JP3770464B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは特定の樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は、米国特許第2297691号明細書に示されるように画像露光の間に受けた照射量に応じて電気抵抗が変化し、かつ暗所では絶縁性の物質をコーティングした支持体よりなる光導電性材料を用いる。この光導電性材料を用いた電子写真感光体に要求される基本的な特性としては、(1)暗所で適当な電位に帯電できること、(2)暗所において電位の逸散が少ないこと、(3)光照射によって速やかに電荷を逸散せしめること、等が挙げられる。
【0003】
従来より電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛及び硫化カドミウム等の無機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機電子写真感光体が広く使用されてきた。しかしこれらは、前記(1)〜(3)の条件は満足するが熱安定性、耐湿性、耐久性、生産性において必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
無機電子写真感光体の欠点を克服する目的で様々な有機光導電性化合物を主成分とする電子写真感光体の開発が近年盛んに行われている。例えば、米国特許3837851号明細書にはトリアリルピラゾリンを含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体、米国特許3871880号明細書にはペリレン顔料の誘導体からなる電荷発生層と3−プロピレン/ホルムアルデヒドの縮合体からなる電荷輸送層とからなる電子写真感光体等が開示されている。
【0005】
更に、有機光導電性化合物はその化合物によって電子写真感光体の感光波長域を自由に選択することが可能であり、例えば、アゾ顔料では特開昭61−272754号公報や特開昭56−167759号公報に示された物質は可視領域で高感度を示すものが開示されており、また特開昭57−195767号公報や特開昭61−228453号公報で示された化合物は赤外領域まで感度を有していることが示されている。これらの材料のうち赤外領域に感度を示すものは、近年進歩の著しいレーザービームプリンター(以下LBPと略す)やLEDプリンターに使用され、その需要頻度は高くなってきている。
【0006】
これら有機光導電性化合物を用いた電子写真感光体は、電気的・機械的双方の特性を満足させるために電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。一方、当然のことながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される電子写真感光体においては、その電子写真感光体表面にはコロナ又は直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程、表面クリーニング等の電気的・機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性も要求される。
【0007】
具体的には帯電時のオゾン、及び窒素酸化物による電気的劣化や、帯電時の放電、クリーニング部材の摺擦によって表面が摩耗したり傷が発生したりする機械的劣化、電気的劣化に対する耐久性が求められている。電気的劣化は、光が照射した部分にキャリアが滞留し光が照射していない部分と電位差が生じる現象が特に問題であり、これはフォトメモリーとして生じる。機械的劣化は、特に無機電子写真感光体と異なり物質的に柔らかいものが多い有機電子写真感光体には機械的劣化に対する耐久性が劣り耐久性向上は特に切望されているものである。上記のような電子写真感光体に要求される耐久特性を満足させるためにいろいろ試みがなされてきた。
【0008】
表面層に広く使用され摩耗性、電気特性に良好な樹脂としては、ビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂が注目されているが、前述したような問題点全てを解決できるわけでもなく次のような問題点を有している。
【0009】
(1)溶解性に乏しくジクロロメタンや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類の一部にしか良好な溶解性を示さないうえ、これらの溶剤は低沸点のため、これらの溶剤で調製した塗工液を用いて電子写真感光体を製造すると塗工面が白化し易い。塗工液の固形分管理等にも手間がかかる。
【0010】
(2)ハロゲン化脂肪族炭化水素類以外の溶剤に対しては、テトラヒドラフラン、ジオキサン、シクロヘキサンノンあるいはそれらの混合溶剤に一部可溶であるが、その溶液は数日でゲル化する等、経時性が悪く電子写真感光体製造には不向きである。
【0011】
(3)更に、上記(1)、(2)が改善されたとしても、ビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂にはソルベントクラックが発生し易い。
【0012】
(4)加えて従来のポリカーボネート樹脂では、該樹脂で形成された被膜に潤滑性が乏しいため電子写真感光体に傷がつき易く、電子写真感光体の摩耗量を少なくするようなクリーニング設定では画像欠陥になったり、クリーニングブレードの早期の劣化によるクリーニング不良、トナー融着等が生じてしまうことがあった。
【0013】
前記(1)、(2)に挙げた溶液安定性については、ポリマーの構造単位として嵩高いシクロヘキシレン基を有するポリカーボネートZ樹脂を使用するか、ビスフェノールZやビスフェノールC等と共重合させることによって解決されてきた。
【0014】
