JP4276959B2 - 新規なアミンービスジエン及びービストリエン系化合物並びにそれを用いた電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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このような機能分離型感光体に使用される電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料及びピリリウム塩系色素などの多種の物質が検討され、耐光性が強く電荷発生能力の高い種々の材料が提案されている。
(1)光及び熱に対して安定であること、
(2)感光体の表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、窒素酸化物(NOX)及び硝酸などに対して安定であること、
(3)高い電荷輸送能力を有すること、
(4)有機溶剤や結着剤との相溶性が高いこと、
(5)製造が容易で安価であること。
このような要求を満たす電荷輸送物質として、共役系が大きく広がったトリアリールアミン−ビスブタジエン化合物(例えば、特許文献9及び特許文献10参照)などが前述の電荷輸送物質よりも優れた性能を有する化合物として提案されている。しかし、これらの化合物は、対称性の化合物であるために溶性が悪く、かつ、製膜時あるいは感光体DRとしてからの長期保存時に部分的な結晶化が発生する等の新たな弊害がある。
すなわち、本発明は、下記一般式(2)で示される新規な非対称構造からなるアミンービスジエン系化合物を提供するものであり、また、導電性材料からなる導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられた電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層とを備えた電子写真感光体において、前記電荷輸送物質として下記一般式(2)で示される非対称構造を有するアミンービスジエン系化合物からなる有機光導電性材料を含有する電子写真感光体並びにかかる電子写真感光体を搭載した画像形成装置を提供するものである。
下記一般式(1)で示される非対称構造からなるアミン−ビスジエンあるいは−ビストリエン構造を有する化合物は、高いホール輸送能力を有しており、電荷輸送物質として用いることによって、信頼性の高い電子写真感光体を実現することができるが、本発明は、下記一般式(1)で示される化合物において、さらにホール輸送能力等に優れている後記一般式(2)で示されるアミン−ビスジエン系化合物、これを有機光導電性材料として用いたセンサ材料、EL素子あるいは静電記録素子(これらを広く電子写真感光体として含む。)などとして、応答性に優れたデバイスを提供するものである。
また上記一般式(1)において、Ar5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基及び水素原子を示す。
Ar5の水素原子以外の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びn−ブチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル及びビフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルなどの複素環基ならびにベンジル、p−メチルベンジル及びp−メトキシベンジルなどのアラルキル基を挙げることができる。
例えば、表3−1に示す例示化合物No.1は、下記構造式(1−1)で示される化合物である。
まず、2級アミンと置換基を有してもよいハロゲン化アリール化合物あるいは、炭素原子、水素原子、あるいは酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子含む飽和の4〜8員環が結合したハロゲン化ベンゼン誘導体とを縮合反応させる事によって得られる下記一般式(4)で示されるアミン化合物に対して、ビルスマイヤー反応によるビスフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるビスアシル化を行うことにより、下記一般式(5)で示されるアミン−ビスカルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるビスフォルミル化を行うと、下記一般式(5)で示されるアミン−ビスカルボニル中間体のうち、R1が水素原子であるアミン−ビスアルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるビスアシル化を行うと、下記一般式(5)で示されるアミン−ビスカルボニル中間体のうち、R1が水素原子以外の基であるアミン−ビスケト中間体を製造することができる。
電荷発生層15の形成方法としては、電荷発生物質12を導電性支持体11上に真空蒸着する方法、または溶剤中に電荷発生物質12を分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性支持体11上に塗布する方法などがある。これらの中でも、結着剤であるバインダ樹脂を溶剤中に溶解して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質12を従来公知の方法によって分散し、得られた塗布液を導電性支持体11上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミル又はサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷輸送層16は、前記一般式(1)、(2)又は(3)で示される本発明の有機光導電性材料を、電荷発生物質12で発生した電荷を輸送する能力を有する電荷輸送物質13として、バインダ樹脂17中に含有させることによって得られる。前記一般式(1)、(2)又は(3)で示される有機光導電性材料は、前述の表3に示す例示化合物などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。なお、有機光導電性材料は、他の電荷輸送物質と混合されて使用されてもよい。
前述のように、電荷輸送物質13は前記一般式(1)、(2)及び(3)で示される電荷移動度の高い本発明の有機光導電性材料を含むので、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂を加えても、光応答性を維持することができる。したがって、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層16の耐刷性を向上させ、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
電荷輸送層16の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層16の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層16の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
