JP4124911B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは特定の樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は米国特許第2297691号公報に示されるように画像露光の間に受けた照射量に応じて電気抵抗が変化しかつ暗所では絶縁性の物質をコーティングした支持体よりなる光導電性材料を用いる。この光導電性材料を用いた電子写真に要求される基本的な特性としては(1)暗所で適当な電位に帯電できること、(2)暗所において電位の散逸が少ないこと及び(3)光照射によって速やかに電荷を散逸せしめること等が挙げられる。
【0003】
従来より電子写真感光体としてはセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機感光体が広く使用されてきた。しかしこれらは前記(1)〜(3)の条件は満足するが熱安定性、耐湿性、耐久性、生産性において必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
無機感光体の欠点を克服する目的で様々な有機光導電性化合物を主成分とする電子写真感光体の開発が近年盛んに行われている。例えば米国特許3837851号公報にはトリアリルピラゾリンを含有する電荷輸送層を有する感光体、米国特許3871880号公報にはペリレン顔料の誘導体からなる電荷発生層と3−プロピレンとホルムアルデヒドの縮合体からなる電荷輸送層とからなる感光体等が公知である。
【0005】
さらに有機光導電性化合物はその化合物によって電子写真感光体の感光波長域を自由に選択することが可能であり、例えばアゾ顔料では特開昭61−272754号公報、特開昭56−167759号公報に示された物質は可視領域で高感度を示すものが開示されておりまた、特開昭57−19567号公報、特開昭61−228453号公報で示された化合物は赤外領域まで感度を有していることが示されている。
【0006】
これらの材料のうち赤外領域に感度を示すものは近年進歩の著しいレーザービームプリンター(以下LBPと略す)やLEDプリンターに使用されその需要頻度は高くなってきている。
【0007】
これら有機光導電性化合物を用いた電子写真感光体は電気的、機械的双方の特性を満足させるために電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能分離型の感光体として利用される場合が多い。一方当然のことながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。
【0008】
特に繰り返し使用される電子写真感光体においてはその電子写真感光体表面にはコロナまたは直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程、表面クリーニングなどの電気的、機械的外力が直接加えられるためそれらに対する耐久性も要求される。
【0009】
具体的には帯電時のオゾン、及び窒素酸化物による電気的劣化や、帯電時の放電、クリーニング部材の摺擦によって表面が摩耗したり傷が発生したりする機械的劣化、電気的劣化にたいする耐久性が求められている。
【0010】
電気的劣化は光が照射した部分にキャリアーが滞留し光が照射していない部分と電位差が生じる現象が特に問題でありこれはフォトメモリーとして生じる。
【0011】
機械的劣化は特に無機感光体と異なり物質的に柔らかいものが多い有機感光体には機械的劣化にたいする耐久性が劣り耐久性向上は特に切望されているものである。
【0012】
上記のような感光体に要求される耐久特性を満足させるためにいろいろ試みがなされてきた。
【0013】
表面層によく使用され摩耗性、電気特性に良好な樹脂としてはビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂が注目されているが、前述したような問題点すべてを解決できるわけでもなく次のような問題点を有している。
(1)溶解性に乏しくジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類の一部にしか良好な溶解性を示さないうえ、これらの溶剤は低沸点のため、これらの溶剤で調製した塗工液を用いて感光体を製造すると塗工面が白化しやすい。塗工液の固形分管理などにも手間がかかる。
(2)ハロゲン化脂肪族炭化水素類以外の溶剤にたいしてはテトラヒドラフラン、ジオキサン、シクロヘキサンノンあるいはそれらの混合溶剤に一部可溶であるが、その溶液は数日でゲル化するなど経時性が悪く感光体製造には不向きである。
(3)さらに上記(1)、(2)が改善されたとしてもビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂にはソルベントクラックが発生しやすい。
(4)加えて従来のポリカーボネート樹脂では該樹脂で形成された被膜に潤滑性がないため感光体に傷が付きやすく電子写真感光体の摩耗量を低くするようなクリーニング設定では画像欠陥になったり、クリーニングブレードの早期の劣化によるクリーニング不良、トナー融着などが生じてしまうことがあった。
【0014】
前記(1)、(2)に挙げた溶液安定性についてはポリマーの構造単位として嵩高いシクロヘキシレン基を有するポリカーボネートZ樹脂を使用するか、ビスフェノールZ、ビスフェノールCなどと共重合させることによって解決されてきた。
【0015】
ソルベントクラックについても特開平6−51544、特開平6−75415に開示されているようにシリコーン変成ポリカーボネート、エーテル変成ポリカーボネートを用いることにより解決することが可能である。ところがこれら変成ポリカーボネートは従来のポリカーボネート樹脂に比べソルベントクラックを対策するためにポリマー内の内部応力に対して柔軟性をもしている構造をとっているため、結果、重合体本体の機械的強度が低下するという欠点があった。
【0016】
また、強度の向上のために特開平5−323630公報に開示されているように、アリル基をもつポリカーボネート樹脂を熱あるいはエネルギーにて架橋させているが、この場合でも電荷輸送材料が低分子状態でいるため、強度の面やクラックの面で改善の余地が残されていた。
【0017】
さらに近年、特開昭57−17826公報、特開昭58−40566公報に開示してあるような帯電部材に直接電圧をかけ電子写真感光体に電荷を印加する直接帯電方式が主流となりつつある。
【0018】