一方、ポリアリレートはポリカーボネートと類似の構造ではあるが、諸特性は異なり、例えば、機械的強度では優るものの、シクロヘキシル基を有するビスフェノールZ型の溶解性は低い。また、電子写真感光体特性としても差があり、特に電荷輸送層のバインダー樹脂として用いた際には、使用される電荷輸送材の構造により各メモリー、残留電位等が変化(悪化)を受け易い。
【0015】
更に、加えて従来のポリカーボネート樹脂より強靭なため形成された被膜が削れ難く一般的なゴムブレードによるクリーニング方法では、ポリカーボネートより表面が粗れず接触面積の増大によってカウンター方向でクリーニングブレードを当接している場合、クリーニングブレードが捲れるという現象も起こり易い。
【0016】
また、ソルベントクラックについても特開平6−51544号公報や特開平6−75415号公報に開示されているように、シリコン変成ポリカーボネート、エーテル変成ポリカーボネートを用いることにより解決することが可能である。ところが、これら変成ポリカーボネートは、従来のポリカーボネート樹脂に比べソルベントクラックを対策するためにポリマー内の内部応力に対して柔軟性をもたせている構造をとっているため、重合体本体の機械的強度が低下するという欠点があった。
【0017】
更に近年、特開昭57−17826号公報や特開昭58−40566号公報に開示してあるような、帯電部材に直接電圧をかけ電子写真感光体に電荷を印加する直接帯電方式が主流となりつつある。これは、導電ゴム等で構成されたローラー状の帯電部材を直接電子写真感光体に当接させ電荷を印加する方法であり、スコロトロン等に比べ、オゾン発生量が格段に少ない、スコロトロンは帯電器に流す電流の80%前後はシールドに流れるため浪費されるのに対して、直接帯電はこの浪費分がなく非常に経済的である、等のメリットを有す。
【0018】
しかし、直接帯電はパッシェン則による放電による帯電のため帯電安定性が非常に悪いという欠点をもつ。この対策として直流電圧に交流電圧を重畳させた、いわゆるAC/DC帯電方式が発明されている(特開昭63−149668号公報)。この帯電方式により帯電時の安定性は良化したが、ACを重畳するために電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大してしまい、電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという欠点を新たに生じてしまい機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきた。更に、電子写真特性を低下させずにこれらの要求を満たすことが必要となってきた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂を表面層として有していた問題点を解決し、機械的強度の強さと、潤滑性の高さの両者を耐久後まで一貫して兼ね備えた電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、電子写真特性が良好であり、かつ製造時の塗工性及び塗料ポットライフが良好であり、一般的なクリーニングブレードでも捲れの起こらない電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、導電性支持体、感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、
i)下記式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、
ii)下記式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、
iii)下記式(3)及び下記式(4)で示される構成単位を有する共重合体、及び
iv)フッ素系樹脂粉体
を含有し、該ポリアリレートの粘度平均分子量(Ma)が30000〜105000であり、該ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mc)が25000〜55000であり、Ma>Mcであり、前記式(3)及び(4)で示される構成単位を有する共重合体の粘度平均分子量が、15,000〜100,000であり、且つMaとMcの差が5000以上65000以下であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0022】
【化5】
【0023】
{式中、X1は炭素原子又は単結合(この際のR5及びR6はなし)を示し、R1〜R4は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基を示し、R5及びR6は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又はR5とR6が結合することによって形成される置換されてもよいアルキリデン基を示し、R7〜R10は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基を示す}
【0024】
【化6】
【0025】
{式中、X2は炭素原子又は単結合(この際のR15及びR16はなし)を示し、R11〜R14は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基を示し、R15及びR16は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又はR15とR16が結合することによって形成される置換されてもよいアルキリデン基を示す}
【0026】
【化7】
【0027】
(式中、R17〜R22は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基を示し、nは正の整数を示す)
【0028】
【化8】
【0029】
