JPH10301307A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JPH10301307A
JPH10301307A JP10728397A JP10728397A JPH10301307A JP H10301307 A JPH10301307 A JP H10301307A JP 10728397 A JP10728397 A JP 10728397A JP 10728397 A JP10728397 A JP 10728397A JP H10301307 A JPH10301307 A JP H10301307A
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JP
Japan
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compd
compound
tricyanoethylene
layer
examples
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JP10728397A
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English (en)
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Tatsuro Kawahara
達郎 河原
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真
用感光体中に於いて、該感光層がトリシアノエチレン化
合物を含有することを特徴とする電子写真用感光体。 【効果】電荷保持率、感度、残留電位等にいずれも優れ
た、正負良帯電可能な電子写真用感光体が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光層中に電子輸
送能を有する化合物を含有する電子写真用感光体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真用感光体用材料として、
セレン、酸化亜鉛等の無機光導電体に代り、種々の有機
系化合物の研究・開発が数多く行なわれ一部実用に供さ
れている。これらの有機系感光体材料としては、主とし
て電荷を発生させる「電荷発生材料」と、電荷を輸送す
る「電荷輸送材料」とに大別できる。更に、電荷輸送材
料は、正孔輸送能を有する電荷輸送材料(以下、正孔輸
送材という。)と電子輸送能を有する電荷輸送材料(以
下、電子輸送材という。)に分けられる。
【0003】実用化された有機感光体の殆どは、電荷輸
送材料としてピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合
物、トリアリ−ルアミン系化合物等の正孔輸送材が用い
られている。電荷輸送材料として正孔輸送材を用いた場
合には、感度、耐久性等の観点から、感光体としては、
基板上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層させて構成
するのが一般的である。この場合、感光体の帯電は負極
性にせざるを得ないが、コロナ放電による帯電では負帯
電時に発生するオゾンが感光体の劣化や環境汚染をもた
らすものとして問題となっている。これらを解決する為
に、オゾンを発生しない帯電システムや、生成オゾンを
分解したり吸着したりするシステム、装置内のオゾンを
排気するシステム等の特別の配慮を施す必要があり、シ
ステムやプロセスが複雑化しコストアップにも繋がると
いう欠点がある。
【0004】一方、電荷輸送材料として電子輸送材を用
いた場合には、同上の感光体構成に於て正帯電させる事
ができる。一般に、コロナ放電による帯電では、負帯電
に比べ正帯電の方がオゾンの発生量が少なく、又均一且
つ安定な帯電が行え、得られる電子写真画像も安定性が
高い。また、場合に応じて正孔輸送材と電子輸送材とを
適切に組み合わせることにより、正負両帯電可能な感光
体を設計することも可能である。
【0005】この様な観点から高性能な電子輸送材の出
現が望まれていたが、従来電子輸送材として有効な材料
は余りなく又種々の問題点を含んでいた。例えば、米国
特許第3,484,237号で開示されている2,4,7-トリニトロ-
9-フルオレノン(TNF)は溶剤やバインダーに対する溶
解性、相溶性が低く実用性のある感光体を形成するのが
困難である。更に、TNFは発癌性を有する事が知られて
おりこの点からも使用は困難である。
【0006】近年、キノン系化合物、チオピラン系化合
物、テトラカルボン酸ジイミド系化合物等いくつかの新
しい電子輸送材が提案されている。例えば、特開平1-20
6349号公報にはジフェノキノン構造を有する化合物が記
載されている。また、トリプトアントリン化合物を用い
た特開平9-40672号公報、アザフルオレン化合物を用い
た特開平9-12555号公報等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の電子輸送材は、感度、電位保持性、電位安定性、残留
電位等に於て必ずしも十分な性能を持つものとは言えな
い。従って本発明が解決しようとする課題は、優れた電