電子受容物質には、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン及びテレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン及び1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン及び2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、ならびにジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料、またはこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることができる。
また色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料又は銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
図2は、本発明による電子写真感光体の他の実施形態例である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体2は、図1に示す電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。注目すべきは導電性支持体11と感光層14との間に中間層18が設けられることである。
すなわち、導電性支持体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ポチなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となる。前述の中間層18を設けることによって、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができるので、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。また中間層18を設けることによって、導電性支持体11表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性支持体11からの剥離を抑え、導電性支持体11と感光層14との接着性を向上させる。
金属酸化物粒子としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
中間層18に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、例えば、前述の樹脂が溶解した樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11上に塗布することによって中間層18を形成することができる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としてはボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル又は超音波分散機等を用いる一般的な方法を使用することができる。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法などを挙げることができる。特に浸漬塗布法は、前述したように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、中間層18を形成する場合にも多く利用されている。
注目すべきは、電子写真感光体3が、電荷発生物質12と電荷輸送物質13との両者をバインダ樹脂17中に含有させてなる単層構造からなる感光層14を有する単層型感光体であることである。
感光層14は、前述の電荷輸送層13を形成する場合と同様の方法で形成される。例えば、前述の電荷発生物質12と前記一般式(1)、(2)又は(3)で示される本発明の有機光導電性材料を含む電荷輸送物質13とバインダ樹脂17とを、前述の適当な溶剤に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液を浸漬塗布法などによって中間層18上に塗布することによって形成される。
感光層14の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層140の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層140の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。したがって、5μm以上100μm以下とした。
本発明による電子写真感光体は、以上に述べた図1〜図3に示す構成に限定されることなく、種々の層構成を採ることができる。
特に酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物およびアミン系化合物などを挙げることができる。これらの酸化防止剤は、電荷輸送物質13に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲で使用されることが好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1質量%未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。酸化防止剤の使用量が50質量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、0.1質量%以上50質量%以下とした。
図4は、本発明による電子写真感光体を備える画像形成装置の構成を簡略化して示す構成図である。
図に示す如く画像形成装置5は、本発明による電子写真感光体10(以下、単に「感光体10」とも称する。)を備える。感光体10は、円筒状であって、図示しない駆動手段によって参照符41の方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体10の周囲には、感光体10の回転方向に沿って、帯電器32、図示しない半導体レーザ、現像器33、転写帯電器34、クリーナ36がこの順序で設けられる。また転写紙51の進行方向には定着器35が設けられる。
現像器33において感光体10の表面43に形成されたトナー画像は、転写帯電器34によって転写紙51の表面上に転写される。トナー画像が転写された転写紙51は図示しない搬送ベルトによって定着器35に搬送され、定着器35によってトナー画像が転写紙51に定着され、画像の一部が形成される。
感光体10の表面43上に残留するトナーは、転写帯電器34のさらに回転方向下流側であって帯電器32の回転方向上流側に、図示しない除電ランプと共に設けられるクリーナ36によって除去される。感光体10をさらに回転させることによって以上の過程が繰返され、転写紙51上に画像が形成される。このようにして画像が形成された転写紙51は、画像形成装置5の外部に排紙される。
したがって、各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。また、電子写真感光体10は光暴露によって性能低下をすることがないので、メンテナンス時などに感光体が光に曝されることによる画質の低下を防ぎ、画像形成装置の信頼性を向上させることができる。
