JP2004264351A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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博 杉村
Akihiro Kondo
晃弘 近藤
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【課題】機械的強度に優れ、かつ長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体を提供する。
【解決手段】電子写真感光体1の感光層14に、たとえば下記構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂と、たとえば下記構造式(2−1)で示されるエナミン化合物とを含有させる。このことによって、優れた機械的強度と良好な電気特性とを有する電子写真感光体1が実現される。
【化26】
Figure 2004264351

【化27】
Figure 2004264351

【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、より詳細には、特定の樹脂と特定の電荷輸送物質とを含有する感光層を有する電子写真感光体、電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真技術は、複写機の分野に限らず、従来では写真技術が使われていた印刷版材、スライドフィルムおよびマイクロフィルムなどの分野においても利用されており、レーザ、発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称:LED)または陰極線管(Cathode Ray Tube;略称:CRT)などを光源とする高速プリンタにも応用されている。電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真プロセスでは、以下のようにして画像を形成する。まず、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)の表面を所定の電位に帯電させ、帯電された感光体の表面に画像情報に応じた露光を施すことによって静電潜像を形成する。形成された静電潜像を、トナーなどを含む現像剤で現像し、トナー画像として顕像化する。トナー画像を、感光体の表面から紙などの記録媒体上に転写し、転写された像を定着させることによって画像を形成する。電子写真技術の応用範囲の拡大に伴い、電子写真感光体に対する要求は、高度で幅広いものになりつつある。
【0003】
電子写真感光体は、導電性材料から成る導電性支持体と、導電性支持体上に設けられる感光層とを含んで構成される。従来から、電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛またはカドミウムなどの無機光導電性材料を主成分とする感光層を備える無機感光体が広く用いられている。無機感光体は、感光体としての基礎特性をある程度は備えているけれども、感光層の成膜が困難で、可塑性が悪く、製造原価が高いなどの問題がある。また無機光導電性材料は一般に毒性が強く、製造上および取り扱い上、大きな制約がある。
【0004】
これに対し、有機光導電性材料を用いた感光層を備える有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に電子写真感光体の主力として開発されてきている。初期の有機感光体は感度および耐久性に欠点を有していたけれども、これらの欠点は電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた機能分離型電子写真感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、電荷発生機能を担う電荷発生物質および電荷輸送機能を担う電荷輸送物質それぞれの材料選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
【0005】
近年、有機光導電性材料は、幅広く研究開発され、電子写真感光体に利用されるだけでなく、静電記録素子、センサ材料または有機エレクトロルミネセント(Electro Luminescent;略称:EL)素子などに応用され始めている。機能分離型感光体の電荷発生物質に使用される有機光導電性材料としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料およびピリリウム塩系色素などの多種の物質が検討され、耐光性が強く電荷発生能力の高い種々の材料が提案されている。
【0006】
一方、電荷輸送物質に使用される有機光導電性材料としては、たとえばピラゾリン化合物(たとえば、特許文献1参照)、ヒドラゾン化合物(たとえば、特許文献2、特許文献3および特許文献4参照)、トリフェニルアミン化合物(たとえば、特許文献5および特許文献6参照)およびスチルベン化合物(たとえば、特許文献7および特許文献8参照)などの種々の化合物が知られている。最近では、縮合多環式炭化水素系をその中心母核に持つ、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体およびターフェニル誘導体(たとえば、特許文献9参照)なども開発されている。
【0007】
これらの電荷発生物質および電荷輸送物質は、通常、感光体の機械的強度を確保するために、結着剤であるバインダ樹脂に分散または溶解した形で用いられる。バインダ樹脂に使用される樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂などの数多くの樹脂が提案されている。
【0008】
電子写真プロセスにおいて電子写真感光体に要求される性能は、たとえば、帯電された時の表面電位が高いこと、キャリア保持率が高いこと、光感度が高いこと、あらゆる環境下においてこれらの電気特性の変動が少ないことなどである。また、感光層の膜強度が高く、繰返し使用した場合の耐摩耗性に優れ、使用期間を通じて特性の安定性が高いこと、すなわち耐久性の高いことも求められる。また、一般に感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質およびバインダ樹脂を適当な溶媒に溶解または分散して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布することによって形成されるけれども、感光体の生産効率を向上させるために、その塗布液には物理的にも化学的にも安定であることが要求される。
【0009】
このような要求の中でも、実用化されている有機感光体の主な課題は耐久性である。実用化されている有機感光体は、繰返し使用した場合に、感光層の膜削れや電気的変化、化学的変化に起因する帯電電位の低下および残留電位の上昇などの特性変化を起こしやすいという問題がある。これは、帯電および露光による静電潜像の形成、トナー画像の記録媒体への転写、転写後に感光体表面に残留するトナーをブレードなどで除去するという工程が幾度ともなく繰返される電子写真プロセスにおいて、感光層の耐刷性が充分でないこと、電子写真プロセス中に感光体が光またはオゾンや窒素酸化物などに暴露されることによって、感光層中に含まれる電荷輸送物質などの有機光導電性材料の変性や分解が引き起こされることが主要因である。したがって、主として感光体の表面層となる感光層に含有されるバインダ樹脂および電荷輸送物質の役割は非常に重要である。
【0010】
バインダ樹脂としては、前述の樹脂の中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパン(慣用名:ビスフェノールA)またはこの誘導体を原料とするビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂が主に用いられている。しかしながら、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂をバインダ樹脂として用いた電子写真感光体には、以下のような欠点がある。ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂は、結晶性が高いので、その溶液はゲル化を起こしやすく、塗布によって膜を形成する場合に塗布液が短期間で使用不可能となる。また、塗布によって膜を形成すると、形成された膜表面に結晶化したポリカーボネート樹脂が析出することがあるので、作製した感光体を複写機などの電子写真装置で使用した際に、ポリカーボネート樹脂が結晶化して生じた凸部にトナーが付着し、その部分のトナーがクリーニングによって除去されずに残り、クリーニング不良による画像欠陥の生じることがある。また、電子写真装置において現像工程やクリーニング工程で擦られることによって、感光層表面に傷が付きやすく、感光層が摩耗しやすい。すなわち、耐久性が低い。
【0011】
これらの欠点を解消するために、種々の樹脂が提案されている。たとえば、ビスフェノールAと他の分子との共重合体が検討されている。しかしながら、充分な成果は得られていない。また、感光層表面に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂に代えて、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェノール)シクロヘキサン(慣用名:ビスフェノールZ)またはこの誘導体を原料とするビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂をバインダ樹脂として含有させることによって、耐久性を改良する技術が提案されている(たとえば、特許文献10参照)。しかしながら、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂をバインダ樹脂として用いた感光体は、耐刷性および耐摩耗性は良好であるけれども、初期感度が悪く、高温高湿環境下で繰返し使用すると残留電位が上昇するという欠点を有している。また、新規な特定構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている(特許文献11参照)。
【0012】
また、各種の樹脂の欠点を補うために、2種以上の樹脂を混合して用いることが検討されている。たとえば、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂との混合(特許文献12参照)または対称性ジオールから合成されるポリカーボネート樹脂と非対称性ジオールから合成されるポリカーボネート樹脂との混合(特許文献13参照)などが提案されている。しかしながら、感光体の耐久性の向上には、バインダ樹脂と電荷輸送物質とをそれぞれ独立に改良するだけでは不充分であり、両者の相互作用や相溶性などを考慮に入れて改良しなければならない。
【0013】
また、ポリアリレート樹脂を用いることが検討されている。ポリアリレート樹脂は、ポリカーボネート樹脂と類似の構造を有するけれども、これらの樹脂を用いた感光体の特性には差がある。ポリアリレート樹脂を用いた感光体は、機械的強度に優れることが知られているけれども、ポリアリレート樹脂を電荷輸送層のバインダ樹脂として用いた場合、使用される電荷輸送物質の構造によっては、電位保持率の低下や残留電位の上昇などの特性変化が起こりやすいという欠点がある。
【0014】
一方、電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真装置の転写手段には、従来から、記録媒体に電荷を付与し感光体表面上のトナーを引き付ける電界を発生させることによって感光体表面上のトナー画像を記録媒体上に転写させる転写帯電器が用いられている。しかしながら、転写帯電器で転写を行う場合、転写部位において記録媒体は静電気的に感光体に付着しているだけであり、固定されていないので、転写時にトナー画像が記録媒体に精度良く転写されない転写ぶれと呼ばれる現象が発生しやすい。この現象は、アナログまたは低解像度の電子写真装置では顕在化することは少なかったけれども、近年、デジタル化および高解像度化が進み、この転写ぶれが問題となっている。
【0015】
この転写ぶれを防止するために、転写帯電器の代わりに転写ローラを用いる場合が多くなっている。転写ローラを用いて転写を行う場合、導電性ゴムなどで構成されるローラ状の帯電部材である転写ローラを、感光体表面に当接する記録媒体の当接面の反対面側から感光体に対して押圧させることによって、感光体と記録媒体とを圧接した状態で電荷を印加する。転写ローラを用いることによって転写ぶれを防止することができる。しかしながら、圧接が弱いと、トナー画像の一部が記録媒体に転写されずに残り、画像に白い部分が生じる白抜け現象が起きやすいので、押圧力を高くする必要がある。押圧力を高くすると、記録媒体や転写ローラとの摩擦によって感光層の削れ量が増加するという新たな問題が生じる。したがって、感光体に対して、ますます高い機械的強度が要求されるようになっている。
【0016】
このような要求から、前述の機械的強度に優れるポリアリレート樹脂を用いた感光体について様々な改良が試みられている。たとえば、ポリアリレート樹脂と他の樹脂とを混合して用いる感光体(特許文献14および特許文献15参照)、ポリアリレート樹脂と他の樹脂とにさらにポリシロキサンを混合することによって表面の平滑性と電気特性の安定化とを両立させた感光体(特許文献16および特許文献17参照)、ポリアリレート樹脂またはポリアリレート樹脂に類似する構造を有するポリエステル樹脂と特定の電荷輸送物質とを組み合わせることによって電気的耐久性と機械的耐久性との両立を図った感光体(特許文献18および特許文献19参照)などが提案されている。
【0017】
【特許文献1】
特公昭52−4188号公報
【特許文献2】
特開昭54−150128号公報
【特許文献3】
特公昭55−42380号公報
【特許文献4】
特開昭55−52063号公報
【特許文献5】
特公昭58−32372号公報
【特許文献6】
特開平2−190862号公報
【特許文献7】
特開昭54−151955号公報
【特許文献8】
特開昭58−198043号公報
【特許文献9】
特開平7−48324号公報
【特許文献10】
特許第2844215号公報
【特許文献11】
特許第3258537号公報
【特許文献12】
特公平3−49426号公報
【特許文献13】
特開平6−317917号公報
【特許文献14】
特開平10−20517号公報
【特許文献15】
特開2000−221722号公報
【特許文献16】
特開平6−89038号公報
【特許文献17】
特開平7−114191号公報
【特許文献18】
特開平10−268535号公報
【特許文献19】
特開2001−215741号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の電子写真装置のデジタル化および高解像度化からのさらに高い機械的強度に対する要求と感光体の長寿命化の要請からの電気特性の長期安定化に対する要求との両方を充分に満足する感光体は得られていない。
【0019】
本発明の目的は、機械的強度に優れる特定の樹脂と電荷輸送性能に優れる特定の電荷輸送物質とを組み合わせることによって、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体、該電子写真感光体を備え、長期に渡って交換不要なプロセスカートリッジおよび高解像度化に適する転写手段を具備可能な電子写真装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性材料から成る導電性支持体と、
前記導電性支持体上に設けられ、下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂および下記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含有する感光層とを有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0021】
【化4】
Figure 2004264351
【0022】
(式中、Xは、単結合または−CR−を示す。ここで、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。またRおよびRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。R,R,RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R,R,RおよびR10は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。)
【0023】
【化5】
Figure 2004264351
【0024】