子写真特性を有する正負両帯電可能な電子写真用感光体
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意検討を行なった結果、電子輸送
材としてトリシアノエチレン化合物を用いることにより
優れた電子写真感光体が得られることを見出した。
【0009】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、下記の電子写真用感光体を提供することにある。
【0010】(1)導電性支持体上に感光層を有する電
子写真用感光体に於いて感光層中にトリシアノエチレン
化合物を含有することを特徴とする電子写真用感光体。
【0011】(2)トリシアノエチレン化合物が、下記
一般式[1]で表される化合物である上記(1)記載の
電子写真用感光体。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、Arは置換基を有しても良い一価
の芳香族炭化水素或いは複素環残基を表す。)
【0014】
【発明の実施の形態】本発明では、トリシアノエチレン
骨格を有する化合物(以下、トリシアノエチレン化合物
という)がいずれも使用することが出来る。本発明に使
用できるトリシアノエチレン化合物としては、例えば一
般式[1]で表わされる化合物が挙げられる。一般式
[1]における残基Arは、置換基を有していても良い
一価の芳香族炭化水素残基或いは複素環残基であり、そ
れらの具体例としては、例えばベンゼン環、ナフタレン
環、フラン環、インドール環等の一価の残基が挙げられ
る。また、これらの化合物は公知の方法により製造する
ことができる。
【0015】製造方法としては、例えばテトラシアノ化
合物と、芳香族炭化水素或いは複素環化合物との反応が
挙げられる。その代表例としては、例えば第1級もし
くは第2級のアミノ基を有する芳香族炭化水素或いは同
複素環化合物と、テトラシアノ化合物との、前記アミノ
基上の水素とシアノ基との脱HCN反応、第1級もし
くは第2級のアミノ基を有する芳香族炭化水素或いは同
複素環化合物と、テトラシアノ化合物との、前記芳香族
環又は複素環上の水素とシアノ基との脱HCN反応等が
挙げられる。
【0016】上記テトラシアノ化合物と、芳香族炭化水
素或いは複素環化合物との反応の条件は、副生物が少な
くより高収率となる様に適宜選択すればよいが、通常、
両者を同時に溶解する原料とは反応しない溶媒の存在
下、両者のモル比を0.8/1.0〜1.0/0.8好
ましくは等モル比とし、反応温度10℃〜還流温度で、
1週間〜30分の範囲で行う。
【0017】尚、4つのシアノ基のうち、2つ以上を反
応させるのに比べれば、1つのシアノ基のみを置換する
ほうが、触媒使用量や反応温度等の製造条件として、よ
り穏和な条件が選択できるので好ましい。勿論、本発明
においては、トリシアノエチレン化合物のみを用いるこ
とも出来るが、ジシアノエチレン化合物やモノシアノエ
チレン化合物が、それに含まれたものであっても使用で
きる。
【0018】反応で得られた粗生成物は、例えば再結晶
等により精製し、より高純度となる様にしてから用いる
のが好ましい。
【0019】さらに具体的には、例えば、後述する例示
化合物(28)は、以下の様にして合成できる。
【0020】即ち、1-メチルインドールのベンゼン溶液
(3.28g/20ml)とテトラシアノエチレンのベンゼン溶
液(3.20g/200ml)を混合し、攪拌しながら室温で2日
間応させた。溶媒留去後エタノール/クロロホルム混合
溶媒より再結晶した。
【0021】次に、本発明で使用されるされるトリシア
ノエチレン化合物の好ましい具体例を下記に示すが、本
発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】本発明の電子写真用感光体は、導電性支持
体上にトリシアノエチレン化合物を含有する感光層を形
成してなるが、その構成は、電荷発生材料と電荷輸送材
料とが同一の層内に存在する単層型感光体、電荷発生材
料と電荷輸送材料とが異なる層内に存在する積層型感光
体の何れにも使用可能である。
【0027】単層型感光体は、電荷発生材料と正孔輸送
材及び電子輸送材を結着剤樹脂溶液に分散或いは溶解し
た塗布液を、導電性支持体上に塗布、乾燥し感光層を形
成することにより製造することができる。
【0028】一方、積層型感光体は、導電性支持体上に
電荷発生材料を蒸着或いは電荷発生材料の微粒子を必要
に応じて結着剤樹脂を溶解した溶媒中に分散して得た分
散液を塗布、乾燥し、その上に電子輸送材を結着剤樹脂
溶液に溶解した塗布液を塗布し、電荷輸送層を形成する
ことにより製造することができる。また、上記とは逆
に、導電性支持体上に始めに電荷輸送層を形成した、次
いで電荷発生層を形成させても良い。
【0029】更に、これらの電子写真用感光体は、導電
性支持体の保護、接着性の改良、塗工性の向上、導電性
支持体からの感光層への電荷注入量の制御等を目的とし
て、導電性支持体と感光層との間に中間層を設けても良
い。又、物理的あるいは化学的な外的要因から感光体を
保護するために、感光層の表面にさらに表面保護層を設
けても良い。
【0030】本発明の電子写真用感光体に用いられる導
電性支持体としては、例えば、1)アルミニウム、銅、
亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、モリブ
デン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は
合金、2)導電性ポリマ−、酸化インジウム、酸化スズ
等の導電性化合物、あるいは、3)アルミニウム、パラ
ジウム、ロジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて
塗布、蒸着、ラミネ−ト等の処理を施したガラス、紙、
プラスチックフィルム、セラミックス等が挙げられる。
又、これらの導電性支持体表面は必要に応じて化学的又
は物理的な処理を施しても良い。
【0031】本発明の電子写真用感光体の形状は、用い
る支持体によって異なるが、ドラム状、平板状、シ−ト
状、ベルト状等多様な形状が可能である。
【0032】本発明の電子写真用感光体における感光層
の膜厚は、単層型感光体の場合には、5〜50μmが好
ましく、15〜30μmの範囲が特に好ましい。また、
積層型感光体の場合には、電荷発生層の膜厚は5μm以
下が好ましく、0.01〜2μmの範囲が特に好まし
い。電荷輸送層の膜厚は3〜50μmの範囲が好まし
く、5〜30μmの範囲が特に好ましい。
【0033】また、中間層の膜厚は5μm以下が好まし
く、さらに好ましくは0.1〜1μmの範囲が特に好ま
しい。表面保護層の膜厚は2μm以下が好ましく、0.
01〜1μmmの範囲が特に好ましい。
【0034】本発明の電子写真用感光体に於けるトリチ
アノエチレン化合物の割合は、感光層の5〜100重量
%の範囲で適宜選ぶことができ、10〜70重量%の範
囲が特に好ましい。
【0035】本発明の電子写真感光体の電子輸送材を含
有する感光層には、正孔輸送材を併用することもでき
る。
【0036】電子輸送材と併用可能な正孔輸送材として
は、例えば、1)N−エチルカルバゾ−ル、N−イソプ
ロピルカルバゾ−ル、N−フェニルカルバゾ−ル等のカ
ルバゾ−ル類、2)N−メチル−N−フェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾ−ル、N,N
−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチル
カルバゾ−ル、p−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズ
アルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジエ
チルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、
p−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドジ
フェニルヒドラゾン、1−[4−(N,N−ジフェニル
アミノ)ベンジリデンイミノ]−2,3−ジメチルイン
ドリン、N−エチルカルバゾ−ル−3−メチリデン−N
−アミノインドリン、N−エチルカルバゾ−ル−3−メ
チリデン−N−アミノテトラヒドロキノリン等のヒドラ
ゾン類、3)2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニ
ル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル等のオキサジアゾ
−ル類、4)1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノ
スチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラ
ゾリン、1−[キノリル−(2)]−3−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン類、5)
トリ−p−トリルアミン、N,N’−ジフェニル−N,
N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェ
ニル−4,4’−ジアミン等のアリ−ルアミン類、6)
1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4
−ジフェニル−1,3−ブタジエン等のブタジエン類、
7)4−(2,2−ジフェニルエテニル)−N,N−ジ
フェニルベンゼンアミン、4−(1,2,2−トリフェ
ニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン等
のスチリル類等が挙げられる。また、高分子化合物とし
ては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ハロゲ
ン化ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、
ポリ−9−ビニルフェニルアンスラセン、ピレン−ホル
ムアミド樹脂、エチルカルバゾ−ル−ホルムアルデヒド
樹脂、トリフェニルメタンポリマ−、ポリフェニルアル
キルシラン等が挙げられる。又、正孔輸送材料は、ここ
に記載したものに限定されるものではなく、その使用に
際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いても
