JP4118225B2 - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents
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これに対し、有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に電子写真感光体の主力として開発されてきている。初期の有機感光体は感度および耐久性に欠点を有していたけれども、これらの欠点は電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた機能分離型電子写真感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、電荷発生機能を担う電荷発生物質および電荷輸送機能を担う電荷輸送物質それぞれの材料選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
このような機能分離型感光体に使用される電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料およびピリリウム塩系色素などの多種の物質が検討され、耐光性が強く電荷発生能力の高い種々の材料が提案されている。
(1)光および熱に対して安定であること、
(2)感光体の表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、窒素酸化物(NOX)および硝酸などに対して安定であること、
(3)高い電荷輸送能力を有すること、
(4)有機溶剤や結着剤との相溶性が高いこと、
(5)製造が容易で安価であること。
また本発明は、電荷輸送物質として前記一般式(1)で示される有機光導電性材料が、下記一般式(2)で示されることを特徴とする。
本発明に従えば、感光層には、電荷輸送物質として含有される、前記一般式(2)で示される有機光導電性材料は前記一般式(1)で示される化合物であり、合成的に最も導入が簡単で、かつ反応の選択性が高い環状飽和5員環が導入されたトリフェニルアミン−ブタジエン構造を有する有機光導電性材料であるので、製造コストが安価で、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また高い応答性によるバインダー樹脂比アップの効果により耐久性が向上し、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下せず、信頼性の高い電子写真感光体を得ることができる。
本発明に従えば、感光層には、電荷発生物質として、Cu−Kα特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンが含有される。Cu−Kα特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する。このような電荷発生物質は光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質に効率よく注入する。また、前述のように、感光層には、電荷輸送物質として、前記一般式(1)または(2)で示される電荷移動度の高い有機光導電性材料が含有される。したがって光吸収によって電荷発生物質で発生する電荷は電荷輸送物質に効率的に注入されて円滑に輸送されるので高感度かつ高解像度の電子写真感光体を得ることができる。
本発明に従えば、感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造からなる。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となる。これにより、より高感度で、さらに繰り返し使用時の安定性も増した高耐久性を有する電子写真感光体を得ることができる。
また本発明は、前記電荷輸送層は、さらにバインダ樹脂を含有し、前記電荷輸送層において、前記電荷輸送物質(A)と前記バインダ樹脂(B)との比率A/Bは、質量比で10/12〜10/30であることを特徴とする。
本発明に従えば、導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられる。このことによって、導電性支持体から感光層への電荷の注入を防止することができるので、感光層の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。また導電性支持体表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層の成膜性を高めることができる。また感光層の導電性支持体からの剥離を抑え導電性支持体と感光層との接着性を向上させることができる。
本発明に従えば、前述のように、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下しない電子写真感光体が備えられるので、各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
また本発明によれば、感光層に合成的に最も簡単な環状飽和5員環が導入されたトリフェニルアミン−ブタジエン構造を有する有機光導電性材料を含有させることで、製造コストが安価で、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また高い応答性によるバインダー樹脂比アップの効果により耐久性が向上し、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を提供することができる。
また本発明によれば、感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造からなるので、より高感度で、さらに繰り返し使用時の安定性も増した高耐久性を有する電子写真感光体を提供することができる。
また本発明によれば、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂を加えても、光応答性を維持することができるので、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層の耐刷性を向上させ、さらに有機光導電性材料自身の削れ難い性質との相乗効果により電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
また本発明によれば、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体が備えられるので各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
Ar1、およびAr2の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルおよびビフェニリルなどのアリール基を挙げることができる。
また前記一般式(1)において、Ar3は、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、及び水素原子を示す。
また前記一般式(1)において、Ar4は、置換基を有してもよいアリーレン基を示す。
また前記一般式(1)においてR 1 は、置換基を有してもよいアルキル基、及び水素原子を示す。
また前記一般式(1)において、X、Yは、酸素原子及び/又は硫黄原子の何れかを示し、具体例としては、下記表1の以下の酸素原子及び/又は硫黄原子を含む複素環構造のものを挙げることができる。
前記一般式(1)で示される有機光導電性材料が、合成的に最も導入が簡単で、かつ反応の選択性が高い環状飽和5員環が導入されたトリフェニルアミン−ジエン構造からなる高い電荷移動度を有する下記一般式(2)で示されるより具体的な化合物を電荷輸送物質として用いることによって、帯電電位が高く、高感度で充分な光応答性を示し、また高い応答性によるバインダー樹脂比アップの効果により耐久性が向上し、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を安価に実現することができる。
