JP4746368B2 - 摺動性部品 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた耐摩擦、摩耗特性を有し、かつ薄肉部の成形加工性に優れたポリカーボネート樹脂及びポリフェニレン樹脂の樹脂組成物からなる摺動性部品に関するものである。
芳香族ポリカーボネート樹脂を含む組成物は、機械特性、耐熱性に優れていることから、エンジニアリングプラスティックとして電気・電子機器分野、自動車分野などのさまざまな分野における各種部品の成形材料に使用されている。それら成形体の要求特性の一つとして摺動性(摩耗・摩擦特性)があげられる。特に、最近ではOA機器、自動車の摺動部品に摺動特性の優れた熱可塑性樹脂材料を使用しているケースが増加している。しかしながら、熱可塑性樹脂(例えば、ビスフェノールAよりなるポリカーボネート樹脂)を単独で使用したのでは、摺動性が不満足である。また、摺動特性を向上させるために従来用いられているグリースやオイル等を塗布すると、グリースやオイルの微粒子が精密化された内部の部品に悪影響を及ぼすことがある。
そこで、芳香族ポリカーボネート樹脂の摺動特性を向上させるために、ポリテトラフルオロエチレンを添加する方法(例えば特許文献1参照)、シリコンオイルを添加する方法(例えば特許文献2参照)、ポリオレフィンを添加する方法(例えば特許文献3参照)、ポリオルガノシロキサンを添加する方法(例えば特許文献4参照)などが提案され使用されてきた。しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂に上記摺動性補助材を配合した場合、摺動補助材の少量添加では十分な摺動特性が得られないことがわかっている。例えば、部品同士の接触によって発生する摩耗音の防止効果が無い。また、摺動補助材の多量添加では成形時のフローマーク、シルバー、更には層状剥離現象等が生じるため、成形品の外観不良を生じる等の欠点があった。このような組成物は成形品の外観不良が注目されない用途、例えばギアなどの内部部品で主に使用されてきたが、近年の電子・電気機器、自動車部品においては摺動性に加えて、成形品としての良好な外観が要求されている。特に軽量化による薄肉化が要求される携帯電話、スイッチやトリム等の自動車内装部品のように直接人体に接触する部品において、上記特性が求められている。このようなことから、優れた摺動性を有し、且つ成形品表面外観の良好な熱可塑性樹脂組成物の開発が求められている。
特開平07−228763号公報 特公昭36−007641号公報 特開昭48−040849号公報 特開平09−399935号公報
本発明の目的は上記課題を解決し、優れた耐摩擦、摩耗特性を有し、且つ薄肉部の成形加工性に優れたポリカーボネート樹脂とポリフェニレン樹脂の樹脂組成物からなる摺動性部品を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成せんとして、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネート樹脂とポリフェニレン樹脂の樹脂組成物が、耐摩擦、磨耗性に優れており、該樹脂より形成された成形品は摺動性に優れ、成形品表面の外観が良好であることを見出し、本発明に到達した。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、構成単位として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導された繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(a成分)及び、1,3−フェニレンからなる繰返し単位(A)と1,4−(ベンゾイルフェニレン)からなる繰返し単位(B)よりなり、全結合繰返し単位における単位(A)と単位(B)との割合がモル比で(A):(B)=10:90〜90:10の範囲にあるポリフェニレン樹脂(b成分)からなり、a成分とb成分との割合がそれらの合計を100重量%とした場合、a成分が20〜80重量%、b成分が80〜20重量%の樹脂組成物を用いることにより、薄肉部の成形加工性に優れた摺動性部品が提供される。更に、良好な表面外観を呈する効果も併せ持つ。
発明によれば、繰返し単位(A)、(B)の全結合繰返し単位における割合は(A):(B)=10:90〜90:10である。その場合、薄肉部の成形加工性に優れた摺動性部品が提供される。
また、本発明によれば、繰返し単位(A)および(B)を有するポリフェニレン樹脂の含有量は、前記ポリカーボネート樹脂との合計100重量%中、20〜80重量%であり、30〜70重量%が最も好ましい。その場合、薄肉部の成形加工性、摺動性、強度に優れた摺動性部品が提供される。ポリフェニレン樹脂の割合が20重量より小さい場合、摺動性が十分でなく、80重量より大きい場合は成形加工性が悪化し、表面外観不良が生じる、または、成形不可の場合がある。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンより誘導された構成単位であるポリカーボネート樹脂である。
また、本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物に含まれるポリフェニレン樹脂は、繰り返し単位が1,3−フェニレン及び1,4−(ベンゾイルフェニレン)である構成単位で構成されたポリフェニレン樹脂である。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物は、そのガラス転移温度が好ましくは120℃〜180℃、より好ましくは125℃〜165℃、更に好ましくは130℃〜160℃である。ガラス転移温度が120℃よりも低くなると、耐熱性が不足し好ましくない場合があり、180℃より高くなると、成形加工性が悪く成形品の表面外観不良を生じる。ガラス転移温度は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる。