良い。
【0037】また、正孔輸送材を併用する場合には、電
子輸送材と正孔輸送材との重量比が1:9乃至9:1の
範囲で使用することができ、2:8乃至8:2の範用が
特に好ましい。
【0038】本発明の電子写真用感光体に用いられる電
荷発生材料としては、種々のものが使用可能であり、例
えば、1)モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔
料等のアゾ系顔料、2)各種金属フタロシアニン、無金
属フタロシアニン、ナフタロシアニン等のフタロシアニ
ン系顔料、3)ペリノン顔料、ペリレン顔料、アントラ
キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、チオイ
ンジゴ顔料等の縮合多環系顔料、4)スクワリウム系色
素、5)アズレン系色素、6)ピリリウム塩、チアピリ
リウム塩等のピリリウム塩系色素、7)シアニン系色
素、8)トリフェニルメタン系色素、9)セレン、セレ
ン・テルル、セレン・ヒ素等のセレン化合物や、酸化亜
鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、非晶質シリ
コン等の無機系材料等を挙げることができる。その他、
光を吸収し電荷担体を効率良く発生する材料であれば、
いずれの材料であっても使用することができる。電荷発
生材料は、ここに記載したものに限定されるものではな
く、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混
合して用いても良い。
【0039】電荷発生材料の割合は、5〜100重量%
の範囲が好ましく、10〜70重量%が特に好ましい。
【0040】本発明の電子写真用感光体の感光層には、
必要に応じて結着剤樹脂と共に可塑剤、増感剤を用いる
ことができる。
【0041】必要に応じて使用することのできる結着剤
樹脂としては種々のものが挙げられるが、疎水性で、電
気絶縁性のフィルム形成可能な高分子化合物を用いるの
が好ましい。このような高分子重合体としては、例え
ば、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリエステル樹脂、メタク
リル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩
化ビニリデン樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、ポリスチレン
樹脂、ポリビニルアセテ−ト樹脂、ポリビニルブチラ−
ル樹脂、ジアリルフタレ−ト樹脂、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸
共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、
フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アルキッド
樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル樹脂、尿素樹脂、
ポリスルホン樹脂等が挙げられる。結着剤樹脂はここに
記載したものに限定されるものではなく、その使用に際
しては単独あるいは2種以上の混合物として用ても良
い。
【0042】可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩
化ビフェニル、o−タ−フェニル、p−タ−フェニル、
ジブチルフタレ−ト、ジエチルグリコ−ルフタレ−ト、
ジオクチルフタレ−ト、トリフェニル燐酸、ジメチルナ
フタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、各種のフルオロ炭化水素等が
挙げられる。
【0043】増感剤としては、いずれも周知のものが使
用できる。例えば、クロラニル、テトラシアノエチレ
ン、メチルバイオレット、ロ−ダミンB、シアニン染
料、メロシアニン染料、ピリリウム染料、チアピリリウ
ム染料等が挙げられる。
【0044】本発明の電子写真用感光体には、保存性、
耐久性、耐環境依存性を向上させるために、必要に応じ
て感光層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の
劣化防止剤を含有させることもできる。これらの物質と
しては、例えば、フェノ−ル化合物、ハイドロキノン化
合物、アミン化合物等を挙げることができる。
【0045】また、電子写真用感光体の成膜性、可撓
性、機械的強度を向上するために、これらの結着剤樹脂
と共に、上述した可塑剤のほか、表面改質剤等の添加剤
を使用することもできる。
【0046】表面改質剤としては、例えば、シリコンオ
イル、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0047】また、本発明の電子写真用感光体に於ける
中間層に用いられる材料としては、前記結着剤樹脂に用
いられる高分子化合物のほか、カゼイン、ゼラチン、エ
チルセルロ−ス、ニトロセルロ−ス、カルボキシ−メチ
ルセルロ−ス、塩化ビニリデン系ポリマ−ラテックス、
スチレン−ブタジエン系ポリマ−ラテックス、ポリビニ
ルアルコ−ル、ポリアミド、ポリウレタン、フェノ−ル