また前記一般式(2)で示される有機光導電性材料のうち、特性、原価および生産性などの観点から特に優れた化合物としては、Ar1およびAr2がフェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル基であり、Ar3が水素原子、メチル、フェニル、p−トリル基であり、Ar4がp−フェニレン基、メチル−p−フェニレン基、メトキシ−p−フェニレン基、4,4’−ビフェニレンまたは1,4−ナフチレン基であり、酸素原子及び/又は硫黄原子を含む複素環のベンゼン環が下記表2に示す以下の構造であり、nが1であるものを挙げることができる。
たとえば、下記表3に示す例示化合物No.1は、下記構造式(1−1)で示される化合物である。
まず、2級アミンと炭素原子、水素原子、あるいは酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子含む飽和の4〜8員環が結合したハロゲン化ベンゼン誘導体とを縮合反応させる事によって得られる下記一般式(3)で示されるアミン化合物に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うことにより、下記一般式(4)で示されるアミン−カルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うと、下記一般式(4)で示されるアミン−カルボニル中間体のうち、R1が水素原子であるアミン−アルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うと、下記一般式(4)で示されるアミン−カルボニル中間体のうち、R1が水素原子以外の基であるアミン−ケト中間体を製造することができる。
ビルスマイヤー反応は、たとえば以下のように行う。N,N−ジメチルホルムアミド(略称:DMF)、トルエンまたは1,2−ジクロロエタンなどの溶剤中に、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミド、オキシ塩化リンとN−メチル−N−フェニルホルムアミド、またはオキシ塩化リンとN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、ビルスマイヤー試薬を調製する。調製したビルスマイヤー試薬1.0当量〜1.2当量に、前記一般式(3)で示されるアミン中間体1.0当量を加え、60〜80℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(4)で示されるアミン−カルボニル中間体のうち、R1が水素原子であるアミン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
このウィッティッヒ−ホルナー反応は、たとえば以下のように行う。トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(略称:THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの溶剤中に、前記一般式(4)で示されるアミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(5)で示されるウィッティッヒ試薬1.1〜1.2当量と、カリウム−t−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイドまたはナトリウムメトキサイドなどの金属アルコキシド塩基1.1〜1.3当量とを加え、室温または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。これによって、前記一般式(1)で示される特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を高収率で製造することができる。
図1は、本発明による電子写真感光体の一例である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体1は、導電性材料からなるシート状の導電性支持体11上に、電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷輸送物質13および電荷輸送物質13を結着させるバインダ樹脂17を含有する電荷輸送層16とが、導電性支持体11から外方に向かってこの順序で積層されてなる積層構造からなる感光層14を有する積層型感光体である(図においては電荷発生物質12および電荷輸送物質13を示すために強調描写してあるが、実際は各層を構成、或いはバインダ樹脂等の成分に均一に分散しているものである。)。
バインダ樹脂には、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルまたはサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷輸送層16は、前記一般式(1)または(2)で示される本発明の有機光導電性材料を、電荷発生物質12で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質13として、バインダ樹脂17中に含有させることによって得られる。前記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料は、前述の表1に示す例示化合物などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
その他の電荷輸送物質としては、エナミン−スチリル誘導体、エナミン−ヒドラゾン誘導体、エナミン−ブタジエン誘導体、エナミン−ヘキサトリエン誘導体等のエナミン化合物、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセンなども挙げられる。
電荷輸送層16に使用するバインダ樹脂17には、電荷輸送物質13との相溶性に優れるものが選ばれる。具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの樹脂は、単独で使用されてもよく、また2種以上混合されて使用されてもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性および電位特性などにも優れているので、これらをバインダ樹脂17に用いることが特に好ましい。
前述のように、電荷輸送物質13は前記一般式(1)、例えば、(2)で示される電荷移動度の高い本発明の有機光導電性材料を含むので、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂を加えても、光応答性を維持することができる。したがって、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層16の耐刷性を向上させ、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
なお、前記比率A/Bが10/30未満でありバインダ樹脂17の比率が高くなると、浸漬塗布法によって電荷輸送層16を形成する場合、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層16に白濁が発生する。また前記比率A/Bが10/12を超えバインダ樹脂17の比率が低くなると、バインダ樹脂17の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、感光層の摩耗量が増加する。したがって、10/12以上10/30以下とした。
また電荷輸送層16には、機械的強度の増強や電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。
