙に行なった後の前記光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲であるように構成し、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が 15 〜 30 ℃の範囲内で5〜 15 %の値を、 30 〜 45 ℃の範囲内で 10 〜 20 %の値を有し、硬度 ( H s) が 77 度以上 85 度以下の特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記弾性ゴムブレードは温度が10〜50℃における反撥弾性率の温度依存性-1%/deg〜+1%/degの範囲にある請求項1に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記光受容部材は表面粗さがRmax0.3μm以上5.0μm以下である請求項1記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記光受容部材は異常成長突起部分の高さを5.0μm以下に研磨処理されている請求項3に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記非単結晶質水素化炭素膜の水素量が41%〜60%である請求項1に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記現像剤は平均粒径が5〜8μmである請求項1に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記現像は正現像である請求項1に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 水素を含む非単結晶質S i C膜または非単結晶質水素化炭素膜で表面層を構成した光受容部材を300〜500mm/secにて回転させ、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを順次繰り返す電子写真装置のクリーニング装置において、前記光受容部材を現像し、現像剤転写後の該光受容部材表面に、弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて、前記光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布したのち、該光受容部材表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置でA4版の複写工程を転写紙に行なった後の前記光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲であるように構成し、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が 15 〜 30 ℃の範囲内で5〜 15 %の値を、 30 〜 45 ℃の範囲内で 10 〜 20 %の値を有し、硬度 ( H s) が 77 度以上 85 度以下の特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記弾性ゴムブレードは温度が15〜45℃における反撥弾性率の温度依存性が-1%/deg〜+1%/degの範囲にある請求項8に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記光受容部材の表面異常成長突起部分の高さを5.0μm以下に研磨処理してから使用する請求項8に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記非単結晶質水素化炭素膜の水素量が41%〜60%である請求項8に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記現像剤は平均粒径が5〜8μmである請求項8に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 前記現像は反転現像である請求項8に記載の電子写真装置のクリーニング装置。
- 水素を含む非単結晶質S i C膜または非単結晶質水素化炭素膜 (a- C : H ) で表面層を構成した光受容部材と弾性ゴムブレードとを400〜600mm/secの相対速度で移動させながら、該光受容部材の表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置のクリーニング方法において、前記弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて前記光受容部材に現像剤を 0.03 〜 0.3 m g/c m 2 塗布したのちに前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングされた該光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲とし、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が 15 〜 30 ℃の範囲内で5〜 15 %の値を、 30 〜 45 ℃の範囲内で 10 〜 20 %の値を有し、硬度 ( H s) が 77 度以上 85 度以下である特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記弾性ゴムブレードは温度が10〜50℃における反撥弾性率の温度依存性が-1%/deg〜+1%/degの範囲にある請求項14に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記光受容部材の表面粗さがRmax0.3μm以上5.0μm以下である請求項14に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 該光受容部材は異常成長突起部分の高さを5.0μm以下に研磨処理されている請求項16に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記非単結晶質水素化炭素膜の水素量が41%〜60%である請求項14に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記スクレープクリーニングは平均粒径5〜8μmの現像剤の除去のために行なわれる請求項14に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記現像は正現像である請求項 14 に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 水素を含む非単結晶質S i C膜または非単結晶質水素化炭素膜 (a- C : H ) で表面層を構成した光受容部材と弾性ゴムブレードとを300〜500mm/secの相対速度で移動させながら、該光受容部材の表面を前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングする電子写真装置のクリーニング方法において、前記弾性ゴムブレードの上流に設けられたクリーニングローラにて前記光受容部材に現像剤を0.4〜0.6mg/cm2塗布したのちに前記弾性ゴムブレードでスクレープクリーニングされた該光受容部材の摩耗量が1オングストローム/1万回転以上10オングストローム/1万回転以下の範囲とし、前記弾性ゴムブレードは、反撥弾性率が温度が 15 〜 30 ℃の範囲で5〜 15 %の値を、 30 〜 45 ℃の範囲で 10 〜 20 %の値を有し、硬度 ( H s) が 77 度以上 85 度以下である特性を有することを特徴とする電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記弾性ゴムブレードは温度が15〜45℃における反撥弾性率の温度依存性が-1%/deg〜+1%/degの範囲にある請求項21に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記光受容部材の表面異常成長突起部分の高さを5.0μm以下に研磨処理されている請求項21に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記非単結晶質水素化炭素膜の水素量が41%〜60%である請求項21に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記現像剤は平均粒径が5〜8μmである請求項21に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 前記現像は反転現像である請求項 21 に記載の電子写真装置のクリーニング方法。
- 請求項14に記載のクリーニング方法を有する電子写真方法。
- 請求項21に記載のクリーニング方法を有する電子写真方法。
- 請求項1に記載のクリーニング装置を有する電子写真装置。
- 請求項8に記載のクリーニング装置を有する電子写真装置。
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