樹脂、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン等が挙
げられる。
【0048】本発明の電子写真用感光体に於ける表面保
護層層に用いられる材料としては、前記結着剤樹脂に用
いられる高分子化合物のほか、カゼイン、ゼラチン、エ
チルセルロ−ス、ニトロセルロ−ス、カルボキシ−メチ
ルセルロ−ス、塩化ビニリデン系ポリマ−ラテックス、
スチレン−ブタジエン系ポリマ−ラテックス、ポリビニ
ルアルコ−ル、ポリアミド、ポリウレタン、フェノ−ル
樹脂、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン等が挙
げられる。
【0049】本発明に於いて、感光層、中間層、表面層
等を形成する際に樹脂分散膜を使用する場合、結着剤樹
脂を溶解する溶剤としては、例えば、メタノ−ル、エタ
ノ−ル、n−プロパノ−ル等のアルコ−ル類;アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、メチルセロソルブ等のエ−テル類;酢酸メチ
ル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;ジク
ロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエ
タン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン
等の芳香族類等が挙げられる。
【0050】感光層を形成する手段としては種々の方法
が可能であるが、塗工法としては、例えば、浸漬コ−テ
ィング法、スプレ−コ−ティング法、スピンナ−コ−テ
ィング法、ビ−ドコ−ティング法、カ−テンコ−ティン
グ法、ワイヤ−バ−コ−ティング法、ブレ−ドコ−ティ
ング法、ロ−ラ−コ−ティング法等のコ−ティング法を
用いることができる。
【0051】本発明は、請求項に記載したものの他に
も、次の実施形態を含む。 1.導電性支持体上に感光層を有する電子写真用感光体
に於いて、導電性支持体上に、電荷発生材料が分散した
結着剤樹脂層と、正孔輸送材が分散した結着剤樹脂層と
がこの順に積層された感光層を有し、当該正孔輸送材が
トリシアノエチレン化合物であることを特徴とする電子
写真用積層型正帯電感光体。
【0052】2.導電性支持体上に感光層を有する電子
写真用感光体に於いて、導電性支持体上に、電荷発生材
料と正孔輸送材が分散した結着剤樹脂層が積層された感
光層を有し、当該正孔輸送材がトリシアノエチレン化合
物であることを特徴とする電子写真用単層型正帯電感光
体。
【0053】3.導電性支持体上に感光層を有する電子
写真用感光体に於いて、導電性支持体上に、電荷発生材
料と電子輸送材が分散した結着剤樹脂層が積層された感
光層を有し、当該電子輸送材がトリシアノエチレン化合
物であることを特徴とする電子写真用単層型負帯電感光
体。
【0054】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これにより本発明が実施例に限定されるものでは
ない。尚、実施例中、「部」は「重量部」を表わし、
「%」は「重量%」を表す。
【0055】<実施例1>α型チタニルフタロシアニン
2部とブチラ−ル樹脂(商品名「エスレックBH−3」
積水化学工業(株)製)1部を、ジクロロメタン52部と
1,1,2−トリクロロエタン78部の混合液に添加
し、サンドミル中で分散、混合して電荷発生材料分散液
を得た。
【0056】この分散液を、アルミニウムを蒸着したポ
リエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が0.1μmの
膜厚となるように塗布して電荷発生層を形成した。次
に、例示化合物(27)10部と、ポリカ−ボネ−ト樹
脂(商品名「ユ−ピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)
10部を1,1,2−トリクロロエタン36部とジクロ
ロメタン54部の混合溶媒に溶解して得られた塗料を上
記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように
塗布し、電荷輸送層を形成することにより積層型電子写
真用感光体を作製した。
【0057】この感光体について、静電複写紙試験装置
(商品名「SP428」川口電機製作所社製)を用い
て、感光体を暗所で+6KVのコロナ放電により帯電
し、この時の感光体の表面電位V0 (V)を測定した。
次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの感光体の
表面電位V10(V)を測定した。V0 とV10より感光体
の表面電位の電荷保持率(DDR(%):(V10/V
0 )×100)を算出した。更に、表面電位V10に対し
て波長780nm、露光エネルギ−10mW/m2の光で
露光を行ない、表面電位がV10の半分になるまでの時間
より半減露光量E1/2(mJ/m2)を求めた。更にま
た、露光開始15秒後の表面電位、即ち残留電位V
R(V)を測定した。
【0058】<実施例2〜5>例示化合物(27)の代
わりに例示化合物(15)、(24)、(29)、(3