また、本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物は、ISO1133に従い300℃、11.77N(1.2kgf)の測定条件でのMVRの値が5cm/10分以上が好ましく、20cm/10分以上がより好ましく、30cm/10分以上がさらに好ましい。かかるMVRの値の上限は、好ましくは100cm/10分、より好ましくは90cm/10分である。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物は、該樹脂を用いて成形した円筒状試験片のスラスト摩擦摩耗試験により得られた動摩擦計数が0.30以下がこのましく、0.25以下がより好ましい。動摩擦計数が0.30より大きいと、摺動性が不十分である。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物は、ISO178に準拠して測定した曲げ弾性率が、好ましくは2,700MPa以上、より好ましくは2,900MPa、さらに好ましくは3,100MPa以上である。曲げ弾性率が2,700MPaより小さいと、剛性が不十分であり、薄肉成形品の場合、強度不足となる。かかる曲げ弾性率の上限は好ましくは8,000MPa、より好ましくは6,500MPa、更に好ましくは6,000MPaである。また、ガラス繊維などミクロンオーダーの無機添加物を使用することによる剛性強化については、無機添加物が成形品表面に浮き出るなどの転表面外観が損なわれる可能性があるので好ましくない。本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物はそれ自体が良好な剛性を有するため特に無機添加物を必要としないが、必要に応じて無機添加物を配合する場合はその大きさが1μm未満のナノオーダーのものが好適である。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物には必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。かかるリン化合物の配合量は、摺動性部品を構成する樹脂組成物100重量部に対して、0.0001〜0.05重量部が好ましく、0.0005〜0.02重量部がより好ましく、0.001〜0.01重量部が特に好ましい。このリン化合物を配合することにより、かかる摺動性部品を構成する樹脂組成物の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下が防止される。
かかるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合物であり、好ましくは下記一般式
Figure 0004746368
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[式中、R〜R17は、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどの炭素原子数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネチルなどの炭素原子数7〜18のアラルキル基を表し、また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成していてもよい。]
よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
上記式[6]で示されるリン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、などが挙げられる。
上記式[7]で示されるリン化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記式[8]で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどが挙げられ、また上記式[9]で示される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。上記式[10]で示される化合物としては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
これらのリン化合物のなかで、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。
さらに本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。
かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、摺動性部品を構成する樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜2重量部が好ましく、0.015〜0.5重量部がより好ましく、0.02〜0.2重量部がさらに好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、また離型剤がマイグレートし金属表面に付着することもなく好ましい。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は樹脂組成物100重量部に対して、0.0001〜0.05重量部が好ましい。
本発明の摺動性部品を構成する樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート樹脂に使用されるハロゲン系またはリン系の難燃剤を配合することができる。例えば、ハロゲン系難燃剤としては芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート樹脂、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニルエーテル、ハロゲン化ポリフェニルチオエーテル等が挙げられ、好ましくはデカプロモジフェニルオキサイド、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物(テトラブロモビスフェノールA、そのオリゴマーなど)である。またリン系難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシコチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート6、オクチルジフェニルホスフェートなどの非ハロゲンリン酸エステル、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステルなどが挙げられる。