これは導電ゴムなどで構成されたローラー状の帯電部材を直接電子写真感光体に当接させ電荷を印加する方法であり、スコロトロンなどに比べ、オゾン発生量が格段に少ない、スコロトロンは帯電器に流す電流の80%前後はシールドに流れるため浪費されるのに対して、直接帯電はこの浪費分がなく非常に経済的である、などのメリットをもつ。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、直接帯電はパッシェン則による放電による帯電のため帯電安定性が非常に悪いという欠点をもつ。この対策として直流電圧に交流電圧を重畳させた、いわゆるAC/DC帯電方式が考案されている(特開昭63−149668公報)。
【0020】
この帯電方式により帯電時の安定性は良化したがACを重畳するために電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大してしまい電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという欠点を新たに生じてしまい機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきた。
【0021】
本発明の目的は、従来の表面層が有していた問題点を解決し、機械的強度が強く、かつ直接帯電による放電に対する耐電気特性が良好であり、耐久による表面荒れが小さくかつ傷が付きにくく、長期にわたって画像欠陥のない画像の得られる電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体の表面層が、ポリフェニレン樹脂及びフッ素樹脂フィラーを含有し、 該ポリフェニレン樹脂が、下記式(1)で示される構成単位を有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0023】
【化3】
【0024】
(式(1)中、R 1 乃至R 5 は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を示す。R 6 乃至R 8 は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を示す。)
【0025】
本発明に用いるポリフェニレン樹脂は、主鎖の構造がポリフェニレン構造である為、高い結晶性を有し、高分子膜を形成する際、剛直な構造となる為機械的強度が高く、また広い共役系を有している為電気的にも強いものと考えられる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明においては、電子写真特性及び溶解性の点で、上記式(1)で示される構成単位を有するポリフェニレン樹脂が用いられる。
【0027】
式(1)においてアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、及びオクチル基等が挙げられる。アルキル基が有してよい置換基としてはフッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、及びオクチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
【0028】
また、本発明においては、ポリフェニレン樹脂が式(1)で示される構成単位を2種以上有していてもよい。
【0029】
さらに本発明においては、ポリフェニレン樹脂が式(1)以外の構成単位を有していてもよい。この場合、式(1)で示される構成単位が全構成単位に対し20mol%以上であることが好ましく、特に40mol%以上であることが好ましい。
【0030】
特に、本発明においては、溶解性の点で、ポリフェニレン樹脂が下記式(2)で示される構成単位を有することが好ましい。
【0031】
【化4】
【0032】
(式(2)中、R 1 乃至R 5 は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を示す。R 6 乃至R 12 は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を示す。m及びnは、共重合比を示す。)
【0033】
式(2)中、アルキル基及びアルキル基が有してもよい置換基としては式(1)と同様のものが挙げられる。
【0034】
また、m:nは20:80〜80:20であることが好ましく、特に40:60〜60:40であることが好ましい。
【0035】
本発明のポリフェニレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜500000であることが好ましい。
【0036】
なお、本発明においては、ポリフェニレン樹脂を他の樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂と混合して用いてもよい。この場合、本発明のポリフェニレン樹脂が樹脂全重量の20重量%以上、特には60重量%以上であることが好ましい。以下に本発明のポリフェニレン樹脂が有する構成単位の好ましい例をあげるが、本発明はこれらに、限定されるものではない。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
これらの中では、構成単位例(1)及び(13)が特に好ましい。
【0041】
また、本発明の電子写真感光体は、表面層に上記のバインダー樹脂に加え、フッ素樹脂粒子を含有する。フッ素樹脂粒子は、特にポリテトラフルオロエチレンであることが好ましく、また粒子径は0.01〜2.0μm特に0.1〜1.0μmであることが好ましい。
【0042】
また本発明のフッ素樹脂粒子は、表面層の膜中に0.1〜30wt%含有することが好ましく、特に1〜20wt%が好ましい。
【0043】
本発明の電子写真感光体は、高強度のポリフェニレン樹脂を用いることに加え、フッ素樹脂粒子を含有することで感光体表面に滑り性、発水性などが付与され、その結果、耐久による摩耗や表面荒れが減少し、かつトナーの転写性、クリーニング性などが向上すると考えられる。
【0044】
以上のように本発明による電子写真感光体は、機械的強度が強く、かつ直接帯電による放電に対する耐電気特性が良好であり、耐久による表面荒れが小さくかつ傷が付きにくく、転写性やクリーニング性にも優れているという特性を有するものである。
【0045】
これにより、該電子写真感光体の耐久性が向上し、長期間にわたって欠陥のない画像が得られる。
【0046】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
【0047】
本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0048】
使用する導電性基体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチックなどが挙げられ、形状はシート状、円筒状などがあげられる。