(式中、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。R11は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R12,R13およびR14は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR12は同一でも異なってもよく、複数のR13は同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。)
【0025】
本発明に従えば、電子写真感光体の導電性支持体上に設けられる感光層は、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂および前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含有する。前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、機械的強度に優れる。感光層は、電子写真プロセスにおいて、静電潜像を現像して得られる感光体表面上のトナー画像を記録媒体に転写する際または転写後に感光体表面に残存するトナーを除去する際などに用いられる当接部材によって削られ摩耗するけれども、本発明の電子写真感光体に設けられる感光層は、前述のように、機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、感光層の摩耗量は少なく、耐摩耗性に優れ、感光層の膜削れに起因する特性変化は小さい。また、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れ、かつ高い電荷移動度を有するので、感光層が前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する場合であっても、帯電電位が高く、高感度で、充分な応答性を示し、繰返し使用した場合であってもこれらの電気特性の低下することのない電子写真感光体を得ることができる。したがって、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂と前記一般式(2)で示されるエナミン化合物とを組合せて感光層に含有させることによって、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体を得ることができる。
【0026】
また本発明は、前記感光層は、前記一般式(1)において、Xが−CR−であって、R、R、R、R、RおよびRが共にメチル基であり、R、R、RおよびR10が共に水素原子である構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、前記感光層は、前記一般式(1)において、Xが−CR−であって、R、R、R、R、RおよびRが共にメチル基であり、R、R、RおよびR10が共に水素原子である構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する。前記ポリアリレート樹脂は、溶媒に対する溶解性に優れるので、塗布によって感光層を形成する場合に、塗布液の安定性を向上させることができる。したがって、電子写真感光体の生産効率を向上させることができる。
【0028】
また本発明は、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、下記一般式(3)で示されるエナミン化合物であることを特徴とする。
【0029】
【化6】
Figure 2004264351
【0030】
(式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0031】
本発明に従えば、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(3)で示されるエナミン化合物であるので、特に高い電荷移動度を有する。すなわち、感光層は、前記一般式(3)で示される特に高い電荷移動度を有するエナミン化合物を含有するので、帯電電位が高く、高感度で、充分な応答性を示し、また耐久性に優れ、高速の電子写真プロセスに用いた場合であってもこれらの特性の低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。
【0032】
また本発明は、前記感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質および前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する電荷輸送層とが、前記導電性支持体から外方に向かってこの順序で積層されて成る積層構造から成ることを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質および前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する電荷輸送層とが、導電性支持体から外方に向かってこの順序で積層されて成る積層構造から成る。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、繰返し使用時の安定性がさらに向上した耐久性の高い電子写真感光体を得ることができる。また、このような積層構造から成る感光層では、電荷輸送層が、電子写真プロセスにおいて、静電潜像を現像して得られる感光体表面上のトナー画像を記録媒体に転写する際または転写後に感光体表面に残存するトナーを除去する際などに用いられる当接部材によって削られ摩耗するけれども、本発明の電子写真感光体に設けられる電荷輸送層は、前述のように、機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、電荷輸送層の摩耗量は少ない。したがって、耐摩耗性に優れ、感光層の膜削れに起因する特性変化の小さい電子写真感光体を得ることができる。
【0034】
また本発明は、前記導電性支持体と前記感光層との間には、中間層が設けられることを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられる。このことによって、導電性支持体から感光層への電荷の注入を防止することができるので、感光層の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の部分の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥の発生することを防止することができる。また導電性支持体表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層の成膜性を高めることができる。また感光層の導電性支持体からの剥離を抑え、導電性支持体と感光層との接着性を向上させることができる。
【0036】
また本発明は、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジであって、
前記本発明の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施すことによって形成される静電潜像を現像する現像手段および現像された画像を記録媒体上に転写させた後に前記電子写真感光体を清掃する清掃手段からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段とを一体的に備えることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0037】
本発明に従えば、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジは、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段および清掃手段からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段とを一体的に備える。このことによって、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段および清掃手段からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段とを、電子写真装置本体に対して個別に装着または取外しする必要がないので、電子写真装置本体に対して容易に装着または取外しすることができる。また、前記本発明のプロセスカートリッジに備わる前記本発明の電子写真感光体は、前述のように、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することができるので、長期に渡って交換不要なプロセスカートリッジを得ることができる。
【0038】
また本発明は、前記本発明の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、
露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、
現像された画像を記録媒体上に転写させる転写手段とを備えることを特徴とする電子写真装置である。
【0039】
本発明に従えば、電子写真装置は、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを備える。前記本発明の電子写真感光体は、前述のように、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することができる。したがって、前述のように前記本発明の電子写真感光体を備えることによって、長期に渡って高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を得ることができる。
【0040】
また本発明は、前記転写手段は、前記電子写真感光体と前記記録媒体とを圧接させることによって、現像された画像を前記記録媒体上に転写させることを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、転写手段は、電子写真感光体と記録媒体とを圧接させることによって、現像された画像を記録媒体上に転写させる。このような転写手段を用いる場合、電子写真感光体には転写手段が押圧される。前記本発明の電子写真感光体の感光層は、前述のように、機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、感光層の摩耗量は少なく、感光層表面における傷の発生もほとんどない。したがって、転写手段による押圧力を高め、記録媒体への転写効率を向上させることができるので、転写ずれ、白抜けまたは中抜けなどの画像欠陥の少ない高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
図1(a)は、本発明の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す斜視図である。図1(b)は、電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。電子写真感光体1(以下、単に「感光体」と略称することがある)は、導電性材料から成る円筒状の導電性支持体11と、導電性支持体11の外周面上に設けられる感光層14とを含んで構成される。感光層14は、光を吸収することによって電荷を発生させる電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷発生物質12で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質13および電荷輸送物質13を結着させるバインダ樹脂17を含有する電荷輸送層16とが、導電性支持体11の外周面上にこの順序で積層されて成る積層構造から成る。すなわち、電子写真感光体1は、積層型感光体である。
【0044】
電荷輸送層16に含有されるバインダ樹脂17には、下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂が用いられる。
【0045】
【化7】
Figure 2004264351
【0046】
前記一般式(1)において、Xは、単結合または−CR−を示す。ここで、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。またRおよびRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0047】
ここで、単結合とは、Xの両側のベンゼン環が直接結合していることを意味する。前記一般式(1)において、Xが単結合であるものの具体例としては、たとえば後述する表4に示す構造式(1−20)で示される構成単位などを挙げることができる。
【0048】
およびRの具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子、メチル、トリフルオロメチル、イソプロピルおよびブチルなどのアルキル基、ならびにフェニル、トリル、α―ナフチルおよびβ―ナフチルなどのアリール基を挙げることができる。RおよびRが互いに結合して、RおよびRの結合する炭素原子と共に形成する環構造の具体例としては、シクロヘキシリデンおよびシクロペンチリデンなどのシクロアルキリデン基、フルオレニリデン基、ならびに1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフチリデン基などの単環式または多環式炭化水素の環炭素原子に結合する2個の水素原子を除いてできる2価基などを挙げることができる。
【0049】
また前記一般式(1)において、R,R,RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R,R,RおよびRの具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子、メチル、トリフルオロメチル、イソプロピルおよびブチルなどのアルキル基、ならびにフェニル、トリル、α―ナフチルおよびβ―ナフチルなどのアリール基を挙げることができる。
【0050】
また前記一般式(1)において、R,R,RおよびR10は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R,R,RおよびR10の具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子、メチル、トリフルオロメチル、イソプロピルおよびブチルなどのアルキル基、ならびにフェニル、α―ナフチルおよびβ―ナフチルなどのアリール基などを挙げることができる。
【0051】
前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、機械的強度に優れる。
【0052】
感光層14は、前述のように、電荷発生層15と電荷輸送層16とが導電性支持体11の外周面上にこの順序で積層されて成る積層構造から成るので、電荷輸送層16は、電子写真プロセスにおいて、静電潜像を現像して得られる感光体表面上のトナー画像を記録媒体に転写する際または転写後に感光体表面に残存するトナーを除去する際などに用いられる当接部材によって削られ摩耗する。
【0053】
しかしながら、本実施形態の電子写真感光体1に設けられる電荷輸送層16は、前述のように、機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、電荷輸送層16の摩耗量は少ない。したがって、耐摩耗性に優れ、感光層14の膜削れに起因する特性変化の小さい電子写真感光体を得ることができる。
【0054】
前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂のうち、好ましいものとしては、前記一般式(1)において、Xが−CR−であって、R、R、R、R、RおよびRが共にメチル基であり、R、R、RおよびR10が共に水素原子である構造単位を有するポリアリレート樹脂を挙げることができる。このポリアリレート樹脂は、溶媒に対する溶解性に優れるので、後述するように塗布によって電荷輸送層16を形成する場合に、塗布液の安定性を向上させることができる。したがって、電子写真感光体の生産効率を向上させることができる。
【0055】
前記一般式(1)で示される構造単位の具体例としては、たとえば以下の表1〜表5に示す構造式で示される構造単位を挙げることができるけれども、前記一般式(1)で示される構造単位は、これに限定されるものではない。
【0056】
【表1】
Figure 2004264351
【0057】
【表2】
Figure 2004264351
【0058】
【表3】
Figure 2004264351
【0059】
【表4】
Figure 2004264351
【0060】