{式中、X3は炭素原子又は単結合(この際のR27及びR28はなし)を示し、R23〜R26は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基を示し、R27及びR28は水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又はR27とR28が結合することによって形成される置換されてもよいアルキリデン基を示す}
【0030】
また、本発明に従って、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【0031】
本発明におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられ、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基及びナフチル基等が挙げられ、シクロアルキリデン基としてはシクロヘキシリデン基等が挙げられる。上記アルキル基、アリール基、シクロアルキリデン基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、フェニル基及びナフチル基等のアリール基、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。nは正の整数を示し、1〜200であることが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
式(1)で示される構成単位の具体例を表1に示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
本発明において用いられる、式(1)で示される構成単位を有する重合体は、通常、溶解性や剛直性の制御のため、テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物の混合物にて用いられ、アルカリ下で溶媒/水系中で各種ビスフェノールと攪拌することにより界面重合を行うことができる。すなわち表1に示した式は、テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物の混合系かち調製された形として表わした。しかし、テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物の比率は、その重合体の溶解性を考慮して決定されるもので、定説はない。ただし、いずれかの塩化物が30モル%以下になると、合成した重合体の溶解性が極端に低下するので注意が必要である。通常は、モル比で1/1の比率で合成するのが好ましい。本発明の電子写真感光体においては、式(1)で示される構成単位が同一のもので構成される重合体でも、2種類以上の式(1)で示される別種の構成単位からなる共重合体でもよい。
【0040】
式(2)で示される構成単位の具体例を表2に示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
式(3)で示される構成単位の具体例を表3に示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0046】
【表10】
【0047】
【表11】
【0048】
【表12】
【0049】
式(4)については、表2に示された式(2)と同一であるので、式(4)の例は、表2の例を適用する。
【0050】
本発明に用いられるフッ素系樹脂粉体の具体例としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体が挙げられる。好ましい例としては、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が挙げられ、特に好ましい例としては、四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
【0051】
詳細なメカニズムは十分には解明できてはいないが、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体、更にフッ素系樹脂粉体を含有し、該ポリアリレートの粘度平均分子量(Ma)が30000〜105000であり、該ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mc)が25000〜55000であり、かつMa>Mcであることにより耐久初期から耐久後まで安定して表面潤滑性、耐ソルベントクラック性等を向上させることができる。
【0052】
これは、ポリアリレート構造とポリカーボネート構造とシロキサン構造が各々の分子鎖間に入り込んで各々の結晶性を崩し、更にフッ素系樹脂粉体を膜内部に分散させていることによって、膜内部にフッ素系樹脂粉体をコアとした無数の分子団及び分子内配向秩序を作りだし、特に特定の粘度平均分子量のポリアリレート構造と特定の粘度平均分子量のポリカーボネート構造を導入することにより、各分子構造が複雑に作用しあい、これにより高い耐摩耗性を保持したまま耐久後までの高い表面潤滑性、耐ソルベントクラック性を向上させることができるものと推察される。
【0053】
また、この効果は、本発明の構成要素であるポリアリレート構造とポリカーボネート構造とシロキサン構造とフッ素系樹脂粉体が全て揃い、かつ特定の粘度平均分子量のポリアリレート構造と特定の粘度平均分子量のポリカーボネート構造である場合に有効に発現されるものであり、構成要素の一つが欠けても大幅に効果が損なわれることから、従来より知られているシロキサン構造やフッ素系樹脂粉体のもつ潤滑性、耐ソルベントクラック性を遙かに上回る新たな効果を、上記の本発明の構成要素間の相互作用によって発現しているものと推察される。
【0054】
なお、本発明においては、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレートの粘度平均分子量は30000〜105000であることが必要であり、35000〜95000であることが好ましい。30000未満では十分な耐摩耗性が得られず、105000超過ではポリアリレート構造とポリカーボネート構造とシロキサン構造の間の相互作用が発現され難くなり、結果として表面潤滑性が損なわれたり、高温高湿の環境下においてブレード捲れを引き起こしたりするので好ましくない。