さらに電荷輸送層16には、必要に応じて酸化防止剤および増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。これによって、電位特性が向上するとともに、塗布液としての安定性が高まり、また感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
感光層14には、感度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、さらに1種以上の電子受容物質や色素を添加してもよい。
色素には、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
図2は、本発明による電子写真感光体の他の実施形態例である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体2は、図1に示す電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。注目すべきは導電性支持体11と感光層14との間に中間層18が設けられることである。
導電性支持体11と感光層14との間に中間層18がない場合、導電性支持体11から感光層14に電荷が注入され、感光層14の帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し画像にかぶりなどの欠陥が発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷が減少した部分にトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じる。
中間層18には、各種樹脂材料からなる樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。樹脂層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ならびにエチルセルロースなどを挙げることができる。これらの中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロンおよび2−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
中間層18に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、たとえば、前述の樹脂が溶解した樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11上に塗布することによって中間層18を形成することができる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としてはボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルまたは超音波分散機等を用いる一般的な方法を使用することができる。
中間層用塗布液中の樹脂および金属酸化物の合計含有量Cは、中間層用塗布液に使用されている溶剤の含有量Dに対し、C/Dが質量比で1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂と金属酸化物との比率(樹脂/金属酸化物)は、質量比で90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層18の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層18の膜厚が0.01μmより薄いと、実質的に中間層18として機能しなくなり、導電性支持体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。中間層18の膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層18を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層18の形成が困難になるとともに、中間層18上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
注目すべきは、電子写真感光体3が、電荷発生物質12と電荷輸送物質13との両者をバインダ樹脂17中に含有させてなる単層構造からなる感光層14を有する単層型感光体であることである。
感光層14は、前述の電荷輸送層13を形成する場合と同様の方法で形成される。たとえば、前述の電荷発生物質12と前記一般式(1)または(2)で示される本発明の有機光導電性材料を含む電荷輸送物質13とバインダ樹脂17とを、前述の適当な溶剤に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液を浸漬塗布法などによって中間層18上に塗布することによって形成される。
感光層14の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層140の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層140の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。したがって、5μm以上100μm以下とした。
本発明による電子写真感光体は、以上に述べた図1〜図3に示す構成に限定されることなく、種々の層構成を採ることができる。
特に酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物およびアミン系化合物などを挙げることができる。これらの酸化防止剤は、電荷輸送物質13に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲で使用されることが好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1質量%未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。酸化防止剤の使用量が50質量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、0.1質量%以上50質量%以下とした。
図4は、本発明による電子写真感光体を備える画像形成装置の構成を簡略化して示す構成図である。
図に示す如く画像形成装置5は、本発明による電子写真感光体10(以下、単に「感光体10」とも称する。)を備える。感光体10は、円筒状であって、図示しない駆動手段によって参照符41の方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体10の周囲には、感光体10の回転方向に沿って、帯電器32、図示しない半導体レーザ、現像器33、転写帯電器34、クリーナ36がこの順序で設けられる。また転写紙51の進行方向には定着器35が設けられる。
また、感光体10への露光と同期して、転写紙51が参照符42の方向から現像器33の回転方向下流側に設けられた転写帯電器34に与えられる。
感光体10の表面43上に残留するトナーは、転写帯電器34のさらに回転方向下流側であって帯電器32の回転方向上流側に、図示しない除電ランプと共に設けられるクリーナ36によって除去される。感光体10をさらに回転させることによって以上の過程が繰返され、転写紙51上に画像が形成される。このようにして画像が形成された転写紙51は、画像形成装置5の外部に排紙される。
したがって、各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。また、電子写真感光体10は光暴露によって性能低下をすることがないので、メンテナンス時などに感光体が光に曝されることによる画質の低下を防ぎ、画像形成装置の信頼性を向上させることができる。