【表5】
Figure 2004264351
【0061】
前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、前述の表1〜表5に示す構造式で示される構造単位などからなる群から選ばれる構造単位を有する樹脂の1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
【0062】
また、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、前記一般式(1)で示される構造単位を1種のみ有しても、2種以上有してもよい。また、機械的強度を損なわない範囲で前記一般式(1)で示される構造単位以外の構造単位を有してもよい。
【0063】
前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、従来公知の方法で製造することができる。たとえば、フタル酸塩化物と各種のビスフェノールとを、アルカリ存在下で水と有機溶媒との混合溶媒中で撹拌し、界面重合させることによって製造することができる。
【0064】
フタル酸塩化物は、通常、得られるポリアリレート樹脂の溶解性を調整するために、テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物との混合物として用いられる。したがって、前記一般式(1)で示される構造単位は、テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物との混合物から製造される形として表されている。
【0065】
テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物との混合比率は、得られるポリアリレート樹脂の溶解性を考慮して決定される。ただし、いずれかの塩化物がフタル酸塩化物の全量の30モル%(mol%)以下になると、得られるポリアリレート樹脂の溶解性が極端に低下することがあるので、テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物との混合比率は、モル比で1対1であることが好ましい。
【0066】
前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、粘度平均分子量が、10,000以上300,000以下であることが好ましく、より好ましくは15,000以上100,000以下である。前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂の粘度平均分子量が10,000未満であると、塗布膜がもろくなり、感光層14表面にキズが発生しやすくなる。前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂の粘度平均分子量が300,000を超えると、塗布によって電荷輸送層16を形成する場合に、塗布液が高粘度となるため均一塗布ができず膜厚のムラが大きくなる。したがって、10,000以上300,000以下とした。
【0067】
前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂は、機械的強度を損なわない範囲で他のバインダ樹脂と混合されて使用されてもよい。他のバインダ樹脂としては、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れるものが選ばれる。具体例としては、たとえば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびに前記一般式(1)で示される構造単位以外の構造単位を有するポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびフェノール樹脂などの樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。
【0068】
電荷輸送層16は、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含むバインダ樹脂17に電荷輸送物質13が結着されて成る。電荷輸送物質13には、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物が用いられる。
【0069】
【化8】
Figure 2004264351
【0070】
前記一般式(2)において、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。ArおよびArの具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルおよびビフェニリルなどのアリール基、ならびにフリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリルおよびN−メチルインドリルなどの複素環基を挙げることができる。
【0071】
また前記一般式(2)において、Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。Arの具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニルおよびp−(フェニルチオ)フェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにイソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0072】
また前記一般式(2)において、ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArの具体例としては、水素原子以外では、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル、p−(フェニルチオ)フェニルおよびp−スチリルフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0073】
またArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。ArとArとを結合する原子の具体例としては、酸素原子および硫黄原子などを挙げることができる。ArとArとを結合する原子団の具体例としては、アルキル基を有する窒素原子などの2価の原子団、ならびにメチレン、エチレン、メチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレン、プロペニレンなどの不飽和アルキレン基、オキシメチレン(化学式:−O−CH−)などのヘテロ原子を含むアルキレン基およびチオビニレン(化学式:−S−CH=CH−)などのヘテロ原子を含む不飽和アルキレン基などの2価基などを挙げることができる。
【0074】
また前記一般式(2)において、aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。aの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0075】
また前記一般式(2)において、R11は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R11の具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子、ならびにメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびトリフルオロメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0076】
また前記一般式(2)において、R12,R13およびR14は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。R12,R13およびR14の具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、フリル、チエニルおよびチアゾリルなどの複素環基、ならびにベンジルおよびp−メトキシベンジルなどのアラルキル基を挙げることができる。
【0077】
また前記一般式(2)において、nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR12は同一でも異なってもよく、複数のR13は同一でも異なってもよい。
【0078】
ただし、前記一般式(2)において、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。
【0079】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前述の前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れ、かつ高い電荷移動度を有するので、電荷輸送層16が前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する場合であっても、帯電電位が高く、高感度で、充分な応答性を示し、繰返し使用した場合であってもこれらの電気特性の低下することのない電子写真感光体を得ることができる。
【0080】
したがって、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂と前記一般式(2)で示されるエナミン化合物とを組合せて電荷輸送層16に含有させることによって、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体を得ることができる。
【0081】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物のうち、好ましい化合物としては、下記一般式(3)で示されるエナミン化合物を挙げることができる。
【0082】
【化9】
Figure 2004264351
【0083】
前記一般式(3)において、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。b,cおよびdの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0084】
また前記一般式(3)において、Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。
【0085】
前記一般式(3)で示されるエナミン化合物は、特に高い電荷移動度を有する。したがって、前記一般式(3)で示されるエナミン化合物を感光層14に含有させることによって、帯電電位が高く、高感度で、充分な応答性を示し、また耐久性に優れ、高速の電子写真プロセスに用いた場合であってもこれらの特性の低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。
【0086】
また前記一般式(2)で示されるエナミン化合物のうち、特性、原価および生産性などの観点から特に優れた化合物としては、ArおよびArがフェニル基であり、Arがフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基またはチエニル基であり、ArおよびArのうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基またはチアゾリル基であり、R11,R12,R13およびR14が共に水素原子であり、nが1であるものを挙げることができる。
【0087】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物の具体例としては、たとえば以下の表6〜表37に示す基を有する例示化合物を挙げることができるけれども、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、これに限定されるものではない。なお、表6〜表37に示す各基は、前記一般式(2)の各基に対応する。たとえば、表6に示す例示化合物No.1は、下記構造式(2−1)で示されるエナミン化合物である。
【0088】
【化10】
Figure 2004264351
【0089】
ただし、ArおよびArが、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成する場合には、表6〜表37のArの欄からArの欄に渡って、ArおよびArが結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にArおよびArが形成する環構造とを合わせて示す。
【0090】
【表6】
Figure 2004264351
【0091】
【表7】
Figure 2004264351
【0092】
【表8】
Figure 2004264351
【0093】
【表9】
Figure 2004264351
【0094】
【表10】
Figure 2004264351
【0095】
【表11】
Figure 2004264351
【0096】
【表12】
Figure 2004264351
【0097】
【表13】
Figure 2004264351
【0098】
【表14】
Figure 2004264351
【0099】
【表15】
Figure 2004264351
【0100】
【表16】
Figure 2004264351
【0101】
【表17】
Figure 2004264351
【0102】
【表18】
Figure 2004264351
【0103】
【表19】
Figure 2004264351
【0104】
【表20】
Figure 2004264351
【0105】
【表21】
Figure 2004264351
【0106】
【表22】
Figure 2004264351
【0107】
【表23】
Figure 2004264351
【0108】
【表24】
Figure 2004264351
【0109】
【表25】
Figure 2004264351
【0110】
【表26】
Figure 2004264351
【0111】
【表27】
Figure 2004264351
【0112】
【表28】
Figure 2004264351
【0113】
【表29】
Figure 2004264351
【0114】
【表30】
Figure 2004264351
【0115】
【表31】
Figure 2004264351
【0116】
【表32】
Figure 2004264351
【0117】
【表33】
Figure 2004264351
【0118】
【表34】
Figure 2004264351
【0119】
【表35】
Figure 2004264351
【0120】
【表36】
Figure 2004264351
【0121】
【表37】
Figure 2004264351
【0122】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前述の表6〜表37に示す例示化合物などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
【0123】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0124】
まず、下記一般式(4)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、下記一般式(5)で示される2級アミン化合物との脱水縮合反応を行うことによって、下記一般式(6)で示されるエナミン中間体を製造する。
【0125】
【化11】
Figure 2004264351
【0126】
(式中、Ar,ArおよびR11は、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0127】
【化12】
Figure 2004264351
【0128】
(式中、Ar,aおよびmは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0129】
【化13】
Figure 2004264351
【0130】
(式中、Ar,Ar,Ar,R11,aおよびmは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0131】