【0055】
また、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネートの粘度平均分子量は25000〜55000であることが必要であり、25000〜45000であることが好ましい。25000未満では十分な耐摩耗性が得られず、55000超過ではポリアリレート構造とポリカーボネート構造とシロキサン構造の間の相互作用が発現され難くなり、結果として表面潤滑性が損なわれたり、高温高湿の環境下においてブレード捲れを引き起こしたりするので好ましくない。
【0056】
また、ポリアリレートの粘度平均分子量(Ma)とポリカーボネートの粘度平均分子量(Mc)が、Ma>Mcであることが必要である。ポリアリレートとポリカーボネートの粘度平均分子量の関係がMa>Mcではなくなると、ポリアリレート構造とポリカーボネート構造とシロキサン構造の間の相互作用が不十分となり、結果として耐摩耗性が損なわれたり、高温高湿の環境下においてブレード捲れを引き起こしたりするので好ましくない。
【0057】
また、詳細なメカニズムは十分には解明できてはいないが、式(1)におけるR1、R2、R5及びR6がメチル基であり、R3、R4、R7、R8、R9及びR10が水素原子である構成単位を有するポリアリレートを含有し、かつ式(2)におけるR11〜R14が水素原子であり、R15及びR16がX2と共にシクロヘキシリデン基である構成単位を有するポリカーボネートを含有し、かつ式(3)におけるR17〜R20がメチル基であり、R21及びR22が水素原子であり式(4)におけるR23〜R26が水素原子であり、R27及びR28がX3と共にシクロヘキシリデン基である構成単位を有する共重合体の各ポリマーを混合使用し、更にフッ素系樹脂粉体を含有するすることにより耐久初期から耐久後まで特に安定して表面潤滑性、耐ソルベントクラック性等を向上させることができる。
【0058】
これは、ポリアリレート構造が式(1)におけるR1、R2、R5及びR6がメチル基であり、R3、R4、R7、R8、R9及びR10が水素原子であり、ポリカーボネート構造が式(2)におけるR11〜R14が水素原子であり、R15及びR16がX2と共にシクロヘキシリデン基であり、シロキサン構造が式(3)におけるR17〜R20がメチル基であり、R21及びR22が水素原子であり式(4)におけるR23〜R26が水素原子であり、R27及びR28がX3と共にシクロヘキシリデン基であることと密接に関係し、各々の分子鎖間への入り込み方、各々の結晶性の崩れ方、更に膜内部でのフッ素系樹脂粉体をコアとした無数の分子団及び分子内配向秩序の出来方に違いがあるものと推察され、これにより高い耐摩耗性を保持したまま耐久後までの高い表面潤滑性、耐ソルベントクラック性を向上させることができるものと推察される。
【0059】
また、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体を可溶媒中に溶解混合し、貧溶媒により再沈殿して得られたブレンド材料を含有することにより、本発明の効果をより発現することが可能である。
【0060】
溶解−再沈殿の方法は常法で行い、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルム等の可溶解の溶媒に式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体を十分に溶解させる。次に、この混合ポリマー溶液をメタノールや水等の貧溶媒から再沈殿させて綿状のポリマーが得られる。これを真空乾燥させてブレンド材料が得られる。この材料は、各々を単純ブレンドした式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体より溶解性や塗料安定性が向上している。この方法はいずれの、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体でも有効であるが、特に溶解性の劣るポリカーボネートA型やポリアリレートZ型では特性改良に効果的である。
【0061】
詳細なメカニズムは十分には解明できてはいないが、各ポリマーを予め溶液中にてブレンドすることにより式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート構造、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート構造、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体構造が高度にブレンドでき、得られたブレンド材料は、各々の分子鎖間に入り込んでいるためフッ素系樹脂粉体との相互作用による新たな特性を発現し易くなったと推定される。
【0062】
まず、溶解性の低いポリカーボネートA型やポリアリレートZ型等では、異なる構造の分子がブレンドされることにより、各々の結晶性を崩していると考えられることから各溶媒への溶解性を向上していると考えられ、更に保存時のゲル化等も抑制することが可能となった推定される。また、電子写真特性の低下が少なくなる要因としては、次のように推測される。
【0063】
ポリアリレートが機械的強度に優れている要因の一つであるフタル酸エステル構造は、電荷輸送材料との組み合わせによりキャリアのトラップ要因の一つになると予想されているが、本発明では式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体が、分子レベルで式(1)で示される構成単位を有するポリアリレートの近傍に存在するため、フタル酸エステル構造との間で何らかの相互作用が起こり、フタル酸エステル構造に起因するキャリアのトラップを軽減していると推測される。更に、ポリマー中の残留不純物(残モノマー及び塩化物等)は、諸特性の悪化要因の一つであるが、本発明のブレンド系では溶解性の向上により精製の容易性が上がり、電子写真特性の悪化を抑制していると考えられる。