(製造例1)例示化合物No.1(表3−1)の製造
(製造例1−1)アミン−ビスアルデヒド中間体の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100ml中に、氷冷下、オキシ塩化リン18.4g(2.4当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、下記構造式(7)で示されるトリアリールアミン中間体16.9g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を110℃まで上げ、110℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)水酸化ナトリウム水溶液800ml中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物17.4gを得た。
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(8)で示されるトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体(分子量の計算値:395.12)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが396.4に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(8)で示されるトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体であることが判った(収率:88%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体の純度は99.0%であることが判った。
製造例1−1で得られた前記構造式(8)で示されるトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体7.90g(1.0当量)と、下記構造式(9)で示されるジエチルシンナミルホスホネート12.2g(2.4当量)とを、無水DMF80mlに溶解させ、その溶液中にカリウム−t−ブトキシド5.6g(3.5当量)を0℃で徐々に加えた、その後室温で1時間放置し、さらに50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶10.9gを得た。
LC−MSの分析結果から、得られた結晶は、例示化合物No.1であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、その純度は99.3%であることが判った。
以上のように、前記構造式(8)で示されるトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体と、Wittig試薬である前記構造式(9)で示されるジエチルシンナミルホスホネートとのWittig−Horner反応を行うことによって、表3−1に示す例示化合物No.1を得ることができた。
製造例1−1で得られた前記構造式(8)で示されるトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体1.80g(1.0当量)と、下記構造式(10)で示されるWittig試薬3.06g(2.4当量)とを、無水DMF15mlに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド1.42g(2.5当量)を0℃で徐々に加えた、その後室温で1時間放置し、さらに50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶2.38gを得た。
以上のように、前記構造式(8)で示されるトリアリールアミン−ビスアルデヒド中間体と前記構造式(10)で示されるウィッティッヒ試薬とのウィッティッヒ−ホルナー反応を行うことによって、表3−3に示す例示化合物No.46を得ることができた。
電荷発生物質12である下記構造式(11)で示されるアゾ化合物1質量部を、THF99質量部にフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製:PKHH)1質量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、導電性支持体11である、表面にアルミニウムが蒸着された膜厚80μmのポリエステルフィルムのアルミニウム上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
以上のようにして、図1に示す構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、例示化合物No.15(表3−1)、30(表3−2)又は69(表3−4)の非対称構造からなるアミン−ビスジエンあるいは−ビストリエン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(12)で示される比較化合物Aを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(14)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。しかしながら本サンプルは製膜/乾燥後、シート表面上に比較化合物Cの相溶性の悪さに起因する微小結晶が無数に生じ現れ、移動度を測定することができなかった。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(15)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
以上の実施例1〜4及び比較例1〜4で作製した各電子写真感光体について、各電子写真感光体の感光層の表面に金を蒸着し、室温、減圧下で、飛行時間(Time−of−Flight)法によって電荷輸送物質13の電荷移動度を測定した。表4に測定結果を示す。なお、表4に示す電荷移動度の値は、電界強度が2.5×105V/cmのときの値である。
酸化アルミニウム(Al2O3)及び二酸化ジルコニウム(ZrO2)で表面処理を行った樹脂状の酸化チタン(石原産業(株)製:TTO−D−1)9質量部と共重合ナイロン樹脂(東レ(株)製:CM8000)9質量部とを、1,3−ジオキソラン41質量部とメタノール41質量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。調製した中間層用塗布液を、導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