この脱水縮合反応は、たとえば以下のように行う。前記一般式(4)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、これと略等モル量の前記一般式(5)で示される2級アミン化合物とを、芳香族系溶媒、アルコール類またはエーテル類などの溶媒に溶解させ、溶液を調製する。用いる溶媒の具体例としては、たとえばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ブタノールおよびジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。調製した溶液中に、触媒、たとえばp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはピリジニュウム−p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を加え、加熱下で反応させる。触媒の添加量は、前記一般式(4)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物に対して、10分の1(1/10)〜1000分の1(1/1000)モル当量であることが好ましく、より好ましくは25分の1(1/25)〜500分の1(1/500)モル当量であり、50分の1(1/50)〜200分の1(1/200)モル当量が最適である。反応中、水が副成し反応を妨げるので、生成した水を溶媒と共沸させ系外に取除く。これによって、前記一般式(6)で示されるエナミン中間体を高収率で製造することができる。
【0132】
次に、前記一般式(6)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うことによって、下記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うと、下記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R15が水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うと、下記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R15が水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を製造することができる。
【0133】
【化14】
Figure 2004264351
【0134】
(式中、R15は、前記一般式(2)において、nが0のときR14を示し、nが1,2または3のときR12を示す。Ar,Ar,Ar,R11,R12,R14,a,mおよびnは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0135】
ビルスマイヤー反応は、たとえば以下のように行う。N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−Dimethylformamide;略称:DMF)または1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中に、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミド、オキシ塩化リンとN−メチル−N−フェニルホルムアミド、またはオキシ塩化リンとN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、ビルスマイヤー試薬を調製する。調製したビルスマイヤー試薬1.0当量〜1.3当量に、前記一般式(6)で示されるエナミン中間体1.0当量を加え、60〜110℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R15が水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
【0136】
また、フリーデル−クラフト反応は、たとえば以下のように行う。1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中に、塩化アルミニウムと酸塩化物とによって調製した試薬1.0当量〜1.3当量と、前記一般式(6)で示されるエナミン中間体1.0当量とを加え、−40〜80℃で、2〜8時間撹拌する。このとき、場合によっては加熱する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R15が水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を高収率で製造することができる。
【0137】
最後に、前記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体と下記一般式(8−1)または(8−2)で示されるWittig試薬とを塩基性条件下で反応させるWittig−Horner反応を行うことによって、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を製造することができる。このとき、下記一般式(8−1)で示されるWittig試薬を用いると、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物のうち、nが0であるものを得ることができ、下記一般式(8−2)で示されるWittig試薬を用いると、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物のうち、nが1,2または3であるものを得ることができる。
【0138】
【化15】
Figure 2004264351
【0139】
(式中、R16は、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。ArおよびArは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0140】
【化16】
Figure 2004264351
【0141】
(式中、R16は、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。nは1〜3の整数を示す。Ar,Ar,R12,R13およびR14は、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
【0142】
このWittig−Horner反応は、たとえば以下のように行う。トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran;略称:THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの溶媒中に、前記一般式(7)で示されるエナミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(8−1)または(8−2)で示されるWittig試薬1.0〜1.20当量と、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイドまたはナトリウムメトキサイドなどの金属アルコキシド塩基1.0〜1.5当量とを加え、室温または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。これによって、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を高収率で製造することができる。
【0143】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、他の電荷輸送物質と混合されて使用されてもよい。他の電荷輸送物質としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセンなども挙げられる。
【0144】
しかしながら、特に高い電荷輸送能力を実現するためには、電荷輸送物質13の全量が、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物であることが好ましい。
【0145】
電荷輸送層16における電荷輸送物質13(A)とバインダ樹脂17(B)との比率(A/B)は、重量比で12分の10(10/12)以下であることが好ましい。これによって、感光層14の耐摩耗性を向上させることができる。
【0146】
また前記比率A/Bは、後述する浸漬塗布法で電荷輸送層16を形成する場合には、重量比で30分の10(10/30)以上であることが好ましい。前記比率A/Bが10/30未満でありバインダ樹脂17の比率が高くなりすぎると、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶媒の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層16に白濁が発生する。
【0147】
電荷輸送層16には、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤またはレベリング剤などの添加剤を添加してもよい。可塑剤としては、たとえばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
【0148】
また電荷輸送層16には、機械的強度の増強や電気特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。
【0149】
さらに電荷輸送層16には、必要に応じて酸化防止剤および増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。これによって、電位特性を向上させることができる。また後述するように塗布によって電荷輸送層16を形成する際の塗布液の安定性が高まる。また感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
【0150】
酸化防止剤には、ヒンダードフェノール誘導体またはヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。ヒンダードフェノール誘導体は、電荷輸送物質13に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲で使用されることが好ましい。またヒンダードアミン誘導体は、電荷輸送物質13に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲で使用されることが好ましい。ヒンダードフェノール誘導体とヒンダードアミン誘導体とは、混合されて使用されてもよい。この場合、ヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量は、電荷輸送物質13に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲にあることが好ましい。ヒンダードフェノール誘導体の使用量、ヒンダードアミン誘導体の使用量、またはヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量が0.1重量%未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。また50重量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、0.1重量%以上50重量%以下とした。
【0151】
電荷輸送層16は、たとえば適当な溶媒中に、前述の前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13および前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含むバインダ樹脂17、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層15の外周面上に塗布することによって形成される。
【0152】
電荷輸送層用塗布液の溶媒には、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、THF、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。また前述した溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶媒をさらに加えて使用することもできる。
【0153】
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法または浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されており、電荷輸送層16を形成する場合にも多く利用されている。
【0154】
電荷輸送層16の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層16の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層16の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
【0155】
感光層14は、前述のように、電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と電荷輸送物質13を含有する電荷輸送層16との積層構造から成る。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、繰返し使用時の安定性がさらに向上した耐久性の高い感光体を得ることができる。
【0156】
電荷発生層15は、電荷発生物質12を主成分として含有する。電荷発生物質12として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機材料などを挙げることができる。これらの電荷発生物質は、1種が単独でまたは2種以上が組合わされて使用される。
【0157】
これらの電荷発生物質の中でも、オキソチタニウムフタロシアニンを用いることが好ましい。オキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質13に効率よく注入する。また、前述のように、電荷輸送物質13には、前記一般式(2)で示される電荷移動度の高いエナミン化合物が使用される。したがって、光吸収によって電荷発生物質12で発生する電荷は、電荷輸送物質13に効率的に注入されて円滑に輸送されるので、高感度かつ高解像度の電子写真感光体を得ることができる。
【0158】
電荷発生物質12は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用されてもよい。
【0159】
電荷発生層15の形成方法としては、電荷発生物質12を導電性支持体11の外周面上に真空蒸着する方法、または適当な溶媒中に電荷発生物質12を分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布する方法などがある。これらの中でも、適当な溶媒中に結着剤であるバインダ樹脂を混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質12を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
【0160】
電荷発生層15のバインダ樹脂には、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。
【0161】
電荷発生層用塗布液の溶媒には、たとえばジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、またはN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒などが用いられる。また、これらの溶媒を2種以上混合した混合溶媒を用いることもできる。
【0162】
電荷発生物質12とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生物質12の割合が10重量%〜99重量%の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質12の割合が10重量%未満であると、感度が低下する。電荷発生物質12の割合が99重量%を越えると、電荷発生層15の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質12の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の部分の表面電荷が減少することがあるので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。したがって、10重量%〜99重量%とした。
【0163】
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質12を分散させる前に、予め電荷発生物質12を粉砕機によって粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