【0064】
この分子レベルにおけるブレンドが、分子内密度を上げかつ非晶質部分と結晶質部分を同一分子内に併せ持つため塗膜形成時に発生する分子内応力をも緩和することができ、それによりソルベントクラックの要因となる薬品が侵入しても内部応力を維持し、クラックが生じないと推定される。
【0065】
なお、本発明においては、式(3)及び式(4)で示される構成単位を有する共重合体の粘度平均分子量は10000〜200000であることが好ましく、特には15000〜100000であることが好ましい。
【0066】
また、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレートの質量混合比(Wa)と、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネートの質量混合比(Wc)と、式(3)及び式(4)で示される構成単位を有する共重合体の質量混合比(Ws)は、Wa/Wc=95/5〜50/50であることが好ましく、Ws/(Wa+Wc)=1/99〜30/70であることが好ましい。
【0067】
また、フッ素系樹脂粉体の質量混合比(Wf)は、Wf/(Wa+Wc+Ws)=1/100〜50/100であることが好ましい。
【0068】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
【0069】
本発明における電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する。感光層は、電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが、電子写真特性からは積層型が好ましい。いずれの場合も、少なくとも電子写真感光体の表面層が、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、式(3)及び式(4)で示される構成単位を有する共重合体、及びフッ素系樹脂粉体を含有し、該ポリアリレートの粘度平均分子量(Ma)が30000〜105000であり、該ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mc)が25000〜55000であり、かつMa>Mcであることが必要である。
【0070】
使用する支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙及びプラスチック等が挙げられ、形状はシート状及び円筒状等が挙げられる。
【0071】
LBP等の露光光がレーザー光の場合は、支持体と感光層の間に、散乱による干渉縞防止又は支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは、カーボンブラック又は金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。
【0072】
その上に更に、接着機能及びバリアー機能を有する中間層を設けてもよい。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは、適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmが好ましく、特には0.3〜1μmが好ましい。
【0073】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン及び非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量のバインダー樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル又は液衝突型高速分散機等の方法で十分分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.1〜2μmが好ましい。
【0074】
電荷輸送層は、主として電荷輸送材料と本発明からなるバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。これらは、0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工、乾燥し、電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には15〜30μmが好ましい。
【0075】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成を示す。
【0076】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0077】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段6により順次転写されていく。
【0078】
トナー画像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0079】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0080】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0081】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0082】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0084】
本発明で用いる式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体は、常法により合成した。また、粘度平均分子量は常法により求めた。