本発明における難燃剤の配合割合は摺動性部品を構成する樹脂組成物100重量部に対し、1〜30重量部である。難燃剤が1重量部未満の場合、難燃効果が不十分であり、30重量部を超えると成形時の熱安定性が低下する。
難燃剤の効果を増大させるために難燃助剤を用いることができる。難燃助剤の例としてはモリブデン化合物、アンチモン化合物等を挙げることができ、特に好ましいのはアンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモンである。また、難燃性能を更に向上させるためにフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンを用いることもできる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格においてタイプIII に分類されているものである。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、UL規格の垂直燃焼テストにおいて試験片の燃焼テスト時に溶融滴下防止性能を有しており、かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、一層の難燃効果を与えるものである。かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)よりテフロン(登録商標)6Jとして、又はダイキン化学工業(株)よりポリフロンとして市販されており容易に入手できる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの配合量は摺動性部品を構成する樹脂組成物100重量部に対して0.1〜1重量部が好ましい。0.1重量部未満では十分な溶融滴下防止性能が得られ難く、1重量部を超えると外観が悪化するようになる。
本発明の樹脂を調製する時には、任意の方法が採用される。例えばポリカーボネート樹脂とポリフェニレン樹脂とを混合溶液とした後、溶媒を留去する方法、溶媒留去に次いでベント式押出機等で溶融ペレット化する方法、または、ポリカーボネート樹脂とポリフェニレン樹脂をスーパーミキサー、タンブラー、ナウターミキサー、V型ブレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。また、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、光安定剤、着色材、滑り材、離型剤等の添加剤を加える事もできる。さらにペレット状ポリカーボネート樹脂を得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去することが好ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。かくして得られた樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の方法で容易に成形可能であり、又ブロー成形、真空成形等にも適用でき、電子・電気・OA機器、自動車の摺動部品として最適である。例えば、ギア、ローラー、カム、ラッチ、軸、軸受け、撹拌スクリュ、コンプレッサーローター、ネジ、レバー、サッシ窓のガイド、カメラ鏡筒、スイッチ等が挙げられる。
本発明の特定のポリカーボネート樹脂及びポリフェニレン樹脂の樹脂組成物は、耐摩擦・摩耗特性、成形加工性に優れていることから、摺動性、表面外観に優れた電子・電気機器、自動車の摺動部品に好適に用いられ、その奏する工業的効果は格別である。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、何らこれに限定されるものではない。実施例及び比較例において「部」は重量部である。なお評価は下記の方法に従った。
(1)ガラス転移温度
TAインスツルメント社製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JIS K7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
(2)流動性(MVR)
ISO1133に従って、東洋精機製セミオートメルトエンデクサーにより温度300℃、荷重11.77N(1.2kgf)で10分間に流出したポリマー量(cm)を測定した。
(3)曲げ弾性率
射出成形機[JSW(株)製J75EIII]により、シリンダ温度280℃で射出成形した試験片を用い、ISO178に従って測定した。(試験片形状;長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)
(4)耐熱性
試験片を上記(3)と同条件で成形し、成形された試験片に対し、ISO75に準拠してフラットワイズA法、1.80MPaの曲げ応力で荷重たわみ温度を測定した。(試験片形状;長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)
(5)耐摩擦・摩耗性
外径25mm、内径20mmの円筒状試験片を成形し、摩擦試験機[(株)オリエンテック製フリクトロン摩擦摩耗試験機]を用いてスラスト摩擦摩耗試験を行った。相手材料としては、機械構造用炭素鋼(S−45C)を用い無潤滑の状態で行い、動摩擦係数を測定した。すべり速度は、20cm/secの条件で行った。
(6)表面外観
射出成形機(名機製作所(株)M35B−D−DM)を使用して、直径120mmφ、厚さ1.2mmの円盤状基体を成形した。該基体表面にアルミ反射膜を蒸着して、目視にて表面外観を測定した。表面の凹凸がないものを○、表面に凹凸が多く外観の悪いものを×とした。
[実施例1]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンより得られたポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)L−1225L、粘度平均分子量19,500))800.0gに、フェニレン及びベンゾイルフェニレンを構成単位とするポリフェニレン樹脂(ミシシッピーポリマーテクロノジー社製Parmax−1201 Krum)を200.0g添加し、ドライブレンドして均一に混合した。続いてかかる組成物をベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によりシリンダー温度280℃で脱気しながら溶融混錬し、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。該ペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形にて各試験片を作成し、耐摩擦・摩耗性及び表面外観測定を行った結果を表1に併記した。