【0049】
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または基盤の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子などの導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0050】
そのうえに接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、などが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0051】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生物質としてはセレンーテルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。機能分離型の場合、電荷発生層は前期電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着剤樹脂及び溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0052】
電荷輸送層は、この層が最表面となる場合には主として本発明からなるポリフェニレン樹脂及びフッ素樹脂フィラーと、電荷輸送材料を溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。また、その際フッ素樹脂フィラーの分散性コントロールのために適当な分散剤を用いてもよい。
【0053】
用いられる電荷輸送材料としてはトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物、チアゾール系化合物などが挙げられる。電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0054】
また、さらに保護層を設けこの層が最表面となる場合、主として本発明からなるポリフェニレン樹脂及びフッ素樹脂フィラーと、抵抗制御剤、添加剤等を溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。また、その際フッ素樹脂フィラーの分散性コントロールのために適当な分散剤を用いてもよい。この場合、電荷輸送層に本発明からなるポリフェニレン樹脂及びフッ素樹脂フィラーを含有していなくてもよい。
【0055】
(合成例1)
(構成単位例1を有するポリフェニレン樹脂の合成)
テトラヒドロフラン10ml中に亜鉛粉末1.3g(0.02mol)を含む溶液に、テトラヒドロフラン30ml中に2,5−ジクロロベンゾフェノン2.5g(0.01mol)を含む溶液をアルゴン下で加えた。
【0056】
混合物を1時間攪拌後、この溶液にNiCl2ビピリジン0.05g(0.18mol)を加え、24時間還流した。放冷後、200mlのエタノールに反応液を注ぎ、沈殿物(合成したポリマー)を濾過した。乾燥後の重量は1.4g(収率77.7%)であった。
【0057】
(合成例2)
(構成単位例13を有するポリフェニレン樹脂の合成)
テトラヒドロフラン20ml中に亜鉛粉末2.6g(0.04mol)を含む溶液に、テトラヒドロフラン30ml中に2,5−ジクロロベンゾフェノン2.5g(0.01mol)と1,4−ジクロロベンゼン1.5g(0.01mol)を含む溶液をアルゴン下で加えた。
【0058】
混合物を1時間攪拌後、この溶液にNiCl2ビピリジン0.10g(0.36mol)を加え、24時間還流した。放冷後、300mlのエタノールに反応液を注ぎ、沈殿物(合成したポリマー)を濾過した。乾燥後の重量は2.2g(収率85.9%)であった。
【0059】
上記以外のポリフェニレン樹脂も上記と同様の方法によって得ることができる。
【0060】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成を示す。
【0061】
図において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0062】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給紙された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が転写手段6により順次転写されていく。
【0063】
トナー像の転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0064】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0065】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0066】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0067】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は重量部を表す。
【0069】
(実施例1)
30φ254mmのAlシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸せき法で塗布し140℃、30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
【0070】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール 0.2/0.8 20部
【0071】
次にこの上にNメトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部、n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸せき法で塗布し0.5μmの中間層を形成した。
【0072】
次にCuKαのX線回折スペクトルにおける回折角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有するTiOPc4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散したあとエチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸せき法で塗布し0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0073】