1)を用いた他は、実施例1と同様にして積層型電子写
真用感光体を作製し、実施例1と同様な方法で感光体の
評価を行った。
【0059】<比較例1>実施例1において、例示化合
物(27)の代わりに下記構造式(A)
【0060】
【化7】
【0061】で表される電子輸送材を用いた他は、実施
例1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例1
と同様な方法で感光体の評価を行った。
【0062】<比較例2>実施例1において、例示化合
物(27)の代わりに下式構造式(B)
【0063】
【化8】
【0064】で表される電荷輸送材料を用いた他は、実
施例1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例
1と同様な方法で感光体の評価を行った。
【0065】以上の実施例1〜5及び比較例1〜2で評
価した感光体の電子写真特性の測定結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】(表中、V0及びVRは(V)を、DDRは
(%)を、E1/2は(mJ/m2)を表わす。)
【0068】表1から明かなように、実施例1〜5にお
いて使用した電子写真用感光体は、電荷保持率(DD
R)が高い、感度(半減露光量)が良好である、残留電
位(V R)が低い事が分かる。また、従来の負帯電の電
子写真用積層型感光体よりも、オゾンによる悪影響がよ
り少なかった。
【0069】<実施例6>電子輸送材として例示化合物
(28)4部と、正孔輸送材として下記構造式
【0070】
【化9】
【0071】で表されるトリフェニルアミン誘導体
(C)4部を34%ポリカ−ボネ−ト樹脂(商品名「ユ
−ピロンZ200」三菱瓦斯化学社製)溶液34部(溶
媒:クロロホルム)に溶解した。この溶液をα型オキシ
チタニウムフタロシアニンのポリカ−ボネ−ト樹脂(同
上)分散液(3%)44部に加え30分超音波処理し感
光体塗布液を調整した。
【0072】この分散液をアルミニウムを蒸着したポリ
エステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が25μmの膜厚
となるように塗布して単層型電子写真用感光体を作製し
た。次いで、実施例1と同様な方法で感光体の評価を行
った。
【0073】<実施例7〜8>例示化合物(28)の代
わりに例示化合物(23)、(30)を用いた他は、実
施例6と同様にして単層型電子写真用感光体を作製し、
実施例1と同様な方法で感光体の評価を行った。
【0074】<比較例3〜4>実施例6において、例示
化合物(28)の代わりに構造式(A)(比較例3)及
び(B)(比較例4)で表される電子輸送材を用いた他
は、実施例6と同様にして電子写真用感光体を作製し、
実施例1と同様な方法で感光体の評価を行った。
【0075】<実施例9〜11>及び<比較例5〜6>
実施例6〜8及び比較例3〜4に於て作成した電子写真
用感光体の評価に於いて、帯電電位を−6KVとした他
は、実施例1と同様にして感光体の評価を行った。
【0076】以上の実施例6〜11及び比較例3〜6で
評価した感光体の電子写真特性の測定結果を表2に示
す。
【0077】
【表2】
【0078】(表中、V0及びVRは(V)を、DDRは
(%)を、E1/2は(mJ/m2)を表わす。)
【0079】表2から明かなように、本発明の電子写真
用感光体は、正帯電のみならず負帯電に於ても優れた電
子写真特性を示す事が分かる。電子写真用単層型感光体
系においても、優れた電荷保持率、優れた残留電位、優
れた感度を兼備している。
【0080】単層型感光体においては、負帯電して用い
る場合のほうが、正帯電して用いる場合よりも、感度の
改善の程度は、より高いこともわかる。また、実施例1
〜8の正帯電の感光体は、実施例9〜11の負帯電の感
光体よりも劣化が遅く、長期間使用時における環境汚染
もより少なかった。さらに、実施例6〜8の正帯電の感
光体は、実施例9〜11の負帯電の感光体よりも劣化が
遅く、長期間使用時における環境汚染もより少なかっ
た。
【0081】
【発明の効果】本発明の電子写真用感光体は、電荷輸送
材料として、トリシアノエチレン化合物を用いるので、
単層型、積層型の層構成を問わず、優れた電位保持率と
優れた感度とを兼備する感光体が提供できるという格別
顕著な効果を奏する。従来に比べて正負両帯電に於て優
れた電子写真用感光体として極めて有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に感光層を有する電子写真
    用感光体に於いて感光層中にトリシアノエチレン化合物
    を含有することを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】トリシアノエチレン化合物が、下記一般式
    [1]で表される化合物である請求項1記載の電子写真
    用感光体。 【化1】 (式中、Arは置換基を有しても良い一価の芳香族炭化
    水素或いは複素環残基を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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