[実施例2]
ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225L)600.0gに、ポリフェニレン樹脂(Parmax−1201 Krum)を400.0g添加した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得、該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定した。測定したガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。さらに、実施例1と同様の方法で射出成形にて各試験片を作成し、耐摩擦・摩耗性及び表面外観測定を行った結果を表1に併記した。
[実施例3]
ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225L)400.0gに、ポリフェニレン樹脂(Parmax−1201 Krum)を600.0g添加した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得、該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定した。測定したガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。さらに、実施例1と同様の方法で射出成形にて各試験片を作成し、耐摩擦・摩耗性及び表面外観測定を行った結果を表1に併記した。
[実施例4]
ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225L)200.0gに、ポリフェニレン樹脂(Parmax−1201 Krum)を800.0g添加した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得、該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定した。測定したガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。さらに、実施例1と同様の方法で射出成形にて各試験片を作成し、耐摩擦・摩耗性及び表面外観測定を行った結果を表1に併記した。
[比較例1]
ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225L)を使用した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得、該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定した。測定したガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。さらに、実施例1と同様の方法で射出成形にて各試験片を作成し、耐摩擦・摩耗性及び表面外観測定を行った結果を表1に併記した。
[比較例2]
ポリフェニレン樹脂(Parmax−1201 Krum)を使用した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得、該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定した。測定したガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。さらに、実施例1と同様の方法で射出成形を行ったが、溶融粘度が高く、射出成形不可であった。本樹脂については耐摩擦・摩耗試験及び表面外観試験は行わなかった。
[比較例3]
ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225L)1000.0gに、繊維径13ミクロンのガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を250.0g添加した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物ペレットを得、該ペレットのガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定した。測定したガラス転移温度、MVR、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を表1に記載した。さらに、実施例1と同様の方法で射出成形にて各試験片を作成し、耐摩擦・摩耗性及び表面外観測定を行った結果を表1に併記した。
Figure 0004746368

Claims (5)

  1. 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導された繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(a成分)、及び1,3−フェニレンからなる繰返し単位(A)と1,4−(ベンゾイルフェニレン)からなる繰返し単位(B)よりなり、全結合繰返し単位における単位(A)と単位(B)との割合がモル比で(A):(B)=10:90〜90:10の範囲にあるポリフェニレン樹脂(b成分)からなり、a成分とb成分との割合がそれらの合計を100重量%とした場合、a成分が20〜80重量%、b成分が80〜20重量%の樹脂組成物からなる摺動性部品。
  2. 請求項記載の樹脂組成物100重量部に対して、さらに難燃剤1〜30重量部を配合してなることを特徴とする摺動性部品。
  3. 請求項1または2に記載の摺動性部品が電気または電子機器用の部品である電気または電子機器用摺動性部品。
  4. 請求項1または2に記載の自動車用摺動性部品。
  5. 請求項1または2に記載のOA機器用摺動性部品。
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