次いで、電荷発生物質12である下記構造式(16)で示されるアゾ化合物2質量部を、THF97質量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製:BX−1)1質量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで10時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層18の上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
以上のようにして、図2に示す構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、例示化合物No.23、36又は69の非対称構造からなるアミン−ビスジエンあるいは−ビストリエン化合物を用いる以外は実施例5と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(12)で示される比較化合物A又は前記構造式(13)で示される比較化合物B又は前記構造式(15)で示される比較化合物Dを用いる以外は、実施例5と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
実施例5と同様にして、中間層用塗布液を調製し、これを導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上に塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
次に、電荷発生物質12である前記構造式(16)で示されるアゾ化合物1質量部、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製:Z−400)12質量部、電荷輸送物質13である例示化合物No.1の特定の環状飽和構造が導入されたトリフェニルアミン−ブタジエン化合物10質量部、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5質量部及びTHF65質量部をボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。調製した感光層用塗布液を、先に形成した中間層18上に、ベーカアプリケータによって塗布した後、110℃で1時間、熱風乾燥し、図3に示す膜厚20μmの感光層14を形成した。
以上のようにして、図3に示す構成の単層型の電子写真感光体を作製した。
電荷発生物質12に、前記構造式(16)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用いる以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷発生物質12に、前記構造式(16)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、例示化合物No.2、30又は46の非対称構造からなるアミン−ビスジエンあるいは−ビストリエン化合物を用いる以外は、実施例5と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
電荷発生物質12に、前記構造式(16)で示されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(12)で示される比較化合物A又は前記構造式(13)で示される比較化合物B又は前記構造式(15)で示される比較化合物Dを用いる以外は、実施例5と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
以上の実施例5〜13及び比較例5〜10で作製した各電子写真感光体について、静電複写紙試験装置((株)川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて初期特性及び繰返し特性を評価した。なお、初期特性及び繰返し特性の評価は、温度22℃、相対湿度(Relative Humidity)65%(22℃/65%RH)の常温/常湿環境下(以下、N/N環境下と称する)と、温度5℃、相対湿度20%(5℃/20%RH)の低温/低湿環境下(以下、L/L環境下と称する)とにおいて行った。
初期特性の評価は以下のように行った。感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V0(V)として測定した。ただし、実施例9の単層型感光体の場合には、プラス(+)5kVの電圧を印加した。次に、帯電された感光体表面に対して露光を施した。このとき、感光体の表面電位を帯電電位V0から半減させるために要したエネルギーを半減露光量E1/2(μJ/cm2)として測定し、感度の評価指標とした。また露光開始から10秒間経過した時点の感光体の表面電位を残留電位Vr(V)として測定し、光応答性の評価指標とした。なお、露光には、電荷発生物質12に、前記構造式(13)で示されるアゾ化合物を用いた実施例5〜9および比較例5、6、7の感光体の場合には露光エネルギー1μW/cm2の白色光を用い、X型無金属フタロシアニンを用いた実施例10〜13および比較例8、9、10の感光体の場合にはモノクロメータにて分光して得られた波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2の光を用いた。
繰返し特性の評価は、以下のように行った。前述の帯電および露光の操作を1サイクルとして5000回繰返した後、初期特性の評価と同様にして、半減露光量E1/2、帯電電位V0及び残留電位Vrを測定した。
以上の測定結果を表5に示す。
酸化アルミニウム(Al2O3)及び二酸化ジルコニウム(ZrO2)で表面処理を行った樹枝状の酸化チタン(石原産業(株)製:TTO−D−1)9質量部及び共重合ナイロン樹脂(東レ(株)製:CM8000)9質量部を、1,3−ジオキソラン41質量部とメタノール41質量部との混合溶剤に加えた後、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層用塗布液を調製した。この中間層塗布液を塗工槽に満たし、直径40mm、全長340mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体11を塗工槽に浸漬した後引上げることによって、膜厚1.0μmの中間層18を導電性支持体11上に形成した。
次いで、電荷発生物質12であるオキソチタニウムフタロシアニンとしてCu−Kα特性X線(波長:1〜54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンの2質量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製:エスレックBM−S)1質量部と、メチルエチルケトン97質量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層18と同様の方法、すなわち浸漬塗布法にて、先に形成した中間層18上に塗布することによって、膜厚0.4μmの電荷発生層15を中間層18上に形成した。