次に、クロルベンゼン8部及びポリテトラフルオロエチレン粒子(粒子径0.1μmダイキン製)2部、フッ素含有アクリル樹脂0.1部を高速液衝突式分散機を用いて5回分散し、フッ素樹脂粒子分散液を作成した。このフッ素樹脂粒子分散液を遠心沈降式粒径測定装置CAPA500で粒子径を測定したところ、平均粒径0.2μmであった。
【0074】
次に下記構造を有する電荷輸送材料例化合物7部と、
【0075】
【化5】
【0076】
下記構造を有する電荷輸送材料化合物1部と、
【0077】
【化6】
【0078】
バインダー樹脂としての下記式で示される構成単位を有するポリフェニレン樹脂(重量平均分子量約4万)10部と、
【0079】
【化7】
【0080】
フッ素樹脂粒子分散液5部とをモノクロロベンゼン65部及びジクロロメタン70部の混合溶媒に溶解した。
【0081】
この塗料を浸せき法で塗布し120℃2時間乾燥し25μmの電荷輸送層を形成した。
【0082】
次に評価について説明する。
【0083】
装置は、ヒューレットパッカード製LBP「レーザージェット4000」を改造して用いた。改造はクリーニングブレード当接圧を1.1倍とした。作成した電子写真感光体をこの装置で30℃85%RH下で通紙耐久を行った。シーケンスはプリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。トナーがなくなったならば補給した。5000枚耐久した時点で削れ膜厚及び最大傷深さを測定した。その後、さらに通紙耐久試験を画像に問題が出るまで継続した。
【0084】
その結果を表2に示す。
【0085】
(実施例2)
電荷輸送層用バインダー樹脂として下記式で示される構成単位を有するポリフェニレン樹脂(重量平均分子量38000)を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0086】
【化8】
【0087】
(実施例3)
電荷輸送層用バインダー樹脂として構成単位例7を有するポリフェニレン樹脂(重量平均分子量35000)を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0088】
(実施例4)
電荷輸送層用バインダー樹脂として構成単位例14を有するポリフェニレン樹脂(重量平均分子量40000)を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0089】
(実施例5)
電荷輸送層用バインダー樹脂として実施例1のポリフェニレン樹脂(重量平均分子量40000)及びポリアリレート樹脂(Uポリマー、ユニチカ製)を1:1の割合で用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0090】
(実施例6)
電荷輸送層用バインダー樹脂として実施例1のポリフェニレン樹脂(重量平均分子量40000)及びポリカーボネート樹脂(パンライト、帝人製)を6:4の割合で用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0091】
(実施例7)
電荷輸送層用バインダー樹脂として実施例2のポリフェニレン樹脂(重量平均分子量38000)及びポリアリレート樹脂(Uポリマー、ユニチカ製)を6:4の割合で用いた以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0092】
以上の結果を表2に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
(比較例1)
電荷輸送層用バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(パンライト、帝人製)を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0095】
(比較例2)
下記構造を有する電荷輸送材料例化合物7部と、
【0096】
【化9】
【0097】
下記構造を有する電荷輸送材料化合物1部と、
【0098】
【化10】
【0099】
下記式で示されるポリフェニレン樹脂(重量平均分子量約4万)10部と
【0100】
【化11】
【0101】
をモノクロロベンゼン70部及びジクロロメタン70部の混合溶媒に溶解した。
【0102】
この塗料を浸せき法で塗布し120℃2時間乾燥し25μmの電荷輸送層を形成した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。
【0103】
以上の結果を表3に示す。
【0104】
【表5】
【0105】
【発明の効果】
本発明による電子写真感光体は、機械的強度が強く、かつ直接帯電による放電に対する耐電気特性が良好であり、耐久による傷が付きにくい等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いる電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール
Claims (5)
- 支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体の表面層が、ポリフェニレン樹脂及びフッ素樹脂フィラーを含有し、
該ポリフェニレン樹脂が、下記式(1)で示される構成単位を有する
ことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記ポリフェニレン樹脂が、下記式(2)で示される構成単位を有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記フッ素樹脂フィラーが、ポリテトラフルオロエチレン粒子である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体上にトナー像を形成する現像手段及び該電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写した後の該電子写真感光体上に残るトナーを除去するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対して露光を行って該電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体上にトナー像を形成する現像手段及び該電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段を有する電子写真装置。
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