【0085】
式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、及び式(3)と式(4)で示される構成単位を有する共重合体のブレンドの手段としては、各ポリマーを粉体でブレンドする方法、溶媒中で溶解しながらブレンドする方法等が適用可能であるが、本発明では、溶媒中で溶解し貧溶媒で再沈殿させてブレンドする方法が効果的である。手順としては、まず各ポリマーを任意の混合比で秤量し、10倍量(wt)のジクロロメタンに十分に溶解した。次いで溶解溶媒の10倍量(wt)のメタノールを攪拌しながら、このポリマー溶液を徐々に滴下した。このメタノール中で白色綿状のブレンドポリマーを得た。これを真空乾燥しフレーク状にして用いた。
【0086】
(実施例1)
φ30mm×254mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し、140℃で30分間熱硬化し、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0087】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール 0.2/0.8 20部
【0088】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、乾燥し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0089】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部をφlmmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し、乾燥し、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0090】
次に、電荷輸送層を形成するために、電荷輸送層用の塗料を調製した。ビスフェノールC型{構成単位例(1)−2}のポリアリレート(粘度平均分子量60000)50部、ビスフェノールZ型{構成単位例(2)−13}のポリカーボネート(粘度平均分子量40000)40部、及び構成単位例(3)−1と構成単位例(2)−13に示される変成ポリカーボネート(粘度平均分子量40000)10部を用いて調製したブレンドポリマーを用いた。このブレンドポリマー100部、ポリ四フッ化エチレン(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部、フッ素系グラフトポリマー(商品名:アロンGF300、東亜合成化学工業(株)製)0.5部を、モノクロロベンゼン500部/ジクロロメタン500部中に溶解し、ステンレス製ボールミルにて48時間分散した。得られた分散液に下記構造式のアミン化合物90部、
【0091】
【化9】
下記構造式のアミン化合物10部
【0092】
【化10】
を溶解し、電荷輸送層用の塗料を得た。この塗料を浸漬法で塗布し、120℃で1時間乾燥し、膜厚が26μmの電荷輸送層を形成した。
【0093】
次に、評価について説明する。装置は、キヤノン製LBP「Image Class 4000」(プロセススピード144.5mm/sec)を改造して用いた。改造は、帯電器の直前にヒューズランプによる前露光を取り付け、残留電位測定時のみ点灯させて使用した。電位測定は、暗部をVd、レーザー光照射部をVl、前露光照射部をVrとして行った。作製した電子写真感光体をこの装置で23℃/55%RHの環境下で通紙耐久を行った。シーケンスは、プリント2枚毎に1回停止する間欠モードとし、3000枚をプリントしたところで電位を測定し、引き続き10000枚まで通紙耐久を行い電子写真感光体の削れ量を測定した。また、32.5℃/85%RHの高温高湿の環境下で40000枚の通紙耐久を行った。シーケンスは、プリント2枚毎に1回停止する間欠モードとし、500枚毎に10分間プリントを休止し、1000枚毎にカートリッジを出し入れすることを繰り返し、40000枚を耐久してクリーニングブレードの捲れを評価した。なお、必要に応じ10分間のプリント休止中にトナー補給を行った。更に、耐ソルベントクラック性は、表面に指脂を付着させ24時間放置し、顕微鏡観察によりソルベントクラックの有無を観察した。ポットライフの評価として、各電荷輸送層塗料を室温(23℃)にて密閉容器中にて1週間静置した後、溶解状態を観察した。結果を表5に示す。
【0094】
(実施例2)
用いるブレンドポリマーとしてビスフェノールZ型{構成単位例(1)−23}及びビスフェノールC型{構成単位例(1)−2}を質量比1/1で共重合したポリアリレート(粘度平均分子量=45000)を用い、表4に示す条件とした以外は、実施例1と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0095】
(実施例3〜17)
用いるポリマー、粘度平均分子量、フッ素系樹脂粉体、混合比、及びブレンドポリマーとして用いた各ポリマーを別々に用い、表4に示す条件とした以外は、実施例1と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0096】
(実施例18)
評価装置としてキヤノン製LBP「Image Class 4000」の改造機(プロセススピード235.5mm/sec)を用いた。改造は、高圧設定の変更、駆動モーターの早回し、スキャナーの早回し、一次AC周波数の増大、レーザー光量の増加、及び紙送りシーケンスの見直しにより行った。用いるポリマー、粘度平均分子量、フッ素系樹脂粉体、混合比、及びブレンドポリマーとして用いた各ポリマーを別々に用い、表4に示す条件とした以外は、実施例1と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0097】
(比較例1〜5)