次いで、電荷輸送物質13である例示化合物No.1の特定のアリール基あるいは環状飽和構造が導入されかつ、非対称構造からなるトリアリールアミン−ジエン化合物10質量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱E.P.(株)製:ユーピロンZ200)20質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1質量部と、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF−96)0.004質量部とを、テトラヒドロフラン110質量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した中間層18と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層15上に塗布した後、110℃にて1時間乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層16を形成した。
以上のようにして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、例示化合物No.2又は69の特定のアリール基あるいは環状飽和構造が導入されかつ、非対称構造からなるトリアリールアミン−ジエンあるいは−トリエン化合物を用いる以外は、実施例14と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(12)で示される比較化合物Aを用いる以外は、実施例14と同様にして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を25質量部とする以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を25質量部とし、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表3に示す例示化合物No.15又は30の非対称構造からなるアミン−ビスジエンあるいは−ビストリエン化合物を用いる以外は、実施例14と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を10質量部とする以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を31質量部とする以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
ただし、電荷輸送層16の形成の際、実施例14と同量のテトラヒドロフランではポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製することができなかったので、テトラヒドロフランを追加し、ポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製し、これを用いて電荷輸送層16を形成した。
しかしながら、電荷輸送層用塗布液中の溶剤の量が過剰であるために、円筒状の感光体の長手方向端部にブラッシング現象による白濁が生じ、特性評価を行うことができなかった。
以上の実施例14〜19、参考例1〜2及び比較例11で作製した各電子写真感光体について、耐刷性及び電気特性の安定性の評価を以下のように行った。
作製した各電子写真感光体を、プロセススピードを117mm/secとしたデジタル複写機(シャープ(株)製:AR−C150)にそれぞれ搭載した。画像形成を40,000枚行った後、感光層の膜厚d1を測定し、この値と作製時の感光層の膜厚d0との差を膜減り量Δd(=d0−d1)として求め、耐刷性の評価指標とした。
また複写機内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(ジェンテック社製:CATE751)を設け、22℃/65%RHのN/N環境下において、帯電直後の表面電位である帯電電位V0(V)およびレーザ光によって露光を施した直後の表面電位VL(V)を測定した。また5℃/20%RHのL/L環境下においても同様にして、レーザ光によって露光を施した直後の表面電位VLを測定した。N/N環境下で測定した表面電位VLをVL(1)とし、L/L環境下で測定した表面電位VLをVL(2)としたとき、VL(1)とVL(2)との差を電位変動ΔVL(=VL(2)−VL(1))として求め、電気特性の安定性の評価指標とした。なお、感光体表面の帯電は、負帯電プロセスで行った。
これらの評価結果を表6に示す。
実施例14〜19と参考例1、2との比較から、電荷輸送物質(A)とバインダ樹脂(B)との比率A/Bが10/12〜10/30の範囲にある実施例17〜19の感光体の方が、前記比率A/Bが10/10であり10/12を超え、バインダ樹脂の比率が低い参考例1の感光体よりも、膜減り量Δdが小さく、耐刷性が高いことが判った。
以上のように、本発明の有機光導電性材料を含有させて電荷輸送層を形成することによって、バインダ樹脂の比率を高くしても光応答性を低下させることなく、電荷輸送層の耐刷性を向上させることができた。
5 画像形成装置
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 レーザビーム
32 帯電器
33 現像器
34 転写帯電器
35 定着器
36 クリーナ
51 転写紙
Claims (9)
- 下記一般式(2)で示される非対称性アミン−ビスジエン系化合物。
- 前記一般式(2)で示される化合物が、下記一般式(3)で示される非対称性アミン−ビスジエン系化合物。
- 導電性支持体上に設けられた電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層を備えた電子写真感光体において、当該電荷輸送物質として下記一般式(2)で示される非対称性アミン−ビスジエン系化合物を有機光導電性材料として含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記有機光導電性材料が、下記一般式(3)で示される非対称性アミン−ビスジエン系化合物である請求項3記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生物質が、Cu−Kα特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンを含有するものである請求項3〜4の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層と電荷輸送層との積層構造からなる請求項3〜5の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層が、電荷輸送物質(A)と前記バインダ樹脂(B)との比率A/B(質量比)で10/12〜10/30を含有する請求項3〜6の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光体が、導電性支持体と前記感光層との間に中間層が設けられたものである請求項3〜7の何れかに記載の電子写真感光体。
- 請求項3〜8の何れかに記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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