【0164】
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器や分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
【0165】
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷発生層15を形成する場合にも多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
【0166】
電荷発生層15の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層15の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層15の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。したがって、0.05μm以上5μm以下とした。
【0167】
導電性支持体11を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛およびチタンなどの金属単体、ならびにアルミニウム合金およびステンレス鋼などの合金などの金属材料を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンもしくはポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。なお、導電性支持体11の形状は、本実施形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
【0168】
導電性支持体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、入射するレーザ光と感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥の発生することがある。導電性支持体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
【0169】
図2は、本発明の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。本実施形態の電子写真感光体2は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0170】
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性支持体11と感光層14との間に中間層18が設けられていることである。
【0171】
導電性支持体11と感光層14との間に中間層18がない場合、導電性支持体11から感光層14に電荷が注入され、感光層14の帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の部分の表面電荷が減少し、画像にかぶりなどの欠陥の発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じる。すなわち、導電性支持体11と感光層14との間に中間層18がない場合、導電性支持体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ポチなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となる。
【0172】
しかしながら、本実施形態の電子写真感光体2では、前述のように導電性支持体11と感光層14との間に中間層18が設けられるので、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができる。したがって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の部分の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥の発生することを防止することができる。
【0173】
また中間層18を設けることによって、導電性支持体11表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性支持体11からの剥離を抑え、導電性支持体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
【0174】
中間層18には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。
【0175】
樹脂層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールまたはエチルセルロースなどを用いることもできる。これらの中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロンおよび2−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
【0176】
中間層18は、金属酸化物などの粒子を含有してもよい。これらの粒子を含有させることによって、中間層18の体積抵抗値を調節し、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができるとともに、各種環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
【0177】
金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
【0178】
中間層18に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、中間層18は、たとえば適当な溶媒中に前述の樹脂を溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布することによって形成することができる。
【0179】
樹脂溶液の溶媒には、水または各種有機溶媒が用いられる。特に、水、メタノール、エタノールもしくはブタノールなどの単独溶媒、または水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどの塩素系溶媒とアルコール類などの混合溶媒が好適に用いられる。
【0180】
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルまたは超音波分散機などを用いる一般的な方法を使用することができる。
【0181】
中間層用塗布液中の樹脂および金属酸化物の合計含有量(C)は、中間層用塗布液中の溶媒の含有量(D)に対し、C/Dが重量比で1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂と金属酸化物との比率(樹脂/金属酸化物)は、重量比で90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
【0182】
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。特に浸漬塗布法は、前述したように、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、中間層18を形成する場合にも多く利用されている。
【0183】
中間層18の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層18の膜厚が0.01μmより薄いと、実質的に中間層18として機能しなくなり、導電性支持体11表面の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。中間層18の膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層18を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層18の形成が困難になるとともに、中間層18の外周面上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
【0184】
図3は、本発明の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す概略断面図である。本実施形態の電子写真感光体3は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0185】
電子写真感光体3において注目すべきは、感光層140が、電荷発生物質12と前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13とを、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含むバインダ樹脂17で結着して成る単層構造から成ることである。すなわち、電子写真感光体3が単層型感光体であることである。
【0186】
このような単層型の電子写真感光体3では、感光層140が、前述の実施の第1形態の電子写真感光体1に設けられる電荷輸送層16と同様に、電子写真プロセスにおいて、静電潜像を現像して得られる感光体表面上のトナー画像を記録媒体に転写する際または転写後に感光体表面に残存するトナーを除去する際などに用いられる当接部材によって削られ摩耗する。
【0187】
しかしながら、本実施形態の電子写真感光体3に設けられる感光層140は、前述の実施の第1形態の電子写真感光体1に設けられる電荷輸送層16と同様に、機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、感光層140の摩耗量は少なく、耐摩耗性に優れ、感光層140の膜削れに起因する特性変化は小さい。
【0188】
また、電荷輸送物質13に用いられる前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前述のように、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れ、かつ高い電荷移動度を有するので、感光層140が前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する場合であっても、帯電電位が高く、高感度で、充分な応答性を示し、繰返し使用した場合であってもこれらの電気特性の低下することのない電子写真感光体を得ることができる。
【0189】
したがって、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂と前記一般式(2)で示されるエナミン化合物とを組合せて感光層140に含有させることによって、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体を得ることができる。
【0190】
感光層140は、前述の実施の第1形態の電子写真感光体1に設けられる電荷輸送層16と同様の方法で形成される。たとえば、以下のようにして形成される。前述の電荷発生物質12と、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13と、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含むバインダ樹脂17とを、前述の適当な溶媒に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製する。この感光層用塗布液を、浸漬塗布法などを用いて導電性支持体11の外周面上に塗布する。
【0191】
感光層140における電荷輸送物質13(A′)とバインダ樹脂17(B′)との比率(A′/B′)は、前述の実施の第1形態の電子写真感光体1に設けられる電荷輸送層16における電荷輸送物質13(A)とバインダ樹脂17(B)との比率(A/B)と同様に、重量比で10/12以下であることが好ましい。これによって、感光層140の耐摩耗性を向上させることができる。また、感光層140を浸漬塗布法で形成する場合には、前記比率A′/B′は重量比で10/30以上であることが好ましい。
【0192】
感光層140の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層140の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層140の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。したがって、5μm以上100μm以下とした。
【0193】
以上に述べた実施の第1〜第3形態の電子写真感光体に設けられる感光層14または感光層140には、感度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、さらに1種以上の電子受容物質や色素を添加してもよい。
【0194】
電子受容物質としては、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸および4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレンおよびテレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノンおよび1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノンおよび2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環または複素環ニトロ化合物、ならびにジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料などを用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることもできる。
【0195】
色素としては、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料および銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
【0196】
また、実施の第1〜第3形態の電子写真感光体の各層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤および紫外線吸収剤などの各種添加剤を添加してもよい。これによって、電位特性を向上させることができる。また塗布によって層を形成する際の塗布液の安定性が高まる。また感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
【0197】
酸化防止剤として特に好ましいものとしては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物およびアミン系化合物などを挙げることができる。これらの酸化防止剤は、電荷輸送物質13に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲で使用されることが好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1重量%未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。酸化防止剤の使用量が50重量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、0.1重量%以上50重量%以下とした。
【0198】
本発明の実施の第4の形態である電子写真装置として、以下では前述の実施の第1形態の電子写真感光体1(感光体1)を備える電子写真装置100を例示する。図4は、電子写真装置100の構成を簡略化して示す側面配置図である。
【0199】
電子写真装置100は、ハウジング38に回転自在に支持される感光体1と、感光体1を回転軸線44まわりに矢符41方向に回転駆動させる図示しない駆動手段とを備える。図示しない駆動手段は、たとえば動力源としてモータを備え、モータからの動力を図示しない歯車を介して感光体1の芯体を構成する支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。
【0200】
感光体1の周囲には、帯電器32と、図示しない露光手段と、現像器33と、転写ローラ34と、分離手段37と、クリーナ36とが、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。クリーナ36は、図示しない除電器と共に設けられる。感光体1、帯電器32、現像器33およびクリーナ36は、ハウジング38に内包されるようにして一体的に設けられ、プロセスカートリッジ10を構成する。プロセスカートリッジ10は、図示しないレールなどの案内手段を用いて電子写真装置本体に対して着脱自在に構成される。