(製造例1)例示化合物No.1の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100ml中に、氷冷下、オキシ塩化リン9.9g(1.2当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、下記構造式(6)で示されるアミン中間体20.0g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を80℃まで上げ、80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)水酸化ナトリウム水溶液400ml中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物17.9g(収率=83%)を得た。
製造例1−1で得られた前記構造式(7)で示されるアミン−アルデヒド中間体3.0g(1.0当量)と、下記構造式(8)で示されるジエチルシンナミルホスホネート2.3g(1.2当量)とを、無水トルエン20mlに溶解させ、その溶液中にカリウム−t−ブトキシド(純度約90%)1.2g(1.3当量)を0℃で徐々に加えた、その後室温で1時間放置し、さらに40℃まで加熱し、40℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶3.3g(収率:88%)を得た。
LC−MSの分析結果から、得られた結晶は、例示化合物No.1の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエン化合物であり、得られた例示化合物No.1の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエン化合物の純度は99.5%であることが判った。
以上のように、前記構造式(7)で示されるアミン−アルデヒド中間体と、Wittig試薬である前記構造式(8)で示されるジエチルシンナミルホスホネートとのWittig−Horner反応を行うことによって、表1に示す例示化合物No.1の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエン化合物を得ることができた。
前記構造式(8)で示されるジエチルシンナミルホスホネート2.3(1.2当量)に代えて、下記構造式(9)で示されるWittig試薬2.54g(1.2当量)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ウィッティッヒ−ホルナー反応を行うことによって、黄色粉末状化合物3.24g(収率82.1%)を得た。なお、各反応において使用した試薬と基質との当量関係は、製造例1で使用した試薬と基質との当量関係と同様である。
LC−MSの分析結果から、得られた化合物は、例示化合物No.30の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ヘキサトリエン化合物であり、得られた例示化合物No.30の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−トリエン化合物の純度は95.3%であることが判った。
以上のように、前記構造式(7)で示されるアミン−アルデヒド中間体と、前記構造式(9)で示されるWittig試薬とのWittig−Horner反応を行うことによって、表5に示す例示化合物No.30の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−トリエン化合物を得ることができた。
電荷発生物質12である下記構造式(10)で示されるアゾ化合物1質量部を、THF99質量部にフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製:PKHH)1質量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、導電性支持体11である、表面にアルミニウムが蒸着された膜厚80μmのポリエステルフィルムのアルミニウム上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
以上のようにして、図1に示す構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表に示す例示化合物No.9,14,30の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(11)で示される比較化合物Aを用いる以外は、実施例1と同様にして電子製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(12)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
以上の実施例1〜4および比較例1〜2で作製した各電子写真感光体について、各電子写真感光体の感光層の表面に金を蒸着し、室温、減圧下で、飛行時間(Time−of−Flight)法によって電荷輸送物質13の電荷移動度を測定した。表8に測定結果を示す。なお、表8に示す電荷移動度の値は、電界強度が2.5×105V/cmのときの値である。
酸化アルミニウム(化学式:Al2O3)および二酸化ジルコニウム(化学式:ZrO2)で表面処理を行った樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9質量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)9質量部とを、1,3−ジオキソラン41質量部とメタノール41質量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。調製した中間層用塗布液を、導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
以上のようにして、図2に示す構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表3〜5に示す例示化合物No.9,19,33の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を用いる以外は実施例5と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(11)で示される比較化合物Aまたは前記構造式(12)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例5と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
実施例5と同様にして、中間層用塗布液を調製し、これを導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上に塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
次に、電荷発生物質12である前記構造式(13)で示されるアゾ化合物1質量部、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:Z−400)12質量部、電荷輸送物質13である表1に示す例示化合物No.1の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ブタジエン化合物10質量部、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5質量部およびTHF65質量部をボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。調製した感光層用塗布液を、先に形成した中間層18上に、ベーカアプリケータによって塗布した後、110℃で1時間、熱風乾燥し、図3に示す膜厚20μmの感光層14を形成した。
以上のようにして、図3に示す構成の単層型の電子写真感光体を作製した。