用いるポリマー、粘度平均分子量、フッ素系樹脂粉体、混合比、及びブレンドポリマーとして用いた各ポリマーを別々に用い、表4に示す条件とした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0098】
【表13】
【0099】
【表14】
【0100】
【表15】
【0101】
*:「再沈殿」は、溶解/再沈殿によりブレンドしたもの
「別々」は、溶解時に順次加えてたもの
【0102】
【表16】
【0103】
実施例1〜18では全ての評価項目に関し良好な結果であった。しかし、比較例1及び4は、いずれも耐久40000枚以下で画像不良が発生した。原因は電子写真感光体の摩耗によるものであった。また、比較例2、3及び5は、いずれも高温高湿の環境下においてクリーニングブレードの捲れが発生した。
【0104】
このように、本発明で示した、電子写真感光体の表面層が、式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、式(3)及び式(4)で示される構成単位を有する共重合体、及びフッ素系樹脂粉体を含有し、該ポリアリレートの粘度平均分子量(Ma)が30000〜105000であり、該ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mc)が25000〜55000であり、かつMa>Mcであることにより、優れた機械的強度と表面潤滑性を耐久後まで併せ持つ電子写真感光体を提供することができる。更に、電子写真特性が良好であり、かつ製造時の塗工性及び塗料ポットライフが良好であり、一般的なクリーニングブレードでも捲れの起こらない電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
【0105】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明の電子写真感光体は、優れた機械的強度と表面潤滑性を耐久後まで併せ持ち、良好な電子写真特性を持っている。また、溶解性、ポットライフの改善により、材料(構成単位)の選択の幅が広がり、利用目的に応じた電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いる電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (9)
- 導電性支持体、感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、
i)下記式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、
ii)下記式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネート、
iii)下記式(3)及び下記式(4)で示される構成単位を有する共重合体、及び
iv)フッ素系樹脂粉体
を含有し、該ポリアリレートの粘度平均分子量(Ma)が30000〜105000であり、該ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mc)が25000〜55000であり、Ma>Mcであり、前記式(3)及び(4)で示される構成単位を有する共重合体の粘度平均分子量が、15000〜100000であり、且つMaとMcの差が5000以上65000以下であることを特徴とする電子写真感光体:
- 前記式(1)におけるR1、R2、R5及びR6がメチル基であり、R3、R4、R7、R8、R9及びR10が水素原子である構成単位を有するポリアリレートを含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記式(2)におけるR11〜R14が水素原子であり、R15及びR16がX2と共にシクロヘキシリデン基である構成単位を有するポリカーボネートを含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記式(1)におけるR1、R2、R5及びR6がメチル基であり、R3、R4、R7、R8、R9及びR10が水素原子である構成単位を有するポリアリレートを含有し、かつ前記式(2)におけるR11〜R14が水素原子であり、R15及びR16がX2と共にシクロヘキシリデン基である構成単位を有するポリカーボネートを含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記フッ素系樹脂粉体が四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体から選ばれたものである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート、及び前記式(2)で示される構成単位を有するポリカーボネートを可溶媒中に溶解混合し、貧溶媒により再沈殿して得られたブレンド材料を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記式(3)及び(4)で示される構成単位を有する共重合体の粘度平均分子量が、20,000〜40,000である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体を、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段、及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段と共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段、及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
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