【0201】
帯電器32は、感光体1の外周面43を所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電器32は、たとえばコロナ帯電方式などの非接触式の帯電手段である。
【0202】
図示しない露光手段は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光31を帯電器32と現像器33との間に位置する感光体1の外周面43に照射することによって、帯電された感光体1の外周面43に対して画像情報に応じた露光を施す。
【0203】
現像器33は、露光によって感光体1の外周面43に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体1に対向して設けられ感光体1の外周面43にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
【0204】
転写ローラ34は、感光体1に対向して設けられ、感光体1と、図示しない搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写ローラ34との間に供給される記録媒体である転写紙51とを圧接させることによって、現像された画像を転写紙51上に転写させる転写手段である。
【0205】
分離手段37は、圧接された感光体1と転写紙51とを分離する手段である。
クリーナ36は、転写ローラ34による転写動作後に感光体1の外周面43に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体1の外周面43に残留するトナーを前記外周面43から剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。
【0206】
また、分離手段37によって感光体1と分離された転写紙51が搬送される方向には、転写紙51上に転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
【0207】
電子写真装置100による画像形成動作について説明する。まず、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の外周面43が正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、露光手段から感光体1の外周面43に対して光31が照射される。光源からの光31は、主走査方向である感光体1の長手方向に繰返し走査される。感光体1を回転させ、光源からの光31を繰返し走査することによって、感光体1の外周面43に対して画像情報に応じた露光が施される。この露光によって、光31が照射された部分の表面電荷が除去され、光31が照射された部分の表面電位と光31が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、感光体1の外周面43に静電潜像が形成される。次いで、光源からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33の現像ローラ33aから、静電潜像の形成された感光体1の外周面43にトナーが供給されることによって、静電潜像が現像され、感光体1の外周面43にトナー画像が形成される。
【0208】
また、感光体1への露光と同期して、転写紙51が、感光体1と現像器33よりも回転方向下流側に設けられる転写ローラ34との間に、搬送手段によって矢符42方向から供給される。
【0209】
感光体1と転写ローラ34との間に転写紙51が供給されると、転写ローラ34が感光体1に押圧されて当接部が形成される。これによって、感光体1と転写紙51とが圧接され、感光体1の外周面43に形成されたトナー画像が転写紙51上に転写される。
【0210】
トナー画像が転写された転写紙51は、分離手段37によって感光体1の外周面43から剥離された後、図示しない搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧される。これによって、転写紙51上のトナー画像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって電子写真装置100の外部へ排紙される。
【0211】
一方、転写ローラ34による転写動作後に感光体1の外周面43上に残留するトナーは、分離手段37よりもさらに回転方向下流側であって帯電器32よりも回転方向上流側に設けられるクリーナ36のクリーニングブレード36aによって感光体1の外周面43から剥離され、回収用ケーシング36b内に回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の外周面43の電荷は、図示しない除電器によって除去され、感光体1の外周面43上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転され、再度感光体1の帯電から始まる一連の動作が繰返される。以上のようにして、連続的に画像が形成される。
【0212】
本実施形態の電子写真装置100に備わる感光体1は、前述のように、機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂および電荷移動度の高い前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含有する感光層14を有するので、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することができる。したがって、長期に渡って高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を得ることができる。
【0213】
また、前述のように感光体1には転写ローラ34が押圧されるけれども、感光体1に設けられる感光層14は、前述のように機械的強度に優れる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、感光層14の摩耗量は少なく、感光層14表面における傷の発生もほとんどない。したがって、転写ローラ34による押圧力を高め、転写紙51への転写効率を向上させることができるので、転写ずれ、白抜けまたは中抜けなどの画像欠陥の少ない高品質の画像を提供することができる。
【0214】
また、プロセスカートリッジ10は、感光体1、帯電器32、現像器33およびクリーナ36を一体的に備え、電子写真装置本体に着脱自在に構成される。したがって、感光体1、帯電器32、現像器33およびクリーナ36を、電子写真装置本体に対して個別に装着または取外しする必要がないので、電子写真装置本体に対して容易に装着または取外しすることができる。また、プロセスカートリッジ10に備わる感光体1は、前述のように、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することができるので、長期に渡って交換不要なプロセスカートリッジを得ることができる。
【0215】
以上に述べたように、本実施形態の電子写真装置100は、実施の第1形態の電子写真感光体1を備えるけれども、これに限定されることなく、実施の第2形態の電子写真感光体2または実施の第3形態の電子写真感光体3を備えてもよい。
【0216】
また、プロセスカートリッジ10は、感光体1、帯電器32、現像器33およびクリーナ36を一体的に備えるけれども、これに限定されることなく、感光体1と、帯電器32、現像器33およびクリーナ36からなる群から選ばれる1つまたは2つの手段とを一体的に備えてもよい。
【0217】
また、帯電器32は、非接触式の帯電手段であるけれども、これに限定されることなく、ローラ帯電方式などの接触式の帯電手段であってもよい。前述のように、感光体1は耐摩耗性に優れるので、このような接触式の帯電手段を用いる場合であっても、長期に渡って高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を得ることができる。
【0218】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
【0219】
[製造例]
(製造例1)例示化合物No.1の製造
(製造例1−1)エナミン中間体の製造
トルエン100mlに、下記構造式(9)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)と、下記構造式(10)で示されるジフェニルアセトアルデヒド20.6g(1.05当量)と、DL−10−カンファースルホン酸0.23g(0.01当量)とを加えて加熱し、副生した水をトルエンと共沸させて系外に取除きながら、6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を10分の1(1/10)程度に濃縮し、激しく撹拌されているヘキサン100ml中に徐々に滴下し、結晶を生成させた。生成した結晶を濾別し、冷エタノールで洗浄することによって、淡黄色粉末状化合物36.2gを得た。
【0220】
【化17】
Figure 2004264351
【0221】
【化18】
Figure 2004264351
【0222】
得られた化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(Liquid Chromatography−Mass Spectrometry;略称:LC−MS)で分析した結果、下記構造式(11)で示されるエナミン中間体(分子量の計算値:411.20)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが412.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(11)で示されるエナミン中間体であることが判った(収率:88%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン中間体の純度は99.5%であることが判った。
【0223】
【化19】
Figure 2004264351
【0224】
以上のように、2級アミン化合物である前記構造式(9)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミンと、アルデヒド化合物である前記構造式(10)で示されるジフェニルアセトアルデヒドとの脱水縮合反応を行うことによって、前記構造式(11)で示されるエナミン中間体を得ることができた。
【0225】
(製造例1−2)エナミン−アルデヒド中間体の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100ml中に、氷冷下、オキシ塩化リン9.2g(1.2当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、製造例1−1で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン中間体20.6g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を80℃まで上げ、80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)−水酸化ナトリウム水溶液800ml中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶媒で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物20.4gを得た。
【0226】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体(分子量の計算値:439.19)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが440.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体であることが判った(収率:93%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン−アルデヒド中間体の純度は99.7%であることが判った。
【0227】
【化20】
Figure 2004264351
【0228】
以上のように、前記構造式(11)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うことによって、前記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体を得ることができた。
【0229】
(製造例1−3)例示化合物No.1の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体8.8g(1.0当量)と、下記構造式(13)で示されるジエチルシンナミルホスホネート6.1g(1.2当量)とを、無水DMF80mlに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド2.8g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶10.1gを得た。
【0230】
【化21】
Figure 2004264351
【0231】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表6に示す例示化合物No.1のエナミン化合物(分子量の計算値:539.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが540.5に観測された。
【0232】
また、得られた結晶の重クロロホルム(化学式:CDCl)中における核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;略称:NMR)スペクトルを測定したところ、例示化合物No.1のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図5は、製造例1−3の生成物のH−NMRスペクトルであり、図6は、図5に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図7は、製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルであり、図8は、図7に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図9は、製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルであり、図10は、図9に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図5〜図10において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図5および図6において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図5の参照符500で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0233】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた結晶は、例示化合物No.1のエナミン化合物であることが判った(収率:94%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.1のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0234】
以上のように、前記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と、Wittig試薬である前記構造式(13)で示されるジエチルシンナミルホスホネートとのWittig−Horner反応を行うことによって、表6に示す例示化合物No.1のエナミン化合物を得ることができた。
【0235】
(製造例2)例示化合物No.61の製造
前記構造式(9)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)に代えて、N−(p−メトキシフェニル)−α−ナフチルアミン4.9g(1.0当量)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、脱水縮合反応によるエナミン中間体の製造(収率:94%)およびビルスマイヤー反応によるエナミン−アルデヒド中間体の製造(収率:85%)を行い、さらにWittig−Horner反応を行うことによって、黄色粉末状化合物7.9gを得た。なお、各反応において使用した試薬と基質との当量関係は、製造例1で使用した試薬と基質との当量関係と同様である。