電荷発生物質12に、前記構造式(13)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用いる以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷発生物質12に、前記構造式(13)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表3〜5に示す例示化合物No.13,24,36の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を用いる以外は、実施例5と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
電荷発生物質12に、前記構造式(13)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(11)で示される比較化合物Aまたは前記構造式(12)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例5と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
以上の実施例5〜13および比較例3〜6で作製した各電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて初期特性および繰返し特性を評価した。なお、初期特性および繰返し特性の評価は、温度22℃、相対湿度(Relative Humidity)65%(22℃/65%RH)の常温/常湿環境下(以下、N/N環境下と称する)と、温度5℃、相対湿度20%(5℃/20%RH)の低温/低湿環境下(以下、L/L環境下と称する)とにおいて行った。
以上の測定結果を表9に示す。
酸化アルミニウム(Al2O3)および二酸化ジルコニウム(ZrO2)で表面処理を行った樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9質量部および共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)9質量部を、1,3−ジオキソラン41質量部とメタノール41質量部との混合溶剤に加えた後、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層用塗布液を調製した。この中間層塗布液を塗工槽に満たし、直径40mm、全長340mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体11を塗工槽に浸漬した後引上げることによって、膜厚1.0μmの中間層18を導電性支持体11上に形成した。
次いで、電荷輸送物質13である例示化合物No.1の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエン化合物10質量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ200)20質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1質量部と、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−96)0.004質量部とを、テトラヒドロフラン110質量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した中間層18と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層15上に塗布した後、110℃にて1時間乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層16を形成した。
以上のようにして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表4に示す例示化合物No.19または30の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を用いる以外は、実施例14と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(12)で示される比較化合物Aを用いる以外は、実施例14と同様にして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を25質量部とする以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を25質量部とし、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表4及び5に示す例示化合物No.22または35の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を用いる以外は、実施例14と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を10質量部とする以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を31質量部とする以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
ただし、電荷輸送層16の形成の際、実施例14と同量のテトラヒドロフランではポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製することができなかったので、テトラヒドロフランを追加し、ポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製し、これを用いて電荷輸送層16を形成した。
しかしながら、電荷輸送層用塗布液中の溶剤の量が過剰であるために、円筒状の感光体の長手方向端部にブラッシング現象による白濁が生じ、特性評価を行うことができなかった。
以上の実施例14〜19、参考例1〜2および比較例7で作製した各電子写真感光体について、耐刷性および電気特性の安定性の評価を以下のように行った。
作製した各電子写真感光体を、プロセススピードを117mm/secとしたデジタル複写機(シャープ株式会社製:AR−C150)にそれぞれ搭載した。画像形成を40,000枚行った後、感光層の膜厚d1を測定し、この値と作製時の感光層の膜厚d0との差を膜減り量Δd(=d0−d1)として求め、耐刷性の評価指標とした。
これらの評価結果を表10に示す。
以上のように、本発明の有機光導電性材料を含有させて電荷輸送層を形成することによって、バインダ樹脂の比率を高くしても光応答性を低下させることなく、電荷輸送層の耐刷性を本発明の有機光導電性材料自体の削れ難い性質との相乗効果により向上させることができた。
5 画像形成装置
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 レーザビーム
32 帯電器
33 現像器
34 転写帯電器
35 定着器
36 クリーナ
51 転写紙
Claims (7)
- 前記電荷発生物質として、Cu−Kα特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかの1つに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層は、さらにバインダ樹脂を含有し、前記電荷輸送層における前記電荷輸送物質(A)と前記バインダ樹脂(B)との比率A/Bは、質量比で10/12〜10/30であることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
- 前記導電性支持体と前記感光層との間には、中間層が設けられることを特徴とする請求項1〜5の何れかの1つに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6の何れかの1つに記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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