【0236】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、目的とする表14に示す例示化合物No.61のエナミン化合物(分子量の計算値:555.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが556.7に観測された。
【0237】
また、得られた化合物の重クロロホルム(CDCl)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物No.61のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図11は、製造例2の生成物のH−NMRスペクトルであり、図12は、図11に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図13は、製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルであり、図14は、図13に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図15は、製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルであり、図16は、図15に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図11〜図16において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図11および図12において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図11の参照符501で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0238】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた化合物は、例示化合物No.61のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.61のエナミン化合物の純度は99.0%であることが判った。
【0239】
以上のように、脱水縮合反応、ビルスマイヤー反応およびWittig−Horner反応の3段階の反応を行うことによって、3段階収率73.5%で、表14に示す例示化合物No.61のエナミン化合物を得ることができた。
【0240】
(製造例3)例示化合物No.46の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)と、下記構造式(14)で示されるWittig試薬1.53g(1.2当量)とを、無水DMF15mlに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド0.71g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶2.37gを得た。
【0241】
【化22】
Figure 2004264351
【0242】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表12に示す例示化合物No.46のエナミン化合物(分子量の計算値:565.28)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが566.4に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.46のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.46のエナミン化合物の純度は、99.8%であることが判った。
【0243】
以上のように、前記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と前記構造式(14)で示されるWittig試薬とのWittig−Horner反応を行うことによって、表12に示す例示化合物No.46のエナミン化合物を得ることができた。
【0244】
(比較製造例1)下記構造式(15)で示される化合物の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(12)で示されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)を無水THF15mlに溶解させ、その溶液中に、アリルブロマイドと金属マグネシウムとから調製したグリニヤール試薬であるアリルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(モル濃度:1.0mol/l)5.23ml(1.15当量)を0℃で徐々に加えた。0℃で0.5時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーによって反応の進行状況を確認したところ、明確な反応生成物は確認できず、複数の生成物が確認された。常法により、後処理、抽出、濃縮を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、反応混合物の分離、精製を行った。
【0245】
しかしながら、目的とする下記構造式(15)で示される化合物を得ることはできなかった。
【0246】
【化23】
Figure 2004264351
【0247】
[実施例]
(実施例1)
(実施例1−1)
電荷発生物質12であるX型無金属フタロシアニン1重量部を、テトラヒドロフラン(THF)98重量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBX−1)1重量部を溶解させて得られる樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、導電性支持体11である、表面にアルミニウムが蒸着された膜厚80μmのポリエステルフィルムのアルミニウム上にベーカアプリケータによって塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
【0248】
次に、電荷輸送物質13である表6に示す例示化合物No.1のエナミン化合物8重量部と、バインダ樹脂17である表1に示す構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量23,200)10重量部とを、テトラヒドロフラン40重量部とトルエン40重量部との混合溶媒に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層15上にベーカアプリケータによって塗布した後、乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層16を形成した。
【0249】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図1に示す層構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
【0250】
(実施例1−2)
電荷輸送層16を膜厚が10μmになるように形成する以外は、実施例1−1と同様にして、電荷移動度測定用サンプルを作製した。
【0251】
(実施例2〜6)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、表6に示す例示化合物No.3、表14に示す例示化合物No.61、表21に示す例示化合物No.106、表26に示す例示化合物No.146または表31に示す例示化合物No.177のエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する5種類の電子写真感光体と電荷移動度測定用サンプルを作製した。
【0252】
(実施例7)
電荷発生物質12であるX型無金属フタロシアニン1重量部、バインダ樹脂17である表1に示す構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量23,200)12重量部、電荷輸送物質13である表6に示す例示化合物No.1のエナミン化合物10重量部、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部およびTHF65重量部をボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。調製した感光層用塗布液を、導電性支持体11である、表面にアルミニウムが蒸着された膜厚80μmのポリエステルフィルムのアルミニウム上にベーカアプリケータによって塗布した後、110℃で1時間、熱風乾燥し、膜厚20μmの感光層140を形成した。
【0253】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図3に示す層構成の単層型の電子写真感光体を作製した。
【0254】
(実施例8)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17に、構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂に代えて、表1に示す構造式(1−2)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量35,000)10重量部を用いる以外は、実施例1−1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0255】
(比較例1)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17に、構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂に代えて、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製:パンライトC―1400)10重量部を用いる以外は、実施例1−1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。なお、以下では、このビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂をPCAと称することがある。
【0256】
(比較例2)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17に、構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂に代えて、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ―200)10重量部を用いる以外は、実施例1−1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。なお、以下では、このビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂をPCZと称することがある。
【0257】
(比較例3)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(16)で示される比較化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体と電荷移動度測定用サンプルを作製した。なお、以下では、下記構造式(16)で示される比較化合物をTPDと称することがある。
【0258】
【化24】
Figure 2004264351
【0259】
(比較例4)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(17)で示される比較化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体と電荷移動度測定用サンプルを作製した。なお、以下では、下記構造式(17)で示される比較化合物をENAと称することがある。
【0260】
【化25】
Figure 2004264351
【0261】
<電荷移動度の測定>
以上の実施例1〜6および比較例3,4で作製した各電荷移動度測定用サンプルについて、電荷輸送層の表面に金を蒸着し、室温、減圧下で、飛行時間(Time−of−Flight)法によって、電荷輸送物質の電荷輸送層中における電荷移動度を測定した。測定結果を表38に示す。なお、表38に示す電荷移動度の値は、電界強度が2×10V/cmのときの値である。
【0262】
【表38】
Figure 2004264351
【0263】
実施例1〜6と比較例3との比較から、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、従来公知の電荷輸送物質である前記構造式(16)で示される比較化合物(TPD)に比べ、2桁以上高い電荷移動度を有することが判った。
【0264】
また実施例1〜6と比較例4との比較から、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(2)においてエナミンの官能基に含まれる窒素原子に結合するナフチレン基が他のアリレン基に置換された化合物に相当する前記構造式(17)で示される比較化合物(ENA)に比べても、2桁以上高い電荷移動度を有することが判った。
【0265】
また実施例1〜3,6と実施例5との比較から、前記一般式(2)においてArがナフチル基である化合物の方が、Arがナフチル基でない化合物よりも高い電荷移動度を有することが判った。
【0266】
<特性評価>
以上の実施例1〜8および比較例1〜4で作製した各電子写真感光体について、以下のようにして、電気特性および摩耗特性を評価した。
【0267】
(電気特性の評価)
実施例1〜8および比較例1〜4で作製した各電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて初期特性および繰返し特性を評価した。
【0268】
初期特性の評価は以下のように行った。感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V(V)として測定した。ただし、実施例7の単層型感光体の場合には、プラス(+)5kVの電圧を印加した。次に、帯電された感光体表面に対して露光を施した。このとき、感光体の表面電位を帯電電位Vから半減させるために要したエネルギを半減露光量E1/2(μJ/cm)として測定し、感度の評価指標とした。また露光開始から10秒間経過した時点の感光体の表面電位を残留電位Vr(V)として測定し、光応答性の評価指標とした。なお、露光には、モノクロメータにて分光して得られた波長780nm、露光エネルギ1μW/cmの光を用いた。
【0269】
繰返し特性の評価は、以下のように行った。前述の帯電および露光の操作を1サイクルとして5000回繰返した後、初期特性の評価と同様にして、半減露光量E1/2、帯電電位Vおよび残留電位Vrを測定した。
【0270】
(摩耗特性の評価)
実施例1〜8および比較例1〜4で作製した各電子写真感光体について、スガ試験機株式会社製の摩耗試験機を用い、摩耗特性を評価した。評価は以下のように行った。研磨材に酸化アルミニウム#1000を用い、荷重を1.96Nとして、各感光体に対して2,000回の摩擦を行った。摩擦前の感光体の重量と、2000回の摩擦後の感光体の重量との差を摩耗量(mg)として求めた。摩耗量は、その値が小さい程、耐摩耗性に優れていることを示す。
【0271】
以上の測定結果を表39に示す。なお、表39では、バインダ樹脂17に前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂が用いられる場合には、その構造単位を表す構造式の番号を示す。
【0272】
【表39】
Figure 2004264351
【0273】
実施例1〜6,8と比較例1,2との比較から、電荷輸送層16のバインダ樹脂17に前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を用いた実施例1〜6,8の感光体の方が、バインダ樹脂17にポリカーボネート樹脂を用いた比較例1,2の感光体に比べ、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることが判った。
【0274】
また、実施例1〜6,8と比較例3,4との比較から、電荷輸送物質13に前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を用いた実施例1〜6,8の感光体の方が、TPDを用いた比較例3の感光体または前記構造式(17)で示されるエナミン構造を有するENAを用いた比較例4の感光体に比べ、半減露光量E1/2が小さく高感度で、また残留電位Vrが負の方向に低いすなわち残留電位Vrと基準電位との電位差が小さく、応答性に優れることが判った。またこの特性は、繰返し使用した場合であっても維持されることが判った。
【0275】
また、実施例1と実施例7との比較から、電荷輸送層と電荷発生層との積層構造から成る感光層を有する実施例1の積層型感光体の方が、単層から成る感光層を有する実施例7の単層型感光体に比べ、感度が高く、応答性に優れることが判った。
【0276】
以上のように、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂と前記一般式(2)で示されるエナミン化合物とを組合せて感光層に含有させることによって、機械的強度に優れ、かつ長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体を得ることができた。
【0277】
(実施例9)
酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO55A)7重量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:アミランCM8000)13重量部とを、メタノール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶媒に加え、ペイントシェーカで8時間分散処理し、中間層用塗布液を調製した。得られた中間層用塗布液を満たした塗工槽に、導電性支持体11である直径30mm、長さ322.3mmのアルミニウム製円筒状支持体を浸漬した後引上げ、自然乾燥して膜厚1μmの中間層18を形成した。
【0278】
次に、オキソチタニウムフタロシアニン1重量部とポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業株式会社製:#6000−C)1重量部とを、メチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカで分散処理し、電荷発生層用塗布液を調製した。得られた電荷発生層用塗布液を塗工槽に満たし、中間層18と同様にして、先に形成した中間層18上に浸漬塗布し、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層15を形成した。
【0279】
次に、電荷輸送物質13である表6に示す例示化合物No.1のエナミン化合物8重量部と、バインダ樹脂17である表1に示す構造式(1−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量23,200)10重量部とを、テトラヒドロフラン40重量部とトルエン40重量部との混合溶媒に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層用塗布液を塗工槽に満たし、中間層18と同様にして、先に形成した電荷発生層15上に浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚25μmの電荷輸送層16を形成した。
【0280】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図2に示す層構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
【0281】
(比較例5)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1に代えて、前記構造式(16)で示される比較化合物(TPD)を用いる以外は、実施例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0282】
<画像品質の評価>
以上の実施例9および比較例5で作製した各電子写真感光体について、感光体を用いて形成される画像の品質を評価した。評価は以下のように行った。市販の複写機(シャープ株式会社製:AR−265FP)に、実施例9および比較例5で作成した各感光体をそれぞれ搭載し、転写紙上にハーフトーン画像を形成した。ここで、ハーフトーン画像とは、画像の濃淡を白黒のドットによって階調表現した画像のことである。得られた画像を目視観察し、画像の品質を評価した。
【0283】
電荷輸送物質13に前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を用いた実施例9の感光体を搭載した複写機によって形成された画像は、欠陥のない良好な画像であった。
【0284】
一方、電荷輸送物質13にTPDを用いた比較例5の感光体を搭載した複写機によって形成された画像には、多数の白点が発生していた。これは、TPDが、電荷輸送層16のバインダ樹脂17に用いられる前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に乏しいために、電荷輸送層内で凝集したことに起因すると考えられる。
【0285】
以上の結果から、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れることが判る。
【0286】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電子写真感光体の導電性支持体上に設けられる感光層は、機械的強度に優れる特定の構造単位を有するポリアリレート樹脂と、前記特定の構造単位を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れ、かつ高い電荷移動度を有する特定の構造のエナミン化合物とを含有するので、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる耐久性の高い電子写真感光体を提供することができる。
【0287】
また本発明によれば、感光層は、溶媒に対する溶解性に優れる特性の構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、塗布によって感光層を形成する場合に、塗布液の安定性を向上させ、電子写真感光体の生産効率を向上させることができる。
【0288】
また本発明によれば、感光層は、特に高い電荷移動度を有する特定の構造のエナミン化合物を含有するので、帯電電位が高く、高感度で、充分な応答性を示し、また耐久性に優れ、高速の電子写真プロセスに用いた場合であってもこれらの特性の低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。
【0289】
また本発明によれば、感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷移動度の高い特定の構造のエナミン化合物を含む電荷輸送物質および機械的強度に優れる特定の構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する電荷輸送層とが、導電性支持体から外方に向かってこの順序で積層されて成る積層構造から成るので、より高感度で、耐久性が高く、かつ耐摩耗性に優れ、感光層の膜削れに起因する特性変化の小さい電子写真感光体を提供することができる。
【0290】
また本発明によれば、導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられるので、感光層の帯電性の低下を防ぎ、画像にかぶりなどの欠陥の発生することを防止することができるとともに、感光層の成膜性および導電性支持体と感光層との接着性を向上させることができる。
【0291】
また本発明によれば、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジは、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することのできる電子写真感光体と、帯電手段、現像手段および清掃手段からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段とを一体的に備えるので、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段および清掃手段からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段とを、電子写真装置本体に対して容易に装着または取外しすることができるとともに、長期に渡って交換不要なプロセスカートリッジを提供することができる。
【0292】
また本発明によれば、電子写真装置に備わる電子写真感光体は、機械的強度に優れ、電子写真装置のデジタル化および高解像度化に伴う機械的ストレスの増大に耐えることができるとともに、長期に渡って安定して良好な電気特性を提供することができるので、長期に渡って高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を提供することができる。
【0293】
また本発明によれば、電子写真装置に備わる転写手段は、電子写真感光体と記録媒体とを圧接させることによって、現像された画像を記録媒体上に転写させ、電子写真感光体の感光層は、機械的強度に優れる特定の構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有するので、転写手段による押圧力を高め、記録媒体への転写効率を向上させることができ、転写ずれ、白抜けまたは中抜けなどの画像欠陥の少ない高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す斜視図である。図1(b)は、電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図2】本発明の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図4】電子写真装置100の構成を簡略化して示す側面配置図である。
【図5】製造例1−3の生成物のH−NMRスペクトルである。
【図6】図5に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図7】製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルである。
【図8】図7に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図9】製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルである。
【図10】図9に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図11】製造例2の生成物のH−NMRスペクトルである。
【図12】図11に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図13】製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルである。
【図14】図13に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図15】製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルである。
【図16】図15に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【符号の説明】
1,2,3 電子写真感光体
10 プロセスカートリッジ
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14,140 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 光
32 帯電器
33 現像器
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写ローラ
35 定着器
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーナ
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング
51 転写紙
100 電子写真装置

Claims (8)

  1. 導電性材料から成る導電性支持体と、
    前記導電性支持体上に設けられ、下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂および下記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含有する感光層とを有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2004264351
    (式中、Xは、単結合または−CR−を示す。ここで、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。またRおよびRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。R,R,RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R,R,RおよびR10は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。)
    Figure 2004264351
    (式中、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。R11は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R12,R13およびR14は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR12は同一でも異なってもよく、複数のR13は同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。)
  2. 前記感光層は、前記一般式(1)において、Xが−CR−であって、R、R、R、R、RおよびRが共にメチル基であり、R、R、RおよびR10が共に水素原子である構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、下記一般式(3)で示されるエナミン化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
    Figure 2004264351
    (式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(2)において定義したものと同義である。)
  4. 前記感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質および前記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有する電荷輸送層とが、前記導電性支持体から外方に向かってこの順序で積層されて成る積層構造から成ることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記導電性支持体と前記感光層との間には、中間層が設けられることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジであって、
    請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施すことによって形成される静電潜像を現像する現像手段および現像された画像を記録媒体上に転写させた後に前記電子写真感光体を清掃する清掃手段からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段とを一体的に備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、
    露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、
    現像された画像を記録媒体上に転写させる転写手段とを備えることを特徴とする電子写真装置。
  8. 前記転写手段は、前記電子写真感光体と前記記録媒体とを圧接させることによって、現像された画像を前記記録媒体上に転写させることを特徴とする請求項7記載の電子写真装置。
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